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2014年9月1日 平成26年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会 第1回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成26年9月1日(月)
9:30~12:00


○場所

厚生労働省専用22会議室(18階)


○出席者

【検討委員】

大塚委員   田村委員   奈良間委員   福岡委員   米山委員

【実施団体】

独立行政法人国立病院機構 南京都病院
医療法人社団 千実会
独立行政法人国立病院機構 長良医療センター
社会福祉法人 浜松市社会福祉事業団
公益財団法人 日本訪問看護財団

○議題

・平成26年度重症心身障害児者の地域生活モデル事業実施団体ヒアリング 等

○議事

【第1回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会議事録】

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより「平成 26 年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会第 1 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会」を開催します。

 会議に先立ち、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室長の竹林より御挨拶をさせていただきます。

○竹林障害児・発達障害者支援室長 ただいま御紹介がありました障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室長の竹林です。本日は、御多忙の中お集りいただきまして誠にありがとうございます。平成 26 年度の発達障害重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会の第 1 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

 このモデル事業については、平成 24 年度より重症心身障害児者及びその家族が安心、安全に地域で生き生きと暮らせるように在宅の重症心身障害児者に対する地域支援の向上を図ることを目的として実施をしています。

 今年度については、モデル事業を引き続き実施し、在宅の重症心身障害児者の地域支援の充実に務めると同時に、平成 24 年度からのモデル事業の取組を振り返りながら今後の重症心身障害児者の支援体制の在り方についても検討をしていきたいと考えてます。

 本分科会は、今年度採択された 5 つの事業実施団体に対する御指導、御助言、事業の評価、全国展開に向けた検討を目的として設置しているものです。本日第 1 回目の分科会は、各実施団体からのヒアリングなどを実施することとしているので、委員の皆様方におかれましては、本事業が有益なものになるように御指導、御助言のほどよろしくお願いいたします。以上、簡単ですが、本分科会の開催に当たり私からの御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 次に、本日の流れについて簡単に説明したいと思います。お手元にお配りした議事次第を御覧ください。本日は 2 部構成としており、第 1 部として、実施団体のヒアリングを行うこととしています。第 2 部として、意見交換会という形です。

 本日は第 1 回目ということで、最初に分科会の座長の選任を行っていただきます。その後座長の進行により、議事 2 の公開について御確認をいただき、その後議事 3 の実施団体からのヒアリングを予定しています。

 最後に、議事 4 として、共通の報告書様式についての御確認をお願いできればと考えています。 1 部の終了時間は 11 15 分を予定しています。第 2 部については、 11 20 分から 12 時までの予定としています。よろしくお願いします。

 座長の選任の前に、本日お集りいただいた委員の御紹介を簡単にさせていただきたいと思います。お席の正面から順番に紹介します。上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授大塚委員です。名古屋大学教授奈良間委員です。心身障害児総合医療療育センター米山委員です。埼玉医大総合医療センター教授田村委員です。北信圏域障害者生活支援センター福岡委員です。委員の皆様よろしくお願いします。

 次に、座長の選任をお願いしたいと思います。本分科会の座長においては、開催要綱に基づき、委員による互選となっています。どなたか推薦いただける方がいたら挙手をお願いします。米山委員お願いします。

○米山委員 米山です。昨年度もお願いしたと思いますが上智の大塚委員、いろいろお詳しいこともあり、全体をまとめるということで適任ではないかと思いますので推薦をさせていただきます。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 ありがとうございます。ただいま米山委員より、座長として大塚委員の御推薦をいただきました。委員の皆様、御賛同をいただけますか。

 それでは、この検討委員会の座長を大塚委員にお願いしたいと思います。大塚委員におかれては座長席への移動をお願いします。座長より一言御挨拶をいただき、その後の進行は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○大塚座長 昨年に続き座長ということで、重症心身障害者の地域生活モデル事業分科会 3 年目です。成果やまとめをしていくかということが問われる時期になってきたと思いますので、よろしくお願いします。

 特に重症心身障害児の方の地域生活は、今非常に注目をされています。例えば、最近障害者の地域支援の在り方、検討会報告書にも重症心身障害の方の地域生活、そのようなことをコーディネートする役割や機能、人、そのような必要性が報告をされています。是非活発な御意見、今年度は団体協力をしていただき、良いモデル事業を作っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。以上です。それでは、具体的に議事に入ります。まず、資料の確認で事務局から説明をお願いします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 本日配布した資料は、資料 1. 本検討会の開催要綱、資料 2. 本分科会の公開、非公開の取扱いについての ( ) です。資料 3. 本日のヒアリングの資料の事業の実施計画書等になります。資料 4. 本モデル事業の報告書の作成について、資料 5. 実施団体名簿、実施概要となっています。資料 6. 平成 24 年度及び 25 年度の本モデル事業の考察です。資料 7. 平成 24 年度から平成 26 年度の本モデル事業の実施概要になっています。資料 8. 福祉・医療連携と協議の場・コーディネーターの役割等についてのポンチ絵になっています。資料 9. 平成 26 年度の障害者総合福祉推進事業の指定課題個票として、今年度実施をしている在宅重症心身障害児者を支援するための人材育成プログラム開発事業の概要を付けています。

 資料番号はないのですが、横の表になっている協議会メンバーと書いてあるものです。本日の 2 番目にヒアリングを行う千実会の資料で、本日追加で配っています。資料については以上です。資料の不足等がありましたら事務局までお願いします。

○田村委員 事前に送っていただいたもの以外で、追加になったのはどれですか。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 今日追加になったものは、資料番号の付いてない横表の協議会メンバーです。よろしいでしょうか。

○大塚座長 そのほかは資料はよろしいですか。議事次第 2 にある本分科会の議事の公開の取扱いについて事務局より説明をお願いします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 お配りした資料 2 です。本分科会の議事の公開の取扱いについてです。国の設置する一般的な会議の慣例により原則公開としたいと考えています。資料及び議事録については、会議終了後に厚生労働省のホームページ上に公開をさせていただきたいと思います。

 資料を公開するに当たり、各実施団体から提出のあった資料について法人の代表者名以外で個人名・連絡先が記入をされている書類があるので、そちらについては法人の代表者を除き、記述のある個人名、連絡先を黒く塗りつぶした資料を公開としてホームページに掲載をしたいと考えています。以上です。

○大塚座長 事務局の説明どおり、本検討委員会の議事については公開で資料及び議事録については会議終了後に、厚生労働省のホームページ上に公開をさせていただきます。

 次に、議事 3 です。各実施団体から提出された事業計画に関するヒアリングを行いたいと思います。実施団体の方は、今日は既にスタンバイをされています。よろしくお願いします。

 それでは、各団体の方、本日はお忙しい中お集りいただきありがとうございます。第 1 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会にお集りいただきありがとうございます。この分科会は、各団体の皆様から事業計画の内容を直接お聞きし、ここにお集りの様々な分野で、普段から重症心身障害児者の地域生活に携わられている委員と意見交換を行うということです。

 この事業が一層効果的で、有意義なものになるということで特にアドバイスをさせていただくことを目的としています。御理解、御協力のほどをよろしくお願いします。それでは、ヒアリングの方法について事務局から説明をお願いします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 ヒアリングの方法について説明をします。本日は、独立行政法人国立病院機構南京都病院、医療法人千実会、独立行政法人国立病院機構長良医療センター、社会福祉法人浜松市社会福祉事業団、公益財団法人日本訪問看護財団の 5 つの団体からヒアリング行うこととしています。

 事業計画書のヒアリングの方法は、最初に 1 団体ごとに説明と説明内容への質疑を行います。具体的には 1 団体ごとに 10 分で説明をいただき、その後各委員からその説明内容に関して疑問点等があれば、 5 分程度の時間で御質問と実施団体からの御回答をお願いします。

 なお、各団体からの事業計画書の説明時間の残り時間 1 分前、及び質疑時間の終了間際にベルで合図をします。円滑な議事の進行について御協力をいただきますよう、よろしくお願いします。

 最後に、 5 つの団体からのヒアリングが終了したら、各団体の事業計画書に対して各委員からコメントをいただければと思いますのでよろしくお願いします。ヒアリングの説明については以上です。

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○大塚座長 時間が 10 分と非常に短いのですが、よろしくお願いします。それでは、各団体からの説明をお願いいたします。まず初めに、独立行政法人国立病院機構南京都病院から始めてください。

○南京都病院 独立行政法人国立病院機構南京都病院の小児科医院長をしております宮野前と申します。よろしくお願いいたします。

 配布資料を御覧ください。京都府の現状を、地理的なことも含めて説明いたします。京都府の人口は 261 万おり、南北に細長い府になっております。人口構成も、京都市が 147 万人で全体の約 56 %を占めております。北部が過疎地になり、全体で 44 万おり、京都市から南部が 70 万人となっております。

 京都府下の重症心身障害児施設は 3 つあり、花の木が京都市の北の亀岡市に、聖ヨゼフ整肢園内の麦の穂が京都市内、それから当院が南部の城陽市にあり、この 3 つが入所で対応しております。短期入所で、ベット数は 5 床、 4 床、 4 床と少ないのですが、これがフルに活動している状況です。

 現実に、京都府下に実態として重症心身障害児者と言われている方がどのぐらいおられるかは、残念ながらきちんとしたデータはなく、一般的に言われています人口 1 万人当たり 3 人少しということで、推計値としては 800 人ほどです。そのうち、施設入所者が約 320 名です。全体の 6 割、約 500 人の方が在宅生活を送っておられるだろうと。ただ、現実にはもっと実数は多いような気がしています。

 資料の 7 ページに戻ります。京都府下の現状を簡単に説明いたします。京都府下には、現在在宅の重症心身障害児者と言われている人たちの地域生活を支援するシステムは、残念ながら全くありません。そのために、在宅の重症児の実態把握も十分行われていないことが現実としてあるように思います。結果的に、実際にどのようなニーズがあるかも不明であることと、いろいろな社会資源はあるのですが、それに関する情報が利用者の手元に行く手段がほとんどないのが現実としてあるように思います。短期入所もそれぞれの施設で頑張ってやっておりますが、個々の短期入所を調整する機能は個々の施設でやらざるを得ないという 1 1 の線の関係でしか行われていない実態があります。そのために、この事業の目的ですが、一元的な支援体制を京都府下できちんと構築する必要があると提案させていただいております。

 次の「協議会の設置」ですが、これは重症心身障害児者地域生活支援協議会 ( 仮称 ) の設置ということで、関連部署、具体的にはここに書いてあるような福祉行政の担当部署、児童相談所、保健所。これは、母子保健関係で、京都府は保健師の活動を非常に活発にやっておられます。それから、福祉事務所等です。それから、教育も必要になりますので、教育委員会、医師会、地域の支援センター、 NICU を有する病院は 5 か所ほどありますが、 2 つの大学病院を合わせて参加していただく予定です。それから、訪問看護ステーション、当事者の方々、 NPO 法人等、重心の施設です。ただ、課題としては、政令指定都市である京都市と京都府との連携をいかに有機的に行っていくかが、非常に重要だろうと思っております。幸い、昨年ここに書かせていただいておりますが、京都府在宅療養児の支援体制検討委員会が発足しました。これは、あとで詳しく説明いたします。

 今年になり、障害者総合支援法絡みなのですが、京都府障害児支援の在り方検討委員会で活動に参加しております。こういった協議会を設置することにより、先ほど京都府ではまだデータがないと申しましたが、現状把握も進めていきたいと思っております。協議会についての課題と方向性ですが、先ほど申しましたように、京都府と京都市は言ってみれば全く行政が違う立場でやっているようなところがありますので、そこをいかに調整していくかが課題だろうと思います。市町村の温度差や力量にもかなり差があるように思います。それから、担当部署が細分化されていることも大きなネックになっているように思っています。

 ただ、新たに協議会を設けてということなのですが、現在この検討委員会の中で活動している部署にも皆さんの話も持っていっていますので、そこで具体的に協議会を立ち上げていくつもりです。

 最終的には、こういった協議会は行政が主導してやっていく必要があると思いますので、その 1 歩手前のモデル事業ということで対応したいと思っております。

 次に、具体的に地域の重症児者や家族に対する支援です。当院に地域生活支援室を設置します。具体的には、現在既に支援ファイル等のひな形はできていまして、それをいかに地域で活用していただくかが、今後の課題だと思っております。

 地域の情報発信ですが、当院の場合は重症心身障害施設ということで、医療的なケアに関する情報やノウハウは持っておりますので、そういったものを地域に還元するということで、特別支援学校の教諭や学校の看護師への研修等、福祉施設や家族への医療的ケアの研修実施等を行っております。ただ、 3 番目の地域への理解を深めるための市民対象の講演会は、残念ながらできておりません。

 次の資料のたんぽぽネットワークですが、実は平成 17 年から京都府南部の山城北保健所圏域の中でできたネットワークです。特に、保健師たちが NICU に入院されていて地域に戻るときに、地域で利用できる支援が本当にないと。具体的にどういった形で対応していいかも分からないということで、このネットワークを山城北保健所を中心に私どもの施設が一緒にバックアップをしながら設立いたしました。地道な活動を続けてまいりまして、昨年から京都府の在宅療養児支援体制検討委員会に京都府、市も含めてなのですが拡大されてきました。そこでの活動をしっかりサポートしながら、協議会を作っていければと考えております。

 具体的に、この検討委員会の目標ですが、在宅療養児支援ネットワークの構築及び支援体制、社会資源に関すること、府内統一の連携手帳を作っていくことが挙げられており、ひな形は既に作ってありますので、これをいかに現場に普及させていくかが課題としてあります。

 先ほど申しました当院に地域生活支援室を設立することにより、今まで利用者と施設が 1 1 の関係でしたのが、こういった支援室を設けることにより、面の形になると考えております。ここに書いてあるような中身で活動をしております。実質的には、当院の場合は療育指導室には福祉職の方がおられて、そういった対応はしているのですが、これを公のものにしていきたいと考えております。言ってみれば、面から三次元ではないですが、当院が持つ機能のノウハウを京都府全域に広げていきたいと。その 1 つの取組として、たんぽぽネットワークの中から提案された在宅の重症児を支えるための訪問看護ステーション等を、それから福祉施設にも看護師がおられて日中活動をするにしろ、子どもたちに対する医療的なケアの経験が余りない方が多いものですから、今年で 5 年目になりますが、その人たちに当院に来ていただき、 5 日間かけて研修と実習をします。そういったことも地道に続けていきたいと考えております。

 今回、このモデル事業に参加させていただいたのは、先ほど申しましたように、京都府全体を見渡すための重症児の協議会が必要であろうということと、京都府南部で当院が中核を担う形でいろいろな情報を発信する。それから、 1 1 から面の様々な福祉資源の活用や、在宅の子どもたち、それから御家族を支援できればということで頑張ってまいりたいと思います。以上です。

○大塚座長 ただいまの説明について、御質問等があればお願いいたします。

○田村委員 貴重な御報告をありがとうございました。資料の後のほうで出ておりますが、今までやっておられたことで「ポスト NICU 児を主たる対象にした在宅療養児支援体制検討委員会を立ち上げ、支援ノートを作成した」とあります。これが、先ほどお話された府内統一の連携手帳にうまくいかされておられるのでしょうか。

○南京都病院 それを、京都市も含めて府全体に広げようと。これは、先ほど言いました京都市と京都府の連携がなかなかうまくいかないというと語弊があるのですが、京都府とたんぽぽ手帳の下に書いていたら、それはおかしいと京都府から削られたと。これは、 1 つの象徴的なことだろうとは思います。今、細かなところは詰めておりますが。それから、社会福祉資源ですが、例えば短期入所のときにどういう手続をすればいいかとか、その地域にどのような活用できる資源があるかは地域によって違いますので、それぞれの保健所管内でそちらは作っていこうという形になっております。

○田村委員 昨年度の我々の調査で、一旦減り始めた NICU の長期入院児がまた増えてきていて、更にそれを上回るスピードで人工呼吸器を着けたまま NICU から転出する児が増えております。在宅医療に移行するお子さんたちは高度な医療、特に呼吸器管理が多いと思うのですが、それを着けたまま退院している児が増加傾向にあるというわけです。それで、今回の事業の大きなポイントにもなっているのは、そのような非常に重い病気を持っているお子さんの医療と福祉をいかに連携させるコーディネーターを育成することが大事なポイントになっていると思います。具体的に、先生の所の場合ですと、福祉には強い方がおられると思いますが、コーディネーターの役割はどういう方にしていただいているのでしょうか。それから、そのような医療と福祉の両方に強いコーディネーターをどのようにして作ろうとしているのかについて、お聞かせいただけますか。

○南京都病院 人の問題は非常に難しく、医療にもある程度理解があり、重症心身障害の子どもたちに理解があり、しかも周辺との連絡、調整ということになりますので、そういった人のつながりをきちんと取れる人。それから、当然福祉に関して詳しく知識を持っておられる方ということで、一応私どもの所は先ほど言いました指導室の方にお願いをしております。もう少し地域に出ていく形でのコーディネーターをつくっていきたいと思っておりますので、そこをどのように育てていくかも含めて課題だろうと思います。

 それから特に京都府の場合は、 NICU から地域に戻るときに、京都市内はよく分からないのですが、京都府の場合は保健師が非常に熱心にコーディネート的な役割をしてくださっておりますので、その保健師たちへの研修も含めてできればと思っております。

○福岡委員 福祉との連携となると、当然在宅でサービスを使っていきますが、協議会や連携ネットワーク、相談室、支援室のコーディネーターの視野の中に、相談支援専門員のネットワークとの連携が見えてこないような気がします。その辺りに対しての関わりの意識というか、連携のベースとなるような受け止めは、どのようになっておりますか。

○南京都病院 当院は、地域連携室があり、特徴としては神経難病で地域の連携室のネットワークは作っております。そういったものも含めて、ノウハウを入れていきたいと思っております。ただ、重症心身障害に関しては、まだ個別の親の会などの単独での行動が多いというか、それを何とかまとめるように、協議会を含めてやっていければと思っております。

 多分先生が言われるのは、地域にあるネットワーク、福祉のいろいろな資源を利用する上でのネットワークづくりという理解でしょうか。

○福岡委員 来年 4 月以降はサービスを利用される場合に、新規や更新の場合には必ず障害児支援利用計画やサービス等利用計画が必須ですので、当然来年 4 月以降のこの実態的な広がりを考えれば、相談支援専門員との連携はもう考えなければならない前段階だという中での視野が。

○南京都病院 その役を、当院の指導室が取る予定にしております。ですから、かなり業務が増えていきます。逆に言うと、重心でそのようなものを作れる方がいないのが実態で、そういったものを当院での機能の 1 つとして取り組んでいければと考えております。お答えになっておりませんか。

○大塚座長 多分先生の病院だけではなく、全府下において相談支援専門員の方と連携をしながらやっていくことが必要だと思いますので、そういった意図だと思います。

○福岡委員 そうです。

○南京都病院 特に小児に関しては、本当に知識を持っている方が少ない現実があります。それは、この検討委員会でも出ましたので、そういった所に私どものノウハウをまた話して。

○大塚座長 そうですね。反対に、相談支援専門員の方にどのように先生方が持っているノウハウを伝えていき、一緒にやっていくかですね。ほかには、いかがですか。よろしいですか。続いて、医療法人社団千実会からお願いいたします。

○千実会 千実会の秋山です。よろしくお願いいたします。資料の 20 ページから説明いたします。「事業目的」は、重症心身障害児とその家族の社会参加を実現し、もって地域社会の包摂力の向上を進めるため、地域の診療所が支援の中核機能を担うことにより、就学前の子どもたちに多様な生活の場を提供するものです。この図は、教育と保育のインクルーシブに向けた対応を比較したものです。左に表記された図は、インクルーシブ教育です。学校教育において、自宅、病院における訪問学級から始まり、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、そして通常学級での支援と各段階の環境が整っております。ただし、重心の子どもたちには当てはまっているわけではないと思います。また、就学前児童の重心の場合でも、病院、在宅での訪問看護、訪問保育に始まり、児童発達支援事業所をへて、中間施設なしに保育園、幼稚園につながっております。このミッシングリングを、地域の診療所が担えることを確認することが、本事業の目的です。また、当法人は在宅医療、在宅訪問を始めているところです。

 次に、地域生活支援協議会の目的を達成するために、地域のネットワーク、地域生活支援協議会を開催し、中間的施設の在り方について情報の共有と確認を行いながら事業を進めてまいります。協議会の開催状況は、既に 7 月に 1 回開催し 2 回目が 9 月、今後 4 5 回の開催予定です。協議会の構成員は、お手元の追加資料を御覧ください。武蔵野、三鷹の行政責任者がメンバーとして協力していただいているのが大きな特色です。協議会の役割として、重症心身障害児者の実態把握や地域資源の把握、コーディネートする者の配置、調査、ガイドラインの内容、検討があります。

 次に、コーディネーターです。コーディネーターとその役割です。一般保育園に並行通園させる実践、フィージビリティの調査の実施、研修会やシンポジウムの開催、ガイドラインの作成があります。全体を総括的に束ねるコーディネーターは 1 人だけで、あとはそれぞれの事業執行の現場で事業の実施と取りまとめをお願いするために、多めに選任をしております。メンバーは、資料の一覧表のとおりです。

 次に、並行通園の実践について説明いたします。並行通園は、まず児童発達支援事業の事業所であるケアルームと隣接する保育室で、集団保育への適応を時間をかけて実践します。併せて、この状況について武蔵野、三鷹市の保育園の保育士に情報提供をし、見学に来てもらいます。 1 回目は、明日武蔵野市から見学に来られる予定になっております。実践する保育園は、各市で推薦していただく予定です。その後、保育室と実践する保育園での環境整備と、保育士、看護師の協議をへて、適正な人的配置を行い、 11 月からは並行通園を開始いたします。医師は、医学的知識などの提供と、保育中のアクシデントに対応できるよう、緊密に連絡を取り合うことといたします。また、医師と看護師は、保育中に発生した問題点に助言できるように連携していきます。実践の過程で得られた保育、看護の留意点は、調査の結果と合わせてガイドラインに集約したいと考えております。

 次に、調査についてです。事業開始時と終了時に、配布資料にあります矢印の点の所で、保育園、保育士、看護師、保護者に調査を行い、施設関連イメージなどを調査し、分析も行う予定です。このような調査を行うことにより、事業の評価と両市の保育士が重心への関心を持つ切っ掛けになることも期待しております。また、保護者にも並行通園というシステムを知っていただき、地域で生活する道筋を示したいと考えております。現在、この調査を行うに当たり、国立精神神経医療研究センターの倫理委員会で審議をしていただいているところで、結果が出次第調査を開始したいと考えております。

 次に、実施スケジュールです。協議会は、今後 9 月、 10 月、 12 月、 1 月に開催する予定です。コーディネーターは、資料のとおり選任いたしました。調査は、 9 月半ばに事業開始時調査ができるのではないかと考えております。並行通園は、 11 月実施を予定しております。また、 9 16 日に研修会を開催いたしますが、それはお手元の配布資料の最後にチラシを付けております。ガイドライン、報告書は 1 月末の協議会で確定してまいります。 2 月には、モデル事業の報告会として、シンポジウムを企画したいと考えております。

 最後に、「課題」です。大きな課題としては、 2 つあります。事業終了後の協議会の継続と、事業の他地域への普及です。具体的課題としては、対象となる児童の範囲をどう考えるか、自治体の補助の在り方、医療を伴う事態への対応、スタッフの理解度をどのように深めるか、これまでの支援事業との棲み分けをどうするか、協議会と他の支援組織との棲み分けをどうするかといったものです。これらの課題も、協議会の中で議論を起こしていきたいと考えております。以上です。

○大塚座長 それでは、質問等をお願いいたします。

○米山委員 今の連携のメンバーを見ていますと、例えば三鷹地域での課題として、医療撤回に要する事態を想定したときに、よくいうバックアップの病院を考えますと、例えば武蔵野日赤や杏林大、それから今、東京都の都立小児で、東京都の重心のネットワーク医の会議が定期的に開催されております。その辺りのメンバーは、今のバックアップでいえばもちろんクリニックだけではないと思いますが、その辺りはどのように調整、協議に入っていただくお考えでしょうか。

○千実会 今後必要であれば、杏林や日赤の先生方に入っていただく予定はあるかと思います。ただ、私自身が今、多摩療育ネットワークの会員になっておりますので、そこと連携をしながら進めていきたいと思います。

○米山委員 それから、先ほどの京都の病院でもありましたが、今後の障害児の在り方の所でも、サポートブックの利用が提言されておりましたが、何かそういうものも作られるといいかなと思いました。これは、アドバイスです。

○千実会 ありがとうございます。検討いたします。

○奈良間委員 とても新しい取組で、是非例にしていただけると、全国展開も視野に入れて非常に貴重な取組だと思いながら伺いました。先ほど、コーディネートをする方は基本的にはある地域でお一人でしたか。その辺りをもう一度説明いただきたいと思います。それから、コーディネーターなどをされる方は、専門性としてはどのような立場で、また役割が非常に新しい取組でもあり、大きな役割を担われると思うのですが、その方をどうサポートしていくとか、全体の取組の方向性に具体的に調整に入る方の経験がすごくいかされると思いますが、そこの吸い上げをどのようにしていかれるのかをお願いいたします。

○千実会 実際に総括コーディネーターがここにおりますので、説明をしていただきます。

○千実会 今の質問ですが、立場としては社会福祉事業団の理事ですが、かつて行政の福祉の保育園の担当者でもあったわけです。そのような立場で、特に保育園を中心とした今回の事業の取組について調整をすると同時に、今の立場ですと行政の OB ですから、様々な機関に声をかけることができます。御覧のように、福祉でも重心に関連する担当部署を両市からそれぞれ出してもらい、事業としては画期的なパターンを作り上げることができましたので、そのような立場を活用して、今後も自分の調整力を使いたいと思います。

 役割と専門性という質問がありましたが、専門性についてはコーディネーターをたくさん配置したのは、例えば看護師や保育士は専門的な現場の力をコーディネーターとして活用してほしいということで、私は飽くまでも統括的なコーディネーターで、あとはたくさんのコーディネーターを配置して事業目的に沿って努力してまいりたいと思っております。

○奈良間委員 ありがとうございます。そのコーディネーターを実践されている方のサポートと経験をどのように全体に吸い上げていくかは、いかがでしょうか。

○千実会 まだ開始したばかりですので、当法人のスタッフがコーディネーターとして数多く入っていますので、その辺りから情報を収集、連携をしながら、サポートしていきたいと思っております。

○福岡委員 既存の協議会の中で、懸案化しているものや手応えのあるものや成果などで、差し支えなければ今既にある自立支援協議会や子育てネットワークがそちらの見立てからすると、役に立っているのかいないのか、成果が上がっているのか、あるいは重心児に関する部会との活動が活発なのか。現在ある協議会の見立はいかがでしょうか。

○千実会 重心に関しては、多分なかったものですので、これから今ある組織とどのように連携していくかが課題と考えております。

○大塚座長 よろしいですか。課題の所にもありますし、これから児童の状態を、どのような方についてどのように並行通園を行えばどのような結果が得られたか。それが、対象人員も含めてどのぐらいのキャパを持ち、それから受け入れる保育所の能力や評価、御家族の支援度や関係度を全体的に評価してこのような結果が得られたことは有効ですし、インクルーシブな研究になろうかと思います。あとはよろしいですか。続いて、社会福祉法人浜松市社会福祉事業団、よろしくお願いいたします。

○浜松市社会福祉事業団 浜松市発達医療センターの小児科をしております遠藤です。よろしくお願いいたします。資料の 25 ページを御覧ください。事業内容の所に記載しておりますが、静岡県西部の在宅重症心身障害児者数は、 2008 年に静岡県が調査されており、県西部地区で 327 名の重症心身障害児者が在宅で生活されているというデータがあります。ただ、これらは飽くまで手帳の 1 級、 2 級プラス療育手帳の A の取得者の数ですので、それ以外に医療的ケアを受けているお子さんもいらっしゃると想像されます。

 当センターでは、平成 23 年度から「静岡県西部の子どもの在宅支援ネットワーク」という会議を年 3 回ないし 4 回開催しております。そちらの会議にも、今後浜松市に働きかけをしておりますが、自立支援連絡協議会の中の部会として正式に認めていただく方向で動いております。

 概要について説明いたします。事業概要ですが、協議会をこれまでどおり年 3 回開催する予定で、現在 1 回目は終了しております。それとは別に、コーディネーター会議を年 3 回開催する予定で、現在 1 回目は終了しております。地域移行連携パスを現在作成中ですが、こちらはコーディネーター会議の中で進めていただいている内容です。そのほか、私どもで独自に行っている家族支援と防災、虐待の 3 つの大きな柱を立てて、以下の事業を行ってきております。まず家族支援として、主婦、介護者を対象とした育児支援グループの開催、家族同士あるいは医療福祉関係者との交流、研修会の開催、兄弟支援の交流会の開催です。そのほか、育児ストレス調査を保護者に対して行う予定でおります。また、保護者の社会的支援医療状況調査及び、医療機関の重症心身障害児診療実態調査の 3 つの調査を行う予定です。

 そのほか、虐待・倫理に関する事例検討会の開催及び、講演会は虐待・倫理に関するものも含めて 3 回予定しております。そのほか、防災訓練として 2 週間後に施行予定ですが、サバイバルキャンプ防災ワークショップを開催する予定です。さらに、医療従事者向けの小児在宅医療技術講習会の開催も予定しております。

 協議会についてですが、構成員はコーディネーター及び当事者団体が 5 団体あります。医療機関関係は、市内の NICU を持つ総合病院 4 病院及び、地域の開業医の先生方、訪問看護ステーションの方々に来ていただきます。行政としては、浜松市から障害福祉関係の方に来ていただいております。福祉関係としては、 3 つの大きな事業所に主に参加していただいております。そのほか、教育関係、特別支援学校の先生方などに参加していただいております。私どもの所としては、現場に実際に活躍していただいている方々を中心に、毎回 40 名前後の構成で行っております。

 課題として挙げましたが、制度的なところで移動支援、入浴支援や教育関係の問題に関しては、施策的な対応が必要なことが多く、なかなかそこで挙がった意見がうまく改善に結び付いていない現状があります。それから書き忘れましたが、地域格差があり、浜松市は非常に広域な都市になっており、都市部と山間部でものすごい地域差があります。そこも、非常に大きな問題となっております。

 コーディネーターについては、本日はオゼキが来ておりますが、相談支援専門員として 20 年以上の重症心身障害児者の相談実績を持つ社会福祉士を 1 名及び、本日は来ておりませんが重心病棟で勤務経験を持つ看護師であり保健師が 1 名の 2 名体制で臨んでおります。業務内容としては、こちらに挙げたとおりです。コーディネーターに関して、私どもが一番中心に行っていることは、コーディネーター会議を年 3 回行っております。コーディネーター会議の構成員は、資料に記載しておりますが、静岡県が 2011 年から開催しております重症心身障害児者対応ケアマネジメント従事者養成研修があり、実際にその研修を受講している受講者が何人かおります。その中で、実際に現在計画相談を立てておられる地域の方々 4 名に来ていただいております。そのほか、 NICU を持つ 4 つの総合病院のメディカルソーシャルワーカーの方及び、各地区の保健師及び訪問看護ステーションの看護師と小児専門の看護師にお声かけをして、現在 1 回目を終了したところです。この中で、地域移行連携パスの作成に取り組んでおり、今年度中に作成予定です。さらに、事例検討会と講演会を予定しております。それから、小児在宅医療技術講習会に関しても、来年の 1 24 日に実際に開業医の先生あるいは訪問看護ステーションの看護師、特別支援学校の先生方を対象に会議を開催する予定です。あとは、家族支援、防災対策、調査研究を随時進めているところです。

 最後に、特色としては、私どもではコーディネーター会議を実施し、地域移行をよりスムーズにするという連携パスの作成をしております。さらに、 3 年前に独自に調査を行ってはいるのですが、 3 年間での変化を知るということで、状況変化の確認を行っております。それから、普及啓発活動としての講演会あるいは虐待防止の視点からの調査と事例検討会、防災対策としてのワークショップを開催予定です。以上です。

○大塚座長 それでは、御質問をお願いいたします。

○田村委員 浜松地区は、もともと我々の新生児医療でも先進的な所で、先ほど言いました NICU のいろいろな課題などを踏まえた事業をしていただけるのだろうと思っております。貴施設におけるコーディネーターに関しては、ソーシャルワーカーと保健師でそれぞれ重症心身障害児者施設勤務の経験もあり、非常にバランスがとれているのではないかと思います。そのような相談支援専門員の方で、なおかつ人工呼吸管理のような高度な医療的なケアにも十分理解のある方を地域で育成することについては、何か計画はありますか。

○浜松市社会福祉事業団 先ほど申し上げましたように、静岡県は重症心身障害児者のケアマネジメント従事者研修を、 3 年ほど前から行っております。私も、 1 人の講師として携わっておりますが、そちらでは相談支援専門員の方が中心ではありますが、訪問看護ステーションの方々が毎回 4 50 名ぐらい参加されております。そこで、私どもが医療的な技術をお伝えしたり、ソーシャルワーカーについて福祉士がお話したりという機会は設けられております。ただ、そちらで受講されても、実際にすぐに実務経験に結び付くかというとなかなか難しい課題もあり、現在私どもの地域では 4 つの相談事業所のスタッフが実際に計画相談を立てておりますので、そちらでコーディネーター会議をしつつ、今後はそういった場で連携パスを参考にしながら事例検討を行っていき、養成を考えております。

○米山委員 浜松は、この重症心身障害も含めた発達障害や教育の分野でも、とてもシステム的に連携が取れていると思います。今回、トランディションも課題として挙げていただいて、すばらしいと思います。先ほどの兄弟支援や虐待の場合には、いわゆる要対協の委員会も含めた形でやられる予定なのでしょうか。

○浜松市社会福祉事業団 要対協との関係は、今回の事業の中では組んではおりません。ただ、将来的には少し検討しないといけないとは思っております。

○米山委員 そうすると、教育のほうは今回も含めていつも特別支援学校とも。

○浜松市社会福祉事業団 特別支援学校の先生とは、かなり密にお会いする機会もありますが、こういった協議会でも意見交換をさせていただいております。

○奈良間委員 少し細かな話になるかもしれませんが、家族支援が大きな柱に立っているところは、非常に現実的ですばらしいと思い拝見いたしました。その中で、 PSI の調査を掲げていらっしゃいます。既に御存じかとは思いますが、この調査がどのように実践に活用されるのかについて伺いたいと思います。

○浜松市社会福祉事業団  PSI については、既に家族支援のグループで施行しており、取った PSI を下に個別面接を組み、今後どのような支援を組み立てていくか。それから、育児について話し合う切っ掛けから、地域のケースなどにおつなぎするような形で使っております。

○奈良間委員 非常に効果的な活用方法だと思って伺いました。内容的には、虐待のケースをスクリーニングできるような機能もあるかと思いますので、こちらで一方向的に情報収集だけしますと、その調査を切っ掛けに更に混乱を来すような危険性もありますので、是非相互性の中で御活用いただければと思います。

○大塚座長 続いて、独立行政法人国立病院機構長良医療センターからお願いいたします。

○長良医療センター  41 ページの「事業の目的」です。在宅で重症心身障害児者の医療的ケアを行っている御家族の負担は重く、その軽減は喫緊の課題です。本事業では在宅療養時の家族の負担軽減を図るために岐阜県における短期入所事業の現状と課題を明らかにするとともに、短期入所を中心とするレスパイト事業の拡充を行っていくというものです。さらに、岐阜県における重症心身障害児者の救急医療のネットワークの構築についても、取り組んでいきたいと考えております。

 次のスライドです。「事業の概要」として、まず岐阜県の短期入所事業に関して、各施設に対して、年齢、利用回数、重症度、入所中の問題点等について、詳細な調査を行い、協議会の中で検討し、現状と課題を明らかにしていきます。この中で、岐阜県と協力して短期入所を利用していない在宅療養児や、家族、潜在的利用者の実態も明らかにしていきます。さらに、本協議会の中で重症心身障害児医療の救急医療のネットワークについても、現状と課題を抽出し、その構築に向けて取り組んでいきます。病院、診療所が短期入所事業に取り組みやすくするために、入所から退所までの一連の流れについて注意すべき点などを記載したマニュアルを作成します。また、在宅療養時の家族のために、短期入所とはどのようなものであるのか、利用する際に注意すべき点などを分かりやすく記載した短期入所の利用の手引を作成し、配布します。家族と医療機関の連携を円滑に行うために、医療と福祉に精通したコーディネーターを配置し、多職種を連携させ、包括的に家族支援を行っていきます。以上の事業を行うことで、在宅療養児とその家族の質の向上を図ることを目的とします。

 モデル事業協議会の開催ですが、岐阜県は、岐阜県立希望ヶ丘学園、長良医療センターが、現在までのところ短期入所事業を主として担っております。一部の診療所も、短期入所や日帰りの短期入所をやっております。岐阜県総合医療センターが平成 27 4 月から、重症心身障害者病棟を設置することになっております。今年の 4 月から、岐阜県が岐阜大学に障がい児者医療学寄附講座を作っていただきましたので、これらの施設を含めた協議会を設置しました。

 第 1 回の協議会を平成 26 7 26 日に行っております。モデル事業を説明させていただき、岐阜県のこれまでの取組についての概況説明をいただき、協議事項としたいことを協議させていただきました。

 協議会のメンバーは、長良医療センターからこのようなメンバーと、岐阜大学の障がい児者医療学寄附講座、岐阜県総合医療センター、県医師会の理事、県立希望ヶ丘学園、岐阜県方から、メンバーに入っていただいております。

 次のスライドです。岐阜県の短期入所に関わる機関を漏れなく委員としております。岐阜県総合医療センターは、岐阜県の小児救急の中心的役割を果たしており、小児科医師も 40 名近くおり、ほぼ小児病院的な機能を果たしております。また、平成 27 年度より重症心身病棟を設置するために参加してもらっております。

 そこで課題点として出たのが、 1 つは岐阜県が行っている支援会議との整合性ということがありました。これは、メンバーが重複するようなところがありますので、岐阜県が開催する協議会と併せて行うことも検討されました。

 もう 1 つ出たのは、短期入所の理由として、保護者の整形外科的な問題を挙げる回答が数名ありました。特に、手根管症候群が複数名ありました。こういうことからも、保護者への肉体的及び精神的な長期のサポートが必要であるということで、今後アンケート調査を予定しております。コーディネーターの配置ですが、コーディネーターとして、一緒に来ていただいている愛田室長、以下このようなメンバーで構成しております。 8 1 日から、非常勤で 1 人の方を採用しています。

 長良医療センターは、岐阜県下で超重症児の短期入所を行っている主要な施設であり、コーディネーターは長良医療センターのみでなく、岐阜県下の短期入所の窓口になっております。エフォートとしては約 50 %前後で、課題としては岐阜県下の各施設が、それぞれ医療スタッフのマンパワーが不足しており、それを補っていくこともコーディネーターの役割として必要になると思っております。

 次に、「選択したテーマの実践」です。小児在宅医療の現状について、岐阜県下の診療所にアンケートを送り、「この中で障害児を対象とした訪問診療や往診が可能なのは幾つぐらいあるか」ということを岐阜県の調査を基に、現在解析しております。

 重症心身障害児者の受けている医療的ケアや内服薬などを記載した「かけはしノート」というものを岐阜県と長良医療センターが共同で作成しました。これはそこに示してあるように、どのような医療的ケアを受けているかとか、内服薬を記載したノートです。これが救急の場で使われること、現在はまだ十分に使われている状況ではありませんので、これを更に普及させ、救急での診察が円滑に進むようにしていきたいと思っております。

 講習会・講演会として、 8 3 日に名古屋大学の三浦教授が主としてやられた小児在宅医療実技講習会に関し、長良医療センターも後援させていただき、 3 名の医師をチューターとして派遣し、在宅医療に携わる地域の医師の医療的ケアの技術的指導を行っております。 7 26 日には、「障がい児者医療従事者育成シンポジウム」として、岐阜県の障害児者医療に関わる多職種のレベルアップを図るため、金沢大学、岐阜大学の小児科の教授を招き、このようなシンポジウムを開催しております。

 最後のスライドです。重症心身障害児者モデル事業協議会を立ち上げ、協議会を開催しております。短期入所事業が円滑に進むようコーディネーターを配置し、家族と医療機関の連携調整を進めております。障害児者の家族支援につながる講演会・講習会を実施しており、肉体的及び精神的の両面から障害児者の長期の家族支援を行う必要があると思っております。

○大塚座長 御質問等があれば、お願いいたします。

○田村委員 非常に大事な問題に取り組んでいただきまして、ありがとうございます。我々の施設でも NICU を急に拡大するのに合わせて、重症心身障害児施設を作って、そこは NICU の長期入院になりそうな子どもを在宅に移行するための基盤と位置づけています。そのために、原則在宅医療中のご家族のレスパイトを目的とした短期入所の患者さんを優先して受け容れるとしています。

 そうしますと、経済的にも、マンパワー的にも、非常に大変です。更に、短期入所の場合、環境がガラッと変わってしまいますので、長期入所でずっと見てる子に比べて、いろいろと急変することも多いです。そういうことに対して、重症心身障害児者でありながら、一方では医療的ケアを、看護師だけでなく、ヘルパーまでできるようにしなくてはいけない。非常に大事な課題だと思っております。

 この中で具体的に述べておられる「かけはしノート」というのは、どういう形で活用しておられるのですか。

○長良医療センター 現在、多くの重症心身障害児者の方は長良医療センターに来られております。当初は長良医療センターに来られた方全員に配っておりましたが、現在は県を通じ、全ての重心の方にお配りしている状況です。

 ですけれども、なかなか記入して持って来られるというほうまでいっていない状況もあります。ですので、例えば長良医療センターの短期入所を利用するような場合は、必ず書いて持ってきてくださいという形で、普及を進めていきたいと考えております。

○田村委員 うちの施設のように、中に入って状態が急変することに対してどのように施設内だけで対応されているのか、基本的に近くの小児科の緊急入院ができるような所との連携みたいなこともされているのでしょうか。

○長良医療センター 在宅の方が急変した場合は、やはりマンパワーの問題がありますので、今一番小児科医をたくさん持っているのは、県総合医療センターですので、そこに集めようという形で進めております。そのときに、そのようなノートを持って行く。

○田村委員 そうすると、そのコーディネーターの方が、ここでは「医療と福祉に精通したコーディネーターの方を配置」と書かれていますが、ここに挙げている肩書きだけから見ると、どちらかというと福祉に強い方は多いけれども、医療の強い方は含まれていないようですが、それでもうまくいっておりますか。

○長良医療センター 特に今のところは問題はないのですが、うちの病院も N があり、 N から在宅に移行する方はたくさんいます。ですので、そういうことに長けた看護師の方もいますので、そういう方をコーディネーターに加えることも検討していきたいと思います。

○米山委員 愛知県に隣接ということで、岐阜も名古屋に近いと思うのですが、オーバーラップして医療を受けている方もいらっしゃると思います。それでウエダ先生とか、愛知県は各地域での医療ニーズの高い方のマッピングをきれいにされていたと思うのですが、そういうものを具体的な調査の中でお考えなのか、今の愛知県との微妙なところ、オーバーラップのところはどうかなと思いまして。

○長良医療センター 岐阜県がかなり力を入れてくれておりまして、岐阜県が既に数箇月前に検査をしております。当初、この協議会での調査も考えていたのですが、個人情報の問題もあり、県を通して行っていくということで、その調査を解析させていただき、マッピングを作成したいと思っております。

○奈良間委員 大学との連携が今回の 1 つの柱だと思いますが、具体的に大学はどのような役割を取っていらっしゃるのでしょうか。

○長良医療センター 今年の 4 月から寄附講座として発足したばかりですので、現在いろいろなことを策定中です。 1 つは人材育成ということを目標にしていますので、特に若い医師を重心医療に向けるということで、 early exposure ということで、来年度から 1 年生の医学生に長良に来ていただくことになりましたし、ポリクリの中でも来ていただくことを予定しております。

○奈良間委員 是非コーディネーターの育成も、大学が貢献できるところがあるのではないかと思います。

○長良医療センター 分かりました。どうもありがとうございます。

○大塚座長 最後になりますが、公益財団法人日本訪問看護財団からお願いいたします。

○日本訪問看護財団 あすか山訪問看護ステーションです、よろしくお願いいたします。まず、進捗状況です。「協議会メンバーの再検討と協力依頼」と記載しています。協議会メンバーの再検討をさせていただいた経緯は、もともと挙げていた協議会のメンバーの中で「患者さん自身のニーズの把握をきちんとしなければいけない」ということで、新たに肢体不自由児者の父母の会の方を入れさせていただくことを検討し、決定いたしました。なおかつ、この事業の中で総合実地研修を計画しているので、その中で倫理的なところに配慮しなければいけないということで、そちらの審査は私どもの財団で検討する予定がありましたので、若干予定が遅れている経過があります。

 第 1 回協議会の開催は今月中を予定していますが、実はまだ開催されていない状況です。今月の 2 日間、予定が立てられるところがあるので、そちらで第 1 回協議会が開催されると思います。それに先立ち、会がずっと遅れているので、素案作りは財団内部で検討会を重ね、素案作りはさせていただいております。

 第 1 回協議会で検討していただく事項として、実態調査が上げられています。北区での実態調査で、特に超重症児、準超重症児の医療的なケアの多いお子さんたちに関するデータは、今のところは出ておりませんので、そちらのデータが収集できるのかどうかが課題になっております。そちらを行政に依頼していきたいと思っております。それ以外に、自立支援を利用されている方で、通所事業、訪問介護を使われている方の実数が出てくると、分かりやすいと思っております。

 北区で相談支援事業を委託しているのは 9 か所ありますが、平成 25 年、平成 26 年にかけて、平成 26 年で全ての方にプランの作成ができるだろうという計画が立てられています。

 調査票による状況把握についてです。こちらは一番最後のほうに資料を載せています。調査票をお渡しし、記載していただく予定です。

2 番目が、ヒアリング調査をする予定になっていますが、ヒアリング調査に関しては 10 名を予定しています。この 10 名の方というのが、研修会に参加していただく方なので、この方の選定が非常に大事だと考えております。こちらは内部で検討させていただいており、予定をしている方が、行政からは母子保健に関わる保健師、相談支援事業をしている方を相談支援事業委託を受けている 9 か所の事業所の中からお一方をお願いしたいと思っています。あとは NICU を保有する病院、地域の中核病院というのは非常に重要で、中核病院の方、訪問看護ステーションの方、児童発達支援をしている通所施設の方、特別支援学校の方、訪問介護事業所の方、医師会の先生にお願いしています。あと療育センターが北区にはありますので療育センターの方、小児の往診をしている所を予定しております。

 次に、「研修の内容と方法」です。多職種合同研修と、相互の実地研修の 2 つを予定しています。多職種合同研修に関しては、中で講演を 1 つお願いしたいと思っています。講演の内容は、岐阜県の事業で、重症心身障害児者の訪問看護活用モデルということを平成 25 年になされているのですが、これは非常に画期的な事業であったようで、全国で初だということでした。小児科病棟の 1 所をお借りして、そこに短期入所という事業です。そこに誰が配置されるかというと、訪問看護ステーションの配置が行われ、そこには診療報酬で算定できないので、行政がそこに対してお金を払うというシステムのモデル事業がなされておりました。

 これをしましょうということではなく、既存の事業のほかに、自分たちが何ができるかということの試行の一助としていただければいいかと思い、こちらで講演を委託したいと思っております。

 多職種の相互実地研修を企画しておりますが、私ども、あすか山訪問看護ステーションで平成 24 年から小児連携会議というのを地域で開催させていただいておりまして、第 4 回の会議のときに、相互研修というものをやらせていただいております。ただ、 4 職種の方だけに限らせていただき、小さな形でやらせていただいたのですが、結果としては、自分たちが知識で持っていたよりも、更に見ることにより知識が広がったということと、実践の中でも、 24 時間在宅支援診療所の先生が重症心身障害児の往診を受けていただけるような結果がもたらされております。そういった経験を踏まえ、相互実地研修を開催させていただきたいと思っております。

 これに先立ち、研修に参加される方にアンケート調査を実施し、その後、実施した結果のアンケートを更にさせていただきたいと思っています。それを踏まえて、学びの共有を最終的にまとめたいと思っております。

○大塚座長 御質問等がございましたらお願いいたします。

 コーディネーターの配置とか、その実践ということの検証は。

○日本訪問看護財団 コーディネーターは、私どものあすか山訪問看護ステーションの私と、平原がすることにしております。

○大塚座長 看護師さんがなるコーディネーターというのは、役割というのがあると思いますので。

○日本訪問看護財団 小児に関してではなくて、訪問看護ステーションですので高齢者もおりますが、全ての方たちに対して、介護保険ですとコーディネート機能はケアマネージャさんがされているのですが、そういった方たちの相談事業というものをお受けしていて、それをしていた経験とか、あとは周囲の訪問看護ステーションを支える会を平成 24 年から同時開催しています。それをするに当たり、訪問看護ステーションを同行し、今まで小児訪問看護を受け入れていなかった所が、受け入れられるような同行支援というものをしていて、そういったコーディネートもさせていただいているので、そういった経験を踏まえて私たちでやれるかなと思ってはおります。

 ただ、確かに相談支援専門員さんとの協働がこれから課題になっていると思いますので、そちらのところが希薄だなと、今の話を聞きながら感じておりますので、そちらの連携を加えていきたいと思います。

○米山委員 北区というのはすぐに隣が板橋で、私たちのセンターがあるのですが、インクルーシブなとかというと北区は、「子育てするなら北区が一番」というキャンペーンをやっている地域だと思うのですが、ここに挙げられた協議会のメンバーと、なかなか都市型の中では北区でも板橋に、あるいは文京区の大学病院等にかかっている重心の方々は大勢いらっしゃると思うのです。その辺をどのように把握されていくかということと、北区の人口は 30 万人ぐらいでしたか、より北区として特化していくというか、そのようにされていくようであれば、今の一番身近な医療機関と、医師会でもかなり活動をしていくように聞いていますので、そういったところ、具体的にどう連携が取れるかというのは、イメージが私はしづらいのですが、何か具体的にあるのか。それと、先ほど三鷹もありましたが、今は都のネットワーク、大塚病院さんも東京都の予算を使ってのネットワークということをされるのだと思うのですが、その辺りの関係を教えていただければと思います。

○日本訪問看護財団 ありがとうございます。具体的なネットワーク作りは形にならないとよろしくないというのは実感しておりますので、皆さんが作られているような支援ノートであるとか、ネットワークを作るための患者さんが利用できるようなものというのを、何か形に残せたらいいかなとは思っております。

○奈良間委員 大変お忙しい中、こういう取組に手を挙げてくださるのは非常に有り難いと思って伺いました。

 多職種の合同研修会について伺いたいのですが、目的はネットワーク作りということでよろしいのでしょうか。

○日本訪問看護財団 はい。

○奈良間委員 多職種の合同研修会というのはネットワーク作りもあるかと思いますが、ネットワークという実践的なところに限らず、いろいろな職種が一緒にコミュニケーションを図ること自体が難しい状況もある中で、基礎力をお互いに作っていく、同じ目標に向かっていくためにはどうしたらいいかというところのコミュニケーションとか、基本的なところをプログラムに入れていただけると、更にネットワーク作りに向けて有効なのではないかということを思いましたので、加えさせていただきました。

○日本訪問看護財団 ありがとうございました。

○大塚座長 よろしいですか。実施団体からの事業計画の説明、質疑は終わったということで、各団体の説明を受けて、委員の皆様から各団体の事業計画書に対してコメント、アドバイスをお願いします。順番に 3 分間ぐらいで、まずは国立病院機構南京都病院に対するコメントはどうでしょうか。

○福岡委員 南京都病院さんと長良さんのやろうとしていることは、かなり似ていると受け止めるのですが、何よりもこの実践と研究で実態を作ってほしいのは、裏テーマとして医療型ショートステイを受けてくれるような資源を、地域にたくさん開拓してほしいという思いが強いです。

 我々の医療機関がその専門性があるので、 2 時間かけてもいいからここにレスパイトに来てくださいという支援ではなくて、肺炎などいろいろになったときに入院する身近な基幹病院が日常的に医療型ショートステイを受けられるような資源開拓をしていただきたいというのが、お二方の病院は、それぞれ地域の基幹的な所なので、そういう中で、できれば医療機関は入院では受け入れるけれども、医療型ショートステイについてイメージを持っていない方たちの底上げをしてほしいというのが、一番の両病院へのお願いなのです。どこまでいけるか。

 そのときに、真ん中に相談支援専門員を置くような実践を、 1 人でも 2 人でも作っていただけたら素晴らしいかなと思っているのです。

○米山委員 今のことに関連してです。医療型のレスパイトは保険診療等でいろいろ難しくなっていて、 1 つはその辺の実態がどうかという把握の中で、長期のいわゆる重心の施設等でなくて、一般病院で長期で呼吸器等を付けて、入院されている方もいらっしゃると思うのです。来年の 4 月から、その方々は超重心とかの診療費は全部カットされるというような話になっていて、かなり深刻な病院が出ていると聞いています。

 いい形で一般病院を利用してのレスパイトがどのぐらい可能なのかというのは、京都も日赤さんとかを含めてやっているのは聞いていまして、岐阜のほうも聞いています。その辺り、具体的に数も分かるといいと思いまして、是非進めていただけるといいと思います。結局、福祉の入院とのマッチングというか、なかなか難しいので、是非そういったところをまとめていただけるといいと思っています。

○大塚座長 次は千実会についてです。いかがでしょうか。

○田村委員 教育の現場にいかに力を入れるかということでお話があったと思います。現在の医療保険システムでは、訪問看護ステーションの方などが、家には行けるけれども学校には行けないという問題があります。もしそういう所に訪問看護ステーションの方が同伴して行けるようになったら、これだけ実際に学校に行区事の出来るお子さんが増えるというところを具体的な数字で実態調査も入れておいていただくと行政への具体的な低 k 源にも繋がるのではないかと思いますので、是非そういう視点での分析もしていただければいいのではないかと思います。

○米山委員 とてもインクルーシブなということで先駆的なのだと思います。全国の児童発達支援事業等の事業所で見ると、医療的ケアのニーズの高い方々を受け入れるに当たって、障害種別の一元化ということで、重度の方もというようですが、なかなかナースも集まらないというところもあって、そういったところにこのような形のものができたらいいのではないかとか、そういったものも提言できたらいいなと、これからインクルーシブなということが進んでいくわけですので、その辺を提言していただけるような調査、報告をしていただけるといいなと思います。

○福岡委員 この実践を通じて、よく自立支援協議会の中には発達障害の子どもさんたちを考える部会は結構活発なのですが、なかなか重症心身障害の子どもさんたちを支える協議会を日常的に作ろうというのは広がっていないところもありますので、このモデル事業を来年以降地域の協議会に常設的に、重症心身障害の子どもさんたちをどうするかという協議会を提案していくことを、是非成果としてものにしてほしいと思います。

○大塚座長 新しい試みでもあるので、支援体制や理解のための集団、チーム、協議会の中で、そういうことが可能になるかということを検証していただくことはもちろんなのでしょうが、私自身としては、理念的なものとして、重心の方が例えば平行通園したときに、本人にとっての生活の質、何のためにやるか、もちろん、ただインクルーシブではなくて、受け入れる園や周りの園児にとって、どういう価値となるのかというところがしっかりと押さえられないと広がっていかないと思うので、そういうことも含めてやっていただきたいと思います。

 続いて、浜松市社会福祉。

○福岡委員 私は浜松市さんの取組の予算を見るときに、謝金とか出張関係の予算が 300 万円ぐらいになっていると思いまして、それはそれで悪いことではないと思うのですが、うっかりすると一過性の講演会、研修等で終わってしまっては、惜しいと思っているのです。

 一番関心を持っているのは、移行支援パスです。つまり、つなぐ糊代となる、そのツールというものがどれだけその後に根付くかというほうが、私は興味があるのです。そこにとても関心を持っているので、移行していくときのツールが、これだけ実態としてできたというところを見せていただけるとうれしいと期待しております。

○大塚座長 よろしいですか。次は長良療育医療センターについて、いかがでしょうか。

 どうしても、協議会も含めて医療中心というイメージを持ってしまうのです。それはそれで大切なことで、まずはそこから出発してやらなければならないのでしょうけれども、もう少し幅広い福祉とか、子どもであったら教育といったことも含めて、全体として協議会も含めてやっていったほうが、このモデル事業についてのオーソドックスなものになってくるかなと。もちろん、医療が核としてはあるのかもしれませんが、どうしても全体が強くなってしまっているという。

○福岡委員 どうしても中核的な機関になってくると、自分たちの機関があって地域があるというイメージになってしまうので、我々のノウハウをいかに地域に渡すかというイメージがあるのですが、地域で暮らしている一人一人は、一人一人の周りに資源をどうつなぎ合わせるかというイメージになかなかなりづらいという風景はよく分かるのです。

 医療機関からすると、こういった障害の厳しい子どもたちを地域というときに、我々と地域の連携病院等の空中戦で何とかしようとすることが多いのですが、長野のほうでも、去年当たりにようやく子ども病院が長野県庁の相談支援専門員をネットワークしないとものにならないということをようやく分かってくれて、それまでは視野に入らなかったみたいで、拠点病院だったのですが。

 できれば、本当の肝になるのは、これからは相談支援専門員なので、相談支援専門員を中心とした福祉のネットワークをそちらの中核の所につなげてほしいと思うのです。

 舌足らずでうまく伝えられませんが、こういう資源でレスパイトの病院を見付ければそれでいいではないかというのは、本当に空中戦の支援で、日常的な支援をどう地域で輪型を作るかとなると、子どもさんと地域のレスパイト病院と基幹型病院との扇形のつながりでなくて、その子どもさんを真ん中にした地域と支援輪型を作って、そこをスーパーバイズする我々だというような、図にいくようなネットワーク構築をお願いしたいと思うのです。抽象的な言い方で恐縮です。

○大塚座長 できれば本人を真ん中に、重心の方を真ん中に置いて、どのような支援体制の中でその方を支えられるか、そのときに基幹病院はどのような役割があるのかという、むしろ下で支えていただくような型をやっていると、すごくいいかなと思うのです。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、日本訪問看護財団についてのアドバイス等はいかがでしょうか。

○田村委員 多職種間の実地研修というのは、非常に面白い着眼点だと思いました。それぞれ氏素姓は違うので、ドキドキで関わるのでしょうが、そうすれば寝食もともにするでしょうし、お互いの共通言語も見付けると思います。

 問題はそれをやった後、来年度どのような風景を作ってくださるかが期待ですので、今年度はあと半年しかないので、それぞれの職種がドキドキしながらも、いろいろな事業所を体験したということはとても大きな成果で、そのあとその皆さんたちのシンパシーがものになるようにコーディネートされるということなので、本当は来年度以降につながるようになってくれるとうれしいのですが、そのようなことを期待したいと思っています。

○大塚座長 これからの重心の方の地域生活のために、訪問看護が非常に重要なポイントになると思うのです。訪問看護の形とか、もちろん実践はあるのでしょうけれども、訪問看護がどのように機能したり、どのように動いてこうなるかということはないと思うので、そういうモデルがほしいと思っております。

○奈良間委員 全く同じ意見なのですが、訪問看護ステーションが中心になって企画していくということの意義が大きいと思います。

 事業というと、先ほど「空中戦」という話もあったと思いますが、そういうことになりやすいと思いますので、日々のお子さんと御家族との関わりを全体の事業、企画にいかしていくかという、看護師ならではの視点で展開していただければと思います。

○米山委員 私が所属する心身障害者総合療育センターはいろいろ研修事業などをしていて、先ほど話があったのですが、地域でどういうことをしているかというと、全然つながっていないということで、板橋で同じようなことをやってみたら、医師会でも成人の方の在宅をされている方もたくさんいて、そこのネットワークが一気に広がったのです。医師会もメンバーに入っていますが、そういう意味で医師会も含めて実践的な集まり、よくいう「顔の見える」ということをやっていただくと、一気に広がるのではないか。かなり潜在的には持っているというのが分かっていて、是非つなげていただきたいと思いますし、先ほどからの、訪問看護ステーションが主になって進めていただくことが、本当に御本人中心の家族支援も含めての在宅支援になると思うので、是非やっていただきたいと思います。

○大塚座長 最後に全体についていかがでしょうか。よろしいですか。それでは、これで各団体に対する事業計画のヒアリングを終了いたします。

 次の議題に移ります。議事 4 「報告書の作成」について、事務局から説明をお願いいたします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 資料 4 です。こちらについては、本モデル事業の報告書について、他団体などで幅広く活用していただけるように、具体的な取組のノウハウをまとめるという観点から、共通の報告書様式をお示ししたものです。各実施団体におかれては、この様式に沿って報告書を作成していただくようにお願いします。

○大塚座長 以上で第 1 部を終了します。団体の皆様におかれては、本日の委員のアドバイスを参考にして、事業の目的に沿った効果的なものとなりますよう頑張っていただきたいと思います。

 次回の検討会はモデル事業の最終報告会になるので、年度末に予定しているのでよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。第 2 部は 20 分からですので、よろしくお願いいたします。

                                    ( 休憩 )

第2部

○大塚座長 定刻となりましたので、ただいまより、第 2 部、「重症心身障害児者地域生活モデル事業意見交換会」を始めます。まず初めに、この意見交換会の趣旨について、事務局より御説明をお願いいたします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 この意見交換会におきましては、 24 年度からこのモデル事業を実施していますが、 24 年度、 25 年度の取組において、協議の場、又はコーディネートする者の重要性や多様な取組が報告されているところです。モデル事業 3 か年の成果と本年度を含め 3 か年の成果として、全国展開をするため、必要な協議の場、又はコーディネートをする者の役割などについて委員の皆様方より御意見を賜われればと考えて、このような場を設けさせていただいております。また、このモデル事業の取組を踏まえ、今後の重症心身障害児者の地域支援体制の一定のビジョンのようなものもお示しすることができればと考えていますので、協議の場、コーディネートするものの役割に関わらず、重症心身障害児者の地域支援体制の在り方についても、委員の皆様方からの御意見を頂きたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○大塚座長 事務局より資料を用意していただきましたので、資料 6 から資料 9 についての説明をお願いいたします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 資料につきましては時間の関係もありまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。

 まず資料 6 は、 24 年度と 25 年度のモデル事業の事業報告がなされていますが、その取組について、協議の場又はコーディネートをする者の設置又は家族支援などについて取りまとめたものです。

 資料の 7 は、 24 年度から 26 年度までの実施団体の事業概要をまとめたものです。資料 6 と資料 7 については、これまでの事業の振り返り等に御活用いただければと、添付しているところです。

 続いて、 1 枚紙の資料 8 、ポンチ絵については、モデル事業の支援イメージに協議の場とコーディネーターの役割等について図示したものです。この意見交換会においてこの資料をたたき台として、協議の場又はコーディネートする者の役割などについて御意見を頂ければと考え、配布させていただいたものです。吹き出しで上に 3 つほどどのようなコーディネーターであればどのような人にどの役割が期待されるかといったものを、特に今回御意見を頂きたいと考えているものを書かせていただきましたが、これに限らず、コーディネーターや協議の場について様々な意見を頂ければと思っております。

 最後に資料の 9 、縦紙の 1 枚紙について、平成 26 年度の障害者総合福祉推進事業の指定課題として、今年度実施しています「在宅重症心身障害児者を支援するための人材育成プログラムの開発事業」の概要です。この開発事業についてはモデル事業の成果又は実施状況を踏まえて作成することが求められていますので、今回、参考として添付させていただきました。簡単ですが、資料については以上です。

○大塚座長 本題の検討に入りたいと思います。皆様の御協力の下に、重症心身障害児者の地域生活モデル事業も 3 年目を迎えています。 24 25 26 年度と、今、 26 年度についてはヒアリング及びいろいろなアドバイスを頂いたというところですが、モデル事業は 3 年目ですけれども協議会の設置、コーディネーターの配置や役割、家族あるいは御本人に対する支援の在り方、特に地域の支援の体制や、その能力の向上と広く地域住民に対する啓発なども含めて事業をやってまいりましたけれども、最終的には特に中心になる地域にどのような支援体制を構築していくか、重症心身障害児者の地域支援体制を構築していくかということと、その際にどのような協議の場、あるいはどのような参加者の下にどんな有効な話し合いの下で、それから地域をコーディネートする人材、その役割等についてもモデル事業の中心的なものとして実施をしてきました。今回はそういうことについて医療と福祉の連携であるか、コーディネーターの役割等について、少し幅広く従来のモデル事業の成果などを参考にしながら話し合っていただきたいと思います。

 コーディネーターの配置などについては、具体的な話にもなっていくのかもしれませんので、そういうことも含めて、皆さんの忌憚ない御意見、あるいは討議まではいかないですけれど、というようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。初めての方もいらっしゃいますけれども、大体、フリートーキングは 30 分ぐらいです。福岡さん、どうですか、具体的なモデル事業から今後は。

○福岡委員 この 3 年間のモデル事業に私も参加させていただいて、何とか実ってくれたらいいなと思うのは、都道府県レベルですか、あるいはかなりの人工規模モデルの中に 1 つ、重症心身障害児者に関して、やはり連携というものをよく熟知し、その財産を地域にきちんと伝えていってくれるような、中核のコーディネートする存在が必要かどうかということだと思うのです。長野県なら長野県の中核に本当に超重症児の子どもさんとか、医療的ケアの必要な子どもさんたちを拠点として支えている病院があるとき、そこにコーディネーターがいてくれたときに、是非してほしい仕事が 3 つあります。

1 つは、長野県の各地域ごとに重症心身障害に関わる連携の場が、実体的にいつもつくられているかどうかをしっかりと、いわゆる、各地域でそういう大きな連携、我々は大きなケアマネなんて言いますが、それがちゃんとこしらえられているかどうか、いつも全県的なところで旗を振っていただく人間。

2 つ目が、そのときに重症心身障害に関わるスキルやノウハウ、専門性など、とりわけ医療との濃密な連携が必要ですから、そういうことが各地域、地域の関係機関がしっかりと共有化できるだけのスキルや知識、それをいつもスタンダードに持ち続けてくれるような、仕事として、ここはアウトリーチも含めてですが、していただきたいということ。

3 つ目としては、拠点の病院に入院されている子どもさんたちが地域移行していくときのルート、このような手順でこのような支援管理を継続し、このように地域の、例えば病院に移行し、その中で在宅の様々なが暮らしていけるのだというような、 1 つの移行ルートをきちんとこしらえてくれるような仕事、その 3 つをやってくださる方を用意していただきたいなと、このモデル事業を通じて思っているのですけれども。

○大塚座長 先ほど、地域移行連携パスというお話も、正にということなのでしょうね。

○福岡委員 はい。

○大塚座長 どうですか、いかがでしょうか。

○米山委員 その地域移行連携パスというのは、田村先生も、 NICU から退園のお子さんたちは、今は 25 年から 2,500 未満は届出義務になったのでしたか。保健所というか、確か母子保健法で、 2,500 未満は親子さんが届け出るのでしたか。多分何か義務が発生したと思うのですよ。そういう意味ではそこまで義務とは言わず、地域でというと網羅できているのは保健所、保健センターなどの保健師さんたちは何だかんだ言って行政で核にもなり得るので、そこは外せないだろうと思って、そこと今の専門を重心をよく知っている人でないといけないなと思うのですね。何かその辺が今ここの「福祉医療」と書いてありましたけれど、その 1 つ前の NICU であれば、保健というか、そこがつながるといいなと思ったのですが、どうでしょう。

○大塚座長 自由に話しましょう。

○田村委員 コーディネーターの役割に関して、我々は特に NICU で見ているようなお子さんをお願いすると、これは本当に今、右肩上がりに NICU の長期入院児も、 NICU から人工呼吸器を着けたまま転出していく児も増えているというのは、我々の全国調査で明らかになっているので、そういう重い子どもをちゃんと在宅や若しくは重症心身障害児施設でケアしていただくためには、コーディネーターの方が介護保険のケアマネージャーのように相談支援専門員だけを専門としてもでちゃんと生活できるような経済的保障ががちゃんと保険制度として保障されていないと、今みたいに相談支援専門員の方が一生懸命に勉強をしてやってもそれだけではとても専門職として生活できないということでは普及しないと思います。ケアマネさんのような収入にはならないと。

 先ほどもちらっと言いましたけれども、学校や支援学校に人工呼吸器を着けたような気管切開をしているようなお子さんを行かせた場合に、そこに訪問看護ステーションの看護師が在宅であれば見られるのに、学校では見られないというような、そういう法的なところも厚労省のほうできちんと考えていただくためにはそうした問題点を実態調査で明確化していただきたいと期待します。いろいろな支援事業としてはこういうことができても、これを一般化するためには、補助金がなくてもちゃんとやれる体制が保障される必要があります。素晴らしいいろいろなモデル事業を各施設の方が提案していただいて、これを実践していただければ非常にいいことですけれど、補助金がなくてもできるようにもっていくのが次のステップだと思うので、現場の小児の在宅医療に関わっている人たちがどんなところで苦労しているのかということを明確にしていただきたいと思います。

 今回のいろいろな事業の中にも、人材育成と並んでそういう調査も入っていますけれど、そうしたことを是非、行政側にフィードバックして、こうした補助金がなくても、こういう素晴らしい事業が民間の団体でもちゃんとやれるようにしていただきたいと、切にお願いしたいと思います。

○大塚座長 今、福岡さんからコーディネーターの役割やあるべき姿ということで、どういう行動をするかという役割かもしれませんけれど、それとともに附帯的には多分、コーディネーターの資格であるとか、コーディネーターの身分であるとか、コーディネーターの資格制度あるいは配置要件あるいは仕事ができるような単価設定までということも含めて考える必要があるし、なおかつ、重症心身障害のある方を取りまく様々な分野や制度、法律があるわけですね、学校にも行ったわけですので。そういう意味では法律や制度との調整も含めてかなり広範囲なものを視野に入れながらやっていかないとうまくいかないのではないかという、非常に小さいところから非常に大きなところまで、様々な段階があるのではないかという、構造的に、その構造 1 1 つにどういう構造があってどういう課題があって、どんなものがあるかを明らかにしながら、次の筋道を見つけないとなかなか駄目だというような感じはいたしましたけれど、いかがでしょうか。

○奈良間委員 本当におっしゃるとおりだと思って伺いました。介護保険が 1 つとてもそのシステムが参考になるとは思いつつ、やはり対象が小児ということを考えますと、成長発達の過程にあるということがすごく大きな特徴で、欠かせないところだと考えたときに、先生方に申し上げるまでもないのですが、普通コーディネートというと、横断的に今はどう調整するかという視点で考えがちですけれども、やはり縦の視点が併せて重要になると思います。今は出生前の診断で、例えば御家族が診断を受けたときに、その後、出産を迎えて、そして生まれたあと急性期を過ぎて、今度は在宅移行につながっていくという長期的な視点をもった方が御家族、お子さんの近くで様々な情報に当たられるということが理想的ではあるのですが、なかなか現実的には難しいと思います。そういう意味では医療と福祉の連携が欠かせないのではないかと思います。それで、身体的にも発達段階に応じて変化していくことが、ある程度予測される問題があるとすると、その時期にどういう調整が必要なのかということを予測的に関われるところは、医療系が長けている部分だと思いますので、そこがうまく連動していくというか、協力し合っていけることがひとまずは必要なのではないかと思って、例えば、福祉職の方と医療職であれば、ナースが適当か分かりませんけれど、医療関係者としばらくは一体となって進めていきながら、人材が育成したら最終的にどうなっていくかというような展開も 1 つなのではと思います。

○大塚座長 モデル事業ではありましたけれども、誰か 1 人スーパーマンみたいな人を養成するのか、あるいはそれは複数の人間において役割分担をしながら 1 つの、なかなか事業だとか予算をすぐ考えてしまうと、スーパーマンのほうが分かりやすいけれどね、何々という名称の何々という人のほうが、その辺ももちろんあるのかもしれませんが、どうですかね。スーパー相談員のような。

○田村委員 やはりスーパーマンはそう簡単には育たないので、医療と福祉を結ぶときに、大人と違って特に、 NICU とか小児 NICU とかを出ていくようなお子さんの場合には、人工呼吸器を含めた高度医療が必要で、大人の在宅の患者さんと違うのは、高度医療をやっている所との結びつきが離せないので、そういうこともしっかり知っていて、それで逆に言うと我々のような大学病院とか NICU などで働いている人間は、本当に福祉のシステムがよく分かってないので、それを両方カバーできるコーディネーターは、本当にスーパーマンになっちゃいますから、原則的にはそのコーディネーターは相談支援専門員のような福祉に長けている方と、 NICU などでも仕事をしたことのあるような看護師さんとか、ペアでするのが現実的だと私は思います。もちろん将来的には、相談支援専門員の方にそういう医療現場のことをいろいろ知っていただく講習会みたいなことを経て、 1 人でうまくやっていただくようなことが、将来的には目指すにしても、当面はやはりペアでするというのが現実的ではないかなと思います。

○米山委員 私も現実的にはそのペアでないと難しいかなと思うのですが、 1 つ福岡先生にお聞きしたいのは、今は高齢者の方や難病の方もケアが必要な方もいらっしゃいますが、その方々の計画相談もされていると思うのですが、その方々は実際にどういう方がされているのかと。 27 年にみんな重心の方も計画書を立てるわけですけれど、どうするのかなと。私たちもそういう専門領域の人を相談員に立てるつもりですけれども、その成人の方はどうされているのでしょうか。

○福岡委員 相談支援専門員というのは、いわゆるケアマネージャーのような資格や研修システムからいくとまだまだ不十分だと思うのですが、相談支援専門員に求められている力というのは、たとえ本人の思いとかを口で言えない子どもさんとか御本人であっても、その方がどういう暮らしをしたいのかということを、そこに関わる関係機関に集まってもらいながら、最大限、その方の思いを実現するような方向性を共有化できる力をもっていればいいということです。どこどこの施設に入ってくれればいいとか、どこどこに行けばいいじゃなくて、この子どもさん、この御本人さんはどのような環境の下にどのような支援チームの下にどのような暮らしをしたらいいのかということが、明確にチームとしてまとめられる人間ならいいのですね。関係機関様々な職種がありますけれど、それは医療であろうが労働であろうが教育であろうが、高齢であろうが保険であろうが、同じで。そういう資質をもっている人間であればいいと、原則的には。ただ、そのときに例えば難病の方があるいは発達障害の方があるいは、今私どもの分野でとても対応が難しいのは、プラダウイリーの方とか、難病で、高次脳機能の方とか、あるいは統合失調症なのかパーソナリティーなのか非常に複雑な方たちがいるときに、どのような支援のスキルで一体性をつくっていくかということの、二次アセスメントの協力に応じてくれるという力が必要なんです。ですから、プランをつくるときには、必ずそういう専門性に基づくようなスーパーバイズの人をもたないとやっていけないわけですね。ただ、生活の仕組をつくっただけではとなったときに、そういうことが分かって組み立てられる人間が欲しいですね。私の分野でいくと、重症心身障害についてはまだこういう方が立ってないといいますか、自閉症や発達障害では、各地域地域に拠点的なセンターがありますけれど、まだ立ってないなと思っていますけれどね。

○大塚座長 もちろん NICU から移行ということの、非常に関わりながらインテンシブに、正に関わるということであれば、そういう医療職ということが必要だし、そういう方になってもらったほうがいいのかもしれません。それと相談支援専門員との協力というのがあるかもしれません。ただ、全体的な観点から言えば、相談支援専門員の方は重心に対する発達に関する知識・技術はあったほうがもちろんいいし、最低のラインかもしれませんけれど、むしろ、専門職をどんなふうに連携しながらどんなふうにやっていけるかというノウハウのほうが全然大切で、そこのノウハウの自信がある人であれば結構やっていけるような気もするのですが、いかがでしょうかね。取りまとめていく力、そのバックボーンとしては知識がなければ駄目なので。

○福岡委員 最大必要な力は多職種、様々な職種の方たちを 1 つのテーブルで、この方を真ん中に連携していこうという力をもっている方ですね。そのときに、実際、サービス等利用計画とか、障害者支援利用計画レベルで進めていくときには、下部に 2 つのグループをつくるのです。生活を支えるためのグループづくりと、その方の支援スキルを統一するためのグループ。例えば自閉症であれば、自閉症の対応が一致してくれなければ混乱してしまうので、それができるチームと、この方の例えば生活スタイルで、いつ行動援護を使うのか、いつショートステイに行くのか、いつどこどこの生活管理に通っているかということを組み立てるチームという 2 つ必要です。それを上手に両者をメンテナンスしていける力をもっていればいいということで。

 どんなにスーパーマンでも、私は精神も得意、難病も得意、重症心身障害も得意という方は求めても。そういう意味では、連携力のある方がまず一番大事じゃないでしょうかね。

○大塚座長 反対に、周りの連携の輪になるような人たちから見れば、その人が別に重心の専門家でなかったとしても、ある一定の知識や技術をもっていればそこに参加していけるという、周りの人が自信をもってその輪に入れるようなという、お互いのやり取りだと思いますので、そういう力があるといいかなという気はいたします。でも、もちろん最低の知識と技術は必要だから、それのためのいろいろな素材をつくらなければならないとは思っています。

 ほかにいかがでしょうか。

○米山委員 さっきの田村委員どほとんど同じ、重なるのですが、具体的なその地域のネットワークの支援の場ということで考えると、今のコーディネーターの役と連携した家族支援や御本人支援ということで考えたときに、やはり医療を切り離せない方々なので、そういった場合に、訪問看護の制度の中で、学校へは行けないし、今回やったどこでもそうですが、保育所あるいは幼稚園等に訪問看護ステーションのナースが行けるのかとか、そういったいろいろな仕組のところで難しさがあると思うのですね。前は宮城が訪問看護を、今もやっているのでしたか、訪問看護のほうが学校へ出向いてもいいというような形でイケアをやっていたわけですけれど、多分それは撤退したと思います。そういう制度上は一歩進んだのは、学校へのイケアの指示書というのが今年度から、一応保健点数で認められるようになったのですね。それはすごく前進だと思っていて、医療が学校へ入った、それが医療の指示書がちゃんと保健診療として扱われるようになったと。数も 7,500 ぐらいの数と分かっているわけで、とったのだと思いますが、そういう意味では医療と医療費との絡み、あるいは、訪看さんとの診療報酬との絡みといったところも交えて支援していくというそこの仕組づくりが大事なのだろうと思うのですね。

 それともう 1 つ、さっきちょっと言いかけたのですが、診療報酬で私がびっくりしたのが、ごく最近ですが、一般の医療機関が 27 4 1 日から重心、超重心、準超重心の診療報酬が 90 日以上ずっと経過して入院している方々は、 0 点になるということです。それで療育機関、私どものような施設はそこから除外している施設なのです。診療報酬の点数の表を見て初めてみんな知ったのですが、一般医療機関で長期入所されている方が全部追い出しにかかるでしょうとみんな言っているのです。それは結構大変なことで、どうされるかみんな在宅になど無理だしと言っていて、かなりの数になるのではないかなと思って、喫緊の危機感をみんな医療機関は思っています。ちょっと診療報酬の話です。

○大塚座長 その制度はちょっと私も存じてないですけれども、そうなるとこちらの事業としても、急いでいろいろなものを整備する必要が。

○米山委員 レスパイトについていうと 90 日までですから、退院しました、また入院しましたというと、実際には黙認されている医療のベッドを使ったレスパイトというのは成立しているので、それはすごく使える診療報酬の点数なのですね。ただ、今の長期に実際に入っていて、その方々が結構よくあるのは、実は親御さんたちは特重の手当てとか全部頂いているものですから、それかつ年齢が低い方は無料なわけです。そうすると親御さんたちはそれで生活している人たちが、それこそ経済ネグレクトな、経済的虐待などというような話になるような人たちが、実は社会的養護で入所している一般病院に入っている方が今は結構います。だから帰れない。ですので、この福祉の制度で在宅を支援することについて言えば、今のレスパイトでそういう診療報酬が入る部分と、いくらかの点数も付くのでいいと思うのですが、ほかに医療のほうからは診療報酬として、レスパイトとは言えないですけれど、そういう方々の診療報酬をちゃんと付けてくださいと、毎回言ってはいると思うのですがね、そこは大事な点だなと思います。

○大塚座長 ほかにはいかがでしょうか。協議の場としての自立支援協議会であるとか、今日の話も出ていましたけれど、自立支援協議会の中に部会等でいろいろとつくっていったらいいかということも含めて、重心に特化したというのはどれぐらい進んでいるのですか。

○福岡委員 私ども長野県の場合ですと、各地域に自立これがある中には主に「子ども部会」というような名前で、発達障害・重心の 2 大テーマで、その部会活動が数多く開催されて、地域の保健福祉医療は、 PS レベルの方や MSW の方ですけれど、集まっている会はありますね。それが全県で常時やっているかということがまた課題で、長野県ですと、全県では療育部会というので、 6 回ぐらいですけれども、全県の重心協議会をやっているメンバーが集まって、全県の課題を話し合う。そこに大きく子ども病院さんがかんでくれているというのが、私ども長野の風景です。これがあるがゆえに、例えば相談支援専門員は子ども病院のほうに定期的にいろいろ勉強に行くことができるとか。あと各県域の重心協議会に子ども病院から支援室の方たちが来てくれるとかというようになってきていて、そこに地域の拠点病院の、よく何々総合病院とか、何々市民病院という所の、いわゆる地域連携の窓口の方たちがかんでくれるようになると、相当具体的に A さん、 B さん、 C さんの支援を考えるときにやりやすくなっていくと。私は今回のコーディネーターの皆さんには、各地域の協議会がちゃんとそれをテーマに話し合ってくれているかということをしっかりと後方支援してもらいながら、全県としてちゃんとそれができているかという場を設けてほしいということです。

○大塚座長 確かに、その 1 事業所でやるということではあるかもしれませんけれども、それは全県の課題なので、その共有によって敷衍化できていくということだと思います。自立支援協議会は、市町村にしろ、都道府県にしろ、重心の方のモデル事業をつくるためにどのように活用していくかですね。どのようにうまく使えば自分たちが考える重心の方の地域生活が可能になるのかと。むしろそこに入っていくということも含めて、関係者と協力し合いながら活用していくことになると、 1 歩でも 2 歩でも進んでいくのかなという思いはあります。

○田村委員 福岡さんがおっしゃっている長野のモデルは、子ども病院の中の在宅支援室に、 NICU 出身のそれこそ主任をやっていたような方が入っていますし、それから長野県ではさっきの米山先生のお話にありましたけれども、保健師さんがそういうハイリスクの子どもを全部把握していて、だからそういう方と相談支援専門員やソーシャルワーカーの方たちが非常に連携している、私はいいモデルだと思うのですね。ただ、それは県がやはりそういうところに力を入れてやるという、今は全国でも子ども病院のある施設というのはまだ本当に圧倒的に少ないので、そういうことは確かにモデルにはなると思うのですが、長野県でできているから、じゃあ、ほかの所でも全部できるのかというと、そういうわけではないので、そのためには、長野県のそういう行政を解してではあるけれど保健師さんや NICU の看護師さんと、ソーシャルワーカーの方がコーディネーター役をやっているというのは、私は 1 つのモデルになると思うのですが、これが行政だからできるというところもあるので、それを民間の団体でもできるような形にするためには、今の保健制度を含めてかなり、てこ入れをしていただかないと、本当にボランティア的な活動としてしかできないことがあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○大塚座長 時間的には段々追い詰まったのですが。発達障害の分野は発達障害者支援センターというのが都道府県指定政令市にありますけれど、それをてことして、今は市町村レベルにおける単独で児童発達センターとか、発達支援センターとかという立ち上げが非常に続いていて、それはいいことかと思いますけれども、 2 つの課題であるもう 1 つ、重心の方についての、重症心身障害児者支援センターという構想はいかがでしょうか、ということなんですが、リアリティありますか、どうですか。コーディネーターも含めて。

○福岡委員 正に今回はそれですね。数の多さ、少なさではなくて、重症心身障害の子どもさんというのは、 1 1 人が、発達障害ももちろんそうですけれども、数は多くなくても、 1 1 人が濃密な支援チームをつくらないといけないわけですよね。どこでもいいとか、どこの病院でもいいとか、どこの児童発達センターでもいいという問題ではないので。そうなるとやはり地域地域の格差とか、凸凹ということをちゃんと整えていってくれるような、発達障害支援センターに伍するような各広域範囲を俯瞰してくれるセンターというのが欲しいですね。

 最終的に、私はこうなればいいと思うのです。医療的ケアに必要な A ちゃんという子どもさんがいるときに、その子どもさんのサービスと利用計画の中に、医療レスパイトや医療型ショートでどこどこ病院とつながっているとか。あるいは、そうでない短期入所のときはどこどこを連携している人もつながっているとか。訪問看護ステーションはここがもっているとか。日中の、例えば通う所はこうなっているとか、そういった所が 3 か月に 1 回とか 2 か月に 1 回とか、定期的にモニタリングできるような仕組が全ての子どもさんや本人にできればいいんですよ。そのときに、経管栄養の落ち方の秒速から、その置かれている温度設定から、あるいは吸引するときの喉のどの辺まで入るのかも全部みんなが分かっているようなチームさえできてくれればいいのですが、それをやるためには、全県レベルの重症心身障害者何々センターになるのですか、やはり今は必要だと思いますけどね。

○大塚座長 はい、ありがとうございます。最後になりましたが、御意見があれば、よろしいですか。それでは、第 2 部の意見交換会はそろそろ時間ということで、終わりにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 今後の予定について、事務局から御説明をお願いします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 本日はお忙しいところ熱心に御議論いただき、また貴重な御意見いただきまして、誠にありがとうございました。本日の意見交換会でいただきました意見につきましては、事務局で取りまとめさせていただきたいと思っております。次回、また意見交換会を設けさせていただきたいと思っているのですが、これは今日議論していただいたことを踏まえ、今後の重症心身障害児者の地域支援体制の在り方について、また御意見いただければと思っております。

 次回の検討会の日程については、別途御連絡を調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大塚座長 それでは、これで検討会を終了といたしたいと思います。委員の皆様と団体の皆様もありがとうございました。モデル事業を一生懸命にやっていただいて、いい成果を出していただきたいと思います。これで第 1 回重症心身障害児者の地域生活モデル事業分科会を終わります。どうも御苦労様でした。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

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