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2014年9月1日 第12回肝炎治療戦略会議 議事録

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成26年9月1日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎5号館) 共用第8会議室(19階


○出席者

岡上 武 (大阪府済生会吹田病院総長)
熊田 博光 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院長)
坪内 博仁 (鹿児島市立病院長)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
道永 麻里 (日本医師会常任理事)
脇田 隆字 (国立感染症研究所ウイルス第二部長)
泉 並木 (武蔵野赤十字病院副院長)

○議題

(1)ウイルス性肝疾患に対する新規治療法について
(2)その他

○議事

○事務局(大座) それでは、定刻でございますので、ただいまより、第12回「肝炎治療戦略会議」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、現時点で7名の委員に御参集いただいており、会議の定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 会議の開催に当たりまして、新村健康局長から御挨拶を申し上げます。

○新村健康局長 7月に健康局長に就任しました新村と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、お忙しい中、第12回「肝炎治療戦略会議」に御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。

本日は、議事にもありますように、ウイルス性肝疾患に対する新規治療法について御検討をお願いしたいと考えております。

新たに薬事承認されたダクラタスビルとアスナプレビルにつきましては、8月27日に開催されました中央社会保険医療協議会において薬価の審議が行われ、9月2日、明日ですが、薬価収載されるということが決定されたところでございます。

この治療法はC型肝炎に対する本邦初の経口薬のみによる治療でございまして、従来のインターフェロン治療ができない方への福音ともなる画期的な治療法であると伺っております。一方で、耐性変異の問題など新たな課題もあると聞いております。

本日の会議では、医療費助成制度においてこの新薬をどのように取り扱うべきか、委員の先生方から忌憚のない御議論を頂戴したいと考えております。

以上、簡単ですけれども、会議開催に当たっての挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。

○事務局(大座) カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○事務局(大座) それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第

配付資料一覧

座席表

 資料1 ウイルス性肝疾患に対する新規治療法に関する検討について

 資料2 C型慢性肝炎に対するインターフェロンを用いない経口抗ウイルス治療(泉委員発表スライド)

 資料3 C型慢性肝疾患に対するダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法の有効性、安全性等について

 参考資料1 肝炎治療戦略会議開催要領

 参考資料2 肝炎治療特別促進事業におけるテノゼット錠の取扱いについて

 配付資料は以上でございますが、不足等はございませんでしょうか。

何かございましたら事務局へお申し出いただきたいと存じます。

 また、ここからの議事の進行は林座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林座長 林でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。本日の議事は「ウイルス性肝疾患に対する新規治療法について」でございます。また、後ほど、「その他」、何かございましたら御指摘いただければと思っております。

 まず、(1)の「ウイルス性肝疾患に対する新規治療法について」でございますが、先日、C型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変に対する治療薬であるダクラタスビル、アスナプレビルの薬価について審議が行われました。これに関して、本日の検討事項について、事務局より資料1の説明をよろしくお願いいたします。

○鈴木肝炎対策室長 そうしましたら、資料1について説明させていただきます。

<背景>につきましては、先ほど来御説明させていただきましたとおり、あした、9月2日にダクラタスビルとアスナプレビルの薬価収載がなされようとしております。C型肝炎、慢性肝炎、またはC型代償性肝硬変に対するダクラタスビル及びアスナプレビルの併用療法が保険適用となるため、医療費助成制度において、どのように扱うか、きょうの会議で検討していただきます。

<検討事項>といたしましては、下に書いてありますとおり、医療費助成制度の対象とすべきかどうか、これがまず一番最初でございます。それに伴い、対象とすることになれば、条件設定、患者の条件、診断書作成時の条件、治療期間延長に係る取り扱い、治療回数、こういったことを検討していく必要があるのではないかと考えております。

以上でございます。

○林座長 ということでございますが、よろしゅうございますか。

どうぞよろしくお願いしたいと思います。

では、次に、C型慢性肝炎に対するダクラタスビル及びアスナプレビル併用治療の有効性、安全性について、国内の治験データにつきまして、泉先生のほうから御説明、どうぞよろしくお願いいたします。

○泉委員 では、よろしくお願いいたします。国内でインターフェロンが使えない患者さんに対して経口薬で治療できるようになったというすばらしい成績でございます。

PP

これまで、C型肝炎治療というのは、インターフェロン注射を用いて治療するということが主体に行われていたわけでありますが、今後内服でウイルスを直接抑えてしまうという新薬が今後続々出てきます。プロテアーゼ、ポリメラーゼ、NS5A阻害薬の3種類が開発されています。

この作用機序の違いを簡単に御説明させていただきたいと思いますが、インターフェロン治療は非特異的治療ということになります。注射をいたしますと、体の抗ウイルス蛋白を誘導したり免疫を誘導することによって、いわば非特異的にウイルスを排除するというものであります。ただ、このウイルスの誘導のされ方が、非常に効きやすい方と効きにくい方がいるということで、IL28Bという遺伝子のスニップ、遺伝子多型がインターフェロンの効果に非常に関係するということがわかってきています。

ただ、一旦抗ウイルス蛋白を誘導される、あるいは免疫を誘導されると、ウイルス排除するところでは非特異的に作用するということになります。C型肝炎ウイルスには、しかし、ウイルスが増殖するときに必要な蛋白の酵素、プロテアーゼとかポリメラーゼ、そしてNS5A、こういった蛋白があるわけですが、こういった酵素、あるいは蛋白を直接飲み薬で作用を抑えてしまおうという特異的な薬剤が出てきのであります。

現在は、このインターフェロンと内服で併用で治療しているわけですが、こういった飲み薬は体の遺伝子には全く作用が異なることはないので、どんな患者さんでも効くということであります。

ただ問題は、ウイルス側に薬剤耐性変異というのがあった場合に飲み薬は効かないという、今まで余り言わなかった問題が出てきていると。特にインターフェロンなしで治療する場合には大きな問題になるということであります。現在はインターフェロンと飲み薬の併用で効率よく治療していくということで、薬剤耐性変異は現時点では、インターフェロンをやっている限りは問題になっていないということであります。

PP

C型肝炎ウイルスは肝臓の細胞の中に感染して増殖いたします。このときに必要な蛋白があって、NS3、これはプロテアーゼが存在します。それから、NS5Bはポリメラーゼが存在する酵素であります。そして、ウイルスの二量体を形成するときに重要な蛋白でありますNS5Aという蛋白質があるわけですが、このプロセスを経て効率よくC型肝炎ウイルスが血中に出ていくというシステムがつくられているわけであります。

PP

今回の使用できるようになった薬剤は、このプロテアーゼでありますNS3を阻害する薬剤、これがアスナプレビルなわけですが、そして、NS5Aのウイルスの二量体を形成する蛋白をブロックする飲み薬、NS5A阻害剤、この2つを併用してウイルスの増殖をブロックするという薬剤であります。そうすると効率よくウイルスがブロックされて、ウイルスが肝臓の細胞から排除されていくという薬剤でございます。

PP

 このプロテアーゼの阻害薬、アスナプレビルと、NS5A阻害薬、ダクラタスビル、この2剤の飲み薬を飲むということで治療が行われて、我が国で国内第2相試験が報告されております。

配付資料の参考文献7番でございますが、我が国で、1b型の患者さんだけを対象にしています。そして、ウイルス量多い患者さんで、インターフェロンが全く無効であった患者さん21人が対象になって、経口薬2剤、24週間内服する。そして、こちらのインターフェロン、無効例でのウイルスが排除されて治った患者さんは91%という率になっています。また、インターフェロンが不耐容、あるいは不適格、うつ症状とか貧血があってできなかった患者さん22人が対象になって、ウイルスが排除されて治った患者さんが64%だったということなので、第2相試験で、インターフェロンなしでも非常に高い効果が証明されたというものであります。

PP

 ところが、この経口2剤でインターフェロン不耐容、不適用の患者さんで、ウイルスの量が縦軸にとったものでありますが、どちらかの薬剤は効くので、一旦ウイルスが検出感度以下になるのですけれども、内服を続けていくと再びウイルスがふえてくるという患者さんが見られるということであります。また、内服終了したらすぐウイルスがふえるという患者さんがいらっしゃって、内服薬で不耐容、効かなくなってしまう、耐性変異という問題が新たにクローズアップされたということであります。

PP

 この耐性変化がさまざま検討されましていろんなことがわかってまいりました。VBTと書いてあるのはviral break through、耐性変異が出たという意味であります。1番の患者さんは2剤内服で治らなくて、結局、このNS5Aの阻害剤に対する耐性変異が終わった後に出てしまっています。これだけでなくて、NS3のプロテアーゼ阻害剤に対する耐性変異も出てしまったということで、2つの薬剤に耐性になったという患者さんであります。

もうちょっとよく調べていくと、治療前からY93NS5Aの阻害剤の耐性があった、31番というところに耐性変異があったという患者さんでありまして、こちらの薬が効かない耐性を持っている方で経口2剤で治療したら、NS5A阻害薬に対する耐性も出たのと、プラス、プロテアーゼの耐性も出てしまったということになります。

2番の患者さんも同じでありまして、Y93、治療前に耐性がありますと、経口2剤で治療すると、このNS5A阻害剤だけでなくて、プロテアーゼの耐性も出たということになります。

3番も同じで、治療前から耐性がある人が経口2剤治療すると両剤耐性になったということであります。

4番も同じですが、5番と6番は治療前は耐性なしと判断されたのですが、治療がうまくいかなかったら両剤が耐性になってしまったということで、経口剤でありますので、耐性という新たな問題がクローズアップされたというものであります。

PP

参考資料の文献8番、Karino先生の論文に書かれているものでありますが、治療前にY93NS5Aに耐性があった患者さんが10人いらっしゃいました。5人は治っていますが、治らなかった方を見ていくと、Y93、耐性はそのまま残って、プラス31番というところに耐性が出ています。そしてさらに、プロテアーゼの阻害剤の耐性168番というところも耐性が出て、多剤耐性になってしまったという症例が証明されているということになります。

もう一つ問題は、治療前、耐性なしと判断されて、結局うまくいかなかった患者さん、両剤耐性になってしまった2例が報告されています。

この93番単独ですと、比較的弱い耐性で30倍以下の耐性になるのですが、31番と93番両方に耐性になると1,000倍ぐらいの強い耐性になるということがわかっています。プラス、プロテアーゼ耐性になって、2つの薬が効かなくなってしまったということであります。

経過を見て1年後に検討していくと、168番は15%しか残存しない。85%消えるということですけれども、NS5A31番、93番というのは85%が残っているということになりますので、NS5A耐性というのは治療後にも残るという点で今後要注意ということになろうかと思います。

PP

このNS5Aといった蛋白の構造はよくわかってきておりまして、蛋白のC型肝炎ウイルスの二量体をつくるのに、関与するのではないかと言われております。これは横から見た、こちらは上から見たところです。すると、この活性中心のところに31番と93番の変異があるわけですが、ここが変異を起こすと、この蛋白が阻害剤耐性になるということがわかっているわけであります。

片一方の耐性ですと30倍以下の耐性ですが、両方に耐性が入ると1,000倍ぐらいになるということが添付文書に記載されておりまして、double mutationでは高度耐性であるということがわかっているわけであります。

PP

そこで、この薬剤、2種類の薬で治療するわけですけれども、31番と93番、非常に大きな耐性ということなので、この耐性があるとNS5A阻害薬が効く効果が非常に低くなるわけです。2つの薬で治療しますと、こちらは(NS3)効くとしても、2つの薬で治療する場合に、結局治らなかったら、NS5A阻害薬とプロテアーゼ阻害薬も薬剤耐性が起きてしまうという新たな問題がわかってきたので、要注意だということになります。

非常にいい薬でありますので、プロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤、耐性がない方にとっては非常に効果的な治療でありますが、今後、耐性変異という問題は非常に重要な課題になるだろうと思っているわけでございます。失敗してしまうと、こちらのプロテアーゼの阻害剤耐性になりますし、NS5Aの阻害剤も、31番、93番と高度耐性になるので、2つの薬は効かないということであります。

今後、続々開発試験行われていますが、NS5B、ポリメラーゼ阻害剤、これが残るわけでありますが、この2つとも耐性になってしまうと、後々、治療が非常に難しくなる可能性があるということが一つの大きな課題であろうと思っております。

PP

我が国の第3相試験が222人というたくさんの数が入って、これは熊田先生の論文であります、きょうの参考資料文献3番になっておりますが、我が国でインターフェロンの不耐容、不適格の患者さん135人が治療をお受けになって、87.4%の患者さんがウイルスが消えて治った。そして、インターフェロンが、全くウイルスが消えなかった、無効例、87人が治療をお受けになって、80.5%の方が治ったということでありまして、今までインターフェロンで治らなかった、あるいはできない患者さんにとって非常に大きな福音だということで、すばらしい治療成績だと思います。

PP

このインターフェロンが効きにくい遺伝子なのか効きやすい方なのか、治療効果は変わりませんし、男性と女性でも治療効果は変わりませんし、年齢は65歳未満の若い方と65歳以上の患者さんでも治療効果は変わりませんし、治療前のウイルスが少ない方と多い方でも治療効果は変わりませんし、肝硬変がなしの場合とありの場合でも、いずれも治療効果は変わらなかったというデータであります。

すなわち、治療効果の予測に関与するものは余りなかったというわけであります。

PP

ただ、大きく関与したのは薬剤耐性であります。31番という耐性変異を持っていらっしゃった患者さんは、4%の患者さんが31番に耐性があって、この患者さんたちの治癒率は33%で、全体の85%に比べてかなり低かった。そして、93番に耐性を持っている患者さんは14%いらっしゃって、この患者さんたちの治癒率は45%で、85%に比べればかなり低かったということがわかってきまして、内服薬だけで治療するときには、薬剤耐性変異というのは非常に大きな問題であるということがわかってきたわけであります。

PP

これは熊田先生の論文から引用したものでありますが、インターフェロンが不適格、不耐容の患者さん135人を見ていくと、93番の耐性変異がない患者さんは95.3%の治癒率ですが、耐性変異ある方は47.6%に下がっています。31番も、耐性変異がなければ88%ですが、耐性ある方は50%ということで、大きく下がっている。そして、インターフェロンが全く無効であった患者さんで見ていくと、93番、耐性なしが85.7%治っていますが、93番、耐性があると33%に下がっていますし、それから、31番は耐性変異がない患者さん、85%治っているのに対して、31番、治療前に耐性があると16.7%に下がっているということで、この薬剤耐性変異によって治療効果が大きく違うということがわかってきたということが厳然たる事実でございます。

PP

そういたしますと、このプロテアーゼの阻害剤とNS5Aの阻害剤と、ポリメラーゼの阻害剤がいろいろ開発試験行われているわけでありますが、今回はこの2つで治療いたしますが、こちらに効かないという場合に多剤耐性になってしまうとリスクがあります。つまり、NS5A阻害薬の耐性変異がある患者さんに治療してしまうと、このプロテアーゼ阻害剤も効かなくなって、2つの薬が効かない、多剤耐性になってしまう可能性があるということで、ここは注意して治療すべきだろうと考えられるわけであります。

このNS5B、ポリメラーゼ阻害剤は今開発がたくさん行われているという薬剤でございます。

PP

もう一つ大きなことがわかってきたのは、日本で行われたダクラタスビル、アスナプレビルで治らなかった患者さんでインターフェロンができない患者さんと、nonresponderで治療がうまくいかなかった場合に、失敗した後の変異が調べられています。そうすると、NS5A31番、93番に加えて、Q54というところまで変異があって、これが出てくると非常に強い耐性になるということがわかってきて、しかも、このQ54がある場合には増殖力も強い、1.8倍ぐらい強いということもわかってきましたので、こういう多重耐性が出てしまうと、非常に強い耐性だけでなくて、増殖力も強くなるということがわかってきました。

そして、nonresponderの患者さんでも、3193と、これで1,000倍強いのですけれども、プラス54番まで変異があるという患者さんが出てきて、極めて強い耐性を獲得してしまうということなので、もともとある耐性に比べて、やはり治らなかった場合に出てくる耐性というのは非常に強い耐性なのだということが今後注意すべき点だろうと考えられます。

PP

C型肝炎ウイルスの遺伝子構造を並べておりますが、このNS3にセリンプロテアーゼがあります。ここを阻害する薬剤として、現在、テラプレビル、シメプレビルが使われていますが、この薬剤耐性がわかっておりまして、80番、155番、156番、168番というところが耐性でございます。特にヨーロッパ、アメリカではQ80番、ジェノタイプ1a型が多いわけでありますが、このQ80番に耐性変異があるとシメプレビルは非常に効きにくいので、シメプレビルは使わないようにということが、アメリカのFDAから勧告が出ております。

また、ヨーロッパ肝臓学会、そしてアメリカ肝臓学会では、Q80番に耐性変異があったらシメプレビルは使わないようにという勧告を出しておりまして、科学的なエビデンスに基づいて多剤耐性をつくらないようにという勧告を出しているというわけでございます。

NS5A阻害剤に対しては、31番と93番、これが治療前に存在していると非常に効果が落ちるということがわかっておりまして、添付文書にも記載されているということでございます。

そして、ポリメラーゼの阻害剤282番というところは耐性ということが言われておりますので、どの薬剤で治療するかは、薬剤耐性変異というのをきちんと見て、そして治療薬剤を選択するということが、今後、多剤耐性つくらないために重要な課題だろうと考えられます。

PP

そこで、日本肝臓学会もC型慢性肝炎のガイドラインを更新しようということで委員会が開かれまして、日本肝臓学会のガイドライン、恐らく今週か来週公表されると思いますが、今回の治療方針は、高発がん、中発がんリスクの患者さん、低発がんリスクそれぞれの患者さんで発がんリスクを分けるというポイントでございます。インターフェロンができる適格の患者さんはできるだけインターフェロンで治療しましょうということで、全てのところでSMV/Peg-IFN/RBVが第一選択ということになっております。インターフェロンが不適格、できない患者さんについては、高発がんリスクの患者さんはDCV/ASV、中発がん、低発がんのところはDCV/ASVですが、治療待機ということも選択肢に入れております。低発がんのところは治療待機が上に来ております。

この注釈のところで、Y93L31を測定して、変異があれば治療待機を考慮する、すなわち、治療待機があるので、発がんリスク並びに変異に対して、DCV/ASVの著効率と多剤耐性のリスクを十分に勘案して方針を検討するということで、これが日本肝臓学会のC型肝炎のガイドラインとして、今週か来週公表されるということになっております。

したがいまして、適応症としまして、やはりインターフェロンのできる患者さんはできるだけインターフェロンで、耐性変異のリスクが少ない治療をきちんとやりましょうと決められています。できない患者さんに対して、こういう経口薬を用いた非常にいい治療が出てきたということでガイドラインは改定されたものでございます。

PP

それから、もう一つ十分注意すべきことは、治療中に肝機能が結構上がるという患者さんが多いということであります。ALTの肝機能の数字を示したものでありますが、上昇する時期としましては、2週、4週と早期に上昇する症例もありますけれども、結構、24週の治療中、どこの時点でもALTが上昇するということで、グレード3の上昇が非常に多いということであります。最高上がった患者さんは700までALTが上昇しているということでありますので、こういう有害事象の管理が重要で、もともと肝臓悪い患者さんでありますので、やはりウイルス肝炎の治療に十分に知識と経験を持った医師が十分な副作用のマネジメントをしながら治療するということが重要であろうと考えております。

PP

以上まとめますと、インターフェロンの無効例と不耐容、不適応例では、プロテアーゼ阻害剤とNS5A阻害剤の経口薬24週間の治療で、87.4%、80.5%の高いウイルス排除率が得られています。

ただ、治療不成功例では、プロテアーゼ阻害剤とNS5A阻害剤、両剤の薬剤耐性が見られていたということで、治療前からNS5A阻害剤の耐性変異を有していた場合に、ウイルス消失率が低下したのみならず、多剤耐性になったということでございます。ここは非常に留意すべき点だろうと思います。

また、治療中のGrade3の高度の肝機能異常が見られたため、十分な注意を要するということで、やはりウイルス肝炎に十分に経験のある医師がきちんとマネジメントして治療することが必要なのだろうと考えております。

以上でございます。

○林座長 泉先生、どうもありがとうございました。

それでは、今のプレゼンテーションに御質問、御意見がございましたらどうぞ。

委員の多くの先生、おわかりのことかもわかりませんが、よろしゅうございますか。

それでは、質問ございませんでしたら、次に、事務局のほうから資料3の御説明をお願いしたいと思います。これがきょうの本題でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木肝炎対策推進室長 そうしましたら、資料3について説明させていただきます。

先ほど来御説明ありましたとおり、インターフェロンの治療、できない方、それから治療無効な方、こういう方が多数存在して、治療法が求められているような状況でございます。その中で、2番目の有効性、対象性というところでございますが、セログループ1(ジェノタイプ1)のC型肝炎、またはC型代償性肝硬変で、インターフェロン治療不適格の未治療、または不耐容の患者及びインターフェロンを含む治療法無効となった患者に対しまして、この2剤につきましては高い治療効果が出ております。

ちょっとここで一番下を見ていただきたいのですが、黒い四角で囲っております。今、不適格、不耐容、無効という言葉を使いましたが、この言葉、きょういろいろと検討する上で、スタート地点として大切だと思います。一応このドラッグインフォメーションにおきましてこのような形になっておりましたので、きょうの議論はここからスタートしていただければと考えております。

それから、有効性、対象性について、最後の○でございますが、添付文書においては、「ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識と経験を持つ医師が臨床成績の内容を熟知した上で、投与の可否を判断すること」と警告がされているところでございます。

1枚めくってください。安全性についてございますが、この2剤の副作用の頻度、これは比較的低いという報告がされております。ただ、先ほどのプレゼンテーションでありましたが、重篤なものを含む肝機能障害が比較的高頻度に発生しているということでございます。ただし、投与の中止によって軽快するものが多いものの、慎重な観察が必要であるとなっております。

以上を踏まえまして対応方針でございますが、まず1つ目でございますが、医療費助成の対象ということを前提として考えていただきたいと考えております。それから、対象患者につきましては、HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎、またはChild-Pugh分類AのC型代償性肝硬変で肝がんの合併のない者とすること。それから、申請、助成に当たりましては、日本肝臓学会肝臓専門医が「肝炎治療受給者証の交付申請に係る診断書」を作成する。また、地方の実情などにおきまして、都道府県が適当と認める医師が作成するということを考えていただいたほうがいいのかと考えています。

それから、助成対象となります期間は、治療期間は24週として、助成期間の延長は行わないという形を考えております。

それから、最後でございますが、この治療が終わった後でございますが、以後のインターフェロンを含む治療については、助成の対象としないというポイントを書かせていただいております。

以上の前提で検討していただければと考えています。よろしくお願いいたします。

○林座長 どうもありがとうございました。

きょう御審議いただきたいのはこの資料3でございますが、まず初めに、この2剤について医療助成費対象とするかどうかをまず決めさせていただきまして、しないというのでしたら余り議論する必要がなくなってしまいますので、この2剤を医療費助成の対象にさせていただいてもよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○林座長 では、それを前提に話を進めさせていただきたいと思います。

14ページのほうに「はじめに」と、有効性、安全性について、事務局のほうで、後に書いてございます参考文献の(1)から(9)をもとにおまとめいただきました。一番下の不適格のところは別にいたしまして、それまでで、先生方ごらんいただきまして何か問題、あるいはここはこう訂正したほうがという意見がございましたら、まずお聞かせいただければと思います。

よろしゅうございますか。

またお気づきの点がございましたら、終わりまでに御指摘いただければと思います。それをもとに、少し下のところに添付文書の文章と、それから不適格、不耐容、無効、これは実際医療費助成を認めさせていただきますと、恐らく各都道府県府県からいろいろ質問が来る事項でございますが、四角の丸で囲んでおりますのは、製薬メーカー側が薬の使用の説明書に書かせていただいている文章を入れてございます。添付文書にもともと記載あるのと少し違うところもございますけれども、この文章でよろしゅうございますか。先ほど肝臓学会のガイドラインの文章と、少し違っている部分がございます。

どうぞ、泉先生。

○泉委員 恐らく各都道府県から一番質問多いのは、高齢などの理由でということを書いてありますので、この高齢というのは一体何歳を指すのだという質問が来るのではないかと思うのです。

○林座長 来るでしょうね。何歳をもって高齢か、非常に難しい問題なので、何か御意見ございますか。これは、決めるのは至難の技だと思いますけれども、事務局のほうに問い合わせ、確実に来ると思います。委員の先生方、御意見いかがですか。これは文章で何歳と書くのはなかなか難しいと私も思います。

どうぞ。

○熊田座長代理 ただ言えるのは、治験ではフェーズ2が70歳以上、フェーズ3が65歳以上でやっていますから、治験はこれでやったぐらいは書いてもいいかもしれません。

○林座長 治験でやられた人の最高齢者は何歳ですか。

○熊田座長代理 75歳です。

○林座長 75歳まではやったことがあると。

○熊田座長代理 はい。その高齢者の定義として決めたのが、そのときは、フェーズ2は70歳以上の高齢者としたのです。フェーズ3は65歳以上で治験やっていますから、治験を実際にやったときの高齢者は、そういう年代でやったぐらいの記載は書いても、ちゃんと申請資料に書いてありますから、書いてもそこまで。

○林座長 ただ、それは出ている文書に記載されていますね。

○熊田座長代理 はい。それ以上はなかなか書けないかなと。

○林座長 これは、申しわけないですけれども、事務局の判断でお答え頂くことにしたいと思います。恐らく文章上で何歳以上というのを今この場で決めさせていただくのはやはり厳しいと思います。そのときのいろんな状況で、その高齢の年齢は当然変わってくると思います。何か問題が起こってくれば、当然のことながら、年齢の規定が変わってまいりますし、今ここで文章上何歳と書くのは厳しいと思いますので、そこはそういうことを含んで事務局のほうからお答えいただくということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

○岡上委員 逆に、比較的若くて、インターフェロンは副作用で恐ろしいから内服治療をやってほしいという人の判定に困るのではないか。例えば60歳ぐらいで、体力がないなどの理由で新しい内服薬での治療を希望されるときに。

○林座長 そのときは、先ほど熊田先生が言った臨床治験上何歳以上を対象にしていましたということについては、恐らく事務局は使って答えることはできるだろうと思います。ただ、原則上、最初の診断書については肝臓の専門医に限定しようと今のところ思っていますので、それほど非常識な話にはならないような気はしております。全然知識のない方に申請していただきますと、今のようなことが起こってくる可能性も非常に大きいのではないかなあと思っております。

それ以外、よろしゅうございますか。

○岡上委員 これをぱっと見て、貧血が2つあるので。

○林座長 これは間違いですね。貧血、消しておきます。

それでは、ここまで一応OKだということで、次のページに入ります。安全性のところに3つ文章を書かせていただいております。オフィシャルな文章としてこの文章は出ますので、何かお気づき、間違い等ございましたら御指摘いただければと思います。

よろしいでしょうか。

そうしたら、4番目、「対応方針(案)」と書かせていただいております。1番目は、先ほど申し上げましたように、C型慢性肝炎とC型代償性の肝硬変に対する2剤の医療費助成を対象とするということで、先ほど御承認をいただきました。

2番目が、「対象患者はHCV-RNA陽性のC型慢性肝炎またはChild-Pugh分類AのC型代償性肝硬変で、肝がんの合併のない者とする」ということで、よろしゅうございますか。

ここで肝がんの合併ないというのは、以前、肝がんで治療終わったらいいのかというのも当然かかわってきますが、現在明らかに認める肝がんがなければいいと御理解いただければいいのではないかと思います。よろしゅうございますか。

○泉委員 先生、遺伝子型1型とかいう言葉を書かなくてよろしいでしょうか。

○林座長 そうですね。ほかの薬剤にそこのところ、書いてありましたかね。

どうぞ。

○久永肝炎医療専門官 今のプロテアーゼ3剤とかもジェノタイプ、セログループは記載しておりません。これは保険適用上もそもそも決まっているという内容ですので、医療費助成で特段決めるものでないと。

○林座長 保険適用が認められないと医療費助成の対象にならない、自動的に1型になるということで書いていないということだそうでございますが、よろしゅうございますか。

3番目が「ダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法に対する助成の申請に当たっては、原則として日本肝臓学会肝臓専門医が『肝炎治療受給者証の交付申請に係る診断書』を作成する。ただし、自治体の実情に応じて、各都道府県が適当と定める医師が作成してもよいこととする」ということで、ちょっと回りくどい文章ですが、医療費助成制度が各都道府県でかなり制度上は異なっていまして、医療費助成の半分、自治体のほうが支払いますのでこういう文章にさせていただいておりますが、基本的に、できたら肝臓学会の肝臓専門医が申請をしていただきたいという内容でございますが、いかがでしょうか。

ちなみに、肝臓学会の今週アップロードされるガイドライン上は、肝臓専門医が治療していただきたいという文章をかなり表面に打ち出して書いております。

各都道府県で少し変わってまいりますので、都道府県によっては、肝臓専門医以外の専門医にも認めている県がございますし、それを今回認める県が出てくるかもわかりません。

どうぞ。

○熊田座長代理 前回のテラプレビルのときに肝臓学会の専門医だけにしたのですけれども、今の国の制度もそうですけれども、消化器病学会というのがあって、それから分かれるという感じになっていますから、消化器病学会は入れていかないとちょっとまずいのではないかなという気がするのです。消化器病学会も前回からは肝臓学会だけにするというのは困るという、理事長名でたしか抗議があったことも事実で、こちらのほうの副作用が少ないのに、どうしてテラプレビルのときはこうでという話にならないかと思うのです。

○林座長 いかがでしょうか。

○坪内委員 確かに、肝臓学会専門医だけ規定するかというのは一つの問題です。座長の林先生が言われたように、現状は都道府県によって違っていますね。専門医が多いところは肝臓学会なり消化器病学会の専門医で問題ないと思いますが、地方だと専門医が少なく、地域の実情に応じてということになっています。各都道府県で実際には医療費助成を行っているので、地方では消化器病学会を加えても加えなくてもいい状況ではないかと思います。

○林座長 泉先生、どうぞ。

○泉委員 これは、原則は肝臓学会専門医なのですけれども、ここに「自治体の実情に応じて、各都道府県が適当と認める医師が作成してもよい」というのは、多くの県が今、講習会開いて、受講証を発行して、きちっと受講したという証明を持った専門医から医療費助成を申請するということをやっていらっしゃる県が多いので、ちゃんと受講してほしい、勉強してほしいということを念頭に置いたものだと思いますので、この文章でかなり救済できているのではないかなと思います。

○林座長 結局、実際問題、この文章にしても、恐らく都道府県の実態によって各都道府県が決めるということは優先いたします。だから、都道府県で決めればできるということで、ただ、肝臓学会で肝臓専門医用を大きく書かせていただいたのは、先ほどもお話が出た薬剤耐性、かなり難しい問題で、私も時々講演させていただきますけれども、消化器病学会の専門医はまず理解していないのが実情ではないかなあと思いますので、これはやはり肝臓学会独自として決めさせていただいていいことではないかなあと、私は個人的には思っております。

そういうこともあって、今回、肝臓学会についてはかなり大きく最初のところに書かせていただくということをしておりますので、別にその都道府県で消化器病学会専門医を認めるとお決めいただければもちろんできることでございますので、このままの文章でもよろしいのではないかなあという気はしております。それ以外の制度をとっているところもありますので、「原則」と書かせていただいておりまして、都道府県の事情でかなりそこの事情は変わっていくのではないかなあという気はしております。よろしゅうございますか。

いろんな薬剤が出てまいりますので、最初に大きな問題を起こしますと後々まで尾を引いてしまうということも当然起こってまいります。特にインターフェロンフリーは、今回初めてでございますので、慎重にやらせていただくほうが基本的にはいいのではないかなあという気はしております。よろしゅうございますか。

では、次でございますが、「助成対象となる治療期間は24週とし、副作用による休薬等、本人に帰責性のない事由による治療休止期間がある場合でも、助成期間の延長は行わない」ということでございます。途中で薬をとめてしまうと耐性の問題が起こってしまうので、実際問題、後でまた延長しても意味がございませんし、今のところ、24週以上のデータもございませんので、適当なのではないかなあと思います。

5番目が、「ダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法の適応が、インターフェロンを含む治療法に不適格/不耐容/無効である患者であることから、ダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法を受けた者については、以後のインターフェロンを含む治療については、助成の対象としない」。これは今までのと文章違っておりますが、原則、インターフェロンが使えない患者さんに今回使うということなので、逆に、それ以後については使う必要がないだろうということでこの記載が入っております。いかがでしょうか。

ただ、これはあとまたいろんな薬剤の承認が起こるとここの文章は当然変わってきますし、ナイーブ例が承認されたら変わってくるかもわかりません。ナイーブ例って何月ごろなのですかね。

○熊田座長代理 多分、3月ぐらいだと思います。

○林座長 それが承認されれば、当然この文章は変わってくるかもわかりませんが、いかがでしょうか。

一応この「対応方針(案)」を各都道府県に回させていただいて、それぞれの都道府県で医療費助成の詳細をお決めいただくということになりますが、よろしゅうございますか。

○熊田座長代理 ちょっとよろしいですか。

○林座長 どうぞ。

○熊田座長代理 さっきの消化器病学会は、例えば青森県とか島根県で肝臓学会の専門医って何人いるかというと、青森県が2人、それから島根が3人ですね。その人たちにみんな全部という話にはやはりなかなか難しいと思いますから、消化器専門医までは広げておいたほうがいいと思いますよ。

○林座長 実際問題、肝臓学会しかできないと、熊田先生おっしゃるとおりと私も思うのですけれども、これは原則上、各都道府県の事情に合わせて、別に消化器病学会の人に広げられるという文章ですので。

○熊田座長代理 前回と同じことが起こっていることを、やはり余り規制をどんどんかけていくというのは趣旨には反すると思いますけれどもね。

○林座長 ただ、審議過程の文章が出ているのですが、その中でも実は肝臓専門医云々という言葉、記載されているので、恐らく事務局のほうもこの案をつくられたと思うのですが、いかがですか、事務局。ここの、肝臓専門医限定に文章をつくられた経緯を少し、事務局のお考えをお聞かせいただけるとありがたいのですが。

○久永肝炎医療専門官 先生おっしゃるとおり、審査報告書でやはり、この治験のデータ等把握した十分な知識を有する医師にということがまず添付文書の中でも記載されているのと、あと、やはりその前提となるのは肝臓専門医ということになるであろうと。あと、肝臓学会様のほうでも、そのように学会のほうと専門医がやるべきだという御提言もあるというさまざまな御意見を踏まえまして、このように考えさせていただいた次第であります。

○熊田座長代理 ただ、そうなると、消化器専門医は肝臓学会専門医がないと肝臓を扱ってないということになるのですね。消化器というのは、肝臓、胆嚢、膵臓、胃、大腸、みんな含んでいる学会ですから、やはりおかしいと思いますよ。

○林座長 消化器専門医が肝臓を診れないということではなくて、この治療法に限定したことですので、それはあり得ることだと思います。

○泉委員 これは各都道府県できちんと勉強会をやって、この薬剤、やはり耐性の問題があるし、ALT上がるとかいうことがあるので、ちゃんと勉強して、受講証を発行していただいて、各都道府県で、きちんとこの薬剤についてよく勉強したと、ウイルス肝炎、十分知識、経験があるということを認めていただいて、そして受講していただいたら認定かけるということで、この文章どおりで縛りになっているのかなあと思います。

でないと、恐らく経口薬で世界で初めて承認になっている薬剤ですので、欧米では薬剤耐性があると使用しないようにというFDAの勧告もあるので、我が国においても、世界からの批判を受けないように適切にやっていくことが必要なのではないかと考えますが。

○林座長 どうぞ。

○坪内委員 今日出席の委員の先生方では私だけが地方ですので発言させていただきます。基本的に鹿児島ではかかりつけ医が申請できるようなシステムになってます。肝臓専門医は鹿児島県全体で五十数名しかいませんし、その先生たちはほとんど都市部にいます。地方で患者さんが治療を受けられるようにするため、肝疾患診療連携拠点病院が中心になって、肝炎の診療システムを作っています。そういう治療をする可能性のある先生たちは全員登録して、囲い込んで研修会をしています。むしろ、肝臓専門医に限らず申請できるようになっています。

もう一つの問題は、申請だけでなく、審査の問題もあります。すなわち、審査会がきちんと機能しているかどうかも非常に重要で、申請を厳しくするか、そこを緩やかにして、審査会の方できちんとその助成の申請書を評価して認定するかということです。地方では、どちらかというと後者のシステムの方が患者さんのためにはより現実的な対応ではないかと思います。多分、地方では、今私が申しましたようなシステムをとっていることが多いのではないかと思います。

○林座長 私がおります兵庫県も、消化器病の専門医、今、全部出せるのです。ただ、実際、都道府県のいろんな事情があるので、我々もそこまで立ち入ることはできませんし、それはそれぞれの都道府県の実情に合わせてお決めいただければいいということで、「原則」というのを書かせていただいています。

ただ、私が言うのも何ですが、肝臓学会でも、肝炎を専門にしていないドクターで、この薬剤対策問題、十分理解しているかというと必ずしもそうでもないのが実情でございますので、そこは、初めての治療薬剤ということもあって、最初はこの程度の文章を書かせていただくほうがいいのではないかと私は個人的には思っております。

○熊田座長代理 テラプレビルは薬剤全数調査で入って、しかも全部登録でやりましたね。でも、シメプレビルのときは何もなくて、何で、今回経口剤になったらシメプレビルと同じ条件にしないのかというのが私には理解ができない。

○林座長 それはやはり薬剤耐性の問題と、先ほどのALTの上昇は要注意だからだと思います。

○熊田座長代理 ただ、ALTは、泉先生出されたのは、10例起こったと言うけれども、80%治っているということが言われてないですね。あれは8割治っているのですね。実際に添付文書というか、報告書もそうですから、10例起こったと。だけれども、8割というのは、全体で85%治って、ALPが上昇したグレード3も8割治っているのです。

○林座長 ただ、治療薬剤を中止して高齢で治った例があるので、早く上昇に気がつけばいいですけれども、気がつかなければもっと上がっている可能性も当然のことながらあるので、それについてはやはり要注意ではないかなあと私は個人的に思っていますけれども。

○坪内委員 多くの地域で、消化器専門医が申請できないという状況ではないと思いますので、当面これで始めて、副作用や薬剤耐性のことも、もう少ししたら明確になる可能性もありますので、そういう段階でまた検討して、広げることを検討すればいいのではないかと思いますがいかがでしょう。

○林座長 次の薬剤が出てきて、このガイドラインも大幅に変わってまいります。だから、恐らく1~2年以内にガイドライン等も大幅に変わってしまうだろうと我々も予想しておりますので、そういうときに十分考慮させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、これで一応。あと、字句等、もう一度事務局でごらんいただいて、問題等がございましたら、また事務局のほうで訂正させていただくかもわかりませんけれども、御了承賜ればと思っております。

それでは、出席の委員の先生方から何か、これ以外について御意見等ございましたら承りますが、いかがでしょうか。

それでは、最後に事務局のほうから、これ以外に何か御報告等ございますか。

○鈴木肝炎対策推進室長 そうしましたら、最後の20ページのところに参考資料2というのがついておりますが、本年5月23日付で薬価収載保険適用となったテノゼットにつきまして、従来の認定基準に合致しておりまして、特段、要綱の変更なかったことから、既にB型慢性疾患に対する核酸アナログ製剤治療として助成対象に含まれて運用されているという状況でございますので、御報告させていただきます。

以上でございます。

○林座長 ありがとうございました。本日の議事はこれだけでございますが、それ以外によろしゅうございますか。

事務局から、次回の開催等について何かございますか。

○久永肝炎医療専門官 先生方、先ほどからおっしゃるとおり、さまざまな薬が今開発中であったり申請中であったりしますので、その申請状況等踏まえまして、また会議の開催については御相談させていただくということで、お忙しいところ、まことに申しわけありませんが、そのようにさせていただければと思います。

○林座長 ほか、ございませんでしたら、これでこの会を終わらせていただきますが、よろしゅうございますか。

それでは、どうもありがとうございました。


(了)
<本件に関する問い合わせ先>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

新川智之: 代表電話: 03-5253-1111(内線2948 )

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