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2014年8月27日 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第4回) 議事録
健康局疾病対策課
○日時
平成26年8月27日(水)16:00~18:00
○場所
労働委員会会館講堂(7階)
○議事
○前田疾病対策課長補佐 ただいまから平成26年度第4回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会を開催します。
委員の皆様には、お忙しい中お集りいただきまして誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況について報告します、委員の先生方は全員お揃いです。なお、本日、健康局長、疾病対策課長は公務の都合で大変申し訳ありませんが欠席をさせていただきます。それでは、カメラ撮影についてはここまでとさせていただきたいと思います。
では、以降の進行については千葉委員長にお願いをします。
○千葉委員長 それでは、まず資料の確認をお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 事務局から資料の確認をさせていただきます。まず、次第の後ろに委員の先生方のメンバー表、配席図、資料1が指定難病に係る検討結果についてです。資料2-1で、指定難病の要件についてです。資料2-2は同じような資料の体裁ですが、(見え消し修正)と書いてあり、これは2-1の見え消しを御用意をしています。資料3は、指定難病とすべき疾病(検討結果)、資料4は指定難病とすべき疾病の支給認定に係る基準です。
資料5として、指定難病とすべき疾病の支給認定に係る基準という形で大部の資料が二分冊あり、これで診断基準の個票全体を御用意をしています。本日傍聴の皆様には、印刷の都合と大部ということで御用意をしていませんが、ホームページ上に至急アップをさせていただきますので、そちらを御参考いただければと思います。
続いて参考資料1は第2回、第3回の委員会での指摘事項への対応について、参考資料2は今後のスケジュール(案)です。不足等ありましたら事務局までお申し付けください。以上です。
○千葉委員長 本日は、平成27年1月から医療費助成を開始をする第一次実施分です。それの指定難病案の取りまとめです。今まで3回議論を重ねてきました。今まで出た意見、問題点等とその後も厚労省、私たちの間でも少し議論をしまして、それをブラッシュアップした形で今日もう一度議論いただき、取りまとめに向けて進んでいきたいということです。活発な御議論をいただきたいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 それでは、事務局から資料説明をします。まず、資料1と資料2-1、2-2を用いて説明をします。資料1はこれまで全体4回御議論をいただき、指定難病に係る検討を御議論をいただいたので、そちらのまとめという形でを作成させていただいています。日付けとして8月○○日という形にさせていただいていますが、こちらの文言に特に修正がなければこのような形でまとめさせていただき、今後当然疾病対策部会やそのような場での御報告は、できればこの形でまとめさせていただき、そのような部会に用いたりということを考えています。
1.はじめにについては、指定難病検討委員会の位置付けについて簡単に御紹介をし、以下のほうにまとめました。
2.指定難病に係る検討の進め方は、この指定難病の検討ということを考えると、他の施策体系が確立されていない疾病を検討の対象にしていただくこと。コンテンツとしては、第一次実施分についてどのような形で議論を進めていただくかを第1回で御議論をいただきました。その流れに沿って文書として御用意をさせていただいているものです。
第一次実施分については、平成27年1月から開始をするということで、これまでの特定疾患治療研究事業の対象疾患がまずターゲットになるということ、それと同時に検討をすることが可能な疾病及び小児慢性特定疾病として新たに追加されることを議論をいただいている疾病のうち、指定に係る要件を満たすと判断するための資料が十分整っているものを対象として御議論をいただいたものです。
指定に係る要件等に関する学術的な整理や情報収集が不十分な疾病など、現時点で検討に時間を要する疾病については、第二次実施分の指定難病に係る検討に向けてまずデータの収集等を行っています。本年秋以降にまたこの委員会を開催して御議論をいただきます。
3.指定難病に係る要件です。指定難病に係る要件については、法で規定をしていますが、その仔細については第1回で御議論をいただきましたので、本日修正した版を御覧いただき改めて御確認をいただきたいと思います。
裏面、上段です。これらの考え方に基づいて御議論をいただき、その議論に当たっては、難治性疾患克服研究事業の研究班の意見をいただきまとめましたので、そちらの経緯について御説明をさせていただいているものです。
続いて、資料2-2に関して説明します。資料2-2です。難病の定義は特に議論がありましたので修正はありません。2ページ目の「指定難病の要件について1」の所で、第1回の際には「どうか」という形にしていましたが、御議論をいただき「整理をする」と文言にさせていただき、上の原因が不明という所は、不明、病態が未解明という所が「かつ」か「または」でどちらなのかが分かりにくいということがあり「または」という形の文言に変更をしました。
5については、二次性のものについて説明をしています。これは合併症そのものを除いてしまうのかなど、少し分かりにくいとの御指摘がありました。原疾患が別にあって、それに引き起こされるものが明らかである二次性のものというのは原疾患に基づいて御議論をいただくという形でまとめました。
3ページです。こちらについても「どうか」という所を「対象とする」と修正しました。この際に寛解状態、治療により良くなった場合にどうするかという御議論がありました。これは重症度分類に反映をさせるという形で御議論をまとめていただきましたので、重症分類の含みの所で修正文を考えています。
4ページです。「以下のように整理してはどうか」というところを、「整理する」という形に直しました。これは長期の療養を必要とするという言葉についても個別疾患により、長期の療養の捉え方が違うのではないかという御意見を頂きましたので、こちらは疾患の変動というところもあり、重症度分類の考え方に反映させたいと思っています。
5ページです。「患者数が本邦において一定の人数に達しないこと」ということですが、こちらについては御議論はありませんでしたので、特にどうかという問いかけをするという形にさせていただいたものです。
6ページです。「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっていること」で、こちらは血液等の検体検査の位置付けや医学的所見とその検査結果が、さも検査結果がより客観的という表現に見えるという御指摘をいただきました。これは並列をした形で読めるように文言を修正をしました。
2は元々一定の基準というものについて、基本的には学会のコンセンサスがあるものです。それと言うと限りがあるということで専門家の間で一定の共通認識があるものは幅広に御議論をいただくという議論をいただきましたので、その旨修正をさせていただきました。
7ページから認定基準、診断基準と重症度分類の考え方に入つています。2つ目の○で、正しく検討をいただいているときに学会の意見なり、最新のものをなるべく入れたらどうかという御議論をいただいたものです。一度決めてしまったらどうするのかという御議論もあったかと思います。当然、今の委員会として検討時点において適切と考えられ基準を御議論をいただきますが、医学の進歩で新しい基準などの整理が可能なものについては、また改めてこのような場を開催をさせていだき、必要に応じて見直しをさせていただくと書かせてきました。
最終ページです。これは「認定基準についての考え方2」で重症度分類の考え方です。こちらについては1段目の「日常生活又は社会生活に支障がある者」という考え方について、「疾病の特性に応じて」考え方が違う形、当然個別で御議論をいただくわけですが、そのようなことが改めて分かりやすいという形にさせていただいているものです。
2ポツ目は、これは寛解という形で継続的な治療で症状の改善が期待できる場合にどうするのかということで、元々難病そのものについての定義で考えるのか、重症度かというところで重症度で捉えていただくという形でしたので、こちらに書かせていただいています。
一番最終行に、疾患ごとに作成する重症度分類で診断基準を満たして、それをそのまま重症度分類にするというのは、今回御議論の中で家族性コレステロール血症のホモ接合体のみ、そのような形を用いさせていただきました。例示として、そちらのほうを追記しています。まず全体論として説明を申し上げました。以上です。
○千葉委員長 資料1、資料2-1で2-2、2-2が訂正をした所が分かるように書いていただいています。これは総論の部分になると思います。今まで御議論をいただいた内容について検討をした結果、我々でコンセンサスが得られた所を、訂正あるいは追加なりしていただき、このような形で出していただいているということです。
既に御議論をしてきたことですがいかがでしょうか。大体議論をしてきたところは網羅されていると思います。訂正も加えられていると思います。例えば7ページの2つ目の所で説明をいただきましたが、今回決めた認定基準については医学の進歩に合わせて、必要に応じて適正に見直しを行うということをしっかりと明記していただきました。ということで、改善と言いますか、議論が反映されていると思います。何かこれについて、全体の御意見、追加等はありますか。大体ディスカッションをされてきたことは入っていると思います。よろしいですか。
多分、これは総論で個別のことについては先ほどもお話がありましたが、またこの後の各論の部分で出てくると思います。最終的にはそれも併せて御議論をいただくことになると思います。それでは、続いての資料の説明をお願いしたいと思います。
○前田疾病対策課長補佐 続いて、各論部分について御確認、御議論いただきたいと思います。資料1、資料3、資料4、参考資料1、参考資料2を御用意ください。
資料1で全体の流れに戻っていただきます。4の指定難病とすべき疾病の案及び支給認定に係る基準の案ですが、こちらについては、第2回、第3回で113の疾病について御検討いただきました。
その中で1疾病、これはスモンですが、特定の薬剤により発症することが明確であるということ。当該薬剤の使用が禁止されている現状においては、新規患者が生ずる蓋然性がほぼないということ。私のほうから特定疾患治療研究事業に引き続きという形の対応があるという旨を申し上げて、御確認いただいたものです。2疾病については、長期の急性期疾患で「長期の療養を必要とする」という要件に合致しないのではないかという御判断を頂いたものです。そういう形で、113疾病から3疾病を引いた110疾病については、医療費助成の第一次実施分として御議論いただき、本日、指定難病とすべき疾患でお認めいただければと思っております。
もう1点、この指定難病検討委員会の要件としては、病名を決めていただくことと、診断基準と重症度分類を決めていただく作業があります。重症度分類に係る、指定難病の患者の病状の程度というところも御議論いただきましたが、これは個々の指定難病の特性に応じて、日常生活又は社会生活に支障があると医学的に判断される程度を目安とさせていただいて、個別の重症度分類に御議論いただきましたので、記載させていただいたものです。
今後の進め方ですが、今、平成27年1月の実施分を御議論いただいておりますが、来年夏に向けて、第二次実施分という形で改めて同様の作業をお願いしたいと思っており、今後も継続的に委員会を開催させていただきたいと思っております。その際は、先ほど御議論いただいた資料2の考え方に加えて、改めてそれをもう一度見ていただくこともありますし、ほかの施策体系との整合性等々についても必要に応じて御議論いただく予定です。最終的に、また、指定難病の指定や、支給認定に係る要件についても御意見をいただきたいと考えております。
その際、指定難病の疾病の案や重症度分類診断基準については、やはり研究班の御助言なり、まとめたものは活用させていただきますので、引き続き難治性疾患克服研究事業等の研究班の先生方にお願いをするということ。検討時点において適切と考えられる内容を設定いただきますが、いずれも医学の進歩に合わせて必要に応じて適宜見直しを行っていただく。当然、第二次の議論、それ以降の議論にも通ずることですが、そういう形で今後も先生方に御議論をお願いしたいということです。
資料3です。これが、今回、指定難病とすべき疾病をまとめたものです。球脊髄性筋萎縮症から始まり、全体が4ページです。最終ページの113番、ブラウ症候群まであります。これは第2回、第3回の際に御議論いただいた番号をそのままにしていますが、この113まで御議論いただいて、110疾病について指定難病とすべき疾病として御議論いただいたものです。スモンと難治性肝炎のうち劇症肝炎、重症急性膵炎の3疾病については、指定難病の要件を満たさないということで除いており、110疾病を指定難病とすべき疾病としてお認めいただければと思っております。
次に参考資料1と資料4を併せて説明します。まず、参考資料1ですが、委員会での指摘事項と、第2回、第3回で個別の疾病を御議論いただいている際に、先生方から御指摘をいただき、その場で結論の出たもの、あるいは宿題という形で事務局でお預りしたものがありますので、それを、指摘事項への対応(案)という形でまとめております。
総論で薬剤が関与していることが明確な疾病の取扱いについて、特にPMDAで副作用被害救済制度の対象となっているものについては、難病として取り扱うべきかという御議論がありました。これは後ほど個別の対応を御紹介しますが、基本的には医薬品副作用被害救済制度の対象となる場合は、薬剤の副作用が原因であることが明らかですので、指定難病の対象外となるように、認定基準、具体的には診断基準に書かせていただきたいと思っております。
重症度分類について、最新の知見を極力入れる形で、原案よりもより適切なものがあれば積極的に入れる形で御議論がありました。本日までに改めて研究班の先生方から意見を頂いたり、あるいは、その間、先生から頂いた御意見等をまとめて、積極的に反映させていただいたものです。これは後ほど御確認いただきたいと思います。意見の集約が不十分なものについては、今後、当然、学会や研究班等で引き続き研究をお願いしていますので、その検討状況に応じて適宜見直しをお願いしたいと思っております。
続いて、臓器領域毎の重症度分類等です。個別疾病に入る前に臓器別を御議論いただきましたが、NYHAの御議論のときに、より客観的な評価を行えるように少し指標を足してはどうかという御議論がありました。それを踏まえて、学会・研究班にお願いして、参考とすべき所見を追記して、客観性が高くなるような形にしたものです。これも後ほど御確認いただければと思います。
網膜色素変性症の重症度分類は、眼科の評価という形で御紹介しましたが、「視野障害あり」だけだと判断が難しいのではないかという御指摘を頂きました。それを踏まえて、「視野障害あり」とする定義を学会に御相談して案を頂きましたので、そちらを認定基準として反映する形にさせていただきたいと思っております。
Barthel Indexについて、より適切な評価を行うために、少しモディファイできないかという御意見も頂きましたが、これは主に神経難病で広く使わせていただきたいと思っておりますが、学会の中で様々な意見があるという御意見を頂いていますので、現時点で原案通りとさせていただいて、引き続き御議論いただくということです。これは、今回の第一次実施分のまとまりとしては原案通り、Barthel Indexという形で用いさせていただこうと思っております。これは引き続き、そういう話が出てきた段階で、節目、節目で改めて御披露させていただきます。
続いて、個別疾患の検討の中で出てきた御意見です。クロウ・深瀬症候群は第2回で御議論いただきましたが、その際に、これはクロウ・深瀬症候群そのものがM蛋白を産生する、腫瘍性疾患を起因とするものなので、これを疾患の対象とするのは整理が悪いのではないかという御意見を頂いたものです。改めて確認をさせていただくと、悪性腫瘍からこういう形の症状が出るものと、そういう形が必ずしもはっきりしないものに分かれているという御意見を頂いたので、この多発性骨髄腫などから明らかに二次性に生じているものについては対象としないという診断基準で記載させていただいてはどうかと考えております。
具体的には資料4、1ページは第2回に御議論いただいたクロウ・深瀬症候群の書き方です。3ページの診断基準の中で、見え消しで追記という形で書いておりますが、「ただし、多発性骨髄症の診断基準に合致するもの」は、二次性であるということで対象としないと記載してはどうかというものです。
参考資料1に戻ります。同じく議論の中で、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、原発性側索硬化症については、神経変性疾患として、同じ重症度分類を用いることがより適切ではないかという御議論を頂き、改めて研究班のほうに御議論いただきましたが、完全にまとめることは、この1月の中ではなかなか難しいということでしたので、現時点では個別で御紹介した案という形にさせていただければと思っております当然、引き続き研究課題にして頂きたいと考えております。
同じ対応ですが、進行性核上性麻痺とパーキンソン病、大脳皮質基底核変性症自体は、パーキソニズムを来す疾患ですので、同じ重症度分類にできないかという御意見がありました。それについても、現時点ではこういう形にさせていただいて、引き続き研究班の取りまとめを活用させていただきたいと思います。
次のページの多系統萎縮症及び脊髄小脳変性症については、調整が可能であれば診断基準をより適切なものにしてはどうかという御議論を頂きましたが、こちらについては新しい案という形で出ましたので、本日御紹介させていただきます。具体的には5ページから多系統萎縮症という形でまとめています。本来見え消しにすべきだったのですが、かなり筆を入れていただきましたので、改めて新鮮な目で見ていただければと思います。
7ページに診断基準があります。これはもともと、第2回で多系統萎縮症を御紹介した際には、それぞれの疾患の疾患概念ぽい書き方で3つ書いてあった、オリーブ橋小脳萎縮症と線条体黒質変性症とシャイ・ドレーガーとの3つを概要的に書いてあったのですが、それを改めて御整理いただいて、診断確度の分類という形で、それぞれPossible、Probable、Definiteと捉えられるものと3つに分類いただき、はっきりしているもの、ProbableとDefiniteの2つの群を対象にするという形で、改めて整理いただいたものです。重症度分類については、特に修正はありません。
10ページに、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)という形で改めてまとめておりますが、こちらについても、13ページの診断基準は見直していただいているものです。見え消しになっていないので、改めて御覧いただければと思います。骨格としては、前回にお示しした際には、1~6までしかなくて、その主要項目をどういう形で診断として取り扱うかということがはっきり記載されていなかったのですが、それについて、DefiniteとProbable、Possibleという形が、それぞれどういう状態を指すかということを改めて整理していただいて、DefiniteとProbableの2つについて対象としてはどうかという御意見を頂いたものです。重症度分類については変更はありません。
続いて、資料4の23ページからの神経線維腫症です。こちらの重症度分類のところで御議論がありました。具体的には28ページです。もともと事務局の案として御提示したのは、ステージ4以上という整理をさせていただいたのですが、日常生活、社会生活の支障の程度として、ちょうどラインがステージ2と3の間のほうがよいのではないかという御議論いただいたものです。ただ、この神経線維腫症については、皮膚病変のD3のところで「多数の神経線維腫が存在する」というところの「多数」とは何ぞやということで、はっきり分からないという御意見も併せてあったと思いますので、これは改めて御意見を頂いて、これは1センチメートルぐらいの大きさのものが、全身で大体1000個という形がD3としてふさわしいのではないかと。ただし、1000個全部カウントすることはなかなか現実的ではないので、例えば、体の一部分で、体表面積から数を計算して、その数から全体数を評価すれば、より客観的なものができるのではないかという御意見を頂いたので、そういう目安を付けさせていただいた上で、ステージ2と3の間の重症度分類としてはどうかという御提案です。
30ページは、神経線維腫症の2型です。こちらについては、「右聴力損失」や「右聴力低下」という書き方で御紹介したのですが、こういう形の記載が今はもう余り使われていないのではないかという御意見を頂き、聴力レベルという形で改めさせていただいたものです。
続いて、表皮水疱症です。こちらについては、接合部型と栄養障害型の2つについて対象としていたものがあり、単純型について重症度をどうやって評価するのか分かりづらいという御指摘がありました。35ページに修正案という形で記載しておりますが、こういう項目の組合せで中等度以上ということ、4点以上となるものについては対象としてはどうかという形です。こちらで、接合部型、栄養障害型も含めて、全体の評価ができるという形で頂いたものですので、こちらを重症度分類としてはどうかという御提案です。
15ページです。スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性の表皮壊死症については、先ほど申し上げた薬剤との関係が明らかなものについてはどうするかという御議論を頂いたものです。具体的には17ページです。これは診断基準自体は変えておりませんが、医薬品の副作用被害救済制度において副作用によるものとされた場合は対象から除くという形で、診断基準の中で指定難病の範囲を示したものです。同じように、これは中毒性表皮壊死症のほうでも、21ページですが、診断基準の中で、「医薬品副作用被害救済制度において副作用とされた場合は除く」という記載をさせていただきました。
39ページから、高安動脈炎についての記載があります。43ページに重症度分類があります。事務局で1度と2度の間でいかがかと御提案しましたが、ほかの疾患との整理では2度と3度の間のほうがいいのではないかという御議論を頂き、今回、その線で改めて提案させていただいたものです。この結果への議論の中で、複数の病名を書いているケースなど、案ではありましたが、こちらについては統一的に1つという形に整理させていただき、複数書いてあるものは1つに整理させていただきました。
続いて、自己免疫性の溶血性貧血です。こちらについても、重症度分類のところで御議論がありました。49ページです。これはステージ2以上という形で、ヘモグロビン濃度に注目をしてという形で御提案しましたが、これは薬物療法を行っていないということで、対象とするよりも、むしろほかとの整合性を見れば、薬物療法を行っている状態でどうかと。ただ、薬物療法を行っている場合に、ヘモグロビンが10以上保たれているのは、さすがに支障の程度はどうかという御議論がありましたので、2と3の間にした上で、3の中でも薬物療法を行って、ヘモグロビン濃度が10以上の場合は対象とはしないという形で重症度分類に書かせていただきました。
続いて、原発性免疫不全症候群です。多数の病気について1つの病名にまとめていることがありますので、その中で取り上げられていないものもあるのではないかという御議論がありました。かつ、補体の欠損型のものについて、単に重症度の書き方だけでは分からないのではないかという御意見を頂きました。具体的には72ページになるのですが、先天性の補体欠損症という疾病があり、この疾病自体が定期的に補体を補充するというわけではなく、症状が出てきた場合にインヒビターを投入することによって治療するという形で、継続でということよりも、症状が出る度に節目、節目で入れるという形で、そういう療法がはっきりするものについてはきちんと入れてはどうかということです。74ページですが、重症の中で阻害薬等の代替治療薬の投与、補体の場合はそういう形でやられるということで、そちらが入るかどうか分かりにくいということでしたので、そちらの記載をさせていただいたものです。議論の中で反映できなかったものとしては、原発性免疫不全症候群と呼ばれているものの中の、不全症候群がそれほどはっきりしないものや、別の疾患概念でくくると対象がより広がるのではないかという御議論もありましたが、これは当然、それはその目でまた改めて見ていただいて、第二次以降、当然、御意見を頂いて、適宜追加していくということで、今回はそういう整理は改めてしておりませんが、議論の中で、また要件を満たせば追加をする、しない、という御判断を頂きたいと考えております。
続いて、特発性大腿骨頭壊死症です。77ページの診断基準で、これはステロイドによるものが明らかなものをどうするのだという話でした。これは、先ほどと同じく、「医薬品副作用被害救済制度において副作用によるものとされたものは除く」と記載させていただきました。
81ページの先天性の副腎皮質酵素欠損症です。こちらについても同じく重症度分類のところで御議論があり、具体的には92ページです。ここは「日常生活が障害されており」というところは表現としてよく分からないということと、ほかの疾患の補充的な治療が必要なものについては、定期的に補充している場合は対象とするというところがあったので、そういったものをきちんと書いたほうが分かりやすいのではないかという御意見を頂きました。定期的なホルモンの補充という観点で、ステロイドを投与されている方については対象とすると整理をさせていただきました。その上に、先天性副腎低形成症や、あるいは100ページから始まるアジソン病についても、同じ対応とさせていただきました。
104ページから始まる、非典型性溶血性尿毒症候群です。こちらについては、atypicalという観点では幅広の疾患が入るように見えるのですが、具体的に106ページで、見え消しになっていなくて恐縮なのですが、このatypicalのうちに、今回対象とするものは、補体制御異常があって、補体の補充などの対応が必要なものは、特に指定難病の候補として挙げさせていただいたことがありますので、そちらに絞った形で指定難病の候補とするということで、診断基準の1行目に、病因分離における「(1)補体制御異常によるもののうち」という記載をさせていただきました。その議論がありましたので見直しをさせていただいたということです。ほかに少しだけなのですが、109ページの重症度分類のところで「溶血性貧血」とだけ書いてあって、具体的に幾つ以下かという記載がなかったので、血小板減少と溶血性貧血については追記をさせていただきました。
続いて、反映できていないもので御意見のあったところです。参考資料1の2ページです。チャージ症候群については、聴力障害、視力障害についての評価が必要ではないかという御議論を頂いたのですが、チャージ症候群の中の聴力障害のみ目立つケースや、視力障害のみ目立つケースについてどういった形で取り扱うかということは、引き続き、研究班や学会で議論が必要ということです。今回は、そういう単独症状のものは対象としていないのですが、引き続き御議論いただいて、まとまり次第、改めて皆様に御披露して御議論いただきたいと思います。
対応できていないものの2つ目です。一番最後のブラウ症候群は議論の中で、もう少し客観的な重症度分類が作れないかという御意見がありました。これは患者数が極めて少ないということがあったので、原案よりもより客観的なものを宿題という形で、今後また研究班で、新しいものが出次第、御披露させていただきたいと思います。
資料4の111ページに戻ります。本日までに研究班から頂いた御意見については、積極的に対応させていただきたいと思っております。先天性筋無力症候群でいくと、113ページで、診断基準のほうに、これは先天性ということで2歳以下の発症は明らかであるということですので、そちらを診断基準に追記させていただきました。
115ページの多発性硬化症/視神経脊髄炎ですが、こちらについては、視神経のほうの重症度ということろで応用できないかということがありましたので、120ページに、同じ網膜色素変性症で用いた重症度分類を、こちらの重症度分類の中にも記載させていただきました。
121ページのもやもや病ですが、こちらについては、重症度についてBarthel Indexだけでは分かりにくい例もあるのではないかということで、小児例については、小児慢性特定疾病の制度と同じような形で、意識障害、運動障害等があるものについては対象とするという形。成人例については、Barthel Indexで85点以下か、成人例では、画像上の器質的変化があるという形で、高次脳機能低下等が見える方、手術適応がある方、これは具体的な適応もありますが、そちらを対象としてはどうか。更に、再発例にして対象としてはどうかという御意見を頂きました。126ページですが、重症度分類としてBarthel Indexのほかに、これは高次脳機能低下があると判断される方、手術適応、具体的には虚血発症例や出血発症例やSPECT等から判断される適応のある方、あるいは術後5年以内の方、あるいは再発された方を対象としてはどうかという御意見を頂いたものです。
128ページです。全身性アミロイドーシスです。こちらについてはクロウ・深瀬と同じような病態が考えられるのではないかということで、深瀬の議論を頂いているときにそういう御意見も頂き、130ページに診断基準がありますが、同じように二次性に生ずるものについては対象とならない旨、改めて記載させていただいたものです。
135ページの成人スチル病です。こちらについては137ページの重症度分類の「副腎皮質ホルモン不応性」というところが具体的に何を指すのかということで、より明確な数字を書かせていただきました。
138ページの特発性拡張型心筋症ですが、これは先ほどのNYHAの、より客観的な評価という話の中で修正いただいたものです。具体的には142ページです。重症度分類の原案ではNYHAだけ書いていたのですが、NYHAの2に加えて、不整脈と心不全、不整脈治療のための入院歴、BNPの値という形でNYHAの2を満たして、かつ、その3つのうちのいずれかを満たすもの以上を対象としてはどうかという御意見を頂いたものです。
また、143ページ以降に、NYHAの2で、大体目安となるのが、METsでどれぐらいかとか、あるいはpeakVO2 でどれぐらいかという目安を新しく追加させていただいて、144、145ページに、その目安の表を出させていただきました。
同様の対応を、146ページからの肥大型心筋症、若干項目が違うのですが、156ページの拘束型心筋症にも同じような形で対応させていただきました。
肺動脈性肺高血圧症についても、同じく、少しNYHAと投薬検査データとの関係の議論があったということも踏まえて、170ページ、重症度分類として、より分かりやすい形で肺動脈圧と心係数との関係、肺血管拡張薬の使用の有り・無しという形で、新規申請時には一定程度の値があって、肺血管の拡張薬の使用がある方を対象とすると。172ページに更新時の重症度分類がありますが、これは、使用する、しないに関わらず、やはり、使用しても症状が出る方について対象としてはどうかという形で学会から御提案いただいたものです。
同様の見直しは、肺動脈関係のもので同じ形で頂いており、174ページ、88番の肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症、あるいは183ページから始まる慢性血栓塞栓性肺高血圧症について同じような形で対応させていただきたいというものです。
リンパ脈管筋腫症が193ページからあります。こちらについては重症度分類が198ページにあります3の部分ですが、腎血管筋脂肪腫の扱いについて、大きさよりも、むしろ症状のほうが重要だという御意見がありましたので見直しをさせていただきました。
199ページからの網膜色素変性症ですが、202ページに重症度分類があります。視野狭窄ありというのが、中心の残像視野で見るということで、ゴールドマンの視標を用いて、1-4の明るさで20度以内が視野狭窄という形で認めやすいという御意見を頂きましたので、それを案文として出させていただいております。
203ページ、95番の原発性硬化性胆管炎です。当初、Child Pughで重症度分類を示していたのですが、207ページを見ていただくと、そういう症状のある方だけだと、相当経過が進んだ方だけが対象となってしまうという話を改めて頂き、そういう有症状のある方、あるいは血液データの中でALPが2倍以上になっていて、症状や検査データに変異が出ている方については対象としてはどうかということ。黄疸や皮膚掻痒は相当後ろになってから出てくるものですので、そういった範囲を対象としてはどうかという御意見を頂いたものです。
208ページは自己免疫性肝炎です。重症度分類が214ページにあります。これはガイドラインだけという形で御提案しましたが、肝硬変と診断される方については対象としてはどうかという御意見を頂いたので、そちらについて追記させていただきました。
215ページの好酸球性消化管疾患です。これについては、診断基準と重症度分類ですが、219ページの好酸球性の胃腸炎の診断指針で、2の胃の中の炎症細胞浸潤が存在している所と、腹水が存在して腹水中に多数の好酸球が存在しているという2つを同時に満たさなくても、一方でも診断は有効であるという御意見を頂きましたので、1と2又は1と3のいずれか以上を満たすものは対象とさせていただきたいという修正です。221ページに重症度分類がありますが、あとは回数と、それが1日なのか月なのか週なのかを分かりやすくするということで「1日幾つ」という形で見直していただきました。222ページも同じです。225ページでも同様の修正を行ったということと、EGIDの合併症の解除するための手術以外の重症度については、ほかに包括し得るということで、それのみ残したという形の修正をさせていただきました。
資料構成ですが、本日、会議の資料として御提案したものは資料4ですが、最終的に、いわゆる成果物とさせていただくのは、当然、110疾病全てですので、私が申し上げた修正点と事務局の不手際で誤字、脱字があったものについて直させていただいて、資料5という形で最終的に溶け込みという形でまとめさせていただきました。事務局からは以上です。
○千葉委員長 最後に説明がありましたように、資料4については基本的に訂正を加えたものを示していただいております。その訂正されたものが、私どもの所にある資料です。ただ、そこにも若干ミスプリもあるかもしれませんので、その部分についてはあとで訂正を加えていただきます。したがって、今説明いただいたのは各論ですが、その中でも参考資料1-1総論に臓器領域毎の重症度分類等は、全体に係る事項であり、そこについて御議論いただいた点について対応案を示していただきました。(3)以降の個別疾患については、このようにそれぞれの疾患で議論があった所について、対応をしていただきました。最後は、それに加えて班等からも改めて御意見を頂いたりもしておりますので、それを加味して、必ずしもここで議論にならなかった部分についても改善、改変を加えていただいた所について説明いただきました。
これは、既に議論をしてきましたが、ちょっとした積み残しの部分もあります。ですから、前回から今回まで、必ずしも十分な期間があったわけではなく、中にはまだこれから数か月かけて検討したほうがいいとか、各研究班に問合せをかけていただきましたが、研究班でももう少し検討の余地があるというようなお返事を頂いたりもしているようで、そこについては余りここで性急に全て決めてしまうのも問題かと思います。そういったところは、今後の検討課題として幾つか残していただいております。
全体を通じていかがでしょうか。
○宮坂委員 今見ていて気がついたのですが、72ページの原発性免疫不全症候群の中で、先ほど補体の説明を頂いたのはいいのですが、下3分の1に好酸球増多症が入っているのですね。これは、好酸球増多症は原発性の免疫不全症とはちょっと違うと思います。しかも、下を見ていくと、Hyper-eosinophilic syndrome(HES)の病態が書かれていて、ここだけ何かすごくおかしいのですが、何かの間違いではないですか。
○岩佐疾病対策課長補佐 この点については、他の原発性免疫不全症候群と合わせて、WHOの分類の中でこのような形で位置付けられており、我々としては研究者の先生方から御意見を頂戴して、ここに整理しております。
○宮坂委員 しかし、好酸球増多症の多くは別に子どものときから起きているわけではなく、HESと呼ばれるような病態は大人になって起きる病態ですよね。しかも、多くの場合は遺伝子異常は見つかっていませんが、もちろん見つかっているものもあります。ですから、後天性のものがたくさん入ってくるはずなので、ここに入れることが適切かどうか、私よりも直江先生のほうがいいと思います。
○直江委員 私も気がつきませんでしたが、確かにこれは7の中での説明としても、コピペでここが残ったのではないですかね。
○宮坂委員 好酸球増多症の頭の数字が何もないのですよ。
○直江委員 印刷でいうと、どんな位置付けでこれが入っているかはよく分かりません。
○前田疾病対策課長補佐 一応、頂いた整理でいきますと、52ページから診断基準が始まっており、WHOの分類で(1)からまとめております。好酸球の増加症自体は54ページに最終的に出てまいります。8という位置付けになり、診断基準の形で個別具体的な話で出てきている構成になっております。
○千葉委員長 いかがでしょうか。恐らく、これはWHOの免疫不全の分類で、ここに挙げてきていただいていますよね。それから、この間もお聞きしましたが、免疫不全の研究班があるのですね。
○宮坂委員 ありますね。
○千葉委員長 そちらからも、これでということで一応来ているのですか。
○岩佐疾病対策課長補佐 はい。これは、資料の51ページを見ていただきますと、原発性免疫不全症候群に関する調査研究班ということで、もともと情報を頂いた際は九州大学の原先生が研究代表者をされていた研究班で、現在は変わりまして、防衛医大の野々山先生が研究代表者をされている班です。
○宮坂委員 72ページは、先天性補体欠損症が7ですから、ここが8だというのだとすると、先ほども申し上げたように我々が臨床で見る好酸球増多症はステロイドで良くなってしまうのは幾らでもあります。ですから、確かに最近は遺伝子異常が分かってきて好酸球増加が起きるのがあるのはいいのですが、ここはもっと広い範囲のものを捉えているような気がするのですが、そうではないのですか。
○直江委員 先生のおっしゃるとおりで、最近ではそれこそPDGFRの転座で、例えばイマチニブが非常によく効くと。これも、またWHO分類になるのですが、血液腫瘍の中に位置付けられていますので、この辺りは班ともう一度御相談されたほうが私はいいような感じがします。ここにいらっしゃる大部分の内科系の先生は、私もそうですが、確かにここはものすごく違和感を感じられると思いますので、お願いします。
○千葉委員長 私もそのように思います。同じ所で、先天性補体欠損症について、この間錦織先生から御意見がありましたが、補体欠損症と遺伝性血管性浮腫というのは、2番目はむしろC1インヒビターの欠損であり、1は補体の欠損であり、ある意味では逆なのですよ。補体欠損と、補体のインヒビターの欠損。2番目は、恐らく繰り返しになりますが、免疫不全の要素はほとんどなく、結局は御指摘があったように、亡くなられる方はいわゆる気道狭窄で亡くなられるわけで、むしろそちらのほうが重症度には該当することもあります。WHOの分類に入っているということなのですが、C1インヒビター欠損がどうして免疫不全なのかは、非常に違和感がありますので、もう少しここはブラッシュアップをしたほうがいいように思います。
○前田疾病対策課長補佐 参考資料2で、一応今後のスケジュール(案)を書いております。本日御議論を頂いたあとに、特に病名についてお認めいただけましたら、パブリックコメントをさせていただき、そのあとに改めて委員会を開催したいと思っております。本日の時点で、改めて好酸球増加症を委員の先生方としてどう取り扱うかを決めていただき、至急研究班に確認し、最終的に取りまとめにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○千葉委員長 特に7と次の好酸球性増多症と、前から議論になっています補体欠損の特にC1インヒビターを中心に、もう一度御専門の先生に振っていただいて議論した上で、このあとお話があると思いますが、そのほかの方々の御意見もいただきたいと思います。そういう意味では、今日の結論はこの部分だけは延ばすということでよろしいですか。
○錦織委員 私は、原発性免疫不全症の矛盾が多いのではないかというのは前から申し上げており、HAEも気が付いてはいたのですが、血球系の異常ということで、WHOの分類を。とにかく、何か1つ入っていれば全部入れているのですが、そのような議論を見直すということで言えば、例えば60ページのブルーム症候群や、59ページのNijmegen breakage症候群なども、免疫不全は伴うのですが、それよりも後発がん性の放射能の感受性の亢進などもあり、何か分類の仕方が少しでも免疫不全が入っていれば全て入れると。しかも、C1qや先ほどおっしゃったようなHAE、HES、好酸球性増多症などは、ほとんど免疫不全が出ないようなものも入れていますし、以前はネザートンなどもそうでしたし、事務局の方には申し上げた好中球の異常の所でも、これがなぜこういうことになったのかを考えますと、例えばHermansky-Pudlak症候群やグリセリ症候群が入っているのですが、それはHermansky-Pudlakとグリセリの二型だけは確かに好中球現象があり、免疫不全が起こるのですね。それは、9種類あるうちの1種類だけが起こると。ですから、WHOの中では原発性の免疫不全が起こり得るものを全部含めてきていると思うのです。そうすると、1つの遺伝子の異常で特定できるものは、確かに起こるかもしれないけれども、必ずしもここに挙げられた全ての疾患はそうではないということになりますので、何か検討していただくのなら、ちょっとドラスティックにどのように分類するのかという構築のところをWHOに従うのか、そうではなくて発生機序や臨床症状などをメインにするのかも御議論いただいた上でやっていただかないと、何か散発的に気が付いたものだけをピックアップしていると、また矛盾が出てくると思います。
私たちは、たまたま自分の強いところは、例えばHermansky-Pudlakやグリセリですと、白皮症を呈するというところは共通の所見で、その中で例えば血小板が減少するのもありますし、好中球の減少、パンサイトペニアが起こるのもあるのですが、分類の仕方を少し御検討いただいたほうがいいかと思います。しかし、とりあえず今回原発免疫性不全が出るものを全部くくられてとお聞きしていたので、その中で少しこちらが申し上げたHAEやネザートンに関しては、阻害剤の投与やステロイドの内服、ステロイド薬の投与など、それぞれの疾患に該当した治療をある程度盛り込んでいただいたということで、その患者にとっては入っているということでは、全く免疫不全が症状としては出ていなくても、この中に入っている疾患であれば重症度分類として治療の対象としていただけると変えていただいたところが、改善されている、我々の意見を聞き入れていただいたとは思います。今後の課題とは理解しておりますが、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 いかがでしょうか。ここは、ある程度重要なポイントだと思いますが、飽くまで免疫不全に基づく重症度分類として、ここに挙げてきたのだと思います。したがって、そういう意味でここに挙がっている疾患を全て入れた上で、免疫不全の程度で重症度分類となっております。ただし、それで不都合がありそうだということが幾つか出てきていますので、そこに対する考え方を錦織先生が言われたように、全体的にどうするかが論点になろうかと思いますが、何か御意見はありますか。
私自身は、外す疾患もあってもいいと思いますが、この免疫不全という形で一くくりで基本的には残すことはそれで結構ではないかと思うのですが、明らかに重症度の見方がそちらよりもこちらである、違う重症度を設定すべきであることが非常にはっきりしていて、なおかつ明らかに難病であるというような疾患ですね。今、キャンディデートとして挙がっているのは好酸球増多症や、遺伝性血管性浮腫といったようなものが該当するかと思いますが、そういうものを別立てにするのかという議論に多分なると思うのですね。いかがでしょうか。もし、明らかにそういう方向で考えたほうがいいという御意見が多くを占めるのであれば、今、錦織先生はドラスティックにと言われましたが、いいほうにしたほうがいいわけです。そのようなことも踏まえて検討をお願いしたいと思いますが、いいですね。
ここで、余り個別にこれはどうか、これはどうかとやっていく時間がありませんから、パブコメをいただいている間に同時進行でやる形でよろしいかと思います。
○前田疾病対策課長補佐 一応念のため確認いたしますが、資料4の50ページの原発性免疫不全症候群という形で、これは現行の特定疾患治療研究事業の対象になっております。この症候群を難病の対象とすることは御了解を頂く前提で、宿題としては2つと認識をしております。1つは、診断基準で縷々多数の疾患を挙げていただいておりますが、その中で原発性免疫不全症候群以外のものも入っているのではないかという形で分類をしていくと、細かい疾患の1つについて丸々落としたほうがいいのではないか、あるいは要件を満たさないものが出てきているのではないかという整理を改めてお願いをするということ。
もう1点は、ここに記載してある中で、関連疾患に近い疾患で免疫不全症候群を起こさないものについてどうするかということで、特に、こちらは今後第2弾、第二次として改めて整理をさせていただく段取りになろうかと思います。それに対して御提案を頂き、また診断基準、重症度分類として御披露し、御議論いただくという形かと思ったのですがよろしいでしょうか。
○千葉委員長 いかがですか。後者については、私はそれでよろしいかと思います。特に、専門家の研究班の方に振っていただき、十分御議論をしていただいた上で、例えば別立てにするのであればむしろ第2弾で再検討したほうがよりいいのではないかと、個人的には思います。よろしいですか。
言われたように、基本的に研究班があり、難病として研究が進んでいるものを対象としてここに選んで持ってきている経緯がありますので、こういった問題はある意味出てきて当然だと思います。それはそれで改善の余地がある部分については改善していくというスタンスでよろしいかと思います。よろしいですね。分かりました。では、そういうことで作業をお願いいたします。
そのほかはいかがでしょうか。
○宮坂委員 もう1点確認なのですが、75ページの特発性大腿骨頭壊死症、ステロイドのものを健康被害救済になったものは除くのはいいのですが、もう1つとても引っ掛かっているのは、アルコールなのですね。アルコールを多飲した人が大腿骨頭壊死になるのは結構有名で、有名な歌手がなったりしますが、このような原因がある程度分かっているものを本当に残していいのかどうかをもう一度だけきちんと議論しておかないと、これと似たような例はほかにも出てくると思うのですね。ですから、そこをお願いいたします。
○千葉委員長 いかがでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 1点補足いたします。その点について、大腿骨頭壊死の研究班の先生方にいろいろとお話を伺ったところ、まずアルコールを飲むことによって特発性大腿骨頭壊死が起こる機序は明確になっていない点。それから、どれぐらいの量を飲めば骨頭壊死を起こすのかについても分かっていないと。つまり、毎日200CC程度を飲んでいるだけでなるのか、それとも1L、2Lを毎日飲んでいるとなるのか、そこについての因果関係は全く分かっていないというような御意見を頂いております。
○宮坂委員 疫学データはあります。
○千葉委員長 これも、しつこいですがもう一度班の先生に振っていただき、そのような意見が強く出たということで再検討していただいてはいかがでしょうか。これは、やはり指定難病を決めていく際に、非常にはっきりさせておくべき点だと思います。したがって、たばこで明らかになるような疾患やアルコールでなるような疾患というような、原因が本当にそれであることがはっきりしている場合には、これは私の個人的意見ですが、そういうものは難病指定からは外すべきであると思います。
そういう意味では、そうしたインテンションといいますか、そういう意図をある程度示しておくことは重要なことかと思いますので、もう一度振っていただいてはいかがかと思います。その点はいかがですか。
○宮坂委員 先ほど先生がたばこの例を挙げられましたが、ではたばこで肺気腫が起きる機序も、分からないといえば分からないですよ。しかし、たばこで肺気腫になった人も難病といえば難病ですよね。最後に、在宅酸素になって亡くなる方もいるわけですから、そことの整合性だと思うのですよ。当然、世の中一般から見れば、何でたばこによる肺気腫は落としておいて、アルコールによる大腿骨頭壊死は採用したのか。ですから、そこに答えられないといけないと思います。
○千葉委員長 非常に難しいところだとは思いますね。我々の領域でも、アルコール性膵炎についても、遺伝子のスニップがはっきりしてきていて、少し飲んだだけでなる人と、たくさん飲まないとならない人など、いろいろ出てきております。その辺りについて、一定の見解は必要になってくると思いますね。
○水澤委員 宮坂先生と委員長の意見に賛成なのですが、75ページの症状の説明の所にアルコール愛飲歴やステロイド大量投与歴と2つ並べて書いてあるので、これは整理したほうがいいかもしれません。
○前田疾病対策課長補佐 度々確認で恐縮ですが、特発性大腿骨頭壊死症自体は、特定疾患の中にも入っておりますが、病名として指定難病の対象とするところについては、お認めを頂く前提で、ただやはりアルコールとの関係が明らかなものを除いたほうがいいのではないかという形で委員会の中で御議論いただき、明らかに除外できるものを診断基準なり重症度なりで認定基準でお示しすることができるかどうかをもう一度確認させていただき、これは至急依頼をして反応は報告させていただきたいと思います。
○千葉委員長 今の回答で結構かと思います。それでよろしいですね。この点は、よろしくお願いいたします。
○大澤委員 全体として、きれいにおまとめいただいたと思っております。どうもありがとうございました。資料4の109ページに、腎障害に関しての基準として、クレアチニンを使うのは当然のことですが、110ページには小児の基準値が載っております。一般的に、先天性ミオパチーあるいは筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、ダウン症候群などの筋肉量の少ない方々は、クレアチニンの通常の値がとても低いです。結果として、ここに書いてあるような基準値と比較していただくと、腎障害を見落としてしまう、あるいはそういう方々が腎障害になるのは希なことではあるかとは思いますが、実際に、そういう方々が腎障害で何らかのものを必要とする場合に、落とされてしまう可能性がありますので、109ページの下の病期1、病期2にも基礎値の2.0から2.9倍と書いてあります。この基礎値というのが、その方の通常の値という意味であればよろしいのですが、病期1は基準値のとなっていて、それが一般的な健康の方の平均という意味にもし取らないといけないとすると、ミオパチー関連の方々が落とされてしまう可能性がありますので、少し御配慮いただければと思います。
○岩佐疾病対策課長補佐 ここの部分については、研究班の先生からぎりぎりになって、ここの基準値も基礎値であるといただきました。資料への反映が間に合いませんでしたので、そこは反映をして最終的なものとさせていただきたいと思います。ですので、大澤先生の御懸念のとおりです。
○和田委員 少し追加をさせていただければと思います。大澤先生の御指摘は御尤もかと思います。2つの点があると思います。1つは、先生がおっしゃるとおり、るいそうや筋肉疾患、神経疾患の場合は、筋肉量が減ってまいります。その際には、CKD診療ガイド2012でも、シスタチンCを用いた推算式を用いることも考慮することが記載されるようになってきました。
2つ目の点は、しかしその血清シスタチンC値も含めて急激に変化する腎機能の早期からの評価は、まだ十分確立されていないことが重要なポイントです。したがって、今岩佐課長補佐がおっしゃったように、それも踏まえた形で今後検討することになっていると伺っています。
それから、107ページについて確認でございます。ここまでは、106ページで診断基準は補体制御異常によるものと明記されています。今回は特に補体性制御異常に関わるものと前提がありますので、107ページにaHUSベースの病因分類は、むしろこれは削除しておかれたほうが矛盾しないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 この点については、108ページに注として、以下の鑑別のための検査を行った上で、病因分類の(2)~(8)を除外する関係から残っております。一応、現段階で日本腎臓学会と小児学会の研究班で作った診断基準や分類の中には、こういった分類がありますので、その中の補体制御異常の部分を対象とすると記載したほうが、誤解はないのではないかということです。
○千葉委員長 そういう御説明ですね、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○宮坂委員 マイナーなことですが、137ページの成人スチル病の副腎皮質ホルモン不応性をステロイド治療抵抗性に変えていただいたのはいいのですが、そのあとにプレドニン換算と。プレドニンという商品名なのですね。ですから、プレドニゾロンにしないと、それは直していただきたいと思います。
○千葉委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。今までの議論を踏まえて、かなりブラッシュアップしていただき、最初に出されたものより大分改善点がみられていると思います。ただ、あとで説明があるように、皆さんの御意見を頂くことになると思いますが、やはりまだまだ同時進行で改善の余地のある部分については、改善していくというスタンスでよろしいかと思います。
今日は今までの議論を踏まえて改善をした部分について説明を頂きました。それに加えて、更に御意見が出されたわけです。今後のスケジュールについて、事務局からお願いいたします。
○前田疾病対策課長補佐 再び、参考資料2を御覧ください。本日8月27日が、指定難病検討委員会の第4回目として、検討結果の御議論を頂きました。指定難病の候補を頂きましたので、8月末から9月末にかけてパブリックコメントをかけさせていただきます。10月については、先生方の御都合を照会しておりますが、意見公募手続終了後になると思いますが、先生方の御都合のよい日で設定させていただきます。この委員会自体が疾病対策部会によって設置をされた委員会ですので、成果物は部会に還元をいたします。そちらを10月上旬に予定しておりますので、そちらに還元をし、最終的な病名を確定させていただく段取りで考えております。
○千葉委員長 これまで4回の委員会を持ち、第一次実施分の指定難病候補について御議論を頂きました。委員会として、指定難病とすべき113疾患を除き、110疾患を選定していただきました。お話がありましたように、これから国民の皆さんに広く御意見を頂くことになります。同時に、私たちももう少し見せていただき、それぞれ委員の先生方には御意見を頂き、場合によってはそれぞれの専門の班にもバックアンドフォースして意見のやり取りをいたします。それを、パブリックコメントと同時進行でやって、最後にもう一度集まることになると思います。
事務局も私も、この間いろいろと横の議論をしておりましたが、事務局にはかなりの努力をしていただき、この場をお借りして感謝申し上げます。本日は、以上で終了といたします。ありがとうございました。
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