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2014年8月20日 第2回野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会議事録

厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成26年8月20日(水)15:00~17:00


○場所

三田共用会議所


○出席者

構成員

朝倉構成員 梶木構成員 河野構成員
小谷構成員 坂下構成員 佐々木構成員
杉山構成員 野田構成員 水田構成員
品川座長

事務局

三宅食品安全部長 福本厚生労働省審議官 國分企画情報課長
滝本監視安全課長 加地食品監視分析官 梅田補佐
先崎補佐 西村食中毒被害情報管理室長 小西専門官
石亀係長

○議題

(1)野生鳥獣肉の衛生管理について
(2)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、第2回「野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会」を開催させていただきます。

 本日は、御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。

 本日、杉山構成員から、おくれて出席する旨、御連絡をいただいているところです。

 また、本年7月11日付で事務局に人事異動があり、食品安全部長が新村にかわりまして三宅が、審議官に福本が着任をいたしております。初の検討会開催となりますので、三宅安全部長より御挨拶申し上げます。

○事務局 7月11日、ちょうどこの検討会の第1回の直後に食品安全部長を拝命いたしました三宅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 鳥獣保護法の改正に伴って、今後は、イノシシ、鹿とかがたくさん駆除され、あわせて、それらの肉を有用に活用しようということになっております。そうなりますと、一定のリスクを持ったそういった肉が大きく出回るということにもなりかねません。先生方には、そうした食用に供するものに対してどういう安全措置をとったらいいかということでいろいろ検討いただいているところでございます。ガイドライン等の作成に当たっていろいろ御忌憚のない御意見をいただければと思っております。

 きょうは、そういうことで実情をいろいろ聞かせていただくということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、品川座長に議事の進行をお願いしたいと思います。

○品川座長 きょうは、お忙しい中、また暑い中、出席をいただきましてありがとうございます。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 まず、事務局から配付された資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 1枚目、「第2回野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会」の一枚紙の配付資料一覧をごらんください。

 資料1といたしまして「自治体における規制の実態に関する調査結果」。

 資料2-1としまして「野生鳥獣肉の利活用をとりまく環境」。

 資料2-2といたしまして「シカ肉・イノシシ肉の食肉利用の現状、課題」としております。

 こちらは、追加資料といたしまして、本日卓上に写真6枚が載っている一枚紙を御用意しております。

 資料2-3といたしまして「北海道のエゾシカ対策について」。

 資料2-4といたしまして「千葉県イノシシ肉に係る衛生管理ガイドラインについて」。

 資料3といたしまして「野生鳥獣肉の衛生管理について(論点メモ)」。

 また、参考資料1といたしまして「野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会開催要領」。

 参考資料2といたしまして「野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会構成員名簿」。

 資料3といたしまして「野生鳥獣肉のE型肝炎ウイルス等の保有状況について」を御用意いたしております。

 本日、お手元にお配りしております資料は、以上のほか、各構成員限りで、各自治体が作成しているガイドライン集及び本日の報道資料を御参考として御用意しております。

 不足や落丁等がございましたら、お気づきの際に事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

○品川座長 それでは、皆さん、資料は全部そろっていますでしょうか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず「2.議題」の「野生鳥獣肉の衛生管理について」、事務局のほうから説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料1の説明に入る前に、参考資料3としてつけております文章について簡単に御説明したいと思います。

 第1回目の検討会の中で厚生労働科学研究の御報告がございまして、その中で野生鳥獣のE型肝炎ウイルス等の病原体保有状況の御報告がありました。その中で、E型肝炎ウイルスの罹患率にかかわる地域ごとのデータが示されておりました。これに関しまして、特定の地域のものだけ危険なのかといった御指摘がございましたことから、我々としましても、これはそういったことを示しているわけではなくて、この研究については、イノシシ及び鹿からのE型肝炎ウイルス抗体検出法の確立を目的としたものであって、地域ごとに必要なサンプル数を確保していないなど地域ごとの比較が可能な調査設計になっていないことから、当該調査結果をもって地域差に言及するなど、誤解を招く取り扱いがないよう十分に御注意くださいといった旨を自治体のほうにお願いする文書、通知を出しております。

 あわせて、この野生鳥獣肉を喫食する場合には十分な加熱が必要であるということを周知してくださいということをお願いしております。

 参考資料3の説明は以上で、続きまして、資料1の説明に入ってまいりたいと思います。

 資料1の1ページ目をごらんください。第1回目の検討会の中でも暫定版として調査結果を配付させていただいたところですけれども、その後、自治体のほうで詳細に調査していただきまして、数の変動が若干ございましたので、そこをあわせてお知らせしたいと思います。

 1つ目としまして、野生鳥獣を取り扱う食肉処理場数につきましては、全国の食肉処理業の許可を受けた施設のうち、野生鳥獣をとさつまたは解体する食肉処理場は451施設ありました。そのうち、鹿専用につきましては98施設、イノシシ専用は123施設、鹿・イノシシ専用が169施設、鹿・イノシシ以外も取り扱う施設は47施設ございました。

 続きまして、2つ目といたしまして、その食肉処理場の設置者でございます。一番多いのが民設民営となっておりまして385施設、続いて公設民営35施設、続いて公設公営22施設となっております。

 2ページ目にまいりたいと思います。

 食肉処理場における解体頭数としましては、0~50頭という小規模なところが一番多いという回答になってございます。

 続きまして「4.とさつ解体を行う者の種別及び作業員の人数」といたしまして、321施設ということで、主に食肉処理場の従業員によってとさつ、解体が行われているケースが一番多い。続いて、43施設ですけれども、狩猟者がとさつ、解体を行っている施設もあるということでございます。

 グラフは3ページ目になりますけれども、食肉処理場で解体に当たる作業員の人数につきましては1~2人という少ない人数で実際の処理が行われているという報告が一番多くなっております。

 続きまして「5.野生鳥獣の仕入れ元の種別」としましては、狩猟の方法、技術、取り扱いの衛生面において確認できている狩猟者としている施設が最も多く、340施設となっております。

 続きまして「と体の運搬方法」としましては、狩猟者が常温で運搬すると答えた施設が201施設、これが最も多くなっておりまして、次いで、食肉処理場が現地に赴き常温で運搬してくるが91施設という形で、次に多くなっております。少数ではありますけれども、処理場または狩猟者が冷蔵車、氷で冷却しながら運搬しているという回答のあった施設も48施設ございました。

 続きまして、4ページ目にいきたいと思います。

 「7.狩猟者と食肉処理場の連絡方法」につきましては、狩猟者から食肉処理場へは携帯電話または無線により連絡が行われており、狩猟の前または後に食肉処理場と調整を行った上で搬入されているという状況でございます。

 「8.食肉処理場に仕入れる野生鳥獣の状態」ですけれども、最も多い回答が、内臓摘出していないと体のみを受け入れるというのが167施設、次いで生体。これはわなで生け捕りにしたものも含まれますけれども、これを受け入れると回答のあったのが67施設。続きまして、内臓を摘出したと体を受け入れる施設ですけれども、そのうち衛生的な取り扱いについての条件を設けて受け入れている施設が54施設、特段そういった衛生的な条件を設けずに内臓摘出をしたと体を受け入れている施設が36施設ございました。

 続きまして「9.屋外で放血・内臓摘出を行う場合の確認事項等」といたしまして、これは内臓摘出したものを受け入れている施設からの回答になりますけれども、内臓摘出を行う場合、ナイフを消毒することを確認しているという回答のあった施設が20施設ございました。また、摘出した内臓を食肉処理場へ運ばせている施設が16施設、狩猟者自身に摘出した内臓の観察をさせている施設が40施設ございました。また、一部、腸管を破損しても筋肉・内臓を食用にしている施設は18施設ございました。

 「10.解体作業が翌日になる場合のと体の保管方法」としまして、と体が搬入される時間によっては解体作業は翌日になると回答してきた施設が75施設ありまして、その保管方法としまして、解体済みの枝肉と別の冷蔵庫内に保管する施設が39施設、同じ冷蔵庫内に保管する施設が13施設ございました。

 続きまして「11.食肉処理場からの主な出荷先」でございます。最も多い回答でしたのが、飲食店、旅館、民宿などとなっております。その出荷される形態としましては、脱骨済みのブロック肉という回答が最も多くなっております。

 続きまして、6ページ目にまいります。

 「12.食肉処理場に取り入れている設備」としまして、通常の食肉処理業の施設基準を満たす設備に加えて、取り入れている設備としましては、温湯の消毒槽、または吊り下げるためのウインチ、金属探知機、こういった回答がございました。

 続きまして「13.食肉処理場で使用されている消毒剤」といたしましては、次亜塩素酸ナトリウム以外につきましては、アルコールいう回答がございました。

 また、食肉処理場が自主検査といたしまして細菌検査などを行っている事例につきましては、年に2回以上が47施設、年1回が、文章中は42となっておりますけれども、これはグラフどおり43施設でございます。年1回が43施設でございます。

 続きまして「15.屋外での内臓摘出における腸管を破損した場合の措置」といたしまして、予備のナイフ、手袋を複数用意し交換する、アルコール消毒を行うなどの回答のほか、水で洗浄する、ガスバーナーでナイフを焼くといった回答がございました。

 最後に、7ページ目としまして、自治体側の施策の状況についてのアンケート調査結果でございます。

 野生鳥獣の処理について、施設に対する登録制度を設けている自治体は5自治体、そのうちの4つが何らかの資格者の設置を要件としております。

 また、衛生管理の講習会を実施している自治体が16自治体、疾病排除の講習会を実施している自治体が13、処理施設が疾病排除の判断に迷った場合の相談窓口を設けている自治体が15ございました。

 また、条例の中で通常の施設基準に上乗せして設置することを推奨している設備として、温湯の消毒槽等といったものの供給設備と回答のあった自治体が24自治体、また、と体をつり下げるウインチ等につきまして19自治体の回答がございました。

 また、野生鳥獣の取り扱いのある施設について個別に監視指導計画という形で挙げている自治体が11自治体ございました。

 また、施設に対して微生物検査を実施している自治体も7自治体ございました。

 最後に、野生鳥獣の処理に関するガイドラインにつきまして30の自治体で作成しておりまして、そのうち19自治体が疾病排除の方法ですとか、症例写真など、その他参考となるものを掲載しております。

 また、ガイドラインの中で、狩猟後、食肉処理場に搬入するまでの時間を規定している自治体が3自治体、うち1自治体が気温等を勘案して搬入までの時間を設定する例外を設けてございました。

 最後に、内臓摘出について、食肉処理場で必ず行うべきとしている自治体が12自治体、原則として食肉処理場で行うものの条件によっては屋外での処理を認める自治体が17自治体ございました。

 資料1の説明は以上になります。

○品川座長 どうもありがとうございました。

 これについて、何か御質問がありませんでしょうか。

○杉山構成員 おくれて済みません。資料1の1ページ目の1に食肉処理場数というのが出てきていますけれども、これは施設があるところであって、施設がなくて最初から屋外でやることが前提になっているところというのは実数としてはあるのでしょうか、ないのでしょうか。

○事務局 基本的に食品衛生法に則した許可を受けているので、施設があります。許可基準というのは施設基準になっておりますので、施設があればそこにそれで許可を受けるという形のものでございます。

○杉山構成員 解体の場所が屋外であっても、処理は必ず施設で実施されているということは確実だということで理解してよろしいのですね。

○事務局 自治体の場合は、もし商業上、営業上使用するという場合は、その許可を受けた施設で解体してくださいという形の指導が行われているということです。

○品川座長 他の自治体でどのように、またどのような資料を参考にしてガイドラインを作ったか、これらは今回作成するガイドラインに参考になると思います。とりあえずこれらをまとめられたということです。次の議題に移らせていただきます。

 前回の会議で、最初のステップの狩猟についていろいろ意見がありましたが、猟友会会長の佐々木構成員が欠席ということでしたが今回出席されました。今日の検討会は、最初の狩猟段階から、実際に食肉処理場で行われていることについて、皆様に共通の理解をもっていただくということで設定いたしました。まず、狩猟のところについて猟友会の佐々木構成員からよろしくお願いいたします。

○佐々木構成員 会長の佐々木です。前回の第1回目の検討会を急遽欠席ということで大変失礼しました。そういうことで、現場の状況も含めて、今、課題について簡単に説明させていただきます。

 まず、資料2-1をごらんになっていただきたいと思います。

 1ページです。特に野生鳥獣といっても、流通にかかわっているのは主に鹿、イノシシ、獣類であります。鳥類ですと、カモが一部商業ベースになっているのかなと。わずかだと思いますが、鹿、イノシシが中心になっております。

 現在、鹿、イノシシは、環境省の推定ですけれども、北海道を含めて大体360万頭生息しております。イノシシは88万頭ということになっております。特に鹿は、今の状況でいくと、あと7~8年たつと生息数はこの倍の700万頭と推測されます。環境省は、10年後の平成35年、鹿、イノシシの生息頭数を半分にしようと打ち出しております。イノシシはどんどん減っておりますけれども、鹿はふえておりますので、少なくとも鹿については今の倍の100万頭ぐらい捕獲しないと追いつかないというのが現状かと思います。

 2番目、最近の捕獲数です。狩猟による捕獲ですけれども、平成19年度はイノシシ、鹿で25万頭、その6年後の昨年ですと35万頭ということで、若干ふえている。狩猟者が狩猟で捕獲する場合は、必要でないものは捕獲しないわけであります。自家消費と処理、施設に持っていくとかです。

 一方、有害捕獲ですけれども、鹿、イノシシは平成19年は18万頭ですが、農水省の特措法により5455万頭と、3倍になっていると思います。そういうことで、有害駆除は大幅に増加しているという状況であります。

 はっきり言いまして有害駆除というのは狩猟期外で、4月から10月までに捕獲する許可狩猟と言いまして、夏場の暑いときの捕獲であり、食材はほとんどならないと思います。狩猟期は北海道は10月からですけれども、11月、12月、1月、2月といった狩猟期にとるものは有効活用に適しておるということで、これから今の2倍を捕獲するということになりますと、狩猟期でしっかりと捕獲をして個体数調整をする。それが強いては食材として利活用されるという形になればベターではないかと思います。

 次の2ページを見ていただきたい。

 それでは、今、どういう方法で鹿、イノシシ等を捕獲しているかということで、捕獲のあれが書いてあります。1つは、流し猟と言いまして、車で移動しながら獲物を発見して捕獲する。これはイノシシの場合は余り流し猟はしませんが、鹿猟を中心に行っております。銃の種類はライフル銃。それから、散弾銃といっても散弾銃にはいろいろ種類がありまして、スラッグ銃と言うのですが、一発弾。それから、獣類ですと、6粒とか9粒とか15粒といった大粒の散弾がありますが、今は事故の関係もありますので自粛をしております。

 その流し猟で大体どのぐらいの回収プロセスになるかというと、200メートルぐらい先を打つわけですから、発砲後、獲物までおりて行くのに10分ぐらいかかる。それから、血抜きに10分ぐらいで、車に運び込むということで、車に乗るまでに約30分はかかるということ。それから処理場まで搬送ということになります。

 次に巻き狩り。これは日本的な文化なのですけれども、10人前後で、タチがいて、勢子という追い出しをする人。あるいは犬による追い出し、そういうことで、鹿であれ、イノシシであれ、こういう巻き狩りを実施する場合スラッグ銃とかライフル銃を使用することになります。

 これは、発砲して捕獲するまで時間がかかるのですが、車に載せるまでに相当時間がかかるのです。ですから、今、2時間以内という1つの目安、ガイドラインがあるのですけれども、非常に難しい部分があるということです。

 次に、わなです。これは、大きく分ければ、くくりわなと箱わなという2種類であります。これは、ニホンジカとか、イノシシを捕獲し、銃やナイフでとめ刺しします。これは割合に簡単に車へ積み込みができるということで、処理場まで搬送が早い。ただ、長時間わなにかかっていますと、暴れて、筋肉に打ち身があったり、あるいは品質が低下してしまうという欠点があります。ですから、しょっちゅう見ておかないと食肉に適さない部位が出てくるということがあります。

 そこで、車に積み込むまでに30分ですから、捕獲時間がおおむね2時間以内に搬入といいますと、90分で車から処理場まで持っていくということになります。山道ですから20キロぐらいのスピードで行くと、30キロ範囲内ぐらいにしかできないことになります。これが非常に難しいということ。例えば30キロという計算をしますと、北海道では100カ所ぐらいの処理室がないと対応し切れないことになります。

 また、異物混入ですけれども、今、ライフル銃はほとんど残っていません。全て貫通してしまいます。特に北海道などでは銅弾を使っていますので、鉛の場合は、骨に当たった場合にちょっと飛び散る場合もあるのですが、ライフル銃はとほとんど突き抜けます。スラッグ銃は残る可能性はあります。ただ、今、散弾銃の大粒散弾と言われる9粒、15粒といったものは自粛をしております。これは、事故防止等も含めまして、それから、いろいろ御指摘がありますので、やはり異物混入という問題もありますので、極力自粛しているという状況でございます。

 次の3ページをお願いします。これは後でごらんになっていただければいいのですが、鳥獣の肉というのはもともと自家消費を中心に今まで発展してきたということで、野生鳥獣に対するハンターの衛生知識が非常に欠如しているということだけは言えると思います。それから、間違った解体方法やいろいろな問題があります。それから、先ほどちょっと話があった野外での内臓摘出です。これは後でちょっと申し上げますけれども、こういった問題とか、食肉処理場でも専門的な人がいない部分もありますので、これは後でごらんになっていただきたいと思います。

 次の4ページをごらんになってください。4ページは課題についてでございます。

 まず、1番目は「野生鳥獣肉の名称」ということです。私どもも今までいろいろ調査をしたりしているのですが、ジビエというイメージが非常に悪いという話をよく聞きます。それは何かというと、鹿の肉に問題があったのでしょう。当時は、狩猟期でとる場合に、10月、11月の雄しかとれないのです。我々の解体方法、処理の状況が悪いので、どうしても繁殖期の雄はアンモニア臭がします。ですから、どうしてもそういうイメージがついておりまして、鹿肉、ジビエという名前は勘弁してくれというのが多いです。ですから、この際、何か新しい名称を。特に鳥獣の肉をしっかりと全国民の皆さんに試食をしていただいて、まさに自然界の贈り物ですから、みんなで食べることによって農業を守り自然を守るというようなインテグレーションにしたいと思いますので、この名前が非常に大事ではないかと思います。

 2番目は、先ほど話があったようですけれども、先進国では食品衛生法の中に一般食品と同じように野生鳥獣の肉が含まれているわけです。各自治体、県、あるいは市町村ではそれぞれいろいろ知恵を出し合ってやっておるのですが、実際に国のそういうものがない。もちろん、衛生的な捕獲方法にも何一つ公的担保がない。この辺はこれから議論していただきたいと思います。

 3番目は、先ほど申し上げましたとおり、狩猟者は衛生的管理に疎いのです。これが一番問題だと思いますので、ハンターに食品衛生に対する教育をしっかりする。

 また、鳥獣の流通に携わる者、野生鳥獣処理をするための認定制度を導入すべきではないかと思います。鳥獣処理をする。捕獲をするためには、少なくとも衛生的な部分も含めて、内臓も多少見て、後で申し上げますけれども、いずれ私は基本的には山野で内臓を処理すべきだと思います。そのためには、最低でも肝臓とかそういう内臓類を見て、判断できるぐらいのレベルまで上げるべきと思います。いずれ、こういう認定資格者だけに山野での内臓除去を認めるということにしてはいかがなものかと思います。

 5番目は、野生鳥獣肉のトレーサビリティーいうことで、今、我々もできるだけやるようにしておりますけれども、捕獲から処理、流通までがわかるようにしていきたいと思っております。我々狩猟者としての、狩猟者名、もちろん認定者ですけれども、捕獲場所、捕獲方法、日時・時刻、内臓のチェック、運搬云々といったものを1頭1頭きちっと報告することにしたいと思います。先ほど申し上げましたように、肉を2時間以内で処理場に運ぶというのはしょせん無理です。それにはどうしても中間施設が必要です。

 この間、兵庫県にちょっと行ったのですが、これからどんどん処理施設をつくろうと思っていますと言うから、私はそれは反対だと言いました。というのは、みんな小規模処理施設なのでシカ・イノシシの肉が集まらない。先ほどもあったとおり、50頭とか100頭とかの単位で小規模なのです。これで採算が合うはずがないのです。ですから、これは絶対つくる必要はない。処理施設周囲の市町村に対して何カ所は、捕獲をしたら1時間以内の第1次処理施設。簡単な保冷庫でいいわけです。保冷庫と、水処理できる。最初は血抜きをして内臓処理をして皮つきのままそこに持ってくる。それで、水洗いをし、それにタグをつけて保冷庫に入れておく。そうすれば、各市町村に2カ所ぐらいあれば1時間以内に十分搬入が可能ですので、これを農水省の特措法での助成もしながらやっていただく。そして、保冷車で鹿の皮つきの枝肉を集めて処理施設へ持っていく。そこで、食肉にならない場合とか、いろいろすると思います。そういったことを含めて冷蔵ステーションを設置しようということを私どもは提案したいと思います。これをやれば、経営規模もある程度安定し、一定の量も確保できるだろうと思います。

 問題は、7番ですけれども、川下ではユーザーはぜひ取り扱いたいと。三菱食品にしても、今、いろいろなところが来ております。ただ、今、国のガイドラインがないというのが一番問題で、各市町村がいろいろと工夫してやっておりますけれども、これでは問題だということなので、この鹿、イノシシ肉を通年出荷できる体制ということで、1,000頭でも5,000頭でも、ある程度の頭数を処理できるような能力の施設を整備していくことに尽きるのだろうと思います。

 8番目、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現行の有害駆除は4月から10月まで実施するということ。これには捕獲のための奨励金がいろいろ出ております。食用になりませんので、やはり狩猟期間中にしっかり捕獲して個体数を調整するという考え方に変えていかなければならないと思っています。

 9番目は、今、適正な品質、規格、標準というのはばらばらです。やはりある程度しっかりしたものにしないと、ユーザーのほうから、何だという話になりますので、非常に難しい話だと思いますけれども、これはきちっとしたいと思います。

10番目は、特に鹿とかイノシシの肉ですけれども、健康食品としての効用。これは別紙に書いてあります。これは兵庫県の県立大学がやったのです。鉄分が豚肉の5倍ぐらいあるのですが、厚生労働省は、日本にはいないアカジカの効用はあるのですが、残念ながらニホンジカはないので、これはやはりニホンジカできちっと調べてもらいたいと思います。これは要望です。5倍とか7倍とか鉄分が多いということは、子供たちのアトピーの問題とか、女性のいろいろな問題も含めて非常に効用があるわけです。ですから、こういったことを含めてしっかりした発表をお願いしたい。これはお願いです。後でごらんになってください。

 それから、鳥獣肉の調理ですけれども、実はこれは非常に難しいのです。全部違います。筋肉質であるのですが、山で食べている餌によっても変わってくるし、年齢はもちろんですけれども、繁殖期はどうのこうのとか、いろいろあります。ですから、コックの皆さんに聞くと、野生鳥獣の肉の調理は、自分たちの腕が試されるのだと言うほど非常に難しい。だけれども、それに取り組む。今、ヨーロッパでは、家畜などより鳥獣肉ははるかに高級肉です。そういう意味で、日本も、それまでにならなくても、一つの大きな食材としての位置づけをとりたいなと思っています。

 今、鹿肉については宗教的な問題は一切ございません。今、一番困るのは、豚肉にしても、イスラムが云々とか。牛肉でも、ヒンドゥーが食べないとか、宗教的な絡みがいっぱいあります。鹿だけはそういうことはないということなのです。いずれ外国の方々が東京オリンピックに向けて来るわけですから、そういう意味では、これから鹿肉の利活用について真剣に考えていければと思います。

 ペーパーは以上でございます。

 1つだけ、今回、せっかくですので、私なりにこういうことをやってもらいたいなということをお願いしたいのです。先ほどもちょっと話が出たのですが、人と獣類の感染症の話が取り上げられますけれども、私はそれよりも解体処理の工程ですね。やはり食中毒対策というのが中心になるべきだと思います。これをしっかりと議論していただきたい。野生鳥獣は、感染症は家畜よりもリスクは少ないのです。問題は食中毒。これは、内臓の処理方法によって変わってくるわけです。鉄砲で撃つ以上はどこに弾が行くかわからない部分があります。我々は必ずネックの辺を撃つようにと言っても、動いているものを撃つわけですから、必ずしもそこだけに行かないことがありますので、この辺のことをしっかり議論していただきたいと思う。

 また、捕獲体制。先ほど申し上げたとおり、狩猟者の教育プロジェクトといいますか、そういったことをこれから立ち上げたいと思っています。

 また、先ほど申し上げましたとおり、1次処理施設といったものを整備していくということ。

 それから、ガイドラインをつくっても、その指導をする仕組みがないと絵に画いた餅ですので、その辺はしっかりとしたガイドラインをつくって、なおかつ、どのようにして指導していくかということをつけ加えていきたいと思います。

 最後に、これは先ほど話があったのでやめようかと思ったのですが、この間の4月にイノシシのE型肝炎について報道されました。中国地方では30%という非常に高い肝炎率だという話でありますが、ちょっと間違っているのではないかと私は思うのです。イノシシは前から出ております30%のE型肝炎があるのです。抗体を持っているのです。ですから、そういうものとわからないで発表するというのはおかしいと思います。だったら、豚肉を見てください、E型肝炎が8割あるのです。そういうことではなくて、先ほどあったけれども、熱を通しなさいということで十分わかるのではないでしょうか。中国地方の人は誰もイノシシは食べません。そういうことになっております。風評被害というのは大変多いので、その辺はぜひ適切なメッセージを送るように要望したいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○品川座長 どうもありがとうございました。

 いろいろな課題も提案もしていただきました。

 皆さんに御質問などをしていただきたいと思います。ジビエ製造の最初の段階ですので、ガイドラインの作成においてはここからスタートしますので、議論する場合、十分理解していただき不明な点がありましたら質問ください。この工程は結構わかりにくいので、何でも聞いていただければと思います。

 どうぞ。

○河野構成員 食べさせていただく立場でちょっと質問させていただきます。現場がどういう状況なのか全くわからないということで。

 基本的には、私たちが獣肉を食べるということで言えば、牛とか豚とか、飼育されて管理されたものを食べる。それは全て衛生管理基準をきちんとクリアしたものが流通に乗って消費者の台所に届くと理解しています。

 今のお話を伺っていると、これは安全に食べられる状況にあるのか本当に食べても大丈夫なのかどうなのかというところがまだよくわかりません。現状がこうであるという御説明だったと思いますけれども、済みませんが、何ら消費者に安心感がある状況ではないとしか思えません。現状でも実際に食べられている方がいる、今も食肉として流通していると思いますけれども、例えばトレーサビリティーがどうなっているのかとか、現場の方には、衛生的な知識がないというのはどのように理解すればいいのかなど、疑問がたくさんあります。

 済みません。ちょっとまとまらないのですけれども、この現状からは、私たちの食卓まで、野生鳥獣肉というか、イノシシと鹿の肉がきちんと届けられるかどうかが見えてこないということだけ申し上げたいと思います。

○品川座長 この意見に対していかがですか。

○佐々木構成員 本当にわかりにくいのだろうと思います。要するに、簡単に言えば、山野で捕獲をしますね。そうすると、すぐ首で放血をする。あるいは、場所によっては、内臓除去をしてもいいと。これは法律的には問題がありますけれども、それだけ。あとは、そのまま車に積んで持っていく。例えば処理施設に入ったときに、車からコンクリートの土間におろしたら、もうそれで違反というか、衛生管理上問題があるわけです。車に一旦載せたら、地面におろすとか、そういうことは一切。今のと場法ではそうなっているのです。

 そういったことも含めまして、我々が今いろいろ指導しているのは、そういう人はほとんど自家消費なのですが、山野で皮をむいたりすると、肉に毛がいっぱいついているわけです。あるいは、内臓に入れる場合に常に消毒をしてやるとか、そういうことは極力注意をしているのですが、まだそれだけの教育体制になっていないということだけは言えると思います。ですから、今の状況では、とにかく捕獲したシカ等はすぐ血を抜いて、すぐ処理場にそのまま運んでいくという状況だと思います。具体的なトレーサビリティーについては何の確立もされていない状況だと思います。これから狩猟者にそういったことを徹底して教育し、なおかつ、認定制度にして、そういう資格を取った人以外はその流通はできませんよという仕組みをつくったらどうかなということです。外国ではそのようにやっていますので、我々もそれに沿ってやっていきたいと思います。

 済みません。答弁にならないと思いますけれども。

○河野構成員 それを検討するのがここだと思っておりますので、先ほどの資料でいただいた「一般的な狩猟方法について」のどこに問題があるのかをもう少し詳細に知りたいと思います。流し猟にしても、巻き狩りにしても、わなにしても、使用する猟具によって異物混入等や残留物が多少あるかもしれないということなのですけれども、基本的に同じやり方はないということですね。それぞれの場合によって、どこに弾が当たるかとかわからないですよね。

○佐々木構成員 そうです。

○河野構成員 この3つの狩猟方法による考え得るリスクみたいなものを丁寧に挙げていただきたいと思います。私は利用することに反対しているわけでは全くありません。先ほども申し上げたように、どうすれば衛生的に安全性も担保して、それが流通に乗るのかというところで、現状わからない部分をなるべく明らかにして、今回、その問題点を一つ一つ、基準、ガイドラインという形でしっかり担保していただきたいと思っています。もう少し具体的な形というか、わかっていらっしゃる方はわかっているかもしれませんが、1頭1頭違う条件をどのように標準化していくのかというところに持っていくために、もう少し現状を理解したいと思いました。

○佐々木構成員 我々ハンターは首を撃つことにしていますけれども、動いているものを撃つわけですから、100%全ては。それが内臓をぶち抜く場合もあります。そういうものについてはその辺で一切廃棄にしています。そういうことだけは注意をしながら、まだ具体的に衛生基準というところまでは行っていませんので、見た目で、これはもう使えないよという場合はそこで判断して廃棄処分をして、全ていい状況の肉を処理施設へ運ぶことにはしておりますけれども、これから具体的なガイドラインの中でいろいろなことが検討されるなと思い、大いに期待をしたいと思います。

○品川座長 基本的には、このような不安な点について、また安全で衛生的に処理するためにはどうしたらいいのか、まずその点について共通に理解しておかないとなりません。狩猟段階のところがどのようになっているのかわからないので、質問していただいたことは非常によかったと思います。これらについて次回から検討してゆかなければいけませんので、どんどん意見を出していただきたいです。ただ、今言われましたように、内臓を撃ったものについては食べてはならないとかを、ガイドラインの中にきちんと書き込むことも必要だと思います。

 ほかに質問ございませんでしょうか。

 どうぞ。

○杉山構成員 捕獲頭数は、例えば平成24年で見ると、圧倒的に有害捕獲のほうが多い、あるいはこれからもふえていくような気配があるのですけれども、お話を伺っていると、狩猟期にしっかり狩猟して個体数の管理をするとおっしゃいましたが、例えば、肉の品質の問題とか病原体の汚染の問題とか、そういうのは夏に多いので、できれば冬のときに集中的に個体数の管理をするほうがいいという考え方に基づいてお話をされているのか。あるいは、味が違うのか。そのような情報があったら教えていただきたいと思うのです。

○佐々木構成員 この衛生的な部分については、はっきり言ってわかりません。問題は、大体4月、5月、6月というのは、やっと草を食べて、これから脂をつけようという時期なので、味で言ったら、7月、8月ぐらいまでは全くおいしくないです。

 もう一つは、山の中にいるものですから、例えば真夏の暑いときに、山には葉がついているわけで、そういう中でシカ等を見つけることが大変なのです。本当に苦労します。そこでとれたものはおいしくないですから、ほとんど食べないです。全部捨ててしまうということです。狩猟期は、日本国内のほとんどの地域は落葉します。

 もう一つは、冬になりますと、イノシシもそうですが、鹿は山奥に行くのです。山奥で木の皮を食べたりする。雪の関係もあって、事故の問題とか。夏場は一般の人も入っていますが、冬の場合は山の仕事以外の人はいない。それはきちっと管理されていますから。いろいろな意味で総合的に。肉の味もまたすばらしいと思います。ちょうど10月以降ですと脂も乗ってきますから、鹿、イノシシ肉としては最高になります。そういうことで中心にしたいと思っています。

○杉山構成員 もう一ついいですか。

 ということになれば、施設をつくっても、年間均等に稼働することは難しいという理解であったほうがよろしいわけですね。

○佐々木構成員 やはり年間通して利活用するというのは非常に難しいのだろうというのが実際問題あります。これは経営的に大変難しい問題かと思いますけれども、狩猟期間中、10月ぐらいから3月までの間にしっかり個体数を処理して、1施設で1,000頭とか5,000頭ぐらいを処理する規模のものをつくっていくことが大事だと思います。そのためには、先ほど言った中間処理施設のステーションを各市町村につくっていくことによって短時間に1次処理ができる。あとは保冷ですから、その中で自然熟成も可能なわけです。時間を多少置いてもいいわけですから。そういうことで熟成することによってまた味がよくなるということもあります。

○品川座長 ほかにございませんでしょうか。

 実際に巻き狩りを行うときは、山奥で行われる場合が多く、狩猟後その場ですぐ内臓を出し、車のところまで搬送されるのでしょうか。

○佐々木構成員 その施設のあれによって、内臓をつけたまますぐやるようにということですけれども、どちらにせよ、とったところから引き出して、ちょうど車が行ける場所ならいいのですが、そうではないところだと、一々みんなで担ぐ。そうすると非常に時間がかかるということ。本当は内臓を除去できれば相当軽くなるのです。鹿の皮というのは非常に厚いので、熱を持つ。肉は早く冷やせばいいのですが、そうではなくて、逆に熱を持つのです。冬でも朝まで熱いですから。そういう意味で、早くこの施設で処理すれば肉としては最高のものができるのではないですか。

○品川座長 ほかに何かありませんか。

 もう一つ、ジビエという名前ですが、我々、ジビエと言ったら、いい名前であるように思われますが。そうではないのですか。

○佐々木構成員 これは、今、いろいろな方々に調査をしております。レストラン協会とか、いろいろなところに行きますと、もう少しいい名前はないのかなという意見が多いです。

 それともう一つ、東京のイタリアンとフランスのレストラン40ぐらいにお聞きしたのですが、同じ鹿であってもやはりみんな味が違うという話をよく言います。その辺も含めて料理方法も大事だなと思います。

○品川座長 この点についても実際に論議するときにはいろいろ意見が出されると思いますが、そのときにはまたいろいろ教えていただければと思います。

 時間の関係もありまして、次の報告をいただきたいと思います。

 今度はジビエとして食用する立場からその辺の実態を説明していただければと思います。小谷構成員よろしくお願いします。

○小谷構成員 今、佐々木会長から名前が悪いと言われたジビエ振興協議会です。申しわけございません。

○佐々木構成員 済みません。

○小谷構成員 前回も冒頭言いましたけれども、私どもは鹿とかイノシシ肉を安全においしく食べるということで立ち上がった団体です。そういう視点で、今回、課題等に触れたいと思います。

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 最初が捕獲時の課題。これは佐々木会長から出たことと重複するところがありますが、捕獲時は、佐々木会長から言われたので、私からは簡単に、我々が見た段階の課題ということです。

 1つが有害捕獲。これも先ほどの狩猟期の捕獲ともつながるところがあると思うのですけれども、基本的に有害捕獲されたものは捕獲時に必ずしも食用を前提としていないということが一つの大きな課題としてあると思っています。

 それから、特にわな猟です。これも、時間の経過とともに、打ち身とか内出血が発生したり、肉も傷むというところをどうするかというのが大きな課題。

 銃猟については、そうはいっても、腹部とかに被弾したものが持ち込まれるケースもまれにある、それをどうするかというのも一つの課題なのだろうと思います。

 それと、感染症の見きわめ。これは、現場に行くと、感染症にかかった個体が少ないということもあると思うのですけれども、狩猟者にとってもどういうものかというのがわからないなど、参考になる写真が非常に少ないということで、どういうものが感染症なのか判断が難しいのかなと考えております。

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 次、いわゆると畜場と解体処理施設の一般的な違いということです。特にと畜場について私は全く門外漢なので、大体こんなのだろうなということで書いていますので、間違いがあれば後で御指摘いただきたいと思います。

 まず、搬入の頭数です。恐らくと畜場・食肉処理場というのは計画的に毎日何千頭という形で入っていくということですけれども、解体処理施設というのは捕獲に依存されてしまうということ。当然、雄、雌とか体重というのは一様でないし、先ほどおっしゃった発情期の雄が入ることもあるとか、いろいろなものが入ってくるということ。

 それから、解体処理の技術です。これについては、と畜場は専門の技術者がいらして教育とかをされていると思うのですけれども、解体処理施設は、一般的ですけれども、自己流です。特に講習の場というのはそんなにないのだろうなということです。

 それから、施設整備です。恐らくと畜場は基準に沿った形で各県とも整備されていると思うのですけれども、解体処理施設というのは施設ごとに違う。これは後で触れますけれども、特に処理頭数とか資金計画によって結構差が出ている。

 衛生管理は、と畜場はきちんと徹底されていると思うのですけれども、解体処理施設は専門知識が不十分。専門的な知識を持っている方がいないし、そういう知識を学ぶ場も少ないのだろうなと。冒頭の資料1にありましたように、一部の自治体ではされているということですけれども、そうでない自治体も結構あるということだと思います。

 もう一つは、肉質です。衛生と同時に、肉質の管理についてもと畜場はきちんと管理されていると思うのですけれども、これについても知識が不十分。先ほど佐々木会長も熟成とか言われたのですが、どういう熟成がいいかということについても体系立てたものがないのだろうと思います。冷凍した場合も含めてそうです。恐らく、若干ですけれども、そういったものが処理施設ごとにばらばらなのだろうなと思います。

 行政のほうの関係でいくと、と畜場というのは行政指導もきちんと徹底されていると思うのですけれども、解体処理施設というのは、大概の県が鳥獣被害対策の主務課がその一環でこの食肉処理も担っていらっしゃるので、その中に獣医を置いていらっしゃる県もわずかしかないということですので、専門技術を持った職員の方がいらっしゃらないということです。そういう形で担当職員がいないということと。

 その下も関連するのですけれども、と畜場は担当部局がきちんと決められているけれども、先ほど言いましたように、解体処理施設は被害対策なので、農林部局だったり、林務部であったり、環境保全のほうの主務課であったりと、県によってまちまちということがあるということです。

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 次に、そういった中で、一般的な解体処理施設にどんな課題があるかということを簡単にまとめてあります。抜けているものもあると思いますけれども、まとめてあります。

 まず、運営は、先ほどの資料1にもありましたけれども、公的資金を使ったものと個人でされたものがあるということです。ここでは自己資金と公的資金と記しています。

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 次は、私が知る得る限りものを幾つか抜き出したもので、上が公的資金。関東1とか甲信東海2という形で、処理施設そのものは出さないようにしています。金額も一応100万単位でくくっています。これをざっと見ていただくとわかるように、公的資金を使ったものは大体109平米、100平米以上ということです。金額的には3,377万円の資金で建設されているのです。自己資金を使った場合というのは、47平米、ですから半分以下。資金的にも3分の1という状況になっています。

 面積が2分の1で、資金が3分の1というのは、私の憶測ですけれども、1つは設備機器、特にここについて大きな違いが1つあるのだろうと思います。解体処理施設でいくと、こういった違いがあるということになります。

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 捕獲個体ですけれども、搬入元というのは、自己資金でされた場合は本人が持ち込む場合と仲間の狩猟者から持ち込むケースが多いのだと思います。公的資金の場合だと、大体市町村単位になりますので、市町村の中の猟友会の方から入れるということで、地域内の狩猟者から全般的に入れていくという違いがあるかなということです。

 施設整備計画ですけれども、これも先ほど言ったように、個人の場合、自己資金の範囲内でされますし、公的資金を使ってされる場合には類似施設を1カ所、2カ所視察をされるので、私が知る限りでは、視察先と同等のものを参考にしてつくられるケースが多いのだろうということを言っています。

 では、整備の機器はどんなものかということです。個人と公的資金の大きな違いは、まず、冷凍庫そのものが違うということです。

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 これは写真があります。冷凍ストッカーは御存じのように、家庭でも入れられているし、スーパーとかにもあるのですけれども、冷凍品ががばっと入っているということ。これの一番の課題は、当然なのですが、古いものがどんどんどんどん下にたまっていってしまって、新しいものが上に行ってしまうので、在庫管理が非常にしにくいことです。私も何カ所か見たのですが、下には相当古いのがそのまま入っているというケースもあります。

 公的資金で入れていらっしゃるのが多いのが、真ん中の業務用冷凍庫です。大きさによりますけれども、処理頭数が100頭か200頭ぐらいまでであれば冷凍として十分対応できるのだろうと思います。これが一番多いと思います。

 さらに進んでいくと、プレハブの冷凍庫を入れられる。ここでいうと3坪タイプとあるのですけれども、大体1坪から3坪ぐらいまでの大きさのものが入れられているという形で、まず、冷凍庫が結構違ってきているということです。

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 冷蔵庫については、基本的に自己資金の場合は少ない。公的資金の場合、熟成とか一昼夜寝かせるということも含めて冷蔵庫を入れていらっしゃるケースが多いということです。

 それから、懸吊の設備ですけれども、自己資金の場合は余り多くないということです。公的資金の場合は多いのですけれども、右にあるように高さがまちまち。これは後で触れますけれども、作ったのはいいのだけれども、個体が床についてしまうケースもまれに見られるということです。

 それから、洗浄方法です。個人でやった場合は、水道水で洗うケースが多い。あと、高圧洗浄機を入れているところもあるということです。公的資金ですと、イオン電解水を使ったり、あるいはお湯でやっていらっしゃるところもあるということで、洗浄の仕方も若干違う。

 消毒器についても、個人でやられている場合はお湯。やかんとかそういうもので沸かして機器の消毒をされるケースもありますし、普通の温湯器で、83度までいかないぐらいのものを入れていらっしゃるところもある。それから、熱湯が出る機械を入れているところももあるということ。公的資金の場合、消毒器を入れているところは多いのですが、まな板に対応していないケースが非常に多い。テーブル1つ分ぐらいのまな板を買われるのですけれども、それに対応した消毒器を入れていなくて、結局、まな板だけはお湯で消毒されているケースが非常に多いということになっています。

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 これはレールの接続です。これを2カ所入れていますけれども、左側が冷蔵庫とか冷凍庫に直結しているケースです。ふだんは閉まっていますけれども、つなぐときにはこのレールをジョイントして中に入れるというのが左側。よく見かけるのは、右のように、冷蔵庫とか冷凍庫の前でレールがとまっているケース。これも結構あります。この一番大きい理由は、とにかく市販のプレハブを買ってしまうと高さが足らないので改造とかができないので入れられないということで、結果として、冷蔵庫内、冷凍庫内までレールが延びないというのを見受けられます。ただ、この辺のところは資金の関係で左右されていくのかなと感じております。

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 解体処理加工施設のその他の課題ということで、1つは、左にある産廃の処理です。これは実態として、血液の廃棄について大体こんなやり方があるのかなと。1つは、煮沸した後、煮込んで、焼却して埋設されるところと、下水にそのまま流していいよというところと、産廃として出されるケースがある。これは恐らく、行政の指導その他があっていろいろな違いがあると思うのですけれども、血液の処理についていろいろあって、処理施設の方は結構苦労されていると聞いています。

 内臓についても、同様に燃焼して埋設されているところと産業廃棄物扱いで出されるケース。これが一番多いと思いますけれども、中には、家庭ごみで出されているところもあるというところで、この辺も産廃の処理の仕方が、まず処理施設というか、これは各自治体単位だと思うのですけれども、まちまちということだろうと。

 右側ですが、解体処理施設の設計、機器の整備、保管の課題ということです。やはり、地元の業者が設計しているため経験がないので、いろいろなことが出る。

 1つは、軽トラックが入らない。お手元に追加で配った写真がついたものがありますけれども、お手元にある写真は、たしか120センチ幅だと思います。60×60ぐらいのドア。だから軽トラが入らないのです。軽トラが中に入ってそこでおろすような設計になっているのですけれども、結局入らなくて手前でおろさざるを得ないという形になる。これはつくってしまってから気がついたということです。

 それから、先ほども言いました、レールが低過ぎて個体が床に接触というのが次の写真にあるのですけれども、こういう形で、レールをやるときには相当高くしなければいけない。特に大きい個体が入ったときにはなおさらそうなのですけれども、皆さん初めてつくるのでそういう経験値がないので、こういった形で床についてしまうケースも間々見られる。

 それから、保健所の指導に沿って設計したら動線がよくないということです。これは保健所の指導があるので仕方がないということがあるのですけれども、その後の写真に関係して、まず右が、臓器の排出。これはきちんと設計があって、臓器だけはこういう密閉されたドアを通して入れなければいけないというのを参考に入れていますけれども、その下の3つが、左側は、手前が第1次処理施設、奥が第2処理施設です。その仕切りが1メートルなければだめだという保健所の指導で、ここが大変で、手前で内臓と皮を剥いだ後、えっこらさと隣へ持ち運んでやらなければできないということの一つの実例です。真ん中が非常にフラットになっていて、真ん中に排水溝があって、この手前と後で1次と2次と分かれているのです。こういったケースがすごく多いのですけれども、こうだとすると、動線はいいということ。右は、わかりづらいと思うのですけれども、手前が1次処理につながるところで奥が2次なのですけれども、段差がついているのです。このケースが、汚水が行かないということで多くつくられているケースです。こういったことで、処理施設によって動線がまちまちで作業がしづらくなっているのがあるのかなと。

 それから、安い機器を入れたため使えないというので一番多いのが、1つが金属探知機、それから真空包装機です。金属探知機はハンディタイプのものを入れられているケースが結構あったりする。これだと大きな銃弾は確かにとるのでしょうけれども、金属片とか何かがある。

 あと、前回もお話ししたと思うのですけれども、捕獲で撃って、半矢で逃げてしまったものを撃ったときに、それが肉についたりしているケースを実際に私は見たことがあるのです。やはり安い金属探知機を買ったために性能がよくないということ。

 真空包装機は、やはりお金がないので小さいのを買ったら、大きいブロックが真空パックできないというようなことも出ている。だから、何を処理して何をどうやって売るのかということによって違いをきちんと見定めなければいけないのかなということです。

 逆に、処理頭数に見合わない大きな機械。これは公的資金を入れているところに結構見られるのですけれども、1,000頭ぐらい処理できそうな施設を入れて、実際は200頭ぐらいしか処理できないケースもあるということです。

 それから、保管です。一番大きな問題は、多くのところで売れ残った肉、特に部位が在庫となってたまっているということがあります。

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 最後ですけれども、流通販売についての課題というか現状を簡単にまとめてあります。流通販売というと、地域内流通と大都市流通と量販店流通、大きく言うとこういうくくりで、それぞれ若干ずつつながっているということで輪を重ねております。

 地域内流通のメリットは、地域の活性化、特に地元の飲食店とかで使ってもらうということ、あと、6次産業化と結びつけた取り組みをされているということがあるのですけれども、デメリットとしては、消費量がどうしても少ないということで、部位の偏りがすごく多いということがあります。

 大都市流通というのは、目の前に北海道の課長さんがいらしてますが、特にエゾシカの場合が模範例だと私は思うのです。大都市の東京でどんどん販売されている。これは前からされていますけれども、大都市流通です。これはメリットとして、地元でやるよりも大量に消費できるということで、ブランド化して売っていけるということがあると思うのです。北海道の場合はわからないですけれども、往々にしてあるのが、流通コストが結構高くかかっているということで、大量になるだけに需給バランスをどうとっていくかがなかなか難しいということが出ています。

 量販店の流通は、東京都内ですとJR東日本でされていますけれども、大量消費とかブランド化というメリットは同じですが、デメリットは製造コスト。量販店の場合、とにかく安くなければだめと言われるので、現場の処理施設の価格となかなか折り合わないということで、製造に係るコストが高くて、これがすごく大きなネックになっているということと、同時に、量が多いだけに需給バランスが。1つの処理施設だけではなかなか対応できないといった課題があって、地域内、県内全体でまとまっていかないと、そういうところに対応できないという課題があろうかということです。

 以上、私からの説明を終了させていただきます。

○品川座長 どうもありがとうございました。

 次に、北海道のエゾシカを処理されている問題、千葉のイノシシの処理の問題、これらはいずれも関連がありますので、これらの話していただいた後、質疑を行いたいと思います。

 それでは、早速、北海道の坂下構成員、よろしくお願いいたします。

○坂下構成員 座ったままで説明させていただきます。

 私、北海道のエゾシカ対策課で有効活用を担当しております坂下と申します。よろしくお願いいたします。

 北海道では、エゾシカ対策の一環で有効活用に取り組んでまいりました。その中で、エゾシカ肉の衛生処理マニュアルが必要になった背景とか、取り組んできた内容、経過を御説明申し上げて、最後に、これから作成されるガイドラインについての要望等をお話しさせていただければと思います。

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 まず、エゾシカの有効活用を進めるようになった事情、背景を先に皆さんに御理解いただきたいと思いますので、雑駁ですけれども、道内におけるエゾシカの生息状況を簡単に説明させていただきます。

 北海道のエゾシカは、明治初期の乱獲と大雪で一時は絶滅の危機にありましたが、保護対策をとってまいりました結果、生息数は順調に伸び、この30年で急激に増加しました。平成22年度は65万頭というところまで上がりました。ということで、平成22年度までですが、エゾシカ緊急対策期間を置いてエゾシカの生息数の増に対する抑制の強化を進めてまいりました。この対策を進めてまいりましてからは、図でありますけれども、減少傾向へと転じるようになりました。数値は一昨年ですが、25年度も56万頭ということで、今のところ減少のほうに向かっています。

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 次に、エゾシカの捕獲数とエゾシカによる農林業被害額の推移でございます。図表類は、データの集計中のものがありますので、24年度の数値で御理解いただきたいと思います。折れ線グラフが農林業被害額です。捕獲数が棒グラフです。小さいので恐縮ですが、被害額が平成8年、9年あたりに50億を超えました。対策効果が出まして一度下降したのですけれども、平成2223年のあたりで60億を超える被害額が出まして、対策が待ったなしという状況になりました。

 平成24年度の捕獲数についてですが、エゾシカ緊急対策期間という強化期間を以って進めてきたところ、年度内捕獲数が14万を超えるという最大捕獲実績を上げることができました。

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 次の図表ですが、有効活用に関するエゾシカ肉の処理状況です。北海道では、ハンターの捕獲のインセンティブを向上させることができるよう、捕獲したエゾシカを食肉として有効活用することの取り組みを並行して推進してきました。その結果、平成24年度は食肉処理場に搬入されたエゾシカは2万4,000頭を超えています。下に書きましたが、参考までに、道内でと畜・解体される綿羊、ヤギの約5倍の数値になっています。一方では、と畜場法で厳しい管理を受ける綿羊等であるのに対して、エゾシカ肉がと畜場法の対象外という状況は、先ほどのお話にもありましたが、同じく市場経済で流通されている食肉として消費者に届けるという観点におきましては、その違いについて疑問を投げかけられることがしばしばございました。この辺に関しては後段で詳しく説明申し上げたいと思います。

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 以上の経過を踏まえまして、エゾシカの衛生処理マニュアルの策定になったのですけれども、道では、先ほど申し上げました平成9年度、被害が大変多く上がったころになりますが、本格的にエゾシカの総合対策を開始しました。9年度には道東地域、12年度からは全道地域に係る保護管理計画を策定しました。

 有効活用に関する検討といたしましては、平成9年度に庁内組織をつくり、13年度においてはワーキンググループをつくりました。そして、17年度、外部委員で構成する有効活用検討委員会を設置しています。この間、議会議論もありまして、捕獲したエゾシカを資源として有効活用することにより、捕獲物の処理負担を軽減するとともに、北海道の産業興しに結びつけていくことを目指すという政策方針が出されたものです。

 下の箱のほうですが、一方、民間では、学識経験者、獣医師会、自治体、事業者等によるエゾシカ協会が平成11年度に発足しまして、13年度には流通するための体系整備について、15年度には野獣肉の処理法、衛生基準の検討に関する要望が道に出されています。

 このエゾシカ協会は、現在、エゾシカ肉認証制度を担っている団体であります。

 このような経過がございまして、食品としての付加価値を高めるため、マニュアルに基づく自主的な管理体制が必要だということで、平成1810月、エゾシカ衛生処理マニュアルを、食品衛生を担当する保健福祉部と私ども環境生活部とともに作成したところでございます。

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 捕獲したエゾシカ処理の流れを、エゾシカ衛生処理マニュアルでまとめております。基本的にはと畜場法で行われている方法と同じです。エゾシカ肉処理場ではこのマニュアルに沿って進めてもらうように指導しています。銃による捕獲、生体搬入、それから共通工程としてのものを右に掲載しています。各作業工程に準じて、その処理方法の内容、ポイント、確認事項等を掲載しており、エゾシカの捕獲時の個体記録や異常確認結果、措置内容の記録などを策定することにしています。

 詳細については、皆様のお机の上のガイドラインの冊子とか、前回1回目の検討会の資料が事務局で整理していただいた内容になっておりますので、細かい説明は今回は省略させていただきます。

 下のほうに2点書かせていただきました。話題になっている野外での内臓摘出についての北海道の取り扱いですが、道では、腸管破裂や外皮、土壌等からの微生物等によって枝肉が汚染されるなど、公衆衛生上のリスクが高まること、野外では、誰がどのように内臓を摘出したか不明なこと、疾病の判断は内臓も見て判断することが必要ということで、内臓の野外摘出には問題が多いと考え、昭和55年、先ほど申し上げた食品衛生担当の部局ですが、保健福祉部が策定しました野獣肉の衛生指導要領に基づきまして、捕獲個体のまま食肉処理場の許可施設に搬入するよう指導を続けております。

 2点目は、捕獲してから処理場に搬入するまでの時間に関してですが、前回この検討会で私が発言を申し上げましたところを修正させていただきます。大変失礼をいたしました。道においては、処理場までの搬入にかかる時間の規定はございません。平成17年度にエゾシカ捕獲物処理基礎調査を行いまして、そこで実施した食味官能検査の結果に基づいて、処理事業者さんは捕獲して2時間以内のもののみを食肉として買い取るというルールを独自に設けているところが多いという実態がございます。搬入までに時間を要した場合はペットフードまたは廃棄となります。

PP

 これまで状況を急ぎ説明してまいりましたが、平成18年からマニュアルを運用していて、私どもで出会ったいろいろな課題、そして取り組んできた内容を少し御説明させていただきます。

 まず、1点目ですが、マニュアルには、当然、強制力がありません。法令に根拠があるものではありません。先ほど猟友会会長からのお話にもありましたが、エゾシカ対策の一環として進めてきた有効活用の状況では、エゾシカの処理事業者はそれまで食品の製造・加工にかかわった経験のない方が多く、食品の安全確保、衛生管理に関する基本的な理解を広めるための努力が必要でありました。

 2点目は、と畜場法等に代表される家畜や家禽等に要求される衛生管理とのギャップの問題でした。特にと畜検査員という専門家の検査を受けないという状況が大きな壁になりました。ここで昨年度から私どもで行っている自主検査モデルを説明させていただきたいと思います。

PP

 これまでエゾシカ肉の安全性を高める目的で、マニュアルだとかHACCP、認証制度に取り組んでまいりましたが、右手の端っこのほうにありますけれども、大手のバイヤーとの商談などでは、と畜検査と同様の検査があればいいのに、または、道のマニュアルを遵守しているといってもセルフチェックだけでは不安だということで厳しい指摘をいただいてきました。このことから、専門家による疾病の排除システムの確立が今後において必要になると判断しまして、三角形の右下ですが、大手のエゾシカ肉の処理事業者さんで結成されているエゾシカ食肉事業協同組合、それからその左手の道のと畜検査員のOBの獣医師で結成されたエゾシカ検査アドバイザー獣医師協議会ですが、それと道の三者で昨年10月からエゾシカ検査のモデル事業を実施しています。この事業で異常を疑う事例が発見された場合は道内の獣医師系大学、あるいは国の皆さんに病理検査等の御協力をいただくこととさせていただいています。

 具体的にどのようなことかというと、食肉事業協同組合とアドバイザー協議会の間で契約を結びます。エゾシカの処理場に獣医師が派遣され、と畜検査と同様に、生体、内臓、枝肉の目視を行って、エゾシカの異常の有無や個体の処理について専門的な立場から助言を行うというものです。この助言を私どもモデル事業では検査と呼んでいます。道はこのコーディネートの役割でございます。費用は食肉事業協同組合さんの負担で、現在まで、処理場1カ所、今後2カ所になりますが、週1回程度で行っています。精密な病理検査を必要とした事例は発生していません。この取り組みについて大手スーパーさんの評価を受け、取引が実現したものはありましたが、基本的にと畜場法との溝を埋めるものにはなりません。獣医師に法的な権限はなく、契約上の助言をするという立場にありまして、個体の処理、施設改善は組合員の皆さんに責務があります。

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 先ほどの問題点の中で感じたところの3点目ですが、マニュアルの遵守状況を確認する制度がないということでございます。法的がないので、利用者側、消費者側にもありません。各自治体さんも検討されているところですが、北海道の場合は第三者認証というものを行っています。

 4点目は、エゾシカの病理に関する情報が不足しているということです。

 このようなことから、取引の商談相手に明確な説明ができないという状態になりまして、今後、有効活用を進める場合、どこの自治体さんもこのような場面に直面するのではないかと実感しています。

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 このような状況の中で、これまでどのような監視指導等に取り組んできたのかということも求められておりましたので、取り上げてみました。まず1つは、平成23年から年に100頭以上の処理を実施する施設を対象に、食品衛生法の所管する保健所と私ども環境生活部門で合同に監視指導を行っている。それから、昨今、処理施設がふえましたので、平成23年度,衛生講習会を実施しました。そのほか、北海道HACCPの自主衛生管理認証制度に積極的に取り組むよう指導しております。

 また、狩猟者に対しては、狩猟免許講習のときを活用して、人獣共通感染症や生食のリスクについて講義をしています。

 一方、エゾシカならではの監視指導の難しさがあります。先ほど佐々木会長からもお話がありました狩猟の時期が冬期間に集中します。また、搬入が日の出直後という状況もあって、極寒期の早朝ということで、実態に即した丁寧な監視となりますと大変厳しい面があるのではないかと思います。また、基本的に監視は事前連絡なしの抜き打ちでございますので、その日によってはエゾシカが搬入されていないこともあります。

 一番下には、事業者みずからも衛生管理について検査を深める活動も起きているということを紹介させていただきました。

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 最後のスライドになります。早口で申し上げて恐縮ですが、今回の国のガイドラインに期待するものということで幾つか列記させていただいています。

 1本目は、科学的な情報を活用したわかりやすい内容にということですが、これまでの野生鳥獣肉の安全性等に関する各種の調査結果を踏まえて、その内容を反映した形にしていただきたいということです。例えば、野獣肉には家畜の肉と違ってこんなリスクがあるとか、科学的にはこのような状況だから処理の工程はこういうところをポイントとしなければいけない。これまでの情報が少なかったという経過もあるのですが、当事者、関係者が理解をしやすい内容にしていただければと思います。また、最新の研究結果を全国に周知いただいて、各地のマニュアルの充実や野獣肉の衛生管理のレベル向上につながるようにしていただきたいと思います。科学的なリスク管理のもとでガイドラインを事業者に守らせているのだということが市場の納得に結びつくのではないかと考える次第です。

 2点目は、食品としての安全性確保を重視した内容に議論を進めていただきたいということです。活用のしやすさに配慮したガイドラインになりますと、一度どこかで事故が発生した際には野獣肉のニーズは簡単に吹き飛んでしまいます。このようなことから、技術的な助言のガイドラインであれば、食品としての安全性確保を重視した内容にすべきと考えます。

 野外の内臓摘出に関してもここで整理が必要ではないかと思います。私ども北海道の食品衛生所管の考え方を申し上げると、食品衛生法施行令の食肉処理業がとさつ、解体、分割、細切を行う営業ということがあれば、この解釈の中で整理をいただきたいということを申しておりました。

 加えて、私、有効活用、販売促進を進める立場からですと、消費者は清潔な施設内で解体した肉を望むというのは判断の余地がないところでありまして、そういう状況にありながら、市場で処理の違いのあるシカ肉が並ぶという状況、選択をすることができないという状況は、消費者の信頼を得ることが難しいのではないかと考えます。

 3つ目は、これはエピソードにも近いのですけれども、ガイドラインを遵守したら食品としての安全性が一定程度担保できる内容に。当たり前のことと思われるかもしれませんが、道内で早い時期に学校給食として採用していただいたところ、学校給食はきめ細かな配慮のもとにつくられているところではありますが、このエゾシカ肉の栄養の効果といいますか、認めていただいても、その不安感から、当然、白衣から何から全てですが、調理ラインを完全に別にしたというようなことも当時あったと聞いています。現在はこのようなことが行われているか確認されていませんが、そういう不安感というものがある。そういうものを払拭する内容になっていただければと思います。

 3つ目の★です。全国における野生鳥獣肉の安全性、信頼を確保するためには、私どもを含めて自治体独自で試行錯誤と申しましょうか、いろいろと検討してきた検査体制、資格制度というものについて、その中で実効性のあるものについては、公衆衛生上、国として制度化し、必要な指導助言、また支援を行っていただきたいということで、これは要望であります。

 現行の制度上、と畜場法等の対象との違いというものは、安全性重視に取り組む事業者の費用負担の面でも現実的な問題をはらんでいることもありますので、この辺も御検討いただきたいと思う次第です。

 4点目は、国のガイドラインの内容ができ上がった暁には、確実に遵守され、衛生管理が徹底されるように実効性のある普及策をということで、各自治体の保健所が食肉処理業の許可施設に対し、保健所の周知徹底ができるような内容で積極的に指導を進めていただきたいということです。

 皆さんも繰り返しおっしゃっていましたが、現在、飲食物はインターネットで簡単にどこからも入手できます。私どもも、先ほど大都市型と言われましたが、大都市と地域と両方やっています。その上にまたインターネットでいろいろなところからも皆さんが入手できるようになりまして、野生鳥獣肉に関して特性や生息状況、処理制度の違いを十分に理解されている方々ばかりが利用するとは思われません。全国的に一定の衛生レベルが確実に維持されることが重要なのではないかと思っています。

 ジビエが珍重されるようなことになりましても、食品である以上、市場では一定の衛生面、安全面管理が担保されているという基本があってのことで、その上で、生産地域やその個体の魅力が評価されて、捕獲動物の活用が図られていくものと実感しています。

 最後になりました。マニュアルには直接関与しないのかもしれませんが、表示事項に中心部まで加熱して喫食する旨の記載について検討いただきたいということです。生食をしないことというのは指導の範疇であるために、現場では大変苦労しています。このたびの厚生労働省さんの審議会・部会の中でも、食肉等の生食に関する調査会で野生鳥獣肉の生食のリスクは高いとされたと承知しております。ぜひ、今後、この検討会の趣旨にもありますように、可能な限り食肉利用していくことを目指す状況下にあっては、ガイドラインにおいても生食禁止について御検討いただきたいと考えます。

 ちょっと急ぎ足で早口になりました。以上で終了させていただきます。

○品川座長 ありがとうございました。

 ディスカッションの時間がだんだんなくなってきました。次に移りたいと思います。

 千葉県のイノシシについて、水田構成員からよろしくお願いいたします。

○水田構成員 千葉県の水田と言います。私は、健康福祉部衛生指導課というところでと畜場また保健所等で飲食店等の指導をしている立場の者であります。

PP

 千葉県の野生鳥獣による被害の状況ですけれども、平成12年をボトムに、特にイノシシについては15年からどんどんふえていって、15年以降、1億円以上の被害があって、この状況から、県としては野生鳥獣対策を本格的に進めなければならないということで、平成19年に対策本部を設置して全庁を挙げて取り組んでいるところです。

PP

 この対策本部では、防護プロジェクト、捕獲プロジェクト、生息環境整備プロジェクト、それと資源活用プロジェクト、この4つのプロジェクトチームを立ち上げて具体的な対策に取り組んでいます。この資源活用プロジェクトの中で、イノシシの肉を有効活用していこうというところで、私ども衛生部のほうに千葉県イノシシ肉に係る衛生管理ガイドラインについて策定していただきたいという要望があって、平成20年に策定しております。

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 このガイドラインの概要ですけれども、この処理施設については、食品営業許可施設、特に食肉処理業の許可を得ている施設となりますので、そこにこのガイドラインではと畜場の衛生管理基準等を盛り込んで、構造設備については、83度以上のお湯が出ること、剥皮を行う場合には解体室を設けることというような内容を盛り込んであります。

 また、衛生措置に関する基準としては、このガイドラインでは、特に狩猟者に遵守すべき事項ということで3点。単弾を使用して散弾は使用しないこと、放血に使用するナイフ等は使用する直前に消毒すること、解体は処理施設内で行い、狩猟現場等、屋外では行わないこと。これは、内臓摘出は処理施設で行ってくださいという内容のものであります。

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 次に、処理業者が遵守すべき事項として、ここには6点記してあります。(1)として、と体の搬入、解体前の記録等について、捕獲の日時、場所、性別、体重、個体番号等について記載をして2年間保存してくださいという内容ですとか、(4)にいきますと、腸内容物、獣毛等による汚染についてはトリミングをしてください、また(5)として、イノシシ肉の処理衛生管理者を設置してください、また製品の自主検査も定期的に行ってくださいというような内容が書いてあります。

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 先ほどのイノシシ肉処理衛生管理者につきましては、県が行う講習会を受講することを要件としているものです。ここの下のほうに、イノシシ肉処理施設の食品衛生責任者であり、これは食品衛生法に基づく食品衛生責任者の設置ということで、この者であって、県が開催する講習会を2回以上受けた方ということになっております。

 対象としては、狩猟者、飼育者、処理業者、イノシシ肉の処理に携わる方たちに講習会を受けていただくこととしております。

 その内容につきましては、科目としてありますように、ガイドライン、解体解剖実習、公衆衛生、その他の衛生管理に関する内容を1日かけて行っています。これにつきましては毎年開催しておりまして、平成20年の初期のころは処理を行う施設の方たちしか参加していませんでしたけれども、22年以降徐々にふえてきまして、25年は92人参加しています。その内訳としては、狩猟者の方が54名で約6割、処理業者の方は19名で約2割という内容の構成になってきております。

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 千葉県は、福島の原発事故に伴い放射性物質が飛散してきている地域で、きのこ類等におきましても出荷制限等がかかっている地域もございます。このイノシシにつきましても、地面に生えている草、きのこ等を摂食するために、放射性物質を体内に取り込んでしまっているものがあります。平成24年には放射性物質が100ベクレル以上検出されるイノシシが出てしまい、現在出荷制限がかかっていますけれども、その出荷制限を解除していただくために、地域を指定し、また全頭検査を行うことによって、今、イノシシ肉の出荷について認められている状況です。

 そうした状況の中、私どもで食肉としているイノシシについてですけれども、まず、捕獲したものでなければならないという条件が1つあります。捕獲したものについて、捕獲者から施設に携帯で電話連絡がありまして、その情報を得た施設の者が市、町の担当職員を同行してその現場に赴いて、その市、町の職員がいるところで、とめ刺し、血抜き等を行って処理加工施設に搬入していく。その後、解体が進んで、肉について市、町による全頭検査、スクリーニング検査を行い、50ベクレル未満の者については出荷を行い、50ベクレルを超えるものについては県によるゲルマニウム半導体検出器で検査を行って、100ベクレルを超えるものについては廃棄をしていくという形でやっております。

 平成25年2月からこういった放射性物質に対応する検査を行っております。現在、25年2月以降、26年6月までに190頭について検査を行って、100ベクレルを超えるものが4頭出て、それらについては全て廃棄しているという状況です。この放射性物質の関係で、本来ですと県内では780頭処理する能力があるところですけれども、こういった頭数にとどまってしまっている状況です。

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 次に、県内にありますイノシシを専門に行う処理施設について、その処理の流れについて御説明したいと思います。

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 この施設につきましては、イノシシ専用の処理施設で、平成18年から稼働し、年間処理能力は130頭あり、その処理したものについては道の駅で販売をしております。また、この道の駅ではイノシシ肉を使った料理も提供している状況です。先ほど自主管理について御説明しましたけれども、ここでは10頭処理するごとに枝肉のふき取り検査を行っているという状況です。

 こちらの写真が捕獲箱に入ったイノシシです。

 これは先ほどの放射性物質のところでも説明しましたけれども、捕獲者から電話連絡を受けて、町の職員の立ち会いのもとでとめ刺し等を行って処理施設に持ち込んでいくものです。

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 これは保冷車の写真でございます。放血されたイノシシは冷却設備つきの車両で処理施設まで搬送されます。この車につきましては、マイナス15度まで冷却が可能な施設となっております。それから、肉が傷むのを避けるために保冷車まで赤いそりの上に載せて移動していきます。

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 こちらの施設の平面図ですけれども、赤く囲っている枠の部分が解体室となります。左側の部分が処理室となります。こちらには83度以上のお湯が出る給湯器が備えられています。

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 こちらは解体室の写真です。こちらで内臓摘出から剥皮までの処理を行います。

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 給湯設備の写真で、器具容器の消毒に用いるため、83度以上の温湯を供給することが可能なものです。

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 イノシシを懸吊しているところの写真です。内臓の摘出は施設内で行い、摘出後、股かぎで懸吊します。股かぎには体重計もついております。こちらの股かぎの部分の手をごらんいただきますと、手のところには合成樹脂製の手袋を使用しています。ガイドラインでは軍手使用禁止としております。

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 剥皮台の上に載せたイノシシの写真です。懸吊状態から専用の台の上に寝かせて剥皮処理を進めていきます。

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 処理前に、83度以上の温湯でやすり等の消毒を行います。処理作業中に汚染があった場合には、その都度洗浄消毒をすることとしています。

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 剥皮処理の写真でございます。可食部が外皮に触れないように丁寧に処理をしています。

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 四肢の除去を行っているところです。頭及び四肢については食用にしませんので、廃棄としております。

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 剥皮の状態です。最終的な剥皮につきましては、懸吊状態で背中の部分を剥いでいくというようになっております。

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 これは背割りというもので、脊柱の部分を割って、解体しやすいような形にしていきます。その際、床に肩、足が触れることがないように注意しながらやっております。

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 枝肉の洗浄風景です。洗浄前には、目視で獣毛の付着等の確認、また付着があった場合にはナイフでトリミングを行います。

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 冷蔵庫内の枝肉の写真です。洗浄後の枝肉は10度以下で冷蔵保存することとなっております。

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 枝肉のカットの写真です。カット処理につきましては、食肉処理施設で行うこととしています。この際、獣毛を確認した場合にはナイフでトリミングを行っております。また、商品にならない部分の肉について放射性物質の検査に使用しております。

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 内臓処理の風景です。こちらでは舌と心臓を食用として使用しています。それ以外のものについては全て自主廃棄という形で行っています。心臓については、と畜検査と同様に疣贅性心内膜炎の確認を行っていただいております。

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 部分肉の真空包装の風景です。

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 表示の写真ですけれども、この表示には、生食用でない旨、十分加熱してから食べる旨、それから、イノシシの個体番号、ロット番号と、放射性物質検査済みである旨の記載がございます。

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 監視指導につきましては、保健所において食肉処理業者、一般の業者と同様に、年1回以上の監視を行っております。

 次に、策定後に困った点としましては、イノシシに関する病気の情報が少ないということから、事業者等への啓発がなかなか難しい状況です。それと、現在は放射性物質の検査の確認関係で内臓がと体に入ったまま搬入されていますけれども、それ以前は、内臓が野外で取り出されて搬入されたという状況もあったと聞いております。また、千葉県では、現在、鹿肉の処理は一部行っておりますけれども、こちらのガイドラインが未整備だということが現在の問題点として考えられております。

 ちょっとはしょりましたけれども、以上でございます。失礼しました。

○品川座長 どうもありがとうございました。

 座長の進め方が悪く時間が迫ってきました。次回から具体的に検討を行う最初の捕獲、狩猟段階から、これらを処理する段階、また実際に販売、調理段階まで対応しなければいけません。そこで次回にどういうことについて検討するかという点について、ことについて事務局から説明していただき、皆様から質問を受けたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、資料3をごらんください。

 厚生労働科学研究の中で各自治体のガイドラインを分析していただいておりまして、その中から、ガイドラインに必要な具体的な検討項目ということで、今回、項目だけ抜き出させていただきました。先ほど議論の中で、どこにリスクがあるのかといった話もございましたけれども、まさにそういった部分にもつながってくるのかと思われます。

 具体的な検討項目としまして、1から5まで、狩猟、運搬、食肉処理、加工及び販売、消費といった5段階に分けて記載してございます。

 1つ目の狩猟につきましては、まさに野生鳥獣が生きている段階の挙動、これは家畜でいえば生体検査に相当するようなものだと思いますけれども、そういった部分においても異常の確認が必要ではないか。また、どういった狩猟方法であれば食用とすることが可能なのか。また、屋外で放血ですとか内臓摘出をする場合、どういったことに注意すればよろしいのか。また、狩猟者自身も食品を取り扱う事業者の一部と考えまして、狩猟者自身の体調管理、またその狩猟者が野生鳥獣から感染症にならないといった対策も必要ではないかということで項目として挙げています。

 2つ目の運搬につきましては、これまでの議論にありましたとおり、時間をどうするかとか、外気温も含め、どういった状況であれば運搬できるのかということでございます。

 続きまして、2ページ目の食肉処理施設における取り扱いです。まず、施設設備に関してジビエ振興協議会からもございましたけれども、どういったものが必要なのか、また、食肉処理施設がその狩猟されたものについてどういったものを受け入れるべきなのか、受け入れる際に何を確認すべきなのかということも論点の一つかと思います。第1回目でも、携帯で撮った写真を活用できないかといった意見もございました。

 続きまして、食肉処理場の中で解体していくわけですけれども、その解体の際に異常の有無についてきっちり確認する必要があるのではないかということで、それも項目として挙げています。また、剥皮、背割り、洗浄など、通常の工程ごとにどういった点に気をつけるべきかということで、その際、残された銃弾がないかの確認も必要ではないかということでございます。

 また、加工・販売時につきましては、ここでも仕入れる際にはきっちり情報を確認すべきではないか。トレーサビリティーの話がございましたけれども、どういった情報を確認すべきなのか。また、調理器具の洗浄ですとか、当然、調理する際には十分な加熱が必要であるということについても留意すべきではないか。

 最後に、消費の段階でございますけれども、家庭で調理する際には調理器具の使い分けですとか、当然、十分な加熱が必要であるといったことが論点になろうかと考えております。

 最後、3ページ目、その他関係者による取り組みということで、きょうも議論がございましたけれども、関係団体におかれましても、会員に対する研修ですとか、任意の資格制度の創設などが大事なのではないか。

 都道府県における取り組みに関しましても、その事業者に対する指導、消費者に対する普及啓発をどうしていくのか。

 最後、国における取り組みでも、自治体に対する研修、消費者に対する普及啓発、健康被害の把握といった点を挙げてございます。

 以上でございます。

○品川座長 どうもありがとうございました。

 ジビエを生産する一番川上で最も番大事な段階である狩猟の問題について、どこまで検討するか。次には、狩猟獣を処理場に運ぶための衛生的な問題、処理場における問題、そして先ほど説明がありました加工なり販売での問題、これらについてどのように対応するのか。これらについて先ほど説明されましたが、ここで聞いておきたいという質問がありましたら、少し受けたいと思います。余り時間がありませんので、そんなに多くは受けられませんが、よろしくお願いします。

 どうぞ。

○梶木構成員 先ほど北海道さんのお話にもあったのですけれども、食品衛生法におきましては、基本的に野生鳥獣のとさつや解体をするのは食肉処理業で行わなければならない。施設基準もあるし、許可が必要だということで理解しているところです。その場合、食用にするイノシシや鹿について、狩猟の現地で内臓を出すということは、これは解体に入るのではないかと私は理解していたのですが、現実としてそういうのを出しているところがある。また、それをどう整理するのかというところが今後の議論になるのかもしれないのですが、そこについて、食品衛生法上、それが認められるのかどうか。そこが一番気になっていまして、そこを解決しないと先に進まないのかなという心配もございますので、そこについては一回整理していただけたらと考えております。

○品川座長 これについては狩猟の最初の段階あり、その点についてはきちんと表現しておかなければなりません。この検討会では、安全で衛生的なジビエを食するには皆さんがこうしてほしいとか、こういうことに注意して生産しなければならないとかを、それぞれの構成員が考えていただき、それらのことを織り込んだガイドラインの作成が必要です。消費者に対し安全なものをどのように提供することができるのかが重要です。それぞれそれの立場からを判断していただき、ガイドラインにそれらの内容を織り込んでゆければと思います。それゆえどんどん意見を言っていただきたいです。

 まず、議論の流れとしては、ここに示された順序により次回から具体的に進めていきたいと思います。そのときに、本日話されたこと、また、各自治体でガイドラインやマニュアルを作成されたことを参考にしてまたどのような科学的な根拠に基づいて作成されたのかなどをガイドラインに織り込んでいくことになろうかと思います。積極的に発言していただければと思います。

 これは座長の責任でありますが、会議の時間ですが、時間がなく十分な論議ができませんでした。次回から本格的に議論を進めたいと思います。もう少しこういうことを検討しなければならないという項目についてですが、事務局から提出されました以外に取り上げなければいけない項目について、それらを提案していただきたいです。

 専門家の構成員もおられますので、それぞれの立場から、寄生虫、細菌、またウイルスの問題について、どのようにしなければいけないとか、また病原体が見つかったときはどのように対応するのか。特に野生獣には寄生虫が非常に多いと言われていますから、これらについてどのように対応するか、内臓から見つかったとき、食肉部分はどのようにするのかの判断もガイドラインに織り込んでいかなければならないと思います。

○佐々木構成員 1つだけいいですか。

○品川座長 どうぞ。

○佐々木構成員 これは非常に悩むのですが、もともと家畜流通というのは、今の商業ベースのものというよりは、自家消費という話を言ったのですね。例えば、今回のこの議論の中で、自家消費と、こういう市場に出回るものと一緒にするのか。それとも、自家消費はいいと。これはまさに我々の文化ですから、それまで。昔、家畜でも、家で飼っていた豚などは自分でとさつしてもよかった。今はと畜場法ができて、それができない。あるいは鳥もそうです。そういう部分について、一つの文化でもあるので、私はこの辺は猟友会として守らなければいけない圏域でもあるのだろうと思います。この辺の議論もひとつしっかり。

○品川座長 そうですね。基本的には、今までは狩猟者が狩猟して食べることについては事故があっても自己責任であり、それを文化と言うのなら文化ですが、ここで我々が作成するのは、そういうものを消費者に提供することに対して安全で衛生的に行わなければならないということを考えなければならないです。

○佐々木構成員 そうしていただければ大変ありがたいと思います。

○品川座長 ほかに何か御意見ございませんか。

 今、構成員方もこの検討内容を見ていただき、次回から積極的に提案していただければと思います。議論の中でガイドラインにきちんと載せていったほうがいいということであればそれを記載していきたいと思います。これについて難しいのは、実際には食用として供するという方向であり、全部排除するということは難しいし、全部食用してもいいということでもありません。これらについてどうしたらいいのかということを皆さんから意見を出していただき、まとめていかなければならないと思います。次回から、事務局からある程度たたき案も出てくると思いますので、それに従って進めたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 今回説明していただいた方への質問は、次回の検討中にも出されると思いますけれども、そのときにまた質問してください。

 進め方が悪くて申しわけありませんでした。時間がなくなり、一応5時までということでしたので、これで終わりたいと思います。

○事務局 きょうの検討会の目的は、実態をいろいろ報告していただいて、構成員の先生方に共通認識を持っていただこうということでしたので、詳しい説明をいただいて大変よかったと思います。望むべくは、この論点メモでいろいろな意見を伺いたかったのですが、この点につきましては、また次回もございます。次回は、ガイドラインの骨子とか、内容も少し含めたものを事務局で用意させていただいて、そのためには、先ほど梶木構成員からお話がありましたように、法的な整理がどうなるのかということも整理した上で具体的なガイドラインを提示させていただいて、それをもとに、たたき台という形になると思いますけれども、御議論をいただければと思っております。きょう意見があったのにということであれば、後ほど事務局のほうにメールとか電話でお知らせいただければ、それも含めた形でたたき台を作成したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○品川座長 本検討会では時間が2時間というのは短いので十分議論ができませんので、3時間ぐらいとっていただきたいです。せっかく出席していただいても十分に意見を言っていただきたく、難しい議題ですので、議論を深めていきたいと思いますので、よろしく配慮をお願いします。

○事務局 承知しました。次回については、また皆様方の御都合をお聞かせいただいて、時間の配分も少し検討したいと思います。

○品川座長 またガイドラインの、たたき台がある程度練られましたら、初めに配付するなりして見ていただければ、もっと早く進められますので、よろしく、次回からは具体的に議論しますので構成員の皆様はできるだけ万象繰り合わせて出席をお願いします。これは座長からのお願いであります。

 きょうは、皆さんどうもありがとうございました。

 これで事務局に返しますけれども、よろしいですか。

 では、これできょうの検討会を終わります。

 皆さん、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部監視安全課

小西、石亀: 03-5253-1111(内線2454)
03-3595-2337

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