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2013年2月22日 第3回がん診療提供体制のあり方に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年2月22日(金)


○場所

厚生労働省 低層棟2階 講堂(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1 開  会
2 議 題
  (1)今後のがん診療連携拠点病院のあり方
  (2)その他

○議事

出席構成員:北島座長、今村構成員、緒方構成員、神野構成員、佐々木構成員、篠構成員、中川構成員、西山構成員、堀田構成員、横山構成員、吉川構成員

○岡田がん対策推進官 それでは、定刻より少し早いですが、構成員の皆様方にお集まりいただきましたので、ただいまより第3回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」のを開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。事務局の健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官の岡田でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、伊藤構成員、平岡構成員、松月構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、以後の進行を北島座長、よろしくお願いいたします。
○北島座長 それでは、これから第3回の検討会を開催させていただきたいと思います。本日も構成員の皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から資料の御確認をお願いしたいと思います。
○岡田がん対策推進官 では、以上をもちまして撮影は終了して、カメラをおおさめいただきますよう御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元にお配りしております資料の確認をよろしくお願いいたします。
 座席表
 議事次第
 資料1 第2回検討会での議論(概要)
 資料2 今後のがん診療提供体制のあり方について(案)
 資料3 拠点病院要件の見直しの論点
 資料4 拠点病院要件と基本計画の拠点病院に関する項目一覧
 参考資料1 第2回検討会での主な意見
 参考資料2 拠点病院の現状
 参考資料3 がん対策推進基本計画
 参考資料4 がん診療連携拠点病院の整備に関する指針
 参考資料5 がん診療連携拠点病院指定一覧
 参考資料6 検討会の今後の論点及び進め方
 参考資料7 質の高いがん医療を提供するための拠点病院のあり方について
 また、本日御欠席の伊藤構成員より御意見をちょうだいしておりますので、机上に配付させていただきました。
 資料に不足・乱丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上でございます。
○北島座長 ありがとうございました。
 資料に特に欠落等々がございませんでしたら、本日のお手元の議事次第にのっとりまして会を進めさせていただきたいと思います。
 まず、本日の議題1でございますが、今後のがん診療連携拠点病院のあり方から入っていきたいと思います。事務局より、資料1「第2回検討会での議論」と、資料2「今後のがん診療提供体制のあり方について」の説明をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、資料1、資料2について説明をさせていただきます。
 資料1「第2回検討会での議論(概要)」ということで、前回がん診療提供体制について多くの御議論をいただいたわけですが、その詳細については参考資料1につけておりますので適宜御参照ください。
 まず、前回の検討会で事務局より3つ御提案をさせていただきました。1つ目が、拠点病院の機能を高めるとともに、拠点病院のない地域のがん医療を充実させるため、医療機関単独での視点のほか、拠点病院との群指定を検討してはどうかということで、?準がん診療連携拠点病院、これは2次医療圏に拠点病院のないところを中心に指定してはどうかということで、この準がん診療連携拠点病院との群指定。それから、?特定領域で高度な診療機能を持つ医療機関との群指定ということを御提案いたしました。
 この御提案の結果、検討会での主な意見としては、まず「準」という名称を見直すべきという御意見を多数いただきました。
 それから、準拠点病院については、拠点病院との上下関係ではなく、役割分担であると。特に、後方連携の期待される役割が大きいのではないかという御意見でした。
 3つ目が、がん診療は2次医療圏では完結しないと、大きな研究機関等を中心とした拠点病院で診療した後、地域の準拠点病院で治療を行う方が患者にとって便利ではないか。
 それから、地域連携を拠点病院のシステムに組み込み、位置づけをはっきりさせることで国民にもわかりやすい仕組みになることが期待される。
 こういった御意見をいただいた一方で、地域の実情に応じた柔軟な制度とするべき。
 それから、特定領域で高度な診療機能を持つ医療機関は、全国から患者さんを受けており、拠点病院とのグループ指定は現実に即しているのかという御懸念もございました。
 2つ目が、拠点病院制度においてPDCAサイクルを確保する仕組みを盛り込む必要があるのではないかということに対して、検討会では国と県が役割分担をして、すべてでなくても実地調査を行い、問題点の抽出、改善点の提案、評価していく仕組みを継続的にすることが重要。
 それから、都道府県がん診療連携拠点病院、これは県に原則1つ指定されている病院ですが、それが開催する協議会で議論する内容の明確化、他県との比較などをしていくことが重要ではないか。
 そして、既に国立がん研究センターと都道府県がん診療連携拠点病院の間で協議会がございますので、こういったものを活用してはどうかという御意見をいただきました。
 3つ目、臨床研究機能と拠点病院の新たな機能や役割としてどのようなものがあるかについてですが、臨床研究機能に関してはおおむね御賛成いただきまして、日常診療の向上という観点からも拠点病院の臨床研究機能を充実させるべき。
 一方、病院の過度な負担にならないよう配慮した上で充実させるべき。
 そして、患者に臨床研究の内容や状況をわかりやすく情報提供するべきという御意見をちょうだいいたしました。
 次に、資料2でございますが、資料1で前回の議論を踏まえまして、事務局のほうで「今後のがん診療提供体制のあり方について」ということで、まとめさせていただきました。すべて読むと時間がかかってしまうので、下線部を中心に読ませていただきます。
 まず、「?.がん診療連携拠点病院の整備の趣旨」ですけれども、全国どこでも質の高いがん医療を提供することを目的として、すべての2次医療圏に原則1つ整備することを目指した結果、現在397の医療機関が指定されております。
 平成18年からは各都道府県の拠点病院のとりまとめ役として、都道府県がん診療連携拠点病院を指定しておりまして、拠点病院のうち51の医療機関が都道府県拠点病院として指定されております。
 「?.拠点病院およびそれを取り巻く現状と課題」ですが、1つ目が、拠点病院間にさまざまな点において大きな差があると。それから、すべての拠点病院で必ずしも十分な診療実績を持っているわけではないということ。それから、2次医療圏に原則1つということで努力してきたのですけれども、いまだに113の医療圏では拠点病院が整備されていないということ。
 そして、特定のがん種に対し、高度な医療を提供している医療機関の位置づけを検討すべきとの指摘がある。
 4つ目が、患者にとってわかりやすい制度、それから、都道府県の個々の地域の実情に応じたきめ細やかな制度を求める声もある。
 5つ目が、より医療連携を進めていく制度にすべきという現状と課題がございます。
 「?.今後のがん診療提供体制のあり方について」ということで、1つ目が、群指定というのはグループ指定という言い方に直しましたけれども、「グループ指定による診療連係機能の強化」ということで、?拠点病院のない2次医療圏を中心にとした、前回「準」という名前がよろしくないということでしたので、これもまだ仮称ではございますが、地域がん診療病院と拠点病院とのグループ指定ということで修正をいたしました。
 この趣旨ですけれども、1つ目、拠点病院のない2次医療圏が113ございますが、医療資源が限られていることを踏まえると、今後、拠点病院をすべての医療圏に整備することは難しい。
 2つ目が、特に地域の医療資源を最大限に活用していくために、がん医療に求められる機能を複数の医療機関が連携して担うことも想定した制度設計が必要である。
 こうした問題やニーズに対応していくために、地域のがん医療を担う地域がん診療病院(仮称)と拠点病院をグループとして指定することが考えられる。
 拠点病院とがん診療病院の双方を制度の中に明確に位置づけ、がん診療病院に期待される役割を明確に示すことで、患者にとってわかりやすく安心できるがん診療提供体制の構築につながることが期待される。
 その具体的な役割ですけれども、がん診療病院には高度な技術を要さない手術、外来化学療法、緩和ケア、相談支援、がん登録、そして、地域連携、こういったところが求められるだろうと。
 一方、拠点病院のない地域にあるがん医療を担う医療機関の現状を踏まえた上で、例えば、放射線療法、研修の開催、診療実績、セカンドオピニオンの提供、さまざまな人材配置といったところについては、一定程度緩和することが考えられるということで、まとめさせていただきました。
 ?特定領域で高度な診療機能をもつ医療機関と拠点病院とのグループ指定でございますが、特定のがん種について拠点病院よりも高度な診療機能を有し、診療実績を持つ医療機関も存在する。
 これらの医療機関に期待される役割を明確にして、患者に公表した上で、がん診療病院として既存の拠点病院とグループ指定することが考えられるということでまとめております。
 最後ですけれども、都道府県が主体的に調整をしていただきたいとは考えておりますが、都道府県の実情を踏まえて可能な範囲で柔軟な制度とすること。それから、都道府県が調整する際にはどういったことが期待されるのか、これをきちんと明確にすることなどに留意した上で、導入していくことが望ましいと結ばせていただいております。
 「2.拠点病院におけるPDCAサイクルの確保」ですが、現在は、各拠点病院の評価や実地調査などは行っておりません。ただ、拠点病院間には大きな差がございますし、都道府県の拠点病院についても、がん対策診療連携協議会や研修の開催実績を踏まえますと、その活動には大きな差があると推測されます。
 そして、1つ提案させていただいているのが、国と都道府県で役割分担して拠点病院の実地調査を行い、PDCAサイクルを確保する仕組みが必要であるということ。
 それから、都道府県協議会で検討すべき内容を明確にすること、都道府県内の拠点病院間の情報共有を図ること、国立がん研究センターを中心とした都道府県拠点病院の協議会を活用して情報共有を図る等、実地調査以外にもPDCAサイクルを確保する仕組みが求められるということを記載いたしました。
 「3.拠点病院に期待される新しい機能」ということで臨床研究機能の強化を書かせていただきました。まず、患者が安全に高度で先駆的な治療を受けるためには、標準治療を確立すること、それから、長期的な安全性を確認するための多施設共同臨床研究を実施することが必要であると。
 一方、拠点病院では多くが治験を含む臨床研究を実施しております。
 3つ目ですけれども、ただ、拠点病院の問題点として人材配置を見ると、CRCやデータマネジャーなどが十分に配置されているとは言い難く、病院の医師にとって過剰な負担となっていることが懸念されます。
 4つ目に、国際基準に対応した多施設共同臨床研究を実施できる体制をより強化することが考えられると。
 最後5つ目ですが、具体的には臨床研究の実施に必要なCRCやデータマネジャーなどの充実を支援する一方で、臨床研究を推進する体制や研究の実績を評価し、その結果についても報告を求めるなど、拠点病院の枠組みを活用し、最新の治療を安全に全国で確実に受けられるような体制づくりを進めることか期待されるということでまとめさせていただきました。
 事務局からは以上です。
○北島座長 ありがとうございました。
 前回いろいろ貴重な御議論をいただきまして、今、事務局から説明がございました資料2のとりまとめの案に関しまして、資料2ということではなくて、議論しやすいように「?.がん診療連携拠点病院の整備の趣旨」から始まりまして、「?.拠点およびそれを取り巻く現状と課題」に関しましてまず御意見をお願いしたいと思います。どうぞ資料2のとりまとめについて御意見ありますか。
 がん診療拠点病院の整備の趣旨、これは今、御説明がありましたけれども、基本的には質の高いがん医療を提供することを目的として、すべての2次医療圏では1つ整備することを目指して、現状は397指定されているわけでございますが、397の拠点病院のうち51は都道府県の拠点病院ということでございます。
 これは特に御意見はないと思いますが「?.拠点病院およびそれを取り巻く現状と課題」は拠点病院を整備して、がん対策に関しては一定の成果は挙げてこられた事に関してはお認めいただけると思いますが、病院の規模は違いますが、特に拠点病院間の診療実績や人的配置等について格差が非常にあります。特に拠点病院は、5大がんの集学的治療を実施することとされておりますが、それがすべて行われていない、診療実績で格差が明確になってきているということでございます。
 今後、例えば、拠点病院の要件に合わなくても、特殊のがん種に対して高度医療を提供できるような機関、その位置づけをどうするかについて御意見をまずお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。その位置づけについてどうするかというときに、その位置づけが、いわゆるこの検討会の基本的なコンセプトは患者目線ということであります。患者さんにとってわかりやすい制度にしなければいけないということであります。すなわち都道府県でそれぞれバックグラウンドが違いますので、きめ細かい制度を構築してほしいという声も出ております。いかがですか。
 吉川構成員どうぞ。
○吉川構成員 今現在、国指定のがん拠点病院ということで議論になっているのだと思いますが、地域によっては都道府県指定のがん拠点病院というのが現実にありますよね。それとのすみ分けというか、ここでは余りそのことについて触れられていないように思うのですが、その辺はどういう形でするのか。というのは、患者さんにとってみると、今ここで国指定のがん拠点病院と地域がん診療病院のほかに、県指定のがん拠点病院もあるわけなので、その辺が全くわからなくなってしまうのではないかと思うのですが。
○北島座長 要するに、国指定の拠点病院、都道府県指定の拠点病院、および地域がん認定病院ですか、東京都にはそういうところにありますよね。吉川構成員から、その辺のすみ分けについて御意見がありましたが。
○事務局 これについては、第1回から都道府県が独自に指定されている病院と国の指定している病院のすみ分けというか、患者さんにとってわかりづらいのではないかという御意見は多くいただいているのですけれども、まず、この検討会においては、国が指定する拠点病院あるいは今回新たに設けている地域がん診療病院を中心に議論することにはなるのですけれども、御質問いただいた都道府県が独自に指定している病院とのすみ分けは、都道府県がそれぞれの実情に応じて指定していると理解しています。中には拠点病院のない地域に、拠点病院の要件を満たさなくても指定しているところもあれば、逆に2次医療圏に原則1つというところが地域の実情を考えて、複数の病院を指定しているところもありますし、あと、がん種別に指定しているところもあると思います。今回地域がん診療病院というのは、あくまで拠点病院のないところ、がん拠点病院の制度というのは、もともと均てん化を目指した制度ですので、やはり拠点病院がない地域においても均てん化は進めていくべきだろうということで新しい枠組みを設けましたので、都道府県が独自に指定している病院のうち、拠点病院のない地域に独自に指定されていたところについては、一部移行することは考えられるかと思います。
○北島座長 ですから、397のうちの51が現在、都道府県指定病院ということですよね。今説明があったように、いわゆる2次医療圏に1つ整備しても、がん診療が完結できないということで、この検討会の議題としては、すみ分けをするということではなくて、2次医療圏に、拠点病院のないところをどうやって構築していくのかというところが今、大きなポイントだと思います。
 堀田構成員どうぞ。
○堀田構成員 
ただいまの件ですけれども、県指定のものには、2次医療圏に国指定の拠点病院があっても指定しているところもあれば、ないところを指定しているところもあるという現状です。2次医療圏に拠点病院がないところをどうカバーするかというのがこれまで議論してきたところなのですが、そこはやはり何らかの対応を積極的にとる必要があると思います。
 一方、2次医療圏は既に拠点病院があるけれども、県指定のものが混在しているところについては、例えば、先ほどのグループ指定の中に県で考えて入れていくという発想もあるのではないかと思っています。そこまで国が関与して決めなくても、グループとして認定するかどうかを国が定めればよろしいのではないかという気もいたします。いわゆる2次医療圏に拠点病院がないところについては、国が積極的に支援していくというのが流れとしてはいいのかなと思います。
 もう少し突っ込んで言いますと、その次の課題にも絡んでしまうのですが、現状で397の拠点病院を指定しましたけれども、その格差が問題になっている理由に、無理して背伸びして指定してきたというところもある現状かと考えます。むしろ、少し考え方を変えて、要件を緩める方向ではなくて、拠点というのはあくまで拠点なので、拠点としてのしっかりした役割が果たせるところにすべきで、それ以外は地域がん診療病院でもいいのではないか。それを格差とかランキングととらえるのではなく、もっと面として地域のがん診療を守るという観点からすれば、役割分担でいいと思われます。
○北島座長 そうすると、堀田構成員は、現在ある拠点病院のクオリティーチェックをして、グループをつくったときに、いわゆる国・都道府県の拠点病院の中で、がん診療病院という形でもいいのではないかと、そういう御意見ですね。
○堀田構成員 そういうことです。
○北島座長 今村構成員どうぞ。
○今村構成員 今の論点とは違うことで教えていただければと思うのですけれども、2番目の現状と課題の中で、今ある拠点病院間に格差が非常にあるという話で、均てん化というものは、国民ががん診療を受けられるという意味での均てん化で、病院を全国的に整備するというお話の均てん化では基本的にはないと思っているのですが、そもそもここに書かれているさまざまな格差が起こっている理由についての検証はされているのでしょうか。つまり、単純に疾病の数の問題、病院規模の問題なのか、専門医の数なのか、何が格差を起こしているという分析はあるのでしょうか。というのは、それがわからないと、どういう形で次に指定をしていく要件を議論するのかという話につながらないのではないかと思います。
○事務局 現状に関するデータというのは現況報告のほうでとっているので、どれくらい差があるか、これは問題というよりも、ある程度いたし方ないところもありまして、確かに人口の規模も違いますし、患者さんの数あるいは高齢者の方の割合も考えなければいけないのですが、分析というものがきちんとできているかというと、そこまでは至っていないというのが現状です。
○今村構成員 例えば、今のお話の中で、患者さんがそもそもいらっしゃらなければ別に少なくても問題とは言えないわけですけれども、患者さんがいらっしゃるのに医療提供者側の問題できちんとした診療が提供できていないとなれば、その対策を講じなければいけないということですので、いずれ機会があれば今出ている数字から、現場の声を聞きながら何が課題なのかということを教えていただければと思います。
○北島座長 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 患者の立場からお話しさせていただきたいのですけれども、格差というふうに考えなくて役割分担と考えたとき、すべての病院が最高のがん治療をしてくれることが果たして国民にとって大切なことなのかなと思います。むしろ、最高のがん治療をやってくれるところ、フォローしてくれるところ。なぜならば、私たちはがんばかりではなくて、さまざまなややこしい病気を抱えてがんと向き合うわけですから、そういった意味で必ずしもどこの病院も均てん化というか、最高のがん治療ばかりを目指さないで、役割分担でそれぞれの役割をきちんとフォローしていただいたら、それもありがたいかなと思います。
○北島座長 それは基本的に病院として、拠点病院に於いてもすべてががんだけという病院とは限らないのです。ですから、先ほど今村構成員から患者さんがいなければ、そこは医療が達成できないんだと。そうではなくて、私自身は、がん診療連携拠点病院の施設要件等は、ある程度基準があるから拠点病院になっているわけです。そうすると、例えば、診療ガイドラインとか緩和医療とか、その要件をきっちりやられているかどうかという検証が今まで行われなかったから、やるところはやっているし、やらないところはやらないということで格差が生じてきた可能性があると思います。ですから、先ほど事務局から説明がありましたように、いろいろプランニングして、そこを実施したときに、その結果はどうなんだということをきっちり検証すれば、格差というのは縮小していくのではないかと思います。
 神野構成員どうぞ。
○神野構成員 医療圏と言いましても、人口10万もいないけれども非常に広大な面積の医療圏もあるし、東京都とか大阪の真ん中のように、狭いけれども病院もたくさんあるけれども、人口も100万近くいるという医療圏もあって、それを一概に同じような土俵に上げるのは非常に難しいものがあると思います。
 さっきの地域がん診療病院ですけれども、今、医療圏に拠点病院がないところというお話があったんだけれども、恐らく人口割りとか、がんの患者さんがどれだけ医療圏にいるかということを計算していくと、もしかしたら拠点病院が既にあるところでも非常に多くの人口を抱えているような地域では、サテライト的に地域がん診療病院があってもいいのではないかと思えてなりません。
 そういった意味では、拠点病院がないところだけにするべきなのかどうかというのは、もうちょっと議論するべきなのかなと思います。
 前回の第2回の検討会の最後のほうに私がちょっと変なことを言いまして、県が認定するのと言ってしまいましたけれども、いずれにしても、こういった地域がん診療病院を認定するときには、その地域の現状を一番わかっているのは県だと思いますので、県と意見交換をしながら、そして、県の推薦みたいな形で国に上げるという形をとる。そうなると、今の都道府県で認定している協力病院とか、別の名前の県独自の拠点病院とある程度整合性がとれるのかなとも思うところです。
○北島座長 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 資料2の2ページ目の拠点病院の要件緩和の中に、放射線治療やセカンドオピニオンが入っています。この要件緩和というのは、要件緩和とグループということで現在空白のところを埋めていくという発想だと思いますが、先ほど来の堀田構成員あるいは皆さん御指摘いただいていると思いますが、こういった形で空白を埋めるために拠点病院の要件そのものを、しかも、放射線治療やセカンドオピニオン、基本計画の重点的に取り組む課題の中の最初に出てきているワードが放射線治療です。これを空白のところに関して埋めるということで全体の基準を下げてしまう。これは事務局に確認ですが、現在指定されていない、新たに埋めようというところにおいてのみ、この考えを導入するということなんですか。
○事務局 全体の拠点病院の要件を下げるということではなくて、今、地域がん診療病院については、まず優先順位としては拠点病院のない地域のがん医療の均てん化をどう進めていくかということだと思います。確かに、要件をどの程度緩和するかというのは難しい議論ではあるのですが、余りにも高いハードルを課しますと、そういった病院がないというところもあります。拠点病院も平成13年から始まった制度で、最初は要件が少なかったのですけれども、10年かけてここまで上がってきたという経緯がございます。拠点病院のない医療圏の病院については、今回まさに初めて制度の中に入ってもらいたいと考えておりますので、そこは拠点病院から要件を引くのがいいのか、本当に一から考えるのがいいのかという議論はあると思います。繰り返しますが、放射線治療やセカンドオピニオンなど拠点病院全体のレベルを下げるということでは全くありません。
○中川構成員 わかりました。
 グループ指定というのは全体にかかわるのですか、それとも空白の医療圏ですか。
○事務局 グループ指定については今回2つ御提案しておりまして、1つは、拠点病院のない地域にある病院と、拠点病院とのグループ指定。もう一つは、特定領域に強い病院と拠点病院とのグループ指定という2種類を御提案させていただいています。
○北島座長 それが3ページの図ですよね。
○今村構成員 よろしいでしょうか。先ほど堀田構成員の御意見の中に、こういう地域がん診療病院という概念が出てきて、グループ診療ができるのであれば、拠点病院においても今ある実績に満たないところについては、そういう形で整理したらいいんじゃないかという趣旨のことをおっしゃったように思うのですけれども、今の事務局のお考えだと、もともと拠点病院があるところであっても、その要件を満たしていなければその病院を拠点病院から外してグループにするということもあるという理解でよろしいのですか。今のグループ診療を当てはめるには、その2つのパターンしかないわけですよね。
○北島座長 ですから、事務局としては、先ほど格差、格差という話が出てきたので、従来の拠点病院に対するクオリティーチェックをすると、それは重要なことだと思うんです。それで、クオリティーチェックの結果、拠点病院にふさわしくないときは、いわゆる地域がん診療病院としてグループをつくるということでもいいのではないかとの考えだと思われます。
 もう一つは、3ページの図、拠点病院とがん診療の特定の診療に特化してできる病院とのグループをつくるという考えだと思います。
○今村構成員 ですから、まず大前提は座長がおっしゃったように、PDCAサイクルをしっかり回して評価して、努力をして、格差は大分小さくなるでしょうと。それでもある一定の要件を満たさなかった場合には、今、拠点病院が指定されている地域であっても、拠点病院を地域がん診療病院という形のグループに変えて、その地域でがん診療を行っていくという整理でいいですかという確認をさせていただきたいんです。
○岡田がん対策推進官 お答えになっているかどうかあれですけれども、次の議題の中で拠点病院に求める要件そのものの絶対値を御議論いただこうかなと思っておりまして、堀田構成員がおっしゃったように、仮に拠点病院全体に求めるところを満たさないということになった場合に、前回ディスカッションいただいた役割を明確に果たしていただくということはあり得るのかなと思っております。
○北島座長 ほかにございますか。西山構成員どうぞ。
○西山構成員 今の件に関しましては、私はやはり今現在要件を満たしていない、あるいは十分な患者さんの診療経験がないところは、拠点病院からは御遠慮願ったほうがいいのではないかと思います。なぜかというと、拠点病院の指定は、病院の格を評価・指定するものではなくて、もともとが患者さんにわかりやすい制度とするためのもので、この病院に行けばこれだけの設備がそろっていますということを示す指標なのです。拠点病院に関しては明解に要件を維持されたほうがいいと私は思います。ただし、そうすることで患者さんが行く場所がなくなり、継続すべき医療が補えなくなって、どこに行くべきかわからない状況が生まれないように、新たにがん診療病院を指定するわけで、ここではその要件を新らたに設定すべきだと私は思います。もちろん拠点病院のときの要件を参考にすることはできると思いますけれども、やはり違った基準で選ばないと。例えば、単独のがんを対象にする場合や放射線治療設備がない場合など、かなりのバリエーションがあると思いますので、その辺について、もう一度しっかりと見直し、新しい要件を整えるべきだと私は思います。
 それから、1つ質問があるのですけれども、先ほど来、グループあるいは群と言っていますが、これの申請者はだれですか。というのは、今ある拠点病院が中心になって2次医療圏にグループをつくりなさいというのか、都道府県なのか、それとも各病院なのか、これによって大きく内容や要件は変わってくると思います。したがって、グループづくりというか、連携のつくり方、例えば東京などの場合、拠点病院が幾つもあるわけです。そうすると、それらがどういう部分で足りない部分を補ってグループづくりをするかとか、あるいは逆に拠点病院がないところ、(拠点病院が)かなり遠くになるところではだれが(主体となって連携体制を)つくっていくのか、主語がわからないと、要件についてのディスカッションも具体的なものにならないのではないかと思います。

○北島座長 先ほど神野構成員の御意見で、いわゆる人口動態とか病院の数とか病院の診療内容を一番理解しているのは都道府県ではないかという御意見がございましたよね。ここで議論する必要があると思いますが、都道府県がいろいろな調査をして国に申請する、これが一番いいプロセスではないかと私自身も思いますけれども。
 西山構成員が、先ほどは拠点病院の要件を満たさない場合には、そのときは拠点病院を外れて、がん診療病院ということでひとくくりにしてもらうと。今回、地域がん診療病院は、化学療法とか放射線治療などの要件等を緩和するというのが前面に出てしまっているのですが、患者さんはまず自分が初診のときは拠点病院に行くと思うんですね。そこでいろいろ診断と治療を受けて、その後のフォローアップや、例えば、これからも議論しなければいけないのですが、クリティカルパスを病院間で共有するとか、拠点病院ですべて化学療法を完結できない部分があるので、そのようなときにはグループをつくった病院にクリティカルパスを共有して、がん化学療法をやるというコンセプトだと思うのです。
○西山構成員 私の頭にあったのは、例えば、乳がんの専門病院というようなところの認定要件です。そうした場合、必ずしも拠点病院に行かずに、そうした連携の中に入って機能する、ただし、そこには放射線施設がないから、放射線治療を受ける場合には、拠点病院に行くということもあり得るだろうと。だから、ある程度要件や申請の方法を考える上で工夫が必要かと。都道府県に任せた場合、そういうことにまで配慮されるのだろうかという危惧がちょっとあったものですから。もちろん、全体の方法論としては、都道府県が細かい部分の情報を持っているということなので、その方法が一番いいとは思いますけれども。
○北島座長 事務局どうぞ。
○事務局 補足ですけれども、現在のがん診療連携拠点病院については、都道府県から推薦をいただくという形で指定を行っています。ですので、このとりまとめにも書いてありますけれども、グループ指定ということを考える際にも、その調整というのは都道府県を主体にやっていただくことがいいのではないかと。確かに、都道府県内の状況というのは県の方が一番御存じですので、調整していただくのがいいのだろうと。ただ、留意点としては都道府県側にもどういうことが期待されているのか、何をすべきかというところは厚労省としても明確にしなければいけないと考えています。
○北島座長 やはりこの議論の内容をしっかり構築して、厚労省とこの検討会がしっかりしたフレームワークをつくらないと都道府県が困ってしまいますよね。幾ら都道府県がやれと言っても。だから、この検討会でしっかりしたフレームワークをつくって、こういうことなので都道府県にお願いしますと。そして、都道府県が地域がん診療病院、いわゆるグループの中のそういう病院を指定したときには、それを国に申請するという形が一番わかりやすいのではないかと思います。
 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 今、地域がん診療病院は二通りの考え方があるということだったのですけれども、例えば、患者にきちんとコンセプトが伝わって、今は何しろ拠点病院にたくさんの患者が集まって大混雑をきわめているわけですので、私は地域がん診療病院、ある程度の基準を満たしていて指定された病院に紹介されて行くというのはすばらしいことだと思います。それは病院側にも患者側にもメリットがあるんだということが伝われば、これはシステムとしてとてもいいことだと思います。
 もう一つ、例えば、乳がんで有名な病院があったとします。それと拠点病院がつながっているということは、すばらしいかもしれないけれども現実にどうなんでしょうか。拠点病院にも乳がん科があるだろうし、それから、前立腺がんにしても拠点病院にも前立腺がんの専門医がいて、そこはうまく連携ができるのかなと現実に頭の中で考えられないのですが、どうでしょうか。
○北島座長 患者さんの立場から言うと、例えば、乳がんになった、前立腺がんになったというと、その病院の診療体系とか診療実績を調べると思うんですね。ただポッと行くのではなくて、この病院はどうなんだろう、この病院にはどんな専門の先生がいるのだろう。それは患者さんが勉強されて、その病院を選ぶと思うんですね。そこで、例えば拠点病院に行って、乳がんの治療をして、放射線が必要あるいは抗がん剤が必要になったときに、拠点病院で抗がん剤治療の症例がすごく多過ぎてそこでできない場合には、地域がん診療病院に共通のクリティカルパスでお願いするとかの連携だと思うんです。そこはどうなるのかというのは患者さんがいろいろ調べると思います。
 神野構成員どうぞ。
○神野構成員 日本人の3分の1ががんで死ぬわけなので、おっしゃるように皆さんが全部拠点病院に行ったら、拠点病院はたまったもんじゃないだろうと。だけれども、患者さんの立場からすると、拠点病院から地域がん診療病院とか、あるいはそれ以外のクリニックとか中小の病院に紹介されたときに、質の担保がきちんとあれば、恐らく患者さんも自分の家の近くの病院にかかることができると思うので、そういった意味で、今回の議論の中で、拠点病院が群の病院に対して研修するとか、拠点病院が地域がん診療病院とパスをつくって情報共有を標準化するということが大きな肝になるのかなと思います。その肝さえしっかりしていれば、この患者さんは拠点病院じゃないと治療できない患者さんである。だけれども、あなたはとても幸せなことに拠点病院じゃない病院でも治療できますよ、よかったですねということで送り出してあげるというような考え方が必要だと思うので、標準化という肝をきちんとこの制度に入れていただければと思います。
○北島座長 要するに、今皆さんの共通のコンセプト、御了解いただいたのは、拠点病院に連携する地域がん診療病院をつくるというところまではよろしいですか。
○堀田構成員 その前によろしいですか。
 事務局から最初に提案があったように、いわゆる2次医療圏に拠点病院がないところを補うためのグループ指定という考えで提案されているので、それだけではなくて、既に2次医療圏の中に拠点病院があるところでも、その周辺の病院との関係で地域がん診療病院とするのかどうか、そういったときにはどういう要件が必要か、そこをまず確認する必要があるかなと思います。
○北島座長 そうすると、もう既にがん拠点病院があって、さらにその先に地域がん診療病院をつくるかどうかということですね。
○堀田構成員 それが、ちょうど県が独自に指定している県指定の病院との関係をそこで整理して、一本化できれば一番すっきりすると思います。
○北島座長 事務局どうぞ。
○岡田がん対策推進官 そもそも、こちらでたたき台として提案させていただいたのは空白の医療圏という問題、これはどうしても対応したいということで御相談させていただいた。たしか前回か、前々回か、中川構成員から東京ではそういう連携はかなりあるけれども、ある拠点病院からどこの医療機関と具体的につながっているのかというのが非常に多岐にわたっておち、難しいという現状のお話もいただいていて、この制度の中で拠点病院と診療病院とを両方入れることが、制度の中での連携をしっかり確保することを可能にするのかなと我々はちょっと思っていまして、非常に多岐にわたる連携が実際に行われているようなところに、この制度を入れていくことがどういう意味をなすのかという辺りを教えていただければと思います。
○堀田構成員 ですから、A拠点病院とB拠点病院があるので、どちらと連携するのかというのは縛ってしまってグループを固定すると、患者さんにとっても余りメリットがありませんし、医療機関としても変な競合が起こってしまう、抱え込みが起こってしまうことを考えますと、余りそこを縛るという発想はやめたほうがいいんじゃないかと思います。利便性を重視しないといけないということで。その場合に、実質的に例えば、パスを共有するとかそういうことで解決していくべき問題ではないかと思います。
○北島座長 まさしくそのとおりなんですね。やはり拠点病院から地域がん診療病院の連携は、患者さんにいかに情報を伝えるか、ここが一番大事なことなのですね。それから、病院としても治療の情報、すなわちクリティカルパスなどをいかに共有していくか。これを患者さんに理解していただくために、この方法論というのは非常にこれから大事になるので、その辺の議論を詰めていかなければいけないと思っています。
 吉川構成員どうぞ。
○吉川構成員 前回も御紹介しましたけれども、広島県ではほとんどそのシステムが構築されてしまっている状態なので、これは地域によって差が大分あると思いますが、実際にはグループといってもA病院とB病院がグループをつくるという形は全くとっていないです。その中で、パス等を利用して必要な患者さんは、そちらのほうへ移動していただくようなシステムをつくろうとして、システム自体はもうでき上がりました。ただ、広報ができていないということで、現在ホームページ上で患者さんであるとか、それから、今年度からはサポートドクターという形で開業医の先生方にそういうことを広報して、それを支えてもらうというシステムをとっていますので、地域性が大分違っていて大分差があるのだと思いますが、そういう形では既に動き始めています。
○北島座長 広島県が中心になってネットワーク化されているということでしたよね。既にパスとかそういうものも共有化されていると。ただ、広報をいかに患者さんに対してやるかということで、ホームページを充実させているのだと。それでも完結しないので、地域の先生方に参加をお願いしているということですよね。ですから、完成しているところはいいと思うんです。今回いわゆる拠点病院のない、医療が十分に行われていない地域をどうするかということなんです。
○吉川構成員 ですから、今議論されているような姿勢で話を進めていくのが一番患者さんにとってもわかりやすいのではないかと思いますし、ただ、それをきちんと情報を提供するシステムをつくっておかないと、結局は拠点病院にみんな集まってしまうということになると思いますので。
○北島座長 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 拠点病院のない2次医療圏の話にまた戻りたいのですけれども、そこで拠点病院をつくるんだ、しかし、これは要件を緩和するんだという議論は、拠点病院という制度ありきだと思うんです。患者さんあるいは住民から見れば、自分たちの住んでいる、それを医療圏と言うかどうかはともかくとして、そこでどういうがん医療が受けられるかということが大事なのであって、その中に、例えば、均てん化という考えからすれば、現在の拠点病院が持っている機能には、放射線治療もセカンドオピニオンも当然入ります。それを地域の中で完結する。ですから、地域の中でどういう機能が必要かということを定めておいて、それを地域地域で今まで拠点病院のないところであれば、都道府県が中心になってそこを考えて、そのときに要件を下げて拠点病院をあえてつくる必要はないと思います。つまり、さまざまな診療病院という中で、しかし、やはり放射線治療にしてもセカンドオピニオンにしても、その中で提供されるべきなので、そういう決め方をしていくべきだろうなと思います。
○北島座長 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 基本的には、診療病院をつくってネットワークの中でグルーピングするなりして、その地域で完結するというのがいいと思いますし、そう進めるべきだと思うのですけれども、1つは、福岡などもそうですが、結構県をまたがってのいろいろな問題が起こっていますので、その部分についての枠組みづくりというか、ネットワークづくりについても議論をしていかなければいけないのではないかと思います。
 1つ、これは特異な例だと思いますけれども、佐賀県鳥栖市に今度、重粒子線の施設ができるのですけれども、我々は佐賀の施設と福岡の拠点病院と協定を結びまして、重粒子線治療の窓口をつくるという形で、住民あるいは地域の医療機関にも紹介できるシステムを構築するネットワークづくりを、県をまたがってするようなことをやっていますので、そういった形もこれから検討していかなければいけないのではないかと思っています。
○北島座長 今、先生が言われたように、県をまたいで診療を受けるというのは当然あると思うんです。先端医療を受けたいようなときに。そのときに、例えば、重粒子線を受けたいというときに、拠点病院の相談窓口センターとか、そういう機能をしっかり充実させないと、情報をなかなか得られないと思うんです。ですから、情報提供、その辺の機能の一つ一つが本当に拠点病院で窓口センターで機能をしているのかどうか。それから、先ほどは、がん登録のデータを相談窓口センターに持たせるべきだとか、そういう御意見がありましたよね。ですから、そういうことも考えていかないと情報の共有はできないと思います。
○田村構成員 そういうところでの拠点病院の充実が前提になります。そこは押さえておかないといけないと思います。
○北島座長 佐々木構成員どうぞ。
○佐々木構成員 拠点病院のない2次医療圏をどうしていくのかというお話がありましたけれども、地域の実情からお話しさせていただくと、がん診療病院がどの程度の要件を持つことが、がん医療の均てん化につながり、また、その要件になっていくのかということで、都道府県によっては恐らく、要件次第では未来永劫その要件を満たすような空白のところでのがん診療病院の指定は、なかなか難しい地域もあるのではないかと思います。地域の実情がそれぞれ違うと思いますので、大都市部と地域によって、その要件次第代によっては空白の医療圏を埋めていくということ自体が、県によっては非常に難しいものが多分あるのだと思います。やはりその要件を明確にしていただかないと、都道府県としても診療拠点病院なり本来の拠点病院の指定を明確にやっていくということ自体が非常に厳しい、難しいものになると思いますし、2次医療圏というくくりとがんの診療圏というものは一致している都道府県もあれば、全く一致していない都道府県もあるので、がんの診療圏みたいなものをきちんと地域の中でつくった上での拠点病院なり診療病院なりというものの指定の明確化をきちんと考えていくべきではないかと思っております。
○北島座長 今、先生から御意見がありましたけれども、例えば、さきほどの広島のようなネットワークが構築されてやっている県もあるんですね。恐らく県によって実情は全部違うと思うんです。では、実情が違うからどうするのかといったときに、やはり一つの構造を設定しておかないと、2次医療圏でがんの治療ができる病院がないところは設定できなくなってくるんですね。ですから組織的な基本事項を構築しておかないと、地域がん診療病院でがん治療を完結できな。がん診療拠点病院である程度治療を受けた後に、これから高齢社会が進んでくる時に拠点病院までは要件は揃わないにしてもそのときに、拠点病院と連携できる、情報を共有できる病院、それが私はがん診療病院だと思うんです。
 神野構成員どうぞ。
○神野構成員 佐々木構成員がおっしゃることはよくわかります。医療圏によっては医療圏に必須であると言われたら、なかなかできないような地域は確かにあると思います。ただ、前回もお話ししましたけれども、心筋梗塞とか脳卒中と違って、がんの患者さんは少し時間的余裕があるわけで、移動することができるということを考えると、絶対に医療圏にがん診療病院がなくてはならないという考え方は、私は無理があるのかなと思います。
 ちょっと部局が違いますけれども、医療計画の見直しの検討委員会の委員を去年やらせていただきました。その中で、ほとんど流出している医療圏があると。人口も少なくて、流出が非常に多い医療圏があって、そういう医療圏は実は見直し検討委員会の中では将来、医療圏を2つ合併させたほうがいいというような御提案もしたのですが、結局、都道府県の実情としてはどこも合併しないと。やはり、それは市町村のいろいろな思いもあってなかなか合併できないけれども、現実問題としては2つの医療圏があるけれども、2つの医療圏が別々に動いているのではなくて、1つでやっているという地域もたくさんあります。それこそ私がさっき言いましたように、県が一番その辺の実情をわかっていらっしゃるので、絶対にこの医療圏に地域がん診療病院がなくてはなりませんというやり方は、ちょっと問題があるかなと思っています。
○北島座長 事務局どうぞ。
○事務局 今の御指摘のとおりでして、この仕組みを県に絶対に使いなさいとか強要するつもりはないですし、例えば、広島県のように既にネットワークとして十分に機能しているということであれば、無理に使っていただくことは、こちらとしては求めません。
 それから、今複数の医療圏の間で隣の医療圏がカバーしているとか、そういう事実があれば、それはよいかと思います。こちらとして今まで単独の医療機関を指定してきたというのをもう少し柔軟を持たせて、たとえ要件を満たしていなくてもグループ指定できますよということで、国がやるとどうしても画一的なものになりがちなのですが、そこに少し柔軟性を持たせたいということで御提案させていただきました。
○北島座長 要するに、国が都道府県に診療病院をつくりなさいという強制ではなくて、今お話があったように、どうしても2次医療圏でがん治療が受けられない患者さんもおられると思うんですね。ですから、そういう地域に対して県と相談しながら、そこへがん診療病院をつくって、そこで1つのグループ診療をするというコンセプトだと思います。
 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 ここで大事なことは、拠点病院とつながっていて、拠点病院とグループ化しているということがとても患者にとって大事なことで、私はやはり地域がん診療病院のようなシステムはとても大事だと思います。介護とかさまざまなことで地域に根ざしていなければならないことはいっぱいあるので、拠点病院だけでは距離的な問題だけではなく機能として無理があるので、地域がん診療病院の指定はぜひ必要だと思います。
○北島座長 がん診療病院の機能をどういうものにするかはこれから議論になるのですが、御賛同いただければ、今、緒方構成員が言われたように、1つの地域で完結できない拠点病院があるけれども、患者さんで診療に困っている方がいるようなところに、がん診療病院をつくって、そして、そこで拠点病院と連携していただくということで、診療病院の機能等に関しては、この次だと思うんです。
 横山構成員どうぞ。
○横山構成員 1つ確認をお願いしたいのですけれども、都道府県の拠点病院と地域の拠点病院がある医療圏と空白の2次医療圏とあって、そこに診療病院をつくるときには都道府県と連携してもいいということですか。地域がん診療病院のみと連携しろということですか。
○事務局 横山構成員がおっしゃっている都道府県の拠点病院というのは、都道府県が独自に指定してされているものですか。
○横山構成員 いいえ。1つの医療圏に都道府県と地域がん診療と複数あるところがたくさんありますよね。そうすると、空白の医療圏の病院はどこと連携してもいいという話ですか。
○事務局 そこはとりまとめでも柔軟にということを申しておりますので、先ほど田村構成員から指摘もありましたように、場合によっては県境を越えるということもあり得ると考えています。
○横山構成員 もう一点は、地域がん診療病院と格差が大きいということが大きい問題なのですけれども、拠点病院に指定されながらも非常に患者数が少ないとか、特定の医師数が足りないとかそういうところを拠点ではないけれども、例えば精神科医がいるとか、それを高めるためにこれが使われるのですか。地域の拠点病院の診療機能を高めるために、診療病院とグループ化してやろうとか、指定条件をクリアーしろとか、そういう話には使わないということですか。例えば、指定条件が厳しくなった場合に、地域がん診療病院がクリアーしなくなる可能性が出てきたときに、そこの足らない部分をグループ病院で補いましょうというような方向では考えないということですか。
○事務局 今のとりまとめの中では想定していないのですが、要するに今の御指摘というのは、要件を1とすると0.8なので、どこかで0.2を借りてきてということだと思いますが、御議論いただければと思いますけれども、今の案の中ではそこまでは想定していないです。
○北島座長 ほかにいかがですか。
 それでは、今回で3回目を議論してきまして、議論が元へ戻ったりしていますが、都道府県の状況は全部違うんですよね。それを一律すべて合わせる組織をつくるのは難しいんです。ですから、空白の2次医療圏でがん診療ができない地域に対して、地域がん診療病院をつくる。そこで拠点病院と連携をとっていただいて、患者さんがよりよい治療を受けられる。そのときに、拠点病院における情報の開示や情報の発信というのは機能の一つに入れないといけないと思うんです。
 それから、先ほど精神科の先生と言われましたけれども、今後サイコオンコロジストのような診療機能が非常に大事になります。そういう意味で、そういう条件をもう一回洗い流して、どういう地域がん診療病院に要件を与えるか、そこはもう一つ議論が必要になってきます。ただ、組織的に先ほど緒方構成員から御指摘いただきました、拠点病院と同じ医療圏で地域がん診療病院をつくるという構造はいかがですか、よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○北島座長 では、これから各論ですね。どういうふうに連携するかとか、地域がん診療病院の要件をどうするかを具体的にお伺いしたいと思います。
○今村構成員 済みません、もう一回くどいようですが確認ですけれども、今、座長がおっしゃったように、もともと拠点病院がないところの仕組みとして、まずこれを認めるかどうかということと、もう一点の特別な高度な診療機能をある個別のがん分野で有しているところと、もともと拠点病院があっても、そこで連携のため機能としてがん診療病院として認めると、この2つだと。そうすると、高度なもの以外の、先ほど緒方構成員がおっしゃったような、他の機能を持っていて、その機能をある一定要件としてこの会で認めれば、もともと拠点病院のある地域でも、他のがん診療病院というものができるのかどうかということについては、どう理解すればいいのでしょうか。
○事務局 今のとりまとめの案の中では、拠点病院制度の中で国が指定する病院については2種類としています。ただ、既に拠点病院が指定されている地域においても当然、地域がん診療病院の要件をクリアーする病院というのはかなり多くのところがあると思いますが、そことの地域連携は当然進めるべきなのですけれども、そこも含めて国が指定をすべきかどうかというところは今この中では含めていません。もし含めるべきということだと、また話が戻るのですけれども。
○今村構成員 確認だけなんです。その前提がどこまであるかと。だから、それは考えていないということですよね。
○事務局 そうです。現時点では拠点病院のない地域のがん医療の底上げをどう図るかというところに優先順位を持っているので、地域連携は当然進めるべきですが、国が指定するところはその2種類を想定しています。
○今村構成員 わかりました。
○北島座長 ほかにいかがですか。
 それでは、時間も大分たちましたので、がん診療連携拠点病院要件の見直しの論点ですね。
○事務局 では、資料3と資料4について説明をさせていただきます。資料3と資料4はできれば並べて見ていただければと思います。先に資料4について説明をさせていただきます。
 資料4は「拠点病院の要件と基本計画の拠点病院に関する項目一覧」ということで、左には現在のがん診療連携拠点病院の要件の概要ということで、ほぼ文言は一致しているのですが、細かい説明書きは省いておりますけれども、内容を書いております。右ですが、基本計画のうち拠点病院の要件に関連すると考えられる箇所を事務局のほうで抜き出して記載をいたしました。当然、基本計画、右に書いてあるものすべてが拠点病院の要件に入るということではなくて、関連すると思われる内容を書き出しております。
 右の基本計画の下線部分を説明させていただきたいのですが、例えば、手術療法、放射線療法、化学療法の各種医療チームを設置することや、口腔ケア、栄養管理、リハビリテーション、がん看護体制の強化、質と安全の確保、腫瘍センターなどがん診療部を設置する。放射線については、放射線診断医や病理診断医が参加するキャンサーボード。
 化学療法チームの設置。
 それから、手術療法に関しての2つ目ですけれども、高度な先端技術を用いた手術療法や難治性希少がんなどについて、一定程度集約化すべきではないかということも記載しております。あと、周術期管理体制、術中迅速病理診断などもございます。
 放射線療法についても同様で、一部の疾患や強度変調放射線治療等の治療技術の地域での集約化、放射線治療チームというところが記載されております。
 これは後ほど見ていただきたいのですが、こうした基本計画を踏まえて今後の拠点病院の要件を見直すという予定にしておりますけれども、資料3にございますように、幾つか論点があるかと思います。
 ?拠点病院の要件を基本計画の内容を踏まえ見直す際、以下の点をどう考えるかということで、3つほど提示させていただいております。1つが、人材配置に関する要件です。現在は、参考に示しているような具体的な資格等は記載しておらず、専門的な知識及び技能を有する医師や看護師といった書き方をしておりますけれども、基本計画の中には放射線治療の専門医や化学療法の専門医、精神腫瘍医、専門看護師・認定看護師、放射線治療専門放射線技師、医学物理士、がん薬物療法認定薬剤師、社会福祉士、臨床心理士、細胞検査士等、これは国家資格であるものとそうでないものと混在しておりますけれども、こういったものが入っているということです。
 2つ目が新しい分野として口腔ケア、栄養管理、リハビリテーション、そして、とりまとめ案の中にも入れましたけれども臨床研究といったところをどのように入れるべきか。
 そして、先ほど来、現在指定されている拠点病院をどうするべきかという御議論もございましたが、診療実績をより具体的に要件とするべきかということで、診療実績については、現在の要件は年間入院がん患者数が1,200人以上であることが望ましいというのが資料4の2枚目の中ほどよりちょっと上に書いてあるのですけれども、その一つになっておりますが、これをより具体的な要件とするべきかという論点があるかと思います。
 ?全ての患者の適切ながん診療へのアクセスを確保することについてどのように考えるべきかということで、事務局からは2次医療圏でがん診療は完結しないこと、それから、拠点病院にもそれぞれ特色があることを踏まえ、拠点病院の広報を進めるとともに、診療実績や各拠点病院が専門とする診療機能、診療体制について情報公開し、相談支援センター等を活用して、確実に患者が適切ながん診療へアクセスできる仕組みを設けることが考えられると。
 こうした提案をさせていただいた背景といたしまして、もちろん先ほど地域がん診療病院を設定した場合には当然、情報提供が重要になってくるわけですが、基本計画の中では診療機能の集約化についても検討することとされておりますので、こういった集約化ということを拠点病院制度の中で幾らか達成するためにも、こういった情報公開をしていくことが重要ではないかということで書かせていただきました。
 それから、?と?は地域連携に関することですが、?地域連携を担保するための要件(連携する医師会・医療機関との定期的な会合等)は考えられるか、?都道府県拠点病院の要件について見直すべき事項(役割の明確化、協議会での議論のあり方、研修の見直し等)はあるかということを提示いたしております。
 そして、この議論をする際に、やはり拠点病院の現状がわからないとなかなか議論しにくいかと思いまして、参考資料2で拠点病院の現状をデータとしてお示ししております。これは診療実績や人材配置、基本計画に記載されている資格が、今どの程度拠点病院に配置されているかというところをグラフにいたしました。これも第1回の検討会の際にもお示ししたのですが、幾つか追加したものがございますので御紹介させていただきます。
 13ページ目の「地域連携クリティカルパス各施設のパス総数と運用数」。これは今、拠点病院において整備することというのが要件になっているのですが、地域連携パスの総数ということでは、現在5つの種類を持っているところが一番多くなっております。ただ、右側のグラフを見ていただきますとわかりますように、地域連携パスの運用数で見ますと、まだ運用していないところが111病院ございます。
 次のスライドですが、どのような種類のクリティカルパスをつくっているかという質問に対しては、胃がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんというところが多くなっております。
 どういう状況についてかは、下のスライドにございますように、術後のフォローに地域連携パスを使っているところが非常に多いということです。
 最後、15ページの上のスライドですけれども、各都道府県ごとに地域連携パスを適用した数を比べますと、静岡が非常に多いのですけれども、※で書いてございますように、静岡県については静岡県立総合病院が600ぐらい地域連携パスを運用されております。この背景といたしましては、静岡市ではもともと1998年ぐらいからイーツーネットという2人の主治医で患者を見守る安心の医療システムを始めているそうで、それががん医療にまで発展してきたということです。事務局は静岡市の医師会が運営されているそうで、定期的に病診で会合を持ったりとか、あるいは症例の検討を行ったりという取り組みを昔から続けていらっしゃるということで、ここまでパスを適用されていると伺っております。
 事務局からは以上です。
○北島座長 ありがとうございました。
 これに関して、まず資料3に論点集約がありますので、資料4の基本計画の拠点病院に関する項目とあわせながら、今後のいわゆる拠点病院要件の見直しの中で、人材配置に関する要件を今スライドを使いながら御説明いただきました。ちょっと見たところクリティカルパスの運用とか、がん看護師さんの認定の人数は相当増えているのですが、がん専門看護師の常勤数が少ないとか、非常にバランスの悪い状況になっています。そのような意味で、これを勘案し拠点病院の人材配置に関する要件について御意見はございますか。
 今村構成員どうぞ。
○今村構成員 がん診療に関しては御専門の先生がたくさんいらっしゃるので、病院の中でどういった人材が必要かについては私にはよくわからないところがあるのですけれども、今、座長がおっしゃったように、絶対数としてそれぞれの職種がそもそもどのくらいいらっしゃるのかというデータがないと、要件として決めても、結局不足する人材が出てくることになってはいけないので、基本的には事務局がつくっていただいたようながん診療にかかわる人材がどのくらい養成されていて、現状どれだけ病院にいらっしゃるのかという、今の細かいデータというのは出せるのでしょうか。例えば、看護師さんのデータはあるのですけれども、そうではないほかの職種の方たちは。
○北島座長 それはありますよね。
○事務局 そこは問い合わせれば取り寄せられると思います。
○北島座長 病理医とか、あるいは腫瘍内科医とか、そのようなデータはあると思います。
○今村構成員 メンタルの面も非常に大事で。
○北島座長 精神腫瘍医の常勤がいるかどうかということも今後は要件に入れていく必要があると思います。
○今村構成員 現状をまた資料としてお出しいただければと思います。
○緒方構成員 あとよろしいでしょうか。専門看護師さんというのはとても身近なのですけれども、例えば、抗がん剤の専門だとか、痛みの専門だとか資格を持った方がいらっしゃるのですが、でも、どうやら人手が足りないらしくて、うまく機能していなくて、なかなか患者にまで看護師さんのそういったスキルが届いていないという現状もあるように見受けられます。
○北島座長 資格のある看護師さんがいるけれども、その資格が生かされていないということですね。要するに、それは病院の中の配置によるわけですね。
○緒方構成員 どうやら人手が足りないのかなと患者の目から見ても思われるのですけれども。
○北島座長 それは確かにあると思います。
 神野構成員どうぞ。
○神野構成員 これは拠点病院等の要件ですので、連携拠点病院だけではなくて、先ほど議論のあったがん診療病院も何らかの基準として今後含まれていくのでしょうけれども、この中で国家資格のものと学会認定とか協会認定というものがごちゃごちゃになっているのは、何とも難しいのかなと思えてなりません。国家資格あるいは例えば、今は関係ないですけれども、麻酔科標榜医とか、あるいは解剖できる医師の場合は国の資格が要るわけですね。そういうものは国が認めた資格なのですけれども、いわゆる学会あるいは協会の認定資格をこの中にどれだけ書き込んでいくのかということに対しては多少問題がある。
 例えば、今の専門看護師さんですけれども、確かに教育されていてよろしいのですが、2年間の大学院に行かなければいけない。東京の看護師さんとか大阪の看護師さんは大学とかが近くにあってそういうカリキュラムを受けやすいけれども、地方の看護師さんたちは、わざわざ2年間今の仕事を辞めて大学院に行かなければいけないという背景がある資格をここに書いてしまうと、がんのいろいろな勉強をしていろいろなスキルを持っていらっしゃるけれども資格を持っていない方を全部排除するようなことになるので、何らかの国家資格とそれ以外のものと分けて考える必要があるのかなと思います。
○北島座長 事務局どうぞ。
○事務局 補足なのですけれども、1回目の検討会のときに、細かなどういった人材を配置するかとか、具体的な要件についてはワーキンググループを設置して、そこで議論するということにしておりますので、本日はまさに今、神野構成員がおっしゃったような全体に関する御意見をちょうだいできればと思っております。
○北島座長 要するに、国家資格、学会資格と分けるのも大事ですけれども、がんの拠点病院としてどういう職種が大事かと、そこが私は大事だと思うんです。
○神野構成員 おっしゃるように、拠点病院としてがんの化学療法とか、がんの診療を一生懸命勉強した看護師さんが必要だというのは同意見ですけれども、例えば、専門看護師さんは看護協会の資格であって、国家資格でも何でもない。それをここで「ねばならない」と入れ込んでいいのかどうかという問題かなと思います。
○北島座長 その辺の資格に関しては、先ほど事務局からあったワーキンググループでもうちょっと議論していただくということでよろしいですか。ちょっと時間が足りませんので。
 堀田構成員どうぞ。
○堀田構成員 そういったどこにどのような人材がどのように分布しているかということにつきましては、国立がん研究センターのがん対策情報センターが、最近すべての拠点病院にいろいろな調査をしておりまして、そのデータが近いうちにまとりますので、事務局のほうにそのデータをワーキンググループで使っていただけるように提供したいと思います。
○北島座長 お願いします。
○今村構成員 見直しのことで?以外のことでもよろしいですか。?のところで地域連携を担保するための要件ということで、「(連携する医師会・医療機関との定期的な会合等)は考えられるか」という疑問形で書いてあるのですけれども、ぜひこれを要件に入れていただきたいと思います。先ほどの静岡県の例を見ましても、きっちりとした地域の医師会と連携がとれているところが、実際の患者さんのさまざまなパスも含めて連携ができると思っています。
 パスも医療機関の側からすると、複数の病院からいろいろなパスが来ると、1つのがんだけではないわけでして、さらにがんだけではなくて糖尿病やほかの疾病もあるために何十ものパスがあるということになりますので、医師会が地域の病院とよく相談して、パスを1つにとりまとめるというような作業をやっておられるところも多数ありますので、ぜひともここは「考えられるか」ではなくて、こういうことを要件にしていただければありがたいなと思っております。
○北島座長 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 緩和ケア領域などでも地域連携が非常に重要になってきておりますが、そこで本当に最近は医師会の先生方が熱心に対応されておられます。そういう意味では、今村構成員がおっしゃったことは非常に重要で、私も賛同したいと思います。
 それから、人材配置に関する要件のところで、国家資格かどうかという議論がありましたが、これは大変難しい問題を含んでいると思いますが、ここに書いてあるのは基本計画の中にこういう言葉が書き込まれているんだということなんですね。そして、その基本計画をつくる際に、がん対策推進協議会のとりわけ患者・家族の委員から、国家資格であるかどうかということも重要なのですが、患者さんにとってどういう職種が必要なのかという中で、こういうことができているということは指摘しておきたいと思います。
○北島座長 患者さんがどういう資格の方がいればいいかという御意見だと思います。それがこういう専門職種がいることによって、一つのチーム医療が構築できてくるということではないかと思います。ですから、ワーキンググループで国家資格、学会資格等々については議論していただいて、どういう職種が本当に拠点病院として必要なのか、その辺の議論に集約していただければと思います。
 それから、今村構成員から、医師会の中川構成員からもありましたけれども、医師会の方々でもがんに対する認定資格とかいろいろな勉強をされてそういう資格を取っている方もたくさんいらっしゃると思います。ですから、そういうところでパスについての議論とか、そういうことをやっていただければ非常に均てん化というのは進むと思います。
○今村構成員 今、座長がおっしゃったように、がん診療にかなり精通している開業の先生もたくさんいらっしゃるという意味と、もう一つは、地域に患者さんが戻ってこられたときに、さまざまな職種の方たちががん患者さんにかかわるという中で、地域の中でそういう会合を持っているというのは、現実には医師会がお声をかけて訪問看護ステーションであるとか、介護の方たちに集まっていただいて、いろいろな会を実際に開催しているという実態がございますので、そういった意味合いで、ぜひ地域の中で患者さんをどのように見ていくかという医師の立場だけではなくて、多くの職種がかかわるという中での医師会の役割という意味で御理解いただければと思います。
○北島座長 堀田構成員どうぞ。
○堀田構成員 
?の都道府県拠点病院の要件で少し意見を述べたいと思います。現状は都道府県がん診療連携拠点病院と言っても、ほかの拠点病院と同じようなことをやっているという印象で、協議会を開催するとか、あるいは医療従事者の研修をやるとか、あるいは情報提供と書かれていますが、とても一般的で、地域連携拠点病院でもやっている内容であるわけです。そういうことから見ると、もう少し都道府県拠点病院の役割を明確にすべきではないかと思います。特に、県のがん対策基本計画を実践するための指導的な役割、県と一体化して県のがん対策を進めるというところにもっとウエートを置くべきと考えます。、単なる情報提供や医療の提供だけではなくて、政策的なことに責任を持つという位置づけにする必要があるのではないかと思います。
 そして、例えば、今度緩和ケアセンターなどを都道府県につくるという話にはなっていますが、もう少し役割をそのような形で明確化していく、あるいは政策的なことを重視する。それから、例えば研修なども、国立がんセンターが今いろいろな研修をやっています。これまで基本研修をやってきましたが、それはある程度進んだら、今度は指導者研修に我々としては移っていきたいのですけれども、それがなかなかできない。なぜかというと、基礎研修を受けなければいけない人がどんどんふえて、先ほどちょっとありましたけれども、病院の中で研修を受けても部署が変わってしまうと、また新しい人を研修しなければいけないということで、いつまで経っても指導者研修に重点を移せないという問題があります。、今後は例えば、指導者研修を私ども国立がん研究センターがやらせていただいて、基本研修のステップは県あるいはもう少し広くとってブロックでも結構なのですが、そういう形で進められるともう少し実が上がるのではないかと思います。全部東京に来て、国立がんセンターで研修を受けないとだめだというような仕組みは、そろそろ卒業すべきではないかと思います。
○北島座長 堀田構成員に1つお伺いしたいのですけれども、国立がんセンターと都道府県の拠点病院との連絡協議会の辺りはどうですか。こういう協議会をもう少し活用していただくと。
○堀田構成員 都道府県がん診療連携病院連絡協議会を行うときには、必ず県の担当者も一緒に来ていただくという形で運営させていただいています。そうでないと拠点病院だけ集めてもそこから先に進めませんので、そうはしています。しかし、県の協議会がどの程度ほかの地域拠点病院に対して影響力を持っているかというのが、私どもつかみ切れていない問題がございます。そこで、ちょっと情報が途切れるような気もいたしております。
○北島座長 ほかにございますか。吉川構成員どうぞ。
○吉川構成員 ちょっと話が戻りますけれども、パスについて一言。
 パスに関しては、提出いただいたデータを見ると、全然充実していない状態だと思います。やはり評価の要件の中にパスの要件というのは入れるべきだと思います。パスを構築するのにはかなりエネルギーの要ることなので、むしろ要件として入れていただいて頑張ってパスの数等を増やしていくという方向に向けていかないと、最初に議題になったような病院間の連携というものもなかなか進まないと思いますので、ぜひ要件として考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
○北島座長 パスの充実というのは基本計画で要件に入っていますので、それをもう少しクオリティーアップするということですね。それともう一つ、先ほど拠点病院とがん診療病院との連携の中で、パスが非常に重要になってくると思うんです。ですから、それは絶対要件に入れる必要はあると思います。
 篠構成員どうぞ。
○篠構成員 少し戻ってしまうかもしれませんが、?に連携する相手として医師会がございましたので、また追加で薬剤師会との連携についてもここで取り上げていただければと思います。今、多くの病院で院外処方が発行されていると思いますので、その先の本来は調剤薬局の機能強化というのを盛り込みたいところではあるのですが、拠点病院の側から見ると、薬剤師会との連携について、現在、地域地域で自然発生的に会合が持たれていると思いますが、そこにもう少しインセンティブを与えられるような、制度としてきちんと拠点病院と薬剤師会との連携を盛り込んでいただければと思います。
○北島座長 拠点病院と薬剤師会ですか。
○篠構成員 院外処方を発行した後の患者さんの動向や情報の共有ということに関して、会合を持って情報共有というのが必須になってまいりますので、会合が目的ではないのですが、連携といったことも要件の中に組み込んでいただければと思います。
○北島座長 ありがとうございました。
 がん専門薬剤師さんはMDアンダーソンなどでもチーム医療の中で非常に重要な位置を占めているんですね。ですから、やはりがんのときに薬剤関係の連携もチーム医療のコンセプト、あるいはさっきの処方箋のフォローということで重要になりますので、この辺もワーキンググループでまたひとつ議論していただきたいと思います。
○事務局 補足ですけれども、参考資料2の拠点病院の現状の2ページ目の上のスライドですが、確かに医師・看護師・薬剤師と並べておりますけれども、薬剤師さんの場合は医療施設で働いていらっしゃる方が2割程度ということで、5割ぐらいの方が薬局のほうで働かれているということですので、そういった院外処方をされた後のフォローも重要だと考えております。
○北島座長 西山構成員どうぞ。
○西山構成員 今までのほとんどの(要件の)議論が、いかにその病院が設備を整えているか、人的資源を確保したかというところに集中していますが、一番重要なのは、それが拠点病院である以上、診療実績だと思われます。今のところ要件の中で、唯一の診療実績評価が1,200名以上の年間の入院患者数です。これが、本当に形が整い、実効的に、患者さんに対して安心感を与える病院としてのの要件を満たすものになっているのかは疑問です。ここについてはかなり議論のあるところだと思いますけれども、診療実績の中でそうしたものを代弁できるような要件をワーキンググループでもんでいただいて、もう少し充実した要件をの追加することが必要なのではないかと思います。
○北島座長 年間入院患者数が1,200人以上という案件のみではなくて、もう少し多くの診療実績の内容ですよね。
○西山構成員 そうです。ここでディスカッションするとすごく長くなるのですけれども、診断数とかいろいろな案が出てくるだろうと思います。各領域の手術件数も外来化学療法の数などもある程度、案として出てくるのではないかと思いますので、そこをワーキングでもんでいただいて、もう少し診療実績を入れた形の要件にしていただければと思います。
○北島座長 がん患者さんの入院数だけではなくて、診療内容、クオリティーがどうなんだというところまでやらないと、患者さんが納得しないと思うんですね。1,200人以上入っているからというのではクオリティーにも何にもならないので、もうちょっと診療実績の内容をどうしたらいいか、そこは議論のポイントになると思います。よろしくお願いします。
 横山構成員どうぞ。
○横山構成員 指定要件の見直しのところで、がん医療の安全の確保というところが少し足らないのではないかという気がしますので、新しいがん対策基本法では周術期の患者という言葉も出てきますので、感染管理とか周術期管理とか化学療法による急性腎不全が出たときの血液浄化部門の整備とか、そういったものも議論の対処に入れておいたほうがいいのではないかと思います。
○北島座長 確かに、この前ある審査の中で、がんの専門病院が外来化学療法をやる時に、循環器とか呼吸器、腎臓内科の先生がいないために、いわゆる緊急の対応ができないということがありました。本当にがんの病院でそういうことがあって、そのがんの病院は近くの病院と連携しているということです。ですから、診療の中で緊急に対応できる状況にあるかどうか、これもチェックする必要があると思います。
 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 いわゆる連携の問題なんですが、先ほどの薬剤師会との連携については薬薬連携に最終的に帰結するのだと思いますが、福岡地区では既に始まっているのですが、これを制度的に指定要件に入れることも重要だと思います。
 それから、もう一つ、口腔ケアも拠点病院によっては歯科を持っていないところが結構あると思いますので、今、地域で研修会などを歯科の先生が頑張ってやっていらっしゃいますので、そういう歯科医師会との連携も重要ではないかと思います。
○北島座長 栄養とかそういうものが入ってくると、今度は栄養の問題すべて入ってきてしまうんですね。それから、リハビリテーションだと理学療法・作業療法学会とか全部入ってくるので、なかなか難しい面もあると思います。
 それと、最後に臨床研究が入っていますが、これは前回議論して、ある程度レベルの保たれた臨床研究を拠点病院としてやったほうがいいんじゃないか。ただ、やるときに拠点病院がネットワークをつくって、そして、多施設共同研究をやると。現在JCOGでも六十幾つですかね、拠点病院が入っているので、その辺の臨床研究もこれからは非常に重要な要件になると思います。
 ほかにございますか。今村構成員どうぞ。
○今村構成員 先ほど座長がおっしゃったことで若干、気になったことがあるのですが、いわゆる手術をなさって、その病院の中で対応できなくて近くの病院と連携するということでしょうか。
○北島座長 そうではないです。外来化学療法をやって、そして循環器とか呼吸器、腎臓の緊急対応ができないということです。
○今村構成員 そういうことですか。そうすると、ほぼ拠点病院などでは自己完結していて、いろいろな合併症を起こした場合や、急性期のいろいろなケースも大体御自分の病院の中で治療が完結しているという理解でよろしいのでしょうか。私は実態があまりわからないので、例えば、何かその病院で対応できなくて、ほかの病院と連携しながらということがあるのではないかと思うのですが。
○北島座長 がんの専門病院なので、循環器とか呼吸器などドクターがいない病院があるんです。
○今村構成員 そういうところでちょっと私も気になっていて、例えば、心筋梗塞を起こした場合、循環器の病院にすぐ送らなければいけないということが当然起こるわけですよね。
○北島座長 そのために近く病院と連携をとっていると。
○今村構成員 ですから、そういう実態がどの程度あるのかというのが全然わからないので、そもそも今の拠点病院で、特にがんに特化している病院で、そういうデータというのはあるのかどうかということが気になったんです。
○北島座長 事務局どうぞ。
○事務局 データはございます。がんの専門病院といいますか、拠点病院のうち数十ぐらいは何々がんセンターというところですので、そこでの医師の配置というのはチェックできますし、それはワーキンググループのほうでデータを精査して、実際に緊急時の対応が大学病院とか総合病院とは違って難しいようなところがあれば、それはきちんと要件にするように議論していきたいと思います。
○北島座長 従ってそのような拠点病院ががん診療連携病院と連携するという形がとれるかどうか、そこが要件になってくると思います。
 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 ちょっと話は戻りますけれども、がん専門の薬剤師さんがいるということは多くの患者が認識していると思うのですが、目に見えてきていないんです。薬剤薬局に行きまして実は抗がん剤のお薬をもらうに当たって副作用のことだとか、痛み止めに関してもどの程度飲んでいいのとか徹底的にお話を聞きたくても、どの人ががん専門の看護師さんかが見えてこない部分があって、その辺も少し患者に見える形でがん専門の薬剤師さんが配置されているといいなと思います。
○北島座長 篠構成員どうぞ。
○篠構成員 今の御発言に関連することですが、薬剤師に限るお話ではないと思いますけれども、いろいろな職種あるいは認定を持っている職種の機能や役割といった視点で議論をワーキンググループのほうでしていただくと、患者さんに見える各職種あるいは各認定の役割がきちんと明記されていくような格好になるのかなと思いますので、ちょっと発言させていただきました。
○北島座長 がん専門薬剤師さんに本当に相談したいときに、がん専門薬剤師さんを病院の中で探すのではなくて、恐らく最初は相談センターが窓口になって、その窓口からこういうがん専門薬剤師さんと相談してくださいとなるのではないかと思います。がん専門薬剤師さんが窓口を構えてやるというのは、それだけの人員を配置することは病院ではなかなかできないので、恐らくそういう形をとるのではないかと思います。
 ほかにございますか。篠構成員どうぞ。
○篠構成員 あと一点、要件に関するお話ですが、少し具体性がなくて欲張った意見になるかもしれませんけれども、患者さんをサポートするのはもちろんなのですが、実はそれを介護あるいは看護している家族がへとへとになっているという事例をよく見かけます。ですので、これも欲張りな意見ですけれども、家族を支援する仕組みのようなものをどこか盛り込んでいただけるといいのかなと思ったのですが。具体性がないとおしかりを受けるかもしれません。
○北島座長 家族をサポートする、要するに、がん患者さんとそこに係る家族のサポートには、いわゆるフィジカルな問題と精神的なものと両方あると思うんです。そこが将来、まだこれから議論が進んでくるがんコーディネーターとか、その辺の役割になるのではないかと思っているのですが。事務局どうぞ。
○事務局 基本計画においても、家族に対する特にメンタル面でのサポートは重要で、要するに患者さんだけのサポートということではなくて、家族にもそういうサポートが必要であるというのは盛り込まれています。これは情報提供ですけれども、先だって小児がんの拠点病院が指定されたのですが、その場合患者さんが子どもさんですので、状況はちょっと違うかもしれませんけれども、例えば、家族が宿泊できる施設であるとか、そういうものも要件に入れています。ただ、これががんの拠点病院すべてに適用できるかというのはまた別の議論だと思いますけれども、そういう家族の支援というものも議論したいと思います。
○北島座長 ほかにございますか。
 ちなみに、さっき事務局からあったがんの地域連携、主治医2人制度、ここにこういう図があるんです。これは私が事前に勉強した私自身の資料なのですけれども、がんの地域連携で主治医2人制度という、がん診療拠点病院とかかりつけ医との、先ほどの今村構成員のこういうものがありますので、こういうことも将来必要になると思います。
○今村構成員 これは、がんに特化した話ではなくて、高齢者の場合には地域のかかりつけ医と、それぞれ個別の疾病の専門医との2人主治医制ということは従来から申し上げていまして、それがきっちり機能するようにできるだけ全国で展開していただきたいということで、そういった意味での位置づけをある程度-していただくと進められるということです。
○堀田構成員 それは、おっしゃるとおりでがんだけではなくて、地域医療支援病院は担当医とかかりつけ医の2人主治医制で共同診療をやると診療点数がつくようになっています。そういう仕組みを入れられるかどうかという話だろうと思います。それは今後、ワーキングで詰めていただければいいのではないかと思います。
○北島座長 1つのモデルとして今後生きてくる、そういうことだと思います。要するに、そうするといろいろな意味で患者さんに対しても、それから、医療をする人に対しての均てん化が起こってくる、そういうことだと思います。
 今日は本当にいろいろな意見をいただきましたが、ほかに何か事務局でもう少しこういう議論をしてほしいということはありますか。要件の見直しの論点でいろいろ御意見をいただきましたけれども。
○事務局 2番目の情報公開やあるいは相談支援センターを活用して患者さんが適切な医療へアクセスするという、こういった仕組みについて、もし御意見があれば。
○北島座長 2番目について皆さんから意見がなかったようですが、緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 ここに「相談支援センター等を活用して」という文言がありますが、これは拠点病院の相談支援センターと考えてもいいのでしょうか。
○事務局 ここでは相談支援センターというのは拠点病院に設置されているものを想定しています。
○緒方構成員 そうしますと、どうしても得られる情報がその病院に偏った情報になりがちかなと思いますので、できれば中立的な立場で情報を流してくれるような機関があるといいかなと思います。
○北島座長 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 今のことに関連するのですが、参考資料2の2ページなどを見ていただくと、拠点病院の年間診断数、胃がんでも50以下のところがかなりある。前立腺がんは、今は一番罹患数がふえていますが、10例以下のところもある。これを患者さんが知らぬまま当該の拠点病院に行くのがいいのか、情報に対するアクセスですね。アクセスにはさまざまな意味がありますけれども、やはりこういったものをきちんと提供していただいて、それが見える形になっていただくのが患者さんにとって非常に重要なのではないかと思います。
○北島座長 それはホームページとかそういうところで情報を開示して、それを患者さんがアクセスできるようにするということですね。
○中川構成員 それでいいと思います。なかなかつらいところもありますが。
○北島座長 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 ホームページといいますと、やはり60代以上の人にとってはなじみのない人も多いので、そして、がんになる人は高齢の人が多いので、やはり人からちゃんとお話を聞くというシステムは大事だと思います。
○中川構成員 ホームページと申し上げたのは、第三者機関などのようなところではなくて自主的にという意味で、それは文書でもいいと思います。
○北島座長 それと、これから要件の中で、相談支援センターの機能は物すごく大事になると思います。ですから、今までの相談支援センターではなくて、例えば、連携をとるがん診療病院の情報を相談支援センターが知っているとか、それから、こういう特殊な治療だったらこういう病院があるとか、先ほどの県を越えた治療、重粒子線などの情報まで相談支援センターが機能を持っていないと、なかなか相談とは言えなくなってきますね。
 堀田構成員どうぞ。
○堀田構成員 今の件ですけれども、診療実績を年度ごとに、例えば、院内がん登録のデータを活用できる段階に入ってまいりました。そうしますと、治療別の予後などについてはまだ十分出ませんけれども、例えば、拠点病院の相談支援センターでこのデータを活用していただければ、どこでどのくらいの診療実績があるかというのは参照できるように使っていただけると思います。
○北島座長 今言われたように、相談センターの機能拡大が大事ですよね。
 吉川構成員どうぞ。
○吉川構成員 相談センターの機能拡大ということで、情報量がかなり多いというのがあると思います。中で情報の整理をする必要があるのではないかと思います。全国一律でいい情報をやれば、それはやはり国レベルで用意すべきものでしょうし、県レベルで一律の情報というならば県で用意すべきものであるし、病院レベルの情報、それを分けてやらないと、情報窓口のところで扱う情報が余りにも多過ぎて、担当者が疲弊してしまっているような状況ですので、できるだけそういう情報の種類を分けて準備しておくということはやるべきではないかと思います。今はもう本当に何もかもを窓口で全部用意して、胃がんとは何ぞやから説明しているような状況ですので、それはきちんと一律のものをつくっていくというのがいいのではないかと思います。
○神野構成員 今の相談支援センターですけれども、これは例えば、さっきの人材配置の精神腫瘍医の方々よりも患者さんと相対するところとして根幹にかかわるところなので、地域がん診療病院等の要件をおつくりになるときに、相談支援センターが単なる拠点病院だけではなくて、その次の段階の病院にもある程度設置すべしというようなことを少しもんでいただきたいなと思うし、それから、?にありますような、地域連携との関係でも相談支援センターがこのパスを使ったらこうなりますよとか、ここの開業の先生はこの辺のことをよくわかっていらっしゃいますよというような案内もできる相談支援センターであるべきなのかなと思います。
○北島座長 がん診療病院においても拠点病院と連携をする際に、相談支援センターがお互いに窓口になると思われます。そして、情報を共有化するということですね。
 事務局どうぞ。
○事務局 参考ですけれども、本日欠席の伊藤構成員からも診療機能の集約化というところで、下線を引いておりますが、集約されるのであれば、患者に伝える仕組みが必要だと。わかりやすい情報公開をぜひしてほしいですが、その情報にたどり着くことが難しかったり、そもそも自分にとってどんな情報が必要かを、告知間もない患者が自力のみで短時間で理解して探すことは難しいように思いますと。また、再発後の終末期等で在宅ケアも視野に入れた治療を考えなければいけない状況でも難しさを感じますということで御意見をちょうだいしております。
○北島座長 わかりました。
 緒方構成員どうぞ。
○緒方構成員 伊藤構成員に補足することになると思いますが、やはりこれだけ皆さん御議論いただき、いいシステムをつくろうとなさっているということが、私はたまたまここに立ち会わせていただいていますので、よく伝わってまいりますが、多くの患者、国民はわかっていないと思うんです。ですから、かなりのエネルギーを配して患者に伝えるということも視野に入れていただきたいと思います。
 一つの方法として、私たちにすごく身近なのは、地域に保健所があると思うんです。保健所はがんになっていない人もかかわることが多くて、企業などもかかわりがありますので、保健所などもぜひ仲間に入れて、こういった情報を共有してはどうかなと思います。
○北島座長 そうですね、それは私も気がつきませんでした。
 西山構成員どうぞ。
○西山構成員 私もそう思います。単に“確実に患者が適切ながん診療にアクセスできる仕組み”だけではなくて、“適切にこうした情報を患者に伝えるシステム、あるいは人材”というところまで確保しないと、恩恵は伝わらないと思います。先ほどもお話がありましたように、窓口の専門的人間ですら情報が整理できないことがたくさんあって、その中で患者さんに上手にそこにアクセスしなさいとは言ってあげられても、患者さんは自分でそれをどうやって処理していいかわからないというのが今の問題だと思います。アクセスできる方法を教えるのなら、それを患者さんに適切に伝えられるようなシステムを一緒に置かないと何の意味もないと思いますので、そうしたことにも配慮する内容としていただきたいと思います。
○北島座長 アクセスを受けて、それに対する確実なレスポンスができるということですね。
○西山構成員 そうですね、ある程度患者さんにわかっていただけるようなシステムをつくっていくと。
○北島座長 そうすると、この相談支援センターの人員配置、職種の配置とかいろいろな問題が出てくると思うんですね、ソーシャルワーカーを置いたり、コーディネーターを置いたり、あるいは医師がいたりとか。その辺はやはりワーキンググループで少し、どういう人材をこういう相談支援センターに配置するか、アクセスと情報の提供とかそこまで充実したほうがいいということですね。
 ほかにございますか。佐々木構成員どうぞ。
○佐々木構成員 今の地域の相談機能をがん診療病院に持たせるという話もありましたけれども、地域にとっては地域がん診療病院の要件がどうなるかというのが非常に気になるところなのですが、これは具体に今後ワーキングのほうで議論していくという形になるのでしょうか。
○北島座長 そうしたいと思います。
 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 今、議論されているのは非常に重要で、ぜひ進めていただきたいと思いますけれども、がん診療連携拠点病院の立場からすると、赤字体質の中で人材をたくさん確保するのは難しいので、そのところにも配慮しながらベストな仕組みをつくっていくことが重要ではないかと思います。
○北島座長 そうですね。いろいろなインセンティブとか、ファイナンシャルの問題、病院の経営とかそういうところにもかかわってくると思うんです。ですから、その辺もワーキンググループでどの程度議論できるかどうかはわかりませんが、またこの検討会に上げていただいて、それを議論するということにしたいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、ほかに事務局からなければ。
○岡田がん対策推進官 事務局から連絡事項でよろしいでしょうか。本日、前半に御議論いただきました資料2のとりまとめにつきましては、本日いただきました御意見を加え、座長の北島先生に御確認いただく形でとりまとめをさせていただきたいと思います。
 また、後段御議論いただきました内容につきましては、この後、検討を予定しているワーキンググループのほうにしっかりお伝えさせていただいて、そこの議論の前提という形にさせていただきたいと思いますので、その内容については一度まとめまして、皆様方にメール等の形で御確認いただくということとさせていただきたいと思います。
 また、ワーキンググループのメンバーにつきまして、実態がどうなっているのかとか、かなり専門的な内容になるかと思いますので、座長の北島先生と御相談させていただきながら設置させていただきたいと思います。
○北島座長 今御説明がありましたように、数が多いとワーキンググループというのはある程度少人数で集中的に議論できる範囲内の人数ということと、あとメンバーに関しては私と事務局で相談させていただいて、この検討会の先生方にはそれを報告するという形にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○岡田がん対策推進官 では、そのようにさせていただきます。
 また、緩和ケアにつきましては、緩和ケアの検討会で鋭意御議論いただいているところでございますので、そちらでまとまった議論をこの場でも御紹介させていただき、要件の議論に入れたいと思っております。
 また、この会自体の日程につきましては、ワーキングでの議論を踏まえて調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○北島座長 ありがとうございます。
 最後に、どうしてもしゃべりたいという方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 それでは、長時間にわたりまして、非常に有益な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。これで、この検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
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