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2013年5月28日 第32回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成25年5月28日(火)
9時30分~11時00分


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

樋口会長、阿部委員、岩村委員、勝委員、鎌田委員、小杉委員、田島委員、土橋委員、宮本委員、
山川委員

【労働者代表委員】

相原委員、逢見委員、加藤委員、神津委員、塩谷委員、高橋委員、冨高委員、南雲委員、眞中委員

【使用者代表委員】

岡田委員、川本委員、吉川委員、篠田委員、土谷委員、鳥原委員、三浦委員、宮原委員、渡邊委員

【事務局】

桝屋厚生労働副大臣、金子厚生労働事務次官、妹尾総括審議官(国際担当)、
中野労働基準局長、黒羽職業安定局次長、山田職業能力開発局長、石井雇用均等・児童家庭局長、
熊谷政策統括官(労働担当)、大西労働政策担当参事官

○議題

(1)会長の選挙
(2)平成25年度厚生労働省予算について
(3)分科会及び部会等における審議状況について
(4)法案の国会審議状況について
(5)その他

○議事

○大西労働政策担当参事官 
 定刻になりましたので、第32回労働政策審議会を開催いたします。委員の改選がありまして、会長が決まるまでの間、事務局で進行させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は桝屋厚生労働副大臣に御出席をいただいておりますので、まず、桝屋副大臣から御挨拶を申し上げます。

○桝屋厚生労働副大臣 
 皆さん、おはようございます。田村厚生労働大臣の下で副大臣を仰せつかっております桝屋でございます。本日は御多忙のところ、労働政策審議会に御参集いただきまして、本当にありがとうございます。労働政策審議会第7期の委員の皆様による初会合に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
 最近の雇用・失業情勢としては、平成25年3月の完全失業率は前月と比べて0.2ポイント改善し4.1%、有効求人倍率は前月より0.01ポイント改善して0.86倍となるなど、緩やかに持ち直しているものの、依然として厳しい状況にあると認識しております。
 昨年の政権交代以降、安倍政権では大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を掲げ、国民の期待が大きいデフレ脱却と経済再生を政権の大重要課題と位置付けて取り組んでいるところでございます。政府一丸となって経済再生に向けた施策を進める中で、厚生労働省といたしましても雇用・失業情勢の改善に取り組むとともに、個人の可能性が最大限に発揮され、雇用と所得が拡大する国を目指した取組を進めてまいりたいと思っております。
 現在、政府における産業競争力会議等におきまして、雇用制度に関する議論が行われております。雇用労働政策についてはILOの三者公正原則の趣旨も踏まえ、当事者である労使の参画を得て、十分に議論が尽くされるべきものでございます。このため、雇用労働政策の策定に当たりましては、公労使の三者で構成される本審議会でしっかりと議論をして頂いた上で、対応したいと考えてございます。今国会、何度もそうしたテーマが議論されておりますが、大臣が重ねて答弁しているところでございます。
 最後になりますが、本審議会の委員の皆様方におかれましては、今後の労働政策の方向性などにつきまして、総合的な見地から審査・審議を行うという重要な役割を担っていただいております。委員の皆様方の幅広い御見識と豊かな御経験に基づき、有意義な御議論を頂きますよう、お願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞ皆様、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

○大西労働政策担当参事官 
 桝屋副大臣は、所用のため、ここで退席させていただきます。

(桝屋副大臣退席)

○大西労働政策担当参事官 
 それでは、議事に入ります前に、お手元に資料1「第7期労働政策審議会委員名簿」を配布させていただいております。この第7期から新たに委員に就任された方を御紹介いたします。公益代表委員に中央大学経済学部教授の阿部委員です。東洋大学法学部企業法学科教授の鎌田委員です。弁護士の田島委員です。東京大学大学院工学系研究科教授の土橋委員です。慶應義塾大学商学部長の樋口委員です。東京大学大学院法学政治学研究科教授の山川委員です。
 本日は、任命辞令を机の上に置かせていただいております。併せて審議会の関係法令、運営規程等を参考資料として配布しております。また、労働政策審議会分科会委員名簿を付けておりますので、後ほど御参考に御覧いただければと思います。
 それでは、議事に移りたいと思います。まず、第1の議題「会長の選挙」です。労働政策審議会令により、公益を代表する委員の中から委員が選挙をするということになっております。委員の皆様に選んでいただくことになっておりますが、いかがでしょうか。

○鎌田委員 
 樋口委員にお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

○大西労働政策担当参事官 
 樋口委員を会長にという推薦がありましたが、樋口委員に会長を御承認いただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○大西労働政策担当参事官 
 それでは、樋口委員に会長に就任いただくこととなりました。以後の議事の進行については、樋口会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○樋口会長 
 それでは、よろしくお願いいたします。皆様の御意見を聞きながら、また、公益を考えながら、議事を進めてまいりたいと思いますので、どうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、労働政策審議会令では、私から会長代理を指名することになっております。私は岩村委員に会長代理をお願いしたいと考えておりますが、よろしくお願いしたいと思います。岩村委員は少し遅れていらっしゃるということですので、いらっしゃったところで、もう一度お諮りしたいと思います。
 それでは、次の議題に移ります。議題2「平成25年度厚生労働省予算」につきまして、事務局から説明をお願いします。

○大西労働政策担当参事官 
 それでは、資料2を説明いたします。青い冊子の「平成25年度予算案の主要事項」です。先に成立した平成25年度予算については、3つの重点に分けて厚生労働省全体の予算を構成しております。その労働政策の関係部分について御説明いたします。
 資料の3ページを御覧いただきたいと思います。資料の3ページに、一般会計のうちの社会保障関係費の内訳という記載があります。左側に表があり、社会保障関係費の「雇用」という欄があります。雇用保険の経費については、いわゆる国庫負担ということで一般会計の繰入れが行われていますが、平成25年度の予算としては1,985億円で、前年に比べて217億円の減少となっています。これの主な要因としては、雇用保険受給者数あるいは求職者支援制度の訓練受講者数の減によるものです。
 4ページは「特別会計の全体像」です。こちらにも表がありますが、一番上の労働保険特別会計です。平成25年度の予算は3兆6,937億円で、昨年度に比べて2,094億円の減です。この主な要因としては、景気の最悪期を脱して、失業等給付費あるいは雇用調整助成金が減少したことによるものです。
 また、同じページの「東日本大震災復興特別会計」です。これについては、平成25年度は977億円で、前年度に比べて299億円の減となっていますが、復興特会の対象関係を被災地に限ったという事情によるもの、あるいは復興が進んできたという事情によるものと考えています。
 資料の5ページ以下に「平成25年度予算案のポイント」がありますので、順に御説明いたします。平成25年度の予算は、いわゆる15か月予算という考え方で補正予算と当初予算を一体的に編成しております。このため予算の御説明の中で、一部平成24年度補正予算として編成されたもので、平成25年に実施する事業についても併せて御説明させていただきたいと思います。
 資料の14ページです。こちらから雇用、労働ということで、主な内容を御説明いたします。まず最初の○は、若者の就職支援です。これについては、大学へのジョブサポーターの相談窓口の設置ということで、大学生の職業紹介に力を入れていく。あるいは中小企業の皆様に「若者応援企業」を宣言していただいて、中小企業と若者のマッチングの強化をしていくという内容です。
 その下の平成24年度補正予算案については、若者の人材育成ということで、非正規の若年者は実習等を通じて実践的な職業訓練をし、その後、正規雇用者として雇っていただいた事業主に奨励金を創設する、あるいは「地域若者サポートステーション」でニートの支援をするといった事業で補正予算600億円を計上したところです。
 続きまして、女性の活躍促進ということで3つの○があります。それぞれポジティブ・アクションの関係、育児・介護の両立の関係、マザーズハローワークの関係の事業の予算として176億円です。
 続きまして、14ページの「地域の雇用の創出」の関係です。これについては製造業などの戦略産業について、良質で安定的な雇用機会の創出に向けて都道府県、あるいは産業政策と一体となって実施する地域の自主的な取組を応援する事業です。これについて41億円計上しています。
 その下の点線の枠囲みで「平成24年度補正予算案」の記述がありますが、これについては従来から行っていた、いわゆる基金事業ということで、都道府県で雇用創出の事業をやっていただくものとして、新しく業を起す方が雇用を創出した場合に支援するということで基金に1,000億円追加して計上したところです。
 15ページの職業訓練の関係については、介護、情報通信、環境・エネルギーなどの成長分野、ものづくり分野をはじめとしたそれぞれの訓練について、1,626億円を計上したところです。
 15ページの(2)「安心して働くことのできる環境整備」の関係です。1つ目の○は、非正規雇用労働者の雇用安定・処遇の改善ということで、非正規労働者の関係の助成金を整理して、ハローワークによる事業主の支援体制の強化を図る内容です。2つ目の○は、パートタイム労働法についても引き続き推進してまいりたいということです。
 別の場所に記載されているセーフティーネットの関係で1つ御説明いたします。資料の13ページを御覧いただきたいと思います。生活保護の関係の記述がありますが、真ん中より少し下の○で「生活保護受給者等就労自立促進事業」です。これは自治体にハローワークの常設の窓口を設置して、ワンストップで就労支援体制を構築していくものです。これに関して72億円の予算を計上しています。
 15ページに戻って、先ほどの続きですが、下から3分の1ぐらいの○の「仕事と生活の調和の実現」については87億円を計上しています。また、震災復興の関係では、復興に関して、特に安全衛生対策は重要ですので、8.8億円を計上しております。
 16ページの一番下の点線で枠囲みがある平成24年度補正予算で、被災者の雇用の確保ということで、基金事業に500億円を積み増しています。
 以上、御説明した内容は、労働分野の関係の予算の主要な部分です。資料の21ページに「主要事項」と書いてありますが、これ以降に詳細な内容を記述しております。
 青い冊子に資料を挟み込んでおりましたが、資料2関係資料として、こういった資料があり、これで平成25年度予算案の労働政策の該当部分のどこに書いてあるかということ、あるいは新規事業の内容について、簡単に説明した資料、予算額のうち、一般会計、労働保険特別会計の会計区分を記述した資料を参考に付けておりますので、それぞれ御参照いただければと思います。以上、簡単でございますが、資料2の説明を終わらせていただきます。

○樋口会長 
 岩村委員が御到着ですので、改めてお諮りしたいと思います。会長代理を私から指名するということで、岩村委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○岩村委員 
 不慣れではございますが、御指名ですので、お引き受けさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○樋口会長 
 それでは、議事を進めてまいります。ただいま事務局から説明のありました点に関して、何か御意見、御質問がございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言のほどお願いいたします。

○相原委員 
 相原でございます。よろしくお願いいたします。ただいま予算の関係について御説明を頂戴しましたが、2012年の通常国会で成立しました改正労働三法の確実な施行と実効性の確保について、1点御意見を申し上げたいと思います。
 まず、改正労働者派遣法の関係ですが、労働者保護の方向で改正が行われたところで、非常に評価すべき点であろうと思っております。一方、大変残念な点ですが、改正法の趣旨を潜脱するような事例も幾つか報道されてます。
 更には本年4月1日より老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上がっておりますが、今後とも雇用と年金の接続が確実なものとなりますよう、改正高年齢者雇用安定法で希望者全員の65歳までの雇用確保措置の徹底が必要であろうということを、重ねて申し上げておきたいと思っております。いわゆる行政指導法であるこの2つの改正法については確実な施行が求められるところです。厚生労働省におかれましても行政の適切な運用に御尽力を、重ねてお願いしたいと思っております。
 最後になりますが、改正労働契約法については、民事法規ということで若干性格は異なりますが、無期化逃れの雇止めの防止、さらには均等・均衡待遇の確保といった法の趣旨・目的が達成されますよう、改正法の内容の周知徹底などを、厚生労働省としても引き続きの御努力を重ねて、この点についてもお願い申し上げたいと思っております。以上です。

○樋口会長 
 事務局からの答弁は後で一括してお願いしたいと思いますので、ほかにいかがでしょうか。

○逢見委員 
 ただいまの相原委員の意見に関連して、改正労働者派遣法について私からも意見を述べたいと思います。昨年3月に改正労働者派遣法が成立し、昨年10月から施行されております。この国会審議の過程で登録型派遣や製造業の派遣、専門26業務の在り方などについて、法施行から1年を経過するのを目途にして労働政策審議会で議論を開始すべき旨の附帯決議がなされております。
 この附帯決議を受けて、昨年10月に厚生労働省内に「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が設置され、先ほど述べました諸課題の研究が行われていると承知しております。また、労働者派遣制度については、政府の規制改革会議においても議論の対象とされているようです。
 改正労働者派遣法が成立し、これまで一貫して続いてきた規制緩和の流れを転換させた労働者保護の道筋を逆戻りさせるようなことがあってはならないと思っております。労働側としては、今年の秋から労働政策審議会で議論がスタートするに当りまして、労働者保護が後退することがないように、そうした議論を望んでおきたいと思います。以上です。

○宮原委員 
 私からは予算に直接関係することではないのですが、今後の労働政策の検討の在り方について申し上げたいと思います。改めて申し上げるまでもありませんが、我が国企業は熾烈なグローバル競争の下で、生き残りと発展のために全力で取り組んでいるわけです。今後、我が国の経済が持続的な成長を遂げていくためには、柔軟な企業活動が行える基盤整備を図ることで、企業活力を高めて経済活性化につなげていくことが不可欠であると思います。
 そのため、政府が6月に予定している成長戦略の中では、必要な円滑な労働移動に向けた労働市場の整備、さらに生産性の向上に資する労働時間法制の見直しなどを是非盛り込んでいただきたいと思います。
 その上で重要なことは中身の具体的な制度設計です。法律の見直しを含めて、迅速な対応を行うに当たっては、先ほど副大臣もおっしゃいましたが、公労使が参加する、この労働政策審議会で議論、検討を進めていくべきであると考えております。以上です。

○眞中委員 
 私からは長時間労働の削減に向けた労働基準法の見直しについて2、3要望をさせていただきたいと思います。2011年の総実労働時間については、景気の状況等々の影響もあったかと思いますが、全体的には減少しています。
 しかしその中で、いわゆる中高年の男性の皆さんは、依然として長時間の労働が続いているということですので、引き続き長時間労働の削減については、重要なテーマではないかと思っております。
 労働時間の規制については、2010年4月に施行された改正労働基準法の第37条によって、月60時間超えの時間外労働については、法定割増率の引上げが行われました。しかし、この規定は中小企業への適用が猶予されているということです。皆さん御存じのとおり、労働基準法は労働条件の最低基準を決める法律ですので、そういった視点からはダブルスタンダードになっているのではないかと捉えておりますので、極めて問題ではなかろうかと思っております。
 中小企業への適用猶予措置については、施行から3年後に見直すとなっておりまして、本年、2013年がその年に当たります。したがって、厚生労働省の皆さんについては、誰もが健康に働き続けられる職場環境の実現のために、中小企業への適用猶予措置を廃止していただき、中小企業についても60時間超えの時間外労働については法定割増率50%を速やかに適用されるよう、この労働政策審議会の中で検討を開始していただきたいとお願いします。
 もう一点は、安倍政権の下で産業競争力会議あるいは規制改革会議が置かれており、その中で、マスコミ報道によりますと、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入や裁量労働制の緩和といった労働時間規制の在り方についても議論の俎上に載っているようだと聞いております。こうした労働時間の規制については、先ほど申したように、長時間労働を削減するのだという流れからすれば逆行しているのではないかと思っておりますので、我々としては到底理解できません。仮に何らかの議論を行うのであれば、公労使三者構成にのっとった公開論議の場、この労働政策審議会の中で取り上げることがふさわしいのではないかと思っておりますので、2点要望をしておきたいと思います。以上です。

○渡邊委員 
 私からは26ページの若者の安定雇用の確保に関連した意見を申し上げたいと思います。4月19日に安倍総理から経済界に対して、大学生の採用スケジュールを後倒しするようにという要請がありました。学生の学業の時間を確保するためや、就職、採用活動の期間を短縮するために後倒しが必要であると思います。ただし、就職採用活動の終了時期がそのまま後ろずれするようでは意味がありません。そのために実質的な短縮につなげるための工夫が必要であると考えております。
 ここに書かれているように、中学や高校など、早い段階からのキャリア教育の充実に加え、インターンシップにより、学生が個々の中小企業の魅力を体験できる機会を増やし、若者と中小企業を直接的につなぐ仕組みを構築することが重要であると考えております。また、中小企業のインターンシップの受入れを促進するために、経済的な負担への支援を充実させるとともに、学生と中小企業の双方が希望する場合には、インターンシップと採用を直結することも必要であると考えております。以上です。

○鳥原委員 
 私からは本日説明のあった予算の資料と、成長戦略に関連して2点申し上げたいと思います。第1点ですが、御承知のとおり、我が国の労働政策の主要な財源は、事業主が負担する保険料で賄われております。今回の予算の資料から、先ほど説明のあった関係資料に示されておりますように、一般会計と雇用保険二事業の金額の内訳が示されたことについては、評価をしたいと思います。限られた財源の有効活用と効果的な政策の立案という観点から、引き続きこうした分かりやすい資料の作成を含めて、様々な取組をお願いしたいと思います。
 2点目は、6月に取りまとめ予定の成長戦略の中で、雇用政策の重要な柱として掲げられると伺っている「失業なき労働移動」に関わることです。産業間・企業間の失業なき円滑な労働移動を実現していくためには、職業能力開発の施策を更に充実していくことはもちろんですが、マッチング支援の強化も極めて重要となります。この点で産業雇用安定センターの果たす役割がますます高まっていると感じておりますので、このセンターの活動強化に向けた対応を是非お願いしたいと思います。以上です。

○樋口会長 
 ほかにいかがでしょうか。

○加藤委員 
 私からは2点です。1点目は、渡邊委員からもありましたが、就職率、有効求人倍率は副大臣も少しずつ上がっていると言いますが、有効求人倍率についてはピークの1.08を示した2006年からは、まだまだほど遠いものがありますし、内実もいろいろあると思います。
 特に就職活動の後倒しの関係についても新聞報道では3分の2は効果が薄いという指摘をされております。現実的に教育から仕事、職業に結ぶつなぎが悪いというのが日本の現状だと思います。教育の中身、キャリア教育もそうですが、どうやって社会と仕事をつなぐのかということをしっかりしないと問題解決はできないと思いますし、その中で教育の中も含めてですが、改正が必要だと中教審も言っています。そこは文科省や厚労省、経産省などが横断的な取組という視点の中でやってもらわないと、ただ単に要請があるからというレベルではとてもできないと思っております。
 もう1つは、若干変わりますが、私も土、日に岩手の被災地を回ってまいりました。今年2月1日(または1月末)における被災3県の42市町村の人口は、仙台市で震災前より約2万7,000人、隣の宮城県利府町で約800人増えた一方、40市町村で約7万2,000人減少しており、とりわけ30歳代以下の若い人の減少がその6割超を占めています。福島は特に8割ですが、30歳代がいなくなっているわけです。これは直接ではありませんが、若者の雇用と言った場合に、全体的な課題と、今、本当に日本として最優先にやるべきことは何なのだということで、単に被災地支援という名目や縦割りではなくて、本当にその中で若者が仕事ができて、生活ができてということがなければ再生なんかできるわけがないわけですから、そういう大きな中で、ただ、今は予算の関連の報告、説明でしたが、その中にも被災地の関係がありますので、そこはしっかりと対応していただきたいというのが大きな1つです。
 2つ目は、若者の雇用戦略です。これについては60億円が増額されて、評価をしたいと思っています。若者の育成支援事業に600億円計上されております。ただ問題は、若者チャレンジ奨励金の事業について、ばらまきだという指摘もあるわけです。特にインターネットで流れていますが、社労士のホームページやブログにはすごいことが書いてあります。最大で2,900万円の奨励金がもらえるわけです。「これは早い者勝ちです。エコカー補助金と同じです。予算がなくなったら終わりですから、皆さん、やってください」ということで、社労士のビジネスになっているわけです。
 そして、本当に若者支援が必要な内実と合っていなかったらどうなるのか。一般的に企業が採用して、それを訓練するのは当然です。訓練した中で正規雇用に持っていくという中のプロセスも企業の行動としては当然あるべき姿です。それに奨励金を払うというわけですから、相当チェック機能がないといけないわけです。「1社当たり最大で2,900万円もらえます。お得です、お勧めですよ。エコカー補助金と一緒ですよ」と。こういう社労士ビジネスだというのが内実について、適切、厳格に運用して、少なくとも必要なことは合っているような、しっかりとした対策を是非ともお願いしたいのです。以上です。

○塩谷委員 
 私からは、「予算案の主要事項」の30ページ(5)の「治療と職業生活の両立支援の推進」に関して、今後、検討に当たって、踏まえていただきたい点を2点、要望したいと思います。
 2012年8月にまとめられた「治療と職業生活の両立等の支援等に関する検討会」の報告書の中にも、今後の課題として女性の就業促進に伴って、支援を要する労働者の増加が見込まれるという指摘がされています。女性の就労者促進という観点で2つ、これから課題になってくると考えております。
 1点目は、妊産婦と仕事の両立の観点です。既に労働基準法や男女雇用機会均等法で法的には保護措置がなされておりますが、実際の現場を見回してみますと、いまだ6割の妊産婦が離・退職している実態もありますし、つわりや妊娠障害などで仕事が続けられないといった事例を、私たちは目の当たりにしております。つわり、妊娠障害は一時的なものですので、適切な治療とか医療機関の適切なアドバイスがあれば、仕事を続けられるケースはたくさんあると思いますので、治療と仕事の両立の観点でも、この点を踏まえた支援を御検討いただきたいと考えております。
 もう一点は、昨今増加している不妊治療についてです。不妊治療休暇の導入も一部企業にはありますが、まだまだ本当に少ないというのが現状です。不妊治療に関しては、女性だけではなく、男性側の協力も非常に必要で、身体的、精神的なストレスを伴うようなものです。こちらについても仕事と不妊治療の両立という観点での支援体制の検討をお願いしたいと考えております。
 併せて不妊治療に関連して労政審の所管ではないのですが、現在、厚労省有識者検討会で検討されている助成金の利用を39歳以下に制限することについても、併せて1点御意見を申し上げたいと考えております。
 現在、晩婚化・晩産化が進み、40歳以上での助成金の利用者は35.7%という実態があると聞いております。現在の経済環境、雇用状況で晩婚化・晩産化をせざるを得ない背景もありますので、こういった実態に合った検討に当たっては慎重な対応をお願いしたいと考えております。以上です。

○樋口会長 
 ほかにいかがですか。

○冨高委員 
 直接的ではないのですが、仕事と育児の両立支援に絡んだところで、現在、安倍総理が提唱されている育児休業3年について意見を申し上げたいと思います。まず、育児休業制度を改革するということであれば、労働政策審議会に審議を委ねていただきたいというのが、まず1つの考えです。御発言の中では、企業に協力を求めたということですが、補助金などを予算化して応援したいということであれば、検討の場は労働政策審議会ではないかと考えております。
 育児休業3年の拡充ですが、短時間勤務などと併せて仕事と家庭の両立支援のための柔軟な制度として、子育てをする労働者が、就業を断念しないための選択肢として意味のあるものと考えます。しかし、育児休業3年が可能とされているのは、まだ一部の雇用者であると考えます。真の女性の活躍促進を考えておられるのであれば、闇雲に育休3年だけを推進するということではなくて、その他の柔軟な制度の導入の検討。それから現在、妊産婦の6割が離・退職している現状、そして現行の育児休業すら取得できていない非正規労働者、中小企業の条件の底上げを図って、待機児童対策を適切に行うことこそ、政策的に支援するということであると考えております。
 女性の活躍促進のためにはM字カーブの底上げを図り、妊娠・出産・育児と仕事の両立が難しく、就業継続を断念しようとしている労働者への支援と条件整備こそが重要だと考えております。この点は、雇用均等・児童家庭局として、どのように考えておられるか、少しお伺いしたいと思います。

○吉川委員 
 29ページにあります障害者の就労促進について、御意見を申し上げたいと思います。この4月から法定雇用率が引き上げられ、各企業がその達成に向けて真剣に取り組んでおります。しかし、地方の中小企業などからは、障害者を採用したいと求人を出しても、応募がなく、なかなか採用できないという声を多く聞いております。
 また、障害者に限った話ではないかもしれませんが、大手企業とか役所など安定した所を就職先として選ぶ傾向があるのではないかと思います。今後、法定雇用率がさらに上がった時に、この点が変わっていなければ、中小企業では法定雇用率の達成が、ますます難しい状況になることが懸念されます。したがいまして、障害者の方に、中小企業に目を向けていただくための取組を役所でも広報的にしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

○川本委員 
 先ほど、インターンシップと採用を直結することも必要といった趣旨の御意見があったかと思います。先月、安倍総理から企業の採用選考活動時期の後ろ倒しの要請が経済3団体に対し行われたところです。早期化によって就職活動が過熱化し、学生が学業に専念できないという問題を受けて、今回の御要請があったと考えております。
 こうした中、インターンシップについては、私どもは飽くまでも就業体験の場と考えております。もしもこれがいわゆる採用に結び付く、あるいは選考活動がここで始まるということになりますと、一層の早期化、過熱化につながってしまい、企業が行っている採用選考活動の秩序が乱れることになります。内々定をめぐるトラブルの多発も懸念されるということを申し上げておきたいと思います。いずれにしても、今の段階では秩序というものがきちんと守られていくことが必要だと考えているところです。
 併せて予算の件でも1、2申し上げたいと思います。まず雇用保険2事業の財政運営のことです。本日の資料には入っておりませんが、平成25年度の収支状況あるいは積立金からの借入れの返済の見通しなどについても教えていただければと思います。雇用保険2事業については、従来から行っているPDCAサイクルによる事業の見直しの徹底に加えて、施策の優先度や重要性などに基づく、めり張りの効いた運営を図るよう、お願いしたいと思っております。
 もう一点は、求職者支援制度の予算に関わることです。そもそもこの制度は、本来、全額国庫負担で行われるべきものであるにもかかわらず、労使が一定の負担をするとした経緯があります。したがって、是非、財政運営の状況に関する詳細な御説明をお願いしたいと思いますし、特に当面の制度運営における労使の負担の見直しなどについても、御教示賜れればと思っております。以上です。

○南雲委員 
 現在、産業競争力会議とか、規制改革会議などにおいて、3本の矢とされる成長戦略の策定に向けた大詰めの議論が行われていると聞いています。そして、これらの会議では雇用・労働問題に関わる重要な検討対象とされて、解雇規制、労働時間規制など幅広い労働規制が議論の俎上に載せられていると思います。この会議自体が非公開ということもありますので、なかなか情報等も入ってこないという現状もあろうかと思います。こうした動きについて、議論の手続の側面と、その内容の面のそれぞれについて申し上げたいと思います。
 まず、議論の手続ですが、労働規制の在り方が政府の非公開の会議で一方的に議論されている現状は、労働政策審議会に出られているそれぞれの委員の皆様方もお考えは同じだと思いますが、極めて遺憾と言わざるを得ません。また、議論の内容についても、解雇規制や労働時間規制の緩和など労働者の犠牲の上に成長戦略を描こうとする姿勢が明らかとなっている。このようなことに対して、一方的な経営の論理に偏って労働者保護ルールを改悪しようとする動きについては、断じて許すことができません。労働規制の在り方を議論するのであれば、ILOの三者構成主義にのっとったこの労働政策審議会でこそ、取り扱われるべきです。その際には、政府の諸会議で具体的な方針を決定した上で、その細部の検討だけを担わせるといった自主的な審議機会を奪う形での運営はなされるべきではなく、真に自由な議論が十分に保障されるべきだということを申し上げておきたいと思います。以上です。

○樋口会長 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、たくさん御意見、御質問を頂きました。特に質問に関して、事務局から回答をお願いします。

○中野労働基準局長 
 まず、基準局関係からお答えしたいと思います。1点目は相原委員から、労働契約法の施行について御意見がありました。御指摘のとおり、改正労働契約法は有期労働者の雇用安定や処遇の改善といった課題に対処するために設けられたものです。厚労省としては、5年手前で安易に雇止めが行われないよう、無期転換することのメリット、労働者の意欲・能力の向上や必要な人材の確保に寄与することなどを十分周知し、特に改正法の説明会あるいはパンフレット等で周知してまいったところです。
 併せて今年度の予算で業種ごとの実状に応じた無期転換が進むよう、好事例の収集を行うこととしておりまして、これらの情報発信等により改正法の周知・啓発に努めてまいりたいと思っております。
 眞中委員からは、労働時間制度についての御意見がありました。御指摘のとおり、中小企業への適用猶予に関しては、本年4月に施行後3年となりましたので、割増し賃金については時間外労働の動向等を勘案して検討を行わなければならない時期に来ております。厚労省としましては、現在、まずは議論の前に実態把握が重要だということで、今年の4月から時間外労働や休日労働の実態を把握するための全国調査を実施しているところです。その結果がまとまり次第、議論を労政審でしていきたいと思っておりますが、労働時間制度については、一方で労働者の健康の問題あるいはワーク・ライフ・バランスの問題に影響するという観点からの御意見、また、多様な働き方や効率的な働き方、能力を発揮する働き方という観点からの御意見、様々な御意見がありますので、先ほど申し上げた実態調査がまとまった段階で、労政審において総合的に御議論いただきたいと考えているところです。以上です。

○熊谷政策統括官(労働担当) 
 私からは宮原委員からお話があった成長戦略に向けた対応について御説明したいと思います。宮原委員からお話がありましたように、政府においては6月に成長戦略の取りまとめを予定しております。厚生労働省として、これに盛り込む労働政策ということですが、その内容については4月23日に改正された産業競争力会議において、田村厚生労働大臣から説明を行った内容を中心に成長戦略の取りまとめに対応していきたいと考えているところです。
 ちなみに4月に大臣が申し上げた主な項目としては、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフト、あるいは民間人材ビジネスの活用等によるマッチング機能の強化、二極化した働き方から多元的な働き方へのシフト、併せて労働時間法制の検討等々といった内容となっています。そういった方向で私どもは対応してまいりたいと考えております。
 併せて、宮原委員からお話のあった雇用労働政策の検討の場の話については、労働側の南雲委員からも御指摘があったかと考えておりますが、現在、産業競争力会議あるいは規制改革会議等にそれぞれの会議の設置目的に沿った様々な観点から議論が行われているということですが、冒頭の桝屋副大臣からの挨拶にもありましたように、雇用労働政策については、ILOの三者構成原則の趣旨を踏まえて当事者である労使の参画を得て、十分議論が尽くされるべきものであると考えているところです。このため、雇用労働政策の策定については、公労使の三者で構成されている労働政策審議会において、しっかりと議論をしていただいた上で対応してまいりたいと考えております。以上です。

○樋口会長 
 ほかにいかがですか、石井局長。

○石井雇用均等・児童家庭局長 
 先ほど頂いた塩谷委員、冨高委員からの御質問に対して、順次お話をさせていただきます。
 まず、塩谷委員からは、つわりとか妊娠に伴う様々な体調の不調があっても仕事の継続ができるようにという話がありました。これについては、雇用均等法の中におきまして、「母性健康管理措置」の中でかなり充実した内容で、規定しているところです。母性健康管理措置という形で、事業主さんにつないでいただければ必要な配慮をすることになっておりますので、その徹底を図っていくことが何より肝要ではないかと思っております。
 不妊治療の関係も御指摘を頂きました。一時、不妊治療休暇について制度の広がりが見られた時期もあったと思いますが、最近その動きが余り見られないというのも事実かと思います。仕事をしながら不妊治療を続けることについては、男女の結婚の年齢が上がってくることに伴って、不妊というものに直面する方が増える中で、その必要性を感じていらっしゃる方が増えていることも事実だろうと思います。不妊治療休暇についてどう考えるかについては、確かにこうした制度を設けることも考えとしてあるのでしょうが、不妊治療を受けていること自体、職場に知られたくない方がおられるという話もありますし、また不妊治療というのは、治療内容によって必要とする休暇の中身は様々であり、やや難しさというのもあるように聞いております。実際、不妊治療休暇を設けた企業の中でも、例えば失効した年休を積み立てて、その制度に当てるといった事例もあるように聞いております。まずは不妊治療について年休を取得する形で仕事の継続ができる、そういったような整備が必要ではないか。そういう意味では、年休を取得しやすい環境というものを整えていくことをやっていくのが当面適切ではないかと思っております。
 不妊治療についての助成措置についても御指摘を頂きました。私どもはこの度、不妊治療の助成事業の在り方についての検討会の第1回を開催したところです。この背景としては、不妊治療についての助成件数が非常に急増している。中でも比較的高い年齢40歳以上で、助成を受ける方の割合が3割を超えている状況があります。30代後半、あるいは40歳になってきますと、なかなか治療を受けても妊娠に結び付かないということのみならず、高齢出産に伴うリスクが非常に高くなっているという問題があります。そうしたものに対して、国がお金を出して支援をする形をこのまま続けていいのだろうかということ。さらには、行っている医療機関についても設備、あるいは人員体制の面で課題もあるようです。その在り方全体を見直していく必要があるのではないか。要は安心して、安全で、かつ適切な運用を図るためにどうしたらいいのかという観点で見直しているところです。あらかじめ39歳以下について制限をかけることを決めてかかっての検討ではありませんので、そうした御意見があることも踏まえて、今後適切に対応していきたいと思います。
 冨高委員からは、総理の発言についての御指摘を頂戴いたしました。今回、総理から経済界に対する要請が4月19日に行われたと承知しておりますが、これは子供が3歳になるまでですが、男女が育児休業や短時間勤務を取得しやすいように職場環境を整備していただく形で要請をしたのが本当のところです。3歳までの短時間勤務は制度化もされており、結果、制度化されていないのは3年の育休になるわけで、これは多様なニーズに応えることで、やはり、3歳までの在り方として、多様な選択肢ということで総理が話をされたということです。
 実際に育休を3年取った場合の問題として、その間スキルが低下していくのではないか、あるいは円滑に職場復帰できるのか、そういう課題は残るところです。そうした育児休業中、あるいは復職後に行う能力アップの訓練の経費を補助する助成金を作るべきではないかということで、まだこの中身については検討中です。当然これは考え方が整理されれば、労働政策審議会にお諮りすることになると考えております。
 3年育休が取れるのは、やはり大企業、一部ではないか。片や継続就業ができない方が大勢おられる。育休の取得率を見ても、大企業に比べて中小は低い。正規の方に比べて、非正規の方が少ないという問題があるわけです。そこの問題意識を正に私どもは真剣に考えているところです。本日お渡しした予算についても、期間雇用者が育休を取得するに当たっての支援措置的な助成金のコースを新たに盛り込んでいるところです。引き続き、こうした取組をやっていきたいと思っております。
 両立支援においては、そうした職場環境の整備のみならず、保育体制の整備は車の両輪として重要だと思っており、総理もそのときに併せて「待機児童解消加速化プラン」を提示しまして、向こう5年間で何とか待機児童の解消を図っていこうということで、政府として、自治体に対して全面的な支援策を講じていこうということです。ここについてもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。以上です。

○黒羽職業安定局次長 
 相原委員からお話がありました改正労働三法のうち、まず、改正労働者派遣法の施行については、昨年10月から施行している改正労働者派遣法の円滑、適正な施行を図っております。法令違反に対しては、都道府県労働局により適切に指導しております。
 続いて、改正高年齢者雇用安定法の施行に当たり、集団指導の強化や相談支援体制の強化を図ることで周知を行ったところですが、雇用確保措置の徹底のために引き続き事業主の指導等に努めていきたいと考えております。
 高年齢者雇用安定確保措置の導入状況については、事業主から提出される高年齢者状況報告、労働者からの相談等を通じて、義務違反の企業を把握して、未実施企業に対しては指導や勧告、企業名の公表等を行うことで実効性を上げるように努めていきたいと考えております。
 逢見委員からありました「労働者派遣法の見直し」については、派遣制度をめぐる諸課題については、国会における附帯決議等に基づいて、有識者による研究会において御検討を頂いております。特に、派遣期間の在り方や派遣労働者のキャリアアップといった論点については、活発に御議論を頂いており、夏を目途に取りまとめられる予定です。その後、労働政策審議会において御議論を頂くことになりますが、精力的な御議論を期待しているところです。
 渡邊委員から、採用スケジュールの後ろ倒し、あるいは中小企業のインターンシップ受入れのお話がありました。中小企業の魅力を体験できる機会を増やすことは非常に重要です。インターンシップは推進していくべきものと考えております。ただ、就職活動の後ろ倒しを政府として要請しておりますので、インターンシップと採用を直結させるという要望については、先ほど川本委員からもありましたが、就職活動の早期化につながる可能性があることから、慎重な検討が必要と考えております。いずれにしても、今後のインターンシップの在り方に関しては、関係省庁間で検討を進めることになっておりますので、厚生労働省としても関係団体等の意見を踏まえて、各省庁と連携を検討していきたいと思っております。
 鳥原委員から、失業なき労働移動についてのお話がありました。特に産雇センターの活動強化についてですが、失業なき労働移動の実現のため、労働力の過剰となっている企業と、不足している企業の間の出向・移籍の相談、あっせんを実施している産業雇用安定センターの役割は重要です。このため今般、対象者に対するキャリア・コンサルタンティングの実施、個々人の課題に応じた個人支援メニューの策定、支援メニューに応じて、民間職業訓練機関などを活用した各種講習、訓練、グループワークの実施など、産業雇用安定センターのあっせん機能の更なる充実強化を検討しております。
 加藤委員御指摘の若者の雇用対策については、学校とハローワークとの連携強化や、若者の採用・育成に積極的である旨を宣言した「若者応援企業」を対象とした就職面接会等を通じて、若者と中小企業とのマッチングを推進しております。今後とも我が国の将来を担う若者が安定した職業に就くことができるよう、全力で支援を行っていきたいと考えております。
 吉川委員から御指摘のあった、障害者の中小企業への採用については、ハローワークにおきまして、地域障害者職業センター等と連携して、障害者の職域開発や、ジョブコーチ支援などの提案、障害者を新規雇用した際に支給する特定求職者雇用開発助成金の中小企業に対する手厚い支給。中小企業向けの就職面接会の開催など、中小企業に力点を置いた支援を実施し、障害者と中小企業のマッチングを図っております。
 川本委員から、雇用保険二事業の財政運営に関して、平成25年度の収支状況、失業等給付の積立金から雇用保険二事業への借入金の返済見通しについて、および求職者支援制度の予算について御指摘を頂いております。平成25年度の雇用保険二事業の予算は、歳入は5,866億円。歳出は5,393億円となっております。失業等給付の積立金から雇用保険二事業への借入金については、平成25年度から返済を予定しておりましたが、剰余金が発生する可能性があるとすれば、前倒しをすることもあり得るということで考えております。平成24年度の収支決算については、まだ最終調整中ですので、具体的な返済の時期についてはもうしばらくお時間を頂きたいと考えております。
 雇用保険二事業については、効率化・重点化により、不要不急な事業の廃止を行うなど、これまで以上に厳しい見直しを徹底しておりますが、今後更にPDCAサイクルによる目標管理を徹底して、事業の見直しを更に進めていきたいと考えております。
 求職者支援制度の予算の関係についてですが、求職者支援制度の見直しに向けた検討について、雇用保険制度とともに、雇用保険部会において、財源の在り方も含めた御議論をお願いする予定です。財政運営の状況等については、平成24年度決算が今後確定することになりますが、御議論を頂く際には、これまでの財政の状況等も可能な範囲で示していきたいと考えております。以上です。

○樋口会長 
 丁寧な説明をどうもありがとうございました。私からも1点意見を述べさせていただきます。先ほどの御議論でもあった南雲委員、宮原委員をはじめ、たくさんの委員の皆様から御発言があったように、産業競争力会議及び規制改革会議において、雇用労働政策についての議論が今なされております。
 これに対して、厚生労働省には雇用労働政策の策定に当たって、公労使の三者で構成される本審議会で、十分に議論した上で対応していただきたいと思っておりますので、改めてお願いしたいと思っております。
 時間もだいぶ押してきているので、以下の説明は簡略にお願いしたいと思います。次の議題に入ります。

○山田職業能力開発局長 
 1点だけ、加藤委員からの「若者チャレンジ奨励金」の件については、御趣旨はそのとおりで、厳格な運用に努めていきたいと思っております。3月18日から受付を開始しており、かなり問合せ、相談等が多く来ております。ただ、現場の方で、かなり詳細な訓練カリキュラムや、日々の訓練の日誌などを作成してもらうことが条件ですので、そういうことを御説明しますと、そう簡単にもらえるのではないのだな、という反応が返ってくるようになっておりますので、引き続き、厳格な運用を心掛けていきたいと思っております。

○加藤委員 
 分かりました。分かりましたが、インターネットでは、ちゃんとポイント、マニュアル、書き方全部を提供しますから、早くこちらへ来なさいと書いてあるのです。企業でやるのは大変ですが、それを社労士がビジネスとして出しているものだから、そういうモデルであっては困るから言っているのです。分かっていますので、よろしくお願いします。

○山田職業能力開発局長 
 抑えの効いた対応をしていきたいと思います。

○樋口会長 
 まだ議論はあるかと思いますが、次の議題に移ります。議題3「分科会及び部会等における審議状況」、議題4「法案の国会審議状況」について、事務局から説明をお願いします。時間の関係で簡略にお願いします。それでは中野労働基準局長、お願いします。

○中野労働基準局長 
 一番上にあります資料の7ページ以降、資料3-1の基準局関係について、ポイントに絞って御説明します。別紙1、12ページ、労働契約法の改正等に伴う政省令の整備については、改正契約法の施行のためのものです。まず、施行日について、雇止め法理の法定化以外の部分を今年の4月1日としたのが?です。それから、クーリング期間の計算の仕方を定めた省令を整備しました。
 ?書面で労働条件を明示することの中に、有期契約を更新する場合の基準を盛り込むための省令整備をしました。それに伴って、?今まで告示で運用していた当該基準をはずしたということです。
 次は、これは非常に形式的なものですが、労災保険法の運用に関して、関係機関に要請する際の権限が大臣になっていたものを都道府県労働局長に下ろしたということです。海外派遣者の特別加入制度の届出の中、システム整備によって不要になったものを外したというものです。
 第12次の労災防止計画については、昨年秋から御議論を頂いて、審議会の議論を経てまとめたものです。「現状と課題」にあるように、平成23年の死亡者数は最少でしたが、平成24年は1,093人ということで死亡者数は増えております。また、死傷者数も平成24年は確定値が11万9,576人ということで、3年連続増加しており、労働災害は長期的に減少しておりますが、ここのところ少し増えております。特に第三次産業で増加しております。死亡災害の内訳を見ますと、依然として建設業、製造業で過半数を占めているということで、今回の計画の目標はポイント?にあるように、重点対策ごとに数値目標を設定する。ポイント?、第三次産業を最重点業種に位置付けする。死亡災害の半数を占める建設業、製造業に対して重点を絞った取組を行う。こういうことで、今年度から取り組んでいるということです。
 事故由来廃棄物の処分等に関する放射線障害防止対策に関する省令、関係法令の整備については、福島第一原発事故由来の廃棄物処理を本年度から、候補地等を調査しておりますが、本格化するということで、そこで働く作業員の放射線障害を防止するために、専門家の検討会で議論をまとめていただいて、それに基づき電離則の改正等を安衛分科会で3月に諮問、答申してまとめたものです。処分業務については、「改正の概要」にあるように、設備が満たすべき要件を定めて、その上で、?汚染の拡大防止のためにマスク、保護具・保護衣の着用等を義務付け。?特別教育等を義務付けているということです。
 中小企業退職金共済法関係の省令の改正を、昨年の10月22日の諮問、答申を受けて行いました。この上の段については、中退金制度にせっかく加入されても、請求の手続きを取らない方が一定数どうしてもおられて、それを促すために、今までは事業主を通じて請求をお願いしておりましたが、直接、制度を運用している勤労者退職金共済機構から確実に注意喚起を行うことができるよう、提出いただく書類の中に個々人の方、被共済者の住所を加えていただくこととしました。今までも任意で記入していただいたのですが、これを徹底して、直接、機構から請求を促すことができるようにしたものです。
 平成25年度の中退金制度における付加退職金の支給率については、審議会の議論を経て、この3月に支給率を0とするという答申を頂いて、そのように取り扱っております。ただ、この考え方の背後には累積欠損金があり、これが解消するまでの間は利益処理は付加退職金に当てることなく、その累積欠損金の解消に当てることとしたということです。ここの所の運用環境の改善によりまして、まだ確定しておりませんが、恐らく昨年度末の累積欠損金はほとんど解消できる見込みとなっております。以上です。

○黒羽職業安定局次長 
 安定局所管の分科会等における審議状況について御報告します。資料の19ページ、20ページです。1点目、「高齢者雇用対策」の検討については、高齢法の改正が昨年の8月29日に成立したのを受けて、この法律の施行に必要な政省令等について御議論を頂きました。雇用対策基本問題部会におきましては10月2日、職業安定分科会におきましては11月2日に御議論を頂き、「妥当」との答申がなされました。これら政省令等については、改正高齢法とともに本年4月1日に施行されております。
 2点目は、「駐留軍関係離職者等対策」の検討についてです。「駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法」については、これまで数回延長されていましたが、それぞれ本年の5月、6月に有効期限を迎えることになっておりました。有効期限の延長については、11月29日の基本問題部会で御議論を頂き、現在の状況に鑑みて、「延長等の改正を行うことが適当」との結論に至りまして、12月12日の職業安定分科会に報告して了承を頂いております。これを受けて、この2法の一部を改正する法律案要綱を、2月20日の職業安定分科会に諮問して、「妥当」との結論を頂き答申がなされております。これに基づいて、法律案については、3月8日に国会に提出して、5月10日に成立、5月16日に公布、施行されております。それぞれ5年間期限を延長するものです。
 3点目は20ページ、「障害者雇用対策」の検討について、障害者雇用分科会におきまして、今後の障害者雇用政策の充実強化について、昨年の9月18日から10回にわたる熱心な御議論を頂きまして、昨年の3月14日に意見書を取りまとめていただいております。
 主な内容としては、雇用分野における障害を理由とした差別の禁止。職場における合理的配慮の提供。障害者雇用促進制度における障害者の範囲を見直し、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えること等です。これを受けて、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱を、3月21日の障害者雇用分科会に諮問し、「おおむね妥当」という結論を頂きまして、答申がなされております。これに基づいて、法律案については、4月19日に国会に提出しております。本日、参議院での審議が始まったところです。
 「雇用保険制度」の検討については、社会人の学び直し等について検討するため、5月23日から雇用保険部会で議論を開始しております。関係資料が後ろに付いておりますので御覧いただければと思います。以上です。

○山田職業能力開発局長 
 27ページ、3月に能開分科会を開催いたしまして、1番目のポツは、総合大における指導員訓練の見直しに係るものです。2ポツ目は、求職者支援訓練の訓練期間認定申請を促進するということで、一定の認定要件を緩和する内容です。3ポツ目の認定訓練助成事業費補助金については、震災特例の延長に関わるものです。キャリア形成促進助成金の見直しについては、企業内の能力開発を支援する助成金ですが、若者や非正規の方々への企業内の能力開発に重点化する形で助成金にメリハリを付けるという内容です。
 2点目のポリテクセンター・ポリテクカレッジの都道府県への譲渡については、旧能開機構の廃止法のときに、都道府県が希望すれば移管することができるということが書かれており、我々としてもいろいろ都道府県への働きかけ等も行っておりますが、現在のところ、譲渡の希望はなしという状況です。
 34ページを御覧ください。「当面の対応」として、移管条件の一定の緩和を行うということですが、移管の期限が平成25年度末ということになっており、移管が実現しない場合の対応については、更に検討を行うということです。
 他方、総務省の独法評価委員会では勧告の方向性が出ております。2のところで、移管の見込みが立たないポリテクセンター等については、必要性を見いだせないものについては、廃止を含めて検討するということを勧告の方向性として頂いております。3月の分科会で御議論を頂く中で、日本の公的な訓練の割合が諸外国に比べて相当低いのではないか。これを更に縮小することについては問題があるのではないか、ということをきちんと主張するべきだという御意見も頂きましたので、しっかりと対応していきたいと思っております。
 27ページに戻りまして、3ポツ目の「地域若者サポートステーション」事業の今後の在り方についての検討会で検討をいたしました。平成24年度の補正予算におきまして、サポートステーションに対する予算規模は20億円から60億円に拡大することが確保されております。
 4ポツ目の第9次勤労青少年福祉対策基本方針の進捗状況について、若年労働者部会に報告、議論をしたという状況です。以上です。

○石井雇用均等・児童家庭局長 
 資料の39ページを御覧ください。3つの柱で、これまでの間議論を進めてきました。1つ目は、男女雇用機会均等対策についての議論です。これは平成18年の改正法の付則に5年見直し規定があり、その5年というのが、平成24年4月1日で5年を経過したということで、昨年の秋から検討を進めております。3月までに6回にわたって分科会を開催し、これまで項目について一巡をしたところで、今後、引き続き議論を予定しております。
 2番目の労働安全衛生法施行規則等の一部を改正する省令案要綱については、母性保護規定の関係です。有害物を発散する場所における業務について、安衛法令で対象物質が追加されております。エチルベンゼンとエチレンオキシドが母性保護、生殖保護補助機能等に影響を来たすもので、その2つの業務を追加しております。
 3つ目は、いずれも助成金の関係です。事業所内保育施設等の関係は、行政事業レビューの指摘を受けて、中小企業への特化、あるいは執行の適正化という観点から見直しをかけたものです。2つ目の均衡待遇・正社員化推進奨励金については、議員立法ですが、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法が成立して、これが平成25年3月1日に施行されました。その中身については、従前、母子のみの措置が父子にも拡大ということで、奨励金についても母子のみの加算措置を父子にも拡充するという内容の改正を行ったものです。また、奨励金については、非正規全体の奨励金、助成金を一体化するため廃止ということで、3月29日に答申を頂いております。先ほど労働側委員から御指摘を頂きましたが、期間雇用者に対しての支援措置を強化するということで、期間雇用者継続就業支援コースを新設したほか、両立支援の助成金の中で、ポジティブ・アクションについても、数値目標を設定し、達成した場合に加算するという新たな制度を盛り込んでおります。以上です。

○大西労働政策担当参事官 
 もう1つあります。資料4の51ページ、183回通常国会における法案審議状況です。内容については、先ほど職業安定局次長が説明したとおりです。引き続き、法案の成立に向けて努力していきたいと思います。以上です。

○樋口会長 
 ただいまの説明について、御意見、御質問を受けたいと思います。

○神津委員 
 職業安定分科会の中でも、雇用保険制度に係るところに幾つか論点がありますので申し上げたいと思います。5月23日に雇用保険部会が開催されたということで、論点の案が示されております。資料の20ページにも「社会人の学び直しに対する支援措置」について触れられておりますが、労働側としては、もっとそもそものところの問題について、しっかりと目を向ける必要があるということです。具体的には、失業等給付に関わる積立金の残高が、目下、6兆円に迫っている状況を踏まえて、2000年と2003年の2度にわたって、基本手当が引き下げられてきました。この水準の在り方が大変重要な論点になると認識をしております。基本的には、引下げ前の水準に戻すべきであると考えていることを申し上げておきたいと思います。
 失業等給付に関わる国庫負担については、現在、本則の4分の1、すなわち25%から、暫定的に13.75%に引き下げられているわけです。雇用保険の国庫負担を廃止縮減することは、雇用対策に対する国の責任を放棄することに等しいわけで、一刻も早く本則に戻すべきと考えます。
 そもそも我が国の雇用政策関連予算の大部分が、労働保険特別会計で賄われているということです。予算の資料の3ページに一覧表、円グラフの分かりやすい内容があります。ここでも明確なように、一般会計からの支出がわずか約2,000億円です。憲法が保障する勤労権を考え合わせても、失業時の生活の安定を図ることは国の責務で、国庫負担は当然の道理であることを改めて申し述べておきたいと思います。
 最後に、更に求職者支援制度についても触れておきたいと思います。先ほど川本委員からも御指摘があったような経緯であるわけで、労働側としても従来から申し上げているわけです。求職者支援制度については、雇用保険制度から分離独立した制度として、全額一般会計で負担する制度へと移行すべきであると考えております。制度運用の改善、あるいは費用負担の在り方についても、今後意見、提言をしていきたいと考えていることを申し述べておきたいと思います。以上です。

○高橋委員 
 私からは、雇用均等分科会に関して2点、1つは意見、1つは質問ですが、よろしくお願いします。
 1点目は、男女雇用機会均等法改正に向けて、先ほど石井局長から、今般の一巡した議論について報告を受けました。このことについて、前回の改正では男女双方に対して、性別を理由とする差別の禁止や、そういったことが雇用の全ステージで図られたことや、あるいは間接差別等が盛り込まれたことは労働側としては高い評価をしております。この間の女性の働き方、男女の格差に関して、様々な実態、審議会の中でもデータを出していただいたということを聞いておりますが、やはり、就業継続や勤続年数、昇進昇格に関わる男女の格差、そういったことが結果として男女間の賃金格差につながっていて、その辺がまだ解消できていない実態があります。
 また、都道府県の雇用均等室への相談の事例等を見ても、セクシュアルハラスメント等の相談件数がまだ5割を超えている事例も伺っております。間接差別が限定列挙であること等、まだ多くの課題があると私たちは受け止めております。今般の改正のこれからの議論に関しては、男女労働者の均等の機会と待遇の確保が、更に実効性を確保する方向で議論をしていただきたいということを強くお願いしたいと思います。
 もう1点は質問です。雇用均等分科会で、昨年の6月にパートタイム労働法に関しての改正建議がなされて、昨年の労政審で確認されたわけですが、この間、法案に関してはまだほとんど出されていない状況です。1年余りの長期間、建議の内容が法案化されていないことについては、私たちとしては重要な問題であると受け止めております。
 改正労働契約法が施行されたこともありますので、パート労働法についても、一刻も早い改正法の施行が望まれていると、現場からの声でもよく聞いております。労政審としても懸案課題として、一刻も早い改正法の提出に向けて進めていただきたいのですが、いま現在の状況について御報告を頂きたいと思います。以上です。

○三浦委員 
 先ほど既に労働側からもありましたが、労働時間制度について経営側の考え方を簡単にお話ししておきたいと思います。
 経済のグローバル化に伴って事業を見直したり、あるいはICTが普及しており、そういった大きな影響によって企業を取り巻く経営環境は大きく変わっています。仕事の内容、働き方も当然ながらそれに従って変わっているわけです。したがって、労働者が創造性を発揮するなど、存分に活躍できる環境を整備して、イノベーションを実現していくことが必要になっています。労働者の健康確保に配慮するのは当然ですが、それを前提に企業の労使自治に委ねることを基本にして、業務の多様性に対応できるように企画裁量型労働を始めとした法制度の見直しを是非お願いしたいと思います。
 先ほど割増率等について調査を進めるというお話がありましたが、是非、その際には調査を通じて割増賃金率の引上げにより、時間外労働の抑制効果が得られたのかどうか、できるだけ客観的な事実を確認して、データに基づいた審議ができるように準備していただくことをお願いしておきたいと思います。以上です。

○篠田委員 
 2点ほど申し上げたいと思います。先ほども出ましたが、今後の労働者派遣制度について、主に実務的な面ということになります。これから述べる点を踏まえて、秋から予定されている部会での検討に当たっていただきたい。
 1つは国会の付帯決議そのものにもありますが、制度そのものが大変分かりにくいので、これを分かりやすくしていただきたいということです。厚労省におかれましても、よく社会の変化や企業の実態を踏まえながら、現場に混乱が生じないように変えていき、そうした検討を行っていただきたいと思います。
 2つ目は、派遣制度自体の信頼性をもっと高めるべきではないかと思います。残念ながら、労働者派遣制度は日本社会の中で負のイメージが定着してしまっている感があります。本年度から優良事業者のための行動基準の策定などを予定されていると伺っておりますので、幅広い観点から多様な検討を行っていただきたいということです。
 先ほども説明がありましたが、障害者雇用促進法改正案に係ることです。今国会で改正法案が成立した場合には、とりわけ合理的配慮義務に関わることになるかと思いますが、このガイドラインの策定に向け、急いで研究会を早期に設置して開催をしていただき、精神障害者の雇用に関して企業支援の充実など、迅速な対応をお願いしたいと思います。私からは以上です。

○土谷委員 
 男女雇用機会均等法の見直し議論については、3月に一巡目の議論が終了したと聞いております。使用者側としては、前回の改正により法律内容が充実して、男女の雇用機会均等対策については前進してきていると思っております。そもそも職場にいる女性がどうすれば働きやすいか、どうすれば活躍できるかという点については企業の事情によって様々です。ですから、一律に企業に強制するような手法ではなく、各企業が実態に則して、様々なアイデアを出しながら女性の活躍に資する取組を行うことが望ましいと思います。
 また行政には、企業の取組が功を奏するように、待機児童問題の解消など、社会的基盤の整備による御支援をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○岡田委員 
 今の土谷委員の意見に重ねて、私からも意見を申し上げたいと思います。先ほど予算の中でも冨高委員、石井局長からも御発言があったのですが、企業としても女性が活躍できる状態を作るというのは望ましいことですし、それに向けて様々な努力をしてきております。
 当社においても、出産や育児を理由に雇用が継続できない状況を生まないように、様々な施策をこれまでも打ってきております。例えば、会社の中に保育所を設けたり、時短制度も小3まで拡充しております。それから、男性の育児休暇を取得する促進活動や在宅勤務についてもかなり拡充をしております。ベビーシッターであるとか、突然の病気に対応することに関する資金の提供もしております。
 復職に当たっては、速やかに復職ができるような育休中のネットワークの拡充、研修、在宅でのスキルアップのための講座等の準備等々しております。このように企業が独自の立場で、様々な努力をされてきていると考えております。これを更に推し進めていくために、子供の育ちを考えても、安心して預けられる環境や保育士の質というのは気になるところだと思っています。先ほどM字カーブの解消のお話もありましたが、解消に向けては責任ある仕事、責任ある立場についていくことも踏まえて、社会インフラとしての保育所の量の拡大と質の向上は欠かせないだろうと思います。行政にはそのような社会的基盤の整備を重ねてお願い申し上げたいと思います。以上です。

○冨高委員 
 法案の国会審議状況について2点申し上げます。昨年の11月に衆議院解散を受けて廃案になりましたが、労働安全衛生法の改正法案については、職場におけるメンタルヘルス対策、受動喫煙防止対策などの追加が盛り込まれておりました。これらについては、労働者の労働災害防止、健康障害防止という観点から早急に対応すべき非常に重要な課題と認識しております。
 もう1点は、今国会に提出されている障害者雇用促進法の改正法案については、障害者権利条約への対応を図るために、障害者を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供を全ての事業者に義務付けることに加えて、精神障害者を雇用義務制度の対象とすることなどが盛り込まれております。
 本法案は、障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備を前進させるとともに、障害者が職場において生き生きと働くことのできる環境整備を図るという意味で、極めて重要であると認識しております。厚生労働省に対しては、これら重要法案の今国会での速やかな成立に向けて努力をしていただきたいと思います。以上です。

○樋口会長 
 ほかにどうでしょうか。よろしいですか。それでは事務局から回答をお願いします。

○黒羽職業安定局次長 
 神津委員より、失業給付に係る国庫負担の在り方、求職者支援制度の費用負担の在り方について御指摘を頂きました。雇用保険制度の見直しについては、先ほど御説明したように、本年5月23日に第1回雇用保険部会を開催して、議論を開始したところです。その際には、本則復帰についての御意見も出ております。今後、雇用保険部会において、御指摘の3点を含めて、幅広く御議論をお願いしたいと考えております。
 篠田委員から2つありました。1つ目は、労働者派遣制度の在り方については、先ほど御説明しましたが、現在、有識者による研究会において御検討を頂いておりますので、篠田委員がおっしゃるとおり、幅広い観点から精力的な御議論を期待しております。
 障害者雇用促進法改正案については、この改正案が成立した場合には、雇用分野における差別の禁止等に係る指針の策定に向けた研究会等を開催することとしております。また法律の施行に向けて、企業が精神障害者の雇用に円滑に取り組むことができるように、精神障害者を雇用する企業に対する障害者雇用トライアル事業等の経済的支援の強化等の支援策も検討していきたいと考えております。

○石井雇用均等・児童家庭局長 
 まず、高橋委員からのパートタイム労働対策建議のあとの関係については、パートタイム労働法は、昨年の6月に建議を頂戴したわけですが、今国会では、検討中の法案という形で、提出に向けて取り組んでいるところです。ただ国会の日程状況に左右されるところで、特に今国会については提出の見込みが立った段階で法案の諮問に移りたいと思っていたところ、現状では、まだその辺の見通しが立たないということで、こうした状況になっております。引き続き、この法案提出に向けて努力をしていきたいと思います。
 男女雇用機会均等の関係では、使用者側の土谷委員、岡田委員からも御指摘を頂戴しました。先ほど御報告したように、一巡目の議論が終わったところですが、引き続き二巡目に向けて議論を積み重ねていく予定です。その中で、企業が自主的に取り組んでいくことについても念頭に置きながら対応していきたいと思います。ただ一方で、様々な相談があり、先ほど労働側の委員からセクハラの事案、あるいは妊娠・出産不利益取扱いの事案が出ているのも事実です。この辺を総合的にしっかり取り組んでいくということではないかと思います。
 先ほど申し上げたこととやや重複になりますが、その基盤として待機児童対策にきちんと取り組んでいくことは重要だと思っておりますので、これも国を挙げてしっかり取り組んでいきたいと思います。以上です。

○中野労働基準局長 
 三浦委員から、使用者側の立場から労働時間法制についての御意見を頂きました。多様な働き方や創造的な働き方の観点から、見直しをすべきではないかという御意見です。労働時間法制については、一方で先ほど眞中委員からも御指摘を頂いたような御意見もありますので、まずは実態調査をしっかりと行った上で、御指摘の企画業務型裁量制、懸案となっている中小企業の適用猶予の問題を含めて、労働時間制度全体について総合的に労政審で議論をしていただきたいと考えております。
 冨高委員から、労働安全衛生法改正法案について御指摘がありました。廃案になりましたが、この法案に盛り込んでいた内容であるメンタルヘルス対策、受動喫煙対策、粉じん対策は重要な課題です。ただこの法案については、国会の提出が平成23年12月で、それからかなり時間もたっております。また、本年2月には第12次の労働災害防止計画も策定しております。この間の状況の変化もありますので、内容について追加的に盛り込む事項がないかということなど、6月から安全衛生分科会で議論をお願いした上で対応していきたいと思います。

○樋口会長 
 能開局からはないですか。

○山田職業能力開発局長 
 ございません。

○樋口会長 
 ほかに事務局はよろしいですか。それでは、議題3、4については以上で終了します。その他御意見、御質問がありましたら、御発言をお願いしますが、いかがでしょうか。なければ、予定した時間を過ぎておりますので、この辺りで閉会といたします。最後に、本日の会議に関する議事録については、本審議会運営規程の第6条に会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表委員の高橋委員、使用者代表委員として土谷委員に署名をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の会議は以上で終了します。どうもありがとうございました。


(了)
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代表: 03(5253)1111

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