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2013年3月8日 歯科医師ワーキンググループ(第2回)議事録

医政局歯科保健課

○日時

平成25年3月18日(月)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 省議室(9階)


○議題

1.歯科医師臨床研修制度等の見直しについて
2.その他

○議事

○青木企画調整専門官 委員の皆様方がおそろいですので、歯科専門職の資質向上検討会 歯科医師ワーキンググループ(第2回)を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の出欠状況ですが、小森委員から御欠席の連絡を頂いております。また、前回御欠席だった山口委員に本日御出席いただいておりますので、御紹介いたします。ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口委員です。
○山口委員 山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○青木企画調整専門官 以後の進行については、俣木座長にお願いいたします。
○俣木座長 私のほうで以降の議事進行を進めさせていただきます。委員の先生方におかれましては、年度末の大変お忙しいところありがとうございます。まずは事務局より資料の確認をよろしくお願いいたします。
○青木企画調整専門官 本日配布させていただいた資料ですが、左側に議事次第、その下に座席表、資料一覧があります。資料1として「歯科医師ワーキンググループの概要」です。資料2として「歯科医師ワーキンググループのスケジュール」です。資料3として「歯科医師臨床研修制度の見直しに係る論点」です。参考資料として「歯科医師ワーキンググループ(第1回)での歯科医師臨床研修制度に関するご意見」です。委員の皆様方から御提出いただいた資料として、「秋山委員提出資料」、「伊東委員提出資料」、「丹沢委員提出資料」、「樋口委員提出資料」がございます。資料について以上ですが、乱丁・落丁等ありましたら事務局までお知らせください。また、秋山委員から当日配布資料ということで御提供いただいている資料がありましたので、準備ができ次第、委員の皆様方にお配りいたします。
 各委員の左側に青いファイルを置かせていただきました。本ワーキンググループの過去の資料を会議の際に御活用いただけるよう、順次資料を追加し、ご用意したいと思います。本日の資料についてはお持ち帰りいただいても結構ですが、青いファイルについては残しておいていただければと思います。また、冒頭のカメラ撮りについてはこちらまでとさせていただきます。事務局からは以上です。
○俣木座長 前回の会議以降、事務局とともに相談をさせていただいて、本ワーキングでは主に歯科医師臨床研修の制度の見直しに関する議論、あるいは提言をしていきたいと思います。今後のスケジュールについては資料2にまとめていただきましたので、事務局より御説明をお願いいたします。
○青木企画調整専門官 資料2について御説明いたします。歯科医師ワーキンググループの今後のスケジュールということで、資料を準備しました。前回、平成25年2月1日に、歯科医師臨床研修制度の論点について御議論いただきました。本日については4名の委員の先生方、秋山委員、伊東委員、丹沢委員、樋口委員より、それぞれプレゼンテーションを頂きます。また、歯科医師臨床研修制度の見直しに係る論点について、御議論いただくことを予定しております。
 次回以降ですが、今年の4月から9月頃を予定しております。おおむね2回から3回程度ということになろうかと思いますが、歯科医師臨床研修の実施体制(施設側)に関するものであるとか、歯科医師臨床研修の開始から修了まで(研修医側)に関するものについて御議論いただきたいと考えております。
 今年の10月から11月頃に1回程度を予定しておりますが、本ワーキンググループの報告書の骨子について、御議論いただきたいと考えております。ワーキンググループの骨子について御議論いただいた後に、親会である「歯科専門職の資質向上検討会」に中間報告ということで、一度御報告をさせていただきたいと考えております。
 来年の1月から3月頃に2回程度を予定しておりますが、ワーキンググループの報告書を御議論いただきたいと考えております。ワーキンググループの報告書については、来年度いっぱいでまとめていただいた上で、親会である「歯科専門職の資質向上検討会」へ報告をさせていただきたいと考えております。現時点では、以上のようなスケジュールを考えております。議論の進捗状況等によっては、回数であるとか開催時期については変更があり得ますので、その点については御了承いただければと思います。資料2については、事務局からは以上です。
 また、先ほど秋山先生から御提供いただいた資料を各委員の先生方にお配りしております。事務局からは以上です。
○俣木座長 ただいま御説明いただきましたように、資料2に示されているスケジュールに沿って、今後のこの会議を進めていきたいということですので、どうぞよろしくお願いいたします。また、本日は4名の委員に臨床研修の実施状況等について御説明いただくことを予定しております。それぞれの委員から御説明いただく前に、事務局より資料3の論点や参考資料について御説明いただきますので、委員の方々のプレゼンテーションや論点を踏まえて、皆様の御意見を頂ければと思います。
○青木企画調整専門官 資料3及び参考資料について説明いたします。資料3「歯科医師臨床研修制度の見直しに係る論点」です。こちらの資料については、第1回のワーキンググループの際も提示した歯科医師臨床研修制度の見直しに係る論点に、第1回のワーキンググループでいただいた御意見等を踏まえて追加した資料です。具体的には2ページの18番「歯科医師臨床研修制度の財政的支援等について」、27番「歯科医師の処遇について」、28番「臨床研修の国民に対する広報について」の3点を前回のワーキンググループに提示した資料の項目に追加しております。資料3については以上です。
 参考資料については、歯科医師臨床研修部会及び歯科専門職の資質向上検討会(第1回)、歯科医師ワーキンググループ(第1回)で各委員の皆様方からいただいた御意見を、それぞれの論点に該当する項目について事務局にて整理した資料です。事務局にて整理しましたので、委員の皆様方に御確認いただいて、修正等ありましたら御指摘いただければと思います。事務局からは以上です。
○俣木座長 事務局より歯科医師臨床研修制度の見直しの論点及び先生方からの御意見について、説明していただいたところです。委員の皆様から御質問等ありませんか。前回の議論を踏まえた上でまとめていただいた資料ということですが、お目通しをいただいて何か御質問等ありましたらお願いいたします。特に先ほど前回のワーキングで加えられた18番目の項目、あるいは27番目、28番目の項目等について、この表現でよろしいかどうか等についてもお願いいたします。事務局から追加はありませんか。
○青木企画調整専門官 本日お配りしている資料ですので、今後もし修正等ありましたら、適宜お申し付けいただければと思います。
○俣木座長 今のところないようであれば、このまま続けたいと思いますが、よろしいですか。何か疑義がありましたら、その時点でまた御質問いただければと思います。
 続きまして、本日の議題としての臨床研修の円滑で効果的な在り方、到達目標の在り方等について、お願いをしております秋山先生、伊東先生、丹沢先生、樋口先生の4人の委員の先生方からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。まず、秋山委員よりお願いいたします。
○秋山委員 「秋山委員提出資料」もありますが、先ほどお配りした「日本歯科大学附属病院」というホッチキス止めのものです。パワーポイント等での説明をする予定で考えておりましたので、この内容等に関して、日本歯科大学が今までどういうことをやっていたかということと、現時点での抱えている問題点等について整理しましたので、よろしくお願いいたします。
 円滑に進めるための工夫、到達目標達成のための工夫について、本附属病院ではどのようなことを行っているか述べさせていただきます。1枚目です。臨床研修必修化に備えて、大学附属病院の枠組みを新診療体制ということで、平成16年から変えました。旧診療科名がありますが、保存科、補綴科、歯周病科、予防歯科、高齢者歯科、口腔外科等が総合診療科になりました。総合診療科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、歯科麻酔・全身管理科、放射線・口腔病理診断科が診療科としてあります。そこに所属している委員が診療センターに併任という形と、診療チームに併任という形での大学病院のシステムを作っております。研修歯科医、臨床実習生等は、総合診療科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、麻酔科等に配属という形をとります。
 患者に対するアナウンスメントです。細かいところに関しては、4階診療室、5階診療室という部分での対応をしております。動線等に関して、きちんと分かるような状況の枠組みをとってあります。
 研修歯科医の制度に関してです。4月1日、研修歯科医の始業式を大学の入学と同じような形で行ってまいります。ピンク色の枠組みがありますが、1年間の研修のスケジュールとなります。平成24年度は4月1日がお休みでしたので、2日から始まって3月31日までという形をとります。
 2枚目の上に日本歯科大学附属病院の研修プログラムがあります。管理型長期プログラム(Aプログラム60名)、協力型長期プログラム(Bプログラム50名)、協力型複数プログラム(Cプログラム50名)という3つのプログラムで、日本歯科大学は行っております。Aプログラムが8月~11月、協力型臨床研修施設。Bプログラムが8月~3月。協力型臨床研修施設。Cプログラムが8月~11月、12月~3月、2か所の協力型に行くようなプログラムとなります。そのプログラムの具体的な内容に関しては、横にある内容の枠組みにありますので、御覧いただければと思います。
 おめくりいただいて、「平成24年度協力型臨床研修施設研修プログラム説明会」を行っています。4月5日から19日までの期間、座学的な部分になりますが、そちらで日本歯科大学附属病院は平成24年度137の協力型臨床研修施設、研修協力施設17施設と組んでおりますので、137の施設のうち103施設に来ていただいて、15分間のプレゼンテーション時間と30分間の質疑応答時間ということです。こちらに枠がありますが、その時間帯に来ていただいて、この写真のような形での質疑応答を含めての先生方のプレゼンをしております。協力型の先生方におかれましては、ホームページ等を作っていただいて、歯科医師臨床研修施設とは、臨床研修歯科医、日本歯科大学附属病院と組んでいますとか、デンタルケア高松歯科等においては、研修歯科医の体験談に関してもWebに載っているような状況で、臨床研修に対してかなり協力的になっていただいている施設の方々が多いのが現状です。
 こちらの施設に関して配属を決めるに当たっては、群内マッチングシステムを行っています。研修歯科医と協力型臨床研修施設の希望により、組合せの決定をしております。
 これは歯科マッチングのコンピューターシステムをお借りして、行っている内容です。平成24年度に関しては113施設が参加されましたので、定員が165名になりました。
 おめくりいただくと、施設名が載っております。研修歯科医の情報等に関しては、個人情報等をきちんと慎重に取扱いをしながら、研修歯科医プロフィールカードを作って、各施設に郵送して、群内マッチングが終わったら回収するような手立てをとっています。そのスケジュールに関しては、4月から始まって6月7日に群内マッチングの結果発表日ということで、約2か月間かけて配属先の決定をしております。こちらがまず1点、今後の見直し等が必要なところであるかと考えております。
 次のプリントですが、群内マッチングのホームページにおいては、協力型臨床研修施設のプログラム情報と研修歯科医の名前、施設の名前等があります。こちらはID、パスワード等をきちんと管理していただいて対応する部分を行っております。
 おめくりいただいて、群内マッチングに関してはアンマッチングが出てしまうと研修ができなくなりますので、全員登録という形をとっています。全施設登録、全員登録ということで、自分が行きたい施設、自分の施設に来ていただきたい研修歯科医を1位から最低位までつけるという対応をしております。6月7日に群内マッチングの結果の通知ということで、Web上での通知をしております。平成24年度に関しては、8月から11月まで、1位から30位までの状況でのマッチングの結果となりました。ここで研修歯科医と施設の双方の希望どおりに配属ができるようなシステムをとっているのが、円滑に進めるための1つの工夫というところで提示をさせていただきます。
 続いて、日本歯科大学の研修プログラムの内容となります。附属病院のプログラムということで、「必修ユニット」「選択ユニット」を作っております。方略としては臨床、シミュレーション実習等をメインとして、評価としてはポートフォリオ評価を行っております。先に各部門ごとに研修シラバス等を作っていただいて、そちらでの研修をするような対応をしております。その研修の具体的な例に関しては、手術室、局所麻酔・ペインクリニック、入院・NST、栄養指導、院内感染、清掃、安全管理、救命救急、総合診療科での研修状況。選択ユニットとしては歯科技工、医療面接、診療情報管理等が載っています。「総合診療科配属表2012」の総合診療科における研修風景という写真ですが、こちらを見ていただくと分かるように、指導医がいて上級医がいて、研修歯科医がいて、学生がいます。学生の下には衛生士の実習生等もいますので、クリニカルクラークシップということで1つのチームを組んで、患者1人に対しての対応を行っているところが特色となります。あとは関連の歯科メーカーと研修歯科医のセミナー等を行いながら、4か月間を過ごすという形です。
 おめくりいただいて、ポートフォリオ評価です。こちらは紙媒体になるのですが、今年修了した者の評価を今、行っておりますので、そちらは後ほど回覧資料で見ていただけると有り難いと思います。このようにDEBUTは用いなくて紙媒体を使ってポートフォリオの評価を行っているのが、また1つの特色です。そうすると、いつ誰が何をやったか分かるように作っております。到達目標等に関しての見直しが今度のディスカッションでも出ておりますが、実際にその人間がどのようにそこの到達目標にきちんと達したのかが分かるような状況を作っております。評価に関しては、指導歯科医の評価等の捺印でA、B、C、Dの評価をしていただくようになっています。
 おめくりいただいて、日本歯科大学附属病院研修修了証授与式という写真が載っている上のところが、最終的に研修の評価の部分になります。基本習熟コース、修得コース、6ユニットがありますが、その行動目標を全部合わせると68行動目標がありますので、その68行動目標を5段階評価として、340点満点で7割以上取った者を研修修了という形で、研修管理委員会での評価を行っております。修了証授与式のときには、歯科医師会会長、日本歯科医師会会長等にもお声をかけて、歯科医師会等でどういうことを行っているか説明等もしていただく工夫を行っています。
 続いて、厚生労働省歯科保健医療予算ですが、こちらもこの会議でのディスカッションが必要ではないかというところで、資料として載せていただきました。平成22年度の予算額が約30億円ありますが、平成24年度に関しては22億円程度です。5月16日に各都道府県担当者に対しての厚生労働大臣が認めた目標達成管理費が提示をされます。
 おめくりいただいて、平成22年度の研修費の補助金が月額12万6,000円、平成23年度が9万1,000円、平成24年度が8万6,500円です。日本歯科大学においては、歯科医師臨床研修補助金ということで、交付申請に対しては平成24年度は6月時に日本歯科大学経理部にて、協力型臨床研修施設の申請分も含めて取りまとめを行い、東京都に提出をしております。実績報告書を作っていただいて、領収書等が必要となっておりますので、施設からそれを全部集めているような形をとります。合計金額として8万6,500円が月額ですので、その金額に対して在籍型出向状況に従って各協力型臨床研修施設に配分をするような形をとります。人件費、俸給等に関しては、日本歯科大学が立替えをしているという形をとっています。毎月20日に研修歯科医の銀行口座に給料として振込を行っています。その立て替えた分を翌年5月に大学から各施設に請求するという対応をしております。
 そこの部分があって、横を見ると平成24年度の協力型臨床研修施設は137です。研修協力施設が17あります。下の横這いの協力型臨床研修施設数、1997年(平成9年)からの12の施設からの日本歯科大学の組んでいる状況となります。平成22年までは151施設ということで、協力型臨床研修施設になりたいという施設がかなり多くきていましたが、そのあと平成21年、平成22年、平成23年等から今現在28施設が指定取消申請を出されております。
 日本歯科大学においては、協力型臨床研修施設になっていただくに当たって、必須条件として他大学・大学病院等を含む並行申請を行っていないこと、指導歯科医は都道府県歯科医師会会長推薦があること、附属病院群内マッチングに参加し、マッチング結果に従って研修歯科医の受入れを行うこと、研修管理委員会に施設責任者が必ず出席することをデューティとして義務付けております。研修管理委員会等においては、研修歯科医の労働条件をきちんと8時間労働、週40時間を守ってください、夏季休暇を与えてください、通勤費等を支払ってください、登録異動の手続をしてください、アルバイト等に関しては禁止ですということを通達しております。
 その下に、平成19年度から平成24年度の研修歯科医の収支、合計金額ということで、補助金の金額となります。平成19年度が12万8,000円だったのですが、平成24年度が8万6,500円です。研修歯科医の人件費が雇用保険等も含めると14万6,100円ですので、その収支は平成24年度現在、施設の持出しが6万2,600円となっております。施設が今、研修管理委員会等を行うと、かなり負担が大きいという悲鳴が上がっているのが事実でもあります。実際に今度、この目標達成管理費がどんどんなくなっていくところがありますので、補助金等も含めて今後考えていかないと、この制度が尻すぼみになってしまうのではないかという危機感を覚えております。
 臨床研修施設数の状況です。協力型臨床研修施設においては、平成24年度は1,857施設があります。ここに関しては1年間に90ぐらいの数が増えているような状況です。ただ、日本歯科大学等に説明会等を行うと、もう他の施設と組んでいる所が多々いらっしゃいます。並行申請を行う状況になりますので、そこは辞退をしていただいているのが現状となります。施設を増やさないと受け皿がないところも今後考えていかなければいけないところだと思います。
 続いて、歯科医師臨床研修の研修方式です。おめくりいただいて、前回の推進検討委員会等で連携型研修協力施設ができました。「歯科医師臨床研修の研修状況2」ということで、グループ研修を取り入れた研修で週4日協力型、A病院の歯科に行って、週1日連携型C診療所に行けるところを作りました。人員に関する基準としては連携型、常に勤務する歯科医師の人員募集基準が1名、常勤の指導歯科医が1名ということで、一人診療所等での研修に協力できる施設に関しては、どんどん増やしていこうというディスカッションがありました。いわゆるグループ研修というものです。こちらを行うことによって、臨床研修施設群方式の推進ができるというディスカッションがありました。管理型施設を増やすためには、管理型にはぶら下がっている協力型臨床研修施設の下に、協力型といいますか、連携型施設を作って、そのグループリーダーが今度管理型になっていけば、どんどん管理型が増えていくというところがあったのですが、実際にここのところが今後またディスカッションが必要な部分であると考えております。
 具体的なところに関してです。日本歯科大学は協力型臨床研修施設が137施設あります。この137施設が1つの臨床研修施設群として、管理型Aプログラム、Bプログラム、Cプログラムがそこの群に入っております。そこで協力型臨床研修施設を決めるために群内マッチングという手法を行っております。ただ、法令上の根拠がありまして、同じ臨床研修施設群の中でグループ化研修を行う協力型と行わない協力型が混在できないところがうたわれました。グループ化研修を行うに当たっては、新しいプログラムが必要になります。そうすると、協力型にぶら下がっている連携型に対して、新しいプログラムをどんどん作っていかないといけないというところで、これで29大学、31病院でグループ化研修が今ほとんど行えない状況になっているのがこちらになります。新たな群の中で群内マッチングを行わなければならないということで、協力型臨床研修施設と連携型臨床研修施設を作った場合には、新しいプログラム、日本歯科大学でいうと新管理型長期プログラムDプログラム、Eプログラム、Fプログラムを作らないと、このプログラムの考え方に従えません。5年後の見直しを行っている部分で、これが一番の動いていない部分だと思います。今後、群構成、連携型に関する研修プログラムの考え方を変えることが必要ではないかと考えております。
 また話が変わりますが、平成25年度の歯科医師臨床研修のマッチングプログラムの日程表が、マッチング協議会のホームページに3月に出ました。マッチングに関してです。日本歯科大学においては約600名の方々が説明会等にいらっしゃいます。試験等に関しては、大学の入試と同じような入試スタイルで、面接と一般常識問題と歯科一般問題等を解かせて、そこでの順位付けをします。マッチングの結果に関しては、募集定員に関してマッチ率が100%という形をとります。大体64%、69%、71%、50%、69%、70%、79%と自大学率が載っております。7割から8割の自大学率での相互乗入れを行っている研修病院としての役割を果たしておりました。マッチングに関しては、マッチ率95%が第1から第3希望までに決まるという形で、学生6年生に対してはアナウンスメントをさせていただいています。
 こちらの東京女子医科大学から大阪大学歯学部までが、日本歯科大学の6年生が日本歯科大学以外で決まった方々のプログラムです。2005年から2008年まで載せてありますが、日本歯科大学はいろいろな大学の出身の方々の受入れを行っておりました。ただし、現在はどの大学病院等も自大学を優先するような状況になっていますので、80%、90%が自大学率という状況になっているところが私立歯科大学の現状であると思います。
 歯科マッチングの状況で右下にありますが、明日、国家試験の発表日です。こちらを見ると分かるように、歯科マッチングの参加人数は4,000名弱います。アンマッチの数が大体390名、400名ぐらいです。各学年、年度の卒業試験の不合格者等に関しては、500名ぐらいが29大学等で後期試験、卒業試験で受験資格がない状況の方々です。99回から106回までの累積になります。大体3,300名が国家試験を受験されていますが、合格者数が2,300名前後となります。明日は分かりませんが、過去の状況においては約1,000名の方々が国家試験等で不合格になっている現実があります。そうすると、歯科マッチング等でこれだけ期間をかけて決めても空席が出るという状況になっている、明日慌てて、自分の所に研修に来る人間が国家試験に落ちてしまったという状況が出てきてしまうところです。ただ、4月1日から研修を行わなければいけませんので、そこの期間がすごく短いところが現状です。
 最後に、私立歯科大学は国家試験等に3分の1が落ちるという状況になっておりますので、入学試験の近年の志願状況の推移です。こちらはホームページに載っているものです。平成16年に関しては、受験者数が1万人、本当はその前は1万5,000人ぐらいいたのですが、平成23年度の受験者数が4,300名というところです。定員割れが起きました。定員割れのない私立歯科大学は、2010年度、東京歯科、昭和大学、日本大学、日本歯科大学、愛知学院大学、大阪歯科大学です。2011年度に関しては、明海大学、朝日大学等が学費を下げましたので、そこの充足率が達しているという状況となります。この辺のところも行政と大学、医育機関がきちんとしたことをやっていかないと、日本国民に対しての適切な歯科医療の提供ができなくなってきているのも今後考えていかなければいけないところだと考えております。
 最後に、歯科医師臨床研修推進検討会の第2次報告書で、歯科医師臨床研修協議会を作ったほうがいいというところがあって、平成22年度、平成23年度は歯科医師生涯研修推進協議会のディスカッションがあったのですが、そちらが今現在、うまく速やかにテイクオフできればいい状況になっていればなというところです。
 今後の見直しに関するスケジュールということで、前回第1回の会議のときに提示がされましたが、平成25年、平成26年度内に、日本歯科大学が感じているところを多く述べさせていただきましたが、各私立歯科大学においても多分同じ状況だと考えておりますので、この辺の方向付けをきちんとしていただいて、こちらの協議会等で見直しに関する運用をしていただければということをお願いといいますか、プレゼンをさせていただきたいと思います。以上となります。
○俣木座長 かなりたくさんの情報について御説明いただきましたが、ただいまの秋山委員の御説明に関して、何か御質問等ありましたらお願いいたします。
○丹沢委員 すごく盛りだくさんで、一生懸命やられていることに感心しました。ただ、このどのコースも自分で1口腔単位、あるいは人、1人の患者というケースで、じっくり診るという時間はあるのですか。これを見ると、見学的なことがものすごく主体になったり、ポートフォリオの記載などを見ても、例えば根管治療は貼薬から始めた患者を指導教官が形成してくれて、それに根充したらやりやすかったということで、非常にそういう技術が大事だということが分かったということが書いてあったり、幾つか読むと、1ケースとしてやっているというよりも、ポイント・ポイントを教えて、次から次に盛りだくさんのことを一生懸命教えているという感じを受けるのですけれども。
○秋山委員 大学病院においては初診配当なども行いますので、1口腔での考えをさせているところです。ただ、大学病院でできる部分と協力型臨床研修施設でできる部分の住み分けをきちんとしなければいけないと考えておりますので、68行動目標に対する到達目標がきちんと達成できるようなプログラムを作ろうと行っているのが現状となります。大学には4か月しかいませんので、いずれにしてもそこの4か月で何ができるかも各附属病院等でも考えていらっしゃるところが現状だと思います。
○俣木座長 私から聞いてもよろしいでしょうか。平成24年度協力型の施設が137施設あって、説明会のときには103施設ということなのですが、来られない施設はどのような扱いになるのでしょうか。
○秋山委員 今年もそうなのですが、研修歯科医がそのまま就職をした場合に、その子を育てたいという院長がいまして、そうすると、継続して研修歯科医を受け入れることができないという状況になります。オン・オフがどうしても出てきてしまうので、その部分と自分の所に新しく就職する人間がいるので、その人を面倒見なければならないというところがあるので、全部が参加できないのが現状です。なので、毎年増やしていかないといけないのですが、これがだんだん増えていかなくなっているのが状況としては出てきておりますので、裾野が広がらない状況がだんだん出てきているなと体感としては感じております。
○俣木座長 協力型から辞退するのがだんだん増えてきているということなのですが、そのときは手続上のこととして辞退する理由などを求めているのでしょうか。
○秋山委員 指定取消申請書の内容にその部分のところを記載していただいて、関東信越厚生局に提出させていただいております。
○小正委員 聞き漏らしたかも分からないのですが、協力型との群内マッチングですが、これは4月から2か月かけて行われるということですか。
○秋山委員 4月から2か月かけて行っています。最初に「君はどこどこへ行きなさい」とやれば簡単だったのですが、国家試験で燃え尽きてしまっている方々が多いので、自分が歯科医師だというところではなく、どこでもいいやという状況、危機感がありまして、自分たちが何をやらなければいけないというところを、ここで施設の先生方に来ていただいて説明する時間を設けています。保険医の登録等もまだ終わっていませんので、いずれにしても臨床実習、座学的な部分が主になってしまうところが実際ですので、見学・研修プラスこの辺を作っているところです。100施設の先生方に来ていただいて、いろいろな歯科医を見ることは、この研修歯科医たちの将来の財産になるということでもあると思います。
○小正委員 もう1点、補助金のことをお聞きしたいのですが、平成24年では6万1,600円、赤になるのですね。これは大学病院から補填されているのですか。
○秋山委員 補助金と人件費とは別物として扱っておりますので、人件費に関しては施設に請求させていただいております。補助金額に関しては、そのままこの金額をお渡しするというシステムをとっていますので、大学としての補填は行っておりません。
○山口委員 質問をさせていただきたいのですが、プログラムが3つ、AとBとCとあるのですが、このそれぞれのプログラムを修了した段階で、研修医の技術などにどのような違いが出てくるのでしょうか。また、プログラムを選ぶ際に、こういう方向に進む人はこのプログラムを選ぶとか、そういう特徴のようなものはあるのでしょうか。
○秋山委員 大学に残られる方、開業医に勤務される方、将来、自分が開業を考えると、選ぶときにはそういう部分で考えている方がいらっしゃるようです。実際にはその部分をこちらのほうで最終的にポートフォリオ等を見させていただいても、違いがあるような状況ではないと思います。ただ、経験数とか診療に対しての患者数等に関しては、やはり長く協力型にいた方が、最後のほうはたくさんやっているなという傾向はあります。
○山口委員 先ほど国試で燃え尽きてしまうというお話がとても印象に残ったのですが、卒業して研修を始める段階で、御自分の方向性をどのぐらい持っていらっしゃるのでしょうか。例えば大学に残りたいということを既に思い描いているのか、このような歯科医として働きたいというビジョンを持っている方がどのぐらいいらっしゃるのかなと、ちょっと気になったのですけれども。
○秋山委員 ビジョンを持っている方は多々いらっしゃると思うのですが、学生の中にはそうでない方もいらっしゃるということなのです。そういう方々が結局、メンタルヘルス的な部分での対応をしなければならないような状況になってしまいますので、打たれ弱いというのが今の学生の方々は多いので、体罰等に関しても社会的に問題になっていると思いますが、歯科の世界においても実際にそういうところの経験というか、体験を自分のほうでも吸い上げて考えたこともあります。そういう部分で打たれ弱い方々がいらっしゃるということも、今後きちんと対応しないといけないことかと思っています。
○俣木座長 今の秋山委員の御発表の中に、かなり連携型の実態についてのコメントがありまして、平成23年度からの改定のときには新たに受け皿を増やすという目的で、この連携型が発案されたわけですが、実はなかなかそれが普及しないという問題もあるので、今後この実態については、もう少しいろいろな形で調べていきたいという気がいたします。せっかく制度としてある程度提言されているのですが、それがうまく活用されていないところがあると。これは秋山委員からお示しいただいたように、ダブルでプログラムを用意しなければいけないのです。連携型有りと無しを作らなければいけないところもあるので、この辺についてはまたヒアリング等も必要かなと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ほかの委員の方から、秋山先生の御説明の内容について御質問はありませんか。
○伊東委員 あとで私のほうでも問題提起したいと思っておりますが、研修医が実際、患者をやることに対して、同意書といいますか、大学としての姿勢をどんな形で示しておられるのか、お伺いできたらと思います。
○秋山委員 初診の患者に対して健康調査票をお渡しして、そちらに医育機関の病院ですので、「臨床実習生等が診療に携わります」と明文化しております。そちらをきちんと読んで、最終的に日付とサインをしていただいて、そこできちんと診療に携わるという状況を作っているのですが、もちろんそれだけではなく、アナウンスメントはきちんとさせていただいております。日本歯科大学においては、診療参加型実習という形で、臨床実習生等もきちんと経験ができるような状況を作っていますので、その上に上級医といいますか、屋根瓦方式で研修歯科医がいるという状況で行っています。それに対して、患者からクレームということは、実際問題、現在はないです。逆に透明性が高いので、自分の診療行為に対していろいろな人がそこにいるというところで、隠し事がないという部分での患者の安心感があるような状況だと思います。
○藤井委員 今の伊東先生の御質問に対する秋山先生の御回答について、確認させていただきたいのですが、研修歯科医が担当する場合にも同意書を取っておられるのですか。今の御説明は、学生かなと思って聞いていたのですが。
○秋山委員 同意書という形ではなくて、健康調査票にその辺のところのアナウンスメントをして、サインを頂くという形です。同意書ではないです。研修歯科医はもうライセンスを持っていますので、日本歯科医科大学においては胸に名札がぶら下がっているのですが、教授であろうが、助教であろうが、研修歯科医であろうが、全部歯科医師になっています。身分は出ていないです。そういう部分で歯科診療に対して行うところをアナウンスメントしていますので、研修歯科医を患者が分からない部分はあると思います。管理型長期プログラム誰々というのは載っているのですが、研修歯科医誰々という形でのアナウンスメントはしていません。
○俣木座長 ありがとうございました。引き続きまして、伊東委員からの御報告をよろしくお願いいたします。
○伊東委員 それでは、発表させていただきます。秋山先生のような立派な資料がなくて申し訳ないのですが、2枚の紙にしております。
 1つは「基本的枠組みについて」ということで、基本理念の中に、全人的医療というような表現がしてあるのですが、少し一般的に分かりにくくて、やはり医療者として、あるいは医療人として、患者の健康度、医学的管理状況、日常生活動作、社会的背景などを配慮できる歯科医師を目指すということが含まれているわけですが、全人的医療というと、ちょっとその付近が研修医には分かりにくいこともあるかと思います。現在、在宅医療や病院等の訪問診療などをしますと、私でもそうですが、本当に目の前にそういう患者さんがいると、研修医であればなおさらのこと、歯科処置の前にどうしていいか戸惑うということが非常に多くなりまして、これから先の高齢社会を考えるときに、そういう場面を歯科医師も多く経験するというようなことがありますので、基本理念の中に全人的医療という表現はあるのですが、もう少し分かりやすい表現にしたほうが、研修医にとってもいいのではないかと思います。
 それから、「国民への周知について」ということで、医科においては、国民といいますか、患者さんは、研修医が患者を診療・治療することに対して、テレビやマスコミ等を通して、徐々に周知されていると思うのですが、歯科においても同じような制度があって、研修歯科医がそういうことをやっているのだということは、非常に認知度が低いと思います。また、これを研修医がやりますよ、ということを臨床研修施設の立場でいうと、非常に抵抗があって、大学などに比べると、我々の臨床研修施設では、非常に抵抗が強いと。ですから今の秋山先生のお話で、名札は「歯科医師」と表現をして、研修医という表現は使っておりません。
 もう1つは、実際の診療においては、侵襲が加わるような診療については、基本的にはまず大学でしっかり行っていただきたいと思います。ところが現実に研修医を見てみますと、大学では模型やシミュレーターなどが中心で見学が多いと。実際、患者さんを診療するのは、研修病院に来てからが多いのだということをよく経験します。確かに大学は、有病者や重症の人が多いということで、研修医に扱わせられないというような話も聞くのですが、これからの我々の臨床研修施設でも、有病者、あるいは医学的管理を受けている人が多くなってきますので、立場は同じではないかと思いますので、是非、侵襲性の加わるものは、まずは大学で1例でも2例でもしっかりしたことをやっていただきたい。
 あと、バリエーションなど数をある程度重ねるというのは、我々の役目ではないかなと思うわけです。侵襲性のものをしようと思うと、研修医と患者さんとのコミュニケーションができなくてはいけませんが、研修期間が余りにもこま切れだと、患者さんとのコミュニケーションを作る暇がありません。ですから、患者さんも拒否をするということになりますので、そういう臨床参加型の研修内容については、ある程度期間が長い場所でする必要があると。見学を中心としたものであれば、それはこま切れでもかまわない。研修の内容によって、区別していかなければいけないと思っております。
 それから、現在、指導歯科医の制度がありますが、私自身も含めて、指導歯科医師の自覚が足りないということを反省しておりますが、やはり更新をしたり、定期的な教育が必要ではないかと思います。できれば、この研修医制度ができて、総合診療科が各大学にできて、最初は、いうなら各科の寄り合い所帯のような状態から始まって、既に試行段階から言えば、10年以上の歳月を費やしていますので、総合歯科診療の生え抜きの指導医が出てきたり、教官が出てきてもいいのではないかと思いますが、どうしても持ち寄りでやっているということで、その辺りが将来のジェネラル・プラクティショナーとして育てていくのには、今の指導医自体が、各科の壁を乗り越えたものにならないといけないのではないかと思っております。それに対してどうしたらいいか、まずは更新制度があって、定期的な研修のプログラムを作るということをやるべきだと思います。
 それから、多職種の連携についてということですが、これは当たり前のことなのですが、私が言いたいのは、よく歯科のことは分からない、また歯科も医科のことが分からないとお互い平行しているわけですが、今の医療の中を見ますと、以下に書いてあるような共通語があります。個人情報の保護、医療安全、診療情報、院内感染対策、モニタリング・バイタルサイン、あるいは救命救急処置、BLS、ACLSなども含まれると思います。あとは薬剤管理、医療機器管理、ADL、QOLというような、医療、福祉、介護全てに通じる共通語があります。そういう共通語をしっかり押さえておけばコミュニケーションを取ることはできるのではないか。例えば医科でも精神科の医者は心臓外科のことは分からないのは当たり前の話だし、これはナースの世界でもそうだと思うのです。外科系のナースと内科系のナースではお互い専門のことは分からない。ただ、共通語があるからナースとして成り立っている。あるいはドクターとして成り立っている。ですから、我々もこういった共通語に対する研修などを充実させていかなくてはいけないと思います。
 たくさんの研修の中から、優先順位といいますか、是非これだけは卒前教育でしっかりしておいてもらうと、後が楽だなというのが、麻酔のことだと思います。コミュニケーションスキルにたけたといいますか、医療面接など、患者のことをよく聴いてあげるというようなこと、痛くないようにするということ。そういう研修医であれば、我々のところに来たときに、かなりいろいろなことを体験させてやることはできると。そういう意味でいくと、卒前教育で優先順位を付けてもらいたいと思うのです。ところが、現実には、よく聞く話としては、2週間ぐらいの期間で、お互い仲良し同士で、総合実習をして、それで終わりだというようなことを聞くのですが、もっと深く、例えば血管の収縮剤が入っているものがきたときにどうだ、ないときどうだ、あるいは相手が男性、女性、あるいは子供。総合実習では子供というわけにはいかないでしょうけれども、男性、女性と。しかも複数人数をやって、少なくとも研修医が患者さんに痛い思いをさせないでできるというような自信を持って、大学から送っていただければ、我々としては非常に助かるだろうと。そしていろいろな高頻度のものをやってもらうこともできると思います。
 それから、模型、シミュレーターによる実習の充実についてということで、我々もシミュレーターを買う予算などに限りがあるわけですが、私たちの所ではブタの顎の骨を使った実習を必ずやっています。これは非常に日本全国どこでも手に入るし、食肉センターがあれば、どこでもやっています。毎日何千、何万という数が出るものですから、その中から分けてもらうと、非常に安価でもあります。そしてそれは生体の一部だったわけですから、シミュレーター模型よりも、現実感があって、非常に生身に近い形で実習ができる。これはインプラントや口腔外科の実習、歯周病の実習でよく使われている手法ですが、私の所ではそういうもので充填をしてみたりとか、あるいは歯内療法などもできます。この場で話すことではないかもしれませんが、参考意見として出させていただきました。
 これは研修医から聞いた話でもあるのですが、数人の研修医が1人の患者さんを診ているのだということを聞いたことがあります。こういった研修環境は、非常によくないのではないか。基本的理念にあるような、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるように、基本的診療能力を身に付けることができるだろうかという疑問があります。診断や診療計画というのは、カンファレンスをしながらできるのですが、実際の処置については難しいのではないかと思います。それはなぜかといいますと、やはり患者さんは自分の思いをどう研修医に報告していいか分からないし、コミュニケーションが取れないまま終わってしまう。ですから、患者さんにとっても、あるいは研修医にとっても、非常に達成感がないということになります。よく見ていますと、研修歯科医が、パッとラーニングカーブが上がるときがあります。それはやはり患者さんから良かったと感謝の言葉を研修医が受けたりする、あるいは手紙を頂いたりする。あるいは逆に、駄目じゃないかというお叱りの言葉を受けることがあるのですが、そういうことが非常に研修医にとっては、研修の達成感を味わう非常に良い機会だと思うのです。そういう意味では、私はよく訪問診療に連れていくと、歯医者冥利でした、というような言葉が返ってくるのですが、そういう言葉もありますので、表面、形式的な実習、研修ではなくて、やはり1人1人の患者に1人1人の研修医が真摯な態度で向かうということが必要ではないかと思います。
 ただ、これは昔からそうですが、どうも歯科医師は歯を削ったりとか、抜いたりとか、型を取ったりとか、それには非常に興味を示すのですが、口腔ケアやあるいはいろいろな指導、説明、医療安全、感染対策とか、先ほどのいわゆる医療界での共通語になっているようなことに関しては、余り関心を示さないと。これは多分、歯科大学でもそうかなと思うのですけれども、そういう意味では卒前教育と我々の所にきたときに、少しギャップがあり過ぎるような気もします。そういうことで、私のヒアリングを終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○俣木座長 ありがとうございました。今の伊東委員の御発表、御報告に関して、何か御質問等ございませんか。
○山口委員 臨床の現場で受け入れていらっしゃって、とても前向きな指導をされていることについて、非常に素晴らしいなと思いながらお聞きしました。私は今日のワーキンググループの中で唯一患者の立場ということで参加させていただいているのですけれども、特に御発表の中の国民への周知というところで、先ほど秋山委員は、大学のお立場で研修の話をされました。COMLの活動の柱である電話相談をこれまで5万2,000件以上お聞きしてきたのですが、その中には歯科の相談の占める割合が多い中で考えてみますと、大学に研修医がいるということは、一般の人たちの理解が得やすいと感じています。しかし、。指定施設ということになると、研修医がいるということ自体、普通、認識されていないのがまだまだ現状ではないかなと、思うのです。。その中で、先ほど名札のお話が出ていましたがそこでも私は少し疑問を覚えました。第1回目の議論などを拝見しますと、研修医が「歯学部7年目」と言われているぐらい、6年間の教育の中で、ほとんど技術的なことを取得せずに、研修医として世の中に出てきているのだと思います。となれば、初めて行う治療行為が、研修医の段階で数々あるのではないかなと、議事録を読ませていただきながら感じました。医科でなぜ研修医がいるということが当たり前になっているかというと、研修医がいる、この人は研修医なんだということを患者側に知らせてきたからではないかなと思うのです。今、医療機関に行きますと、「私は1年目の研修医の○○です」「私は2年目の研修医です」と自ら名乗る研修医が増えています。歯科で、ライセンスを持っているからと、研修医であることを伏せることで、逆に研修医がいるということの周知につながらないのではないかなと感じたのが先ほどの疑問です。名札に研修医と書く必要まではなくても、自分から研修医なんですと名乗ることが当たり前になれば、歯科でも、協力施設の診療所に研修医がいるのが周知され、患者側も「私たちが協力していかないと研修医が育たない」と、いう理解につながっていくのではないかと思います。先ほど来の議論をお聞きしながら、もっと周知のためには知らせることが逆に必要ではないかなという気がしました。それを更に国民が受け入れるとすれば、生体に侵襲が加わる治療は基本的にまず大学で学ぶことが必要だと思います。私もこの研修前の教育内容の見直しが必要で研修医になった段階で使える技術の習得を増やすことが大事だと思います。特に歯は1回削ると元に戻らないということが、患者さんの訴えとしては大きい部分なので、やはり大学教育の中で、もう少し技術面の教育をしていただくような方向も含めて、ここの中で議論をしていただけたらありがたいなと、今お話を伺っていて思いました。
 先ほどから申し上げているように、歯科に対して非常に厳しい患者の声が、私たちのところに届いていますので、もし今後機会があれば、患者がどういったことで苦情を言っていて、歯科医に何を求めているのかということを、またまとめてお伝えできる機会があればと思っております。
○俣木座長 大変貴重な御意見をありがとうございます。また、機会があればそういうヒアリングの機会を設けたいと思います。よろしくお願いします。ほかにありませんか。
○田山委員 患者とのコミュニケーションを確立するのに、ある程度の期間が必要だと伺いましたが、先生の所の研修期間は1年でしょうか、それとも2年でしょうか。
○伊東委員 私たちが協力型施設としていろいろな大学と組んでいるということが1つと、単独型で1年間やるというのと2つプログラムがあるのですが、1年間を見ますと、後半ではかなり患者さんともコミュニケーションができて、あるいはスタッフとのコミュニケーションができて、わりかし研修の実が上がると。ところが、大学によって3か月とか4か月でこられると、全く見学型しかできないなという気がします。そういうときに、診療参加型の実習をしようと思うと、事故が心配だったりとか、そういう意味で、自ずとそのように分かれてしまっています。
○田山委員 当院は今年から2年という形で単独型でやらせていただいているのですが、2年の研修についてはどのようにお考えですか。
○伊東委員 私たちも2年のプログラムを組みたいのですが、一応それを組む方向で検討しているというところなのです。できれば先生方の病院のように、もともと2年の医科のプログラムがあって、歯科が乗っかった形でいければ一番いいのですが、私たちの場合は歯科単独の病院というか、そういう施設が多いと思うのです。ですから、今のところ1年を組むという形になっております。これもこの前少し質問させていただいたのですが、やはり現行では1年ということでしょうかね。2年、3年で組みたいと思っているのですが、今のところ検討中です。
○俣木座長 ほかにございませんか。
○中島委員 伊東先生のようなところというのは、いろいろ調べますと、やはり数的にも非常に少ないと思うのですね。要するに、今ほとんどの研修医は、大学で研修を受けているという方が多い中で、個人医療機関という。先生の所は大きな病院なので、本来の個人とはまたちょっと違うかもしれませんが、ある意味、大学でない施設で研修を受けるという方、ましてや単独型臨床研修施設で受ける研修医というのは、何か思いがあって先生の所にいらっしゃるのだと思いますが、先生の中で、協力型で来ている研修医と、先生の所に単独で来ていらっしゃる研修医との違いは何か感じられることはございますか。
○伊東委員 今まで平成9年か10年からですかね。試行段階から私のほうでは研修医を受け入れていますが、平成18年から単独型になりましたから、単独型は後になるのですが、やはり協力型で来る先生は、例えば大学院に行きたいとか、ある程度大学の影響を受けている人が多いですね。単独型で来るのは、日本全国からうちのホームページを見て、こういう所にどっぷり浸かりたいというような希望でくる人が多くて、ちょっと性格が違うなという気はします。
○中島委員 追加で申し訳ないのですが、先生の所は口腔外科の専門病院というように解釈をしておりますが、先生の病院は一般のGPの病院とはまた違うと思うのですが、今おっしゃったように、先生の所にどっぷり浸かりたいというのは、口腔外科の一般臨床を学びたくてという感覚でしょうか。
○伊東委員 いや、そうではないですね。もちろん最初のスタートは口腔外科ですけれども、そのほか歯周病、補綴、インプラント、小児歯科や障害者、歯科麻酔といったいろいろなエキスパートが幸いなことに集まってきまして、1つのある一定の期間に平均的にそういったものが研修できるということで、どっぷり浸かりたいと。口腔外科にどっぷり浸かりたいという人は余りいないのですよ。
○俣木座長 ほかにございませんか。
○一戸委員 伊東先生に教えていただきたいのですが、大学で麻酔を教育する身として、卒前教育において、特に麻酔全身管理で一定レベルの教育を受けていることが望ましいというのは、具体的にどのようなイメージをお持ちか教えていただけたらと。
○伊東委員 今、聞いた話では、総合実習で仲良し同士、1回2回やって、それで終わっているということのようなんですけれども。
○一戸委員 局所麻酔。
○伊東委員 そうですね。局所麻酔です。そして、それで終わっているということで、非常に不足しているかなと思います。男性、女性。まあ、学生同士ですから、年をとった人、若い人というのはないかもしれませんが、あとは、子供とか、お年寄りとか、そういう患者を提供することで、しかもいろいろな麻酔薬の違いとか、そういうのでやって、すぐ、笑気鎮静とか、静脈内鎮静とか、全身麻酔ということでなくていいと思うのです。完全に無痛的に局所麻酔が使えるということは非常に大事で、頻度も高い。あとは、見学実習でいいのではないかなと思います。局所麻酔をするというのが、臨床参加型でしっかり教えておかなければいけないと思います。
○一戸委員 先生が書いていただいたモニタリングとか、全身状態評価とか、この辺はいかがでしょう。
○伊東委員 そういうことです。ですから、局所麻酔をするためには、その前の医療面接、問診が非常に大事ですし、その日の体調とか、医学的状況の判断が必要ですね。ですから、十分そこをクリアして、そして実際行って、無痛的に合うということ、そしてそのあとのことをする。その途中はモニターをして、何か異変が起きるとか、そういう観察をするという、非常に基本的なことで、強調したわけです。
○一戸委員 卒前教育のみならず、先生方の所にお世話になる前に、少なくともそのぐらいのことはやっておけということですね、ありがとうございました。
○俣木座長 ほかにございませんか。かなり卒前教育、卒前で診療参加型の実習をしっかりとやるということも、1つのポイントになっているかと思います。あと、2年制のプログラム、これは後ほど丹沢委員からも御説明があるかもしれません。今ですと全国では特に医学部、歯科、口腔外科では、地元の熊本大学も2年制コースをお持ちだと思いますし、あと千葉大学も持っていらっしゃると思いますし、2年コースというものもあると思います。
 よろしいですか。それでは、ありがとうございました。引き続きまして、丹沢委員からの御説明をお願いいたします。
○丹沢委員 お二人の発表者から非常に詳しくお話が出ていますので、私のほうは簡単に比較表で、臨床研修の立ち位置を少し考えてみたいと思います。
 まず卒前実習と臨床研修、専門研修、生涯研修の目的と意義だけは私の考えを一考察ということで、はっきりさせて、その上で臨床研修のほうにどっぷりとお話を向けたいと思います。私は卒前実習というのは、そこに書きましたように、「社会人及び医療人としての自覚と誇りに目覚めさせ、希望に満ちた歯科医師としての生涯を送るための知識・技能・人格の基礎形成」を教育によって促す場だと思っているのです。臨床研修というのは、そこに書いたように、技術的には、一般的な診療において頻繁に関わる疾患等に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることなのですが、ちょっと錯綜していて申し訳ないのですが、「研修内容」の一番下に、「歯科医師の社会的責任と誇りの自覚を育成する」と、次ページにわたって2行書きましたが、ここのところが大事で、これは卒前実習における教育における基礎形成というよりも、自然に自覚をしていくという、自覚の形成、この場だと思っています。自覚を形成すれば、自然に技能的なものも身に付けようという態度ができますので、私は人間教育の考え方が、やはり卒前と臨床研修についてはものすごく大事だと思っています。
 専門研修については、あくまでも専門研修でございますので、これは通常の臨床研修が終わった後でのお話というように私は思っています。
 生涯研修に関しても、実際にそれぞれの診療現場で専門知識の継続的習得ということで、新しい技術の習得ということもあるでしょうし、何か症例に困ったときに、それに関連した技術を受け入れるような、そういう講習会なども含めていると思うのです。ただ、私が、学部長病院長会議のほうで、大学病院の将来構想実現化ワーキンググループでいつもぶつぶつと言っているのは、我々歯科、口腔外科をもっと使ってくださいということなのです。というのは、医学部において歯科をやっていまして、確かに口腔外科なのですが、実は総合病院の歯科なのです。私も虫歯の治療もしますし、歯内療法もやっていますし、入れ歯も作りますし、ブリッジも入れています。がんの治療、変形症もやりますし何でも屋なんですね、そういうところにon the job trainingのセンターを作ることができる。これは学部学生さんにも開放できるので、例えば夏休みや、あるいはカリキュラムに入れ込んで、交代で来ていただくようなこともできるだろうと思います。全身の分かる歯科医師ということをよく言われるのですが、やはり実際のトレーニングですよね。患者さんと接して初めて分かるところがあって、知識として分かっているのとは違います。例えば、慢性疾患など非常に抵抗性の落ちた患者さんを診ながら治療するという、在宅医療、歯科医療の場合、非常に困難を伴うような場合があって、必ずしも麻酔の研修では無理、あるいはICUの研修でも無理な部分があるんです。麻酔科というのは周産期を中心とした全身把握ですし、ICUは道具や環境が揃っていますので。やはりon the job trainingのセンターがどの部門にも必要で、我々みたいなところを使っていただけたら、そういう用意がありますよということで、2ページ目の一番下に、千葉大学に生涯研修講座があって、「歯科医師のためのがん研修コース」というのがあって、歯科医師が肺がんだとか、口腔がんなどの肺転移など、、いろいろな隣接領域の診療を医師とともに、ある一定期間経験することができるようになっていて、オンコロジー・カンファレンスに参加したりすることができるシステムをコースとして設置してあります。私は前、がんプロの責任者だったものですから、教育のために作りました。ただ、皆さん忙しくて、勤務医になったりすると、こういうのに入ってくる余地がなかなかないのです。ただ、このコースの内容をうちの医局員にやった成果かもしれませんが、私どもでは歯科医師には難しいと言われているがん治療認定医の試験を2年間で8人受けて、1人も落ちていないのです。落ちていないというところが、やはりon the job trainingの優れたところだと思っています。トレーニングセンターのようなものが、地域ごとに1つぐらいあってもいいのではないかなと思っています。
 これは臨床研修についても同じです。純粋に臨床研修だけのお話をすると、私も医学の教育を受けた人間ですし、医学部にいるので、いろいろな細かな科を回ってくるというのは、医学部では卒前実習なのです。歯科の場合に、やはり技術的な手の訓練というのがどうしても必要ですから、ある程度の症例数をやるべきではないかと思います。2年制の話が出ましたが、私どもがなぜ2年制を選んだかというと、口腔外科で有病者とかそういう患者さんが来るわけです。決してこちらで、例えば補綴の患者さんを募集していますという看板を掛けて、それで患者が来るわけではないのです。ですから、来た患者さんで実際に保存や補綴をやるというのは、有病者の人とか、がんの人で一般開業医が手を付けるのが怖くなってしまったような患者さんとか、あるいは患者さんと信頼関係が確立された方を研修医が診て、医局全体としてお付き合いをずっと続けているような、そういう患者さんの一般歯科診療をやっているわけです。実際に相互乗り入れなどの立入検査でチェックされると、口腔外科なのにGPをこんなにやっているのですかと言っていただけるだけの数をやっているわけです。ですが、口腔外科の日常の雑務もやっていただいています。ですから内科との対診だとか、患者さんの状態の把握だとかということは、日常的にやっているわけです。私が最初この制度で歯科の1年制研修を考えた時に我々の施設では2年制にならないとこのレベルを越えられないということを自覚して、卒後教育をめぐって、病院として経費を出してもらうことを病院長に認めてもらい、それ以来ずっと教育・研修に関しては、経営は関係なしに病院に面倒を見ていただいているわけです。
 その中に研修内容として、やはり学習態度とか、技能の習得というのを一番目に出す。それから、人を扱う仕事ですから、モンスターペイシャントみたいなのもいて、研修医なんかに俺様を見せやがって、というようなことを平気で言われるような方も実際にいらっしゃいますし、精神疾患を患っている方もいますし、そういう人がいる時やはり組織としてバックアップしながら、そういう人に対する対応もできるような、そういう環境を作ってあげるということが大事だと思います。
 それから、疾患の把握と対処法の習得というのは、入口でいいと思うのです。カルテの診療記録の重要性の理解と作成能力の習得というのは、実は歯科では最も問題になるところでして、歯科の診療録というのは点数表になってしまっているものですから、やはり医学的記載をしっかりやっていくという練習が必要だと思います。あとは高頻度治療です。これは、最低限の自験例数というのは高頻度治療に関して必要になると思うのです。では、どこが最低限かという議論は、またそれぞれの施設や臨床の研修の検討会などでは問題になると思うのですが、最低限はやっていただいたほうがいいと思うのです。
 それから、研修の場合には見学というのはちょっと無理で、やはり最低限バキューム介助、セメントの練和とか、あるいは口を展開するとか、そういう、唾液や血液で自分の手が汚れるような参加が必要だと思います。
 それから、保険診療をやはりしっかり理解させないといけないと思いますので、その辺をやるべきだと思っております。
 あとは、全身管理に関して、余りこだわらずに、歯科医としてのアイデンティティをまず1年間ですから、これを構築することが最も大事で、救急法は絶対やっていただきたいのですが、あとのことに関しては、やはりon the job trainingのセンターのような生涯教育の場でやっていったほうが、私は1年の研修でやるよりはいいのではないかと思っています。以上です。
○俣木座長 ありがとうございます。特に医学部の歯科口腔外科における臨床研修の状況について、今までとはちょっと違った切り口での御説明でございました。何か御質問等ございませんでしょうか。
○中島委員 丹沢先生の所では、多分臨床研修の目的に割と近い状態で進められているので、ある意味参考になる状況いやそれ以上に、目標になる状況ではないかなと思いますが、私どもがいろいろ聞いたところによると、なかなか先生のような所のように、患者さんがたくさんいないという研修施設が大学の中で結構あるようですので、2年制の話になってくると、患者さんがたくさんいらして、2年間で必要な研修を積むということは、非常に大事だとは私も感じるのですが、逆に、仮に患者さんが余りいなくて、ただ見学だけしているような施設であると、2年にすることによって、ロスの時間がすごく増えてしまうという危惧がすごくあるのです。ですから、施設によっては2年制ということがすごく重要視される所もあるでしょうし、研修医の意欲等の問題についても、2年制でよかったという人もいるでしょうが、例えば全員を2年制にしてしまうと、やはり研修の施設によっても問題があるでしょうし、その研修医の素養といいますか、そういったところでもいろいろ問題が出てくるのではないかなと危惧しているのが1点です。
 最低限の症例を経験すべきというお話がありましたが、私もやはり患者数がどうであれ、どうしても見ておかなければいけないものというのはあると思うのです。なぜかというと、例えば臨床研修医が終わって、本当に一人立ちするドクターとなったときに、例えば私は1回もクラウンを作ったことがないとか、抜歯をしたことがないとかいうようなドクターが出てくるということは、やはり想定外のことですので、そういった意味では絶対に必要な知識、技術の習得というのはなければいけないと思います。ただ、その縛りをどの辺にするかというのが、非常に大事な問題になってくるので、今後の検討課題になるかとは思いますが、私どもが学生時代に試験ケースのようなものがあって、それを履修しないと卒業できなかったというのがありましたが、残念ながら今そういう状況にないようですので、研修医の中でそういうことをやらなければいけないというのが1つあろうかと思います。
 それと同時平行で考えなければいけないのは、今言ったように、学生時代に臨床研修が十分されていないので、施設によっては今まで一切患者さんに触ったことがない人が、臨床研修の場に出てきて何ができるかとなったときに、本当に卒前研修に類するものをやりながら、臨床研修医をさせなければいけないというのがあるので、言葉がちょっと問題があるかもしれませんが、ある意味、臨床の場でお荷物になってしまうような研修医もいると思うのです。ですから、そういった人に対応するためにはどうしたらいいかというところ。ましてや大学病院のような所ですと、そういった人にかかり付けのドクターを配置することもできるかもしれませんが、少なくとも開業医等々で研修するとなると、そこまで手が回らないという実情がありますので、マッチング等々でそこはネグレクトされるのかもしれませんが、その辺の問題が実際には一番大きいのかなという気がしますので、御意見があればお願いします。
○丹沢委員 大変お褒めを頂いているのですが、残念ながら私どもは研修中断者第1号を出した施設でもあります。実際御本人にも問題があると思うのですが、2か月間大学のセミナーとかを受けているうちに、実際に実習が始まる前にいなくなってしまった方が1人います。それからこの間も、当直などで体調を崩してやめた人がいまいした。ですから、理想的なのかとは全然思えません。というのは、口腔外科は治療要員はいるのですが、もともと教育要員はいないので、目一杯なところでやっています。当直や時間外手当は全部病院で出してくれます抜去歯を関連施設がから、集めて植立模型を作り、窩洞形成の基本から、エンドの天蓋除去から時間外に教えます。実は私が夏休み前に4人ぐらいずつ毎週水曜日に手術の後に残して、自主研修なので、給料を出してあげることができないので、晩ご飯をご馳走して、自主研修に残ってもらっています。やはり研修医も自分の時間を取られるので、教授に付き合って嫌だなと思う人も中にはいると思うのです。ですから、非常にその辺は人間として接して、一つ一つ教えるのです。個々の研修医によりすごく技術レベルが違うので、それを揃えていくという意味もあるのです。文部教官と一緒に当直するものですから、当直の時に模型や抜去歯牙を使って、1時間から2時間、必ず形成の練習をさせるようにしています。そのくらいやらないと、実際の患者さんの診療時にものすごく大変です。実際に今の卒前実習というのはそういうレベルになってしまっているので、インレーを合着しようと思ったら、先生、私が練りますと一生懸命言ってくれて練ってくれるのですが、練り終わる頃には固まりが中にできているような状態で、大変な思いをしたり、することが実際にあるのです。だけど、一生懸命やろうという気持ちがあれば必ず到達できるのです。
 それから、2年制の悪いところは、1年制だと半年ぐらいして夏休ぐらいになった時に、こんな所は嫌だなと感じる場合があると思います。その時に普通の施設だとあと半年我慢すればいい。ところが、2年制の所はあと1年半我慢しないといけないのです。そうするとものすごく辛いわけです。同時期の卒業生で1年制の研修医は1年経つと保健医になって自由になれるのに、うちは2年いないといけないのです。ですから、よほどうちが好きでなかったら来てもらっては困りますよと採用試験の時に言っているものですから、卒業して大学院に進学する人が9割以上と、定着率がものすごく良いのです。大学院に入って研究の傍ら実は4年間GPをやっているのです。その間は大きな手術はやらせません。関連病院でのアルバイト主体でやっているのですが、一般歯科をやって生活をしながら研究をやるというシステムになっているのです。それは関連病院で指導医がいる所へ派遣しますので、うちの場合には2年制というよりも、何年間かのお付き合いをお約束して来てもらうということなので出来るところもあるのです。一般の臨床研修の議論から、2年制とかそういうことは外していただいたほうが、多分いいのです。1年制のミニマムな研修でどういうことが必要か、どういうことをやってあげるかということが、一番大事だと思うのです。是非うちのことは忘れていただいて、宣伝をする気もないので、是非よろしくお願いします。ただ、いろいろな意味で学生実習から生涯研修にわたるまで、トレーニングセンターを作ることは、大学として是非やってくれといわれています。私たちの大学には生涯研修の教授もいますので、その教授のポイントになるものですから、是非やってくれということで言われています。いろいろな大学の事情があると思いますが、医学部も利用していただければと思います。以上でございます。
○俣木座長 かなり丹沢先生の所はきめ細かな対応で非常に羨ましいと思います。非常に配慮がこまやかだという感じがいたします。ほかに何か御質問は。
○山口委員 どなたに質問すればいいか分からないのですが、先ほどから幅広くon the job trainingセンターがとても有益だというお話をされていたのですが、全国のセンターの設置状況はどうなっているのでしょうか。
○俣木座長 これはまだプランニングの段階です。
○丹沢委員 私の所にはがんの専門医を取らせるためのコースは設置してあるのです。ですが、研修とか実習とか、そういうものに対するセンターはやれますよというお話をしているわけです。御利用くださいという話をしているのです。
○俣木座長 今、国立大学病院長会議のほうで、将来構想実現化ワーキングというのがありまして、それは医学部系も歯学部系も地区のセンターになるようなところでお互いに利用しあおう、医科歯科連携で、あるいはコメディカルも含めた形で一緒にやって、高齢社会に対応する医療職種の育成というようなところの、今、プランニングをしているところでございます。
 ほかにございませんか。ありがとうございます。それでは、続きまして樋口先生から御説明をお願いいたします。
○樋口委員 私は国立大学の立場として少しお話をさせていただけたらと思います。これは2枚ものを作りました。まず一番最初に、大体私が思っていることですが、卒前は今、先生方が言われたように臨床参加型をもう少し肝入れして推進しなければ、あまりポッと出の研修医の先生では困るという話が出ましたが、私もそれに同意見です。最終的には屋根瓦方式とよく言われますが、6年生が5年生を指導して、6年生を研修歯科医がまた少しできて、それを指導歯科医が面倒を見るというのが一番理想的かなと思います。ただこれにうちは全くまだ近づいておりません。問題はいろいろありますが、学生の臨床参加型実習がなかなかはかどっていないことと、研修医に関しては出身大学間の実習の差があまりにもありすぎるというのが問題かなと思います。これは理想型を私は述べさせていただきました。
 現在、卒前から卒後の一貫ということで考えると、教育で何が抜けているかの話では、いろいろ御議論が出ていますが、時代のこと、有病者、高齢者などが増えていっているということ。それに伴う疾病構造がだいぶ変わってきていますので、それに対応できる歯科医師を養成することが喫緊の課題かなと思います。そのためには何がまず必要かを考えると、もちろん歯科の基礎的な治療は必ず必要ですが、もう1つは今、盛んに世間で言われている多職種連携です。チーム医療など医科歯科連携だけでなく、看護師さん、薬剤師さん、ST、PTその他の方との連携です。こういうものを歯科サイドから言えば、「口腔から全身を診る」と書きましたが、そういう形の教育が要るのかなと思います。これは研修になってから始めても、なかなか間に合いませんで、例えば我々の所では医療系統合教育というのがあり、医科と歯科と薬学部、看護部です。これらがチームを組み、学生に教育をする。このとき今、共通の課題が臨床倫理、インフォームドコンセント、説明指導系があります。
 この前も糖尿病の患者さんに医科の先生と薬剤師さんと我々がどのような治療をやるか、模擬患者さんにおいでいただいて、やりました。そのように早いうちからこういうチームプレーに触れることが大事かなと思います。これが今後、周術期などの対応にも入ってくるのかなというのがあります。
 一方、先ほどから話題になっている歯科治療をやるときに、あまりにも歯科に特化したことばかりに皆が目がいっていますので、救急医療の教育をもう少し重点的にやる必要があると思うのです。これに関しては無痛化の処置が要りますので、やはり麻酔の臨床実習から臨床研修に関して局所麻酔、全身麻酔、IVSもいいのですが、そういうところが必要、もう少し充実させたほうがよかろうかと思います。それから一貫教育の中で、4番目に書いていますが、GP、superGPという言葉がありますが、私の考えとしては1年目はもう総合歯科医、いわゆるGPの養成でいいと思っています。superGPの養成をよく国立大学の場合は言われる先生がいらっしゃるのですが、その育成に関してどういうように植え込みをしていくかということが、もう1つ問題かなと思います。これに対応するためには分野横断的な教育の推進として書いておりますが、各科が寄って歯周組織の再生、インプラントは大体総合的なインプラントではなくて、おそらく科単独で講義をやっていらっしゃると思いますが、そういう分野横断的な教育をもう少し考えてもいいのかなと思います。
 根本的にずっと思っていることは、学生から研修医にかけて歯科医としてのキャリアパスをなかなか描くことができないというのは、非常に悲しい話です。私はいつも研修医の人に、入ってきたら嘘でもいいから将来のキャリアデザインを書いてきてくださいと言うのですが、それを読んでみると、あまり歯科医師としてのキャリアパスの話がなかなか出てこないのです。何歳で結婚して、何歳でどうするなど、そういうことしか言わないので、もう少し学生諸君から夢を持たせる、もっと改まって言うと、職能人としての意識を持たせる教育をする必要があるのかなと思います。このためにも、医科、歯科、薬学、看護部との医療に対する共有意識を早目に植え込むことが必要だと思います。
 臨床研修に関しては、2番目に書いていますが、到達目標の見直しがありましたが、やはりこれは今後、一番の問題はここに書いていますように、「有病者の対応」、「多職種連携」、これは別に難しいことを言っていることではなく、こういう方がお見えになられたときに、どういう歯科治療を組み立てていくかが問題だと思います。そのためには今、考えているのは、これは九大なのですが、入院患者の口腔ケア、NSTの一環として摂食・嚥下を耳鼻科と一緒にやるなどをしています。あとは地域連携の話です。それからこういうところまで踏み込んでくると、歯科医師会、保健所にも御協力をお願いするようになるかと思います。
 1ページめくっていただき、問題点を整理してみました。今回は臨床実習に関して、卒前実習に関してあまりポイントを置いていませんが、1点気になっているのが医科歯科連携の話をして、2番目に書いていますが、同意書の取得、これは現在のところ九大では普通のそれほど厳しいものではなく、一文だけ書いて、それにサインをしていただく形でやっていますが、果たしてこれが法的にどうなのかはなかなかよく分からないので、少し教えていただければなと思っています。
 それから、九大はうまい具合にクリアしましたが、よその大学では新しい病院に変わると、歯科のチェアー数が激減しております。これは医科と一緒になるとどうしても医科自体のスペースもシュリンクせざるを得ないです。さらに経営効率の話があるので、なかなか御理解いただけないようです。これに関しては、医科と歯科の臨床実習、臨床研修の全く違う点は、歯科は外来を中心にして行うということです。医科の場合は病棟を中心にした教育になっておりますが、この点が全く異っている。これを医科の先生方に御理解いただきたいということがあると思います。
 それから、マンパワーの確保、これはよく引き合いに出すのですが、同じ授業時間数で職員数は大体の医科の3分の1。そうすると我々が持つコマ数は莫大な数になります。こういうことも考えてみると、さらに技術中心のところがあるので、マンツーマンでやる体制を求められたときに、やはり病院の先生方の理解が要るだろうなと思います。
 もう1つは、学生教育の中に国立はほとんど行われていないのですが、医療制度に関する講義がありますが、保険点数の仕組み、これだけのことをして保険をいただくのだから、どういう診療をしなければいけないかという、そういうポイントを絞ったような教育も要るのかなと思いました。
 臨床研修に関しては、一番上に患者確保を書いておりますが、これは大学病院ですから毎年収入をあげていかなければいけませんが、その作戦の1つに乗って我々の病院では周術期の口腔管理、入院患者の口腔ケアということで患者さんに御理解をいただき、研修と一緒にやっております。もちろんこれに関しては、1年間来ている間、週に2回、「全身の見方」というのを私が講義しております。
 それから、歯学部7年生の気持というのがずっと出てまいりましたが、これはやはり先ほど述べたように、歯科医師としての自覚、目的意識が欠落しているとしか思えませんので、歯科医療人としての心構えの教育をもう若いうちから身に付ける必要があるのかなという気がします。
 問題点のもう1つに評価がありますが、私どもの大学はポートフォリオとDEBUTでやっております。一応、国立はかなりDEBUTを使ってあるところがありますが、これは非常に複雑でやりにくいので、評価者も何となく不平、不満が出るので、医科と同じようなminimum DEBUTのようなものを検討していただくといいかなと思います。これはこの場で話すことではないかもしれません。
 それから、習熟・習得に関しても、項目がかなり多くて、総花的になっているので、むしろminimum requirementのようなもの、これだけはやってよねというものをきちんと決めて、見学ベースのものをどう扱うかをもう少し考えたほうがいいかなと思っています。基本的に私どもの場合は専門家に特化したものは、後期研修と置いています。それから指導者側の話としては、研修歯科医とのコミュニケーションを取る指導歯科医の先生がだんだん多くなってきたような気がします。これは協力型の先生です。したがって臨床をしているのもいいのですが、教育手法の定期的見直しもやる必要があるかなという気がしました。最近、特に思うようになりました。この件については、指導医講習会を何べんかお受けいただくのがいいのかなと思っています。
 最後にここに書いていませんが、事務手続の繁雑さでは、補助金の配当が国立の場合は協力型の先生にお願いをしなければいけませんが、病院にお願いをすると結構今度はそこでトラブルことがありますので、この辺りが何とかならないかなという気がしています。以上でございます。
○俣木座長 ただいまの樋口委員の御説明に何か御質問はありますでしょうか。
○中島委員 樋口委員が今、最後にお話になった費用の問題ですが、具体的にはどういうトラブルが起きるのですか。
○樋口委員 基本的には国立大学の場合は我々が事務処理は全部しますが、協力型のどこかの代表の病院にお願いして、そこに振り込んでいただく形になるのです。そうすると、そこで税金がかかるのです。その税金を一時的に各協力型の先生の所に均等割して御負担くださいということで了解を取っていたのですが、ときどきそこで、何でうちが払わなければいけない、とクレームが入ることがあります。
○俣木座長 ほかにございませんか。
○歯科保健課長 質問ではないのですが、先ほど同意書の件についてお話しが出ましたので、それについて私の分かる範囲でお答えしたいと思いますが、同意書というのは研修医の場合ということでしょうか。
○樋口委員 いいえ、研修医はもうライセンスを持っていますので、法的には要らないと思います。学生の場合は、違法性の阻却はやられていますが、うちの場合は初診時に一文、教育機関ですので、学生診療に御協力くださいということで、そこにサインをいただくようにしています。この程度のものでよろしいのか、それとも以前国立大学の病院長会議でお作りになられた非常に複雑なものがありますが、あれほどまでやらなければいけないのかが、よく分からなかったのです。
○歯科保健課長 卒前臨床実習は一度通知を出させていただいたことがありますが、その範囲の中でのものでしかないのではないかと思います。実際に私が想定したのは、手術などについては、外来の手術でも診療で同意書を取るようなことが行われていますが、それと同じ話でそこまでの細かいもの、様式までは特に身分法なり医療法でも定めはありません。それはやはりあくまでも患者さんと医療機関サイド、医師サイドでの同意という想定以上のものはないのかなというのが現時点での認識です。
○樋口委員 ありがとうございました。
○俣木座長 ほかにございませんか。
○伊東委員 屋根瓦方式ということがよく言われますが、口腔外科とか麻酔の場合もそうだと思いますが、割とやりやすいと思うのです。保存・補綴のときになかなか屋根瓦方式ができない。私もどうしたらできるかなと思って考えているのですが、まず研修医は衛生士になってもらうこと。衛生士としてしっかり助手ができるような状態であれば、本当にマンツーマンでやれるのです。ただ研修医を掴まえて衛生士の代わりをやれというのは、なかなか言い出しにくいところもあります。本当にマンツーマンでやろうと思うと、研修医にある程度衛生士の代わりがきちっとやれることが必要ではないかと思うのです。そういうことをどこで教育すればいいのか。そのためにはかなり時間もかかるということです。屋根瓦方式が本当にどこでも言われますが、なかなか歯科、特に外来診療では難しいなと思います。医科歯科大ではどうされていますか。
○俣木座長 おっしゃるとおりだと思います。やはりそこは医科と研修の方式が違いますので、やはりその辺りは大きく違うところだろうと思いますし、もともと術野が小さい所ですので、覗き込むにしてももっとマンツーマンか。そういうところもあり、指導医と研修医の比率も1人の指導医について、2人までという人数的な縛りもそういう形で決まっているのだろうと思います。
○藤井委員 私も今の屋根瓦について質問をがあります。前回の問題提起の中にもありましたが、歯学部7年制、臨床研修の形骸化の一因として、屋根瓦方式の研修を行うことによって、研修歯科医が考えなくなる。いつでも指導歯科医がいるので、指導歯科医に頼ったままでいろいろなことが進んでいくという状況があるのであれば、必ずしもメリットばかりではないのかなという気がします。この点について御意見をお願いします。
○樋口委員 私が申し上げているのは、これは将来の話です。現在やらせているのは、研修医のアシストです。いわゆるバキューム持ちです。あれをやってもらって、早いうちに経験させる。ところが、研修医の人も先ほど言いましたように、経験数の問題があるので、全員が全員、研修に学生さんにバキュームを持たせてというわけにはちょっと危険で言えないのです。だからある程度見ていて「コイツうまいな」という子に付けてもらって、学生さんの指導をしてもらう。それから、印象採得などもある程度学生さんと一緒にやらせる。現在はまだそこまでしかやっておりません。ただ将来的には、伊東先生も御指摘されましたが、エンドなどはどういう形でやるか。まだ自分の中でイメージアップできていません。
○丹沢委員 歯科衛生士的なことをやってもらうという話がありますが、私の所では衛生士は昔は1人しかいなくて、今は4人です。そこで私たちが目指しているのは、お互いが協力し合って診療するというのももちろんですが、最終的に2年経ったらリーマーの消毒を出すやり方、片付け方などそういうことも全部含めて準備からバキュームを自分で持って削ることができるという、1人で診療所を賄えるような、現場の作業を習得することを一応目標にしています。結構みんな一生懸命やっています。当番で片付けをやらせたり、当番で手伝いをやらせたりで結構みんな仲良く、楽しそうにやっています。必ずしもそう悲観したものでもないと思います。
○秋山委員 屋根瓦方式の件ですが、印象形成をするのが指導歯科医、印象を採るのが研修歯科医、石こうを作るのが学生というように、まず住み分けのようなものをしていって、それを段々こなしてきたら、それを少しずつレベルアップしていく形でやっています。何をしてはいけないということではないので、学生は石こうを作るにしても、研修歯科医からこういう形で気泡が入らないなどの部分を学びます。それを積み重ねることにより、指導歯科医レベルにどうしたらなるのだろうということを考えていく方々のほうが多いと思います。逆にその辺のことをただ見学をされてしまうということが、突き離してしまうことがあるので、それが診療参加型の臨床実習という形で1年かけてやると、かなりの部分が学生も高いレベルまで到達できると感じております。
○俣木座長 先ほど手を挙げましたので、どうぞ。
○久委員 秋山先生からいただいた資料の最後から2番目の所です。2008年ぐらいから歯学部の受験者はとても減ってきています。このような状況ですと、入学試験の成績上位者はいいかもしれませんが、下位には質の悪い人がいる可能性がある。今、我々が考えている制度で研修を受ける人は平成24年卒の人からだと思います。そのときに制度は作っているけれども、実際に学生の質はどうだということを考えておかないと、本当に研修ができるのかなという懸念があります。本日、出席されておられる先生は、国立大学の先生と私立大学の先生でも研修医が多く集まる施設の先生です。そうでない大学の先生は来られていません。その先生方の大学には質の低い研修医が集まる可能性があります。先生たちの所は数が減っても、上位の人が受験されるからいいのですが、下位のほうで誰でも入れるような人が入ってきて、それは国家試験でネグレクトすると言えばそれまでですが、多分そこまでなかなかできなくて、歯科医師になってくる。そういった人たちの多くがマッチする施設というのが出てくる可能性が高く、そのような施設では制度を作ってもなかなかその通りに研修できない可能性が高くなります。その辺は一度よく考えて、もう少し幅広い先生のお話も聞いておいたほうがいいのではないかというように思います。全く極論で、医学部の人間がこのようなことを言って申し訳ないのですが。そういう気がしました。
○俣木座長 大変貴重な御意見だと思います。ほかに御意見、御質問ないでしょうか。非常に多くの委員、全員の委員にコメントしていただいたようです。よろしゅうございますか。本日、私立大学の大学病院から。一般の病院では伊藤先生の所です。あとは医学部の歯科口腔外科。あとは国立大学の歯学部の病院ということで、それぞれ4つの特徴がある所からの報告でした。
 今回、次回と議論を予定していた資料3にある論点6から18について、事前に幅広く御意見を伺うことにしておりましたが、本日、4名の委員の方々からの御報告の後の意見交換が非常に活発に行われ、時間の関係上この論点の意見出しを3月中を目処に、事務局宛メールで御連絡いただければと思います。あらかじめ送付いただければ、次回の会議までに整理してこちらで資料を提供したいと考えております。本日は非常にいろいろな御意見をいただき、かなりいい状況が分かったのではないかと思います。卒前の教育に関して、かなり御意見等もありましたので、もし何かコメントがございましたら、文部科学省からお願いします。
○中島委員 レポートの宿題の話ですが、今日18番の「財政的支援」の所についてはあまり触れられていませんが、前回にもお話があったように、ここは非常に大きな問題を抱えているということが1点。ここにいらっしゃる先生方、もしくは委員の中では、現場の状況として、あまりよく分かってない。というのは、小さな開業医の臨床施設において、非常に問題になっていることが多々あります。私もいろいろな所からいろいろなことを聞いていますので、できれば事務局で協力型でも構わないので、一般の開業医の臨床研修施設の状況をリサーチしていただければありがたいと思います。
○俣木座長 はい、分かりました。これはかなり施設により幅があると思います。この臨床研修制度の財政的支援等に関しては、今、中島委員から御指摘がありましたように、かなり協力型の施設個々に違うと思いますので、そういう点についても少し調べていただき、情報提供していただければと思います。ほかに何か御質問、御提案等はございませんか。
○樋口委員 協力型の施設の見直しが秋山先生からもありましたが、具体的に例えば国立でもそろそろ5年いっていない人は整理できないだろうかという話が出ていたのです。私立大学では大体どのようでしょうか。というのは、うちもやんわりと、もうそろそろどうされますか、と聞きますと、やはりまだおりますと言われて、そのままにしている施設が何個かあるのです。その辺をきちんと整理されてあるようですが。
○秋山委員 研修管理委員会において、その辺を議題として提出して、管理委員会にも出てこない施設に関しては、指定取消申請書があるので、そちらを提出されますか、という投げかけをしてもいいでしょうかという形の議決を取り、全然来ていない所に関してはそれを送りました。そうしたら、それを向こうから出してきたので、かなりの数が減る状況になったのが事実です。ただ日本歯科大学と並行申請をされている施設に関しては、日本歯科大学とは縁を切っているのですが、そことは残っているのです。そこの研修歯科医はほかの組んでいる所からは誰も行っていないという所が残ってしまっているので、患者さんに対してはその辺をアナウンスしているのですが、実際にはそれを回収ができないのです。そこをきちんとやっていかないと、名目だけでうたっている所が実際問題かなり出てきています。本当に協力してくださっている所はそれなりにやはり報酬的なものも必要でしょうし、そうでない所はやはりやめさせるべき手法が必要でないかなとは考えます。
○俣木座長 協力型の施設の問題、あるいは指導医の問題というのも一度指導歯科医の資格を取ると、もうそれは更新されないというようないろいろな問題もありますので、ある程度この臨床研修の必修化になりましてからかなりの年数が経ちますので、その辺の更新制などいろいろなことに関しても、今後検討する内容になるかと思います。今日いただいた御意見はまたこの論点に関しての御意見等をまとめて次回以降の議論の進め方を決めていきたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは本日お忙しい中、4名の委員方にはプレゼンテーションを御準備いただき、本当にありがとうございました。お蔭様で他の委員の方々からかなり多くの御意見をいただき、現場の状況がよく分わかったと思います。最後に事務局から何かございますか。
○青木企画調整専門官 先ほど座長から御説明がありましたように、委員の皆様方には資料3の論点に関して御意見等ございましたら、今月中に私どもにお寄せいただけばと思います。今後の進め方については座長と相談させていただきたいと思います。また、次回以降の日程調整については、改めて御連絡いたしますので、よろしくお願いします。
○俣木座長 ありがとうございました。最後に何か皆様からございますか。それでは本日はこれにて閉会いたします。委員の皆様には長時間にわたりどうもありがとうございました。


(了)

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