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2013年6月4日 第41回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成25年6月4日(火) 17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第21会議室(17階)


○議題

1 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業について
2 造血幹細胞提供支援機関について
3 その他

○議事

○吉田室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第41回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日は、暑いところ、また、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、辰井委員、山口委員、吉村委員から御欠席との連絡をいただいております。
 ここで、健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 高島でございます。
 本当にお忙しい中、暑い中、委員の皆様方にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 41回目ということですが、法施行に向けては今回で8回目の委員会になると思います。これまで基本方針に向けて、中身になる基本的な案件につきまして御議論いただきました。きょうは若干技術的な話になるようでございますけれども、施行に向けて議論をしておかなければならない事項でございます。
 きょうも一日、よろしくお願いしたいと思います。
○吉田室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1、これまでの委員会での主な御意見。
 資料2といたしまして「骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業について」といった資料。
 資料3といたしまして「造血幹細胞提供支援機関について」という資料。
 その後に、配付資料の次第にはついてございませんけれども、参考資料1といたしまして今後の委員会のスケジュール、参考資料2といたしまして「骨髄提供に関する同意書」の資料をお手元に用意しております。
 不足しているものはございませんでしょうか。
 また、机の上に法律等の参考資料と、これまでの委員会の資料をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際の参考にしていただければと思います。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いいたします。
○小澤委員長 それでは、法施行に向けた議論の第8回となります。よろしくお願いいたします。
 前回までは、基本方針の策定に向けた大きな方向性の議論を中心に進めてまいりました。本日は実務的な話が中心になりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事次第に従って議事に入りたいと思います。
 最初の議事は「(1)骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業について」です。
 まず、資料について事務局から説明をお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2について御説明申し上げます。
 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業、つまり、現在の骨髄バンクに相当するものについてですが、1枚目の右下に2と書いてあるスライドですけれども、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の第18条では「厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の許可を受けなければならない」とされています。
 許可の基準としては、第18条にありますように「営利を目的としてその事業を行おうとする者でないこと」「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の安全性の確保のために必要な措置を講じていること」「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護のために必要な措置を講じていること」「事業を公平かつ適正に行わないおそれがないこと」などが挙げられています。
 次の2ページ目の上、スライドの3ですけれども「(安全性の確保)」としまして、第19条では「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の安全性が確保されるよう、これらを提供しようとする者の感染症等への罹患についての調査その他の必要な措置を講じなければならない」とされています。
 提供者、つまりドナーの健康の保護等のための措置として、第20条では「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護のための措置及び移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の採取に伴う健康被害の補償のための措置を講じなければならない」とされています。
 「(採取に当たっての説明及び同意)」として、第21条では「採取に当たっては、採取に伴う身体的負担、これらの安全性の確保に関し協力すべき事項その他これらの採取に関し必要な事項について適切な説明を行い、その同意を得なければならない」とされています。
 スライドの4枚目ですけれども、ここからは許可の基準の考え方について順に御説明いたします。
 まず、非営利ということについてですけれども、営利目的については運営方針等を総合的に勘案して判断すべきですが、例えば株式会社などは外形的に営利目的と判断されると考えられます。
 また、外形的には営利法人ではなくても、例えばNPO法人などの場合でも、あっせん以外の収益事業の規模があっせんに比べて大きくなっていないかなど、実態を十分に審査した上で判断することとなります。
 次のページの上、5番目のスライドですけれども、骨髄等の安全性ということについてですが、骨髄や末梢血幹細胞は人体に由来するものであることから、その安全性を確保することが重要です。
 具体的には、採取を行う医療機関については、骨髄等の安全性を確保するため、一定の基準を満たす機関を認定する必要があります。
 また、採取日の4~6週前にドナーに健康診断を受けてもらい、健康状態等を確認するとともに、ドナーに対して、感染症予防のため、採取日の1カ月前から海外渡航を控えてもらう。入院2週間前からは筋肉運動を控えてもらう。喫煙を控えてもらう。女性のドナーには妊娠を控えてもらうことなどが必要となります。
 さらに、適切な骨髄を確実に提供するために、ドナーのHLA検査を確実に実施し、そのデータの保全を的確に行うことが求められます。
 下の6枚目のスライドは以前にも説明したものですけれども、現在の骨髄移植推進財団の非血縁者間骨髄採取施設の認定基準です。
 「過去2年以内に骨髄採取術を5例以上実施していること」または「過去1年以内に骨髄採取術を3例以上実施していること、かつ、過去に骨髄採取術を10例以上経験している医師が採取責任医師となること」とされています。
 また「麻酔科が設置され、常勤の日本麻酔科学会専門医または麻酔標榜医がいること」なども要件となっています。
 次のページの上ですけれども、ドナーの確認検査についてですが、ここに示してありますような一般的な血液検査、感染症検査、レントゲン、心電図等に加えまして、骨髄採取の場合には全身麻酔となることを考慮して呼吸機能検査などが行われており、必要十分な対応がとられていると考えられます。
 続いて4ページ目の下、8枚目ですけれども、提供者の健康の保護についてですが、骨髄や末梢血幹細胞の採取に当たっては、ドナーの体への侵襲があることから、その保護が重要です。
 具体的には「ドナーに対して適切な説明を行った上で、ドナー及びその家族から書面で同意を取得すること」とされています。これについては、以前御議論いただきましたが、本日の資料の一番後ろの参考資料2と3に実際の同意書をつけてありますけれども、実際の同意書の右側の真ん中あたりですが、最終同意の段階で家族の署名が必要となっています。
 ドナーの健康診断については、採取前に行うとともに採取後にも行い、フォローアップを行うことが大切です。
 また、万が一ドナーに事故が起きた場合のために、あっせん機関が傷害保険に加入しておくことが必要と考えられます。
 続いて5ページ目のスライドの9と10に関しては、以前の審議会で御説明したものですので簡単にいたしますが、上の資料は骨髄採取後の健康診断についてです。血液検査に加えまして生活復帰度などについても確認しており、ドナーのフォローアップが行われています。
 下の10枚目は、以前も御議論いただきましが、万が一ドナーに事故が起きた場合には、骨髄移植推進財団が加入している民間の傷害保険から最高1億円を限度に保険金を支払う制度が確立しています。
 平成25年3月末時点で、骨髄移植等は1万5,389件行われ、保険は136件に適用されています。死亡例は0件で、後遺障害が21件、入通院が131件となっており、ドナー補償は広く行われています。
 次のページで上の11枚目のものですけれども、公平かつ適正な実施についてですが、非血縁者間での移植をあっせんするものであることから、あっせん事業者、つまり現在の骨髄バンクですけれども、ドナー、患者、採取・移植医療機関から、中立公平な立場で事業を行わなければなりません。
 具体的には「特定の利害関係者が属する団体などとは異なる主体であること」。例えば特定の病院などが行うことは望ましくないと思われます。
 また「正当な理由なく特定の患者に有利又は不利なあっせんを行わないこと」。正当な理由としましては、例えば移植を急ぐ患者さんに対する迅速コースなどがこれに当たるかと思いますが、そのような正当な理由なく特定の方への有利または不利なことを行わないことが求められます。
 そして「ドナーと患者の間で売買や利益供与が行われることがないようにすること」などの対応が必要であると考えられます。
 6ページ目の下は、ドナーと患者の接触についてですけれども、非血縁者間の移植において、ドナーと患者の間で売買や利益供与が行われることがないように、現在はドナーと患者は非接触としています。
 また、採取と移植は原則として異なる医療機関で実施しています。
 患者とドナーの間では、骨髄移植推進財団を経由して、匿名での手紙のやりとりが認められているのが現状です。
 次の7ページ目の上ですけれども、仮に一定の条件下でドナーと患者の接触を認めた場合、メリットとしましては、患者さんがドナーさんに直接感謝の意を伝えられる。また、ドナーさんのモチベーションにつながることや、骨髄移植等への社会的な関心が高まる可能性などが考えられます。
 一方、デメリットとしましては、金銭授受につながるおそれや、患者さんの経過が良好でない場合などのドナーへの心理的負担、また、再発時などの再提供の強要などの可能性が考えられます。
 ここからは、議論の参考として2つの参考資料をお示ししますけれども、7ページ目の下、14枚目に関しては海外における取り扱いです。
 この表は、全米の骨髄バンクNMDPのデータから作成したものですので細かい背景等はわかりませんが、バンクによって取り扱いはさまざまとなっています。例えばアメリカでは、ドナーと患者の接触は認められていますが、移植から1年後というバンクと移植から5年後というバンクがあります。
 アジアについて見てみますと、中国ではドナーと患者の接触は認められていません。
 韓国ではバンクによって取り扱いが異なっていて、移植から1年後には認めているバンクと接触を認めていないバンクがあります。
 太平洋地区については、オーストラリアでは接触は認められてはいますが、推奨されないとしており、一方、ニュージーランドでは患者とドナーの接触は認められていません。
 ヨーロッパを見てみますと、イギリスではバンクによって取り扱いが異なっており、例えば世界初の骨髄バンクであるAnthony Nolanでは一定の条件下で認められており、その条件として「移植から2年後」「患者、ドナーともに健康である場合」「患者側からのみ接触を試みることができる」などの要件が課されています。
 ドイツには複数の骨髄バンクがありますけれども、いずれのバンクでも移植から2年後で接触ができるとされていますが、同じヨーロッパでもフランス、スイス、イタリアでは接触は認められていません。
 最後に8ページ目の上ですが、これはもう一つの参考として臓器移植の場合の取り扱いについてですけれども、この場合にはドナー家族と患者の接触についてとなります。ガイドラインでは「臓器提供者に関する情報と移植患者に関する情報が相互に伝わることがないよう、細心の注意を払うこと」とされており、ドナー家族と患者の接触は認められていません。
 しかし、サンクスレターとして、コーディネーターを介して手紙を届けることができるとされています。
 資料2については以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 事務局から、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業の許可の基準の考え方について説明がありました。幾つか基準がありましたので、区切って議論を進めたいと思います。
 ただいまの資料2の2ページ目の下ですけれども「許可の基準の考え方(1)(非営利)」と書いてあります。この非営利という点について、余り御異論のない部分ではないかと思いますがが、いかがでしょうか。何か御意見はありますでしょうか。
 今村委員。
○今村委員 この条文に限ったことではないですけれども、違反した場合の罰則はどういうふうになっているのでしょうか。
○小澤委員長 事務局からいかがでしょうか。室長。
○間臓器移植対策室長 まず、営利性のあるものについては許可を受けられないということ、それから、一旦許可を受けて営利的な活動をした場合には、通常は業務改善命令が出て、それに従わない場合には、最悪の場合には許可取り消しになることもあり得るということでございます。それでもなおかつ続けた場合には、無許可営業という形での罰則があるということでございます。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、外国の例があるのですが、例えば全米骨髄バンクとか韓国骨髄バンク、こういうものの組織主体はどういう形になっているのですか。営利機関ではないと思いますけれども、政府機関なのか、公的な絡みがどのぐらいあるのかとか、それぞれをわかる範囲で教えていただきたいのです。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 基本的には公的な機関という理解でいいと思います。
○浅野委員 公的な機関。
○岡本委員 プライベートではないということです。
○浅野委員 その場合、今、我が国の骨髄バンクというのはプライベートですか。それとも公的な機関ですか。
○岡本委員 公的な機関だと思います。
○浅野委員 プライベートではないですか。プライベートな機関だからこそ許可というものがされるわけでしょう。公的機関であるとすれば公的機関の中なのですから、許可とか何とかというよりも指示命令系統の中の組織にあるわけです。だから、現在の骨髄バンクは明らかに私的機関ではないですか。財団法人でしょう。財団法人というのは私的機関ですね。公的機関ではないですね。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 今、岡本先生からプライベートではないというお話がありましたけれども、それはイコール政府が設立したものという意味でおっしゃっているのではないと思います。
 浅野委員御存じのように、骨髄バンクの場合も健康局長の通知に基づいて行われているあっせん事業でございますので、その設立自体は財団だということなのであって、その意味では公的にある政府機関ではないということであると思います。ただ、営利性みたいな意味でいけば、それは非営利を前提とした民間団体であるということだと思います。その民間団体が、公的な事業をやっておられると理解をいたしております。
 今回の法律のもとでは、そういった団体が厚生労働大臣の許可のもとに、まさに公益性の高い事業を行うことになるということではないかと思います。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 どうしてそういうことを聞いたかというと、この事業をやること自体が権利ベースなのか、義務ベースなのかという感じで私は聞いているわけです。つまり、これは少なくとも義務ベースではないですね。当たり前ですね。この法律も許可を受けてやりなさいと。だから、これはむしろ権利ベース。こういう事業をやる権利を受ける。そのためには許可を受ける。許可にはいろいろ基準があると。
 別の言い方をしますと、今、それが守られない場合には、サンクションとして許可が取り消されることがあるとおっしゃいましたね。それは患者にとってもえらいことになるわけです。そうすると、全体の構成がこうしなければならない、しないと許可を取り消すとかと言っているけれども、本当は話が逆なのです。
 前回にもちょっと申し上げましたが、ここがやめたと言うことを誰もとめられないのです。今はそういうことはないかもしれないと言うのですけれども、あり得るのは、例えば具体的な今の財団が運営しているときに、職員が集まらなくなってとてもできなくなったとか、財政的に破綻してできなくなったということはあり得るわけです。
 だから、非常に根本的なことを言っているわけですけれども、今回こういう法律ができて、骨髄移植は国の責任でやるというときに、性善説と言うと違うと思いますけれども、実はこういう骨髄団体が、つつがなくちゃんと未来永劫やっていくということを前提にしているわけです。だけれども、実態というか、構成上はいつやめてもいい団体なのです。事実上患者さんの期待を受けて始まった。ただ、それは21年前にできたもので、そこから組織自体は独立して動いていった。とんでもない質問みたいになっているのですけれども、そこはどう考えるのかということ。
 今のものを前提にしないであれをしますと、ここにいろいろ基準とか何とかがあります。これはどういう形式で決めるのでしょうか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 これは、法律を背景とした健康局長の通知で決めることになると思います。その通知に関しましては規制のルールになりますので、パブリックコメントなどにかけるというプロセスを経て定めることになると考えています。
○浅野委員 それで、本当にとんでもないことを言うわけですけれども、我々は安心して、骨髄財団は未来永劫つつがなくやっていくものを前提としていますが、本来この法律でちゃんとやるべきは、簡単にやめさせない規定みたいなものを何らかの形で置くほうが、本当は自然なのではないでしょうか。
 今、ここにやっている基準なんかは、今の時点で守らないはずはないのです。もし、守らなかったら許可をされないわけだから、今度はこちらが困ってしまうのだけれども、逆に心配すべきは、やめたということにさせないとか、ちゃんとこちらの基準どおりにやらせるとかということで、例えば十分な補助金なりをやっていれば間違いなくやるだろうというふうに、簡単に安心していいかどうかということなのです。
 非常に根本的なことを言っているのですけれども、ほかの委員の先生、いかがでしょうか。私だけが心配し過ぎなのでしょうか。
○小澤委員長 いかがでしょうか。
 理論的にいろいろ考えると、浅野委員の心配されるようなことも想定しておく必要があるかもしれませんけれども、恐らくこの法律はそこまで考えていなくて、とにかく想定もしていない人たちには勝手なことをやらせないというほうに力点が置かれたものかもしれません。今あるこういうものは、粛々と進んでいくということが前提になっているかもしれませんが、浅野委員の御意見について、ほかの方はいかがでしょうか。
○浅野委員 ここには許可基準だけが書いてありますけれども、今のやめさせないとかという極端なことは別としても、今でも動いているわけですが、もし、これが実際に動き出せば、役所側としてもというか、外から前向きなことも含めて、こうしてはいけないというものではなくて、こういうふうに運営してもらいたいということがいろいろあると思うのです。この法律では、そういうことをやる根拠みたいなものはあるのでしょうか。むしろ必要なのはそちらではないかと思うのですけれども、その点についてどうお考えなのでしょう。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 それは、実は法律にございます。
 まず、前提となっている理論的なお話は、確かにそういう面はあると思います。
 ちなみに、あっせんの業務に関しては、類似のものは臓器移植法があるわけですけれども、これも議員立法でございますが、全く同じような構成でできている。つまり、あっせん事業を行おうとする者が申請をして厚労大臣の許可を受けるというのは、同じ構造にはなっている。ただし、おっしゃるように、同じ主体かどうかは別として、何らかの形であっせん事業が途切れるということを望んでもいないし、そういうことが起きないようにしていくというのはそのとおりだろうと思います。
 今、御指摘の点につきましては、おっしゃるように、基準というのは最低基準の話になりますので、よりよくしていく話というのは、ここの審議会での御議論なんかを踏まえたものは、国と骨髄バンクとで話をしていかなければいけないということになります。
 そのあたりにつきましては、条文で申し上げると新しい法律の29条のところ、お手元のファイルでいきますと、一番初めのころの資料の参考資料2にこの法律の条文がついてございまして、その14ページをお開きいただきますと、28条と29条、国とあっせん機関との関係性について規定されたものがございます。
 この28条に、まず「(補助)」ということで「国は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、予算の範囲内において、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業に要する費用の一部を補助することができる」とした上で、さらに29条として「(厚生労働大臣の援助)」ということで「厚生労働大臣は、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者に対し、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の適切な提供の推進のために必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない」となっていまして、根拠といえばこういうことを根拠に、よく話し合ってよりよい運営を目指したいと思っています。
○小澤委員長 張替委員。
○張替委員 浅野委員の心配というのは多少あるかと思うのですけれども、少なくとも前と考えると、国がオーソライズした事業になったということだけでも安定した事業になっていくということでは、前向きに考えていいのではないかと思うのです。
 事業は違いますが、さい帯血バンクなんかは、今まで国の事業としてのオーソライズがなかったのでバンク事業を閉めるようなバンクも出てきたわけで、今後、こういった国の事業として認められれば、やめたいという人はとめられないかもしれませんが、少なくとも安定的な事業として、国の事業として最悪の場合にもレスキューがあるという意味では、非常に前向きに考えることができるのではないかとは思います。
 ですから、この法律になって、少なくとも前より安定的な事業になるのは間違いないと私は思っています。
○小澤委員長 武藤委員、どうですか。何か御意見はありますか。
○武藤委員 ほかの論点でもいいですか。
○小澤委員長 今の問題。
○武藤委員 私自身は、浅野委員のおっしゃった御心配の部分が、今、法の中に上手に表現されていたかどうかという意味では、確かに御心配が残るところかなと思いました。
 ただ、今、御指摘があったように、さい帯血バンクの閉めてきたところの現状のばたばたとした本当に突然やめるという状況を考えると、今後にちょっと期待をして、またその後で通知などを変えていただければいいのかなと思っております。まずは最初の御通知を待ってからかなと。
○小澤委員長 そうすると、浅野委員の言われたことを考慮した文言も対応が可能かどうか、少し検討してみるというところでよろしいですか。
 室長。
○間臓器移植対策室長 あっせん機関は、必ず必要なのだと思っています。それがどこの主体なのかというのは、観念的に言えば変更はあり得るのだと思うのです。もし、どこかがやめるということになったら、どこか引き継ぐ団体を用意しておかなければいけないということになると思います。それは望ましくはないと思っておりますけれども、そういうことが必要になると思います。
 実は次回御議論いただく点になるのですけれども、さい帯血バンクの場合にはそもそも複数ございます。その場合には、臍帯血の引き継ぎみたいな規定を基準の中に盛り込むことを考えていまして、例えば万が一許可を返上するといった場合にどうするかということは、何らかのルールを定めるというのはあるかもしれません。
 その点について、今の時点でどこまで詰めておくべきかということについては御議論のあるところだと思いますので、この点は考えさせていただければと思います。そういう論点があるということは肝に銘じたいと思います。
○小澤委員長 よろしいですか。
○浅野委員 私が言いたいこともそういうことで、今、とにかく骨髄バンクは順調にというか、嫌々でなくてむしろ喜んでやっていることを前提にしてはならないということを、今の時点でちゃんと確認をしておくということです。それはいろいろな手だてがあると思います。今、おっしゃった補助金を出すということも、金でつると言ったらあれですけれども、そこでちゃんと引きとめておくということもあるだろうと思います。ただ、そこをちゃんと意識してやっていかないといけないということです。
 それから、ちょっと技術的なことですけれども、今の骨髄バンクなりが、今度この法律が施行されたところで改めて手を挙げて、許可を求めて、許可するという形になるのですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 そういうことを想定しています。
 ただ、法律上は経過規定がありまして、施行後3カ月の間は、事実上それまでこのあっせん事業をやっていた者は、支援許可を受ける前でも引き続きできるという期間限定の経過措置は設けられております。
○小澤委員長 よろしいですか。
 関連したことで岡本委員に少しお聞きしたいのですけれども、どうしてドイツは15もバンクがあるのですか。
○岡本委員 臍帯血を入れてですか。多分、骨髄はないと思います。
○小澤委員長 これは臍帯血バンクが多いのですね。
○岡本委員 DKMSとZKRDと、そんなにはなかったと思います。
○小澤委員長 「など」と書いてあるから臍帯血のバンクなのですね。
○岡本委員 と思います。
○小澤委員長 わかりました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次のページの「許可の基準の考え方(2)(骨髄等の安全性)」のところに移りたいと思いますけれども、あっせん事業者に求められる骨髄等の安全性の確保の措置についてであります。
 この点についてはいかがでしょうか。
 細かいことでどうでもいいかもしれませんけれども、随分細かく「入院の2週間前から筋肉運動は控えてもらうこと」とか「喫煙を控えてもらうこと」とか、随分念入りに書いてありますけれども、これは岡本委員にお聞きしてもいいのですか。
○岡本委員 坂巻先生がいいと思います。
○小澤委員長 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 筋肉運動を控えてもらうというのは、CPKの問題なのです。CPKが筋肉運動によって上がってしまうと、悪性高熱症を疑ってドナーとしてだめになってしまうこともあるということで、筋肉運動は避けてもらうということがあるのです。筋肉運動そのものが決して悪いわけではないのですが、術前の検査のときに差し障りがあるということです。
 喫煙を避けてもらうのは、健康上の理由だと思います。
○小澤委員長 何か、いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 今のところも許可の基準ということですね。許可というのは、ある瞬間にやってそこから以後に動くわけで、これはどちらかといったら以後に動くものだけれども、そうすると、許可した後、こういうことが守られていないと許可を取り消すためにこう書いてあるのですか。
 素直に言ったら、これは許可を受けた主体に対する厚生労働省からの指導ではないですか。実態は、こうやってやりなさいねという紙ではないのですか。それはどうやって担保するのかというのもありますけれども、そこはツーツーカーカーで、こうやってくれよという内容でしょう。それしか読めない。これが許可基準であるとはなかなか理解しがたいのです。許可基準というよりは、日々のこの事業の遂行の際にはこうやってくださいねという厚生労働省からのお達しというか、指導書の内容なのではないですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 両方の意味があると思います。浅野委員がおっしゃられる意味もありますし、これは上にございますように、許可基準として「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞の安全性の確保のために必要な措置を講じていること」が条件になっていますので、あっせん機関として許可を受けようとする者は、言わばこういうことをやりますという宣言をしていただく形になります。そして、それを実際に守っていただく。要するに、許可基準であると同時におっしゃるように指導基準でもある。二重の意味があるのだろうと思っています。
 ですから、例えば今の骨髄バンクが手を挙げてくださるのであれば、それが想定されますけれども、そういうことであれば、今もやっていることですから違和感はないのだろうと思っています。だから、二重の意味があると思っています。
○浅野委員 これはどういう形で決めるのですか。省令ですか。
○間臓器移植対策室長 法形式としては通知になると思います。
○浅野委員 法令ではないわけですね。
○間臓器移植対策室長 通知です。
○浅野委員 やはり指導書みたいなものなのだね。
○間臓器移植対策室長 そうですね。規制のルールを定めるものという形になると思います。
○小澤委員長 ほかにはよろしいでしょうか。その下の骨髄採取施設認定基準などもありますけれども、不都合がないかどうか、御意見はありますでしょうか。
 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 最初の認定基準なのですけれども、現在このような基準になっておりますが、このまま法律を規定するということですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 まさしくそこが御議論いただきたいところでもあるわけです。これは一つの御提案ということになりますけれども、これまでの基本方針のときの議論の際に、採取の体制をどう強化していくかということで、一つはもちろん拠点病院ということが期待されるわけでありますけれども、しかし、例えば現在25件やっている拠点病院に、50件、100件にしろということは現実的ではない。できるだけ早く採取ができるような体制をつくるという質的な問題と、一方で移植を求める方のために採取の量をふやすという2つの要請があるのだと思っています。
 その意味で、質的な部分は主に拠点に病院に担っていただくことを想定しています。量的な面については、もちろん拠点病院というのも一定の期待はできるのでしょうけれども、例えば以前お出しした資料の中で、現状は年間の採取件数5~6件の病院が全国的に多いわけでございます。つまり、採取施設の認定基準に張りついている病院が多いわけでございまして、例えばこれをわずかに上げるということをした場合には、全体の底上げが図られて採取体制が強化される可能性があるのではないかと思います。
 その意味では、今、お示ししたのは現状のものでございますけれども、これをどうするかというのも議論の対象となり得るのではないかと思っています。そのあたりの御意見を頂戴できればと思います。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 これだとすると、新規に採取病院になることはできないということですね。新規になるときには新規だから、まだ実例がないわけでしょう。法律前だから許可がなくてもできていたということですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 この件数は、血縁間の採取のことも含めてです。骨髄の採取術という意味では、血縁か非血縁かというのは別に技術的には変わらないわけですので、最初のときには血縁間の採取数がこれぐらいあるということを求めているわけです。それをすると非血縁の採取ができるという構造でございますので、実際にこういうふうにやっていただいています。実際にやっておられる病院を認定しているのが実情でございます。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。
 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 現在このような基準になっておりますけれども、私も、全体の底上げのためにも、採取施設のクオリティーを上げるという意味でも、この基準を若干変更することはかなり現実的な話ではないかと思っております。ただ、余り基準を上げ過ぎて採取施設が減ってしまうのも問題ですので、数については現在ここで決めることは難しいと思います。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 素人なので質問なのですけれども、今、おっしゃったように、血縁間の採取で実績を得ると非血縁者間の認定を受けるとなって、非血縁者間の採取をしていいよということ以外に、そのほかに認定を受けるメリットは何かあるのでしょうかということと、一旦認定を受けた以降、この年間の基準をクリアしていればずっと非血縁者間の認定でいられるのか、受けた以上はもうちょっと頑張ってねという次の基準が出てくるのか。その是非というのか、その辺について。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 今の御質問に対して、まず1点目は、メリットはこれによって非血縁者間の移植、つまり非血縁者間のドナーのあっせんをうけることができるということですので、患者の治療のオプションがふえることが最大のメリットだと認識をしております。
 それから、これは認定時の基準でもありますけれども、同時に更新のときにもこの辺が確認をされる形になっておりまして、1回とったら後はもうそのままということではない運用が現在もなされています。同じ数でということになっています。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 先ほどの私の質問に対する回答で、血縁間の採取例があればということは、逆に言うと、この認定を受けるためには、とにかくこれだけの血縁間の採取例を積み上げないと許可対象にならないのですね。血縁間の移植の例というのは非常に少ないでしょう。だから、こんな例を上げられるだろうか、ちょっとハードルが高過ぎませんかということが1つ。
 あと、今の更新期間は何年ですか。まだ決めていない。
○小澤委員長 では、事務局から。
○西脇室長補佐 更新は毎年だそうです。
 移植数については、血縁者間移植は大体年間700~800例で、臍帯血移植と非血縁者間の骨髄移植が大体1,000例ぐらいというのが現状ですので、決して血縁が少ないということではありません。兄弟が少なくなってきて、少しずつ少なくなっているというのはあります。
○小澤委員長 浅野委員の言われることは確かに現実的にも起きていて、移植のプロが施設を移った場合、本格的に非血縁者間移植を始めるときに条件となる血縁者間移植の数をこなすのが大変で、苦労しているケースは確かにあるのです。ですから、ハードルを上げるべきかどうかというのは結構微妙な問題も入ってきますので、これは学会等ともいろいろ打ち合わせをしていただきながら、適正なところを検討していただくということでよろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。宮村委員。
○宮村委員 私も同じことの繰り返しになりますけれども、認定基準というものに関しては、その時代時代でいろいろ要求してくるものが変わってくると思います。例えば東京と地方の県で同じ基準でいいかというとそうでもないかもわかりませんし、実際違うわけですけれども、小児科と内科は同じでいいかというとそうではない。ですので、こういう数字の規定はもう少し上手にここに入れていって、運用あるいは定期的に見直すことをこの文言の中にも入れていただけたらと思います。
○小澤委員長 原則としてとか、中身も考えながらということもあるかもしれませんけれども、この辺はまた詰めていただくということでよろしいですか。次に移ってよろしいですか。
 次は、4ページ目の下のほうです。「許可の基準の考え方(3)(提供者の健康の保護)」というところで、あっせん事業者に求められる骨髄等の提供者の健康の保護のための措置についてでありますけれども、これについて御意見はいかがでしょうか。
 ドナーの家族の同意を必要とするかどうかという議論もあります。
 今村委員。
○今村委員 傷害補償のこととも関係しますけれども、これまでに1万5,000件の移植件数で、保険の適用が136件。100人に1人弱ぐらいのところで、通常の医療行為に比べればきわめて高い数字ですね。
○小澤委員長 余り深刻なものは起きていないということですけれども、その辺を事務局から説明していただけますか。
○西脇室長補佐 過去の後遺障害の例ですけれども、これは基本的にドナーさんからの申告が合った場合で長期間にわたっているものを認定していますが、過去の例を見てみますと、一過性の片麻痺や、知覚低下の残存や、尺骨神経障害だとか臀部の感覚の低下、仙腸関節炎や、腰部、穿刺部の腰痛が長引いた場合など、生命にかかわるような重篤なものという意味ではなくて、痛みだとかしびれだとか、そういったものが比較的長期にわたったものを後遺障害として認定している。
 そして、入通院の保険に関しては、因果関係が完全には否定できないものは基本的に広く認めているという形になっていますので、通常の医療保険等に比べますと、かなり広くとっているというところが一因かなと思われます。
○今村委員 重篤なものはないということですけれども、いわゆる後遺障害という書きぶりになりますと、やはり後遺症がこれぐらい出ますよという説明です。そうすると、ドナーのほうとしてはちゅうちょする部分があるのではないかと思いますけれども、そこのインフォームドコンセントはどうなのですか。あるいはスムーズにいっているのですか。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 これについては、現在の骨髄バンクでは死亡例も含めて全て開示しております。海外での死亡例も開示しております。例えば末梢血幹細胞では160回に1回ぐらい重篤なものが起こる、そういったことも全て説明した上で同意をとっています。少なくとも文章ではきちんと開示しております。細かい説明のところについては努力するところがあるかもわかりませんが、そういう中で皆さんに同意していただいている事実はございます。
○今村委員 135件というのには、少なくとも重篤な後遺症はなかったと理解してよろしいのですね。
○西脇室長補佐 そのように聞いております。
○今村委員 わかりました。
○小澤委員長 梅田委員。
○梅田委員 私は、実際に説明員をやっている立場から申しますと「チャンス」ですとか、「グラビア」という資料があります。ドナー登録会では、登録者にこれらを使って後遺障害については細かく、かなり丁寧に説明しています。
 中には、かなり細かいところまで説明を求めてくる方もいらっしゃいますが、普通の方だと通常の説明で御納得いただけます。細かい方には先ほどの事例を一件一件丁寧に説明します。あくまでも強制してはいけませんので、御納得いただいた方に登録いただいているというのが実情です。
○小澤委員長 確かに数字だけを見ると少し驚くといいましょうか、心配になるところもありますので、書き方を少し工夫したほうがいいかなという感じはします。
 そのほか、いかがでしょうか。野村委員。
○野村委員 同じことなのですけれども、4ページの下の「<考え方>」の「採取から2~3週間後経過した後に健康診断を行うなどフォローアップを行うこと」というのは、今までされてきた形がこうだということでいいのですね。
 私は提供したことがないので、どのぐらいの負担があるかわからないのですけれども、2~3週間後だけでいいのだみたいな印象がちょっとあったのです。例えば体の様子とか健康状態がそれによって悪化したか回復したかというのは、ほとんどのケースがそれで把握できるという形でよろしいのでしょうか。
 今、おっしゃった話もそうですけれども、ほとんどの方がこういう経過をたどります、2~3週間後にこうやってフォローをするとこういう形の方がほとんどですよみたいなほうも必要で、もちろん先ほどの件を詳しくお話しすることも安心につながるのですけれども、前にも言ったのですが、大体こういうふうに検査をしてこういう経過をたどりますよ、皆さんこれでオーケーなのですよということを、もっと積極的に発信していくことも安心につながるのかなと思います。
 あと、頭に置いておかないといけないのは、重篤な後遺障害がないイコール2~3週間後に検査をした後に、まだ何かちょっと残っている人もいらっしゃることは現実なのだろうなと思って、それを言おうかな、言わないでおこうかな、どうしようかと思っているうちに軽減していった形の方もいらっしゃるのかなということは、頭に置いておかないといけないと思います。
○小澤委員長 宮村委員、何かコメントはありますか。
○宮村委員 現在、健康診断としては、採取後3週間で医師が行う健康診断はあるのですけれども、それ以外にコーディネーターが、完全にドナーさんの不安がなくなるまでずっと定期的に電話をするとか、そういったシステムもございますので、ただこの3週間だけではなくて、その後も電話などで対応はしているということで、必要なときはまた来てもらう、あるいは電話でお話しをする。そして、最終的にドナーさんの不安が全くがなくなって、体に問題がなくなったときにそれが終わるという形です。
○小澤委員長 梅田委員。
○梅田委員 私はドナー体験をしているのですが、今、宮村先生がおっしゃったとおりで、コーディネーターの方からはかなり頻繁に連絡がございます。こちらのほうから大丈夫ですよというところまではフォローをいただけますので、例えば3週間で終わってしまうというものではなくて、それ以降でも何かがあればずっと続いて、もう大丈夫と連絡したところでなくなるという形になります。
○小澤委員長 よろしいですか。何かほかにありますか。
 それでは、次に移りたいと思いますけれども、6ページで「許可の基準の考え方(4)(公平かつ適正な実施)」。あっせん事業者に求められる公平かつ適正な事業の実施についてでありますけれども、何か御意見はいかがでしょうか。
 その下のほうで、特にドナーと患者の接触について、諸外国での取り扱いも含めて説明がありましたけれども、委員の皆さん、それぞれいろいろなお考えをお持ちであろうと思いますが、いかがでしょうか。
 梅田委員。
○梅田委員 6ページ、7ページのところですが、ドナーさんと患者さんが会える条件なのですが、今の日本の条件下だと良い悪いにかかわらず対面は全部だめとなっています。ドナーへの手紙は、私のときは1回だったのですけれども、今は2回です。前にもここでお話ししましたが、私の場合は2歳半の男の子に骨髄液を差し上げて、御両親からは非常に元気になったというお手紙をいただいて、この1回の経験でも非常に感激した記憶があります。
 今の条件だと日本は対面は全部だめなのですが、海外の状況を見ますと、先ほども御説明があったとおりで半分ぐらいはOKになっているということです。OKのところが、なぜできているのかをもう少し詳しく調べていただいて、初めはある意味で条件を厳しくしてもいいのかと思うのですけれども、ある年数がたったところでドナーも患者さんも会っていいよという条件下であれば、まずテスト的に認めてみるとかというところから始めていくのが良いのではないでしょうか。
 会うことは、私はやっていいのではないかという考えを持っております。海外でも会っている状況がテレビやマスコミで流れることで、社会的な関心が非常に高まっています。また、骨髄提供からしばらくたったところで対面はどうかという議論は、今までかなりされてきたと思うのですけれども、こういう対面の画面がテレビから流れることによって、ドナーになりたいという方も増え、ドナー登録されている方はドナーリテンションが上がるのではなかろうかと思います。
 ということで、テスト的にでも対面は考えてみるべきだと私は思っております。
○小澤委員長 メリット、デメリットの表もありましたけれども、いかがでしょうか。いろいろな考え方があるかと思います。
 武藤委員。
○武藤委員 今の梅田委員の御指摘も、もっともだと思いながら拝聴していたのですが、私はほかの臓器移植などの例を海外でもいろいろ見てきて、やはり天国と地獄な医療であるという観点からすると、梅田委員のような御経験が多くの人にシェアされることも非常に大事だけれども、それがある種の標準になってしまうと、非常に落胆される方がふえてしまうのではないかということも一方で危惧いたします。ですので、そういう広報の材料として使うことが果たしていいかということは、よく考えなければいけないのではないか。
 ただし、協力くださったドナーの方と患者さんのほうで、あるいは患者さんが仮に亡くなられたとしても、御遺族との間で連絡を続けられるということもお聞きしていますので、どういう形がいいのか非常に難しいけれども、トライアルができるのであれば、今、おっしゃられたように海外のケースも参考にされてはどうかと思います。
○小澤委員長 ほかに。
 鎌田委員。
○鎌田委員 対面に関しては、昔から議論があって非常に難しい問題だと感じていたのですけれども、もともと個人的に骨髄バンクとかというのは、特定の誰かに、この人だからあげるということではなくて、誰か知らないけれども移植を必要としている人にあげるというものであるから、患者にとっても、感謝の対象は私にくれたこの人ということではなくて、その人も含めたドナーさん全体、一人一人という感覚があったので、この人からこの人ということに余りこだわることには、私個人は違和感を覚えてはいたのですけれども、そうはいっても私にくれたこの人にお礼が言いたいという気持ちですとか、ドナーさんは自分があげた人が元気にしているかな、会えたらうれしいという気持ちもとてもよくわかるので、一概に否定する必要もまたないとは思うのです。
 ただ、対面できるようにするとしても、慎重に考えてほしいというのは思っております。
患者とドナーの関係というのはとても特殊で、助けた側と助けてもらった側という意味で絶対的な関係があります。ドナーさんは本当に知らない人のために体を張るというすばらしい意識を持ってらっしゃる方なので、それこそ提供した後も、むしろ人の命を助ける機会をもらってこちらこそうれしいとおっしゃってくれる方も多くて、本当にそれはすごく頭が下がります。
 ただ、ドナーと患者は命という意味で言えば、助けた側、助けてもらった側という意味で、はっきりとしています。
患者としては感謝の思いをとても伝え切れるものではなく、言葉には尽くしがたい深い思いがあるので、それを元気になってありがとうございましたと言えるようになったときは、お互いに最高にハッピーでうれしいと思いますし、患者は誰しも移植するからにはそれを目指しているのは当然なのです。
 だけれども、移植は、すればオーケーという話ではないし、みんなが元気になってありがとうと言える状態になれるわけではない。それでも、患者は、例えば結果として再発なり亡くなるなり、あるいはすごい合併症を負ったとしても、移植できたこと自体に対する感謝の気持ちは変わらないのです。なので、くれた方とか移植するために支えてくれた人たちに対する感謝の思いは本当に変わらず、とても深く持っているのだけれども、一方で、体が大変な状態になって、移植そのものに関しては自分の中で受けとめ切れていない気持ち、その混在している複雑な気持ちを患者本人だとか、その周りの人間もなかなか受けとめ切れないときに、それを全部ドナーさんに理解してもらえるのだろうかという不安があります。
 例えば患者が亡くなったときとかとても悲惨な状態になったときに、ドナーさんがそれを受けとめ切れるかという問題だけではなくて、自分が持っている「感謝はしています」という気持ちが届くのだろうかという患者側にとっての複雑な思いだとか、例えばドナーさんがわかった場合に、自分は移植そのものには複雑な気持ちを持っているけれども感謝の気持ちは変わらない、ということがうまく伝え切れないのではないかと思うと、本当はつらい気持ちも打ち明けられなくなるとか、そういうことも生じてくると思うのです。
 例えば私にしてもすごくいろいろな人にお世話になって、再発をしてしまったときに、自分がつらい気持ちを打ち明けることで周りは嫌な気持ちになるのではないか。それでも言ってしまっていましたけれども、申しわけないという気持ちになりましたし、お世話になった先生が、例えばすごくつらい状況から回復した人たちを見て、これは医者冥利に尽きるねという話をされたときに、私もそうやってお世話になった先生に喜んでほしかった、でも、できなかったと、自分の病気が治らなかった悲しさとかだけではなくて、申しわけないという気持ちもすごく生じてくるのです。だけれども、一人一人の患者はそれを言えないと思うので、無言のプレッシャーになっていかないような配慮は必要だと思うのです。
 先ほどおっしゃっていたみたいに、会うことがいいことだとか会うべきだという流れに余りにもなってしまうと、患者が抱えている複雑な気持ち、会うまでの気持ちにまだ至ることができないという人が、「感謝の気持ちをちゃんとあらわしていないのではないか、けしからぬ」というプレッシャーを感じてしまわないような配慮が必要だと思います。バンクを通して手紙のやりとりができるようになったときも、あるドナーさんが、ほかの方がお手紙をもらったという話を聞いたときに、自分はもらっていないと怒っていたのですが、その気持ちもわかるのです。ドナーさんは基本的にすごく健康な方ですし、しかも体を張ってくれたから手紙をもらえたほうがうれしいでしょうし、患者さんがどういう状況かと具体的に想像できなければ、何で自分はもらえないのだろうという気持ちになるのももっともだと思うので。だからこそ、制度としてきちんときめ細かく配慮しておく必要があると思うのです。
 今、お話ししたことは、全部対面がいけないとかということではなくて、それぐらいすごく複雑な問題があることなので、そういったことに対する配慮もした上で考えてほしいということを申し上げておきたいと思いました。
○小澤委員長 移植後の経過も本当にさまざまですから、一律な議論というのは本当に難しいと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。
 実際、匿名の手紙のやりとりというのはどのぐらい行われているのでしょうか。坂巻委員、わかりますか。
○坂巻委員長代理 手紙のやり取りの数は具体的にはわかりかねるのですが、当院では患者さんに、元気になったらなるだけ手紙を書きましょうねと言って、病棟に便箋と封筒は準備して交信を勧めています。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 この議論は、日本でも相当長くやられてきました。アメリカが初めてこのミーティングをやって、その後世界に広がっていったのは事実ですけれども、本当にいいことであれば、もっと広がるはずなのに、決して全国に広がってはいないのです。
 「デメリット」というところにあるように、再提供強要の可能性、移植が成功したときには患者さんの免疫系がドナーに変わってしまうので、もとの病気は治っても腎臓などの臓器の機能が悪くなったときには臓器提供強要の可能性があります。骨髄ドナーの方は、臓器移植後に免疫抑制を必要としない完璧なドナーになるわけです。実際にアメリカではドナーになった人もいます。
 アメリカの場合にどうしているかというと、実際にドナー、レシピエントのミーティングを許可するときに、彼らはその後にいろいろな金銭的問題があったときにもそれは当事者の問題であって、バンクとしては一切関知しないとしていますが、日本の場合に同様にして済ますことができるかは、すごく大きな問題だと思います。
 アメリカがうまいのは、梅田さんがおっしゃったようにドナー、レシピエントミーティングをうまくドナーのリクルートに利用していることです。ただ、ドナーのリクルート/リテンションに、鎌田さんもおっしゃったように、会えますからということをツールとして使うのが正しいかどうかという問題もあると思うのです。私は恐らく会えますからドナーになりますというものではないと思います。もっとリクルートの方法とかリテンションの方法は考えるべきで、これをツールとすべきではないと思うのです。その議論は絶対にやめるべきだと思います。
 鎌田さんがおっしゃったように、亡くなった方がいらっしゃっても、逆に会わないことによってどなたかに自分の善意が生きているということを感じられることも大きなことだと思いますし、そういった点から考えると、私はいろいろな国を見てきて、日本では余り入れるべきではないことかなと思います。今の基準を変えるべきではないと私は思います。
○小澤委員長 この諸外国の一覧表を見ると可と不可が半々ぐらいなのですけれども、これはだんだんふえてきている結果なのですか。
○岡本委員 そんなことはないと思います。
○小澤委員長 大体初めからこんな感じ。
○岡本委員 そんなにふえてきているものではないと思う。例えばオーストラリアとかは可としているけれども勧められないとか、国民性もあると思います。フランスは絶対に不可ですし、やはりいろいろなことを考えると、メリットとしてのドナーリクルートが進むとか、リテーションに使わないとすれば、余りメリットのあることではないと思うのです。これを目的として、ボランティアとして骨髄を提供するわけではないわけですから、それを前面に出すこと自体がおかしいと思います。
○小澤委員長 先ほどのトラブルの例なんかも決して例外的なものではなくて、それなりに発生しているのですね。
○岡本委員 そのトラブルをどこまで正確に見ているかどうかということについても、もうそちらに任せてしまうということで、彼らは余りデータを持っていないと思います。
 アメリカの場合には、特に血縁者の場合に金銭的問題が相当発生していましたし、向こうで移植医をやっているときには、移植というすばらしい側面以外の非常にどろどろした人間の嫌な側面を見る機会も何回もありました。米国は、それは当事者たちの考え方ということで収まってしまうところがあるのですが、日本はそうでは済まないと思うのです。そこは慎重に考えるべきだと思います。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 いろいろ複雑な心持ちを当事者の立場から話してくださった鎌田委員に、大変敬意を表します。ありがとうございます。
 もうこうなってくるとマスコミだからという意見ではないと思うのですけれども、私自身ドナーリクルートに関しては、ACさんの広告とか、非常に心に入るようなドラマチックな方法はすばらしいと思っているのですが、移植の行為そのもの自体は非常にドライ、医療の選択肢の一つだという形で進めるべきではないかと思っていて、患者さんにとっては、選択肢に骨髄移植があったからしただけではいけないのでしょうかという思いがあります。
 ドナーの方も、もちろん感謝されるからするというわけでなくやったというところもそうだと思いますし、自分がしたいからドナーになったという形に迷いを起こさないようなシステムにされていったほうがいいと思います。
 私は、患者さんは絶対に一生感謝し続けなくてはいけないのかというプレッシャーを患者さんのほうに与えるほうを危惧していて、先ほどおっしゃったようにどうしても絶対的な上下関係みたいなものが出てしまうことを非常に切なく思っているといいますか、患者さん自身が感謝し続けるということは非常にすばらしいことだと思うのですけれども、こういうシステムができてしまうと、感謝しない患者はだめなのではないかとか、先ほどおっしゃったようにいろいろうまくいかなくなってしまったりする場合に、やはりあくまでも医療の選択肢として移植があったと。特に日本の国民性の中では、その辺はすごくドライに進めていったほうがいいのではないかと思います。
 その一方で、先ほどおっしゃったように、誰かの役に立ったのだということを喜びにできるような方向性のプレゼンテーションやPRは、ものすごくドラマチックにやればいいと思っています。
○小澤委員長 浅野委員も患者さんの立場で何か御意見はありますか。
○浅野委員 私は接触が認められないということも認めた上で、もっと前さばきのところでやられたのは特定されてはならないということで、私、お医者さんから言われたのか、コーディネーターから言われたのか覚えていないぐらいなのですけれども、言われたのは、浅野さん、何月何日に移植を受けたということを言わないでくださいと。私、実はネット上で日記を公開しているのです。だから、その日記にも当然書かない。
 それから、いろいろ取材を受けることがあって、浅野さん、いつ骨髄移植を受けたのですかということはその人にも言わないでくれと言っているので、曖昧に年末ごろですねという程度にしておく。何月何日ということを言うと、ドナーさんからすれば私はこの日に採取されたというので、ある程度特定されるということ。それはよくわかるのです。それはもちろん納得なのですけれども、ちょっと面倒くさいというか、仙台弁で言うといずいなという状況はあります。
 私の場合は、そういうふうに誰かに言われたのですけれども、患者さんもそう言われるのですか。例えば骨髄移植の日時を言わないでくれと。患者さんはみんなそれを守っているのですか。これはつぶやきです。
○小澤委員長 張替委員。
○張替委員 多分、それはドナーさんも言われていると思うのですけれども、ちょっと本筋ではないのですが、前と比べるとソーシャル・ネットワーク・サービスとかツイッターとかフェイスブックとか、すごく手段が発達しているので、ここで一旦方針を変えて解禁となると集団が物すごくたくさんあるので、以前とは違ったいろいろな影響が出ると思います。やはりここは少し慎重に考えていくべきではないかと個人的には思っています。
○小澤委員長 よろしいですか。
 武藤委員。
○武藤委員 先ほどはちょっと遠慮ぎみに申し上げたのですけれども、皆さんの議論でちょっとほっとしました。やはりこういう医療は匿名性の原則というか、利他的にやるのだということが出発点で容認された医療でありますので、少なくともSNFで勝手にされることについてはなかなか介入しづらいと思いますけれども、国とか医療の現場の立場としては、余りこれを推奨することは控えたほうがいいのではないかと私は思います。
 というのは、これに触りますと、ほかの第三者からいろいろなものをもらう医療がみんな影響を受けますし、生殖補助医療も影響を受けますので大きな問題になるという気がいたしました。
○小澤委員長 今村委員。
○今村委員 この接触禁止というのは、どのレベルで禁止されているのでしょうか。先ほど浅野委員が言われました、法律とか省令だとかガイドラインだとか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 現在は通知のレベルということになりますし、今後の場合も基本的には通知のレベルですが、要するに、許可基準の中でどういうふうにするか。今は売買や利益供与が行われないようにすることは大事だと思っておりまして、その担保措置として何をするかという中で、全面禁止にするのか、また違う風穴を少しあけることにするのかどうかという問題だと思っています。
 その意味で、どこでというレベルからいけば通知レベルの問題になると思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。
 いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。このドナーと患者の接触のあり方は非常に難しいところがあって、いろいろな議論がなされてきていると思いますけれども、ここではどちらかというと従来どおり、匿名性を確保した上でのほうがいいのではないかというお話でした。この委員会としては今後も継続して検討するテーマとして、事務局にも資料を整理してもらいながら議論をまとめていきたいと思います。
 それでは、議事の(1)についてはこのあたりとさせていただきまして「(2)造血幹細胞提供支援機関について」に参りたいと思います。
 まず、資料について事務局より説明をお願いします。
○吉田室長補佐 それでは、お手元の資料3に沿って御説明をさせていただきます。
 1ページ目の下半分でございますけれども、造血幹細胞提供支援機関に関係する法律の規定を記載してございます。条文を羅列しておりますけれども、まず一番上、法律の第44条におきまして、営利を目的としない法人を、全国を通じて一個に限り、造血幹細胞提供支援機関として指定することができるとされております。
 この法律につきましては、御案内のとおり議員立法で成立したものでございますけれども、支援機関としては日本赤十字社が想定されているものと承知しております。
 続きます第45条におきまして、造血幹細胞提供支援機関の行う業務について、第1号~第4号ということで4点示されてございます。
 第1号につきましては、骨髄または末梢血幹細胞を提供する意思がある者、つまりドナーのことになりますけれども、その登録業務のほか、造血幹細胞提供関係事業者、これはざくっと申し上げますと、骨髄バンクとさい帯血バンクのことをイメージしていただけばよろしいかと思いますけれども、これらの業務に対して必要な協力を行なうことが挙げられてございます。
 次の第2号といたしましては、造血幹細胞提供関係事業者の必要な連絡調整を行なうことというものが書いてございます。
 第3号といたしましては、骨髄・末梢血幹細胞に関する情報、臍帯血に関する情報を一元的に管理し、この情報を造血幹細胞移植を行おうとする医師その他の者に提供することというものが挙げられてございます。
 最後、第4号につきましては、造血幹細胞の提供に関する普及啓発を行なうことが挙げられてございます。
 今、条文に沿って御説明いたしましたけれども、これだけではわかりにくい部分があると思いますので、業務の具体的なイメージについては、後ほどまた御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目でございます。少し法律の技術的な面となりますけれども、法律の施行に関する点でございまして、附則の第2条におきまして、下のほうで「(準備行為)」と見出しがついているところでございますけれども、先ほど申し上げました第44条の造血幹細胞提供支援機関の指定に関する部分につきましては、法律の全体の施行よりも前に行なうことができると書いてございます。
 また上のほうに目を戻していただきまして、第1条の第2号のところに下線を引いてございますけれども「次条の規定」というところで、法律の公布の日から起算して1年を超えない範囲内。注をつけてございますけれども、法律の交付が昨年9月12日でございましたので、1年を超えない範囲となりますと、ことしの9月11日までに施行するという形になってございますので、下に矢印を描きまして文章を書いてございますけれども、造血幹細胞の提供支援機関に関する規定の施行につきましては、ことしの9月初旬をめどに施行いたしまして、その後、速やかに支援機関の指定に向けた準備を事務的に進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、2ページ目の下半分でございます。先ほど法律の条文に沿って御説明いたしました、造血幹細胞提供支援機関の業務内容について具体的に想定されるものを整理して記載したものでございます。
 まず、1号業務は「骨髄・末梢血幹細胞ドナー登録、その他造血幹細胞提供関係事業者に必要な協力を行なうこと」ということで、右側のほうに大きく2つに分けて整理して記載してございます。
 1つ目は「<法律や予算に基づき実施が予定されているもの>」といたしまして、骨髄バンクのドナー登録希望者の受付ですとか、骨髄バンクドナー登録者のHLA検査、また、その情報管理といったものがありまして、これらにつきましては骨髄データバンク登録費ということで、平成25年度の予算において関連の予算を計上しているところでございます。また、その下、臍帯血の採取・調製・保存の技術研修など、臍帯血の品質向上のための共同事業につきましても想定してございまして、こちらにつきましても平成25年度予算において関係の事業費を計上しているところでございます。
 もう一つのくくりといたしましては、その下、今後「<関係機関の協議を踏まえて実施することが考えられるもの>」ということで記載してございますけれども、1つ目は、この委員会でも今後の施策の方向性として御意見をいただいておりました、献血ルーム等における重点的・積極的なドナーリクルートを行なうということが考えられますし、また、その下、臍帯血の感染症検査。これは、さい帯血バンクの中では自前で臍帯血の感染症検査を行なうことが難しいという事情をお持ちのところもあるようでございますので、その検査を支援機関が行なうといった対応も、1つの選択肢としてあり得るのではないかということで記載してございます。
 次にその下、2号業務についてでございます。「造血幹細胞提供関係事業者の事業について必要な連絡調整を行なうこと」ということでございますが、具体的な業務のイメージといたしましては、骨髄バンク、さい帯血バンクで、あとは関係学会の間の連絡調整会議の開催ですとか、その他各種委員会、これは下のほうで具体的な例を書いてございますけれども、例えば事業者で発生したインシデントの事例があった場合には、その集積なり共有を行い、さらに対応についての検討を行なうような委員会、または臍帯血の関係でございますれば、検査方法、手順などについての技術的な検討を行なう、そういったものの開催が考えられるのではないかと思っております。
 次に、3ページ目のほうに移らせていただきます。3号業務ということで、これは造血幹細胞に関する情報を一元的に管理するとともに、医師などへの情報提供を行なうということで、具体的には関連するシステムを右側のほうに少し列挙しておりますけれども、骨髄データセンターシステム、臍帯血情報公開システム、さらに骨髄と臍帯血の両システムのHLA情報などを一元的に検索できるようにしている造血幹細胞の適合検索システム、また、一元化された患者登録システム、こちらについては※がついておりますけれども、移植成績の登録との連携を考えているものでございます。これらの保守、運用、開発につきまして、支援機関のほうで行なっていただくことが考えられるのではないかと思っております。
 また、その下、医療関係者向けのウエブ窓口と申し上げましょうか、患者登録ですとかドナー検索、また、申し込みなどができるものの運営についても考えられるのではないかと思っております。
 最後に4号業務ということで、造血幹細胞の提供に関する普及啓発でございますけれども、こちらにつきましては右側のほう、委員会の中の御議論でも御意見としていただいているものでございますけれども、患者や国民が知りたい情報を手軽に入手できるポータルサイトの運営というものも考えられますし、また、その他全般に係る普及啓発活動というものも想定されるところでございます。
 以降の資料につきましては、これまでの委員会で提出したものとか、提出いただいたもので関連するものを添付したものでございますので、説明のほうは省略させていただきます。
 説明につきましては以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえて、質疑・議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 梅田委員。
○梅田委員 2ページのところですが、1号の業務のドナーの登録というところですが、日赤さんが骨髄バンクドナー登録希望者の受付をし、献血ルーム等における重点的・積極的なドナーリクルートを行なうということになっています。これは前にも私が申し上げたとおりで、献血ルームで献血者にドナー登録の声をかけることがドナー登録者には一番効果があります。
 埼玉県では、雇用調整の制度を使って、献血ルームにドナー登録説明員を送り込んでドナー登録をするということで、東京の次に埼玉の登録者数が多くなっている現状があります。今度は新しく制度が変わりますので、是非とも積極的ドナーリクルートを日赤さんに進めていただければと思います。
○小澤委員長 そのほか、いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 指定ということの性格なのですが、一個だけを指定すると。それは日赤を想定されているようですけれども、これは指定されたらここに掲げている事業ができるというよりも、むしろやれということですね。そうすると、逆に言って、そのことは日赤だけの独占的な権利というか、こういうことをやれるのはほかにないですよということでもないですね。例えば事業の中にあるように、移植に用いる造血幹細胞の提供に関する普及啓発を行うことは、別にほかの機関がやってもいいわけでしょう。だから、指定されたところだけが独占的にやれるということではない。指定の性格はそういうことでいいですね。
 それと、内容を見ていくと、こういう業務内容をやるよと言っているわけですけれども、実際は国の手足というか、やってもらわないと困るということですね。それを担保するというか、財政的なとか、その他の国からのいろいろな支援というか、それはどこかに規定があるのですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 まず、前者については基本的におっしゃるとおりでございます。まさに普及啓発なんかは、みんながやっていいことだと思います。
 1号業務に関しましては、本来的には骨髄バンクないしさい帯血バンクの持っている権能のうち、集めてやったほうがいいようなものについて協力をするという体裁になっています。ただ、2号、3号みたいに、連絡調整とか情報の一元化みたいな話はいろいろばらばらになっていると具合が悪いので、法律的にもここに集中させることが想定されているという性格のものでございます。
 それから、今、援助云々の御指摘がございました。これも先ほどのあっせん機関あるいはさい帯血バンクにも同様の規定があるのでございますが、支援機関に対しましても同様の国の援助と補助の規定がございます。
 一応、条文だけ申し上げておきますと、52条に「国は、支援機関に対し、予算の範囲内において支援業務に要する費用の一部を補助することができる」という規定がございます。
 ごめんなさい、援助は違います。監督上の命令です。それから、支援機関に対しても補助の規定が設けられております。
○小澤委員長 よろしいですか。
 浅野委員。
○浅野委員 確認というか、当たり前のことなのですけれども、今、日赤は現実に登録希望者の受付とか、ここに書いてあるような業務をやっていますね。ですから、指定された後も嫌々やるという性格のものではなくて、喜んでということでやるわけですね。そこがあうんの呼吸みたいな感じもしないでもないですけれども、日赤が喜んでやるということでいいのですね。先ほどの骨髄バンクも、やめたと言えるよということなのですけれども、日赤はまさかやめたとは言わないでしょうね。変な話なのだけれども、日赤は何のためにあるのですかみたいなことで恫喝までしなくても、喜んでやるという体になっているということですね。変な話でごめんなさい。
○間臓器移植対策室長 そういうことだと思います。日本赤十字社さんも、この審議会でもヒアリングにおいでいただきましたし、また、別の場でも、この法律に基づく責任を果たす用意があるとおっしゃっておりますので、それを期待いたしております。
 ちなみに、ここで支援機関の業務として掲げさせていただいておりますのは、必ずしも今、やっているものばかりではなくて、先ほどの献血ルームの部分も、この審議会での御議論を踏まえてさらに一層という面がありますし、情報の一元化のシステム一元化あるいは患者登録の話なんかは全く新しい話になると思います。あと、患者さんとか国民の皆さん向けのポータルサイトなんかは、今、ないわけですので、こちらの審議会のお考えを踏まえた新しい対応が随分含まれている。それも含めて支援機関に取り組んでいただくことを考えております。
○浅野委員 こんなことを言ったのは、先ほども同じなのですけれども、現状がこうであるということで、まあまあなあなあちゃんとやってくれるだろうなということよりも、もうちょっと縛りというか、それがないと若干不安と。日赤は永遠に不滅ですということなのでしょうけれども、本当にそうかなということは何分の1かはあるわけです。
 だから、こういう指定機関というのは、実はあってもなくてもいいというものではなくて、あってほしいわけですね。一個だけにすると言いながら、一個は絶対に必要だと国が思っているわけです。そうすると、想定されている日赤が、こういう業務をちゃんと適切にやってくれるということをアプリオリに想定して、しかも、それが今後とも未来永劫にということを簡単に想定していいのかなというのが、まだ若干残るのです。
 かといって、余り相手のあれを怒らせてもいけないというか。だけれども、これは自然体というか、お互いの信頼関係みたいなものというか、これは日赤頼んだよ、わかったというのがあってやっている話ですね。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 日赤を想定というのは、国があらかじめ用意したものではありませんで、議員立法をされた先生方が関係団体のヒアリングもされた中で、これは日赤だろう、君たち頑張れということで、日赤もその役割を果たしますとおっしゃっている中での政治的にも非常にコミットメントのある話だと思いますので、それを前提に進めることが第一だろうと思っています。
 その上で、今回は従前のことだけをやるというのではなくて、こちらでさらに進めていこうという御議論を踏まえた対応を、国としても日赤とよく話しながら、骨髄バンク、さい帯血バンクともよく話しながら実現に向けて努力をしたい、日赤もそれに応えてくださるだろうと確信をしております。
○小澤委員長 これだけの包括的な事業といいましょうか、仕事をやれるところはほかには恐らくないでしょうし、そういうことで話は進んでいっているかなと思います。名称ですが、造血幹細胞提供支援機関という難しい文言は法律になっているので変えられないでしょうけれども、実際上はもっとスマートな名前か何かをつくるのでしょうか。
○間臓器移植対策室長 法律上の名称は法律を変えないと変えられませんので、何かふさわしいものがあるかどうか、関係者とよく相談したいと思います。
○小澤委員長 鎌田委員。
○鎌田委員 直接の話になるかわかりませんけれども「支援機関の業務内容のイメージ(2)」にあります「患者や国民が知りたい情報を手軽に入手できるポータルサイトの運営」というところで、関連してちょっとだけ申し上げられればと思うのですが、こういったものについて、患者にとっては必ずしもお医者さんに頼らずとも、気兼ねなく自分で調べてじっくり考えることができるのはとても大事だというのは、前にも申し上げたと思うのですけれども、それは本当にとても大事なことだと思うので非常に期待をしています。
 そのときに生じた疑問ですとか、情報のひとり歩きによる無用な不安とか誤解を避けるためには、そのフォローをする体制が必要だと思います。その話も以前に出たかと思うのですが、そういったときに既存の患者支援団体とか相談窓口というのはとても大事な存在になると思うのですけれども、それだけではなくて、患者にとっては、例えば相談窓口とかというのも自分からの積極的な行動が必要になるので、そこの敷居を低くするとかアクセスを容易にすることも大事だと思いますし、さらに、患者が必ず接する存在を活かしていただくことができたらいいなと思いました。
 医師の先生もそうですけれども、看護師さんたちの存在とか病院のスタッフの方々の存在というのは患者にとってはとても大きくて、例えば治療開始前だと余り深い接触はないかもしれないですけれども、治療をして入院などをすると本当に深くずっと患者を診てくださっています。そして、特に看護師さんは、例えば患者が、先生が忙しいときには聞けないという話ですとか、あるいは先生にはなかなかお話しがにしくいという患者さん等も含めて本当に決め細やかに患者に24時間接して、悩みだとかいろいろなことを見てくれているので、患者にとってとても存在が大きいと思うのです。そういった方々は、患者の疑問だとか悩みをすくい取る機会がとても多くあると思うので、以前、熱田先生がいらしてお話してくださいましたが、情報集約をする際にもそういった方々に活躍していただけたらと思いますし、あるいは患者さんのフォローをするときにも、そういった方々に活躍してもらえたらいいなという気持ちがあります。
 そのときに、正直な話を申し上げますと、看護師さんの中にも移植に関してのプロフェッショナルな方がいてくれたらいいなというのがすごくありまして、例えば移植を必要とする患者は、入院期間を含め病気とつき合う期間が長くなるため、ある程度のことはわかってきたりするのだけれども、体がしんどいときにすごく頼りになった看護師さんがいなくなってしまって、まだ余りよくわかっていない看護師さんがついてくれているときはすごく大変だったりします。
 あとは、精神的な支えで、ずっと病気を抱えて移植後が長かったりしますので、そういうときに、一番大変だったときとか、そういう状況をよく知っている看護師さんをすごく頼りにして、10年も20年もずっとそういう方を頼りにするという話はあるので、医療全体の話になってしまうと大きな話になり過ぎて、非現実的になってしまうかもしれないのですけれども、正直なところ少なくとも1人、2人、移植に詳しい看護師さんがいつもいるような状態があればいいなとは思います。
 今は移植コーディネーターの方がいらっしゃったり、いろいろな形で患者さんをフォローする体制というのが昔よりもできてきてはいると思うのですけれども、病院の中で必然的に接している、患者がいろいろな意味で頼りにしている存在というのが実際にあるので、そういった方にも活躍していただけたらと思います。
○小澤委員長 看護師の場合には、「何とか専門医」みたいに移植関係の何か専門の資格とか、そういう議論はないのですね。
○岡本委員 今回の診療報酬改定で、移植の外来フォローアップという項目に専任の看護師という条件が付いています。しかし、これは医師の専門医とは異なるもので、看護のほうでは、専門看護師という言葉はつけてほしくないということです。専門看護師とは、医師の専門医とは違って、かなり厳しいトレーニングを積んで取得できる資格であるということが看護協会のコンセプトなのです。ですので、結論から言うと、今、そういう資格はないと思います。
 おっしゃることはそのとおりで、ある程度、屋根瓦式にそういったものを継続していって、いつも相談すればわかってもらえる人がいるということは必要ですが、看護の領域においては、特に外来は人がフィックスするところではないのです。あの診療報酬がついたことによって、少しその点が改善するかということを私たち移植医としてはすごく期待していたのですけれども、現実の移植のシステムはなかなかそうはなっていないところだと思います。
○小澤委員長 このポータルサイトの運営には、何らかの形で看護師さんもかかわってほしいということなのですね。
○鎌田委員 もちろん、相談窓口とかも活用できるといいと思うのですけれども、少なくとも現段階ではそれもたどり着けていない患者さんも多いので、身近に頼りになる存在という意味で、看護師さんに限らないのですけれども、院内でそういう頼りになる存在があると、より患者にとっては助かるのかなと思った次第です。
○小澤委員長 今村委員。
○今村委員 その領域に詳しい看護師さんがいらっしゃるというのは、一緒にパートナーを組む医師にとっても、患者さんにとっても大変よろしいことかなと思っております。ただし、これを診療報酬上で手当するということについては、他の診療領域への影響が非常に大きいですので、この分野だけどうのこうのということは絶対にやっていただきたくないと思います。
○小澤委員長 何かほかに、支援機関について御意見はいかがでしょうか。
 野村委員。
○野村委員 浅野委員に感化されたわけではないのですけれども、私、参考資料の条文のところをずっと見ていたのですが、指定になってくると善意でなくて、やめるのも許可が要ることになるみたいなのです。室長、そうですね。そういう意味では厳しいことになっている。
 でも、指定は「申請により」とあって、一応、善意で手を挙げて指定を受けたときにはという形になっているのですけれども、先ほどのあっせん機関に関しては、国のお金の補助というところと厚生労働省の援助という規定があって、多分、厚労省が事業のことで全身全霊を傾けて、いろいろ一緒になって援助をしてくれることで、もうやめたというところを出さないようにするという理解で私はいたのですけれども、私は不勉強なのですが、法律上指定した場合にはそういう援助ということができないから規定がないのか。
 そういうことなのかもしれないのですが、支援機関にはこれだけ業務があって、日赤さんがもともとやられたところもあるでしょうけれども、3号業務とか4号業務とかは非常に時間もお金もかかるような形になってくる中で、法律の文言はもう変えられませんけれども、ただ国の補助というところのお金のことだけではなくて、何かバックアップできるような体制があればと思います。ちょっとここだけ冷たいような感じがしたものですから。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 法律の規定のしぶりについては、私どもはコメントしづらいのですけれども、支援機関に関しましても、今、見ていただいている条文数で申し上げますと、言葉はきついのですけれども、49条に監督命令という形でありまして「厚労大臣は、支援業務の適正な実施を確保するために必要な限度において、支援機関に対し、支援業に関し」と、つまり責任が重いのでこういう形での規定になっている。
 実際に我々は、監督命令という形をしなければ動かないという事態は想定しておりませんけれども、よくよく話しながらやっていくことは必要だと思っています。
 もし、支援機関の業務を行なうに足りなければ、この規定が正面から発動することにはなると思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。
 支援機関の業務につきましては、先ほども議論がありましたように、献血ルーム等における重点的あるいは積極的なドナーリクルート、情報の一元化など、この委員会での議論を踏まえた内容になっていると思います。
 そのほかにも、まだいろいろこれまで議論をしてきておりますので、ほかの事項も含め、これから事務局に実現に向けた整理を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、議題の(2)はこれまでということにしまして「(3)その他」でありますけれども、本日の内容全体につきまして、何か御意見・コメントがありましたらよろしくお願いいたします。何かありますでしょうか。
 武藤委員。
○武藤委員 先ほど申しそびれてしまったのですけれども、参考資料2と参考資料3が骨髄と末梢血幹細胞の提供に関する同意書になっていて、先ほど小澤委員長も家族の同意の件にちょっと触れてらっしゃったと思うのですが、これの実際の運用を御存じの委員にお聞きしたいのです。これは家族代表またはこれに準ずる者の住所、自署、拇印みたいなものがなければ提供はできないという、必須項目になっているという理解でよろしいのでしょうか。
○小澤委員長 これまでも議論がなされてきたテーマではありますけれども、事務局から説明をしていただけますか。
○間臓器移植対策室長 基本的にそういうことです。ただ、例えば類縁の方がいらっしゃらない場合もありますから、そういう場合はもちろん違う形になりますけれども、基本的に御家族の同意が必要になっています。
 ちなみに、恐らくこういう形になっている背景としましては、ドナー候補者になった方がどこでお断りをしたかということで、いろいろな理由でお断りになっている例があったと思うのです。最初のころは御自身のお仕事の都合などでお断りになっているのですが、最終同意段階でお断りになった方のうち6割以上が、御家族のことを理由に挙げておられます。だから、そこで家族同意をしているからそういうことになるのではないかと考えるのか、事後のこともありますので、最終的に家族も含めて納得をいただいたほうが円滑に進むということを考えますと、これまでのところ家族同意も必須にしているということには、一定の合理性があるのではないかと考えています。
○武藤委員 では、この点については、特に本人同意だけでいいという方向の議論にはならず、先生方としては、とりあえずこのままいきましょうということで了承されているということでよろしいのでしょうか。
○小澤委員長 かなり難しいテーマでもありますので、武藤委員の御意見もここでお聞かせいただければと思います。
○武藤委員 ほかの医療とのバランスというのをいろいろ考えたときに、もちろんドナーの方が最終段階でおやめになるのも御本人の自由だという原則で運用せざるを得ないところがあり、最初に御家族に同意をいただいていたから実際に最後までたどり着いているという実績があるのであれば、その運用なのかなと思いますけれども、今、若い男性のドナーさんをたくさん探しているという事情を考えたときに、これは結構厳しいのではないかというところはうちの学生さんなんかからもよく聞くので、要件をどう設定するのかということについては御考慮いただいてもいいのかなと思いました。
 例えば二十以上の学生とかであれば、きちんと御両親に説明するものをお渡しして、本人から家族にきちんと説明がいくということで担保できたり、家族からの相談を受けられる窓口を別につくるということでもいいのかもしれないと思った次第です。
○小澤委員長 岡本委員、学会のほうでは何か議論がありますか。
○岡本委員 学会ではありません
○小澤委員長 先生の御意見は何か。
○岡本委員 難しいところだと思います。やはりある程度の合意をいただく必要はあると思います。ただ、それはこの段階ではなくて、おっしゃったように、なるべく事前から説明していってということに努力をしていくということではないかと思います。
 欧米は、最初は全く必要としなかったですけれども、最近になってそれも必要であるということに変わってきていますので、なるべく円満にというか、家族全体の輪を崩さないように。でも、その段階になって断るのではなくて、初めのうちからうまくアプローチをして同意をつけていく。少なくとも全体像が理解できなくて合意しないということではなく、情報がしっかり入って、危険性等も客観的にわかっていただいた上でどうするかという判断をもっと前にやっていくということでシステムをつくればいいのではないかと思います。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 ありがとうございます。
 この点については、これまでのこちらの場での議論でも、ドナーの家族に特化したような情報の提供の仕方とか、早い段階でちゃんとお伝えをする努力が要るのではないかという御指摘をいただいております。そこの部分は、今、必ずしも家族に特化したような情報は骨髄バンクでも出していないと思いますので、そういったことも含めてこれから努力をしていく中で、そのあたりの応諾率が上がっていくことを期待したいと思っております。
○武藤委員 ありがとうございました。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 この同意書はどの段階で出すのですか。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 これは、まさに採取の直前の最終同意の段階になっております。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 きょうはよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上であります。次回のことでありますけれども、移植用の臍帯血基準検討会というのがありまして、そこで基準の案がまとまったようでありますので、次回の委員会では座長である神田先生から御報告いただくこととしたいと思います。
 また、研究目的での臍帯血の利用・提供の基準について御議論いただくほか、拠点病院の具体的な数値要件についても事務局に示してもらう予定であります。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 この委員会は、委員会として報告書みたいなものを出すのですか。そうすると、普通は報告書原案みたいなものを事務局がつくって、それを審議するということがあるのですけれども、そんな形になるのでしょうか。法施行日が9月11日でしたか、そこまでに委員会としての意見なりをちゃんとまとめていないと意味がないですね。どういうことになるのでしょうか。委員会にどういう形で提示されるのでしょうか。
○小澤委員長 また繰り返しになるかもしれませんけれども、今後のスケジュールも簡単にお願いします。
○間臓器移植対策室長 お手元の参考資料1に、本日も含めました今後の造血幹細胞移植委員会のスケジュール(案)というのをお配りしてございます。
 こちらにございますように、今回と次回につきましては、許可ないし指定を受ける機関の条件など、実務的なことについての御議論を本日もいただきましたし、次回もいただきたいと思っています。
 その上で、これは予定でございますけれども、第43回は8月2日に予定しておりますけれども、このときには基本方針の骨子のようなものをお示しをしたいと。前回のところで、大きな御意見をこういう方向で委員長にまとめていただきましたというのを御報告して、確認をしておりますけれども、それを今度は基本方針という形で整理をしていく。
 ですから、こちらには報告書云々というよりも、国、厚生労働大臣が定めるべき基本方針の案をお出しし、御議論をいただくことが第45回までの中心的なお願いをしたいこととなっております。その後もまたいろいろ細かいことについて御相談をいたしますけれども、今のところはそのような扱いを考えております。昨年の12月28日にそういうことを申し上げておったと思いますが、そこについては変更ございません。
○浅野委員 基本方針の作成責任者は政府ですね。政府が基本方針を定めるのですね。厚生労働大臣なのかな。
○間臓器移植対策室長 おっしゃるとおり、厚生労働大臣が定めます。
○浅野委員 厚生労働省大臣が基本方針を定める。その案みたいなものが、この委員会に示されるのですね。
○間臓器移植対策室長 そういうふうにしたいと思っております。
○浅野委員 それに対して委員会として、この基本方針は直せとか、足らないとかと意見を言うために我々がいるのだと思いますけれども、そういうことでいいのですね。
○間臓器移植対策室長 はい。
 そうなのですけれども、要するに、基本的にはこれまで御議論をいただいたことをベースに基本方針をつくりたいと思っています。ですから、全然突拍子のないものが出てくることではないとお考えいただければと思います。
○浅野委員 だけれども、ある意味、甲論乙駁の部分もあるわけですね。必ずしもこの委員会としてこうだというのではなくて、これはもう少し検討をしましょうみたいに残されたものがあって、基本方針というのはどういう体裁、どこまで決めるものかはよくわかりませんけれども、私は最初にこの委員会に加えてもらったときに、患者の立場からいってというか、骨髄移植の提供がちゃんと行なわれるためにはいろいろな手だてが必要で、内容に入りますけれども、例えば診療報酬のここをちゃんとやれとかというものもあるわけです。そういうものについて基本方針という形なのか、どういう形かわかりませんけれども、委員会としてというか、私としてというか、ぜひ申し上げ、それを組み入れてもらいたいと思っているわけです。そういう機会というか、そういう場面はあるわけですね。
○間臓器移植対策室長 そうです。それが43回~45回にかけてだと考えております。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。ここでの議論、まとめが反映される形になるものと考えてはおります。
○浅野委員 期待しています。
○小澤委員長 それでは、最後に事務局から連絡をお願いいたします。
○吉田室長補佐 本日も活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。
 次回の委員会につきましては、6月21日の10時からを予定してございます。先生方におかれましては、御多用のところ大変恐縮ではございますけれども、日程の確保に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了します。ありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2363

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