ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 移植用臍帯血基準検討会> 第2回移植用臍帯血基準検討会 議事録(2013年5月21日)




2013年5月21日 第2回移植用臍帯血基準検討会 議事録

○日時

平成25年5月21日(火)18:00~21:00


○場所

航空会館201会議室


○議題

1 新たな基準(案)の検討
2 その他

○議事

○西脇室長補佐 それでは、定刻になりましたので、「移植用臍帯血基準検討会」の第2回を開催したいと思います。
 本日は、お忙しいところ、また、夜遅くにお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、濱口委員より御欠席との御連絡をいただいております。
 事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 室長補佐の吉田です。
○吉田室長補佐 吉田でございます。よろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 同じく室長補佐の廣瀬です。
○廣瀬室長補佐 廣瀬でございます。よろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 次に、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の配布資料の欄に沿って御確認ください。
 資料1-1「移植用臍帯血基準(案)の方向性について」。
 資料1-2「日本さい帯血バンクネットワークの基準からの主な変更点について」。
 資料1-3「移植用臍帯血基準(案)の概要」。
 資料2「移植用臍帯血基準(案)」。
 資料3「前回の議論を受けて調査した項目について」。
 資料4「さい帯血バンクにおけるインシデント事例等について」。
 おそろいでしょうか。不備等がございましたら、事務局までお伝えください。
 それでは、以後の議事進行を座長の神田先生にお願いいたします。
○神田座長 よろしくお願いします。3月に引き続きまして、これが第2回目の検討会となります。
 それでは、時間も限られておりますので、早速、議事次第に従って議事に入りたいと思います。きょうは、新しい基準(案)ということで、より具体的なところに進んでいきたいと思いますけれども、これまで既にメールでかなり活発なやりとりをしていただきましたので、既にある程度の意見は共有できているものと思います。効率よく進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず、議論の流れですけれども、前回同様にアウトラインなどについて、事務局の方から説明していただいた後に、基準(案)の内容について、ところどころで区切りをつくりながら議論していきたいと思いますので、まず、基準(案)のアウトライン等について御説明いただけますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、資料1-1、1-2に沿って御説明いたします。
 まず、資料1-1「移植用臍帯血基準(案)の方向性について」ですが、これは前回第1回の当検討会で確認していただいたものです。
 「1.基本的な検討の方向性について」としましては、「日本さい帯血バンクネットワークが制定している臍帯血移植の実施のための技術指針及び各種基準書の内容を基本とする」、そして「血液事業等関連する他の制度との整合性を考慮する」、また「品質基準に関する国際的な動向を考慮する」を大きな3つの方向性としております。
 また、「具体的な検討事項について」は、2に示しましたように、「効果的な治療のための品質表示の統一」「安全性とトレーサビリティの確保のための情報管理」「個別の手技等について、各さい帯血バンクの標準作業手順書に規定」を考慮しております。
 続いて、資料1-2を用いまして、現在の日本さい帯血バンクネットワークの基準、お手元にありますピンクのファイルですけれども、ここからの主な変更点について御説明申し上げます。
 まず、1として「血液事業等関連する他の制度の基準との整合性を考慮したもの」ですけれども、臍帯血の採取を行わない場合について、問診票の判断基準及びマラリア流行地域の判断基準を献血時の基準に準じたものとしております。
 HBVの判定基準については、HBs抗原院生、HBc抗体陽性、HBs抗体陽性の場合の判断基準を輸血用血液製剤に準じたものとしております。
 調製保存を行う者についてですが、臍帯血供給事業者は調製保存管理者を置き、その監督のもとに調製保存部門と品質管理部門を設け、それぞれ調製保存責任者、品質管理責任者を置く。調製保存責任者と品質管理責任者は兼任しないことが望ましいとしています。これは薬事法などを参考とした規定となっています。それぞれの要件については後ほど御説明いたしますが、現状に支障のない形を考えております。
 次に、2として「品質基準に関する国際的な動向を考慮したもの」を記載しております。これは国際基準と完全に合致しているもののみでなく、国際基準を参考とし、我が国の実情に沿う形としたものも含んでおります。
 体制の確保として、あらかじめ臍帯血供給事業者と臍帯血採取施設で受け入れの基準を定めておくこととしています。
そして、これは後ほど御意見をいただきたい点ですが、採取から凍結開始までの経過時間が36時間を超えていないこととしています。
凍結の方法については、温度変化が明らかな方法を用いることとし、プログラムフリーザーを用いることが望ましいとしています。
次のページですけれども、臍帯血の検査について、CD34陽性細胞数はシングルプラットフォーム法で行うとしています。
保存環境については、温度記録が残るようにし、保存装置の故障時の代替装置を備えるように努めること。また、貯蔵庫には警報装置を設置することとしております。
臍帯血の安全性に問題が生じた場合の提供の中止についても記載をしております。
品質標準の統一ということで、出庫時に臍帯血に添付する情報について定めています。詳細については後ほど御説明いたします。
情報管理としましては、ISBT128に定義された適切な符号をつけて識別できるようにすることが望ましいとし、また、採取から出庫まで同一の識別コードにより一元的に管理できる体制を構築するよう努めることとしています。
他の臍帯血供給事業者からの臍帯血の受け入れについて、臍帯血とともに、関連する記録、検体をあわせて受け入れることとしています。
また、臍帯血の廃棄については、記録の管理をするとともに、個人情報についても適切に処理することとしています。
3ページ目の3番ですけれども、「その他の追加事項」として、これは後ほど御議論いただきたいと思いますけれども、児の生後の健康調査について、生後4カ月以降の健康状態を健康調査票等で確認した上で、生後9カ月以降に臍帯血の公開を行うものとしています。
さらに、手順からの逸脱への対応と有害事象への対応について、報告の体制について定めています。
4番は「各さい帯血バンクの標準作業手順書に規定することを義務づけたもの」として、臍帯血の採取場所、搬入、受け入れ、品質管理の詳細、調製保存のバリデーション、環境の詳細、設備等の保守点検、調製用資材、試薬及び検査用試薬の管理の詳細、調製保存手順の詳細、無菌検査の詳細、供給時の搬送方法等の詳細があります。
そして、5番として「新たな基準案に定めないもの」ですけれども、臍帯血移植の適用については、別途省令で規定することとされており、提供する臍帯血の決定については、移植施設の責任で決定することとしています。また、患者の追跡調査については、データセンターで管理する予定となっています。
変更点については以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 それでは、具体的に、資料2の移植用臍帯血基準(案)を順番に見ていきたいと思いますけれども、幾つかに分けて、例えば「採取について」「調製保存について」「供給について」などと分けて進めていきたいと思います。まず、「採取について」の部分について御説明いただけますでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、資料2の「移植用臍帯血基準(案)」を用いて順に説明いたします。
 まず、1ページ目の「採取について」ですけれども、採取の体制については、臍帯血の採取に関する手順を規定した標準作業手順書が作成され、倫理委員会等の承認が得られていること、臍帯血の採取時には、医師を含む複数の産科スタッフが対応できる体制が整備されていることとしています。
そして、臍帯血の採取を行う者については、医師または適切な教育訓練を受けた者が行うものとするとし、教育訓練の内容については、※1に書いてあるものです。これは現在の日本さい帯血バンクネットワークの基準と変わったものはありません。
続いて、2ページ目ですけれども、臍帯血の採取方法は、臍帯血の採取は胎盤娩出前または胎盤娩出後に速やかに行うこと、そして、詳細については、標準作業手順書に規定することとしています。
「臍帯血提供者の保護」についてですが、母体及び新生児への影響があると判断される場合には、採取を行わないこと、胎盤娩出時の安全性に問題がある可能性が認められる場合は臍帯血を採取しないこととしています。
そして、臍帯血の安全性の確認ですけれども、臍帯血提供者の感染症や遺伝性疾患が疑われる場合には、臍帯血の採取を行わないものとしています。
3ページ目の○のところですけれども、臍帯血の安全性の確認に当たっては、悪性腫瘍の場合には二親等、遺伝性疾患の場合は三親等までの家族歴の聴取、妊婦からの問診、分娩の記録を調査、児の生後の健康調査、母親の感染症情報の調査を行うとしており、書式については、標準作業手順書に規定するとしています。
ここで、健康調査についてですけれども、これは前回議論になったものですので、各バンクの状況を調べました。資料3をごらんいただけますでしょうか。資料3の1ページ目の下ですけれども、児の健康調査の時期についてですが、健康調査の実施時期は、左のグラフですけれども、最も多いのが生後4~5カ月に調査を実施されている。そして、バンクへの到着時期ですけれども、健康調査票は最も多い場合には生後8~9カ月の時点でバンクへ到着しているという結果となっています。
この資料については後ほど詳しく説明しますけれども、この結果を受けまして、先ほどの資料2の3ページに戻っていただきますと、緑の二重線で示してあるところですけれども、(注)で「生後4カ月以降の健康状態を健康調査票で確認した上で、生後9カ月以降に臍帯血の公開を行うものとする。なお、調査実施後であっても、児が遺伝性疾患等を発症した場合には、報告するよう保護者に依頼する。」としてあります。
次に、「採取に当たっての説明・同意について」は、詳細な手続は標準作業手順書に規定するとし、説明及び同意の取得については、医師または適切な教育訓練を受けた者が行うとしております。
4ページ目ですけれども、臍帯血の提供に関する同意書については、国が示す標準的な書式を用いるものとするとしております。
最後に、先ほどの資料3の1ページ目をもう少し説明しますけれども、各バンクにアンケートを行いまして、2つのことを聞いております。健康調査の実施時期と、バンクへの到着時期。健康調査の実施時期に関しては、乳児健診を用いる場合に、何カ月以降のものを有効としているかということを聞いております。上に書いてありますように、乳児健診を用いる場合に有効と判断する時期としては、4バンクが生後4カ月以降、3バンクが生後6カ月以降、6カ月未満の場合には、6カ月以降に問い合わせて健康状態を確認するという回答だったバンクは1バンクです。そして、先ほども説明しましたが、左のグラフは健康調査の実施時期で、生後4-5カ月が最も多くなっています。そして、右のグラフにありますように、健康調査票のバンクへの到着時期は6カ月以降がほとんどで、8-9カ月にピークが来ています。
「採取について」は以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 ここまで「採取について」というところですけれども、前回も議論になりましたのが、この健康調査の件ですね。果たして4カ月、5カ月のものが妥当であろうかとかいう点なのですけれども、この点については、皆さん、いかがでしょうか。恐らくどこまで待っても100%ということはないと思うのですけれども、矢部先生、小児の先天性疾患という点では。
○矢部委員 臍帯血を介して患者さんに伝播する可能性がある疾患で一番問題が大きいのは免疫不全です。代謝異常だと2~3歳以上に診断されることが多いので、もともと無理です。免疫不全の中でも特に重症な重症複合免疫不全であるとか、その辺のところを拾えるかどうかが問題です。ここで言っている4カ月ぐらいの調査の開始というのは、もしかしたら郵送するのが4カ月ということなのでしょうか。日本さい帯血バンクネットワークの基準書の中では、たしか6カ月時点の健康調査を行うと書いてあったように私は記憶しているので、そういう意味では、4カ月に発送して、多くの乳児健診が3~4カ月にまず行われますので、その時点の健康状態をお母さんが記入される。さらに1~2カ月ぐらい余裕を見て、6カ月の時点で大丈夫で、それを回収しているのかなと思ったのですが、その辺は高梨先生、いかがでしょうか。
○高梨委員 私の理解は、多分、7カ月目に発送して、8カ月目にバンクに戻ってくるにしても、乳児健診はいつ受けましたかというところで4カ月と書いてあるのではないかなと思うのです。ただ、もっと早くにこの健康調査票を渡してしまっているところがあるとすれば、そこのところは混乱を生じるような気はいたします。
○矢部委員 調査の開始をある程度文面で残しておくのか、この中に盛り込んでおくのかどうかが、もしかしたら重要なところで、健診そのものは市町村によってかなり違いますので、そこで自動的に決まってしまう可能性があるわけですね。疾患の伝播に関しては、神田先生がおっしゃるように、全て防止するのは無理なので、そういう中で特に重症なものが出た場合に、お母さんに報告していただく。1つは、健診の時点、3~4カ月ですと、重症の奇形であるとか、そういうのがまずチェックされて、それから、BCGの接種の中で、好中球機能不全であるとか、あるいは肺炎などですと6カ月前後で発症する例もありますので、重症複合免疫不全がその辺まででかなり拾われてきます。きのうも東京医科歯科大学の免疫不全の専門の先生に御意見を伺ったのですけれども、多くの場合は1歳までに重症の免疫不全は診断されます。でも、どこかでクリアに分けられるものではないので、その辺は御両親にお願いするしかないでしょうということでした。結局、どこかで切らなければいけないのであれば、現実的にやりやすいところを踏まえていかないといけませんので、原案の9カ月以降に公開ということであれば、特に重症のものは拾えてくるのではないかと考えております。
○神田座長 ありがとうございます。
 実際、最初の乳児健診というのは大したことはしませんね。
○矢部委員 おっしゃるとおりで、心臓などの大きな疾患があるかぐらいですので、本当に細かいものを拾えるわけではないと思います。
○神田座長 わかりました。ありがとうございます。
 事務局案で、4カ月以降の調査で9カ月以降に公開というのは、健診時期がある程度ばらつきがあるからという意味合いで書かれているということでしょうか。
○西脇室長補佐 4カ月以降としたのは、乳児健診は3~4カ月時点で行われることが多いということを反映したもので、9カ月としたのは、現行6カ月となっているものよりも、ウエイティングタイムというもので、その間に何か発症した場合には連絡してくださいという旨を保護者に伝えることによって、バンク側から積極的に問い合わせるわけではないのですけれども、ある程度の期間を担保するということで、8~9カ月というところだと、そこに設定しても、現状とそれほどそごがないのかなということで定めたものです。
○間臓器移植対策室長 ちょっと補足でよろしいでしょうか。矢部先生おっしゃいましたように、重症の免疫不全の症状がいつわかるかというのは、グラディアスなものなので、いつというのはわかりませんけれども、やはり一定期間は待っていたいという御趣旨だと思うのですね。臍帯血を採取したら、すぐ使ってしまうということではなくて、やはり一定待つ必要があるのだろうということだと思っています。
今回の新しい基準の中で、9カ月間はウエイティングしますよということをクリアにすることに意味があるのではないかと思っています。健康調査票が返ってくる、返ってこないというよりも、それもありますけれども、要するに、それまで待って、何かあればお知らせをいただく。それまでの間、単に何もしないで待っているというのではなくて、少なくとも乳幼児健診の結果ぐらいは返していただいて、お母さんからの積極的な情報提供を促して、かつ、もし何かあればまた御連絡くださいねという形にして、9カ月までは待つということに意味があるのかなと思っています。
 では、この9カ月に科学的な意味があるかといいますと、どこで切るかということに関しては、先ほど先生おっしゃいましたように、なかなか難しいのですが、私どもとしては、現状、さい帯血バンクが返信をいただいて、事実上公開可能な時期になるのが、9カ月ぐらいが一つの山になっているものですから、その時期以降にすれば、臍帯血の安定供給ということにも大きな支障なく、かつ目指しているものも実現できるのかなということで、9カ月のウエイティングタイムを設定したものでございます。
○神田座長 健康調査票に返信がなかった場合は公開されないわけですね。
○間臓器移植対策室長 そういうルールです。
○神田座長 そこでお母様の意識を確実なものにできると。
○間臓器移植対策室長 積極的な情報提供はお願いをしたいということです。
○神田座長 例えば、この9カ月というラインを12カ月にするというのはどうなのでしょうか。
○矢部委員 実際には1回で返ってくることはまずないものですから、うちのバンクでも、お母さんによっては2回、場合によっては3回になります。ただ、お母さん方も別に悪気があって送らないのではなくて、ちょっと忙しくて忘れていたとか、そういうことですので、2回、3回アプローチすると、97~98%ぐらいはお返事をいただけます。結局、そうやって繰り返していると、9カ月とか10カ月とかになると思うのです。ただ、それは別に公開には支障がないことと、それから、もう一つ、万が一、お子さんが重症の免疫不全とかを発症した場合には、そこで移植の説明が入ると思います。そこで臍帯血移植の提示があると、多くのお母さんは、そう言えば、この子の臍帯血はということを思い出してくれるかもしれないですね。
○神田座長 9カ月を12カ月に延ばしたからといって、スクリーニングとしての精度が極端に高まるということはないですかね。
○矢部委員 大きくは変わらないと思います。もともとそういう疾患の頻度が非常に少ないですから。
○神田座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。この事務局案、4カ月以降の健康調査を確認した上で、9カ月以降に公開を行う、この案で異論等はありませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神田座長 では、この点につきましては、この案で進めていきたいと思います。
 「採取について」のところでいろいろな変更点を御説明いただきましたけれども、そのほかについてはいかがでしょうか。どうぞ。
○西脇室長補佐 済みません、最初に説明するのを忘れてしまったのですけれども、資料2に色だとか線が書いてあると思うのですけれども、これは資料1-2で説明したものを、どれに該当して変更したかということを示してあるもので、赤色で一本線になっているものは、血液事業等の関連する制度との基準の整合性を考慮したもの、紫色で波線になっているものは、品質基準に関する国際的な動向を考慮したもの、緑色で二重線になっているものは、その他の追加事項に挙げたもの、青色で点線になっているものは、各さい帯血バンクの標準作業手順書に規定することを義務づけたものという区分になっています。
○神田座長 ありがとうございました。
 「採取について」、資料2の最初の5ページぐらいですね、変更点、新しい案が書かれていますけれども、ほかの点については、お願いします。
○矢部委員 1ページの「(臍帯血の採取を行う者)」の中で、※1の「教育訓練に関しては、採取施設が作成する標準作業手順書に」というのは、一回、メールの中で議論があったのは、採取施設が作成するのは困難で、保存施設が提供すべきではないかという意見ではなかったかと思います。
○西脇室長補佐 そのようで、「(施設の体制)」の黒ポツの真ん中辺ですけれども、「委託による場合、医療機関は臍帯血供給事業者が作成する標準作業手順書に従って臍帯血の採取を実施すること。」なので、バンク自身が臍帯血の採取を行うのではない場合、現状は全てそうだと思いますけれども、その場合にはバンクが採取施設に委託するという形をとることになりますので、その場合にはバンクのほうで標準作業手順書をつくるということです。
○原委員 だとすると、ここのところは変えないといけないですね。上が変わっているので。
○西脇室長補佐 ですので、この採取施設が委託を受けた場合にはバンク、委託を受けていない採取施設というのも将来的なことを考えると想定されるということで、原則は採取施設が標準作業手順書をつくるのですけれども、委託を受けた場合にはバンクがつくる。
○間臓器移植対策室長 済みません、これ、わかりにくくて恐縮です。法律の仕立てでいくと、よくこういう書き方をするのですけれども、1ページの一番上を見ていただきますと、「臍帯血供給事業者は、臍帯血の採取について、自ら又は医療機関に委託して行う。」となっていまして、次のところを見ていただきますと、「臍帯血の採取を行う施設(以下、「採取施設」という。)は、以下の基準に従い、採取を行わなければならない。」と。つまり、ここで言う採取施設は、臍帯血供給事業者、つまり、さい帯血バンクもあり得るし、産科の病院もあり得るという両方の前提なのですね。通常、こういう場合には、現実とはちょっと違いますけれども、自分で行う場合も想定して書く。それが真ん中辺に書かれております※1ですね。「教育訓練に関しては、採取施設が作成する」と書かれている。
ところが、メールの中で御指摘がありましたようなことは当然のことだと思っておりますので、委託の場合はどうだよという例外を、例外というか、実際にはこちらが原則になるかもしれませんが、書いているのが、2番の○の「(施設の体制)」のところの2番目のポツの第2段落、つまり「委託による場合、医療機関は臍帯血供給事業者が作成する標準作業手順書に従って臍帯血の採取を実施すること。」となる。矛盾しておりませんで、※1を今のところでもって書きかえるような形になります。済みません、これは法律上の仕立てでございまして、実質的には、今、矢部先生、原先生御指摘になられたような形で、例えば、産科の医療機関が採取施設になる場合には、さい帯血バンクが作成したものを提供するという形になります。
○神田座長 これはちょっとわかりにくいので、※1のところに括弧づきで、例えば、委託の場合はこうこうとつけていただくことはできますでしょうか。
○間臓器移植対策室長 法律、省令、ガイドラインを書くときにはまた整理が要るのですけれども、わかりやすさを重視して、そのように直したいと思います。
○神田座長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか、「採取について」。メールの中で話題に出たのはその点だけでしたかね。「採取について」の中では。よろしいでしょうか。それでは、もし後で思い出した点などがありましたら、挟んでくださって構いませんので、前に進めたいと思います。
 では、続きまして「調製保存について」をお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2の5ページ目「調製保存について」を御説明いたします。
 「体制の確保について」ですが、高品質の臍帯血の確保が可能な設備及び技術を有すること。新たに事業を開始する場合には、臍帯血の調製保存の実施に関して、倫理委員会等の承認を得るとしてあります。そして臍帯血の搬送、受け入れ、品質管理の詳細については、標準作業手順書で定めることとしています。
 この倫理委員会について、前回御意見があったと思いますので、各バンクの状況を調査したものが資料3の3ページ目の下になります。各バンクともに倫理委員会は設置されているのですけれども、一番右の主な議題というところを見ていただきますと、各バンクとも通常の臍帯血採取の場合に倫理委員会を通しているということは現状ではなくて、遺伝子や疫学研究、臨床研究などの研究に関するものを議題として行っているということですので、通常の臍帯血採取は現状やっていないということを踏まえて、今回の基準では、新たに事業化する場合に倫理委員会の承認が必要とさせていただきました。
 続いて、2番目の○ですけれども、臍帯血採取を委託している場合には、臍帯血供給事業者は受け入れる基準についてあらかじめ定めておくこと。十分な細胞数を期待できる容量等を定めることが望ましいとしています。
 次は、臍帯血供給事業者は調製保存管理者を置き、その監督のもとに調製保存部門と品質管理部門を設け、それぞれ調製保存責任者、品質管理責任者を置く。調製保存管理者と調製保存責任者、または調製保存管理者と品質管理責任者を兼ねることはできるが、調製保存責任者と品質管理責任者は兼任しないことが望ましいとしております。
この兼任関係についてですけれども、先ほどの資料3の3ページ目の上ですけれども、現在、品質管理責任者、今回の基準では調製保存責任者と書いていますけれども、これらの責任者は、専任で置いているところは1つのバンクしかないというのが現状ですので、兼任関係についても次のところで定めようと思います。
資料2の5ページ目に戻っていただきまして、「調製保存を行う者について」ですが、調製保存管理者は、医師、細菌学的知識を有する者その他の技術者とする。調製保存責任者は、調製保存に係る業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有し、臍帯血調製保存に係る業務に通算3年以上従事したものとする。調製保存管理者は調製保存管理者を兼ねることができるものとする。ただし、当分の間は医師、細菌学的知識を有する者でない場合でも、法施行時点において通算5年以上の実務経験を有する者は調製保存管理者となることができるものとするとしてあります。
そして、調製保存は、適切な供給訓練を受けた者に行わせなければならないとしています。
次に、6ページ目に行きますけれども、「調製保存を行う環境について」は、開放系調製作業を行う無菌区域、閉鎖系調製作業等を行う清浄区域、一般作業区域を定めるものとしています。
業務に関わらない者が調製保存を行っている区域に立ち入らないような体制がとられていることとしています。
各バンクの状況を調べたのが資料3の4ページ目になりますけれども、バンクによって、建物全体がバンクの職員しか立ち入れない場所であるバンクだとか、特定のフロア、フロアの一部、廊下までは入れるけれども、各部屋はバンクの職員のみが入れるとなっているバンク等ありますけれども、全てのバンクで、部屋単位ではバンクの職員のみが立ち入ることになっていますので、現状でもこの業務にかかわらない者が調製保存を行っている区域に立ち入らないという状況になっているという調査結果でした。
続いて、資料2の6ページ目、「調製保存に用いる装置・設備等について」ですが、調製保存に用いる装置、設備等は、適切に校正されたものを用いること。器機の故障時の対処方法並びに停電対策を講じておくこととしております。
続いて、「調製保存に用いる器具・材料について」ですが、調製保存に直接接触する器具・材料については、滅菌されたものなど適切なものを用いるとしております。
そして、その詳細については標準作業手順書に定めるとしてあります。
7ページ目ですけれども、「調製保存の方法」で、以下の項目を満たす臍帯血について調製をすること。3番目と4番目ですけれども、採取から凍結開始までの経過時間が36時間を超えていないこと、有核細胞数が11.4×10^8以上であること。
この4番に関しては色がついていませんけれども、現行のものから少し基準を高くしてあるもので、これは調製後に10×10^8個、つまり10億個以上を見込める数という意図でこのような数としてあります。
3番の採取からの時間についてですけれども、これも前回議論になりましたので、高梨先生からデータをいただいたものが資料3の2ページ目になります。後で詳しく説明しますので、今は簡単に説明しますけれども、上の段の右の棒グラフは、調製開始時の有核細胞数の回収率と生細胞率を見たもので、生細胞率に関しては、赤で示してあります36時間のほうが、青で示してあります採取後24時間より少し、統計学的にも有意差をもって落ちておりますけれども、いずれも90%を超えています。
そして、下の棒グラフの左から2番目と左から3番目が有核細胞数の回収率とCD34の回収率ですけれども、こちらは、回答時には、採取から24時間と36時間で差がないという結果になっています。
このようなこともあって、基準では、採取から凍結開始までの経過時間が36時間を超えていないこととしてあります。
資料2に戻っていただきまして、7ページ目ですが、凍結は温度変化の記録が明らかな方法を用いることとし、プログラムフリーザーを使用することが望ましいとしております。
検査についてですが、母体血の検査は、採血は分娩前24時間以内、または分娩後1週間以内に行うとしております。
そして、一番下ですが、妊産婦のCMV抗体が陽性の場合には臍帯血を用いてCMVのIgM検査または核酸増幅検査を行うとしてあります。
8ページ目ですけれども、真ん中辺の注1ですが、CD34の陽性細胞数の検査方法ですけれども、International Society of Hematotherapy and Graft Engineeringのガイドラインに従い、フローサイトメーターでの特定はシングルプラットフォーム法で行うとしております。
これは先ほども説明しましたけれども、HBVの判定方法でHBs抗原陰性、HBc抗体陽性、HBs抗体陽性の場合ですけれども、原則としては、基準としてはヒットしますけれども、輸血用血液製剤に準じてHBc抗体の指標が1.0以上で、HBs抗体の測定値が200mlU/ml以上を示した場合は合格とするとしてあります。
8ページ目の下の「検査用検体の保存」ですけれども、臍帯血供給事業者は、臍帯血の安全性に関して遡及調査ができるよう、臍帯血、臍帯血を提供した妊産婦の末梢血、臍帯血移植を受けた者の末梢血の検体を保存しなければならないとしております。
9ページ目の保存する検体についてですけれども、ここで網かけをしてある臍帯血の細胞数についてですけれども、有核細胞数5×106以上/本で4本以上(3本を超えるものについては研究利用可とする)としてあります。
これは現在の日本さい帯血バンクネットワークの指針では3本以上となっているのですけれども、検査用に加えて研究利用のものも確保できるようにということで、このような規定としてあります。ただし、全てをセグメントで保存するのは困難という御意見がありましたので、現状、こちらとして考えているのは、最低2本はセグメントということを一応、考えております。遡及調査の実施に支障がない範囲で研究のために利用または提供することができるとしております。
なお、この研究利用の条件等については、来月6月21日の厚生科学審議会の造血幹細胞移植委員会で条件を検討することになっていますので、次回の検討会で御報告をするようにしたいと思います。
続いて「保存環境」ですけれども、液体窒素タンクは臍帯血の専用とする。
保存時は温度記録が残るようにし、保存装置が故障した場合に、臍帯血及び保存検体等の適切な温度を維持するような代替装置を備えるよう努めること。
そして、継続的に作動する警報装置を備えていることとしています。
続いて「手順からの逸脱や有害事象への対応について」ですけれども、ここで資料4、さい帯血バンクにおけるインシデント事例等についてまとめたものです。これまでは特に報告義務等は課されていなかったものですけれども、日本さい帯血バンクネットワークに報告があったものをまとめてあります。
中身を簡単に説明しますと、公開情報が誤っていたというのが、上から2番目、3番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目と、一番下の8件あります。これに対しては、提供前に登録データの再確認を行うことを徹底するという対応がとられています。
そして、平成22年12月となっているものと、平成25年2月となっているものは、いずれも搬送中に凍結保存容器の温度が上昇したというもので、管理方法の確認を行っています。
そして、平成23年4月のものは、衛生管理基準の不遵守であったということで、ネットワークのほうで、その間に調製保存された臍帯血を公開しないことという対応がとられています。
このように、現状では報告義務のない中で、ネットワークにこのような報告がなされているのが現状です。
先ほどの資料2の10ページ目に戻っていただきますけれども、これを踏まえまして、「手順からの逸脱への対応について」としまして、臍帯血供給事業者は、手順からの逸脱が発生した場合には、原因の調査を行い、その結果を臍帯血の調製保存等にかかわった機関、造血幹細胞提供支援機関に報告しなければならないとしております。
そして、有害事象への対応としましては、臍帯血供給事業者は、臍帯血移植により発生した有害事象が、臍帯血によるものと判明した場合には、直ちに移植を実施した医療機関や臍帯血の調製保存等にかかわった機関、造血幹細胞提供支援機関及び国に報告しなければならないとしております。
提供の中止については、臍帯血の安全性に問題か生じた場合は、安全性が確認されるまでの間、臍帯血供給事業者は臍帯血の提供を中止しなければならないとしております。
最後に、先ほど簡単に説明しました資料3の2ページ目の細胞数と回収率のところをもう少し説明させていただきます。資料3の2ページの上段は、調製時の有核細胞回収率と生細胞率を示したものです。採取から24時間までの検体が7検体、採取から36時間の検体が17検体ということで、それぞれの回収率と生細胞率を示したものが左の散布図となっているものです。
右のグラフは、これをグラフ化したもので、平均値と標準御差が書いてあります。青色、左側の棒グラフが24時間のもの、そして右側、赤色のものが36時間平均となっていて、有核細胞率の回収率に関しては、76.4%と80.1%と有意差はなく、生細胞率に関しては、24時間では97.2%、36時間では93.5%と、いずれも90%は超えていますけれども、統計学的には有意に24時間以内のほうが高いという結果になっています。
下の図は、回答時の有核細胞率の回収率と生細胞率を見たものです。ほかのデータも入っているものですので、少し見にくいですけれども、有核細胞数の回収率は、左側の散布図では三角で示してあるものです。そして四角が生細胞率になります。それぞれをグラフ化したものが右の左から2番目と3番目になりますけれども、左から2番目の有核細胞数の回収率は24時間で103.5%、36時間では99.6%と有意差はなく、CD34の回収率についても、24時間で98%、36時間で86.2%と、統計学には有意差がないという結果になっています。
○高橋委員 それはプログラムフリーザーになりますか。
(「これは簡易法ですね」と声あり)
○高橋委員 簡易法ですか。凍結して、解凍までの時間というのは、大体何時間ぐらい。
(「凍結して解凍までの時間。1~2カ月ぐらい」と声あり)
○高橋委員 1~2カ月ぐらい。比較的長期、きちんと凍結したということですね。比較的長期にわたって凍結期間をとったということなのですね。わかりました。
(「凍結から2カ月の間に順次、上と同じものを下で
溶かしているとしています」と声あり)
○高橋委員 わかりました。
○西脇室長補佐 「調製保存について」は以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 調製保存についても幾つか重要なポイントがあるかと思いますけれども、まず、一番大きな変更ポイントであります有核細胞数の基準ですね。現行10掛ける10の8乗となっているものを11.4掛ける10の8乗にするという点、そして凍結開始までの経過時間を、高梨先生からいただいたデータに基づいて36時間まで延ばしてもいいのではないかと、この2つのポイントがあります。この点についてはいかがでしょうか。
細胞数11.4という数字の根拠をもう一度お願いできますか。
○西脇室長補佐 これは、現状の指針では、調製した後に8億個以上を見込める数と書いてあるのですけれども、調製後に10億個以上見込める数、調製した後に10掛ける10の8乗個、細胞数が得られるということを想定したときに、調製前には11.4掛ける10の8乗あればいいのではないかということで規定した数です。
○神田座長 そうしますと、回収率幾らかを設定しているわけですね。ということではないですか。
○高梨委員 大体8割ぐらいしか回収されません。8掛けを担保しようと思って、もし10掛けで始めると、平均で80%なので、半分ぐらいは基準落ちになってしまうということで、各バンク、じわりじわりと開始基準を上げています。私どもも、12に思い切りできれば、きれいではあるのですけれども、初めの血算のときの検査値のずれ、揺れというのも考慮しまして、11.4ぐらいであれば、大体間違いなく10に近いものが拾えるのではないかというぐらいのデータでございます。12掛けで始めると、多分、半分ぐらいは10掛けで残ると思いますけれども、あとの半分はやはり10掛けから落ちてしまうのだろうと思うので、調製後に幾つを保証するというのを、調製開始前(に設定する)というのはなかなか難しいと思っております。
○神田座長 回収率80%とすると、11.4だと、ちょっと厳しい。
○高梨委員 ちょっと厳しいですね。
○神田座長 ただ、余り落とし過ぎてもというところで、このラインになったわけですかね。
○高梨委員 開始基準を余りにも上げるというのも、バンクとしてのモチベーション、採取施設での御説明等もなかなか難しいと思いながら、少しずつ上げている最中でございます。
○神田座長 この数字は、実際採取されていて、どんな感覚でしょうか。
○原委員 だんだん細胞数不足の割合は多くなってきていて、量だけでずっとやってきたのですけれども、最近、半分以上落ちていますね。でも、仕方がないということですか。
○高梨委員 原先生のところは調製率は高いほうなのですけれども、採取して3分の1ぐらいは現場でもうあきらめてくださっています。残りの3分の2を私どもが受け取るわけなのですけれども、さらに3分の1しか調製保存になりませんというぐらいで、お母様方への説明も大変苦しい状況になりつつ、この数値で今はやっております。
○原委員 この間のが間違っていたので、うちで1年間調べた分なのですけれども、933人御希望になっていて、20%ぐらいが現場で廃棄されるということだったので、5分の1ぐらいなのですね。あとは日程の問題だったりして採取できずというのが6%ぐらいだったのです。だから、かなりはいっていると思うのですけれども、それでも最近、細胞数不足で落ちてしまっているものが多いなと思っていたのですが、11.4掛ける10の8乗になったからということですね、多分。去年よりですね。
○高梨委員 そうです。
○神田座長 ということは、10と11.4の間の微妙なところのものが結構あるということですね。わかりました。
 いかがでしょうか。この点につきましては、非常に。
○矢部委員 確認させてください。高梨先生がお示しになられた中で、この36時間というのは、採取から処理が終わって、凍結を開始するまでですか。
○高梨委員 この時間は、調製を開始するまでです。新しい基準案で、凍結までが36時間であれば、実際は恐らく30時間ぐらいまでだろうと思いますので、十分このデータとりの範囲で安全性も見込めるかなと思ってはいます。
○矢部委員 わかりました。うちでも大体、受付業務から処理開始して保存までが3時間ぐらいが平均ですね。ですから、搬送の時間を入れると先生のおっしゃるぐらいかなという印象です。
 それから、質問なのですけれども、資料3の2ページの一番下のCFU-GM回収率とTotal-CFU回収率と両方出されているのですけれども、これはエリスロイドも、ミックスコロニーとかも全部入れたデータですか。
○高梨委員 トータルのコロニーのほうはエリスロイド、ミックス、入っています。
○矢部委員 わかりました。
○間臓器移植対策室長 先生、ちょっとよろしいでしょうか。
○神田座長 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 このあたりの事務局側の提案について若干補足説明をさせていただきたいのですが、前回の検討会の資料にもございましたように、採取病院で取っていただいて、実際に受け入れたものが1万3,000。前回の第1回の検討会の資料3の2ページでございますけれども、バンクで受け入れていただいたのが1万3,000で、そして公開に至ったものが2,297という直近のデータをお出ししております。かくのごとくで、提供してくださった方の御意思を生かすという意味でいけば、ある意味、残念な面もございます。他方で、実際にこの中で毎年使われている臍帯血が1,100、1,200と、こういうオーダーでございますので、デッドストックをふやす形になってもまたどうなのだろうかということでございます。
できるだけ御意思を生かしつつ、提供につないでいくという意味では、採取病院でどういう採取をしていただくのか、そのスキルをどうやって高めていくのか、この基準の検討会とはまた別途のレベルを高めるような努力をどうしていくかという問題のほかに、もう一つ、採取病院からできるだけバンクが受け入れる。できるだけというか、何でもという意味ではありませんで、特に土日に閉めているがために受け入れられないということをどう減らしていくかということも大きな課題なのだろうと思っています。
そのために、今、高梨先生から御説明ありましたように、36時間という基準になっておりますけれども、実は、調製開始までではなくて、凍結までということなので、今、お話ございましたように、実質30時間、三十数時間のものということでございます。これと、別途各バンクで御努力いただいております土日開業、土日に受け入れていただくという、どちらかでも開いていただくのを組み合わせますと、かなりの程度、要するに、土日閉まっているので受け入れられないということは減るのではないかと思っています。
そういう形で、できるだけ御意思を生かしながら受け入れつつ、採取、臍帯血の細胞数もふやして、それで提供につなげていく、実際に使っていただくということなので、その意味では、受け入れる、いい臍帯血をふやす努力をしつつ、公開の基準というものも、実際に使われている実践に合わせて上げていくことが必要なのではないかということで、各バンクの基準も考慮して、大体、仕上がり10億個を目標に、当面、11.4億個を基準としてはどうかという考え方でございます。数も確保するけれども、品質も高めていく、その兼ね合いでもって、このような基準をパッケージで御提案をしているということでございます。補足でございます。
○神田座長 ありがとうございます。
○高梨委員 済みません、さらに追加で。広域化を進めていく上で、私どもは今、宮城のほうから昼間しか受け入れていないというのは非常にデメリットだと感じていまして、もし夜間も受け入れようと思うと、私どもが朝9時に出勤して、前夜に取れていましたかという確認をする、搬送屋さんが10時ぐらいから動いて、1~2時間で地域を回り、3時間ぐらいかけて東京にやってきてということになりますと、受け入れは午後の2時、3時なのです。もし5時半に取れていたというと、ほんの数時間しかなくて、電車を1つ逃したとか、ちょっと交通機関のトラブルがあったということで余裕がなくなってしまうという、非常にタイトな状況です。
もしこれを数時間延ばしていただけるということであれば、それを救うことができ、それは決してバンクが楽になるわけではありません。その日の夜のうちには凍結しなければいけないので、バンクは次の日に延ばすわけにはいかないので、バンクが楽をしたいというわけではなく、ぎりぎりの時間帯のものを広域化の中でも保存していきたいという意思がありますので、これでいただけるとありがたいと思っております。
○神田座長 ありがとうございます。
 恐らく広域化に沿って延ばしていくという方向性は問題ないということでよろしいですね。あと、これだけのしっかりとしたデータをいただいておりますので、その点はよろしいでしょうか。
 細かいことですけれども、文言なのですけれども、以下を満たすものについて調製することとなっていて、凍結開始までの時間が36時間を超えていないことというと、ちょっと文章が変ですかね。36時間を超えないことが見込まれるものとか、そうでないと、これは結果ですので。
○西脇室長補佐 そのように変更させていただきます。
○神田座長 あと、11.4という数字、お話伺って大体理解できたのですけれども、この書類の中で、数字の根拠をどこかに記載はされるのですか。結構質問が出そうな気がするのです。
○間臓器移植対策室長 基準には書くことにはならないと思いますが、説明文書として、説明を付すような形にしたいと思います。
○神田座長 わかりました。ありがとうございます。
 調製保存については、そのほか、幾つかポイントがあるかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 これも細かいところで少し気になったのが、調製保存管理者と調製保存責任者、あるいは品質管理責任者のいずれかと兼ねることができるわけですね。もし調製保存管理者と調製保存責任者を兼ねた場合に、品質管理責任者の上に調製保存責任者が立場上来るというのが、品質管理する者が本来のその役割を果たせるのかというのが少し気になるところではあるのですけれども、現状からしてやむを得ないのですかね。
○間臓器移植対策室長 全く御指摘のとおりで、筋論からいけば、管理者がおりまして、それから、責任者が2人いるわけですけれども、品質管理責任者が兼ねるのはまだいいのですけれども、調製保存の責任者と兼ねるのはどうなのかというのは、薬事法上も必ずしも望ましくないとされています。
しかしながら、現在のさい帯血バンクの現状を考えた場合に、非常に小規模な体制でやっているところもあるものですから、このあたりについて、現在、管理者と、それぞれの責任者、3人を置いて、さらにスタッフがいるということを求めるのはなかなか厳しいなということでございます。
このあたりにつきましては、できますれば、将来の基準をどうしていくかという中で、その方向感も出していただければと思っています。ただ、基本的には、5ページの真ん中の赤字のところ、「調製保存管理者を置き、その監督の下に調製保存部門と品質管理部門を設け、それぞれ調製保存責任者、品質管理責任を置く。」というところは、将来にわたっても大事にしたい。あとは、この兼務をどう解いていくかということかなと思っております。
○神田座長 ただ、調製保存責任者と品質管理責任者は別個にいるわけですね。そうすると、品質管理の人を管理者にすれば、一応、クリアはできるわけですね、2人で。
○間臓器移植対策室長 それであればということですね。ただ、その場合には、下にありますような資格要件を満たせるバンクばかりではないという現実に、ややそこは配慮したということでございます。
○神田座長 では、この点は、現状を考えてやむを得ない点ということでよろしいでしょうか。
 ちょっと済みません、私、不勉強で申しわけないのですけれども、9ページの一番上の「4本以上(3本を超えるものについては研究利用可とする)。」というのが意味がよくわからなかったのです。
○西脇室長補佐 これについては、現状では3本となっているのですけれども、検査検体として3本ということを想定していると考えると、さらに研究用にも少なくとも1本は確保できるようにしようとしたもので、4本以上で3本を超えるものについては研究利用可というのは、つまり、研究に全て使ってしまわないように、検査用のものは確保できるようにした上で、さらに研究用のものも確保するという意図で4本としてあります。
○神田座長 検査用に3本を確保した上で研究用に1本以上という意味合いですね。わかりました。この点はよろしいでしょうか。
○高梨委員 4本目の研究用とされたものは、あってもなくてもよいものだと思ってよろしいですか。現場としては、確保してなければいけないものと、あってもなくてもいいものはかなり扱いが違うものなので、研究用というものの扱いが気にはなっております。
○神田座長 この書き方ですと、研究用も確保しなさいという書き方ですね。その点はいかがでしょうか。
○間臓器移植対策室長 研究用のためだけというよりは、4本以上確保しなさいということが義務づけられていて、もし3本を超えているのであれば、研究に使ってもいいですよと、研究以外の本来の目的で4本保存しておくのを妨げているわけではなくて、3本以上あれば、1本は使ってもいいですというオプションを提示しているだけなのですね。だから、4本が義務づけになっている。4本はちゃんと保存してくださいという形になります。
○神田座長 実際に検査用としては3本あれば十分なわけですね。
○高梨委員 提供前の検査として、HLAの確認と細胞数、生存率等の確認をします。それに2本使うとします。ただ、検査がうまくいかないときに、もう一本を使うことがございますので、余裕を見て3本かなというのが私の感覚ではあるのです。実は、セグメントをつけたまま移植施設にお送りしてしまうと、それはすっかりおまけであって、要らないもの、ごみになってしまい、結局、後でキメリズム用のサンプルをくださいなどというお電話をいただくこともあって、バンクとしては差し上げられませんというお返事をしてしまうのですけれども、なかなか対応が難しいです。その余裕の1本というのは、何に使っていいかどうかと規定してしまったら、なかなか使えないものだろうなと思っております。
○神田座長 現状、3本とされているのが4本になることについては、現場としてはいかがでしょう。
○高梨委員 保存、保管容器のことも考えなければならないので、手順はもう一度考え直す必要があります。
○神田座長 対応は可能な範囲内ですか。
○高梨委員 本体の重さが0.何グラムか減ってしまう可能性があると思います。
○神田座長 いかがでしょうか、この点につきましては。
○矢部委員 セグメントの試験解凍で、出庫前検査でバイアビリティーとか、ちょっと低く出ると、そのまま提供するのは、こちらも非常に気になるものです。採取病院で移植時に検査できる施設は実はそんなに多くないのですね。移植病院は溶かしてそのまま入れるだけとなると、こちらでのデータが大事なので、そうするとセグメントを使って再検して、きちんとしたデータが出た後に提供するという場合があります。場合によっては3本セグメントを使ってしまう場合もあります。もし研究用というのがDNAで構わないのであれば、検査した残りのDNAを保存しておいてということは可能だと思います。それから、公開前にやっているHLAのタイピングをした残りのDNAもありますので、そういったものをなるべく保存するということであれば、患者さんに提供する品質管理を最優先した上で、どうしても細胞として残らない場合は御容赦いただければ、そのほうが、高梨先生も気が楽になるのではないかと思うのです。
○神田座長 4本以上と規定してしまう点ではいかがですか。
○矢部委員 うちのバンクのテクニシャンに聞いたら、それはできると言っていました。ただ、セグメントのシール部分をどういうふうに取っているか、その辺のところにもよるのと、それから、長くすることによって、上のほうのセグメントと濃度のばらつきとかが出るかもしれないので、それがきっちり言われたような細胞数で分布するかどうかは検証してみないとわからないかもしれません。
○神田座長 わかりました。
 高橋先生、実際、移植を数多くされていて、いかがですか、こういった点は。
○高橋委員 実はよくわからないのですけれども、これは現状が5掛ける10の6乗以上で3本。この細胞数は規定されているのですね。
○高梨委員 と思いました。
○高橋委員 プラクティカルには、恐らく量計算でやっていますね。大体このぐらいを見通しとして取っていると。現状もそうだということなのですね。移植側から見ると、5掛ける10の6乗、つまり1.5掛ける10の7乗だったものが、2掛ける10の7乗取られると、本体からですね。そういう観点で見ると、余り大きな影響はないだろう。ただ、高梨先生と矢部先生とのお話の中で、バンクとして、現状からどのぐらい対応が可能かどうかということについては、私にはよくわかりません。
○神田座長 いかがでしょうか。3本が4本になるということは、さほど問題はないということでよろしいですか。
○高梨委員 手順を含めて検討して対応することになるとは思います。ただ、研究用というものがバンクで基礎研究に使っていいというのか、それとも、研究班なり何なりが指導して、この研究のためにとっておきなさいと言われるのか、そのときに染色体も見られる生きた細胞が欲しいのか、DNAでいいのかというところは大問題なので、はっきりしていただけると助かると思います。
○神田座長 その点は6月21日の会議の後になるのですかね。
○西脇室長補佐 そうですね。その点も審議会で検討して、今の御意見を踏まえた形でお伝えして、次回に御報告するという形にさせていただきます。
○神田座長 では、一応、今回、4本以上としておいて、細かいところについては、審議会の結果を受けてということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 そのほか、この「調製保存について」のところでいかがでしょうか。お願いします。
○高橋委員 本論から外れるのですけれども、この文章の中に「努めること。」とか「望ましい。」という言葉が比較的あるのですが、こういうものができた後で、対応する側はどういうふうに対応するのかなと思うので、多分、こういう文章に関して決まりがあるのだと思うのですね。例えば、いついつまでにこうしたほうがいいとか、そういう感覚的なものも含めてですけれども、教えていただきたいなと思います。
○間臓器移植対策室長 法制的なルールから申し上げますと、「何々すること。」というのは当然義務ですから、しかもこれは最低基準というものですので、法施行時にもう既に実現していなければいけないものとなります。逆に、それが実現していない場合には、国が監査に入って改善命令を出し、それに従わなければ、最悪の場合には許可の取り消しすらあるというものになります。
「望ましい。」というのは、ベクトルで言いますと、矢印の向きとして、こういうことが望ましいのだけれども、いろいろルールがありますように、現状として、そこまで最低基準としての義務づけがなかなかできにくいという場合に「望ましい。」という書き方をしております。逆に言いますと、「望ましい。」と書かれているもののうち、幾つかのものについては、例えば、次の最低基準の見直しのときには、それを義務に格上げするかどうかというような議論をし得るのではないかと思います。
例えば、先ほどの品質管理責任者と製造責任者と兼務しないのが望ましいのだというものをどうするかというのは、単に最低基準のつくり方だけではなくて、補助金など、政策誘導もしながら、バンクの実態を改善していって、その上で最低基準をばちっと決めていくという形になるのではないかと思っています。いずれにしましても、そのあたりのことは、今後どうしていくのかという議論の際に御議論いただければありがたいと思っています。
○高橋委員 そうすると、読み方としては、多分、次の改定があると思うのですけれども、そのときには「望ましい。」という文言の部分を優先的に格上げするというか、規定する方向で、バトンの印のようなものなのですかね。そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○間臓器移植対策室長 全てがそうだというふうになかなか言い切れないものもあるかもしれません。あくまで実態を踏まえてのものなのですが、しかし、方向感は明らかに出ていると御理解いただいてよろしいのではないかと思います。
○高橋委員 「努めること。」というのも大体一緒なのですね。
○間臓器移植対策室長 そうですね。もしかしたら若干ニュアンスが違うかもしれませんが、「努めること。」も、そういうふうにしてほしいというあらわれにはなっているかと思います。そこをどの時点で義務化していくのかというのは、実態をよく見ながら考える必要があると思っております。
○神田座長 恐らく、先日のメールのやりとりの中で、今回のものは最低ラインを定めるので「原則として」という言葉は使えないというやりとりがあったこととちょっと矛盾するのではないかという感覚だったのではないかと思うのですけれども、そういう意味合いではないのですか。
○間臓器移植対策室長 「原則として」と書きますと、では、例外は何なのだという話になります。先ほど申し上げましたように、「何々すること。」と書いてあるものは守らなければならないものなので、例外は、解釈の余地は若干あるにしても、基本的にないものになります。
最低基準としての省令のほかにガイドラインを書くときには、単に最低ラインだけではなくて、こっち行ってよねという、望ましいものもある程度盛り込んでもいいのではないかということで、ここは最低基準と言いながら、その次のステップのことも盛り込んでしまっている。それが入り込んでおりまして、それが「望ましい。」とか「努めること。」と表現されている。高橋先生のおっしゃるようなことだと思っております。
○神田座長 「原則として」だと、その時点でのラインがどうかで、「望ましい。」はベクトルを示していると、そういう違いですね。
○間臓器移植対策室長 はい。
○神田座長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。「調製保存について」、いろいろとありましたけれども、一番重要なポイントは、36時間のポイントと細胞数かと思いますが、よろしいでしょうかね。調製保存のところは一たん終了させていただきたいと思います。もし後でお気づきの点ありましたら、いつでも御意見ください。
 それでは、どうしましょう、休憩挟みますか。やってしまって早く終わるほうがいいですか。挟んだほうがいいですか。
○間臓器移植対策室長 いえ、この時間ですと、もし先生方よろしければ続けていただいて。
○神田座長 続けてよろしいですか。では、続きまして「臍帯血の供給について」をお願いします。
○西脇室長補佐 「臍帯血の供給について」の前に、資料2の5ページ目の一番下の○、「調製保存は、適切な教育訓練を受けた者に行わせなければならない」の後なのですけれども、「教育訓練に関しては、採取施設が作成する標準手順書」となっておりますけれども、この「採取施設」というのは「臍帯血供給事業者」の誤りですので、申しわけありませんが、訂正をお願いいたします。
 それでは、11ページ目「臍帯血の供給について」を説明します。
臍帯血の供給については、出庫前に臍帯血の造血細胞及びHLA検査を行わなければならないとしています。
 臍帯血事業者は、出庫する臍帯血に以下の情報を添付しなければならないとして、採取施設の識別番号、血液型、臍帯血番号、使用期限日時、臍帯血の採取日時、調製日時、ドナー識別番号、調製保存施設番号、感染症検査の結果、HLAの情報、調製前の容量もしくは重量、調製後の容量もしくは重量、調製後の有核細胞数、調製後のCD34陽性細胞数、児の性別、コロニー形成細胞数、凍結融解検査時の回収率、移植施設識別番号、患者識別番号としてあります。
 そして、搬送体制としましては、液体窒素による冷却輸送容器を使用し、輸送期間中継続的に温度を監視できるようにし、搬送記録を保存することとしています。
 12ページ目ですけれども、「患者への説明と同意」については、臍帯血移植の有効性と安全性についての説明、移植に用いる臍帯血の選択については移植施設の責任で行うとしてあります。
 そして、移植を受ける者から同意書を得るとしてありますが、その中でも重要な項目としまして、8番目に書いてありますが、「適正に扱われた臍帯血を用いて移植が実施された場合には、さい帯血バンクには移植の結果に関する責任がないこと。」としてあります。
 そして、患者の末梢血を採取し、臍帯血供給事業者に送付することについて同意を得ることとしてあります。
 「臍帯血の供給について」は以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 11、12ページ、表裏になりますけれども、この内容については、事前のメールでは特に話題に出なかったのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○高梨委員 1つは、移植施設の先生方は採取施設をやはりお知りになりたいと思っているのかしらということと、もう一つ、調製日時というのがございまして、調製日時とはどこの時点を指せばよろしいのか。実は、36時間にしていただくときに、無菌室の入室時間というのもかなり人為的に書くものであり、HESの注入時間も人為的に書くもので、オートマティックに残るのは事前検査の自動血球判定装置の時間、またはプログラムフリーザーや温度計の時間なので、この調製日時というのは、凍結開始時間であれば、そのまま残ります。ほかは何がよろしいでしょうかという御意見を伺いたいです。
○神田座長 いかがでしょうか。トレーサビリティという点で、なるべくしっかりとした記録が残るもの、数字を扱おうというのは先回の議論でも出たところでありますけれども、いかがでしょうか。現実にトレースできるデータが残るのは最初の細胞数のところと凍結開始。
 どうぞ。
○西脇室長補佐 先ほどの36時間のところを凍結開始時としたのも、今、高梨先生が言われたように、きちんとした記録が残るということですので、あいまいな書き方で申しわけないですけれども、凍結開始時ということで、一応、こちらとしては想定して書いていたものになります。
○神田座長 凍結開始時ですね。
○西脇室長補佐 さい帯血バンクにお伺いしたところ、後から覚書みたいなもので記録を残すのではなくて、機械として記録が残りやすいということでしたので、一応、その時間を採用してはどうかと考えています。
○神田座長 そうすると、情報の名前としても、凍結開始日時とするほうがわかりやすいでしょうかね。現実的にはそれしかないですかね。
○矢部委員 そうですね。それが一番クリアでいいと思います。
 それから、先ほどちょっと高梨先生がおっしゃった採取施設の識別と、例えば、採取日時がわかると、ドナーが同定しやすくなってしまう可能性がないかと少し思ったのです。そういった意味では、確かに採取施設が本当に必要なのかというのは私もちょっと疑問に思うのですけれども、逆に追加してもいいのかなというのは、そのうち、全部プログラムフリーザーになると思うのですが、凍結方法に関しては少しこだわりを持つ先生がいらっしゃるかもしれないと思っています。
○神田座長 凍結方法に関して言うと、出庫時というよりは、選ぶ段階ですね。
○矢部委員 そうです。選ぶ段階で、ウエブ上で見るのですけれども、それで私などは選びます。ただ、それがカルテの中にしっかり残るかどうかというのが問題で、例えば、私が全部それをカルテに反映させていればいいのですけれども、私がいなくなったらば、ほかの先生がそういうことをするかどうかわからない。そうすると、後から振り返って調べることができない可能性があります。これは多分、電子カルテに取り込まれる情報として扱われると思うので、そうすると、この中にあったほうが、レトロにいろいろ解析するときは便利なのかもしれないと思いました。
○神田座長 ありがとうございます。
 高橋先生、移植される立場で。
○高橋委員 同意見です。
○神田座長 フリージングの方法を知りたいということと、採取施設の情報については。
○高橋委員 採取施設に関しては、前もってメールで来ましたけれども、余り考えなかったのですが、ほかの項目は確かに結果に結びつくものですけれども、採取施設は基本的には結果に結びつかないと思いますので、外してもいいとは思いますが、どうなのでしょうね、これは。同定できるかどうかというところについては、余り気にしなくてもいいのではないかと思います。
○矢部委員 侵入経路がわからない感染症が起こった場合に、遡及調査の中で必要になる可能性がある。でも、それが移植施設に提供されなければいけないかどうかです。
○神田座長 その点では、バンクが把握していればいいだけですね。
○矢部委員 そうですね。
○神田座長 なので、採取施設番号が移植施設に情報として提供される必要性は余りないですね。
○高橋委員 この意味はないですね。
○神田座長 これはどういった意図で。
○西脇室長補佐 これは、今、御議論あったように、記録がバンクに残っていれば、後からのものは対応できると思いますので、原則としてそれでいいと思うのですけれども、国際基準に書くことになっているので、こちらに載せさせていただいたというのが経緯になります。
○高橋委員 ただ、国際基準という点で言うと、結構外れる。ここだけの話だけではなくて、たくさんありますね。これは簡単だから載せるというので、国際基準に近づけたというなら意味はわかるのですけれども、それは大きな理由にはならないのでしょうけれども、情報として、必ず載せなくてはいけないものではないですね。
○神田座長 むしろ、採取施設よりは凍結方法の情報を入れていただくほうが、移植側としてはありがたいということですね。
○高橋委員 逆に言うと、外さなくてはいけない理由もないのですけれどもね。
○神田座長 そうですね。矢部先生おっしゃったような、同定されるリスクという点に関しては、まずはないとは思うのですけれども、一応、理論上は考えられる。骨髄バンクは、その点、非常に厳密にやっていますので、それと整合性を持たせるなら、外していいのかなという気はします。不必要なものであれば。どうでしょうか。
○間臓器移植対策室長 それであれば、連結可能な状態にはなっておりますので、最終的に遡ることは可能ですので、バンクが情報を保有して記録しておいて、移植施設には採取施設の識別番号は提供しないということでもよろしいのではないかと思います。
 あと、先ほどの凍結方法につきましても、現状、プログラムフリーザーの使用率が0%から100%まで幅がある中では、有意な情報なのだろうと思います。今、プログラムフリーザー原則になっています。今度、基準でいたしますので、それが100%になってくれば、またそれも必要ない状況になるかもしれません。そのあたり、状況の変化によって見直しをすればいいのかなと思います。
○神田座長 では、とりあえず今回は施設情報なしで、凍結方法を入れるという方向でよろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。「臍帯血の供給について」のところ。お願いします。
○高梨委員 凍結方法は、随分昔に検討して大丈夫と思ったので、もう一度、ごく最近の検体で見てもらいまして、とりあえず10件近いもので比較をして、差はございませんでした。これはおまけの情報です。
 あと、1つお伺いしたいのは、調製前の容量もしくは重量というのは、移植施設の先生方はどうお使いになるのでしょうか。
○神田座長 いかがでしょうか。容量と重量は、余り気にすることはないですかね。細胞数があれば。いかがでしょう。
○高橋委員 これも国際基準です。
○西脇室長補佐 高梨先生に送っていただいたものに載っていたので、載せました。
○神田座長 情報として、あって困ることはないと思いますけれども、使うかと言われると、見ないですかね。いかがでしょうか。あえて削る必要があるかどうかも。
○高橋委員 1番を外すのだったら、これも外すし、これを残すのだったら、1番も残したほうがいいのではないかと思います。
○神田座長 施設ですね。つまり、不必要なものは外して、重要な情報をということですね。そのほうが整合性は。
○高橋委員 多分、1番は、今後の国際協力についてどういうふうに考えていくかというところで、それに合わない部分はまだまだたくさんあると思うのですが、将来的に国際協調していくということを念頭に置いて、簡単なものからつけ加えていくという考え方もあるのかなと、さっきからちょっと思っているのですけれども、多分、そういうことをお考えなのですね。それこそ将来方向を考えると、このぐらいはつけておいてもいいのかなという考え方なのかなと、ちょっと前言をひっくり返しましたけれども。
○神田座長 あって困ることはない情報ではありますので。
○矢部委員 そういう意図であれば、全然異論はないです。
○神田座長 では、容量、重量はそのまま残してということでよろしいでしょうか。
○高橋委員 前も、採取。
○神田座長 どうでしょうか。施設に関しては、骨髄バンクが今、日本とアメリカでその点の考え方が正反対で、米国はドナーと患者が会ってもいい、日本はそれを絶対に認めないという違いもありますので、ここは日本文化の差があってもいい点かなと思うのですが、どうですかね。
○矢部委員 本当は会えるようになってほしいなと私も思っているのです。いただいた臍帯血に対して嫌な印象を持つ方はいないと思うのです。会って、それが提供者の不利益になる可能性というのは、まずないような気がします。言ってみれば、国際標準を1つの目的として追加した項目であれば、外す必要まではないと思います。
○神田座長 確かにドナーの不利益という点でいった場合、骨髄バンクの場合には、再発したときに直接お願いしてというところの問題点がありますけれども、臍帯血の場合、それはない、ないとは限らないか、次の子供という、ないとは限らないですかね。
○高橋委員 ほぼないですね。
○神田座長 ほぼないですね。特に本人、赤ちゃんということになるとあり得ないわけです。
○間臓器移植対策室長 よろしいでしょうか。今のリスクについては、そもそも移植施設が移植を受けられた方にその番号を教えなければ起きないことですし、例え教えたとしても、今度は採取施設が問われて、この日、誰が提供しましたよというところまで教えなければ起き得ないことなので、そういうことは医療機関で基本的に考えられないことなのだと思うのですね。
○神田座長 そうですね、済みません。私、勘違いしていました。骨髄バンクも、移植施設は採取施設を知っていますものね。患者さんに伝えなければいいだけですね。私、そこは勘違いしていました。患者さんに伝えないということさえすれば、情報が入ることは問題ないですね。
 では、この基準に凍結方法だけを加えるということでよろしいでしょうか。
 「臍帯血の供給について」、そのほか、よろしいでしょうか。
 では、続きまして、残りをまとめて、「臍帯血供給事業者における情報の管理」「他の事業者からの受入れ」「臍帯血の廃棄」をまとめてお願いいたします。
○西脇室長補佐 「臍帯血供給事業者における情報の管理」についてですけれども、臍帯血供給事業者は、臍帯血採取、調製保存、検査及びドナーに関する情報及び移植患者に関する記録を管理する。
 臍帯血供給事業者は、取り扱う臍帯血の識別のために適切な表示を行わなければならない。ISBT128に定義された適切な符号をつけて識別できるようにすることが望ましい。
 臍帯血事業者は、取り扱う臍帯血について、採取から出庫まで同一の識別コードにより一元的に管理できる体制を構築できるように努めることとしております。
 記録の保管機関については、移植された臍帯血に関するものは30年、保存されないもの及び廃棄された臍帯血に関係するものは採取後10年、設備及び機器に関するものは実施後30年とするとしております。
 14ページ目、「他の事業者からの受入れ」ですけれども、受け入れる臍帯血とともに、受け入れる臍帯血に係る採取、調製処理、凍結保存に関する記録、関連する検体をあわせて受け入れることとしております。
 そして、最後に「臍帯血の廃棄」については、手順の詳細は標準作業手順書に規定するものとしております。
 廃棄する臍帯血は臍帯血番号で識別し、廃棄理由、日時、廃棄方法、廃棄者及び責任者を記録すること。
 さらに、廃棄する臍帯血に係る個人情報の記録についても適切に処理することとしております。
 以上です。
○神田座長 ありがとうございました。
 残りの項目を全てまとめていただきましたけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○原委員 トレーサビリティの話があって、採取現場で番号をつけてということで、もしその場で廃棄するということになると、こういうことはどういうふうになるのですか。それとも、採取の現場で廃棄されたものはこの中に入っていないと考えていいのですか。
○神田座長 番号は採取を計画した段階でつくのでしょうか。
○西脇室長補佐 厳密に言うと、取った段階で番号を発行することになると思うので、全て記録は残ることになるとは思うのですが、今、原先生が言われたように、捨てたものに関して、発行しないということも、国際基準の原則としては、廃棄したものも全部バーコードをつけるというものになっていたと思います。
○高梨委員 献血の場合ですと、献血者で採血しようと思うと、それは100%採血されるので、その場でラベリングをバッグ検査検体全てにして行われています。そこでバッグを取りかえなければいけないと思えば、もう一度、全部、ラベルの発行のし直しです。ただ、臍帯血は、採取現場で廃棄されて調製保存施設に来ないことも多いというのがわかっているので、それはバンクで番号を発行してもよろしいというふうに、ISBT128の人たちは言っていました。そういう意味では、採取現場の分は別の管理が必要なのかなと思っています。そこでわざわざつけなくてもいいのかなとは思ってはいるのです。
○原委員 この間の話だと、そこで廃棄したものも全部つけてやる方向で考えていくということがあったので、実際問題として、この廃棄はどういうふうにするのかと、現実問題として、今、5分の1が廃棄されているので、その分に番号をつけるのかどうかということを言っていただかないとわからないので、どうしたらいいかと思ったのです。
○間臓器移植対策室長 その点については、現実的に考える必要があるのだろうと思っています。ただ、1点だけ気をつけておかなければいけないと思いますのは、一応、同意書をいただいておりますので、廃棄したなら廃棄したで結構なのですけれども、それがどうなったというところの関係性が何らかの形で残っているようにしないと、ぐあいが悪いのかなと思います。バーコードをそこで発行するかどうかというのは、廃棄したものについてまでやるかどうかというのは、処理の上ではよく考えなければいけないことだと思います。採取施設の御負担をよく考える必要があると思っています。
○原委員 うちでは今、取れなかった場合は同意書ごとお返ししてしまっているのですね。それも施設によってちょっと違うのかなと思うのです。
○神田座長 その場合、記録は何か残るのですか。こういう方から同意を取って、でも、取れなかったとかいうような。
○原委員 記録は、分娩サマリーに「量不足」という項目があるので、そこにチェックがつくのですね。
○神田座長 1人1人のお母さんのカルテにということですね。
○原委員 そうです。
○神田座長 一括管理とかいうわけではなくて。
○原委員 一括管理ではないので、取れたものしかわからない状態なので、廃棄されたかどうかということに関してはわからないです。
○神田座長 いかがでしょうか。現実的に、全ての情報を管理していくというのは、現場ではかなり難しいところがあるのではないかと思うのです。
○原委員 でも、矢部先生のところでは、全部受け入れられているということですね。
○矢部委員 一応、全部受け入れて、全部記録を残しているのですけれども、やはり大変な作業量で、とりあえず提供していただいた方にはお礼のお手紙を出していたのですけれども、こうやって、今後、国の事業といいますか、進めていく上では、余りほかにお勧めできる方法ではないと思いますし、やはり足切りがあって、重要なものだけ保管していくのでいいのではないかと思います。
実際には、提供されたという意識があると、そこで廃棄になったことを知るのがいいのかどうかというのも少し議論が出たことがあります。あと、国として同意率みたいなものを集める必要があるのかどうかというのは少し気になるところで、同意書を渡して、どのぐらいの方が同意してくださるというデータが必要であれば、全員にお渡しして、同意書だけでも回収する必要があるのですけれども、その辺の扱いになるかなという気がします。
○神田座長 あと、現場で廃棄されるのがどのぐらいの割合かというのも、とれなくなるわけですね。現状では。
○高梨委員 一応、物品管理の一環なのですが、採取バッグ、1箱10個入っているのですが、バンクに送付したか、その場で廃棄したかのチェックを入れて、1箱に1枚ずつの紙を今、採取施設にお願いしております。物品管理の一環です。それを使おうと思えば、採取と受け入れ数の差というのは出てきます。
○原委員 開けてしまったけれども、取れなかった、取れないというか、取ろうと思ったのではなくて、この人は希望していなかったとか言って捨てているようなものも全部チェックはついているのですか。
○高梨委員 10パック開けてしまえば、紙が1枚余るので、それはそのままうちのほうに来ています。廃棄ということで来ています。
○神田座長 いかがでしょうか。具体的に、現実にできそうなシステムとしては。バンク側で番号をつけるとしたら、来てからやるということになってしまうわけですかね。
○間臓器移植対策室長 その点は、現段階で「努めること。」「望ましい。」と書かれていることでおわかりのとおり、全部同じシステムでやるのはなかなか難しいと思っています。ただ、国としては、一元管理は望ましい方向だと思っておりまして、例えば、あるバンクが採取病院と協力をしてバーコードの発行の機械を設置する。これは国が補助金でサポートする形になりますけれども、そういったものを念頭には置いております。ただ、それが廃棄するものまで含めて全部やるかどうかについては、現場の負担を見ながら考える必要があると思っています。
今、原先生がおっしゃったような、同意書を返すかどうかということについては、返してはならないということはないと思いますので、そのあたりの扱いについて、きちっとSOPのほうに決めて、それを守っていただく。要するに、原先生のところでは返すというのであれば、実際、返すというふうにしていただければいいですし、そうでなくて、同意書は束ねた上で廃棄にしたという符号をつけた上でバンクに渡すというのもあってもいいのかもしれません。そのあたりのちゃんとルールを決めて、守っていただくというのがまず第一歩ではないかなと思います。そのやり方とバーコード管理のやり方の進捗をあわせて、最終的には全体が管理できるようになるのではないかと思っています。そのあたりは、今、進行形といいましょうか、発展途上だと思います。
○神田座長 現段階で細かいところまで規定するのはちょっと難しい状況ですね。
 そのほか、いかがでしょうか。
○原委員 ということは、廃棄のことは、バンクに行ってから後の廃棄のことだけを考えているということですね、ここの規定は。
○間臓器移植対策室長 違います。
○原委員 違うのですか。
○間臓器移植対策室長 違います。それは、「努めること。」とありますように、採取施設のところでラベリングしていくことも念頭に置いて、そういう処理をバンクと採取施設が協力をして行う場合には、国としてもサポートします。ただ、なかなかそこまでいきません、採取施設ではなかなかできません、バンクのほうでラベリングしますというようなバンクの場合には、そういったものを今のところは受けとめていく。つまり、それは基準に違反するというような扱いはしないというものだと御理解いただければと思います。「努めること。」となっているのは、基本的にはそういう意味であります。
○原委員 最後の「臍帯血の廃棄」のところに「努めること。」というところはないと思うのですけれども、どうなのでしょうか。
○間臓器移植対策室長 先生は14ページのところをおっしゃっているのですね。ここについては、想定しておりますのは、さい帯血バンクに届いた臍帯血についての廃棄のことでございまして、そこはちょっとわかりにくかったかもしれません。そこはもっと明確に規定したほうがいい点かもしれません。
○原委員 ということで、もう一度確認ですけれども、この「臍帯血の廃棄」というのは、バンクに行ってからの廃棄のことだけを規定しているということですね。
○間臓器移植対策室長 14ページについてはおっしゃるとおりです。廃棄がISBTでも問題になっているのは、臍帯血を一たん取っておきながら、それを廃棄しましたと言って、横流しされているということは全く好ましくないことでございます。こんなことはあってはならないことですので、そこは確実に廃棄されているということが一定担保されている必要があるだろうと思っています。そこは各医療機関で、廃棄する場合にはどういうふうに廃棄するかということを決めておいていただくことが大事かと思います。それは他の、まさに臍帯などと同じような処理をされているのかもしれませんけれども、先生のところはどうかわかりませんが、そういうものをきちっと定めて、それを守っていただくことが大事なのではないかと思います。
○神田座長 現状の採取手順書では、各採取施設での廃棄については何も書かれていないですかね。
○高梨委員 感染性廃棄物に従いというのは、どこかに入っていたように記憶しております。
○神田座長 通常の診療作業の一環ですね。
 では、ここの部分は、バンクでの廃棄ということを明確にしていただいて。
○高橋委員 ただ単に確認なのですけれども、基本的には採取施設でバーコードをつけるということを努めることというところの理解ですね。原先生もそういう理解ですかね。
○原委員 そうですね。この間は、全部つける方向で考えていったほうがいいということだったので、そうすると、この廃棄あたりはどうするのかとか思ったのです。
○高橋委員 きょうの結論は、廃棄するものも含めてバーコードをつけるように努めるという結論だということですけれども、そうですね。
○矢部委員 うちの現場のことを確認したら、一応、採取施設で全部バーコードは発行して、それで1つの袋に入れて回収してやっているので、実際にはできていたみたいです。私は現場を確認しなかったのですけれども、うちの採取施設でできるのであれば、先生のところも多分、可能だと思います。その辺のノウハウのことは確認しておきます。
○神田座長 それは、バンク側からデータを打ち込んだら、採取施設の設置してある機械にバーコードがひゅっと出てくるとか、そんな感じですか。
○矢部委員 ラベラーは採取施設に置いてあって、そこで一連のバーコードラベルが出るようになっています。運んでいる間は、袋に入れたまま1つのパックで来ているのですけれども、こちらで検体を分けたり、検体のDNAを分けるとか、そこでラベルを1個ずつ使っていきます。ラベルが残らないことで全部の検査が完了できたことも確認できますし、それはそんなに手間ではないようなことを言っていましたので、実現可能かもしれません。
○神田座長 目標としては、そういう方向に向かっていくという点ではよろしいでしょうか。それがなるべく現場の負担にならないように、いろいろな機器を導入してくださるということですね。
 そのほか、いかがでしょうか。お願いします。
○高梨委員 「他の事業者からの受入れ」なのですが、全バンクがこういうものを準備することを予想されていらっしゃるのでしょうか。
○間臓器移植対策室長 基準としてはおっしゃるとおりです。もちろん受け入れるばかりというところもあるかもしれませんけれども、例えば、日赤の場合、臍帯血供給事業者というのが、4つにするのか、1つにするのかという問題もあるのですけれども、仮に4つだとすると、事業再編に伴って、特定のさい帯血バンクで保有していたものをほかのバンクに分ける、移管することは当然あり得ると思いますので、その意味では、基本論としては、受け入れの手順というものは定めていただく必要があるのではないかと思っています。
○神田座長 最後の廃棄のところですけれども、廃棄の手順のことを書かれていますが、廃棄の基準とか、条件とかいうのは、どこかに文言が出てくるのでしょうか。調製に至らないものは全てそうなのでしょうけれども、それ以外は。
○高梨委員 通常で言うと、日赤の方言かもしれませんが、減損と言っていて、保存にならないものは、とりあえずそこで保存になりません、減損となるのです。その後、転用になるか、廃棄になるかというのは、現場で一時判断をするのですけれども、転用にする場合は、転用すべき研究申請が既に認められてそこにあるとか、そういう条件があって転用になっていきます。その後の廃棄は研究計画書に基づくサンプルの処理に従って、研究期間の最後には全てなくなるようにというような、研究計画に基づく使用になります。
○神田座長 そうしますと、廃棄に至る条件とか流れもどこかに必要ですかね。どこかにありますか。
○間臓器移植対策室長 基本的には、どういう臍帯血を調製保存するか、あるいは公開していくかという基準がありますので、要するに、それに合致しないもののうち、一定のものが廃棄になっていくということだと思います。また、公開されているもののうち、これはバンクによって多少考え方が違い得るのだと思いますけれども、例えば、10年経過したものは全て廃棄するのか、10年経過したからといって直ちに廃棄するのはもったいないと、これは残しておいて、移植用には使わないけれども、研究用にということもありますので、このあたりの廃棄の基準については、済みません、手順という書き方なので十分ではないのかもしれませんけれども、基本的にはSOPに書くのだろうと思っています。このあたりをもっと国全体として統一のルールを定めるべきだということであれば、そんなことも今後考えていく必要があるだろうと思います。
○神田座長 現状においては、この点は各バンクのSOPでということでよろしいですね。ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。情報管理、受け入れ、廃棄、よろしいでしょうか。
 それでは、一応、これで一通りになるわけですけれども、振り返りまして、きょうの全体のところを通じて、少し遡っても構いませんので、御意見、コメントなどがありましたら、お願いいたします。
○矢部委員 ちょっと確認したいのですけれども、13ページの5番目の「臍帯血供給事業者は」云々のところの記録の保管の件ですけれども、「廃棄された臍帯血に関係するものは」というのは、先ほどちょっと出た、保存に適さないで廃棄されたものも10年に入るという意味なのか、あるいは、あくまで一たん保管したものを廃棄したものがここに入るのか、どちらでしたか。
○神田座長 調製保存しなかった場合は、調製保存の記録はしようがないですかね。
○間臓器移植対策室長 そのあたりが不文明な形で申しわけありません。基本的には、後ろの臍帯血廃棄の規定と読み合わせれば、さい帯血バンクに届いたものであって、廃棄したものについては、少なくともこの10年の記録のところにかかってくるのだろうと思います。
○神田座長 それと調製保存しなかったものも含めてですね。
○間臓器移植対策室長 バンクに届いているもののうちですね。それはそういうことになりますね。
○神田座長 そのほかはいかがでしょうか。お願いします。
○矢部委員 10ページの提供の中止のところですけれども、「臍帯血の安全性に問題が生じた場合は、安全性が確認されるまでの間、臍帯血供給事業者は臍帯血の提供を中止しなければならない。」の安全性をどういうふうに捉えているかという部分なのですけれども、例えば、かつて衛生基準の逸脱とかがあった事例があります。結果的には臍帯血を介して起こった感染症というのは、その間に証明されていないので、そういった意味で、結果的には安全性に問題は生じていないわけですけれども、こういうところで既に安全性云々の対象になってしまうのかどうか。
例えば、インシデントの中で見ても、性別違いというのは、何も知らないでいると、拒絶と判定して再移植してしまうリスクもあるので、それはそれなりに重大ですけれども、問い合わせて再確認できれば、患者さんの実害には及ばない可能性があります。この安全性の定義といいますか、今、イメージされている、要するに、インシデントなのか、アクシデントなのかというところについてはいかがなのでしょうか。
○間臓器移植対策室長 これは2つあると思うのですね。1つは、臍帯血で問題が生じた事例がシステムエラーである場合です。要するに、ほかの臍帯血にも同じようなことが起こり得る、個別事例とは言えないという事例の場合には、深刻に考える必要があるのではないかと思います。
それから、今、先生おっしゃいました、実際にある個別のケースでもって、医学的に特に問題がなかったのかどうかというのは、その時点における医学的な知識に基づいて判断せざるを得ないというところはあるのだと思うのですね。ただ、一般に科学的のお立場として、姿勢としては、慎重に考える傾向はあるのかなと思っています。そのあたりは、要するに氷山の一角であると思えば、そこは臍帯血の安全性、つまり、その臍帯血だけではなくて、例えば、その日調製保存された臍帯血全体とか、あるいは、ある一定期間に行われたものが慎重に判断されるべきものになる可能性は十分あるのではないかと思います。
○神田座長 これ以上、具体的に書くのはなかなか難しいところかなと思いますので。
○間臓器移植対策室長 そのあたりにつきましては、10ページの上にありますように、アクシデントはもちろんですけれども、インシデントの場合に、調製保存にかかった期間だけではなくて、造血幹細胞提供支援機関、これは日赤を想定されておりますけれども、そこに情報集積していくわけですので、情報共有する中で対応をまた考えていく必要はあるのだろうと思います。そのあたりも、いろいろな議論の蓄積が必要だと思っています。
○神田座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。お願いします。
○高梨委員 この有害事象なのですけれども、例えば、臍帯血輸注時の急性反応などは臍帯血供給事業者にすぐにお教えいただかないと、その後の対応がとりにくく、この仕組みは確立したいと思っております。意見です。
○神田座長 輸注時の有害事象の情報を、現状においては、これは全くあれですか。
○高梨委員 一応、輸注時の急性反応を教えてください、それから、外観異常等もお教えいただくことにはなってはいるのですけれども、どうもバンクにすぐに来なかった事例もあるようなので、そのあたりのことはちょっと気にしております。
○神田座長 確かに移植している現場で言うと、ばたばたしていると忘れてしまいそうな感じはしますけれども。
○高橋委員 一応、移植報告書でやっていますね。
○高梨委員 はい。
○神田座長 項目がありましたか。
○高橋委員 項目があるのですね。
○矢部委員 あり、なしだけでマルしてくる場合があるので、結局、お電話で確認しないといけないことがあるのです。
○神田座長 一応、その書類で「あり」は拾えるわけですね。
○矢部委員 そうです。
○神田座長 わかりました。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日予定していた議論はこれで全てまとまりましたので、当初、6月11日を予備日として設けておりましたけれども、それは開催しないということでよろしいですかね。もし、また何かありましたら、メールでいただけましたら、しばらくは対応可能ですかね。6月21日に委員会がありますので、最終的なところは、細かい文言等は一任していただきたいと思いますけれども、重要な変更点等ありましたら、またメールでお知らせしますし、それ以前にお気づきになった点がありましたら、またメールベースで議論できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局のほうから、あとはいかがでしょうか。
○西脇室長補佐 それでは、次回の検討会についてですけれども、将来的に改善すべき項目について議論したいと思っております。これまで同様、こちらで項目を整理させていただきますけれども、今、神田先生が言われたように、事前にメールベースである程度議論できればと思っておりますので、御意見いただければと思います。
 次回の検討会は、平成25年7月30日18時からを予定しております。先生方におかれましては、お忙しいところ恐縮でございますけれども、日程の確保について御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○神田座長 7月30日に、今回話題に出ました「望ましい。」というあたりをもう少し詰めていくということですね。
 では、本日の会議はこれで終了にしたいと思います。皆様、どうもありがとうございました。

※データの累乗を、以下のように「^」で表記しておりますのでご了承ください。
10×10^8


(了)
<厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室>
: 代表: 03(5253)1111
内線: 2366、2363

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 移植用臍帯血基準検討会> 第2回移植用臍帯血基準検討会 議事録(2013年5月21日)

ページの先頭へ戻る