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2013年4月26日 第40回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成25年4月26日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 共用第9会議室(19階)


○議題

1 造血幹細胞移植の研究の促進について
2 国際協力について
3 これまでの議論の状況について
4 その他

○議事

○吉田室長補佐 定刻を少し過ぎておりますが、委員の皆様がおそろいになりましたので、ただいまから第40回「厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は武藤委員、山口委員、吉村委員からは御欠席との連絡をいただいています。また、本日は名古屋大学大学院医学系研究科の熱田由子先生に参考人としてお越しいただいております。
 ここで健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 高島でございます。
 委員の先生方には本当にお忙しいところを、特にあすから連休という時期を迎えて朝早くからお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 造血幹細胞の移植は去年の年末から精力的に議論をし始めまして、月に1回か2回ということでテーマを絞って御議論をいただいてまいりました。きょうは造血幹細胞移植の研究の促進と国際協力を御議論いただきまして、その後、今までの議論を再度振り返りながら取りまとめに向けて御議論いただきたいと思います。短い時間でございますが、積極的な御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○吉田室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の配付資料に資料1~5までございまして、資料1といたしましてこれまでの委員会での主な御意見。
 資料2といたしまして「造血幹細胞移植の研究の促進について」。
 資料3といたしまして「造血幹細胞移植一元化登録データを用いた登録研究」。
 資料4といたしまして「国際協力について」。
 資料5といたしまして「これまでの議論の状況について」ということで資料を御用意しておりますが、お手元におそろいでしょうか。よろしいでしょうか。
 また、机の上に法律等の参考資料とこれまでの委員会の資料をまとめたフィアルを置いておりますので、議論の際に御参考にしていただければと思います。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いしたいと思います。
 報道のカメラの方がいらっしゃれば退室をお願いいたします。
○小澤委員長 おはようございます。法施行に向けた議論の第7回目となります。よろしくお願いいたします。
 本日は造血幹細胞移植の研究の促進、国際協力について御議論いただき、その後、これまでの議論の状況を振り返ることにしたいと思います。
 それでは、早速議事次第に従って議事に入りたいと思います。
 最初の議事は「(1)造血幹細胞移植の研究の促進について」です。本日は学会で造血幹細胞移植に関する一元化登録システムの研究をされております熱田先生に参考人としておいでいただいておりますので、先に事務局から造血幹細胞移植の研究に関する現状等について簡単に説明してもらった後、熱田先生からこれまでの取り組みや今後に向けた課題などについて御説明いただいてから質疑を行う流れとしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、まず資料2について簡単に御説明申し上げます。
 資料2の1ページ目の下は造血幹細胞分野における厚生労働科学研究費を用いた研究について記したものです。
 公募の方針として、診療ガイドラインやマニュアル等として臨床への反映、社会的基盤の構築のための施策に資する内容であることが望ましいとされており、外部の評価委員により選定が行われています。
 下の表に上げてありますように、平成25年度は新規2課題を含んだ11課題が採択されています。
 2ページ目の上は、後ほど熱田先生のほうからもお話があるかと思いますけれども、厚生労働科学研究成果の例を示したものです。
 森島班では非血縁骨髄ドナーからの移植におけるHLAの影響等について。
 神田班ではHLA不一致血縁ドナーからの移植とHLA一致非血縁ドナーからの移植について。
 熱田班ではHLA一致非血縁ドナーからの移植と臍帯血移植、HLA不一致非血縁ドナーからの移植と臍帯血移植、臍帯血移植におけるHLAの影響などについて研究が行われ、ドナー・幹細胞の選択に関する研究が進められてきました。
 下の段は研究成果の臨床への応用について示したものですけれども、ヒトを対象とした医学系研究として臨床研究が行われます。
 また、先進的な医療技術として安全性を確保しつつ、選択肢を広げるといった観点から保険診療との併用を認める形で先進医療が行われています。
 それぞれ一例を示してありますが、造血幹細胞移植に関連する分野でも臨床研究、先進医療の取り組みが行われています。
 研究では骨髄や臍帯血の細胞を用いた研究も行われていますけれども、骨髄についてはドナーから同意をとった上で、骨髄を少し多目に提供してもらうなどというようなことが医療機関で行われています。
 一方、臍帯血は各さい帯血バンクに保存されているものを利用することになります。
 3ページ目の上の図は昨年7月の本委員会で御議論いただいたものの数字を改めたものですが、2011年には約1万3,000の臍帯血がさい帯血バンクで受け入れ処理され、そのうち約3,000個が公開されています。受け入れた臍帯血のうち約8%が公開以外の保存となっており、それらが移植の研究やライフサイエンス分野の研究などに利用されています。
 下の段は公開されている臍帯血の種類を示したものです。A1、A2、B、Cと分けてありますが、A1、A2は臨床に用いる品質のものです。A1は公開されているもので、保存されている臍帯血全体の約87%を占めています。A2はA1と質としては同等ですが、細胞数が少ない、保存から10年以上経過しているなどの理由により公開されていないもので、約8%を占めています。
 4ページ目を見ていただきますと、上は公的さい帯血バンクにおける臍帯血の利用の現状を示したものですが、約30%は移植に利用され、約42%が医療機関などでの研究、また一番右側の約16%は理化学研究所のバイオリソースセンターで研究用に利用されています。
 下の段は、昨年7月の本委員会で、臍帯血をヒトに移植投与する臨床研究を将来的に行うことを念頭に置いてiPS細胞を樹立する研究に臍帯血を提供する場合には、下の段で黒い枠で囲ってある部分ですけれども、移植のための臍帯血に準じたものであるA2のものを提供すべきということで合意がされています。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 では、続いて熱田参考人から説明をお願いします。よろしく。
○熱田参考人 名古屋大学の熱田と申します。よろしくお願いいたします。
 資料3としてもここにありますけれども、このスライドとして提示してあるものをごらんください。
 私が所属します名古屋大学の造血細胞移植情報管理・生物統計学は日本造血細胞移植学会が名古屋大学に設置したこの情報を扱うための寄附講座でございます。
 日本における自家・同種移植の実施件数ですが、正確には登録の件数になりますが、近年年間約5,000件、自家が1,500件強、同種は約3,500件の登録がなされております。
 これらの移植の実施及び情報の登録をしていただいている診療科は、成人診療科が約200、小児診療科が約100弱で、合計約300の移植診療科からの登録が毎年なされております。
 この情報収集システムですが、2005年まではここに上げるように4つの組織が個々に情報を収集しておりました。これを日本造血細胞移植学会が中心になって、4つの組織が1つのテーブルに各委員を選出して座るという「一元化」をキーワードに、登録の電子化、一元化を行ってまいりました。ここにトランプマークがありますのは、電子化登録のシステムをTRUMPと呼んでいるからであります。これが2006年からでございます。
 ここで集められた情報は日本造血細胞移植学会のホームページに全国調査報告書として掲載されております。掲載情報は非常に重要な情報として、施設名を公開した上での各施設、診療科の移植件数を一般に公開しておりまして、これから移植が必要な患者さんも参照できるような情報となっております。
 あわせまして疾患ごと、年齢別、移植時、病気別などの非常に多くの生存曲線がここに掲載されておりまして、これまでの日本全体の成績を年度ごとに解析をし直して公開しております。これらの情報は臨床現場で次に移植を受ける患者さんへの説明などで活用されております。こういった生存曲線が非常にたくさん載っております。
 さて、データ収集の意義ですが、今まで説明させていただいたものが移植実施状況の把握ということで、この意義は理解しやすいものになるかと思います。この情報をもとに本邦における移植活動性が明確になりますし、施設別件数も明らかになります。自家・同種(ドナー・ソース別)の件数あるいは患者年齢・疾患別、県別等々いろいろな集計を行うことが可能であります。
 本日強調させていただきたい点として、より知りたいことに焦点を当てた解析が、20年を超えるデータ収集を行ってまいりましたものの非常に大事なもう一つの目的であったということでございます。
 知りたいことに焦点を当てた解析とは何かということでございますが、知りたいこととは例えば例を挙げますけれども、50歳男性、予後不良と言われる染色体異常を有する急性骨髄性白血病を発症しました。抗がん剤を用いた寛解導入療法2コースで完全寛解に至ったところでございます。さて、私は移植すべきなのか。するのであればどのタイミングでやるといいのか。ドナー・幹細胞は誰からいただくのが一番いいのか。残念ながらHLAが一致する兄弟あるいは姉妹はいなかった。骨髄バンクでHLA-A、-B、-C、-DR全てが合うドナーはいなくて、それぞれの座が異なる1座不適合が3名いらっしゃる。そのドナーさんからもらえるのは恐らく3~4カ月後であろう。臍帯血を探してみたら、細胞数が一つの基準である体重1キログラム当たり2.5×10の7乗個を超えたのHLA2座不適合の臍帯血ユニットがあって、これはすぐに移植はできるということがわかりました。息子さんがいらっしゃって、2座不適合。この方もすぐに提供可能。では、どうしたらいいのか。移植の前治療、用いる抗がん剤と放射線は何を選ぼう。GVHD予防は何を用いると一番自分にとってはいいのか。知りたいことはこのように移植が必要かというところからたくさんございます。
 さらにこの情報だけでは知りたいことはとどまりません。移植後にもいろいろなイベント、合併症のリスクがあり得ます。生着不全、感染、ドナーが宿主を攻撃してしまうという、正確には移植片対宿主病(GVHD)ですけれども、急性のもの慢性のものいろいろな臓器障害が出ます。急性期のみならず晩期にもさまざまな臓器にいろいろな障害が出ることもわかってきております。病気の根治だけではなく、長期のクオリティーオブライフ、社会復帰、こういったいろいろな知りたいことがありまして、これらの合併症のリスクは何なのか、それを下げるためにでは何をすればいいのか、もし起こったときの治療はどうすればいいのか、非常にたくさんの知りたいことがございます。
 この知りたいことを臨床的疑問と我々は呼んでおります。これはどのように導かれるか。
 一般的に医学の世界で最もエビデンスが高いと言われているものは無作為割りつけで比較する前向きな臨床試験(RCT)でございます。しかし、この領域では例えば先ほども出てきましたが、非血縁の骨髄の8分の8HLAが合ったものと8分の7HLAが合ったもの、あるいは臍帯血、こういったものを無作為に割りつけすることは現実には不可能であります。どうして不可能かといいますと、ヒトからヒトへ移植するという特殊な状況であって、患者ごとに選択できるドナー・幹細胞は個々に限られている状況がございますので、こういったものをRCTとして実現することは不可能でございます。このように多くの臨床的疑問にRCTを実施することは困難でありますとともに、RCTはリソース、資金も極めて多くかかります。そのため全ての臨床的疑問に対してRCTを比較することは実質上困難と言えるかと思います。
 特に造血幹細胞移植の領域では移植登録データを用いた登録研究、これは前向き臨床試験とは違って後ろ向き、後方視的な観察研究と分類されるものですが、これが国際的にも高く評価されておりまして、移植医療の発展に多大な貢献をこれまでもしてきております。
 重要なことは、知りたいこと、臨床的疑問は誰が知りたいことかといいますと、次に移植を受ける患者であり、現場であります。
 例えば1つの例を挙げますが、ドナー・幹細胞を選択していく。これが今、一般的に用いられていますアルゴリズムですが、最初に血縁の同胞、HLAがぴったり合っている人がいるか、しかも健康で提供が可能かというところを探します。その次に骨髄バンクのHLA-A、-B、-C、-DRがぴったり合ったドナーさんがいらっしゃるかということを探します。その次、現時点では1座不適合の骨髄バンクのドナーさん、あるいは臍帯血、HLAが1座不適合の血縁であればほぼ同等であることがわかっておりますが、この位置づけに関しましてもこれだけの、少なくとも日本だけでも知りたいことに基準を当てたたくさんの解析が行われておりまして、さらに疾患ごとに行っていくことを考えますと、成人において急性リンパ性白血病一つとりましても解析が出ていて、ほかの疾患でもやっていく必要がある状況でございます。
 少し視点を広く世界、ほかの国でどうかということを御紹介申し上げます。
 北米を中心に施設単位の登録を行っているCIBMTRという組織がございます。ここではテーマごとにワーキングコミッティーという研究者のコミッティーが存在しておりまして、ホームページで約800件の研究成果が紹介されております。この研究成果のほとんどが先ほど申し上げました登録研究、すなわち登録した情報を用いた後方視的な観察研究でございます。
 ヨーロッパではどうかといいますと、欧州各国からなる国単位、施設単位で参加する登録EBMTという組織がございますが、ここもやはりテーマごとのワーキングパーティーが国の壁なく活動しておりまして、ホームページで600件近くの研究成果が紹介されてきております。これらはいずれも移植医療の発展に多大な貢献をしておりまして、国内の現場でも行っている医療の多くの根拠となっているものでもあります。
 しかし、海外からの根拠をそのまま全て適用できるかというと決してそうではありません。この分野では移植成績、特に移植片対宿主病(GVHD)は人種の影響を大いに受けることがわかっております。これは2005年に発表されました非常にいい国際共同研究でございますが、日本人における重症な2度~4度の急性のGVHDは、アメリカの白人あるいはアフリカンアメリカンに比べて15%くらいも頻度が低いことがわかっております。ここでの考察では、恐らく我々日本においては非常に長い間移民を経験してこなかったことが、同じHLAが合っているものでもこれだけ合併症が少ないのではないかということがわかっております。これだけ違いがあるものですと、これを予防する、あるいは治療するアプローチも当然違ってまいります。
 さて、先ほど2006年にTRUMPというキーワードで情報が一つになったと申し上げました。これは造血細胞移植学会を初め、関連する4つの組織の非常にたくさんの努力でなったものでございます。
 この約3年間に関しましては、ここで一元的になった情報を先ほどの登録研究にいかに結びつけていくかということを、この学会が中心となり厚生労働科学研究の「本邦における造血細胞移植一元化登録研究システムの確立」班とコラボの上で実施してきました。
 キーワードとしてはここに上げるもので、1つはTRUMPを解析のグループ、研究のグループと協同の上でいかに研究データベース化していくかということでございました。もう一つは、CIBMTR、EBMTはテーマごとの研究グループの活用が非常に活発であると申し上げましたが、同じようにテーマごとの研究グループを組織し運営するということが3年間行われてきました。そして現在のデータベースは6万5,000件、項目は1,000項目でございまして、いかにいい臨床的疑問を持っている移植医であっても、これだけ大きなデータベースを扱うことは当然また別の専門知識と技量が要ることでございますので、統計解析の効率化と質の向上、これもキーワードとして取り組んできました。
 ワーキンググループ、これは2010年末にこのように23のテーマが出まして、23名の責任者の先生方のもとに、全体としては200名ちょっとなのですけれども、各自が3つまでのワーキンググループに属することができますので、現在は延べ400名の研究者が非常に活発に活動しています。2012年末までに141件の研究が立ち上がりまして、承認、研究開始をされて、これまでに116件の学会発表がなされました。
 さて、研究の支援の体制といいますと、このようにテーマごとのワーキンググループが23設立しましたが、海外に比べて現在非常に足りないところは統計解析のサポート体制でございます。アメリカを見てみますと、博士の統計家が常時5名ほぼ専属でついていまして、研究の原動力となっているのは、修士を持っている統計家が常時15人~17人張りつきで仕事をしています。ヨーロッパはもう少し国の壁を超えていますので、一つにまとめられてはいないのですけれども、それでも合わせると15名くらいはいると聞いております。日本は先ほどの厚労省の科学研究費からの支援をいただきましてゼロだったものが1になったところでございまして、統計のサポートがようやく開始できたところでございます。
 このマンパワーを補うということで、統計ができる医師もたくさん日本にはいらっしゃいますので、自治医科大学埼玉医療センターの神田善伸先生、諫田淳也先生と我々のチームを組みまして、統計ソフトのStata、EZR両方を使った詳しいマニュアルあるいは3,000行を超えるようなスクリプトが2つで全く同じように走るというところまで検証しまして、逐次このように公開して、先ほど立ち上がった研究で使っていただいています。
 幸いこの登録研究は同じ構造のデータをみんなが使うという強みがございますので、そういったプロジェクトを立ち上げ、統計セミナーを開催し、統計相談・解析サポートなどを実施し、行っています。
 先ほど知りたいことに答えを出す研究が登録研究だと申し上げましたが、出された答えは次の現場、次の患者さんの治療に実際に生かされることになります。そのため解析に何らかの落とし穴がたくさんあるのですけれども、落ちて気づかずに間違えていることになりますと、真実と違うものが次の患者さんに適用されることになりますので、解析の質の担保は極めて重要な課題でございます。
 さて、この我々の20年以上に及ぶ活動、努力によって、データベースの登録件数はこの春6万5,000を超えました。年間約5,000の登録が現在なされております。
 そして、このカーブと極めて類似のカーブになっていますが、次の患者さんの治療に役立つ成果の数が、欧米には及びませんが、ことし初めて120を超えております。これは2006年以降の一元化、そして約3年間の全ての組織の協同のもとで行っているワーキンググループを含めた研究のサポートの影響が非常に強く出ていると思いますけれども、このベースになっているものはこの時点、1984年から情報収集を開始したというこの歴史が極めて重要であったということも強調させていただきたいと思います。
 最後にまとめますが、登録研究、これは造血細胞移植情報収集の一つの重要な目的でございまして、知りたいことに答えを求めるためのものでございます。もう一つの重要な目的が移植の活動性を把握するということでありますが、これと同等あるいはそれ以上に重要ではないかと我々は考えております。
 登録研究は前方視的臨床試験に対しまして後方視的観察研究でありますが、殊にこの分野ではエビデンスレベルとしても国際的にも高く評価されているものでございます。そして、費用に対する効果、前方視的臨床試験は一つの疑問に答えを出すのに莫大な費用がかかりますが、登録研究においては費用に対する効果が非常に優れている研究とも言えるのではないかと思います。今後検体の収集と例えば情報がドッキングするようなことに発展すると、アメリカは1歩先で数年前からそこに取り組んでおりますが、またより現場に役立つ、次の患者さんに役立つ情報が飛躍的に得られるという次のステップに進むことも可能ではないかと思います。そして、最後にこの前方視的臨床試験は非常に重要なのですが、これを効率的に行うためのベースとなる情報にもなり得るということでも重要性が高いかと思います。
 登録研究はデータがあればできるというものでは決してございません。移植医療の豊富な知識、質の高い統計解析、ワーキンググループを組織してよくわかったことですが、熱意のある方々が施設あるいは地域の壁を越えてうまくチームワークが働く仕組みをつくり、それを組織していくというこれら全てのことがうまくハーモナイズしていくことによって初めて成り立つものであることを最後に申し添えたいと思います。
 この登録研究は非常にたくさんの組織及び先生方、全国の登録施設、最後に多くの患者さん方の御協力があって成り立っていることを踏まえて謝辞を述べたいと思います。どうもありがとうございました。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、事務局と熱田参考人からの説明を踏まえ、質疑、議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
 今村委員。
○今村委員 熱田先生にお聞きしたいのですけれども、統計解析が重要であることと、しかしながら日本にはそのスペシャリストが少ない、その一方で日本での研究は非常に成果を上げているということは、研究者の一人一人が統計解析をよく勉強されていると考えてよろしいですか。
○熱田参考人 御質問ありがとうございます。お答えとしては基本的にはイエスでございます。ただ、臨床的疑問を持っている全ての医師が統計解析の素養を持っているわけでは決してございません。ただ、日本の特性として、かなり理系の力を持った人が医学部に進んでいる。それは欧米を見ても数学の力を全般的に持っている人が高いという素養はあるのかもしれないとは感じております。残念ながら純粋な統計家にこの領域に張りつきでサポートしていただくのは不可能な状況ですので、そういった方々の一部サポートもいただきながら、このグループでは基本的には医師が統計を学ぶということでやってきておりまして、我々、特にデータセンターにいる医師が集中的に張りつきになって各研究の補佐、サポートをしているという形で行ってきております。ただ、不十分でございます。
○今村委員 ということは、統計解析のスペシャリストをその研究ごとに張りつければ日本の研究は格段に進歩するというか、よりよい成果を上げられるということですね。
○熱田参考人 おっしゃるとおりだと思います。ただ、スペシャリストのレベルは、例えば百幾つの研究に博士レベルの統計家を全て張りつけにするのは非常に効率が悪いと思います。アメリカのやり方は一つ参考になると思うのですが、修士レベルの統計家をかなり活用されているのですけれども、そういった方法で博士レベルの統計家に関しては1人で同時に20くらいの研究を総括して見て特殊な解析に力をいただくということで、全体的な予算は削減できるとは思います。
○小澤委員長 よろしいですか。
 ほかに。
 どうぞ、鎌田委員。
○鎌田委員 知りたいことの対象についてですけれども、移植後の臓器障害等々、患者が知りたい情報はいろいろあると思うのですけれども、そういった何を知りたいと思っているかということはどういった形で判断されていらっしゃるのでしょうか。
○熱田参考人 現時点では知りたいことを上げているのは基本的には医師がほとんどです。医師が研究者になっていることがほぼ100%であります。ただ、医師というのは移植の現場で患者さんに寄り添っている医師ですので、そこでいろいろな判断のポイントがあるかと思いますが、この合併症が起こったときの治療はこれでよかったのかどうかという疑問があったときに、それを一つの疑問として、それに対する答えはどうやって出せるのかということを研究グループで検討していることになります。
○鎌田委員 こういった仕組みの中で共有されていくのはどういうレベルのものが必要なのかとか可能なのかという問題も出てくるとは思うのですけれども、患者が知りたいと思っていることは、お医者さんから見ても、或いは一般的に見てもこうだろうと思うことにとどまらない側面があると思うのです。命に直接かかわるわけではないけれども、それを抱えて生きていくことはつらいという問題もたくさんあったりします。例えば私も主治医の先生にいっぱいいろいろ相談したり、愚痴を言ったりして聞いてもらったこともありましたけれども、そういったことの全てを伝え切れるわけでもないですし、私はずうずうしいわがままな患者だったのでかなり率直に話をしたりしましたけれども、全ての患者がそうできるわけではなくて、先生が忙しいのもわかっているのでこういうことまでは言えないなとか聞けないなということもあったりします。だけれども、それが患者本人にとってはとてもつらかったり重いものだったりすることもたくさんあるのです。しかし、それを全て先生方だけでフォローするのは非現実的だし、負担が大き過ぎると思いますし、そもそもそれができるかどうかもあると思う。例えば女性の患者だと、男性の先生には相談しにくいことだってあると思います。そういった実は患者が抱えている問題とかつらいと思っている問題点は非常に多岐にわたるので、例えば患者相談窓口だとかいろいろなところで今まで患者が何を問題と思っているかについての情報の蓄積もあると思いますし、今後もどういった形でそういう情報を集めるかも検討して頂けたらと思うと同時に、情報の対象もまたさらにきめ細かく広げて頂けるといいなと思いました。
○熱田参考人 ありがとうございます。非常に重要な重いコメントだと思います。
 一つはこういった研究でわかったことをいかにわかりやすく整理していくか、それをいかにいろいろな形で一般の方にも、それから医療現場にもわかりやすく、質問等にも答えられるものなのか答えられないものなのかも含めて情報を整理していって公開するところも課題があると思います。そういったことはぜひ行っていかないといけないことだと思います。
 あとは患者さんが持っていらっしゃる疑問あるいは要望は医師が気づくよりも数年早く出ているものが多いと思いますので、その情報をいかにいただいて、研究者の人たちとも一緒に、患者さんと一緒にそういったものをなるべく早く答えを見つけていく仕組みをつくることも極めて重要だと思います。ありがとうございます。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 ありがとうございます。現場の先生たちも含めて研究が非常に進んでいらっしゃることと、その大事さについて今、すごく感銘を受けたのですけれども、先ほど今村先生も御指摘のように、統計解析の質の大切さで日本は欧米に比べておくれているということであるならば、今回の法律と指針ですぐに何かバックアップできる具体的なアプローチがある、その指針づくりを今、決めていることなのでしょうけれども、前回出ていた予算の案の中で即それを支援するのに結びつけるような予算が登録支援事業の中なのかなと思ったり、そういうものも指針に必要性を明記していけるのであればしていくべきかなと思ったのですけれども、どうでしょう。
○小澤委員長 どうぞ。
○間臓器移植対策室長 ありがとうございます。今、野村委員が御指摘になられましたように、まずこの学会を含めて関係者の20年にわたる御努力に心から敬意を表する次第です。医療現場にとっても患者さんにとっても非常に有用であることから、25年度予算が国会を通っておりませんのでまだ予算案でございますが、その中では野村委員が御指摘の新たな補助金を創設いたしまして、金額的には半年分でございますけれども、今年度下期分として約3,100万円の新規の予算を要求しております。あくまで予算積算上の話でありますけれども、その中でそういう統計などになれたドクターの方々あるいはデータを扱うような方々合わせて5人くらいの人件費も計上しているということでございます。その使い方につきましては、実際に補助していく先はこのたび学会を母体としまして新たにデータセンターの社団ができましたので、そこの運営の中でどういう形でやっていくのがいいのか、よく相談をしながら実効性のあるものとして執行していきたいと思っています。まず予算が通ってからでございますけれども、この審議会の御議論を踏まえた運用をしたいと思っています。
○小澤委員長 そのほかいかがですか。
 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 この20年にわたる造血細胞移植のデータベースが、ワーキンググループを3年前に立ち上げて、いわゆる宝の山をようやっと日に当てているという状況ではありますが、必ずしもまだ理想的な状況ではないと思っています。その一つには、集まってくるデータそのものがまだ十分とは言えないのです。要するに臨床の現場から上がってくるデータがかなり間違いとか落ちが多いこともございまして、やはり現場からデータを上げる段階の質を上げるのも今後ぜひ必要なことではないかと思っています。ワーキンググループが実際にそのデータを解析するに当たってデータの質がまだ不十分だと思っておりますので、現場でデータを集めるためのバックアップなり、もう少し質を上げることがとても重要だと思っています。
○小澤委員長 その辺はいろいろな疾患登録等、全てなかなか難しい問題かなと思うのですけれども、移植関係に関してはこういう登録センターのほうで対応できる問題なのか、それとも現場の医師が忙し過ぎて難しいのか、その辺はどうなのでしょうか。
○坂巻委員長代理 こういうTRUMPで集めたデータは多岐にわたっております。これを正確に登録すること自体が現場の医師にとってはかなりの負担になっていることは確かです。それと医師が直接集めるデータは実は余り正確ではなくて、医師以外の人が集めるデータのほうが質が高いこともあります。私はデータを集めるいわゆるデータマネージャーは専属で必要だろうと思っております。例えば院内がん登録につきましては医師ではなくて専門の実務者が登録作業を行っているわけですが、そちらのほうが医師が入れるよりも正確なので、やはり医師の負担だけではなくて、データの質をよくするためにもそういう専門の人たちを雇用でき、育てられる体制が必要なのではないかと思っています。
○小澤委員長 その辺は中核拠点病院とかいうところにはそういう対応がなされるという理解でよろしいのですか、間室長。
○間臓器移植対策室長 今の坂巻委員の御指摘に対しましては、一つはデータマネージャーそのものではなくて、医師負担の軽減の類いかもしれませんけれども、まず昨年の診療報酬改定におきまして移植後患者指導管理料を創設して、まさに移植はチーム医療でございますので、そういうところについてちゃんと看護師、薬剤師などの活動に対して評価はした。そこで医師をサポートする体制を強化するということをやった。
 もう一つ、これも今年度予算案でございますけれども、拠点病院の予算の中にドクターをサポートし、患者もドナーもサポートするようなHCTCについての予算化もしています。その上でさらにデータマネージャーをということであれば、がんのほうの仕組みもよく勉強しながら今後検討したいと思います。
○坂巻委員長代理 拠点病院はしょせんそんなに多くないと思いますが、あまねくそういうデータマネージャーをそろえるためにはやはり診療報酬上でサポートするのが必要なのではないかなと私は個人的に思っております。
○小澤委員長 そのほかにいかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 データ収集の機関、「キカン」は両方意味があるのですけれども、今、データを提供してくるのは骨髄移植をする診療機関全てですか。
○熱田参考人 少なくとも非血縁に対しては100%登録が骨髄バンクあるいはさい帯血バンクの認定更新の必要条件になってきていますので、全てになっております。ただ、血縁者間の移植に関して今まで何の強制力もそういったものではなかったわけですから、100%ではない可能性があります。推定では血縁者間に関しても恐らく8割くらいの登録はなされているのではないかと考えております。一方、自家移植に関しては、自家移植だけを行う施設でここに登録していない施設は恐らくもっとあるだろうとは考えています。
○浅野委員 非血縁者間では100%ですね。
○熱田参考人 そうです。
○浅野委員 個々の患者についてはどうなのでしょうか。そういう登録があれで、実際に移植をやった患者は網羅的に全部登録で結果を言ってくるわけですね。
○熱田参考人 非血縁者間に関しては出庫がわかっていますので、それでの確認では骨髄バンクは99.7%くらいの登録率、個々の患者の情報もありますし、さい帯血バンクは8つに分かれていることもあってもうちょっと低いのですが、93~95、96%くらいまでということになります。
○浅野委員 今度は別な期間のほうの話ですけれども、ワーキンググループにGVHDの研究もありますね。そうすると、移植してからずっとかなり長い期間をフォローしなくてはいけない、または生存年数の表をつくるためにはその方の転帰の、10年後に亡くなったというのもやらなくてはいけない。一旦登録した後もずっとそういうエピソードが起きるたびに新しくデータを送ってくるということですか。
○熱田参考人 現在、新規登録は例えばことし2013年であれば2012年の移植をこの夏に新規の移植として登録いただきますが、それまでの既に登録された移植症例に関しては全て生存情報の更新、疾患情報の更新、再発が起こったかどうか、晩期障害の有無、二次性の腫瘍も含めて、晩期に、例えば10年後15年後二次性の胃がんを発症するとかいうことがあります。特にそういったがんは一般人口に比べれば頻度が高いことはわかっておりますので、とにかく長くしっかりフォローすることでやっております。
○浅野委員 送るほうも大変ですね。
 それから、これは前方視的臨床試験のほうになるのかもしれませんけれども、患者として私も実際に骨髄移植を受けたときにHLAの型が、ドナーさんとのあれがあって、私の場合にはA、B、C、DR全部一致してDNAの型も8座全部一致したのです。ただ、ひょっとしてそれが合っても移植のときに重要な役割をする座というのですか、A、B、C、DR以外のほかのものがあるかもしれない。それが複数のドナーさん候補がいた場合に、もしそれが有効だというか、大事なあれだということがわかっていれば、そこからまた選べると生着率もいいとか結果がよくなりますね。そうすると、今はドナーになるときの、それから、患者のほうもHLAは4つの型しか調べられていないですね。だけれども、将来的にはというか、そういう重要な座を突きとめるためには、多分ドナーさんの検体を保存しておかなくてはいけないですね。そういうようなことで問題意識を感じたことはございますか。
○熱田参考人 先ほどの資料2の中にもあったかもしれないのですけれども、骨髄バンクでは森島班の仕事としてずっと長く検体を保存する、その検体を用いてHLAを調べて、それも後方視的なのですが、HLAの座のミスマッチの影響を調べてきております。欧米で言われていた重要な座と日本人での重要な座が違うのだよということは90年代からわかっておりまして、それに基づいた検索を日本では行っていて、HLAのCを必須にしようとなったのはそういった解析をもとに割と最近やっております。ほかにもDPDQとかがありますが、それは今後また検体を集めて、それと臨床情報をあわせて解析をすることで役割を明らかにしていって、将来的にはそういったものが加わることもあるかと思います。
○浅野委員 ちょっと聞き逃しました。その検体はどこが保存していたのですか。
○熱田参考人 現在は東海大学の中で保存がなされています。それは班研究の中の一つの仕事でやっていることになっています。
○浅野委員 室長。
○間臓器移植対策室長 補足の説明でございます。
 今、浅野委員がおっしゃいました件につきましては、骨髄移植推進財団の事業として検体保存事業を全例についてやっておりまして、それについては国庫補助で行っております。その骨髄財団から東海大学にお願いしまして、そちらのほうで実際の保存はしていただいているということです。それに対して森島先生の研究班で研究を進めていただいているということでございます。
○小澤委員長 どうぞ。
○鎌田委員 今のお話に関して。そういう保存された検体を解析したりするためには、患者さんのHLAとドナーさんのものを合わせるためにペアでの検体保存が必要であるところ、骨髄バンクを通したものは全てそれがされているけれども、臍帯血のほうは、今、研究班でされていらっしゃるとも伺いましたけれども、かつてはペア保存ができていなかったために十分に検証することがなかなかできなかったという話を伺いました。そういったことも、それが仕組み上の問題でこれからは可能になるのであれば、さい帯血バンクにおいてもなされることがやはり望ましいのではないのでしょうか。
○熱田参考人 私がお答えするのも。
○間臓器移植対策室長 実際に検体を送っていたりというのはあるのですけれども、今まで患者登録も臍帯血移植の場合には一義的にはない中で、今回は審議会の議論ではトータルを把握するような仕組みにしていこうということになりますので、ペアで記録していくことの意味合いが一層増すことになるのだと思います。その意味でさい帯血バンクは骨髄バンクと違いまして保存をする機能をみずから有しておりますので、そういう臍帯血を提供したセグメント、小さなパーツにつきまして保存することは可能だと思います。それを義務的に保存していくかどうか、どういう形でやっていくのかはまさに今回の臍帯血の基準のつくり方そのものにかかわってくると思いますので、現在そういったことも含めて検討会のほうで御議論いただきますので、6月にはそれも含めて審議会で御議論いただきたいと思います。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 今の中で臍帯血と非血縁があるのですが、もう一つ非常に大事なのが血縁なのです。血縁に関しては各施設でそれぞれとっていて、うちの病院で約200くらいあるのですけれども、これを使っていろいろな人が研究して幾つかの成果を出しています。先ほど浅野委員が言いましたように、SNPというのですけれども、少しの遺伝子の違いが重要なものというのはHLA-A、-B、-C、-DR以外にもたくさんあるということで、今、いろいろな人が調べているのですけれども、そういったことを調べるときに、遺伝子バックグラウンドが比較的少ない兄弟間では非血縁者間と比較して、よりそれを見つけやすいことがあります。そういうことで今後森島班の中でHLAの兄弟間のペアをどういう形で集めるかということを計画し、今、アンケートをとっているところでありますが、今後ぜひ血縁兄弟間、すなわち同胞間のペアについても援助していただけたらありがたいと私は思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 張替委員。
○張替委員 登録とか観察が非常に重要なのですけれども、一方で前臨床とか基礎的な研究も重要で、最近例えばアメリカで骨髄のストローマ細胞で臍帯血を増幅すると非常に生着の成績がいいという話も出てきたので、そういう限られたリソースを有効に使うような研究も十分支援する必要があるのではないかなと思いました。
○小澤委員長 最初の資料2のほうですね。国のほうのサポートに関しては厚生労働科学研究費として免疫アレルギー等予防・治療研究事業とちょっと変わった位置づけで研究費が出ているわけでありますけれども、いろいろな研究がなされていて大分カバーはされているような感じはしますが、岡本委員、今、張替委員が言われたような問題とか何かまだ足りない部分とか、その辺で何かありますでしょうか。大分カバーされているという理解でよろしいでしょうか。
○岡本委員 よろしいと思います。データの重要さは言うまでもないと思います。非常に先端的な今後の臨床研究も含めたデータもそうですし、やはり一番大切なのは、今の坂巻委員のコメントにもありましたように、データを正確にタイムリーに登録していくことです。それについては、がん拠点病院の登録という話も出ましたけれども、データ登録を専門に行う方たちをしっかり育てていく必要があります。どういう資格が必要なのかとか、どういう研修を受ければいいのかとか、そういったことも今後考えていく必要があります。間室長がお話しになった看護師を中心とした移植後のフォローアップ管理、移植後後期の外来管理ですか、そこに診療報酬をつけていただきましたけれども、現場の運用としては、実際に研修を受けてナースがいれば診療報酬がとれると、本質を少し曲解して運用されています。実際にはそういう方たちがそこでしっかり根づいて、次世代を育てていくことを私たちは期待をしたのですけれども、なかなかこちらが考えたような形にはならないことがあります。ですから、HCTCもそうですし、このデータマネージャーもそうですけれども、これらの職種が根付いて次の世代を育てていただけるようにするには、診療報酬だけではなくて、拠点病院の要件に組み込むとか、どれくらいの期間しっかり活動してもらうかとか、そういったところも議論をしていくことが必要ではないかなと思いました。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 そうしますと登録研究のほうは大分順調に進んできているというお話でありますけれども、問題点としては統計の専門家が少ないとか、あるいは登録自体の問題、そのようなことが議論になりましたが、最後に熱田参考人としては今後の課題に何かつけ加えることはありますか。よろしいですか。
○熱田参考人 はい。
○坂巻委員長代理 私もデータの登録に携わってきた者として、やはり日本の造血細胞移植の登録は現場の医師の協力だけではなくて、データセンターがかなりしっかりしてデータをまとめ、ワーキンググループを組織してこれだけのものができてきたと思います。今後このデータセンターをきちんと維持していくためにはかなりアカデミアのサポートの上でやらないと、完全に独立してはなかなか難しいと私は個人的に思っておりますので、データセンターがもっとアカデミズムを持ちながら、モチベーションを保てるような組織にしていくことがとても必要だと思っておりますので、その点をよろしくお願いいたします。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。やはりいい方にデータセンターに長くいていただくことを考えた場合には、アカデミアとの関連性は非常に重要だと思います。ただ、同時に中立的であること、でも中立的であることがほかと没交渉であるということでは全くないと思いますので、学会ともよく連携をとって私どもも相談してやっていきたいと思います。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 最後に追加ですけれども、全くそのとおりで、インディペンデントということではございません。先生が考えている一元化委員会のメンバーにしっかりこの新たなデータセンターの中のボードに入っていただき、データの解析の必要性、倫理性等々について、医師だけでなく患者さんの立場から、あるいはドナーの立場から、しっかりそこに意見が上がるように計画していきます。逆に完全に中立というインディペンデントなものではなくて、今までやってきたものにさらに必要なファンクションを加えてやっていくという理解をしております。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 大分時間をオーバーしましたので、議題1に関しましてはこのあたりとさせていただきます。
 次に議事2の「国際協力について」にまいります。
 まず資料について事務局より説明していただきます。
○西脇室長補佐 それでは、資料4について御説明いたします。
 資料4の1ページ目の下ですけれども、造血幹細胞移植分野では世界保健機関WHOの公認の非政府組織である世界的ネットワークWBMTが組織されています。これはアメリカのCIBMTR、ヨーロッパのEBMT、世界骨髄ドナー協会WMDAと、アジアからはアジ太平洋血液骨髄移植グループAPBMTが参加してネットワークを形成しているものです。
 2ページ目の上はAPBMTに参加している国々を示してありますけれども、アジア太平洋地域の国々が参加しており、そのデータセンターは日本に置かれています。このように日本はAPBMTで中心的な役割を担っています。
 下の段は世界の造血幹細胞移植件数を示したものですけれども、2008年のデータですが、同種移植は2万3,867件、自家移植は2万7,445件で、計5万1,312件の移植が行われており、2012年12月には世界の累計移植係数は100万件を突破しています。日本を含むアジア西太平洋地区はヨーロッパ、南北アメリカに次いで多く移植が行われています。
 3ページの上のところはアジア太平洋地域の造血幹細胞移植と移植センター数を示したものです。我が国では2009年には4,425件の移植が行われており、移植センター数は診療科数を示したものですが、381となっています。日本の移植件数はアジアの中でも最も多くなっています。
 3ページ目の下は、左のグラフはアジア太平洋地域での移植数上位の国の内訳を示したものですが、我が国の特徴として同種移植が多く、中でも非血縁ドナーからの移植が多くなっています。また、右の図に示しますように、人口当たりの非血縁者間移植数も最も多くなっています。
 4ページ目の上は国際間での造血幹細胞のやりとりで、日本の骨髄バンクと海外の骨髄バンクの連携を示したものです。日本の骨髄バンクではアメリカの骨髄バンクとの連携が1997年4月から始まるなど、国際的な骨髄の提供及び受領が行われています。HLAが欧米人と日本人では型が合いにくいなどの関係から、アメリカやヨーロッパなど海外にいる日本人に骨髄を提供することも行われています。日本はアメリカ、台湾からは受領が多く、逆に韓国へは提供が多くなっており、合計では右下に示してありますように、受療はこれまでに176、提供は223となっています。
 4ページ目の下は臍帯血についてですけれども、臍帯血については世界の臍帯血移植の約3分の1が日本で行われており、国内の移植で利用する臍帯血は国内で賄っています。一方、韓国などから臍帯血提供の依頼が行われるケースも存在すると聞いております。しかし、臍帯血の海外への提供は現在は行われていません。その理由として、日本の臍帯血基準について国際的な評価が定まっていないこと、海外の移植施設との統一的なコミュニケーションの窓口がないこと、価格設定がなされていないことなどが上げられます。今後国際基準との調和を考慮した我が国の臍帯血基準の設定、国内需給に影響が出ないような総量規制、国際的な統一窓口の設定、他の造血幹細胞とのバランスを考慮した価格設定などの課題を踏まえながら、人道的な観点からも海外への提供について検討が必要ではないかと考えられます。
 事務局からは以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 続きまして、これまで国際協力に携わってこられた岡本委員からも御説明をお願いしたいと思います。
○岡本委員 私のほうからは日本骨髄バンクの国際活動ということで簡単に御報告申し上げます。
 日本骨髄バンクが設立された年の10月に初めて北米の骨髄バンク、NMDPといいますけれども、そこに出向いていってJMDPが設立したこと、海外への骨髄の提供についてどういうプロセスで行うかを検討していることをお話しいたしました。それがJMDPの国際活動の第1歩だと思います。
 その後、どのようにして海外の骨髄バンクと連携していくかを議論しました。さまざまな骨髄バンクがありましたけれども、Hub to Habという考え方で国を代表する主要となる大きな骨髄バンクと連携していくという形で開始しようということになりました。これはアメリカの骨髄バンクのやり方に学んだわけですけれども、1997年4月にようやく正式なアメリカのバンクとの提携が結ばれたということです。4年の歳月がここに費やされました。アメリカは非常に積極的で、日本の中には日系2世等、骨髄を必要とする方がかなり多かったのですけれども、日本のほうではちょうど黒船がやってきて開国しろといったような状況が多分ございまして、何かあって訴えられたらどうするのだ、途中で骨髄がとまったときに誰が責任を持つんだなどの非常に細かいところまで詰めた議論をしたのをよく覚えています。また、そのときにバンクには今のようにたくさんのドナーがいたわけではありませんので、国内の患者さんが優先であって国際的なものはといったような議論もあったように思います。しかし、基本的にはこれは善意のボランティアですのでボーダーはないという形で考えておりました。
 全世界の骨髄バンクが集うWMDAという機構がございまして、その半年後にJMDPも参加し、その後1998年4月には台湾のハブと提携を結びました。
 その後、BMDW、これは日赤が中心として集めたHLAのデータを世界で一つにまとめるといういわゆるHLAの電話帳みたいなものですけれども、それにデータを提供して更新をしていくという形の国際活動にも協力をすることになりました。
 その後、韓国の骨髄バンクとも提携を結び、WMDAを中心として活動を行ってまいりました。WMDAはアジアと北米とヨーロッパという3つのエリアに分かれているのですけれども、私はアジアのvicepresidentとして、骨髄バンクの認定(accreditation)この時期から始めまして、その認定の委員長をしばらくやらせていただきました。
 その後2004年5月にWMDAが主催する第5回国際骨髄バンク会議初めてアジアで行いまして、このときは骨髄バンクと慶應との協力で開催いたしました。この会議が一番重要であったのは、なかなかアジアのバンクが集う機会がなかったところに初めてここでコミュニケーションをとる場を提供したことが非常に大きかったと思います。その後も中国との提携を結び、実際に私を中心に検討した骨髄バンクの認定基準をJMDPが満たしているということで、2007年にJMDPはWMDAのバンクとしての認定を受けることができました。これはバンクとしての認定ですけれども、極めて大きいことは、バンクとしての認定を受けることによってそこに所属する採取施設、移植施設はある意味ではグローバルなアクレディテーションをもらったということになります。骨髄を提供することに関してはこれが唯一今、日本の施設が持っている基準になるわけです。
 あと国際活動に携わってくれる医者はなかなかおりませんで、その後はJMDPの国際担当のコーディネーターの大西さんがWMDAのセクレタリーになりまして、しばらく活動していただきました。
 現在は、認定の再更新を考えております。
 やはり国際活動を通じて一番大切だなと思うことは、国際活動に誰が関与していて、その方たちの顔がしっかり見えること、そして継続的に同じ方が国際の活動に携わっていただくことです。そこで人間関係を築いていくことが、いろいろな問題があったときにもうまい解決につながっていくと何回も経験いたしました。バンクのほうでは私がずっと1人で担当した中で国際コーディネーターが何人もかわってきたと思いますけれども、やはりそういったところも先ほどのデータのマネージャーと同じなのですが、しっかり継続性を持ってやっていくことも国際活動の中ではすごく大切なことだと理解いたしました。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、国際協力についての御議論をお願いしたいと思います。
 どうぞ、梅田委員。
○梅田委員 なかなか国際的なデータに触れる機会がないので、今回こういうデータがたくさんわかり、ありがとうございます。その中でかなり日本が中心的な役割も果たしているということで心強く思います。ドナーの立場からしてもいろいろと海外での情報をさらに広めていただいて、よそではこんなことをやっているのだな、という情報でドナーになろうと考える人もかなり増えてくるのではなかろうかと思います。また、患者さんの立場で考えると、いろいろな国の情報が分かり、場合によっては骨髄液もいただけるということであって非常に心強いと思います。さらに情報公開をお願いしたいと思います。
○小澤委員長 そのほかいかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 具体的に国際間の骨髄液の融通というか、こちらが外国からもらう、こちらが出すということはもう実際に問題なく動いているのですか。
○岡本委員 WMDAという機構は国際間のやりとりに関しての共通ルールをつくるということで、そのルールに基づいて骨髄のやりとりはもう長いこと行っております。日本の場合にはどうしてもHLAという形がありますのでなかなか輸出はないですけれども、輸入に関してはドナーの数が少なかったときにはそれなりに頼っておりましたけれども、それも最近大分減ってきているということは事実だと思います。ただ、HLAの型がとても珍しい方は当然いらっしゃって、珍しい方は逆に海外にドナーがいらっしゃる可能性もありますので、今は臍帯血なり、あるいはミスマッチも十分選択肢に入りましたけれども、それでもそういった方にお願いをする可能性はあるので、国際協力はそういった意味でも大切ではないかと思います。
○浅野委員 国内でもドナーさんと患者さんとの関係、コーディネーションは非常に難しいわけですけれども、国際間は人種が違うとかそれとは別にして、少なくとも物理的距離がありますね。そうすると当然ながら骨髄液は冷凍されて運ばれることになるのですか。
○岡本委員 冷凍はしません。冷凍はしないで、冷蔵です。4度Cで運びます。実際例えばオーストラリアの場合にはどこに行っても相当かかるわけです。最長が38時間だったと思います。ちゃんと生着しているということで国際的なデータはあります。私たちもブラジルに送ったことがあります。ブラジルはたしか北米のどこかを経由していくので約1日半はかかるのですけれども、それもちゃんと生着いたしました。逆に冷凍してしまうと、どこかで液体窒素を補充しないといけないので、冷蔵で運びます。そして、日本の場合には今、ヘパリンという骨髄液が固まらないようにする薬を入れるのですけれども、長時間立つとヘパリンが失活していく可能性があるので、国際間の輸送の場合には、もう一つの薬剤を入れてしばらくもつような形で送るようになっています。中には例えばうまく連携がとれなくて骨髄をどこか外に置いたら、きっと寒いところだったのでしょうけれども、不本意に固まってしまったとかいう事故はあったようですが、日本の場合にはそういったことなくうまく順調に運搬はできています。
○小澤委員長 今村委員。
○今村委員 臍帯血の海外への提供をこれから考えていこうということのようですけれども、供給体制というのですか、それは国内需給にきっちり影響を与えないようにということですけれども、供給体制は今のままでいいのですか。臍帯血を集めるというやり方は。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 これは以前この審議会でも出しておりますけれども、将来見通しを考えた場合であっても細胞数14億個以上はまだ足りないからもう少しストックが要るかなと。しかし、逆に言えば、それより少ないものについては需要以上に日本で保有しているという現状でございますので、そのあたりはバランスを見ながら、余り何でもいいから出しましょうということになると今度国内需要に対応できない可能性がありますので、そういう意味でアメリカにもあるようですけれども、何らかの総量規制が要るかもしれない。供給自体は今、相当妊婦さんに御協力をいただいておりますので、不足はしていないと認識をしています。
○今村委員 医療機関を拡大するような必要はないという意味ですね。
○間臓器移植対策室長 その点につきましても以前も議論になりましたけれども、数も大事かと思いますが、やはりそこでいかに質のいい臍帯血をとってくださる医療機関と提携するのか、そこに御協力いただくのかということが非常に本質的な問題ではないかと思っています。
○小澤委員長 そのほか国際協力についていかがでしょうか。
○岡本委員 臍帯血についても今、アジアの国々でさまざまなさい帯血バンクができていると思うのですけれども、まだ十分ではないということで、日本が以前にアメリカあるいはほかのバンクに頼っていたように、ある程度のサポートは必要かと思います。しかし、同時に私たちがリードしているわけですから、その品質管理のノウハウとか同時に提供して、各国が育っていっていただくということも両輪で検討していくことが必要です。
○小澤委員長 いかがでしょうか。
 宮村委員。
○宮村委員 現在私たちの施設でも台湾とかNMDPからもらって非常に助かる患者さんがいるのですけれども、1点問題点としては値段が日本の10倍以上するということで、台湾でこの前200万くらいかかりました。これはお互いが安くしていく方向で可能かどうかについての検討が必要だと思います。こういう200万くらいかかるということで、現実的には外国の患者さんにはそういうものを使うことがありますけれども、それ以外では日本の中で見つけていくことがほとんどであるというのがうちの病院の現状です。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 海外の造血幹細胞のコストに関しては前から長い議論がありまして、やはり医療システムの違いが大きいと思います。欧米の場合にはアドミッションフィーが相当高いですし、オペレーションルームを使うとものすごく高いですし、さらにドクターチャージがすさまじく高いということで、恐らく日本でやった場合の負担はそんなにないと思うのです。実際に国際間の共通価格があるわけではなくて、やはりバンクによって設定は違います。ですので、日本の場合には日本の状況に応じて設定することは全く問題ないと思いますが、いわゆるレシプロカルなフィーを以前にオーストラリアが言い始めて、向こうがこれだけチャージをするのだったらこちらも損するのは嫌だからこれだけチャージしようということが全体的に世界に広がっていって割と高い設定になっているという背景なので、それを踏まえて議論していくことが必要かなと思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 当然ながら海外から来る、それから、こちらがほかの国に頼るというのは緊急状況ですね。つまり国内ではHLAの型が合ったものが得られないということで、ではアメリカに、逆もそういうことで、通常それが行われているわけではないですね。患者さんの緊急というか、国内で賄えないことのいわば例外的なこととして海外にお互いに頼るということですね。
○岡本委員 必ずしもそうではありません。緊急の場合もありますし、通常のプラクティスの中で海外のドナーを選ぶことも当然あると思います。それは臍帯血の細胞数が少ないものしかないとか日本に適合者がなく海外にいらっしゃる場合で、少し時間が待てるのであればそれが一番ベストな造血幹細胞ソースとなることもあります。ですから、必ずしも緊急でということではないと思います。ただ、確かにアメリカなどにいたしましても、お願いしてから採取までいくのが早いことは速いです。それだけの理由で海外に頼むという事例は、ほとんどないと思います。
○浅野委員 基本的なことなのですけれども、ドナーさんがどういう気持ちで最初ドナー登録するかというときに、我が同胞を助けるためとだけ思って、海外の人は念頭にないと言うかどうかわかりませんけれども、中にはやはり日本の同じ仲間を救いたいとやっている人もいるかもしれないのですが、それに関連して、実際にそういうふうにやってこちらから海外に提供するときは、そのドナーさんは自分の骨髄液が海外の患者のために提供されていることはわかっているのでしょうか。
○岡本委員 どこに行くかはわかりませんけれども、国の中の方だけに使うという同意はとっていないと思います。それから、アメリカの場合には日本と違って人種がさまざまですので、海外の中にはアジアの民族的背景を持ったドナーをしっかりとリクルートしようというグループもありまして、そういった活動とアメリカのバンクはうまく連携をして、自分たちのバンクの中のドナーの民族的背景で少ないところをしっかりと裏打ちしています。ですので、向こうの方はどちらかというとアメリカだけということではなくて、逆にさまざまな世界を助けようとしています。
○小澤委員長 よろしいですか。
 骨髄、臍帯血の相互提供以外に国際共同研究とか、あるいは国際比較研究とかそういった観点の国際協力はいかがでしょうか。
○岡本委員 それは熱田先生のCIBMTRとかそういったことで、こちらはどちらかというとドナーサイドのことです。でも、その中でも医療に関係するさまざまな倫理的な問題も議論はされています。例えばこういった遺伝子の異常があった場合に、この人に移植をするとその方はもともとエイズを持っていて、エイズウイルスが感染しにくいリンパ球であるという場合に、この人にDNAの検査を頼んでドナーとしてお願いしていいかといったような、通常のプラクティスとは違うドナーの選択といったようなことも、いわゆるドナーサイドの問題についても議論していて、治療サイドはCIBMTRあるいはEBMTを中心としたワーキンググループ、あるいはAPBMTといったものが担当しているというすみ分けで理解いただければいいと思います。
○小澤委員長 研究面の国際連携は、熱田先生、何か。
○熱田参考人 現在日本と北米を中心としたCIBMTRとの共同研究は3つ走っております。それも近年は少し活性化を始めたところでありますが、共同研究を行うためにはまたいろいろな課題もございます。1つはデータを合わせることだけをとりましても、日本のデータは日本語になっておりまして、一応国際共同の共通項目は2007年から2008年にかけて日本のデータベースも基本的なものは合わせられるような形に少しずつ変えてはきておりますが、そういったものを合わせて解析することは容易ではないことと、あと岡本先生がおっしゃいました顔が見える形でやっていくことが、海外の人に信頼をしてもらって一緒に研究するという意味でも非常に重要になってきていると思います。
 アジアに関して言いますと、アジアは何件どこの国でどういう移植が行われているという件数情報に関しては2005年から収集しておりまして、それは日本で集めております。日本のデータセンターがそれも一緒に兼ねているという形になりますが、先ほど申し上げましたアウトカムも含めたたくさんの情報に関しては何とか始めたいといって1回集めたところでありますが、全く人員もいない、中央でデータ管理する人材すらいないという状況ですので、それをやっていくためにはこれからたくさんの資金も含めた努力等が必要になってくると思います。ただ、例えば韓国の合併症の成績と日本の合併症の成績が比較的似ているというデータもありまして、そういった意味でアジアでまた情報を比較していくことも、日欧米だけの比較では恐らく今後は不十分だろうということは確かなものとして言えるかと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 今村委員。
○今村委員 プリミティブな質問で恐縮ですけれども、診療報酬のことなのですが、いわゆるこれは全部混合診療という形でやっている状況のようですけれども、リソース自体が国際間で価格が非常に違うということになれば、国内でとれた骨髄と海外で持ってきたものでは価格は違うのですか。医療費用は。
○小澤委員長 室長。
○間臓器移植対策室長 結論的には異なることになると思います。ただ、日本の場合、例えば骨髄あるいは臍帯血そのものに値段がついているわけではなくて、医療費として診療報酬が医療機関に支払われたものの中から骨髄バンクやさい帯血バンクにお支払いいただいている、それは40万8,000円あるいは45万円ということになります。海外からもらう場合にはそれとはまた別個の数百万の費用がコーディネーション全体も含めてかかっているということです。結果的にはトータルの医療費といいますか、その人の治療にかかった費用は変わってき得ることになると思います。
○小澤委員長 よろしいですか。
 それでは、議事3の「これまでの議論の状況について」にまいります。前回の委員会の最後でも申し上げましたが、本日の委員会で基本方針の策定に向けた議論に一区切りがついた形となります。第34回の委員会以降、議論を重ねてまいりましたが、その状況について事務局にまとめてもらいましたので、資料について事務局から説明をお願いいたします。
○吉田室長補佐 それでは、お手元の資料5に沿って御説明いたします。
 基本方針につきましては造血幹細胞移植に関する国の取り組みの基本的な方向性を示すものとして作成することとなるわけでございますけれども、その前提ではこの委員会では第34回以降本日を含めますと計7回にわたって御議論いただき、また御意見をいただいてまいりました。その内容を資料としてまとめたものでございます。
 基本方針そのものにつきましては、議論のスタートである第34回の委員会で室長からも申し上げましたけれども、具体的に文章の形となったものにつきまして委員会にお示しして、今後御議論をいただく形になろうかと思います。
 2ページ目でございます。基本的な方向性ということでこれまでの委員会でも御説明申し上げてまいりましたけれども、資料の下のほうに下線を引いてございます。「移植を希望する患者の方々にとって、病気の種類や病状に合った最適な移植が行われるとともに生活の質の改善が図られること」、こちらが法律の提案理由説明で立法者の御意思として明らかにされておりまして、この委員会での委員の皆様の御議論につきましてもこの方向性を基本としてされてきたものと考えてございます。
 次、3ページ目でございます。造血幹細胞移植の需要ということで、こちらは第37回の委員会で御議論いただいたところでございます。
 議論について小澤委員長におまとめいただいたところといたしましては、1つ目、基本的には高齢者の増加に比例して当面造血幹細胞移植を必要とする患者が増加するであろう。
 2つ目でございますけれども、3つの移植ソースごとの需要予測は医学的な見地から困難であるけれども、増加する需要に対して現状の移植シェアは必要と見込むべきであり、そのためにドナーが必要である。
 3つ目でございますけれども、臍帯血移植については緊急時にも対応し得る移植ソースとして、増加する総需要に対応し得る程度の臍帯血のストックが必要と見込むべきであるとされたところでございます。
 4ページ目でございます。情報の一体的提供についてでございます。
 ページの上半分につきましては議論のまとめとして小澤委員長にまとめていただいたものでございますけれども、1つ目につきましては、ポータルサイトのようなものが必要であり、そこで提供する情報については患者相談窓口における相談内容を踏まえるのがよい。
 2つ目でございますけれども、移植成績につきましては患者や国民向けのものだけでなく、さらに詳細な情報を医療機関ですとか研究機関、さらに患者相談窓口を設けている団体などに提供するのがよい。
 3つ目につきましては、移植に先立って一元的に患者登録を行う仕組みが必要であるとされております。
 ページの下半分につきましては委員の皆様からいただいております関連の意見でございます。内容につきましては今回も含めこれまでの委員会で資料1として毎回お配りしていたものを整理して記載したものでございます。大変恐縮でございますけれども、時間の都合もございますので、こちらについては説明を割愛させていただきます。ごらんいただければと思います。
 次、5ページ目でございます。前回の委員会で御議論いただいた拠点病院に求められる条件についてでございます。
 議論のまとめといたしましては、1つ目、移植をコンスタントにバランスよく行っている病院から選定されるべきである。
 2つ目でございますけれども、スタッフの教育・養成の機能が重要である。
 3つ目でございますけれども、早期の骨髄採取にも対応できるように手術室の定期的な枠の確保ができており、また造血幹細胞移植学会認定のHCTC造血幹細胞移植コーディネーターなど、多職種がかかわるチーム医療の実践が行える体制になっていることが大切であるとされております。
 下半分につきましては4ページと同様、これまで委員の皆様からいただいた関連の御意見について記載してございます。
 次、6ページ目でございます。より早期の移植のために必要な取り組みということでまとめを記載してございます。
 上半分のところでございますけれども、1つ目、骨髄採取のために定期的に手術室の枠を確保できる体制が望ましい。
 2つ目のところでございますが、骨髄採取の少ない医療機関には1件でも採取数をふやしていただき、全体としてのベースアップを図ることが大切である。
 3つ目につきましては、非血縁者間の末梢血幹細胞移植のさらなる普及が望ましい。
 4つ目につきましては、早期に移植を実施するという観点からは臍帯血移植についても活用を進めていくことが必要とされたところでございます。
 こちらも同様に下半分につきましては委員の皆様からいただいた関連の御意見を記載してございます。
 次に7ページ目でございます。ドナー登録とリテンション、またはドナーへの対応ということで、多少項目が多くなってございますけれども、おまとめいただいたところといたしましては、上半分の1つ目でございますけれども、ドナー登録者数をふやすだけでなく、実際に骨髄提供に至る方の割合をふやす工夫が必要である。
 2つ目でございますけれども、広報等につきましてはさまざまなものを活用するとともに、特にドナーリテンションにつきましてはメールアドレスを活用して定期的にニュースを提供することなど、いわゆる継続的な取り組みが必要であろうとなっております。
 3つ目についてでございますけれども、ドナー登録に当たっての年齢制限は設けるべきではないが、ドナーとなる意思を持ち続けている方にできるだけ長い期間登録していただく観点から、若い方に対して重点的・積極的なドナーリクルートを行うことが重要である。
 4つ目につきましては、ドナーの御家族に骨髄移植について理解していただき協力いただくための働きかけを行うことも重要であろう。
 下半分でございますけれども、1つ目、骨髄の提供の際に休暇がとりやすいような環境整備も大切であろう。
 その下でございますけれども、骨髄バンクのコーディネーターにつきましては量的また質的充実が必要であろう。
 下半分の3つ目、これまで同様、ドナーの健康を守ることを重視すべきであろう。
 その次、4つ目、一方で、例えば比較的遠方の採取病院まで移動して検査や採取を受けることがあり得ることをあらかじめ説明するなど、ドナーに一層の御協力をお願いすることについても考えるということでございます。
 8ページでございますけれども、こちらにつきましては同様に委員の皆様からいただいている関連の御意見を記載してございます。
 8ページの下半分の部分の下から2つ目のところでございますけれども、前回の委員会で梅田委員から、骨髄バンクが加入している団体傷害保険の補償額を自動車保険のように無制限とすることについて御指摘をいただいたところでございます。事務局のほうでも少し調べてみましたところ、自動車保険の対人賠償額を無制限とするのが一般的になっていることにつきましては、過去に実際に数億円の賠償事例が発生したことなどを背景といたしまして賠償額を無制限にするというような商品設計が業界として一般的になってきた経緯があるようでございます。一方、骨髄バンクが加入しております団体傷害保険につきましてはさまざまな方、特に年収の異なるドナーの方を同一の条件で保険の対象とすることになるわけでございますけれども、その条件のもとでは死亡や後遺障害の保険金につきましては年収の10倍までを基準といたしまして1億円が上限という形になっているとのことでございます。
 資料9ページ目でございます。非血縁者間の末梢血幹細胞移植の普及についてでございます。
 1つ目、先ほどコーディネート期間の短縮のところと少し重複いたしますけれども、コーディネート期間の短縮のためにも非血縁者間の末梢血幹細胞移植の普及が望ましい。
 2つ目につきましては、末梢血幹細胞提供の際のドナーの居住地制限について、できるだけ緩和の方向で議論していただきたい。
 3つ目につきましては、末梢血幹細胞の採取・移植認定施設については、地域間のバランスなどを見ながら引き続きふやしていくことが重要であるとされたところでございます。
 また、下半分につきましては委員の皆様からいただいた御意見について記載してございます。
 10ページ目でございます。骨髄、末梢血幹細胞の品質確保ということでおまとめいただいた内容といたしましては、1つ目、現在実際に実施されている骨髄採取マニュアル及び末梢血幹細胞採取マニュアルに準拠する形が望ましい。
 2つ目、より多くの幹細胞の患者への移植、ドナーへの倫理的配慮や安全性の確保の観点から、当面骨髄、末梢血幹細胞は原則凍結禁止とし、緊急時には臍帯血の利用等で対応するという形でおまとめいただいたところでございます。
 次、11ページ目でございます。良質な臍帯血の一層の確保についてでございます。まとめといたしましては、1つ目、臍帯血の採取施設については、ただ施設数をふやすということではなく、安定的、定期的に採取してもらえる施設を中心に協力を依頼するのがよい。
 2つ目、さい帯血バンクは土日も含めて営業することなどによって受け入れ数をふやすとともに、採取施設と協力して公開に至る臍帯血の割合を高めるよう取り組むことが必要である。
 関連する御意見につきましては下の部分に記載しております。なお、一番下に※印で記載してございますけれども、臍帯血の品質基準につきましては別途検討会のほうで検討を進めておりますので、折を見て委員会に報告を差し上げる形になろうかと思います。
 駆け足で大変恐縮でございますけれども、以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 時間がもう余りありませんので議論を深めることはできませんけれども、これまでの議論について振り返っていただきまして、改めて各委員の先生方に何か一言感想でも結構ですけれども、特に強調しておきたいことをいただければと思います。全員に一言ずつよろしいでしょうか。
 辰井委員から一言。もっと後ですか、よろしいですか。
○辰井委員 私は正直申しまして、これまでのところは余りお役に立てていなくて、コメントすることもそれほどございません。この後の議題で、研究目的で臍帯血を使うとかいう場になりましたら恐らく何か申し上げられると思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 鎌田委員、何かコメントはいかがですか。
○鎌田委員 患者にとって望ましい状況が実現されていくだろうという期待とともに、非常に感慨深く思います。こうした進歩は、これまで闘病されてこられた患者さん自身の命であったり、闘病の経験というか、そういった患者さんの存在はもちろんのこと、そういった方を支えてこられた先生方とか医療関係者、ドナーさんやボランティアの方々等、本当に沢山の皆さんの努力でここまで来たのだなと非常に感じています。これがしっかり実現化されるようにまたさらに議論が深まっていくといいなと思います。
 情報などの一体的提供に関しても、これまで既にお話しされていたことですが、一番重要なことについては主治医の先生から直接お話しとか説明されることが大事だと思いますけれども、周辺の、それだけにとどまらない患者の知っておきたいこと、理解した上で考えていきたいことについて、本当に必要になったときに先生に質問したり理解を求めるためにも、患者が必要な分を自分で調べられる状況はあるのが望ましいと改めて思います。また、それが信頼できるものであるかどうかが大事になると思うので、今回議論されてきたように正確性が担保されている点も重要だと思います。あと患者は突然患者になるわけですので、もともと医療者であったような例外的な場合を除いては、一体どうしたらいいのだろうかというところから始まるわけですから、まずここにというところがあるのは非常に助かることですし、心強いところですし、そこから広がっていけることにもなるので、そういった意味でも患者にとってすごくありがたい有意義な方向に向かっていると思っています。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 感想としては、ここの専門委員会で議論した中で、私たちは学会、移植医として、患者さんとのつき合いの中で移植を見ているわけですけれども、そうでない領域の方から建設的な御意見をいただいたことは、私自身も非常に勉強になりました。その建設的な意見がしっかりとこの法律のほかに盛り込まれること、これまで皆さんがボランティア頑張って移植を支えてきたところに、よりしっかりとプラットフォームができ、正しい方向に向っていることを実感しています。これを実務に落としていくときにこの方向性がずれないようにしっかりと最後まで頑張りたいと思っています。
 強調したい点はとてもいっぱいあるので割愛します。
○小澤委員長 梅田委員。
○梅田委員 まず保険関係の補償に「無制限がない」という定義についてはよくわかりました。ただ、患者負担金ということでフォローされていますので、できるだけ減額の方向を御努力いただければなと思います。
 それから、感想ですが、民間保険会社がこういうトラブルがあったところを補償するというと違和感がなきにしもあらずで、例えば国家賠償的な考えもあるのかなと思います。
 先般目標について話しましたが、例えばドナーの数字目標ですが、数字ではなくても国が今年はどういう方針で幹細胞関係の活動をするのか、年間計画があるといいなと思いました。地方自治体は国の計画をもとにさらに展開して具体的方策に落としていく、そうすると、我々ボランティアは、行動目標といいますか、活動内容がよくわかるかと思います。
 さらにドナーリテンションまたはドナーリクルートでここだけは強調したいなと思っているのは、やはり日赤さんの関与は非常に大きいと言うことです。献血に来られる方はドナーにも関心が高いです。従って献血ルームで献血者に「ドナー登録できますよ」と一声かけるとドナーリクルートしやすいし、大変効果があります。また既にドナーになっておられる方は、献血にも関心が高くどんどん来られる。ドナーリテンションの議論でかなり話題になったと思うのですが、そこでドナー登録している献血者に一言かけていただけると、この方たちはドナー登録しているとの意識が非常に深まると思います。日赤さんの協調が重要であると私は初回の会議で申し上げましたが、ここのところをうまくやっていければ良いなと思います。
 以上です。
○小澤委員長 それでは、今村委員。
○今村委員 研究の促進という点からいえば、やはりデータマネージあるいはデータアナリシスの重要性が改めて強調されたと思います。これは一つ造血幹細胞移植だけではなく、国家プロジェクトとして進めているような日本発の創薬とか、こういうことについても非常に重要だろうと思いますので、専門家の養成については国が中心となって養成の制度を考えていただきたい。
 もう一つはこの前も申し上げましたけれども、造血幹細胞の移植はいわゆるボランティアの方々が非常に協力的にやっていただいているということで、しかも日本においては世界に冠たる業績を上げているということからして、この方針を貫いていただきたい。この前も申し上げましたけれども、これに営利の部分といいますか、エコノミックなインセンティブを与えるようなことは絶対に避けていただきたいと思います。
 以上です。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 この時期にこの委員会ができて、もともとあったわけですが、こういう検討をしているということは非常に重要だというか、どういう意味を持つのかということで考えていきたいと思います。
 そしてまた私も光栄にも患者経験者として委員に加えていただいてここにいるわけですけれども、それは大変感激というか、橋本明子さんがここで参考人として発言をしたときに、最後に移植の推進は国の責任だということをこうやって法律にしてくれたということで涙を流したのです。そういうことは、今までの連続性の中にこれがあるのではなくて、すごく画期的なことなのです。逆に言うと、この機会に今まで要望しても実現しなかったことを実現、一気呵成にやらないと、この委員会があだになってしまうというようなことも考えています。
 具体的には言いませんけれども、例えば委員長がまとめていただいた中で6ページに「医療機関において、骨髄採取のために定期的に手術室の枠を確保できる体制が望ましい」とあります。ほかのところもこういうものがありますけれども、では具体的にどういうふうにするのか。私はここで診療報酬を上げろとかいうことを言ったわけですけれども、委員会のまとめのところを想定していうと、ここで終わらずに具体的に診療報酬の引き上げをしろとかいうことを書くことが必要だ。これは国に対してだから言いやすいのですけれども、例えばドナー登録、リテンションのところで「骨髄の提供の際に休暇が取りやすいような環境を整備することも大切」、これは多分企業に言っているわけです。企業、事業所に対して言っている。これはどうやれば実効性があるかということまで頑張って踏み込まないとなかなか難しいのですけれども、こういう希望みたいなものを書いただけで実現するかどうかも心配です。
 ですから、私も含めてまとめるときに実行性のあるような、法律ができてよかった、そして委員会がこうやって、やってくれてよかったというようなことにぜひしたいとあらかじめ申し上げておきたいと思います。
○小澤委員長 坂巻委員長代理。
○坂巻委員長代理 私も岡本委員、浅野委員と同じように、この法律ができたことで、今まで我々が行ってきた移植医療に非常に大きな支援、サポートが得られたと思っておりますので、今後こういう法律を実行することによって我々の移植医療がもう一つ、ワンステップ上がるというような印象を持っております。特に我々は一生懸命医療をやってきた中で、さらにここに患者の視点が加わったこともとても大きなことだと思っております。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 この委員会に参加しまして、もちろんこの分野にかかわる方たちが熱心だということは取材を通して存じ上げていたのですが、さらに一層高いレベルで現場の医療のほうも、あと骨髄バンクさんやドナーリクルートのほうや患者家族、経験者の方たちが活動を続けられてこられたというのを非常に再実感させていただく委員会の参加だと思っています。この法律については皆さんやってこられた一部の方たちの努力が、その方たちがいなくなったり、スタッフがかわったり、お医者様がかわったりすることで途絶えていくことがないために法律をつくっていくのだと理解して委員会に参加してきたのです。
 一方、素人の立場で大変恐縮なのですけれども、今まで経験者の方の意見を聞いてきてふと思ったのですけれども、情報、情報と私はうるさく言っているのですけれども、初めて患者になった方は何を聞いていいかわからないやというところから、そもそもよくわからないけれども何を聞いていいかすらわからないところから始まっている。一方ですばらしい先生たちのいろいろな経験、さまざまなところの経験があるので、結局それをうまい形で患者さんに落とし込めれば非常に無駄にならないというか、生かしていけるなとすごく思っていて、特にこの分野はほかの病気の治療とはまた違うドナーさんがかかわってきたり、骨髄バンクさんがかかわってきたり、その後の生活があったりするので、患者さんに最初に大きな治療のパスみたいなものを示していくことが、先ほど熱田先生が御報告した知りたいことに集約されるかと思うのですけれども、このくらいの何をしたらいいかとかこのくらいの時間で治療が行くとか今後はこうなっていくけれどもこうなっていくのだよというのを大きなパスに落とし込むことを最初に示すことができれば、患者さんも何を聞いていいかわからないから、こういう流れだったらここはどうしたらいいのだろうとかそういうことが次に出てくると思うのです。
 ただ、医療関係者はお忙しいので、その方たちに寄り添うにはやはり別の方が必要で、先ほど言っていたコーディネーターとかデータマネージャーさんたちも非常に重要なのですけれども、いきなり全ての病院にその人たちが配置できることは多分期待もできないし、大きな時間もかかるし、お金の問題もあるので、ピアの方たち、ドナー経験者もしくは患者経験者、また家族の方たちが自由に患者に寄り添う方として病院内に、お医者さんとの従属関係とか病院との従属関係ではなく、ある程度対等にフリーの立場で出入りすることができれば大きな治療計画を示された患者さんに寄り添うことができるし、あと繰り返し言っていることなのですけれども、そういう方たちが絶えずかかわることによって、ここの治療で私が一番大切だと思っている社会的な関心の維持をずっと保っていくことの一助になるのではないかなと感じました。
○小澤委員長 張替委員。
○張替委員 このバンク事業が国の事業ということで裏づけられたのは安定した供給とか品質の確保に非常に重要で、意義の深い法律だと思います。その基盤の上でどういうふうに移植が行くかということに関しては回を繰り返すごとにいろいろな立場からディスカッションされて、最終的にいい方向がまとまったと思いますけれども、あとはこれをいかに達成するかということを今後議論していくことになるのだろうと思います。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 今回いろいろな議論を聞いて、改めて我々は医師としてやはり大事なことは、患者さんをよく見て一番いい治療をすることにますますみんなが頑張っていかなければいけないなと思いました。
 全体を通しては、骨髄移植はドナーがいて、ドナーを集めてくれるたくさんのボランティアの人で成り立っている非常に文化的な医療だと思います。先ほどの資料の中にもありましたけれども、国際的に見ると台湾30万、アメリカだと700万人、ドイツだったら200万人、人口割にすると日本よりまだまだ多い国もあります。私もこの前少し言いましたが、確かに数値の目標は要らないと思いますが、常に若い人たちに向けてドナーが必要だということを訴え続けることが大事だと思います。これは多分移植だけではなく、わが国におけるボランティア精神がもっと広がることにもつながってくると思いますので、そういった全体との関連を見ながら、日本全体でドナーをリクルートする中に成人式の中であるいは、マスコミを通じて、ボランティア精神の大事さを伝えていけるようなことが広がっていけば一番いいことかなと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 この委員会では毎回委員の先生方に活発な議論を展開していただきまして、大変ありがとうございました。先ほどからいろいろ意見が出ておりますけれども、こういう形で法整備が進むことによって移植医療が大きく発展することを期待しているところであります。きょうの委員会で基本方針の策定に向けた議論に一区切りがつきましたので、各委員からいただいた御意見や本日の委員会での議論を踏まえ、事務局は基本方針案の作成に取りかかっていただきたいと思います。
 それでは、本日最後の議事「その他」がありますけれども、何か御意見、コメントが特にありましたら、よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上であります。法律の施行に向けては基本方針以外にもこの委員会で取り扱うべき事項があります。次回の委員会においてはあっせん機関の安全基準や事業の許可、休廃止などについて議論を行うことにしたいと思います。
 最後に事務局から連絡をお願いします。
○吉田室長補佐 本日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 次回の委員会につきましては6月4日17時からを予定しております。先生方におかれましてはお忙しいところを恐縮でございますけれども、日程の確保に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
 また、7月以降の先生方の御予定につきまして別途事務局のほうから御連絡、問い合わせをさせていただきますので、御回答よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
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代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2363

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