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2013年5月2日 第1回 不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成25年5月2日(木)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

吉村委員 (座長) 石原委員
小崎委員 齊藤委員
島崎委員 鈴木委員
鶴田委員 平山委員
松本委員 見尾委員
村上委員 森委員
柳田委員

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長 鈴木大臣官房審議官
定塚総務課長 桑島母子保健課長
小宅母子保健推進官 渡利課長補佐
内山課長補佐 木下課長補佐

○議題

1.開会
2.議事
(1)不妊に悩む方への特定治療支援事業の今後のあり方について
(2)その他
3.閉会

○議事

○渡利課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、まことにありがとうございます。
 委員会開催に当たりまして、局長の石井より御挨拶申し上げます。
○石井雇用均等・児童家庭局長 厚生労働省で雇用均等・児童家庭局長をしております石井でございます。本日は、委員の皆様方におかれましては、大変御多用中にもかかわらず本検討会に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 不妊治療に対する助成事業でございますけれども、これは平成16年度に創設されて既に10年近くになろうとしておりますが、高額な経済的な負担の軽減を図るために体外受精等に要する費用の一部を助成する事業という形で行われてまいりました。
 また、専門家による相談・支援を行う不妊専門相談センター事業も行いまして、不妊に悩む方々への支援に取り組んできたところでございます。
 一方で、近年、結婚の年齢とか出産年齢が上昇してきておりまして、不妊に悩む方々がふえてきております。一般的に年齢が上がるにつれ妊娠率は低下をし、また、妊娠や出産に伴うリスクが高くなるといわれておりまして、不妊治療を受ける方々から、実はこういうことを知らなかったのだという声があるともいわれております。
 こうした現状を踏まえまして、今般、年齢と出産リスク、出産率の関係についての普及啓発を推進するとともに、特定治療支援事業をより安心・安全・適切に運営する方策を議論するため、本検討会を立ち上げさせていただいたところでございます。
 委員の皆様におかれましては、それぞれの御専門のお立場から御意見を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私どもとしましては、委員の皆様方からいただきました御意見を、できる限りこの政策に反映してまいりたいとも考えております。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○渡利課長補佐 傍聴される皆様方におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに資料の確認をさせていただきます。
 配付資料でございますが、まずは議事次第がございます。
 続きまして、資料1~5の5点になります。
 この次に参考資料として1点用意させていただいております。
 また、今回御確認いただく委員の先生方の資料が3点ほどございます。ちなみに、齊藤委員から発表いただく資料でございますが、後ほど差しかえがありますので、御留意いただければと思います。
 資料等の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思っています。よろしいでしょうか。
 それでは、まず、本検討会の設置の趣旨について御説明いたします。
 資料1の検討会の開催要項の1でございます。検討会は近年、晩産化に伴い、体外受精を受ける方の年齢の上昇が指摘されていることなどを踏まえ、年齢と出産率・出産リスクの関係についての普及啓発を推進するとともに、体外受精の費用の一部を助成する、不妊に悩む方への特定治療支援事業をより安心・安全・適切に運営するため、当該事業などの今後のあり方について検討するため、雇用均等・児童家庭局母子保健課長が学識経験者・実務者などの参集を得て設置するものでございます。
 また、法令に根拠を置く審議会等とは異なり、行政運営上の意見交換の場として位置づけられているものでございます。
 検討会の委員につきましては、資料1の裏面にございます。後ほど委員の紹介とともに座長の選任を行わせていただきます。
 資料1の「3.検討項目」でございますが、本検討会では不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方などについて御議論いただき、御意見をいただきたいと考えております。
 それでは、本日は第1回目の検討会となりますので、委員の皆様方の御紹介をさせていただきます。今、見ていただいている資料の裏面の名簿に掲載しておりますので、名簿順に御紹介させていただきます。
 埼玉医科大学産科婦人科教授の石原委員です。
○石原委員 埼玉医大の石原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 本日、所用により日本医師会常務理事の今村委員は欠席との御連絡をいただいております。
 独立行政法人国立成育医療研究センター器官病態系内科部遺伝診療科医長の小崎委員です。
○小崎委員 成育医療センター遺伝診療科の小崎と申します。
 私、小児科医をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 同じく成育医療研究センター母性医療診療部不妊診療科医長の齊藤委員でございます。
○齊藤委員 齊藤です。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 政策研究大学院大学教授の島崎委員です。
○島崎委員 島崎でございます。
○渡利課長補佐 フィンレージの会スタッフの鈴木委員です。
○鈴木委員 鈴木です。このたびはよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 静岡県医療衛生担当理事の鶴田委員です。
○鶴田委員 鶴田です。よろしくお願いします。
○渡利課長補佐 東京HARTクリニックで臨床心理士、かつ生殖医療カウンセラーをされており、日本生殖医療心理カウンセリング学会副理事長でもある平山委員です。
○平山委員 平山でございます。生殖医療カウンセラーとなっておりますが、生殖心理カウンセラーと誤っておりますので、御修正願います。
 よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 失礼いたしました。
 NPO法人Fineの理事長の松本委員です。
○松本委員 NPO法人Fine(ファイン)の松本でございます。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長で、ミオ・ファティリティ・クリニック院長の見尾委員です。
○見尾委員 見尾です。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 蔵本ウイメンズクリニック看護師長で、不妊症看護認定看護師の村上委員です。
○村上委員 村上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 聖路加看護大学母性看護・助産学研究室教授で、日本生殖看護学会理事の森委員です。
○森委員 森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター教授の柳田委員です。
○柳田委員 柳田でございます。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 慶應義塾大学医学部産婦人科教授で、日本生殖医学会理事長の吉村委員です。
○吉村委員 慶應の吉村です。よろしくお願いします。
○渡利課長補佐 続きまして、事務局職員の御紹介をさせていただきます。
 雇用均等・児童家庭局長の石井でございます。
○石井雇用均等・児童家庭局長 石井でございます。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 母子保健課長の桑島でございます。
○桑島母子保健課長 桑島でございます。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 母子保健推進官の小宅です。
○小宅母子保健推進官 小宅でございます。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 母子保健課課長補佐の内山です。
○内山課長補佐 内山です。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 同じく課長補佐の木下です。
○木下課長補佐 よろしくお願いします。
○渡利課長補佐 同じく課長補佐の亀田です。
○亀田課長補佐 亀田と申します。よろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 私、母子保健課長補佐の渡利です。よろしくお願いします。
 それでは、議事に入らせていただきます。最初に座長の選任を行わせていただきます。どなたか座長に御推薦のある方、いらっしゃいますでしょうか。
 森委員、どうぞ。
○森委員 日本生殖医学会の理事長でいらっしゃいまして、日本産科婦人科学会の前理事長でございました吉村先生を推薦したいと思います。
○渡利課長補佐 ただいま森委員から吉村委員という御推薦がありました。委員の皆様方、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○渡利課長補佐 それでは、本検討会の座長は吉村委員にお願いいたしたいと思います。
(吉村委員、座長席へ移動)
○吉村座長 ただいま「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」の座長を仰せつかりました吉村でございます。
 この委員会は社会的にも非常に注目をされておりますので、委員の皆様方におかれましては、御協力をいただきまして円滑な運営を努めてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○渡利課長補佐 ありがとうございました。
 以降の議事進行につきましては吉村座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○吉村座長 それでは、早速議事に入ってまいります。
 本検討会の今後の進め方についてでございますが、資料2をごらんいただきたいと思います。当面のスケジュールがここに示されております。本日は第1回目でございますので、まず、特定治療支援事業等の現状について事務局よりまず御説明をいただきました後に、鈴木委員、松本委員、齊藤委員の順番でプレゼンテーションをしていただきたいと思います。
 残りの時間で委員の皆様方から大まかなテーマごとに、きょうは自由に御議論をいただきたいと思います。
 まず初めに、事務局より不妊治療をめぐる現状についての御説明をお願いしたいと思います。
○内山課長補佐 それでは、お手元の資料3をお開きください。「不妊治療をめぐる現状」ということで用意させていただきました。事前に委員の皆様にはお渡ししておりますので、ごく簡単に説明させていただきます。
 1ページ目の下「日本の出生数と合計特殊出生率の推移」。
 昭和40年代後半の第2次ベビーブーム以降、出生数はどんどん減ってきておりまして、平成23年はこれまでの最低の出生数の約105万人となっております。
 24年についてはまだ数値の確定値が出ておりませんけれども、11月までの概数値であれば出ておりまして、23年と比べてさらに1万4,000人ほど下回っている状況です。
 2ページ目の上「母親の年齢(割合)の推移」。
 平成12年の5歳刻みのデータと平成23年のデータを比較いたしました。およそ10年間で母親の年齢が35歳以上の出産の割合が倍増しておりまして、平成12年は11.9%だったものが、23年には24.7%になっております。
 出生数では、出生数全体は119万から105万に減っておりますけれども、35~39歳が12万6,000人から22万1,000人、40歳以上につきましては1万5,000人から3万8,000人ということで、高年齢での出産が増えているといった状況です。
 3ページの上「体外受精による出生児数の推移」。
 平成16年が体外受精で誕生した赤ちゃんの数が1万8,000人ということでしたが、年々ふえまして、直近の平成22年につきましては2万8,000人以上誕生しております。割合も1.64%から2.7%に増えております。
 次に下の図で「不妊治療の流れ(概略図)」をお示ししております。
 この点線の中の部分が医療保険の適用対象となっているものであります。外科的な処置などを中心としまして、公的医療保険の対象になっております。
 下の色がついているところですが、体外受精と顕微授精につきましては医療保険の適用外ということで全額自己負担になっておりますが、その一部について、後ほど説明します特定不妊治療助成事業で一部助成をさせていただいております。
 4ページ目の上「不妊に悩む方への特定治療支援事業について」。
 体外受精と顕微授精を対象にして助成をさせていただいております。対象者については法律上の婚姻をしておられる夫婦です。給付の内容につきましては、1回15万円を上限となっております。
 平成25年から凍結胚移植などの採卵を伴わないものにつきましては、実態を勘案しまして、1回7.5万円に改めております。
 給付の回数制限ですが、1年目は年3回まで、2年度目以降は年2回まで、通算10回まで、通算5年までということでやらせていただいております。
 所得制限につきましては、夫婦合算の取得ベースで730万円です。
 右下の支給実績ですけれども、平成16年度の制度創設当初は約1万7,000件でございましたが、平成23年度は約11万2,000件ということで急増しております。
 その下「特定不妊治療助成事業における助成対象者の状況(平成23年度)」。
 左下が5歳刻みの年齢の分布です。一番多いのが35~39歳の40.3%、次が40~44歳の26.7%となっております。
 23年度につきましては5歳刻みでしかデータをとっておりませんが、24年度につきましては現在1歳刻みで各自治体に調査をお願いしておりまして、それが出てきましたら1歳刻みでお示しできます。
 その右上ですが、年間の助成回数は1回と2回が多くなっておりまして、1年目のみ3回ということですので、3回目の割合が低くなっております。
 助成の年数ですが、これも年とともにどんどん少なくなってきておりまして、4年目、5年目になりますとかなり減っているという状況です。
 5ページ目の上「『不妊に悩む方への特定治療支援事業』の実施医療機関指定要件指針について」。
 上は省略させていただきます。下の枠の中の人員の基準ですが、実施責任者・実施医師については1名以上ということで、さらに要件がございまして、日本産科婦人科学会の専門医を取得して、取得後2年以上不妊治療に従事していること。それから、学会の登録施設で1年以上勤務または研修をしていること、それで常勤であることといった条件をつけさせていただいております。
 看護師についても1名配置としております。
 「(2)配置が望ましい要員」ですけれども、いわゆる胚培養士、患者を看護の側面から支援するいわゆるコーディネーター、カウンセリングの側面から支援するいわゆるカウンセラーについては、それぞれ配置が望ましいということで示しております。
 枠外の※の下のほうですが、指定医療機関の数は24年7月現在で574施設となっております。
 最後に5ページの下「不妊専門相談センター事業」についてです。
 現在、都道府県・指定都市・中核市で全国61カ所、各自治体にやっていただいております。
 相談実績につきましては、23年度は約2万2,000件といった状況です。
 以上でございます。
○吉村座長 ありがとうございました。
 現在までの不妊治療をめぐる現状と、現在まで行われております特定不妊治療支援事業について大変要領よく御説明をいただきました。産婦人科の先生はよく御存じかもしれませんが、それ以外の先生もお見えになりますので、もしよろしければ、何か御質問があればしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小児科の先生、よろしいですか。皆さん、よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○吉村座長 ありがとうございました。
 では、続きましてプレゼンテーションを行っていただきたいと思うのですが、初めは齊藤先生の予定だったのですが、鈴木先生からプレゼンテーションをしていただけますか。
○鈴木委員 はい。
○吉村座長 3人のプレゼンテーションが終わった後に時間を設けて質疑をしたいと思いますので、質問事項は書きとめておいていただきたいと思います。
 鈴木先生、お願いできますか。
○鈴木委員 お手元に私のほうからの資料ということで配付されているかと思いますが、改めてよろしくお願いいたします。鈴木と申します。
 第1回目に当たりまして、フィンレージの会の活動紹介を簡単にということを依頼いただきましたので、とりあえず1枚、裏表の2ページですけれども、御用意させていただきました。それから、会報のサンプルを今日お持ちしましたので、今、お手元にはないかと思いますけれども、後ほど配布させていただきたく存じます。
 フィンレージの会というグループから参りました。ここにもう大体文書で用意してありますけれども、不妊に悩む人・不妊の問題を抱えた人の、私たちは自助グループ、セルフヘルプグループと言っております。
 発足は1991年だったのですが、今はもう絶版になってしまいました。とても分厚い晶文社から出ました『不妊—いま何が行われているか』という翻訳の本だったのですけれども、出版がきっかけになりましてこのグループができました。これは1991年になりますので、もう会としては20年以上ということになります。
 当時は、こうした不妊のグループというのは恐らくどこにもなく、本の出版をきっかけに、私もこんなふうに不妊で苦しんでいるという大量のお手紙が出版社のほうに参りまして、これは何か、こういった当事者のための話し合いなりができる、集まれる場をつくる必要があるだろうということで、このグループが始まったという経緯になります。
 それ以来、メインの活動は実際には、今、お手元にお配りさせていただきました会報の発行です。以前は年6回出していたのですけれども、これは今、年3回になっていますが、多いときには4回になっております。
 もう一つ、大事にしている活動というのが、私たちは井戸端会議と言っておりますが、これは当事者のセルフヘルプミーティングと言うのでしょうか、自助ミーティングとも言いますけれども、当事者のみで、いわゆる言いっ放しの聞きっ放しというやり方をとるミーティングの方式を取り入れてやっております。
 不妊の悩みはなかなか人に言えない、あるいは例えば周りの方にちらっと話してもなかなかわかってもらえないという悩みが多く、ものすごく孤独になっていたり、孤立感を抱えている方が、20年前も今も変わらず多いのです。こうしたミーティングの場に来て初めて話せたという方が非常に多くいらして、また、こんなことを言われてつらかった、あるいは病院でこんなことがあって、とても嫌というか、大変な悲しい思いをしたということをみんなでうんうんとうなずきながら聞き合えることで、非常に大きなストレス解消というのでしょうか、1人ではないのだという思いなども言いながら、そういった中で自分の不妊の問題、あるいは治療の選択ということを改めて冷静に考えられるという効果もあるかと思っています。これは今も一番大事にしている活動です。
 そのほかに、不定期ですがセミナー等の開催、それから、大きなイベントとして、1年に1回程度、例えば男女共同参画センターというところを貸し切りにしまして、いろいろなグループに呼びかけましてイベントをしたりとかもやってまいりました。
 もう一つ、サンプルで1冊だけ持って来たのですけれども、「新・レポート不妊~生殖技術についての意識調査報告」と題しまして、会の発行として大規模アンケート調査を1999年に行っております。これも日本として患者の意識なり、このときに例えば何年治療したとか、何回病院をかわったとか、そういったようなこともアンケートで伺ったのですけれども、費用のことなども伺いまして、こういった大規模調査もこの時点では私どもの会がやったのが初めてだったと思っております。
 そうした活動の流れの中から「2.理念と特徴」ということでお伝えしたいのですけれども、こうした不妊のグループというと、どうしてもみんなで頑張って治療してお母さんになろうねと思われがちなのですが、フィンレージの会はそれとはまた違いまして、一つが先ほど申し上げたように、まず不妊について忌憚なく、自分たちの体験なりを語り合える、悩みを分かち合える場をつくるということを大事にしてきた、そういった場でありたいということです。
 そうした仲間との対話を通じて、不妊治療・生殖技術のリスク、いろいろなことを知った上で自分が納得できる医療に出会えるようにということをずっと願ってきたということがもう一つです。
 ?が一番の特徴なのですが、子供がいてもいなくても抑圧されない社会であってほしいということをずっと願ってきたということがあります。
 補足として下に何行か書いているのですけれども、私もこの会に入りましたのは91年というか、もうかなり会の中で御局様状態になっているわけですけれども、長いものですから、意外にこうした長く残っているスタッフが多いのです。そして、たくさんの人の声を聞いてきたスタッフの多くはそうした活動の中で、子供を得ること、あるいは子供を持つとも表現されますけれども、それだけが不妊という問題の唯一の解決策ではなかろうということをずっと肌身に感じて、また、そのように考えてきました。
 理由の一つは、出産後、実際に子供ができても不妊の苦悩から、あるいは自分が不妊であるというアイデンティティーから全く抜け出せない方が現実にいらっしゃるということ、不妊でいろいろ悩んでいたときに受けた傷が、子供ができてもなお癒やされずにかなり引きずってしまう方も多いということで、よく不妊治療のゴールは妊娠ではない、子育てもあるのですが、まさに子供ができても不妊のゴールに全然なっていないという事例が実はかなりあるのだということをみんなの話から聞いてわかってきたからなのです。
 一方で、不妊という問題にとらわれていたのが私だったのねと後に表現なさる方もいて、実は子供ができなくても不妊の悩みから私は解放されまして、今、とても楽しく生きていますという表現で人生をいきいきと生きていらっしゃる方も実は少なからずいらっしゃるという事実もあります。
 あと、もう一つ、私どもは実は治療に余り積極的でないということもあるかもしれません。一つには、不妊治療が万能ではないことをもうこの何年の中でとてもわかってきているということ、むしろ不妊治療にリスクがあり、治療によって心身ともに傷つくこともまれではなく、現実にある。ささいなことかもしれませんけれども、例えばがんがん排卵誘発剤を使ったせいか、その辺の因果関係はわかりませんが、いろいろなストレスの関係なのか、不妊治療を長く続けて、結局もう割と早いうちに月経がとまってしまったというような、あるいは自分の体ががたがたになってしまって疲れがとれないというニュアンスの方も実は結構いらっしゃるのです。
 もう一つ、私たちの会は非常に長く活動していますので、90年代初期に起こりました注射の排卵誘発剤による事故、実際には脳梗塞、半身不随例というケースも幾つかありまして、その中の裁判の支援にも若干お手伝いをさせてきていただいたような経験もあり、不妊治療というのも本当に自分で気をつけて、治療によって自分の健康を損ねては本当に何もならないとまず思っています。
 中には、自分が死んでもいいから子供が欲しいと思いつめておっしゃる方も実際にはいるわけですけれども、それはちょっと考えたほうがいいよという感じで、その辺の情報をきちんと得た上で自分たちなりの選択をきちんと夫婦で話し合いながらしていっていただきたいということをずっと考えております。
 余り長くなってはあれなのですけれども、今回の検討会に臨んで、ずっとこの不妊治療の助成金に関してはもちろん注目はしてまいりました。そうした中で、私たちは先ほど言いましたように、子供ができればこれが解決、万々歳と思っていないということもありまして、不妊の問題は割と、例えば社会的に、あるいは家族の問題、夫婦の問題、子供の育て方や育てられ方、子供の育ちの環境の問題など、いろいろな視点から広い視野で不妊の問題を捉えていきたいと常々考えてきておりました。
 そうした中で、これは私たちスタッフが注目しているような社会動向として挙げてきたのですけれども、一つにこういった不妊治療を受ける人が非常に高齢化しているという、今回の問題も全ての背景として、非常に大きい問題としてあるなということ、それから、生殖の中では卵子の提供を受けた上での妊娠というのが、国外だけでなく国内でも非常に増加しているという問題。これは私どもの会にも相談がちらほら舞い込んできたりしております。そうしたことです。
 もう一つ、大変気にしているのが新型出生前診断の問題で、というのは、常に高齢の人、35歳以上の人がこういった出生前診断の対象として登場してくるわけです。
○吉村座長 鈴木先生、そろそろまとめてください。
○鈴木委員 すみません。そういうことも踏まえながら、この問題を見つめていきたいと考えております。
 以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして松本先生、お願いします。
○松本委員 それでは、スライドを用意させていただきましたので、お手元の資料でもスライドでも、ごらんになりやすいほうをごらんいただきながら御説明させていただければと思います。
 2枚目のスライドを出していただいてもよろしいでしょうか。
(PP)
 はじめまして。NPO法人Fineです。私たちは現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会という名をつけさせていただいています。
 2004年1月に任意団体として設立しまして、法人化は2005年1月です。
 私たちも自助グループと呼ばれる団体です。スタッフがみんな現在・過去・未来の不妊体験者です。つまり、既に治療を経てお母さんになった、お父さんになったという方、治療を経て子供を得られなくて夫婦2人で生きている方、治療したのだけれども、治療では授からなかったので養子を迎えた、あるいは里子を迎えた、そして今は子育てを楽しんでいらっしゃる方、それから、まだ今は独身なのだけれども、ちょっと自分の体に心配があって、将来子供が持てるかどうかわからないですという方も、全て私たちの仲間ですというコンセプトで活動を始めました。
 設立のきっかけは、自分自身が不妊体験をしまして、不妊にはもれなく「不」のつくいろいろな思いがついて来てしまったのです。不安とか不利、不便、不自由などなどです。
 私たちはこんな思いをする人が1人でも減ったらいいなと思いました。そのために、自分の体験で何かできることってあるのだろうかと思ってFineを立ち上げました。
(PP)
 最初は個人活動をしていました。でも、個人活動だけでは私たちの声はどこにも届かないのだなということに気がつきました。なので、5年経っても10年経っても、私たちの悩みは全く同じだったのです。
 先ほど鈴木さんがおっしゃったように、何年経っても当事者を取り巻く環境というのはなかなか変わらなかった。なぜだろうなと考えたときに、私たちの声はまだまだ届いていないのかもしれないなと思いました。ですので、一人一人ではなくて、ちょっとまとまったらいいのではないか。もしかして1人ではなくて10人、100人、1,000人集まったら、もう少し声が届きやすくなるのかなと思って団体を立ち上げました。
(PP)
 これはウエブサイトに載っております設立趣旨から抜粋して、こちらに掲載いたしました。一部だけ読ませていただきます。
 私たちは、不妊治療患者が正しい情報に基づき、自分で納得して選択した治療を安心して受けられる環境を整えること。また不妊体験者が社会から孤立することなく、健全な精神を持ち続けられる環境を整えることを目指しています。
(PP)
 私たちは設立の前にアンケートをとりました。441人の不妊当事者の方がアンケートに答えてくれて、こんなことに困っている、こんなことをしてほしいという声を私たちに寄せてくれました。そのアンケートを読んで、よし、ではこれをやろうと決めたのが、この5つの使命です。
 不妊体験者の支援。
 啓発活動。
 患者と医療機関や公的機関の橋渡し。
 患者自身の知識や意識の向上。
 治療環境の向上。
 この5つの使命をかなえるために、ごらんの8つの活動を行っています。
 会員数ですが、現在約1,300人、SNSに1,300人ぐらいの方が登録してくださっています。
(PP)
 これまでの活動で大きなものだけ抜粋して載せさせていただきました。できるだけたくさんの方に当事者の環境を知っていただきたいということで、公演をさせていただいたり、厚生労働省さんへは要望書を幾つか提出させていただいたりしております。
(PP)
これまでに提出させていただいた要望書は、ごらんの5つです。一番新しいものは、まさに助成事業についての要望書を、ことしの4月の改変があったということを踏まえた上で、ひとつ出させていただきました。
(PP)
 私たちは、不妊治療の負担は大きく4つに分かれるのではないかと思っています。
 1つ目が身体的(からだ)の負担。
 2つ目が精神的(こころ)の負担。
 3つ目が経済的(お金)の負担。
 4つ目が時間的(通院)の負担。
 それぞれ一人一人のバックグラウンドに合わせて、いろいろな悩みがあります。私たちは、これらの負担の軽減を目指して、いろいろな活動を行っています。
 中でもとても大事にしている活動がありますので、2つだけ御紹介させてください。
(PP)
 「設立準備アンケート」からとても大きな声がありました。「『カウンセリングが必要だ』と思ったことがありますか?」は「はい」が76%、「いいえ」が23%でした。やはりみんな心の悩みは大きいのだと思いました。ですので、私たちはさまざまなカウンセリングというのを展開しています。
(PP)
 Fineが行っているカウンセリング活動はごらんのようなものです。ピア・カウンセラーというものを私どもで養成するという事業を2005年から始めています。私たちは体験者でありながら、精神的なケアができるようなカウンセラーさんがほしかった。でも、なかなかいらっしゃらなかった。なので、自分たちで勉強して何とかやってみようということになりました。
 その試験を経て認定をとられた方たちがピア・カウンセラーとして、今、全国いろいろなところで活動していらっしゃいます。
(PP)
 もう一つは、「設立準備アンケート」で一番大きかった“困った”がありました。「病院やクリニックに対し、言いたくても言えない。かわりに誰かに言って欲しいことはありますか?」は「はい」が89%でした。「いいえ」が11%です。実に9割の方が、自分の通っていらっしゃる病院にいろいろなことを言えない、言いづらいと思っているということがわかりました。これはすごく大きな悩みだなと思いました。
 ここをパイプ役として何とかつなげることができないだろうかということで、それを解決する策の一つとして行っているのがごらんの事業です。
(PP)
 JISARTという、お隣の見尾先生が理事長を務めていらっしゃいます団体があります。こちらが行っていらっしゃいます審査システムの中で、患者としての意見を入れていただくということで審査に参加をさせていただいています。
 審査員は6人のチームです。医師・看護師・胚培養士・カウンセラー・受付・患者です。患者審査員の役割は、そこに通っていらっしゃる患者さんたちの声を集めて審査に反映することです。「さらに通いやすいクリニックにする」ためのパイプ役だと思っています。
(PP)
 それ以外のさまざまな活動として少しだけ御紹介させていただきますと、当事者の交流会をとても大事なものだと思っています。イベントなども行っています。
 アンケートというものを定期的に行っているのですが、そのプレスリリースも、きょう資料の一部として加えていただきましたので、後からごらんいただきたいと思います。
 一番新しいアンケートが、1993人の方がお答えくださいました不妊治療の経済的負担のアンケートというものです。きょう皆様のお手元にプレスリリースを配付していただいております。いろいろな声が詰まっておりますので、ぜひごらんいただけたら幸いです。
 きょうの資料として、私どものパンフレット、年報などもお手元に配付させていただいておりますので、詳しくはそちらをごらんいただけたらと思います。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。
○吉村座長 ありがとうございました。
 続きまして齊藤先生、お願いします。
○齊藤委員 では、発表させていただきます。
 今回、このような発表をさせていただくのは、厚生労働省の科学研究の吉村班で、生殖向上医療の現状をもう一度検討してどのような状況にあるのかということを調べろという命題をいただきまして、今回こういう結果を出させていただきました。それは以前、数年前の検討会の時は、日本の詳細なデータがなかったので、ここ4年間、日本産科婦人科学会では詳細なデータもとれるようになりました。それを含めて現状を解析いたしました。
(PP)
 検討に使った資料というのは、日本産科婦人科学会のART登録です。これは大体600施設で、2010年は24万件の治療があります。4年間でかなりの数になります。その詳細なデータを検討しました。
 もう一つのデータは、私の勤めている国立成育医療研究センターで、2006年から2008年に初めて体外受精を施行した、すなわちほかの施設で治療を行ってこなかった方の治療データです。初めて当施設で生殖補助医療を開始して、経過をとれた179名を5年間の治療を解析いたしました。
(PP)
 これで見ていただきますと、このデータで緑が凍結融解胚の治療です。それから、赤が顕微授精、青が体外受精なのです。これを足しますと2010年には24万件というかなりの治療件数が行われています。4年前の2007年は16万件で、この4年間で1.5倍の増加です。もっと以前から比べると、この20年間で50倍になっているのです。このように増加しています。
 この治療の年齢別治療数ですが、この4年間の詳細なデータです。母体の年齢に分けて、20歳から50歳までの方がどういう分布をしているのかを見てみますと、年々この山が高くなっています。この4年間に治療数が16万件から24万件と1.5倍に増えています。
 さらにもう一つの問題点は、40歳以上の率が2007年では31%だったのが、2010年では35.7%、約4%近く増加しており、この治療を受ける方の年齢も高齢化していることがわかりました。
 この成績が高齢であっても下がらなく、若い人と同じような成績であれば全然問題ないのですが、これが治療開始あたり、すなわち治療を開始して赤ちゃんが生まれる率すなわち、生産率、で見ますと、やはり若いところが高い。この治療を行っても、赤ちゃんが生まれる率というのは若いころでも2割ぐらいなのですが、32歳ぐらいから徐々に減少して、36歳からは急速に下がってきて、40歳で見てみますと、この4年間の変動は6.1から8.1ぐらいの間で、10%を割る生産率、すなわち、この治療を受けて赤ちゃんを家に連れて帰れる率ということになっております。さらに高齢ではかなり低くなっています。44歳ではこの治療を行っても、100人中1人、赤ちゃんを連れて帰れるという状況になっております。
(PP)
 今までのものは国の全国のデータです。これは私たちの施設のデータですが、5年間治療した方、回数が1回から11回以上、たくさん治療される方もいるし少ない患者さんもいらっしゃるわけなのですが、回数を多数行っている方は少なくて、例えば3回までで治療を終えた方というと、もうこれだけで6割近くです。6回までだとさらにまた20%ぐらいが加わりますので、80%を超える方が6回までで治療を終結しているという状況です。
(PP)
 特定不妊治療の助成の申請の状況ですが、179例中20.1%、36例の方が当科では治療の際に、この補助金、助成制度を利用していました。1回のみ利用した方というのは3割です。2回までが22%、3回までが16%というように、3回までで利用された方の70%近くになります。10回まで利用される方というのは私たちのところではなかったという状況であります。
(PP)
 これが治療回数と治療開始からの年月の関連なのですけれども、1年目、最初は179例全部の症例が治療を行います。2回目の治療までいく方が70例、3回までいく方が26例というように、5回までいく方は7例、6回までいく方は1例というように、結構1年目で治療回数が多い方がいます。2年目までですと、これが最高で11回以上治療を受けている方もいらっしゃるわけです。補助は1年目が3回まで、2年目が2回だとすると2年目までに5回までは補助が受けられるのですが、このように2年目で通算6回目から11回目まで治療される方もいらっしゃるというように、初期の段階の短い年月の間に多数治療を行っているということがわかりました。
 これは累積妊娠率と累積分娩率を示します。妊娠された方・分娩された方を100としたときに、何回目までの治療で何割妊娠・分娩しているのかを示しています。1回目では4割ぐらいです。3回目で大体7割ぐらい。6回目ぐらいで妊娠され、または分娩される方の9割以上はこの6回までの治療で分娩しています。その後の治療でも少しずつ増えますけれども、10回以上超えてようやく100%になります。10回までの治療を100と考えた場合には、これは90.0、92.0の値は6回目までの治療で、95.0%以上という状況になります。
 ここには示しませんでしたが、症例を年齢が若い方と高齢な方に分けますと、若い方は回数を重ねることにどんどん累積分娩率は上がります。40歳以上の方ですと3回目までに出産される方のほとんどが妊娠する。それ以後はなかなか妊娠しないということもあります。
 このグラフは、年齢が34歳以下で体外受精を始めた方、35~39歳で体外受精を始めた方が、40歳以上で体外受精を始めた方に分けて、それぞれの群の症例当たりの赤ちゃんが生まれる率を示します。青からいきますと、34歳以前で体外受精を始めると、約70%近くの方が赤ちゃんを得ているのです。35~39歳でこの治療を始めると、治療回数は何回だかわかりませんが、45%の方に赤ちゃんができている。それから、40歳以上でこの治療を始めますと12.5%の方に赤ちゃんができているというように、この治療を早く始めるほど赤ちゃんが獲得できる、すなわち、児を家に連れて帰れる率は高くなる。治療回数当たりの生産率は、34歳以前で体外受精を始めると約4回に1回生まれますが、35~39歳からだと約6回に1回ぐらい生まれます。40歳からだと40回に1回ぐらいとなります。40回治療すると1人生まれるという率になっているというように、若く始めることが、この治療を行うにしても効果は高いということがわかります。
 もちろん流産も、34歳までに治療を始めて妊娠した方の流産率は、15%ぐらいです。これは自然の妊娠の時と同じぐらいです。35~39歳で治療を開始し妊娠した方では約3分の1が流産します。40歳以上で治療を開始し妊娠した方では7割近くは流産してしまうという結果になることがわかりました。
 このデータを含め、我々は今の日本の状況を考えて、どういう時期に補助を設定すればいいのかというのを考察させていただきました。
(PP)
 これは本邦の結婚・出産の現状と妊娠適齢期のずれを示すスライドです。ここで見ていただけますように、妻の初婚年齢というのがこの20年間に約3歳遅くなりました。それから、第1子出産の年齢も27.0歳から29.9歳、2011年には30.1歳ですので、3歳遅くなっています。
 OECD加盟国の中で日本は第1子出生の平均年齢というのが、ここでは日本のデータが2005年のものを使っているのですが29.1歳、つまりOECDでも結構遅く子供を生む国であるということがわかりました。先ほど言ったように、2011年ですと30.1歳ですので、日本はトップクラスの子供を遅く産む国になっているということがわかるわけです。
 ところが、この時期まで妊娠の能力というのが落ちなければ問題ないわけなのですが、このスライドは自然のタイミングをとったときの妊娠する確率を示したものです。19~26歳の若い人が、ちょうどよいタイミングでとると5割妊娠されるのです。ところが、27~34歳でもう既に10%下がっている。すなわち4割。それから、35~39歳ではさらに10%下がって3割というように、年齢が高くなると、それも女性の年齢でいえば20の後半から妊娠する能力というのは落ちているということがこれからでもわかるわけで、妊娠しやすさというのは結構早くから落ちるということです。
(PP)
 本邦では妊娠にかかわる知識が普及していない。加齢と妊孕性、加齢と妊孕後のリスクということをきちんと教わっていないという現状があります。
(PP)
 これはことしの2月にHuman Reproductionというヨーロッパの雑誌に出た、どの程度妊娠にかかわる知識を習得しているかというのを国別に検討したデータなのです。左のほうのグループというのは先進国だと思ってください。
 こちらは後進国だと思ってください。
 赤の矢印を入れたのが日本なのですが、日本は先進国の中で極端に低く、妊娠にかかわる知識が少ないというデータを示されてしまいました。
 こちらのほうは後進国なのですけれども、後進国も含めて比べますとトルコに次いで、日本は妊娠に関する知識が習得されていないということも、やはり不妊治療が増えたりという原因の一つになるのではないかと考えております。
(PP)
 ところが、早く結婚されて、妊娠することも考えていただきますと、このグラフは妻の結婚年齢別に見た結婚持続期間別の平均出生子供数なのですけれども、20~24歳で若く結婚して、長く結婚していると2.08人子供ができる。希望の子供の数というのは、日本の調査では2.4なのです。2.4までは達しないのだけれども、早く結婚されて子供を持とうとすると、それに近いぐらいまで達します。しかし、結婚年齢が遅くなる、例えば35歳になると希望児の数とかけ離れ、1.1とやっと1人産んでいる状態で、このように遅く結婚すると希望数に比較しかなり下がっているという事実もございます。
(PP)
 それから、これが妻の年齢別に見た不妊についての心配と治療経験です。普通、不妊症は何パーセントあるのか。日本のデータはどのぐらいなのだとよく聞かれるのですが、大体昔は10%のカップルが不妊だといわれていました。このデータで見ていくとどこを不妊と定義するのかはまた問題がありますが、日本だと2年間子供を欲してもできないという定義があるのですが、ここではそのようなとり方ができないので、検査治療を受けたことがあるということを不妊のカップルだと考えた場合には、20代は大体10%ぐらいです。これは昔から言われてきた10組に1組となり、30~35歳では17%、6組に1組ぐらいです。40歳以上もそのぐらいというように、やはり年齢が高いほど不妊であるということがいえるわけで、若い時期に妊娠について考えていかなければならないこともわかります。
(PP)
 これは有名なデータですけれども、これは『Science』に出た1986年のデータなのです。結婚年齢と生涯不妊になる率の関係を示しています。20~24歳と若いと5%ぐらいですが、25~29歳だと9%、30~34歳だと15%というように、やはり遅く結婚されて、子供を持とうとすると生涯不妊率も高くなることが明らかにわかります。
(PP)
 妊娠しても、やはり年齢の問題があります。妊娠はしても、その後のリスクというのがあります。せっかく妊娠しても年齢が高くなると流産があり、例えば一番流産率が少ないのは、このデータでは25~34歳が一番低い。若くてもちょっと高くなるのですが、歳をとると当然のごとく流産率も高くなる。高齢では妊娠するのも大変だったけれども、妊娠してからも大変なことが起こります。
(PP)
 さらに周産期死亡率です。これは赤ちゃんがお産のときに死ぬ率なのですけれども、一番低いのは25~29歳で、この時期が一番安全であり、ちょっと若くても、高齢になってもリスクが高くなるということがわかります。
(PP)
 これが染色体異常率ですけれども、やはり母体が高齢になると、ダウンだけとってみてもかなり高くなる。若いころは1000人に1人ですが、40歳では106人に1人です。その他の異常を含めても、同様に高くなっていきます。こういう知識がやはり日本では普及していないということも晩婚化・晩産化・不妊治療の増加のひとつ原因として考えられます。ここまでの検討から、やはり若い時期は妊娠がしやすく、安全に妊娠経過・分娩ができるということが言えると思います。
(PP)
 最後に、これは「母の年齢と妊娠中の異常」ですが、若いときに比べて20~34歳のときを1としたときに、40歳以上ではどのぐらいのリスクになるのかというと、妊娠高血圧症候群とか前置胎盤とか胎盤早期剥離も1.5~3.5倍というように、かなり高くなる。このように、高齢になるといろいろなリスクが高くなる。妊娠しにくくなるだけでなく、妊娠後のリスク、産むときのリスク、お母さんのリスクが全部高くなる。これらを含めて、助成事業のあり方を考えていかなければならないと思い、この結果をまとめさせていただきました。年齢制限を設けて、できれば39歳以下で、もっと使いやすいように、2年間の間に結構治療をされているので、初期の段階で何回でも使える。6回まででこの治療で分娩される方の90%を超える方が含まれると考えれば、6回というのもありなのかなということを提案させていただきました。
 年齢制限をつけるということは、かなり厳しいという意見もございますが、逆に日本の現状というのは、妊娠に関する知識がすごく不足している状況です。年齢制限を設けることによって、妊娠するにはどの時期が一番いいのかというのを指し示す指標となります。もちろんこのような改変をするときには移行期間を考えてなければなりませんが、やはり国として、また、助成事業の効率を考えてみても、ある程度年齢制限を設けて、効率を考えることと、さらに国民の皆さんに妊娠の適齢期はいつなのかを示していくというのは大切ではないかと思って、この案を提案させていただきました。
 以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
 3人の皆さんから、2人はクライアントをどうやって支援していくかといった、大きな組織でありますフィンレージの会とFineからの御説明と、今、齊藤先生からは生殖補助医療、特に体外受精や顕微授精などの現状と、先生から研究内容についても御説明をいただきました。
 この点につきまして、何か御質問はございますか。これからいろいろなことでテーマに分けてちょっとずつ議論していただきますので、今、この3人の皆さんに御質問したいということだけございましたら、確認したいこととかそういうことがございましたら、どうぞ。
○鈴木委員 齊藤先生、いろいろなデータをありがとうございました。
 最初の年別の治療周期数のデータについてなんですけれども、1つお伺いしてよろしいですか。
○齊藤委員 はい。
○鈴木委員 割と2000年前後を境にぐっと全部がふえているのですが、IVF周期、通常の体外受精・胚移植の周期と、その上の赤がICSI、顕微の周期ですね。
○齊藤委員 赤が顕微ですね。
○鈴木委員 黄緑は凍結胚移植の周期でしょうか。
○齊藤委員 そうですね。済みません。小さくて申しわけないです。
○鈴木委員 これが実は結構伸びているなと読んだのですけれども、これには何か背景というのがあるのでしょうか。
○齊藤委員 日本産科婦人科学会では、2008年から胚を1個移植するというように決めたので、残りの胚を凍結する機会がすごくふえているので、2回目、3回目、4回目と凍らせた卵を使う可能性が高くなってきて、回数としてはふえてきている状況にあります。
○鈴木委員 ありがとうございます。
○吉村座長 そのほか、ございますか。
 森委員、どうぞ。
○森委員 初めの母子保健課の方からの説明で、不妊に悩む方への実施医療機関の指定要件の指針についても紙上にありましたし、また、Fineのほうでは、きょうお示しいただいたのは最新のアンケートの結果でしたけれども、治療環境ですとか施設の人員とか、そういった面でも調査をされていたと思うのです。その辺でわかっていることを少しお聞かせいただけたらと思います。
○吉村座長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 森先生、治療施設の。
○森委員 このもう一個前のアンケートで。
○松本委員 なるほど。もう一つ前のアンケートというのは、転院のアンケートを行ったことですね。患者はどのようにして転院を決めるのかというアンケートを行いまして、きょうはちょっと持ち合わせがないのですけれども、私どものウエブに載っておりますが、つまり何を重視するかです。施設の設備なのか、スタッフの方の対応なのか、成績なのか、それともホームページとかのクリニックの理念なのかということで調査をしました結果が、今、覚えてはいないのですけれども、例えば必ずしもデータだけで転院を決めるものでもなく、また、日本の患者は平均で3軒ほど転院をしているという結果が出ておりました。nが600近くだったと思いますけれども、最初の病院だけで治療を終えるという人はそんなにおらずに、何軒か回っている方が多かったという結果が出ております。
○森委員 そこの施設にとどまる理由として、幾つかまたあったかと思うのです。
○松本委員 とどまる理由としては、どちらかというとハードの面ではなくてソフトの面が大きかったと思います。つまり、施設の設備といったことも大事なのですが、対応だったりとか信頼関係だったりとか、そういったところを重視していらっしゃるという方が多かったと思います。
 今、細かいデータを持っていないのでうろ覚えで恐縮なのですが、ドクターの方の対応とかナースの方の対応と細かくデータをとっておりますので、もしよろしければウエブサイトのほうでごらんいただけたらと思います。
○吉村座長 次回のときはそういった質問があると思いますから、資料は持って来てください。
○松本委員 かしこまりました。
○吉村座長 そのほかございますか。
 また議論は進めてまいりますので、今後の議論の参考にするために、事務局には事前に論点の案を用意してもらっています。
 資料4をごらんいただきながら、事務局から御説明いただけますでしょうか。
○内山課長補佐 では、資料4について説明させていただきます。
 テーマについて、事務局で考えられた範囲の論点整理を示させていただきましたけれども、これについてのみ議論するということではなく、委員の皆様からの御指摘をいただきながら、また適宜論点を加えていきたいと思っております。
 全体として大きく分けて3つのテーマがあると考えておりまして、1つ目が知識の普及啓発、相談・支援の充実。
 2つ目が特定治療支援事業の助成対象範囲や給付水準について。
 3つ目が実施医療機関の要件、安全管理体制、情報の取り扱いといったことかと考えております。
 「1 妊娠や不妊等に関する知識の普及啓発、相談・支援の充実」についてですが、まず1つ目の「○ 年齢層に応じてどのような内容を普及啓発していけばよいか」ということです。齊藤委員からも御指摘をいただきましたけれども、年齢と妊孕性の関係、出産リスクの関係などが中心になると思いますけれども、それ以外でもどういった内容のものを普及啓発したらよいかという点です。
 2つ目の「○ 妊娠や不妊等に関する知識の普及啓発は、リーフレット等によるもののほか、どのような手段で行えばよいか」。現在リーフレットについては作成中ですけれども、それ以外で効率的・効果的な周知する手段がないかどうかという点です。
 3つ目の「○不妊専門相談センターは、相談を受けることを希望する者のニーズに沿っているか。より利便性の高いものにするためには、どのように運営すればよいか」という点です。相談方法は電話になるのか、面接なのか、メールなのか、開設日については各自治体の御判断に委ねておりますけれども、ばらつきがありまして、23年度の実績でも、面接についてはほとんどの自治体でやっていただいているのですが、メールによる相談受付というのが半分以下しかやっていないといった状況です。
 開設日数についてもばらつきがありまして、週6日やっているところから、少ないところだと月1回程度ということでばらつきがあります。
 年間の相談件数は全国で2万2,000件ですけれども、これも都道府県別で見るとかなりばらつきがありまして、多い県では4,000件を超える相談を年間で受けているのですが、少ない県では100件に満たないところもあるという状況です。
 最後の4つ目の「不妊専門相談センターについて、利用希望者により広く知ってもらうために、どのように周知を図ればよいか」という点です。
 次に「2 特定治療支援事業の助成対象範囲や給付水準」という点ですけれども、まず「○公的助成事業としてより適切なものとする観点から、不妊治療に対する費用助成は、どのような範囲とすればよいか」。
 1つ目のポツですが、通算助成回数、これは現行10回までですが、あと、年間の助成回数は現行1年目は3回まで、2年目以降は2回までといった回数制限をどうするか。
 2つ目のポツは、通算助成期間をどうするか。現在は5年とさせていただいておりますけれども、これをどうするか。
 3つ目のポツは、所得制限についてです。今は夫婦合算の所得ベースで730万という規準ですが、これをどうするか。
 4つ目のポツは、今、助成対象について年齢制限を設けておりませんけれども、助成対象年齢をどうするかといった点です。
 2つ目の「○公的助成事業としてより適切なものとする観点から、特定治療支援事業の給付水準はどのようなものにすればよいか」といった点です。現在は年齢や回数によって差を設けておりませんけれども、これを現状どおりの一律同額でよいか、もしくは年齢や助成回数によって額に差をつけるべきかといった点です。
 次に「3 実施医療機関の人員要件や安全管理体制、実施医療機関の情報の取扱い等」についてです。これについては参考資料と資料4を並べてごらんいただきたいのですけれども、1つ目の○「不妊治療に従事する産婦人科医や看護師の専門性を高めるための専門資格の取得を実施医療機関の基準にどのように位置づけていくべきか。」
 参考資料の1ページ、2ページで、現在の厚生労働省の基準と日本産科婦人科学会の基準を比較対照させております。現在の国の基準では、医師の要件については先ほど申し上げたような日本産科婦人科学会の専門医資格などを書いております。
 現在、日本生殖医学会の生殖医療専門医の資格については、厚労省の基準では何も言っておりませんけれども、学会の基準では生殖医療専門医であることが望ましいと書いております。
 看護師についてですけれども、日本看護協会の母性看護専門看護師、不妊症看護認定看護師等々の資格について基準にどう位置づけていくべきかといった論点もございます。
 学会の基準では、看護師のほうは不妊治療などに関する知識・技術を十分に習得した看護師であると書いておりますけれども、厚生労働省の基準では特段何も言っておりません。
 こういった専門資格を取得している方の数も踏まえながら考えていく必要があると思いますけれども、生殖医学会の生殖医療専門医につきましては、直近の数字で467名いらっしゃいます。母性看護専門看護師については44名、不妊症看護認定看護師については120名といった取得状況です。
 2つ目の○、「不妊治療を受ける者に対する相談・支援を充実させるための人員配置をどのように位置づけていくべきか」ですけれども、いわゆる患者さんを看護の側面から支援するいわゆるコーディネーター、患者さんを心理学、カウンセリングの側面から支援するいわゆるカウンセラーなどについてどう位置づけていくかということです。現状では、カウンセラーもコーディネーターについても、厚生労働省の基準では配置が望ましいと言っております。
 3つ目の○、「安全管理のための取組を実施医療機関の基準にどのように位置づけていくべきか」です。これは後で参考資料の35ページをごらんいただきたいのですけれども、21年に厚生労働省母子保健課で実施しました状況では、例で書いております器具等の識別をやっていない医療機関が1.4%で、「1操作1患者」を実施していない施設が0.7%、取り違い防止のためのダブルチェックを徹底していない医療機関が15.6%といったデータが出ております。こういった安全管理のための取り組みをどう位置づけていくべきかといった論点もあります。
 次、「治療希望者の医療機関選択に資するため、医療法の広告規制に留意しつつ、不妊治療を実施する医療機関の情報をどのように取り扱っていくべきか」という点も論点になるかと思っております。治療件数や治療費、あとは設備・人員配置等について、そういった情報をどう取り扱っていくべきかといった論点です。
 次の○、「患者の声を都道府県等が実施する審査にどのように反映するべきか」でございますけれども、例として患者グループインタビューと書かせていただいておりますけれども、こちらは見尾委員が理事長をやっておられますJISARTのほうで医療機関の審査のときに、その医療機関で治療を受けておられる患者さんなどのグループインタビューをやっているといった取り組みがございます。
 自治体の再審査は、「3年程度を目途に」とお願いしておりますけれども、審査の中でどうやって患者の声を反映する仕組みを設けていくべきかといった点があります。この点につきましては、自治体の限られた人員配置体制を考慮する必要もあるかと考えております。
 最後の○、「不妊治療の成果・予後の検証をさらに進めるためにどのような取り組みが必要か」といった論点がございます。現在の日本産科婦人科学会のほうでデータベースをつくっていただいておりますけれども、そのデータベースをどうしていくか。予後の検証をさらに進めていくためにはどのような取り組みが必要かといった点について御意見をいただければと思っております。
 以上でございます。
○吉村座長 ありがとうございました。
 今回の支援事業につきまして、主に3つの点でおまとめをいただきました。大変要領よくまとまっていたと思うのですけれども、この点について40分ぐらい、それぞれについて皆様方からの御意見を伺いたいと思います。
 初めの妊娠や不妊などに関する知識に対して、どのようにして普及啓発を行っていくかといった点の論点につきまして御意見のある方はお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○見尾委員 現在、外来で患者さんと接している中で一番感じることとしては、余りにも知識がなさ過ぎます。若い段階で十分にこういう卵子の減少とか劣化とかを周知徹底するということは絶対に必要だと思いますので、そういうことが十分周知徹底されない限りは年齢制限とかという話に多分いかないのではないかと思いますので、そういう意味では学校現場で教育あるいは現在、性教育ということが活動して行われておりますけれども、避妊とか中絶とかという話がメーンになっているのですが、そういうところに卵子の劣化とか数の減少とかということをきちんと盛り込んだ中身の生命誕生のすばらしさとか、もっと根本的には命に対しての教育、刷り込みというものをぜひ積極的に取り入れていただきたいと思っております。
○吉村座長 ありがとうございました。
 そのほかございますか。
 どうぞ。
○石原委員 教育現場での取り組みが必要なことはもう言うまでもないと思います。それに加えて、若い女性が多数働いている職場における適切な知識の普及、そして職場における、例えば妊娠・分娩に関するサポート、それに対する理解を上げるというような試みも必要になるのではないかと思いますので、これは厚生労働省が取り上げるべき事業としては非常に理にかなった方向性ではないかと思います。
○吉村座長 どうもありがとうございました。
 そのほかございますか。
 どうぞ。
○森委員 見尾先生のおっしゃったことも石原先生のおっしゃったことも、私もそのように思います。高等学校までの学校教育の中で、もっと教育すべきかなと思います。より多くの、女性だけではなく男性も平等に学べるという場は学校だと思いますので、学校での性教育の一環としてぜひ文部科学省にも協力いただいて、こういった教育を充実させていく必要があるかなと思います。
 今年、高等学校の保健体育の教科書を確認してみたのですけれども、年齢を重ねることによって妊娠しにくくなる可能性はありますという記述はなされていました。ですので、もう少し踏み込んで、生徒たちの印象に残るように教育していただけたらと思います。
○吉村座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○松本委員 それに付随してなのですけれども、男女全く同じように教育していただきたいというのはまさにありまして、私どものところに上がってくる声では、女性は結婚とか妊娠の気持ちがあっても、男性がまだいいではないかとか、まだまだ若いから大丈夫と言って、結婚や出産を先延ばしにするという状況もまま見られることがあります。ですので、男女ともに妊娠・出産に対する知識というのは得ていただきたいと思うのがこちらの意見です。
○吉村座長 そのほかございますか。
 どうぞ。
○鶴田委員 私は10年くらい産婦人科医をしていたましたが、現在、都道府県で子育て支援とか、少子化対策を担当している立場から発言します。今日、日本全体で少子化が進む中でいかに産みやすい環境をつくるかということに取り組んでいます。そうした中では不妊症に関する教育とかも必要になってきますし、不妊症に関する情報提供も必要になってきますので、わかりやすい情報提供のあり方を考える必要があると思います。
 先ほどの齊藤先生の5ページの治療回数のところに関してですが、これを一見して累積妊娠率と累積分娩率ではどうして累積分娩率が高いのかというのをまず疑問に思いました。これは単純に妊娠したり、分娩した人を100%にして作成しているからこういうグラフになるのだろうと思いますけれども、現実的には妊娠・分娩する人は対象者の20%もいないわけですね。そういう観点からすると、こういうグラフをつくるに当たっても、例えばその人が何回治療をやって、何回妊娠し、何回分娩したというようなものを作成して欲しいと思います。20歳の人は何回ぐらい治療したら、何回妊娠し、何回分娩した、もしくは何回流産した。治療して生まれた子供の障害率がどのくらいで、将来的にはその子供たちの発達障害がどのくらいとか、全体としてこうなりますというものを示して頂きたい。1つの表の中で、年齢毎も5歳毎でもいいと思うのですが、そういう分かりやすい形で県民なり、国民に分かるような資料でもって、不妊症に対する認識を高めていくということが必要ではないかと思います。
○吉村座長 齊藤先生、どうですか。
○齊藤委員 そういう資料もあるのですけれども、きょう、時間的な制限で、今回、助成事業に関して一番関連深いところを提示したもので、それもありますし、もしこういうような情報を提供していくときには、鶴田委員が言われるようなわかりやすいものを考えていくことがすごく大切かと思います。
○吉村座長 実際に不妊症である人が相談するかというと、機能しているかどうかは別として、地方自治体は不妊専門相談センターというのを一応持っているはずですね。その点について何か御意見ありますか。鈴木さん、どうぞ。
○鈴木委員 現状、利用希望者により広く周知ということが問われているのですけれども、基本的には不妊専門相談支援センターのポスターというのは各病院に張られているのではありませんでしたかということをまず確認したいということ。
 以前、そちらにいらっしゃる森委員と看護職の皆さんとともに全国の自治体というか行政の何カ所か行脚、回らせていただいた経験もあるのですけれども、自治体、こうした母子保健行政と情報ものクリニックの連携がなかなかうまくいっていないという印象をずっともっています。
 例えば結局、クリニックが行政でこういう不妊専門相談センターをやっていることを余り知っていないということもありますし、中身の協力体制などについて十分に行っていないということ、そういう意味では行政と民間、特に民間クリニック、非常に今増えている地域内での民間クリニックと現場行政の連携、あるいは連携によるセミナーですとか講座ですとかというような情報提供の仕組みが非常に大事かと思っております。
○吉村座長 松本さん、どうですか。
○松本委員 それぞれの自治体の相談窓口とかがなかなか見つけづらいという声が上がってくるのと、情報がアップデートされていないことが時々あるみたいです。また、平日の日中に相談の時間を設けていらっしゃるところが結構あるのですけれども、そうすると働いてらっしゃる方とか特に男性の方もそうですけれども、なかなか利用しづらいといった声は上がってきております。
○吉村座長 見尾先生、地方でどうですか。
○見尾委員 正直申し上げて、ほとんど機能していないと思います。
○吉村座長 どうぞ。
〇石原委員 埼玉県も比較的早い時期から不妊相談センター事業をやっておりました。
 私たちの印象からすると、この約10年間の間に、1つはインターネット環境が非常に変わりまして、患者さんたちあるいはそうした相談を求める方がインターネットに容易にアクセスできるようになったこと。さらに、さまざまなウエブサイトで類似の相談を提供している場所が相当数ふえまして、そういう意味で10年前に考えられたスタイルの不妊相談という役割は、実は終わっているのではないかなという気が多少いたしますので、何らかの形でやはりこれはやり方を変えていく必要があるのではないかと感じております。
〇吉村座長 ありがとうございました。
 そのほかございますか。どうぞ。
〇平山委員 地方自治体から不妊専門相談センターの相談員の研修などに呼ばれて、させていただくことが多いのですけれども、本当にやっていることが地方自治体で全然ばらばらなのです。それは何でかというと、何をやっていいかわからない。不妊の方と接したこともない助産師さんが相談に当たっているという現状があるわけですから、そこら辺の問題があるのが1つ。それから、今、石原先生が言ってくださったように、不妊治療に通っていらっしゃる方は施設であったりとか、そういうところでまだ相談するアクセス権があるのですけれども、通っていない人、そういう意味では啓蒙ということともつながると思いますが、そういう人をもうちょっとターゲットにできるようにする必要があるのではないかというのが1点。
 それからもう一つ、不妊専門相談センターで行う相談というものが、医療相談と心理・社会的な相談というのは物すごくごちゃごちゃになっているのです。だから、それをちゃんと両方担える形をつくっていくことが必要ではないかなと思っています。
〇吉村座長 ありがとうございました。そのほかありますか。
 この点はこのくらいでやめたいと思います。これをまとめますと、思春期からの教育が非常に大切であるということ。学校教育も非常に大切だということです。
 文科省にも、来年度ぐらいから教科書を変える動きがあります。大分いいものになってきたのですけれども、やはり知識を与えるだけのものであって、非常にネガティブな性教育であると感じるのです。例えば、どのようにして、避妊をするかとか、性感染症はどうやって予防するかとか、要するにどうやったら妊娠できるのかというポジティブな教育というのは非常に少ない感じがします。
 やはり、男の子に対しても、同じように教育していかなければいけないと思います。
 それから、職場における教育も非常に大切だということと、不妊専門相談センターという非常にいい施設だと思うのですけれども、これは地方自治体によって、アクティビティーが本当に違うのです。全くしていないところと非常に熱心にされているところとまちまちです。こういった施設、センターというものは大事なものだと思いますし、ネットが幾ら発達しても、こういったセンターがあっていいのではないかなと思います。このようにまとめさせていただきたいと思います。
 次ですが、支援事業の助成の対象の範囲と給付水準。これはいろいろな御意見があると思うのです。ですから、きょうは自由に御意見をできる限り多くの人から何回にしてほしいとかある方はどうぞおっしゃってください。
 どうぞ。
〇見尾委員 ここに来させていただく前に、いろいろ成績を見て調べてみました。
 そうすると、治療を始めて1年間で半分だったです。5割。2年やりますと9割妊娠されます。
 ということは、恐らく最初の2年間ぐらいで妊娠できる方というのはほとんど妊娠されてしまうのではないかと。それなりのきちんとした対応をとれば、ほぼ妊娠できてしまうということなので、やはりそこらあたりに手厚く助成が行われるというのが僕は望ましいのではないかなと思っております。
〇吉村座長 ありがとうございます。
 そのほか、ございますか。どうぞ。
〇村上委員 私も、2年間という期限は賛成です。というのは、今、5年間の助成期限がありますけれども、大体これを使われている方は難治性の方か第二子を希望して治療されている方なのですけれども、1人の女性が5年間かけて不妊治療を第一子のためにするということになると、体にかかる負担、心身の負担、社会・経済的な負担も大きいので、長くする必要はなく、2年間がいいのではないかと思います。
 それともう一つは、先ほど齊藤委員の御発言の中にもありましたが、34歳以下の妊娠しやすい、妊娠後のリスクも低い方たちに手厚く助成をする。35歳以上とそれ以下の方の助成額を変えるという方法も妊孕率の社会への啓発も兼ねていると思いますし、若い世代の方たちは、経済的な基盤がないために、ARTを受けたいと思っていてもなかなかできないという現状もありますので、助成額を年齢によって変えていくというのは、一つの案ではないかと思います。
〇吉村座長 そのほか、どうですか。
 柳田委員、どうですか。
〇柳田委員 2回、3回あるいは2年というところで、ほとんどの方がそこで妊娠してくるという、それはもっともな考え方なのですけれども、やはり不妊の原因の背景によってはかかる方もいらっしゃるので、そういったところを何か少しでも拾い上げられればいいなと思ったのですが、ちょっと齊藤委員のデータで質問があるのですけれどもよろしいでしょうか。
 4ページ目の上の「初回ARTより5年間のART件数」の表なのですけれども、大体3回ぐらいで大方妊娠をされているという方なのですが、そうしますと、回数を繰り返してして来ないという方は、そこで妊娠をされたのかあるいはほかに転院をされたのかというところはいかがでしょうか。
〇齊藤委員 うちの患者さんは、大体続けてくれる方が多いので、転院されるという方は、もちろん我々のところはむしろ逆にほかから来る方はいるのですが、うちから行かれる方はいないので、ほぼその数値ということになります。
〇柳田委員 わかりました。ありがとうございます。
〇吉村座長 そのほかございますか。
 今、助成の期間についてとおっしゃったのですけれども、年間の助成回数とか、そういう点についてはいかがですか。御意見があったら。
〇石原委員 最近は、やはり体に優しい排卵誘発法であるとか、できるだけ負担の少ない方法をとられるケースが多いため、先ほど齊藤委員からも御説明がございましたように、1年間に5回、6回治療を受けられる方がいらっしゃるわけですので、特に最初の1、2年ということに、先ほど来、年限を縮めることが前提となると思いますが、2回とか3回に必ずしも制限をしておく必要はないのではないか。
 ただ、これは個人のお考えにもよると思いますので、年間の回数に関しては、選択の幅を広げるという方向性のほうがよろしいのではないかと思います。
〇吉村座長 そのほかございますか。
 それで、所得が今、730万になっていますね。650万円から730万円に上がったのですけれども、この点については何か御意見がございましたら。撤廃するとか、そういう意見もあると思います。
 都会などでは、やはりなかなか730万円というと、ほとんどの方が730万円を超えてしまっているということで、受けられない方も結構お見えになります。地方はそういうことがないということもお伺いしましたけれども、これは地域格差が結構あると思うのです。
 この点につきましても、御意見があるようでしたら、またおっしゃっていただきたいと思います。最も大切なことは、助成の対象年齢なのですけれども、この点について、御意見がある方はお見えになると思いますけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。
〇村上委員 対象年齢なのですけれども、先ほど齊藤委員がお示しいただきました40代に関してですが、やはり42~43歳、このあたりからもう本当に妊孕率も下がってきますし、40代からは当然リスクは上がってきますけれども、最近この不妊治療をどこまで続けるのかということの中で、今回で助成金の支給年限が終わるので、治療をやめたいと思っていると言われる患者さんがおられます。それが大体42~43歳ぐらいの方で、助成年限が切れる方が終結を助成の関連と一緒に考えている方もおられるので、私としては、40代全ての方を44歳、45歳、46歳まで助成するのではなく、42~43歳、このあたりまでを一つの年限として区切ってもいいのではないかと思います。
〇吉村座長 ありがとうございました。
 平山先生、カウンセリングの観点から、年齢というのはいかがでしょうか。
〇平山委員 そうですね。続けられるから続けてしまうと、今、村上委員の意見ですけれども、やはりそうできてしまうのです。できてしまうから続けるという側面もあると思います。
 ただ、もちろん年齢で公的な助成ということを考えたときには、ある程度の制限を設けるのは、やはり必要なことかなと思いますが、それは何か高齢であったら絶対治療してはいけないみたいな空気になってしまうと、それはそれで問題があるかなと思います。
〇吉村座長 患者さんの側からいかがですか。
 鈴木委員、何かありますか。
〇鈴木委員 まず一般論として、年齢制限は今回の場合、やむを得ないだろうと考えております。
 ただ、それを幾つにするかというところなのです。世間的には、例えばそれこそ医学データをあくまでとにかく根拠にしていくのであれば、35という線も当然ありなわけです、極端な話。今回、それは全然厳しいと。39と聞いたときも、ちょっと厳しいなと正直感じました。それは医学根拠があるわけではなく、本当に自分のこれまでの情緒的なというのでしょうか、あくまで印象の問題ですが、村上委員と実は同じような42ぐらいかなと正直言えば思っておりましたので、だから何を根拠に例えば39あるいは40歳未満という方になるのかわかりませんが、ちょっと微妙なところだなと思っております。
〇吉村座長 松本委員、どうですか。
〇松本委員 うちもスタッフだけですけれども、投票とアンケートをとったのですが、年齢制限はやむを得ない。ただし、そのかわりに周知が必要ということと、総額が余りにも半減してしまうのもどうなのかという話もちょっと出たのです。支給総額の話です。
 今のところ、150万円まで1人につき支給していただけることになっていますが、それが2年間で6回だと、かなり減ってしまうことになるので、本当に若い方たちに手厚くというのであれば、その辺を少し金額を上げていただけるとか、回数の制限をなくしていただけるのであればいいのではないかという意見が出ています。
 年齢については、やはり42か43ぐらいが現在の患者のことを考えるといいのではないかなという意見で鈴木委員と同じです。
〇吉村座長 ちょっとわからなかったのですが、給付水準を変えるということですか。
〇松本委員 水準というか、何か報道では2年間で6回まで助成になるかもしれないということでしたので。
〇吉村座長 報道は齊藤先生の結果からそうなっただけであって、何もまだ決まっていないのですよ。
〇松本委員 そうですよね。
〇吉村座長 全く決まっていないのです。皆様方の御意見で決まるわけですから。
〇松本委員 わかりました。
〇吉村座長 給付水準はどのようにしたらいいとお考えなのですか。例えば、若い人にはどうしたらいいのか、40歳を超えた人にはどうしたらいいのか。それはまだコンセンサスを得られていないのですか。
〇松本委員 いえ、というか、もし2年間とか、若い方に手厚くというのであれば、現在、150万円までマックスで出していただけるものを、では2年間で使い切っていいよと言っていただけるのであれば、それは確かに若い方は今の差額のお金を出すのもとても大変なことですから、それは確かにいいことだろうなという意見が出ましたが、国家の財政のことを考えると、そういうことは言っていられないのだろうなというのもありますので、一応、出た意見としてお伝えします。
〇吉村座長 どうぞ。
〇島崎委員 多分、この検討会の委員の中で、関係団体の方を別にすれば、広い意味での医療関係者でないのは私ぐらいかなと思われますので、一つ申し上げておきたいと思います。
リスクを含めて正しい情報をきちんと伝達・提示し、その上でそれぞれの方が選択をするということは、非常に大切なことだと思います。
 したがって、学校教育の場を含めて、正しい情報を伝え啓発をすることについて、私は反対ではありません。また、特定治療の支援事業の助成対象についても、財源は税金で賄われているわけですから、それが適切なものとなるよう一定の基準が設けられることも理解できます。実際、これまでも回数や金額についてやってきたわけで、必要な見直しを行うことはやむを得ないと私も思います。
 ただし、その上で申し上げれば、やはり妊娠するあるいは子どもを産むということは、当事者の極めて私的な領域なわけですから、それに国家が干渉することは許されませんし、強いメッセージを与え過ぎないかということについて、慎重な配慮があって然るべきだと思います。
 例えば、もし子供が生まれるか生まれないかということだけを考えれば、先ほどの御説明であれば、若いほどよいわけですから、そこにお金を重点的に配分してしまうというのが一番わかりやすいかもしれませんけれども、おそらく誰もが直感的にそれは妥当ではないと思うはずです。それはなぜかと言えば、いま申し上げた理由があるからだろうと思います。
 したがって、この検討会で、年齢制限を設けるとか、通算の助成期間を設けるとか、いろいろなお考え方はあると思いますし、もちろん自由に議論することは重要なことだと思いますが、ただ、その際、くれぐれも先ほど申し上げたことは忘れてはなりませんし、丁寧な説明を行うことが必要だと思います。
〇吉村座長 貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、大体2番目につきましてはこのくらいで、また今後、こういったことについては一番議論の的になると思いますので。
〇石原委員 1点だけ。
〇吉村座長 どうぞ。
〇石原委員 1点だけ、できれば事務局にお願いしたいのですが、やはり議論の前提となるバジェットのことで、結局これまで見ていますと、物すごい伸びの助成金の支出件数があるわけですが、年度を追って大体どの程度支出があったのかという数字を、もし差し支えがなければ出していただくと、議論の参考にはなるのではないかと思います。
 それだけ、次回でも結構です。よろしくお願いいたします。
〇吉村座長 現在は、大体200億ぐらいが使われているということです。多分8年前は30億とかそのくらいではなかったのか。6倍ぐらいになっているのではないかなと思います。
 そんな感じでよろしいですか。
 どうぞ。
〇内山課長補佐 次回以降、また整理してお持ちしたいと思います。
 現時点では、平成16年度の予算額では、約25億円ということでございました。直近では、平成23年度、全体の補助金の中の一つの事業ですので、不妊治療の助成だけということではありませんけれども、23年度では、全体で98億7,000万円の中の内数、おおむね9割以上が不妊治療の助成に使われているといった状況です。これは国庫負担のベースであります。
〇吉村座長 国庫負担と地方負担分をあわせて大体200億弱使われているという理解で、今度またデータをお示ししていただきたいと思います。
 それでは、3番目にこれもすごく大事なことなのですけれども、これも10年ぐらい前にもう一回決めるときに非常にもめたところでありまして、実施医療機関の人員要件とか安全管理体制、情報の取扱い、この点につきまして、御意見があったらお願いしたいのです。
 前のときに森委員、結構おっしゃいましたね。
〇森委員 そのように受けとめられているとは思わなかったです。
 この分野では、母性看護専門看護師、不妊症看護認定看護師という、通常の看護師よりも経験と学習を積んだ資格を得た看護師がいるわけですけれども、何分にもやはりまだ人数が十分でないという現状があります。それですので、このような資格認定を受けた看護師を置くということには限界があると思います。
 そのことは、あれから6年たって頑張ってきていますけれども、認めざるを得ないかなと思っています。ただ、資格認定を持っていなくても、ある程度経験と知識を持った看護師を専任で置いてほしいとお願いしたいなと思います。
〇吉村座長 看護師の方というのは、非常に大切だと思います。例えば増えていないというのは、要するに看護師が望ましい条件に入っていなかったからということもあると思うのです。それはインセンティブを与えられなかったからです。
 そのほかございますか。
 どうぞ。
〇鶴田委員 参考資料2についてですが、学会基準は連携が望ましいとあり、厚生労働省指針では配置が望ましいとあるのは、基準を少し厳しくするという方向かと思いますけれども、それぞれの項目に関し、病院と診療所でどういう実態になっているかという数字が分かれば、もっと議論しやすいと思います。もう一つ、泌尿器科の医師については、病院の場合はその病院にいると思うのですが、診療所で産婦人科医と泌尿器科医が共にいるというのは、余り聞かないと思います。それは望ましいからであり、義務ではないので、どの程度の望ましさかによって違いますけれども、もし、それがかなり縛りのきつい望ましいであれば、逆に患者さんは非常に受診しにくい環境になるのではないかということを懸念します。従って、病院、診療所における実態がどうなっているかを含めて、資料をもとに議論させて頂きたいなと思います。
〇吉村座長 どうぞ。
〇見尾委員 きょうは1回目ですので、総論的なお話にさせていただきたいのですけれども、500幾らの医療施設の中で、実際にやはりクオリティーが高い施設というのは、恐らく治療周期数に比例しているのだろうと思いますので、そういう意味では、助成の対象となる施設というのは、それなりにやはりハードルを少し上げる必要というのは当然あるのではないかなと実感しております。
〇吉村座長 わかりました。そのほかございますか。
 どうぞ。
〇村上委員 先ほどの看護師の要件について、私も一言つけ加えさせていただきたいのですけれども、やはり質の高い、患者さんが安心し、安全に医療を受けられるということを考えたときに、やはり看護師の質の向上というのはすごく重要であると思いますので、看護師1名以上のところに、できましたら年間採卵件数500件以上の施設には、認定看護師を施設要件として置くことが望ましいという表記をつけていただければと思います。
 これは1日に1件採卵があったとして、年間300件を少し超える数ですので、それ以上の採卵件数のある施設は、当然やはり看護の質も向上するべきだと思っております。
〇吉村座長 ありがとうございました。そのほかございますか。
 カウンセリングについてどうですか。
〇平山委員 今のお話は本当に看護以上にカウンセリングは悲惨な状況にあります。
 資料のほうにもカウンセラーが配置されている調査の結果があるのですけれども、これは実態を反映していると私はとても思えません。232施設にカウンセラーがいるとなっていますが、私の実感ではそんなことは絶対にあり得ない。心理ベースとしたカウンセラーは50名程度いればいいほうだろうと思っています。
 ですので、全ての施設にカウンセラーを配置するというのは、やはり現実的ではない。
 ただし、カウンセリングでは受けられるような状況というのをつくるべきであるというのは思いますので、そこら辺は今の現実とどう折り合いをつけるかというのを考えなければいけない論点かと思っているのが1点と、もう一つ、厚生労働省の指針などでも心理カウンセリングと遺伝カウンセリングを一緒にしてしまっている。これは大きな問題です。海外のガイドラインでも、心理カウンセラーと遺伝カウンセラーは全く別の役割です。心理カウンセラーは遺伝カウンセラーと協働すべきであるというのは、大抵のガイドラインに書いてあるわけですから、遺伝カウンセリングの重要性も生殖医療においては非常に重要だとなってきていますので、心理カウンセラーと遺伝カウンセラー両方の支援が受けられるという体制が望ましいのではないかなと考えています。
〇吉村座長 ありがとうございました。そのほかございますか。
 どうぞ、鈴木委員。
〇鈴木委員 実際に、学会の設置というか、認定機関と厚労省指針に基づく認定でそれぞれがどれだけ齟齬があるのかというのを一つ実は知っておきたいなという気持ちがあります。
 学会としては、もちろん体外受精をやる施設として認めているにもかかわらず、その地域の中でこれで受けられない、はねられた医療機関というのが実際にどのくらいあるのか、それは患者さんのほうからのニーズとのすり合わせということでも重要かなと思いましたので、それが1つと。
 今、改めて2つの指針というか、基準を並べて読んでみましたけれども、学会のほうが非常に厳しい部分と、そうではない部分と、ちょっといろいろむしろ学会のほうが現在は、例えば、恐らく安全管理委員会の設置を求めていることあるいは倫理委員会の設置を求めているなどについて、非常にクオリティーの高さを求めている基準になっているのだという理解を私はしました。
 このあたりのすり合わせという形でやはり見直していく必要があるのかなと思いました。
〇吉村座長 おっしゃるとおりだと思います。
 これは厚労省の別に肩を持つわけではないのですけれども、年代がちょっと違うのです。この間に日本産科婦人科学会は基準を改定しています。この特定不妊治療助成は8年間やっていますけれども、10年ぐらい前につくったものですので、その点のちょっと基準の違いがあるので、その点は恐らく今回で直していくということになるだろうと思います。
 それから、今、看護師さんとか、カウンセリングのことについてはご意見がありました。生殖医療専門医は500名弱いるのですけれども、この点については、こういった人がいなくてはいけないとか、そういった基準はないわけです。
 この点については、お医者さんの先生、どうですか。
〇柳田委員 もう400名を超えて、実際にドクターがいるわけですので、ぜひそれを入れていただければいいかなと思います。
〇吉村座長 ただ、私、調べてみますと、3県ぐらい生殖医療専門医がいない県があるのです。そういう県もありますので、その辺もやはりこういったものを決めていくときには、やはりきめ細やかに決めていかなくてはいけないところもあるかもしれません。
 ですから、その辺も皆さん方の御意見で決めていきたいと思いますけれども、あとほかは。
 どうぞ。
〇齊藤委員 今の生殖専門医ですけれども、600弱の施設があるのですが、最低1人いる施設は6割です。だから、ここで決めてしまうと4割ぐらいの施設ができなくなると思います。
〇吉村座長 大体、そのくらいだと思います。
 ですから、そういったところには、税金を投入するのにはおかしいという考え方がもちろんありますし、クオリティーはある程度確保したところにしかるべき税金が投与されるのだという考え方もあると思うのです。
 それは皆様方の御意見で決めていただければよろしいかなと思いますが、いろいろきょう、あと2・3分ですので、残り時間もなくなってきましたので。
 ありがとうございました。
 今後の進め方について、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。
〇渡利課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。
 資料5をごらんいただければと思います。
 きょうお配りした資料4の論点、今、いろいろ議論していただきました論点「2 特定治療支援事業の助成対象範囲や給付水準」と「3 実施医療機関の人員要件や安全管理体制、実施医療機関の情報の取扱い等」につきましては、専門的なデータや医学的な見地が必要となることから、検討会の開催要綱の4の(4)に基づきまして、今後の議論のたたき台を作成するワーキンググループ(作業チーム)を設けたいと考えています。
 ワーキンググループ(作業チーム)は、5~6月中旬ころに2回ほど開催したいと思っております。
 ワーキンググループ(作業チーム)のメンバーについては、石原委員、齊藤委員、柳田委員、森委員にお願いしたいと考えております。
 ワーキンググループ(作業チーム)では、本日と次回検討会での各委員からの意見も踏まえて、議論のたたき台を作成し、第3回検討会に報告していただき、それをたたき台としてこの検討会で御議論いただきたいと考えております。
〇吉村座長 ありがとうございました。
 ワーキンググループの設置に関しましては、御意見がありましたらお願いいたしたいと思います。よろしいですか。
 それでは、お忙しいとは思いますけれども、4人の先生方におかれましては、ワーキンググループにおいて、議論を深めていただいて、参考となるたたき台をつくっていただきたいと思います。
 きょうは非常に多くの皆さんから御意見をいただきましたが、小崎委員、小児科の立場から一言だけ、きょうのお話を聞いて御意見いかがでしょうか。
〇小崎委員 私、実際は生まれてきたお子さんを診る立場なのですけれども、先ほどフィンレージの会の鈴木委員がおっしゃっていましたけれども、やはり妊娠出産がゴールではなくて、その後、生まれてからの子育てが出発点ということをぜひ忘れないでいただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
〇吉村座長 まさにそのとおりでありまして、子どもの長期予後というのは、厚生労働省の科研費でようやく始めたところでございますので、15年間ぐらいにわたってやっていきたいと思っていますので、その点は小児科の先生にも御協力をいただきたいと思います。
 また先生、いろいろな御意見を小児科の立場から何でもおっしゃってください。
 それでは、次回以降の日程について、御説明をお願いします。
〇渡利課長補佐 次回の検討会の日程につきましては、追って連絡させていただきたいと考えております。
 よろしくお願いします。
〇吉村座長 それでは、本日の検討会はこれで閉会とします。
 御出席の皆さん、本当にありがとうございました。
 また、今度もよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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電話: 03-5253-1111(内7938)

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