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2011年3月11日 第6回 感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録
健康局結核感染症課
○日時
平成23年3月11日(金)
13:30~
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○議事
○予防接種制度改革推進室次長 定刻をちょっと過ぎましたけれども、ただいまより第6回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会のワクチン評価に関する小委員会を開催させていただきます。
まず、事務局から本日の出席の状況でございますけれども、本日はすべての委員6名全員御出席いただいております。ありがとうございました。
また、本日は前回に引き続き本委員会の報告書案につきましての御検討を行っていただきます。なお、本日については参考人はいらっしゃいません。
ここからは岡部先生、よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 お忙しいところをお集まりいただいて、ありがとうございました。
それでは、小委員会を開きたいと思います。13時30分から14時30分とタイトなんですけれども、今日の話し合いが、この次に予定されている部会の資料になるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。また、時間もその次の会議があるということで、その点も踏まえて御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、配付資料などの確認を事務局からお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 座席表、議事次第がございます。そのほかに「案」と書いてございますけれども、ワクチン評価に関する小委員会報告書、それから、これは報告書の一部に含まれるものですが、別紙1、別紙2、別添という形で別刷りになっております。
それから、委員の机上のみの配付になっておりますが、報告書の参考資料につきます作業チームの報告書をバインダーに別立てで置かせていただいております。
資料につきましては、以上です。
それから、申し訳ありません、資料の確認と併せまして利益相反につきまして御説明申し上げたいと思います。
審議に参加する報告でございますけれども、委員の先生方、製造販売企業からの寄附金につきましては、岩本先生、宮崎先生が50万円以上500万円未満の受領がございました。また、申請資料作成に関与されておられる先生は宮崎先生でございまして、おたふく風邪、B型肝炎、ポリオのワクチンにつきまして関与をされてございます。
それから、これは御報告事項になりますが、部会の申合せの対象外となっておりますが、以前、作業チームのメンバーの方々につきましての利益相反に関する資料の御提出につきまして御指示を部会からいただいております。今回、小委員会で報告をまとめていただきますと、作業チームとしての作業は一応終了していただくという形になりますので、今回は作業チームの先生方から御提出いただきました資料につきましても、資料の掲載と併せまして厚労省のホームページに公開させていただきたいと思っております。これについては御報告事項でございます。
以上でございます。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。
今のは利益相反についてですけれども、これは申告するという制度ですので御理解をいただきたいと思いますが、この小委員会での審議参加については今までの部会での申合せにあるように、岩本委員及び宮崎委員には議決は遠慮していただくということがあります。その場合の議決権は委員長に一任をさせていただきたいと思います。
それから、宮崎委員につきましては、3つのワクチンの申請時の資料に関与していて、これは専門家としてはよくあることだと思いますけれども、ただ、この委員会で意見を述べることができるかどうか、これも以前に議論したと思いますが、公平な意見は是非私としても、多分、委員の先生方も伺った方がいいと思いますので、意見については十分に伺いたいと思います。先ほど申し上げましたように、議決あるいは特定のところに何か関与するようなことがあれば、そこはその都度、御意見を伺いながら取り入れるかどうかは判断しますが、基本的には御意見を伺いたいと思いますので、委員の先生方、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部委員長 では、これは御了承いただいたということで、その先に進めていきたいと思います。
お手元に今日の議事がありますけれども、メーンになりますのはワクチン評価に関する小委員会報告書、前回に御意見をいただいたんですが、その一番最終バージョンの報告書案がありますので、これについて今日は検討いただきたいと思います。
その内容については、事務局でまとめていただいているので事務局から御説明をお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 それでは、端的に御説明させていただきたいと思います。
「ワクチン評価に関する小委員会報告書」ということで、上に「案」がついておりますけれども、この資料につきましては、前回の小委員会におきまして一旦見ていただいております。ただ、前回との変更点は、各疾病、ワクチンにつきましての総合的な評価につきましての記載が加わっておりますことと、15ページ以降に「結論」と「おわりに」が付け加わっております。また、前回別紙で御検討いただきましたポリオと百日咳ワクチンにつきまして、記載をこちらに移してございます。
内容でございます。主に先ほど申し上げました「総合的な評価」と「結論」「おわりに」のところのみ御説明を申し上げたいと思います。
まず、1ページ目は変わっておりません。
2ページ目でございますけれども、一番下に「割引率」という※がついております。これは池田先生から注釈として付け加えていただいたものでございます。
3ページ以降が、まず現在、予防接種法の対象となっていないワクチンの記載がございます。そこで、まず、順番が飛んで申し訳ないんですけれども、15ページの「結論」につきまして最初に御説明を申し上げます。
こちらを新たに書き加えさせていただきましたが、医学的・科学的な検討を行っていただいて、これから御説明申し上げようと思っております、現在、予防接種法の対象疾患となっていないヘモフィルス以下、Hib以下7つのワクチンにつきましては、いずれも医学的・科学的な観点から、人々の健康を守る上で広く接種を促進していくことが望ましいワクチンであると考えられると記載させていただいております。
その中身ですが、4ページに戻っていただきます。(5)総合的な評価でございますけれども、これはHibワクチンに関する部分です。Hibワクチンにつきましては「疾病の影響、ワクチンの効果等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる」、先ほどと同じ表現になっております。
次のパラグラフですけれども「現在、『子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金』事業として、市町村において接種が進められており、当該事業の実施状況等も踏まえ、実施方法や課題について検討を行った上で、継続的な接種が図られるよう、必要な対応を検討していくことが求められる」という記載になっております。
続きまして、小児用の肺炎球菌コンジュゲートワクチンでございますけれども、こちらは5ページの下に総合的な評価がございます。2つ目のパラグラフは、今のHibワクチンと同じ表現になっております。
3つ目のパラグラフ「諸外国では、ワクチンの接種により、このワクチンに含まれない血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症の罹患率が増大しており、わが国でも同様の事態が懸念されるため、13価の小児用肺炎球菌ワクチンの早期開発も含め、中長期的視点に立った取り組みが求められる」という記載になっております。
同じような表見が7ページからのヒトパピローマワクチンについてもございますので、こちらを先に御説明申し上げます。ヒトパピローマワクチンにつきましての総合的な評価は8ページの下、第1パラグラフ目、接種を促進していくことが望ましい。2つ目、事業の実施状況も見ながら継続的な接種が図られるよう必要な対応。3つ目のパラグラフですけれども「検討にあたっては、特に、HPVワクチンについては、ワクチンのHPV感染予防効果は100%ではないこと、子宮頸がんを発生させる全ての型がカバーされていないこと、子宮頸がんの発生を減少する効果が期待されているものの販売開始からこれまでの期間は短く、実際に達成されたという証拠は未だないことから、今後、細胞診による子宮頸がん検診の適正な実施及び期待される効果の検証も含め、長期的視点に立った取り組みが求められる」と記載させていただいております。これまでは、ほぼ同じ表現になっております。
次に6ページ、成人用の肺炎球菌ワクチン、肺炎球菌ポリサッカライドワクチンについての記載がございます。7ページの(5)総合的な評価を読ませていただきます。当ワクチン等につきましては「高齢者に対して接種を促進していくことが望ましいワクチンであると考えられる。一方、免疫の効果の持続や再接種時の抗体価の上昇効果については引き続き並行して検討を行い、接種対象年齢や再接種の効果等について再評価することが必要である」という記載になっております。
9ページから水痘ワクチンにつきまして記載しております。10ページの真ん中辺りに総合的な評価がございます。こちらも「接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる。今後は、帯状疱疹の発症、重症化防止の効果も期待されること。水痘は、天然痘の鑑別診断の一つであり、水痘ワクチンの事前接種は、バイオテロ対策の観点からも重要であることといった観点からも検討を行うことが求められる」という記載になっております。
その下から、おたふく風邪ワクチンです。11ページの下から総合的な評価がございます。こちらも「接種を促進していことが望ましいワクチンと考えられる」とした上で、「ただし、自然感染の合併症として発生する頻度よりも低く、また一般に軽症ではあるが、ワクチン接種により無菌性髄膜炎が一定の頻度で発生することの理解は必要である。今後の検討にあたっては、まず、予防接種に使用するワクチン(単抗原ワクチン、混合ワクチンの種類)の選定、そしてワクチン接種による感染予防と重症化防止の有効性と無菌性髄膜炎の発生の可能性のバランスに関し国民の正しい理解と合意を得ることが求められる」という記載になっております。
次は、B型肝炎ワクチンです。13ページの真ん中辺りから総合的な評価になっております。「接種を促進していことが望ましいワクチンと考えられるが、今後の検討を行うにあたっては、我が国の肝炎対策全体の中での位置づけを明確にしつつ、乳幼児あるいは思春期を対象とするのか、またはその両方を対象とするのかといった接種対象年齢等も含め、効果的かつ効率的な実施方法等について更に検討を行うことが求められる」という記載になっております。
次からは、現在、予防接種法の対象となっているワクチン、ポリオと百日咳の記載がございます。16ページの「結論」ですけれども、上から3つ目の「○」、「現在、予防接種法における定期接種の対象となっている百日せきワクチン、ポリオワクチンについても、それぞれの課題について検討を行った上、実施方法の見直しが求められる」と記載していただいた上で、14ページの真ん中辺りに総合的な評価がございます。これはポリオワクチンに関する部分ですけれども「OPVを使用していることによって生じるVAPPの発生を防ぐために、DPT-IPV4種混合ワクチンを速やかに導入していく必要がある。またOPVからIPVへ切り替えを行う際の具体的な運用について、検討する必要である。IPVの導入に際し一時的な混乱によって接種率が低下することなどがないよう、接種スケジュールの設定、その広報等について十分な準備をすることが必要である」という記載をしていただいております。
次に、百日咳ワクチンですけれども、15ページの下に総合的な評価を記載させていただいております。「国内における百日せきの発生動向調査は小児科定点医療機関からの報告で、青少年層以降については十分ではないが、その中でも青少年層以降の百日せきの割合が増加している傾向が認められる。そのため、青少年層以降の百日せき対策の検討を行うことが必要であり、今後、現行のDTの2期接種において、百日せきの抗原を含むワクチンの安全性・有効性を確認した上で、追加の必要性について検討が必要である。2期接種をDPTワクチンに変更するとした場合、医療経済性も含め、検査診断体制の充実やサーベイランスの強化等により、正確なデータを整備するなど、青少年層以降の百日せき対策の総合的な検討を行うことも必要である。また、未接種の乳幼児への感染防御、医療関連感染予防のために、両親、医療従事者などの成人への追加接種についても研究を推進し、今後、その成果に基づいた検討を行うことが必要である」という記載をしていただいております。
その下から「結論」になりますが、一番下の「○」は先ほど読ませていただきました。
16ページの2つ目、「ただし、今後の検討にあたっては、こうした医学的・科学的な議論のほかに、必要な財源とそれをどのように国民全体で支えるかなどの課題や国民のコンセンサスのほか、円滑な導入と安全かつ安定的な実施体制を確保することが前提となるものであり、その点も含め、疾病予防の重要性を鑑みた公衆衛生施策としての実施ついて、部会において引き続き検討を行うことが求められる」。
次の「○」、「また、医学的・科学的な検討を継続することは常に必要であり、重要である。この点は既に行われている定期接種対象ワクチンも同様である」という記載です。
4つ目の「○」は読ませていただきました。
最後に「おわりに」でございます。「本小委員会においては、医学的・科学的な観点から、各疾病・ワクチンの考え方についてとりまとめたが、今後、予防接種施策における対応を検討するに当たっては、医学的・科学的な観点のみならず、予防接種のメリットとリスク、制度を支える上で必要となる財源のあり方などを含めた国民の理解や合意とともに、その円滑な導入と安定的な実施体制の整備が前提となる」。
2つ目、「今回、検討を行った疾病・ワクチンについて、接種の目的や期待される効果等から、その分類・位置づけ等についても検討を行ったが、集団予防・個人予防双方の側面を複合的に有するものであり、現行の予防接種法における一類疾病、二類疾病のどちらに位置づけるべきか、また接種に対する公的関与として努力義務等の対象とすべきかどうかについての評価については結論を出さず、今後、引き続き検討すべき課題とした」。
3つ目、「今後、予防接種部会においては、以上の点も踏まえ、部会を構成する多分野にわたる専門家による総合的な視点で引き続き検討をいただきたい」という形にしていただいております。
こちらにつきましては、本日御意見をいただきたいと思っておりますが、この後に部会が開催されます。お取りまとめをいただきましたら御報告をお願いしたいと思っております。
それから、すみません、今読みながら脱字等も若干ありますので、その辺りは修正して最終的にまとめさせていただきたいと思いますので、御議論のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。
今までも総合的な評価の部分を除いてはワーキンググループからの報告ということでいただいていましたので、今日はこの総合的な評価と、まとめとしての「結論」及び「おわりに」というところで御意見をいただきたいと思います。
この総合的な評価はこれから意見をいただくわけですけれども、バラバラというわけにもいかないと思いますので、次長からもまとめがあったように、一番最初は現在、基金事業として行われている3つのワクチン、これは一つの固まりだと思いますし、その次は主に任意接種として行われている4種類、肺炎球菌、水痘、おたふく、HB。それから、対象疾患としてはすでに予防接種法に入っていますけれども、その内容や接種方法による違いとしてのポリオ、百日咳がありますので、そういった3つのグループに分けながら話していきたいと思います。ただ、前回も一応コンセンサスは得られていると思うんですけれども、どれがどのくらい重要だという位置付けをこの委員会がやるのではなくて、次長が一番最初に言っていましたが、医学的及び科学的あるいは医療経済も含めて、そういう観点からこのワクチンは重要なものであるかどうかという観点でディスカッションしたと思います。それから、これも言わずもがなではありますが、今回の小委員会でまとめたものは、今後検討を要するということは、ずっと同じ検討をするとか、勿論必要なデータは出すわけですけれども、更に研究を加えるというような意味ではなくて、部会で検討していただくという用語の使い方だと思いますので、よろしくお願いいたします。
このやり方については、よろしいですか。それでは、進めさせていただきます。
一番最初は、Hib、小児用肺炎球菌、HPVワクチンがひとくくりになっていますが、文章の流れとしては半分ないし3分の2ぐらいは同様の書き方になっているということは、さっきの基金事業でやっているというくくりになっています。それぞれのところに1~2行加えて、そのワクチンの独特の部分のまとめとしていますが、これについてまず御意見をいただければと思います。Hib、肺炎球菌の方はPCV7とHPVと両方に分けてありますが、肺炎球菌というくくりで御意見をいただきたいと思います。それから、3番目がパピローマになります。よろしくお願いします。
一応、事前に委員の先生方には配付してあるんですね。ですから、そこのところはお読みになっていると思うので、ここで議論をすることがあればおっしゃっていただいて、議論がない場合は、それはアグリーであったという形だと思いますが。
宮崎先生どうぞ。
○宮崎委員 それでは、Hibワクチン、肺炎球菌に関して申し上げますと、前段でも書いてありますように、疾患の重症度については、髄膜炎だけでも年間数百例、重症感染を含めれば1,000例を超える患者さんが出ているのは事実ですので、やはりワクチンによって予防していくという基本線は継続していきたいと思います。
○岡部委員長 ほかの先生方は、いかがでしょうか。
今確かに、HibとPCV、実施に当たって問題になっているところがありますけれども、それはそれでまた別のところで今後についての議論はありますが、基本的には病気のインパクト、disease burdenとよく言われますけれども、そういうところからはワクチンとしては必要なワクチンであろうというのがワーキンググループから上がってきたことで、本小委員会としてもそういう意見であるということでよろしいでしょうか。
では、一応これでよろしいということで、後でまた御意見があったら、総合的に伺いたいと思います。
今はHibとPCVで御意見をいただいていますが、廣田先生どうぞ。
○廣田委員 ヒトパピローマウイルスの方ですけれども、9ページの2つ目のパラグラフに「ワクチンのHPV感染予防効果は100%ではないこと」と書いてあります。よくワクチンの場合に効果は100%ではないと言われるんですが、これは要するに16型と18型以外には効果は期待できないということでしょうか。それとも、16型、18型でも効果は100%ではないという意味になるんですか。
○岡部委員長 一応ディスカッションしていたのは、ワクチンとしての100%の効果がないという一方、殊にこれはタイプがいっぱいあるし、バリエーションが多いので100%の効果ではないという言い方がディスカッションされたと思います。ですから、有名なワクチンではないですけれども、もうちょっとポリバレントになってくれば、カバー率は高くなってくると思います。
それから、これもワーキンググループでディスカッションされていましたが、本当に子宮頸がんが防げるかどうかというのは、何十年先のことが読めていないというので、ここはリスクを回避できるというような形での意味も含まれていると思います。よろしいですか。
それでは、5番目の水痘ワクチンに移りたいと思います。水痘ワクチンの総合的な評価は10ページにあります。
○宮崎委員 ちょっと質問ですけれども、前回小委員会に出られませんでしたので。水痘ワクチンについては、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる、今後はということで、帯状疱疹のこととテロ対策が書いてありますが、これはこういうことをクリアしないとなかなか定期接種にならないという意味なのか、1行目の「接種を促進していくことが望ましい」ということを明確にして、こういうことも含めて更にという意味なんでしょうか。
○岡部委員長 一番重要なのは病気そのものですので、水痘に対する影響、それから、これもワーキンググループで出てきました、一般の方が思っているよりは重症な方の出現であったり、それから、合併症といった問題、それから、帯状疱疹が出てくるわけですが、それらが一番重要な点であってサポートするような形ですが、現実にはバイオテロは起きていないわけですので、そういうことも含めて利用度、価値の高いワクチンであるという意味合いでまとめてあります。よろしいでしょうか。
では、引き続いて、おたふくかぜはいかがでしょうか。おたふくかぜも疾病、ワクチンの有効性、医療経済的な評価はあるわけですけれども、これもワーキンググループで現実としてワクチンによる無菌性髄膜炎というのは、やはり一定の割合であるわけですけれども、それ自体は重症化することは極めて極めてまれである一方、病気を防ぐという割合がバランスとしては高い方にある。特に、一般の方からは不妊症に結びつくんじゃないかというのがありましたけれども、これは事実的ではなくて、むしろ中耳炎、難聴などの問題があるといったことが指摘されていました。
ただ、そういうことを理解していただかないと、そこはリスクコミュニケーションの問題ですけれども、全くそういうこともなしにいくのではなくて、やはりある一定の割合で生じ得るものであるという認識を持った上での必要性をここには書いてあると思います。
宮崎先生どうぞ。
○宮崎委員 11ページの総合的な評価の中で、自然感染の合併症として発生する頻度よりもはるかに低いわけですが、「また一般的に軽症であるが」と書いてありますけれども、今、作業チームのレポートをもう一回見直してみたんですが、ワクチンによる耳下腺炎の腫れとかそういうのは軽微なんですけれども、髄膜炎に関しては頻度だけが記載してあって、髄膜炎の軽症・重症は記載していないのではないかと思うので、ここは頻度が低いということにとどめた方が正確ではないかと思います。いかがでしょうか。作業チームの方はおられますか。
○岡部委員長 作業チームは今日はおられないと思います。一般的な軽症というのは、その後から来た意見を含めて私の判断で加えたんですけれども、確かに先生がおっしゃるように、ワーキンググループのレポートにないということであれば、そこは外しておいた方がいいと思います。ただ、認識としては軽症だと思うんですけれども。
○宮崎委員 冊子の18ページに、おたふく風邪ワクチンの安全性について、かなり詳しく記載していただいて、18ページの一番下にワクチンを接種した後の耳下腺炎とか発熱云々が書いてあって、前例とも臨床反応は軽微であったということが書いてあるんですが、ここは一般的にある副反応の方で、髄膜炎に関してはずっと読んだんですが、ちょっと軽症・重症のことはなかったかなと思います。
○岡部委員長 おっしゃるとおりだと思います。おっしゃるとおりというのは、ワクチンによる髄膜炎が重いですよと言っていることではないので、記載どおりに正しく。
○宮崎委員 同等またはそれ以下だろうと私も思います。
○岡部委員長 では、ここは落としてください。
○予防接種制度改革推進室次長 今のところは次の部会に出す資料として用意させていただかなければいけないので確認ですけれども、「低く、また一般的に軽症であるが」の「また一般的に軽症であるが」の部分を落として。
○岡部委員長 私がそのときに、この言葉の意味を補足的に説明します。
○予防接種制度改革推進室次長 では、ここは基本的に落とすということで了解いたしました。
○岡部委員長 意見のまとめの中では、先ほど次長からありましたけれども、ワーキンググループの先生方からかなり以前より、もう10年以上も前から定期接種が妥当であるという認識を持って進められているワクチンなんですが、研究班でもそういったようなことが出ているので、「定期接種」という語句を入れるべきではないかという意見を結構強くいただいています。しかし、大前提としてこの2つだけ定期接種に入れるということもまたランクがついてしまうという危惧もあって、委員長としては全部まとめたときに今回提示しているワクチンについては、ランキングという意味ではないので、あえて定期接種という言葉は使わないで、いずれも広く人々にとって必要なワクチンという表現でまとめたことになりますので、この点も冒頭にお話ししましたけれども、併せて御了承いただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、次に、B型肝炎に移りたいと思います。B型肝炎ワクチンの総合的な評価については13ページにあります。
現状でも、かなり日本のキャリア率は下がっているわけですけれども、感染ルートが単一ではないということであったり、あるいは海外からの輸入と思われるサブタイプであるとか、あるいはSTDとしての問題、いろいろなものが含まれているのと、この中には書いてありませんが、議論ではこのワクチンはHPVよりも以前からがん対策のワクチンであるということをもっと強調すべきではないかという議論がありましたが、そういう対象を含めての実施方法について部会で検討していただきたいという意味の総合的な評価になっています。御意見があったらお願いします。
では、また全体で御意見があれば伺うとして、個別の議論としては残っているのがポリオと百日咳です。これも一つ一つになると思うんですが、ポリオについては14ページに総合的な評価があって、これはいずれも現在のOPVは十分なコントリビューションがあったわけですけれども、ポリオそのものがなくなってきた現在において、VAPPの問題が出てきているので、このDPT、特に日本ではDPT-IPVの4種混合ワクチンが治験が継続して行われていたわけですが、これを速やかに導入していただきたいということと、これについてもし導入が前提であるならば、既にここから先に出てくる問題点あるいはメリットも含めてですが、実際の接種スケジュールあるいはどういうワクチンを使うか、あるいはそれについての啓発もやっていくべきであろうということが、この総合的な評価の中に前回の議論も含めてまとめたつもりですけれども、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
ここは事務局から何か付け加えておくことはあるんですか。
○予防接種制度改革推進室次長 特にこの文章に付け加えるという意味ではないんですけれども、その上に不活化ポリオワクチン(IPV)の導入が必要であるとまとめていただいて、この文章になっております。こちらの宿題としては、接種スケジュールの設定あるいはその啓発の十分な準備をすることが必要であるという御指示をいただいたと思っておりますので、そういう御理解でよければ、そのように事務局としても対応したいと思っております。
○岡部委員長 特に付け加えることはありませんでしょうか。
それでは、もう一つが百日咳ですけれども、これも前回議論されたポリオと百日咳の片一方の方ですが、総合的な評価が15ページにあります。乳幼児に対する百日咳は随分抑えられていることは当然ですが、最近の患者発生の年齢層の変化についての対策が必要で、そのためには現行のDT接種が小学校高学年の辺りで行われるわけですけれども、そのときに例えば欧米、特に米国が進んでいますが、百日咳の抗原を含むワクチンというのは百日咳ワクチンですけれども、その研究も進んでおりますが、そういったことを確認した上で追加の必要性に対する議論を部会で行っていただきたいということです。ただ、それだけではなくて、更にもっと大人の層であったり、医療関係者に対する接種も米国でも議論が進められていますけれども、我が国でもそういった研究の促進は必要であるという形でのまとめになります。御意見があったらお願いします。
宮崎先生どうぞ。
○宮崎委員 追加の必要性について検討というのを部会でやるかというところはどうなんでしょうか。どちらかというと専門的な議論のような気もしますが。
○岡部委員長 追加のニーズについては既にここで提案されているので、それを実際にインプリメンテーションするということで総合的な評価という意味です。技術的には、いずれも研究班、これは文献にもきちんとパブリッシュされていますので、そういった研究は1つ、2つで全部完成と言うとちょっと言い過ぎてしまうかもしれませんけれども、きちんとしたスタディが出ているので、科学的には受け入れられることではないかという意味が含まれています。
○予防接種制度改革推進室次長 先ほど脱字があると申し上げたんですけれども、委員長からの御指示で修正の中に、ここは追加接種の必要性について検討が必要だとされていたものを、事務局が「接種」を落としておりました。修正させていただきます。
○岡部委員長 そうするとわかりやすくなりますね。でも、説明としては変わらないと思います。ありがとうございました。
それでは、3番目、15ページの一番下の「結論」になるんですが、先ほど次長からも説明をいただいていますが、1つは、作業チームの中でいずれも議論をしていただいて、いずれも医学的・科学的な観点から人々の健康を守る上で広く接種を促進していくことが望ましいワクチンであるというのが一つ。
それから、それに加えて、しかし財源の問題、その他仕組みの問題があるので、これについては小委員会に課せられたところではないので総合的な議論として、しかし、これは疾病予防の重要性ということがテクニカルに重要な部分ですから、そこを考慮した上での公衆衛生施策として議論をいただきたいというのは、この小委員会の意見としてまとめたものです。
3番目は言わずもがなですけれども、現行のものであっても、これから入れるものであっても、常にきちんとした検討を継続して行うということと、現在、予防接種法における定期接種は別になっていますが、百日咳、ポリオについては実施方法の見直しが求められるということで、これは先ほど宮崎先生の答えにもなるのではないかと思います。これが結論になります。大体よろしいでしょうか。
静かなようですけれども、一応これは皆さん見ていますので、問題があれば既に提言されていると思いますが。
廣田先生どうぞ。
○廣田委員 実は、この各作業チームは皆さん予防接種に物すごく熱い思いを持っていらっしゃる方が多くて、極めて積極的な方向で議論は進んでいたわけですけれども、最終的に冷静に落ち着いた形での報告書にまとまっているということで、事務局にせよ、岡部先生にせよ大変な御苦労をいただいたのではないかと思います。そういった熱い方々の基盤があっての報告書だと思いますので、この内容は最低限のことという形でとらえていただきたいと思います。
○岡部委員長 ワーキンググループの方にしてみれば、熱い思いがちょっとジュッとした感じがしないでもないわけですが、この気持ちの中には決してジュッとしていないので、燃えさからないように抑えるという気持ちがあるかもしれませんけれども、いずれも重要性と我が国の子どもたちあるいはこれから成長していく人たちにとってこれは必要であるという十分な気持ちはこもっていると申し上げておきたいと思います。
岩本先生どうぞ。
○岩本委員 どういうふうに言ったらいいのかちょっとまとまらないので、ずっと考えていたんですけれども、1点だけ若干違和感があるのは「おわりに」の2つ目の「○」で。
○岡部委員長 今は「結論」の話をしていたんですが、「おわりに」で結構です。
○岩本委員 すみません。私が割とワクチンの議論に関与させていただく前から、個人予防の観点を高めることによって集団としての免疫の現状を上げようというスタンスが多かったのではないかと思うんですが、最後のパラグラフを見ると、集団予防か個人予防かという対立するもののように書かれているのをどう直したらいいのかわからないのでずっと黙っていたんです。それとまた、次のこれが予防接種の一類、二類のどちらに位置付けるべきかというのがストンと落ちないですね、ここの行が。
○岡部委員長 かつての予防接種法がスタートしたころは、まさしく個人個人をとにかくがっちりやった上で、集団予防という社会防衛的な面の方がむしろ強かったわけですけれども、予防接種法が大きく改正されて義務接種から勧奨接種に変わったときに、それから、二類疾病としてのインフルエンザを導入したときが、一つは社会防衛的な部分もあるけれども個人予防が重要であると。特に二類疾病の場合は、個人予防ということを前面に出したという考え方の流れがあったわけですけれども、現状の感染症対策の考え方の流れとしても、本当に個人予防が個人だけのことを考えていたのでは、やはり社会というものに対する防衛ができないのではないかという考えも起きてきていると思います。ただ、それが一類疾病、二類疾病というくくりの今までのままでいけるかどうかについては、部会、委員会も議題に上っていますけれども、十分にまだ熟した議論がさてれていない。
それから、予防接種部会のアジェンダの中には、これについて更に議論を深めてということは予防接種法の改正まで至ってくるので、それをこの小委員会の方では完全に結論付けているわけではないというような長々とした意味のことが含まれているんですが、いかがでしょうか。
○岩本委員 2点だけ。集団予防という言葉とパンデミックのインフルエンザのときに接種の仕方をどうするんだという議論があったので、集団予防というのと集団接種というのが少しこんがらがりながら使われていないかという点と、二類疾病というのは、この間の議論の中で私は勉強させていただいたつもりですけれども、インフルエンザだけではなかったですか。その議論と集団予防、個人予防と並ぶのは非常に違和感があるんです。
○岡部委員長 集団予防は集団接種のことを意味しているのではないんですよね。
○岩本委員 いや、違いますよ。だけれども、この考え方の中に、ひょっとすると集団予防と書いてある部分に、集団接種の議論をどうするんだということが逆に入っていないのかなとか、それがちゃんと仕分けされてやられているのかというところがわからないんです。
○岡部委員長 集団接種か個別接種かというのは、この中には私は含まれていないと思います。あくまでパブリックとしての社会防衛的な集団予防なのか、一人一人についての個人予防なのかという考え方がここには出ていると思います。ただ、二類疾病はおっしゃるようにインフルエンザだけが現在あるわけですけれども、今までは一類疾病がなかったのが二類疾病を加えたときの議論は、実はインフルエンザだけではなくて、今回議論されているような水痘やムンプスであるとか、むしろ二類疾病的な性格であって、将来こういうものが二類疾病になるんじゃないかというイメージで当時語られていたんですね。それがずっと今まで来ている中で、一類はパブリックヘルスとしての予防プラス個人、それから、インフルエンザの場合の二類は、個人予防プラス集団といったようなバランスの違いが今までの考え方でいいのかということだと思います。それが複合的に有するので、どういう形で位置付けるかについてまだ議論が必要ですという意味合いなんですが、理解しにくいとすれば、ここはもうちょっと文章を変えなくてはいけないかもしれないですが、廣田先生どうですか。
○廣田委員 集団予防と個人予防で一番話題になったのはインフルエンザのときでして、かつては学校が感染増幅の場で、それで地域で流行が広まるという考え方から、学校で集団接種することによって地域全体の流行がコントロールできないかという思想があったわけですよね。それで小学生防波堤論とかいろいろあって騒がしくなったわけですけれども、それからちょっと発展して、そういった意味での集団予防ではなくて、個人の予防の積み重ねの結果、集団の予防も考えるというような意見が出てきたと思います。だから、現在の集団予防というのは多分、この小委員会報告書の中に出てきますけれども、接種率がこのくらい上がれば、社会としても全体的な罹患率とかあるいは健康インパクトの低減を認めるようになるといった意味での集団予防だろうと思います。だから、私はここで集団予防と個人予防というのは別段対立したような相対する2つの言葉としてとらえようとは思っておりません。ごく自然な表現だと私は思っております。
○岡部委員長 というのは、何かしらの文章のニュアンスの変更を要するとお考えですか。
○廣田委員 いいえ、私はこれでいいと思います。
○岩本委員 私も廣田先生のおっしゃるのに考え方は近いと思うんですけれども、並ぶと対立概念みたいに見えるよねというところを申し上げたいだけです。
○岡部委員長 わかりました。補足的な説明を部会のときにさせていただきます。
ほかに御意見がありましたら、どうぞお願いします。
今「おわりに」の方まで一緒にいってしまったんですけれども、「おわりに」の第2点が議論になっていましたが、1番目と3番目はよろしいでしょうか。
それでは、大体御意見をいただいたということで、これが予防接種小委員会の意見として今日の15時から開催される予防接種部会で代表して説明させていただきますので、検討を部会の方にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から報告事項をいただく前に、全く議論と関係ないんですけれども、この部会の前身である検討会で非常にご尽力いただき、また、この予防接種小委員会の中のワーキンググループで非常にたくさんの有用な御意見、将来に向けての展望といったことを語られていました神谷齊先生が先般急逝されましたので、一言御礼の言葉とお悔やみの言葉を申し上げておきたいと思います。
それでは、事務局よろしくお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 ありがとうございました。先ほどおっしゃっていただいたことも含めて部会の資料として用意させていただきますので、よろしくお願いいたします。
今回、小委員会の報告書をまとめていただきました。ありがとうございました。局長から一言ごあいさつさせていただきます。
○健康局長 本小委員会につきましては、昨年8月27日に予防接種部会のもとに発足した後、6回の会議を開催いたしまして、現在、予防接種法の対象となっていない7つのワクチン、それから、既に法の対象となっている2つのワクチンにつきまして医学的・科学的な観点より御評価いただきまして、本日報告書をまとめていただきました。精力的に御議論いただきまして誠にありがとうございます。また、本日も一部の方に傍聴をいただいておりますけれども、各ワクチンにつきまして作業チームを設けて、5~8名の医学、公衆衛生学、医療経済学などの専門家に御参加いただきまして、限られた時間に詳細な評価書を作成いただきました。この場をおかりいたしまして感謝申し上げます。
それから、今、委員長からもありましたが、神谷先生にもこの場をかりて御礼と感謝を申し上げたいと思います。
この後、本小委員会の報告書を踏まえまして議論の場を予防接種部会に移すこととなりますけれども、小委員会の報告書の終わりにもありますように、医学的・科学的な観点からの評価以外に、費用負担の在り方など予防接種制度の見直しにつきましては論点となるところがまだ残っておるわけでございます。しかしながら、逆の言い方になりますが、私といたしましては、こういった小委員会のまとめといったステップを踏んで前進するものでございまして、こういった足場をつくっていただいたことは非常にありがたいと思っております。
今後とも予防接種施策の推進に向けまして引き続き御協力いただきますよう、お願い申し上げます。ありがとうございました。
○岡部委員長 では、これで小委員会は終了いたします。どうもありがとうございました。
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