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2013年4月25日 第43回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成25年4月25日(木)12:30~14:30


○場所

全国都市会館2階「大ホール」


○出席者

山崎、伊藤、井上、大西、岡、勝田、河原、木川田、木村、
久保田、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、齊藤(正)、高杉、
田中、土居、林、布施、桝田、山本、結城 の各委員
  (岩村、黒岩、藤原、本間 の各委員は欠席)

○議題

(1)社会保障制度改革国民会議の議論について
(2)その他

○議事

○林企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第43回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 今日の部会の進行を務めさせていただきます老健局の企画官の林でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、前回の会議から委員の異動がありましたので、新任の委員の御紹介をしたいと思います。
 高齢社会をよくする女性の会理事であります井上由美子委員でございます。
 よろしくお願いいたします。
 1月21日付で新任となっておりましたけれども、前回御欠席でおられました東京大学大学院経済学研究科経済学部准教授の林正義委員でございます。
 よろしくお願いいたします。
 お二人の委員の方が今回新しく加わっていただいております。
 それでは、カメラの方の退席をお願いします。
(カメラ退室)
○林企画官 それでは、以降の進行は山崎部会長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○山崎部会長 皆さん、こんにちは。お久しぶりでございます。
 まず、議事に入ります前に委員の出席状況を確認いたします。
 本日は、岩村委員、黒岩委員、藤原委員、本間委員、山本委員が御欠席です。
 山本委員の代理として今井参考人が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山崎部会長 それでは、議事に入ります。
 本日は、最近の社会保障制度改革国民会議の議論について事務局より御説明いただき、その上で御議論をいただきたいと思います。
 まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○片岡総務課長 総務課長の片岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、資料1から4を使って御説明いたしたいと思いますが、その前に、資料の誤植がございまして、机の上に置かれております議事次第で、資料の紹介のところの資料2の日付が「平成25年4月25日」と今日の日付になっていますが、第10回国民会議は22日でございまして、おわびして訂正いたします。
 同じように、資料4も日付を間違いまして、今日の日付になっていますが、4月22日、今週の月曜日の国民会議の資料でございまして、日付を訂正させていただきます。
 まず、資料1をごらんください。国民会議の開催経過でございます。前回の介護保険部会が今年の1月21日に開かれております。それ以降7回にわたって開かれておりまして、その概要でございます。2月19日、28日は、総論的な関係でそれぞれヒアリング、意見交換をしております。
 2月19日には日経連、経済同友会、日本商工会議所、連合から。2月28日は地方3団体、財政制度等審議会。
 これを踏まえて、3月13日の第6回国民会議においては全体的な議論ということで、これまでの議論の確認、「基本的な考え方」の整理に向けた議論、これまでの議論の積み重ね等の共有。この中には社会保障に係る費用推計等についても過去の議論の紹介がございました。
 3月27日以降は、それぞれ各論の議論をしていこうということになっておりまして、まずは医療・介護について3月27日から4回にわたり行われております。
 3月27日は、まず関係者を交えての議論ということで、四病院団体協議会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人福祉施設協議会、民間介護事業推進委員会、プレゼンテーションをされたのはこの団体でございまして、日本医師会の副会長も同席されて御議論には参加されています。
 続きまして、4月4日でございます。これも関係者を交えての議論ということで、健康保険組合連合会、全国健康保険協会、国民健康保険中央会、全国後期高齢者医療広域連合協議会を交えての議論となっております。
 4月19日は、国民会議の委員からのプレゼンテーションが行われ、もう一つは日本医師会の関係者を交えての御議論ということで、日本医師会から御参加されております。
 4月22日、今週の月曜日ですが、これまでの議論の整理ということで議論が行われております。
 今日は、19日、22日の議論を中心に御紹介したいと思います。
 まず、19日の資料ですが、資料3をごらんください。
 4月19日、第9回国民会議で希望される委員からプレゼンテーションが行われ、それを踏まえて御議論が行われております。介護関係を中心にざっと御紹介いたします。
 まず、1ページは駒村先生です。「1.制度横断的、短期・中期・長期の視点から改革の議論を行うべき」「2.医療・介護分野における公費(税財源)の効果的な使い方:低所得者世帯、困難を抱える世帯に対する公費財源の重点化」ということでプレゼンテーションがされております。
 続きまして、6ページをごらんください。西沢委員でございます。
 西沢委員は、医療を中心とした財政面についての意見ということでございまして、特に介護に関係する部分といたしましては、6ページの「2、現世代の負担増・給付抑制による将来世代の負担増幅・給付減幅の抑制を」ということで、社会保障制度改革において、現世代内の再分配構造見直しだけではなく、現世代の負担増・給付抑制によって、将来世代の負担増・給付減を緩和する視点が不可欠というようなこと。
 次の7ページの「4、保険料負担者・納税者の公平感への一段の配慮」ということで、「改革が、総じて垂直的再分配を強める方向性のなか、『低』所得者が真に『低』所得者なのか否か所得捕捉の精度に関し、改めて点検がなされ強化が図られるべき」というような御主張がされております。
 続きまして、11ページをごらんください。榊原委員でございます。
 「持続可能な社会保障制度へ」——現役・将来世代の目線からの改革
  〈1〉若年世代が「納得」と「見通し」を持てる社会保障に
  〈2〉「高齢期集中型」から「全世代対応型」へ転換を加速
 〈3〉高齢期の生き方を応援しつつ地域・社会貢献を引き出す工夫
ということでございまして、どちらかといいますと、このお三方は、全体的に制度横断的な観点からのプレゼンテーションをされております。
 続きまして、15ページをごらんください。宮武委員でございます。
 宮武委員は、地域保険の関係と地域医療介護の関係でございまして、介護の関係でいきますと、18ページあたりから書かれております。
 特に19ページの上のほうの段の下に書いてあります「『キュア』より『ケア』重視の生活支援と看取りの体制つくり」とか、20ページの一番下「医療のスリム化と介護の拡充を基本戦略とする」、あるいは21ページ「医療は都道府県ごとに病院の再編成 介護は市町村で地域包括ケアの構築」というような御主張をされております。
 続きまして、22ページ、権丈委員です。
 権丈委員におかれましては、60ページの高橋先生と共同でプレゼンをされております。まず60ページをごらんください。
 国際医療福祉大学大学院教授であられます高橋先生が、まず「医療需要ピークや医療福祉資源レベルの地域差を考慮した医療福祉提供体制の再構築」ということで、「1.今後の人口変動をどのように捉えるべきか」「2.医療福祉の再構築にむけて」ということで、地域により医療需要ピーク、あるいは医療福祉資源レベルが大きく異なりますというような説明をされています。
 高橋先生の結語といたしましては、75ページをごらんください。
 高橋先生は、「地域により、ピークの時期や程度も大きく異なって、また施設や人員レベルも地域差が大きい」ということで、「大都市型なのか、地方都市型なのか、過疎地域型なのかを把握して、『自分の地域の特性』を踏まえた対応を検討することが重要」というような御主張をされております。
 22ページにお戻りください。権丈委員がプレゼンをされております。
 「国民の医療介護ニーズに適合した提供体制改革への道筋 医療は競争よりも協調を」ということでプレゼンをされております。
 この中で、介護関係でございますが、25ページをごらんください。25ページの下「2次医療圏の医療・介護需要ピーク時までの地域医療・包括ケアビジョン作成を」ということです。
 2つ目の・です。
・医療、介護、看取りまで継ぎ目のない地域医療・包括ケアを目標として各地域の医療・介護需要ピーク時までの地域医療・包括ケアビジョンを作成。
・そのビジョンの実現に向けて、都道府県は地域医療計画を、市町村は地域包括ケア計画を、一定年間隔で策定する。
・それに沿った医療機能の分化・連携を促すための「地域医療・包括ケア創生基金」を創設(財源として消費税増収を活用)
等々書かれております。
 介護については、30ページをごらんください。
 30ページの下段「地域包括ケア計画の策定」ということです。
・市町村が主体となって、地域の高齢化ピーク時までの計画を策定。
 ・介護だけでなく、在宅医療、住まい、生活支援、予防を位置づける。
 ・県と市町村とが一体となって計画づくりが必要。
・特に「住まい」の確保は、病院からの長期療養患者や介護施設からの軽度要介護者の受皿としても重要。
 ・医療法人もこうした町づくりに積極的に参加。
というような主張をされております。
 50ページをごらんください。これも権丈委員のプレゼンです。
 50ページの下「その他重要な課題」ということで、特に2つ目の・です。
・政策基準上の「低所得者」は、必ずしも「負担能力の低い者」ではない。現行の「低所得者」概念は課税所得のみに依拠しており、制度運営の効率化と税・社会保険料を納付する立場に立った両観点からの見直しは最重要課題。
ということで、式が書かれております。
 また次の51ページをごらんいただきます。
 たとえば、介護保険においては
・福祉的性格の強い「補足給付」が、必ずしも「負担能力の低い者」に行われているわけではなくなってしまっている。
ということで、矢印がありまして、
・預貯金や不動産などの資産、非課税年金を勘案
・併せて、配偶者の世帯分離についても見直し
ということで、その下「理由なき不整合な問題」ということで問題提起がされています。
・継ぎ目のない「医療」「介護」システム構築の観点からの医療・介護の自己負担・利用者負担の整合性の確保
 一番下です。
-後期高齢者支援金の全面総報酬割と合わせて介護納付金の総報酬割の検討も必要となるはず。
というような御主張でございます。
 以上が権丈先生でございます。
 続きまして、82ページをごらんください。82ページは増田委員のプレゼンでございまして、大きく3つあります。
 83ページです。1つ目が「医療・介護が地域経済・雇用・産業にどう影響を与えるか(基本的な認識)」ということで、
 ・費用ベースで見ても地域によって極めて多様。
 ・地域の雇用に対して大きな役割を果たしている。
 ・一方、その費用負担や雇用を地域経済で支えていくのは困難になる。
ということで、
・以上を考えると、社会保障の改革は、社会保障の持続可能性のみならず、地域経済の持続可能性の観点から重要。また社会保障と人口動態、経済、産業、雇用の関係性と今後の方向は、地域ごとに異なっており、そのあり方は地域毎に考えていく必要がある。
ということが1つ目の御主張でございます。
 2つ目は飛ばします。
 3つ目は介護に関係する部分ということで、91ページをごらんください。
 91ページの下です。
 3 医療・介護の提供体制の改革とまちづくり・都市再生について(提言のポイント)
 ・地域を起点とした公的安心サービス提供基盤の整備を進めていくためには、病院の統合・再現による機能の集約化・分化と、医療・介護と高齢者向け住宅の結合が必要。
・また、都市のコンパクトシティ化、それに応じて医療・介護施設を含めた必要な都市機能の再配置を行うことが不可避。
・以上のような問題に対応するためには、新しいまちづくりを促進する仕組みの構築が必要であり、具体的には以下のような総合的な規制の見直しが必要ではないか。
ということで、3つあります。
   (1)医療法人制度(及び社会福祉法人制度)の経営統合を促進する制度
(2)医療法人(及び社会福祉法人)の「非営利性」を担保しつつ都市再開発に参加できるようにする制度
(3)ヘルスケアも含むコンパクトシティに対する資金調達手段を促進する制度
のような総合的な規制の見直しが必要ではないかというプレゼンをされています。
 95ページをごらんください。続きまして、大島委員です。
 大島委員の資料は、医療を中心に書かれておりまして、プレゼンテーションの最後に、紙にはありませんでしたが、医療と介護の連携のあり方、認知症施策、介護保険データの分析・活用等による解決策の模索など、介護分野への資源投入は避けられないというようなプレゼンをされておりました。
 続きまして、101ページからです。永井委員です。
 永井先生も医療が中心でございまして、介護のところは102ページの上の部分の一番下に「心のケアや、高齢者の地域活動により、医療費の節減は可能」ということを言われております。
 以上がプレゼンをされた委員でございます。
 114ページからは、プレゼンはされませんでしたが、資料を提出された委員についての資料ということです。
 114ページは遠藤委員でございます。
 123ページは、当部会の部会長であります山崎先生からの資料で、介護の関係では125ページから書かれております。
 最後になりますが、130ページをごらんください。宮本委員から「医療制度改革への『国民世論』把握のためにDP(討論型世論調査)の実施を」が書かれたペーパーが提出されております。
 第9回、先週の金曜日の国民会議でこれを踏まえて御議論が行われ、週が明けた今週の月曜日に第10回国民会議で「これまでの議論の整理」ということが行われております。
 資料としては資料2と、資料4は参考資料という形で当日提出されまして、資料2について御議論がされております。
 資料2の赤枠は、事務局で国民会議資料のうち介護関係の部分について、わかりやすいように赤枠で囲いました。
 資料2について、ざっと御説明いたします。
 資料2は「これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医療・介護分野)(案)」です。
 左側の項目は、国民会議に3党のほうから出された検討項目に沿って左側の整理がされて、それに沿ったものがそれぞれ右側に書かれております。
 赤枠のところを説明いたします。基本的な考え方としては、1つ目が「社会保障の改革は、社会保障の持続可能性のみならず、地域経済の持続可能性の観点から重要」。
 2つ目が「社会保障と人口動態、経済、産業、雇用の関係性と今後の方向は、地域ごとに異なっており、そのあり方は地域毎に考えていく必要がある」。
 めくっていただきまして、2ページの上「消費増税に見合った社会保障改革が行われるかが重要であり、医療・介護1.6兆円の充実・効率化それぞれの内容を明らかにすべき」ということです。
 2つ目の整理は「健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見」ということで、2つございまして、「健康寿命の問題は、医療も含め、地域に合った包括的なシステムが必要。各自治体が取り組むべき」。
 最後にありますが、「高齢者の社会参加を通じた介護予防を推進」です。
 次の3ページ以降は、「医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等」ということで、6つに分かれておりまして、1つ目の区分が「医療・介護の提供体制の在り方」です。
 1つ目の点です。
 医療、介護、看取りまで継ぎ目のない地域医療・包括ケアを目標として各地域の医療・介護需要ピーク時までの地域医療・包括ケアビジョンを作成すべき。その際、地域医療ビジョンは、平成30年度とは言わず前倒しで作成。そのビジョンの実現に向けて、都道府県は地域医療計画を、市町村は地域包括ケア計画を、一定年間隔で策定すべき。それに沿った医療機能の分化・連携を促すための基金を創設(財源として消費税増収を活用)し、診療報酬や介護報酬による利益誘導ではなく、まずは補助金的手法で誘導すべき。医療機能の分化・連携が進んだ後、補助金的手法にあてていた消費税増収分を、順次医療機能ごとの診療報酬重点配分に移行していくべき。
 2つ目です。
 基金による財政支援は、地域医療・包括ケアビジョンの実現に向けて、具体的な地域医療計画・地域包括ケア計画が策定され、計画の実効性確保の手段も整備されることを前提とすべき。
 1つ飛びます。
 地域包括ケア計画は、市町村が主体となって、地域の高齢化ピーク時までの計画を策定し、介護だけでなく、在宅医療、住まい、生活支援、予防を位置づけるべき。特に「住まい」の確保は、長期療養患者や介護施設からの軽度要介護者の受け皿としても重要。
でございます。
 4ページは飛ばします。
 5ページです。
 「外来の役割分担の在り方」も飛ばします。
 その下「在宅医療と在宅介護の連携の在り方等」。
 病院頼み、介護施設頼みからの脱却をはっきりと示すべき。看取りの体制さえできないという危機感を持って対応すべき。
 6ページです。
市町村が中心となって、地域で医療と介護を一体的に提供できる体制の整備を図るベき。医療・介護の連携・調整の機能は法律上に位置付ける。
老後の暮らしの質を良くする観点から、医療と介護をどう連携させるか考えるべき。
「キュア」から「ケア」重視の生活支援と看取りの体制を確保するため、医療と介護が一体化した地域包括ケア体制を構築するべき。原則、すべての診療所を在宅療養支援診療所とすること等を検討すべき。また、地域包括ケアへの参画を条件に、こうした診療所や、これを利用する患者への優遇策を検討するべき。
高齢化が進む環境下で効率的に都市サービスを供給する体制が必要であり、都市のコンパクトシティ化と、それに応じて医療・介護施設を含めた必要な都市機能の再配置を行うべき。
 次が「医療法人制度等の在り方」です。
一番下です。
地域を起点とした公的安心サービス提供基盤の整備を進めていくため、病院の統合・再編による機能の集約化・分化と、医療・介護と高齢者向け住宅を結合すべき。
 7ページです。
医療法人制度及び社会福祉法人制度については、新しいまちづくりを促進する仕組みの構築が必要であり、具体的には、医療法人制度(及び社会福祉法人制度)の経営統合を促進する制度、医療法人(及び社会福祉法人)の「非営利性」を担保しつつ都市再開発に参加できるようにする制度、ヘルスケアも含むコンパクトシティに対する資金調達手段を促進する制度など、総合的な規制の見直しが必要。
 3つ目です。
 社会福祉法人こそ、経営の合理化、近代化が必要。大規模化や複数法人の連携を推進。加えて、社会福祉法人非課税扱いとされているに相応しい、国家や地域への貢献が求められるべき。低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組むべき。
 「人材の確保」です。
 介護人材の確保については、処遇改善とキャリアパスの確立が重要。
 生産年齢人口の急速な減少の中、看護師や介護職員の確保が課題。
 続きまして、8ページです。
 「医療関連データの収集・分析等」ということです。
 医療、介護、看取りまで継ぎ目のない地域医療・包括ケアを創生するためには、人口推計をはじめ、地域の特性に配慮した医療介護資源とニーズに関連するデータの可視化が重要。各地域からの報告内容の妥当性をチェックするとともに、既存データを集約・統合し、足らざるデータは収集することにより、住民、地域医療計画、地域包括ケア計画作成者に提供していくべき。
 地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを構築する上で、地域の特徴や課題が客観的に把握できるようにデータを整理し「見える化」。
 11ページをごらんください。
 「医療保険における療養の範囲の適正化等」ということです。
 現世代の負担増・給付抑制によって、将来世代の負担増・給付滅を緩和する視点が不可欠である。
 中高所得層高齢者の本人負担の引き上げ、給付範囲の見直し・効率化を図るべき。
際限ない高齢者向け給付の増大は現役世代の生活設計を破綻させるため、「年齢別」から「経済力別」ヘ負担の原則を転換すべき。
 12ページをごらんください。
 「個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるために必要な見直し、人生の最終段階を穏やかに過ごすための環境整備」という項目の中で2つあります。
 病院頼み、介護施設頼みからの脱却をはっきりと示すべき。看取りの体制さえできないという危機感を持って対応すべき。
 死生観・価値観の多様化が進む中、医療保険・介護保険で全てに対応するのは財政的に限界であることを踏まえ、抑制する範囲を皆で決める必要がある。
 13ページからは介護サービスについて書かれております。
 「介護サービスの効率化及び重点化」ということです。
 医療の機能分化のためには、しっかりした地域包括ケアを構築すべき。介護施設利用の適正化のためにも町のインフラ作りの全体的な取り組みが必要。介護は、24時間巡回型介護、訪問看護などで、重度要介護者の在宅生活限界点を高めるべき。サービス付き高齢者住宅を整備し、そのため、空き家・空き施設など既存社会資源を有効活用すべき。
 介護について重点化・効率化が求められており、骨太の方針を示すべき。
 継ぎ目のない「医療」「介護」システム構築の観点からの医療・介護の自己負担・利用者負担の整合性確保が必要。70-74歳の現役並み所得の医療費自己負担3割。ところが、介護に移行すると利用者負担1割。他方、75歳以上の高齢者では「医療」から「介護」ヘ移行しても1割負担のままであり、全体の整合性を確保していくべき。
 利用者負担の在り方については、一定所得以上の所得がある者や預貯金などの資産を有する者には、応分の負担を求めるべき。
 軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付範囲を適正化すべき。具体的には、保険給付から地域包括ケア計画と一体となった事業に移行し、ボランティア、NPOなどを活用し柔軟・効率的に実施すべき。
デイサービスは、重度化予防に効果のある給付への重点化などが課題。
引退後の引きこもりを予防し、地域の人的資源として活躍を促進するため、自治体による各種サポーター養成講座の提供、地域貢献活動の紹介により、地域の助け合い活動を拡大し、保険のカバー範囲を見直すべき。
 14ページです。
 特別養護老人ホームは中重度者に重点化。軽度者を含めた低所得高齢者の住まいの確保が新たな課題。
補足給付は、所得だけではなく、預貯金や不動産などの資産を勘案して給付すべき。また、低所得となる所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金、世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう見直すべき。
 最後です。
 「低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大の抑制」。
 介護保険料の低所得者軽減の強化が必要。
介護保険では、現役世代の保険料負担の公平性は保険料で調整すべきであり、第2号被保険者の介護納付金について、総報酬割を導入すべき。
 介護納付金の総報酬割導入については、負担の公平化の観点から応能負担の強化が課題になるが、後期高齢者医療支援金の見直しとの関連も整理の上で導入。
後期高齢者支援金の全面総報酬割と合わせて介護納付金の総報酬割の検討も必要。
とございまして、こういう資料が出されて、議論がなされております。
 当日の議論について、会議が終わった後に清家座長が会見で説明されておりますので、それについて若干御紹介いたします。資料はございません。
 当日の会議において介護保険についてはこういう意見が出ましたということで、五、六点あります。
 1つが、介護保険については、医療保険と同様に考えてよいのかどうか、少し違うところがあるのではないかということを意識した議論が必要だということ。
 2つ目は、介護を担う機関である社会福祉法人に関しては、内部留保と機能のあり方、あるいは助成のあり方などについて少し議論する必要があるのではないかといった御指摘。
 3つ目は、認知症対策を国家戦略として多くの先進国では掲げているのであるが、日本でもそうした世界の方向性に沿って議論を進めてほしいということ。
 4つ目は、医療・介護、特に介護も含めた部分については、家族のありようもセットで考えていくべきではないかという御指摘。
 最後は、各種サポーター養成講座などが特に女性に大変高く評価されている。そういったものをもっと活用してもらえる工夫が必要ではないか。また、認知症への対応などについても、例えばシニア学級というようなものをもっとうまく使うことによって問題を軽減していくことができるのではないか。
 といった御指摘があったと紹介されております。
 当日の議論は以上でございまして、今後につきましては、5月以降になりますが、子育て施策、年金について議論がされて、4分野の議論が終わったところで全体を見渡した上で、医療・介護の分野も含めてさらに議論がされるということになっております。
 説明は以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
 それでは、まず説明いただきました資料2の「これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医療・介護分野)(案)」に関しまして、御自由に御発言ください。勝田委員、どうぞ。
○勝田委員 国民会議における主な議論の報告を受けましたが、第4回から第10回の中で、各団体などからヒアリングや意見交換が行われています。残念ながら利用者からの聞き取りは全くありませんが、なぜなのでしょうか。これでは片手落ちではないでしょうか。
 報告にはサービス利用者の視点と人権保障の視点が全くないことと、給付抑制と利用者負担増に尽きます。
 まず、事務方にお尋ねしたいのですが、1つは、介護保険部会は国民会議と連動した議論をすることになっていますが、国民会議の提案を検討するということなのでしょうか。
 介護保険制度の原則は、認定を受けた人にサービスを利用する権利、ケアプランを作成する権利があることです。この原則のもとに議論を進めていくことだと理解していますが、それでよいのでしょうか。
 また、議論の中では給付と負担の見直しで重点化・効率化を図るとなっています。懸念するのは軽度者に対する給付の見直しです。認知症の人にとって、初期のときこそしっかりとしたケアを受けることで重度化させないことが大切です。国が示した「オレンジプラン」にもあるように、早期発見、早期治療、早期に適切なケアを受けることが大切です。
 今後、高齢化に伴い認知症の人が大幅に増加します。国民会議での議論は軽度者切り捨てであり、整合性がありません。国民会議では地域包括ケアが大切だとされています。国際的には世界保健機構などが「基本的人権を土台とした仕組みづくりを大前提とすべき」としています。これはWHOだけではなく、ユニセフもほかの全ての国連機関も守っている大原則です。にもかかわらず、国民会議では社会保障を語るとき、真っ先に言及しなければならない基本的人権について一言も触れられていません。
 「財政論的に切り捨ては仕方がない」ではなく、人権保障を実現するためには何を行うべきか、見識の高い国民会議のメンバーにその視点がないのが残念です。
 また、「地域で担う地域包括ケア」とありますが、これは各自治体の責任で行うということですが、具体的な取り組みにつながるのかどうか、いまだに不鮮明です。いつまでにどんな方法で誰が担うのか。人手不足が深刻な状況になっていますが、実現可能な具体策がいまだに出ていません。「見える化」と言いながら、全く具体策が示されない報告だと思います。
 認知症の初期への対応は、地域のボランティアやNPOではなく、専門職によるケアが重要です。そのことが重度化を防ぐのです。
 机上の空論ではなく、少子高齢化が進行する日本にあって、認知症があっても一人一人が尊厳のある高齢期を過ごされるような具体策を示されるよう、今後の議論に期待したいと思います。
 最後ですが、負担増の中で「一定の所得」とありますが、きちんと金額を明示して議論すべきと考えます。
 以上です
○山崎部会長 関連だそうです。では、伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今の勝田委員の意見に関連して御質問をさせていただきたいと思います。
 今日、国民会議の議論の経過を教えていただきましたけれども、これは報告と受けとめてよろしいのでしょうか。事務局からの提起ということではないと理解してよろしいかというのがまず1点です。
 資料2「これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医療・介護分野)(案)」とあるのですが、これは取りまとめがされた、整理がされたということになっているのかどうかということを教えていただきたいと思います。今日、お聞きした説明によると、一人一人の委員の方のお考えが列挙されているような性格のもののように感じました。国民会議としての方向性というのが必ずしも定まっているようには感じませんので、今、これはどういう取り扱いになっているのかというのを教えていただきたい。
 もう一つです。今日、これを御報告いただいて、この場でそれぞれ委員が意見を言うということを求められているのかとは思うのですが、それがどのように生かされていくのか、国民会議のほうに反映されるのかどうかということについて確認させていただきたいと思います。
 以上です。
○山崎部会長 河原委員、関連でございますか。では、どうぞ。
○河原委員 今、伊藤委員が御指摘されたことは私もそう思います。勝田委員もさわられていましたけれども、私も今日のテーマ「社会保障制度改革国民会議の議論について」というのが余りにも大き過ぎて、ここでどのようなことを言えばいいのかということがますますわからなくなってしまったのです。
 1月の介護保険部会のときに同じような質問をしたときには、「国民会議と並行して」あるいは「国民会議の議論を踏まえながら」と回答していただき、私は具体的な設計については介護保険部会で議論していくという風に受け止めていました。今回国民会議の内容を見ましても、介護保険に関することは、ここの部会で議論していたことと国民会議で議論をしていたことはほぼ一致しているのです。とするならば、具体的な設計についてここで今回から走り出すのが筋ではないかなと思いましたが、今日のテーマは「国民会議の議論について」ということですので、これについてそれぞれ所感を述べるのか、何か物申していいのか、ちょっとわからない。
 もう一つは、3党実務者会議。聞くところによりますと、1週間に1回程度、今、与野党が対立していますので、ちょっと延びているということなのですけれども、盛んに同じようなテーマで議論しているはずです。とすると、実務者会議と国民会議との関係、伊藤委員は「反映」というふうにおっしゃいましたが、どのような意見がどちらに反映するのか、あるいはこちらの意見が実務者会議あるいは国民会議にどのように反映するのか、しないのか。
 また、今日の記事を読んでいますと、100人ほどの超党派の議員連盟で同じような議論が進むということです。国民会議の中で意見を言わせろというような要求もしていらっしゃるそうです。議員連盟では「社会保障制度の抜本的改革」ということをおっしゃっている。とするならば、そこがもし何か大きな力を持ってくると、根本的な何かがひっくり返る可能性があるのか。
 今、それぞれの関係がよくわからなくなってきたので、ひとつお伺いしたいということでした。
 
○山崎部会長 大事なことでございますから、国民会議の関係等を含めてお願いいたします。
○原老健局長 老健局長でございます。
 私は毎回国民会議を傍聴させていただいておりますので、私からただいま出ました御質問について、お答えをさせていただきたいと思います。
 最初に、今日説明しました資料2については、前回の国民会議の場でもこの資料の位置づけは何なのだということが議論になりまして、ある委員からは、国民会議としての中間まとめの原案みたいなものなのかという御質問がございました。
 これはそうではなくて、まさに今、委員がおっしゃったように、ここに書いてありますのは、左側の大きな検討項目に沿いまして、これまで国民会議の場で国民会議の委員の皆様から出された意見、先ほどプレゼンテーションの資料にもいろいろ入ってございましたけれども、そういうものの要旨を羅列しているということでございます。表現とかは議論するために多少要約してありますが、基本は各委員から出された意見をまとめたものである。
 例えばある委員からは、だったら、出典ではありませんけれども、この意見の後ろに括弧書きで「○○委員」ということも入れたほうがいいのではないかという意見もございましたが、これは内閣官房にございます社会保障改革担当室という事務局が整理をしたものでございますけれども、委員の皆さんに今まで出た議論を踏まえてさらに議論してもらうためのペーパーでありまして、公開の場でやっているということもございますので、それは明らかなので、あえてどなたの委員が言ったと入れなくてもいいのではないか、今後国民会議が議論を深めていく上での資料である、ペーパーであるという整理で国民会議の場としては了承になっているということでございます。私どもとしては、今日、そういう性格の紙を皆様方に御説明をした、基本は御報告ということでございます。
 この論点整理が今日の議論、あるいはどういう関係になるのかということであります。今日の議論の最後に御説明をすることになっていますけれども、実は今後の議論の進め方ともかかわることでございます。国民会議としては、この後、5月には少子化対策、年金の問題について2回ほど議論をされるようでございます。その後、さらにまた医療・介護についての議論に戻る。当面はそういう予定になっておりまして、そこから先はまだはっきりしておりません。6月、7月がどういうふうなスケジュールで国民会議が意見をまとめられるのか、まだ決まっておりませんが、5月は一応そういうスケジュールが予定されています。そこに向けてこれを踏まえながら国民会議で議論が行われてまいりますので、当部会には、今日は一応御報告ということでこれを説明させていただいています。5月は2日ほど御予定を委員の皆様にとっていただいておりますけれども、この議論の整理の紙に沿って、参考となる資料も私どもで用意をしながら、個別にまた2回にわたってそれぞれ御議論をいただく。こういうことでどうだろうかというふうに考えております。これはまた最後に御説明申し上げます。
 したがって、当部会の議論と国民会議の議論の関係ということになってまいりますが、1回目のときに申し上げましたように、大きな方向とか考え方の整理というものは、国民会議が夏までに行うということでございますので、そういう大きな方向、議論を踏まえながら、制度の具体的な内容については、やはり介護保険部会で御議論をいただく。両方が連携し合いながら、あるいは役割分担を持ちながら議論をしていくということをお願いできないかなと私どもとしては考えております。
 したがって、繰り返しになりますけれども、今日は一応これまでの御報告ということと、当部会では5月に2回ほど御議論をお願いしていますが、その2回で個別の議論をさらに深めていただく。こういうような考え方でございます。
 3党実務者会議との関係でございます。3党実務者会議も一体改革の与党合意のもとでやっていますので、いずれ医療・介護についても御議論をいただくことになろうかと思いますが、現時点ではまだ医療・介護の議論には入っておりませんで、年金の問題でありますとか、あるいは後期高齢者医療制度の取り扱いについて御議論が行われているというふうに承知しておりまして、医療・介護についてはまだ議論には入っておりません。
 いずれ国民会議の議論が深まってくれば、また3党のほうでもそれを踏まえながら議論が行われるかと思いますけれども、現時点ではまだ介護の議論には入っていない状況にございます。
 最後に御質問がありました超党派の議員の関係の詳細については、私どもとしては承知をしておりません。
 以上でございます。
○山崎部会長 あと、勝田委員から利用者からのヒアリング等がされていないということでございますが、これについては国民会議の事務局にもいろいろ御意見が入っているようでございます。
○原老健局長 これは先ほど言いましたように、事務局が内閣官房の社会保障改革担当室にございまして、そちらのほうで清家座長などとヒアリングの仕方についてはいろいろ相談をしているようでございますので、利用者の方々の扱いについては、私どもとしては承知しておりません。
○山崎部会長 たしか期間を限ってパブリックコメントを求めているようでございます。
 片岡総務課長のほうからその辺をどうぞ。
○片岡総務課長 利用者に限らず、広く国民からの意見募集を今、多分やっているかと思いますので、そちらのほうに出された意見が参考にされると思います。
○山崎部会長 勝田委員からいろいろ御意見もありましたが、とりあえず御意見として今日は承っておくということにしたいと思います。
 それよりも、ほかの方から御意見をいただきたいと思います。木川田委員、どうぞ。
○木川田委員 「国民会議の開催経過」を見てますと、3月27日の第7回国民会議で社会保障の各論に既に入っており、「関係者を交えての議論」というところに四病院団体、日本歯科医師会、薬剤師会、看護協会、老施協、民間介護事業推進委員会とあります。そこに我々の団体である全国老人保健施設協会が入っておりません。
 非常に不思議に思うのは、昨年、国が「地域包括ケアシステムの構築と推進」ということをうたっているわけでありますから、地域包括ケアシステムの推進と支援できる第一人者は老健施設であろうと私は自負しております。そういう我々の団体がここに意見を求められないで、社会保障について語られることはいかがなものかということを感じたものですから、次の機会に我々の全老健も国民会議の中で意見を述べさせていただきたい、と要望します。
 以上であります。
○山崎部会長 要望として承ります。
 齊藤委員、どうぞ。
○齊藤(秀)委員 今、国民会議の議論の説明をいただきまして、ありがとうございました。今日御出席の部会長を初め、国民会議の各委員の御尽力に敬意を表したいと思います。
 3点申し上げたいと思います。
 1点は、今日の国民会議の意見の取りまとめの中にもありますが、保険給付からの除外の議論がございます。特に軽度者への介護サービスを保険給付から除外をして、市町村に委ねるという議論でありますけれども、これまでも申し上げてきたことでありますが、地域格差というものが広がっていくということが一番大きな懸念でございます。さらに、必要なサービスであるか否かということをお決めいただいているというのは、ケアマネジメントというものが非常に重要でありまして、これを丁寧に行うことによってその必要性を導き出すということが本筋であろうと思っております。したがって、給付除外ありきではなくて、まず保険給付を前提とした慎重な議論をお願い申し上げたいと思います。
 2つ目は、デイサービスと言っておりますけれども、重度化予防における効果のある給付ということについてであります。仮に現状よりも改善しなければ効果がないというような考え方が「効果」という言葉の中にあるといたしましたら、利用者には大変厳しいものがあると思っております。
 御承知のとおり、高齢者の健康状況というのは、現状を維持することだけでも大変でございますので、やはり現状を維持することも含めて効果だという評価をしていただく必要があるのではないかと思います。
 3点目は利用者負担についてであります。医療保険との整合性ということが繰り返し論じられているようでありますが、これも当部会でこれまで議論されてきておりますように、利用が長期化するというのが介護の特色であり、医療とは若干異なるものではないか、同じ土俵で論じるには少し無理があるのではないかということであります。
 さらに、高齢者は所得に応じて応分の負担をすべきという考え方は、私も理解できますし、尊重すべきことだと思っておりますけれども、高齢者世代間での公平性の確保でありますとか、所得の再分配機能の強化という側面でそれを利用料で考えるという考え方もあるわけでありますが、原則論としては保険料負担で行うべきものではないかと思っております。
 さらに、介護保険は、御承知のとおり支給限度額もあるわけでありますから、医療保険とはそもそもの違いがあるのではないか。保険料のハードルを高くして利用が阻害されるようなことがあってはならないわけでありますから、これらの議論も慎重であるべきではないかなと考えております。
 以上であります。
○山崎部会長 ほかにございますか。では、結城委員、ペーパーが出ておりますから、どうぞ。
○結城委員 今日の発言要旨は簡単にペーパーにしましたので、それをごらんいただければと思います。
 実際国民会議の資料を見ると、介護のところについて突っ込んで議論されているとは感じませんでした。主に資料2の13ページから14ページだったと思います。
 そこで注意したいと考えているのは、今、齊藤委員も言っていたようですけれども、重複するかもしれませんが、「軽度者」とか「要支援者」という言葉がよく出てくるのですけれども、本部会は介護関係の専門家の集まりなので、ここの定義をきちっとしたほうがいいのかなと思います。例えば要支援1と要支援2を法令どおりひとくくりにしてしまうと、現場では恐らく要支援2と要介護1というのは非常に微妙で、区分変更の件数を見ればこれは明らかだと思います。
 この辺を国民会議の議論にのっとってひとくくりにするのは、現場としては非常に困るのではないか。やはり要支援と現在の要介護はサービス面でも非常に違いますし、現場では要支援2と要介護1は行ったり来たりしている場合もありますので、その辺はひとくくりにすべきではないと思います。
 2つ目は自己負担の問題です。先ほど齊藤委員も言っていたのですけれども、医療と介護というのは利用期間が異なりますので、その辺の負担についてきちっと議論するのと、私は、介護保険は半分は福祉で、半分は社会保険だと思ってはいますが、ただ、社会保険方式とするのであれば、できれば負担は保険料でやるべきだ。ドイツの介護保険とほかの諸外国の社会保険を見ても、出口の、利用のところでの応能負担というか、所得の差はあるかもしれませんけれども、ほとんどは余りないということだと私は理解をしております。
 ただし、これがどうしてもだめという意見になった場合に関しては、勝田委員も言っていたとおり、では、高所得者はどのぐらいになるのかという議論をある程度国民にも聞きながらやっていかないと、例えば後期高齢者の自己負担は、私の記憶では383万だったと思います。75歳以上の人が3割負担、もし介護保険が2割負担となったときに、いくら高額療養費とか高額介護サービス費があるとはいえ、なかなか厳しい場合もあるかもしれません。そういうこともきちっと精査した上で慎重な議論が必要かなと思います。
 あと、負担と給付が議論されていますが、補足給付や総報酬制や低所得者軽減に関しては、おおむね賛同できます。
 ただ、資産の勘案と言いますけれども、果たしてこれが現行のままでどうテクニックをしていくのかというのは非常に難しい議論だと思います。特に市町村が補足給付の資産を勘案したあれをどうやって捉えるのかというと、今は社会福祉法人の減免制度、性善説に基づく方法しかないのかな。そこは現行では非常に課題が多いのかなと思います。
 最後に、国民会議の動向を踏まえることは大事ですけれども、この審議会でもきちっと独自の論点というのがあると思います。例えば費用限度額はこのままでいいのかとか、これから各論に入ってくると思いますので、国民会議は大事にしつつも、ここは介護の専門家の皆さんがいらっしゃるので、ここで発信するということも必要だと思いますので、ぜひ今後議論を重ねていくべきだと思います。
 以上でございます。
○山崎部会長 岡委員、どうぞ。
○岡委員 日本商工会議所の岡でございます。
 具体的な議論は今後の部会で行われるとのことでございますので、本日は国民会議の議論に関する所感を一言述べたいと思います。
 そもそも過去から改革議論の発端は、日本の長期債務残高が対GNP比で既に2倍となっている今、日本の財政健全化と社会保障とをいかに両立させていくのか、その持続性を担保できる社会保障制度のあり方を検討するのが大前提であったと理解しております。
 したがって、既に国民会議でもたびたび指摘されておりますとおり、議論の方向性として大事なのは、限られた財源でいかに持続性を確保していくかという視点であります。なお、この部会でもそうした視点を大前提に議論を続けていただきたいと思っております。
 特に、来年から社会保障を目的税化した消費税の引き上げが行われますが、政府は少なくともさきの一体改革で示された2015年度における総額1.2兆円分の効率化の枠について、確実に担保していく義務があると考えます。
 介護分野に関して言えば、改革を2015年までの短期とそれ以降の中長期に分けた場合、介護予防、重度化予防、在宅への移行といった重点化・効率化の取り組みは、その成果を得るまで相当の時間が見込まれ、中長期的改革であります。したがって、まずは10%までの消費税引き上げの範囲内で最大限持続性を確保するためのより短期的に実行が可能な改革、すなわち給付サービスの適正化や自己負担のあり方について、ぜひ早期に明確な結論を得るべきであり、そうした観点で議論を行っていただきたいと思っております。
 以上です。
○山崎部会長 布施委員、お願いします。
○布施委員 今の岡委員の意見に賛同いたします。この資料のどこを見ても書いてありますとおり、高齢化はますます進んでいくわけでございます。保険料にしても、1号被保険者、2号被保険者ともに毎年上がってきているという環境の中で、介護保険制度自体を持続可能なものにしていくということは、ここで最も大切なこと。この制度はすばらしい制度でございますので、持続可能にするということがなければ、どんなことをやっても成り立たないわけです。そこが非常に重要だということ。そうするには、現在の介護の総費用を抑制する必要があると思います。
 具体的に言いますと、先ほどから出ていますけれども、軽度者についての給付の見直しというのを考える必要があるだろう。特に要支援1、2については本当に介護保険の対象にするのかどうか。ここから除外することも含めて検討する必要がある。
 また、負担については、医療保険がずっとたどってきましたように、高齢者医療等の自己負担とのバランスをどう考慮するかという問題とか、あるいはまた一定以上の所得者についても利用者負担を見直すべきではないかということも考える必要がある。
 最後に、もう一つ考えなければいけないのは、要介護のいわゆる要介護度に応じた自己負担も検討する必要があるということで、やはり効率化・重点化については強く取り組んでいかないと、この制度は持続的に守れないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○山崎部会長 土居委員、どうぞ。
○土居委員 今、岡委員、布施委員のお話がありまして、私も同感であります。特に効率化・重点化を介護分野でもきちんと取り組んでいくということが求められると思っています。
 ただ、その中で、資料2の3ページにありますように、もちろん医療との関連でということでありますけれども、「医療・介護の提供体制の在り方」ということで、国民会議の中で示された意見の一つということだと思いますが、必ずしも早期に医療機能の分化・連携が実現しないということであれば、それは診療報酬や介護報酬で利益誘導するのではなくて、基金を設けて補助金的な手法で誘導すべきであるという意見が出されているということだと思います。
 そもそもこれは民主党政権のもとで出てきた案だと思いますけれども、効率化・重点化で1.2兆円程度。それに見合って充実で3.8兆円の給付の拡充などを行うということがあって、そこの部分の中に診療報酬や介護報酬で機能強化、充実にかかわるところに対応するということで支出増を見込んで、トータルで見て差し引き2.7兆円程度の消費税の増収分の配分をするという予定にしているということが、民主党政権のときのアイデアの一つとして出されている。
 もちろん、政権がかわって今後どうなるかということはまだ予断を許さないとは思いますけれども、国民会議では資料2の3ページにあるような案が1つの意見として出ているということだと思います。
 この発想は、確かに早期に機能分化・連携を進めるということはなかなか困難を伴うということなので、診療報酬や介護報酬といった価格で誘導するということもさることながら、補助金的な手法でより確実に提供体制の再編を求めるということにして、その後に増収分を診療報酬、介護報酬の重点配分に移行するということなのだろうと思います。
 ただ、2015年、消費税率が10%になると思われる時期の段階では、この意見に基づく想定では必ずしも十分な機能分化・連携が完成できているとは言えないということが想定されていて、それを補助金的な形で誘導して、行く行くは目指そうとしている方向に導きたいということなのかもしれません。
 そうしたところで、では、先ほどの充実と差し引きした重点化・効率化の金額に消費税増収分のうちの2.7兆円程度を充てるとしているところは、さすがに効率化・重点化のために必ずしも十分な進展が2015年段階で見込まれないということになったならば、残念ながら診療報酬や介護報酬のところで手厚く重点配分をするということはできないと考えなければいけないのではないかと思います。
 機能分化や連携が必ずしも十分でない中で、それでも介護報酬をもっときちんと手厚く重点配分しろというのは、ない袖は振れない話をしているというふうに理解するべきだと思います。
 ですから、介護報酬や診療報酬で利益誘導するのではなくというふうにこの資料で書かれているところは、ここは先に診療報酬、介護報酬で手当はしないけれども、後にするということならば、2014年や2015年の段階、特に第6期の介護保険の計画期間、その時期にはまだ不十分な連携・機能分化しかできていないということが考えられますから、その段階で手厚く報酬を充てるということにするべきではないと思います。
 そこで、私自身は、この意見だけではわかりませんので、今の段階でこの考え方に賛成、反対というのは留保しますけれども、少なくとももしそういう案がより具体的に国民会議の報告書なりに盛り込まれるということになった場合には、充実のために充てる支出増と重点化・効率化によって抑制される部分とのバランスをきちんと考えて対応する必要があるのではないかと思います。
 もう一つは、介護保険における自己負担に関連するところであります。確かに保険料できちんと手当をされることができれば、必ずしも自己負担に求めることにしなくてもよいということになると思いますけれども、既に厚生労働省から出ている長期の試算で、2025年には第1号被保険者の月の保険料が8,200円という試算も1つの試算としてあります。
 そういうことを考えますと、自己負担割合を引き上げずに保険料をきちんと確保するということは、それ相当の保険料の確保が必要だという覚悟がなければ、自己負担を引き上げなくてよいというようなことを軽々と言えるものではないと思います。
 さらに言えば、第2号被保険者は、特定の条件が満たされない限り介護サービスは受けられないという立場でありながら保険料を納めているということですから、それでいて自己負担をふやさないで第2号被保険者の保険料を引き上げるということでは、果たして40歳から64歳の国民の方々が納得できるのかということも、自己負担のあり方を考えるときにはきちんと考えなければならない。むしろ40歳から64歳の方々の保険料を引き上げないということとの見合いで自己負担をある程度お願いするということも、行く行くはやむを得ないのではないかと思います。
○山崎部会長 国民会議に出ておりますから、今までの状況について私から御報告させていただきたいと思います。
 結城委員がおっしゃったように、介護については余り議論されていないのではないかということでございますが、専ら医療について議論が沸騰いたしまして、医療につきましては、特に医療提供体制の見直しということでございました。これは介護にも密接に関連することでございまして、医療から介護へ、施設・病院から在宅へという大きな流れの突破口として、今の医療機関の機能分化を急ぐべきだ、あるいは地域別のニーズとの関連で見て、マッチしていない医療機関の分布になっておりまして、そういったところに急いでメスを入れるべきだという議論が一つでございます。そのためにもっと都道府県の地域医療政策に期待したいということだったと思うのでございます。
 もう一つは、市町村国保のままでは国保がもたないということで、強い意見としては、これを都道府県保険者に移管するということでございました。
 その際に国保の赤字体質そのものにメスを入れなければならないということもありまして、一定の財源措置が必要ではないかということで、被用者保険の総報酬割によって一定の国費が浮く、それを都道府県保険者の国保に投入したいというふうな御意見が相当あったわけでございますが、私どもなどは、そういう方向には慎重であってほしい、もっとデータに基づいて議論してほしいという異論を申し上げたこともあります。それが1つでございます。
 介護につきましては、今もいろいろ御意見をいただいているわけでございますが、平成22年、23年いずれも11月の末にこの部会の意見を取りまとめております。給付と負担の見直しにつきましては、議論はしましけれども、両論併記のものも多くあり、比較的多数の意見の合意が得られたものもありましたが、法改正には至らなかったわけでございます。
 ところが、今、国民会議は社会保障制度改革推進法に基づいて設置されております。その推進法の中で、公的年金制度あるいは高齢者医療制度の将来像については、与野党間、当時の与党民主党と3党合意の当事者であった自民党、公明党との間に大きな意見の対立があったということで、そのまま国民会議で議論する、3党でも並行して議論するということで今日に来ているわけでございますが、介護につきましては、3党が合意して推進法に具体的な方向性を書いているわけでございます。給付の範囲の見直しを含む重点化・効率化をしなさいということと、低所得者対策をちゃんとしなさいということが3党合意で改革推進法に書かれているわけでございます。そして、これを踏まえて国民会議は議論をしなさいという注文まで書いてありますから、国民会議としては、この法律からは自由になれないという大きな制約があります。
 介護保険部会もそういう法律があり、国民会議で議論している以上、全く自由にはなれないということで、一定程度これを尊重しながらこの部会でも議論をする必要があると思っております。
 ただいまの御意見にもありましたように、介護保険部会独自の立場というのは、やはり言うべきことは言うべきだと思います。先ほど来御意見もありましたように、関係団体の全てから意見を聴取しているわけではございません。ましてや、個々の利用者さんの声もあると思いますから、それはパブリックコメントという形で反映されると思います。それから皆さんは今日この場に出席しておられるわけですから、こういった場で御発言いただくことが国民会議にも何らかの形で反映されるのかと思います。
 私自身も1つ不満があります。認知症対策について、私のペーパーには数行書いてありますが、この議論の整理の案の段階ではまだ認知症のにの字も書いていないわけでございます。
 1月の末に国際的なシンポジウムが東京でありました。出させていただきましたが、日本の立ちおくれはひどいものだと思います。しかし、おくれたとはいえ、世界の潮流に沿った改革の取り組みの方向性が昨年来出されているわけでございますから、最終的な国民会議の報告書に「将来に向けての一定の認知症対策の推進」ということを書いていただきたいなという希望を私は持っております。
 勝田さん、こういうことにとどめたいと思います。これはほかの方もそうだろうと思います。
 そんなことでよろしいでしょうか。
 ということで、引き続き御意見をいただきたいと思います。久保田委員、お願いします。
○久保田委員 ありがとうございます。
 土居先生を初め、何人かの方から御意見が出ましたけれども、財政の観点もありますし、保険という意味では保険料の負担がもう限界に来ています。効率化・重点化を図り、給付の総額をコントロールする必要があるという大前提の中で、必要なところに重点化を図っていくという議論をしないと、これは制度設計として成り立っていかないのではないかと思っています。
 そういった観点から、今日出された資料2の13ページの上から3つ目の○の利用者負担割合の見直しとか、あるいは14ページの2つ目の○の補足給付対象の見直しは、どちらも負担能力に応じて利用者に負担を求めるべきという内容でございまして、高齢者を一律に弱者として捉えるべきではないといった考え方が重要でございます。この点についても今後当部会で検討していけたらというふうに思います。
 13ページの5つ目の○にありますように、軽度の高齢者に対する見守り・配食等の生活支援を介護給付の対象から地域事業に移行する。これも非常に重要だと思っていまして、各自治体がいろいろ独自の取り組みを展開できるということも期待できるのではないかと思っています。この辺についても今後この部会で検討できればと思っております。
 以上です。
○山崎部会長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 私も何人かの委員の方の御意見と同じであります。
 急激な高齢化社会の中で、介護に対するニーズはさらに増大することが予想され、費用負担は拡大せざるを得ないと考えております。
 その中で、医療の側から見ても、介護負担がしっかりと持続していくという姿を示すことが必要ではないかと思っております。
 本日事務局からの資料2は、国民会議の委員の皆さんの御意見をまとめたものということでありますが、11ページの枠囲いの中で、医療保険に対する基本的な方向について御意見がまとめられております。
 これは先ほど御紹介いただきましたが、あえて繰り返し申し上げますと、
現世代の負担増・給付抑制によって、将来世代の負担増・給付減を緩和する視点が不可欠である。
 中高所得層高齢者の本人負担の引き上げ、給付範囲の見直し・効率化を図るべき。
 際限ない高齢者向け給付の増大は現役世代の生活設計を破綻させるため、「年齢別」から「経済力別」へ負担の原則を転換すべき。
 こういう御意見がここでまとめられております。ぜひとも介護保険についても共有して制度改正を検討していくべき内容だと考えております。
 次の介護保険制度改革の具体的な骨格は、介護保険部会で議論し、整理されるわけですから、本部会においても応能負担の視点から費用負担を見直すとともに、繰り返しになりますが、給付の適正化・重点化についても踏み込んだ具体的な議論をお願いしたいと思います。
 以上です。
○山崎部会長 大西委員、どうぞ。
○大西委員 市長会を代表して参加させていただいています高松市長の大西でございます。
 国民会議の議論については、私のほうも市長会を代表してヒアリングに臨ませていただきまして、地方の現状等も訴えさせていただいたところです。総論としてはこのとおりだと思いますし、この方向で考えていかなければならないと思います。ただ、実際の人口減少、超高齢化が地方都市、中核都市において起こるのは今からなのです。もちろん、小さな都市とか町村は、もう既に相当人口が減少していますし、高齢化率もかなり高くなっていますが、大都市、中規模都市において起こるのは今からです。
 高松市は、今後の人口等の推移について、全国平均並みの予測を立てております。現在はぎりぎりですが、人口は横ばいです。高齢化率は少しずつ上がってきて、今、23%程度。40年後の2050年には今の42万人の人口が31万人になって、今、10万人弱いる65歳以上人口が13万人ぐらいになるということで、43%ぐらいの高齢化率で、ほぼ全国並みで推移すると見ています。このことを前提にこれから介護保険、医療も含めてどうしていくかというのを真剣に考えていかなければなりません。
 今回の介護報酬の改定でも1号保険料は月額約4,700円が約5,800円になりました。人口減少、超高齢化がまだ起こっていない段階でこれだけの保険料の改定をやらなければならない現状にある。
 したがって、これから高松市において持続可能な介護保険を運営していくためには、やはり抜本的な制度改正、あるいは老人介護の世界の環境改善みたいなものを図っていかないと、多分なかなか持続可能というのは見えてこないのではないかと思っております。
 国民会議で意見が出ていますけれども、ここで出ている課題とか方向性というのは、前回の介護報酬改定のときに出ていたのとほとんど変わっていないわけです。方向性は、医療と介護の連携でありますとか、あるいは医療から介護へ、施設から在宅へという方向で間違いないのでしょうけれども、それを本当に持続可能な制度に持っていくためのもう少し突っ込んだ議論というのが必要なのではないかな。それがまさに介護保険部会でやるものかなと思っております。
 それをぜひとも介護保険の保険者であり、あるいは地域包括ケアシステムを動かしていかなければならない責任も持っています市町村の代表として皆さんにお願いしたいと思っておるところでございます。
 それと、持続可能な抜本的な改正をということですが、やはりそれぞれの地域において妥当性を持たないことには、幾ら立派な制度をつくっても実際動かないことも考えられます。高松市も42万の人口でございますけれども、地域包括支援センターは、本センター1つとサブセンター7つの8つのセンターで動かしています。そして、それぞれの地域に入りますと、個々のコミュニティ協議会というのが全市域で44あるのですが、介護保険の世界というのは、コミュニティ協議会あるいは地域の民生委員などと手をとりながらきめ細かくやっていかざるを得ない世界でございます。したがって、そういうときに制度を変えても、それが現実的に地域で妥当するようにやってほしい。そのためにはある程度財源的なもの、あるいは制度の枠組みとして全てをぎちぎち縛らないで、若干余裕を持って、地域の実情に合わせて、財源と事務権限においてある程度包括的に市町村が動けるような、そういう制度構築をぜひお願いしたいなと思います。
 また、先ほどから保険制度の改正とかいろいろ出ていますが、余り事務負担が過大にかかってまいりますと、例えば資産が多い人には補足給付の抑制とか、そういうのを考えてもいいのですけれども、資産を誰がどういう形で認定するのか。それを市町村に全部やれということになりますと、これは大変な事務負担になりますので、現実としてかなり難しくなると思います。
 そういうことも含めて、権限、財源、事務負担等々について現実に妥当するような制度改正というのを、私自身も現場等を見ながらいろいろ意見を言わせていただきたいと思いますし、ぜひ皆さん方にもいろいろお考えいただきたいと思っています。
○山崎部会長 木村委員、どうぞ。
○木村委員 日本介護支援専門員協会の木村です。
 社会保障制度改革国民会議の議論はある程度参考として、大きく2つ考えなければいけないことがあると思っています。
 今、大西委員からお話が出たのですけれども、整理していく段階で、介護保険の維持ということだけ考えて、保険給付から例えば要支援者を外していくとか、そういうことを誘導していく形になっていますが、私は第1回目からこの部会にいます。軽度な方々については、介護保険が始まる前から老人保健法が適用になっていて、そういう人たちには老人保健事業が適切に行われるということになっていたのです。
 しかし、財源負担で考えると、市町村負担が、あのときはたしか自前の財源が3分の1ないと実行できなかったわけです。ですから、市町村がしっかりやりたくても、財源がないために、軽度者というか、いわゆる老人保健、ヘルスのところができなかったという経緯がありました。それで、地域支援事業で、8分の1、12.5%の負担でそれが適切に行われるようにという仕組みをつくったわけです。
 ところが、今の議論を聞いていると、市町村にお金が補助金等できちんと担保されないと、結局、元気な高齢者が少し弱くなっている二次予防のところで水際作戦ができなくなるだろうという危惧を感じますので、そこはきちっと押さえなければいけないと思っています。
 もう一つ、これは勝田さんの関係ですけれども、若年性認知症のことを考えますと、今、30代で認知症を発症したときに、現実に介護サービスは使えない状況になっています。それを介護保険サービスで使うようにするのか、それとも別の、例えば障害福祉制度、医療保険で支えていくのかということを考えなければいけないと考えます。やはり介護サービスを使うようにするべきでしょう。
 そうすると、やり方は、2号被保険者の年齢引き下げとか、いわゆる事故に伴う保険給付という形になるので、これは若年性認知症という形で特定疾患に該当させればいいと思っているのです。
 保険料が上がる上がるという話のときに、広く薄く20歳から2号被保険者の保険料を取っていくという形の大きな議論をしていく必要があります。そこには前段言った若年性認知症のことが出ているわけです。
 乱暴だと言われるかもしれませんけれども、私が言いたいのは、制度のすき間に落ち込んでいる人たちをきちっと救っていくというのも社会保障だということを言いたいのです。
 ですから、一例で年齢引き下げなのか、何かの制度で支えるのかということです。せっかく医療制度と介護制度の議論をしているわけですから、山崎部会長、そういうことを議論の流れの中で一言話していただけないかなと思います。
 それからデータとして欲しいのは、先日、製薬メーカーの方に聞いたら、新しいデータがないということだったのですが、若年性認知症の現在の患者数と発症率の年次変化です。現場感覚で言いますと、30代の方で認知症を発症するのが非常に多くなっているという感覚があるのですが、数字で少し押さえたいと思いますので、そこは要望したいと思います。
 よろしくお願いします。
○山崎部会長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 高齢社会をよくする女性の会から来ました井上でございます。
 本当に皆さん、意見をいっぱい出してくださって、私が言うことはほとんどないのですが、一点だけ発言させていただきます。
 確かにそうだなと思いながら伺っておりました。ほとんどのことが指摘されていると思います。これから詳細についてはこの部会で決まっていくのだろうと思いますが、考え方で私が気になるところがあります。それは、要介護度が軽度の人たちはもう介護保険から外すという考え方です。介護保険ができたころは、今も委員の方がおっしゃたように、利用者の自立支援というのが重要なテーマだったと思うのです。重点化というのは、重度化と理解してよろしいのでしょうか。重度の方だけに介護保険を使って、軽度者のほうは介護保険を使わないという考え方に対して、二つの理由から疑問を持っています。
 一つは、今現在、軽度の人たちを自立支援サービスで支えることによって、重度化の抑制につながっていくと思うからです。そういう調査やデータが欲しいなと思っています。国民会議の報告などを見ましても、現状の統計から推測してこうなるから大変だというふうになっていると思うのです。でも、今、軽度者にお金を投入することによって重度化を阻止できれば、ひょっとしたら持続可能な介護保険につながっていくのではないか。もちろん重度者へのサービスが必要ないということではありません。重度者に対しては必ず介護保険サービスを提供しなければならないのは当然です。一方、軽度の人たちの自立支援を行うことによって、介護予防にもつながっていく、重度化させない、ということが調査なり統計なりを使ってシミュレーションできないのか。それをお願いできないかなと思っております。
 今までの議論にもありましたように、国民会議では介護の問題の議論が非常に少ないと思います。
 13ページの下から3番目「軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付範囲を適正化すべき」というところが少しひっかかってまいります。「ひっかかって」というのはちょっと話し言葉ですが。軽度の高齢者を含めて自立した生活を支えるのが介護だと思うのです。見守り、配食ではなく本来の自立支援サービスを利用しながら介護保険を増大させないというあり方も一方に置いていただきたい。
 もう一つは、要介護者の中には自立支援サービスを受けながら、彼らの中には働いている人も現実にいるわけです。介護サービスを受けながら税金を払うような仕事をしているという事例もあるわけですから、そういう事例も集めていただきたい。それは私ども高齢社会をよくする女性の会がやることかも知れませんが、そういうことを考えながら、持続可能な介護保険のグランドデザインを、もう一度原点に戻りながら再構築していただけたらありがたいなと思っているところです。
○山崎部会長 今までの議論でいろいろ出てきました。井上委員の御指摘の点も含めて、今後の部会の議論の中で必要に応じて事務局のほうで資料を用意していただきたいと思います。
 それでは、高杉委員、どうぞ。
○高杉委員 高杉です。
 資料2を拝見して、素朴な感じですが、今のお金で、あるいは10%の増税のときのお金でどうしようかということしか見えない。将来の夢も何もない。切り詰めて、切り詰めて、切り詰めてこれだけしかできないのだよというのでは、維持はできても、その次の対応は絶対だめです。国の社会保障制度改革国民会議ともあろうものが、その先の未来も描けないようでは全然つまらないと思います。
 成熟した社会では中福祉、中負担にせざるを得ないのかもしれません。だったら、それはそれなりに考えなければいけないし、介護保険がスタートした当初からこれは予測できていたことであります。今、つじつまを合わせてもしようがないことであります。
 言ってはいけないことかもしれませんけれども、今、与えられたところの中で行政は一生懸命やっている。しかし、国民会議は将来を見据えなければいけません。これから高齢者がふえれば、消費税をふやすことも考えなければ行政は何もできないと大西委員はよくおっしゃいます。今は対応できても、その次はもうだめだ。そこまで展望を含めたお話し合いができていなかったら、我々はやっていられないと思いますし、プランをぜひ描いてほしい。大まかな数字でもいいですから描いてほしいなと思います。
 介護保険がスタートした時代と、今と、あるいは団塊の世代が75歳になるときは、恐らく考え方も随分変わってまいります。国民の意識も変えなければいけないでしょうし、介護におんぶにだっこの時代はもう終わって、もうちょっと何か工夫しようやという世代の動きも入れたもの、あるいはそういう考え方の違いも盛り込んで、あるいは社会づくりも含めたそういう提案が全然見えないのが非常に寂しい。山崎委員、ぜひそういう発言もしてほしいなと思います。
○山崎部会長 今、国民会議では、差し当たって消費税を5%上げることが決まった。その10%程度を社会保障の充実・機能強化に充てたい。
 その中で、4本の柱のうち子ども・子育て新システムがスタートすることになりました。
 年金も、将来像はともかく、当面の必要な改革も一応やった。
 ところが、医療と介護は積み残されていて、2015年に向けて当面何が必要か。5%の範囲内でと制約された中で議論しておりますが、将来に向けての展望が必要だということは、確かにそのとおりだと思います。
 では、続いてお願いいたします。どうぞ。
○田中委員 ほかの委員の方々からも出ておりますけれども、保険給付から軽度者を外すという考えが示されておりますが、実はこの介護保険部会の中で進めなければいけない議論だけではなくて、これまで介護保険部会の中で制度改革について見直しをしてきたわけです。一定の期間を経た中において、その改革はどうなっているかきちんとした検証をするのがこの部会の役割ではないかと思っております。
 例えば資料4の60ページを見ていただきたいのですが、これもその一環かと思っております。「介護予防・日常生活支援総合事業」が平成24年4月から創設されたわけでございます。もちろん、こういう事業自体は市町村の選択によりますから、全ての市町村が取りかかるものではありません。しかし、この資料を見ますと、24年度は27の保険者が実施しています。
 これを実施したことによって、例えば要支援者の方々や二次予防事業の対象者の方々がその後どうなったのかということについて、効果を示すデータが必要だと思っております。
 あわせて、住民の力をかりる、住民の力を生かすということについて、61ページにありますような各保険者においてのさまざまな取り組みについても、もう少しこの部会の中で議論していただきたいと思います。
 だから、どこで議論するのかというと、もちろん国民会議でもそういったことを当然議論されなければいけないと思いますが、部会長のお話を伺えば、やはり費用効果ということが先行するのだろうと思います。部会の中で議論するのは、介護保険制度の費用の中において軽度者を切り捨てると言うけれども、効果があるものであればそれは切り捨てるべきではありませんし、データを持って議論するためにも、そういった話をしてほしいと思います。
 あわせて、資料2で申し上げますと、今度はサービスの担い手ということについて、国民会議の中ではほんの少ししか出ていなかったので残念に思いました。
 7ページの「人材の確保」にある「介護人材の確保については、処遇改善とキャリアパスの確立が重要」というのは、介護報酬のほうでもずっと議論してきた一文でございます。
 これもこの部会の視点だと思いますが、報酬改正をしたことによってどうなったのか、本当に定着が促進されたのか、あるいは報酬だけではなくて、キャリアパスという観点からこういった事業を進めた事業所における定着が高いとかいうもの。制度が出発したら、ある程度検証するということをきちんとやるのが我々部会の役割ではないかなと思っております。
 事務局に対するお願いがございます。
 先ほど冒頭の御説明の中に、今後この部会での議論について、5月は検討項目に沿って個別に議論していただきたいとおっしゃっておりましたが、いつの時点でどのようなことについて議論するかについて事前にお示しいただきたいと思います。各団体、各機関等の代表もおりますので、個人、個別の意見だけを出すわけにはいきませんので、そのあたりもお示しいただければと思います。
 以上です。
○山崎部会長 田中委員、ありがとうございました。
 それでは、林委員、お願いします。
○林委員 林でございます。
 何か発言しなければいけないということだと思いますので、申し上げたいと思います。
 国民会議の資料2を拝見させていただいて、感想めいたことを1つか2つぐらい申し上げたいと思います。
 1つは、介護保険の保険者は市町村なので、国が枠組みなり何なりを決めるにしても、実際に介護サービスを実施するのは国とは違う組織なわけです。ということは、ここで何々すべきとか、何々しなければいけないと書いてあっても、地公体が動かないと実を伴わないわけです。そういった観点から言うと、実際地公体をどのように誘導していくのかという観点から書かれていないと、実効性の伴った制度はつくれないのかなと思います。
 そういう点で、今回基金をつくって、補助金でいろいろ誘導するという議論があるところは評価すべきだと思います。しかし、もうちょっと踏み込んで、地公体の人材をどういうふうに育成するかとか、地方の財源をどうするか。財源をどうするかというのは、それを使うことだけではなくて、実際どこからもってくるのか。下手すれば地方税を上げるのかもしれませんし、保険料を上げるのかもしれない。どうなるかわかりませんけれども、ない袖は振れませんから、どのように国と地方で財源を分担するかというところまで踏み込まないと、実効性の伴った制度設計は無理かなと思います。
 もう一つ問題、課題は、保険者間でのサービスの提供の格差がかなり大きいと思われることです。先ほどおっしゃられたように、あるプログラムを国が提供しても、それを採用する、しない地域があるわけです。しかし住人は、自分の地公体がとる決断には関係なく、サービスがあれば欲しいわけです。また、払っている保険料がサービスの充実している地域の保険料よりも高いということもあるかもしれません。ここら辺の問題をどう考えるのかというのが重要なポイントかなと思っています。
 実際には介護保険制度の運営のかなりの部分を地公体に投げている状況で、制度を崩さないという前提で国がどこまで入っていけるかという議論にもつながると思います。例えば、地方に投げる場合、現在では、分権化が進んで地方税の税率も勝手に地方が決められますから、地方のニーズに合わせてプログラムを進めるのであれば、地方の責任で地方税を上げて、ちゃんとファイナンスしてくださいということも可能でしょう。
 
 結局、社会保障の場合は、どこかで税金として、誰かのお金を取ってきて、ニーズのある人にそのお金を配るというのが社会保障財政の根本です。そこを考えないで、実施しているところが負担を逃れるとか、ニーズのある人だけがお金をくれと言うことに関しては、誰かのお金を犠牲にして介護費用を使うというところも意識して議論しなければいけない。
 これは介護だけの話ではないです。社会保障全体の中での歳出の配分の問題もありますし、国税としてどれぐらいお金を取らなければいけないというのもあるし、その中で地方税や保険料をどうするかという話もあります。
先ほど権利の話がでましたが、本来なら住居地が違うだけで、介護保険料や介護サービスが異なるというのは変な話なのです。日本の社会保障というのは、地方に投げて、地方実施でさせることが基本になっているわけですから、このような権利のそこまで議論すると大変なことになるのでしませんが、基本的にはそういった日本の社会保障の独自の問題があるというのを頭に置いておいていただければなと思います。
 最後に持続可能性です。既にもう話してしまいましたけれども、私自身は、別に給付を上げるにしても下げるにしても、政治が決定した再配分の結果に従えばいいと思います。結局これは政治の問題で、給付を上ることになるのならばそのようにしたいという勢力があって、その政治力が強かっただけですから。
 ただ、重要なのは、上げるにしても、下げるにしても、やはり財源が必要になってきます。財源を考えない議論は、絵に描いた餅にしかならないと思いますので、我々もそこら辺はちゃんと意識して議論すべきではないかなと思います。
 以上です。
○山崎部会長 桝田委員、どうぞ。
○桝田委員 1つの観点として給付の抑制云々の問題はあるのですけれども、将来にわたって介護を担う人材を育成しなければならない、ふやさなければならないということは共通している話なのです。そこで今、一番問題になってくるのは、現状でもなかなか介護職員さん、看護職員さんが介護現場には来ない。
 7ページに書かれています「介護人材の確保については、処遇改善とキャリアパスの確立が重要」。まさにこのとおりで、給与アップ等をしなければいけない。
 給付の抑制をするためには報酬単価を下げるというのが一番有効な手段ですが、それをすれば人材は絶対集まらなくなる。逆に単価を上げなければならない局面も出てくるだろう。そうすると、どう効率化を図っていくのか、それを決めていく部分。
 もう一つ介護人材を集めるときに必要なのは、魅力ある職場であるか、ないかというのが大きな課題になってくると思うのです。
 今、介護現場で大体180万人ぐらいの方が働いていて、社会福祉法人の職員さんというのが全体の4割なのです。社会福祉法人というのは、今、全国で1万7,000余りありまして、1つの法人の職員数というのが七十数名なのです。零細企業体質なのです。
 保育等もありますので、介護だけの数字ではないのですが、介護だけの数字になれば、もう少し職員数はふえますけれども、ただ、1法人で1事業拠点という形が非常に多い。そうすると、給与的な部分の処遇改善が図られても、キャリアパス体系というのが非常に構築しづらいので、これからの人材確保というのが非常に難しいのではないか。
 介護現場は、社会福祉法人だけでなくて、零細企業の民間事業体が多いというのも特徴だと思うのです。そこを効率化する方法、社会福祉法人改革自体は、この場だけでなくて、保育の問題、障害の問題、いろいろかかわりますので決められませんけれども、そういう方向性を一つつくっていくべきではないのか。
 もう一つは、介護報酬の分の給付のほうだけでなくて、いわゆる市町村で必要となる中間経費。例えば要介護認定に必要な認定審査会の費用というのも、全国的な数字を上げたら莫大な数字になっています。そこらをもう少し効率化していくというのも考えていくべきではないのか。例えば一次判定のコンピュータ判定で不服があれば認定審査会にかけるという形になれば、かなりの経費の節減ができるだろう。そこらあたりを切り詰めていく努力もすべきだろうし、国民の皆さんに痛みを伴う改革が要るのですよというのを示すべきときが来たのではないか。
 やはり費用対効果を考えて、効率的でないものは違う形に変えざるを得ない。軽度の方の介護保険からの切り捨て云々という話がありますけれども、必要なものは残したらいいのですが、実際に効果がない、いわば要介護度改善に資していないようなものは抑えていく方向をきっちり出すべきではないか。そこはこれからの議論の中でしていくということ。
 もう一つは、費用負担の問題、利用者負担増というのはもうやむを得ない時点に入ってきている。今までの1割負担であったり、負担がゼロの場合もありますけれども、そこらの見直しというのも所得に応じて考えなければいけない時点が来た。そこを一番に整理をしなければ、どうしても世代間格差がひどくなる一方ではないのかなと。年金問題もすぐには変えられないですけれども、介護のほうなどは、今ならまだ方向が変えられるのではないかと思っております。
 そこらを少し議論の中でお願いしたいと思います。
○山崎部会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほど質問させていただいたつもりだったもので、意見を手短に言わせていただきます。
 世帯構造が変わって、認知症や重度化が進んでいく中で在宅政策を進めていくということは変わらない。我々としてもそれは進めるべきだと考えています。そういう中では生活援助や支援というものが極めて重要な役割だと認識しています。皆さんは実情を御存じの方々ですので、その重要性というのは共通しているのだと思います。
 そういう中で、適正化・効率化が必要だという議論も紹介していただきましたけれども、住んでいる地域によっては、たまたま介護や支援の担い手がいないとか、地域格差、財政力などで差があるということで、負担あってサービスなしということにならないように丁寧な議論をしていってもらいたいし、ここでもしていきたいと思います。
 今、ちょうどお二人から指摘していただいて本当によかったのですけれども、人材確保について、国民会議では議論が全く不十分だと思っています。部会長には御発言いただいているようで、非常にありがたいと思います。
 ただ適正化をすればいいということでなく、誰が介護サービスを担っているのか、想像力を十分に働かせて、これから12年で必要となる介護職員100万人以上をどうやって確保していくのかということについて、ぜひ議論していただきたいし、ここでもしていきたいと思います。
 以上です。
○山崎部会長 では、齋藤訓子委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 私どもも社会保障制度改革国民会議のヒアリングを受けた際に1点申し上げたのですが、人材確保のところでは、確保が大事ということが書かれてあるのですけれども、実は私どもの会員調査で明らかになりましたのは、いわゆる介護施設、特養や老健で働くナースたちの約半数が離職を希望している実態があるということです。やはり確保だけではなくて、これから新しく人材を生み出すというのは非常に難しいことですので、ここに一言「定着」という視点を付け加えていただけるように部会長にはぜひお願いしたいと思います。
 今いる人材を大事にし、職場に定着させ、そして新たな方々をお迎えするということ。要介護の方々が非常にたくさんいるという状況の中で、適正に効率よく介護サービスをやっていくためには、やはり人材を大事に育て、定着させ、確保するという対策を立てないと、確保だけでは難しいだろうなと思っております。
 もう一点は、13ページに在宅生活限界点を高めていくためにはこういうサービスを重点化するのだということで、訪問看護が挙がっているのですが、特に訪問看護の人材確保につきましてはかなり深刻でございます。訪問看護師は将来的に5万人なり6万人なり、あるいはもう少し必要になるはずですけれども、訪問看護制度が始まって20年たっても3万人しかいないのです。国としてもう少しこのことをしっかり考えていただきたい。「在宅生活限界点を高めるべきだ」というのはそのとおりだと思いますが、それを支える人材を国としてどうやって確保するのか、どうやって育てていくのかということをもう事業者任せにしないでいただきたいということを要望いたします。
 訪問看護の人材をきちんと確保して、全国あまねく訪問看護の空白のないような体制整備を進めないと、「在宅生活限界点を高めるべき」というのは、ただ言いっ放しになってしまうと思いますので、そのことはぜひお願いしたいなと思います。
○山崎部会長 齊藤正身委員、どうぞ。
○齊藤(正)委員 齊藤秀樹委員が初めに言ってくださった効果イコール改善というのは厳しいという話は、まさにそのとおりで、この何年間リハビリの効果と言われますが、例えば回復期リハ病棟に入院している患者さんが、よくなる限界までよくなって自宅に帰り、それ以上よくしろと言われても、それはなかなか難しいことだと思うのです。
 介護保険のサービスでどう維持しているか。2年たっても3年たっても状態が悪くなっていないとか、あるいはサービスの量がふえていないとか、そういうことも効果として見ていただきたい。要介護度がよくなるという話は余り聞いたことがないですし、実際そういうことで要介護度がよくなって改善したという話も余り聞かないです。それよりもそういうことを見てもらいたいなというのが1点。齊藤秀樹委員が言ってくださったので、ありがたいなと思っています。
 国民会議で重度化予防に関して、「デイサービスは重度化予防に」というのは山崎部会長がお話しされたことだと思いますが、重度化予防は、軽度者が重くならないようにというだけではなく、重度者がこれ以上重くならないようにということも含まれていると思います。
 デイサービスは多目的であるということがとても大事なことだと思います。これから地域包括ケアシステムの構築が進められてくると、地域によって必要なデイサービスがきっと変わってくると思うのです。そういうこともあり、これは何回か後の議論に出てくるのだろうと思いますが、地域特性によって、さまざまなタイプのデイサービスがあるべきだという議論が必要なのではないかと思います。
 今回の国民会議の内容で共感するところは、フォーマルなサービスだけではかなり厳しい状況になってきていますし、インフォーマルなサービスや、どういった取り組みをしていくのかということが重要だと思っています。
 そんな中で、木村委員に反論するわけではありませんが、老人保健事業等について、私たちの捉え方も以前とは変わってきていると思うのです。ですから、方法は別にして、上手にインフォーマルなサービスを組み合わせながら、自治体単位でできることがあれば、それはそれで取り組んでいくべきではないかと思っています。
 実際今、私どもの地域で地域包括支援センターが中心になり、「オレンジカフェ」という名前をつけてアルツハイマーカフェに似たようなことを展開しています。ふだんフォーマルなサービスをしているスタッフたちが生き生きとそこでお手伝いをしている姿を見ると、そういう部分も大切にしていかないといけない。報酬ありきの世界の中だけで仕事をしているということはいかがなものか。そういうことをさせてあげられることで私たちも豊かな気持ちになりますし、利用者にとってもよいのではないかと思っています。そのあたりはこの部会でなければきっと話し合えないようなことだろうと思いますので、今後も進めていただくことを期待します。
 以上です。
○山崎部会長 河原委員、手短にお願いします。
○河原委員 3分以内に終わるようにいたします。
 私も伊藤委員と同じように冒頭発言して言ってしまったものですから遠慮していたのですけれども、今日は「社会保障制度改革国民会議の議論について」ということで、所感を述べていいということであるのであれば、述べたいと思います。
 いずれにせよ、社会保障と税の一体改革の議論は誰もが痛みを伴う、聖域のない話だということがよくわかりました。ということで、全体的には非常に暗いようなまとめ方になるのではないかと思いますが、1つお願いしたいのは、社会保障制度のもとで働く人たちが意欲を持って働ける、そういうことを感じさせるような議論のまとめ方をどこかでしていただきたいなと思います。
 ここは介護の話ですので、例えば介護人材ということに限って言えば、社会が介護を支えるという介護保険制度の理念からすれば、介護従事者は社会の財産だという位置づけをして発信していただければ、働く人たちも、ああ、私たちは社会の財産なのか、よし、では、頑張ろうというような気にもなるかもしれません。そういったことも含めて、暗いままでこの議論が終わらないようにぜひしていただきたいと思います。
 これから始まる超高齢化社会は、一方で見れば、働く人たちの取り合いが始まる世界なのです。2025年には今よりも1.5倍から2倍ぐらい介護の世界で働く人たちが必要だとすれば、この数値の人材が確保できなければ介護難民がふえるということでもありますので、介護の世界で働く人たち、また社会保障制度のもとで働く人たちに意欲が出るような、そういったまとめ方もどこかでしていただければ、ありがたいなと思いました。
 以上です。
○山崎部会長 木川田委員、どうぞ。
○木川田委員 先ほど齊藤委員が話しましたが、被災地の大船渡で「居場所カフェ」を私たちもやっております。認知症の人たちがそこに来て、非常にいい結果が出ています。これを報告したいと思います。
 もう一つは、「いろんなデイサービスセンターに行ったのですが、老健のデイケアセンターに行ったらOT、PT、STがいて、いろんなリハビリを提供してくれた。被災地の小さい仮設住宅に住んでいますが、リハビリが効果的で、少々歩けるようになった、とてもうれしい。」ということをいろんな方々から言われました。
 ですから、お年寄りにはOT、PTを主体とした技術を提供するケアが必要であるということを現場から御報告しておきたいと思います。
○山崎部会長 ちょうど時間になりました。ありがとうございました。
 最後に、今後の介護保険部会につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○片岡総務課長 資料5をごらんください。今後の介護保険部会についてでございまして、初めに局長から、議論の検討項目について、5月に2回にわたってというお話がございましたが、正確には5月15日と6月6日に御議論いただきたいと思っております。
 5月15日水曜日は、市町村での体制整備、保険者機能の関係、制度関係ということで、介護保険事業計画とか、在宅医療介護との連携、生活支援の充実、軽度者給付のあり方、第1号被保険者の低所得者軽減、利用者負担のあり方、総報酬割などについて御議論いただければと思います。
 6月6日水曜日となっておりますが、曜日は「木曜日」でございます。6月6日木曜日でございまして、こちらにつきましては、在宅サービス、施設サービスについて、施設の重点化とか高齢者の住まいについても御議論いただければと思います。介護人材の確保、認知症についても御議論いただく予定にしております。
 今日、資料等を御要望いただきまして、できる限り御議論に資するような資料を用意させていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。
○山崎部会長 そのほか何かございますか。
 それでは、特段御意見がないようでございますから、本日の部会はこれにて終了いたします。
 次回の開催につきましては、よろしいですね。
○林企画官 次回は、今、課長から申し上げたとおりです。場所は未定ですので、決まりましたら、また御連絡いたします。
○山崎部会長 それでは、どうもお疲れさまでした。


(了)

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