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2013年4月5日 医療情報データベース基盤整備事業推進検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年4月5日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室(17階)


○議事

○安全対策課専門官 定刻になりましたので、「第1回医療情報データベース基盤整備事業推進検討会」を開催いたします。
 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、申し込み時の留意事項の遵守をお願い申し上げます。
 本日、御出席の構成員の先生方におかれましては、誠にお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日の検討会は、木村構成員より欠席との御連絡を頂いており、また、石川構成員につきましては30分ほど遅刻されると伺っております。松田構成員、我妻構成員も同様です。これまでに申し上げたとおり、現在13名中9名の御出席をいただいております。お配りしている本検討会の「開催要綱」に基づき、定足数に達しており、会議は成立していることを御報告申し上げます。
 開会に当たり、本来であれば大臣官房審議官の平山から御挨拶すべきところですが、所用により本日は欠席となりましたので、代わりに安全対策課長の俵木より御挨拶を申し上げます。
○安全対策課長 本日は、先生方、お忙しい中をお集まりいただきまして大変ありがとうございます。私どもは平成23年度から、大規模医療情報データベースの構築を進めてきております。医薬品の安全対策を更に進めるためにこの事業を開始してここまで進めてきたものです。東京大学の大江先生の絶大な御協力のもとに、東京大学に第1号のシステムがほぼ完成しております。これを近く試行的に運用を開始したいと考えており、そのためには、本日御議論をいただきますが、医療情報の利活用のルール又は倫理上の取扱いについて、一定のルールを決めていただいた上で、そのもとで試行を始めたいと考えており、平成25年度から平成27年度まで試行を行う予定で、この検討会でのルール作りを踏まえて進めていきたいと考えております。
 本日、先生方には、この事業の概要から御説明して、中心となる2つのルールについての文書について、忌憚のない御意見を頂き、議論を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○安全対策課専門官 本日は第1回の検討会ですので、御出席の構成員を50音順で御紹介させていただきます。
 川崎医療福祉大学医療情報学科准教授の秋山祐治構成員です。日本医師会常任理事の石川広己構成員です。東京大学大学院医学系研究科教授の大江和彦構成員です。日本製薬団体連合会の鍵村達夫構成員です。東京理科大学薬学部講師の佐藤嗣道構成員です。大阪大学大学院医学系研究科教授の祖父江友孝構成員です。日本薬剤師会副会長の土屋文人構成員です。日本歯科医師会常務理事の冨山雅史構成員です。九州大学病院医療情報部准教授の中島直樹構成員です。産業医科大学医学部公衆衛生学教室教授の松田晋哉構成員です。神戸大学大学院法学研究科教授の丸山英二構成員です。首都大学東京大学院社会科学研究科教授の我妻学構成員です。浜松医科大学医学附属病院医療情報部教授の木村通男構成員は、本日所用のため欠席との連絡を頂いております。
 続きまして、事務局を紹介します。本日欠席しておりますが、大臣官房審議官の平山、安全対策課長の俵木、本日は欠席しておりますが安全使用推進室長の広瀬、医薬品医療機器総合機構安全管理監の森、同じく、総合機構安全第一部長の渡邊です。最後になりましたが、私は小川と申します。よろしくお願いいたします。
 次に、資料の確認を行います。「座席表」、「医療情報データベース基盤整備事業推進検討会の議事次第」、その裏面に「配布資料一覧」です。次に「医療情報データベース基盤整備事業推進検討会の開催要綱」、その裏面に「構成員」、資料1「医療情報データベース基盤整備事業について」、資料2「本検討会における検討事項について」、資料3「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱(試行期間用)(案)」、資料4「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の取扱いに関する倫理上の取扱い(試行期間用)(案)」、後ろに「参考資料一覧」を付けております。なお、参考資料については、非常に厚いのでドッチファイルに綴じて各構成員の手元に置いております。配布資料の不足、乱丁等がありましたら事務局までお知らせください。
ないようですので、次に参ります。
 本検討会の開催要綱に「本検討会に座長を置き、構成員の互選によってこれを定める。」と規定されておりますので、議事に先立ち座長の選出をお願いいたします。選出の方法については、「委員の互選」となっておりますのでお諮りしたいと存じますが、いかがでしょうか。
○中島構成員 東京大学の大江先生がよろしいのではないかと思います。理由は、この事業の協力医療機関のワーキンググループの座長であり、先ほどお話がありましたように、10病院の中で一番に先行的に事業を行って、システムを導入していただいている大学の管理者であり、課題や問題点を御存じだと思いますので、大江先生を推薦いたします。
○安全対策課専門官 ありがとうございます。ただいま中島構成員から、大江構成員に座長をお願いしてはという御発言がありましたが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○安全対策課専門官 「異議なし」ということですので、それでは、大江構成員に本検討会の座長をお願いしたいと存じます。座長席に御移動をお願いいたします。以後の議事運営につきましては、大江座長にお願いいたします。
○大江座長 ただいま座長を仰せつかりました東京大学の大江でございます。皆様方の御協力をいただきまして、この検討会を円滑に進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。議事に入る前に事務局から何かありますか。
○安全対策課専門官 本検討会の開催については、開催要綱において原則公開とされておりますので、公開で行うことといたします。また、会議の議事録は後日公開されますので、構成員の皆様方にはあらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 なお、メディアの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○大江座長 それでは議事に入ります。本日の議題の「医療情報データベース基盤整備事業及び本検討会における検討事項」に関する審議に移ります。初めに医療情報データベースの概要、本検討会の設置経緯等の背景と本検討会での検討事項について、事務局から資料の説明をお願いします。
○安全対策課専門官 お手元の開催要綱を御覧ください。本検討会の目的は、「1 目的」のとおり、医療情報データベース基盤整備事業の推進を図るべく、医療情報データベースに保存されているデータの利活用に係る要綱等を検討することとしており、「2 検討事項」は、(1)医療情報データベースに保存されているデータの利活用に係る要綱等の検討、具体的には、「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱」及び「倫理上の取扱い」、資料3と資料4の2つの文書の内容について検討をいただくこととしております。必要であれば、その他、事業の推進に必要な検討も行うこととしております。
 医療情報データベース基盤整備事業の概要及び本検討会における検討事項について詳細に御説明いたします。資料1をお手元に御用意ください。またプロジェクターにも映しております。資料1を用いて医療情報データベース基盤整備事業について御説明します。
 スライド2です。本事業の発端の1つは、「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」による提言、これは参考資料3の「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」です。
 検討委員会は、薬害肝炎事件の発生及び被害拡大の経過及び原因等の実態について、多方面からの検証を行い、再発防止のための医薬品行政の見直し等について提言することを目的として設置されたものであり、平成20年5月から平成22年3月まで開催されたものです。検討委員会の成果として、本日は資料から省略いたしましたが、平成21年4月30日に第一次提言が公表され、平成22年4月28日に参考資料3の最終提言が公表されました。
 委員の一覧は、参考資料3の10ページから11ページに記載があります。
 データベースについては、参考資料3の57ページのエ項ですが、それはスライド2に示しております。
「諸外国の活用状況を調査の上、薬害発生防止に真に役立つものとなるよう、行政においても、個人情報の保護等に配慮しながら、電子レセプト等のデータベースを活用し、副作用等の発生に関しての医薬品使用者母数の把握や投薬情報と疾病(副作用等)発生情報の双方を含む頻度情報や安全対策措置の効果の評価のための情報基盤の整備を進めるべきである。」
「このような膨大で多様な安全性情報を医学・薬学・薬剤疫学・生物統計学・情報工学等の専門家が効率的・効果的に活用できるよう、組織・体制の強化を図るとともに、電子レセプト等のデータベースから得られた情報を活用し、薬剤疫学的な評価基盤を整備することが必要である。」
こういった指摘がなされております。これは、平成21年の第一次提言、平成22年の最終提言ともに同じ内容です。
 スライド3を御覧ください。先の検討会の指摘を受けて、「医薬品の安全対策における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」が設置されました。この懇談会の提言である参考資料4の「電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言(日本センチネル・プロジェクト)」が、本事業のもう1つの発端です。
 懇談会は、前のスライドで薬害肝炎等の提言でなされたものを踏まえ、データベースの安全対策への活用方策等について提言を取りまとめることを目的として設置されたものです。懇談会では、前のスライドにあった提言や、政府のIT戦略における検討状況、社会的な状況を鑑みながら、様々な検討を重ね、提言を取りまとめました。
 構成員の一覧は、参考資料4の4ページに記載があります。
 提言の19ページの内容についてはスライド3に記載しております。
「平成25年(2013年)までのおおむね3年以内を目標として、薬剤疫学等の研究を実施するため、大学病院等の医療機関等においてデータベース拠点を国内に数箇所構築する。」
「その拠点を中心として、医薬品等の規制当局、医薬品等の安全に関する研究者(医療従事者、研究者等)が、情報提供者等(患者等)の協力を得つつ、薬剤疫学等の手法を活用してデータを解析し、医薬品等に関わる疫学的な研究が国内で推進できるような体制の整備をすべきである。」
といった指摘がなされております。
 厚生労働省としては、これまでの2つの提言を踏まえ、平成23年度より「医療情報データベース基盤整備事業」を開始することといたしました。
 スライド4を御覧ください。これは大規模医療情報データベースの必要性を示した資料です。現在は、医薬品等の副作用情報の収集は、主に薬事法に基づく副作用報告制度にのっとり行われています。本報告に基づき医薬品等の安全対策を実施しているところですが、副作用報告には一定の限界があることも知られております。例えば、医薬品の投与人数すなわち母集団を把握できない、他剤との副作用発生頻度の比較や、安全対策措置前後での副作用発生頻度の比較等ができない、また、原疾患による症状と副作用の鑑別が難しい、また、医療関係者が報告しなければ副作用の存在が分からないといった限界があります。
 もちろん、これらの限界はあれど副作用報告制度は非常に重要な情報であり、現在はこれに基づき安全対策を実施しております。今後、副作用報告制度に加え、医療情報を利活用することにより、母集団が明らかな集団における副作用発生頻度の調査や、医薬品が投与されていない患者と投与された患者の比較を行い、定量的な情報を元に安全対策につなげる方策を実施したいと考えております。
 医療情報の利活用により可能となる安全対策にはいろいろなものがありますが、今回は3種類だけ御紹介します。例えば、他剤との比較として、同種同効薬間での副作用発現頻度の比較。2つ目は、副作用に相当する事象と考えられるものが、原疾患により発生しているのか、それとも医薬品等を投与することにより上乗せ効果が発生しているのかを評価する。3つ目は、当局が実施した安全対策措置の前後で副作用発生頻度がどのように変化しているのかを評価、といったものを検討しております。
 スライド5を御覧ください。米国、欧州等では、すでに1,000万~数千万人規模のデータベースが存在し、医薬品の安全対策に積極的に活用されております。スライドには例として3つ挙げておりますが、こういったことがすでに欧米では実施されております。
 日本でも、諸外国に匹敵する定量的な安全性評価を行い、日本人患者の安全性を確保するためには、数百万~1,000万人規模のデータベースが必要です。
 スライド6を御覧ください。そこで厚生労働省としては、「医療情報データベース基盤整備事業」を平成23年度より開始いたしました。
 この事業は、医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法による医薬品等の安全対策等を推進するための基盤を整備することを目的としており、1,000万人規模のデータを集積するための医療情報データベースを拠点となる医療機関に構築するとともに、PMDAに情報分析システムを構築するものです。
 拠点となる医療機関の中に、この図の右下に記載されているように、医療情報データベースを構築し、PMDAのデータ分析部門が副作用情報等の安全性情報の収集及び分析を行うことを想定しております。また、将来的には、医薬品等の製造販売業者による医薬品の市販後調査等のためのデータベースの利活用や、薬剤疫学の研究者の利活用による安全対策への寄与等を想定しております。
 本事業で期待される成果は、左下にあるように、医薬品等の迅速で的確な安全対策の実施です。1つ目が、ある副作用の発生割合の比較、2つ目が、副作用であるのか、病気自体の症状であるかの判別、3つ目が、安全対策の措置が副作用低減に本当に効果があったのかの検証等が挙げられます。
 なお、本事業の予算については、国が50%、PMDAが50%出しておりますが、PMDAの50%とは、医薬品及び医療機器の製造販売業者から頂いている安全対策拠出金です。平成23年度から平成25年度の予算額については、スライドの右上に示したとおりです。なお、平成25年度予算については、現時点では要求中ですので、そのように御理解のほどお願いいたします。
 スライド7を御覧ください。これは本事業の協力医療機関を示した図です。本事業の協力医療機関については、参考資料1の局長通知の実施要綱の2の(3)及び参考資料2の課長通知に基づいて平成23年3月から4月に募集して、平成23年5月26日に、この地図にプロットしている10医療機関を選定したところです。赤いのは単一病院として協力医療機関に選定したところです。青いのはグループ病院として協力医療機関に選定したところです。これら10協力医療機関を拠点として、PMDAのデータ分析部門や、将来的には製薬企業や研究者がデータの検索・調査を行い、副作用を分析・評価する予定です。
 スライド8を御覧ください。これは本事業で構築する医療情報データベースの概略と、利活用のやり方として考えているものをざっくり示したものです。
 上半分の緑色の枠は、協力医療機関を示しております。協力医療機関内に存在する電子カルテ、DPC、レセプト等のデータから、傷病・処方・検査情報を協力医療機関内に設置したデータベースに集積します。
 ここから先は、資料2の内容に踏み込んでおりますが、後ほどきちんと御説明する予定です。
 データベースの利活用者であるPMDAのデータ分析部門、将来的には製薬企業や研究者も含まれることを想定しておりますが、これらの利活用者は、まず利用目的等を記載した利活用計画をPMDAの管理部門に提出し、PMDAの管理部門の審査を受けます。その際、原則として、PMDAは有識者会議の合議による意見を求め、その後利活用が承認された場合は、実際に医療機関のデータベースに保存されたデータを利活用することとなります。
 アウトプットとしては、左下にあるように、医薬品のリスク・ベネフィットの迅速な評価を考えております。
 スライド9を御覧ください。これは本事業で構築する医療情報データベースの基本構成を示したものです。
 協力医療機関の病院Aを例に御説明します。病院の電子カルテ等、病院情報システムから、データを標準化した上でSS-MIX2標準化ストレージ等にデータを集積します。このデータはテキストデータですので、これをデータ検索に適した形に変換し、右側にある統合データソースに集積します。
 PMDA等の利活用者は、抽出条件を論理式であらわしたもの等を集合させてスクリプトという形にまとめ、それを医療機関に送ります。医療機関は、それを確認の上実行しますと、利活用者が必要なデータが、統合データソースから抽出されます。抽出後のデータは、統合データソースの右側にある抽出後個票(IDなし)となります。そして、医療機関内で統計処理をし、集計結果データを作成します。
 医療機関からは、複数施設統合データ処理センター(以後「センター」といいます)が分析システムを構築したセンターにデータを格納します。その際、スライド上、緑色で示した集計結果データの格納と、青色で示した抽出後個票(IDなし)などからなる分析用データセットの格納といった2種類のやり方があります。なお、分析用データセットの格納に当たっては、あらかじめ、PMDA、医療機関相互の合意を取ることとしております。
 センターにおいては、複数施設統合処理システムを用い10協力医療機関のデータを統合分析し、分析結果たる統計情報を得ます。最後に、統計情報を、PMDA等の利活用者が手元にダウンロードするようになっております。
 スライド10を御覧ください。これは本事業における情報の流れに特化した図です。オレンジ色の枠が真ん中ぐらいに3つありますが、これは、左から、医療機関、複数施設統合データ処理センター、利活用者の所属組織という物理的な位置を示しております。
 情報の流れですが、医療機関が保有する病院情報システムには、当然ながら実名でデータが入っております。これを標準化した上でデータベース用の標準化したストレージに集積するのですが、この際は、実患者ID、氏名、住所、郵便番号、生年月日を有する状態です。続いて、これをデータ検索に適した形に変換し、統合データソースに集積するに当たっては、実患者IDは、一方向関数で変換して、新たなIDを付番します。また、氏名、住所は削除いたします。
 なお、本事業で構築する医療情報データベースは、医療機関自らが統計処理等に使用することもできるようになっており、その場合の利用想定範囲を青枠で示しております。統合データソースに保存された情報は、医療機関外の利活用者がそのまま利活用することはなく、青枠で囲んだ、医療機関利用の想定範囲です。ここから先は、PMDA等の利活用者が利活用する場合の話として御説明します。
 利活用者は、統合データソースに集積されたデータについて、医療機関に対して抽出依頼を行います。医療機関は、依頼された抽出処理を実施し、抽出後個票(IDなし)を作成いたします。その際、統合データソースにあった実患者IDを変換して、付与されたIDは削除されシークエンス番号を新たに付与します。氏名、住所はもともとないので、抽出対象となり得ません。郵便番号については、利活用の抽出対象とならないようにシステムを設計しております。生年月日等日付情報は、同一患者の情報を一括して、乱数で一定の日数の範囲内で前後させ、元の日付が分からなくなるように加工します。この際、処方、副作用発生日等のイベント情報の前後関係を維持するため、全ての情報を一括して同一日数ずらします。なお、乱数は患者ごとに異なりますし、また、抽出アルゴリズムごとに異なりますので、例えば、1回の抽出で、抽出された患者さんが100人いるとして、その患者さんが全員プラス5日といったことは起こり得ないようにシステムを設計しております。
 また、2つのスクリプトで抽出されたときに、必ず同じ患者さんのずらす日数がプラス5日といったことも起こり得ないようにシステムを設計しております。また抽出時には、分析に当たり、必要最小限の情報しか利活用しない前提で依頼することとなっております。更に抽出前後の情報の対応表については、作成いたしません。
 ここまで説明した情報のみが利活用者が利活用できる情報です。
 医療機関は、利活用者の依頼内容に応じ、統計処理をした結果又は抽出後個票データベース(IDなし)を含む分析用データセットをセンターに格納します。センターでは、複数施設統合データ処理システムを設置しており、そこで、利活用者は、実際のデータ分析等の利活用を行います。
 ここで御注意いただきたいのですが、病院情報システムの右側からセンターのところまで赤枠で囲んでおります。これは、この部分の中が閉じたネットワークを形成していることを示しております。つまり、本事業で構築されたネットワークは、利活用者の組織のネットワークとはつながらないということです。
 利活用者は、センターでの利活用の終了後、解析結果をセンター接続用専用端末を介してダウンロードします。ここまでが本事業における情報の流れです。
 スライド11を御覧ください。これは本事業の計画を示したものです。平成23年に協力医療機関を選定したことは先に申し上げたとおりです。その後、東京大学に設置する医療機関側システムを開発するとともに、PMDAに分析システムを開発しております。それと並行して、10病院の医療機関内のコードのマッピング、すなわち医療機関内のコードと標準コードのひも付きを実施しました。
 その後、6医療機関、すなわち東北大学、浜松医科大学、香川大学、九州大学、佐賀大学、徳洲会グループそれぞれに医療機関側システムを構築し、それと並行し、それまでに構築したシステムの一部改修を行っております。その後、3医療機関、千葉大学、北里研究所グループ、NTT病院グループに医療機関側システムを構築し、それと並行し、それまでに構築したシステムの一部改修を行います。
 東京大学に構築したシステムについては、黄色の矢印で示したデータ蓄積が始まっております。現在は紫色の矢印で示した、システムのテストを行っているところであり、今後、試行利用を始めたいと考えております。
 また、システムの利用をする上では、標準的な分析手法のガイドラインを策定する必要があることから、それを黄色い矢印で示すとともに、更にそのガイドライン作成のためのバリデーション事業を今後開始する予定です。
 本事業を実施する上では、10医療機関に実際に構築するシステムの仕様などを検討する必要があります。そこで、協力医療機関及びPMDAの代表者を構成員とするワーキンググループを平成23年6月15日より開始し、当初はシステム等の要件を検討し、その後、利活用要綱や倫理上の取扱いなど、利活用のルールの検討を行ってきました。そして、先般、ワーキンググループ内では利活用要綱及び倫理上の取扱いについて合意が得られたところです。そして、本検討会の開催に至っております。
 本検討会においては、この図で水色に塗ってある四角ですが、平成25年度から平成27年度までの利活用に適用するルールを御検討いただきたいと考えております。
 その後、システムの本格運用をと考えております。
 スライド12を御覧ください。こちらは、先に申しました医療情報データベース協力医療機関ワーキンググループの構成員、すなわち協力医療機関とPMDAの代表及び参考人、本事業の連携医療機関等の代表、標準化団体の代表、製薬企業の代表等を示しております。ワーキンググループについては、これまでに10回開催しております。
 スライド13を御覧ください。本事業の今後については、データ特性の把握、協力医療機関の協力を得てバリデーション事業の実施、分析手法ガイドラインの作成、これは全般的なガイドラインと疾患領域ごとのガイドラインの作成を検討しております。厚生労働省及びPMDA、また協力医療機関による試行を考えております。
 更に、ここからあとは先の話ですが、協力医療機関の今後の拡大やデータベースの改修に向けた検討や、試行期間終了後、すなわち平成28年度以降の利活用の枠組み、例えば、試行期間終了後の利活用申出者の範囲や利活用の条件などを検討していくことを考えております。
 資料1については以上です。
 資料2、資料3及び資料4をお手元に御用意ください。これは、本検討会における検討事項を御説明するための資料です。
 スライド2を御覧ください。本検討会では、資料3の「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱(試行期間用)(案)」及び資料4の「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の取扱いに関する倫理上の取扱い(試行期間用)(案)」、以上の御検討をお願いいたします。なお、これら文書については、先に申しました医療情報データベース協力医療機関ワーキンググループの合意を経て提出しているものです。
 なお、資料3の様式として添付している部分については、本検討会の検討対象とはしておりませんが、参考として御提示しております。御理解を賜りますようお願い申し上げます。
 スライド3を御覧ください。これは資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱いの適用対象を示した図です。
 考え方の基礎ですが、医療機関に構築された医療情報データベースに保存された医療情報を、その医療機関に所属する者以外の者が利活用する場合に、資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱いが適用されるということです。
 利活用申出者が厚生労働省及びPMDAである場合は、これらは、医療情報データベースが構築された医療機関ではありませんので、自動的に資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱い適用対象となります。また、協力医療機関とあるのは、本事業で構築する医療情報データベースが稼働している医療機関のことですが、この医療機関が自分の医療機関のデータを利活用する場合にあっては、従前行われている医療機関の自主研究と同様のものとして、資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱いを適用せず、医療機関が自律的に研究していただくことになると考えております。これは複数の医療機関が、自医療機関を匿名化した上、統合分析するような、共同研究といったケースでも同様と考えております。なお、この場合であっても、医療情報データベースが稼働している医療機関は、資料3の利活用要綱と同様の規定を整備することに努めることとしてありますし、それとは別に、法令、通知等に準拠する必要はあります。一方、協力医療機関が、他医療機関のデータを、共同研究等の形によらず利活用する場合については、自動的に資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱いが適用されることとなっております。
 このように、資料3の利活用要綱及び資料4の倫理上の取扱いの適用対象を考えております。この点については、後ほど資料3で説明いたします。
 スライド4を御覧ください。これは医療情報の利活用の流れを示したものです。先ほどの資料1で述べたセキュリティの話を前提条件として、誰と誰がどうコミュニケーションするか、という点について作成した図です。
 まず、右上の利活用申出者ですが、利活用申出者が医療情報の利活用を行いたいと考えたとき、PMDAに[1]の利活用申出を行います。PMDAは[2]のとおり審査を行いますが、その際、[3]にあるように、原則的には有識者会議に付議し、有識者会議は、合議の結果を[4]のとおりPMDAに提出します。この後、PMDAは利活用の要否を最終判断し、[5]のとおり、利活用承認又は不承認を行います。利活用が承認された場合、利活用申出者における利活用が開始します。
 利活用は、最初に利活用申出者等から協力医療機関に対して[6]の医療情報の抽出依頼を行い、協力医療機関は[7]の抽出・統計処理を行って、[8]のとおり統計処理結果又は抽出結果を利活用申出者が利活用できるようにします。なお、抽出結果については、医療機関との合意時に利活用が可能となります。利活用申出者は[9]のとおりセンターにて解析を行います。その結果、発表が必要なデータを得たときは、[10]の成果物公表を行います。行政が利活用する場合は、通知、ガイドライン等、アカデミアが利活用する場合は論文、学会発表等を想定しております。その後、利活用申出者は、PMDAに[11]の利活用報告を行います。PMDAは[12]のとおり有識者会議に報告した後、[13]の利活用終了通知を利活用申出者に送付し、利活用が終了します。
 資料3の「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱(試行期間用)(案)」について説明します。
第1は、この要綱の制定目的及び適用期間を示しております。これは、資料2のスライド5にも記載があります。
 第2は、用語の定義を記載しております。
 第3は、適用対象を記載しております。これは先ほどスライド3で示したものの元となる文章です。なお、利活用要綱外となる利活用であっても、協力医療機関と連携医療機関には、本要綱と同様の規定を整備することを求めております。
 第4は、利活用に際しての基本原則を記載しております。1は、スライド5の2ポツ目にもあるとおり、厚生労働省かPMDAに所属する職員又は医療情報データベースが構築されている協力医療機関と連携医療機関に所属する研究者が利活用申出者となることができることとしております。
 2は、利活用申出者及び利活用者が利活用できる医療情報には、患者の氏名、住所、郵便番号、生年月日及び患者番号は含まれず、また、利活用する上で必要最小限の医療情報以外の情報は含まれないこと、及び抽出前後の医療情報の対応表は作成しないことを記載しております。
 3は、統計情報以外の情報を、システムの外に複製してはいけないことを記載しております。
 4は、利活用申出者及び利活用者は、医療機関が了承した場合は、匿名化されたデータを目視で確認できることを記載しております。
 5は、利活用申出者及び利活用者の所属機関において、適切に医療情報を利活用するための規程類を整備することを求めるとともに、その履歴を一定期間保存する必要があることを記載しております。
 第5は、本要綱に基づく利活用において、利活用申出者及び利活用者が利活用できる医療情報には、患者の氏名、住所、郵便番号、生年月日及び患者番号は含まれず、また、利活用する上で必要最小限の医療情報以外の情報は含まれないこと、及び抽出前後の医療情報の対応表は作成しないことから、これは、一般に、特定の個人を識別できないものであるので、「疫学研究に関する倫理指針」における連結不可能匿名化された情報に当たり、その利活用は同指針の対象ではないと考えられる旨記載しております。
 第6は、利活用の申出手続を記載しております。PMDAに対して、定められた様式で申出をしていただくことを記載しております。
 第7は、利活用の申出の審査について記載しております。
1は、審査手続を示したものです。PMDAは利活用の申出について、2に示した審査基準に沿って審査を行います。PMDAは、審査に当たり、有識者会議の意見を求め、有識者会議は、その構成員の合議の結果をPMDAに提出することとしております。有識者会議の構成は、資料2のスライド5の3ポツ目の中段に示してあるとおりです。ただし、スライドの3ポツ目下段でも示したとおり、過去に同様の類型の審査を行っている、利活用に特段の緊急性がある等、PMDAが有識者会議の意見の聴取の省略を特に認めたときは、有識者会議の意見を求めずにPMDAが審査を行えます。ただし、特段の緊急性がある利活用については、有識者会議に事後報告することとしております。また、厚生労働省又はPMDAが、有識者会議が指定した目的で利活用する場合も、有識者会議の意見を求めずPMDAが審査を行えるとしております。
 2には、審査基準を記載しております、利活用の目的、内容、期間、利活用の対象となる情報の範囲、情報の管理方法、利活用申出者及び利活用者の人的妥当性を審査するとともに、利益相反状況が確認できていること、利活用の報告を約束していることなどを確認します。利活用の目的はスライド6の1ポツ目に示したとおり、また(1)にも示したとおりですが「本事業により構築された医療情報データベースの機能評価等、本事業の推進に有益な情報を得ること」であること、利活用期間及び利活用の対象となる情報の範囲は、必要最小限である必要があります。
 第8は、審査結果の通知について記載しております。スライド5の一番下にも記載しております。なお、利活用申出者及び利活用者は、PMDAに承認された範囲でのみ医療情報を利活用できることとしております。
 第9は、利活用の申出内容に変更が生じた場合の手続を記載しております。人事異動等の軽微な変更は、届出する必要があること、利益相反に変更があった場合は報告する必要があること、その他の変更については、利活用申出書を再度提出し、審査を受ける必要があることを記載しております。
 第10は、利活用時の情報の取扱い等を記載しております。利活用申出者は、複数施設統合データ処理センターを利用する場合は、事前に届け出る必要があること。本要綱の適用対象外となる利活用であっても、センターの利用に当たっては届出が必要であること、利活用申出者及び利活用者が取り扱う情報の漏えいの防止や、医療情報の安全管理のために、本要綱及び「医療情報の安全管理に関するガイドライン 第4.1版」に基づき必要かつ適切な措置を講じる必要があること、この点はスライド8にも記載しております。また利活用申出者及び利活用者は、第三者による検証が可能となるよう、利活用に関する記録を利活用終了後5年間保存する必要があることを記載しております。この点はスライド6の4ポツ目にも記載しております。
 第11は、利活用に係る情報公開及び利活用の状況に関する報告について記載しております。
 1には、利活用に係る情報公開方法については、試行期間中に検討することを記載しております。
 2には、成果物等を他の情報と照合すること等により個人が特定されるおそれがある状態で公表してはならないことを記載しております。ただし、厚生労働省やPMDAが公表する必要があると考えた場合は、有識者会議の意見を聴取した上で公表することができることとしております。
 3には、利活用の状況の報告を、利活用の完了日か、利活用期間の満了日のいずれか早い日から3か月以内に、利活用の状況に関する報告書をPMDAに提出する必要があること、この点はスライド6の5ポツ目にも記載しております。PMDAは利活用の実施内容が申出内容に適合していることを確認し、有識者会議に報告すること、その後、利活用が終了したことを利活用申出者に文書で通知することを記載しております。
 第12は、利活用終了後の処理等を記載しております。利活用終了後には、統計情報以外のハードディスク等の記憶装置に保存された情報を適切に廃棄した後、報告する必要があることを記載しております。
 第13は、不適切利活用に対する措置等を記載しております。利活用申出者及び利活用者は、利活用申出書の記載内容を逸脱して利活用してはならず、また、利活用申出者及び利活用者が不適切な利活用を行った場合や、利活用により知り得た情報を漏えいした場合等は、利活用の承認の取消、利活用の対象となる情報の破棄の命令、無期限又は一定期間の利活用の申出の禁止、利活用申出者及び利活用者の氏名、所属、役職等の公表を行う旨記載しております。この点は、スライド6の一番下のポツにも記載しております。
 第14は、利活用に係る書類の提出先を記載しております。
 第15は、本要綱の施行時期を記載しておりますが、現在は空欄です。
 以上で資料3に関する説明を終わります。
 資料4の「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の取扱いに関する倫理上の取扱い(試行期間用)(案)」について説明いたします。
第1には、本取扱いの目的を記載しております。スライド7の1ポツ目にもあるように、個人の尊厳と人権を守るため、本事業の実施に当たっての医療情報の取扱いを整理する旨記載しております。
 第2には、本事業における医療情報の取扱いを記載しております。この点については、資料1のスライド10と大筋同じ内容です。
 第3には、協力医療機関及び連携医療機関における倫理上の取扱いを記載しております。協力医療機関及び連携医療機関は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に基づき、「医薬品等の安全対策等に資するため、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構が実施する医療情報データベース基盤整備事業に、医療情報を匿名化して提供すること」という掲示を求めております。この点はスライド7の2ポツ目にも記載しております。また、協力医療機関及び連携医療機関は、本事業に参加するに当たって、医療機関における倫理審査委員会の承認を得る必要はない旨記載しております。この旨はスライド7の5ポツ目に記載しております。
 第4には、利活用申出者及び利活用者における倫理上の取扱いを記載しております。利活用申出者は、利活用に先立ち、PMDAに申出を行い、PMDAの承認を取得する必要があることを記載しております。この手続は、資料3の説明で申し上げたとおりです。また、先の資料3でも説明しましたが、利活用申出者及び利活用者に提供された情報には、氏名、住所、郵便番号、生年月日及び患者番号は含まれず、また、利活用する上で必要最小限の医療情報以外の情報は含まれません。これは、一般に、特定の個人を識別できないものでありますので、疫学研究に関する倫理指針における連結不可能匿名化された情報に当たり、その利活用は同指針の対象ではないと考えられます。したがって、この場合は、本人からインフォームド・コンセントを受けること及び倫理審査委員会の承認を得て利活用申出者及び利活用者の所属機関の長の許可を得る必要はありません。この点は、スライド7の3ポツ目及び4ポツ目に記載しております。
 ただし、医療情報の特性に鑑み、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.1版」を遵守する等、医療情報を安全に取り扱うために必要かつ適切な措置を講じる必要があります。また、提供された情報が由来する個人を特定する試みをしてはならないこととしております。更に医療情報の利活用により得られた成果物を、他の情報と照合すること等により個人が特定されるおそれがある状態で公表してはならない旨を記載しております。ただし、このような場合であっても、その成果物等を厚生労働省が公表する必要があると考える場合は、有識者会議の意見を聴取した上で公表することができる旨を記載しております。これらの点については、スライド8に記載しております。
 第5には、付加的な指針等があれば、今後、医療情報データベース基盤整備事業協力医療機関ワーキンググループで検討することを記載しております。
 第6には、本取扱いの施行時期を記載しておりますが、現在は空欄です。
 以上で、説明を終わります。よろしくお願いいたします。
○大江座長 ただいま、一連の資料について一通り事務局から御説明をいただきましたが、今の御説明について御質問、御意見などがございましたら御発言をお願いいたします。
○石川構成員 すみません、遅れまして大変失礼いたしました。膨大な量なのでなかなか頭の整理ができないのですが、ちょっとお聞きしたいのは、資料3と資料4の案で2つ出ているのですが、資料4の目的のところには、「第1 本取扱いの目的」の2行目に、「医薬品等の安全対策の向上を目的として」と書いてあるのです。資料3には、よく読んだのですけれども、目的らしいものがこの要綱には書いてないのです。医療情報データーベース基盤整備事業における医療情報の利活用ということについての目的というのは、ここで基本的にははっきりさせておかないといけないと思うのですよ。そうでないと、そもそもこの有識者会議の論点もぼけてしまいます。何に使うのかということについてはきちんと、4では「安全対策の向上」と書いてありますが、それも消えてしまっているという理由が何かあれば教えていただきたい。
○大江座長 事務局のほうからお願いできますか。
○安全対策課専門官 先生のおっしゃることは誠にごもっともでございます。それに、私ども、第4に書いてある目的を第3の目的と同様に考えておりますが、私どもの非常に手違いでして、この部分が抜け落ちてしまっております。その点については、また事務局のほうへ持ち帰りまして記載等を検討したく存じます。
○大江座長 今の御回答は、基本的には資料4に書かれている、この「医薬品等の安全対策の向上を目的として」ということを、資料3にも書く方向で事務局で検討いただくということで、よろしいですか。
○安全対策課専門官 はい、そのとおりでございます。
○大江座長 石川構成員、いかがでしょうか。
○石川構成員 そういうことだと思ってはいるのですけれども、基本的にはやはりナショナルデータベースにしても、こういうデータベースは公益に資するものということで、目的を極めて明確に、特に試行段階のところでは明確にするべきだと思っております。一定の安全性、あるいはいろいろな権利の問題で、安全であることが確認された場合にはいろいろと少し目的を拡大してもいいとは思うのですが、最初のところでは、極めて合目的にきちんとやるべきだと考えておりますので、よろしくお願いします。
○安全対策課専門官 貴重な御意見いただきまして、誠にありがとうございます。御指摘を踏まえまして、慎重に検討してまいりますので、よろしくお願いをいたします。
○大江座長 ただいまの御発言、御意見に関連して、ほかの構成員の方から何か追加コメントございますか。
○祖父江構成員 安全対策の向上というと、有害事象何かをターゲットにして考えますか。この中には何か有効性評価というのも、1つ目的の中に入っていると思うのです。ですから、リスクベネフィットのほうのベネフィットのほうも検討課題に入っているのか、そこのところはどうなのでしょう。
○大江座長 この辺りは、まず事務局のほうの考えはどうでしょうか。
○安全対策課長 祖父江先生の御指摘のとおりで、有害事象の検証だけではなくて、有効性と安全性、リスクベネフィットという意味では、有効性の部分についても入るものだと考えております。
○大江座長 ただいまの回答については、追加で御発言ございますか。
○石川構成員 私遅くなりましてすでに議論済みでしたら申し訳ありませんが、資料1の2ページの経緯の所に、今、委員から言われたこと、「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」と書いてあります。ここが1つのスタートラインだと思うのです。この1つ目のポツのところでは、いわゆる副作用のこと、2番目の所については、今、委員が言われたようなことが書かれているのではないかと思うのですけれども、それが目的だとしたら、きちんとやはりそこの要綱の所に、そのことも書くべきであって、それでこの有識者会議をまとめるべきだと思います。そういうことがねらいであればです。
○安全対策課長 少し事務局のほうできちんと整理をしまして、文章化したいと思います。
○大江座長 ポイントは、この資料4に書かれている「医薬品等の安全対策の向上を目的」と、これのカバーしている範囲が少しきちっと明確になるように書いたほうがいいだろうという御意見と承りました。よろしいでしょうか。
○安全対策課長 はい。
○大江座長 では、書きぶりについては事務局のほうで御検討いただきたいと思います。
 そのほか御意見ございますか。
○石川構成員 ページが前後する質問ということになって、大変恐縮なのですが、資料3の7ページ、第11の2で、「利活用により得られた成果物の公表」。これは実は資料4ではページ数が振ってありませんが、めくって最終ページの(3)に、資料4で読みますと、「利活用申出者及び利活用者は、医療情報の利活用によって得られた成果物を、他の情報と照合すること等により個人が特定されるおそれがある状態で公表してはならない」と。
 ところが、そのあとの「ただし」の所です。この3行と資料3の7ページの2の「利活用により得られた成果物の公表」の(1)の3行目に、同じことが書いてあります。これは、基本的には協力医療機関で、患者さんに協力を依頼するときに、そこの掲示物があって、掲示物で同意を得ているわけです。
 しかし、このことについては、要するに厚労省あるいはPMDAが判断したら、個人情報が分かってもいいかもしれないということですよね。
 そのことまでちゃんと了承して、それが書いてあるかどうかということですよね。これは、かなり重大な問題だと思うのですよ。
○大江座長 資料3と資料4に、同じ表現が出てきますが、この部分についてということですね。事務局のほう、いかがでしょうか。このただし書き以降の部分ですね。
○石川構成員 そうです。
○安全対策課長 極めて重要なポイントを御指摘いただいたと思います。私ども、この部分をどう整理すればいいのかは、むしろよく御議論いただければと思うのです。余り想定されないのですが、ここの利活用者が使えるデータというのは、先ほども御説明しましたように、個人を特定するような、もちろん氏名、住所、生年月日等が入っていないのですが、極めて希な例えば疾患とか、また極めて希にしか発現しないような副作用を起こしてしまった人がいた場合に、その個人を特定できる情報がダイレクトにないとしても、もしかするとごく限られた一部の範囲の人かもしれませんけれども、そういう一部の範囲の人にとっては、特定できてしまうことがあり得るのかもしれなくて。公表する資料の記載の方法にもよるのだと思いますが、微妙なケースが全くないということが言い切れないので、その部分はちょっと心配しております。そういう場合であって、安全対策を実施する上で、どうしてもその事実、そういう副作用があったことの事実については公表せざるを得ないようなケースもあるのではないかと考えております。その場合には、もちろん慎重にしなければならないので、公表の仕方、中身の公表の仕方を十分に、慎重にしなければならないと考えており、有識者会議の意見を聞いてしか公表できないようにしておく必要があるということで、書いているのです。そこの所は先生御指摘のとおり、非常に微妙な問題を含んでいると考えており、どのように取扱いを決めておけばよろしいのか、是非、御意見を頂ければと思います。
○大江座長 これは、まず石川構成員のほうで何か御提案ございますか。
○石川構成員 1つは、こういう公益でもちろんやる研究ですから、それが意味があって、きちっと発表する必要があるのですよね。発表したほうが、より公益に資するというときには、有識者のほうでも出すと思うのです。問題は、それがやはり個人が分かってしまうような恐れがあるところですよね。
 ここについても、基本的には個人にこういうことがあっても、やはり我々としては最大限公益に資するような形でやっていくということもあって、本当は、これはまた資料提供者とか、そういった所に遡って、許諾を得るというのは、普通はするわけですが、それが大抵できないことが多いので、そのときは判断させていただくということで、そういう文面を入れるかどうか。全部はもちろん皆さん、読めないとは思うのですけれども、ここら辺はきちっとやっておかないと、今後はやはり遺伝子情報の問題なんかが当然入ってくるわけですから、ちょっとそこら辺をやっていただいたほうがいいのではないかと。きちんと整理していただいたほうがいいのではないかと思います。
○大江座長 そうしますと、この取扱い、資料3と資料4の両方に、その部分を少し含めた記載を工夫すると、そういうことでしょうか。この事前に、例えば資料4の第3の(1)に、各医療機関があらかじめその公表するという掲示の部分がありますが、これ自体に入れるということも大事ですね。
○石川構成員 そうです、それも大事だと。
○安全対策課長 そうですね。今の御指摘を受けて、ここの掲示する内容についてはもう少し精査をして、御提案をさせていただければと思います。
○大江座長 石川構成員、そういう方向でよろしいですか。
○石川構成員 はい。
○大江座長 はい、ありがとうございます。重要な視点ですが、この点について、丸山構成員あるいは我妻構成員、何か専門家の立場から御助言、御意見ございますでしょうか。
○丸山構成員 掲示の内容ですが、医療情報を匿名化して提供することという所は、偽りがないので、掲示についてはこれでいいのかなと考えます。結論をちょっと先に言ってしまうと何かと思われるかもしれないので、その根拠なのですが、基本的に匿名化して医療機関から提供されるもので、それでも今も言葉が出ました遺伝情報については統計処理されたデータからもその中に含まれる、本人が同一識別できないとは限らないというのが、数年前、アメリカで論文化されたことがあり、ごく例外的にその可能性があるということで、こういう注記が、今、御指摘の所でなされていると思うのです。その場合にも、すぐ誰でも個人が分かってしまうような形で公表ということはなくて、本人のデータを持っている者が、レファレンス情報を持っている者がその公表内容を見ると、その本人がこのデータに含まれているかどうか分かる程度の識別可能性だろうと思うので、掲示の所に、そういうごく例外的な場合、かつ、その場合においても個人識別ができる人というのは本当に限られているということを踏まえると、あらかじめの掲示には書く必要はないのではないかと考えます。
 しかし、具体的にPMDAあるいは厚労省が有識者会議の意見を聞いて、公表すべきであるという判断が下される場合であれば、例外的に本人に遡って本人の同意を得ると。その公表というのは目的外利用、それから第三者提供に当たりますので、当初のこの掲示を踏まえると、掲示の目的を超えた利用になりますので、その段階で同意を得るという扱いでよろしいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○大江座長 そうしますと、今の御意見は、事前にこのオプトアウト形式で掲示する表現は、現在の案のままにしておいて、現実に公表の必要性が発生した場合には、その時点で必要ならば同意を取るような措置を考えると、そういう表現を入れると。そういうことでしょうか。
○丸山構成員 そうですね。それでも御本人が公表は困ると。公表というか、すぐ誰でも分かる形では公表されないですね。公表の内容を見る者が、本人情報を持っている場合に分かるというような場合に限られると思うのです。それでも公表されることがある、本人の同意が得られない場合については、個人情報保護法の16条、あるいは23条の目的外利用、あるいは第三者提供の例外規定の、人の生命、身体、財産の保護のために必要がある場合は本人の同意なく目的外利用、第三者提供ができる、とあります。そんなに簡単に識別できるものではないと思うのですが、もしされても公衆衛生上迅速な情報提供が必要だということであれば、説明できるかと思います。もともと匿名で医療機関から出されているデータですから、簡単に誰でも分かるというような形にはならないというのが前提としてあり、こういうことを申しておりますが、いかがでございましょうか。
○石川構成員 私は、これが非常に確率が少ないとか、ほとんどないのではないかとかという議論は全く別の論議だと思うのですね。基本的には、例えば成果物についても有識者会議だとか、そういった所でチェックするという形で、事前に掲示物の所にあっても、その有識者会議こそが、自分たちの採血だったら採血、あるいはいろいろな情報提供していただける患者さんを守ってくれるというような有識者会議の定義で、成果物も一応チェックしながらやっていくという、そこら辺の最初の掲示のところですよね。そういう仕組みでこれは使わせてもらいたいのだと。基本的には、そういう有識者会議が皆さんの代表も含めてなっていて、きちんと権利、倫理を守っているということで作っている仕組みの中で、公益的な研究に資するというようなことをきちんと宣言したほうがいいということです。
 そういう仕組みを作らない限りは、今想定していても、私なんかも遺伝情報が入ってくるとどうのこうのと言ってますけども、これは未来的なことでいえば、とてつもなく我々の想像外の研究がされるに違いない。それで、例えばそれは遺伝情報、検体を取った人が亡くなった後、何代も先も含めて、そういうことが利用されるに違いない。そしたら確かに、最初の方に許諾を得るのは難しいわけです。そこでもやはりきちんと検体を出した人、患者さんとかを守る、有識者会議なり、人権委員会なり、そういったものがあって、守っているよということを、きちんと最初の掲示の所に入れてやっていただくことは、一番大事だと思っているのですよね。そうでないと、法律だとかそういったことでいっても、個人情報保護、今は死者のところで全然アウトですから話にならない。だから早く個別法を作らなくてはいけないのですが、我々がきちんと公表物、それは後から言おうと思ったのですが、公表物の所もチェックしてやるべきだというように思います。それが掲示物の所に書かれていたほうがいいのではないでしょうかということです。
○大江座長 そうすると、今ここですぐ結論は出せませんけれども、両方からいただいた御意見を基に、趣旨が。
○丸山構成員 もう一言発言させていただけますか。もし、今おっしゃったように、掲示に入れるということであれば、利益のバランス上はむしろこの2か所にある、「ただし」以下の公表の可能性をなくすほうが、バランスがいいのではないかと思いますね。飽くまでもやはり個人が識別される情報、可能性のある情報は出しませんということで、体制を構築されるほうがすっきりして、患者のほうも安心して医療を受けられるということがいえるのではないかと考えます。それだけ発言させてください。
○石川構成員 素晴らしい考えだと思うのですけれども、実は恐らく、この3行を相当工夫して入れた理由があると思うのですよ。つまり、大変由々しき事象が発見された、数が少ないけれども。これはお伝えしなくてはいけない、公表しなくてはいけないという事象が出てきたときに、どうするのだということだと思うのですよね。ですから、ここはやはりそのことを考えると、この3行を全部消してしまって、もう絶対駄目だとするのかどうかですね。それは、公表の形式を少し工夫して、全く識別できないようにすることを条件にするというのはいいのだと思うのですが、全くそういう恐れがあったら、もう駄目というようにしてしまうかどうかということですね。それで、先生のおっしゃったのでいいのかもしれないのですけれどもね。
○丸山構成員 あとは、事務局のほうでしていただければ。
○大江座長 それでは、確かに第3の1に書いてあるのは、この個人情報に関連するガイドラインに従って利用目的の公表部分ですので、これとは別に、石川構成員がおっしゃったように、また違った形での説明をする。こういうケースにおいてはこういう形の公表があり得るけれども、その場合には最大限個人が同定できない、あるいは個人が識別できないことに配慮、有識者会議で十分検討するというような趣旨のことを事前に説明しておくと。そういう形の方向で、具体的にどうするかは事務局のほうで持ち帰って検討いただくということで、よろしいでしょうか。それでは、そのようにお願いします。
 次に、ほかにも違った観点のコメントとか御質問ございますでしょうか。
○中島構成員 今のは公表の所の話だったのですが、例えば、資料3の3ページの2で、「利活用可能となる医療情報の匿名性」という所で、これも協力医療機関ワーキンググループでも少し話し合われたと記憶していますけれども、この中で、使える情報の中で、「患者の氏名、住所、郵便番号、生年月日及び患者番号を含む医療情報」ということになっています。これが含まれずとなっていますね。もし、私が何らかの目的で申請するとしたら、氏名とか、住所とか、それから患者番号というのは全く必要はないのですが、生年月日という月日までは要らないかもしれないのですが、生年とか、あるいは郵便番号の上の3桁ぐらい必要になる可能性があると思います。もちろん議論の中では、非常に希な疾患の場合は、こういう情報が入ってくると、個人が特定される可能性もあるということで除いているのだろうとは思うのです。
 例えば、糖尿病みたいなたくさんある疾患であれば、ある程度の情報がないと、この薬が30歳以下で投与した場合にのみ副作用が発生することが多いとか、そういうことが抽出されにくくなるのではないかと。あるいは、薬の副作用ではなく、この地域の何らかの特異性によってこういう症状が出たという可能性は排除できなくなるというようなこともあり得るので、これはここに明記するのではなく、PMDAの有識者会議のときに、ある意味、目的となる薬、投与した薬と、その場合に、個人が特定できる可能性を考えながら、この場合は例えば生年月日のうち生年まではいいというようなことを、そちら側の有識者会議の中で考えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○大江座長 事務局のほうからこれまでの議論も踏まえて、いかがでしょうか。
○安全対策課専門官 先生からいただいた御指摘は2つあると存じ上げます。1つ目は生年月日の生年の部分ですが、私どもは、生年月日は削除すると申しましたが、生年月日そのものの情報は削除するのですが、例えば、生まれてからお亡くなりになるまでの情報を一連の情報としてとらえたときに、その情報の前後関係及び間隔が維持された状態で、まとめてガサっとずらすようなやり方を考えているところです。そうなりますと、先生が御指摘のような、例えば糖尿病の患者さんを30歳以上で好発するかしないかといった話は、全てのイベントをまとめて日付を移動するということにより、日付の前後関係と間隔が保たれることから、年齢は分かると考えていますので、恐らくそこで解決するのではないかと考えております。
 一方、郵便番号ですが、地理情報は何分にも個人情報と結びつきやすいところがありますので、やはり最初の我々の安全対策としましては、まずはそれを使わないで考えていきたいと考えているところです。
○中島構成員 生年月日のほうですが、これがこういう形で公表されると、年齢の情報はこれで分からないんだなと、一般的にはとられるかなと思いますので、そこは分かるような形で書かれるべきではないかなとは思います。
 郵便番号の所は、なかなか調べるほうからは厳しいところはありますが、まだ試行期間中にしてないことを試行期間後に、では試行期間終わったからしようということもできないので、十分使えるものにしていくために試行期間中に考えないといけないのですが、これは皆さんの御判断に任せます。
○安全対策課専門官 いただいた御指摘を踏まえ、私どものほうでまた検討してまいりたく存じます。また、よろしくお願いいたします。
○大江座長 ただいまの御指摘について、念のため、少し確認のために私から質問といいますか、確認をさせていただきたいのです。今、中島構成員がおっしゃった中で、例えば30歳代の患者さんを抽出することは、このデーターベースでできるわけですね。その抽出した後の結果に、生年月日や郵便番号は含まれないと。ただ、30歳代だけを抽出してくださいという抽出依頼はできると、読み取っていますが、それでよろしいですか、事務局のほう、確認のため御返事ください。
○安全対策課専門官 はい、そのとおりでございます。
○大江座長 ということですので。
○中島構成員 ただ、例えば20歳代以上を抽出した場合に、抽出したデータをいろいろ解析したら、実は50歳代以上で発現していたということは分からないわけですよね、その後の解析では。それは、でも年齢情報があるので分かることになりますので、年齢情報は分かるということを、ここの中に明記しておいたほうがいいのではないかということです。
○大江座長 つまり生年月日は含まれないけれども、年齢情報はそもそも分かるようになっているということを、書いておいたほうがよいであろうという御趣旨の発言と。事務局、よろしいでしょうか。
○安全対策課専門官 また事務局で検討したく存じます。
○大江座長 では、書きぶり、どういうふうに書くかということについては事務局のほうで持ち帰って検討いただきたいと思います。ほかにコメントございますか。
○佐藤構成員 今のことで確認なのですが、日付をずらしてというところの中に、生年月日も含まれると理解していたのですが、そうではないのでしょうか。
○安全対策課専門官 システムの中に保存されている情報全てをずらすので、当然生年月日もずれます。
○佐藤構成員 そのずれた後の日付の情報は外に出ないのですか。生年月日だけは出ないのですか。それも出ると思っていたのですけれど。
○事務局 相対日付変換処理された日付情報は、その出力される個表データの中には含まれます。
○安全対策課専門官 1点補足してよろしいでしょうか。今、相対日付変換ということがございましたが、日付をずらした後の日付が出てくるのであって、生年月日は出てこないという理解でお願いいたします。つまり、生年月日そのものの、例えば私が1月1日に生まれたとして、その1月1日という情報は出てまいりません。別の偽の日付が出て参ります。
○佐藤構成員 ですから、それは生年月日そのものではないのだけれども、生年月日から何日間かずれた生年月日の日付が、個表として外に出るということは、そのことは明確にしておかないと、結構あとあと重要な問題になり得るような。つまり、プラスマイナス何日かの範囲で特定できるわけですから、生年月ぐらいまで外に出ているのとほぼ同じような意味合いになると思うのですね。
○安全対策課専門官 こちらの記載ぶりについて、また事務局で検討いたしたく存じますので、お願いいたします。
○大江座長 そうしますと、これは利活用要綱、あるいは倫理上の取扱いですので、この対象となっているものに生年月日そのものは出ていないけれども、生年月日由来といいますか、生年月日を一定のルールで乱数でずらしたりしたものを含んでいることを分かるようにすると。それをどこでどういうふうに、この中に書くのかどこに書くのかは、全体御意見を頂いて、持ち帰って御検討いただくことにしましょう。よろしいでしょうか。重要な御指摘ありがとうございます。ほかにございますか。
○石川構成員 また前に戻ってしまって恐縮なのですが、資料3の2ページ、「第3 適用対象」という所です。ここには、一番最初の所に、協力医療機関又は連携医療機関に構築された医療情報データベースに保存された医療情報を、その医療機関に所属する者以外の者が利活用する場合に、ここで審査をするとかという形になると思うのですが、その下ですが、「本要綱は、単一又は複数の協力医療機関又は連携医療機関に所属する者が、その単一又は複数の協力医療機関又は連結医療機関に構築された医療情報データベースに保存された医療情報のみを利活用する場合は、適用しない」と書いてありますね。ということは、基本的には、医療機関のほうだけで協力して利活用する場合は、ここは我々は審査の対象にはならないというようなことを言っているのだと思うのです。これなのですが、先ほどの目的の所とも関係するのですけれども、目的の所では、最初にそういう薬害とか副作用とかということはとうとうと語られて、資料1で、途中からベネフィットという言葉で、そのベネフィットの評価ということ、突然8ページ目ぐらいに出てくるのですよね、このポンチ絵だと。
 要するに、先ほど委員が言われた薬剤の効果の点はどうだといった所では、この資料1の経緯の中では、基本的にはすごく薄いのですよ。薄いのです。それが、このパワーポイントの8ページ目になって、ベネフィットという言葉で初めて、迅速な評価ということが出てくるのです。そういうことで言いますと、ここはどういう目的で、要するにこのデータベースが使われるのかといったときに、薬剤のベネフィットを使うとしたら、我々は既にナショナルデータベース、レセプトのデーターベースで、それの途中の経過で痛い思いしているわけですよ。つまり、この薬をどういうふうに使われたかとか、別の形でデータが流れて、それが別なデータベースとしてどうも金銭的な対価を払われて使われているという恐れがあるわけですよ。そういうことがあるだろうと。ここでも、我々はやはりそういう患者さんにきちんと承諾を得てやっている研究で、国が必要な研究だと思います。だとしたら、きちんと最初の試行期間のうちはきちんと監視して、その目的意識的に安全性の問題を中心にして研究するべきだと思うので、ここは連携して、複数の協力機関が、自分たちは審査通らなくとも、自分たちでいろいろとこのデータを使えると、仲間でですよ。特に、メガ級の大学が2つも3つもあって、そこの所のデータ集めれば、日本の縮図みたいな形になるわけですよ。それはいろいろな形でベネフィットだとかできるということで、ここの審査を通らなくても使えるという話になりますね、この項目があると、そういうことですね。だけど、試行期間のうちは。別に将来的にはそういうことをやってもいいとは思うのですけれども、きちんと目的意識的に、私は合目的と言いましたが、やるということを考えて、ここはそういうふうにするべきではないと思います。
○大江座長 いかがでしょう、事務局のほうは何かございませんか。
○安全対策課専門官 多分、先生のお尋ねの点とちょっとずれた回答になってしまうかもしれないのですが、御指摘の点は医療機関内に設置されたデータベースの中にあるデータの利活用はどうあるべきかという話かと存じます。複数の医療機関が、これまで共同研究等をすることというのは、従前の形態と何ら変わりがないと考えております。
 参考資料2ですが、こちらは医療機関の募集要綱です。こちらの参考資料2の7の留意事項ですが、それの(1)にありますとおり、「構築されたデータベースに収納するデータの帰属は各協力医療機関にある」となっておりますので、これらの院内利用については私どもから口出しをするような趣旨のものではないと考えております。なお、医療機関においては法令や疫学研究に関する倫理指針等を遵守した上で、適切な利活用を行っていただけるものと考えております。
○石川構成員 先ほども言いましたように、きちんと有識者会議だとかそういった監視があるから、この我々の出した検体というのは、きちんと運用されていることを担保するためにも、使用機関はきちんと厳格にやって、こういうふうなことがあります、これを範囲を広げてもこういうことしか考えられません、ということをきちんとお伝えするような形でやったほうがいいと思うのですよね。それが大事だと思うのです。
 それと、今、言ったことでいえば、このパワーポイントの9ページの医療情報データベースの基本構成の中で、国のお金で出したのは病院A、Bの中で統合データソースのところとか、いろいろこれを作るところは国のお金でやっているのですよね。これは医療機関の勝手ではないですよね。きちんと合目的にその研究を進めるために国のお金を使ってやったわけだから、その医療機関の勝手でやってはいけないのです。あるいは連携するところの勝手でやってはいけないのです、というふうに思いますけれども。
○大江座長 いかがでしょうか。ほかの構成員で、これに関してコメントございませんか。
○我妻構成員 今のお話を伺っていて、次の10ページのパワーポイント、「医療情報データベースにおける情報の取扱い」、これ自体で想定範囲として先ほど出ておりました、例えば郵便番号、あるいは生年月日等の情報を含めて、目的自体が先ほど御説明があったと思うのですが、青色の部分と赤のこの主に要綱案とか資料で扱っているものとが、恐らく切り分けられていますので、具体的な適用範囲を事務局のほうから御説明していただいて、できれば構成員の中で情報を共有していただくことが、利用等、扱っている情報が非常にセンシティブであり、かつ、それぞれが違っておりますので、適用範囲を明確に区別するということを意識した上で議論をしたほうが生産的ではないかと思っています。以上です。
○大江座長 どちらから御発言いただきましょうか。事務局のほうから何か、追加コメントありますか。よろしいですか。ほかの構成員の方、これに関連して追加、ありますか。
○冨山構成員 資料3の2ページの第3の「適用対象」の部分、「したがって、本要綱は、単一又は複数の協力医療機関又は連携医療機関に所属する者が・・・利活用する場合は、適用しない」という部分は私もちょっと引っ掛かる部分です。レセプト情報・特定健診等データベースの活用方法と比較して考えると、ここだけ適用しないで、自由に使えるというのは、やはり問題があると思えますので、先ほど石川構成員が言ったように、ここの部分は、試行期間中は厳密にチェックできるような形にしたほうがよろしいかと考えます。
○秋山構成員 資料2の3ページのポンチ絵と資料3の第3の説明が少し分かりにくいかと思うのですが、資料2のポンチ絵でいくと、協力医療機関が自機関のデータを使う場合には対象外と書いてある。資料3では、単一又は複数の協力医療機関又は連携医療機関に所属する者がということになるので、この場合は、協力機関というのが他医療機関のデータを使っているかどうかのところが、先ほど委員の指摘のあった資料1の10ページで青マルで囲っている部分のことを言っているのか、それとも赤マルで囲っているところを言っているのかが皆さんの認識がちょっと違うのではないかなと思っているのですね。青マルのところの範囲であれば、これまでも各医療機関、病院等がやっているところなので、特段目くじらを立てるところではないと思うのですが、今回の事業で、センターを利用してセンターの統合処理システムを使って処理するのであれば、この場合にはやはり適用、準用かどうか分かりませんが、そういった形でするべきではないかと思っていますが、この第3の適用対象で書いてある「したがって」以降がどこを指すのか事務局のほうから教えていただければと思います。
○安全対策課専門官 現時点では先生がおっしゃるとおり、利用シーンが2種類ございまして、1つ目は、まず青の範囲に完全に限局しているケース、それからあとは、例えば2つの大学病院で抽出依頼をそれぞれかけて、その結果を統合してセンターで解析するケースと2種類が想定できると考えています。前者の場合は、青の範囲に収まっている場合は、連結可能ないし実名のデータを取り扱うことになりますが、これは従前の話と一緒と考えている項です。一方、抽出したあとでセンターで解析するケースは、匿名化されたデータを解析することになるのですが、そのケースも含めて両方ともこの「したがって」の中で現在、包括的に書いていたところです。
 ただ、そこの取扱いにつきましては、先生方の御指摘を踏まえまして、私どものほうで持ち帰らせていただいて、また検討させていただきたいと思います。
○大江座長 そうしますと、この資料3の第3の「したがって」から「努めること」までの部分が、少しほかの資料との関連性で、どこの範囲を指しているかもう少し必要ならば少し分けて書くとか、そういった形で分けた上で、更に今、石川構成員、あるいは冨山構成員がおっしゃったような、やはり何らかのチェックが必要だという御意見をどのように取り入れるかということは、これはちょっと時間的なこともありますので、持ち帰って事務局のほうでまた検討をいただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ほかに違った観点の御意見を。
○丸山構成員 質問なんですが、先ほどの生年月日について、全ての日付情報はプラスマイナスの日を入れることで匿名性を図るということなんですが、何か2桁しかプラスマイナスが考えられていないように聞こえたのですが、2桁だと99日のうち、人海戦術でやれば匿名性が崩れるようで、4桁か5桁ぐらいのプラスマイナスを入れていただければ、5桁を入れると二百数十年になるわけですね。二百数十年のうちの1日となると、なかなかそこまでやろうという人は出てこないと思うのですが、99日ぐらいだと匿名性を崩そうと思うと崩れるのではないかと考えるのですが、その辺りはどういう構想で進められているのか教えてもらえればと思います。
○大江座長 事務局のほうから、今回答できますか。それとも次回にしますか。分かりますか。
○安全対策課専門官 ちょっとシステムで実際に何日ずらしているかという点につきましては、ちょっと精査する必要がありますが、いずれにせよ、先生がおっしゃるとおりの問題点はある可能性があると思っておりますので、問題点がないように、また検討してまいりたいと思っています。
○大江座長 では、ただいまの御指摘点を踏まえて現状をまず確認した上で匿名性が担保できるようにしていくということでよろしいですか。
○安全対策課専門官 はい。
○中島構成員 先ほどの話、少し蒸し返すようですが、先ほど資料1の10ページで、統合データソースのところですが、これは確かに今回の事業で作ったものです。実際にはここは連結可能匿名化ですので、他機関の利活用者は使うことはできないというのは分かっていますが、ここをもし医療機関が一つひとつ申請をして、審議をした結果、使えるということになれば、どういうことが考えられるかと言うと、恐らく我々はここをグーグルのように何回も検索でトライ&エラー、トライ&エラーするわけです。これはおかしい、この医薬品は少し怪しいというようなものを恐らくは、ほかの医療機関ではどうだろうという形で出していくことになるのですが、その結果、正しいかどうかを出していくのですが、そういうことをするのが非常に難しくなってしまうと。で、どうしたらいいのかなと私も思うのですが、それで、ただ、これを当該医療機関も使えないことになれば、この統合データソースは誰も使えないというか、これは単なるPMDAの抽出のための一つの道具にしかすぎなくて、非常にもったいないことにもなりかねないですね。
 ですので、先ほど宿題と言われておりましたが、そこら辺も考えながらどうしたらいいかを検討していただきたいと思います。
○大江座長 では、その辺りの観点で、今の資料3の第3の部分を更に事務局のほうで検討をいただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
○石川構成員 要望なのですが、先ほどの、連携医療機関と、それから、こちらの資料1では、この名前が協力医療機関グループとか何とかで違うのですが、同じことということでいいですよね。同じというふうに考えて。
○安全対策課専門官 すみません、そこについてですが、まず、協力医療機関と協力医療機関グループは基本的にイコールです。それで連携医療機関と協力医療機関の区別ですが、協力医療機関と申しますのは、私どもが事業として国費でデータベースを設置する医療機関を指しています。連携医療機関というのは、参考資料1の私どもの医薬食品局長通知の6、留意事項の(3)に記載してあるのですが、「本事業において構築する医療情報データベースと同等のものを自己資金により構築できる医療機関については、厚生労働省が別に指定した場合、本事業に協力することができることとする」と、これを連携医療機関と私どもは定義しています。それに対しまして、この要綱の第3項で規定するものを協力医療機関と定義しているものです。こちらの舌足らずな表現で誠に申し訳ありませんでした。
○石川構成員 分かりました。それで先ほど2ページ目の第3適用対象を検討するにあたって、やっぱり医療機関が相互に連携すればデータを使えるという話のところまで踏み込んだと思うのですね。それは有識者会議を通らなくてもいいという話ですね。
 しかし、どういう形で患者さんに許諾をしてるのかという掲示の文面を、できたら見せていただきたいのです。要するに、ほかの医療機関で使われることについては、今、医療連携をやっているときに、ほかの医療機関であなたのデータが見れることになりますよということについては一つひとつ患者さんに許諾を得ているのですよ。これが今の医療連携の中では常識になっているわけです。だからこれをそのデータとして連携するときに、先ほどの図だと、連結可能匿名化の部分のところまでのことを言っていますよね、そうですよね。そうしたら、それは掲示のところに、ほかの医療機関と研究のために共同して使うことが有りますよということをきちんと言っているかどうかですよ。それをやらないと、今後のこういうものの扱いがうまくいかないと思いますので、そこが入ったかどうか、あるいはこれから入れようという動きがあったら、私はそれでいいと思いますけどね。
○安全対策課専門官 御指摘いただいた点につきましては、確認の上また御報告申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
○大江座長 確かに今、石川構成員が御指摘くださった、この協力医療機関は今回この試行期間でデータベースを作って、この要綱が適用されることが明確で、どのように患者さまに掲示しているかも明確なわけですが、一方で、連携医療機関はまだその辺りがはっきりしていない医療機関であるにもかかわらず、同じこの要綱に入っているために非常にその部分が見えにくくなっている印象を、今、お聞きしていて私も感じましたので、この辺りも含めて少し整理した上で、次回もまた提示することにしていただけますでしょうか。
○安全対策課専門官 はい、また持ち帰らせていただきたいと思います。
○石川構成員 ありがとうございました。
○大江座長 それでは、今日は一回目ですので、まだほかにもいろいろ御意見があとで読み進めて行くと出てくる可能性はありますけれども、時間的なこともありますので、もしよろしければ今日は次の議題に入りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは次の議題の「今後の進め方」について事務局から御説明をお願いします。
○安全対策課専門官 では、事務局から申し上げます。次回の検討会は5月29日の水曜日、午後4時から開催予定です。開催場所も含めまして構成員の先生方には改めて開催の御案内をさせていただきますのでよろしくお願いします。
 本日は多数の御指摘や宿題等を頂きましたので、次回の検討会以降、課題ごとに御検討頂き、その後取りまとめに向けて御審議いただきたいと考えております。以上でございます。
○大江座長 以上で本日予定していた議題は終了となりますけれども、何か追加で御発言ございますでしょうか。ほかにないようでしたら、事務局から追加で何かございますか。
○安全対策課専門官 特に事務局からはございません。
○大江座長 それでは少し時間が早めに進行してしまいましたが、よろしいでしょうか。
○祖父江構成員 また戻る感じになりますが、資料3の第4で、利活用申出者、利活用者のところに、所属する研究者が申し出ることになっていますね。この研究者というのはどんな人を想定しているのか、一部の医療情報関係の人が利用するのか、それとも病院全体で臨床の方々も含めてこう広く利活用されるのか、どんなイメージですか。
○大江座長 事務局のほう、何か。利活用申出者となることのできる研究者とはどういうイメージの範囲か。
○安全対策課専門官 研究者と言えば研究者ですので、それ以上の定義は今のところ考えていません。
○祖父江構成員 ないですか。ただ、せっかくできたデータをきちんと使っていただくことが一番重要で、適正に使っていただくということでいろいろ決め事をしてますけども、それ以上にやっぱり使われないのが一番問題になるので、その使っていただくための工夫みたいなところがないのかなと思うんですけどね。
○安全対策課専門官 先生からまた宿題としていただいている気がいたしますが、研究者の方に関しましては、特に私どもからは人的要件はかけていないのですが、第4の1項の後段のただし書きを御覧いただければと思います。ただし書きですが、利活用申出者が所属する機関の医療情報データベース基盤整備事業協力医療機関ワーキンググループの構成員又は参考人の了解を得た方が申し出をできることにしておりますので、構成員の先生方がきちんと捌いてくださると考えています。
○祖父江構成員 ですから、イメージとしては医療情報部の大江先生のような方々が臨床の先生と相談して、利用促進していくことを想定している感じですか。いかがでしょうか。
○大江座長 座長の立場で今、それに直接お答えしにくいのですが、ワーキンググループでの考え方は、やはり試行期間ですので、どんどんいろんな多目的に使うのではなく、やはりさっき石川構成員も御指摘のように、これの本来の趣旨を生かした利用をして、こういったデータベース事業のメリットがどこにあるか、あるいは問題点がどこにあるかを明らかにしていくと、まだそういう期間ではないかという議論だったと思います。そういう意味ではどんどん使えというよりは、やはり今回の医療機関のワーキンググループで議論を重ねた人たちが、今、この目的に合わせて試行期間中で解析すべきだろうということについてやっていこうと、そういう考え方だったと思います。それが具体的に医療情報学の専門家なのか薬剤疫学の専門家なのか臨床系の方なのか、それはまたそれぞれの医療機関でも関心のある方がどういう領域におられるのかはその医療機関ごとの違いがあるのではないかと、そんな議論がベースになっていたと思いますけれど。事務局のほう、何か追加はございますか。
○安全対策課専門官 先生のおっしゃることに、特に追加はございません。
○大江座長 ほかにどうしても御発言なさりたい方、いらっしゃいますか。
○祖父江構成員 もう1点、いいですか。最終的に1,000万規模のデータベースを目標とするというところで、この10医療機関でどれぐらいの規模のデータベースになっていますか。
○安全対策課専門官 現時点では、数百万人規模のデータにはなるだろうと想定しています。
○大江座長 よろしいでしょうか。それでは本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-3595-2435

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