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2012年12月18日 第5回「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」議事録

○議事

○阿部座長 定刻になりましたので「第5回非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」を開催します。委員の皆様には、大変お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は西久保委員が御欠席です。また谷口委員は遅れて出席する予定です。なお、梅村政務官は遅れて出席する予定です。それでは事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料を確認いたします。本日の資料は、報告書案ということで綴じたものを配布しております。もし欠落等ありましたら、大変恐縮ですが事務局までお申し出いただければと存じます。
○阿部座長 よろしいでしょうか。それでは議事に移りたいと思います。本日の議題は「報告書とりまとめ」となっております。事務局に前回の検討会での各委員の御意見を踏まえ、報告書案を作成していただいておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 報告書案について御説明いたします。座長よりお話がありましたとおり、先回の検討会で御議論をいただいた骨子案をもとに、各委員の先生方の御意見等も踏まえて付け加えさせていただいたものですので、今回御説明するのは骨子案から追加した点、変更した点とさせていただきます。
 報告書案の1ページ、「はじめに」は、今回書き下ろしですので、全部説明いたします。最初に、近年のグローバル化に伴う企業側のコスト削減意識の高まりのほか、労働者側の働き方のニーズの変化もあって、ここでは本報告書における正規雇用労働者の定義を入れております。労働契約の期間の定めがなく、企業において主要な業務を担い、長期雇用を前提とした待遇を受ける正規雇用の労働者が減少する一方、非正規雇用の労働者が、現在雇用全体の3分の1を超える状態に至っております。また厳しい経済情勢の下で、企業における教育訓練そのものが全体として低下傾向にある。特に非正規労働の方々については、こうした正規雇用の方々と比較して低水準ということで、職業能力形成機会は乏しい状況にあるという分析です。
 このような中、非正規雇用労働者の現状としては、不安定な雇用や低い処遇から抜け出せず、将来の展望が描けぬまま、生活への不安を抱え、結婚もままならぬ状況に陥っている方が相当程度存在しているという現状分析です。
 他方で、こういったことを経済的な観点から見ますと、マクロの視点から見れば、非正規雇用労働者の方々が増加することは、消費活動の停滞、デフレ、ひいては日本経済全体が低迷する。さらに、結果として個々の企業がコスト削減を強いられるといった悪循環が生じかねない。
 「人財」が最も重要な資源である日本という観点からは、能力開発の機会に恵まれない非正規雇用労働者の方々が増加していくことは、人的資本の蓄積の観点から、これは大きな問題であろうと問題提起をさせていただいております。
 非正規労働者の能力開発の主体は、個人の方々が取組の中心ということですが、能力開発後の将来の姿、将来像が見えにくいことや、金銭的な負担もあり、個人任せ、個人の方々の対応では限界があるということを述べております。
 このような状況を打開するために、一人一人の労働者が将来に夢と希望を持って、安心しながら生活していくことができるようにしていくためということで、非正規労働者の方々を、人の財産と位置づけております。そういった意味での人財として、企業、業界団体、公的部門等の社会全体で育成し、その付加価値を高めて処遇の改善につなげるということで、人間らしい働き方を実現していくことが不可欠である。こうした取組につきましては、日本を「好循環型社会」に変化させる重要な鍵となるもので、今年3月にとりまとめられた「望ましい働き方ビジョン」でも、このような方向性が示されているということです。
 本報告書の方向性については、本検討会ではこのような観点から、非正規雇用労働者の能力開発の抜本強化に向けた施策の在り方につきまして、短期間で集中的に検討を行い、必要な施策の方向性を報告書としてとりまとめたと位置づけております。
 今後、非正規雇用労働者の方々を財産としての「人財」として育てていくことへの社会的気運の譲成を通じて、この報告書の内容を踏まえた具体的な取組を社会全体で推進していくことによって、「個人、企業、日本社会全体が、持てる力を生き生き発揮できる、夢と希望に満ちた社会が実現されることを期待する」という結語を載せております。
 以降、骨子から変わった点を御説明します。2.(1)(?)、企業側の人材ニーズの分析のところです。?正規雇用労働者を採用したいというところに、「主要な業務を担わせるため」という目的を追加しております。(?)のアイウに、それぞれの非正規労働者の対応を分析した部分にそれぞれの例を入れております。
 3ページの(2)「施策の基本姿勢」の中段「なお」のところで、定型的・補助的業務で働くことを望む方の件で、こういった方々の能力開発を進めることにつきましては、プラスの外部性を「注釈」で付けておりますが、ここの意味は、ある経済主体の行為が、市場における取引を経由しないで、他の経済主体にプラスの影響を与えることという定義です。今回の場合、定型的・補助的業務で働くことを望む方の能力開発を進めることが、他の労働者や企業全体の生産性の向上にプラスを与えるという意味で記載しております。
 こういったプラスの外部性があり、企業の生産性の向上につながる面もあることを付け加えて、そのような観点から、企業による職務遂行上の必要な能力開発、相応の処遇確保が望まれるという件にしております。
 続きまして、「このように」以下、どのような社会にしていくかということですが、労働者が自らのキャリアアップの道に応じた効果的な能力開発の機会を選び取り、個人、企業、業界団体、公的部門の社会全体が適切な役割分担の下で確保していくことが必要であるということ。労働者の求めるキャリアアップの道は、人生の各段階で変化するものであるので、人生のどの段階でも御本人が希望するときに希望する能力開発の機会を得られるよう、柔軟で可能性に満ちた社会にしていくことが重要であるという姿勢を述べております。
 (3)の「能力開発の主体」としては、非正規労働者の方々につきましては企業を移動する可能性が高いことで、個々の企業での教育訓練投資の対象が難しいという御指摘がありました。この点を記載しております。個々の企業での対応には限界があり、労働者の個人の能力開発を中心にして、労働者個人の方々が自らのキャリアについて考えながら、能力開発を行っていくことの意義を理解して、主体的に取り組んでいくことが第一であって、それに対する支援を強化することが重要であることを記載しております。併せて、非正規雇用労働者の方々を企業の一員・仲間として接する姿勢を持って、積極的なキャリアアップに向けた取組を進めていく企業に対して支援を強化していく。業界団体、公的部門等による充実した能力機会の提供を進めるなど、社会全体で重層的な対応を進めていくことが必要であることを述べております。
 「その際には」で追加しておりますが、正規雇用でも労働時間や勤務地などに配慮した働き方ができることにより、働き方や処遇面での隔たりが大きく二極化することのないように、正規と非正規の連続性を確保し、段階的にキャリアアップができるようにしていく観点も重要であるということを指摘しております。
 (4)非正規雇用労働者の方々につきましては、職業能力開発による能力向上が図られても、処遇に必ずしもつながっていないという御指摘をされております。そういった意味では、労働者が自ら主体的に能力開発を取り組むことを促していくという観点からは、その能力開発を行った後に期待される処遇やキャリアパスなど、こういった「将来像」を見えるようにしていくことが必要だと。能力機会の確保と併せて、労働者の能力が労働市場で適正に評価され、相応の処遇が確保されるための環境整備を進めていくことが重要であることを述べております。その際には、正規・非正規を問わずに職務(内容・責任)を重視した人事処遇制度が普及していくこと等も望まれる。
 (5)、こうした施策は何よりも労働者一人ひとりに本当に届くことが必要であるということで、社会全体、企業、業界団体、公的部門等が連携・協力して、強力に情報発信を進めていくことが重要である。またその点では、労働者の方々に身近な地域での能力開発の提供を進めることが必要であって、地域の関係機関が連携して協力していくことも重要であると述べております。
 3.「施策の方向性」です。最初のところは、このような基本的視点によって抜本強化を進めていくことが必要で、その際にはPDCAサイクルを徹底し、施策の効果検証などをきちんと行うようにということです。
 次は「また」のところですが、産業政策や教育政策との連携をこれまでも述べておりましたが、さらに非正規雇用労働者は、外部労働市場を通じて移動することが多い。地域の労働市場圏との関係が正規雇用労働者の方々より強いということで、地域関係機関で連携して取組を推進していくことが重要ということを柱書で書いております。
 (1)(?)は「初期キャリアの形成支援」です。安易な離職につきましては、その後のキャリア形成にとって悪影響を及ぼすということを若者の方々にも自覚していただきたいということで追加しております。企業も、若い労働者を使い捨てにすることのないようということで、ここは変わっておりません。
 (2)の表題は、キャリアサポートの環境の整備という形で変えております。内容については、(?)前段では、骨子にも書いているとおり、雇用志向の積極的な産業政策を書いておりますが、先ほども出てきましたが、正規雇用の働き方についても、「労働時間や勤務地などにより配慮した働き方ができるようにしていく視点も重要である。こうしたことにより二極化している正規と非正規の連続性を確保され、段階的なキャリアアップを図ることが可能となるものと考えられる」ということです。
 また、企業に対する人材育成による生産性の向上等のメリットやその社会的責任(いわゆるCRS)という言葉を付け加えております。(?)は非正規のままでも、安心して生活を送れるような収入を確保するということですが、「正規雇用の場をすぐ確保することは難しく」ということで文章の修正を行っております。最後の行、「キャリアアップを図る道も、社会全体が連携・協力して同時に用意していくことが必要である」という表記にしております。
 (?)ではキャリア・コンサルティングの在り方を書いておりますが、キャリア・コンサルタントなどの必要な人材は十分な規模を確保することが必要で、そのための積極的な育成を図っていく必要がある。企業、ハローワーク、職業訓練機関、大学等への配置や必要に応じた派遣等を行っていくことが求められる。また人材の育成に際しては、労働者の希望や能力、労働市場の動向等を踏まえて、真にキャリアアップにつながるような助言を行うことのできるコンサルティング能力を高めることが重要で、そのための能力基準も見直していく必要があると述べております。
 (3)(?)、非正規雇用労働者の方々の能力開発に当たりましては、個人による取組に対する支援を強化することが重要ですが、それと併せて選択した道に応じて、企業による積極的な取組に対する支援の強化、業界団体、公的部門等による充実した能力機会の提供も併せて重層的な対応を図っていく必要がある。その際には、人生のどの段階においても、本人が希望するときに希望する能力開発機会を提供していくよう配慮するということ。能力開発機会の存在が労働者に届くよう、各部門が連携しながら積極的な情報発信をしていくことが重要であると述べております。
 さらに、企業等が能力開発の機会を提供していく上では、将来像を分かりやすく提示し、真にキャリアアップにつながることが期待される内容のものとしていくことが重要であると述べております。
 また、追加しているのは、企業において、個人自ら能力開発を主体的に取組む時間を確保できるよう、労働時間面での配慮も重要であると述べております。
 具体的なキャリアアップの方策については、?「正規雇用への転換」のところで追加しております。ア、各企業が主体となった取組につきまして、例示として、企業に対する生産性向上等メリットの周知、好事例の普及、各企業での訓練カリキュラム作成に当たってのノウハウの提供も有効であろうと。企業の努力を積極的に支援するという意味での、企業内での人材育成を含めたキャリアアップに関する計画的な取組への包括的な助成を行っていくことが重要という形で示しております。
 他方で、転職による正規雇用はイのところで、後段以降が付け加えたところです。「一定の就業経験を有する労働者が離職した場合を想定した訓練が中心となっていた公共職業訓練について、非正規雇用労働者の特性に配慮し、正規雇用としての就職につながる能力を十分養えるようなものとなるよう必要な見直しを行っていくことが重要である」という提言をしております。
 ウは、中途採用する企業の求める能力については、「対応力」の後ろに、「共通の目的に向け、共同して働く意欲」を付け加えております。7ページ、オでは即戦力となるスキルの向上の例を挙げております。4行目の「また」以下、こういった公共訓練の充実に際してはという意味で、公共職業訓練機関や業界団体等が連携・協力して効果的な訓練カリキュラムを開発・普及させていくことに加え、民間職業訓練機関の質の向上を図り、訓練手法等のノウハウを提供する人材の育成・確保や研修の充実を図ることが考えられるということを挙げております。
 その下の段に、大学等教育機関での専門教育を挙げておりますが、ハローワークと訓練機関の連携強化により、企業現場での実習を重視した就職率の高い訓練への誘導を進めることを付け加えております。
 ?企業内でのキャリアアップ、イとして、具体的な企業内でのキャリアアップの方策、統合型雇用管理の普及を述べておりましたが、この具体策の中に、生産性の向上等のメリットの周知や、各企業での訓練カリキュラムの作成についてのノウハウの提供、企業内での人材育成を含めたキャリアアップに関する計画的な取組への包括的な助成の内容を詳しくしております。
 これらを行うことによって、非正規労働者の方々に企業の一員として活躍してもらう観点を踏まえて、キャリアアップのための能力開発を行うという形にしております。
 8ページ(4)労働者の能力が適正に評価され、相応の処遇が確保されるための環境整備については、(?)は能力開発の評価のための環境整備ということです。2行目、企業内だけでなく、企業の枠を超えても適切に評価されることが必要であるということ。「こうした環境が整備されることにより、労働者が能力開発の意義を認識し、さらに積極的に能力開発に取り組むことが期待される」を付け加えております。(?)好事例の普及等により、正規・非正規を問わず職務を重視した人事処遇制度が普及していくこと等も望まれると変えております。
 (?)、このように、労働者の方々が身に付けられた能力が評価されて、相応の処遇が確保されるようにしていくためには、企業を含めた社会全体での意識の醸成を図っていくことも重要ということを最後に付け加えております。説明は以上です。
○阿部座長 報告書案について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。
○佐藤委員 今、御説明いただいた報告書案ですが、これまでの議論をすごく踏まえたまとめになっているかと思います。構成も、「はじめに」から始まって、どういう視点から分析するかという視点の明示があり、それに基づいた施策の方向性が3番目にあり、これを特に最初のキャリアの入り口の、キャリア教育の教育政策、キャリアの支援等から始まって、それから、2番目にニーズの多様性を踏まえた複線的なキャリアアップの道筋、それを支えるキャリアサポート環境の整備ということを挟んで、企業ニーズを踏まえた効果的な能力開発、機会を社会全体で確保していくという方向性を明示してあるという点ですね。ということで、非常に構成も明解なものになっているのではないかと思います。
 その上で、いくつか確認ということです。これまでの論点ではいくつか議論された点もあるかと思うのですが、それがどの報告書の箇所に反映されているのかの確認です。
 まず1つ目は、前回の研究会では、特に山田局長が最後におっしゃったことなのですが、企業が訓練をするときのインセンティブということです。非正規の観点からすると、非常にこういうニーズがあるので、個人、企業、公共訓練全体として後押ししていかなければならないというのは、当然そういうことだと思うのですが、個別企業において、非正規に対する訓練への誘引というか、そういうものをどのように考えたらいいかという論点があったかと思うのですが、その点は、恐らく1ページの下から8行目ぐらい、「また、こうした取組は、企業の生産性の向上、ひいては、日本経済全体の持続的な発展につながるものであり、うんぬん」といった文章の中に盛り込まれているのかなと解釈するわけですが、それでよいのかどうか。
 また、もし議論をする時間があるとすると、私なりには、企業の生産性の向上というのは、能力開発をすることによってそういうことにつながっていくということは当然そうなのですが、少し具体的な一文を挟んで、補強したほうがいいかなとも思うわけです。
 例えばそれはどのようなイメージかと言いますと、こういう雇用形態の正規、非正規の如何を問わず、従業員に学習機会、訓練機会を継続的に与えていくことが、企業にとっての人材の蓄積につながり、そのことが市場での競争力基盤の強化につながっていくのだということで、ひいては日本経済全体のサステイナブルな発展という話につながっていくのかなと。
 したがいまして、私の意見としては企業の生産性向上の次に、今、申し上げたような趣旨のことを、この文章で補足して補強するというか、そういうのがあったらいいかなと思うのですが、いかがかということです。
 もう一つは、議論の中では、訓練をしても有能になった人材がよそに移ってしまう、俗に言う「逃げられる問題」というか、そういうこともあったと思います。その点についての作文への反映ということで言うと、どの箇所になるかの確認ですが、7ページの下にある?「企業の枠を超えたキャリアアップ」で、専門性を身に付けられる能力機会の確保、持ち運びできる環境の整備、ポータビリティということだと思いますが、アのところとか、イの「資格、検定制度等の整備も望まれる(スキル ポータビリティ化に向けた資格・検定制度の再構築)」というような文章の中に反映されていると理解していいのかどうか。
 以上の点が、私からの意見というか、質問というか、確認ということです。
○事務局 前半についてはもちろん1ページもそうですが、3ページ(2)の基本姿勢の中で、不本意非正規の話の次に、サポートということで、現在働いている事業での柔軟な働き方で実質的にキャリアアップするもの、専門性を身に付けながら企業の枠組みを超えてでキャリアアップを図るもの、これらについての社会全体での確保の話、あるいはその定型的……業務でも企業の……性があるかという、この辺りの話をもう少し、今、先生がおっしゃった形で、生産性の向上という形の規範があるという意味で、企業は取り組んだほうが望ましいという意味での記載なり、あるとすればこの辺りかなという感じがしています。
 2番目のポータビリティの点など、7ページ、先生の御指摘のところは、正にそういう趣旨で書かせていただいています。
○事務局 もう1点、そういった趣旨の、外部に逃げられてる、教育訓練の開始が難しいという点につきましては、3ページの(3)で、これが先ほど先生に御指摘いただいたところの趣旨になるところです。「雇用が不安定で企業を移動する可能性が高く、個々の企業での教育訓練投資の回収が難しい面があるため、個々の企業での対応には限界がある」という記載を付け加えておりまして、この辺が御趣旨の該当部分かと考えています。
○佐藤委員 それで結構だと思います。あとささいな点ですが、5ページの(?)の2段落目に、「そのためには、キャリア・コンサルタントの必要な人材を十分な規模で確保できるよう」ですが、「企業、ハローワーク、職業訓練機関、大学等への配置や必要に応じた派遣等を行っていくことが求められる」ということですが、特に中小企業などの場合には、この4主体への派遣は重要だと思いますが、加えて業界団体への派遣も見られるところでありますので、企業の次に、業界団体、ハローワーク、訓練機関と、業界団体というのも入れたらどうかなということです。
○事務局 御指摘の点が、実態として確かにあると思いますので、基本的にそういう修文の方向にしたいと思います。
○佐藤委員 よろしくお願いします。
○阿部座長 今、訓練のインセンティブのお話が出たところですが、ここは私が個人的に事務局と議論をいろいろとさせていただいて、1つは、先ほど企業の生産性の向上につながるという部分に、佐藤委員が御指摘のような文言を入れるということも大事だと思うのですが、議論をしている際に、1ページ上から5段落目「また」から始まる部分です。「非正規雇用の労働者の能力開発の主体については、個人がその取組の中心となるものであるが、能力開発後の『将来像』が見えにくいこと、金銭的な負担等もあり、個人任せでは限界がある」というところで、実は、そこに企業や社会が、人的投資をするインセンティブがあるという意味で書かせていただきました。
 これは、最近の人的資本理論でもこういうことがよく言われていまして、実際にアメリカのデータを使った分析でも、こういうようなことが観察されています。特に、今まで企業が訓練するというのが、企業関係、特殊的な訓練だけと考えていたのですが、そうではなくて、一般的な人的資源にも投資をする企業があるということです。
 それは、こういった能力開発をした結果、将来それが花開くのかどうか分からない不確実性の問題とか、あるいは金銭的な負担が可能なのかどうかといった問題で、個人だけでは十分できないということで、そういったところに訓練のインセンティブがあるというような意味で、そこにも書かせていただいたのですが、もしもう少し明確にしろということでしたら、明確にしてもいいかなと、今お話を聞いていて思いました。
 ただ、そうは言っても、個人が投資をする側面が非常に強いわけで、そういう意味で転職をせざるを得なくなったというような場合には、やはり転職リスクの削減ということで、人的資源のポータビリティの確保とか、そういうことは大切だと思います。
 一方、企業側はどうなるかということなのでしょうけれども、従業員がすぐに転職をしてしまうと、企業にとってみれば、投資訓練のコストの回収が難しくなるというのは事実なのでしょうが、そういった人たちが既に3分の1いるという現状を踏まえて考えれば、その中でもやる企業はあって、そういう訓練をやった企業は、もしかしたら一段階超えて、定着性の確保を図っていく施策をやるような企業も出てくるかもしれませんし、それは我々がここでどうのこうの言うわけではなくて、その企業の考え方次第だろうというところはあると思っています。
 だから、ここでできるところはどこまでかというと、個人が訓練できずにいるのを、どうやって解消してあげるかということではないかと思って、さらに、個人が転職するときにリスクをどうやって削減できるかということなのではないかと思って、今の御質問をお聞きしておりました。
○佐藤委員 今の御説明で大方了解いたしました。特に、逃げられるという問題については、いわば能力を高めた社員は、能力を高めたのでほかへというよりも、その会社で、さらにその人材に残ってもらうように、リテンションを目指して努力する。それが一つの基本なのだろうということかと思うのです。
○阿部座長 そこをもう一歩進めるのであれば、例えば、今、言われたように正社員への転換制度をもっと普及させることとか、そういったことも書いてもいいのかもしれませんが、能力開発から外れていくところもあるので、場合によっては、必要であれば注釈のところに落とすこともあり得るかもしれません。ほかにいかがでしょうか。
○田村委員 全体的には賛成ですが、今の意見と同じようなところで少し疑問を持っております。1ページの4段落目の「他方で、マクロの視点から見れば」というところの最後のところに、「人的資本蓄積の観点から大きな問題である」という書き方がしてあるのですが、我々の認識としては、問題というだけではなくて、大きな損失だという共通認識があるのかなと。そういう意味では、それに歯止めを掛けるという意味で、個々の企業では難しいところがあるのかなと思いますが、今、座長におっしゃっていただいたように、短時間の正社員や無期への転換というのは歯止めになると思いますので、触れていただけるならば、ここに追記していただいたらありがたいなと思います。
 もう一つは、こういういろいろな能力開発の施策があるということがちりばめられていますが、4ページの(5)の2行目の真ん中に「協力して、強力に情報発信を進めていく」という言い方と、6ページの(3)の(?)の3段落目の下から2行目には「協力しながら、積極的な情報」とあります。前のほうは「強力な」となっていまして、2つの言葉が同じ文脈の中に使われています。統一していただけるならば「積極的な」のほうがいいのではないかと思います。これがきちんと届くことが、労働者にとってはありがたいことで、文書を出したからこれで終わりということではいけないと思っていますので、是非そのような意味でお願いしたいと思います。
○阿部座長 4ページ目の(5)のほうですね、「積極的」にということです。ほかにいかがでしょうか。小野委員、どうでしょうか。
○小野委員 非常によく取りまとめられているなという印象を持ちました。先生方がおっしゃったようなことについても賛成ですし、おおむねこれでいいのではないかと思っているのですが、1点だけ気になりました。
 特に8ページの一番最後の段落に、「このように労働者が身につけた能力が評価され、相応の処遇が確保されるようにしていくためには」と書いてあるのですが、特に非正規の労働市場では、能力が上がったとしても、必ずしも、その職に就かない限りは、処遇には結び付かないというのは皆さん御存じだと思います。
 私も調査に行く度に、能力が上がったら処遇が上がりますかということを企業さんなどに聞くと、能力が上がっても処遇にはつながりませんと。能力が上がって、それにマッチした職務に就いたら、その職務にイコールの処遇が付きますということなので、能力が上がることがすぐに処遇につながるのではなく、その間には必ず職業マッチングというものが入ってくるのだと思うのです。
 だから、能力が上がって、その能力に付けるマッチングという事業そのものが、非常に重要になってくるということですし、その上のジョブ・カードであったり、職業能力評価基準というものも、恐らくは、その人が次の職に就いたりする、よりマッチングしやすくするためにある、いわゆるその人の能力を見えやすくするためのツールだと私は解釈しているのです。だから、こういうものを通じて、まずはその人に合った仕事、職務、職業というものに就いて、それが処遇とマッチするということだと思うのです。
 だから、ここの一番最後の文というのは、書き方として拙速なような印象を持ちます。仕事に就くとか、段階的に上がっていったときに、その能力に相応した仕事に就けるとか、その仕事が処遇が上がっていく1つのステップになるというイメージなのですが、伝わっていますでしょうか、その辺は皆さん、いかがかなと思いまして。
○田村委員 私が御意見を申し上げて、私の思いでこのように付けさせていただいたのは、同一価値労働同一賃金的なイメージの、企業文化を是非入れてほしいという意味で、ここの文章を付けさせてていただいたのですが、要は、評価される働きぶりに相応しい賃金を払うのだという企業文化を是非作ってほしいということが大きな趣旨で、入れさせていただいたのです。若干アプローチの仕方が違うのかなという気がしました。
○小野委員 そうですね。働きぶりだったら分かるのですが、能力ではないですよね。だから、能力というのはいろいろなものがあります。潜在的な能力もありますし、例えば職業訓練校で培った能力とか、人はいろいろと能力を持っているのですが、ある仕事に就いて、どの段階の仕事に就けるかというのと、あとは田村委員がおっしゃったように、その仕事の中で働きぶりを評価して、どの段階で処遇を出すか、それもまたいろいろあると思うのですが、私は能力ではないと思っているのです。
○阿部座長 書きづらいところがこういうところに出てきてしまっているのだと思うのですが、小野委員が言っている結果として、つまり訓練によって能力が上がって、仕事のマッチングも終わって、同じ仕事をしている非正規社員がいて、その人を同じ仕事をしている正規社員と比べて、適正に処遇されているかどうかを担保しようというのが、ここの意図ですよね。
○田村委員 最初にお送りしたのは、労働の対価を処遇に結び付けるために、そういう企業文化を醸成してほしいという趣旨を書いてもらいたいというものでした。
○阿部座長 だから、前の6ページから8ページの(4)の上のところまで、今のような話が続くわけです。つまり、キャリアアップした結果、次にはどういう仕事に就くのか、正規雇用への転換、あるいは企業内でのキャリアアップ、企業の枠を超えたキャリアアップ、そこで適切なマッチングが行われたと。そのあとの話を、ここの4番で書いている。
 ただ、おっしゃるとおり「能力が評価される」と書いてあるところで、引っ掛かるということなのだろうと思うのですが。だから、どうかな、難しいな。ただ、もうちょっと書きますか、「能力が評価され」の部分を。
○小野委員 そうですね。例えば「相応の職務に就き」とか、「能力が評価され、相応の職務に就き、処遇が確保されるように」とか、何か1つ必要かなと。特に、一番最後の文なので、目に付くということもありますので、これだけを読んだ非正規の労働者の方に、「能力は上がったのに俺の処遇は上がってないじゃないか」という誤解を与えないようにしたほうがいいかなと。我々はみんなそのようには思っていないと思うので。
○佐藤委員 今の点は、(?)の最後の文章のコンクルージョンというか、そういう感じのところで小野委員は出されているのですが、要するに作文の流れとしては、(?)は(?)(?)(?)のまとめというか、「以上のように」ということですよね。
 だから、「このように」というのは(?)(?)(?)なわけです。でも、そこのところをやり出すと、(?)の(?)も「企業の枠を超えても適切に評価され、相応の処遇が確保される環境を整備することは非常に重要である」ということは、まず言っているわけです。(?)はもっと重要なところに踏み込んでいるのだけれども、「正規・非正規を問わず職務を重視した人事処遇制度が普及していく」となるわけです。職務ベースにというところまで出していますからね。
 そうすると、そこは議論があるところかもしれないけれども、いわゆる正規と非正規との仕事が仮に同じでも、賃金、処遇で大きく異なっているという現状がある背景に踏み込んでいくと、往々にして職能ベースになっていて、正規のほうは職務ベースになっている、非正規のほうはしばしばそうなっていないという断層があるので、事例などを見ると、正規も非正規もいわゆる職務ベースにして、そして、あるのは労働時間の違いということでいうと、正に田村委員がおっしゃっているような同一業務同一賃金というような流れになっていくということを、ここではニュアンスとして、言っているのだと思うのです。
 したがって、そうしていくことが1つの方向性なので、そして(?)が「このように」となるわけです。そこで「このように」になっているのではないかという感じなわけです。
 だから、もし小野委員の話を詰めていくと、(?)の(?)の相応の処遇とか、今の正規・非正規を問わず職務を重視したというところも、少し触っていかないとならなくなるのかなという感じはします。どうするかは分かりませんが、そういう感じはしますよね。かなりそこはクリティカルというか、そういう感じはします。もちろん議論してもいいと思いますけれども。
○小野委員 (?)については、企業の枠を超えても適切に評価され、そういう環境を整備することが重要であるということなので、その環境を整備することが重要なのです。職業訓練などを受けた非正規雇用の人を雇うときには、いわゆる正規の人と同じ仕事をしていたり、職業訓練を受けたら、同じような処遇を与えましょうということなのですよね。
○阿部座長 1番の意味は、マッチングをする際に能力が適切に評価されるという意味合いで、私は取っているのです。そのために、ジョブ・カードや職業能力評価基準というものを使いましょうと。更に、それをもっと実効性のある資格制度や検定制度の整備を進めることで、能力評価がしやすくなって、適切なマッチングが行われるのだろうとなっているのではないかと、私は読んでいます。
 確かに、最後の(?)ですが、「能力が評価され、相応の処遇が確保されるようにしていくためには、企業を含め」と。ここは能力が評価されというのは、どの段階で、どういうレベルで評価するか。つまり、ここは処遇なのですが、処遇にダイレクトにいくだけではなくて、例えば仕事に就くときの評価だとか、そういうのも入るので、その結果、相応の処遇が確保されるという捉え方、ざっくりなのですが。
 でも、それではなくて、もう少し特定化して書くということですかね。
○小野委員 今、田村委員がおっしゃっている能力というのであれば、職務遂行能力ですよね。それだったら、そのように書いたほうがいいと思うのです。「能力」というのは、すごく漠然としているので、上に(?)(?)(?)とあっても、読み直しても引っ掛かる。
○阿部座長 では「職務遂行能力」にしますか。でも、何かちょっと違うのですよね。時間はたっぷりあるのですが、この細かいところで長くとどまるのもどうかと思うので。
○佐藤委員 でも、(4)の中の(?)なわけですよ。そうすると、(4)というのは、そもそも実用的な職業能力評価ツールの整備が大事だという話が立ち上がっているところですから、言うまでもなく、ここで身に付けた能力は職業能力だということなのではないかと私は思います。
 だから、作文上は、いちいち「職業能力」と書くのはあれなので、「能力」としているのではないかなという。違いますか。
○阿部座長 この位置というか、田村委員の言わんとしているところは、どこかに入れたほうがいいと思うので、ここではなくて、もしかしたら違うところに移すかもしれませんが、このあと協議しましょう。よろしいですか、皆さん。あとの修文は私に一任していただいてと。ここは難しいので置いておいて、もしかしたら戻ってくるかもしれませんが、ほかの点でいかがでしょうか。
○平田委員 繰り返しになりますが、前回の議論をよく踏まえてくださっているなと思いながら拝読しました。
 その上で、小さなことかもしれないのですが、2ページの2.「基本的な視点」の(1)の(?)のbに、「現在働いている企業で柔軟な働き方」とあるのですが、現在働いているということが特定される必要が余りないのではないかと思いまして、つまり「現在働いている」の「現在」をどう取るかだと思うのですが、企業内で柔軟な働き方、あるいはここまでいくと強すぎるかと思いますが、1つの企業で柔軟な働き方、つまり転職を繰り返すのではなく、その安定の中で、でも自由さを確保しながら働くということなので、特に「現在働いている」というのが違う意味を持ってしまうのではないかなと思いました。
 実際なのですが、これに関して5ページ目の(2)の(?)の下から3行目では同じことだと思うのですが、「企業内で柔軟な働き方を維持しながら」とあって、ここだけ「企業内」と出てくるのですが、これでもいいのではないかなと思いました。このようなところが気になったというのが1点です。
○阿部座長 そうですね。今まで見落としていたのですが、現在働いているというのは、cの「企業の枠に捕われず」というところと対比させて考えれば、企業の枠に捕われて働くわけで、そういう意味では「1つの会社」とか、「ある企業内」ででもいいかもしれません。「1つの企業で」でいいかもしれませんね。
○事務局 事務局として書かせていただいた趣旨は、平田委員が御指摘の後段のほうで、企業内でということでいうと、転職も含まれてくるかと存じますが、そういう点についてはcとの対比で、企業の枠に捕われずにと。そういう意味では、企業の枠に捕われてということになるのですが、そういった意味で、後段の趣旨で書いているものです。後ろも同じですので、その辺は文言の整理をさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部座長 それでよろしいですか。
○平田委員 はい。もう1点ございます。6ページ目の(3)の?のウの辺りで、ここは企業は正規労働者を中途採用する場合に何を見ているのかというところで、私がこだわって、下線の「共通の目的達成に向けて協同していく働く意欲など」というのは加えていただいたのですが、ここはこだわりがありまして、コミュニケーション能力、判断力、対応力というものと、協同して働く意欲というもの、細部を総称して「人間力」と括られているのですが、私自身が民間で働いていたり、採用される企業と接していて感じるのですが、これは違うのではないかと思います。
 では、どのようにと整理しますと、コミュニケーション能力、判断力、対応力というような能力と、責任感、成長指向、素直さ、協同して働く意欲の辺りで、前段は能力、後段はどちらかといえば、マインド、職業意識、働く意識というところかと思っています。今、申し上げたような言葉を書き加えていただいた上で、そのあと「共通の目的達成に向け、協同して働く意欲など、社会人としての基礎的な能力やマインド、あるいは意識」、その次は「強く求める傾向にある」。基礎的な能力を求めるのは当然なので、そこも実は強く求められているのだというのが入ると、もう少ししっりくるかな。
 あと、人間力というのはすごく幅広い感じがして、職業能力と人間力は重なるところもあるかもしれないのですが、下の「即戦力重視型訓練と人間力養成型訓練」がいいのか、この辺は御議論があると思うので、こうしたほうがいいということでもないのですが、「職業人としての基礎力」とか「職業マインド」とか、そういうことのほうが、ここにはしっくりくるのかなと。これは個人的な感覚です。人間力養成というような議論もあったと思うので、そうすべしということまではいかないのですが、印象を持ったというところです。以上です。
○阿部座長 分かりました。少し考えさせていただきます。ほかにいかがでしょうか。
○和泉委員 多方面にわたって、とてもよくまとまっていると思いながら拝読しました。ややいろいろと詰め込みすぎかなというきらいはあるものの、特に初期キャリアの形成の支援といったところで、今までは就業経験が一定程度ある人を前提としていたのが、そうでない段階の人からということであったり、正規と非正規の連続性を持たせるといった考え方が随所に盛り込まれていて、そういう意味で新しい視点の報告書が出来上がりつつあると思っています。
 細かいことは前回もお話したり、その後も御連絡申し上げたりしたので、特に私からはないのですが、1つお伺いしたいことがあります。報告書の中身というより、始まったときと大分環境も違う中、特に今、申し上げた部分でいうと、厚生労働省の中だけで済まないことも入っていて、特に4ページの学校から現場への円滑な接続、学校教育の段階で職業に対して必要とされる専門的な能力を身に付けられる機会の提供など、例えば文部科学省であるとか、ほかの省庁との連携も踏まえた内容になっていますよね。
 1ページの一番下のところに、この報告書は「必要な施策の方向性を報告書としてとりまとめ」とありますので、今後これを基に具体的な施策に落としていただきながら、発展させていただけるものと信じているのですが、環境は変わりつつあるものの、ここのところがどう扱われるのかを確認したいなというのが、私の一番の今日の関心事です。
○岡崎職業安定局長 この研究会自体、津田政務官が来てお話したような趣旨で始めました。ただ、これは民主党政権だからという観点で御議論いただいたというよりは、それぞれの専門的な立場から、今の非正規の状況を踏まえて、能力開発についてどうしていくか、政策的な方向性の提言をいただきたいという趣旨です。
 もちろん民主党政権であってもここで出たものを、さらに政府部内とか党との関係で、具体化する際には進めていかなければいけなかったということですので、これは選挙の結果は出ておりますが、私どもとしてはこういう形でまとめていただければ、どういう政権であろうと、その中でできるだけ具体化するように努めていきたいと思っています。
○和泉委員 政権がというよりも、省をまたいでいる部分もある中で、できれば横断的に、また、これはタイトルに「抜本強化」と入っているぐらいなので、確認させていただきました。
○岡崎職業安定局長 政府全体でいろいろなことに取り組まなければいけないというのは、これもまたどのような状況になってもそれはそうだと。ただ、政府部内で持ち出した中でどのような形になっていくかというのは、いろいろな環境はあると思いますが、私ども厚生労働省事務方としては、そういう趣旨で議論していただいて、まとめていただきましたので、できるだけそういう方向で政府部内でも努力するし、それぞれいろいろとありますが、そういう中でも議論していただいて、実現できるものはできるだけしていきたいということでやっていきたいと思います。
○和泉委員 文部科学省と直接共有することもあるのですか。
○岡崎職業安定局長 厚生労働省の検討会でやったので、同じ立場で共有するということではないのですが、厚生労働省として責任をもって文部科学省とも話をしていくということでやっていきたいと考えています。
○和泉委員 せっかく幅広く踏み込んでいるので、気になったのでお伺いしました。ありがとうございました。
○阿部座長 先ほどの小野委員から出た、8ページの4番目なのですが、難しいのですが、ここの内容のことを、例えば4ページの(5)の上に書き加えるというのはまずいでしょうか。「能力開発後の『将来像』の『見える化』」というところで、能力が上がり、マッチングが済み、あとは職務遂行能力で適切に評価できるようにという流れを書くというので、どうでしょうか。ちょっと違いますか。
○小野委員 そうですね、何だろうな。
○阿部座長 よく考えると、そこの辺りしか場所がないのですよね。確かに、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、ここだと職業能力なので、確かに小野委員が言っていることもあるのですよね。どうでしょうか、少し違いますか。
○小野委員 ラダーを作ったりとか、ジョブ・カードとか、職業能力評価基準を用いて、物差しを作って、それに職業別に、ある程度の地域別の賃金を貼り付けていくというのは、私も大賛成のことなのです。これはそのことを書いているのですか。そういうわけではないのですか。
○阿部座長 ここは均衡処遇で、職務遂行能力について書いたということなのでしょうね。
○小野委員 その辺がちょっと。
○阿部座長 座り位置が悪いですよね。だから、ここの部分を少し膨らませて書いて、4ページの(5)の上で、そこのタイトルは「能力開発後の『将来像』の『見える化』」というところなので、そこに書き加えて、均衡対遇、均衡処遇は大事だということ、あるいはそういうことを企業はしっかりと再認識してくださいと書く。
○小野委員 私はそこでも構いません。
○阿部座長 どうでしょうか。あとは田村委員がよければ。ほかは見当たらないのですよね。
○小野委員 付随してなのですが、(4)については、私はすごく重要なパートだと思うので、もっと書き込んでもいいかなと思うぐらいなのです。ある意味、ここが達成できれば、本当に発信力というか、今、自分の将来が見えない労働者の人がたくさんいるので、それが1つのモラトリアムというか、そういう状況になっていると思うのです。だから、ここの将来像の見える化をどうするかということは。
○阿部座長 やはり、そこの3から4ページに続いているところでどうですか。能力開発を行ったあとに、期待される処遇やキャリアパスなどの将来像を見える化していくことが必要でありというところにつなげて、均衡処遇の話を書いていく。
○小野委員 見える化というのは、評価を通じて自分が上がっていけることが見えるという。
○阿部座長 そうですね。その評価が適正になされることというのを書くと。
○小野委員 それは具体的になって分かりやすいと思います。
○阿部座長 そうしましょうかね。あとはこちらに移して、それでまた見ていただいて、ちょっと修文をさせていただければと思います。
 谷口委員がいらっしゃいましたので、今、内容的な話をしていたのですが、御意見等があればと思いますがいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ペンディングになっているところはそこだけだったので、そこは私が1度修文させていただいて、また報告書とさせていただきたいと思います。あと平田委員の2番目のところですね。人間力養成、皆さんから何か御意見はありますか。
○和泉委員 ちょっと大きすぎるというか、幅が広すぎるというか。
○平田委員 そうですね。人間力とは何かというところでもあると思うのですが。
○阿部座長 ただ、個人的な意見を言うと、上の部分でこれだけ細かく書いてあるので、もしかしたらこれで分かるかなという感じはするのですが、もう少しいい名称があれば、そうしたいのですが。
○平田委員 私もいろいろ考えたのですが、代替案が見つからなかったので、これがいいのかもしれないと思いつつもというところでした。すみません。
○阿部座長 でも、職業意識ということをおっしゃっていましたが、それは付け加えてもいいと思いましたので、皆さん、付け加えさせていただいてよろしいですか。そうさせていただきます。
 あとのペンディングになっている部分は、私のほうで引き取らせていただいて、最終的な報告書を作成したいと思いますが、よろしいですか。
○佐藤委員 ちょっといいでしょうか。
○阿部座長 どうぞ。
○佐藤委員 箇所としては、そこにならざるを得ないと思うのですが、確認ですが、(4)の「将来像の見える化」というところで立てている箇所ですね。中身は、要するにキャリアパスの将来像の見える化なのですよね。
 それと、8ページの(4)は職業能力評価ツールの整備で、あくまでもここは、職業能力の企業を超えた社会的な尺度の整備なのですよね。そういう意味で、ここは別立てになっているのかなと思うわけです。
○阿部座長 はい。
○佐藤委員 (4)の、いわゆる後者の職業能力評価ツールの整備の中の(?)の「このように」というところは、職業能力なわけですよね。それを言っているわけですよね。
○阿部座長 ところが、もともとの意図しているところは、職業能力ではないのです。それなので、混乱するので、ここから先ほどのところに移したらどうかという。
○佐藤委員 どうして、(4)のところが職業能力ではないのですか。
○小野委員 もともとは先ほど田村委員がおっしゃった、働きぶりというものの職務遂行能力の評価をして、それを処遇に結び付けていきましょうということらしいです。
○佐藤委員 そうなのですか。それが(4)に反映されているということなのですか。
○阿部座長 そうです。
○佐藤委員 それでは、ここはいかにも座りの悪いところですね。とはいえ、そうなると均衡処遇、同一労働同一賃金とラフに言うと、そういうことからいえば、キャリアパスの将来像の見える化を書いているわけですから、それとはちょっと違うのですよね。そこは結構大事なのですよね。
 つまり、何にこだわっているかというと、作文上の位置づけは検討するとして、現状で問題なのは、1つは企業を超えた職業能力が社会化されていないということがあるわけですね。企業の中で閉じているから、中で訓練をして中で収まる場合にはいいのですが、そこを超えた場合にはどうするかというのがあるわけです。これは社会的というところでフォローしましょうというのが1つあるわけです。
 もう1つは、それと重なっているけれども違うというのは、小野委員が言っている趣旨というのは、能力が高まってもペイにつながらないという問題があるということです。これは論点としては本丸的な論点で、私がこだわっているのはそういうことです。そういう意味でいうと、(4)の社会的職業能力は社会化しましょうという話ですね。訓練をしてもペイにつながらないという話は、あえて言うとどこになるかと言えば、(4)が1つそうなのかなと。要するに4ページのところですね。キャリアパスの見える化と同時に、適切に評価され、相応の処遇を確保をすることが重要であると。かなり踏み込んで、職務ベースにしましょうということまで書いているわけですから、ここは正に社会化ではなくて、訓練したけれども、ペイや採用につながらないという話ですよね。
○阿部座長 でも、佐藤さんのおっしゃるところを(?)で書くとなると、「相応の処遇」ではなくて「相応の評価」になりませんか。
○佐藤委員 言葉にこだわると、そうですね。
○阿部座長 だけれども、ここで言いたいことは処遇なのです。だから、座りが悪いということを小野委員が言っているのです。だから、処遇の問題を書くとしたら、先ほどの上のほうに持っていって、見える化したらどうか。
 どうしてそこを選んだかというと、結局、均衡処遇されていないと、その意味で労働者にとっては、正社員のレベルでもらえないわけになれば、どれぐらいの賃金がもらえるか不確実なわけです。だから、それを見える化しようということで、均衡処遇というところにつなげていったらどうかと思ったのです。
 佐藤委員の言っていることはそのとおりなのです。ただ、ここで言いたいことは処遇で、評価ではないというところです。ここは、評価は「適正に評価される」と書いて、その評価というのはジョブ・マッチングの話だとか、キャリアのコンサルの話だとか、そういうような評価です。処遇の評価は座りが悪いのですよね。
○小野委員 そうですね。
○阿部座長 だけれども、能力が評価されることを、社会全体で適正に評価していくことは大事なことなので、それはそれでいいわけですよね。
○小野委員 その話は(?)で網羅されていますよね。
○阿部座長 そうですか。
○小野委員 相応の処遇を確保すると。それと、あとジョブ・カードを職業能力評価というものを使って、それで就職した人については、それのラダーに付いている処遇というものを使いましょうという話はない。そこまでは書いていないのです。
○阿部座長 そこを拾って、(?)で適切に評価すると。
○小野委員 この文面でいったら、そういうことかなと私は解釈したのです。しかし、職務に就かなかったら、そういう処遇は与えられないのでというので言ったのですが、話を聞いたら、働きぶりだという話だったので、それでは余計に座りが悪いですねという話なのです。
○佐藤委員 でも、これは途中の経緯を抜きに考えれば、(?)はさっき言ったように、「このように」なのですよね。だから、(?)で言っていることをまとめて言っているだけの話と私は理解しているわけです。
○小野委員 そういう話になったら、同一価値労働同一賃金という、均衡処遇の田村委員がおっしゃったところは完全に抜け落ちてしまうから。
○阿部座長 両方に入れておくのがいいですね。8ページの最後のところでは均衡処遇の話は難しいので、相談させていただいて、4ページの見える化のところがいいかどうかはありますが、ここしかないような気がしますので、ここに均衡処遇の話は書き込むということで、よろしいでしょうか。事務局から御意見はありますか。特にないですか。いずれにしても、少し考えさせていただきます。
 この報告書案で、大体は委員の皆様に御賛同いただけたと思いますので、修正の箇所については最終的に私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部座長 最後に先ほど和泉委員からも御意見がございましたが、私も和泉委員とほぼ同じ意見を持っていまして、この報告書で書かれている内容が、速やかに具体化、実行できるように体制を整えていただければと思います。お金の面、人の面、実際の戦術と言いますか、やり方の面、いろいろとあると思いますが、よろしくお願いいたします。
 その中で、特に今回非正規労働者の能力開発ということで、ここには「民間企業」という言葉は1つも入っていません。今、現在公務部門で何人が非正規として働いている方がいらっしゃるか、いろいろな数字が出ていますが、かなりいらっしゃるのだろうと思います。そういうことについても、民間のお手本ということで、やはり公務部門の非正規の方々の能力開発や処遇改善などについても、政府は着手していただければと思います。この報告書は必ずしも「民間」とは書いていませんので、是非そのようにしていただければというのが、少なくとも私の願いであります。最後に、この報告書が次期政権でも活用していただけるように願っております。
 最後に政務官より一言、御挨拶をいただきたいと思います。
○梅村政務官 改めまして、今日は御出席をいただきまして、ありがとうございます。また、この度は最後の修正の部分は座長ということになりましたが、改めて、この報告書をまとめていただきましたことに、事務局を代表しまして御礼を申し上げたいと思っています。
 ちょうど私が政務官に就任をする1か月ほど前に、津田政務官からこの会での趣旨等々の御説明があったかと思います。その間、約3か月で5回という、集中的に議論をいただいたこと、その中で、非正規の方の能力を抜本的にどう開発していくかの方向性をまとめていただいたということは、大きな意義があることだと思っています。
 本来ですと、私もこの会議を毎回傍聴させていただきたかったのですが、特にこの1か月は、政治的に言えば選挙ということがありまして、なかなか参加ができませんでした。ただ、この非正規雇用の問題は、例えば今回の選挙でも、テレビ、新聞の報道でも、論点としては非常に取り上げられることが多くなりました。ところが、それに対する解決方法は、いろいろなニュースや評論家の方、あるいは政治の言葉を聞いても、成長戦略にどう取り組むかということと、分配政策をどうしていくかということに話が終始してしまっているのです。
 そこに、人の能力開発をして、それを現実にどうフィットさせていくのかという議論が、少なくとも、なかなかこれまではされてこなかった。これが非正規の問題の隔靴掻痒的なところが、私はあったのだと思っていまして、そういった意味から言えば、この大きな中身の弾を用意していただいて、方向性を決めていただけたというのが、私はこの会の一番大きな意義ではなかったかと思っています。
 今回、政権うんぬんという話もありました。大事なことは、これは先ほどもおっしゃっていただいたのですが、この報告書の中身をどのように実現に向けて、次のに弾出しをしていけるかということだと思っています。
 例えば、先ほど文部科学省との連携という話がありましたが、こういうキャリアアップをしていくことに対して、税制として、例えばどういう応援ができるのか、財源としてどういうことを公費としてお願いしなければいけないのか、様々な論点があると思うのです。そこに魂を入れないと、せっかくのこれが生きてこないわけですから、その辺りは、是非厚生労働省側も、どういう論点、どういう形の整理をしていかなければいけないのか、この部分は我々、来週からは旧政権といったら悪いのですが、そういう形にはなるのですが、最後にこちらの事務方のほうでも、しっかりと心合わせをさせていただきたいなと思っています。
 いずれにしましても、今回、人材の材という字が財源の財という言葉、ここに象徴されているかと思いますので、この部分をしっかりと強化を強力に進めていくということを、私も最後ですが、しっかりとこのことのメッセージを残して、そしてまた、これから皆さんといろいろなお知恵を拝借していかないといけない場面がありますから、是非これからもお力添えいただくことも、皆様にお願いを申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきたいと思います。本当に、お世話になりました。ありがとうございました。
○阿部座長 今の政務官のお言葉で、5回の検討会をやって、いろいろ論戦をした場面もありましたが、その甲斐があったように思われます。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
 本日の議事につきましては非公開に該当する特段の理由もありませんので、議事録は公開したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○阿部座長 それでは、そのようにさせていただきます。
 これをもちまして、第5回非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会を終了いたします。委員の皆様におかれましては、これまで検討会で積極的に御議論いただき、誠にありがとうございました。


(了)

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