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2013年2月22日 第18回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成25年2月22日(金)17:00~19:00


○場所

専用第18-20会議室(17階)


○議題

○特定行為に係る看護師の研修制度(案)について
○その他

○議事

○永井座長 ただいまから、第18回チーム医療推進会議を始めさせていただきます。御多忙のところ、委員の先生方にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、事務局から委員の出欠状況、資料の確認をお願いいたします。
○簑原医事課長補佐 まず、委員の出欠状況について御報告をさせていただきます。本日は、堺委員から30分ほど遅れるという御連絡をいただいております。全ての委員に御出席いただく予定になってございます。
 資料の御確認をさせていただきます。まず資料1「チーム医療推進会議報告書(案)」、資料2は藤川委員から御提出の資料です。参考資料1「指定研修を修了した看護師の登録方法について(案)」、参考資料2「診療の補助における特定行為(案)について(看護業務検討ワーキンググループ報告)」、参考資料3「具体的指示・包括的指示が行われてから診療の補助が行われるまでの流れについて(案)」、参考資料4「第17回チーム医療推進会議における委員の主な御意見」、参考資料5「看護師が受ける研修に関する規定について」、参考資料6「参照条文」、参考資料7「チーム医療の推進に関する検討会報告書(平成22年3月19日)」、参考資料8「看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見」(平成23年12月7日)以上です。落丁等ございましたら、事務局にお伝えいただければと思います。
○永井座長 では本日は、特定行為に係る看護師の研修制度(案)について、最初に御議論いただきます。前回申し上げましたとおり、年度内の報告書のとりまとめを行いたいと考えております。事務局に報告書の案を作成していただきましたので、本日と次回、2回にわたり御議論いただき、本推進会議としてのとりまとめをしたいと思います。よろしくお願いいたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○簑原医事課長補佐 資料1に基づき、御説明させていただきます。資料1が報告書の案で、表題が「特定行為に係る看護師の研修制度について(案)」です。読み上げさせていただきます。
 本推進会議においては、「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書(平成22年3月)を受け、平成22年5月から、チーム医療の一環として、看護師が医師又は歯科医師の包括的な指示の下、診療の補助を行う場合の仕組みのあり方について17回にわたり議論を重ねてきた。また、その仕組みの前提となる、診療の補助における特定行為の内容、研修のあり方等については、チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループにおいて、31回にわたり議論を重ねてきた。この間、平成23年12月には、看護師が現在行っている高度な知識、判断が必要とされる行為の中には、診療の補助に含まれるか否かが明確でないものが存在すること。これらの行為を実施するに当たっては、医療安全の観点から、教育を付加することが必要であることについて、本推進会議として意見が一致したところである。
 その後、本制度案の具体的内容について検討する過程において、「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書の内容やこれまでの本推進会議における意見を踏まえ、本制度を創設するに当たっての基本的考え方(別添2参照)についても整理しつつ議論を重ねた結果、本推進会議の委員の大勢は、別添1の「特定行為に係る看護師の研修制度」について、概ね妥当との意見であった。
 厚生労働省においては、本報告書を踏まえ、特定行為に係る看護師の研修制度の早期の実現に向けて、更に必要な検討、調整を進められたい。
 裏面の別添の1です。こちらは前回お示しした資料と内容とは合っておりませんが、「特定行為に係る看護師の研修制度(案)」です。こちらも読み上げさせていただきます。
 医師又は歯科医師の指示の下、診療の補助のうち、実践的な理解力・思考力及び判断力を要し、かつ高度な専門知識及び技能をもって行う必要のある行為(以下「特定行為」という。)について、保助看法によって明確化する。なお、特定行為の具体的な内容については、省令等で定める。※は飛ばさせていただきます。
 次の○です。医師又は歯科医師の指示の下、看護師が特定行為を実施する場合に、以下のような研修を受けることを制度化する。医師又は歯科医師の指示の下、プロトコール(プロトコールの対象となる患者及び病態の範囲、特定行為を実施するに際しての確認事項及び行為の内容、医師への連絡体制など厚生労働省令で定める事項が定められているもの)に基づき、特定行為を行おうとする看護師は、厚生労働大臣が指定する研修機関において、厚生労働省令で定める基準に適合する研修(以下「指定研修」という。)の受講を義務づける。指定研修の受講が義務づけられない、特定行為を行う看護師については、医療安全の観点から、保助看法上の資質の向上に係る努力義務として、特定行為の実施に係る研修を受けることを追加する。
 ○厚生労働大臣は、研修機関の指定を行う場合には、審議会の意見を聴かなければならない。
 ○特定行為に応じた研修の枠組み(教育内容、単位等)については、指定研修機関の指定基準として省令等で定める。
 ○厚生労働大臣は、指定研修を修了した看護師からの申請により、当該研修を修了した旨を看護師籍に登録するとともに、登録証を交付するという内容です。
 別添2の内容が、前回もお示しをいたしましたが、「特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって」の基本的考え方です。読み上げさせていただきます。
 診療の補助のうち、特定行為に係る研修制度の創設に当たっては、以下の考え方を基本として、その制度化が行われるべきである。
 1 医師又は歯科医師の指示の下で、診療の補助のうち、特定行為を行う看護師について研修制度を構築することは、チーム医療の推進を図り、医療安全の確保にも資するものであり、国民のニーズに適った医療提供体制を構築することにつながるものである。
 2 法制度は、医師又は歯科医師の指示を受けずに医行為又は歯科医行為を行う看護師の創設に結びつけるものではない。
 3 法制度の指定研修を修了した看護師が、他の看護師や他の医療関係職種に対して診療の補助に関する指示を行うことは不適切であり、指示を行うのはあくまで医師又は歯科医師である。
 4 法制度を導入した場合でも以下の点に変わりはない。看護師が、絶対的医行為又は絶対的歯科医行為を行うことは違法であり、看護師が医師又は歯科医師の指示なく診療の補助(応急の手当等を除く)を行うことは違法である。看護師は、医師又は歯科医師の指示の下であれば、診療の補助の範囲内において医行為又は歯科医行為を行うことは可能である。患者の病態や看護師の能力を勘案し、?医師又は歯科医師が直接対応するか、?どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は、医師又は歯科医師が行う。
 5 看護師は、本制度の導入にかかわらず、療養上の世話及び診療の補助について、その専門性の向上や資質の向上に努めるものである。以上が報告書の案です。
○永井座長 この報告書(案)につきまして、藤川委員から資料が提出されております。御説明を藤川委員からお願いいたします。
○藤川委員 日本医師会の藤川です。前回の会議において、貴職より年度内の報告書のとりまとめが示唆されたところであり、以下のとおり意見を申し述べますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。
 1 報告書の取りまとめは両論併記としてください。これまで3年にわたり議論してきたものの、なお合意に至らないということは、チーム医療推進会議のみならず、第一線の医療現場で働く医師、看護師等、当事者で意見が分かれているからであり、そのような場合には、意見が異なる部分については両論併記とすることが適切である。
 (1)法令で診療の補助を規定することには限界があり、反対である。日進月歩の医療にあって、過度の細分化・明確化は現場にとってプラスとはならない。「診療の補助」は、常設の審議会で検討するようなものではなく、現場の医師と看護師等で的確に医療安全を担保し、医行為を実施している現状を理解する必要がある。法令で定めることにより、むしろ現場で業務への萎縮等を引き起こし、チーム医療を疎害する。
 (2)難易度が高い行為については、研修をした上で実施することを努力義務とする。医師の指示を「包括的指示」と「具体的指示」に明確に区別することは困難である。同じ行為を実施するにもかかわらず、包括的指示と具体的指示とを区別し、一方は研修を義務づけ、一方は努力義務とすることは、医療安全上整合性に欠ける。医師の指示は、患者の病態・診療の補助の内容・看護師の業務経験等によって判断されるものであり、現場でのチーム医療を促進するためには「包括的指示」「具体的指示」の区別を押し付けるべきではない。そもそも難易度の高い行為は、医師の具体的な指示を受けて行うことが医療安全上望ましい。したがって、技術的あるいは判断の難易度が高い行為については、研修を受けて実施することを努力義務とするに止めるべきである。
 (3)特定行為を含む診療の補助の更なる検討が必要である。現在の案では、様々な団体から「絶対的医行為」とすべきとされた行為が、「特定行為」に限らず、一般の診療の補助の中に含まれている。医療安全のために、リスクの高い行為は排除すべきであり、看護師の過重労働や責任の増大への不安にも配慮した内容とすべきである。
 (4)研修内容について。必要な知識、技術について、研修カリキュラムのガイドライン等を策定すれば、研修の質は研修施設の自律性に任せても十分担保できる。それぞれの現場が必要とする領域や行為によって様々な内容の研修が想定される。「指定研修」と「院内研修」とを区別する必要はなく、弾力的運用とし、現場の自律性に任せるべきである。
 (5)看護師籍について。上記研修内容に鑑みても、看護師籍に登録すべき内容ではなく、研修施設が修了書を発行すれば十分である。研修を修了しても、これまで通り現場での医師による看護師の能力の勘案は必要である。
 (6)看護師の責任について。看護師が難易度の高い行為を実施することは、今まで以上に重い責任を負う可能性があり得る。
 2.今後について。(1)試行事業のあり方を再検討すべきである。一部の大学院及び医療機関において、診療看護師にNP的教育・実習が行われているが、日本には存在しない制度であり、紛らわしい内容の教育や名称の使用はさせるべきではない。試行事業対象看護師の研修が、臨床研修医の研修機会等に影響を与えることのないよう、各医療機関は十分配慮すべきである。
 (2)本来のチーム医療、多職種の協働等について、更に検討すべきである。
資料2は、以前出したものですが、最近全く顧られませんので、再度出させていただきました。この内容については日本医師会としては非常に高く評価しておりますが、これは平成元年度の厚生科学研究ですので、四半世紀を過ぎた平成25年現在としては、通知等で内容が相当変わってきていますので、この「医療行為や医療関係職種に関する法医学的研究」を、再度4月以降新年度に、この研究を新しいメンバーで取り行っていただきたいというのが、まず1つあります。
 内容を見ていただくと、2ページ目の真ん中の2番に、「医行為性」とあります。「医行為」とは、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす虞のある行為」である。昭和39年の医事課長の通知です。あるいは、「医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うことは、生理上危険ある程度に達している行為」、これは、最高裁の判決で、昭和30年に出ております。それから医行為性についてです。?医行為は、医師の「医学的判断及び技術」が必要な行為であるということで、以下に、医師法第11条、第9条、第2条、第3条、第4条と、やはりきちんと医師になるための教育と試験を受けなければ、この医行為はできないことが定義されています。
 次の3ページ目の真ん中の?「人体に危害を及ぼす虞(生理上の危険)」について、医行為又は医業類似行為を免許を所有しない者が行った場合、「人体に危害を及ぼす虞(生理上の危険)」があることが処罰の要件になる。この場合、人の健康に害を及ぼすことが具体的に認められるものであることを要せず、抽象的危険性で足りる。昭和元年の大審判の判決です。古い裁判ですが、東京高等裁では昭和42年にも、浦和地裁では昭和63年にも判決として採用されています。正常な医療を受ける機会を失わしめる虞があること(消極的弊害)も禁止の対象とすべきとの意見もあると、最高裁の判決も出ております。
 それから直接的行為(患者に対して直接行う行為)について、例として、侵襲的行為をそこに挙げています。行為そのものは必ずしも人体に危害を及ぼす虞があるとは言えないが、診療の一環として行われ、結果を利用する等により結果として人体に危険を及ぼす虞のある医行為もある。
 4ページの真ん中?の下の○「広義の医療(包括的医療)における行為」も含まれる。医師法(第19条第2項、第22項)の規定に基づく診断書や処方箋等の交付等の証明行為も医行為であることが、昭和50年医事課長通知でなされております。
 5ページの真ん中、3「医師の指示下に行われる医行為(相対的医行為)」についてです。(1)医業の他の医療関係職種への部分的解除、このことを議論されているわけで、その下の○「絶対的医行為と相対的医行為」について。医行為のうち、医師が常に自ら行わなければならないほど高度に危険な行為を絶対的医行為といい、それ以外のものを相対的医行為という。相対的医行為を医師以外の医療従事者に行わせるか否かは、医療従事者の能力を勘案した医師の判断による。
 6ページの1行目です。絶対的医行為の例としては、診断、手術、診断書・処方箋等の交付、医師の指示等が挙げられております。看護婦の、当時は看護婦と表現しておりましたが、看護婦の静脈注射については絶対的医行為とされてきたが、危険性の程度から見て、相対的医行為とすべく行政上の整理が必要で、これは平成14年に認められたところです。 次に、○医師の手足論(医事法制上の無資格者の行う医行為)について。しかし、現在では医事法制上において資格を有さない者は、医師の直接かつ個別具体的指示があった場合に、医師の補助者として人の健康に危害を及ぼす虞のない単純かつ軽易な行為をなし得るにすぎないとされている。昭和50年医事課長通知です。
 それから、○療養上の世話についても、包括的に医師の指示のもとに行われるべきという意見があり、○として、包括的指示と具体的指示については、必ず具体的指示を要する医行為もあると。具体的指示を要する医行為の中に、採血、放射線の人体への照射、眼底写真撮影、身体への血液・液体・薬剤の注入、義肢装具の手術直後の採型・適合など。
 (2)指導監督の種類と効果についてです。看護婦等医事法制上の資格を有する者が、医師の指示の下に医行為を行う場合、医師の面前での直接監督指導下に行うことの必要なものがある。これは、昭和46年です。他方、医師がその場にいることも必ずしも必要としない医行為もある。この場合は、同一室内にいるなど事故が発生した場合に、応急の処置をとり得る状態にある、あるいは適切な指示をすることが通常可能な状態にあることが必要とされているということ。
 8ページ、医師の指示を必要とする医行為例に、包括的指示と具体的指示の例が記されています。在宅医療についてもここで述べられておりまして、絶対的医行為の具体的例として、在宅医療において、現状では医師が自ら行うべき行為として、胃等のチューブの交換、静脈注射、動脈採血、医学的検査の判断等。
 こういうことで、現状とずれてきている部分がありますので、25年も経っていますので、やはりこれは1度見直して、きちんと厚労省の研究としてやって、それを根拠にいろいろな議論をしていかないと、なかなか合意が得られないかと思います。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。片田委員からも資料が出ておりますので、御説明ください。
○片田委員 島田推進官から、この会議での取りまとめ、いわゆる報告書について、異議がある場合には意見書を提出してくださいということがありましたので、報告させていただきます。
 第18回チーム医療推進会議において、厚生労働省から提案されました特定行為に係る看護師の研修制度案(以下、厚生労働省案という)に関しては、今後の方向性について、深く憂慮するのではないかと思い、ここに意見を述べますので、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 今回の厚生労働省案に基づく法制化については賛成とは言えず、さらなる検討を要望したいと思っております。研修制度の概要は、第17回で初めて提示されたものであり、ワーキンググループにおいても実質的な討議はなされていない。法制化は特定行為及び研修制度についての検討が十分にされたあとに行われるべきものと考えました。
 同じような内容にはなりますが、理由は以下のとおりで、本会議がスタートした時点と、このたびの厚生労働省案は大きく乖離し始めたと思います。チーム医療ということで専門職としてのお互いの範疇をどのように定めていくかということだったと思っておりますが、この法制化すべきとの論議が先に立ってしまい、研修制度の在り方、内容等が十分討議されていないことが1つの理由です。
 特定行為についても現在調整中という状況のままで、既に制度として発展・定着し、医療の質の向上に貢献している専門看護師並びに認定看護師との関連に関する討議が不足したまま法制化の論議に至っていると思います。
 今後への提案としては、看護協会では1990年代半ばに専門看護師、認定看護師を制度化しました。日本看護系大学協議会は専門看護師の教育過程認定並びにその教育自体を実施して、日本看護協会が能力認証を行い、専門看護師の質を保証してきたという経緯がございます。チーム医療を推進するための看護師の役割拡大についてはとても大切だと思っております。そして、既に日本学術会議から公表されている「高度実践看護師制度の確立に向けて」というグローバルスタンダードからの提言で、本当に世界を視野に置きながら、今、日本が何をしなければいけないのかということも含めて検討を続けていただきたいと思っております。以上です。
○永井座長 皆様から御意見を伺います。考え方のフレームは、今まで何度も整理していますが、もう1度御確認いただきたいと思います。これは皆様にも今まで合意を頂いているところですが、医行為に近い診療上の補助行為があるということ。いわゆるグレーゾーンと言っているものがあるということは皆さんも御確認いただいていると思います。また、そのリストが今までもワーキングを中心に上がってきています。それが現実に現場で行われているが、標準化とか普及度には問題がある。ですから、あるものは整理して医師のみに任せるということはありますが、特に藤川会員が現場の混乱を避けてほしいということで、できるだけ現状は維持したいということです。そうであれば、標準化、安全を図って教育研修が必要だろう。それを更に確固なものとするためには法制化が必要だろうという議論だったと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
 ですから、片田委員がおっしゃるように、初めと議論が違うというのではなくて、そういう現場の問題をどうするか。その中で専門職の在り方も考えるという議論の進め方であったのではないかと思います。そういうことを踏まえて、今日皆様から御意見を頂いて、できればお一人ずつ立場を明確にしていただいて、全体をどう整理するか考えたいと思います。どなたからでもどうぞ。
 まずグレーゾーンがあるのだ、それをどうするのだと。非常にばらついている。あるいは行われたり行われなかったりしている。それを全部禁止したら非常に大きな混乱が起こると。そこが議論のスタートだということではないかと思います。有賀委員、そういうことでよろしいですか。
○有賀委員 今、永井先生がおっしゃったことは基本的な背骨の部分だと思います。その背骨の部分から多少離れた意見が私はあっていいと思うのですが、背骨と全然関係のない話が出くると、せっかくの議論が議論ではなくなります。従って、そのような多少、紙面を読みますと、困惑する部分は否めないというのが私の意見です。
 今、永井先生によれば現場におけるグレーゾーンがあるというところから出発しているということですが、これはそこで行われている医療の、基本的に誰が一番のポイントかというと、患者さんなのです。ですから、その患者さんにとって何が大事なのだろう、何をやることが一番正しいのだろうということを考えるのは、現場の医療者の基本的な考え方です。
 実は、藤川先生とは霞ヶ関のこの席ではない所でも議論をいたしました。でも、藤川先生も私もそういう意味では、現場にいる患者のためにどう考えるのかというところが出発点になっていますので、多少の違いがあったとしても、今、永井先生がおっしゃった背骨の部分からは多分ずれていないのです。だから、私は厚生労働省の作られた案に関して言うと、ワーキンググループで議論をしてきて、本推進会議に上げて、議論されてきたことは背骨としては基本的に了解できると考えます。しかし、法制化の部分がどのような形をとるか、法律なので自分のジャンルからすごく離れますので、私にはイメージとしてまだよく分かりません。しかし、ここに案として書かれている特定行為に係る研修制度の在り方についてのアウトラインについては、私は基本的に是認するという考えです。
○永井座長 教育・研修が必要だということは藤川先生もよろしいですね。

○藤川委員 私がまだ議論が終わっていないと発言しているのは、29項目の中にまだ絶対的医行為が入っているということです。それに対して日本医師会としては賛同できないというのが、日本医師会で議論してきた意見です。
○永井座長 何が入っているというのですか。
○藤川委員 危険な行為です。
○永井座長 A行為。
○藤川委員 A行為にすべき行為が入っている。私が現場に聞いてみると、逆に医療安全の立場からすると、Cに下りている部分で危ない行為があるという意見も、看護界の中から出ています。やはり医療安全という立場でいかないと、便利だ、効率性だというだけで、いくら研修をしたとしても、本来医師がすべき危険な行為を研修すればいいではないかという議論は非常にあぶないことと考えます。なぜ研修医に研修させて、早く一人前の医師として安全にさせないのか。看護師を養成するよりも先に研修医を養成するために研修時間を使うべきではないかという意見が圧倒的に多いのです。医師不足対策として、そういうことをさせるというならば、なぜ研修医の研修をおろそかにして看護師のほうに力を注ぐのだという意見が、現実にあります。
○永井座長 29項目というのは、現実に今、行われている医行為ですね。
○藤川委員 それはパーセンテージが1%から100%までいろいろな医行為があります。
○永井委員 行為の内容の見直しというのは、今後もし法制化された場合には、どこで議論されるのでしょうか。
○簑原医事課長補佐 法制化された場合については、資料1の別添1「研修制度(案)」の1つ目の○の※で、最初のところも当然そうですが、特定行為に関しては、その追加・改廃については、各専門家に御参画いただく常設の審議会の場で最終的には決めていただくということを想定しています。
○永井座長 審議会で更に検討すると。
○簑原医事課長補佐 はい。
○永井座長 ここで全て決まったわけではないということですね。
○簑原医事課長補佐 最終的には審議会で決めるということです。
○永井座長 大体候補としてこういうものだろうという位置付けだということですね。
○簑原医事課長補佐 はい。
○片田委員 新しい技術あるいは今までやったことのない技術の場合は、研修が必要だというのは当然だと前回も申し上げたとおりだと思っております。背骨が見えているとおっしゃっていますが、私たちには法制化させていく部分と、研修としていわゆる特定行為から入っている部分がどのようにドッキングされていくのかということに関して、見えないのです。
 というのは、今までも社会ニーズが変化し、医療技術が発展し、もちろん看護技術も発展しているのですが、そのような状況の中で医療現場では看護師と医師、ほかの医療職の方々も協力して医療の安全に、万全を期してきたと思っています。しかし、今、出されている厚生労働省案の特定行為の部分というのがあって、グレーゾーンであると決めたとして、それをきちんと研修することに関しては、従来どおりの医政局長の通知でできるのではないかと考えます。
 そういう意味で、これを法律化する部分の、看護のいわゆる身分法である保健師・助産師・看護師法そのもの自体を変えていくことに関しても、含めて法制化ということに関しての筋道が見えないのが現状です。
○永井座長 それは、しっかりした教育をしましょうということから出てきた話だと思います。むしろ法律の山本先生もそういう御意見だったと思うのですが、なぜ法律が必要か、もう一度説明していただけますか。

山本委員 現在の保助看法は、看護師ができる行為あるいは看護師の種類を1つしか定めていないわけです。ですから、その中で通知を出して看護師のできる行為を広げることはある程度はやってきたわけですが、そのときにも看護師になるために定められた教育を前提にして、全ての看護師を想定して、そういう看護師ができる行為を相対的医行為とするという考え方になるわけです。
 ただ、今回のこの議論の出発点は、それだけでは整理がつかないだろうと。一定の教育を付加して、そういう看護師についてできる行為が考えられるのではないか。要するに、今までは1つのカテゴリーの中だけで考えてきたのを、もう一つ、特定行為、それから一定の教育を受けた看護師というカテゴリーを法律の中にはっきり定めて整理をしたらどうだろうかということだと思います。
 ですから、法制化しないとすれば、今までどおり、看護師というひとつの括りで全てを考えなければいけない。したがって確かに、ある程度その中で行為を広げるとか研修をするようにという通知を出すことはできますが、それにはおのずと限界がある。要するに、全ての看護師を想定して行為を広げる、あるいは教育を行うように求めるということにならざるを得ない。そこはどうしても法律を変えないと動かし難いというので、この議論が始まっていると思います。
○片田委員 それがゆえに、どんな教育が必要なのかということに関して、もう少し練れてからの法制化をお願いしたいということです。

山本委員 まず、この議論が最初に始まったときに話をしていたのは、ある程度特定行為が存在しないと制度化はできないということだったのです。確かに現在の段階で、まだ争いになっているものがあります。完全に全部固まっているわけではありませんが、特定行為のコアの部分はだんだん見えてきています。つまり、制度化するのに足りるぐらいの特定行為があるだろうということについては、若干の異論を除けば、おおむねの方向性は一致していると思います。
 では、特定行為を具体的にどう定めるかは、先ほど御説明がありましたように、省令とか告示で定めていくことになるでしょうし、教育の内容については、特定行為がある程度見えてこないと、それに対応する教育・研修は何かということが分からないので、そこまで細かく詰め切ることは、今の段階では難しいのではないか。具体的には教育の内容は省令とか告示のレベルで定めることであって、法律の中では「省令等で定める研修を受けた場合は」という書き方になると思います。ですから、ここでは、まず制度の大枠と制度化するのに十分なだけの特定行為があるということを確認することが大事で、特定行為をもう少し細かく次の段階で確定していく。それから教育・研修の内容もそれに見合ったものとしてどういうものが考えられるかを具体化していくという議論の順序になるのではないかと思います。
○永井座長 片田先生はそういうグレーゾーンがあるというところはよいのですか、それともそれは今の体制でできるのだから要らないというのですか。前回は要らない、今のままでできると御発言されたと思いますが、そこはどうですか。
○片田委員 グレーゾーンがあった場合、グレーゾーンだと明確にどのような行為がそれに当たるのかということが分かって、それを看護師にさせることができるという形になってきた場合は、それはもうグレーゾーンではなくなるという状況ですよね。ですから、特定行為が明確になることが大切だというのは、本当にそのとおりだろうと思います。
○永井座長 去年の9月に関係団体にアンケートを取って、先生のお名前で出てきた回答を調べさせていただいたのですが、全部C、若しくは再検討すべきということで、B1、B2は1つもないのです。その中には藤川先生がAとしている7、8つの行為が全部Cでした。全く違う立場で回答されていらっしゃるのですが、それは今でも変わらないのですか。
○片田委員 私たちは具体的な行為の部分に関しての意見ではなく、いわゆる考え方に関して意見を述べたと、私は記憶しておりますので、その部分のことに関して全部Cだったということはないと思います。
○永井座長 全部ではないのですが、藤川先生がAと言っているものがCになっているのです。
○片田委員 それはあったのかもしれません。
○永井座長 でも、それが現場の混乱を招いているのではないのですか。標準化であるとか、普及ということで、Cよいいのだと看護系の大学の先生が言って、医師のほうはAだと。しかし現実には行われている。ほかの看護系大学はB1、B2でよい、グレーゾーンとして位置付けるという答が結構あるのです。ですから、看護系の中でも随分意見が分かれていると思います。
○片田委員 意見が分かれているという現実はあるのだろうと思います。
○永井座長 先生の御意見も、藤川先生とは反対側の意見もたくさんあるのですね。
○片田委員 そうです。そのとおりです。
○永井座長 我々は現実の問題から考えていきましょうと言っています。正にそういうところに原因があって、それをきちんと位置付けて教育をして法制化もして管理していきましょうということで議論が進んできたと思います。その点についていかがですか。今までいろいろな意見があったわけですが、混乱の元は、グレーゾーンをしっかり位置付けるのか、なるべく医師の行う行為に持っていくのか、あるいはそういう制約を除いていくのかという点です。そこの議論が混乱しているし、現場も混乱しているのではないかと思うのです。だから、それをどうするかという話なのです。

島崎委員 今の話と多少関連するかもしれませんが、座長から各委員の立場と意見を明確にした上で理由を述べろという御指示ですので、意見を申し上げます。私は法制化すべきだと思います。理由は先ほど山本委員がおっしゃったこととも多少重なりますが、法律上というかグレーゾーンがあるためにというのがまず大前提ですが、医療、看護の現場で非常に混乱を起こしており、なおかつそれぞれの職に携わる人が、法制的にリーガルリスクを非常に負ってしまっている。つまり、これは診療の補助の範囲に入っているのか入っていないのかということがはっきりしないために、法律的には違法行為になっているかもしれないという意味でのリーガルリスクを負ってしまっている。そして、そのことがチーム医療を進めていく上で、むしろ躊躇させていく要因になり兼ねない状況が生まれています。これが大きな話の根本だったと思います。これを解消するためには、基本的には法律によって手当てをするよりない。その理由は先ほど山本委員がおっしゃったとおりだと思います。
 更に言うと、現状がすっきりした形になっていないために、それに対してどういう教育を行うべきか、どういう研修を行うべきかがはっきりしていない。そのことが医療上の安全性にも支障になりかねない状態をもたらしている。したがって、これを解決するためには法制的に手当てをすることが望ましいと思います。確かに細かい議論、たとえば何が特定行為なのかとか、その研修とか教育をどうすべきかについては、いろいろ議論があるのは事実だと思います。しかし、もちろん大きな枠組みと個別の議論は、全く抽象的に切り離して議論することはできませんが、一定のこういうフレームの下でどうなのか、あるいはこういう状況の下で具体的にどうすべきかといった議論はできます。つまり、枠組みの議論と個別の議論は互いに相互補完関係にあるわけです。私は、研修の枠組みについては、これまで重ねてきた議論の中で、一定のコンセンサスは得られていると思います。
○永井座長 私の理解は現状で起こっているいろいろな問題、もちろん藤川先生がおっしゃるようなお立場というのがありますが、もう1つは看護系の中に、非常に様々な立場があって、それがAなのかCなのかというぐらいに大きく分かれてしまっている。そこにそもそもの原因があって、混乱のメカニズムはどうもそこにあるのではないかという感じがするのです。だからこそ、きちんと整理しましょうという話です。そう考えればいろいろなことが見えてくるように思うのですが、いかがですか。むしろ大久保委員にお聞きしたいと思います。
○大久保委員 現状では不安を持ちながら、実際にグレーゾーンを行っている看護職がおります。その現状を見る目と、教育の立場から見るのと、こうした委員会から見るのでは考え方が少しずつ変わってくるとは思いますが、まず国民の立場から考えますと、現実に医療を受ける側から考えれば、やはり安全性を担保して、実際に行わなければいけない立場で不安を抱えて行っている看護師に対して教育を行い、そこを制度化して標準化することが一番の得策ではないかと考えます。
○藤川委員 医師であっても専門医であっても、やはり能力の差はあるのです。だから、同じ手術行為でも、医師だからすぐさせるわけではないのです。しかし、あくまでも医師であるから手術行為、絶対的医行為をしてはいいわけですから、きちんと研修をして、させるのですが、看護師がいくら研修をしてもやってはならないものがあるのです。
○永井座長 そこはきちんと決めていきます。

○藤川委員 その絶対的医行為に入り込んでいる項目ががありますということを警告しているのです。
○永井座長 それはこれからきちんと整理すると思います。
○藤川委員 まだ29項目に入っています。
○永井座長 Bがあるということが、まず議論の出発なのです。だから、Bをどうするかを、まず考えていただきたいのです。ところが、看護師の中でもBはないという人と、Bがあるという人と分かれているのです。
○藤川委員 それは保助看法の中に2つあるでしょう。療養の世話をメインでやりたいという看護師もいっぱいいるわけです。できる限り自分は療養の世話をやりたい、ナイチンゲールの精神でやりたいという人たちも圧倒的にいるわけです。その人たちの意見が看護協会では全く反映されていないのです。診療の補助のほうを主にやりたい人たちの意見ばかり出ているから偏っていますよということです。
○永井座長 ですから、いろいろな立場があってよいわけです。そういうことを志す人がしようということなのでしょう。大久保委員、そこはどうなのですか。そんなに反映されていないのですか。
○大久保委員 看護職もいろいろな場所で働いております。例えば在宅、病院、開業医と、それぞれの立場で同じ行為を行っても捉え方は違ってくると思います。ですから、そこのところを安全性が確保できて安心して患者さんに医療が提供できるように、教育を制度化するということで進めていっていただきたいと考えます。
○永井座長 ほかの委員の方々はいかがですか。
○北村委員 最初から203項目があって、それが多くの時間を割いて整理されてきたという事実は、皆さん御存じのとおりだと思っています。更にそれが検討を加えられて機能されていくということも、以前から話の前提となっております。
 研修制度の創設に当たっては、基本的な考え方が別添2にありますが、それを基準にして、さらに研修制度、認定制度については別添1でしっかりした形で法制化しよう、研修制度を作りましょうということになって、その上に立って今回の報告が出てきたと。これが制度の大枠としての形ですので、今後、検討審議会で検討されて、正式な形で煮詰まっていくことになるだろうと思いますので、こういう大枠の制度化という意味では賛成です。
○永井座長 ほかにいかがですか。
藤本委員 先ほどから国民の立場ということでいろいろ出ていますので、素人ながらお話させていただきます。まず1つには、これから先、高齢者が増えて、在宅医療のニーズが高まってくる中で、それに対応できるような医療体制を考えたときに、やはり看護師ができる行為をきちんと法制化していただくのは、極めて重要なことだと思います。これからは病院のベッドの中にいる患者さん以外の患者さんが増えるということを考えたときには絶対に必要なことだと思います。
 また、法制化をすることはで看護師を守ることにもなると思います。今は逆にグレーゾーンで、自分としてはちょっと自信がないものでも、ドクターの包括的な指示で「やっておけ」と言われて、それを拒否することができなくて不安だという看護師さんの声も私は聞いています。逆に今はそういう意味で、看護師さんが拒否をする根拠がないというか、はっきりしない、曖昧になっていることがありますから、「私は特定の研修を受けておりませんので、これに関しては包括的指示ではできません」と言う根拠としても、やはり法律があるということは看護師さんを守ることになり、また患者の安全を守ることになると思います。
 教育とか、これからまだまだ詰めていかなければならないことがありますので、それに関しては別添のところできちんと国の責任を明記するような形で、今後も行っていくことをはっきりしていただければいいのではないかと思っております。
○半田委員 この会議そのものはチーム医療推進会議で、看護業務拡大会議ではない。ここは大きなところだと思います。なぜ今チーム医療推進会議かというと、医療の質と量が変わってきている。対応する術を変えていかないと対応できないというところからチーム医療を推進しようということになってくる。ところが、今は量が変わってきていたり、質が変わってきているところに疑問を持ちながらやっている業務が多すぎるから明確にしようと。だとすれば、明確にするということはどういうことかというと、法律化するのが一番明確になると、私はシンプルに思っています。その中で安心して業務ができる体制を作ることが肝要かと思っています。
○永井座長 ただ、これまでの御議論で、余りにも堅い法律で縛ってしまうと、今よりも悪くなる可能性があるので、現場で教育ができるということは是非担保したいことだったわけです。
○太田委員 国民目線ということで、今、藤本委員から御意見がありましたが、任意団体が認定して質が担保されているものと、国家が承認したものとどちらが安心かというと、やはり国が定めたほうが安心であるというのは当たり前のことだと思います。
 片田委員の文章を読んでいて、私の国語力の問題もあるのかもしれませんが、べき論で書いてあるのですが、法制化は特定行為及び研修制度については、検討が十分なされたあとに行うべきと。その理由を読んでも、なぜ、べきなのかが私には分からないのです。片田委員にお聞きしたいのですが、法制化ありきで、特定行為や研修制度について検討しては、なぜ駄目なのかをお聞きしたいのです。
○片田委員 法制化ありきに関しての部分は、法制化するのだということが目的になっているということは、私は法制化の本質ではないだろうと思っています。研修制度は大切ですし、先ほど来、おっしゃっている現場で起こっていることに関して看護師が考えていることがばらばらだとおっしゃいますが、そうではなくて、現場の患者さんの状態がばらばらなときに、これをやって、やらなければならないと思い、それからやれるだけの研修を積んでやっている看護師と、そうではなくて、うちでは必要ないという状況は現場にはあるわけです。そういう意味で、行為から入るという教育がすごく難しくなるから、教育制度の部分をきちんとした形に乗せて、その上で必要な法制化があるのならば行っていくと、私は今までの討議があったったがゆえに思っているということなのです。これで今、出してきている行為をどこの領域で、どのようにやっていくのかに関して、研修制度と言われている部分に関して、分からないのです。その道筋が見えてきて、「あっ、これぐらいのことをやるのだったら、それはこのぐらいのレベルでやったほうがいいな」というのがあって、初めて法制化がなるのだと考えていると御理解いただけたら有り難いです。
○永井座長 これはおっしゃるように、人数とか領域を慎重にしないといけないと思います。いきなり1万人育成したら混乱するでしょう。審議会マターになるわけですか。各県何人ぐらいとか、その辺は事務局としてはどのようにお考えですか。
○簑原医事課長補佐 人数自体について審議会で決めるということにはなりませんが、どういう領域にするかとか、それに応じた研修体系をどうするかとか、枠組み自体をどうするかということは審議会で御議論いただくことにしています。
○有賀委員 太田先生からの議論に引き続いて、事務局のお返事も含めて、実は試行事業ということなので、トライアルで看護師さんが働いている場所があるわけです。
 たまたま私たちが見学に行ったのは、いわゆる国立病院の研修を受けた看護師さんが働いている現場ですが、院長先生も看護部長も1つ1つの病棟にこういう人がいつもいる。四六時中ですから、1病棟に複数のこういう方がいないとということになるのでしょうが、その院長先生は医療安全という切り口でお話をされていましたが、大変水準が上がるだろうと話されていました。
 それから、看護部長の立場で全体を統括する観点で見ても、いわゆる特定行為に関連してそれなりの勉強をされた方が全体を俯瞰するということがあると、院長先生は医療安全の切り口から話されていましたが、現場は大変良くなるだろうという話をしていましたので、そういう意味で少なくとも病院で働く人の数は多いほうがいいだろうという話になりますし、もっと言うと、病棟に四六時中ということになると、その何倍も必要だという話になるのでしょう。少なくとも当面出来上がりつつある看護師さんたちの働く様子を見ると、遠からず相当程度いたら良いなと考える次第です。ですから、現場がとにかくそのようなものを欲しているということについては間違いがないので、余り観念的な話をするよりは現場サイドで話をする。
 ちょっと話は違いますが、藤川先生も私も実は現場で働いているのです。ここで言うところの特定行為に関連して勉強していない看護師や、普通に勉強したドクターたちと一緒に仕事をしているわけで、このような人がいなくても仕事をしているという意味においては、藤川先生も私も現に仕事をしているわけですから。それはそれで成り立っているかといえば成り立っているのです。なぜかというと、成り立たないと患者さんが困るからです。もっと高みの部分で患者さんを診ていきたいと思っている人がもしいたら、ルールとしては法制化が必要なのだという話に、乗るというか、そのようなものだと考えて話を進めていくだろうと思います。
 量も質も、医療はひと昔前とは違うのです。ですから、ドクターとナースの重なりの部分でも、それはそれなりの勉強をしなければいけませんし、ドクターと診療放射線技師さんたちの間もそのとおりです。ほかの職種もみんなそうなのです。だから、相互的に乗り入れてしまうという局面があって現在の医療が展開していることから考えると、そもそも身分法は、今ここでは保助看法に特化した話になっていますが、全ての身分法が、そういう意味では一気通貫的に直さなければいけない。理論的にはそうなっていくと思います。
○永井座長 今日は看護師さんの話ですが、ほかの職種についてもいろいろ検討が必要だろうということですが、山口先生、いかがですか、この問題を含めて。

山口委員 これだけ議論を重ねて、この会では17回、看護のほうのWGでは30回を超える回を重ねて特定の医行為の議論をされてここまで煮詰めてきたわけですから、やはりグレーゾーンに対してあるシステムを作って、そのグレーゾーンの中でできるもの、できないものを分ける作業が必要です。個々の医行為については、同じ医師でもできるという人もいればできないという人がいるのは、それは当たり前のことです。それだからこそ、どこかで議論をし、これは研修を要する医行為だということを決め、研修をする体制を作っていく、やはりそのことが必要なのです。それが全国にある程度広がれば、指定研修の枠から外してもよい。そうするのは、それぞれの病院に任せてもいいということをやはり決めていく。今まで、そういうことを決めるシステムがなかったがゆえにグレー、グレーとされてきたわけです。今回大きく目指しているのは、委員会なり何か制度を作って、そういうものをやっていい、これは研修をする、それとも研修をするまでもないということを切り分けていくというシステムを作ろうとしているわけです。
 他の職種にも問題があるなかで、看護師のグレーゾーンの話だけにこれだけの回を重ねてきたのですから、なおかつ、いろいろな意見はあるでしょうけれども、基本的な骨格としてグレーのところを切り分けていく作業をやれるシステムを作っていくことは絶対に必要なことだろうと思います。最終的な認証に国が関与する形であれば、患者さんの目から見ても、より安全、任せられるという形になっていくのではないかと思います。その細かい、この行為がどうだという話はむしろ、これから、そこで決めていく話でしょうし、それに伴って研修の内容もやり方も、細かい具体例はそれから先に決めればよい。それほど難しい話ではないと思います。今、ここで議論になっているのは、そういう骨組みを作っていくかどうかというところにゴーサインを出すかどうかという話ですので、これだけ議論を重ねてあれば、当然、ゴーサインが出てしかるべきだと思っています。
○半田委員 ひょっとしたら看護師さんからお叱りを受けるかも分かりませんが。保助看法を読むと、看護業務は非常にジェネラリスト的に書かれているのです。ところが、今の医療の状況の中で、看護師の中にはある部分のスペシャリストが必要だという時代になった。それをどこまでやらせますかという論議として、私は見てきたわけです。そうすると、スペシャリストを育てるとき何が必要かというと、標準化されたことをまず覚えさせる。ここまでしかできないですよね。そこまでが統一的なところだと思うのです。その標準化されたことをきちんと身につけるところまでを教育としてきちんとやって、そこまでを認証しましょうという制度がなければおかしいと、私は思うのです。そして、これはやるべきだとも思います。スペシャライズしようとすると、幅がありますからという論議がどうしても出るのですが、それは、まず標準形を身につけてからの話であって、そこまでの話だろうということが1つと。
 もう1つ。ペーパーのほうで教えてほしいのですが、片田委員から「高度実践看護師制度の確立に向けて」ということでグローバルスタンダードからの提言というのを、私、知りませんので。この高度実践看護師というのはどういう。今、話しているようなものでは決してなくて、それを前提として論議しろと御提案されているのですが、このことを知らないので。
○片田委員 ありがとうございます。高度実践看護師に関しましては、例えば、日本の中では専門看護師が該当することになろうかと思います。有賀先生がずっとおっしゃっている、本当に高度な教育を受けたとおっしゃっている方たちは、いわゆる大学院を修了された方たちのことを指していらっしゃることが多いと思うのです。そのような形でのと、いろいろな国でも論議はあったのですが、大学院水準の方たちが複雑な状況をどう捉えて、そしてチーム医療に参画していくというようなことが筋道だろうと思うのです。その辺のところが研修制度の一言で片付けられてしまいますと、本当に複雑な、高度な実践をしていくためには体系的な教育が必要だと思います。そういう意味での、何を研修として捉えるのかといったところが分かりづらいというようなことが私たちの主張ではあります。
○永井座長 教育のあり方は非常に大きな問題だと思います。やはりそこは審議会でも、かなり大きな課題になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか、まだ御発言いいただいていない先生方。小川先生、いかがでしょうか。
○小川委員 まず1つは、このチーム医療推進会議を、18回もやって、結論も出せないでいるのでは国民に対して申し訳が立たないと思います。もういい加減にしたらいいのではないかと思います。というのはなぜかというと、チーム医療推進会議の開催要項によれば、検討の課題は「チーム医療を推進するための方策について」ということを論議することになっています。その中でまず、始めに看護業務のあり方について議論をしましょうと言うことになりました。そのWGを30回もやって、推進会議も18回やって、それで行きつ戻りつしているのでは話になりません。ですから、その辺に関しては、もうきちんと結論を出すべきだと。これは国民に対して、この委員の責任として出さざるを得ないと。
 もう1つ、さっきから議論を見ていますと、何回か前にやったものがまた蒸し返されてまた戻ってくる。それはどこに問題があるかというと、こういうことなのです。まず、総論を決めましょうと言っているわけです。ところが、各論の細かい1つひとつの項目を決定しなければ総論を決められませんと言うから、話がぐちゃぐちゃになるのですから、ここではっきりさせればいいのは、資料1の研修制度についての案がこれでよろしいのかどうかということと。それからもう1つ、各論のことに関して言えば、別添1の案のところが、これから決めなければいけないことは何で、それはどこでどういうプロセスで決めるということだけを決めておけば終わるだけの話です。ですから、そこで議論したらもういいのではないですか。
○永井座長 先生は、この案のとおりでいきましょう、少し追加は必要であるというご意見ですか。
○小川委員 ええ、私は基本的には総論賛成です。各論に関しては、これはまだ書き入れていない部分があるので、やはりもうちょっと。例えば研修の枠組みは、どこでどのような形でこれから決めるということをもう少し具体的に、別添1に書き込めばよろしいのではないかと思います。
○安部委員 この推進会議のミッションですが、別添2-1に書いてあるように、チーム医療の推進を図ること、医療安全の確保に資するものにすること、国民のニーズにかなった医療提供体制を構築すること、これに尽きるのではないかと思うわけですが、今いろいろ議論を聞いておりますと、法制化に関しても、指示を出される医師側と指示を受ける看護師側に、まだずれが多少あるのかなという感じがいたします。この報告書の中で意見が異なる点がまだあるということを少し丁寧に踏まえて、今後、それを基に議論を進めることが必要なのではないかと考えます。
○永井座長 では、法制化自身について、先生はどうお考えになりますか。
○安部委員 法制化がきちんとできるよう、また法制化がきちんとこの目的に資するように、心配な点は心配な点で法制化をする際にきちんと担保でき、改善できるよう、その心配がなくなるように、これまでの議論の中身を記載していただければと思います。
○永井座長 藤川先生がおっしゃるように、まず、その内容とか、人数とか、どういう領域で育てていくかとか、こういうことは相当慎重に議論しませんと非常に大きな混乱が起きるのではないかと私は思います。是非そういうことは書き込んでいただきたいと思うのです。また、それを誰が決めるのかというところですが、やはり関係者が相談しながら決めていくべきだと思いますけれども。
○堺委員 私は専門が脳外科ですが、例えば、脳外科だからといって全ての手術ができると思われたくないと思います。得手、不得手はあるし、全ての手術はできない。ですので、これは医師一般がそうなのです。例えば、医師だから全てできるということはないし、同じことは看護師さんにも言えると思うのです。今までの議論で言うと、診療の補助とか、そういうのは一般的に看護師なら誰でもできるという思いがあるのかもしれませんが、そんなことはないのです。そうすると、一方でグレーゾーンがあるのだったら、それは医療を受ける利用者にとって非常に不幸なことなのです。たまたま会った看護師さんあるいは付いた医師の技量によって左右されるようでは困るのです。やはり、どんどん専門分化して中身が高度になってくると、そういうところを野放しにできないので、ある程度標準化する必要があると思うのです。
 もし私が脳外科で動脈瘤が下手だったら。例えば、専門医の中でも動脈瘤の手術を何例やるとか、いろいろあるわけです。一生懸命に研修を積むわけなので、それをやって、研修を終わったからできるかというと、そんなことはないのです。実際やってみて、できるところまでやらせてみて、できるということで。例えば私どもの病院では、研修医なり医師には、その医師がどの程度の手技ができると決めているのです。そうするとそれを見ている看護師さんは、このドクターはこれを頼んでいいというのがよく分かるのです。やはり、そういう仕組みが必要なのだと思います。
 そのためには、標準化と共に教育が必要であって。突き詰めていくと、私は今回の研修制度の法制化には賛成なのですが、御意見を伺っているといろいろな意見があって、皆さんの意見が一致することはまず不可能だと思うのです。片田委員がおっしゃるように時間をかけてやると言っても、今まで30回やってきたのが、これは、60回やって皆さんの意見が一致するかというと、まず不可能なので、それは技術的に無理なのです。もしあれだったら両論併記とか、そういう形で、ある程度前に進む段階に来ているような感じがしているのです。いろいろな形、藤川先生がよくおっしゃるように、安全性に関する懸念があるということは、もちろんそうなのです。29の中にAと思う人があったりCと思う人があるので、その辺は、今後、どういう形でそれを詰めていくかとやっていただいて、取りあえず現時点でどういう形にまとめるかというのは、もうやる時期ではないかと思っております。
○宮村委員 
宮村委員 私も歯科医として、ずっと出席しています。そもそも論として、患者と家族の方にその医療を安心で安全で、できれば効率的に施してあげるということになったときに、グレーな部分があると、それを何とかしようとした場合に、その法制化は必要なわけですので、先ほどもありましたように、この総論的なものはこれでいいのだろうということでいくしかないのではないかと思います。ただ、総論が決まれば各論は要らないと言っても、例えば総論で、戦争をしましょうといったときに、各論で、核兵器を用いるという話が出た場合にはやはり問題があるわけで、そういうところもあるかもしれませんが、基本的にはこうだと思います。

 ただ、私は患者さんの立場になったときでも、それから、医師会に気を遣うという意味ではありませんが、藤川委員の出しておられる意見書は、結構、いちいちごもっともなところがあって。看護師籍をどうこうという所は私はどうかなと思いますが、両論併記にまでいかないにしても、こういった意見もあったというのは入れておくに値する意見書だと思います。
 教育のほうの片田委員のほうは、私は残念ながら専門でないから分かりませんので、ちょっと理解がしにくかったです。一般的に、また何も分からない人間から言うと、教育の専門家がある種の議論を聞いてこういう形でやるというときに、私には見えなくても専門家は本来は見えなければいけないのだと思うのだけれども、先生、見えない、見えないと言ったら専門家ではないの、と思ってしまうのです。大体見えるでしょう。
○片田委員 いや、大体見えるという部分は、幻想のような気がするのです。本当に有賀先生がおっしゃっているように、そんなに病院の1研修でできるようなことではないだろうという部分があるからその辺のところはきちんと、そこの部分の議論が前の17回のときにはまだ詰まっていませんと。もちろん、詰まっていないというよりもどのような状況なのかという、あそこに書かれていることだけで出てきているから、だからこそ、そこの部分をはっきりさせていただきたいと言っているのです。
○堺委員 病院の一研修でできないというのは非常にびっくりしました。診療の補助をやる場合、何かいろいろな行為が行われるわけですね。それを現場で研修や勉強をやらないで、例えばビデオを見てもいいのでしょうけれども、それだけで研修が済むというのは全く納得できないので。
○片田委員 ごめんなさい、それも先生、教育の背景が。いわゆる実践家を育てていくときには、もちろん病院の中に入り、もちろん実習の部分があり、現場の方たちとの総合性の中でやっていきます。それが絶対的に必要なことなのです。ですから、座学で終わらせようという部分などは決して考えていません。
○堺委員 だから、そのために看護系大学院でいろいろな高度なことを勉強されているのでしょうけれども。そうすると、今のお話ですと、今の看護系大学院の教育ではなかなか不十分だという議論になるのですかね。
○片田委員 いやいや、有賀先生がおっしゃっているように、そこでやった方たちの効果は上がっていますという状況はあるのです。ですから、私が申し上げた病院の中の研修ができないということに関しては、複雑な行為として出されている部分になってくると、もう少し深いところの背景が必要になってくるだろうと、行為のことに関して病院で研修するのは、どこの範疇までかは分かりませんが、あり得るのだろうとは思います。
○堺委員 その深いというところが理解できないのです、何が深いのか浅いのか。
○片田委員 患者の状態をいわゆる、それぞれの。本当に患者さん方というのは、それぞれ、お一人お一人違うわけですよね。ですから、その病態をきちんと分かり、そして、そこに使われている状況が分かりということですよね。
○堺委員 だからそれは、看護師の免許を持っていればそういう教育は既に受けているはずなので。
○片田委員 それだけではできない部分があるだろうとは思います。
○永井座長 そうすると先生が去年回答されたCというのはやはり無理なのではないですか、いろいろな行為がCでできると、先生はCをたくさん付けているのですけれども。
○片田委員 私は今、そこのところを。
○永井座長 いや先生、私、ここに資料があるのです。むしろそういう立場で行ってもらっては困るように思うのです。
○片田委員 先生、今、討議しているのはグレーゾーンの部分です。
○永井座長 ええ。でも、先生はCという意見を出しています。
○片田委員 特定行為のことに関してがディスカッションだと私は理解しておりますが。
○永井座長 藤川先生がAとおっしゃることが先生にはCなのですよね。
○片田委員 それは議論を尽くしたいと思います。
○藤川委員 私たちが言っているのは、医療と教育と食糧の安全保障は、規制緩和をすると品質が落ちるということが日本医師会の基本的な立場です。TPPの問題もそうですが、何でも自由化すればいいというものではないです。あくまでも医療の質を上げるための努力をするわけです。看護師さんの質を上げてることはいいけれども、看護師さんがやれるべき範囲は自ずと決まっているわけです。看護学で学んだ範囲の質を上げていくことは、我々は大賛成なのです。それ以外の本来教育を受けていなかった分野は駄目ですよと、事故になりますよということです。これは、ほかの業種も全てそうです。国家試験で認められた資格の中で必ず活動専門分野があります。10年目、5年目、3年目、1年目、診療放射線技師でも能力差があるわけです。その中でしっかり技術を高めましょうということをです。そして、チーム医療をメディカルコントロールするのがドクターということです。
○永井座長 ですから、今、議論しているのは医行為ではないのですね、診療の補助行為ですね。
○藤川委員 いや、その中に絶対的医行為が入っているから、問題なのです。
○永井座長 だから、医行為はAにしなければなりません。
○藤川委員 それは絶対的医行為の話です。○永井座長 ですから、今、ここで議論している制度的な枠組みは、診療の補助行為で、今まではAだと言ったりCだと言ったりしているところをきちんとBとしましょうと、そういう、むしろ中庸の案なのだと思うのです。
○藤川委員 いや、その中に絶対的医行為がまだ入っています。
○永井座長 細かいことは、これから審議会で議論すればよいと思うのです。しかし、AとCの間にBというものがあるということはよく認識しないといけないと思うのです、それがそもそも今、抱えている問題であるし、そういう立場があるからグレーも生まれてきてしまうのです。
○藤川委員 もちろん。Cの行為でも、看護師さんの中でもきちんと全部できる人とできない人がいるわけです。ですから、堺先生が言われたように、看護学をしっかり学んで卒後研修でずっとやっていけばCの範囲が完璧にできるようになってくる。もしそこにグレーゾーンがあったら、現場で能力勘案をして、危なければ、医師がやればいいわけです。どうしてそこであえてタスクシフトさせて看護師にさせる必要があるかというのが医療界の医師側の意見です。
○藤本委員 もともと、看護師さんに具体的指示でやってもらうのか包括的指示でやってもらうのかは現場のドクターが決めるということになっていますから、今、藤川先生がおっしゃったようなことはそこでクリアできるのかなというのが医療を受ける側の感想です。
 また、様の御意見の中に、ここはまだ詰めていないとか、ここが不安だから反対だという御意見がありましたが、逆に言えば、そこさえクリアできれば賛成というように受け止めてよろしいのでしょうか。その辺を反対されている先生方にお伺いしたいのですけれども。
○片田委員 法制化が必要なような状況がそこで見えてきたら、法制化はあるだろうとは思っています。ただ、今の段階ではそれが見えないです。
○山本委員 法制化の必要についてですが、特定行為が何にもないということになれば、法制化の必要はないわけですね。要するに、Bというものは存在しないということであれば必要はない。しかし、Bというものが、かなり主要なもので幾つか存在するということであれば、それは法制化しないと、その実現ができないということなのです。要するに、Bという行為は存在しないという御認識なのですか。
○藤川委員 はい。
○永井座長 藤川委員はAとBとCを書き分けておられますが、片田委員のご意見は分かりにくい
○藤川委員 日本医師会はAとCで、Cの中に温度差はあると思っています。
○永井座長 でもBもありますね。
○藤川委員 しかし、医師が本来すべき行為はきちんと境界を示さないといけません。それに現場の医師から反対が来ているということです。患者の生命(人体)に危害を起こす危険性のある医行為を看護師が行うことは医師法の違法性を阻却できないということです。
○永井座長 Cがたくさんあれば、それこそ、きちんと研修を受けないと非常に危ないのではないですか。
○藤川委員 いや、そこで能力勘案をしますから、できない看護師にはさせないし、患者の状態が悪いときにはさせないわけです。それは、今、現場できちんとやっているから医療事故が現実に起こっていないわけです。今起こっている医療事故は、ほとんどケアレスミスの業務上過失ですよね。そういうことは起こっているけれども、本来やらせたらいけないようなところまでやって事故が起こったというのはないのです。
○永井座長 ですから、そこをいかに教育して標準化しましょうかという議論だと思うのです。
○藤川委員 看護師にたとえ研修させても、絶対的医行為をさせることはだめですよということを日本医師会は主張しているわけです。
○永井座長 でも、先生は、今まで行われていることが影響のないように、とにかく今までと違いなく、支障なくやってほしいという御意見だったと思います。それで今まで皆さんは議論してきたわけです。それをしっかりとオープンにして、教育カリキュラムを組んで、また品質の保障もしてやっていこうとことでした。むしろそれをきちんとした標準化のステップにしていくという議論だったように思うのです。どなたか、御意見はございますか、皆さん、大体御意見は頂けたと思うのですが。まだもう1回あります。ですから、その間にいろいろ御意見をいただきたいと思います。
○大久保委員 日本看護協会としての意見を述べさせていただきたいと思います。現在取りまとめられております案は、骨格等は理解しておりますが、検討会で、関係者間、このように様々な議論を経て得られたものであり、本会としては賛同いたします。是非とも法制化を進めていただきたいと考えております。日本看護協会としましては、国民のための医療の推進という観点に立って本制度を一歩でも前へ進めることがやはり国民の要請であると考えております。そもそも、この検討は国民が安全で良質な医療を受けることができるためにはチーム医療の推進とそのための各医療スタッフの専門性の向上、役割の拡大が必要だということで始まっております。刻一刻と高齢化が進行しておりますので、その必要性は正に深まっていると認識しております。
 また、私ども日本看護協会は、67万人の会員を有しております看護職を代表する組織です。看護として、今後、高齢化、社会の重要な局面を迎える中で、病院、在宅、看護など、様々な現場からのニーズに応えて貢献したいと考えます。そのためには、やはりこの取りまとめをもって早急に法制化を進めていただきたいと切望するところです。
 なお、この制度の創設に当たりましては、安全性の確保、質の保障が最も重要であるため、研修内容や安全体制の詳細については、やはり今後も引き続き議論すべきだと考えております。看護師が国民の期待に一層応えられるよう、日本看護協会といたしまして、関係者とともに、この制度の普及、促進に向けて全力で取り組んでいくという考えです。
○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○○山本委員 少しだけ申し上げます、私自身がどう考えるかを余り申し上げていなかったと思うものですから。先ほど永井座長が言われましたように、私もある意味で、これだけ意見が分かれるということ自体が、やはりBというものを設定してグレーゾーンを整理しないといけないことの最大の証拠になっているような気がいたしました。では、これまで議論をしてきて具体的に何も進んでこなかったかと申しますと、私もワーキンググループにずっと出ており、それから、一度は実際、試行事業の現場にも行きましたので、長いこと、随分やってきたなという感じはあるのですが、参考資料2-1が今日配られておりますが、これはさっと書いてあって何でもないように見えるのですが、ここに至るまでに結構いろいろ議論しているのです。要するに、患者さんの病態を一定の幅で確認することが非常に重要であって、それを行うにはやはり一定の教育が必要である、それに沿って教育課程を考えたらどうだろうかというように、これは随分時間をかけて議論してきたと思うのです。これ以上のことは、私、専門でないから分かりませんが、そこまで道筋がはっきりしたということであれば、あとはそれを具体的にどうするかということを考える段になっているのではないかという気がいたします。

島崎委員 希望ということで申し上げたいのですが。この検討会は事柄の性格上、何か多数決でどちらかにすべきだというものではないというのは十分承知しております。ただ、一方でここまで、18回ですか、それから、WGでも三十数回にわたって議論してきた経緯があります。したがって、例えば議事録みたいに、こういう意見もありました、こういう意見もありましたという、そういう形の両論併記の仕方は私は避けるべきだと思います。つまり、本検討会の議論はおおよそこういうことだったけれどもこういう懸念があったというように整理をすべきだと私は思います。
 もう1つは、手続論に関してです。そもそも、実態がどうなっているかということについては現場からも相当ヒアリングをしましたし、それから、実際の試行事業などを積み重ねてきてやっているわけです。私は、率直に申し上げて、これまでの進め方が粗雑だとは思っていません。それから、その中で包括的な指示ということの中身をもう少し具体的なプロセスに落とすとそれがどういうことになるのかというようなことも議論をし、それなりに緻密な議論を重ねてきたと思います。したがって、その手続論的な面で不十分であったなどあれこれ言われることについては、一委員として釈然としないものがございます。
○永井座長 今日はこの辺までにして、次回までにいろいろとお考えを事務局にお寄せいただき、どういう形でまとめ案が出来るか、私と事務局で少し相談したいと思います。
○宮村委員 座長、質問があるのですが。余り関係ないことを質問するなと言われそうですが、今、山本先生が資料2などとおっしゃって、藤川先生の意見書などにもあるのですが。私が前々から変だと思っていたのは、藤川先生の所でも、「難易度が高い行為については」とか「技術や判断の難易度が高い行為」とか、資料2-1でも、「難易度が認められない」とあります。私は、日本語だとすると、難易度というのは易しいのと難しいのだから、どっちかなと思ってしまうのです。普通、日本語だと難度が高いとか。どっちだろうと思うから、これは本当に。山本先生、これは日本語としては。時間があったら聞きたいと思っていたのだけれども。
○永井座長 また言葉の使い方を少し検討いただきたいと思います。では最後に太田委員、どうぞ。
○太田委員 今日の議論の本質とはちょっと違うのですが、確認しておきたいということで御質問させていただきます。
 ここにはナース、看護職は2名しか参加していないですね。それで、大学院教育の私たちのイメージというと、大学院を出たからといって臨床力とは余り関係ないですよね、関係ないと言うとちょっと失礼ですが。私なども卒業できずに5年も行っていましたし、だからといって臨床に強いかというと、そういうわけでもないのですが。看護教育における大学院は、大学院を出ると知識が深くて臨床力があるというのが前提なのですか。
○片田委員 それは、いわゆる私たちが行っている実践に活かした形での教育を受けた人たちは実践力があります。
○永井座長 これからも、専門職大学院とか、いろいろな大学院の形があるはずです。ですから、別に基礎的な研究だけをするわけではないと思います
○太田委員 そうすると、大学院教育にすごくこだわられているような気がするのですが、大学院を出ることがいかにも看護の実践能力が高いこととイコールでお話になっているように受け止められるのですが、それはいいかということを聞きたいのです、片田委員。
○片田委員 大学院にも研究指向の高い部分の人たちはいます。ただ、大学院を出た場合にやはりそれなりの知識と技術を持って出ますので、いわゆる見方が深まるということは、当然のことだとは思います。ただ、先生、まだです。
○太田委員 だけど、臨床に関する知識だって幾らでもあるのですよね。
○片田委員 それはそうです。だけど、医師の先生たちだってそうではないですか。
○太田委員 だから聞いているのです。私は、大学院を出たからといって、それが臨床力が高い証にはならないということを言っているのです。
○片田委員 いえいえ、ですけれども、教育がそのようにされることによってそれを深めているというのが実際なので、専門看護師が今までやってきたことに関してというのは、きちんと先ほどのカリキュラムがいわゆる実践教育という部分に特化した形の人たちだから、当然、その実力を持って出てきているというのが根幹です。
○太田委員 あえて申しますが、現場に長いほうが力はあると私は思います。
○永井座長 最後に有賀委員。
○有賀委員 これは私たちのWGの中でも時々議論したことなので、ここでも確認しておきます。片田委員の書かれた一番下のグローバルスタンダードからの提言による高度実践看護師の制度は、多分、いわゆるナースプラクティショナーを言っているようです。ナースプラクティショナーとしての仕事ぶりを議論するために私たちが議論してきたわけではありません。
 ナースプラクティショナーの方たちが頑張って勉強している場面に無理矢理連れていかれたことがあります。それはそれで熱心な方たちなのでよろしいのですが、普通のナーシングスタッフの方たちは、婦長クラスと言っていいのでしょうか、基本的にやはり医師の指示の下で自分たちが活躍するというようなことについて、そういう意味では私たちは安心しているのですと言っています。藤川先生が再三再四言われていますが、そのようなことをきちんとわきまえているナーシングスタッフは、そういう意味ではドクターと良い連携をとることができますし、多分そういう意味では、ほかのスタッフともうまくやることができて、それでもって患者さんたちにもきちんとしたことが多分できるのだろうと、私は思っています。
 ナースプラクティショナーという話がポーンと出てくると、やはり少しディメンションの違う議論になってしまいますので、この部分は少し違うのではないかというのが私の意見です。
○片田委員 高度実践看護師という部分に関しては、もちろんユニバーサルスタンダードの部分でのナースプラクティショナーという領域はあります。ただ、私たちが今、現実的に日本の制度の中で行っている高度実践看護は専門看護師たちです。ですから、そこの域を超えている部分のディスカッションで私は出しているつもりはありません。
○永井座長 では最後に。
○藤川委員 今言われた片田先生の意見と看護協会、日赤、医労連など、私はいろいろ意見調整を聞くのですが、今、解決されていないのは、看護協会が認定している専門看護師や認定看護師が、もう30幾つ出来ています。こういった看護の高度実践の能力を高めていくことを、チーム医療の中でなぜ有効的に利用できないか。それは、チーム医療の総括のところではきちんと例に挙がっています。活躍しているというところで。だからそれで十分ではないかと私は思っているのです。看護師の業務の範囲内で質を上げていくことはできるはずです。看護師さんが医師の指示の下で医療安全を担保できる範囲で勉強してもらうのはいいけれども、医行為にまで、危険な行為までしていただかなくていいですよと、私は純粋に国民のために言っているなのです。それが理解していただけないのが、この委員会の不思議なところだなと思っています。
○永井座長 ちょっと頭を冷やしている時間が必要ですね。いろいろメッセージがあれば事務局にお寄せください。大体、時間になりましたので、今日はこの辺までにしたいと思います。では、事務局から連絡事項をお願いします。
○田原医事課長 次回の予定につきましては、また追って御連絡させていただきます。どうもありがとうございました。
○永井座長 それでは、今日はありがとうございました。


(了)

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