ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会> 第9回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会




2013年4月3日 第9回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会

○日時

平成25年4月3日(水) 18:30~20:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1)検証項目「2.日本におけるB型肝炎ウイルスの感染及び感染被害拡大の実態」の(1)の感染者の肉体的・精神的及び経済的負担並びに社会的差別偏見に関する実態のアンケート調査結果(最終報告)について
(2)検証項目「1.予防接種等の実態」の(4)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の都道府県・市町村ヒアリング調査結果(中間報告)について
(3)検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見及びそれに対する関係機関等の認識について」の(1)から(3)及び検証項目4の(1)の有識者ヒアリング調査結果(最終報告)について
(4)具体的な論点(たたき台案)について

○議事

○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第9回「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。
 事務局より本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。
 小林構成員、花井構成員、丸井構成員から御欠席の御連絡をいただいております。また、?橋構成員から、少し遅れるという旨の御連絡をいただいております。
 撮影についてはこれまでとさせていただきます。
 ここからは永井座長に議事の進行をお願いいたします。
○永井座長 では、本日は前回に引き続きまして研究班の調査結果を御報告いただいて、皆様に検証いただきます。
 研究班の調査結果がそろい始めましたので、事務局には論点を整理していただいております。本日は、その論点をもとに具体的な再発防止策の検討に向けて議論を行っていただきたいと思います。
 本日の議題は、配付している議事次第で御確認ください。
 では、事務局より資料等の確認をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まずお手元にお配りしておりますが、議事次第、構成員名簿、座席表、資料一覧。
 そのほか資料1「検証項目ごとの調査手法及び内容」。
 資料2、被害実態アンケート調査報告書。
 資料3「自治体ヒアリング調査の結果概要(最終報告)」。
 資料4「有識者ヒアリング調査の結果概要」。
 資料5、論点のたたき台案。
 野口構成員提出資料としての御意見書。
 山本構成員提出資料としての御意見書を用意させていただいております。
 また、資料2のアンケート調査結果に関連いたしまして、被害実態アンケート調査の自由記載欄の回答につきまして、構成員の皆様に机上にてお配りさせていただいております。自由記載欄の回答については、今後、研究班の最終的なまとめの一部として整理させていただくことになりますけれども、本検討会への期待等、非常に多くの御回答をいただいておりますので、構成員の皆様には可能な限りごらんいただければと思いまして、非常に大部ではございますけれども、机上のほうに配付させていただいております。大きいクリップでとめさせていただいているものでございます。
 なお、前回までの会議の資料をつづりましたファイルを各構成員の席にお配りさせていただいております。不足や落丁等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
 以上でございます。
○永井座長 では、議題に入ります。
 最初は、感染者の肉体的・精神的及び経済的負担並びに社会的差別偏見に関する実態のアンケート調査結果報告(最終報告)につきまして、研究班から御報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○多田羅構成員 報告させていただきます。
 肉体的・精神的及び経済的負担並びに社会的差別偏見に関する実態のアンケート調査は、昨年12月の第6回検討会で調査票等を御了承いただき、平成25年1月28日~2月15日にかけて実施いたしました。その結果が取りまとまり、被害の実態が明らかとなっておりますので、報告させていただきます。詳細につきましては、事務局から御報告いたします。
 それでは、お願いします。
○研究班事務局 それでは、お手元の資料2をごらんください。被害実態アンケート調査報告書(案)でございます。
 調査項目は非常に多うございますが、時間の制約もございますので要点のみかいつまんで御報告をさせていただきます。
 まず、表紙、目次をめくっていただきまして1ページ目「1.調査の概要」でございます。
 調査の対象としましては、全国のB型肝炎訴訟において平成24年12月20日までに和解が成立した方、被害者御本人及びその御遺族を対象として、質問紙の調査を行ったものでございます。
 調査期間は平成25年1月28日~2月15日でございます。
 その下「1.2 回収状況」でございますが、御本人の調査票については回収率88.3%、ご遺族のほうにつきましては88.0%と非常に高い回収率、多くの方に御協力をいただいたものでございます。
 2ページ目からが調査の結果でございます。
 基本的な情報のところは少し割愛させていただきまして、5ページ目「(5)和解手続で認定されB型肝炎の病態」という項目でございます。一番多かったのが慢性肝炎52.2%、肝がん18.9%、無症候性キャリア16.5%となっております。
 少し飛びますが、10ページ目「(1)現在のB型肝炎の病態」という項目でございます。こちらも先ほどとほぼ同じ傾向にございますが、慢性肝炎53.9%、無症候性キャリア17.4%、肝がん13.6%などとなっております。
 11ページ目「(3)B型肝炎ウイルスに感染していることが判明した検査」という項目でございます。「医療機関を受診した際の検査」36.9%で最も多く、次いで「職場での定期健康診断や人間ドックの検査」24.0%、「献血時の検査」22.4%などとなっております。
 12ページ「(5)B型肝炎に関してこれまでに病院や診療所で受けた治療」という項目でございます。「核酸アナログ製剤」57.7%、「強力ミノファーゲン」31.6%、「インターフェロン」30.8%などとなってございます。
 13ページ、治療での副作用という項目でございます。これまでに受けた治療で副作用があると回答された方は43.8%、出たことがないという回答が50.7%という回答でございました。具体的な副作用の内容については、発熱、高熱、頭痛、鬱病などといった回答が見られております。
 14ページ、核酸アナログ製剤の投与を受けているかという質問ですが、「受けている」が66.9%、「受けていない」が31.4%という回答でございました。
 15ページ、核酸アナログ製剤の投与を受け手いない理由としては、現状では内服する必要がないからという回答が61.1%と最も多く見られておりました。その下に少し症状別のクロス集計の結果も載せてございます。
 少し飛びますが、32ページは医療費に係る自己負担の状況ということでございまして、まず国の医療費助成制度の利用の有無についてお伺いをしております。国の医療費助成制度を利用しているという方が51.4%、利用していないという方が47.1%で約半々の分布となっておりました。その下に症状別のクロス集計の結果を載せております。
 34ページ、利用したことがない方にその理由をお伺いした項目でございます。「利用していない」と回答した方にその理由について尋ねたところ、最も多かったのは「制度を知らないから」ということで33.7%でございました。その次が「制度の対象外だから」32.3%などという結果でございました。
 36ページ「(7)過去1年間に病気やけが、予防で自己負担した費用」ということで、医療費についてお伺いするものでございます。最も多かった価格帯が「10~20万円未満」24.6%、「5~10万円未満」17.7%という回答でございました。
 また、グラフとしては38ページになりますが、医療費のうちB型肝炎に関連する病気やけがで自己負担した費用については「5~10万未満」が23.3%で最も多く、次いで「10~20万円未満」が20.8%となっておりました。
 各グラフの下に集計表を載せておりまして、その中に平均値ですとか中央値について載せております。医療費全体については、1年間の額ですけれども、17万、そのうちB型肝炎に関連するものとしては11万2,000円という平均値になっています。
 また少し飛びますが、45ページからが仕事に関する状況についてお伺いするものでございます。11月における仕事の状況についてお伺いしたものでございます。「主に仕事をしている」という回答が51.4%と最も多く占めておりました。その次が「仕事なし(その他)」16.9%、「家事(専業)」16.2%という結果になっております。
 仕事に関しては51ページ「(7)B型肝炎の発症(または感染判明)による仕事や部署が変わったことがあるか」という設問でございます。「変わったことはない」という方が44.1%と最も多くありましたが、「仕事を辞めた」という方が12.4%、「部署が変わった」という方も6.9%見られております。
 52ページが変わった時期、その下(9)が収入の変化について聞いております。時期については「2000~2009年」が最も多く、次いで90年代が28.4%という結果になっております。
 収入の変化については、変化はないという方が14.9%、収入が減少したと思うという方が69.2%でございます。そのおよその減少額については「100~300万未満」という回答が39.0%、「50~100万円未満」「300~500万円未満」という方がそれぞれ15%という結果でございました。
 54ページ「2.6 世帯の所得状況」という設問ですが、平成23年の年間所得総額について、「500~1000万円未満」が23.0%と最も多く「100~300万円未満」19.0%、「300~500万円未満」18.7%という結果になっております。この分布の中央値は400万で、国民生活基礎調査にも類似の項目がございますので比較のために載せておりますが、国民生活基礎調査23年における年間所得については427万円という結果になっております。
 57ページ、B型肝炎ウイルスに感染したことが判明してからの生活についてという項目でございます。日常生活に影響があるかという設問については「ある」が42%、「ない」が56.2%という結果でございました。
 どのような影響かという設問が58ページでございます。仕事・家事・学業などへの影響、時間や作業などが制限される、運動スポーツを含むというような項目が多く挙げられております。
 64ページ、B型肝炎に関する悩みやストレスの程度という項目でございます。これは縦に項目が並んでおりますが、黒いところが多いものを挙げますと、病気が発症・進行することという項目が「大変感じている」が63.5%、非常に多く挙げられております。その次に多かったのが一番下「周囲の人に感染させないか」という項目などになっております。
 その後ろ、65ページには具体的な自由記入欄の回答を抜粋、整理したものでございます。時間の関係で全ては触れられませんので、後ほどごらんいただければと思います。
 80ページ、B型肝炎に関する知識・情報の入手あるいは悩みの相談相手・機関という項目でございます。ここの項目は調査票上、医学的な知識・情報、医学的な悩みの設問、経済的な面の設問、生活全般についての設問という3つ並べて聞いているところでございます。
 まず80ページは医学的な面についてですが、現在、情報を入手したり相談したりする相手としては、医療機関が最も多く76.9%という結果でございます。
 82ページの上の図2-107でございますが、経済的な面での情報の入手先、相談先としては家族が53.3%と最も高く挙げられております。
 83ページの図2-111、生活先般についても家族が最も多く52.8%ということでございました。
 さらに84ページ以降で、今後、充実を期待する機関や相手ということで、同じように医学的な面、経済的な面、生活全般について聞いているところでございます。
 85ページの上の図2-115が医学的な面での今後充実を期待する機関ということで、これは医療機関87.2%、現状と同じ項目が挙がっております。
 その後、経済的な面につきましては86ページの上の図2-119でございますが、国、保健所、市町村保健センター、福祉事務所等の行政機関というのが62.9%と最も高く挙げられておりました。
 また88ページ、生活全般については、やはり行政機関56.4%、ほぼ同じぐらいの割合で医療機関53.2%という回答が挙げられています。
 116ページ、再発防止のために必要なことということで、自由回答で挙げていただいておりますが、これを少し整理、抜粋したものでございます。整理した項目だけ説明させていただきますと、1つ目の○で医学的知見の入手と活用ですとか、医療従事者教育、患者に対する教育、情報提供・広報、117ページの真ん中あたり、人命や安全を尊重する真摯な姿勢、肝炎ウイルス検査の充実、ワクチン、医療費への助成、関係機関間のコミュニケーション、予防接種制度に関すること、治療法・治療薬の開発などについて挙げられておりました。詳しく触れております時間がないものですから、後ほどごらんいただければと思います。
 123ページからが母子感染についてということで、母子感染させた側の母親の方にお伺いしている設問でございます。
 124ページ「(2)母子感染が判明してからの子どもに対する気持ちの変化」ということで、「変わった」という方が79.5%という結果でございました。
 126ページからが今度は子の方にお伺いしたものでございます。「(2)母子感染が伝えられた後、あなたの母親に対する気持ちの変化」ということでございますが、「変わった方」が12.0%、「変わらない」という方が78.7%という結果でございました。
 127ページ、同居している家族がいらっしゃる方についてお伺いした設問です。「(1)同居している家族に対してワクチン投与を勧めたことがあるか」ということについては、「勧めたことがある」が26.4%、「勧めたことがない」が49.4%という結果になっておりました。
 勧めた理由としては128ページの上側ですが、「医師から勧められたから」という回答が最も多く挙げられておりました。一方、勧めない理由としては、「ワクチンがあることを知らなかったから」「医師から勧められないから」「感染の確率が低いと思うから」といったような項目が挙げられておりました。
 130ページ以降、被害者の御遺族に対する調査結果でございますが、傾向としては御本人と同じような傾向でございます。また、サンプル数が103件と少ないためにクロス集計などを特段行っておりません。こちらはまた適宜ごらんいただければと思います。説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 では、ただいまの御報告につきまして、御質問・御意見、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○梁井構成員 B型肝炎訴訟原告団の梁井です。
 大変な量をありがとうございました。この中で、肝炎患者ということでひとくくりにされてあるものですから、病態ごとで随分状況も変わってきていると思うのです。ですから、国民生活基礎調査、あそこの比較のときにも病態ごとで随分またそれも変わってくると思うので、できましたら病態ごとに集計をやっていただきたい。特にがん患者との比較もございますけれども、これはぜひ肝がん患者とがん患者の比較という形でやっていただきたい。
 比較対象がいろいろ先ほどの病態も一緒にしてありますし、そのほかの地域別でもいろんな地域がございますし、年齢も肝炎患者ということで若い10代からかなり年をとった方までいらっしゃいます。そこと国民生活基礎調査というのはまた20歳から上ということで、その辺の差もありますので、ここは注意書きというか特記というあたりをぜひ書いていただきたいと思います。そうしないとこの結果が偏った見方をされるというのはまた困るものですので、そこもお願いしたいと思います。
 55ページですが、ここの中で最初は所得というか結構裕福な方が多いなと思いながらこの数字を見ていたのですけれども、図2-91、本調査で19.2%というのがあるのですが、これは支出が50万以上です。ここが上の段の50万以上が6.3%、ここからすると割合からしたら図2-91の19.2%というのは数字がおかしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○永井座長 では、よろしくお願いします。
○研究班事務局 ここのグラフの読み方ですが、上のグラフは、グラフを見ていただくとわかるように、無回答を含めた集計になってございます。一方、下の図2-91のグラフは国民生活基礎調査のほうが無回答の回答がなかったものですから、無回答を除外した集計をしておりまして、小さくて恐縮ですが、下の※印のところに無回答を除いた割合で集計しているということを注意書きで書かせていただいております。
○永井座長 先ほどの病態ごとに整理するということはいかがですか。
○研究班事務局 いただいた御指摘を踏まえまして、再度検討させていただきたいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。
○梁井構成員 先ほどの図2-91にまた戻りますけれども、例えば図2-90の50万以上が6.3%、30~50万が19.2%としますと、大まかに見てもこれで3分の1というような数字になりますね。これが下の図2-91になりますと22.7%、50万以上が19.2%ということで、とてもこれが3分の1の数字にはなっていないということでおかしいのではないかと思います。違いますでしょうか。
○研究班事務局 済みません、確認して後ほど御連絡させていただきます。
○梁井構成員 よろしくお願いいたします。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○田中構成員 全国B型肝炎訴訟原告団の田中です。
 本当に詳細なるアンケートの調査報告、ありがとうございます。今回のアンケートで、この報告書、まだ案なのですが、やはり全体的なまとめというのをぜひ入れていただきたい。というのは、今回のB型肝炎ウイルスの感染被害というのは、戦後最大の感染の被害である。もちろん、御遺族のアンケートもそうですけれども、亡くなられた方がたくさんいらっしゃるし、何とはともあれウイルスが無くなりにくい、無くなる方もいらっしゃいますけれども、もう死への恐怖、不安というのは非常に高い、こういった感染症であったということです。その実態が非常にあらわれているし、この短期間でこれだけの方に答えていただいたというアンケートは本当に今までの自治体アンケートだとかそのほかのアンケートに比べると全く対照的。もちろん、これは今回の検討会の目的である被害実態、ここから明らかにしてほしいという願いにつながったと思います。そのアンケートをしっかり生かしていただいて、先ほど再発防止、116ページから少し御紹介いただきましたけれども、再発防止策につながるようにまとめていただきたい。
 もう一つ、今回分厚い御本人アンケート、御遺族アンケート、自由記載欄もぜひまとめていただきたい。私たちの思いが詰まっているアンケートだと思うのです。これをぜひまとめていただいて立派な調査にしていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
○永井座長 多田羅構成員、どうぞ。
○多田羅構成員 今、田中構成員におっしゃっていただいたことは非常に大事なことかと思います。しかし、データが膨大なので、なかなかまとめは難しいというところがあると思いますけれども、いただいた御意見は非常に重要な点ですので、取り組みの方向で考えてみたいと思います。
 ただ、まとめということとの関連で、研究班の座長として確認できると思った点は、まず32ページ、医療費にかかる自己負担の状況で、助成制度を利用していない人が47.1%、5割近くも存在するという点でございます。それについては、制度を知らないからという方が3分の1もいるということですが、基本としてこのような制度が存在するわけですので、皆さんそれなりの課題に直面しているということもございますので、こういう点をまず国のほうから、あるいは患者会なりの中で、せっかくの制度ですので、早急にこの辺の状態に対しては取り組むべきではないかと認識いたしました。
 86ページでございますが、今後に期待する機関・相手という形で国、保健所、市町村保健センター、福祉事務所等の行政機関というのが62.9%で3分の2に近い割合を占めているということで、この面での行政への期待も非常に大きいということで、これはこれからの予防接種のあり方に対する提言とも関連してくるところかと思います。システムといいますか、制度としての形をどのように取り組んでいくのか、それに対する期待というものが60%を超える形で大きいという点は認識しなければならないと思いました。
 もう一つは、ちょっと具体的なことですが、127ページの同居されている家族へのワクチンの問題です。B型肝炎の特徴としては、田中構成員も触れましたけれども、非常に感染性も強く、感染者の皆さんは他の人に移すのではないかという不安の中にある疾病でございます。そういう疾病に対して、特に家族内における感染の課題というのが基本的に存在していると認識しなければなりませんので、それに対してワクチンというものが有効ということもあるわけでございますので、このところを勧めたことがないというのが49.4%ということですけれども、B型肝炎に対する対策としてワクチンというものをどのように進めていくのか。特に家族内にワクチンを受けていない人がいて、本人がHBs抗原陽性という形の場合、どのようなアドバイスをしていくのか、現在それがどのようになっているのか、この中で特に勧めたことがないという方が半分近くいますので、具体的にどのような方向を示していくのか、非常に重要な課題のように思います。
 以上、ほかにもたくさんありますけれども、時間の関係で座長として思った点、3点述べさせていただきましたので、議事録にとめていただきたいと思います。
○永井座長 どうぞ。
○田中構成員 今のお答えの中で情報源というのは非常に重要なことだと思うのです。それはアンケートの80ページのところにも医療機関に正確な情報を求めるということは載っています。それとは裏腹に、アンケートの結果の中で医療従事者、医療機関からの差別、偏見という問題もあったかと思うのです。それもあわせて記載していただき、やはり医療従事者、医療機関は正確な情報をきちっと流すべきだということだと思います。
 助成の問題についても現在重篤な人への助成がなされていない。もっといえば、障害者認定も本当に亡くなる寸前でなければ認定されない。そういうようなこともあるという認定体制が裏腹の関係もありますし、あるいはワクチンを家族の中で打たない、それをなぜ有料で打たなければいけないのだというようなアンケートの結果も載っていたと思うのです。そして、もっと根源的に言えば、なぜ私たちが自分の自己責任ではないのに、こんな死への恐怖を抱えながら、こういった治療をしながら、この治療費はなぜ無料でないのか、そういったこともアンケートの中に何度も書かれているかと思います。そういったこともぜひ結果の中には入れていただきたい。医療費については考えていただきたいというのが私の思いです。
○多田羅構成員 医療費について考えるというのは、医療助成制度もありますね。
○田中構成員 はい。医療費助成は、1万、2万は今ありますけれども、例えばなぜ私たちは自己責任でなったのにそれを払い続けなければいけないのだ、遠くの医療機関まで行かなければならないのだ、それを一生払わなければいけないのだというのがこのアンケートにも随分載っていたと思います。そういったのもぜひ考えていただきたいというまとめです。
○多田羅構成員 わかりました。
○永井座長 どうぞ。
○山本構成員 日肝協の山本です。
 個人のアンケートを構成員の方々はぜひ全部に目を通していただきたいというのが1点です。
 経済的な話ですけれども、今は医療費助成があると言われましたけれども、肝硬変と肝がんで非常に重篤な方に対しての医療費助成というのはゼロなのです。私の発表の中でありますけれども、今ありません。
 医療費助成の治療方法を知らないというケースが多分2つあると思うのですが、1つは、専門医にかかっていて、この方はその治療をする必要がないということで、先生があえて知らせていないというケースもあると思います。といいますのは、一度治療を始めますと一生やらなければいけませんから、そこが微妙なところですので、この段階であればそれは要らないと判断される場合。もう一つは、専門医にかかっていない場合です。専門医にかかっていない場合に、医療体制の問題になるのですが、先生が適切な判断ができていないという2つのケースがあろうかと思います。
○永井座長 澁谷構成員、どうぞ。
○澁谷構成員 まず、このアンケート全体を通じて非常に膨大な量ということもあるのですけれども、これを書くことによってまたいろいろなことを思い起こされたり、実際アンケートにお答えいただいた患者さんは気持ちの負担が大きかったかなということも少し感じております。それにもかかわらず非常に大勢の方が詳しく書いていただいたということは、大変ありがたかったと思っております。
 また、アンケートに出てこないような部分も少し感じたのは、「34ページの医療費の制度を知らない」が多かったということで、先ほど、治療が必要でないから先生から聞かなかったのではないか、ともおっしゃっていましたが、もう一つ、私は保健所で相談をさせていただいている中で感じることは、こういった制度だとか保険かを使うと職場にわかってしまったり、ほかのところに何か情報としてわかってしまうのではないか、自分の居場所が保障されないのではないかと不安に思われる方がいて、制度や保険を使いたくない方がいらっしゃいます。そういう選択肢はこのアンケートの中にはないのですけれども、実際、このアンケートからはそういう答えは出てこないのですけれども、しかし、そういうようなことも実際にはあるかと思っております。
 51ページのところに、仕事や部署が変わったとか、やめたとかということのアンケートが出ているのですが、いろいろな対策を考える上で、職場の対策というのは今後非常に重要な課題ではないかと思っております。というのは、職場での偏見とか産業医の方あるいは職域の保健に携わっている方がよくこのことを理解していただいて、偏見がないように、あるいは仕事を続けられるようにということを職場の保健医療の関係者がサポートできるような啓発体制とか研修をしていく必要があると感じました。
 以上です。
○永井座長 ほかにいかがですか。
 手短にお願いできますか。どうぞ。
○梁井構成員 梁井です。
 先ほどの34ページの医療費助成制度を知らないという方が33.7%いらっしゃるということなのですけれども、先ほど私は申しましたが、病態ごとに分けてほしいということで、例えば慢性肝炎とか肝硬変、肝がんで抗ウイルス薬を飲まなければいけない人は多分そういうふうな分け方をすると33%とかそういう数にはならないと思うのです。多分飲む必要はない人は知らない、それがたまたま33%という数に出てきたのではないかと思うのです。
 逆に、制度の対象外だからというのが同じように32.3%という数が出ているのですけれども、制度の対象外というのが飲むほどの重篤な病気ではないという人が32%ぐらいいらっしゃるというのだったらいいのですけれども、逆に肝硬変、肝がんでも抗ウイルス薬を飲む必要がないと診断された場合には、例えお金が10万、20万とかかったとしても、医療費の助成の対象にはならない。ですから、このあたりは病態ごとに分けて数字を新たに出していただきたいとお願いしたいです。
 以上です。
○永井座長 どうぞ。
○八橋構成員 長崎医療センターの八橋です。
 私も同様の患者アンケート調査を研究班として現在、実施しています。今日の報告と私の研究班の結果とは似ているという印象を持ちました。若干気になったのは、今日の報告では全般的に年収が高い方が多いのではないかという点です。平成23年の年収を調査されていますが平成24年からはじまった和解金を入れて、回答されている方がおられるのではないかと思いました。アンケートの数字自体は正しいと思いますが、その数字の解釈として、その可能性があるのではないかと思います。
 また、医療費助成制度の知らない方が多いということですが、先ほどご指摘がありましたように治療薬の必要のない方は、医療費助成制度は必要でないことから、医療サイドから説明しないという状況があります。薬を投与している人を母数とした場合には、医療費助成制度を知らないという人の頻度はもっと少ないのではないかと思います。可能なら、その点について追加検討いただければと思います。
 また肝硬変、肝がんなどの病気の進行している方とそうでない方とでは、生活実態は大きく異なると私は考えています。私の研究班の調査結果では、50歳以下で肝硬変、肝がんの方は、年収は少ないのに医療費は高く、仕事にも制限があり、その方々の生活実態は相当厳しい状況にあると分析しています。可能でしたら、50歳以下でかつ肝硬変、肝がんの方といった、幾つかの質問を組み合わせて分析いただければ、様々な問題点がもっと浮かび上がるのではないかと思います。
 最後に、このアンケート調査結果は数字で表現されていますが、10%とか20%といった少ない頻度の方、実はその方こそが非常に困っておられるということを忘れてはいけないと思います。あと自由記述で書かれている様々なことが患者さんの実際の状況を最もよく表していると思います。そのように考えながら、このアンケート調査結果を理解されるのがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○永井座長 どうぞ。
○新美構成員 新美です。
 2点ほど指摘をさせていただきます。1つは、国民生活基礎調査と比較検討されておるのですけれども、比較が本当に可能なデータなのかどうか、少し丁寧に見ていただくといいのではないかと思います。例えば20ページの図2-31は症状別に出していますけれども、患者さんの集団は比較的年齢が高いのです。それと比べて国民生活基礎調査はどうなのか、年齢構成からいくと比較可能なのかどうかということが気になります。
 同様に58ページもそうです。日常生活への影響ということですが、6歳以上が国民生活基礎調査ですね。それと患者さんの集団とが本当に年齢的に比較可能なのかどうか気になります。
 もう一つ、これは先ほどの転職を余儀なくされたかどうかということについてです。私も、団塊の世代でして、患者さんとほぼ同じ世代なのですけれども、この調査では転職した時期の大多数が55~60ぐらいとされていますが、私の世代の友人の多くは55~60くらいで肩たたきを受けて第二の人生を歩んでいますので、それとちょうどぴったり合うのです。そうしますと、そういった第二の人生を始める時期にたまたま当たった人なのか、あるいは先ほど話がありましたように、若くして転職を余儀なくされたのかということを識別できるようにするのがいいように思います。従いまして、転職の時期みたいなものがわかれば、より正確なデータになるのではないかと思います。
 以上、2点でございます。
○永井座長 どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会、野口です。
 先ほど澁谷先生がおっしゃるところは非常に重要だと思いますので、再度一般化して言わせていただきたいのですが、今のアンケートの94ページの中の中段に「相談したくない、諦めている」。例えば「無理でしょう。沢山ひどいことを言われてきました。そんなこと他人には言えません。私ががまんし、私と私の命と共に消えればいいんです」とか、その2つ下、「他人にB肝であることを知られたく無い」ということで、先ほど澁谷先生のほうから仕事とかそういうところの差別の話が出ましたが、今の声というのは一番弱い立場の人の声であると認識しています。ですから、こういう一番弱い立場の人が相談できるとか、これも対策への話になってしまうのですけれども、こういう方を視野に入れて今後どうするか議論を深めていただきたいと思います。
○永井座長 次の議題がありますので最後でよろしいですか。
○荒井構成員 大変膨大なアンケートで、いろいろ患者さんの不安とか苦しみというのはある程度片鱗がわかったような気がいたします。御本人のアンケートも30分ほど早く来たものですから、まだごく一部ですが、ぜひこれは全部読ませていただきたいと思っております。
 さて、アンケートの中に自覚症状、例えば19ページの自覚症状あたりで、体がだるいを初めとしてこういう症状をお持ちだと。経済的な問題とか健康上の不安とかというところがいろんなところで出ているのですけれども、一方で、60ページ「(4)現在の健康状態」のところで「よい」「まあよい」「ふつう」というのが全部合わせると7割くらいに達しているのです。これをどういうふうに見ればいいのか、どなたか説明をしていただけるとありがたいと思います。
 健康状態としてはまあまあいいのはなぜなのか、一方で、心身の苦しみみたいなことがいろんな場面でアンケートの中に出ています。それをどう理解すればよろしいのか、教えていただければと思います。
○八橋構成員 それは一般の方の身体症状を調査してみても、大体似たような頻度で出てきます。今、この会場のおられる皆さんも日頃から肩が凝っているとか、頭痛がするとかあるかと思います。実際に、肝疾患患者とそうでない方を対象に身体症状の出現頻度の比較検討をすると、肝疾患に特異的な症状の頻度は、肝硬変、肝がんの方では明らかに高いのですが、慢性肝炎とかキャリアの方を対象とした場合には、一般の方とは差がないというのが実情です。そういうことだと思います。
○荒井構成員 ありがとうございます。
○永井座長 まだ御議論あるかと思いますが、ほかの報告と今後の方策について御議論いただきますので、少し先へ進ませていただきます。
 議題2ですが、ヒアリング調査及び議題3のヒアリング調査です。これは都道府県・市町村ヒアリング調査及び有識者ヒアリングを研究班から報告をお願いしたいと思います。
○多田羅構成員 都道府県・市町村ヒアリングにつきましては、2月の第8回検討会で途中経過を報告させていただきましたが、今回はそれ以降に調査を実施した分について報告させていただきます。なお、前回検討会でいただいた御意見を踏まえ、追加でヒアリングを行うこととした自治体への調査も終了しており、今回報告させていただきます。
 このため、都道府県・市町村ヒアリングは今回で最終報告とさせていただきます。
 次に、有識者ヒアリングは、関係学会、医療関係者による把握及び対応についてお話しを聞くことを目的として実施いたしました。有識者ヒアリングについては、対象者全員について終了しております。
 それでは、詳細につきましては、事務局から説明いたします。お願いします。
○研究班事務局 まず自治体ヒアリング調査の結果につきまして、資料3を用いまして御報告させていただきます。
 前回御報告をさせていただきましたものから、一番下のF、Gの2自治体を追加して今回御報告させていただきますので、追加分のみ御報告をさせていただく形といたします。
 1ページ目の調査対象のところ、F、Gをごらんいただきたいのですが、1点訂正をお願いいたします。実施時期につきまして、Fが「2月28日」とございます。これは「3月28日」の誤りでございます。Gが「2月29日」とございますが、これは「3月29日」の誤りでございます。大変失礼いたしました。
 Fの自治体につきましては、担当者の手元に業務としての記録というわけではないですが、個人的に作成した記録が残っていたということでした。検討態勢としては、昭和53年ごろに医師会の中に予防接種運営の会議体が発足、予防接種の方針等はそこで審議をしていた。予算の確保についても特段問題なく行われてきたという実態でございました。
 Gにつきましては、昭和56年以降、在職している担当者の記憶に基づくもので、特段記録はなかったというような状況でございました。当時、ディスポへの切りかえを提案したがすぐには進まなかったというような状況についてお話を伺っております。
 2ページ目、まず「(1)針・筒の交換・消毒の実態」ということで「1予防接種の実施に関する市町村における検討体制」という項目でございます。
 箇条書きの2の上の2つがF、Gに該当するところでございますが、Fについては昭和53年から市の条例に基づいて予防接種運営審議会を市が設置しており、毎年1回程度開催。予防接種についてそこで報告、検討しているということでございました。メンバーについては、医師会から推薦された医師や市立病院の医師などで構成されたということでございます。
 Gの自治体については、昭和56年ごろには、郡内の町村会が音頭を取って、地元医師会との間で住民健康管理等の施策全般について申し合わせ事項を報告する会合が年1回程度あった。そこで予防接種全般についても報告して、必要なことについてお願いする形であったということでございました。
 「2予防接種の実施方法」ということにつきましては、3ページ目の3の上、上から3行目でございます。基本的に、準備・実施等は全て町の保健師・看護師等が行ってきたということでございます。
 「3ディスポーザブル注射針・筒の使用状況」ということですと、3ページ目の下から2つ目の箇条書きでございます。昭和55年から、針・筒ともディスポ化を実施、59年からツベルクリン反応検査もディスポ化した。予算については記憶に基づくものですが、余りよく覚えていないということではございましたが、100本1箱で2,000円ぐらいの記憶、1本20~30円といったところではないかということでした。
 その下、Gの自治体につきましては、昭和60年ごろに針・筒とも全てディスポ化し、1個ずつの製品を使うようになった。この方は入町、仕事を始めたのが昭和56年ということですが、そのころから針は一部ディスポ化、昭和56年に入町したときから全てディスポ化すべきと感じていたが、大正生まれの大先輩の職員がいて、やり方を変えるような状況ではなかった。その大先輩が定年退職されたときにディスポ化への変更を話し合って推進したというようなことでございました。
 4ページ、予算上も町民の健康福祉、安全のためであれば問題あったという記憶はない。ただ、近隣の自治体では、予算で苦労したという話は聞いたことがあるという情報もございました。
 その次「2)予防接種の手技等への指導への市町村の関わり」の「1予防接種実施要領など手技等に関する規定」ということですが、一番下、ツベルクリン反応は詳細な要領があったが、それ以外の予防接種は余り詳しい要領はなく、先輩からの実地の指導や薬品・製品に添付されている説明文書や手技要領などを見ていた記憶があるというのがGの自治体でございました。
 4ページの下側「(3)B型肝炎ウイルスの感染のリスクに関する認識」ということで、医学的知見の状況、一番下の箇条書きでございます。Gの自治体の方は、学校で習っていたので、50年代には可能性は認識していたと思う。また、学校で習っていた先生が劇症肝炎になられたことがあり、身近でそうした事例があったのでリスク感覚は多少強かったかもしれないというお話がございました。
 自治体ヒアリングにつきましては以上でございます。
 資料4でございます。有識者ヒアリングについてということで、こちらについては前回の御報告からEの対象の方を追加して御報告をするところでございます。
 2ページ目「3.結果の概要」の「1 B型肝炎に関する医学的知見に関する変遷」ということで、まず重症化に関する認識の変遷ということです。
 昭和40年代後半にはB型肝炎の劇症化という認識は一般化していたと思うというのが一番下のEの箇条書きのところですが、Eの方のコメントでございます。
 少し飛びまして3ページ目「3 B型肝炎ウイルス感染のリスクに関する認識」の「1)B型肝炎ウイルスに関する感染経路に関する認識の変遷」ということで最後の箇条書きですが、我が国の場合、経路として母子感染に着目し、それをまず予防するという観点から、施策を進めたという経緯があるというコメントでございました。
 4ページ目、ここは「2)注射針・注射筒による感染リスクの認識の変遷」という項目でございます。
 4ページ目の上から3つ目の箇条書きでございますが、注射針については肝炎に限らず昭和30年代には相当リスク認識があったと思う。昭和51年夏ごろに職場を移動した際、ツベルクリン反応の注射針についても一人一針に変えていくことを当時のある保健所長と協議した記憶があるということでした。注射の筒についてはそれほど強いリスク認識はなく、厚労省から通知が出たとき、既に現場勤務ではなかったが、筒まで徹底することになったと感じたというコメントでございました。
 「3)集団予防接種(注射針・筒の連続使用)による感染リスクの認識の変遷」ということでございますが、予防接種については実施する現場で針・筒の連続使用が40年代ぐらいまで一般的で、むしろ連続使用のほうが子供は痛がらないという認識すらあったくらいである。予算や人手の確保など経済的な要因などもあって、強いリスク認識のもとでディスポが普及するということにはすぐにはつながらなかったと思う。
 担当した疫学研究から、水平感染の多くについては消去法で予防接種が原因と考えざるを得ないと思う。
 ジェットセッターの普及も感染経路として有力なのではないかと個人的には思うというコメントがございました。
 5ページ目、「4)B型肝炎ウイルス感染防止対策に関する認識の変遷」という項目でございます。上から3つ目の箇条書き、昭和50年代後半に、国の肝炎研究班に参加しており、疫学データをもとに議論していたが、それらが国の施策に直接的に反映されることがなかったのは遺憾であるというお話がございました。
 以上でございます。
○永井座長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問・御意見をお願いいたします。
 どうぞ。
○垣本構成員 垣本と申します。
 この資料3と資料4ですけれども、それぞれの被調査対象となった方たちが、自治体では7カ所、こちらの有識者では5名の方が選ばれているわけですが、この選択については特に代表というか、どこかに偏っているということはないのでしょうか。その辺を確認したいのです。
 以上です。
○永井座長 いかがですか。
 どうぞ。
○多田羅構成員 それは非常に我々も、もう少し広く、代表性のある自治体等にお願いしたいということは基本の趣旨でございます。特に自治体については、広く全国的に課題のあるところ、あるいは一般的なところを含めてお願いするということで推進して、事務局からも相当、自治体に当たっていただいたのですが、結果的に今回御報告した自治体が受けていただいて、特に記録がある、あるいは昔のことについて若干の記憶・記録があるところには特に強くお願いして訪問したということでございまして、基本的に代表性があるというところには至っていないと思います。たまたまお願いして、受けていただいたところにお願いしたというのが正直なところ現状でございますので、その点はそういうふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、有識者のほうは当初、研究班のほうでお願いするとしました有識者の方全員が受けていただきましたので、これについてはそういう全体を受けた有識者であるということは言えると思います。
 以上でございます。
○永井座長 ほかにいかがですか。
 どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会、野口です。
 資料4の4ページの「3)集団予防接種(注射針・筒の連続使用)による感染リスクの認識の変遷」というところで、Eの方の発言で「ジェットセッターの普及も感染経路として有力なのではないかと個人的には思う」という見解がございまして、この方は、次のページですと国の肝炎研究班に参加しておられた方ということで、かなり非常に専門家であると考えます。
 それで、このジェットセッターの件というのは、過去の資料にも出てきたのですが、そのままにしていいものなのでしょうか。
○永井座長 これは、もう少し具体的に内容はわかりますでしょうか。
○多田羅構成員 これは私も訪問してお話をお聞きした方ですが、こういう意見であったということかと思います。何かございますか。確かに、このジェットセッターですか、ジェット注射器というのは非常に乱暴といいますか、出血も伴うところも多いということで、非常に課題のものであるということは発足当時から課題にあって、その後、早急に廃止になったと理解しておりますけれども、このときはそういうこととして意見をお伺いしたと記憶しております。
 もしあれでしたら、ヒアリングの記録は残っておりますので、もう一度確認するようにいたします。私の記憶としては、そんな深い議論は行われなかったと思っております。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○野口構成員 私も専門家ではないので詳しいことは申し上げられないのですが、この検討会の一つの課題の中にキーワードとして感染経路というのがあったと思います。そこで挙がってきていますので、これをそのまま検討会の構成員の皆様が、これは問題ないのだ、これは関係ないのだというふうに専門的な方がおっしゃるのでしたら問題はございませんが。
○多田羅構成員 いや、それは非常にリスクのあるものだという認識にはなっています。それは間違いないです。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ、論点のほうへ移っていいでしょうか。
 それでは、議題の4に参りますが、論点の整理を事務局から行ってもらいました。まだこれは最初の整理ということで、これをもとにしまして具体的な再発防止策の検討に向けて御議論をいただきたいと思います。
 きょうの論点は、これまで研究班から報告いただいている調査の結果に基づくものということで御理解いただきたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは「具体的な論点(たたき台)」とさせていただきました資料5を御確認いただければと思います。
 各構成員の皆様からも、調査結果の評価と再発防止の議論を深めていく必要があるのではないかという御指摘を受けまして、まず今までの調査結果から作成をさせていただいたものでございます。今後の調査結果の御報告もございますし、問題点と再発防止とを分けて考えていかなければならないというところの工夫もしていくというところはございますけれども、そういう現時点での調査結果から事務局のほうで作成をさせていただいたものであるということを御認識いただければと思います。
 そのため、きょうの御議論をいただきまして、次回以降、修正させていただいたものをお示しさせていただくとともに、国のヒアリング結果等々、そういったものを追加で御報告をさせていただくものもあわせて、まとめの議論のほうにということを考えているところでございます。
 それでは、中身の御説明をさせていただきます。
 1つ目の○でございます。「予防接種制度は、公衆衛生及び感染症対策が必要とされる時代背景から、義務化及び集団接種とされた。これは、公衆衛生及び感染症対策として相当の効果は得たが、一方で、制度の具体的運用等において課題があり、B型肝炎訴訟にあるB型肝炎の感染拡大につながったと考えられる」と記させていただいております。
 その具体的な制度の運用というところの面におきまして非常に大きい要素として考えておりますのが「当時の厚生省において、先進知見の把握や事例報告からの分析等が十分に成されていなかった」というところでございます。
 それでは、それをさらに具体的にというところで、次の3つの○でございます。
○ 予防接種のワクチン・手技・器具取扱・これらによる感染防止策等に関する先進知見の体系的な情報収集と精査を行う体制が不十分であり、収集した情報を組織的に共有し対応することができなかったのではないか。
○ 予防接種との因果関係が少しでも考えられる副反応の事例や予防接種実施時の感染の事例は、国に報告があがるようにすべきではなかったか。
○ 予防接種現場での注射器の連続使用といった予防接種実施時の事故の実態把握が、各行政機関において徹底されていなかったのではないか。
 そして、こうして集めた情報等について厚生省内でのみ検討していたという点から、次を掲げさせていただいてございます。「当時の厚生省は、不正確なリスク認識等の是正が遅れたのではないか。先進知見や副反応報告等により把握した事例を整理・調査し、その結果に基づき、公開の場で予防接種制度を評価・検討する枠組が必要ではないか」。
 一方で、機器等の関係でございます。「ディスポーザブルの注射針・注射筒について、開発・普及が先進諸外国と比べて遅く、さらに、普及が進み肝炎感染の予防策としての使用が指摘されても国の予防接種への導入に向けた対応は遅かった」。
 このような器具も含め「当時の厚生省は、予防接種の安全性確保に資する取組について研究を進めて組織横断的な検討をしていたとは言い難いのではないか」。
 裏面でございます。
 予防接種の現場に対しての働きかけや動きとして整理をさせていただきましたのが、次の4つでございます。
○ 国からの通知発出に伴い、指導した内容が確実に担保されるためのきめ細かな取組はできていなかった。
○ 市町村は、医師である保健所長や地区医師会の知見をもとに地域単位での予防接種の安全な実施を担保する役割があるが、予防接種への取組は、個々のリスク認識に依存し、その結果、地域差が生じた。
市町村は、予防接種の実施に当たって、医師である保健所長や地区医師会の専門的見地に基づいた検討・精査を行うべきではなかったか。
○ 各行政機関や医療従事者が先進知見や事例を収集できる環境も十分でなく、先進知見や事例を把握しても各行政機関間での情報共有もされなかった。また、各行政機関の先進的な取組も共有されなかった。
○ 医療従事者が地域の安全な予防接種の実施に積極的に取り組んできた地域もあった。
今後も医療従事者が医学の基礎教育において予防接種の効果と安全性の確保に関する知見を確実に身につける環境を整えるとともに、医療従事者の予防接種に関する実施レベルを向上する取組を充実することが望まれる。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見をお願いいたします。
 どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会、野口です。
 私のほうで資料を提出させていただきました。週末、時間の制約があって、ちょっと至らない点もあると思うのですが、その前に1つは、今後どのようなプロセスで議論を進めるかということについての皆様方の御意見をお伺いしたいと思います。やはり丁寧にやる必要があると思いますので、それぞれの検証項目に関して、ある程度まとめて、その中から論点を拾い上げて、漏れのないようにするということも一つの方法ではないかと思っております。
 それでは、時間がありませんので、簡単に読ませていただきます。
 たたき台、ありがとうございました。たたき台の小見出しをつくりまして、何について記述されているかをわかりやすいようにしております。これはあくまでも追加・補足ということです。
 まずは政策全般につきまして、
● 戦後の予防接種制度(強制集団予防接種)から時代にあった予防接種制度への政策転換が大幅に遅れた。その結果、多数の感染症対策のために少数の国民が犠牲となった。しかし、当時は、多数のためには少数の犠牲は仕方ないという考え方と接種率を維持したいという思惑があった。そのためB型肝炎訴訟にあるB型肝炎の感染拡大につながったと考えられる。予防接種禍訴訟において、当時の厚生省は、責任を回避するために、何十年という期間を裁判に費やしたために、新しい予防接種制度の導入、被害者との和解・救済が大幅に遅れた。
ということで、文献からの引用に関しては、最後のページに参考文献一覧がございますので、後で御参照ください。
 2ページです。これはプロセスに関してですが、
● 国民の健康を守るという目的で行われた集団予防接種は、強制する以上は安全でリスクが全くないものでなければならなかった。副反応情報等のリスクの公開により100%安全でないと認識され、接種率が下がり、万が一、感染症が発生し、それが原因で死亡した場合、国の責任が追及される可能性があった。したがって、当時、副反応等の事例は、副反応とは認識されずに「特異体質」として扱われ、一方的な医療過失以外の責任は被害者に帰属するとされていた。このような環境下においては、自治体や医療機関はそもそも積極的に事例を報告することに躊躇し、「特異体質」として処理をしたと思われる。したがって実態把握・報告等の一連のプロセスは充分に機能していなかったと考えられる。
ということです。
 リスクの認識についてです。
● 昭和62年の三重大学医学部付属病院での重大事故報告まで、当時の厚生省は一人一針一筒の徹底をするアクションをとらなかった。これは、リスク認識とリスクへの対応のアプローチが根本的に誤っていたと考えられる。
 ディスポーザブルの導入についてです。
● 研究班で調査対象となった海外(米国・英国・ドイツ)においては、連続使用におけるB型肝炎の事例は、見られなかった。これは、我が国においては、注射針・筒の交換の指示、ディスポーザブルの導入、運用体制等の政策に関して致命的な誤りがあったと言わざるを得ない。つまり、注射針、筒の交換義務の通知を適切な時期に適切な表現で行っていれば、注射針・筒の連続使用によるB型肝炎の拡大は回避可能であった。
ということです。
 組織体制についてですが、
● 予防接種の運用を自治体に任せた為に、自治体は知見や情報共有が不充分な環境下で、接種率の維持(時間的制約)とディスポーザブル導入の予算化(接種コストの制約)というディレンマに直面した。当時の厚生省はこのディレンマの解消のための積極的な関与を行わなかった。また、昭和51年の厚生省通知「ディスポーザブルのものを使用しても差し支えない」という表現は非常に曖昧で、自治体により解釈・対応の差が生じた。
 最後は自治体、医療従事者の取り組みの差です。
● 諸外国や国内の研究・文献において注射針、筒の連続使用におけるリスクが指摘されていたにも関わらず、リスクに関して積極的な指摘は行われなかった。また、予防接種運営委員会が設置されていたにも関わらず、リスクの指摘は充分に行われなかった。これは当時の予防接種行政の全般の運営体制に起因しており、事例報告等が行われにくい状態であったと考える。また、行政・自治体・医療関係者との間の一連の運用、組織体制に問題があったと思われる。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございます。非常にわかりやすくまとめていただいたと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○奥泉構成員 B型肝炎訴訟弁護団の奥泉です。
 この論点のまとめ方、ある程度といいますか、問題意識がわかるような形でのまとめをいただいていると思います。これに加えて、どんな視点で考えるべきかということから何点か指摘をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、最初の○の項目にもありますけれども、公衆衛生及び感染症対策が必要であったということはわかるのですが、それと同様に、国民一人一人の健康を守る、生命を守ることも重要な課題であった。それが当初のころ、あるいはこれは昭和63年まで、結局、公衆衛生及び感染症対策という目的が上にあった、そういう姿勢があったというのがこの問題の大きな問題点ではないか。この点は、今、野口構成員からも御指摘いただいたところかと思います。そういう問題点が1つあるということです。
 2番目で、この公衆衛生と、それから、個々の国民の健康という問題は、このB型肝炎の感染の問題では二律背反ではなくて、本来は両立してきた問題と考えています。それは接種の方法をきちんと丁寧にすればよかった。ですから、昭和20年代の当初から針・筒はあって、それを取りかえることは丁寧にやればできたはずなのです。ですから、それをしなかったところが大きな問題ですし、そこはやはり、今、第1番目で申し上げた思想といいますか、思考の問題にも欠陥があったのではないか。ですから、この2番目の問題については、決してこちらの有用性が高いから、これは犠牲になっていいのだという問題では、この今回のB型肝炎の問題では違うのではないかというところを押さえておく必要があるのではないかなと考えています。
 3番目では、医療従事者の問題とかがいろいろ出ていますけれども、これは厚労省の職員の方自体の考え方という問題でしょうか。今、言った、本当に個々の国民の健康を守るのだというところの視点、あるいは人権意識というのでしょうか、そういうところをきちんとそれぞれの職員の方が持つ必要があったし、またこれからも持つ必要があるのではないかという点を指摘しなければいけないのかなと思っています。
 それと、再発防止で考える場合に、今、この予防接種制度というところでもちろん議論がされているのですけれども、やはり大きな公衆衛生を遂行していく中で、どのようにこういう国民の健康、あるいは感染症を蔓延させないかという問題がこの問題だと思います。現状ではディスポに変わっていますし、あるいはB型肝炎の病態もある程度わかってきているので、この問題はもう解決しているのではないかということになってしまっては、せっかくのこの検討会が無駄になって、再発防止の提言も実がない。ですから、やはり大きな問題点から振り返った形で再発防止というのを考えなければいけないのかなと考えています。
 あと一点、前回の文献の報告の中で、昭和63年の厚労省の冊子の座談会の中で、お手元にある資料によりますと、前回の記録の関連資料6-2と書いた77ページにこういう記載がありまして「1970年代と80年代を比較すると、一般市民、非医療従事者におけるHBV感染率も激減している。このことは特に15歳以下の小児において明確である。医療技術、衛生環境の向上とともに滅菌した注射針の一人一回使用が徹底しディスポの注射針の品質の向上と価格の低廉化がこれに貢献したことは見逃すことはできない」と書かれていて、当時の厚生省自身が、このB型肝炎の蔓延の原因が集団予防接種の針・筒の連続使用にあるということをみずから、こういう座談会の中で述べて、あと、この『厚生』という広報誌に載せている。
 ですから、今度はその後の問題を、こういう問題があるのだというふうにわかったら、さらに実態はどうなのか、あるいは感染している人への対策を早期にとらなければいけないのではないかということを、もっと早く対策がとれたのではないかという問題も、これは指摘しなければいけないのではないか。ですから、やはり行政の中で誤った問題が発生したということが明らかになったときには、これは確かに裁判になって、その後、国の責任が争われたものですから、責任がどうかという問題は確かにかなり微妙な問題ではあったかとは思うのです。しかし、行政の中での扱い、あるいは患者さんに対する対応については、やはりきちんとその以後、行うべきではなかったかというところを申し上げたい。
 あと、平成13年ですか、この肝炎対策に関する有識者会議報告書というものが実は出されて、その中でB型肝炎の感染の経路というところでは幾つか言われていますけれども、これは厚労省が主催した会議の中で、この集団予防接種の感染というのは一言も出てきていないのです。ですので、それは先ほど言いましたけれども、責任とはまた別に、そういう感染経路もあるのだということでの啓発なり対策の前提としての認識というのでしょうか、そういうことをやはり考えておかなければいけなかったのではないのかなと思っています。ですから、そういう視点も含めて考えていただければなと考えております。
○永井座長 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 今のお話とダブるのですけれども、私ども、年に十数回、医療講演会をやっているのですが、B型肝炎の感染経路で集団予防接種という言葉が出てきたのは最近です。今まではほとんど全てが母子感染という話がありました。
 それで、これに絡んでの話なのですけれども、1点指摘したいと思うのですが、再発防止というよりも対応が非常におくれたということを指摘したいと思います。感染が出ているのがわかっていたと思うのですけれども、このたたき台のところには国のほうに上がっていなかったということがいろいろ書いてありますが、やはりいろいろな情報、有識者等からも感染が出ていたということはわかっていたと思うのですが、そのときに危険であるという情報とか対策が昭和二十何年から昭和六十何年まで四十数年間、全部おくれたというわけではないのでしょうけれども、もっと早く対策がとれたのではないかなというのが1点です。
 もう一つは、感染者が多数出ているのは昭和の終わりぐらいになればわかっていたと思うのです。ところが、ウイルス検診を国のほうがやり始めたのは平成14年ということですから、ウイルス検診につきましても10年から15年ぐらいおくれていたと思いますので、やはり対応をもっと速やかにやるべきではなかったかな。感染者が増加するのを防げたと思います。
 以上です。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○荒井構成員 いわゆる論点のたたき台としてはよくわかるのですけれども、これをもとに議論を進めていくについて、ここで拾ってくださった論点というのは、どちらかというと感染拡大の検証といいますか、問題点を確認するところに主力が置かれている論点だろう。再発防止については、また別の捉え方もできるかもしれない。
 私、それぞれの論点について、膨大なこれまでの研究班の研究結果とここでの論点とを結びつける整理というのがまだ十分できていないように思われるのです。それぞれ数回にわたって研究班から御報告いただいたことについて、これはやはり一つ、最終的には拾わなければいけない情報だったなということはあったのですけれども、さて、それを論点としてまとめるに当たっては、これまでの調査結果の中で意味のある情報、これを問題としてテークノートしなければいけないという論点をもう少し整理していただけないか。それをもとに、この論点なりの取り上げ方でいいのか、あるいは過不足があるかどうかという議論がしやすくなるのではないかと思われるのです。
 恐らく、事務局のほうでたたき台としておつくりいただいたものについては、ここには方向性は必ずしも出てはいないのですけれども、やはり何らかの意味で大方の見方が一致するであろうという問題意識というのはこの論点の拾い方のベースにあるのだろうと思うのです。それをできれば研究結果の中からそれぞれピックアップしていただいて、この論点の基礎となる事実関係としてこういうことがあったということを何か整理していただけるとありがたい。
 例えば、当時の厚生省というのが随所に出てくるのですけれども、当時の厚生省がどうだったかというところには、やはり昭和何年ごろにどういうことがあったということがベースとして確認された上で、問題があるか、ないかの議論につながっていくのだろうと思います。そういう意味で、大変お手数だろうと思うのですが、何かそこを一つ工夫をしていただけないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○永井座長 多田羅構成員、どうぞ。
○多田羅構成員 今の御意見と関連してですが、研究班のほうを担当した者として、非常に多様な現実というものが存在すると思うのですが、おっしゃっていただいたように、対応がおくれたということが基本ではないかと思うのです。
 集団接種という体制についても議論があるかと思いますけれども、私も長年、公衆衛生をやってきた者として、画一主義で徹底的に実施するということは公衆衛生の一つの歴史的な手法なのです。そういう点から行くと、日本のこの集団接種というのは日本の社会が国民に対して、より積極的であったという評価もできるとところがあると思うのです。例えばヨーロッパ、アメリカなどでは集団接種を行わなかったというのは、国民と社会というか、国と国民の関係が疎遠なのであって、日本はむしろ国が国民を守るということに積極的であったということもいえるわけで、その点はここでも「相当の効果は得た」という言葉をもらっているわけです。それはそれとして、まとめて言えば対応がおくれたという点がやはり歴史的に見て、今回のB型肝炎拡大の基本の問題かと思うのです。
 その点から、その遅れたということに対する一つの分析として、それぞれの課長であるとか係長が情報を受けたとしても、それは個として受けてしまって、そこで終わってしまった。膨大な数の予防接種が行われていて、その中から1つ、2つの報告ということも現実にあったのではないかと思うのですけれども、それを個で受けてしまうという体制があったことに対して、先進知見の体系的な情報収集等を行う体制をつくっていく必要があるのではないかという点で、たたき台は全体を総括する、個で受けるのではなくて、組織として受ける体制が必要なのではないかということを、基本的に示していると思います。その体制をどのようなものにするのかというのは、さらに議論が要ると思いますが、体系的な体制が不十分なので、これが要るという点は、遅れたということに対するひとつの見解であろうと思います。
 もう一つは、現場における体制のあり方から、地域差が生じているということがあるという点について、いろいろな自治体のあり方とか患者のいろいろな状態を見ても、基本としては遅れているということと同時に、今日における結果から見ると地域差があるということがあって、その地域差というのは基本的に、特に行政機関において先進的知見を共有するということが不十分なのではなかったかという点から、予防に当たっては医師である保健所長、そういう人たちによる専門的な検討・精査を行う体制があって、現場のあり方として、お互いに知見を共有していくということがあって、
 その知見をもとに環境を整え、当事者が予防接種レベルを向上する取り組みをすすめる。現場におけるそういう、ここでも組織的な体制、個々の医者が頑張るとか保健師が頑張るというのであれば見落とされたり、おくれることがあるので、やはり今回の結論としてのたたき台としては、国における全体の体制、そして地域においても、基本的に関係者が知見を共有し、取り組みを進め、検討・精査を行う組織体制を構築するという形で、今回の事態をふまえた、再発防止の基本的な考え方として整理できるのではないかというのが、このたたき台の内容であると思います。今日から見ると、今のところ、私も研究班の座長をやらせてもらった者として、一応、筋としてはそういうところに落ちつくのではないかなと思います。
 以上でございます。
○永井座長 1つ、私からよろしいでしょうか。
 これはもちろん、予防接種行政の問題ではあったのですが、やはりリスクマネジメント、あるいは情報収集のあり方、さらに行政と現場との関係のあり方など、深い問題が基礎にあるように私は思うのです。
○多田羅構成員 それはあると思います。
○永井座長 それは、別におくれたのはこれだけではなくて、例えば、薬事関係でも同様です。薬の製造はアメリカではFDAが、1938年からチェックしています。ところが日本で薬事法ができたのは、サリドマイド事件が起こっった後の、1960年なのです。そこで22年おくれています。それから、GLP、GMP、GCP、治験体制などですが、これらも全て、大体10年から20年おくれているのです。ですから、やはり私は基盤に行政と現場との関係のあり方の問題、特にリスクマネジメントの問題があると思います。
○多田羅構成員 だから、それが結局、行政といっても、担当している者が各個人なのです。あるいは現場も個人になってしまうのです。だから、そこの連携というのが、地域差になったり、熱心なところでは育ったり、別のところでは知られなかったりするということがあるので、そういう差になるのです。
 だから、もう少し組織的にということがあって、そこを克服しないと、各個人が担当してしまうと、結局、その連携がおくれたり、なかったりする。
○永井座長 そういうことを、総論のなかで、組織としてのあり方ということ、特にリスクマネジメントの問題としてとりあげる必要があります。行政は、実感としてわかるところは対応するのだと思いますけれども、実感ではわからないような頻度の低い現象におけるリスクベネフィットの問題、特にリスクマネジメントの問題です。ここのところが私は歴史的に組織として弱かったのではないか。それがベースにあって、まさに行政のあり方の問題に結びついていると思います。これからどうするかといったときに、十分、今回のことを教訓として何か提案をすべきだろうと私は思いますけれども、そういう総論があって、この予防接種をどう振り返るかとか、どうあるべきだったのかとか、そういう議論の論点整理が必要ではないかと思います。
 どうぞ。
○荒井構成員 荒井です。
 先ほど多田羅先生の整理された大づかみな問題点の所在ということに、私、異論があるわけではもちろんないのですが、議論の土台としてどういう事実があったかということを、それぞれの論点とのつながりにおいて、それをやはり拾い出していただくほうが恐らく、結論だけ書いても説得力はない。
○多田羅構成員 おくれているというところは相当、御報告したと思うのですけれども、地域差というところが、自治体等のアンケートなり、ヒアリングとかにおいて不十分なところがあるかもわかりません。。
○荒井構成員 これは先ほど対策室のほうから御説明があったのですけれども、研究班でおつくりになったのか。
○多田羅構成員 このたたき台ですか。
○荒井構成員 はい。
○多田羅構成員 これは一応、国の事務局のほうでまとめていただいたものでございます。もちろん、研究班の議論を踏まえてということはございます。
○永井座長 これは、まだメモ程度と思っていただいたほうがよろしいと思います。
 岡部構成員、どうぞ。
○岡部構成員 岡部です。
 私も、この内容で特に問題になるというか、これからの課題としては、どうして対策が遅れたかというところに一番の重点があるので、予防接種そのものについては感染症対策という意味で否定できるものではないですし、また、当時の昭和20年代、昭和30年代ということを考えれば、方法論としての集団接種であったり、やり方も、これはある程度はやむを得ないところである、と思います。ただ、早くそういうことを検知するシステムが存在しなかったところと、実際のアクションをとるのがおくれたというところが問題だろうと思っています。
 ちょっと細かいところなのですけれども、資料5の3番目の○のところで「予防接種のワクチン・手技・器具取扱・これらによる感染防止策等」とあるのですが、ワクチンそのものには、そういう意味では今回は全く罪はありませんで、ワクチンによる効果というのはあったわけです。「予防接種」は免疫をつける方法であって、「ワクチン」はそのために使う道具ですから、ここは「ワクチン」は削除していただけたらと思います。あくまで手技、取り扱いに問題があったということになります。
 それから、6番目の○、下から3つ目ですけれども、リスク認識について、こういった事例を整理・調査し、その結果に基づいて、公開の場で予防接種制度を評価・検討する枠組みが必要ではないかというところですが、御存じのように今般、4月1日から予防接種法が改正されて、この中にはこういった制度がかなり取り込まれてきております。例えば副反応の報告を全医師(医療機関)に義務づけているとか、そういう議論を公開の場でもう少し頻度を多くしてやるということは決められていますので、これは反省点としてこういうところが出てくるけれども、具体的に既にアクションがとられている部分が、おくればせながらと言ってもいいとは思います。
 そこで、全体としての感想のようなものなのですけれども、これは当時に比較すれば既に改善、再発防止等をされているところもありますが、今回の改正や何かを含めて、かなりの精度及び向上は期待されるとは思うのです。しかし、それはパーフェクトな方法では決してありませんし、今後、それを充実させていくことはあるので、今後の課題としては、こういった制度に対してさらなる向上、それから、体制の充実ということを常に国は行うべきである。こういったことが再発防止につながるのではないかと思います。
 長くなりますけれども、3点目なのですが、確かにB型肝炎に対する問題点が浮き彫りになってきて、それの原因や何かについて今回検討を行っているわけですけれども、B型肝炎ウイルスの感染経路は何であれ、B型肝炎はかなり悲惨な病気であるということも浮き出ていると思います。そうすると、この委員会で言うことが適切かどうか、御意見もいただきたいのですが、全体として、やはりB型肝炎というものに対する対策をもっと強くすべきではないか。それが今般犠牲になられた方々を治すわけではないけれども、しかし、広い意味での再発防止に結びつくのではないかと思いました。
 以上です。
○永井座長 位田構成員、どうぞ。
○位田構成員 出てきている議論と重なるかもしれませんが、3点申し上げたいと思います。
 1つは、今、永井座長がおっしゃったように、総論でリスクマネジメントの考え方を取り入れる。これは恐らく、当時にはなかった話ですね。この1「論点」のあちこちでリスクという言葉が使われているのですけれども、何がリスクであるかという、リスク概念が当時には余り発達していなかった。それを現在の、リスク学という学問もあるぐらいですから、現在の学問上進んでいるリスク概念というものを今度は再発防止に役立たせることができないかというのが1点です。
 2点目は、これは各論になることだと思いますが、1つは既に、例えばディスポーザブルを使うのはもう常識になっていますから、現在ではこれまでのB型肝炎のいろいろな問題に対してとられている施策、これを確認する作業が1つ必要だと思うのです。それで、十分に施策措置がとられていることを確認して、それをもう一度、再確認をするというのが一つの方法だと思います。
 3つ目なのですが、この出されている論点は調査結果に基づいてこういう再発防止策であるということなのですけれども、恐らく現在のいわゆる感染症対策もしくは感染症研究が当時と比べるとかなり進んできていますから、当時の調査結果だけでは出てこない、ある意味では現在の感染症に関する医療水準から見て、新たに問題が起き得る可能性のあることに対して何らかの措置をあらかじめ考えておく、まさに予防的な措置を考えておくということもできれば議論をしておいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○永井座長 つまり、予防にも多分、1次予防と2次予防があって、これ以上波及しない方策も必要だと思うのです。
 どうぞ。
○垣本構成員 この委員会の目的というのは検証と再発防止ということだったと思うので、やはり再発防止ということについて、この論点の中でそういう言葉で表現しておくことは必要かなと思いました。ですから、事故が起きてしまってからでは遅いので、予防安全というか、プロアクティブに何をすべきかということもこの中に1つ入れていただければいいかなと思ったところです。それで、再発防止の視点ということでお願いしたいと思いました。
 それから、資料5の1ページ目の下から3つ目の○というのは、いずれも「当時の厚生省は」ということで、不正確なリスク認識等の是正がおくれたのではないか、何々ではないかということなのですが、いずれも疑問を投げかけているのですけれども、なぜかというところがここは抜けているものですから、下から3つ目の○のところでは、問題ではないかとなっているのですが、このなぜかということについてもちょっと触れることが必要ではないかなと思ったことです。
 以上です。
○永井座長 どうぞ。
○田中構成員 全国B型肝炎訴訟原告の田中です。
 原告、被害者の立場から2点だけ言わせてください。
 1点は、先ほど被害者のアンケートについて報告されましたが、やはり被害者のアンケートを、被害者の実態ということをぜひ論点に加えていただきたい。それが1点です。
 2点目に、やはり予防接種制度だけではなく、厚生労働省の行政の仕組みそのものを何らか提言できる、再発防止につなげられる、そこまで提言をしていただきたいという論点です。
 1点目の被害者の立場というのは、これは御存じのとおり、今回の検討会、2011年6月28日の厚生労働大臣と原告団・弁護団との基本合意に基づいて、この感染拡大、実態を明らかにし、再発防止をやろう、検討しようというのがこの検討会ですので、この感染拡大の実態は論点に外すことはできませんし、それがやはり全体的に貫くことが必要かと思います。
 2点目の制度・仕組みの問題で、それぞれ縦軸で、国だとか、地方自治体だとか、市町村、あるいは医療従事者、そして国民までのつなぐ縦軸というところでどこが問題なのかという、まだ国はこれからになるかと思いますが、明らかになってくる、その縦軸のつなぐ問題はなかったのか。いわゆる通達の行政、あるいは副反応・副作用がちゃんと伝わる仕組み、そういった縦軸と、それから、何人かの方が言っていらっしゃいました、過去はそうであったけれども、現在はどうであったのか。そして、今後はどういうふうになっているのかという時間軸は今の、例えば副反応事例だとか、あるいは予防接種の被害者の救済制度が、今、どうなっているのかということは再発防止に非常につながると思います。
 というのは、予防接種被害救済制度そのものが私たち原告は使えなかった。だからこそ、裁判を起こし、時間がかかったかもしれないけれども、それでは、被害者があった場合、もちろん、手技だけではなくワクチンにも問題があった場合、それは今の予防接種救済制度であるのでしょうが、それでは、本当にそれが、今、機能しているのか、どうなのか、そういう時間軸でぜひ検証していただきたいですし、そして、そういった仕組みが第三者から見て正当かどうか。
 つまり、厚労省の中だけではなく、評価・検討組織だけでなく、外から、それは三条委員会になるのか、八条委員会になるか、わかりませんが、そういった外から見る目、そして、それは被害者もきちんと入っている、そういった組織でないと、この制度というのはきちんと機能しないのではないかと思っています。
 ですので、その2点について、ぜひ論点に加えていただきたい。
 以上です。
○永井座長 どうぞ。
○八橋構成員 B型肝炎感染がこのように広がった理由、考察の中に医学的なコメントがない点が気になりますので、補足したいと思います。
 私は現在も肝炎の患者さんを診ていますが、B型急性肝炎の方の感染経路を同定することは現時点でも難しいのです。明らかに誰かと濃厚に接触したというエピソードがない限り、普通の生活をされていたのにB型急性肝炎を発症したという経緯だけでは、どこでいつ誰から感染したか現在もわかりません。B型肝炎ウイルス感染症の巧みなところがあるからです。このウイルスの潜伏期は短くて1カ月、長ければ半年ですので、発症する半年から1か月前に何があったのかということを考えないといけない。ウイルス感染症ですから、感染源の方と感染経路があるわけですけれども、それの同定、証明は今も難しいのです。
 予防接種がB型肝炎感染の感染経路となりうる可能性としては以前から指摘されていたと思います。しかし実際に予防接種でB型肝炎感染が起きた事例報告は少ないと思います。B型肝炎ウイルスは実に巧みなウイルスです。現在においても医学的な感染経路の証明というのが難しいということを念頭に置いた上で、改めて行政的にどうすべきだったのかというのを議論していただくのが良いと思います。
○永井座長 どうぞ。
○梁井構成員 梁井です。
 対応が遅くなったということで一緒に考えていただきたいのですけれども、ディスポーザブルの使用がおくれた。しかし、ずっと聞いていましたら、医療現場では、病院とかではディスポになっていたのに、なぜか予防接種だけは10年もおくれている。そこはどうしてなのだろうか。やはり、そこのところは効率性なのか、それとも現場の人たちの認識の違いなのか、そのあたりはもうちょっと分析をしていただきたいと思います。
 それから、資料5の裏の一番最後の○なのですけれども、医療従事者の医学の基礎教育という、教育のことを述べてあるのですが、やはりB型肝炎患者で差別、偏見とか、大変つらい目に遭ったというコメントもよく聞きますので、その教育はとても大事なことだと思うのですが、それに加えて、今はB型肝炎というのも、感染症というのははっきりわかっているのですけれども、今から先もどういう感染症が出てくるかわからないのではないかと素人としては思うのです。ですから、感染症に対してのきちんとした知識というものを医療従事者の方には押さえていただきたいというのですか、間違った性感染であるとか母子感染であると言われた私たち原告の仲間もたくさんおりますので、そのあたりを医療従事者にはきちんと押さえていただきたい。
 それから、奥泉構成員のほうからも言われましたけれども、B型肝炎患者が、現在は自分は肝炎で苦しんでいるということを自分でも納得しているのですが、国と私たちが裁判で争う前に、やはり注射針で、医療現場で肝炎が拡大している、それは早くからわかっていたことですから、その責任というか、裁判とかと全く別で、早くに行政はそこをどうにかしていただきたかったと思います。今も亡くなっている命も、早くに自分が肝炎に感染していることがわかっていれば亡くならなかった。今、苦しんでいる人たちも、早くに治療を始めていればこんな思いもしなくてよかったと思っている人がたくさんいると思うのです。行政の対応というのをどうにか、今のままでなく、もっともっといいシステムをつくっていただきたいと思います。
 以上です。
○永井座長 それでは、どうぞ。
○?橋構成員 私は行政制度を研究している者でございます。報告書においては、国・地方関係かが議論になっているのですけれども、ここで指摘されていないのは、予防接種法上のいわゆる事務が、当時は機関委任事務だったという点でございます。したがいまして、国側の通達もきちんとした拘束力を持っていたということだと私は理解しています。
 したがいまして、地方のばらつきがあるというのは通常の機関委任事務体制の中では余り考えられないことなので、そこには、ある種の国庫負担の問題であるとか、リスクに対するいわゆる認識が、要するに国を統一してやる程度の必要性がなかったという認識があったのかとか、いろいろな要因があって、こういうばらつきが生じたのだろうと思うのです。その辺についての法的な仕組みを踏まえた上での適切な評価というのが報告書にはまだ表現されていないという感想をもちました。前回、負担の問題が多少議論されましたが、その辺との関係においてもう少し分析を加えていただければありがたいなと思います。
○永井座長 それでは、山本構成員どうぞ。
○山本構成員 お疲れのところ申しわけないのですが、一番最後に出しています山本の資料で、時間を短縮してしっかり読んでいきたいと思います。
 私は患者会の立場から話をさせていただきます。私はB型で35年間の闘病生活をしておりますが、患者団体ですので、C型にも触れさせていただきます。
 ここに書いていますように、議論とか資料から医学的な知見と対策の系譜ということで、1番目と2番目につきましては、やはり血清肝炎、血液から感染することがわかっていたということが書かれておりましたということでございます。
 3番目には、犬山シンポジウムで、血清肝炎が慢性化することを初めて知ったということで、当時はこの状態であったと捉えています。
 4番目なのですけれども、昭和39年にライシャワー事件が起こりまして、売血から献血に一本化されたわけなのですが、ライシャワー事件が起こらなかったらもっと対応がおくれたのではないかなということで、この辺に対しましても、やはり当時の厚生省の体質があるのではないかなと思います。
 5番目は、B型が非常に感染性が強いことがわかったということです。
 6番目のところで、昭和50年代になってB型に対しましての医療の中での考え方がわかってきたと書かれております。
 それから、下のほうなのですが、感染者数は、B型とC型とを見ていただきますと、こういう数字でございます。
 患者数は、B型が7万人、C型が37万人。
 死亡数は、これは厚労省の平成23年度の人口動態統計からとった資料なのですが、3.7万人ぐらいです。比率はB型が2、C型が8でございます。ですから、B型が悲惨なのですが、C型もそれにも増して悲惨だということを御認識していただきたいと思います。
 それで、B型とC型の検査法の確立でございます。
 主な感染経路でございます。
 医療費助成の目的は、B型は2次感染防止、C型はウイルス排除という限定がございます。
 治療方法につきましても限定がございます。
 次のページに行きまして、対策などの歴史ということが書いてございます。
 昭和55年ぐらいから患者会が発足してきた。治療法ですが、1988年にB型にインターフェロンが使えますということになりました。C型につきましては、平成4年にインターフェロンが保険認可されました。それから、B型の核酸アナログ剤で、これは平成12年に保険認可されましたということで、このころから治療方法ができてきた。それまではなかなか治療方法がなかったのが現状でございます。
 評価なのですが、B型は慢性化するのは、当初は判断がなかなか難しかった。しかし、血清肝炎はC型もあって、肝硬変・肝がんに進むのはわかっていたと思いますので、やはり対策をもっと早くとるべきだった。先進国の患者数は日本に比べまして非常に少ない。だから、やはり20年から30年、対策がおくれたのではないか。
 それから、輸血につきましても売血制度がずっと続いておりまして、ライシャワー事件から売血制度が献血制度に変わってきたということで、ここも10年間ぐらい対策がおくれているということです。
 もう一つ、4番目なのですが、多くの感染者がいるだろうとわかっていたのであるから、ウイルス検査導入、これは平成14年なのです。感染者が多いということはもう昭和の時代にわかっていましたし、治療法も昭和の終わりぐらいからできてきていますので、10年から15年、ウイルス検査導入がおくれたのではないかなと思います。
 6番目は、話が出ましたが、多くの患者支援を早くするために、医療費助成、身体障害者認定、これも10年くらいおくれているのではないでしょうかということです。
 提案なのですが、現在、医療費助成は、一番困っている重度の肝硬変患者とがん患者にはございません。核酸アナログ剤とインターフェロンしかないわけで、肝硬変の治療、肝がんの治療には何にもありません。しかもインターフェロンなどは、こういう状態になると副作用がきつくて使えません。そういうことで、肝硬変・肝がん患者については医療費助成は何もないということで、ぜひ、この治療に対しまして医療費助成をしていただきたい。
 それから、身体障害者手帳の交付で、これも厳しい状況が3カ月続いている条件、あるいは肝移植者となっておりまして、厳しい状況の人は末期の肝硬変か、肝硬変と肝がんを併発している人なのですが、肝がんと肝硬変を併発している人は1週間から4週間、この状態になれば亡くなってしまいます。その結果、身体障害者の認定数は移植者を除くと、1年の死亡数は3.7万人と言いましたけれども、身体障害者手帳の交付は1割程度しか認定者数はなっておりません。ですから、私どもの病気に即した認定基準にしてください。
 この1番目と2番目をぜひ進めていただきたいということでございます。
 視点を変えまして、今もいろいろ話が出ましたけれども、現在もこれと類似したような誤りがないか、やはりチェックしていただきたいと思います。失敗はつきものですので、速やかな対策をとられることを提案しますということでございます。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 まだ御意見はおありかと思いますが、大分時間をオーバーしましたので、もし御意見があればメール等でお寄せください。
 きょういただいた御意見につきましては、事務局で整理をいただいて、次回、さらに検討していきたいと思います。
 次回は、本日の論点の議論及び新たに報告される調査結果を踏まえまして、再発防止策の検討とまとめの議論を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。
 事務局から連絡事項をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 次回の日程及び開催場所につきましては、調整中でございます。決まり次第、追って御連絡をさせていただきます。
 本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
○永井座長 どうもありがとうございました。


(了)

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