ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第2回社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録




2013年3月26日 第2回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成25年3月26日(火)16:30~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 講堂


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 清水惠一郎
高橋直人 池上秀樹 村岡晃 伊藤弥志長 飯山幸雄
仲野彌和 杉田久雄 時任基清 竹下義樹
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 竹林保険医療企画調査室長他

○議題

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定について

○議事

16時27分 開会

○遠藤座長 それでは、まだ少々予定の時間よりも早いのですけれども、委員の皆様が全員御着席でございますので、これから「第2回社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。
 まず、委員の出席状況でございますが、本日は、江口委員、笠木委員、嘉数委員が御欠席でございます。
 それでは、議事に移らせていただきます。
 初めに、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定についてを議題といたします。
 事務局より資料が出されておりますので、説明をお願いしたいと思います。事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長 事務局でございます。
 お手元の資料でございますけれども、あ-1、あ-2という2つの資料がございます。これらの資料をまとめて説明させていただきます。
 まず、あ-1でございます。1ページ目でございますが、前回の委員会での各側からの御発言を表にまとめたものでございます。左から、有識者委員の御発言、保険者代表委員の御発言、施術者代表委員の御発言という順序で並べておりまして、上から、改定率について、それから適正化項目について、それから中長期的な課題についてという順序でまとめさせていただいておりますが、これは前回の御議論ということでございますので、ここでの詳細の説明は省略させていただきます。
 続きまして、2ページ目でございますが、これは前回の、この委員会ではなくて、柔道整復療養費の委員会のほうで事務局から出させていただいた各種データにつきまして、元データをどのように作成しているのかという御質問がございましたことを受けまして、そのデータのとり方について資料を準備いたしました。この元データというのは、本日出させていただいているデータについても、このあん摩、はり・きゅうについても同じデータでございますので、この委員会においてもデータの説明をさせていただきたいと思います。
 毎年、いわゆる協会健保、それから国民健康保険、それから後期高齢者医療制度におきまして、10月の1カ月分の施術に関する療養費の支給申請書を一定の抽出率で抽出いただきまして厚生労働省に御提出いただいております。これを私どものほうでは「頻度調査」と呼んでおりますけれども、この頻度調査で抽出いただいた申請書から各種データを集計するということをさせていただいております。
 抽出割合につきましてはこのページの表にお示ししているとおりでございますが、国保について少し説明が必要でございます。例えば、はり・きゅうについてごらんいただきますと、まず「1/10」とございまして、その横に「(1/2)」と括弧書きで書いておりまして、その上さらに※をつけております。※の注釈が表の下にございますけれども、国民健康保険につきましては、都道府県ごとに被保険者の数のおおむね5分の1をカバーするように、まず市区町村を選定していただいた上で、当該選定されました市区町村において、一定の抽出率で抽出していただいているということでございます。はり・きゅうの例でいきますと、まず、市区町村を選定する段階で、おおむね5分の1の率がかかっていて、その上で括弧書きの中の2分の1という抽出率がかかりますので、全体から見ますと抽出率はおおむね10分の1となるというのが、この表の読み方でございます。
 なお、元データは、この資料でお示ししてございますように、協会健保、国保、それから後期高齢の申請書だけでございますけれども、これをもとにして必要な調整を行った上でデータを作成しているということでございます。
 次に、3ページから5ページ目、データ編でございますけれども、前回の委員会で江口委員から、往療などの実態がわかるデータをもう少し追加で出せないかという御要請がございましたので、それを受けまして用意をさせていただいたデータということでございます。
 まず、3ページ目でございますけれども、「あん摩マッサージ、はり・きゅうの療養費に占める往療料の割合」ということでございます。これも元データは私どもの頻度調査ということでございますけれども、その抽出の対象となっておりますいわゆる協会健保、それから国保、それから後期高齢者医療制度、この3つの制度につきまして、それぞれごとに往療料が療養費に占める割合を出させていただいております。これを見ますと、あん摩マッサージのほうは、各制度ともほぼ均一な形で6割を超える率となってございます。これに対しまして、はり・きゅうについては、制度間で比率がかなり異なっておりまして、いわば加入者の高齢化率に応じた率になっているような形になっております。
 ただ、あん摩マッサージ指圧につきましては、そもそも対象疾患が筋麻痺でございますとか関節拘縮などとなっている点にも留意が必要かと存じます。
 続きまして、4ページ目のデータでございます。これは、まず、あん摩マッサージ指圧療養費につきまして、1カ月間の往療回数別に支給申請書を区分いたしまして、それぞれの構成割合を見てみたものでございます。このグラフにおきましては、回数を基本的に4の倍数で区切っております。と申しますのは、1月がおおむね4週間ということですので、例えば月4回までですと週1回程度まで、月8回までですと週2回程度までという具合に頻度が感覚的にわかりやすいであろうということで、そのように区切らせていただいたものでございます。
 これを見ますと、0回ということが12.8%ということで、逆に言えば、9割近くの利用者の方に往療が行われているということでございます。それで、0回を含めた月4回までの割合が35%程度でございまして、他方、13回を超えるようなもの、すなわち、おおむね週3回を超えて往療が行われているようなケースも15.1%あるということでございます。
 5ページ目は、同じことをはり・きゅうについても集計をしてみたものということでございます。はり・きゅうの場合は、0回の比率が88.2%ということでございまして、頻回な往療についても、あん摩マッサージと比較すれば、相対的には少ないということでございます。
 最後の6ページ目につきましては、療養費について、あん摩マッサージ指圧やはり・きゅうと区分した形ではなくて、柔道整復も含めた療養費全体のトータルの水準を都道府県ごとに比べるとどうなるかという形で見たいという御要請がありましたことを受けましてグラフ化したものでございます。これを見ますと、一番高い大阪府と一番低い鳥取県の間で約14倍の違いがあるということでございます。
 以上が、あ-1の資料でございます。
 次の、あ-2の資料が、料金改定、療養費の改定についての事務局案ということでございまして、前回の委員会で座長から、事務局案をということでございましたので、それを受けまして提示させていただくものでございます。
 まず、1ページ目でございますが、あん摩マッサージ指圧療養費の改定案でございます。
 まず1つ目に、改定率といたしまして、これは、「0.00%」ということでいかがかということでございます。理由といたしましては、前回の専門委員会において、施術者側からは、近年の療養費の伸びは正当なものという主張があった一方で、保険者側からは、引き下げるべきという強い要請があったということ、それから、平成24年度の診療報酬改定率が0.00%であったということも踏まえて、こういうことでいかがかということでございます。
 それで、その0.00%の中での内訳ということになりますけれども、それが2.の適正化すべき項目と、3.の評価を引き上げる項目ということでございます。
 まず、2.の適正化すべき項目ということでございますが、これについては、往療について適正化を行うという趣旨で、現在1,860円という往療料を1,800円に引き下げるという形でどうかということでございます。
 これに対しまして、給付を引き上げる項目として、3.の表でお示ししているとおりでございますが、マッサージや変形徒手矯正術といった手技の部分の評価を引き上げることとしてはどうかということでございます。
 以上が料金改定についての事務局案でございますけれども、4.が適正化のための運用の見直しということで、直接的な料金改定以外の運用の見直しということでございます。
 まず、1番目でございますけれども、患者さんが施術者から経済上の利益の提供を受けて施術を受けるような場合には、療養費を不支給にするというルールとしてはどうかということでございます。
 2番目でございますが、支給申請書の基準様式におきまして、申請者の郵便番号あるいは電話番号の記載欄を追加することによって、保険者などが必要に応じて行う患者照会をより円滑に行えるようにしてはどうかということがございます。
 3番目でございますけれども、やはり支給申請書の基準様式に、施術者登録番号または免許番号の記載欄を設けることによりまして、施術が有資格者によって行われていることを容易に確認できるようにしてはどうかということでございます。
 それから、4番目でございますが、やはり支給申請書の様式の中に、施術者住所の保険所登録区別、すなわち、基本的に、通ってこられる患者さんに対して施術所で施術をする形態なのか、あるいは出張専門の形態なのか、そういった区別についての記載欄を設けることでいかがかということでございます。これによりまして、施術者の業態別に療養費の給付状況を把握することが可能になってまいります。
 最後に、5番目の施行期日でございますけれども、周知期間を確保する観点で、本年5月1日施行としてはいかがかということでございます。
 以上が、あん摩マッサージ指圧療養費の改定案の事務局案でございます。
 続きまして、1枚おめくりいただきまして、はりきゅう療養費の改定案(事務局案)ということでございます。
 改定率につきましては、あん摩マッサージ指圧の場合と同じ理由でございますけれども、全体として0.00%でいかがでしょうかということでございます。
 その内訳が2番目と3番目でございます。2番目でございますが、給付を削減する方向の改定としては、あん摩マッサージと同様に、現在1,860円の往療料を1,800円に引き下げる形で往療の適正化を図るということでいかがかということでございます。
 これに対しまして、評価を引き上げる項目が3番目でございますけれども、この表でお示ししているとおり、初検料、それから施術料の評価を引き上げることとしてはどうかということでございます。
 以上がはりきゅうの療養費の改定についての事務局案でございますけれども、4番目は、この料金改定以外の運用の見直しの案でございますが、この内容につきましては、あん摩マッサージと同様でございますので、説明は省略させていただきます。
 最後に、5番目の施行期日でございますけれども、これについても、あん摩マッサージ指圧と同様、周知期間を確保する観点で、本年5月1日施行としてはいかがかということでございます。
 事務局からの資料については以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、また別に、仲野委員、杉田委員、時任委員、竹下委員の連名で資料が提出されておりますので、御報告をお願いしたいと思います。
○仲野委員 鍼灸に関して私からちょっと御説明申し上げたいと思いますけれども、私どもが望んでいる料金はこれくらいのでということで料金の改定を見ましたけれども、特に電療料に関しては、ほかのものと違って、どんな方法をとっても30円の加算だということですから、これを変えていただきたいということでございます。
 そして、3ページ目に記してありますけれども、はり・きゅう施術料は、平成12年度料金より値下げした料金でありながら、この間、我々の鍼灸マッサージ推進協議会は、施術録の整備をし、感染症の予防対策としての衛生面を特に重視しながら、高圧滅菌ないしはディスポ鍼の使用、使用済み針の医療廃棄物での適正な処理の義務化に努めてきました。そしてまた、平成24年4月には、医療器具類、あるいは治療用ベッド類、あるいは電気、低周波等々の機器、あるいは衛生材料、消耗品等について、市場調査の結果、12年間の価格に対して物価の上昇があるにもかかわらずそのまま据え置かれている。今般の療養費の改定に当たり、この義務的な経費の増加が手技療法、技術料として反映していただきたい、こんなことを思っております。
 そして、料金表としては、次に掲げてございますけれども、要望の一番大事なところは、実は施術料そのものに関しては、平成12年、私ども、平成22年、昨年に比べても、初検料が新設されているとは言いながら、施術料そのものに関しての評価は低いままであるということでございます。
 そして、主な料金の改定要望についての問題点は、4年前の改定時には、電療料が、それぞれ電気鍼あるいは電気温灸器あるいは電気光線器ということで3つの請求ができるようになりました。平成22年度以降、療養費の取扱推計の調査時には、電療料の請求内容もあわせて調査していただくことになった。その結果、2種類の器具の使用が最も多かった。しかし、電療料に加算料金はなく、1つでも3つでも、器具を幾つ使用しても30円のみであるということでございます。そして、毎回の料金改定時には要望しますが、加算料金を認められずに今日に至っているので、改定率がもし医科の外来の2分の1が原則だとすれば、ちょっと面倒を見ていただきたいと思っております。
 そして、柔整の電療料というのは、温罨法料75円と電気光線を併用した場合には30円を加算できるようになっています。そして、マッサージに関しても、部位数に関係なく1回について70円と電療料30円加算の100円でありますけれども、鍼灸は、なぜか、電療料は幾つ器具を使用しても加算がなく、1回につき30円のみである。そして、このごろは、鍼灸師の就業者は実際9万人いる。これは、きゅう師は若干少ないのですけれども、平成22年の衛生行政報告から拾いますとこういう数字が出ますけれども、療養費におけるはり・きゅうの1人当たり取扱高は年間35万円ということで、御存じのように、鍼灸は自費診療をやっておりますから、その自費も大変厳しくて、私ども業界内の調査では、年間何と250万円という数字が出てきているんですね。食えない、食べられない、大変な状況に置かれているわけで、鍼灸師がどんどんふえる中で何とか、学校もできていますけれども、都市化しているわけで、その分偏りがある。だから、全体としては申し上げなければいけないことが山ほどあるのですけれども、いずれにしても、生活を考えると大変厳しい、何とか、同意書までついている鍼灸療養費にはもう少し面倒を見てもらわなければいけない、こんなふうに思っております。
 後ほど、いろいろなことについても申し上げたいと思っていますけれども、あと、マッサージに関しては杉田先生からお願いしたいと思っています。どうぞ。
○杉田委員 杉田でございます。
 マッサージについては、1局所について、現行260円を400円にしていただきたい。要するに、260円ということで、現実にこのままで行ったら、マッサージではそれこそ生活ができないというような状況にあるということでございます。それから、変形徒手矯正術については、現行535円を850円にしていただきたい。これは、いわゆる柔道整復師のものと比べて、我々がどうしてこんなに差があるのかなと。やはり同じ3年間の学校を卒業して、同じように国家免許を取って、それなのにこの大きな差というのは何なのだろうかということが1つあります。
 そして、温罨法もそうですが、あん摩マッサージ指圧師の就業者数は、平成22年で、厚生労働省の発表した衛生行政報告の例によると10万4,663人ということです。そして、療養費で割ってみますと、年間1人50万7,000円ぐらいになるということは、実際に新卒の、そして免許を取ったばかりの人たちがこの仕事につけないというのが現実でございます。この仕事につける人はせいぜい3分の1ぐらい。3分の2ぐらいの人たちは、生活ができないからということで、免許は取ったものの、この仕事につけないというのが現実だということでございます。
 そして、平成16年から平成22年までの間にこの料金が削られていっている、減額されていっている。そして、一部は、ごく一部、マッサージの施術料金が240円から260円になったとか、変形徒手矯正術が520円から535円になったというのはありますけれども、これは、このときもたしか往療料が下がってということでのバランスの問題でこんなふうになったのだと思っております。
 そして、ずっと、今回大きな要求等はしていないのですが、温罨法において、柔道整復師は部位ごとに請求できるわけですね。それに比べると、我々としては、1回について幾らという請求の仕方しかできない。これも、今回はこれが反映できないとしても、中長期的な視点でこのことも検討していただきたいと思っています。
 それから、往療についてですが、これは、料金改定と直接関係ないように思うかもしれませんが、これもなかなか関係がありまして、定期的・計画的往療制度の創設ということでございます。それはなぜかというと、往療については、定期的・計画的ではいけないということで、保険者側から、これは定期的・計画的だからということで不支給であるというようなことがたびたび行われています。これは、今、介護保険の時代になって、介護保険は定期的、それこそ計画的なものなわけですね。そうすると、ここに往療しようとするときには、当然、そこの定期的・計画的に介護保険でやっている、その間をということになると、必然的に定期的・計画的にならざるを得ないということがあります。ですから、これについては、「定期的・計画的往療制度」ということで、往療ということの今までの考え方を少し変えるような方策を考えてほしいと思っています。
 あとは、中長期的なこと、どっちかというと中期的ということなのですが、一部負担金でかかれる制度にしてほしいと。要するに、今、かなり生活に困っている人たちがふえている中で、100%、10割を支払って後で還付されるというような方法ではなくて、何とかこの一部負担金でかかれる制度を検討してもらいたい。そうしないと、患者さんが我々はり・きゅう、マッサージにかかることを少しずつ減らしていかざるを得ないというようなことがある。この辺を配慮していただいて、一部負担金でかかれる制度にしてほしいということを思っています。
 きょうは療養費の改定のことなので、これは要望ということで理解していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、時任専門委員、お願いします。
○時任委員 一部の保険者の皆さんからは、あん摩マッサージ指圧について往療料が異常に多いという御指摘があるようですが、これは、もともとあん摩マッサージ指圧の対象疾患が麻痺と関節拘縮でありまして、これについては、本来は保険医療機関で医療を受けるべき疾患であるけれども、移動が困難な者についてマッサージ師が往療して施術をするということになっておりますので、往療料が、例えば鍼灸と比較して多いのはごく当然なことだとお考えいただけないかと思います。
 余分なことですが、あわせて申し上げますと、ごく最近のごく一部の保険者だと思いますが、同意をした医師のところに、なぜ同意したかというような問い合わせをして、はっきり言って圧力をかけていると思われる向きがあります。これは、例えば療養費についての医療課の保険局のホームページには、Q&Aでその辺をはっきり示してあるのに、これをごらんにならないのか、あえて無視してそのような働きかけがあるということを大変心配しております。
 それから、我々のまじめな業者、会員のまじめな業者と、全く別に、一部の株式会社等が運営している施術所で、つまり幾つも施術所があって、遠距離、遠距離と往療するように計画をするという模様があります。これについては、御指摘のとおり、問題だと私どもは考えております。
 最後に、先ほど杉田会長から申し上げましたところではありますが、往療というものと訪問施術というのは、私どもはこう考えております。医療の場合に、患家の求めに応じて行って診療するのが往診でありまして、最近出てきている訪問医療というのは、計画的・定期的に医師が巡回するような形で在宅医療を進めている。これに相当するような訪問施術を今後新たに立ち上げていただくことが必要だと。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 事務局からの御説明と、あと施術側からの御説明がございましたけれども、ただいまの説明に対して何か御意見、御質問ございますでしょうか。どなたでも結構でございます。それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 3人の方の追加の意見でありますが、私たちは視覚障害者の職業の中心であるはり・きゅう、マッサージというものの施術によって、十分な職業的自立が成り立つようにしていただきたいというのが結論でありますけれども、2つ申し上げたいと思っております。
 1つは、もともとはり・きゅう、マッサージにおいては、医師の同意書に基づいて治療が行われているということ。したがって、その限りにおいては、往療においても、常にそれは医師の判断あるいは診察という前提のもとでその必要性が判断されているということを十分に御理解いただきたい。したがって、往療というのはもともと、時任委員も指摘したように、通院が困難な患者に対して往療という形での施術が予定されているからこそ往療料が支給されているわけでありまして、そうした正当性のある往療料を減額するというのは、極めて残念なことであると言わざるを得ません。ましてや、技術料が極めて低い評価を受けているということは、3年間あるいはそれ以上の学業を積んだ上での有資格者に対する評価としては、極めて低いものであるということは十分に考慮いただきたい。そのために、視覚障害を持つはり・きゅう、マッサージ師の年収が150万円以下の者が圧倒的な比率になっていることは極めて問題だと思っておりますので、そうした点をも十分に考慮いただいて、はり・きゅう、マッサージの報酬単価というものを設定していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。仲野委員。
○仲野委員 よろしいですか。今、竹下委員から発言されましたけれども、1つは、私のはちょっと違うんですよ。鍼灸というものに対する将来の像が少し大きく、医療として何とかしなければいけないという思いがありますから。ただ、かつて厚生労働省は、福祉の問題と私どもの鍼灸あるいはマッサージというものに対すると、同じように抱き合わせることによって安易な方法をとってきたと思うんです。これは制度の問題ですからまた叱られますけれども、大事なことは、医療としての価値観のある鍼灸を何としても残したいと思っていますから、竹下先生は、立場上ああいう発言をされていますけれども、はっきりとこれはもう線引きしなければいけない。私どもの間では同意はできていると思っていますから、ぜひ医療は医療として扱っていただきたい、こんなふうに思っています。
○遠藤座長 今後の制度の議論をするときの御意見ということで捉えさせていただきました。
 ほかにございますか。それでは、池上委員、お願いいたします。
○池上委員 先ほど事務局のほうから、今回の改定率に関する考え方のペーパーの御説明があったわけですけれども、前回のこの専門委員会で保険者の財政の状況、それから賃金ほかの動向等々、いろいろ御説明を申し上げて、我々としては、ぜひ今回は引き下げの方向で考えていただきたいという要望を述べさせていただいたわけですけれども、きょうこの段階においても、その考え方は、基本的には変わっていないということをあえてちょっと申し上げておきたいというのが1つです。
 それから、先ほど往療料の話が出ました。私も今回、事務局から配られた資料で、あん摩マッサージ指圧の療養費の6割強が往療料だといったときに、今、その往療料の定義が、「やむを得ない場合」という表現になっていますが、一般感覚論的に言えば、やむを得ない場合が金額のトータルの6割以上を占めるという現状は、保険者の立場から考えると非常にしっくりしないというのはおわかりいただけるだろうと思います。ただ、施術者の皆さんからすれば、いや、それは必要な方だけなんだよということなのかもしれません。
 それで、この前に行われた柔整療養費の専門委員会で、会計検査院の指摘等を踏まえた議論も若干出たわけですけれども、その中に1つ、やはり適用のルールの明確化を図るべきという考え方が書かれているところがありまして、それはまさに、このあん摩マッサージの往療料の定義にも言えるのではないでしょうか。要するにやむを得ないという日本語は、もう百人百色の判断をしてしまう、そういった非常に曖昧なルールになっているからこそ、これだけ立場の違う発言になり、実態になり、それが結果としてお金として動いているということになるのだろうと思います。そういう意味で、ここでの議論を踏まえてということかもしれないですけれども、やはり一定の例示を示す必要があると思います。保険者としても、例えば加入者に対して、往療料というのはこういう考え方のものなんだと啓蒙していくときに、ほぼ同じ感覚で得られるような例示がないというのが一番の問題なのではないかと思います。どちらかというと業界団体ではなくて、事務局において、できるだけ速やかにそういったことを検討していただけると、この問題は大分大きなギャップを持った議論にならないということにはつながるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 何か事務局からコメントございますか。では、事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長 往療料につきましては、今回、事務局として適正化ということで料金を引き下げる案を提示させていただいております。その背景として、確かにあん摩マッサージの場合には6割という高い率があるということもございます。ただ、他方で、先ほど私も申し上げましたように、また施術者のほうからもお話がございましたように、あん摩マッサージの対象疾患が筋麻痺でございますとか、関節拘縮であるということもまた踏まえなければいけないということだと思います。かつ、これも繰り返しになりますけれども、あん摩マッサージの場合は、往療については、往療ということについてのお医者様の同意をとる仕組みにもなっている。このあたりをトータルに考えてどうかということかと思います。
 あと、やむを得ない場合、確かに具体的な例示をできる限り研究していきたいと思いますけれども、基本的に念頭にあるのは、やはり麻痺で体が動かないという場合に、どうしても通所が難しいというケースは出てくると思いますので、そういったことを1つの典型的なパターンとしては念頭に置いているということでございますが、引き続き、御指摘を踏まえて、研究、検討のほうはしていきたいと存じます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 池上委員、お願いします。
○池上委員 今、事務局から1つのルールとして医師の同意というお話がありましたけれども、私が先ほど申し上げた定義が曖昧というのは、その同意をされる医師も判断にお困りになるのだろうと思います。そうすると、先ほどの資料にも書いてありますけれども、保険者が何か無理やり、何で同意したんだみたいな話をしているかしていないかわかりませんが、そういった話につながっていくのかなということで、医師の同意を前提にしているから、そこは適正にある程度運用されるのだという考え方は、ちょっといかがなものかというのが私の感想です。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 それでは、杉田委員、お願いします。
○杉田委員 この往療については例示されているんですね。Q&Aが出たと思うのですけれども、その中に、歩行困難と真に安静を必要とするやむを得ない理由などとはどのようなものかというのに対して、きちんと例示されていますね。ですから、全く例示されていなくて、解釈の仕方がいろいろあるというのではなくて、解釈の仕方は幾つかにQ&Aの中でやっているということが一つです。
 それからもう一つ、現行の往療料ですけれども、1,860円です。それに対してマッサージ260円。そうすると、マッサージをもし1局所しかしないでも往療したとすれば、その率からすれば、当然6割どころではないわけですね。ですから、往療料が高過ぎるのか、施術料が安過ぎるのかということだと思うのですね。ですから、施術料がこの値段で多分、普通の人が考えたら、こんなことで仕事ができるのかというくらいの安さだと思うんです。ですから、これをこのまま、往療料が6割以上を占めているのはおかしいというのは、この仕組みが、往療料と施術料の関係なんだと思うんです。ですから、この関係が変わってくれば、当然変わってくるはずなんです。
○遠藤座長 よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、時任委員、お願いします。
○時任委員 2件申し上げたいと思います。柔道整復師の施術と私どもの施術を同列に論議していただくことは大変迷惑だと考えます。それは、柔道整復師は、御自身の判断で、打撲、捻挫には医師の同意書添付なしに施術を行うことができる。私どもは、あくまでも医師の同意、つまり、ある意味では処方指示に近い指示を受けて施術をしているわけですから、そこを御一緒にしていただきたくない。
 それからもう一つ、さっき申し上げたことのちょっと追加になりますが、医師の場合には、医療機関の場合には、法人としては医療法人、これは必ず医師または歯科医師が理事長でなければならんということですが、私どものほうは、株式会社が経営できるというところに1つの問題点があるのだと私は考えております。これは今後の問題であります。
 それから、医師の同意について、これは、例えば鍼灸の場合に、医療が適切に効果を上げないと考えられる場合に鍼灸に同意ができるということになっておりますが、初診日に同意して差し支えない、そのときに診て、これは鍼灸のほうがよいと考えたら、医師が同意して差し支えないとなっている。これはQ&Aをごらんいただければわかりますが、なっているのにもかかわらず、初診日に同意したのはどういうわけだということでの問い合わせを同意した医師のところに何度も反復して問い合わせが来るということで、医師が同意を嫌がるという状況をつくっております。これはある意味での圧力だと考えています。そういうことでなく、医師がしっかりと診察をして同意したものは、お認めいただくというのが筋ではないかと考えます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに。それでは、池上委員、お願いします。
○池上委員 今ほど往療料に対する例示のお話がありましたけれども、そのQ&Aは私も実は読んでおります。ただ、私が先ほど申し上げた趣旨は、その例示が、現場の皆さんの実態をかなりカバーしている例示であればいいと思うのですけれども、そうでない事例で、かつ、今の制度の考え方の中できちんと往療料を支払うべきというものがほかにもっとあるのであれば、そこをある程度カバーできる例示を厚生労働省の事務局にはお考えいただきたいという趣旨もありますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
 それともう一点、先ほど来、全体の収入の話が大分色濃く出されておりまして、これではせっかく資格を取っても仕事としてやっていけないという話がありましたけれども、これは療養費という保険給付の範囲内での金額の話だと私は理解しておりまして、それ以外の保険外の収入というのは、当然それなりにおありになるのだろうというのが、私の数字的根拠のない感想であります。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございます。では、清水委員、お願いします。
○清水委員 私は内科の公益の立場からお話しさせていただきます。
 今、医師の同意書のお話が出てまいりました。確かに往療含めて、施療のスタートに当たって医師の同意書が必要です。これは基本だと思います。それは、かかりつけ医、主治医という方になります。そのときに我々が非常に困るのは、その方自体が割と疎遠で、定期的に通院なさっていない方でも、突然、同意書を書いてほしいと言われる方が時々あります。同意書を書くために、往診を我々するのかというと、できない場合があり、今までのカルテから類推すると、軽い脳梗塞で、麻痺があって、拘縮があるので施療の対象となる、との理解をします。
 よくある例は、整形外科へずっと通院して、ある程度固定した状態で、その中でリハビリもやったけれども、うまくいかない。それで、何とかマッサージでもどうかという、御家族を含めて、あるいは介護保険をやっていれば、ケアマネさんも含めて来ているわけです。そうすると、その方の本来的な状況が非常にわかりにくくてなかなか書きにくいところがあります。
 そこで困る例は、書類をお願いしますという中に、鉛筆で全部下書きをしている例がかなりあるのです。部位として上肢、下肢、体幹、この部分がどうも今回の対象であるというような書き方をされていて、なかなか医師としては、麻痺はこっち側だから反対側を削っていいかというと削れません。ですから、施療に当たり、なかなか把握できないままにスタートする例もあります。
 もう一つは、ある期間で、再度また同意書を書かなければいけない例も出てきます。我々医師も忙しいものですから、書類をいただいた中で書かざるを得ないとなると、それほど状況を把握せずに書いてしまう時があります。先ほど保険者からお話がありましたが、本来あってはいけない状態もあります。
 だとすれば、スタートのときに、この方はこういう状況にあるということを書いていただいて、さらに、それを1カ月、3カ月やった後、改善しているのか、していないかということも書いていただいて、それに対して医師が再度、同意するような文書がもう一つあってもいいのではないかと思っております。
 それから、定期的な医師の往診、いわゆる訪問診療と同じようなスタイルがよろしいのではないかという御意見がありましたが、これに関して私は1つ意見があります。医師というのは、18歳で大学に入って6年後、国家試験を受けます。その後2年間の前期研修、その後3年間の後期研修、それから大学に入って、それぞれ専門家になり、病院に勤務します。
 今、この施療の方々とおつき合いしているドクターは、ほとんどは開業医です。開業医のドクターは、一番早くても40歳で開業になります。ということは、かなり専門的な、いろいろな制度も含めて医療的なものを勉強しているスキルの高い者が開業しているわけです。ですから、施療者が訪問診療という形で組んでいる医師と全く同じようには評価できにくい。なぜかといいますと、今のところエビデンスが有りません。我々医師は、EBMという形で物事を、診断と治療をしています。必ずガイドラインがあります。ですからエビデンスを出して、ガイドラインをつくりながら、それに対しての裏づけをつくるということも作業として必要なのではないかと思います。
 それから、診療報酬の話もありまして、医師は再診料がずっと引き下げられております。ここに厚生労働省の方がおいでなので、10年ほどの流れを見ていただくと、74点、71点、69点とどんどん下がっています。ですから、これは全体の流れとしては引き下げの方向にある中で、どう努力するかは、やはり一つ工夫が要るのかなと思います。
 幾つか触れましたけれども、まずは医師の同意書の問題です。もう少し密になるような、内容の文書があっていいのではないかということ。さらに、施療の方も非常にお勉強なさっているかと思うのですが、患者のトータルは多分わからないのではないかと推察します。トータルがわかりながら、障害部分に処置をしていくというのも必要なので、その分は、やはりドクターともう少し密に連携していただいたらどうか、ということを御提案いたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 先ほどどなたかお手を挙げておられた方いらっしゃいますか。では、仲野委員どうぞ。
○仲野委員 先ほどの250万円というのは、実は大阪の業界内で、業界といっても、私どもの組織ですから、その中でアンケートをとらせた結果がそんな数字が出てまいりました。それは保険も含めてです。保険以外ももちろん入っているのですけれども、非常に低い。私も驚きました。私は実際もっとあるだろうと思っていました。実際大変低い。
 そのことが、実は、鍼灸師が鍼灸師を育てるというところがもうできなくなってきているんです。卒業して3年間、もちろん医師でもそうですから、6年間で出て、すぐに患者を診られるわけではないですから。私どもは、卒後研修というので一生懸命やれと言って、学会なり業団で一生懸命研修会をやっていますけれども、それにも属さない。なおさら、昔のように徒弟制度には今なじめないということで、私どものように5年間修行するというのは少なくなってきているんですね。そうすると、勢い鍼灸そのものが、かつていろいろなものを治せる可能性のあったものが、どんどん今はだめになってきつつあります。むしろ危機感さえ覚えています。ですから、そのときに指導することもできないし、本当にどこでやったらいいのか、いいかげんに厚生労働省さん何とかしてくださいという話で、中長期ばかりの話ですよ。私どもは、料金はもうどうでもいいと思っています。実際は、人を仕立て上げるためにどんな工夫をしたらいいのか本当に困っているんです。
 だから、保険者さんが言われるいろいろなことについてもよく理解できますから、できることならやりたいと思っています。ただ、価値観、技術料がついてこないと、やはりそこの部分ではなかなか多額の金額を取るわけにもいかないわけですし、研修期間もないということになると非常に困った状態に置かれてるのですね。
 だから、前回のときにも、学校の生徒がふえているけれどもどうなんだ、抑えなくていいのかと。もちろんそうありたいと思っています。ありたいと思っていますよ。それでも、地方に今まで学校がなかったわけですから、地方にできることによって多くの人が鍼灸という治療法を受けることができる状態になってきているということもあるんです。そして、そういうことは、ずっと前から出てきているデータの中で大変な違いがあることも、実はそのことが、こういう鍼灸というもの、あるいはマッサージというものが保険でもしかしたらかかれるかもしれないという普及活動にもなっているのだと思うんです。ですから、悪いところだけが進んでいって、大事なところが今、置き去りにされているという実情なんですね。だから、私どもは助けてほしいと思っていることが多いんです。済みません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、時任委員、お願いいたします。
○時任委員 時任です。先ほどドクターの委員の先生からお話がありました往療と訪問医療の関係ですが、訪問医療のドクターの指示を受けて、指示書を持った訪問看護師が医療の間を埋めて看護をしていただいております。これと同様に、例えば医師の指示を受けながらの訪問施術ということはあり得ると私は考えております。
 EBM、エビデンス・ベスト・メディシンということはありますが、これについては私ども業界も、関係の学会と合わせてできるだけ詰めていくように進めております。例えば、私どもあん摩マッサージ指圧師会は、大学に委託研究を発注といいましょうか、お願いして、できるだけしっかりしたエビデンスを確立していく方向で努力はしております。いましばらくこの点については御猶予いただきたいと思っています。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 杉田委員、お願いします。
○杉田委員 エビデンスについては、もう先生おっしゃるとおりだろうと思いますし、第1回目のときもそういうお話をいただきました。それに対して、我々もそれなりの努力をするつもりでいるし、そういう研修会というか講習会を既に始めています。そして、先ほど医師の先生に鉛筆書きということがあるという、これは本当に失礼な話だとは思うのですが、実は、医師から、どう書いていいかわからないからちょっと書いておいてくれというリクエストを受けてそういうふうにするということも、やはり現実にあるんですね。そして、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう、それぞれどういうものが対象かというのがあるのですけれども、その書き方によっては、医師の同意書があっても返戻されてしまうこともあるんですね。ですから、その辺は、我々ももっともっとお医者さんに同意書を書いていただくときに、やはり情報を提供するということは絶対必要だろうと思いますし、そして、再同意のときも情報を提供していくという方向は、やはり大事なことだろうと思いますし、御指摘いただいて、むしろありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 こういう場でいろいろとお話をされるという機会も少なかっただろうと思いまして、非常に多様な御発言が出ております。中長期的な制度がどうあるべきかということの御要望が多々出ているわけでありますけれども、それは非常に重要でございますけれども、同時に、当部会としましては、今回の改定をどうするかということも一つ決めなければいけないわけでございます。そこで、事務局から案が出ているわけでございますけれども、これについて、もう既に言及された意見もありましたけれども、何かあればお聞きしたいと思います。
 清水委員、お願いします。
○清水委員 事務局の適正化のための運用の見直しの○の1ですが、実際、これはどういうことを想定されているのでしょうか。「患者が施術者から経済上の利益を受けて施術を受けた場合に療養費を不支給とする」ということは、具体的にどういうことを想定されてこの文章ができているのでしょうか。
○遠藤座長 背景事情も含めて説明していただくとわかりやすいかと思いますけれども、事務局何かありますか。
○保険医療企画調査室長 現場において何が起きているかということをつぶさに把握しているわけではございませんが、例えば何か商品券といったようなものを施術者のほうで配って、それで患者さんを誘引するというようなこともなくはないと伺っています。本来であれば、これは柔道整復にも同じようなルールを今回設けさせていただくということで提示させていただいていますが、柔道整復の場合は、受領委任協定というものがある中で、施術者に対して直接的にそういうルールを守っていただくという形がとれるわけですけれども、あん摩マッサージ指圧のほうは、療養費払いの原則がございますので、どうしても施術者に対するルールという形をとりづらい面がございます。したがいまして、あくまで療養費払いですから、患者さんに対して療養費を支給するかどうかという判断のところで、要は、そういう経済的な利益、商品券であるか、実際のお金であるかわかりませんけれども、そういった形で、保険の施術を受ける上で不適切な形での誘引を受けて利用していただくということは、やはりよろしくないということで、そういった場合に対する規制ということを一つ設けたいという趣旨でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。はい。
 それでは、ほかにこの事務局案について何かコメントございますか。よろしゅうございますか。
 今回、改定の方法でございますけれども、これは柔道整復師のときにも申し上げましたように、基本的には、政府の責任で改定率あるいは個々の料金改定も行うということでありますけれども、我々は、当事者ということで、当事者の間でできるだけ意見を述べ合って、願わくば意見の集約をもって、それを尊重して改定していただきたい、そういう考え方でここで議論しているということでございます。
 したがいまして、多少議論が分かれているところもあるものですから、この事務局案について、皆さんどうお考えになるかということを一通りお聞きしたということでございますけれども、いかがでございましょうか。特段大きな反対の意見が余りなかったようにも思うのですが、もう一度、事務局案についてどうお考えになるか、賛成、反対を含めてお聞きしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。高橋委員どうぞ。
○高橋委員 改定率は0.00%という御提案ですけれども、これは、おととしの暮れの診療報酬の改定率全体を眺めているのかと思いますが、これは、医科、歯科、それから薬価基準、いろいろなものを合わせた合成の数字で、医科の中で見てもいろいろなでこぼこはあるわけですね。ですから、全体が、向こうがゼロだから、はり・きゅうもゼロだ、あん摩マッサージのほうもゼロだというのは、ちょっと私どもとしては納得できないということで、これは前回申し上げましたように、今の医療費、私ども協会けんぽもそうですし、医療費全体もそうだと思いますけれども、こういうものをプラスにする余裕があるような時期なのかなと大変疑問に思います。
 それから、前回もちょっと資料をお出ししましたが、前回私どもから出した資料をごらんいただく必要はありませんけれども、平成16年から21年の間に、はり・きゅうは80%医療費の中で伸びていますね。あん摩は113%です。私どもの協会けんぽの中ではもっと伸びがすごくて、平成16年から21年ですと、はり・きゅうが111%、ほぼ倍です。あん摩は156%です。倍以上です。ただ、はり・きゅう師は人数がふえていますが、この間の期間でふえた人数は3割ぐらいですので、押しなべて言えば、資格をお持ちの方1人当たりの収入は実際ふえているはずなんですね。あん摩マッサージの方は、免許を持っていらっしゃる方はその間に8%しかふえていませんから、一方であん摩全体の医療費は113%伸びていますので、物すごくふえているのです。そういった意味で、今こういった数字を見ると、こういったプラスにするような話にならないだろうと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございました。そういう意味で、事務局原案に対して賛成できかねるところがあるということの御意見だったわけですけれども、施術側で何かございますか。仲野さん。
○仲野委員 先回のときにも同じような話が出たと思いますけれども、今、鍼灸のような自然医療といいましょうか、地球上の全体の、先進国のどこもそうだと思いますけれども、薬を飲まない、注射もやらなくていい、そういう医療に対する認識度はかなり上がっていると思います。ですから、もしそのことが学校等、あるいは学生等がふえることによって、自然にどんどん流布されてきているのだと思いますけれども、わかってくれば、当然上がってくるのは当たり前だと思います。私どもは、この中の今のゼロ%の上がるという改定案がむしろおかしいのではないかと思っているぐらいですから、どちらかといえば、医療費の枠の中へもっと入っていかなければいけないだろうし、療養費という枠ではなくて、そういう部分まで行ってもおかしくないと思っているものですから、療養費の枠から離れるとまた叱られますけれども、基本的にはそんな考えであるのだろうと思うんですね。
 だから、抜本的なところで、本当にエビデンスもかなりでき上がってきていますから、何としても認めてもらった形でもう少し上げていただく、あるいはもう少し技術そのものも伸びてくるだろうし、世の中の世論はもう来ていると思っているのですけれども、世の中の世論に比べて厚生労働省の立ち上げが遅いのだろうと思っているのです。ですから、それまでの間に私どもの技術の継承ができないかもしれない、そういうところまでの危惧さえしていますね。ですから、これを最低の、私ども、役所の言うことですから特別なことを、上げればお受けするということになりますけれども、これを下げろという話は絶対ないと思うのですね。何としても、僕は、守るためにも、この数字を何とかしてやりたいとは思っています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。杉田委員、お願いします。
○杉田委員 特にマッサージと療養費の伸びが多いということですけれども、この前のときも私は発言しましたけれども、過去の療養費の基準そのものが本当に、むしろそのほうがおかしいのではないかという気持ちもあるわけです。そして、はり・きゅう、あん摩マッサージ指圧が療養費で扱えるということを国民が知らなかったということがすごくあったと思うのですね。柔道整復師の場合は、健康保険証を持っていけば、必ず診てもらえるんだ。ところが、我々はそういうことがなかった。そして、そういうことが少しわかってきたときでも、医師の同意書がない限りできないといういろいろなことがあったと思うんですね。ですから、そういう意味からすると、過去のものからの伸び率が高いということを余り問題にしてほしくないなということが一つあります。
 それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、温罨法について、1回幾らということしか我々は選定できないのだけれども、柔道整復師は部位ごとに算定できるというようなことがありますね。ですから、この辺を考えていただきたいということはあります。ただ、要するに引き下げるということはとても考えられませんが、引き上げるという方向で、特に、今回はごくわずかではあるけれども、引き上げるという方向で考えていただいたなということは、それなりの評価はしたいとは思っていますが、十分であるとは思っていません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 結論から申しまして、事務局案はやむを得ないかと思っております。改定のゼロ%というのは極めて遺憾ではありますけれども、技術料を評価していく方向の報酬改定になっているということは評価すべきではないかと思ってもおりますので、事務局案でやむを得ないと思っておりますが、ただ、全体としての技術料そのものは非常に低い設定からスタートしておりますので、この点を十分に御配慮いただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 大体、今回の事務局案についての御意見は承ったかなと思いますけれども、何かございますか。
 施術側の皆さん方の御意見では、今回の事務局案については、まあやむを得ないと。ただし、いろいろと考えるところはあるので、中長期的な議論の中でそれをぜひ反映してほしい、こういう御要望であったということです。
 保険者の皆さんからは、改定率を中心に、むしろマイナスであるということを言われておる。そういう意味では、事務局案に対しては賛成しかねるということであったと思います。
 そういうことでございますので、基本的には意見の一致は見ていないわけでありますが、最終的には政府の責任で改定を決めるということでございます。そこで、保険局長にお伺いしたいのですけれども、このような御意見があったということでありますけれども、それについて何かコメントいただけますでしょうか。
○保険局長 保険局長でございます。
 御議論をいただきましてありがとうございます。今回の改定ということにつきましては、今いただきました御意見を厚生労働大臣まで報告をした上で、厚生労働省としての最終的な決定をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いします。
 そういう対応でよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日用意した議題は以上でございますけれども、皆様のほうから何かございますか。仲野委員どうぞ。
○仲野委員 ぜひ、これは保険者さんにお願いしたいと思うのですけれども、前回でも申し上げたと思うのですけれども、要するに私ども、同意書をもらって保険請求を起こすことは、大変煩雑な作業をやっているわけです。ですから、一部負担金でかかれるようにしていただけると、もっと多くの人が治療を享受することができると思うのですね。ですから、そういう処理をお願いしたいと思うのですが、何よりも、今の状態だと、不正請求に関して、あるいは不適切な請求がもしあったとしても、なかなか調査し切れないところがたくさんあると思います。なぜならば、厚生労働省の案の中にも入っていましたけれども、免許証の番号まで書けということになってきていますけれども、本当にそこの施術所の誰が送り込まれて往療しているのかとか、あるいは治療に伺っているかがわからんところも結構あるのですね。ですから、お互いに話し合って、どなたが誰を治療したかをはっきりさせなければいけないと思うのです。その辺のことを考えると、やはり一部負担金でかかる制度というものについての確立のために、保険者さんの意見をしっかりと聞きたいし、私ども、では、どうすれば一番いい方法で請求を起こせるのか、一番簡単に、簡便に、本当に悪い人のためにこの制度のようなものをつくってできるのかということについて、しっかりと話をしたいと思うのです。
 ですから、事務方のほうと相談しても悪くはないのですけれども、大事なところは、やはり保険者さんと、何が私どもに足りないのか、私どもがしなければいけないことは何なのか、はっきりと明示していただいたほうが早いだろうと思っています。ですから、中長期の次の会議までに、大急ぎで、早い時期に僕はもう開いていただきたいと思いますけれども、その制度の構築を何としても考えたいと思っておりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。お願いいたします。
○遠藤座長 中長期の議論をする中で、そういうことも議論していただきたいと思っておりますけれども、保険者さんのほうで、今のところで何かコメントございますか。
○池上委員 特段のコメントということではありませんけれども、我々も施術者側も、原点は、患者さんのためというところは共通だと思いますので、いい制度になるような議論であれば幾らでもやらせていただきたいと考えています。
 以上です。
○遠藤座長 わかりました。ありがとうございました。
 どうもありがとうございました。それでは、本日の議題は以上で終了したいと思います。
 次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
○保険医療企画調査室長 次回の日程は未定でございますので、日程調整の上、後日連絡させていただきたいと存じます。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 それでは、これで第2回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会を終了したいと思います。
 本日は本当にありがとうございました。




17時33分 閉会


(了)

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