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2013年3月21日 第59回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年3月21日(木)
10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

【公益代表】今野委員、岩村委員、武石委員
【労働者代表】桑原委員、杉山委員、斗内委員、冨高委員、南部委員
【使用者代表】栗原委員、塩野委員、高橋委員、萩原委員、高山氏
【障害者代表】阿部委員、川崎委員、竹下委員、宮武氏
【事務局】岡崎職業安定局長、小川高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、安達障害者雇用対策課長補佐、境障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について(諮問)
(2)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問)
(3)障害者雇用対策基本方針の改正について(諮問)

○議事

○今野分科会長
ただいまから第59回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。本日は菊池委員、野中委員、松為委員、中村委員、北原委員が御欠席です。武石委員と高橋委員は所用で途中で退席されるということです。中村委員の代理として、日本商工会議所産業第二部副部長 高山祐志郎様にいらしていただいております。また北原委員の代理として、社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会事務局長 宮武秀信様に御出席いただいております。
  議事に入る前にいつものことですが、発言される前には挙手をしていただきまして、私が指しますので名前を言ってから発言をしていただければと思います。
  議事に入ります。お手元の議事次第にありますように、今日は3つの議題を用意しております。1番目の議題は、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱についてですので、それについて議論をしていただければと思います。事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課調査官の松永です。1つ目の議題「障害者雇用促進法の一部を改正する法律案要綱について」を説明いたします。資料1の別紙です。これは先週まとめていただいた意見書を踏まえて、法律の改正で対応する部分についてまとめているものです。
  具体的に2ページから御覧ください。第一は、総則の改正です。一は目的規定の改正で、今般、雇用分野における差別の禁止、合理的配慮の提供の義務を事業主に課すことに伴いまして、目的規定の1行目の下になりますが、「雇用分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置」を加えております。二は用語の意義ということで、障害者の定義規定の改正です。こちらは先般の障害者基本法の改正の表現に合わせて、法律の「障害者」のところに発達障害や難病に起因する障害が含まれることを明確にするため、精神障害の下に「(発達障害を含む)」と、「その他の心身の機能の障害」というものを明記するというものです。なお、これは改正の前後で障害者の範囲が変わるものではありません。
  第二は、障害者に対する差別の禁止等です。まずは障害者に対する差別の禁止です。この差別の禁止に関する規定については、男女差別を禁止する男女雇用機会均等法の規定を参考にしております。(一)は募集及び採用の局面、(二)は採用後の局面と書き分けております。(一)の募集及び採用については、労働契約締結前の雇用関係のない段階です。事業主には採用の自由というものがあることを鑑みて、そこにあるように募集及び採用について、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与えなければならないとしております。(二)は採用後の局面で、賃金の決定等々の待遇全般を対象に不当な差別的取扱いを禁止するというものです。
  二は、障害者に対する差別の禁止に関する指針の策定です。厚生労働大臣は、差別の具体的な内容についての指針を策定するとか、指針の策定に当たり、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くとか、指針を策定したときは、遅滞なく、その概要を公表するという規定を置くことにしております。
  4ページの三は、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置、すなわち合理的配慮の提供義務に関する規定です。合理的配慮の提供についても、(一)と(二)で募集及び採用の局面と、採用後の局面で書き分けをしております。(一)の募集及び採用の局面については、事業主にとってどういう障害者が来られるかが事前に分からないわけで、あらゆる障害者を想定して事前準備をすることにもなりかねないことから、障害者からの申出を契機に合理的配慮の提供義務を負うことにいたしまして、「障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない」としております。なお、ただし書きで、事業主に対して過重な負担、「過度な負担」と言っていたものですが、これを及ぼすことになるときは、この限りでないとしております。(二)は採用後の局面で、事業主は、障害者の均等待遇や能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、必要な措置を講じることを義務付けるというものです。こちらも、ただし書きで、過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでないとしております。この際は、採用後である対象となる労働者を事業主が把握していますので、障害者からの申出の有無にかかわらず、必要な合理的配慮を提供する義務を負うことになります。
  (三)と(四)は、先週いただいた意見書の中で、個々の合理的配慮の具体的内容は当事者間で相談しながら決めることが重要であるとされたことを受けて書いているものです。(三)は、事業主が合理的な配慮を提供するに当たって、障害者の意向を十分に尊重しなければならないとするものです。(四)は、事業主は合理的配慮の提供に関して、障害者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないとしております。なお、ここで言う雇用管理上必要な措置の中には、相談を行ったことにより不利益な取扱いを受けないとしたことの周知が含まれております。したがいまして、意見書の中でも、相談したことをもって、事業主は障害者に対して不利益な取扱いをしないということを書かれておりますが、それについては、この中に含まれるというふうに考えております。
  四は、指針の策定です。こちらも差別禁止に関する指針と同様に、大臣は指針を策定すること、指針の策定に当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くこと、指針を策定及び変更したときは、遅滞なく、その内容を公表することを規定しています。なお、過重な負担の判断基準に関する項目も、この指針の中で定めることになります。
  五は、助言、指導及び勧告です。差別事案等があった場合に、厚生労働大臣は、助言、指導又は勧告ができるという旨を規定しております。
  第三は、紛争の解決です。一は、苦情の自主的解決です。事業主は、第二の一(二)及び第二の三(二)に関し、すなわち雇用する障害者との間での差別、合理的配慮の提供に関して苦情の申出を受けたときは、企業内の苦情処理機関に対して苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図ることを努力義務として規定しております。
  二は紛争の解決の促進に関する特例です。第二の一並びに第二の三(一)及び(二)は、すなわち差別禁止、合理的配慮の提供に関する事項ですが、これについての個別労働関係紛争については個別労働紛争解決促進法の規定を適用せずに、次に説明する三及び四に定めるところによるものとしております。
  三は、まずは紛争の解決の援助です。(一)は、当事者から援助を求められた場合は、都道府県労働局長が、必要な助言、指導又は勧告をすることができるというものです。(二)は、事業主は労働者が労働局長に援助を求めたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとしております。
  四は、調停です。都道府県労働局長は、障害者の差別、合理的配慮に関する紛争、これは募集及び採用についての紛争は除きますが、これらの紛争について当事者からの調停の申請があった場合において紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調停委員会に調停を行わせることとするものです。(二)は、障害者がその調停の申請をした場合にも、不利益取扱いをしてはならないとするもの。(三)は、調停の手続について、同様の規定がある男女雇用機会均等法の規定を準用して必要な読替えを行うとするものです。この読替えの中で、意見書の中にもありました障害者の雇用に関して知見を有する者の意見を聞くことができるといった読替えもすることにしております。
  第四は、精神障害者を含む障害者雇用率の設定です。一は精神障害者、手帳の交付を受けている者に限りますが、この方を法定雇用率の算定基礎に加えるというものです。二については、施行期日の説明と併せて、後ほど説明したいと思います。
  五はその他です。一は、公務員の特例です。国家公務員及び地方公務員に関しては、勤務条件が法律等で定められているといった独自の法体系がありますので、それぞれの法制度の中で対応するということで、障害者雇用促進法の適用から除外するというものです。具体的には一にあるように、第二の一、二及び五並びに第三ということで差別禁止に関する事項、労働局長の助言や指導等に関するもの、紛争解決に関する規定については、それぞれの法制度の考え方の中で対応することから、適用除外とするものです。第二の三及び四は、合理的配慮の提供については、一般職の国家公務員等については適用除外とする一方、地方公務員は適用されます。この適用除外の考え方は、男女雇用機会均等法と同じ整理をしております。
  二は、その他所要の規定の整備です。具体的には国土交通大臣や地方運輸局の権限で読替え規定を置くとか、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴いまして、納付金関係業務の対象範囲に精神障害者を加えるといった規定の整備を行っています。
  第六は、施行期日等です。精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える改正は、平成30年4月1日から施行すること。その下の第一の二の障害者の定義規定の改正は、公布日から施行。第二及び第三は差別禁止、合理的配慮、紛争解決など、権利条約に関する改正ですが、平成28年4月1日から施行としています。このうち、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える改正については、激変緩和措置を設けることにしています。この関係の記述が先ほど飛ばした8ページの二にあります。障害者雇用率及び基準雇用率、この基準雇用率というのは、納付金等の算定に際しての雇用率のことで、基本的には障害者雇用率と同じ率にしておりますが、これらの率についてはこの法律の施行の日の平成30年4月1日から起算して5年を経過する日までの間、労働者の総数に対する対象障害者である労働者の総数の割合に基づき、対象障害者の雇用の状況、その他の事情を勘案して政令で定めるものとすることとしております。これは障害者雇用率、法定雇用率は原則5年ごとに見直しをしております。次回の見直しは改正法の施行日である平成30年4月ですが、平成30年4月から5年間の法定雇用率については、猶予期間として精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う引上げ分については、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする、こういった激変緩和措置を講ずるというものです。具体的には、5年後の法定雇用率見直しをする際に、今申し上げた労働者の総数に対する対象障害者である労働者の総数の割合に基づき、対象障害者の雇用の状況その他の事情というものを勘案して、この障害者雇用分科会で議論していただいた上で、法定雇用率を決めるというものです。
  なお、次々回の法定雇用率の見直しは平成35年4月になりますが、こちらについては従来どおり計算式に基づいて、法定雇用率を設定することを考えております。
  9ページの二は、経過措置等です。ここの経過措置の中では先ほど説明した差別の問題、合理的配慮に関する指針の策定やこの分科会の諮問を施行日前からも行えるようにするというものです。それから今回の改正に伴い、他の法律で形式的な改正を行うものです。以上の内容について、御議論をしていただければと思います。私からは以上です。
○今野分科会長
ただいまの説明にありましたとおり、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」の諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行い、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきます。それでは、御質問、御意見をお願いします。
○高橋委員
高橋です。使用者側委員を代表して、私から法律案要綱について意見を述べたいと思います。まず、障害者権利条約の対応に関する対応としては、意見書に基づいた内容となっていて妥当な内容ではないかと考えております。その際、この法律案要綱では合理的な配慮という言葉が変わった表現でされておりますが、今は、合理的配慮と呼ばせていただきますが、合理的配慮は全く新しい概念ですし、企業の現場で円滑な運用が図れるよう、労使双方に対して正しい理解や望ましい対応といったようなものを確実に浸透を図っていく必要があろうかと思っております。過度な負担、ここでは「過重な負担」となっておりますが、その過度な負担を含めて具体的な内容は指針で策定することになっておりますが、3年後の施行としても残された時間は少ないのではないかと考えております。現場への十分な周知の機会や期間を確保するために、改正法の成立後、速やかな検討を開始するとともに十分な時間をかけて審議を尽くしていければと考えております。
  次に、精神障害者の雇用義務化に関して申し上げたいと思います。私どもとしては、一貫して現段階において雇用義務化の実施時期を定めることは時期尚早であると、再三主張してまいりました。3月14日に取りまとめられた意見書では、十分な準備期間を設けることを前提とするということが書かれておりましたが、実施時期については明記をされておりませんでした。本日示されました法律案要綱では、先ほど御説明いただいたように平成30年の施行という具体的な実施時期が明記されたことは、私どもの主張を取り入れられなかったことにおいて誠に残念であると申し上げざるを得ません。義務化のためには、一定の雇用環境が整っていると判断できることが大変重要です。5年後の経営環境や障害者雇用を取りまく状況が見通せない中で、あらかじめ実施時期を定めることについては慎重であるべきではないかと考えております。以上、意見を申し述べました。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。
○川崎委員
精神障害者の家族会の川崎です。今回出された案については、私どもが長らく願っておりました精神障害者の義務化の方向付けがされたことに関して大変評価いたしまして、これから精神障害者の社会参加が進むことを強く念じているものです。先ほど来、高橋さんからおっしゃられましたように、雇用環境が確かに現在十分ではありません。それは、精神障害者を雇用している数も少ないということもあったと思いますが、実際に雇用されている所の事例も大変多く出ていて、そういう事例を含めながら、またさらに事業者側の必要なニーズに応じた支援策が是非とも必要であると思っております。準備期間中にこのような整備がされ、精神障害者の雇用の定着も含めて環境づくりが今後されるべきでありまして、これは厚生労働省におかれても十分にできるという意思表示がされておりますので、是非とも5年後の実施に向けていきたいと思っております。ただ1つ、私どもとしては、激変緩和に関しては最初は受け入れがたいところがありましたが、今回しっかりと義務化の方向付けができたことは、私ども団体にとりまして大きな山を1つ越えられたという思いで、このことについても受け入れるようにいたしました。以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。
○杉山委員
連合の杉山です。労働側委員を代表して意見を述べたいと思います。まず全体的な観点からですが、本分科会で昨年の秋に議論を開始して、障害者権利条約への対応と、精神障害者の雇用義務化の2つの分野について議論を行ってまいりました。とりわけ精神障害者の雇用義務化を中心に様々な意見があったものの、最終的には意見書として集約した上で、今回の要綱を取りまとめるに至ったことは大きな成果であろうと考えております。その上で、障害者権利条約への対応については要綱案3ページにある差別の禁止、4ページにある機会の均等の確保などを図るための措置、すなわち合理的配慮の提供が企業規模、業種、業態にかかわらず、全ての事業主に義務付けられることは、今後の障害者雇用の前進に向けて非常に大きなことであろうと評価しております。
  一方、障害者が差別されることなく、職場で自己の能力を最大限に発揮できることを可能とするためには、合理的配慮の具体的な中身が重要であって、合理的配慮については対象労働者、そして事業の実情に応じて個別に判断されるとはいえ、国が何らかの基準や内容を示すことが極めて重要ですので、今後の議論をしっかりと深めていきたいと考えます。
  最後に、精神障害者の雇用義務化について述べたいと思います。先ほど提案がありましたとおり、要綱案8ページに、障害者雇用率については施行までの5年間に雇用状況などを勘案して決定することとするとあります。これまで分科会の中で労働側としては、精神障害者の雇用義務化はいたずらに先延ばしにすべきではないという主張をしてまいりました。ただ、意見書にも記載された使用者側委員の意見なども考慮すれば、精神障害者を義務化することによる雇用率のアップ分については、今後の雇用状況などを踏まえて何らかの措置、激変緩和措置を図ることは一定程度やむを得ないものではないかと理解しているところです。その上で、意見書に記載のとおり、施行までの5年間に、一層の施策拡充などを行っていただき、精神障害者の雇用が円滑に進むための施策などの強化を早急に図っていただきたいと考えています。以上です。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見も出たようですので、本分科会としての取扱いについてお諮りしたいと思います。基本的には皆さんから意見を頂きましたが、事務局から説明のあった内容についておおむね妥当であるということがあろうと思います。ただ、使用者側の代表委員からは、精神障害者を雇用できる一定の環境が整っているとは判断できず、この段階で精神障害者の雇用義務化の実施時期を定めることについては慎重であるべきだという強い意見が出されております。また、労働者側委員からも、障害者代表委員からも御意見をいただいたところです。したがいまして、おおむね妥当ということでいきたいと思いますが、そういう御意見をいただいておりますので、答申をまとめるに当たりまして考えさせていただきたいと思いますので、少し時間を頂ければと思います。つきましては答申文を相談させていただくに当たりまして、それぞれの代表で発言されました高橋委員と杉山委員と川崎委員と事務局にも参加していただいて、取りまとめの相談をさせていただきたいと思います。ここではあれですので、別室に移動していただいて相談をさせていただければと思います。ほかの委員の方には申し訳ないのですが、5分か10分、揉めれば15分か20分かは分かりませんが、お待ちいただきたいと思います。先ほど申し上げました3名の委員の方、お願いできますか。
                (中断及び再開)
○今野分科会長
再開します。お待ちどうさまでした。一応、取りまとめの文として原案ができましたので、まず配って読み上げていただきます。それに私から追加的に御説明したいことがありますので、それを説明させていただいてから最終的にお諮りしたいと思います。いかがでしょうか。
                 (異議なし)
               (報告文(案)配付)
○今野分科会長
事務局から読み上げていただけますか。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課の松永です。案文を読み上げます。平成25年3月21日付けで厚生労働省発職高0321第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。「記」厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。その上で、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、企業に対する大幅な支援策の充実を進めることを求める。なお、使用者委員からは、精神障害者を雇用できる一定の環境が整っていると判断することができない現段階で、実施時期を定めることは慎重であるべきとの意見があった。以上です。
○今野分科会長
これが原案ですが、先ほど申しましたように全体としては「おおむね妥当」であるということですので、一番最初に「おおむね妥当」と認めるとしてあります。その上で、今日も使用者側委員、労働側委員、障害者側のそれぞれの代表委員から、企業に対する大幅な支援というのをきちんとやっていこうということがありましたので、ここに付記するということで、これについてはここのメンバー全員の総意であると。ただし、この文章には国はしっかりやれよということと、企業も含めてその他関係の諸団体、諸組織がありますので、それも含めてみんなでこの点については頑張っていこうというような含意があると考えていただければと思います。その上で、なお書きで使用者側の委員からは、ここにありますような意見があったということを加えて、全体の構成とするとさせていただきました。いかがでしょうか。この案でよろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長
ありがとうございます。それでは、この案にさせていただきます。今後、この内容を労働政策審議会会長宛に報告し、労働政策審議会会長から、厚生労働大臣に答申するということになります。
○竹下委員
この要綱に全面的に賛成ですが、1つお願いがあります。意見書の段階で第一の五の公務員の取扱いという部分ですが、今回の要綱では、法の体系上やむを得ないと思いますが、第二の部分が全部一般公務員からは適用除外となるわけです。そのことを踏まえて、意見書の第一の五の趣旨が十分に国家公務員の取扱いについて、この意見書が反映されるよう御配慮いただきたいということを要望しておきたいと思います。以上です。
○今野分科会長
その点については皆さんも全て同じ意見だと思いますので、そういう扱いがありましたので事務局でよろしくお願いします。
  議題2及び議題3に入ります。両議題とも諮問事項になっておりますので、併せて審議をさせていただきたいと思います。事務局から議題2「障害者の雇用促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について」及び議題3「障害者雇用対策基本方針の改正について」、まず説明をいただければと思います。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課の松永です。では、議題2と議題3について説明をいたします。この中で3点の諮問事項がありますので、それを説明をしたいと思います。
  まず、障害者雇用促進法施行規則の一部を改正する省令案について説明をいたします。正式な諮問文はお配りしております資料2-1のマル1ですが、分かりやすい資料ということで、別途お配りしている資料2-2を使って説明をさせていただきたいと思います。こちらに2件の諮問事項があります。1つ目の改正は、「職業生活相談員の資格要件の見直し」です。障害者雇用促進法の中では、事業主は5人以上の障害者を雇用する事業所ごとに職業生活相談員を選任することが義務付けられておりまして、この相談員の資格要件の1つに「高校を卒業した者で実務経験が2年以上あること」とあります。しかし、高校卒業者と同等の学力があると考えられるような高校卒業程度認定試験合格者、海外の日本人学校の高等部卒業者が、この高校卒業者と同等に扱われていないという問題があります。今般、政府全体の方針として同等の取扱いをしようということになり、職業生活相談員についても、その方針に沿った見直しをするというものです。
  2つ目の改正は、「障害者雇用調整金等の申請に係る添付書類の見直し」です。この改正は、会計検査院からの指摘を受けた見直しです。具体的には障害者の雇用納付金等の額を定めるに当たりまして、例えば週20時間以上働く障害者の数に応じて算定することになっているわけですが、実態の労働時間が週20時間未満であり、納付金等の算定対象とならないものであるにもかかわらず、算定対象となるものとして算定して申請されていた。あるいは重度障害者か軽度かで算定の仕方が変わることになりますが、重度障害者に該当しないにもかかわらず、重度障害者として算定されていたという事例があることが明らかになりました。このため、この納付金関係業務の適正化のために、添付書類等に関する見直しを行うというものです。
  具体的にはその下の※にあるように、300人超の事業主については、高障求機構による定期的な事業所調査を行うことで対応することとしつつ、マル1にあるように、300人以下の事業主については、障害者雇用調整金及び報奨金の申請の際の添付書類に、障害者の障害の種類及び程度や労働時間の状況を明らかにする書類を追加するというものです。マル2は全ての事業主に関わりますが、納付金の申告書の添付書類の記載事項に労働時間を追加するという見直しをするというものです。
  3つ目の諮問事項は議題3で資料3です。「障害者雇用対策基本方針の一部改正案」です。こちらは諮問文にもあるように、障害者雇用促進法に基づいて定めているもので、通常は5年程度の運営期間を定めてその間の基本方針をまとめております。現在、定めている基本方針は、今年度で運営期間が終わることになっていて、来年度以降の基本方針を策定する必要があるわけですが、今現在、今後の障害者雇用対策の方向性に大きく関わる法律改正をしようという段階にあることなども踏まえて、運営期間を取りあえず1年間延長する改正をするというものです。ちなみに前回、平成20年に法律改正したときも、同じく基本方針の期限を迎えていて、それと重なったことから今回と同様1年間の延長をお願いしたところですが、今回も時期が重なってしまいましたので、それと同じく延長したいということです。以上の内容について、議論をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○今野分科会長
今、説明がありましたように、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、省令改正等の諮問がなされたところです。
  当分科会としては、先ほどと同様に、本件について議論を行い、検討結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと考えております。御質問、御意見をお願いいたします。
  よろしいですか。基本的には事務局から説明のあった3つの内容について、それぞれ妥当であるということでよろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長
事務局から報告文(案)を配ってください。
               (報告文(案)配布)
○今野分科会長
それぞれについて文案は一緒ですが、厚生労働省案をそれぞれ「妥当」と認めるということです。よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長
ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。今後は先ほどの法律案要綱と同様に、これらの内容を労働政策審議会会長宛に報告し、労働政策審議会会長から、厚生労働大臣に答申することになります。
  本日の議論は全て終了いたしました。ありがとうございます。閉会に当たりまして、岡崎職業安定局長から一言御挨拶をお願いします。
○職業安定局長
本日、3つの案件について御諮問を申し上げたところ、それぞれに答申をまとめていただきましてありがとうございました。特に第1番目の障害者雇用促進法の改正案は、昨年の秋以来の御議論を踏まえて先週まとめていただいた意見書を踏まえたものです。障害者の差別の禁止、合理的配慮の問題、精神障害者の問題、それぞれ今後の障害者施策にとりまして大きな問題と認識しております。非常に重要なものとして、本日いただいた答申を踏まえて早速法律案を作成して、この通常国会に提出していきたいと考えております。
  そうした中で御意見にもありますが、精神障害者の方々が企業で円滑に働けるようにしていくためには、様々な環境整備が必要だろうと認識しています。この点についてはこれまでも努力してきたつもりではありますが、まだまだ不十分という御指摘ですので、これから国会審議等でもいろいろな御意見が出てくるかとは思いますが、私どもは、そういうことも含めて様々な対策を講じていきたいと思っています。その過程においては、また審議会の委員の皆様方からのいろいろな御意見をいただきまして、それを踏まえて十分な対応をしていきたいと考えております。そういったところに先ほど公務員の問題もありましたが、所管省庁にもしっかりと先ほどの御意見を伝えるなど対応していきたいと思っております。いずれにしても法案が成立したあとも、これも御意見にありましたが、新しい概念である合理的配慮について企業側、働く方々、障害者の方々が同じ認識にしていかなければ、混乱ばかり生じるのではないかと懸念します。これも審議会でしっかり議論して、皆様方が共有できるようなものを作って、これの施行も円滑にしていきたいと思っております。本日、答申書という形でいただきましたが、まだまだ課題が多いところですので、今後引き続き委員の皆様方からも御指導いただければと思っております。いずれにしましても、本日はありがとうございました。
○今野分科会長
最後に、事務局から今後の分科会の予定についてお願いします。
○障害者雇用対策課長
障害者雇用対策課長です。次回の日程については、今は未定となっております。ただし、4月26日をもって現在の委員の皆さんの任期の終了を迎えることもありますので、恐らくは、次回の開催は新しいメンバーでの開催になることと思います。以上です。
○今野分科会長
本日の分科会は終わります。今日は先ほど局長から、お話もありましたが、第1番目の議題についてまとまりました。長い間議論をしていただきまして、ありがとうございます。皆様のおかげであると考えております。先ほど諮問文との関連で申しましたが、「おおむね妥当。その上で」という文章があります。「その上で」という文章は、細かくはいろいろありますが、まだ十分な条件が整っていないので、これからいろいろな意味での支援策はきちんとやっていこうではないかという趣旨ですので、したがいまして、政府はきちんとやれよということもありますし、受入企業、送出し機関、全ての機関も、今後の対応についてしっかりやってほしいという含意がありますので、そういうことも含めて関係機関には対応をよろしくお願いしたいと思います。
  終わりにいたします。本日の議事録署名ですが、労働者代表委員は桑原委員、使用者代表委員は栗原委員、障害者代表は竹下委員にお願いしたいと思います。ありがとうございました。本日はこれで終わります。


(了)

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