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2012年12月18日 第18回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年12月18日(火) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(22階)


○議題

1.開会

2.議事

(1)各方向性のより詳細な検討について

(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては、お手元にお配りしています「傍聴される皆様への留意事項」をお守りくださいますようお願い申し上げます。
 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、ただいまから第18回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様には、ことしも押し迫って大変お忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。伏して御礼を申し上げる次第でございます。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。
○榊原室長 本日の出席状況でございますが、高橋滋委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
 議事次第、資料一覧。
 資料1「第17回検討会における主な発言」
 資料2「議論のポイントと各方向性の整理表(集約版)」
 資料3「認定疾病の重篤性とイメージ」
 参考資料「医療特別手当の現状について(第17回検討会資料3から抜粋)」でございます。
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。
(報道関係者退室)
○神野座長 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 これまでの検討会では、制度化のためのより具体的な議論を3つの方向性や各委員の皆様方の御指摘を参考にしながら進めてまいりました。
 前回は現在の疾病の認定状況などの資料をお示しした上で御議論を頂戴いただきました。
 今回は委員の皆様から御要望がございました疾病の重篤性やランクづけなどの資料を事務局に準備をしていただいておりますので、それをまず説明していただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○榊原室長 それでは、まず資料1でございます。「第17回検討会における主な発言」でございます。御確認いただきたいと思います。
 それから、同じものをポイントの集約版に入れ込んだものが資料2でございます。赤い部分が前回の御発言でございます。こちらについて御紹介申し上げたいと思います。
 1ページ目、手当の制度の趣旨関連でございます。
 方向性1でございます。
 「個人の放射線被爆線量をどう見るかが最大の問題。放射性降下物の影響は個別には絶対に推定できないが、それを入れなくてはいけないと思っている。降下物の影響を受けた人はみんな、科学的に疾病と放射性の関係があると言われている病気を全て認定するのが一番論理的だと思っている」という御指摘。
 「『高齢化』は病気と手当の問題であり、早く何とかしないといけない。そのため、認定の問題は捨てて手当の問題に行こうということ」という御意見でございます。
 方向性2に関連してでございます。
 「(方向性2の『二種』について)放射線起因性をきちんと踏まえる必要があるので、専門家の方々が3.5キロがぎりぎりの範囲を科学的な知見というのであれば、その範囲内だと思う」という御意見。
 方向性3に関連しまして「3.5キロとか100時間などの基準は、その距離なり時間なりの範囲内の人について、これまでの科学的知見も含めて、放射線起因性を認めるに足る被曝量があることを推認しているだけであり、認定対象はあくまでも個人である。個々の人の被爆条件をネグレクトして認めるとするのは、制度として根本的に違う」という御意見。
 「個別の人(の影響)が決まらないから、この制度はだめだと言うのは行きすぎ。外形標準でやっているので、全ての人が割り切れるという話ではない。3.5キロにいた人、100時間内に入った人の中でも差はある」という御意見。
 総論として「被爆者の高齢化により制度設計を早くしようと言っているが、放射性降下物の影響を勘案して見直すとすると、ものすごい労力、論議が起こる」という御意見がございました。
 2ページ目でございます。
 方向性3でございますが「現在の認定制度のもとで認められている疾病を広げることができるか。広げる場合に(手当額の)13万を念頭となると、かなり重い病気をイメージしなければならない。その2つを念頭に、放射線との繋がりの中で、どう考えて受け止めていくべきか。3のイメージを固めていく意味で教えてもらいたい」という御意見。
 3ページ目でございます。
 方向性3に関連して「グレーゾーンを使って放射線との関係を薄めていくという方法では無理がある。ただ、グレーゾーンには、もう一つ別の給付水準をつくることができないかという発想が含まれている。ランクづけの基準は要医療性にかかわるグレードだと思う。例えば病気によって、重篤度あるいは治療を必要とする程度を、実態に合わせて、このくらいのランクの給付水準で対応することは考えられるのではないか。それぞれの病気について、この病気は重いほうとか、あるいは回復の仕方がかなり見込めるようになっているかどうかの辺りを整理して貰い、ランクづけに使えるかどうか見極めたい」という御意見。
 4ページでございます。
 方向性1に関連してですが「(現在分からなくても)筋として、残留放射線の影響があることは間違いないと言いたい」。
 「(司法との乖離について)全て司法(の判決)に合わせろとは言ってない。たくさんの判例で行政が認定できない例があった。それを解消するため法律をどう変えるか議論してきたが、今までの認定制度をそのまま残すということは、何も変えないことになってしまい、解決できない」。
 「判決の積み重ねの中でどう受け止めるか理解の仕方の違いではあるが、認定制度を無くすというまとめ方は(検討会において)共通ではないと思う」。
 「(方向性1について)乱暴な表現をすると、被爆した事実をもって全ての方々に救済対象とするシステムが大事という考えだと思われる。しかし、その考え方でも司法への申立権は個人の権利なので、司法に訴える現象はずっと起きると思う」という御意見。
 方向性2に関連して「(方向性2の『原爆症に準ずる』について)科学的な根拠となると現在の認定でも相当無理をしている部分もあるので、無理をしないでグレーゾーンで拾うということ」という御意見がございました。
 方向性3に関連しまして「残留放射線問題は、個別の案件の中で、その時々の科学の進歩に期待しながら処理していくしかないのではないか」。
 「(現在の方針にある)3.5キロは放射線起因性を議論するときの最も遠い距離だと思う。そうなると放射線起因性を堅持するとしたら、3.5キロ以内でグレーゾーンを考えなければいけないと思う」。
 「2~3キロの人で放射性降下物の一定の線量を浴びたとしか判断できない人が出てくると思うが、1人もいないということは、(総合的判断を)していないということの現れだと思う」という御意見。
 共通部分ですが「放射線起因性について、線量で言うと100(mSv)ではある程度影響があり、100から1まではグレーゾーンという感覚。残留放射線のウェートをどう考えるかだが、線量のないところで放射線の影響は起こらないと言わなければいけない」。
 「(放射線の)疫学調査は必ずしも広島、長崎だけではなくて、さまざまな疫学調査が行われているが、少なくとも今の3.5キロを変えなければいけないような知見はこれからも出てこないと思う」。
 「チェルノブイリではWHOやIAEAの記録及びUNSCEARの報告書の中で、セシウムによる健康異常は認められないと書いてあった」。
 「内部被爆であっても外部被爆であっても線量は足し算できるようになっている。放射性降下物について、核実験でたくさんのセシウムが成層圏に上がって降ってきたが、それにより、がんが増えたことは無いと思う」。
 5ページ「国民の納得(公平性)・財政上の視点」でございます。
 方向性1に関連しまして「同情でもなく憐れみでもなく、客観性に基づいて認定された結果、権利として様々な治療、手当が行われるという社会的な認識はとても大事。残留放射線の問題がわからないことから、全体が被曝したという考えは、やや行き過ぎではないのか」。
 「大臣の認定を無くしたら、認定(制度)がなくなるので、手当も税金を使えない。そこが最大の問題」という御指摘。
 「支出は正当な根拠がない限りは出せないというのが財政学にとって常識なので、認定制度をなくして、手当だけ一人歩きというのはイメージが湧かない。国民の理解にもかかわってくる」という御意見。
 方向性2、方向性3共通にしてございますが「認定と手当の議論の間に財源問題がある。認定の範囲は結局財源の裏づけがある範囲でないと実現可能性が無いので、くっつけて議論すべき」。
 「税を使うことを踏まえ、客観的な条件はきちんと整備をしていかなければならないのではないか」という御意見がございました。
 以上が資料2でございます。
 引き続きまして、資料3について御説明申し上げます。「認定疾病の重篤性とイメージ」でございます。
 1枚目に注釈をつけてございますが、黙読いただければと思います。
 2ページ目、まず、現行の原爆症認定疾病における疫学と治療についてでございます。これは一般的な我が国の現状を示したものでございます。
 悪性腫瘍(固形がん、白血病)、副甲状腺機能亢進症、白内障等と縦に並んでおります。
 まず「概要」の部分でございます。
 悪性腫瘍、がんのところでございますが「身体の細胞がコントロールを失い、無制限に増え、他の場所に転移するなどの性質を獲得したもの。進展すると生命維持に重大な支障を来す」。
 以下、各疾病についてそれぞれ疾病の概要を説明しております。読み上げは省略させていただきます。
 真ん中の列が「疫学」でございます。
 がんですと、2人に1人が一生のうちにがんと診断されます。年齢が上がるにつれ罹患率、死亡率は高くなります。
 副甲状腺機能亢進症は、日本では2,500人~5,000人に1人と言われております。
 白内障でございます。年齢とともに上がってまいりまして、80歳以上では100%に見られるということでございます。
 心筋梗塞でございます。心疾患の死亡者数は10万人当たり毎年143.7名、死因の15.8%を占めるということでございます。
 甲状腺機能低下症でございます。頻度は潜在性を含めて4~8%、60歳以上の女性では20%になると言われております。
 慢性肝炎、肝硬変でございます。B型肝炎ウイルスの保有者は約130万~150万、C型肝炎ウイルスの保有者は約150万~200万となっております。
 右側が「治療」でございます。
 がんの治療ということで、早期の消化器がんなどは、内視鏡的手術を行うことができます。
 その他は手術、化学療法、放射線療法などを適宜組み合わせるということでございます。
 副甲状腺機能亢進症は、病状に応じまして薬物治療、場合によっては手術によって治療するということでございます。
 白内障でございますが、視力低下が日常生活に支障を来す場合には手術を行う場合がございます。それ以外は保存的な対応となります。
 目や全身に障害がなければ95%以上の症例で0.5以上の矯正視力を獲得できるということです。
 心筋梗塞は、早期段階では血栓溶解による治療、カテーテルによる治療などを行います。
 慢性期になりますと、二次予防のため抗血小板療法あるいは生活習慣の改善などを行います。
 甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの内服を行います。
 慢性肝炎、肝硬変でございますが、核酸アナログ製剤やインターフェロンによってウイルスの増殖抑制あるいは駆除を行います。
 特に肝炎につきまして、ウイルスが減って状態が安定すれば、肝庇護療法などへと移行します。
 3ページ、現に認定されておりますがん、前立腺がん、胃がん、大腸がん、肺がん等々、白血病についての説明でございます。
 1行目は「概要」ということで、どこで発生するかでございます。読み上げは省略させていただきたいと思います。
 真ん中が「疫学」でございます。
 人口10万人当たり罹患率でございますが、前立腺がんが年68.2人、胃がんが91.5人、大腸がんは84.4人、肺がんは66.9人、乳がんは82.2人、肝がんは33.6人、白血病は7.3などとなっております。
 5年生存率でございます。97年~99年に国立がんセンター中央病院に新規入院した患者の追跡調査でございます。
 前立腺がんは98.9%。
 男性で、胃がんですと74.4%、大腸がんですと結腸68.9%、直腸等で72.2%などとなっております。肺がんは35.9%となっております。
 乳がんは78.0%。
 男性で、肝がんは38.6%、白血病は45.7%などとなっております。
 「治療」でございます。
 前立腺がんでございますが、前立腺にとどまるものについては年齢や状態に応じて内分泌療法、場合によっては手術、放射線療法などを行います。
 胃がんは、早期のものは内視鏡治療を行います。遠隔転移のないものなどは手術となります。
 大腸がんの場合も、早期のものは内視鏡治療、遠隔転移のないものなどは手術療法などとなっております。
 肺がんは、手術療法、放射線療法、化学療法などを適宜組み合わせるということでございます。
 乳がんについては、遠隔転移を考慮して手術適応のあるものは手術を行った上で、放射線療法、薬物療法、化学療法などを行います。
 肝がんは、がんの数や大きさにより、早期のものは局所療法、塞栓療法、動脈注射療法などが選択され、それ以外は手術療法などとなります。
 白血病は、化学療法を中心に、状態に応じて造血幹細胞移植などを考慮することがございます。
 4ページ「疾病の重篤性の判断」でございます。
 疾病の重篤性につきましては、次のような観点で考慮することができるのではないかということでございます。
 1つ目は「生命への影響の程度」でございます。
 2つ目は「日常生活への影響の程度」でございます。
 3つ目は「治癒の可能性」。
 4つ目は「再発の可能性」でございます。
 5ページ「要医療性について」でございます。
 要医療性とは、疾病に対して医学的介入をする必要がある状態と解されます。医学的介入の必要の程度は、侵襲性、頻度などの点で高いものも低いものもございます。
 例えば「手術、化学療法等の侵襲性が高い、又は重篤な副作用が高い頻度で生じうるような、入院による医療を要するような状態」。
 もう少し落ちつきますと「重篤な副作用も生じうるような点滴や注射による投薬などのため、通院による医療を要するような状態」。
 さらに落ち着きますと「重篤な副作用もまれな内服、定期検査等のために定期的な通院を要するような状態」。
 さらには「疾病が治癒した場合」などがあるということでございます。
 6ページ「各種治療法の例」でございます。
 1番上は、基本的には入院が行われるものとしまして手術がございます。開腹手術、内視鏡的手術等々がございます。
 真ん中のほうには、入院がメーンでありますが通院でも行われ得るもの、化学療法として抗がん剤治療とかホルモン療法、放射線治療、緩和ケアなどがございます。
 さらに下にまいりますと、メーンでは通院になろうかと思いますが、点滴・注射といったもの。
 さらにはほとんど通院になろうかと思いますが、状況の確認のための検査などがあり得るということでございます。
 7ページ、現在の認定疾病における大まかな経過のイメージでございます。
 下にもありますように、この図は検討会での議論を深めるために作成した、極めて大まかなイメージ図でございまして、これに該当しないものが多数あるのを前提としたものでございます。
 例えばがんですと、最初は手術・化学療法・放射線療法などを行う。余り治療がうまくいかなかった場合には緩和療法あるいは対症療法へ移行することもあり得る。うまくいった場合には、通院・定期検査で様子を見まして、さらに状態が落ちついていれば治癒ということがあります。
 8ページ目、これも同じように白血病の極めて大まかな経過イメージでございます。これに該当しないものも多数ございます。
 まず、白血病になりますと化学療法さらには骨髄移植などが行われます。状態がよくなりますと化学療法、内服などで様子を見ていく。そうした状態が続いていきますと、寛解と判断される状態になってまいります。
 9ページ目、いわゆる治るがんと呼ばれまして、治療成績も95%を優に超えるぐらい非常にいいがんでございます。早期の前立腺がん、早期の胃がん、早期の大腸がん、早期の乳がんでございます。
 大腸がん、胃がんなどをイメージさせていただきますと、内視鏡切除などが行われます。取りますと、その後通院あるいは定期検査。そして一定期間たちますと治癒と判断されます。
 前立腺がんなどの場合ですと、最初からホルモン療法といった場合もございます。
 10ページでございます。心筋梗塞の大まかな経過イメージでございます。
 当初の急性期状態の場合は手術などが行われるということでございます。急性期を脱しますと、カテーテル留置・リハビリテーション・内服・定期検査などが行われていくということでございます。
 11ページ、慢性肝炎、肝硬変の大まかな経過イメージでございます。
 赤が慢性肝炎でございます。インターフェロン療法、抗ウイルス剤療法などでウイルスをたたく治療が行われます。うまく奏功しますと肝庇護療法、内服へと移行していく。一定期間経過しますと治癒と判断されるということでございます。
 逆に肝硬変の場合ですと、線維化しておりまして、不可逆的な状態でございます。インターフェロン療法、抗ウイルス剤療法でそのままの状態を維持することになりますが、場合によっては悪くなることもあり得るというイメージ図でございます。
 12ページ、甲状腺機能低下症及び副甲状腺機能亢進症のおおまかな経過イメージでございます。
 甲状腺機能低下症ですと、基本的には内服あるいは定期検査を行っていくことになります。
 また、副甲状腺機能亢進症の場合も、内服・定期検査を行っていくことになります。ただ、状態が悪化した場合に手術もあり得ます。その場合、副甲状腺を取りまして治癒となり得るということでございます。
 13ページ、白内障のおおまかな経過イメージでございます。
 現在ですと手術をしますと治癒をするということでございます。
 14ページ「疾病の重篤性を基本にした分類のイメージ(その1)」でございます。下のほうにもございますように、この図はあくまで検討会での議論を深めるために作成したイメージでございます。
 まずは4つに分けてみました。
 グループ1が早期がんを除くがん及び白血病としております。
 グループ2がいわゆる治るがんと考えられます早期がん、心筋梗塞、慢性肝炎・肝硬変としております。
 グループ3は甲状腺機能低下症あるいは副甲状腺機能亢進症としております。
 グループ4は白内障としております。
 「生命への影響」で見ますと、グループ1は生命への影響があるということでございます。グループ2になりますとそれが低くなってくる。グループ3、グループ4は基本的には生命にかかわる問題ではないということでございます。
 「日常生活への影響」は、疾病である以上全て出るわけでございますが、グループ1のほうが高いということでございます。
 「治癒の可能性」で見ますと、がんは手術により完治し得る。白血病も化学療法により寛解し得るということでございます。
 早期がんの場合ですと、手術により完治する可能性が高いということでございます。
 副甲状腺機能亢進症あるいは白内障などは手術により完治する可能性が高いということでございます。
 こういった疾病の重篤性を基本にした分類のイメージ図でございます。
 15ページ、さらに同じ疾病といっても状態によって違い得るのではないかという議論もあろうということでございますので、既にお示ししました経過表をもとに、各グループのそれぞれの疾患について、どんな状態があり得るかも参考までにイメージをつくってみたということでございます。
 グループ1のがんでございますと、手術・化学療法・放射線療法などをやっておる状態がございます。
 うまく手術で取れたりしますと通院・定期検査という状態になって、一定期間たつと治癒という状態になっていく。
 白血病の場合ですと、化学療法あるいは骨髄移植などが行われます。これがうまくいきますと、化学療法・内服となります。一定期間続いていくと寛解になり得る。
 グループ2ですが、早期がんの場合ですと内視鏡切除などが行われます。そうしますと、通院・定期検査などで様子を見ていく。一定期間たつと治癒ということでございます。
 心筋梗塞ですと、急性期は手術などが行われます。急性期を脱して慢性期に入りますとカテーテル留置・リハビリテーション・内服・定期検査などが行われる。
 慢性肝炎・肝硬変でございますが、肝炎の場合などですとインターフェロン療法、抗ウイルス剤療法が行われます。うまくいきますと肝庇護療法・内服などへと移っていき、一定期間たつと治癒となります。
 甲状腺機能低下症は、基本的に内服・定期検査をしていくということでございます。
 副甲状腺機能亢進症も、内服・定期検査ということでございます。症状が重くなった場合は手術をすることがある。その場合は治癒もあるということでございます。
 白内障の場合は手術をすれば治癒するということでございます。
 16ページ「認定疾病の重篤性を巡って考えられる論点」です。
○重篤性を、生命や日常生活への影響、治癒の可能性、再発の可能性などを踏まえて考えることについて
○疾病間の重篤性に応じて、段階的に手当額を設定することについて
・異なる疾病を同様の分類で区分することが可能か
・同じ疾病でも症状の変化や生命・日常生活への影響等が異なり、機械的に分類が可能か
・様々な治療方法があり、その判断も医師によって異なるため、適切な分類が可能か
・症状は変化するものであり、それらを段階的な手当の額に適切に反映することが可能か
○段階的に手当を支給するとした場合、疾病の状況の適切な把握及び届出等に係る被爆者等への負担増加について
○要医療性が必ずしも明確化されていないゆえに、同様の病状に対する判断が異なる場合があることについて
・疾病が治癒して再発の可能性がない場合
・一定期間経過により極めて再発の可能性が少なくなった場合
・疾病ごとの要医療性の内容が病状や経過によって変わるため、明確にすることが困難な面があることについて
などとしております。
 最後に、参考資料としまして前回の資料につきまして、今回と関連するところを中心に一部本日もお配りさせていただいております。説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日は資料3、疾病の重篤性とランクづけなどについてまとめてある資料でございますが、制度を検討する上でどのような点が必要かなどについて御発言を頂戴できればと思っております。
 それでは、特に資料3で論点を整理しております重篤性などについて御意見を頂戴できればと思います。
 どうぞ。
○田中委員 医療性を議論する場合は、幾つかの違う課題があると思うのです。それをはっきり分けておいて議論をされないといけない。
 認定のための医療をどう見るかという問題が1つです。
 それから、一旦医療性を認めて認定をして給付を行うという形で時間が経過していって、それがどう治癒していくか。治癒したものをその後どうするか。これは認定とは直接は関係ないのです。完全に治癒したらどこで認定を解除するかという問題が出てきますから全く関係ないわけではないのですが、その問題。
 それから、重篤度も認定とは関係はないのです。私どもは重篤度は手当のランクをつけるということで提案をしておりましたが、重篤度は手当には関係するが認定とは直接関係しない。
 ですので、認定を議論するときではなく、重篤度はぜひ別の議論のときにしていただきたい。きょうしますとまた議論があちらへ行ったりこちらへ行ったり錯綜してしまうように私は思いますので、座長さんのほうでよろしく仕切っていただければと思っています。
○神野座長 今のお話は認定そのものよりも、きょうの資料でいくと手当の問題に入ってしまうのではないかという御指摘ではないかと思いますが。
○田中委員 要医療性の重篤度を議論すると、それは手当につながる問題になりますので、前から私はしきりに言っておりますが、認定をどうするかという議論をした上で、認定された人の手当をどうするかという議論をはっきり分けていかないと、事が前のほうに進まないと主張しておりますので、この医療性に関してもそのことを分けて議論をしていただきたい。
 重篤度に関する議論は別の機会にやっていただきたいというのが私の提案です。
○神野座長 ただ、議事の運営をつかさどっている者とすると、前回私は最後にここでの議論を、前回の議論を踏まえて、次回は重篤度等々について議論を絞りながら手当の問題などを中心に、制度的な議論をしていきたいと思っておりますがそれでよろしいですねと御了解をいただいて、きょう準備していただいていますので、きょうその議論をやめろと言われても、議論の順番からいうと、これをやっておいていただいて、おっしゃる意図も十分踏まえた上で、次回以降運営の中で配慮させていただければと考えております。
 よろしいでしょうか。つまり、もう既に今回の議題については前回私のほうで皆様方の意見をまとめて申し上げたと思っております。
○田中委員 医療の問題を議論するときに、重篤度も議論されなくてはいけないと思うのです。だから、きょう提案されるのにこういう整理された提案があったことについては、私も了解しますし、そのことについて前回反対したつもりはないのです。そういうことに入ると想定されました。
 ですが、議論するときにその問題を一緒にしてしまうと、認定の問題から外れた問題が認定を議論しなくてはいけない話題の中に入り込んでしまうから、一応分けて議論を進めていただきたいと要望しているのです。
 私の要望ですので皆さんはどうか。
○荒井委員 認定と給付の問題、手当の問題は別だということを田中委員は繰り返しおっしゃっているのですが、それは田中委員あるいは被団協の方々のお考えだとそうなるのかもしれませんが、いずれにしても今の認定制度の中では放射線起因性と要医療性と2つの要件を前提にして当該の被爆者の方がいわゆる原爆症対象になるかどうかという前提で考えているのです。
 今、おっしゃった要医療性といいますか、あるいは病気の重篤度などを手当の面だけで考えていくというお考えもあるかもしれませんが、これまで出た方向性2とか方向性3にも使えるのではないかというのは、病気の重篤度などいわゆる要医療性の面にかかわる要件を認定制度の中に取り込むことができるのではないかという前提で来ているのです。ですから、田中委員のお言葉をおかりするとすれば、認定を考えるときに病気の重篤度とか治癒の見込みとかをどう取り込むことが可能かということが、認定制度の検討の上で欠かせないのではないでしょうか。
 だから、私に言わせれば切り離してということはちょっと無理があると思うのです。一緒に議論せざるを得ないのではないでしょうか。
○田中委員 荒井委員の言うことはよくわかりました。認定のときに同じ病気でも重篤度によって認定するかしないかを分けるということですね。今までそういうことは一切なかったことなので、それは新たに入ってくること、非常に重要なことですね。
○荒井委員 それも一つの方法でしょうが、重篤度とか治癒の見込みなどを、現在の認定制度の中の要医療性との関係でどう取り込んでくるか。あるいは手当給付の額のランクづけなどにどう取り込んでくるか自体が一つの論点になろうかと思いますので、必ずしも答えが一義的に出てくるものではないと思うのです。
 例えばの話ですが、私の私見にわたるかもしれないのですが、病気の重篤度とか症状の程度が現在回復の過程のどの辺にあるか、そういうことまで認定制度の対象あるいは給付水準の違いの中に取り込んでくるという考え方もなくはないと思うのですが、私の個人的な意見としては、それは大変ですね。それぞれの対象の方々の状況は時間の経過とともに変化もいたしましょうし、それは都道府県で考えるのか、国のほうで取り上げて審査するか、いずれにしても大変なことになりますね。
 ですから、重篤度とか回復の見込みということを考慮して給付のランクづけを1つ、2つふやすことは十分考えられるにしても、それは病気を外形的に捉えての要件への取り込みが適当なのであって、個別の方々の状態を認定の段階で取り込むことは無理がある。そこもいろいろな考え方があると思うのです。
 ですから、あえて言うと、個々の方々の状況がどうかというのは、現在でいうと3年に1度現況届ということでやっておりますから、それがうまく機能するように見直しをしていく余地は十分あるし必要だろうと思うのです。だから、病気の状況なりいわゆる重篤度といってもどういう角度で取り上げるかというので、それこそいろいろ考え方があり得るのではないでしょうかということです。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 草間先生とか長瀧先生にお尋ねしたほうがいいかと思うのですが、荒井委員も認定の段階で重篤度を考慮するのは難しいのではないかとおっしゃっていたように思うのです。そうなのです。だから重篤度は認定の問題ではない。認定した後、治癒に向かっていくでしょうから、その認定をいつ解除して、今ですと特別手当という程度に変わりますが、手当を変えていくか。その期間を今は3年に1回の報告で済ましているわけですがそれでいいかどうか。重篤度と治癒の過程というのは手当の支給の期間の問題なのです。
 それは認定とは関係ないと私は先ほどから申し上げておりますので、草間委員と長瀧委員に認定に重篤度が関係するかどうかお尋ねしたい。
○荒井委員 繰り返しになるのですが、それは一つのお考えではあって、重篤度といっても先ほど説明がありましたように、早い話ががんについても比較的重篤の度合いが低いとか、あるいは回復の度合いが高いとかいろいろあります。それを例えば外形的に捉えて、まさに認定の段階で、こういうがんならば給付の水準はこれまでのとおり維持すべきであるとか、こういうがんであればもうちょっとランクを下げてもいいのではないかという選択は十分にあると思うのです。それは給付の要件であると同時に認定の要件、基準をどうするかというところで問題になってくるわけですから、そこを切り離すわけにはいかない場面があると思うのです。
○田中委員 お2人の委員には御質問しましたのでお答えいただければいいのですが、そういうことは可能かを行政のほうにも実はお尋ねをしたいのです。
○神野座長 これは縦軸と横軸になっていますね。私は素人で申しわけありませんが、重篤度といった場合には、田中委員は主として縦軸を議論されているということでいいのですかね。
 横軸もあるので、生命への影響度とか病気そのものについても両方入ってクロスしていることはお忘れなく。というよりも、この議論について言いますと、方向性1の御提案に対してまず最初に方向性1にするかしないかを決めてからという田中委員の御意見に対して、一応方向性2と3の意見の具体的なイメージを詰めていく作業を、この検討会でどこまで詰められるかに限界があるかもしれませんが、そういう御意見がございましたので、それを詰めていく資料として今、方向性2や3のことについて提供していただいているのです。なので、その点はお含みおきいただいた上で、いつも方向性1にするのかしないのかという議論から始めましょうという御提案をいただいていますが、方向性2と3を詰めていくことも始めておりますので。
○田中委員 私どもが提案しているのは方向性1の議論をしろと言っているのではないのです。要医療性を議論するときに3つのカテゴリーがあると申し上げたのです。要医療性がどれぐらいあるかは認定の医療性と関係しますので、それは議論しなくてはいけない。
 それから、治癒の問題がありますが、治癒も本当は時間の問題ですね。重篤度を認定でどう見るかということがあるのだったらそこだけを議論していくべきで、それは難しいだろうと私は言っているのです。
○神野座長 御指名ですので、草間委員と長瀧委員、いかがですか。
○草間委員 認定と給付あるいは手当等は分けて考えるべきだというお話ですが、もうここの議論でたくさん出ているように、限られた財源の中でいかに被爆者の方たちに満足あるいは納得いただけるような制度をつくっていくかを考えたときに、手当と認定とを分けて考えるのは難しい気がするのです。
 いずれにしても認定するかしないかは、少なくとも放射線起因性があるかどうかと要医療性があるか、この2つの条件で決まってしまうわけです。今、放射線起因性、要医療性というのはどちらかというとオール・オア・ナッシングでゼロか1かという形で判断されている。それをもう少し、限られた財源の中で、しかも被爆者の方たちに納得していただけるようにとなると、重篤度みたいなものを認定の中に取り込めないかということで、きょう御提案いただいたのだろうと思うのです。
 きょうの16ページにありますように、段階的に手当を支給する、要するに手当を支給するということは認定を認めたということなのだろうと思うのです。認定しなかったら手当がないわけですから、そういう意味では今までの考え方と1段階進んだ形でいる。私も長いこと認定にかかわってきて、白血病と白内障と同じ13万円でいいのかということになるかと思うのです。そういう意味では、重篤度をきょう御提案いただいた案でいいかどうかはまた検討していただかなければいけないのですが、こういったものを取り込んだ形で認定制度を変えていきましょうということで御提案いただいたと理解しているのです。
○田中委員 ですから、それができましょうかという話。例えば肝機能でもいいですが、このひとは重篤であるから認定しましょう、この人は重篤度が低いから認定はしなくてもいいでしょうということが可能でしょうかということを私は質問しているのです。それが可能であればここで議論しなくてはいけない。それが可能でなくて、重篤だったら手当をたくさん出して、重篤度が低ければ手当を少なくしてもいいだろうという考えはありますから、それは手当の議論のところで独立してまたやる話ではないかということなのです。
○荒井委員 重篤度という言葉がひとり歩きといいますか、いろんなイメージで議論が出てきているように思うのです。きょう説明のあった資料というのは必ずしも事務局の提案ではなくて、前回私も意見を言わせていただいたときには、いわゆるグレーゾーンというものの趣旨そのものがいろいろな意味を持って語られているのですが、今のように13万幾らというのと、それがなくなれば5万幾らという2本立てでいくのではなくて、もう1ランク何らかの意味で低い水準の基準をつくることができないだろうか。そこに病気の治り具合とか重篤度を要件に取り込んでこられないか。
 中身に入っていくのですが、重篤度をそれぞれ個人個人の病状といいますか、発病から治っていくまでの過程のどういう状況かということまで、それを要件に取り込むという考え方はなくはないと思うのですが、先ほど申し上げたようにそれは大変だ。
 しかし、一方で重篤度という言葉の中に、きょうの資料でいいますと、早い話が白内障とがんとではティピカルに考えて、この病気はかなり重篤な病気の類型に入り得る、白内障はそうではないでしょう。それを同じ給付水準の対象にしていいのかという問題意識はみんなにあると思うのです。だから、重篤度を常に個人個人の病状がどうかというだけの意味に捉えずに、病気そのものの類型的な違いに着目して違った基準に取り込んでいく。そういう広い意味で捉えていっていいのではないでしょうか。
 そうすると、田中委員の御疑問はかなり解消されるのではないか。
○田中委員 全然解消されません。
 前から言っていますが、手当の問題ですよ。給付とおっしゃっていますが、手当の場合は法律では支給といっているようですが、支給の額の問題は手当の問題なのです。給付と言ってしまうと医療費の給付になりますので、医療費の支給は病院に払うお金が違いますから重篤度で違うのです。
 今までの認定は重篤度は関係ないのです。これからも恐らく病気の重篤度で認定をするしないという判断が可能とは私にはとても思えないのです。
○荒井委員 重篤度をそういう角度から捉える方法はなくはないのですが、私が申し上げているのは、そういう意味の重篤度を問題にしてここで基準としてどうするかではないと申し上げているのです。病気の類型で考えればいいのではないですか。
○神野座長 まず、この資料ですと、議論的には重篤性はここで書いてありますように、こう立ててみたのだけれども、生命や日常生活への影響、治癒の可能性、再発の可能性ということで重篤性を考えることについていいかどうか、ここでまず議論してほしいと言っているわけです。
 そう立ててみると、例えば14ページを見ていただいても、生命への影響はグループ1に入る病気、グループ2に入る病、グループ3、グループ4と書いてあって、生命への影響で重篤性を見ていくことがもしも議論として成立するのであれば、例えばグループ1、グループ2は高くと言えるのではないか。日常性への影響とか治癒の可能性それぞれについてこう言えるのでないかという横軸になっているわけです。そもそもこういうこと自身が成り立たないのだということであれば、重篤度に対する意見、つまりこう判断するのは無意味なのだという御意見で出していただければいいのではないか。
 田中委員の御意見はそういう御意見なのですね。
 どうぞ。
○石委員 お2人の議論は前から続いているのでまたかという感じもしないわけではないのですが、要するに田中さんは方向1に立脚して、認定があって手当だという順番を踏むわけですね。荒井さんはどちらかというと3を基盤にして2のほうに含めた形で重篤とか病状を入れましょうという話でしょう。お2人は1つの川を挟んで右岸と左岸と分かれているのです。したがって幾ら議論したってあれしない。右岸を歩いている人がいるし、左岸を歩いている人がいるとお互いに認めればいいのです。
 間違っていたら申しわけないが、結局2と3をとる人は、認定はそもそも田中さんが言うように外形標準、つまり3.5キロとか100時間とか外形的に被爆したとわかっている人は全部認めろという立場からいえば、別に重篤度も病状も要らないです。ただ、私はどちらかというと荒井さんの側なのだけれども、客観的に被爆の状況に遭った人でも全然病状が起きてない人もいるわけ。起きたが今、そんなことを要求する立場にないという人もいるわけです。そういうことになると、外形的な標準で被爆者とされても病状によって認定の基準とは違って当然なのです。かつ、認定の程度は軽いものから重いものまであるのでしょう。
 したがって、一体化しないとだめだというのは、私などはよくわかるのですが、方向性1をとれば、おっしゃるとおり首尾一貫していますから別に分けてもいいのでしょうが、2、3をとる人からいうと一体化しないと認定そのものができないのです。というのが私の意見です。これもまた左岸と右岸に分かれていると思いますが。
○神野座長 潮谷委員、どうぞ。
○潮谷委員 今回の資料の提供の仕方なのですが「議論のポイントと各方向性の整理表(集約版)」の2ページの方向性3の赤い文字のところ、読み上げますと「(方向性3について)現在の認定制度のもとで認められている疾病を広げることができるか。広げる場合に(手当額の)13万を念頭となると、かなり重い病気をイメージしなければならない。その2つを念頭に、放射線との繋がりの中で、どう考えて受け止めていくべきか。3のイメージを固めていく意味で教えてもらいたい」という前回の要望等々もあって、今回の資料が出されてきたと、私は理解をしているところです。
 新しい制度設計に、現在の認定額の中の重篤性でいくと、13万という額以外にも、あるいは病状の重さ軽さによって制度設計の中に加えていくことがあり得るのではないかという思いが、2と3を支持する側の中にもあって、これは制度設計と密接につながっていると考えているところです。
 以上です。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 一応趣旨としてはそういうことで前回の議論から準備をさせていただいたことになっております。
○田中委員 前も一度言いましたが制度設計を全くないところからつくっていくのではないのです。認定の制度があるのです。そして手当の制度があるのです。それは本来別なのです。別のものを一緒に議論したときにぐちゃぐちゃになってしまう。手当には手当の認定があるのです。その認定と10条、11条に書いてある認定とは違うのです。
 ですから、10条、11条で書いてある認定をどうするのかというのをまず議論しましょうということを私はずっと主張してきたのですが、きょうのお話ですと、その中に病気によって認定するものとしないもの、放射線とは余り関係ないものも出てくる。関係がありそうだというのでも重篤度が高くければ認定してもいいのではないかというふうになってくることを意味しましょうか。そういうことであればそれで議論していくことはあり得ると思います。
○神野座長 坪井委員、よろしくお願いします。
○坪井委員 私はこう思うのです。病気に重篤性がある、そのどこまでを認定するかということなのです。名前は私は医者ではないからわかりませんが、簡単にぱっといった場合には同じ名前でついていても非常に難しいのとやさしい病気もあるわけです。ところが、どこで認定をするかになると、早く言えばA、B、C、D、E、Fと、E、Fのほうは認定には入らないということをまず考えるために重篤性が物すごく要るわけです。だからそれをやって、では認定をした人の手当はどうするかというのが次に出るのです。私はそう考えているのです。それでまずどれを認定するのかというのだから、ちょっと頭が痛いから認定とはできないでしょう。そんなことで、重篤性から見てまず最低限ここまでは認定しよう。それが済んだら今度は手当のほうをどうするか。私はそう考えます。
○神野座長 そういうふうに認定と手当は関連づけられているのではないかと、私などは素人ですが考えているのですが。
○田中委員 そういう考え方が最初から議論されればまだよかったのですが、今までの議論の中で、認定の議論をしているときに放射線起因性が厳しく問われてきたわけです。
○神野座長 起因性と要医療性も必要だということで、車の両輪として議論してきて。
○田中委員 要医療性も含めて。放射線起因性と要医療性が厳しく問われて認定できるか認定できないかの話になってきたのです。
 通ってしまったらそこで決まりです。重篤度も何もないのではないですか。
○神野座長 重篤度は要医療性と起因性との接点みたいなところに出てくるのではないのですか。
○田中委員 起因性を緩く考えて、この病気は放射性に起因する、しかし、これは重篤であるから認定するけれども、これは重篤でないから認定しないという制度としてあるのであれば、それはそれとして議論してもいいことですよ。そういう議論をされるのですか。法律を変えないでそういうことができますか。
○荒井委員 私は前回も申し上げたように、方向性3に考えが近いのです。方向性3はまだ中身が必ずしもはっきりしないではないか。病気はどういうものを追加できるのかということがもちろん一つあるわけですが、前回か前々回に私が申し上げたのは、方向性2の発想を少し方向性3にいただいて、いわゆるグレーゾーンは、私の考えでは現在の放射線起因性と要医療性を要件とする認定制度の枠の中でランクづけをしたらどうか、切り分けたらどうかという発想なのです。
 さて、そこで放射線起因性で濃淡を考えて、高度な蓋然性はないかもしれないが若干関係がありそうだというのをグレーゾーンとして捉える考え方は私はとり得ない。しかし、要医療性にかかわる問題として、重い病気と軽い病気の場合は、同じ病名でも場合によったら切り分けられる。あるいは類型的に考えて、端的に言えば白内障とがんとで違うではありませんか。それはランクづけを変えていく場合の要件に取り込むことができるのではないかということで、きょう資料としていわゆる重篤度がどう病気によって整理できるのかということで資料を出していただいたつもりなのです。だから、私に言わせれば方向性3の一つの考え方として、重い病気と軽い病気とを切り分けて給付の水準を変えていくと整理していただけば、方向性3のイメージが若干はっきりしてくる面があると思うのです。
 さて、冒頭のお話に戻るのですが、それぞれの人の病気の状態がどうか、重い状態から寛解して軽くなってきたかどうか、そこまでを認定制度の中でいちいち診断とか審査をすることは無理がありましょう。類型的に軽い病気と重い病気とを区別して、要件の中に取り込んでくることでどうでしょうかというのが私の意見なのです。そういう意見をめぐっておかしいとか何かという議論を進めていただけば、2や3の方向性についてもうちょっと議論が深まるのではないでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○草間委員 今、医療特別手当という形で議論されているわけですが、原爆被爆者全体に対することを考えたときに、前から御説明いただいているように、医療費とか介護保険とかこういったものは現物給付されているわけです。そういう中で医療特別手当という形で出す意味合いはきっちりしてほしいということを、私は最初から言っていたつもりなのです。
 いずれにしても、要医療性があって、治療しなければいけないとしても治療費そのものが現物給付という形で、高額医療であっても支払われるわけですので、それ以外のところで医療特別手当とは一体どういう意味があるかといったときに、きょうお出しいただいた、例えば生命にとって大変危険であるとか、日常生活が困難である、要するにADLが高いか低いかとか、あるいは5年生存率を考えたときに再発の危険があるかどうかの不安とか、そういったものに対して医療特別手当の認定が行われるのだということの説明が、これを重篤度と呼ぶかどうかは別としまして、こういった要因を入れながら医療特別手当の認定をするということで、すごく説明もしやすいような気がするのです。
 そうしないと、治療費あるいは介護保険にしましても現物給付という形で支払われている中で、13万何がしかを支払う意味合いを最初からしっかり意味づけてほしいという意味で言ったのですが、まさにこういうことではないかと思うのです。これを重篤度と呼ぶと、それぞれ皆さん疾病だけを思ったりとかすると思うのでどういう言葉がいいかわからないのですが、要するにこういう要因を考慮したものを医療特別手当として支給しますよという形で、そのときにADLの問題とか5年生存率あるいは再発率とかを考えたときに、白血病と白内障で同じでいいですかということになるので、その辺は同じ認定でも手当の額に差をつける形でやっていくのではないかと思うのです。
 そういう意味では、どちらかというと疾病を類型化して少し体系を考え直しましょうというのが一歩進んだ考え方ではないかと思っていますし、それが国民に対しても一番リーズナブルな説明をできる方法ではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。
○神野座長 ありがとうございます。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 きょうの事務方からの説明は、非常に私どもにとってはよくわかった。というのは、私どもが提案している重篤度だとか治療の期間だとか、そういうものでランクを3区分つくりましょうという提案をしていましたね。何をどこに入れるかについて非常にきょうの説明は役に立つと思いました。私どもがつくるわけではないですが、そういう考え方で進められるだろうと思うのです。
 それはやはり手当なのです。今、草間先生は認定の話ではなくて手当の話をされたのです。どうして認定と手当が一緒なのでしょうかね。それがどうしてもわからない。認定でお金が出るのは医療特別手当があってですから、それは別ですよ。極端に言えば、認定があっても医療特別手当でなくてもいいわけです。今は認定された人に医療特別手当が出ることになっているだけであって、認定されて医療特別手当でなくて別の手当でもいいのですよ。それは別に議論すればいいのです。だが、認定はどうするかというのはきちんと議論をしておかなければいけないというのが、一貫して私が言っていることなのです。
○草間委員 田中先生が言われるのとほかとの違いは。
 少なくとも放射線起因性と要医療性は外せないというのはよろしいでしょうか。
○田中委員 それはそのとおりです。
○草間委員 そこのところをきっちりしていただかないと、放射線起因性といったときにどこまでをいうかというところが、また議論が戻るかと思いますが、少なくとも放射線起因性と要医療性の2つは絶対条件であるということはお認めいただかないといけないのではないかと思うのですが。
○田中委員 起因性をどうするかということがまだ終わっていないのです。また戻るのではなくて終わっていないのです。司法と行政の乖離のほかに認定のところで乖離があるわけです。手当のことは司法は一切言っていません。それがまだ解決していない。
 ついでに申し上げますが、前回潮谷先生が総合的に判断しているという格好の認定があるけれどもそういう例を示してくださいと事務方にお願いしていらっしゃいましたので、ぜひきょうは紹介をしていただけるものと期待しているのですが、それもお願いしたいと思います。
○神野座長 ちょっと論理上あれですね。要医療性と起因性の2つで認定が成り立っている。それはよろしいのですね。田中さんの論理は、素人から言うと要医療性のほうは手当でと聞こえるのですが。
○田中委員 違う。
○神野座長 違うのですね。要医療性も考慮されて認定というのは行われている。それでいいのですね。
○田中委員 そうです。
○神野座長 そうすると同じことになるのではないかという気がして、どうしても違うのが理解できないのですが。
○田中委員 いいですか。手当は要医療性に付随しているものではないのです。だから別にしましょうと言っているのです。
○神野座長 そこが理解できない。
 潮谷先生、どうぞ。
○潮谷委員 今まで田中委員のお話を伺っていて、要医療性と放射線起因性というのは判断のときのベースとして理解しているとおっしゃったのですが、これまでの論議で放射線起因性ということをもっと広げて認定行為の中に取り込みましょうということを田中委員はおっしゃってきたと理解しているのです。
 ですから、私の立場からすると、税金を使うという問題を考えたときに、原爆に遭ったという事実だけで認定行為を広げていくことは客観的に難しいのではないか。それで方向性2と3という形の論議が出てきていて、要医療性の中で今回の重篤性であるかどうかを一つの判断基準の中に制度として加味していったらどうだろうかという流れだと理解しているのですが、いかがでございましょうか。
○神野座長 どうぞ。
○石委員 皆さん方向性1、2、3というグループ分けになんだかんだで参加しているわけです。グループ2、3の人はグループ1はけしからぬと言ってもしようがないし、逆の立場から逆はけしからぬと言ってもしようがないので、お互いの立場、考え方というのは厳然とあるわけですから、今さら折伏される年齢でもありませんから、それはそれで自分の立場を堅持する。
 きょうの議題はグループ2、3の立場から、グレードをつけて認定と手当と一体化したところでもうちょっと制度設計で細かくやりましょうという話なので、こういう言い方をすると失礼ですが、ある意味ではきょうは方向性1の議論ではないのです。方向性1の議論はそれだけでまたやったらいいと思う。ただ、それは先ほどの例を使えば永遠に対岸を渡っているだけで余り意味はないと思いますので、最終的にどういうまとめ方を座長がするか知らないけれども、いずれにしても1、2、3の方向に従って、どれをやめてどれだけ足そうということをやられるのだろうと思いますから、そこはそこで、きょうは建設的な議論を進めるためには方向性2か3かその辺の組み合わせによってランクづけ的なことが可能かどうかを、資料を提出いただいたものをベースにして、先ほどおっしゃったようにがんと白内障は全然違うと思います。そういうことを踏まえて議論するのが筋ではないかと思います。
 ただ、おっしゃる認定という基準をめぐっていろんな解釈もあります。それはそれでまた一つ議論をして、重篤性と絡まなくてもいいかもしれませんが、そういう感じを持ちます。
○神野座長 意図は石先生にまとめていただいたとおりでありますので、特に方向性2、3についてもう少し具体的なイメージが湧くようにという議論もございましたので、かつ、2が取り込めないかという御議論もあったので、方向性2、3の議論を深める意味で、前回の御議論から潮谷委員がお聞きしていただいた御発言もあったので準備をした。この辺の準備については事前に申し上げておりますので、きょうはこういう形で議論をさせていただければということで、議事の進行をさせていただく方針でございます。
 山崎委員、何かいいですか。
○山崎委員 それでいいです。
○神野座長 あとはいかがでございましょう。
 佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 せっかく論点を出していただいていますので、若干論点についての意見を申し上げさせていただきます。
 16ページに「疾病の重篤性に応じて、段階的に手当額を設定することについて」と書かれております。これは14ページ、15ページに関連してこういうことができるだろうかということを問題提起されているのだと思いますが、ここはせっかく14ページと15ページがきちっと仕分けして整理をされていますので、14ページは疾病そのものの重篤性、どちらかというと認定のときの疾病がどういう疾病かという観点で、15ページは時間の経過が入っている。疾病が治癒していく過程での段階を考える話なのでかなりフェーズが違いますので、16ページの2番目の○の「疾病の重篤性に応じて、段階的に手当額を設定することについて」もそれに沿ってもう少しきちっと仕分けして整理をしていただいたほうがいいのではないかと思います。
 それに関連して、私も医療の専門家ではないので、可能であれば本当に困っている方あるいは重篤性が強い方についてより手厚くしていくという基本的な考え方はいいと思っておりますが、15ページの時間の経過で細かく見ていくということについては、今は治癒したかしていないか2つに1つということを細かく分けるのですが、考え方はわかるのですが、本当に現実的に運用が可能なものかどうかということも、こういうことを議論するときには十分に踏まえた上でしていただきたいと申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、14ページに「治癒の可能性」が入っておるのですが、疾病の重篤性と疾患別の重篤性の両方を仮に併用することになった場合に、疾病の重篤性のときに治癒の可能性が入り、さらに疾患別のときにこういう段階が入ってくることになると、治癒の可能性の部分がダブルで入ってくるようなイメージもありますので、両方併用される場合には上のほうから治癒の可能性が要るのかどうかという疑問が少しございます。ここは私も自信はありませんが、そういう論点もあるのかなと思っております。
 以上です。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
○三藤委員 基本的な考え方でいきますと、放射線の起因性が確率的に高く要医療性もある状態だったら、今の認定制度でほとんど認定されておるはずなのです。要するに放射線起因性がないとは言えないが確率的に低い部分に何らかの対応ができないかということが課題だろうと私は思っていまして、そのために方向性2とか3が出てきたのだろうと思っています。
 ただ、前回の議論の中でも話が出ていたようですが、放射線起因性の濃度を薄めるだけで救済するというか枠内に含めていくのは若干無理があるのではないかとは私も思っていますので、そういう意味では要医療性の中で、重篤度という表現が妥当かどうかはわかりませんが、放射線起因性を若干広げるための理屈が立てられないかという考え方は私も賛成です。そういう意味では、今の重篤度である程度補うことができるのではないかという印象も持っています。
 ただ、一つだけ御意見を申し上げたいのは、先ほど意見が出たのですけれども、私も説明を最初に聞いた段階では、大ざっぱにつかむとこのやり方は使えるのではないかという印象を持ったのですが、余り複雑にし過ぎると制度設計が難しくなる。だから、先ほど出たように疾病の種類とかそういうことに帰着させて、ある程度取り込む方法の可能性はあるのではないかという考えを持っています。
○神野座長 ありがとうございます。
 あとはいかがでございましょうか。
 長瀧先生、何かコメントがございましたらお願いします。
○長瀧委員 どこまでこの制度をいじるかにもよりますが、少なくとも放射線起因性と要医療性とが2本の柱として認定する。ただ、そのときいつも問題になりますのは、がんでもう亡くなってしまう人の要医療性と、白内障で一旦手術をしたらあとは普通の生活ができる人を同じに扱って同じように原爆症ということで補償するのかと言われると、医療性というときに、一般の方はどうしてそれが同じなのだという疑問を持たれると思うのです。それを何かの言葉でやはりこの制度の中に、要医療性の中に入れてみんな納得する格好ができないかと私自身は感じております。白内障で手術をしたら治ってしまう人と、ずっと転移を続けて亡くなってしまう人が同じように要医療性という言葉でこのままいっていいのかどうかというのは検討すべきではないかと思いますので、それを重篤度という言葉で言うとすれば、議論の中に重篤度は入ったほうがいいのではないかという感じがいたします。
○神野座長 草間委員、どうぞ。
○草間委員 今、重篤度はどちらかというと要医療性を判断するための重篤度ではなくて、疾病を類型化するときの重篤度だと思うのです。いずれにしましても、田中先生はまだ放射線起因性は解決していないのではないかというお話ですが、それぞれの中で思いはあると思うのですが、少なくとも放射線起因性、要医療性についてはあるところで、例えば放射線起因性については今、がんに関しては3.5キロという数字が出ているわけですので、それより以遠になるべきではないというのは私はずっと主張してきておりますので、ある程度そういったところで解決がつくと思うのです。
 先ほどから御議論があるように、これから疾病についても手当の額を変えるとかそういう取り込みをしていったらどうかというお話に私も大変賛成なのです。だから、そういう意味では疾病を類型化するときの重篤度であって、要医療性は医療が必要かどうかという形で別の判断なのだろうと思うのです。放射線起因性も別の判断。
 少なくとも放射線起因性と要医療性は認定に当たってまず絶対条件で、この2つはなければいけない。その中で今度は疾患をこれから認定しようといったときに、オール・オア・ナッシングの形ではなくて類型化しながら、ゼロか13万円何がしかでなくて、少し類型化したらどうかという中で、重篤度という言葉、私は重篤性というより程度ですので重篤度だと思うのですが、重篤度で判断していきましょうということなので、要医療性とは切り離して考える必要があるのではないかと思うのですが、長瀧先生、その辺はどうでしょうか。
○神野座長 ついでに、佐々木委員が先ほど自分は専門家ではないのでと言われた点についても何かコメントをいただければ。
○長瀧委員 これも疾患を決めるのか、要医療性のときに病名を決めてしまってそれでいいということにするのか、あるいは病名を決めるときに既に要医療性を考えて決めるのか。そこら辺が、病名が決まったらもうそれは一つのクライテリアに入ってしまうのか、病名に触る、病気を選択するときから要医療性をかなり頭に入れて入るのか、あるいは病気は残しておくがその後の手当として変えるのか。そこら辺はどちらがいいのかまた別の問題だと思いますが、少なくともがんと白内障が同じような判定に入ることは、むしろ普通の人が誤解すると思うのです。かえって、無理してこんなことをしている、これはよくないではないかという目で見られることは避けた方がいいのではないかという感じがいたします。
○神野座長 ありがとうございます。
 それと、資料等でいうと重篤度も「その1」と「その2」といったほうがいいのかもしれませんが、同じがんでも早期とかいろいろあるという違いがありますね。問題の提起はこれもクロスして考えた方がいいのかどうかということですね。つまり、縦横をクロスして考えるべきか、横軸だけでいくか、縦軸だけでいくかということかなと思います。
○草間委員 最終的な判断はそんなに一人一人横軸も縦軸もというのは難しいので、類型化するときに縦軸も横軸も総合的に判断して類型化しましょうという形で、きょう見せていただいたので大体皆さん、縦横を考えたときにグループ1は何でグループ2は何というイメージが多分それぞれある程度浮かばれるのではないかと思うのです。だから、両方とも考えなければいけないと思っています。
○荒井委員 草間先生のお話を聞いていて、少し頭の整理を自分でもできてきたかと思うのですが、やはり重い病気かそうではない病気か、いずれにしても放射線起因性を肯定した上で、病気の類型によって手当の額のランクづけに少しバラエティを持たせたほうがいい。その場合の病気の類型化というのはまさに草間委員が御指摘のとおり、要医療性の要件の中での問題でなくて、いわゆる原爆症に対する手当の給付の性格づけを考えると、重い病気であるか軽い病気であるかによって手当の額が違ってしかるべきだろうという、一番根本のところでの違いだろうと思うのです。放射線の濃淡で病気の重い軽いを区別していこうというのではなく、要医療性の要件との関係で重い病気か軽い病気かを区別するわけでもない。そういう整理だろうと思うのです。
 さて、それではこの縦軸横軸の中でその人それぞれの病気の状態が今、非常に重い状態なのか、軽くなってきているのか、そういう意味での重篤度の変化が当然あり得るわけですが、それはこの際認定の中で要件に取り込むのは煩雑に過ぎるということで、考えないほうがいいのではないかという気がいたしました。
 さらに言うと、座長の御指摘の早期がんの場合とそうでない場合と、いわゆる重篤度という目で見れば、あるいは違いが医学的にあるのかもしれませんが、これも認定の段階での基準として取り込むには複雑過ぎる。
 あえて申し上げると、今、言ったような重篤度の変化みたいなものは、3年に1度の現況届、どういう状況の変化があったかということで、本来今の制度のもとでも3年に1度は見直さなければいけないのです。これは実は余り機能していないと聞いておるのですが、それはこの際、きょうでなくてもいいのですが、一度もう少しきちっと状況に応じて打ち切るなり認定変えができるような方法を考えていいのではないだろうか。
 さらに言うと、ランクづけという場合に、何回前でしたかどなたかがおっしゃっていた、病気によっては期間限定で、事後的に状況がよくなったかどうかで見直していく方法ももちろんあるわけですが、初めからこの類型の病気ならばこの程度の期間見てあげればいいだろうということが、あるいは医学的に仕分けが可能かもしれない。そういうところも今後考えていってもいいのかなという気がいたしました。
 そういう意味では方向性2と3との中身がちょっとはっきりしてきたかな。あえて申し上げると、2のほうはADLなども考慮してランクづけをというお考えがたしかあったかと思うのですが、それは3の関係で申し上げたと同じように、その要件に取り込んでくるのは複雑になり過ぎるかなという気がいたします。
 そういうことを言っていくとかなり2と3が近づいてくるのではないか。
○石委員 制度設計を今後やっていくことになると、このグループ1、2、3、4という事務局の資料は結構重要であって、意図してやられたかどうか知らぬけれども、恐らくランクづけの基準になるということですね。といっても、これはまた複雑でして、簡素化していこう、あるいはワーカブルな基準にしようとなると、細かいいろいろなことを入れるよりは大なたを振るったような基準がどうしても必要ですから、そういう意味ではグループを4つに分けるのも多過ぎるぐらいで、3つぐらいなのかな。よくわかりません。
 かつ、各項になる縦軸横軸の個別の事例の文章化的な作業をしていただいて、事務局は大分ベテランがおられると思いますから、方向性3と2をコンバインした領域など、階段があってここから先はどうで階段がいろいろあったね。あの辺のところにこういう基準が役に立つのかどうかという視点から基準、あるいはグループ分けを使えないかどうか、ちょっと考えてみて、こういう御検討をいただくと制度化が少し促進されるのではないですかねと思います。
○神野座長 ありがとうございます。
 あとはいかがでしょうか。高橋委員、ありますか。
○高橋進委員 おおむね皆さんの御議論と私も考えていることは同じなのですが、結果を考えたときに一番最悪なのは、今、特別医療手当をもらっていらっしゃる方をランクづけしていって、フルにもらっていた方がもらえなくなる。結果、それだけで終わってしまったら一番悪いわけです。実際にグレーゾーンのところがうまく取り込めているのかどうか、ある程度取り込めるのかどうかは少し考慮してみないといけないのではないか。考え方はわかりますが、結果がどうなるのかはある程度考えておかなければいけないのではないか。
 結果としてある程度グレーゾーンが取り込めるような形になれば、それが結果的に認定したことにつながっていくことで、先ほど坪井委員がおっしゃった、病気をどこまで認定するのかにつながってくるのだと思います。
 だから、結果として認定になるという考え方で、先ほどから川を挟んで両側とおっしゃっていますが、私はそこはうまくやれば橋はつくれるのではないかという気はするのです。
 以上でございます。
○神野座長 ありがとうございます。
 山崎委員も御発言があればお願いします。
○山崎委員 いい方向に話が動き始めたなと思っているのですが、あとは、事務局も十分意識されていますように、判定する行政の側、申請する被爆者の側にとって余り煩雑にならないような制約条件があるのではないかという気がいたします。
 それから、介護保険の場合は明らかに最初から有効期間を設けているので、その有効期間が過ぎれば無効になり、再度申請することになっておりますから、疾病によってはそういうものも入れていいのではないかと思います。
○神野座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見があれば頂戴したいと思いますが、いかがでございますか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 発言を控えましたが、やはり最終的には手当の議論になってしまったのですね。
 手当のことについて言えば、私どもの提案も実は手当の提案なのです。でも、皆さんが議論されたことはほとんど同じ手当の考え方になっているわけです。同じ病気でも重篤度で分けてもいい、治ったら落としてもいいという考え方が入っている提案でもあるのです。
 だから、きょう皆さんが手当として議論されたことについてはほとんど異議はないのですが、その前提になっている認定はどうするかは本当に引っかかっているのです。繰り返しますが、特に司法が認定したもので今も依然として行政に認定されていないものがあるのです。それをどうするかが本当はこの検討会の任務だったと思うのです。それをどうやって取り入れるかという議論は手当とは別にきちんとやらなければいけないことだと私は思っているのです。それをぜひやっていただきたい。
 これはすれ違うかどうかではないのです。私どもでないといけないと言ったのは、どうもうまくいきそうにないからそう言っただけであって、うまくいくものが出てくれば大いに私どもも議論をしたいと思っているのです。
○荒井委員 認定と手当は別だという田中委員のお話はもう何度も何度もお聞きしているのですが、恐らく何が一番根っこで違うかといえば、現在の制度なり方向性2、3の考え方というのは、中身の要件をどう広げられるかとか薄められるかというところはあるのですが、いずれにしても13万だかその中間段階をつくるかということは別として、給付をするに値する要件をどうつくるかというレベルの議論なのです。
 ところが、田中先生のお考えとしては、起因性を全くネグレクトするわけではないけれども、それは極端にいうと原爆手帳を持っていれば関連性みたいなものは肯定してもいいだろう。それを医療分科会などでいちいち認定していくのではなくて法律で決めてしまえ、あるいは政令で決めてしまえ。そうすると医療分科会的などこかの認定行為などなくて済むだろうというお考えではありませんか。
 そこは人が集まって何らかの委員会でもって認定するか、都道府県のほうで認定するかは別として、ある要件に該当するかどうか、当てはまるかどうかをどこかで判断しなくてはいけない。だから法律あるいは政省令で決めるとしても、それに当てはまるかどうかの判断はどこかでしなくてはいけない。今の医療分科会的なやり方とは違ってくるかもしれませんが、およそ給付の前提となる実体的な要件に当てはまるかどうかの、いわゆる認定はないわけにはいかないのです。
 そこが今の仕組みと全然違うことをお考えなものですから、別だ別だとおっしゃるわけですが、そこは平行線になるのではないでしょうか。
○田中委員 平行線ではないのです。実は政令で決めることも提案していますが、それを認定する、審議会か何かで議論をしてきちんと決めることを提案しているのです。決めることは省令で決めるか法律で決めるかわかりませんが、それはきちんと決めていただきたいのです。
 私どもは被爆者全部とは言っていないのです。少なくとも国際的に放射線との関係が認められる疾病を対象にしなさいという提案をしているのです。何でも被爆者の病気を認定しろと言っているわけではないのです。それはちゃんと読んでいただければ、がんとか白内障とか心筋梗塞だとか、例示という格好で書いてあると思います。骨粗しょう症は残念ながら挙げていません。私どもは裁判では勝っていますが提案の中には書いていないので、何でもいいということではないと改めて強調しておきたいと思うのです。
○荒井委員 もう一言申し上げておきたいと思うのは、司法と行政認定とのギャップをどうするか。これも本当に繰り返しになるのですが、方向性2、3の考え方がある程度もっとはっきりしてきた段階で、では2、3の考え方で司法と行政とのギャップがどの程度埋められるのか、残るものがどの程度あるのか、ないのか。そこはもう少し先になってもいいと思うのですが、それは確認をしていいのではないでしょうか。
 私はもともとある程度のギャップはやむを得ないのだという考え方なのですが、恐らく2、3の考えた方をずっと整理していった暁にはかなりの程度でそこのギャップは埋まってくるはずだと思っているのです。
 もう一つ、考えておかなければならないのは、原因確率とか閾値を用いてやっていた元の医療分科会の基準、その時代に随分と司法と行政とのギャップが起こって、それでいろいろ見直しの意見が出た上で新しい審査の基準が出ましたね。司法と行政とのギャップというときに、かつての旧基準のイメージで議論するのは私は適当ではないと思うのです。集団的な裁判で起こったのは何連敗という歴史がありますが、新しい審査の基準で今、進んでいる個別裁判がまだ結構残っているようですが、新しい審査の方針のもとでの裁判は、それほど司法と行政とのギャップというほどのことではないと私は受けとめているのです。国がそんなに連敗連敗ということではなくて、余り勝ち負けで言うのはよくないですが、この裁判の考え方と行政認定の考え方は、新しい審査の方針のもとでは比較的近づいてきていると理解できるのではないでしょうか。
 ですから、少なくともそのギャップがどの程度埋められたかを検討するときには現時点で考えた方がいいと申し上げておきたいと思います。
○神野座長 あとはいかがでございましょうか。
○田中委員 私は現時点で考えているつもりなのです。なおかつ、前の集団訴訟時代の裁判で司法が認定しろといったような事例について、今でも却下がずっと続くものがあるのです。それをどうするかが私たちの課題だったと思うのです。その典型的なものが放射性起因性がついている疾病がありますね。あれの大部分を司法では認めているわけです。その大部分は、前から言っていますが、残留放射線の影響を認めたか認めないかにあるように思いますので、それを新しい制度の中にどう取り入れるかをここは考えていったほうがいいのではないかと最初から私は思っているのですが、残留放射線のことは一切目を閉じてもいいような発言もありますと結局埋まらないです。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 残留放射線の御議論がありましたけれども、そのことについても結局どこまでその影響があるのか、どこまで量を浴びたのかわからない。だからゼロとしているのではなくて、その影響もあるかもしれないということが根底にあるからこそグレーゾーンをつくるという話になったわけです。被曝量、個体差、いろんな実情の差、かっちりと決めきれない部分があるからこそグレーゾーンをつくる。そのグレーゾーンをいかに取り込むかということで今、こういう議論まで至ったと思うのです。
 ですから、私は残留放射線だとかそういう議論を捨象してしまって手当のことだけ議論しているわけではないと思います。
○神野座長 ありがとうございます。
○田中委員 そうであれば幸いなのですが、どうも私にはそうは聞こえないものですからいつも言っているのです。
○神野座長 あとはいかがでございますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。本日は御熱心に御議論いただきましたので、次回も引き続きそれぞれの方向性を、より具体的に中身を明確化していく作業を続けながら、できれば制度化の構想に向けて進めていきたいと考えております。
 きょういただいた意見を次回深めるようなことができると同時に、田中委員、高橋委員、荒井委員からも一回はグレーゾーンといった問題は少し議論しておいたほうがいいだろうと御提案いただきましたので、グレーゾーンもちょっと私の感じではどうも使う人によって言葉が違っている場合もあるので、少しそこら辺を整理しながらグレーゾーンにも焦点を当てつつ議論ができるような方向で、それぞれの方向性をより具体化し明確化していく、フェーズを上げていくことが進められればと願って、次回少しグレーゾーンの問題も。
○田中委員 最後に、認定の問題は医療の給付ですから、グレーゾーンを入れたときに、グレーゾーンの人たちの医療費は全部給付するのだということを前提にして議論することを確認してほしいのです。今の法律の10条、11条は認定した病気の医療費は全額国が持つことになっているのです。だからグレーゾーンで認定した人たちはその条件をちゃんと満たすのでしょうね、満たさないのであればどうするかも考えた議論をするということを確認しておいてほしいというのが私の最後の発言です。
○草間委員 可能かどうかわからないのですが、被爆者手帳を交付している方たちが、どのぐらいの距離の方たちがどのぐらいでということはわかるのでしょうか。それを出していただくと、グレーゾーンの議論の中で特に放射線起因性を判断するときに役立つかな。私の印象だと被爆手帳の交付地域は時代とともに広がっていった感じがするのです。だから、今、原爆手帳をいただいている方たちがどのぐらいの距離の方かどのぐらいというデータがあればいいなと思うのですが、どうでしょうか。
○神野座長 その資料は可能ですか。
○榊原室長 ちょっと調べてみまして可能かどうか検討させていただきたいと思います。
○神野座長 どうぞ。
○山崎委員 今、医療費の問題でございますが、原爆症と認定されれば国が全額負担する。そうでない被爆者の方の疾病については皆保険を前提にしますと7割を保険で見て、患者負担分を公費で見る。この場合の公費というのは国が3割分だけ持つということで、そういう問題が必ず起こると思っておりました。したがって、これは皆さんで議論することだと思うのですが、私はあえて第二種は一種と切り離して原爆症として認定するのではなくて、原爆症に準ずる状態として認定すると言ったわけでございますが、そこは割り切って全てグレーゾーンも含めて原爆症として認定する考え方もあると思うのですが、グレーはグレーでそこまで言い切れないとなると、保険と併用して3割分を国が持つということもあるのかなと思っております。要するに予算の制約に係ることだと思います。
○田中委員 山崎先生はちょっと誤解されているかなと思います。認定された疾病だけが全額国庫負担で、それ以外の病気は認定されている被爆者も1割とか3割は負担するのです。病気だけ全額国庫負担なのですよ。そのことを理解しておいていただかなければ、認定されたら全部病気がただみたいで、そんなのはひどいではないかという話が一般に広がってしまうと大変ですので、そうではないのです。私が前立腺がんか何かで認定されているとしますね。私のがんの治療費を私は負担しなくてもいいのですが、ほかの胃が痛くなったとかは私が負担する。
○山崎委員 それは当然です。ですから原爆症については、認定された病気についてはです。
○神野座長 長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 この次のグレーゾーンの議論の対象は、放射線起因性についてのグレーゾーンの話になるのですか。それとも手当ということですか。
○神野座長 最初に申し上げましたように、グレーゾーンとは皆さんいろいろ使われているので、その整理を含めて議論をするために、事務局のほうに資料をつくってもらうようにいたします。司法と行政との乖離みたいなところでお使いになっている方もいらっしゃいますし、いろいろとグレーゾーンは使われておりますので、それも整理しながら議論をさせていただければと思っております。
 私も田中委員の先に確認してからしか入れないというのは理解ができないので、議論を最初にしていただいても構いませんが、きょうここで確認してから議論をしろと言われても、議事進行をしている人間が理解をしていないので、頭が悪くて申しわけありません。次回その件を含めて議論をしていただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○潮谷委員 今のグレーゾーンの問題ですが、概論的にこれを出すのは厚労省は難しいのではないか。ですから、今、グレーゾーンについての見解がこういう領域の中で出されているという実態論に基づいたグレーゾーンを出していただくことになろうかと思います。
 以上です。
○神野座長 ありがとうございます。
○荒井委員 グレーゾーンのそれぞれの発言者のイメージがどうだというところを確認しておくことに意味はなくはないと思うのですが、司法と行政のギャップが埋まるか埋まらないか、私がどの程度残るか残らないかの議論を確認したいというのは、グレーゾーン議論と重なるところもありますが、ちょっと別だろう。
 私のは次回はちょっと無理かもしれない。つまり方向性2、3の制度設計のイメージがもうちょっとはっきりしてきた暁で、なおかつ乖離が残るのかどうか、その意見交換をしていただきたいと思います。
○神野座長 それを含めて次回以降の議事の運営を考えていきたいと思っております。
 長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 結局、放射線があるかないかという場所の問題のグレーと、疾患についてどこまで入れるかもまたグレーになりますね。そこら辺もこの次議論するということになりますか。
○神野座長 そうですね。
 整理した上でそこも含めて資料の準備をできますか。
○榊原室長 何とか。
○神野座長 準備をさせていただければと思っております。
 何か御発言ありましたら、どうぞ。
○高橋進委員 起因性というところで、その病気が原爆に起因しているかどうかはグレーゾーンはあるかもしれませんが、被曝量についてのグレーについては、もともともそこが難しいからこそ要医療性のところに話を持っていったと思うので、グレーゾーンを定義しろと言われると、それができないからこそ逆に今、こういう議論にまで持ってきたと思うので、私はただそこの結果を検証してもらいたい。結果的にグレーゾーンができなかったら意味がないわけですから、本当にグレーゾーンになるのかどうかを議論する必要はあると思いますが、グレーゾーンそのものをもう一回議論するとなると、また戻ってしまうかなという気がするのですが、違いますかね。
○潮谷委員 私も同感です。
○神野座長 ただ、今のような使い方だけではないので、ちょっとそこを整理した上で踏まえておきたいということです。おっしゃっている意味は重々承知しておりますので。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の検討会はこれにて終了させていただきます。暗くなるまで熱心に御討議いただきましたことを感謝する次第でございます。
 事務局のほうから連絡事項を含めて補足する点がございましたら、よろしくお願いします。
○榊原室長 次回の日程につきましては、1月29日火曜日14時~16時で予定しております。詳細は追って御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
○神野座長 これにて本日の検討会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました


(了)
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