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2012年11月20日 第17回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年11月20日(火) 13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(22階)


○議題

1.開会

2.議事

(1)各方向性のより詳細な検討について

(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原室長 開会に先立ちまして、傍聴の方におかれましては、お手元にお配りしております、傍聴される皆様への留意事項をお守りくださいますようお願い申し上げます。
 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、ただいまから第17回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 毎々のことでございますけれども、委員の皆様方にはお忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。
○榊原室長 本日の出席状況でございますが、高橋滋委員、高橋進委員、佐々木委員、三藤委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
議事次第、資料一覧。
資料1「第16回検討会における主な発言」
 資料2「議論のポイントと各方向性の整理表(集約版)」
 資料3「医療特別手当等の現状について」
 資料4「田中委員提出資料」
 参考資料「各疾病の概要について」
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いたします。
(報道関係者退室)
○神野座長 どうもありがとうございました。
 前回は、3つの方向の考え方と議論すべき内容について具体的な議論が展開できるように、委員の皆様方の発言や提出された資料に基づいて、それぞれの方向性のイメージを明確にした資料をお手元にしていただいて、議論をしていただきました。
 今回は前回の資料をわかりやすく整理集約した資料と同時に、前回の議論を具体的に深めていきたいと思いますので、前回、疾病や要医療性にもっと深く議論をすべきだという御指摘がございました。それを勘案いたしまして、まず、現在の疾病の認定状況などの資料を事務局のほうに作成していただきました。それについて事務局から説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○榊原室長 まず、資料1でございます。検討会における主な発言でございます。御確認くださいますようお願い申し上げます。
 こちらの発言は資料2に赤い字で入れさせていただいております。資料2は前回までの3つの方向性についてのそれぞれの記載ですとか、あとは夏以降の発言などを集約したものでございます。基本的に黒字の部分は前回までのものを引き写した記載で、赤字が前回の追加発言という形になっております。
 まず、最初の1ページ目「(1)手当の趣旨」でございます。これは繰り返しになりますが、方向性1、方向性2、方向性3につきまして、方向性1は被爆者全員に手当を支給する。医療特別手当、健康管理手当などは廃止する。被爆者の人生の苦悩に慰謝する意味を持つという趣旨の手当でございます。
 方向性2につきましては、特に第二種被爆者に対して手当を支給する趣旨については、さらなる議論が必要だろうということでございます。健康管理手当の趣旨は現行と同じ。
方向性3は、医療特別手当、健康管理手当、基本的に今の制度と同じ趣旨ということでございます。
次に、これまで出てまいりました、方向性1、方向性2、方向性3についての中間報告での記載ですとか、夏以降の議事における発言を整理して再掲させていただいております。主に放射線起因性に記載された部分でございます。
「(2)対象疾病」でございます。
方向性1の場合ですと、放射線の影響が認められている全ての固形がん、白内障、心筋梗塞、甲状腺機能低下障害、肝機能障害、子宮筋腫などとなっております。具体的な基準としまして、1つは被爆者手帳を持っていること。2つ目は、疾病として先ほど述べたような疾病にかかっていることが挙げられております。
これに対しまして、方向性2は第一種認定被爆者は現行制度を基本に認定ということでございます。そして、第二種認定被爆者としまして、原爆症に準ずる状態のものを新たな基準に基づいて認定となっております。第一種のほうに参考までに現行の審査方針を記載しております。これとは別に第二種があるということでございます。
方向性3は現行どおりに加えまして、裁判例、医療分科会の客観的な積み重ねを尊重しながら、相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れ、乖離を解消ということでございます。現在の審査方針の拡大ということでございます。
2ページ目、これらにつきまして、これまでの中間報告や夏以降に出た議論を黒字で記載させていただいております。赤字が前回出た発言でございますので、これについて紹介させていただきます。
方向性3につきまして「3の対象疾病とはどのような疾病を指しているのか。相当程度固まっているとはどういうことなのか」という御発言がございました。
「3の疾病の拡大について、起因性や、あるいは疾病の重篤度、回復見込みの程度というようなことを物差しにして、どの程度広げる可能性、余地があるのかどうかを、専門の先生方に聞きたい」という御指摘。
「残留放射線の問題を検討した場合でも変わらないということであれば、これはかなり3に近づくということになる」という御指摘がございました。
また、3つに共通する御指摘としまして「分科会の議論では、がんの手術後何年であるとか、どの程度薬を飲んでいたらいいとかいう話が出てくる。要医療性についてもっと議論が必要ではないか」。
「健康管理手当、医療特別手当での運用において、疾病と病気の程度とか治り具合とかというものがどの程度関係しているか。要医療性の要件の実態を知りたい」。
「科学的な認識の中で、放射線の影響があると認めるのが無理だという疾病は、取り込むべきではない。また、病気が治癒する見通しが強く持てるような病気であれば、あえて医療特別手当の対象として広げる必要はないのではないか」という御指摘。
「(認定の)疾病をどの範囲にするか、国際的にきっちり評価されているUNSCEARとかあるいはICRPとかの基準を参考するのではないか」という御指摘。
「残留放射線の問題は、認定制度の中で、起因性があるかどうか基準に取り込むほど科学的に確立しておらず、補助材料的に使っただけだろうという認識。考慮するとすれば、個別に総合判断していくことではないか」という御指摘。
「長崎では残留放射線に関して相当にデータがある。脱毛が放射線以外の原因で起こり得るかはわからないが、少なくとも健康に影響を与えるような量が発見されたことはないし、少なくとも国際的には健康影響があるという言い方はされていない」という御指摘。
「(線量について)DSO2では、初期放射線に比べてかなり残留放射線は少ないと言われている。その後、様々な実験データが出てきているので、見直す必要があるかもしれないが、印象としてはそう大きく変わるもものではない」という御指摘。
「原爆の体験者たちからすれば、脱毛を含めて被害があったと思っている。東京大空襲では余り聞かないが、広島、長崎の人たちは遠距離でも脱毛したりしている。それは何かといったら、やはり残留放射線の影響と言わざるを得ない」という御指摘。
「残留放射線問題を検討会で決めるのは無理がある。残留放射線をどう考慮するかというのは、起因性をどういうふうに認定するかというレベルの問題である。だから、方向性を決める上で決定的な問題だとは思っていない」という御指摘。
「福島では原子力損害賠償において慰謝料も考慮されているが、原爆症認定では既に長年制度を運用しており(放射線以外の被害について)今さら制度設計に入れるのは非常に難しい」という御指摘がございました。
続きまして「(3)手当の内容」でございます。
方向性1について、障害があるものについては、手当額の加算を行う。手当額の根拠としましては、疾病の重篤性、要医療度などの障害の程度。具体的な基準としましては、放射線治療、抗がん剤などの治療を受けている場合は区分3。内視鏡を用いての切除、重い副作用を伴わない服薬治療の場合は2。これらが治癒した場合は区分1などとなっております。
方向性2に関して、有効期間を設けて認定を更新していく。状態が重くなれば高いランクの手当、低くなれば低いランクの手当、軽くなったり治癒すれば支給停止もあり得る。医療必要度、要介護度、身体機能や日常生活への影響を考慮して手当の差を根拠づける。こちらについては既に確立している既存の各種の基準を参考に設定するということで、入院医療制度における医療必要度やADLの組み合わせ、あるいは介護保険、障害福祉の認定などを使う。医療必要度を基本に、他の基準を参考に認定していくということでございます。
方向性3は現行どおりということで、手当額は段階的なものとはしないということでございます。
3ページ、黒色がこれまでの中間報告、あるいは夏以降の議論です。赤の部分が前回の御発言ですので、御紹介させていただきます。
方向性3に関しまして「方向性2と3との違いを少し薄めることができるのではないか。2では新たな基準として医療の必要性も一つの要件としているが、病気の程度とか症状の程度、回復の見込みなどを考慮してワンランク中間段階をつくる方向性2のアイデアを、方向性3に追加できないだろうか。ただ、従来認定された方がワンランク少し下の給付水準に落とされる問題もある」という御指摘でございます。
「(4)調整事項」で、他の社会保障制度との調整に関連しまして、方向性2では、社会保障の整備状況などを踏まえて調整を検討するということです。特に年金以外の一定の収入がある、あるいは医療を無料で受けられるという指摘がございました。
経過措置については、方向性1、方向性3はなしということで、方向性2は既に認定を受けた人について一定の経過措置も考え得るという指摘がございます。また、方向性1、2については再認定の方法などの検討も必要ということでございます。
各方向性につきまして、より総合的な包括的な論点でございます。
1つが、グレーゾーン、司法との乖離についてでございます。これまでの中間報告ですとか、夏以降の議論の部分について黒字で入れました。赤い部分が新たに出たものでございますので、御紹介させていただきます。
まず方向性3に関しまして「司法と行政の間をどう埋めるかについて、司法の判断を丸ごと入れるというより、行政の制度として新しく引き直すという考え方も重要」という御指摘。
3つ全体にわたるものとしまして「認定制度を残して乖離部分をどう解消するかという点で2と3はわからない。グレーゾーンで恐らく乖離を解消しようという考えなのか」。
「司法と行政の乖離を完全に埋めるに至らなくても、現状を改善できればいいと思う。完全に司法と行政のギャップを解消する方策については、無理という回答もあり得る」。
「個々の司法の判断にはばらつきがあるので、(認定制度に)取り入れるべき判断と、参考にならない部分があって、ある種合理的な判断の分かれ目にあるのではないか」。
「30近い(原爆症の)判決の大部分で今の認定のやり方はおかしいという判断をしている。極端に言うと科学的な知見だけに基づく認定だけをやっていると救われない人たちが出てくるので、認定のやり方を考えるべきではないかというのが言外にある」。
「司法は行政に対して『このままではだめですよ』というメッセージを出している。ただ、(乖離を)埋めなければならないということではなく、人間のなす事には誤差もあるのだから、完璧を求めない方がいい」。
「司法の結果を行政が無視したと言うが、制度運用の認識としてはいかがなものか。新しい審査の方針では放射線の影響に疑問がつくというのが相当広がっている。とりわけ放射線白内障や放射線起因性のある心筋梗塞など。しかし、現在の運用でかなり広げてやっている」という御指摘。
続きまして、国民の納得・財政上の視点に関する指摘でございます。赤い部分が新しい指摘でございます。
「手当の支給の観点から認定制度は絶対に必要。納税者を念頭にしたとき、しかるべき法的な基準がなかったら税金は使えない。現行の認定制度を無くす代わりに別の認定制度をつくらない限り、方向性1というのは成立しない」という御指摘がございました。
その他全般というところで、最後の部分でございます。総論的なものとしまして「被爆者援護法では手帳という広い区域があって、消極的な起因性と言うか、そこで健康管理手当が出る。一方、積極的な放射能起因性で国が認定すれば医療特別手当が出る仕組みになっている。健康管理手当の要件では明らかでない疾病というものをばくっと切ってしまって、個別の様態は問わない仕組みである。健康管理手当の消極的な起因性みたいなものの考え方から、もう一段深いものがつくれるのかどうか。手当の運用など具体的な内容を教えて貰いたい」という御指摘がございました。
以上が資料2でございます。
続きまして、資料3について御説明申し上げます。
1ページは、医療特別手当の制度概要でございます。これまで何回か当検討会に出させていただいたものでございます。
2ページも新しい審査の方針でございます。これも何回か提出させていただいたものでございます。説明は省略させていただきます。
3ページ、疾病別認定状況でございます。20年以降の認定疾病の状況でございます。一番多いのが悪性腫瘍、固形がんなどということで89%、白血病が5.7%、それ以外ですと副甲状腺機能亢進症が0.3%、放射線白内障が0.9%、放射線起因性が認められる心筋梗塞が1.5%、放射線起因性が認められる甲状腺機能低下症が1.9%、放射線起因性が認められる慢性肝炎・肝硬変が0.4%、それ以外は0.3%などとなっております。
4ページ、がんの内訳でございます。どのようながんが認定されているかという円グラフでございます。一番多いのが前立腺がんで15.4%、胃がんが15%、大腸がんが14.7%、肺がんが12.3%、乳がんが9.1%、肝臓がんが6.8%、膀胱がんが5.6%、甲状腺がんが5.1%、腎・尿管がんが2.7%、食道がんが2.4%などとなっているところでございます。
5ページ、こちらは直接比べられるようなものでは全くございませんが、参考までに75歳以上の男性の罹患の割合をこちらに示させていただいております。前立腺がんが12.5%、胃がんが18.7%などとなっているところでございます。
6ページ、こちらのほうは75歳以上の女性のがんの罹患率を参考までに入れさせていただいております。胃がんが16.4%、大腸がんが18.7%、肺がんが11.2%などとなっているところでございます。
7ページ、認定疾病をめぐる状況。昭和30年代から大分変わっているということで、そちらの資料でございます。
まず初めに、がんの5年生存率でございます。昭和37年~41年にかけまして、がんセンターに初診で見つかったがんについての5年生存率でございます。前立腺がんの5年生存率が当時は36.3%、胃がんが32.3%、大腸がんが37.1%、白血病が9.9%などとなっております。
これに対しまして、平成9~11年にかけて、初診でがんセンターで見つかったものについての5年生存率でございますが、前立腺がんが98.9%、胃がんが74.4%、大腸がんが68.9%、白血病が45.7%などとなっております。
続きまして、白内障についてでございます。こちらは古い正確なデータはございませんで、比較的新しいデータでございますが、視覚障害者のうち白内障が原因となったものが63年段階で15.6%でございます。これが13年から16年にかけまして、3.2%まで減っている。この間、視覚障害者の方はそんなに人数が変わっていないということでございます。
続きまして、急性心筋梗塞でございます。左側が昭和45年当時の年齢調整の死亡率でございます。男性の方は10万人当たり41.9、女性が22.5でございます。こちらが平成22年現在では、男性が20.4、女性が8.4まで下がっております。ここにもありますように、カテーテルなどの登場によりまして、特に病院に運ばれた場合の救命率が非常によくなっているということでございます。
8ページ、医療特別手当受給者と特別手当移行者数の推移でございます。青色が医療特別手当の受給者数でございます。19年度までは大体2,000人くらいでございましたが、20年度以降、新しい審査の方針のもとで認定者が増加しておりまして、23年度には8,121人が受給者でございます。これに対しまして、要医療あるいは要医療の状態などにないとしまして、特別手当に移行した方が赤色でございます。最近ふえておりまして、23年度ですと47件までふえているということでございます。ただし、全体の中から見れば、比較的少数ということでございます。
9ページ、医療特別手当から特別手当へ移行した事由についてまとめたものでございます。先ほどの47例などにつきまして、特別手当へ移行した例を見たのが左側。これに対しまして、似たような事例、似たような疾病について継続した事例について、右側に紹介させていただいております。
胃がんについて、術後5年再発や合併症がなく経過観察のみとして移行している例があります。これに対しまして、継続した例の中にも、術後経過は良好であるが定期検査が必要などとしているものがございました。
大腸がんについても、経過5年、再発や合併症はなく経過観察のみというものがございました。これに対しまして、継続した例として、術後経過良好であるのみの記載があるもの、あるいは人工肛門のケアが必要として継続したものがございます。
乳がんについては、疾病が治癒したといって特別手当に移行した例がございました。これに対しまして、術後経過は良好であるが、定期検査や内服が必要などとしているものがございました。
白血病については寛解を続けており、治癒したものと考えられるとして、特別手当で移行した例がございました。これに対しまして、寛解を維持しているという記載があって、継続しているものがございました。
副甲状腺機能亢進症については、疾病が治癒したといって特別手当に移行した例がございます。これに対しまして継続した例としまして、術後、甲状腺機能低下症に対してホルモン補充療法を実施中というものがございました。
白内障につきましては、特別手当へ移行した例として、手術後経過良好であるというものがございました。これに対しまして、継続した例として、水晶体混濁を認め点眼加療が必要というものがございました。
心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変については、特別手当に移行した例はこの中にはございませんでした。継続した例としましては、心電図や心臓超音波検査の定期検査が必要ですとか、甲状腺ホルモン剤の内服や定期検査が必要、あるいは肝機能検査が必要などとするものがございました。
10ページ、健康状況の届出がどのように行われているかということでございます。右のほうが診断書ということでございます。こちらの下のほうに、負傷または疾病の状態にある、ないという医師の診断をお願いするという形になっております。これに加えまして、上のほうに理学的所見、臨床病理学的所見などを記載していただく。こういう様式に現在なっているところでございます。
11ページ、健康管理手当についてでございます。こちらも何回かお出しさせていただいた制度概要でございますので、説明は省略させていただきます。
12ページ、健康管理手当の障害別の支給状況でございます。こちらも1回は出させていただいたものでございます。
一番多いのが、変形性関節症、骨粗鬆症などの運動機能障害。2番目に多いのが、高血圧性心疾患などの循環器機能障害。3番目に多いのが、白内障であります水晶体混濁による視機能障害。4番目に多いのが、糖尿病、甲状腺機能低下症などの内分泌線機能障害。5番目に多いのが、脳梗塞などの脳血管の障害、6番目に多いのが、がん、白血病などの細胞増殖機能障害。7番目に多いのが、肝硬変などの肝機能障害。8番目に多いのが、肺気腫などの呼吸器機能障害。9番目に多いのが、慢性腎炎などの腎臓機能障害。10番目に多いが、貧血などの造血機能障害。11番目に多いのが、胃潰瘍などの潰瘍による消化器機能障害となっております。
13ページ、健康管理手当制度の改正の経緯でございます。健康管理手当は昭和43年に創設されました。そのときは特別被爆者ということで、当初は2キロ以内の近距離被爆者でございました。この方の造血機能障害、肝機能障害などの障害を伴う疾病に罹患しているものは、日常十分に保健上の注意を払うことが必要だと。ただ、それを自らやるのが難しいと思われる65歳以上の方、身障者の方、母子世帯の方などがいらっしゃるので、一定額の手当を支給するところからスタートしてございます。
これが昭和49年に原爆医療法と手当法と2つございましたが、この医療法のほうで特別被爆者とそれ以外の方の区分が廃止されました。それによりまして、全ての被爆者が健診と一般疾病医療費の支給を受けることができるようになりました。この結果、特別被爆者の概念がなくなりましたので、手当法においても特別被爆者以外の方も健康管理手当をこのときに支給できるようになってございます。
昭和50年に年齢制限が撤廃されました。同時に身体障害者、母子世帯の母親等の制限も撤廃されております。この段階で所得制限はございましたが、手帳を有しまして、一定の疾病にかかっている方が全て健康管理手当を受けられるようになったと。この所得制限も平成6年には撤廃されたという経緯でございます。
資料の説明は以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日は各方向性を考える上で、今、準備していただいた資料2及び資料3をお手元にしていただいて、現在の状況を踏まえながら、対象疾病のあり方、要医療性をどう考えるかというような論点を中心にして、制度を検討する上でどのような点が必要かなどを含めて、御発言をいただければと思います。
 それでは、御意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでございますか。
○田中委員 私の意見を前もってお配りできればよかったのですが、きょうお配りしてございます。これは議論の進め方で、話題があっちに行ったり、こっちに行ったりしないように、中心的な話題を一つ一つ解決するという方向で是非やっていただきたいということを指針にして書いてございます。
 特に認定をどうするかという問題が最大の問題なので、そこに絞って議論をする。私は前から申し上げておりましたけれども、手当と認定は違う問題ですので、病気も要医療性も含めて、どういう考え方で認定をするか。その上で、認定された後の人たちについての手当をどうするか。認定されない人の手当をどうするかという議論をしていただきたいということが書いてございます。
 最後の3つ目に書いてあるのは、結局基本的な問題は残留放射線と言っていますけれども、主として放射性降下物による放射線起因性を私たちがどう見るか。それをどう判断するかによって、行政と医療の乖離が解決する道が出てくるということでありますので、そこをきちんと中心的な課題にして議論していただきたいという趣旨のことを書いてございますので、踏まえて議論をいただければと思います。
 以上です。
○神野座長 ありがとうございました。
○田中委員 私の意見からしますと、きょう資料2で出されておりまして、対象疾病とか医療特別手当支給の趣旨は、一番最初に出てきているのは認定の問題でありませんので、ポイントの整理の「(2)対象疾病」から、きちんと議論をしていただければいいかと思います。
○神野座長 いずれにしても、今の私のような議事運営をさせていただいて、御発言はしていただいても構いません。
○田中委員 質問ですけれども、対象とする疾病の範囲を第一種、第二種と決められる中身は何でしょうか。
○神野座長 方向性2についてということですね。
○田中委員 そうです。「原爆症に準ずる」と書いてありますが、原爆症に準ずるというのはどういう意味ですか。
○神野座長 わかりました。別に山崎委員の責任ということではなく、1を含めて、2、3については、ここで出た意見で大体3つくらいに流れがあるのではないかとまとめさせていただいたので、主として山崎委員が御発言になっているということを踏まえているだけです。
○山崎委員 準ずるというのは相当幅があるのだろうと思いまして、明確に説明せよと言われると、これは皆さんでお考えいただきたいということでございます。要するに、既に委員の方からいろいろと御発言がありましたけれども、科学的な根拠となると現在の認定でも相当無理をしている、逸脱している部分があるのではないかという御発言もあるわけですが、そのような無理を余りしないほうがいいと。
長瀧委員がいつもおっしゃるように、世界に向けてもきちんと説明できるものでありたいということをおっしゃいますから、その間を埋めるとすれば、無理をしない対応をすべきではないかと。現状でも無理をしている、あるいは方向性3の中でさらに認定の範囲を拡大しようではないかという御提案があるわけでございますが、その部分が恐らくグレーゾーンとして、私の考えでは拾うことになるのかなという気がいたします。
ですから、3で拡大すると言ったときに、その拡大する部分を私の考えではグレーゾーンとして位置づけたらどうかという感じでございます。あえて言いますと、狭く解釈しますと、そういうことだろうと思います。
○神野座長 一応切り口として、こうした方法があるのではないかということを山崎委員から提起されていらっしゃるわけですが、山崎委員としては、認定そのものの詳細な字句については、むしろ委員の皆様方。また、石委員からも御指摘がありましたが、この場でどこまで詰めるかということまで含めて考えていただければということでいいですね。
○山崎委員 はい。
○田中委員 第10条の認定は大臣が認定する疾病が大原則になっているわけです。その疾病の医療費を全額国庫負担するというのが第10条の規定でありまして、これが認定制度の根幹なわけです。第二種の認定をされる場合に、その第二種の認定対象疾病は何を指すのか。その疾病に対する医療費は全額国庫負担ということになるのかをきちんとしておかないと、認定制度をどうするかという問題にならないのではないかと思いますので、山崎先生のほかの先生でも御意見があれば、お伺いしたいと思います。
○神野座長 それは山崎委員のほうから言えば、繰り返しになるようなお答えになりますね。
○山崎委員 随分詰問されるような感じなのですが、あえて言いますと、現在の対象としている疾病でも結構だろうと思います。その疾病の中で裁判例によって、たまには認定される場合もあるけれども、一般的には認定が困難だというような部分が恐らくグレーゾーンになるのではないかと思います。ただ、疾病そのものを拡大するという御意見もあるようでございますから、それは何とも言えません。
○神野座長 この点はどうでしょうか。
草間委員、どうぞ。
○草間委員 確認をしておきたいのですが、仮に第2案で第二種があったときに、要するに疾病を広げるという意味で3.5キロ以内であるという、そこはどうお考えでしょうか。3.5キロは放射線起因性のぎりぎりの判断のところではないかという認識を持っているのですが、その3.5キロより距離も広げることも含めて考えておられるかどうか、その辺を確認したいです。
○山崎委員 3.5キロの範囲内でも微妙なところが多々あるのでございましょう。その部分が恐らくグレーゾーンになるのだろうと思います。
○草間委員 距離は3.5キロがいいかどうかは別として、3.5キロという距離は新しい基準。
○山崎委員 私も放射線起因性をきちんと踏まえる必要があると発言しておりますから、専門家の方々の中で3.5キロはそういう意味でぎりぎりの範囲だという科学的な知見があるのではあれば、3.4キロの範囲内でということになるかと思います。
○神野座長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 これまでのお話に関連すると思いますけれども、グレーゾーンという最初に山崎委員がアイデアをお出しになったときの出発点のお考えとしては、きょうの資料2の3ページの方向性2の真ん中あたりにありますように、放射線起因性が無視できないという程度でのグレーゾーンをつくるべきではないか。ここがアイデアとしての出発点だったと思います。そういう意味では、今、草間委員が御指摘になりました3.5キロとか、現在運用されている時間的要件、距離的要件はとりあえず念頭になくて、今よりも緩めるはんちゅうをつくっていいのではないかというところがみそだったと思います。
先ほどの田中委員の御発言との関連で言えば、疾病の種類を広げるというよりも、同じ肝臓なら肝臓の疾患を持っている場合に、今の基準ですと3.5キロ以内だと。4キロだったらどうなのだと。その辺がグレーゾーンとして原爆症認定対象に拾い上げられるかどうかという意味で、疾病の種類を広げるというよりも、疾病の種類としてはそんなに変わらないかもしれないけれども、これまでの放射線とのつながりの差といいますか、その点が若干薄くてもいいのではないかというアイデアがここに含まれている。そういうイメージのアイデアだろうと思います。
そこから先は私の意見になってしまいますので、後回しにしたいと思いますが、整理としてはそんなところではないでしょうか。この3.5キロ要件について言えば、そこはまだ空白のところだろうと思います。3.5キロ以内でも既にそれは高度の蓋然性という意味で、怪しい場合でも現在認めているではないかと。3.5キロを超えたところで認めるのは広げ過ぎだという、私はそういう考え方です。しかし、それでも起因性は否定できないという場合だったら、対象に取り上げていいのではないかと。一方でそれは給付の中身といいますか、13万幾らは下げてもいいから、1つ別のグレードをつくるというのがアイデアだろうと思います。
○長瀧委員 全体として放射線起因性を条件にするという大前提が要りますけれども、放射線起因性があるとすると、一つは線量の問題です。線量のないところには放射線の影響はないという話になります。そういう感覚で一般的な、今、福島でも話になっていることから言いますと、被爆線量は100ミリシーベルトまでは影響があるけれども、1ミリシーベルト以下の放射線の影響は認めない。これはJCOのときにもそういう格好でやってきましたので、線量から言うと100ではある程度効果があると。100から1まではまさにグレーゾーンというような感覚。
ただ、そのときに問題になりますのは、残留放射線をどう考えるか。残留放射線のウェートを考えると、現在の3.5キロ、1ミリシーベルトをどう考えるかという、そこの議論は必要かと思いますが、線量のないところで放射線の影響は起こらない。起因性ということを確実にとるとすると、それははっきり言わなければいけないのではないか。
その後の疾患についてはまた別で、その範囲内でどういう疾患をとるかはどこまでの相関を認めるかになりますけれども、最初のほうで議論になりましたので、現在の福島あるいは日本や世界で話題になっているのは原爆でありますけれども、100ミリシーベルトと1ミリシーベルトはグレーゾーンになりますので、そこら辺の基準はここで考えても、国際的な今までの歴史的な範囲でも認められるのかなと。
それをシーベルトというお話が具合が悪いというか、合わないとすれば、距離で言えば大体2キロと3.5キロくらいになりますかね。随分はっきりと申し上げますけれども、もし放射線起因性ということであれば、そういうところが一つの線になるかなと。ただ、残留放射線をどうするかは、また別の問題だと思います。
○山崎委員 放射線起因性を否定しきれないという意味で、最大限健康管理手当の対象の方まで含まれ得るということを発言したことがありますが、ただいまのような専門家の方々が具体的に2.0~3.5の範囲内に、少なくとも残留放射能を考えない限りはグレーゾーンはその範囲内で収まるだろう、あるいは収めるべきだというのであれば、私はそれに従います。
○草間委員 お配りいただいた医療特別手当を見させていただいてもわかりますように、医療特別手当の支給は、平成20年度に入ってから認定される方たちが倍増したわけですね。平成20年度の新しい基準はとりあえず3.5キロ以内だったら、がんは全て認めましょうという形で、先ほどから御説明がありますように、認定の90%近くががんであるということ。それと平成20年度に急激にふえたのは、結局3.5キロ以内だったらということになったのだろうと思います。
それまではとりあえず原因確率(PC)という形で、放射線ががんの発生にどのくらい関係しているかということで判断してきたために厳しいというか、比較的科学に近い形でやっていたわけですけれども、こうなったので、とりあえず3.5キロはさっき長瀧先生が言われたように、放射線起因性を議論するときの最も遠い距離なのだろうと思います。
そうなると、山崎先生の御提案になったグレーゾーンはあくまでも3.5キロ以内と考えないと、もともと法律そのもので皆さんはここの議論でも放射線起因性は堅持しましょうという形で来ているので、放射線起因性を堅持するとしたら、3.5キロ以内でグレーゾーンを考えることはしないといけないのではないかと私は思います。
○田中委員 私も放射線起因性は否定していないです。問題は、この認定制度は申請した個人がどれくらい放射線を浴びたかということを基本にして、認定する、しないということになっています。その個人の放射線被爆線量をどうするかは一番最大の問題で、かつてはDS02で推定できるようになっていたのですが、それも私どもは問題があると言っています。一歩引いて、それがいいとしても、それではだめだというのが裁判の結果だったのです。それではどうするかというので、DS02で個別の線量を推定するのではなくて、漠と距離、被爆した地点、それで決めようではないかというのが今の新しい方針です。
 そういう意味では先生方のおっしゃる科学的ではない。科学的と先生方がおっしゃるのは、個人の線量を一人一人ちゃんと決めていこうではないかというのが、草間先生もおっしゃる科学的ということではないかと私には理解できるのですが、それではもうできないというのが新しい認定の方針でした。
 放射性降下物の影響を見ようとしたら、放射性降下物の影響は個別の線量は絶対に推定できないけれども、それを入れなくてはいけないというのが現時点の私たちの到達点だと思います。ですから、今の制度では難しいのではないでしょうかというのが私どもの意見です。もしそうではなくて、放射性降下物の影響を入れるということであれば、一人一人の線量は推定できないわけですから、降下物の影響を受けた人はみんな、少なくとも科学的に疾病と放射性の関係があると言われている病気については、全て認定とするのが一番論理的だと私は思いますけれども、そうなりましょうかというのが疑問です。
○荒井委員 今の田中委員のお話で一番引っかかりを感じますのは、個々の申請の人の被爆量が推計できないというお話だったと思います。そうではなくて、3.5キロとか100時間ということを基準に設定しているのは、その距離なり時間なりの範囲内の人については、これまでの科学的知見及びいろいろな政治的な考え方も含めて、放射線起因性を認めるに足りる被爆量があるのだということを推認することにしたわけです。
 ですから、あくまでも個々の人が問題なのであって、個々の人をいちいち検査してというやり方ではなくて、距離とか時間の要件に当てはまっておれば、起因性があり、高度の蓋然性がありとみなしていくという考え方なので、対象はあくまでも個々の人です。それが認定制度の根幹です。あらかじめ何かの客観的基準は結構ですけれども、それに当てはまれば個々の人の状況、条件をネグレクトして認めていくということは、根本的にそれは制度としては違うと思います。そこの出発点が個々の人の被爆量を測定することは難しいかわりに、客観的な要件を持ってきて、その範囲に当てはまっておれば、起因性を認めていこうという枠組みをつくっているのではありませんか。そこの出発点が違うのではないかという気がいたします。
○田中委員 荒井委員のあれは、初期放射線に限定すれば、ある程度そういうことも許されるかもしれないというのがあると思います。ところが放射性降下物は初期放射線と違って、距離は関係ないです。どこにどれくらいの放射線降下物が降ったか。その放射性降下物の放射線はどのくらいであったかはわからないです。私たちは測定していないから、推定できないわけです。推定できないから放射性降下物の影響は全部今まで切ってきた。ここにも書きましたけれども、放射線起因性が認められるという条件がついている病気は切られているわけです。2キロ以遠では誰も認定されていない。入市被爆者は一人も認定されていないです。それは判定できないからというのが前提にあるからだと私は思います。
○荒井委員 それは前々から田中委員が御指摘の残留放射線問題はわからないではないですけれども、前回、長瀧委員からも御説明がありましたように、それがどの程度の影響であるかということを基準に取り込むには、まだ十分な知見はない。
しかし、ネグレクトしてきているわけではなくて、今の新しい審査の方針のもとでも、いわゆる総合認定の中に残留放射線をある程度は意識して認定が行われているという理解でよろしいのではないでしょうか。ですから、残留放射線問題は一つの基準に持ち込むほどには熟していないと理解で私はいるのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 潮谷委員、どうぞ。
○潮谷委員 放射性降下物については、明確なことがわかっていない状況の中で、田中委員のおっしゃることは、むしろそれは放射線起因性の中で罹患しているということで考えていったほうがいいのではないかという解釈があります。
もう一方、だからこそ距離的なことの解釈と共に総合判断の中で解釈をして対象としていきましょうという、同じ残留放射線についての解釈が、存在している感じがいたします。
田中委員がおっしゃるような形は、高齢問題の進展が著しいが背景の中で、できるだけこの制度設計は早い時期にいたしましょうという認識がありました。田中委員がおっしゃった方向性の中でこれを認定し直すことになっていくと、物すごい労力、時間を要します。納税者側から言うと、そこのところの客観性は本当に無視していいのかといった論議も起きかねるのではないか。そういったことを非常に心配するわけですが、その辺はいかがでしょうか。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 まず、荒井委員に対してです。総合的な判断をしているとおっしゃるのですが、私がさっき例に出したのは、総合的な判断をされていないということを言うために言ったのです。心筋梗塞で1.5キロ以遠の人は1人も認定されていないです。甲状腺機能低下症も2キロ以遠の人は1人も認定されていないです。そんなことはあり得ないです。総合的に認定すれば、2~3キロくらいの人でよくよく見たら、この人は放射性降下物の一定の線量を浴びたとしか判断できないという人が出てくると思います。そういう人を拾っていれば、総合的に判断されているかもしれないと思いますけれども、1人もいないということは、していないということのあらわれだと私は思っております。
 潮谷委員に対してですけれども、高齢化問題は手当の問題だと私は思います。認定の問題ではなく、病気と手当の問題だと思います。ですから、それを早く何とかしないといけないということであれば、認定の問題はもう捨てましょう。捨てて手当の問題に行きましょう。法律にも放射線起因性がありますから、そのときの手当の対象にする病気は現在の私たちの到達している放射線と病気との関係があるものについて判断しましょうという提案です。
 一人一人の放射線量を推定することを前提にしている今の認定制度は成り立たないのではないでしょうかというのはずっと言ってきたことですけれども、こうやったら成り立つよというのがあれば、私どももそれでいいですということになるわけです。
○神野座長 高齢問題は手当の問題だとおっしゃる意味をもうちょっと説明していただけませんか。
○田中委員 高齢があって、いわゆる原爆に原因した病気になっている人たちが出ているわけですね。私は高齢にこだわっているのではないです。私は手当のことを言ったのです。
○神野座長 それは手当の問題で解決できると。あるいは手当の問題なのだということの因果関連が理解できないので、潮谷委員がおっしゃっていたのは、制度をなるべく早くやるということを考えれば、新たな制度をつくるということを考えれば、認定制度そのものを基本的にやり直すことをやってしまうと非常に時間がかかるとおっしゃっていたわけですね。
○田中委員 個別の線量をまず考えるわけです。そうしたら4キロで大量の放射性降下物の影響を受けている人はどうやって考えるのですかというのが私の意見です。
○潮谷委員 心情的には、被爆されたことに対し、私は何と不条理なことだろうという思いがあります。しかし、そうした思いと別のところで、制度設計には税を使うことも含めて、客観性な条件はきちんと整備をしていかなければならないという思いがあります。
もう一つは、私はこの原爆にかかわる問題として、同情でもなく憐れみでもなく、きちんとした客観性に基づいて認定された結果として権利として、さまざまな治療、さまざまな手当を受けていくというような社会的な認識はとても大事ではないかと思います。そう考えたときに田中委員がおっしゃっていることは、まさに心情的にはわかります。残留放射線の問題が今ではどうしようもない状況の中で、被爆した全員救済という認識で考えていくというのは、やや行き過ぎではないかという思いを抱いているということが率直な気持ちです。
○神野座長 私も質問したかったのは、潮谷委員の御意見で言うと結局国民の理解。つまり高齢問題は手当の問題だとおっしゃると、潮谷委員の御指摘は制度を考慮する上において国民の理解が重要なので、この点についてという問題に対してどうお答えになっているのかがよくわからなかったので御質問したのです。
○田中委員 私は高齢であることを前提にしているのではないです。潮谷委員がお考えになっていらっしゃる高齢ということを考えれば、認定をやると、その問題は解決しないのではないですかということを言いたくて言ったのです。おわかりいただけましたか。
○石委員 きょうもいろいろな方がいろいろな御意見を言っておられますが、大体これまでに言われていることの繰り返しで、さらに強調して、さまざまな事例を入れつつ説明されているわけです。恐らく田中委員の言われるように、認定と手当を分けるというのは議論の仕方としては十分にあり得る議論で、既に認定に関しては御専門の知識を拝見してテクニカルな議論をしているわけですが、そこで非常に切れ味の鋭い物差しみたいなもので、ばちっと決められるとお考えの方と、もう六十何年経っているわけだから、今さらほじくり返してもわからないではないかと。
 したがって、さっき荒井委員が言われたように3.5とか100時間といったような物差しを持ってきて、現行はそれに該当する人をなるべく拾い上げていこうという議論をしているわけです。それをもって不満として、田中さんのおっしゃるように、それを捨てなさいという言い方もあると思う。ただ、そのときに出てくるのが潮谷委員の言っているような、まさに国民の理解をどう得るか。つまり手当のほうと絡めないと実は認定はできないです。
今は第10条によって、大臣が決めたから全額国庫負担でいろいろと手当が出るということですね。これは恐らく政府の責任として、最後まで堅持するのでしょう。ここの枠を取っ払ってしまうと、どんどん勝手に認定をつくって勝手にやりなさいと、国から放られてしまいますよ。いずれにしても、手当というものが国民の負担からなるというような前提を取っ払って議論するのか。それは自由でいいのだと。いい物差しで認定をつくったら、それでもう自動的に認めさせようと持っていっても、これは政治の世界に入ると、まずだめだと思います。
認定と手当の別個の議論は、その間に必ず手当の財源問題があり、認定の範囲は結局財源の裏づけがある範囲でないと実現可能性がありませんから、いずれにしてもくっつけて議論すべきだと思いますし、テクニカルないろいろな議論を積み重ねて3.5キロがどうか、100時間がどうかというような話も踏まえて、今後ここでやっていくかどうかという問題です。
それはそれで、こういう立場がありますよ、考え方がありますよという整理にとっては重要だけれども、それはある意味では選択的な考えがあるという整理をして、それで方向性を書くしかないのではないか。決め打ちは到底できないし、方向性1、2、3にさらに何か新しい要素をつけ加えて、もう少し具体的に皆さんがわかるような格好で表示しましょうという努力を進めているのだと思いますけれども、それはもう少し進めていくことは意味があるかと思いますが、そういつまでも同じ種をあちこちひねくり回しても、そういいアイデアは出てこないのではないかというのが率直な印象です。
○神野座長 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 被爆者としては、認定の名のもとに、全ていろいろなことが我々の命にかかわってくるわけです。昔から特別被爆者、私もそうだったのですが、その他の者とは違っていました。それがだんだん緩められて直爆だけではなしに、ほかの人にもいろいろと影響があるという認定のもとに、4種類に分かれていきました。そんなことを考えていますと、いわゆる10条によって厚生労働大臣が認定するということがあってもなくても、いろいろな世界の動きとか、あるいは研究の結果、こういうことがわかったから、これは少し広げなければいけないのではないかというようになってきたわけです。我々はそれを一日も早く認定問題に断が下されるのを待っているわけです。
 しかし、広げる、広げると言っても、むやみやたらにはいかない。あるいは法律を改正するとなったら、そんなことをやるようだったら被爆者は待てないです。そうなると認定で人の命を助けるのか、そうでないのかということになるわけです。そういうことを考えると、我々は認定をより広げて、より実施を早くやっていくことが非常に大事だと私は思っています。したがって、理想的かもわからないですけれども、被爆者手帳を持っている人にそれで手当を出せと。本当は今は手当の問題ではなくて、認定の問題をやっていますが、そういうようなのは理想です。理想を追わなければいけない。筋としてはそうです。
 残留放射能についても研究している間にだんだんわかってくることがあるわけです。どんどん昔のことがわかるようになってきつつあるわけですから、そうすると残留放射線の問題が今の力ではわからない。しかし、今後はやがて解決されると思います。とにかく残留放射線がなければ、介護などで手帳を出す必要はないです。あるいは何キロの中に入ったとか残留放射線の問題は、降りかかってくるばかりではないです。土の中にもあるわけです。そういうようなことになると、手帳を出していることは残留放射線を認めているのです。ただ、それを広く見るか、それともきつく見るかによって問題が変わるわけです。
筋としては、残留放射線の影響があることは間違いないと私は思っております。それは人によって、いろいろ違うかもわからないですが、そういうことがないことはないと思います。やがて明らかになると思います。そういうように考えると、今の問題は認定をする場合、今のままの認定では包みきれないところだろうと思います。認定をするのに第二、第三の部分も出てくるかもわかりません。しかし、我々は理想としては、とにかくそういうものを一切引き受けて、命を長らえてきたわけです。それを被爆者がどう言おうと、これで行って解決したといったときに被爆者が誰もいなかったら、何のためにやったのかということになります。そういうように私は考えています。残留放射線の問題は確かにいろいろな問題をまだ含んでいると思いますが、関係があるということは、私自身の体験から言いたいと思います。
○神野座長 残留放射線問題があるからこそ、距離等々の外形基準でそれを救わざるを得ないということとっていると思いますが、一方で、それは初期放射能だけしか考慮されていないという御意見が出ているわけです。今、坪井委員がおっしゃったような意味で残留放射線を考慮しても、どちらのお立場でも構いませんが、草間委員、どうぞ。
○草間委員 いずれにしても残留放射線については、どこかで決着しなければいけないだろうと思います。この残留放射線に関しては原爆被爆者の認定の問題だけではなくて、それこそ広島、長崎の放影研でやっている疫学調査にも関係してくるわけでして、そういう意味では初期放射線と残留放射線をどう考えるかは、これこそ科学の問題として大変重要な問題だろうと思います。
 広島、長崎の原爆被爆線量につきましては、初期放射線と残留放射線を含めまして、DS86あるいはDS02をもとに判断しているわけです。原爆被爆者の認定の場合も、とりあえず初期放射線については3.5キロまで、残留放射線につきましては2キロ以内のところに100時間入って云々という形で一応現在も認めている。それが広島、長崎全市に放射性降下物が降ったかどうか。これはもしそういうことになれば、広島、長崎の疫学調査そのものも大変問題になってくるわけです。先ほど長瀧先生が1ミリあるいは100ミリシーベルトと言いましたが、この数値そのものも変わってくるわけです。
 そういうことがあって国際的にさまざまな、それこそ私たちのような医学生物学者ではなくて、まさに線量を専門にやる方たちにお集まりいただいて、DS86あるいはDS02という形で出してきていて、聞くところによると最近日米の合同会議があったと思います。こういった線量に関しては、ここは科学で判断せざるを得ないと思うので、最近の動向も含めて残留放射線をどうするかということはどこかで1回決着をつけなければいけないと思います。
 いずれにしても、今の認定制度の中で残留放射線も考慮していないかというと、これはそうではなくて、今までの科学的知見ではこういう形でいいでしょうという形で2キロ以内に100時間入った人たちということで決まっているのだろうと思います。これについては前回も提案させていただいたのですが、DS02以降の情報をきっちりして、どこかで1回決着をつけてしまうのはすごく大事なことではないかと思います。これは認定の問題だけではなくて、放影研でやっている疫学調査そのものにも関係してくるわけですので、大変重要な問題だと思います。
○神野座長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 現在の新しい審査の方針は放射線の影響性という意味では、これは長瀧委員からもしばしば御指摘がありましたように、既に3.5キロという基準そのものが科学では説明できないところまで広がっているという認識です。さらにそれに加えて残留放射線問題をもっと考慮すべきだというお気持ちはわからないではないですけれども、それを認定の基準に取り込んでくるほど科学的知見がまだ熟していなく、そこまで客観的につかめるような結果のデータはないのではありませんか。
結論から申し上げると、残留放射線問題は個別の案件の中でその時々の科学の進歩に期待しながら処理していくしかないのではないかというのが私の意見でして、そうすると最初のグレーゾーンの話に戻りたいのですけれども、グレーゾーンはさっき山崎委員からもお話がありましたけれども、3.5キロ100時間以内という今の基準の外に起因性が否定できないという第二類型を持ってくるのは、放射線起因性とのつながりでいけば、広くなり過ぎるということだと思います。
ですから、私はグレーゾーンの発想は魅力を感じてきたのですけれども、放射線との関係を薄めていくという方法ではやはり無理がある。ただ、前回申し上げたことを少し敷衍させていただくと、グレーゾーンの発想の中には起因性を緩められないかということと同時に、第二ランクの13万ではなくて、もう一つ別の給付の水準をつくることができないかという発想がもう一つ含まれていたわけです。そちらのほうは、方向性3のアイデアについても借用できるのではないか。
そうすると起因性の点で薄めていくことが無理だとしても、2で御指摘のありましたランクづけをもう一度ふやすことができないか。その場合の基準が何かと言えば、いわゆる今の要件から言うと、要医療性にかかわるグレードですね。例えば病気によって、きょうも若干御説明がありましたけれども、重篤度あるいは治療を必要とする程度。それは疾病によっても随分違いますね。それを実態に合わせて13万まではいかないけれども、このくらいのランクの給付水準で対応することは考えられることがあるのではないか。そういう意味では方向性2のアイデアを要医療性の要件をもう少し詰めていくことによって、3のほうに取り込んでいく。そうすると実は2も3も余り違わなくなる可能性があるのではないかというのが私の気持ちです。
要医療性の点については、きょうここでかなり説明をいただきましたけれども、仮にそういうランクづけを考えていく場合の要件を念頭に置きながら、それぞれの病気について、この病気は重いほうだと、あるいは回復の仕方がかなり見込めるようになっているかどうか。これは疾病ごとに恐らく専門家の目で見ると違うと思います。その辺は少し整理していただいて、これはそのランクづけにひょっとしたら使えるかもしれないというような発想が持てれば、見極めが持てればありがたいと思っております。
○石委員 荒井委員から極めて議論を方向づける建設的な御意見が出たと思うし、こういう格好で進めれば、さらなる突破口ができるかもしれないと思いますが、議論が先に行く前に私の個人的な関心で、ぜひ長瀧先生に教えていただきたいのです。
放射線起因性を諸外国で世界的にもいろいろとやられているという情報が耳に入っておりますが、我々はここで放射線起因性をあくまで条件にするのは、現時点においてはないものねだりではないかと。我々があと5年も10年も議論をするわけではありませんから、あと数カ月でけりをつけなければいけないという中で、現在、放射線起因性は科学的にはこれ以上前に進めないのだと考えていいのかどうか。あるいは非常にその辺がプロミッシングだから、待てば我々の物差しに役に立つような新しい知見が出てくると考えるのか。放射線起因性についてはどうやらそこがキーワードになってきそうなので、その点の取扱い方について専門的立場から教えていただけませんか。
○長瀧委員 先ほど残留放射線は除くと申し上げましたけれども、ここで残留放射線をどこまで議論するかは我々の考え方次第だと思います。実際に司法の場所でも今年の地裁の判断ですけれども、それは残留放射線のある部分は否定して、申請した原告が敗訴したということもはっきり出ております。そこの意見書も見ておりますけれども、残留放射線があることに対しての反対意見をまとめて意見書として出して、長崎地裁では残留放射線の影響は司法として認めなかったということもありますし、それ以外の司法の場所で残留放射線を認めたというのもあります。ですから、司法も今の段階では非常に分かれている。
ただ、科学的にどうするかと言ったときに、証拠がどこまであるのかということで日本の委員会の状況では、黒い雨に関しては厚生労働省で委員会がございまして、それは現在の段階では黒い雨の影響があるとは認められないという一応のコンセンサスが出たと聞いておりますし、実際に測定した結果はたくさんあります。私は長崎でしたからよく知っておりますけれども、土地をほじくり返して、土地の放射性物質も調べましたし、御存じのとおりチェルノブイリでも福島でもセシウムは残るということも散々言われておりますので、原爆によるセシウムがどれくらい残ったか。患者さんやその地域の方にどれくらいあるかというのも部分的ではありますけれども、データがございます。
原爆は1個、2個ですけれども、世界中で1,000を超える原爆の空中実験があって、そのフォールアウトも日本に流れてきている。それは世界中で北緯何度と決めれば相当な線量があって、日本人でもそのころの人たちのホールボディーカウンターではかると、今の福島のある部分の人たちと同じくらい我々は全部被爆していた。ですから、フォールアウトの影響がないとは言いません。ただ、問題はそのフォールアウトの影響がどれくらいかという判断をどこでするかということです。日本中の人が浴びたくらいのフォールアウトを問題にするのか。本当に原爆によるフォロールアウトがどれくらいあったかということは、今、調べても後からどんどん土地にセシウムが世界中から来ておりますので、それを分けてはかることはできないです。
広島で建築する前に建築した床下を掘ったら、その昔のものが出るのではないか。長崎でもそういうことをやりました。広島はプルトニウム爆弾ではありませんから、プルトニウムが出たら、それは原爆でない放射能だということになりますし、長崎はプルトニウムがありまして、プルトニウム自体も細かくはかりますと、相当遠くまでプルトニウムがふえている。島原半島のほうまでふえているというデータもございます。
ただ、健康に影響があるかどうかという判断、量的な判断ということになると、これは今の段階でははっきりとしたことは言えない。あるいは言い方によりますけれども、健康に影響があるほどの量だったかという証拠ははっきりない。そういうものをここで議論していくのか。
○神野座長 石委員の御質問は、今の科学の専門家の方々が、真理を探究する立場にあられる方々がお持ちになっている水準を飛躍的に変えるような変化が今後、近々にあるのでしょうか。それとも、それは当面見通せない。少なくとも我々がこの制度を考えたりする射程に入れている時間を考えると、それはあり得ないと考えたほうがいいのかということです。
○長瀧委員 科学者もいろいろな立場があって、例えばICRPに対抗してECRRというのがヨーロッパでできて、こんな本が急にことしに並んで出ております。そういうECRRの立場から言うと、そこに日本からは沢田先生が入っていて、これも科学者であって科学的なものだと言いますと、それは脱毛、下痢などの症状から言って急性被爆症状を起こすぐらいの放射性降下物があったのだということが本になって出ております。
 それが科学的かどうかという議論ですが、ICRPのほうが正しくてECRRは正しくないというのかどうか。そういう議論を科学的にも日本の中のどこで決めるか。非常にバックグラウンドによって個人的なプレーの発表がいっぱいあるものですから、それは本当に日本の専門家として、どこかで現在のコンセンサスをまとめて、社会にばらばらなものがあると発表しなければいけないということで動いておりますが、それがいつ、少なくとも福島の混乱をどうしたらいいかということで動きはあるのですが、いろいろな政治的社会的な立場によって科学者の発言が違ってきている状況をどうするか。石先生の御質問に非常に不満足で申しわけないのですが、科学者というもの自体がそういう状態ですので、聞かれた人によって話が違うかもしれないです。
○神野座長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 ICRPのお話が出まして、前回もたしか潮谷委員からICRPのお話があったかと思いますが、きょうの資料2の2ページの右上に方向性3の関係で、赤字で2つ目の○ですが「3の疾病の拡大について、起因性や、あるいは疾病の重篤度、回復見込みの程度というようなことを物差しにして、どの程度広げる可能性、余地があるのかどうかを、専門の先生方に聞きたい」。
これは私が言ったのかもしれないですけれども、3の考え方のポイントになるのがどの程度、現在の認定制度のもとで認められている疾病を広げることができるか。その広げるという場合に、放射線起因性との関係は無視はもちろんできない。しかし、これは私の個人的な意見でもあるのですが、ある程度13万幾らということを念頭に置きながら広げていくとなると、かなり重い病気をイメージしなければいけない。
そういう2つを頭に置きながら、ICRPあたりで国際的機関で放射線とのつながりで、この辺は考えて受け止めていくべきであるかどうか。そういう議論が幾らか出ているのではないか。心疾患なり肝臓系統の病気で、これは日本の中でも受け止めて考えていかなければいけないという動きが若干あるようにも仄聞しているものですから、これは長瀧先生なり事務局で情報があれば、3の中身を膨らませていくというのか、イメージを固めていくという意味で教えていただければありがたいと思います。
○長瀧委員 7月にアメリカの保健物理医学会に相当するヘルスフィジックスでDOEがプロポーズして、原爆のフォールアウトの残留放射線についてシンポジウムがございました。今はこれをまとめている段階だそうですけれども、日本の広島の星先生とか、今中先生が司会をされて、それもきょう電話で聞いた範囲では、むしろ今まで広島でDS02がおかしいと言っていた値のもとはフォールアウトではなくて、中心部の中性子で放射化された物質が風で飛んだ砂ではないか。土壌が飛んだのではないかという話になったということで、そんな議論がまだなされている範囲だということです。
 ただ、現実に放射性物質がフォールアウトで何か起こったということは、フォールアウトは世界中でありますし、アメリカのネバダの実験だけでアメリカの中を今はかっておりまして、ヨウ素131でもセシウムでもアメリカ中に汚染地域があります。チェルノブイリも汚染地域がある。そういうところで本当に具体的な健康障害が起こったかというと、それは今ICRPなりUNSCEARの範囲では、具体的なものは甲状腺がん以外には報告されていないというような状況から、全体として見ますと、今、残留放射線、フォールアウトによって十何万という特別な手当を出すような疾患が本当にあるのかは、感覚的には全体ざっくり言って、そういう専門家と話をすれば、日本はそこまで認めるのか。どういう理由があるのかということを聞かれる範囲ではないか。これは私の個人的な印象です。
○神野座長 どうぞ。
○潮谷委員 今の荒井先生の行政側に対しての資料の提供の仕方にも関連するのですけれども、私は素人ですので資料3の状態を見てまいりますと、本当に放射線起因性が認められるということで認定されている疾病とそうでない疾病との間、これがパーセンテージで見ても余り大差がないです。ですから、そういうことを含めて、先ほど荒井先生の言われたように、事務局のほうでもう少しきちんとした資料を討議するためにも出していただくと助かります。
以上です。
○田中委員 私が言いたいのは、何回も言っていますけれども、この認定制度は申請者個人個人の線量による起因性を求めるのです。今お話がありましたように、放射性降下物の影響はよくわからない。今もいろいろ動いているし、草間先生のおっしゃるところで、もともとはDSの問題も残留放射性を加味していないから、それを何とかしないといけないかもしれないという意見があったりして、最近動いていますね。
 そういうことから考えると、少なくとも放射線降下物の影響を考える。それを認めなければいけないということになれば、個別の起因性を問えないということです。だから、個別の起因性を問う今の制度は成り立たないというのが私のずっと言ってきたことです。漠然とではないです。私のこの病気は、田中のそのときの状況からしたら、これだけの放射線を浴びているからだめだとか、いいとか、どうして私のことがわかるのですかということです。そのわかる根拠がある場合はいいです。直爆で2キロ以内であれば、それくらいは最低受けているのがわかるのですけれども、極端に言いますと4キロのところにいた場合はもうわからないです。放射性降下物の放射線量一般の話ではないです。
○荒井委員 一言で言わせていただくと、わからないものを認定の基準に持ち込むは、やはり無理があるということしか言えないのではないでしょうか。
○田中委員 そうですよ。だから、なくせと私は言っています。
○荒井委員 それは無理なのではないでしょうか。
○石委員 無理だけれども、外的基準3.5キロとか100時間というもので、つまり田中さんの言われる個々のAさん、Bさん、Cさんが100シーベルトを受けているかどうかというとことは今さら言えないですから、個々の被爆量を前提にしている意味は、恐らく一般的な物差しで蓋然性としてこのくらい受けている、例えば3.5キロがどうだという話なので、個別の人が要するに決まらないから、この制度はだめだという言い方は行きすぎだと思います。
○神野座長 外的標準基準。
○石委員 外的標準基準でやっているのですが、全ての人を割り切れるという話ではないのだから、ある意味では3.5キロにいた人、100時間内に入った人というグループの中で受けた、受けないの差はあるでしょう。この前も言いましたように、現に私の友人などは受けてもその後、原爆症になったけれども、これまで生き長らえて、原爆症の認定を受けないという人もいるわけだから、希望する人で外的標準に合う人を認定しているのでしょう。個別個別がだめだということではないと思います。
○田中委員 司法は認定すべきだと言っている人たちを行政は依然として認定していないわけです。乖離というのはその問題です。それを解決するために制度を議論してくださいというのが私たちに預けられている。
○石委員 今の3.5キロは狭すぎるから5.0にしろとか、100時間ではなくて120時間にしろとか、そういう趣旨の御議論ですか。
○田中委員 3.6キロとか入市した人とか、そういう人たちで認定すべきだというのを司法は言っているわけです。
○石委員 でも、それ以外に何か方法はあるのですか。
○田中委員 方法がないから、私はそのやり方はもう成り立たないでしょうということを言っています。
○石委員 方法がないから、外形的にそういうのを入れたのです。
○田中委員 司法はそれを認定すべきだと言っているわけです。
○石委員 司法と行政は乖離はあるけれども。
○田中委員 それを埋めようとしたら、今の制度はもう成り立たないのではないでしょうか。
○石委員 そうしたら、原爆制度を全部なくしたらいいです。
○田中委員 ですから、石先生がさっきおっしゃったから、私が言っていることと同じになったのかなと思いました。
○石委員 手当もなくせということですよ。
○田中委員 認定制度ゼロでもいいのではないですか。
○石委員 そういうことを認められないなら、そもそも認定をやめて、手当もやめてということです。
○田中委員 ですから、手当と認定は全く別です。被団協、私が提案しているのは、認定制度はなくすと言った上で、手当はちゃんと出しているわけです。どういう人たちに手当を出すかというのは、少なくとも今までも科学的な研究で、がんと関係がある病気は認定をして、手当の加算をしてくださいという言い方をしています。
○神野座長 私どもから言うと、外形標準で区切られているので、外側の問題は当然出てくると思います。
○田中委員 大臣認定はなくす。
○石委員 大臣認定をなくしたら、国の認定がなくなりますよ。そうすると手当も税金を使えません。
○田中委員 そういう問題はあります。
○石委員 そこは最大の問題です。
○田中委員 それと裁判がずっと続くかという問題だと思います。
○荒井委員 繰り返しの議論がどうも出てきてしまうのですが、司法と行政のギャップは本当に何度も何度も話に出てきているのですが、司法判断に行政の仕組みを全部合わせるというには、司法判断は個別的なものであるし、高橋委員も御指摘があったように、最高裁で全部がそういうアプルーブを得たのではないです。個別で救済された事例があるからと言って、全てそれに合わせた仕組みを行政でつくるというのは、司法と行政の役割分担から言ってもおかしいのではないかと。出発点でなるべく裁判と司法の行政のギャップが少なくなるような努力をここでも考えていきましょうという合意はあると思いますが、全て司法に合わせるのは、ここでのコンセンサスにはなっていないのではないでしょうか。そこが繰り返し出てきます。
○田中委員 私は全てに合わせろと一言も言ったことはないです。たくさんの判例があって、それは認定すべきだと言っているけれども、行政が認定できない例があるではないかと。それを解消しなさいというのが私たちの確認書でもあったし、大臣と話し合ってきたことでもあるわけです。法律を変えないとその問題は解決できないというのが最初の長妻大臣の考え方でした。法律をどう変えるかを議論しましょうと議論してきたのですが、今までの認定制度をそのまま残すということは、何も変えないことになってしまうでしょう。これは解決できないと思います。
 被団協が提案している加算1、2、3がありますね。加算1、2、3を誰が認定するか。これは潮谷先生にお願いしたいのですが、ちゃんと認定を必要とするわけですから、いい加減ではないです。それは誰が認定をするかということは県知事に任せるか、あるいは厚労大臣が国の権限として持つかという問題が残ります。それは手当の問題です。
 何回も言いますけれども、10条と11条には、手当のことは一言も書いていない。もともと法律が出発したときに、手当と認定は別の法律でしたから制度は別です。こちらの制度をきちんとしましょうということを一貫して私は主張していますが、なかなか御理解いただけない。
○神野座長 とりあえず事務局のほうでもって、先ほど荒井先生がおっしゃったICRPでも何でもいいのですが、今の科学の水準の新しい展開で、ここで考慮すべきというか、対象を拡大する上で考慮すべき資料が出せるかどうか。そこで何か議論をされて出せるかどうかということは準備できそうですか。
○榊原室長 検討させていただきたいと思います。
○神野座長 草間委員、何かございましたら、どうぞ。
○草間委員 先ほど、長瀧先生から放射線起因性ということで世界の科学の状況というお話だったと思いますけれども、少なくとも先ほどから議論がなっているように、3.5キロは本当に科学を捨てるか、捨てないか、ぎりぎりです。疫学調査と言ったときに必ずしも広島、長崎だけではなくて、さまざまな疫学調査が行われています。最近ですと自然放射線のラドンによる肺がんとか、さまざまなことが出ているのですが、少なくとも今の3.5キロを変えなければいけないような知見はこれからも出てこないと思います。そういう意味では、3.5というのは、それこそ認定のぎりぎりのところではないかと思います。
 残留放射性に関しましては、少なくとも初期放射線に比べて健康影響の寄与の割合はそう多くないというのは、線量をやっている方たちの認識ではないかと思っています。
○神野座長 特によろしいでしょうか。どうぞ。
○田中委員 草間先生が御質問をしていましたが、それは間違いないですか。残留放射線の影響は初期放射線の人と比べれば違いますけれども、残留放射線だけで急性症状を起こした人たちも結構いるわけです。その人たちは影響がなかったとおっしゃいますか。
○草間委員 残留放射線と言ったときに、誘導放射線と放射性降下物とあるわけです。いずれにしましても、その誘導放射線の場合は半減期が短いためおよび中性子線のエネルギーがかなり高くなければいけないので、中心部だけが問題になるわけです。
 残留放射線がどうかということはさまざまなデータは出されているのですが、初期放射線すなわち外部被曝に比べて残留放射線で急性影響が出るような被曝があったとは考えにくいです。私も大学を卒業してからホールボディーカウンターを使って、日本全体の体内セシウム量の測定などもずっとやらせていただいていますが、急性影響が出るような量の放射性降下物の摂取はありませんでした。
○潮谷委員 全く素人的な質問です。長瀧先生と草間先生にお伺いしたいのですが、先ほど長瀧先生のお話の中で、セシウムはずっと残っていっているという科学的な知見をお話しくださいました。そうしますと今回、私たちに資料として示されているがん。このがんとセシウムとの関係はどのように理解をしていけばよろしいのでしょうか。先ほど私は一般的ながんの発症、あるいは加齢の中で出てくる現象。そういったものと決定的な違いが統計的にはなかなか見えないということを申し上げたのですが、その一方でセシウムと関連してというようなことであれば、また認識を新たにしていく要素があると思いますが、そこはいかがでございましょうか。
○長瀧委員 チェルノブイリのことから最初にお話しいたしますが、チェルノブイリは相当なセシウムが広がったことも確かですし、現在でも土地に幾らセシウムが残っているかということは全部記録があります。我々もはかりましたけれども、相当量のセシウムが子供の体の中に入っていたという地域もわかっています。
 ただ、それを国際機関として国連であるとか、WHOとかIAEAがまとめた記録の中には、セシウムによる健康異常は認められないということがはっきり書いてあります。それは20年目と25年目に書いてあります。ただ、それに対して国際機関は認めなかった論文も決してうそではないのだという本が出ておりまして、それは今まで国際機関が無視した、こういうがんが起こるということに関して、今、非常に日本全体としてマスコミもそれを取り上げて、あるのだという番組もございますけれども、それはそれなりにまとめて、来年の3月までに一応日本の専門家としてどうかという動きもございます。
 全体として国際的な評価ということから言えば、セシウムで明らかな影響があったと。もちろんたくさんやれば、犬が死ぬまでセシウムを投与した実験もございますし、どこに異常が起こるかとか、あるいはセシウムがばらまかれているブラジルのある地域で何人か亡くなった例もありますが、少なくともチェルノブイリくらいの範囲では健康に影響はあるという証拠はなかったというのがUNSCEARの報告書ではあります。それは昨年出たものであります。ただ、それを全て受け入れるかどうかは、また社会の問題だと思います。
○神野座長 草間委員、何かありましたらお願いいたします。
○草間委員 今、長瀧先生が言われたように、セシウムだからどうと言うのではなくて、この辺は皆さんのすごく誤解があるところで、いずれにしても放射性降下物となると内部被曝ということになるのですが、内部被曝であっても外部被曝であっても線量は足し算できるようになっていますので問題ないと思います。
 ただ、セシウムで急性影響が出たという事例は、それこそブラジルのゴイアニアというところでセシウムの治療用装置が一般のごみ捨て場に捨てられていて、そのときに4人の方が亡くなったという事例はありますが、それ以外の疫学調査、チェルノブイリ、大気圏の核実験でセシウムの内部被曝により、がんがふえたというものは多分ないだろうと思います。
○神野座長 あと御発言はございますか。
○田中委員 疲労感を感じるのですが、現在の認定制度を残すということになれば、今まで裁判になったことが続くことになると思います。
○神野座長 これはまた最初の問題になりますが、現在、私どもに与えられているのは認定制度のあり方ですので、認定制度は現在存在していて、それをどう変えていくのかということを議論していきましょうと。おっしゃるとおり、これは認定制度そのものが無理で、どうしようもないということであれば、それはそのときに議論が詰まった段階で考えましょうということで出発しております。
○田中委員 ですから、あり方について改善する方向があるかもしれないと、私は今まで思ってきました。今の認定制度の中でもう少し認定のあり方を帰ることができるとしたら、裁判が起こらないようなことに持っていけるかもしれないと期待もしてきました。でも、本当に十何回もずっと議論してきて、結局その道は今も私には見えないです。
○荒井委員 方向性2と3です。
○田中委員 2と3の中身がわからないから、きょうも最初に2と3の中身をきちんと議論していただきたいと、まず2のほうを山崎委員に説明していただいたのですが、どうも最終的にはよくわからない。認定する疾病をどうするかという問題は必ず残るわけですから。認定は手当の問題ではないですから。
○神野座長 それは我々財政学にとっては理解しにくいところがありまして、普通の公共支出は根拠がないと出せないです。石先生が繰り返しおっしゃっているように、国民の血税ですから、これの支出については正当な根拠がない限りは出せないというのが我々の常識になってしまっているので、何も認定制度なくして、手当だけという一人歩きはイメージが湧かないのが正直なところです。それは言い方を変えますと、潮谷委員がずっとおっしゃっている国民の理解にかかわってくることだろうと思います。
○田中委員 何回も言っていますように、あれは司法が改善するだという判決です。行政はもう少し考え方を変えろと。たくさん却下した例を認定していったというのは、別の認定のあり方を考えろということが司法の判断だと思います。それがないといけない。認定制度をなくせというのは、その道ができれば、なくせとは言わないです。
○神野座長 つまり、認定制度をなくせという判例ではないわけですね。
○田中委員 見直せという判断です。
○神野座長 見直せということと、なくせというのは違うような気がします。
○荒井委員 原爆症の認定をめぐっての司法判断をどう受け止めるかは、それ自体が問題なわけでして、今、田中委員のおっしゃったように、見直せというメッセージを含まれているという読み方をする御意見もあるのでしょうけれども、私自身はあくまでも司法は個別判断です。それの積み重ねが幾らかあったということは言えましょうけれども、あくまでもそれは個々の当該被爆者のその人の原告の事件についての判断なのであって、認定制度そのものを見直すべきだなどという判決は言っていません。その積み重ねの中でどう受け止めるかというのは、それぞれの方の理解の仕方の違いはあり得るのでしょうけれども、そこは田中委員のおっしゃるようなまとめ方は皆さん共通ではないと思います。
○田中委員 見直せと裁判が言っているとは言いませんが、あんなに長い裁判で行政の判断を否定していったわけですから、それが何を意味するかを見直せと言ったのです。その根底にあるのは、今の基準は何回も言われていますけれども、放射性降下物の残留放射線の影響をちゃんと見られるという状況になっていないではないか。それを何とかできないかというのが司法の判断だと私は思います。ですから、最初に残留放射線の問題をどういうふうに私たちは受け止めたらいいかというのを発言しました。
○荒井委員 繰り返しになりますけれども、行政が司法のこれまでの流れというか、判断の経過を全く考慮していないのは、これまた言い過ぎではないか。やはり新しい審査の方針という科学の限界を超えているかもしれない、みたいなところまで広げてきているわけです。それはかなりこの検討会の早い段階で田中委員が御指摘になりましたように、それは被爆者の人たちの長い一種の頑張りの歴史の結果だと。決して行政が進んで改めたのではないというお話がございましたが、それはそういう一面もありましょうけれども、やはり司法の判断の経過を行政は行政なりに、医療分科会は分科会なりに受け止めたという見方をしていいのではないかと。これで足りないかどうかは御意見がそれぞれ委員によって違うとは思いますけれども、そこを行政が全然見ていないというのは、やはり言い過ぎではないかと私は思います。
○田中委員 新しい認定の方向を出されたときには、科学的でないという意見もありますけれども、一定の考え方を採用されたかなと思いました。でも、以前として一番最初に申し上げましたのは、積極的認定の枠に入れた心筋梗塞とか甲状腺とか肝機能とかいうのは、残留放射線のことは考慮されていません。総合的にも見られていない。そこが裁判と違っているところだと私は思います。それを何とかしないといけないと思います。
放射線起因性が認められるという解釈をどうするかという問題でもいいですよ。今の解釈だと初期放射線の線量で閾値で判断していると私は思いますけれども、そうでない方向を考えないといけないのではないかと思います。
○潮谷委員 とても乱暴な表現をしますと、田中委員がおっしゃっていることは、被爆したその事実でもって全ての方々に救済の対象というような形で考えていくシステム。これをつくることのほうが今では大事ではないかというお考えではないかと思います。しかし、そういう考え方になっても、私は司法のほうに問題を訴える方は当然出てくると思います。司法に対しての申立権は個々人の権利ですから、そういった現象はずっと起きてくると思います。
さらに言えば、乖離を埋めるというようなことで私たちが折り合わせることは、とてもできないのではないかという感じを持っています。政治的な決着に持っていくことであれば、これは話は別ですけれども、認定制度を見直すという委員会でやっていくということであれば、私は限界があるのではないかという思いを抱いているところです。
以上です。
○神野座長 ありがとうございました。
 今の論点は次回にやっても同じようなことになるかもしれませんので、田中委員のおっしゃっていることにかかわるような資料が出せるかどうか。
もう一つは、現在の認定制度という存在そのものを前提にした上で、そのあり方を考えていくかということを前提にして、2の案と3の案があって、このうち先ほど荒井委員から起因性ではなく、2のほうのメリットを取り入れながら、そちらを要医療性というような観点から取り入れることができないかという御提案があったわけですが、それに関連して資料の御要請があるわけですね。つまり疾病の重篤度とか要医療性などについて少し踏み込めるような資料。これは潮谷委員からの御指摘でございましたので、そういう資料をつくっていただいて、2と3を含めて和解させながら、現行制度を修正していく案をもうステップ、具体的に引き出せるような資料を次回御準備いただいて、それに基づいて少し討論できればと思っております。その準備は大丈夫ですか。
○榊原室長 軽々には申せませんが、検討して御相談をしたいと思います。
○山崎委員 ついでに私からも、きょうの資料の中で認定者とそうでないもののがんの部位別の構成割合がわかるわけですが、きょうの資料については一般の方については男女別になっていて、被爆者は男女込みになっています。どちらかに合わせて比較可能のようなものを工夫できれば、出していただきたいということ。
 それから、今は認定されていないけれども、明らかに今の議論ですと残留放射線の影響があったのではないかという議論になっているわけでございます。そうすると健康状況一般に影響があったのかどうかということを確認したくなりますので、一般の高齢者の方の健康状況や医療の受療状況と被爆者のそれを比較できるようなものがあれば、見せていただきたい。ただ、医療にはもちろん健康状況でございますが、地域性がありますので、本当を言うと広島、長崎という特定の地域について、そういう比較ができれば一番いいのではないかという気がいたします。
○潮谷委員 論議が閉ざされていこうとしているときで申しわけないですけれども、田中委員が冒頭の中で、行政は総合的には判断していないのではないかという疑義をお出しになられました。これについて積極的に認定した範囲と総合的に判断した範囲、そういったものが例示できれば、次回に是非またお出しいただければと。長い歴史があるから相当難しいとは思いますが、お示し願えればと思います。
○神野座長 ほかにいかがですか。
○長瀧委員 残留放射線はどうしても後を引くと思いますが、それをここで議論するのか。例えば事務局が資料を出して、ここで議論できるようなところなのか。
○神野座長 学問的に議論することはとても無理なので、関連するとは言え、目配りはしていかないとだめだと思いますので、その意味で議論するということを否定はいたしませんが、その決着をここでつける能力はないです。
○長瀧委員 ここで決着をつけられるのは非常に難しいと思います。一方で、決着が難しいのだけれども、認定のときにどうしても残留放射能が入ってくるというのをここでどう扱うか。
○神野座長 展開を整理しないと、つまり今までのお話ではそういったことがあるので、我々の税法の言葉を使えば、推計課税と言うのですが、所得は実際には国民一人一人はわかりっこないので、推計するような基準をつくって推計課税をやる。その推計をやっているのだという御主張があって、我々はどちらと判断する能力はありませんので、これは制度的にきちんとした上で、今後の対応の仕方として、わからなければわからないで、その新しい外形の基準をつくるのかどうかを含めた検討はここでできるかもしれませんが、どういう影響があるかは解説を聞いていくのにとどめるしかないのかなと思います。
 それでは、申しわけありません。いろいろと不手際でもって御迷惑をおかけしたかもしれませんが、先ほど来、委員の方々から御要望のあった資料を次回準備していただいて、さらに少し前に進む上で、特に疾病の重篤性とか要医療性にかかわる議論が、手当のあり方などを含めて考えていこうという御提案もありましたので、そうしたものを中心に制度を検討していきたいと思います。そういう資料を御準備いただけませんか。それで議論を進めていきたいと思っております。
 それでは、本日はこの辺で議論を閉じたいと思いますが、事務局から連絡すべき事項がございましたらお願いいたします。
○榊原室長 次回の日程につきましては、12月18日火曜日15~17時で予定しております。詳細は追って御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
○神野座長 それでは、以上をもちまして、本日の検討を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)
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