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2013年3月22日 地域医療再生計画に係る有識者会議(第6回) 議事録

医政局指導課

○日時

平成25年3月22日(金) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第18・19・20会議室(17階)


○出席者

委員

梶井委員(座長)
内田委員 鈴木委員 田城委員 西村委員 林委員
藤本委員 正木委員 宮井委員

○議題

1.地域医療再生計画の評価について
2.地域医療再生計画の現地調査(案)について
3.その他

○配布資料

資料1地域医療再生計画の評価について
資料2地域医療再生計画の現地調査について(案)
資料3平成24年度補正予算による地域医療再生計画について
参考資料1都道府県から効果のある事業や他県の参考となる事業として報告された事例
参考資料2平成24年度予備費による医療の復興計画
参考資料3地域医療再生基金(平成24年度第一次補正予算)の活用について

○議事

○平子室長 ただいまから、地域医療再生計画に係る有識者会議を開催いたします。委員の皆様方には、大変お忙しい中、遠方より御出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日は、齋藤委員、佐藤委員、水田委員が御欠席となっております。
開催に当たりまして、厚生労働省の神田審議官より御挨拶申し上げます。

○神田審議官 医政局長が所用でどうしても出席できないということですので、代わって一言挨拶をさせていただきます。委員の先生方におかれましては、本日は御多用のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
この地域医療再生計画については、これまで平成21年度の補正で2,350億円、平成22年度補正予算で2,100億円、合計4,450億円の財政措置が講じられております。また、加えて被災県については平成23年度の補正で720億円、平成24年度予備費で380億円を追加交付したところです。各都道府県においては、地域医療再生のために医療機関の整備や医師確保に係る事業に取り組んでいただいているところですが、様々な使途に用いることができることとか、財政支援の規模等から大変高い評価をいただいているところです。
 都道府県の地域医療再生計画の施行に当たりましては、平成21年度末に交付決定したこともあって、実質は平成22年度から事業が始まっております。地域医療再生計画の期間は、繰越しが必要な事業もありますが、基本的には平成25年度までとなっており、既に折り返し点を過ぎたところです。地域医療再生基金には、これまで総額で5,550億円と、非常に巨額な資金を投入しておりますので、今後どれだけの効果や成果が得られたか問われてくることになろうかと思っております。
 本日の有識者会議においては、都道府県で実施されている各地域医療再生計画の執行状況を踏まえて、その効果や成果に対する評価がどうであったか、また都道府県に対する現地調査等を効率的・効果的に実施するために、本年度実施した現地調査を踏まえて、来年度以降の調査を有用なものにしていくという観点から、御意見を伺えたらと考えております。
地域の実情に応じて、地域医療再生計画の内容も様々ですが、地域医療の従事者や住民のため、限られた財源が有効に活用されますよう、本日、忌たんのない御意見と活発な御討議を賜りたくよろしくお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

○平子室長 続きまして、議事の前に資料の確認をお願いいたします。1枚目ですが、議事次第です。次に座席表があります。資料1が「地域医療再生計画の評価について」。資料2が「地域医療再生計画の現地調査について(案)」。資料3が「平成24年度補正予算による地域医療再生計画について」。参考資料1が「都道府県から効果のある事業や他県の参考となる事業として報告された事例」。参考資料2が「平成24年度予備費による医療の復興計画」。参考資料3が「地域医療再生基金(平成24年度第一次補正予算)の活用について」です。また、それぞれお手元に別途、委員限りの資料を配布しておりますので、それは適宜御参照いただければと思います。
以降の進行は梶井座長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○梶井座長 本会議の座長を務めさせていただいております梶井でございます。よろしくお願いいたします。ただいま審議官から説明がありましたように、最初、申請書という形で私たちの目の前に出てきた計画書があります。それからずっと、事あるごとにいろいろ関心を持ちながら、フォローさせていただきました。先ほど御説明もありましたように、この1月には現地調査として愛知県と北海道に皆さんで行かせていただいた次第です。そのようなことを踏まえて、1つパイロット的な調査だったと思うのですが、あとでまた出てまいりますが、今日も、今後どのような調査をやっていけばいいかということを御議論いただければと思います。
 いずれにしても、最終の年度となる平成25年度ですが、その前に中間報告が出てまいりまして、私もそうでしたが、皆さんにおかれましては大変な労力と時間を費やされて、一つ一つの評価をしてくださったと思います。今日はそのようなことも踏まえながら御議論いただければと思います。今日、円滑な運営を務めてまいりたいと思いますので、質疑等があります場合には挙手をしていただいて、私が指名したあとに御発言を賜れればと思います。
 本日の議事は2点あります。最初は、「地域医療再生計画の評価について」です。2点目は、「地域医療再生計画の現地調査(案)について」となっております。早速ですが、事務局より議題1の「地域医療再生計画の評価について」の資料の御説明をお願いいたします。

○梶野専門官 事務局より議題1、「地域医療再生計画の評価について」の資料の説明をいたします。資料1です。1ページに今回の地域医療再生計画の評価について、都道府県の自己評価と有識者会議の評価の結果のトピックス的なことが書いてあります。今回の評価では、都道府県の自己評価では、全体で総合評価の点ではA評価が16件、B評価が31件でしたが、有識者の先生方の評価ではA評価が9件、B評価が38件と、若干厳しい評価になっています。
 カテゴリー別に見ると、自己評価では救急医療対策でS評価という県もありましたが、有識者会議の評価ではA評価にとどまっております。また、救急以外でも、自己評価に対して有識者会議の評価は若干厳しい状況で、自己評価でA評価であった件数をそれぞれで下回っているような状況です。また、今回の中では在宅医療の評価でD評価も1件ありましたが、これについては東日本大震災の影響により事業の実施が困難になったということで、今後この事業は速やかに見直す必要があるのではないかというものがありました。
 今回の評価結果の活用についてですが、今回、先生方に評価していただいた御意見等を評価シートに書き込んだものを県にフィードバックして、さらなる取組に進んでいただきたいと考えております。また、今回の評価結果を踏まえて、25年度に実施する現地調査でも、今回フィードバックする意見の中にはいろいろな質問とか疑問に思われる点もありましたので、現地調査のときにはそういったこともヒアリングしたいと考えています。加えて、平成24年度の補正予算も都道府県で計画されているところですので、また、その出されてくる計画の評価に当たっても、今回の評価結果等も踏まえながら審査させていただきたいと考えております。
 2ページ、3ページです。この表につきましては都道府県名を伏せておりますが、各県の総合評価を、S評価を5点として、A、B、Cの5段階を点数化して、それぞれ委員の先生に評価していただいた点数の平均点を高い順に並べたものです。各都道府県はフィードバックされた資料を基に、自分がどの位置にあるかを参照等していただいて、改善していただくなり、評価についてもしっかり評価して、次回以降高い評価が得られるように取り組んでいただきたいと考えております。
 4ページ以降については、「地域医療再生計画の評価について」ということで、総合評価、医師確保対策、救急医療対策、それぞれカテゴリー別に都道府県の自己評価の件数、あるいは有識者会議の評価の件数がどうであったか、また、その評価に当たって都道府県がどういう理由で評価したか、あるいは有識者の先生からどういう意見があったかを抜粋して記載しております。
 参考資料1は、各都道府県が今回、自己評価をしていただく際に、都道府県の中で地域医療再生計画を執行していく中で、実際に効果があったと思われる事業、あるいは他県の参考となるような事業ということで、都道府県の自己申告により御報告された事例を集めております。これら事業の取り組みが実際に効果があったかどうかを検証したものではありませんが、これらを参考にして、各都道府県では自分たちの地域に合った取組の参考にしていただければと考えております。説明は以上です。

○梶井座長 ただいま資料を御説明いただきましたが、皆様から御質問・御意見はありますでしょうか。

○田城委員 意見といいますか、この評価全般に関してでよろしいですか。第1点は、評価はやはり分量ともにとても大変でした。これは多分ほかの先生方も一緒だと思うのですが、各都道府県の自己評価、本来の計画、予算というか、基金の執行状況ですよね。これは前回のこの会で話し合って合意を得ていると思いますが、執行状況、進捗状況を基に評価をするという取決めになっていたと思うので、それをメインにして、この事業内容と実際の地域医療の再生に対して、この計画が実際に予算を満額使ったとしても、効果に対する疑問などに関しては、進捗状況とは別に評価を加えたり、下げたものもあるし、実は自己評価よりも高くしたものもありますから、そういうやり方をほかの先生方もされていたと思います。
 愛知県と北海道は、可能な限り全員で現地調査をしましたが、やはり現地調査したものは自己申告を見てもすぐイメージが湧いて、ここでこういう事業に使ったんだなということが具体的にイメージできて、評価も非常にしやすかったと思いますし、愛知・北海道の現地調査以外でも、多少なりともいろいろ関わっていたり、事情がよく分かるものに関しては非常に評価しやすかったと思います。
 ですから、平成25年度は全員でというわけにいかなくて分かれて行くのですが、現地調査をすることが必要。逆の言い方をすると、文書のみで、しかも一気にこれだけの量を全部やるのはなかなか大変でした。ただ、くどいのですが、評価の基準については、前回、全員で一致していますので、進捗ということですよね。
 あと、地域連携パスとICTのことがあるのですが、それはまた後ほど伺います。

○梶井座長 先生、1つ御質問があるのですが、委員のほうはそういうことで、評価方法については個々異なっても、方向性はやはり検討していたと思うのですが、自己評価を出された都道府県に対しては、何か御意見はありますか。

○田城委員 大変良いことを聞いていただきました。1つ、一番言いたかったことを緊張して忘れていました。自己評価は本当にバラバラです。非常に謙遜な担当者が作られた県とそうでない所もあり、公開の場なのであれですが、どこを基準にやっていくかというので、各都道府県によってかなりばらつきがありましたし、ある県でも府でも道でもないところなのですが、全部同じAという評価、全く均一の評価だけでくる。普通ほかの道や府や県は、多少上げ下げがあるわけですね。それは自分たちで実感があるわけですが、ある所は全く均一なので、これはちゃんと厳密に、一つ一つの事業に対して謙遜に自己評価しているのか、面倒だから全部同じ点をざっと付けてきているのか、ちょっと疑わしく思ったところがあって、そこはできれば実際に担当者とか自己評価表を作られた方にお話を伺ってみたいなということがあります。ですから、47都道府県で非常に真摯に書かれている県がある一方、本当にこれはきちんと。こちらも非常に丁寧に読んでいますし、金額も大きいですから、真摯に自己評価をされているのかというのが、ごくごく一部ですが、そのように少なくとも私は感じる、県でも府でも道でもないところがありました。

○梶井座長 先ほど資料についての御質問・御意見等とお話しましたが、今、田城先生におっしゃっていただいたように、皆様が実際に評価をされた観点での御意見等でも結構ですので、お願いします。

○藤本委員 私は住民活動をしている立場から、カテゴリーこそありませんでしたが、各都道府県で住民への啓発がどのようになっているかというところを中心に見させていただきました。
大体実施したという報告はあるのですが、何のために実施しているかという視点からの評価になっていない。住民への啓発をする際には、例えば救急医療の使い方をもっと適切なものにしてほしいとか、何か意図があるわけです。その意図が達成されたかどうかということについての評価が全くなくて、住民へのイベントをやったとか、パンフレットを何部作ったとか、そこで止まってしまっているものがほとんどであった点が気になりました。
そういう意味では、先ほどのハード面の整備でも同様のことが言えると思います。ハードの整備は進捗状況は評価しやすいのですが、整備することによって、いったい医療の何が変わったのか、何を変えたくてこの計画を立てたのかというところに対する評価も必要です。
やりましたという報告のみの自己評価は、何もこれだけのメンバーでまた評価し直す必要はないわけです。その辺の、事業をやることによって、医療の質をどのように変えたのか、変えようと思っているのかの辺りを書き込んでいただくような、こちらからのリクエストが、次回評価するときは必要なのではないかと感じました。

○梶井座長 私もそのように思います。そのほかいかがでしょうか。

○正木委員 この計画が始まる前に非常に危惧したことは、公立といいますか、公的といいますか、そういったところだけが中心になるのではないかという心配をしたのですが、やはり中を見るとそういったものが中心になっていますし、民間と言われるところの病院の名前などは非常に少なかったように思います。もう少し時間がたってくればその辺は改善されると思いますが、少し少なかったように思います。
 それから、CTとかMRIとか、そういった道具を買うことだけが目的になって、それも注意したのですが、CTを入れたらそれで終わりだという感覚が非常に多くて、それがどれだけ成果をもってくるか、どのぐらい先生方の時間短縮につながったのか、救急のいろいろなことに対応ができたのかといった評価がこれから先、生まれてくるのではなかろうかと思うのです。その辺を期待して、先ほど藤本委員が言われたとおり、何か作ったから、何かやったからそれで終わりだとせずに、これから先もずっと続いていって、本当に地域医療再生計画に投入した資金が生きていくことが必要ではないかという気がしています。
 特に先ほど田城先生からもお話が出た連携のシステムなのですが、これがいろいろなところである程度完成していないというか、まだこれからだと思いますが、連携のシステムというのは機械を入れれば、システムを入れれば成り立つかではなくて、心と心のコミュニケーション、施設間のいろいろなコミュニケーションをとっていって連携が初めてできるというところを、もう少し力を入れていくべきだと思ったのです。そうしないと、道具で頼って、その辺はなかなか出来上がらない。地域連携は心のつながりから始まっていくべきだという思いがしました。以上です。

○梶井座長 確かに施設・設備の整備は、膨大な予算が投じられているわけですが、多くの場合はスタートだというように、私も見ながら評価させていただきました。今、藤本委員、正木委員から出た御意見に私も賛成です。そのほかいかがでしょうか。

○田城委員 藤本委員、正木委員が御指摘のように、特に高額な医療機器等の購買といいますか、それを買うということで安心してしまうのではないかとか、金額の高い物の購入等が主になるのではないかという危惧は確かにあり、それは消えてはいないのですが、これも公開ですからいいと思うのですが、北海道で現地の視察をしたときには、地方都市の病院ではCTとかMRIとか緩和ケア病棟への改築費とか、そういうものが本当に必要なのだなということは、現地に行って実感しました。東京にいてはなかなか分からないこともあるので、一概に物を買うこと自体が良い・悪いということではなく、それが本当に必要で、しかもそれが地域住民とそこの医療者が本当に喉から手が出るほど必要とされ、それによってその病院だけではなくて、地域全体の地域医療が向上する。確かにその病院が整備されることによって、その周辺の病院にも波及効果があることは実感できましたので、そういう点では現地に行って良かったなと思います。

○梶井座長 そういう意味では、現地調査が必要だということと、自己評価のときに、今おっしゃったような波及効果が出てきたかということも、書き添えていただくと非常に分かりやすいし、これが全国に発信しやすいということにもなろうかと思います。

○内田委員 これまでのこういうお金は、地域医療にどういうお金が付いているかというと、診療報酬がもちろんメインです。あとはモデル事業とか、政策的な医療に対してお金を付けるということで展開されているわけですが、今回のこの事業はそれと全く違って、真水のお金を基金として都道府県に渡して、都道府県の主体性をもって地域医療課題を抽出し、事業を展開するというお金の付け方だったわけで、そういう点では地方の医療にとっては画期的な基金の付け方だったと思います。ただ、計画から実施までの期間が非常に短くて、本当に行き届いた計画になったかなというのは1つ疑問があります。
 そういう点で、極めて良い計画を立てている所は、周知して関係者が協力体制を作っていると。それが間に合った所はすごく良い計画になっているし、進捗も目を見張るような成果を挙げているような所がある。
一方で、行政が主導権を取って、シナリオを描いて、それに対して関係者の意見を一応聞きました、ヒアリングもしました、そして、話を進めましょうという所は、現場の意見が本当に反映されたものになっているのかと感じます。
むしろこちらのほうが多くて、恐らくそれが今回の自己評価と私たちの評価の乖離になって出たのだと思いますが、そういう印象を非常に強く持ちました。
 ですから、これだけ大きいお金が付くのは恐らく今後はなくて、もっと縮小していくかもしれませんが、今後の展開を考える上では、是非ともいろいろな方の意見を集めて、それを実施するためにどういう体制をとればいいのかという協力体制を作ることが、すごく肝心なところなのではないかと。それで、先ほどおっしゃったような行政がシナリオを作ると、どうしても官の医療機関にお金が回ってしまって、民までとか、本当の地域のニーズまでお金が付かない状況になってしまう。それをなくすというか、もっと成果を挙げるためには、本当にその地域で必要な物が何なのかをしっかり議論した上で、関係者が協力し合って体制を作っていくことがすごく大事だなと痛感しました。

○梶井座長 そういう意味では、プランをどのように推進していくかというマネージメントの部分は、すごく大事かなと私自身は思いました。うまくいっているという部分、特にソフト事業がうまくいっている部分については、多分マネージメントがかなりうまくいっているのではないかと思います。そういう意味で、実際にその辺りがなかなか書きぶりとしては難しい部分もあって、現地に赴いて、そこでいろいろ話を伺ってみると、「あっ、こういうシステムになっているんだ」というのが非常によく分かってくるのではないかと思いながら、今度また現地調査を楽しみにしているのですが、どうでしょうか。

○内田委員 今回のこの評価は、計画を立て、そこにお金を付けて、それがどの程度執行されつつあるかというところがメインの評価であって、事業の内容そのものの評価、それから事業の効果はどういうものが上がってきたかという評価とは、多少関係あるところもあるけれども、それが全てではないというか、そちらのほうがどちらかというと手薄な印象を受けました。この事業を本当に47の都道府県で横並びというか、皆さん良い事業を学んでレベルを上げていくためには、PDCAみたいな、きちんと評価をして次のステップに何を取り組めばいいのかをやるような過程が必要なのではないかと思いました。
 ですから、今回の評価は事業の執行状況、金がどれだけ使われたか、使えるかというところの評価ではなくて、ステップアップするための質の評価が必要になってくると思います。

○藤本委員 私が住んでいる県では、この再生計画のための協議会を立ち上げていろいろマネージメントしているのですが、これは基金が切れる平成25年度までの会議です。そこから先の評価やフォローをどこがするのかということに関しては、まだ決まっていない状態です。ですが、先ほどの先生方からのお話にありましたように、この期間が過ぎてから事業の成果が現れてくるものもありますので、何らかの形で報告を上げていただくとか、フォローしていただく体制が必要なのではないかと事務局に提案したいということが1点です。
 もう一つ、質問です。参考資料1を拝見させていただいたのですが、これはあくまでも自己推薦なのです。私が評価をさせていただいた中では、あの県のあの事業がここに載ってくればいいのにな、と思うものがいろいろありました。ですから、都道府県が自己推薦したものをそのまま出すことの意味と、私たちメンバーが、これは是非ほかの県に広めたいと思ったものがここに載っていない場合の対応を、皆様で御検討いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○平子室長 まず、1点目の平成25年度以降のフォローについてですが、御指摘の点についてはそうだなと思いますので、そこは少し検討させていただきたいと思います。ただ、今回は、後ほど説明させていただきますが、平成25年度以降も若干、平成25年度に開始されたものという形で追加の事業が実施されますので、一定期間は評価がなされることになるのではないかと思います。
 2点目の自己推薦の意味なのですが、私どもの期待としては、先生方が見て、第三者が見ても良いと思うものについては、きちんと上げてきていただけるのかと思っていたのですが、そこは乖離があったというか、少し遠慮された点もあるのかもしれません。ここは、やり方についてはまた御相談させていただければと思いますが、例えば先生方から見て、特にここのこの事業が良いなというものがありましたら、逆に私どものほうから各都道府県に対して、こういうものを推薦されたけれども、もう少し取組について詳しく教えていただけないかといった働きかけをすることは可能ですし、また、そういったものを共有させていただくことはできていくのではないかと思います。

○鈴木委員 カテゴリー別の評価内訳を見ても、オールAとはいかないけれども、かなりAが多い所からオールBと、かなり差があるように見えるのです。我々が行ったり、あるいは評価をした場合でも、都道府県によって違うことがあります。こういう状態がいつまでもこのままでいいのかというと、在宅医療などは市町村単位に下ろしていくという話もありますから、そういう今後の大きな流れに向けて、総合評価の低い都道府県の取組を底上げしていくような働きかけも必要だと思います。
我々から見ると、都道府県医師会と行政と大学が連携のとれている所は、基本的によく活動されていると思うのですが、実際、評価が高い所と低い所で取組方に違いがあるのかどうか、もう少し分析してそういうものを示していただくことにより、今後、都道府県がもう少し主体的に地域の医療を見ていく仕組みを作っていく必要があると思います。

○梶井座長 すごく重要な視点を指摘していただいたのだと思います。あと、多分書き切れていない所もありますよね。すごく詳細に書き込んでおられて、逆にちょっとフォーカシングしにくい県もあったり、逆にもっとこれは書けるのではないかという県もあって、その辺りは、そういう意味ではヒアリングといいましょうか、我々が現地に赴いていろいろお話を伺うことも大事でしょうし、また次回このような評価シートを出していただくときには、そういう留意事項も付与した形が大事かと私は思います。

○林副座長 各委員の今まで述べられたこと、私も全く同感です。我々が一生懸命作業をして、話合いも事前にどういう方向でやるということをしたのですが、また事務局も大いに努力して、この形でまとめた案ですが、これは我々が暗中模索の中で、できる限りのことを今回やったと私は思ってはいるのです。実際やってみると、まだまだ反省すべきところが出てきて、例えばこういう総合評価に出ても、各カテゴリー別に見ると、県にとっては必ずしも資金が同じようなお考えで配られているとは限らないわけです。その中での平均点みたいなことですから、果たしてこれが正当な評価かどうかという疑問は、一抹の不安があります。
 47都道府県を俯瞰して全体を見ますと、確かに「ああ、非常に素晴らしいな」と思うものと、「いや、これはちょっと」という感じのものとが見えるのですが、途中の70%か60%ぐらいのところは果たしてどのように評価すればいいのか分かりにくいわけです。
そこで、今後の評価の仕方としてなのですが、1つずつ細かくやろうとしても、いくら詰めていっても切りがないだろうし、物理的にも不可能ではないかと。我々の目的はそこにあるというよりは、各都道府県が自らきちんと計画できて、今後ちゃんと自分たちでやれるということが目的だと思うのです。
 そうすると、それが可能となるためには、1つの考え方にすぎないのですが、一堂に集まっていただいて、うんとアピールしてくださいと要請する。その中から、我々が「これはいいんじゃないか」というのを拾い集めて、現地調査も加えての話なのですが、そのような形でほかの県のモデルとなるような事業があれば、そこで浮かび上がらせて、お互いに彼らが学び合うという形にするのは、1つの考えとして成り立つのではないかと思いました。

○梶井座長 これも素晴らしい指摘だと私も思います。そのほかいかがでしょうか。

○西村委員 今、林委員がおっしゃったこととほとんど同じことを、ちょっと言葉を換えて言うことになります。皆さんの今までの御指摘は全く同感で、恐らく少しずつ関心分野が違うにもかかわらず、私どもの評価はわりと共通して、同じようなところを問題として見いだしたという前提の上で、今後のことを考えると、やはり私どもが現地に行かせていただいて、紙の上ではなかなか理解できない地域ごとの違いは大変勉強になりましたし、そういうことを前提としないで、一律にいろいろな評価をするのはまずいわけです。
今後は、地域のいろいろな事情が分かるような情報をもっと一生懸命集めて、例を挙げると、その地域で病院の建設に関してどういうことが今問題になっているかといった新聞の切り抜きとか、そういうものを集めることができると、私どもも地域ごとの特別な事情を理解することができると思います。それは新聞の切り抜きだけではなくて、別にネットでも何でもいいのですが、とにかく地域の特別な事情を知る情報入手手段はちょっと考えていただきたいというのが1つです。
 他方で、今回皆さん、自分の所は特別だと思っているにもかかわらず、私どもが回ると、日本中わりと共通した問題があるんだぞということに気が付きます。例を挙げると、大学との関係です。それぞれの都道府県にある大学との関係は、かなり良好な所も伺える場合もあれば、大学とは都道府県がちょっと距離を置いていて、向こうに余り入ることができないというイメージができる都道府県もありました。ですから、1つは大学との関係について、もうちょっと一般論として、私たちがこういう良い事例もあるんですよという話はお伝えできるような気がします。
 市町村間の利害調整も、実は各都道府県ごとになかなか難しいことを理解しました。これは恐らく現場では、そう簡単に隣同士の市町村の利害を調整することは難しいと思っておられるかもしれませんが、それはこれから都道府県の仕事として、やはりそういうことをやっていただく必要があるので、その点も1つです。
先ほどから繰り返しになりますが、各種協議機関の作り方という点でも、かなりうまくやっている所とそうでない所がありました。このことも、余りうまくやっていない所は、「あの団体との調整が難しいんですよ」と言ってそれで終わるということがあって、もうちょっと突っ込んで、もちろん日頃からの良好な関係がないと難しいと思いますが、そういうこともあります。
 結論を言うと、今回こういう評価で都道府県からの良い例の申し出がありましたが、できたら私どもからも、評価をしたわけですから、こういう事例は大変良い事例であるということをわりと短い文章にして、どこかに公にすることがあってもいいのかなと思います。以上です。

○梶井座長 今、西村委員のおっしゃったことは、特に総合評価の所にはそれぞれがいろいろ書き込んでいただいていますね。私は全部を読ませていただきました。そうすると、そういうキーワード、あるいは文章があるのです。「是非これは全国のモデルとなり得るから頑張っていただきたい」とか、あるいは「発信していただきたい」とか、そういうものもありますので、それをまず拾うことも大事でしょうし、それを御覧になられて、また追加していただくとかいうことで、私は今お話を伺っていて、それはそう時間をかけなくてもできそうな感じはいたしました。

○西村委員 ちょっと微妙で、私自身は都道府県にそういう評価を書くときは、その都道府県に対して伝わることをイメージしておりますので、実はこの話が他の都道府県にも伝わるということはちょっと不十分だったと思っております。

○梶井座長 今いろいろ重要なことをおっしゃってくださったと思うのです。我々の立場は、ある意味でずっと、申請のときに私たちがいろいろ考えて全部読ませていただいて、全都道府県の他の状況も知りながら意見を書いて、その後の展開を見せていただいてということが1つあります。
もう1つは、ニュートラルな立場にあるということで、そこには直接関係ないけれども、ニュートラルな立場で見せていただいて、あとは他の都道府県の状況もそれなりに分かる状況ですので、今、正に例えばとおっしゃった部分を、もっともっとヒアリング等の現地調査のときにお伝え申し上げることも非常に大事だろうなと思いながら聞かせていただきました。

○田城委員 林委員、西村委員のおっしゃったとおりで、我々委員が出した評価だけではなくて、特に各都道府県の担当者や、業者の人だけではなく医療関係者や地域住民の方に、よその県の評価もよく読み込んでいただきたい。基本的には自分の県に対する委員の評価を読んで、「ああ、こんなもんか」ということで終わるかもしれないのですが、全て47都道府県の計画もすばらしいし、その評価は是非、全ての方に熟読していただきたいと思います。それは非常に参考になると思います。
 ベンチマーク的なことはあるのですが、林委員がおっしゃったように、よその県のものを是非参考にして、「これはいいな、うちの所に入れることができないかな」としてもらう努力、若しくはそれは一堂に会したほうがよければ、ポスター・セッションのようなものでも集まってやるというのはあるかと思います。
 地元紙の記事というのはとても良くて、地域医療再生だけではなくて、地方の元気再生とか、いろいろ地域再生のことをやっていますと、地元紙はすごく良い意見を出されています。下野新聞だったと思うのですが、これは全国のジャーナリスト賞か何かで医療関係で表彰されて1位になっていますので、1年間かけたもので、在宅医療のこととか非常に良い提言があるのです。
 2点お話したいことがありまして、本来ですが、医療連携に関して、地域連携パスのお話とICTのお話をちょっとだけコメントしたいと思います。地域連携パスは、前の地域医療計画、前回、平成19年度に作られた5か年計画の地域医療計画でも一番のポイントというか、メインで取り入れられていますし、藤本委員のおられる県なのですが、4疾病連携パスを県を挙げてやったというのが非常に先進的で高く評価されていたのです。この間、その県の4年目ぐらいですか、まとめの会があったのでちょっと参加してきたのですが、ものによって違いますが、糖尿病などはほとんど動いていないとか、一番進んでいると期待している所もほとんど進んでいない。がんも全国的に診療報酬も付いているのですが、微々たるものということもあるのです。確かにおっしゃるように運用面とかソフト面に関しては、ドーンと花火が揚がって連携会議が開かれて、パスを作りましょうと言って作ったのですが、それで終わって運用されていないということがあるので、これは末長く。それから、一見良いように思われたのですが、1年後、2年後、3年後までフォローするとそうでもないとか、持続性がないことがあるということが分かったので、これはある程度中期的なスパンで見ていくとか、ある程度助言をするとか、そういうウォッチすることが必要ではないかと思います。
 次にICTなのですが、電子カルテ等々のネットワークシステムは、大きい病院、中核病院の電子カルテの情報を見るところから、訪問看護とか介護のところをつなぐとか、非常に大きな幅があるのです。これは金額も多いし、各個バラバラの印象があって、統一感もないし、地域で終わって、閉鎖的で終わってしまう危惧が幾つかあります。
ただ、その中で優れていると思うのが1つあります。今、藤本委員がおっしゃった参考資料の47ページ、あじさいネットなのです。これはここに書かれていませんが、固有名詞を言っていいと思うのですが、各都道府県のICTのネットワークを見ていると、IDリンクを使っている県がわりと多いのです。IDリンクが函館とか、幾つかの県であります。それと別にヒューマンブリッジというネットワークの県と、大体2対1とか3対1ぐらいの比率だったような印象があるのです。あじさいネットは、その2つのIDリンクとヒューマンブリッジのサーバー同士をつないでいるので、両方ネットしていると聞いています。それが最終的な日本全国の大きい病院同士の落ち着き所なのかなと。
 小さなものになるとかなり数があって、それぞれ御自分たちの事情とか、土地の事情とか、人間関係ということでインターフェースもバラバラになっていて、それはそのとおりかもしれないのですが、一方で「全国で統一したものを作って、これで」と言ってほしいという声もあるのもそうなのです。
 長くて申し訳ありませんが、昔テレビが開発された当初、話を聞くと30社ぐらいテレビを作る会社があったという状況に似ていて、ある程度は集約化するとか、データの互換性とか使い心地とか、少なくとも介護保険にしても、訪問看護やそういうものにしてやる制度自体は一緒なので、そんなに印象の違うソフトが何十と出るのも不思議な気がするので、ある程度は集約化する。それは先ほど林先生がおっしゃったように、幾つか代表的なもの、5つとか7つを提示するのも1つの考え方かなと思います。
 最後に、大学は寄附講座を含め、結構な金額にいっていますね。8億とか10億ぐらいいっている。積算していないのですが、10億円近い金額が、ある1つの国立大学等にいっているように思います。そうすると、文教予算との関係でいうとちょっと多すぎなのですが、地域医療の再生のために厚生労働省が大事だと思ってされているので、それはそれでいいのですが、大学の教学の部分とか、医師の育成の部分は、兼ね合いなどはちょっと考えてみる必要もあるのかなと思いました。

○梶井座長 そのほか、いかがでしょうか。

○宮井委員 今日お話を伺っていて少し私も安心をしました。実は評価の仕方について、出てきている各都道府県からの自己評価表を見て非常に悩みました。どこに基準を置いて評価すればいいのか、私なりに考えて行ったことは、地域医療を守ることは、取りも直さずその地域を守るという、そういうことだと思います。
これは各都道府県の全てにおいて、地域の町や村や市を守る、そういう中に医療という位置づけがどのようなことになっているのだろうか、そこに医師の充足率、それからシームレスな、いわゆる地域包括ケアのようなことが本当に根付いてきているのか、そのようなことから、田舎であっても高度医療を受けられる仕組み、又はその効率性をどのように求めるのかという観点で、私なりには、例えば古くなってしまったこともあるのでしょうが、そういう病院の合併と、そこで医師の労働に関する緩和策みたいなことも兼ね備え、そして救急センターを設けるというようなことなど、地域の医療をどのように守るのか、それぞれバラバラに各地域、中核都市で行うのではなくて、例えば20?、30?圏内であれば合併して、より高度な医療を提供できる、そういう施設につなげられないのか、そのようなことも含めながら日本地図とにらめっこをして、それで評価をさせていただきました。
 地域にとって地域崩壊というのは一番、自治体としても恐れる話だと思うのです。医療というのは今、田城先生もお話がありましたけれども、寄附講座で数人の医師を、学生さんも確保するという見込みになったとしても、円熟したドクターがそこにいなければ、これは医師の数を確保したことにしかなりませんので、せっかく中核都市において設備があっても、なかなか提供することが困難であると言えると思います。
 それから、子どもを大学、高校というような教育という問題も、中核都市の円熟味を増してきた医師にとっては非常に関心の高い、また問題のある部分だと思います。つまり、教育というところで平等性が担保されているはずですが、実は大都市との差というのは、地方都市であれば悩みとしてあるのだと思います。ですから、そのようなことで逆単身赴任のような形で、ドクターが残らなければいけないようなこともあります。問題点を一つひとつ挙げればきりがないので、申し述べませんけれども、やはり地方を守る、地方の中核都市を守る、また、そこの圏・管内の町を守る、ここに果たしてどのように医師を呼び込んでくるのか、又はそれに対応できる設備がバラバラであっていいのか、それとも集中させたほうがいいのかといったことも、今後の検討の中に含めて私自身は考えていきたいと思っております。

○梶井座長 地域医療を守るから、更に踏み込んで地域を守るという視点をお示しいただきました。ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。

○内田委員 先ほど審議官のほうからトータルで5,500億でしたか、すごい巨額の金を付けたという話がありました。初年度、次年度の2,350億、2,100億というお金がいきなり付いてきて、都道府県はかなり悩まれたと思うのですが、私の印象では、これをどこに効率よく付けて整理するかということでの箱物・機器の導入、それからICT関係、寄附講座というのが非常に大口のお金が付くところで、それでかなり片付けたというような印象があります。これからどれぐらいこの予算が継続するのかよく分かりませんけれども、取りあえず500億という補正が付いたと。
そこのところのお金の使い方は、全く当初の機器とか箱物とかというところに付けたお金と違う使い方をされなくてはいけないのではないかという印象を、この評価をしながら持ちました。
それは何かというと、1つは連携体制、この計画を作る上で非常に各県で課題になったと思うのですが、連携と協力の体制、要するに、医療政策を展開する上での連携と協力体制というのを作っていく。それで、その中で相互に理解をして協力体制を作っていくという、そこのところの効果というのが非常に大きかったのではないかと思います。
 それから、都道府県の良い事例を紹介するといっても、恐らく箱物とか、医療の病院などの再編のような話は恐らくこれから出てこない。ですから、そういう話を評価しても次につながる今度の500億の話には多分ならないと思っていて、そこは運用であり、これからのランニングコストをどうするかとか、ここに今回の一次補正の活用についての通達では、災害と奨学金、寄附講座等の医師確保対策、在宅医療といったようなことが大きな柱に挙げてありますけれども、確かにそのとおりだなと思いますので、それを地域でどう展開していくかという具体的な取組が、これから参考にされるべき今回の評価の中での一番重要な柱になっていくのかなと思っています。

○林副座長 今の内田委員の御意見に非常に私は賛同いたします。今までのお金の使い方、あるいは1つの例で挙げると、医師の養成・確保の問題がありますけれども、多分今まで各県は、頭の中でいかに数を確保して、技術的に向上させるためにはどういう技術が必要かという観点でやってこられたと思うのです。
先ほど宮井委員からもお話があったように、道具があればいいとか、あるいは技術だけが良いというだけでは地域医療は成り立たないので、地域医療を担う人はどのようなメンタリティー、あるいはどういう姿勢で取り組むかというのが、セカンドステップとしては非常に重要になってくると思います。
そういう意味では医学部在学中、あるいは卒業直後というのは、医師になる人は大体その頃は非常に精神的にセンシティブで、感受性の強い時期ですから、一番理解させやすい、医師としての役割あるいは看護師としての役割、一番感じやすい年齢ですから、その人たちにどういう研修をさせるか、その最たることは要するに、現場というか地域を見るということです。
それが1つは、例えば在宅であったり、地域医療そのものであったりという、出掛けて行ってそういう所で研修をさせるような、今度は質的な問題として、医師養成の質的な問題として、セカンドステップとしては重要になってくるのではないかと思います。

○梶井座長 多くの時間を掛けて一件一件評価された、皆様のお言葉の重さを私は感じながら聞かせていただきました。
 先ほど内田委員がおっしゃったように、確かに最初は施設・設備の整備から始まったかもしれません。ですけれども、多分こういう形でのお金の付き方は、そうはないと思うのです。年度を越えて使える、かなりの自由度がある、そういうところから始まって、お金を使うことは多分、それに対しては当然責任が生じてきますから、それをどのように使って効果を出していこうかと。そうすると、マネージメントをどうするか、ネットワークをどうしていくか、そういうことも当然伴ってくると思います。
全国の取組を見てみると、当初は二次医療圏を中心に、しかも2つの二次医療圏だから、それは足りないのではないかと、たくさんの二次医療圏を抱えている県もあるということから始まりました。
ですが、見てみますと実は、次の第二次は三次医療圏になっていましたけれども、うまくこれが絡み合って、全県下をカバーしている。そして、そのような効果を出している県もあるというように今はなってきているのではないかと思います。そういう中で確かに、これは5千数百億円の基金が投ぜられたのですが、それにしても資金としては限りがあるものですし、むしろ地域の限りある資源をどのように使って、いかしていくかという、そういうことも非常に大事ではなかったのかなと思います。
 先ほど宮井委員からおっしゃっていただいたように、限りある資源を有効に引っ張り出していくことによって地域医療の活性化、そして、ひいては地域の活性化につながるというお話でしたけれども、私も全くそのとおりだと思います。いずれにしましても、地域医療崩壊という言葉が行き交う中でスタートした再生計画でありましたけれども、そういう意味では、こういう立場にいるからそのように言うわけではないのですが、実はいろいろな大きな成果が今、出始めているのではないかなと思います。
そうしますと、私たちはその成果をきちんと評価していって、そして全国に発信していくのが、この有識者会議の1つの大きな役割ではないかなと思いながら、皆様のお話を聞かせていただきました。今後どのように取り組んでいくかは、また事務局とも相談しながらということになろうかと思いますけれども、また、是非、我々もいろいろ意見を出し合っていければと思っています。
 ここまでは今日の議題1のお話でありましたけれども、ここで議題1を終了いたしまして、議題2の「地域医療再生計画の現地調査(案)について」に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。

○梶野専門官 続きまして、議題2の地域医療再生計画の現地調査についての資料の説明をさせていただきます。資料2の1ページです。実施体制としては、大きく2つ、都道府県に対するヒアリングと、実際に現場、病院等を見るような調査を考えております。
 まず、ヒアリングのほうは、資料の2の一番最後のページですが、この表にあるとおり有識者メンバーを大きく2つ、東日本と西日本のグループに分けて、ヒアリングはブロック単位で行うということで、ブロック担当をこの有識者のメンバーから2人ずつ選ばさせていただいております。実際、2名体制で行っていったらいいのではないかということは、昨年来のこの有識者会議の中でも言ってきたところであります。
今回のパイロット調査をやっていく中では、なかなか厳しいこともあって、東日本と西日本でブロックを中心にやるのですが、ブロック単位にやる場合には東日本の6名のメンバーで、例えば北海道・東北ブロックをやるときには、このブロック担当2名が中心となって、ほかの東日本のブロック担当が協力しながら、6名体制でヒアリングを実施していくという形を考えています。
 それから、更に踏み込んで、各病院なり施設の現地調査は、効率性や委員の先生の日程等の調整を考えると少人数でもいけるかなということで、2名体制で現地調査を実施していきたいというように考えています。
 戻りまして、資料の2番目に実施期間がありますけれども、現地調査の期間については、7月~9月ぐらいをめどに調査を実施したいと考えておりますので、また日程調整のほうをさせていただくときには御協力をお願いします。
 それから、3番目の実施内容です。都道府県に対するヒアリングについては、これまでのパイロット調査等を踏まえ、前回と同じようなことが記載されていますけれども、今後、都道府県からプレゼンをしていただく際には、あらかじめ県にプレゼンのひな形のようなものを示していきたいと思いますので、その際にこういうものを取り入れていったらいいのではないかというような御意見があれば、お伺いしたいと思います。
 2ページ目以降には、今回のパイロット調査で委員の先生が質問してきた事項、概要が書かれていますので、今後の、来年度以降に実施する現地調査では、こういう質問事項等もまとめながら、統一的な質問ができるようなことを考えていきたいと思っています。資料の説明は以上です。

○梶井座長 ただいまの事務局の御説明に御質問等ありますでしょうか。

○鈴木委員 最後の表の下の2.「現地の視察については、ブロック担当2名で行う」ということですが、1ブロック2県程度というのは、この中で2県程度を見ればいいということですか。それとも1回に2県程度で全部を見てくださいということでしょうか。

○梶野専門官 その県の見る場所によっても異なると思うのですが、近県同士ということであれば、そこで1回で2県を見ることもあり得ますけれども、そうではなくて、飛び飛びで、日程的につらいということであれば2回に分けるとか、3回に分けるとかということが考えられると思います。そこは日程のつく範囲で考えています。一度に必ず2県ということでは考えておりません。この1ブロックの中には例えば6県や7県がありますので、ここのブロックの担当者がその現地調査をするときには2県程度をチョイスして、そこへ行くというイメージです。

○鈴木委員 全県ではないのですね。ブロックの中で2県程度をピックアップして見ればよいということですね。

○梶野専門官 はい。

○藤本委員 1つのブロックに2県程度という、その2県はどうやって選ぶのですか。

○梶野専門官 この2県の選び方は一応、都道府県へのヒアリングを実施した際に、特に気になった県があればそこを選ぶということもありますし、事前にこの県が気になるという要望があれば、事務局のほうにお伝えいただければ、そういう所を優先するということも考えられると思います。

○藤本委員 その2つの県を選ぶときの要望というのは、例えば私がこの提案でいくと、東海・北陸ブロックになるのですが、私が気になっていて、関東・信越のここの県は是非、現地調査に行っていただきたいとか、行きたいとか、そのようにブロックを越えてリクエストをしても構わないのですか。すみません、細かいことで。

○平子室長 基本は行っていただく方を中心に考えたいと思いますけれども、特に気になる所という点では、それを事前に私どもにお伝えいただければ、視察の場所を決める際に担当の先生と御相談をさせていただきます。

○藤本委員 ありがとうございます。

○西村委員 私がこれから申し上げることは、自分でも迷っているので、皆さんの御意見で撤回するかもしれません。ヒアリングの対象として、最近特に市町村ごとにこういうことに対する取組のスタンスが、ほとんどこういうことをお考えになっていない市町村と、かなり熱心に考えておられる市町村があって、もちろん首長さんの違いというのは大きいと思いますが、なぜかなという疑問がありまして、どうやって選ぶのだと言われたら、場合によっては、この中に市町村の方も入れていただくことはどうでしょう。自分自身で迷っているので、ノーとおっしゃったら、はいと言って引き下がりますけれど。

○梶井座長 事務局、いかがでしょうか。

○平子室長 事業主体として入っている場合と、そうでない場合ということで、恐らく大きくは分かれると思うのですが、入っている場合はお願いしやすく、そうでない場合は、それなりにちょっと工夫が必要かもしれません。ただ、関係するということで、特にということであれば、そこは必ずかどうか分かりませんけれども、調整したいと思います。

○田城委員 今の西村委員の発言に続けてですが、これは5時半から想定されている平成24年度補正予算のほうにも関わるので、そこでお話しようかと思っていましたけれども、特に24年度補正では3本柱のうちの1つに在宅医療があります。
在宅医療、地域包括ケアは介護保険の保険者が市区町村ということもありますし、私自身も何箇所かで手がけているのですが、市区町村が事務局になって郡市区医師会や三師会を中心にやる在宅医療推進協議会というものがあり、確か、医政局の地域医療計画でも、在宅医療は市区町村をというような提言がされていると思いますので、在宅医療と救急に関しては市区町村単位で、二次医療圏ではなく、ブレークダウンすることがあると思います。
ですが、これは既存の計画の評価なのか、24年度補正予算による地域医療再生計画についても含めたことになるのか。
既存のものでも在宅医療というのは項目にありますから、それに関して言えば、市区町村の代表的な所もあれば、なかなかうまく進んでいない所もあって、なぜ進んでいないのかというようなことも、市の方、それが首長さんか副市長さんか、担当の部長さん、課長さんになるのか、もしくは地元のケアマネージャーとか地域包括になるのか分かりませんが、そういう切り口はあると思います。

○梶井座長 西村委員、田城委員からは市区町村のヒアリングもという御意見でありました。そのほかいかがでしょうか。委員の先生方には、必ず皆さん現地に向かわれますので、そういうことをイメージしながら御質問、御意見を言っていただければと思います。

○藤本委員 施設などへの調査のところでリクエストですが、施設の中だけですと医療を提供する側の人たちとしかお話ができないというところが、もったいないなと思います。せっかく現地に行くのであれば、そこで医療に関心をもって活動されている住民団体の方とも意見交換をしたいと思います。住民側は医療再生計画で実施されていることをどのように受け取っているのかなど、そういうことも私は知りたいのです。ブロック単位のヒアリングのほうに来ていただくのは無理としても、各都道府県の調査にはそうした方との交流というか、お話を聞く時間も入れていただければなと思います。

○梶井座長 よろしいでしょうか。

○平子室長 来ていただけるかどうか含めて、御相談をさせていただければと思います。

○梶井座長 そのほかいかがでしょうか、大丈夫でしょうか。

○藤本委員 質問です。先ほど、ハード面のところにどうしても重きが行ってしまうけれども、実際はそうではないだろうという御意見が評価のところで出てきました。
現地での調査にどのように反映すれば、いわゆるハード面の整備の進捗状況だけではない部分が見えてくるのかと、個人的に疑問を抱いております。質問の意味がちょっとあやふやで申し訳ありません。施設に行けばそれなりに現地の雰囲気は分かるのですが、先ほどからお話に出ているような人材育成の部分ですとか、そうしたところに関しては、こちらからのリクエストの仕方を変える必要があると思います。そうでないと、こういう建物を建てました、こういう施設があります、みたいなところをメインにされてしまって、もったいないかなという気がしますので、その辺は先生方のご意見を伺いたいのですが。

○梶井座長 分かりました。藤本委員から皆様に御質問が出ました。お願いいたします。

○西村委員 答えになってないのですが、1つはっきりしていることは、今後は、NICUをここで設置していますとか、そういう所を見せてもらう必要はもうないような気がします。それははっきりしています。病院の中をぐるぐる回るとか、その時間はほとんどないような気がします。そこへ行ってしまうと、どうしてもそこで話が進んで、そこで時間を取られるので、むしろ懇談の時間を少し。懇談のほうが中心になって。しかも、今おっしゃったように、人材育成などの部分。
先ほど1つ言い忘れたのですが、どういう理念でどういうことをやろうとしているかという具体的な話だけではなくて、今のその地域の実情をどう捉えて、何が問題だと考えておられるのかというようなプレゼンを、実は欲しいと思っています。その中に、お医者さんが足りないのでこういう方針でやっていきたいと思っている、という話のプレゼンが欲しいです。半分ぐらいしか答えになっていません、すみません。

○藤本委員 ありがとうございます。

○田城委員 これも次で言おうかと思っていたことですが、都道府県の自己評価でほとんど触れられていなかったものの中に、市民啓発と言いますか、例えばコンビニ受診のことも含めて、救急医療の受診、医療行動、受療行動とか、予防医学、疾病管理、かかりつけ医を持ちましょう運動も含めて、地域医療を本当に守るためには、物とか金とかだけではなくて、そこで生活している市民自身の行動変容も必要だと思うのです。そういうことに対する評価はほとんどなされていませんし、どういうことが行われていたのか。金額から見ると費用対効果は非常に大きいと期待されます。
 逆にいうと、内田委員がおっしゃったように、計画を立ててそのお金を積算していくときに、非常に金額が小さいので後回しになるのだろうなという部分でもあるのですが、我々は多分、第1回から終始一貫して、ここに重点的に力を入れてくださいとお願いしていたと思いますので、そういう復旧活動。そうすると、地元のどういう団体があるのか、NPOで良いのがあるのか、そういう講演会、市民公開講座のようなものをどれだけ熱心に。あとはもっと小さな公民館でやるようなものもあります。そういうのも確かに知りたいと。それは網羅する必要はなくて、いい例が幾つかあればと思いますので、先ほどの市区町村と一緒ですが、全ての所を全部聞くわけにはいかないので、全国で優れている所の幾つかと、あとは、実際にちゃんとやっていますかと聞くだけでも効果があるのかもしれません。

○内田委員 在宅、地域包括ケアとか、今の市民啓発の話もそうですが、いろいろな所でいろいろなレベルで取り組まれていることですね。それを地域医療再生計画の中で、どういう関わりをもってくるのかという位置付けは、先ほどの市町村の話も聞きたいというところも関わってくるのですが、少し微妙なところがあるなというように思います。私が思うに、この地域医療再生計画というのは、いわば地域医療政策の包括的な、地域包括医療政策みたいな、そういうイメージの政策ですよね。ですから、何でも関わってきていいのですが、それをいちいち細かな事例までここで扱うのかな、という印象がちょっとあります。
 それに対して私は、特に都道府県が今のスピード感で在宅などを取り組んでいても、全然間に合わないという危機感を持っています。それを、その都道府県がどういう認識で、どういう意識をもって取り組もうとしているのか、県として全体をどう仕切っていこうというのかは、やはり是非、聞くべきだと思います。成功事例がどうのこうのという話は、また厚生労働省の中でもいろいろな会議があってやっていらっしゃいますし、日本医師会でもこの前、成功事例の報告会みたいなものがありましたし、そういう所との絡みを見ながらでもいいのではないかなという気がしています。

○梶井座長 いかがでしょうか。

○鈴木委員 皆さんのおっしゃっていること、即ち我々の考え方は一致してきていると思います。
大きく言えば、ハードからソフトへ、例えばいろいろな建物を建てるよりはネットワークを作ること、再生基金としてあまりお金は掛からないかもしれないけれども、実際にはそれが大事で、そうして地域の力を付けていく、地域ごとにその地域の医療を考えていく力を付ける、そして、それを応援するような仕組みも作る必要があり、これからは、ただ国の指示を待っているだけでは済まなくなると思います。
そうした取り組み方の違いが都道府県や地域に差がある原因となります。
その格差があるというのが問題で、それが平準化されていくような、先程の話で言えば底上げになるような、ちょっと遅れている所を支援していくような仕組みが必要です。一つの都道府県にいるとほかのことが分からないので、進んでいる所のことが分かるように、いろいろな情報も提供しながら、今回の取り組みが、少しでもそのきっかけになればいいと思います。
我々は全国を見ているから分かるけれども、その地域にいるとその地域のことしか分からない、遅れているのか進んでいるのか分からないために、それでいいのではないか、自分たちはまあまあではないかと思ってやってきた所がほとんどだと思いますが、せっかくこれだけのお金を付けるのだから、今回その考え方が変わっていくきっかけになればいい、またそのようにすべきだと思います。

○梶井座長 大体皆様の御意見、方向性が出たように思います。施設・設備を見に行くということではなくて、1つは地域を見るということ。それから、その場で地域に出掛けて行くことによって、いろいろな人とお話ができるという、これはメリットだと思うのです。そういう意味では、西村委員から「懇談の場」にしてはどうかというお話が出ましたけれども、私自身も正にそうだろうと思います。それでは、どういう人と懇談したいのかというのは、ある程度その進捗状況とか、いろいろな現状を拝見させていただいて、我々から事務局のほうに御提案させていただいて、そういう場を設けていただくということでよいのかなと思って御意見を伺いしておりました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それから、先ほど事務局から御説明がありましたときに、プレゼンをしていただくのですが、北海道と愛知県を回らせていただいたときに、皆様からあらかじめ御意見、御質問事項を伺ってプレゼンに臨んだのですが、今度はそれだけではありませんし、その際に、どのような内容を入れていけばよいかという御質問があったと思います。これについて、いかがでしょうか。

○田城委員 結局、何回も同じことになりますけれども、高額な物を買いました、こういう物を買いました、システムを導入しました、ということでもいいのですが、もっと、合議体やそのメンバーと何回開催したかと。議事録は全部読んでいる暇はありませんけれども、逆に言うと、合議体のメンバーとの回数と、何について話し合ったかを知るだけで、どの程度そこの地域の合意形成の熟度が高いかどうかが分かるのですね。年に1回とか、毎月やるとか、ワーキングがあってということで、それだけでも大体把握できますので、そういう合議体のリストをきちんと出してもらえるとうれしいと思います。

○梶井座長 ありがとうございました。そのほかは、いかがでしょうか。

○藤本委員 私は愛知県しか伺わなかったので、教えていただきたいのですが、事前に私たち委員のほうで質問事項を事務方に出しましたが、愛知のときは、あらかじめ出した質問に関しても、私たちがその場で改めて質問して、答えていただくという形をとっていたのですが、北海道の場合も同じような形だったのでしょうか。それとも、事前に集めた質問については、先に北海道のほうに行っていて、向こうで答えを用意していただいていたのでしょうか。その辺を教えていただきたいのですが。

○梶井座長 同じ形式だったと思います。

○藤本委員 そうすると、せめて事前に出した質問に対しては、当日、プレゼンテーションの中に入れていただくなどして、当日は懇談をしていく中で、新たに出た質問に関してディスカッションできるような配慮をしていただくと、有意義に時間が使えるかなと思います。

○梶井座長 ありがとうございました。そのほかは、いかがでしょうか。

○西村委員 やや思いつきの特殊な話だけで恐縮ですが、今、藤本委員がおっしゃったことと関係するのですが、医師確保対策をどうしていますか、救急医療はどうしていますかというプレゼンではなくて、やはりもう少し突っ込んだプレゼンが欲しい。例を挙げると、これから恐らく地域住民の医療に対する要望を全て、これも欲しい、あれも欲しいとおっしゃって、それをはいはいと言って答えるような状況にないということは、もちろん過疎地域だけではなくて、あらゆる所で言えると思います。
 そうすると、住民の参加がないと、今後の展開は不可欠であるということは、ほぼ日本全体の常識だと思うのです。その住民をどのように捉えていくか、あるいはどのような形で住民の意向を反映させていこうとしているか、そういう質問。もちろん、ある程度抽象的な答えでも、おっしゃることから、こちらは感じることができるので。
 先ほど申したことの繰り返しですが、今、自分の所では何を一番深刻な問題と捉えているかは、例えば今、復興計画で岩手などを拝見して、かなり具体的な話が書いてあるのですが、一言で1点だけ具体的な話が書いてあるというのは大変具体的でよく分かるのですが、ここの中で何を一番深刻な問題と捉えているかというのは、ちょっと分からないです。つまり、ずっといろいろな問題がありますという列挙をされていて、一個一個に対して、こういうことをやりました、やりましたとある。そうすると、どうしてもあまり情みたいなものが見えてこない。
 やや希望が過ぎるかもしれませんが、もう少しプレゼンを工夫して、やはり今何を問題としようとしているか、あるいは住民の意向、住民参加を進めていく予定であるという、そういうのだけでは困るでしょうという、つまりどういう住民の意向を捉えて、今、NPOがどれぐらい出てきて、そのNPOがどういう意見をおっしゃっていて、それに対してどのように考えているかというような、もう少し突っ込んだプレゼンが欲しい。
 先ほどの市町村の話も今の話も、実は非常に難しいことを承知で言っていて、場合によって無理だったら結構ですが。

○梶井座長 いえ、私はよく分かる話だと思いました。そのほかは、いかがでしょうか。今日全てリストアップをするということは、なかなかできません。今、皆様の話をお伺いしていて、あらかじめ準備しておく質問事項というのは、方向性が出ているように思います。例えば田城委員がおっしゃったような合議体は、これからすごく重要だと思うのです。それがどのように機能しているかということは、やはり知りたい、見せていただきたいということでもありました。
 それから、藤本委員のお話は、あらかじめ質問を提出するのですが、それに対してきちんと、可能であればこちらもあらかじめ、それに対する回答を見ることができればいいと思います。
 それから、住民の意向をどのように反映させていくべきか、あるいは何を一番深刻な問題と捉えられているのかという、西村委員の御発言もありました。こういうことを踏まえながら、これはどこの県にではなくて、全都道府県にだと思うのですが、聞くべきかと思います。それから、個々の都道府県において是非聞いておきたいことも当然あると思いますので、そこの共通して聞くべきことというリストを、事務局のほうからまた問いかけていただいて、集めていただくということでお願いできますか。ありがとうございます。
 それでは今後、実際に実施されることになりますが、実施体制については皆様、御了解いただけますでしょうか。ありがとうございました。最後になりますが、事務局より報告事項がありますので、説明をお願いします。

○梶野専門官 それでは資料3の「平成24年度補正予算による地域医療再生計画について」というものですが、御報告させていただきます。今回の補正予算で、500億円の地域医療再生基金が付きました。その目的としましては、これまでの計画の策定時以降に生じた状況の変化に対応するために、生じる予算の不足を補うためのものということで、一応具体的な事業例として、下のほうに書かれていますが、災害時の医療の確保の体制だとか、医師確保対策、在宅医療の推進事業を中心としたものを計画・策定していただく。これ以外にも東日本大震災の影響等による事業費の高騰だとか、そういった事業にも当てられるようなことを考えています。
 次のページに具体的な再生計画のスケジュールがあります。今、都道府県には計画を策定していただくようにお願いしているところでして、これが来年度の5月31日に提出されます。その後、計画の内容を審査していくわけですが、その際、また有識者の委員の先生に内容等を見ていただいて、助言等をいただくことを考えています。
 続いて参考資料2ですが、これは平成24年度に復興予備費が付きまして、ここでも再生基金の積み増しを380億円実施しています。それで岩手、宮城、福島と併せて、今回は茨城県にも拡充をさせていただいております。この380億円の予備費の内訳としては、岩手県に60億円、宮城県に135億円、福島県に160億円、茨城県に25億円。平成23年度の補正予算で付いた720億円の復興予備費と併せますと、合計で1,100億円の、医療の復興計画に対する予算が付いています。その被災県で作成されました医療の復興計画が、参考資料2ですので、内容についてはまた御覧になっていただければと思います。
 それから参考資料3というのが、先ほど申しました今回の500億円の関係で、都道府県に計画を作ってくださいということで、お願いした文章になります。ここで少し特徴的なのは、一番後ろのほうになりますが、具体的な施策ということで、各県に実施する計画を立てていただくのですが、これに加えまして、これまで例えば医師確保ですと、医師確保の施策を書いていただいた後に、これまでどういう取組をしてきたかということも、参考に後ろに付けていただくような形にしてあるので、今回、医師確保にいくら付けたい、これまではここまでやってきたということが、この計画を見れば分かるような形の作り方をしていますので、今後、審査していただくときには見やすくなるかなと考えています。資料の説明は以上です。

○梶井座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明について、御質問等はありますか。

○田城委員 今、梶野専門官からお話があったように、これまでの取組をちゃんと書いて、申請書の書き方はとてもいいと思います。いきなりではなく、今までも現状把握はありましたが、現状はこれだけつらい、大変だというものだけだったのですが、これは流れがあるし、本当に必要かどうかの評価がしやすいので、この書き方は是非守っていただきたいと思います。事務局もどんどん進化していって、こういう非常にいい提案がなされていると、高く評価できると思います。身内で褒めている気もしますが。
 次に、ここは議題だと勘違いしていたので、先ほど言い忘れていたことなのですが、実は在宅医療に関して、在宅医療のメーリングリストで最近話題になったのが、御本人が帰りたいという気持ちがあって、それをきちんと伝えていて、家族もかなえられそうな状況なのですが、こんな状況で家に帰すのは虐待だとか、未だに。
 10年以上前ですと、大学病院からお家に帰りたいと言うと、こうやって帰すのは犯罪だとか、在宅では無理だという議論が、10年以上前はあったのですが、今は環境さえ整えば、かなりのことが在宅でできる状況にはなっているのです。ですから何を言いたいかというと、プロフェッショナルの中でも、これは医療職、看護職、病院に勤めている人、更には介護系や福祉系の方も、地域包括とか、ケアマネージャー等でかなり関わっていますので、そういうプロの方々に対して、更に市民や患者さん、家族、その双方に対して、在宅医療がここまでできるのだとか、もちろんやってはいけないこともあるとは思いますので、その普及啓発、市民公開講座というものを、単純に割れば各都道府県、10億見当ですね。5億から15億ぐらいの中に、こういうものもきっちり盛り込んでいただきたいというのが、私の希望です。
 内田委員がおっしゃるように、地域医療再生計画というのは都道府県が立てるものなので、市区町村レベルのことはなかなか都道府県も分からないところがあると思います。主体は都道府県なので、それ以上のことは言えないのです。市民啓発活動というのは、基本的には市区町村、郡市区医師会レベルになると思いますから、そこのところは内田委員のおっしゃるとおりではあるのですが、やはり希望としては顔の見える範囲とか、そういうところに対する気配りを是非していただきたいと思います。
 それと、また言い忘れたことの補足ですが、やはりICTのシステム、これは実は在宅医療でも、介護や訪問看護ステーションを結ぶICTネットワークというお話がきっと出てくると思います。これはある県の遠隔画像システムに対する自己評価ですが、当初、高額なシステム開発を検討して、予算を当てていたのだけれども、ランニングコストが多額であるとか、受け手となる中核病院の指導員、これは結局、遠隔医療でも人間がやらなければいけないことですから、そこのところが考慮されていなかったということで、システムの運営が困難となったため中断したとか、これは離島関係なので遠隔医療なのですが、やはり現地で働いている人たちの意見をちゃんと集約しなければいけないということから、なかなか円滑なシステム導入・運営が難しいということが知られています。
 何を言いたいかというと、システム導入も大事だし、必要なことではあるのですが、やはり普及啓発活動、市民公開講座、もしくはそれより小さな、更に町内会単位でのことは、都道府県の方々にお願いですが、そういうことはやはり考慮していただきたいということです。

○梶井座長 ありがとうございました。藤本委員、どうぞ。

○藤本委員 いただいた参考資料2ページ目の第3「地域医療再生計画の内容」という所についてお願いしたいことがあります。?から?まで、「次のような内容を盛り込むこととする」と書いてありますが、?から?については、「都道府県は必ず検討すること」と書いてあります。
 実はこの?と?を私は心配していまして、これが全体の計画の中のかなり大きなウエイトを占めるような計画になると、また趣旨と異なるものになってしまうということを懸念しています。ですから、これは何か枠を決めて、全体計画の中でのこの割合に留めることとか、?と?に関しては便乗がないようにやっていただきたいということが1つ。
 それから、そのすぐ下の所に「計画の作成に当たっては、これまでの地域医療再生計画の作成と同様、現状分析や課題の抽出、目標設定などを行う」と書いてあるのですが、この目標設定というのは大変曖昧なものが多くて、そのために評価が難しかったということがありました。それぞれの事業にはできる限り具体的な数値目標を設定していただきたいということと、その目標が達成できたかどうかをどのように評価するのかという評価方法も明記していただきたいというのが、私の希望です。よろしくお願いします。

○梶井座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。この500億円をどういかしていただくかということは、やはり非常に重要だろうと思いますので、また都道府県におかれましては、しっかりと御考慮いただいて、プランニングしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 今日は皆様、どうもありがとうございました。以上で本日の議題は、全て終了いたしました。今日の議題を振り返ってみますと、地域医療再生計画の中間評価をさせていただいて、皆様が実際にお考えになられて、あるいは評価されての御意見、御感想を聞かせていただきましたが、いずれも今後につながるものだろうと思いました。
 それから、更にそれを強力にしていくために、現地調査というのがこれからあります。皆様には大変御多忙の中で御苦労をおかけしますが、是非一緒に推進していっていただければと思います。
 私たちの役割というのを、ふと今日のお話を伺っていて考えました。評価したり、何かどんどん意見を言ったりという感じに受け止められがちですが、実はこの地域医療再生計画基金がより有効に使われるために、私たちはいろいろ全体を見守りながら、その上で御意見を言わせていただくというのが、この会議の重要な趣旨だろうと思います。そして、今後へつながるような御提案をさせていただくことだろうと思いながら、今日、皆様の御意見を伺いました。
 そういう意味で、今日は様々な御意見が出ましたが、その趣旨に則ったものであろうと考えています。まだまだ今後、お互いに時間も知力もかけなければいけないと思いますが、引き続きよろしくお願いします。
 以上で今日の会議を終わらせていただきますが、事務局から連絡等がありましたらお願いします。

○平子室長 長時間の御議論、ありがとうございました。次回の開催は6月末頃を想定していますが、日程などについては追って調整させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。事務局からは以上です。

○梶井座長 ありがとうございました。それでは、本日の有識者会議を終了します。委員の皆様、お疲れ様でした。どうもありがとうございました。


(了)
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