ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> チーム医療推進会議> 第17回チーム医療推進会議議事録




2013年1月30日 第17回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成25年1月30日(水)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第18-20会議室(17階)


○議題

○診療の補助における特定行為(案)について
○指定研修の検討状況について
○特定行為に係る看護師の研修制度(案)について
○その他

○議事

○永井座長 時間になりましたので、本日の「第17回チーム医療推進会議」を始めます。委員の皆様方にはお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、委員の出欠状況及び資料の確認を事務局からお願いします。
○簑原医事課長補佐 まず、委員の出欠状況について確認させていただきます。本日は一部遅れられている委員がいらっしゃいますが、全ての委員の方々に御出席いただくこととなっています。
 続いて、お手元の資料の確認をいたします。資料1として「診療の補助における特定行為(案)について(看護業務検討ワーキンググループ報告)」、資料2として「指定研修に係る看護業務検討ワーキンググループにおける検討状況について」、資料3として「特定行為に係る看護師の研修制度(案)について」、資料4として「特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって(案)」、資料5として「指定研修を修了した看護師の登録の方法について」。また、参考資料1として「具体的指示・包括的指示が行われてから診療の補助が行われるまでの流れについて(案)」、参考資料2として「第16回チーム医療推進会議における委員の主なご意見」、参考資料3として「第31回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループにおける委員の主なご意見」、参考資料4として「看護師が受ける研修に関する規定について」、参考資料5として「参照条文」です。また、本日は藤川委員から御提出いただいた資料を、資料番号を振ってありませんが、一番下に付けています。以上です。
○永井座長 本日は、「診療の補助における特定行為(案)について」、「指定研修の検討状況について」及び「特定行為に係る看護師の研修制度(案)について」の3つの議題について御議論いただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、「診療の補助における特定行為(案)について」の議題です。看護業務検討ワーキンググループにおいて、「診療の補助における特定行為」についての検討をお願いしておりました。議論の結果として、現時点における案を取りまとめていただきましたので、その報告をしていただきます。まずは、事務局から資料の説明をお願いします。
○山本医事課長補佐 資料1-1、資料1-2に基づいて、「診療の補助における特定行為(案)」について御説明いたします。
 資料1-1を御覧ください。まず、「特定行為」の定義について、点線の囲いの中に示しています。特定行為とは、基本的に、行為そのものに「技術的な難易度又は判断の難易度」があることに加え、包括的指示で実施するということでしたので、「包括的指示」とはどのようなものかを整理しています。2つ目の・に記載したとおり、「予め対象となる病態の変化に応じた行為の内容が明確に示された、特定行為に係るプロトコールに基づき、看護師が患者の病態の確認を行った上で実施することがある行為」としています。参考資料1で前回もお示ししたとおり、具体的には呼吸状態が低下した場合には動脈血採血を実施するというような形で、病態の変化に応じて行為を実施するものを「特定行為」として位置付けるという概念の下で整理しています。
 資料1-1にお戻りください。その結果、今まで御議論いただいた中で、29の行為については、上記の考え方に合致するという意見が多数を占めました。3つ目の○は、そうした29行為の一部について、技術的又は判断の難易度が認められない、特定行為とすべきではないという意見があったという状況です。4つ目の○は、「要検討」というもので、まだどちらに位置付けるべきかを引き続き検討を要するものが27行為ありました。
 具体的な例示として、資料1-2でどのようなものが挙げられているのかを御紹介します。1ページの一番上の囲ったところです。整理としては、「○」、「-」、「-」+(グレーにマーカーをした行為)、「要検討」、「要検討(下線あり)」に分類しています。表の右から2つ目の列を御確認ください。「○」としたものは、先ほど御紹介しましたとおり、「B1」又は「B2」で、判断又は行為の難易度がある行為で、病態の確認があるものです。例示として、6ページの行為番号86を御覧ください。これは参考資料にも示していますが、腹腔ドレーンの抜去等です。例えば、行為の概要のところで、排液の性状や腹痛の状態を見て、その後、抜去をするようなものは特定行為に該当するのではないかとして整理しています。
 1ページにお戻りください。「B1」又は「B2」とされた行為のうち、病態の確認行為が想定されないものは、包括的指示が想定されないものです。例示として、6ページの77番を御覧ください。医療用ホッチキスの使用などは、具体的にそうした状態を医師が確認した上で実施されるだろうということで、これは特定行為に該当しないとして「-」として整理しています。
 3つ目は、「グレーにマーカーをした行為」です。1ページにお戻りください。例示としては9~11番の行為です。X線の撮影やMRI、CTの撮影等については、基本的に診療放射線技師が行うということです。こうした他職種が実施するものについてはグレーとして整理の対象から外しています。
 続いて、「要検討」としているものです。これは、病態の確認行為があるかどうか、更に検討する必要性があるものです。例示としては3ページの、行為番号では40~45です。例えば、直腸内圧測定等については、基本的には検査箋を出した上で実施するということで、本当に病態の確認を行った上でやる場合があるかということで、検討を要するとしています。
 最後に、「要検討(下線あり)」です。これは、確認行為はあるのだけれども、難易度等から「C」にすべきではないかという御意見があるものです。例示としては、2ページに示した超音波検査などが代表例です。一番右にあるとおり、侵襲性が乏しい行為なので、判断など技術的には難しい行為ですが、本当に特定行為に位置付けるか更に検討が要るものについては、「要検討(下線あり)」という形で整理しています。
 このような整理の結果、29行為は、多くの先生方から、特定行為と位置付けるべきという御意見でまとめていただいています。有賀先生、何か補足等があればよろしくお願いいたします。
○有賀委員 特定行為というのは、いろいろな表現で出てきましたが、結局、包括的な指示の中でということそのものは、「特定行為とは」と書かれている2つ目の、「予め対象となる病態の変化に応じた行為の内容が明確に示された、特定行為に係るプロトコールに基づき」うんぬんとあり、そのプロトコールに該当するかどうかに関しての病態の確認であり、そのような一連の流れの中での話になります。ですから、確かに出発点は200幾つかの項目から出発していますので、最終的に29の行為についてはそのようなことだということになりますが、作業の流れは、「特定行為とは」と書いたところにその眼目が入っていると、このような理解が一番分かりやすいと思います。付け加えるとすると以上です。
○永井座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について御質問・御意見を頂きたいと思います。
○大久保委員 今回示された特定行為については賛成いたします。その上で、「要検討」となった行為については特定行為にすべき行為も含まれていると考えています。したがいまして、今回、特定行為として出された行為以外は、ワーキンググループで継続議論ということで了承したいと思います。
○永井座長 ほかに、いかがでしょうか。
○藤川委員 日本医師会の意見は、別途提出しています。まず事務局の説明で、横棒でグレーにマーカーをしている9番、10番についてです。単純X線の部位や時期の判断、それから、CT、MRIの部位や時期の判断、これらは本来、医師が行っていますので、これは診療放射線技師がすべきものだというような表現は改めておいていただかないと間違いになると思います。
○有賀委員 医師の指示に従ってうんぬんかんぬんをするという文脈でした。従ってX線撮影の部位等の判断については、医師の指示に従って放射線技師がするという文脈です。包括的な指示に従ってということになりますので、独立事象でナーシングスタッフが物事を展開するわけではないということです。藤川先生、よろしいですね。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○半田委員 「特定行為とは」と定義付けられた形で書かれています。このような、「特定行為」あるいは「包括的指示」についての定義付けは非常に大事なことだろうと思っているのですが、「特定行為」という考え方は、今後、看護師に限定した考え方になるのですか。というのは、定義の中で「看護師が」と書かれると、今後、他の職種においての特定行為というのはあり得ない。「特定行為」という言葉の定義がそのように書かれているとするとですね。
○永井座長 これは、「診療の補助における」という枕言葉がありますが、それとの関係の中で明確にしていただけますか。
○山本医事課長補佐 今回は、看護師が実施する診療の補助の中での特定行為という形で御議論いただいていますが、他の職種の方について御議論する場合には、同じ名称を用いるかどうかも含めて、そのときに検討させていただきたいと思っています。取りあえず、現時点では、看護師について議論しているものについて特定行為として考えているということです。
○永井座長 つまり、「看護師による診療の補助行為における特定行為」と、それが正確な定義ですね。
○山本医事課長補佐 はい。
○有賀委員 そのとおりなのですが、たまたまワーキンググループの座長になってしまっていますが、もともとの発想がチーム医療ということから出発しました。その中で、今は看護師さんの話に花が咲いているという観点では事務局が説明したとおりです。ですが、ドクターとナースの重なった部分について、包括的な指示でということになりますので、ドクターとその他の職種が重なる部分は、現にあるわけですから、その意味では、この「看護師が」というところが、たまたま今日は看護師さんのワーキンググループで「診療の補助における」ということなのでこうなっていますが、この議論をしている人たちの気持ちの中では、看護師だけではないと思いながら議論をしているというのが正直なところです。今の御質問は、「ほら見ろ」という感じになるのです。つまり、チーム医療なので、ナースだけではないだろうという私の気持ちもそうなので、あえて発言しました。
○半田委員 先ほど御回答いただきましたが、「特定行為」あるいは「包括的指示」が、看護師の場合はこうだ、他の職種の場合はこうだと、ダブルスタンダードのようなことになってしまうのです。それは医療を遂行する上で非常にやりづらいと思うのです。まず、看護師の特定行為とはこうですという書き方をしておけばまだいいのですが、「特定行為」という言葉が看護師だけに依存する書き方になると、今後の展開でダブルスタンダード的なことが発生する懸念があると私は思っています。
○永井座長 書き方の問題だと思いますが、事務局はいかがですか。
○山本医事課長補佐 今の御指摘を踏まえて、今後、資料を作成する際には、看護師における行為であることが分かる形で記載させていただきたいと考えています。
○永井座長 つまり、これは特定の行為という意味で、「特定行為」ということを固有名詞的に使うものではないということですね。
○宮村委員 確かに、私もそれについて、どうなのだろうと思ったことがあるのです。これは看護師さんのということで、半田委員がおっしゃるとおりだと思います。看護師さんの場合は、これもできるという感じの「特定行為」なのですが、これができるけれども以下の特定行為はやってはならないというときに使う「特定行為」もあります。通常の日本語として受取るべきではないかと思います。ダブルスタンダードをやめようとすると非常に難しいと思いますが、限定的に、「看護師業務の診療補助に関する特定行為」にしないと、他の法律との整合性は非常に取りにくくなると思います。
○片田委員 診療の補助における特定行為に関しては、正に他職種に存在するので、看護だけではないですねと確認させていただこうと思っていたのです。いわゆる「医師の指示の下に」という部分で被さってくる領域は専門領域の中に多々あるので、それらが今後出てくるときに、特定行為の部分についてそれぞれの領域で重なり合いながら、けれども、徐々にチーム医療から外れていくような気がするのです。お互いの了解の下にそれをやっていくことができる専門職だと言われているように思います。特定行為が少なくなったのは、ある意味、私たちが専門分野に特化した形でとお願いしていたものを聞き入れてくださったのであろうかと思うのですが、この中に入っている行為を見ますと、普通の看護師たち、つまり、医師との関係性の中で自分たちで既にプロトコールを作って実施している看護師たちがいる項目がまだ残っているのです。そうなると、それを特定行為と言ってしまうと、今までやっている看護師たちができなくなることにおいて、ひずみが出来てくるのではないかという危惧がまだ残っています。
○永井座長 これについては今までいろいろと議論してきて、標準化されていない問題や、普及度、あるいはグレーで危険性もあるとして研修をしっかりしましょうという話になってきたのだと思います。
○藤川委員 先ほど有賀先生も言われましたが、早く本来のチーム医療の推進の会議に話を進めていきたいのです。全ての業種とチーム医療をやっていくわけですから、一部の特定行為のことでこれほどの時間を尽くすのはどうだろうかという意見が出ました。4月からはきちんと、チーム医療全体の、本当の意味でのチーム医療の会議にしないといけません。厚生労働省も改めて、「特定看護師」「特定能力認証制度」という言葉を使わないと相当譲歩していますので、厚生労働省の努力は認めたいと思います。医療事故を起こさないことはもちろん、現場の医師や看護師たちが困らないようにしないと、机上の空論で終わってはいけません。指導医と、試行事業でやっている看護師たちの情報は入ってくるのですが、現場の研修医の声が今は全く反映されていません。研修医はどのような立場でやっているのかというと、先ほど出ました救命救急士の実習と、研修医の実習と、非常に指導医が忙しい。そこにこの制度が入ってきて、研修医の医療現場から悲鳴が上がってきています。きちんと指導医にしっかり教えていただきたいが、そちらにエネルギーが回っているということで苦情がきています。やはり、医師不足で研修医をしっかり育てようと、研修医制度をしっかり作ってきた根本的なところが揺るがないようにはしていただきたいという願いがあります。
 もう1つは、危険な行為を看護師が行うと医療事故が起こる可能性が高まりますから、そこにはきちんと、安全性を高めるために、可能な限り具体的指示を出さないといけないのです。包括的・具体的指示の領域を決めろと言われても、どこまでが具体的なのか、どこからが包括なのか。やはり病態を聞いていろいろとオーダーメイドでサポートして実施することが、医師や看護師が医療事故に巻き込まれない気配りだと思います。その辺は医師の指示の下というように統一したほうがいいのではないかという意見が出ていました。今の段階でのコメントです。
○永井座長 ほかによろしいでしょうか。そうしますと、取りあえず、看護業務検討ワーキンググループでまとめていただきました「診療の補助における特定行為(案)」は、一部検討課題が残っているという御指摘がありましたが、大枠としては、この推進会議としてコンセンサスが得られていると考えておきたいと思います。
○片田委員 大枠としての合意に関してです。これだけ反対や、あるいは意見が出ている場合に、きちんと、その一貫性などに関して明らかになるまでは、私は合意することは控えておきたいと思います。
○永井座長 どの点をですか。
○片田委員 例えば、まだ、一般看護師たちがやっている行為も含んでいる部分を特定してしまう状況が入っています。
○永井座長 全ての看護師がしていれば問題ないのです。それから、今の法律で明確に定義されていれば問題ありません。それがグレーゾーンとして問題だからどうしましょうかという、研修をしっかりしましょうということで、ワーキンググループで御検討いただいてきたのだと思います。
○片田委員 ですから、ただ。
○永井座長 そこはまだ不十分だということですか。
○片田委員 はい、そうです。
○永井座長 有賀委員、どうですか。
○有賀委員 グレーゾーンにある状況を何とかしようということで話が出発していますので、その部分が全く真っ白なのか、又は真っ黒なのかが決着つくまでうんぬんということにはならないのです、論理的に。ですから、グレーゾーンについて、このような形ででもやれるような仕組みを作っていきましょうという話ですから、何かが決まるまで何とかかんとかという話ではないのではないかと私は思います。
○永井座長 他の方々、いかがでしょうか。これは非常に議事の進行に大きな影響のある発言です。今までの話を全部戻してほしいということです。これについていかがでしょうか。
○片田委員 いえいえ。
○永井座長 他の方からお願いします。
○堺委員 既に17回、推進会議が続いておりますし、ワーキンググループはそれに勝る回数で議論していて、このような形である程度まとまったと思うのです。ですから、今まで各会議の中でいろいろと議論して、それで1歩ずつ進んでいったと思うのです。この時点で、なかなか難しいというのは、かえって難しいのではないかという感じがします。
○永井座長 他の方、いかがでしょうか。
○藤本委員 最悪の場合やとか、こうなってしまったらどうしようというこばかりとを想定していると、話が進まないと私は思います。例えば、医療安全でこのところが問題だということであれば、その問題を解決するためにどのようなことをすればいいかとか、教育の場でこのところが不足しているということであれば、それを補うためにどうしたらいいかという、改善策をこれから考えていくべきであって、それを全部きちっと整ってからみんなで合意しましょうというのは難しいと思います。ここで大枠合意したものについては、合意ということで進めていっていいと思います。
○永井座長 今までの議事録を見返していただきたいのですが、どのようなことだったでしょうか。
○簑原医事課長補佐 前回の推進会議では、制度の大枠自体は、最後に座長に御発言いただいて、大枠のコンセンサスは得られたというところです。一部、看護師籍等のところについては御意見がありましたが、前回はそのようにまとめていただいたと考えています。
○永井座長 大久保委員は看護師さんの立場でどうなのでしょうか。
○大久保委員 有賀先生がおっしゃるように、やはりグレーゾーンはきちんと明確にしていくべきだと思いますので、今、その1つのプロセスが進んでいるところだと思います。そこは、藤本委員がおっしゃるように、全部が決まって合意ということではなく、やはり大枠を1つ1つ決めていくことが必要だと思います。
○藤川委員 資料を読んでも、厚生労働省からいろいろな提案が新しく出ています。診療看護師は作らないなど様々な提言がなされていますので、それを全部議論した後に合意するかどうかを判断していいのではないか。今はまだ審議のスタートで、「合意ですね」と言われるのは、日本医師会としては賛同できません。
○永井座長 行為の案のフレームです。これを大体、特定行為としてリストアップするということについては、前回から合意が得られていると思いますが。全てについてはまだ決まっていません。ですから、このグレーゾーンを議論すること自体も、もう1回元に戻してほしいということは、今の時点ではなかなか難しいのではないでしょうか。
○片田委員 全部を元に戻してということではなく、ワーキンググループでの審議の部分を、きちんとここでも見させていただけるよう、プロセスを踏んでほしいと申し上げたのです。
○永井座長 有賀委員、もう一度、説明していただけますか。
○有賀委員 今まで私たちのワーキンググループで議論してきたことについて、今、20幾つと書いてありますが、これも途中の経過なのです。ですから、「要検討」がまだたくさん残っていますので、検討しなければいけないことはたくさんあるのです。今、お話されたように、このような形で物事を進めてきた、これからも進めていきたいと、このような話で、後ろからスカートを踏むようなことが起こると、何をやっているのかということになってしまいます。基本的なフレームについては、ここでも今まで報告してきたとおりですから、進めていかないといけないのではないかと私は思っています。
○永井座長 ここまで整理して、更に検討課題は残っていることを踏まえて進めていくということです。
○藤川委員 それは分かっているのです。片田委員が言われた「B1」「B2」という特定行為を「C」にしている部分に問題があるということが1つと、我々は、「B1」「B2」の中に、本来は絶対的医行為の「A」にしなくてはいけないものが含まれている、ないしは「検討」になっている部分があるので、今の時点で、そのような危険な行為を「B1」「B2」の中から、できるだけ日本医師会は排除しようとしているのです。それはどんなに研修しても医療事故を起こす可能性があるからです。そのところを、一般の看護師が「C」として医療行為を実施して行くと、一般の看護師も研修はしたとしても医療事故の可能性は高くなるので、看護界は心配されているだろうと思います。日医としては逆に、、本来、絶対的「A」行為にすべき行為が「B1」「B2」に入っている。それをワーキングで今後も議論していただきたい、永井座長が言われたように、検討項目もたくさんあるのだから、まだワーキングを閉じる段階ではないのではないかという意見です。○永井座長 ワーキングは続けるのでしょう。
○有賀委員 もちろんでしょう。続けないわけにはいかないです。それに、「A」に入れても、例えば中心静脈を取るということは、解剖学的に見てきっと事故は起こるのです。ですから、きっと事故が起こることについて、同じ医療者として勉強しておいてくれという話は山ほどあっていいわけです。そのようなことも全体として議論しているわけで、医療者のためだけに議論しているわけではありません。その部分を理解していただく必要がある。私たちのワーキンググループでも、委員の人たちは「こんなにやっている」と皆言うのです。「もういい加減、足を洗いたい」とも言います。それでも歯を食いしばってやっているのは、そういう患者さんたちがいてこそ、私たちが頑張らなければいけないという話なのです。ですから、それを、ちゃぶ台をひっくり返すような話になると、一体誰のための議論をするのかという話になってしまいますので、私はこのままいきたいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。では、このままワーキンググループからの提案に沿って進めたいと思います。
 続いて、「指定研修に係る検討状況について」の課題です。事務局から資料の説明をお願いします。
○島田看護サービス推進官 資料2-1、資料2-2に基づいて説明させていただきます。指定研修についても、看護業務検討ワーキンググループで御議論をいただいているところでして、御議論の途上ではありますが、検討状況を報告させていただきます。
 まず、資料2-2に指定研修についてワーキンググループに提示しました内容がありますので、説明させていただきます。
 1ページに記載していますが、指定研修については、従前からワーキンググループで議論を進めてきておりますが、今回、特定行為の考え方について整理されたところで、先ほどの御説明のとおりですが、この整理された特定行為の考え方に基づいて、更に教育内容等について検討を行うという位置付けです。
 先立って行われたワーキングで検討していただいた項目を、1ページの下のほうに記載しておりますが、「特定行為を包括的指示で実施するための指定研修の在り方」「指定研修における教育内容とその到達目標」「指定研修機関等の研修実施方法」「指定研修に係る修了認定及び修了登録までの流れ」。「その他」として、義務という案ではありませんが、具体的指示で特定行為を実施する場合の院内研修の在り方といったものについても、まず議論をしていただいています。
 今後、指定研修を行うために必要な要件というのは、ほかにも多々ございますが、それらについては引き続き検討ということで、まず、これらの項目について御検討いただくための資料を2ページ以降に付けています。
 簡単に説明させていただきます。2ページです。まず、指定研修の在り方ということで御議論いただいた点が、3点あります。1つ目が、「特定行為の考え方に基づいた場合、指定研修はどのような能力の習得を目指すものとするか」ということで、特定行為については先ほど説明しましたように、どういった考え方かを下の囲みで記載しておりますが、「行為そのものに『技術的な難易度又は判断の難易度』がある」ということと、「予め対象となる病態の変化に応じた行為の内容が明確に示された、特定行為に係るプロトコールに基づき、看護師が病態の確認を行った上で実施することがある行為」という考え方になっておりますので、これらに基づき、どのような能力の習得を目指すかというところです。
 2つ目です。指定研修については、領域ごとに特定行為の範囲を明確にし、その範囲に応じた研修ではどうかと考えていますが、その際に、その領域ごとの特定行為に係る知識・技術を、全研修者が全て習得ということを目指すのか、その領域における全ての行為ではなく、一定の行為群、あるいは個別の行為を、受講者が選択して習得できるようにするかといったことも論点としてあろうかと思いまして、御議論いただいております。
 3つ目は、特定行為の範囲に応じた研修とした場合に、指定研修は習得すべき内容と単位数により規定をするということで、研修に必要な期間については、各指定研修機関が自由裁量で設定していただくとしてはどうかという案を御検討いただいています。
 3ページは、特定行為の範囲に応じた領域と指定研修における教育内容のイメージです。2ページの1つ目の●に示したような考え方で、特定行為というものが示されていますので、それを習得するための教育内容としては、この図に示していますように、左側にある「特定行為を包括的指示の下で実施するために必要な共通の知識・技能」という部分と、各領域あるいは行為群に応じた特定行為というものが明確になりますので、それらの行為に必要な知識・技能と、個々の行為を技術的なものも含めて学んでいただくという内容で、教育内容を考えてはどうかという案をお示ししています。
 下のほうに※で記載していますが、その他特定行為ではないけれども、各指定研修機関において教育が必要と考えるものが多々あろうかと思いますので、そういった内容については、各指定研修機関が自由裁量によって追加していただくことは差し支えないものと整理してはどうかという案です。
 4ページです。教育内容とその到達目標を考える場合に、3ページでお示しした教育内容のイメージに基づいて、今後、4ページの下のほうの囲みでお示ししていますような教育内容ですとか、あるいは到達目標というものを、どのような内容で、どのぐらいの単位数ということを、今後、具体的に御議論していただいてはどうかということで、お示ししています。
 5ページです。特定行為が追加された場合の指定研修の在り方について整理しています。領域ごとに特定行為を規定し、その範囲に応じた教育内容を設定するということですが、今後、例えば図でお示ししていますように、A領域に、ここでは行為のワというものにしておりますが、追加された場合の指定研修を追加で受けていただく場合をどう考えるかですが、先ほど来お示ししています枠組みでいった場合には、左にあります共通の知識・技能というものは、既に習得していただいている場合には、各行為、追加された行為についての知識・技能と行為を学んでいただくということで、指定研修を追加して受けていただくことができるのではないかと考えています。
 6ページです。指定研修機関等における研修の実施方法についてのイメージをお示ししています。指定研修機関で実際に研修等をやっていただく場合には、大きく分けて2つあるのではないかと考えています。図で左にお示ししていますように、指定研修機関において、講義・演習、実習、全てを実施するという場合もありますし、指定研修機関以外で実習を実施していただくという場合もあろうかと考えています。その際、実習施設としては、病院・診療所・介護老人保健施設・訪問看護ステーションといったような、多様なところが考えられるのではないかと思っています。それから、受講生の所属施設等でも実施することが可能ではないかと考えています。
 その際、各実習施設における指導体制、そこでの到達度等の評価基準といったものについては、指定研修機関の責任において提示していただき、実習施設での実習がどの程度までできたのかということは、実習施設からの評価を踏まえて、指定研修機関において確認していただくことになるのではないかと思っています。
 また、講義・演習等においては、右の場合も左の場合も同じですが、eラーニング等を活用して実施していただくことも可能ではないかと考えています。こういった教育内容等も含め、研修の枠組みにつきましては、今後、指定研修機関の指定基準ということで、省令等で定めるということになっています。
 7ページは、指定研修に係る修了認定と修了登録までの流れについてお示ししています。指定研修機関において、実習等についても客観的な評価を行っていただきまして、研修者に対して、個々に修了証を発行していただくことを考えています。そして、個々の修了者が厚生労働省に対して、研修を修了した旨の登録をしてほしいという申請をし、厚生労働省において修了の旨を登録し、研修者に対して登録証を交付することを、イメージとしてお示ししています。
 8ページです。「その他」として御議論いただいた内容として、具体的指示で特定行為を実施する場合の院内研修等ということで、具体的指示で実施する場合の院内研修等については、指定研修における教育内容や到達目標に準じて実施するということで、そういった必要な知識・技術について、一定のガイドライン等を策定してはどうかという資料をお示ししています。
 これに基づきまして、第31回のワーキンググループで御議論いただきました主な御意見を、資料2-1にまとめています。
 まず、指定研修の在り方についての御意見です。「単位制とすることでeラーニング等の実施もしやすくなり、看護師が研修を受けやすくなるのではないか」「eラーニングによる講義を単位認定するための要件を留意すべきではないか」「個別の特定行為について院内研修を受講後に具体的指示の下で一定の経験をした看護師が、指定研修を受講する場合に、指定研修においてその実績を評価できるようなシステムは考えられないか」。
 指定研修の範囲に応じた領域と教育内容についての御意見です。「教育の在り方や医療現場の状況等を考慮すれば、指定研修の内容は、一定の行為群や領域ごとに区分してはどうか」「『共通の知識・技能』については、相当程度学ぶことが必要ではないか」「『共通の知識・技能』という医学的思考のコアを基盤として学んだ後に、個別の特定行為の教育内容を学ぶべきではないか」。
 指定研修等の実施方法についての御意見です。「看護師の勤務する施設での実習等を可能とすることにより、勤務する医療機関を長期間離れずに指定研修を受講でき、地方等の医療機関や看護師本人にとって受講の機会を増やすことにつながるのではないか」「実習施設を勤務医療機関とすることを可能とした場合、1つの医療機関が複数の指定研修機関の実習施設となることが想定されるので、指定基準の在り方については検討が必要」。
 研修修了から登録までの流れについてです。「技術に係る評価について、到達度の評価をどの程度まで行うかという点については、引き続き検討が必要」。
 具体的指示で特定行為を実施する場合の院内研修等については、「試行事業の養成課程修了者の業務実施状況から考えても、課程修了時に実際に行為が行えるようになるのは不可能であり、特に侵襲性の高い行為については、指定研修修了者であっても実際に活動する医療機関において院内研修を受講すべきではないか」。
 事務局からは以上ですが、有賀先生、何か補足がありましたらお願いいたします。
○有賀委員 詳しく説明していただいたので、特に付け加えることはないのですが、当初、何箇月、何年というような、イメージとして硬い感じで出発していたのです。しかし、ここで説明がありますように、単位を取得するということで、年限については、数箇月ないし1年ぐらいでやってしまう人もいてもいいでしょうし、3年かかる人がいてもいいのではないかというようなことでの議論が出て、今日に至っています。
 それから、全ては現場から出発しますので、現場におられるナーシングスタッフが、座学として遠くに行かなくてはいけないという話が多少あったとしても、働いている現場又はその近くで実習を受けられる仕組みというのは、非常に大事だろうと思われます。
 そういうことから、資料2-2の6ページのイメージ図の右側、実習施設の中で実習をするということで、相当程度に、多くの看護師にとっても役に立つ仕組みが得られるのではないか。
 私自身は、eラーニングそのものに直に関わってきたことはないのですが、今時のeラーニングの仕組みというのは、私が勉強したかのように見せるような仕組みをきちんとブロックして、「その人が勉強していますよね」ということができるようになっているのだそうです。この辺はあとで事務局に説明していただければと思います。
 そういう意味で、現場で働いている人は、その現場に即して、自分はこういうことで勉強したいということが、なるべく広くかなえられるような形に変えていく、議論がそちらのほうに向かって驀進することができたということです。
○永井座長 御質問・御意見を頂きたいと思います。
○大久保委員 研修内容や指定基準等についてはこれからの議論だと思いますが、この制度は安全を担保した上で、効果的・効率的に、いかに国民のニーズに応えられるかがポイントだと考えております。そのための研修の質の担保が不可欠です。
 特に、臨床推論や判断などの能力が非常に重要だと考えておりまして、その能力を十分に育成できる研修でなければいけないと考えます。
 その上で、国民のニーズに応えるためには、1つ1つの行為別の研修ではなく、一定の領域ごとに研修を設定して、知識・技術の水準を確保できる仕組みということが必要だと思います。これまでの試行事業も踏まえまして、今後のワーキンググループで検討していただければと考えます。
○有賀委員 資料2-2の3ページにあって、右側に行為が並んでいまして、左側の「必要な共通の知識・技能」の部分は、この患者にこの医行為を医師の指示があったとしてもというか、そういうときには指示も出さないことになると思いますが、いずれにしても、やってはいけないということも含めて、行為についての知識・技能ということになります。ですから、そういう意味では、患者の全体像などから、看護師たちの言葉でいうと「臨床推論」でしょうか、病態の展開をある程度体系的に分析して、その分析結果でもって、次に何をするかと。医師の言葉でいうと「鑑別診断」のようなことだと思いますが。
 そういうことや、それを実践するための臨床薬理だとか、病態生理など、行為1つ1つの臨床的な意義などを左側できちんと学ぶということで右側がある、という理解をしています。臨床推論などがきちんとできないといけないということは、私はそうだと思うのですが、大久保委員、それでいいのですよね。
○大久保委員 そうです。現場では判断する能力がすごく求められますので、1つ1つを学習させる、研修させるという考えよりは、トータル的なことを研修させないと判断に結び付かないという考えです。
○有賀委員 左側が主で、右側がプラスアルファという話になるかもしれませんが、右側をやろうと思うと左側も必要なのですよね。
○藤川委員 事務局にお願いです。資料4の「研修制度の創設に当たって」の基本的な考え方を読んでいただけませんか。
○簑原医事課長補佐 資料4の御説明をさせていただきます。特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって(案)。診療の補助のうち特定行為に係る研修制度の創設に当たっては、以下の考え方を基本とする。○医師又は歯科医師の指示の下で、診療の補助のうち特定行為を行う看護師について研修制度を構築することは、チーム医療の推進を図り、医療安全の確保にも資するものであり、国民のニーズに適った医療提供体制を構築することにつながるものである。○本制度は、医師又は歯科医師の指示を受けずに医行為又は歯科医行為を行う看護師の創設に結び付けるものではない。○本制度の指定研修を修了した看護師が、他の看護師や他の医療関係職種に対して診療の補助に関する指示を行うことは不適切であり、指示を行うのは飽くまで医師又は歯科医師である。本制度を導入した場合でも以下の点に変わりはない。・看護師が絶対的医行為又は絶対的歯科医行為を行うことは違法であり、看護師が医師又は歯科医師の指示なく診療の補助(応急の手当等を除く)を行うことは違法である。・看護師は、医師又は歯科医師の指示の下であれば、診療の補助の範囲内において医行為又は歯科医行為を行うことは可能である。・患者の病態や看護師の能力を勘案し、?医師又は歯科医師が直接対応するか、?どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は医師又は歯科医師が行う。○看護師は、本制度の導入にかかわらず、療養上の世話及び診療の補助について、その専門性の向上や資質の向上に努めるものである。
○藤川委員 中身はよく分かるのですが、一番上の○の「医療安全の確保に資するものである」というのは、いろいろな行為をする場合には、当然研修をするわけですが、「国民のニーズに適った医療提供体制を構築することにつながる」というのは、この研修制度等を含めて、特定行為というものをやることが、国民のニーズから出てきたわけではない。医療提供側から出てきたということは間違いのない事実です。国民からこういう制度をつくってくれという声が上がったわけではないので、誤解を招くかなと思います。
○有賀委員 藤川委員も私も同じ立ち位置だとは思うのですが、国民のニーズといったときに、そこら辺を歩いている国民ではなくて、患者です。そういう意味では、患者の一番そばにいるナーシングスタッフが、こうあればいいなと思っているということはそのとおりなのです。そのことは、例えば、救急救命士が医師の具体的な指示ではなくて、包括的な指示の下に除細動を行う話は、患者がこうあってほしい、早くやってと言っていることになっていることを前提に、包括的な指示の下に、救急救命士が除細動をするという話になりますよね。
 そういう意味では、国民が何らかのメッセージを厚生労働省に当ててきたという意味ではないのですが、患者のニーズは、そういう意味では、病棟にいることの少ないドクターの代わりに、ナースからみて患者のニーズがある。それは、一番近くにいるといったらおかしいですが、私は、病棟を実効支配しているのはナースではないかとときどき言っていますが、そういうことを看護師たちは思っている。そして、それはグレーゾーンのところに鮮明に表れているという話で出発したということなので、そこを注意書きか何かにすればいいのではないかと思います。藤川委員、国民がそう思っていないというのは、患者のことを考えると、そうはいかないと思います。
○藤川委員 有賀委員の気持ちはよく分かるのですが、国民が求めているのは、功利性、利便性だけではないのです。安全で、安心して受けられる医療です。日本医師会が言っているのは、危険な行為を、看護師がするほうがいいのか、医師がするほうがいいのかといったときに、医療機関に医師がいないことはほとんどないですよね、特にこういう大きな病院では。5分、10分を待てないのか。30分待っても全然問題のないような危険な行為、例えばIVHを取るのに、準備も要りますので、急いで取れということはまずないわけです。だから、日本医師会としては、国民が求めているのは、利便性、功利性もあるが、それはあくまでも安全にできる行為、看護師がしても事故がないという前提の下であって、危険な行為まで、研修してやらせる必要はないということです。
○有賀委員 できるからやるということではなくて、この間に分かったことは、できるかもしれないけれどもやらないということで、やらないという判断をしているということもあるのです。
 このことは藤川委員も、現場で試行事業でやっている看護師と1時間ぐらい話をするとお分かりいただけると思いますが、やることが目的ではなくて、患者にとって一番いいことをしようという中には、やらないということも入っているということで、やらない判断をきちんとしていることについては、よくぞ勉強したなという感じを持ちます。
 ですから、一緒にいるドクターなり病院長先生が、こういう看護師がもっと増えてくれると、そういう意味では医療安全の水準は高くなると。ですから、術後管理をしているときに、どうしてドレーンの中に出ている血液の量の少ないほうが、より医師たちは心配しているのか、たくさん出ているほうはそれほど心配していないのかということが、勉強することによってよく分かったと。だから、医師に報告するときのタイミングなり何なりにしても、全体としての医療安全は高まるということを言ってくれています。
 これは、勉強の量そのものが医療安全の量と比例するかどうかは知りませんが、多少勉強してくれた人がチームの中に混ざっているという話は、そういう意味では、チームそのものの力はアップしていると考えるのがいいのではないかと私は思っています。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○太田委員 「指定研修における教育内容とその到達目標」ですが、非常にきれいに整理されていると感じた次第ですが、一番下の臨床実習のところで、毎度私は地域の立場で、私しかそういう意見が出せないので、私が申し上げたいのですが、ずっとここの議論はインテンシブケアというか、キュアの世界の議論なのです。今回、実習の場に訪問看護ステーションなど、地域が入っているということで申し上げたいのですが、在宅医療というのは、よく病棟機能が地域に広がったと説明されていますが、それは病院の機能が地域にあるということでは正しいのですが、そこで提供されている医療の質は大分違うのです。
 なぜそう申し上げるかというと、キュアを中心とした医療の場というのは、命の量を長くするということも1つの目標になりますが、地域では、長寿よりも天寿が大事だという意識があるのです。有賀委員がおっしゃったように、やらない判断というのが非常に大事なのです。
 そうしますと、臨床実習のところに「疾病の治療と療養生活の質の向上」とありますが、QOLを高めるということは非常に重要な視点なのですが、QOLを高めるために、介護・看護が介入しているというのも、地域では当然のことです。
 ですから、ここには看取るということはイメージされていないと思うのですが、現場では看取りまであるわけですから、能力の高い看護師たちが地域に出て、1分、1秒、命を長持ちさせる治療・看護を行うというところにも、倫理的な課題が1つ出てくるのです。
 ここには「患者の社会的背景」という言葉もありますし、「倫理的諸問題」という文言も盛り込まれておりますので、実習のところで、看取りまであるのだということで、看取るためにはやってはいけないこともあるのだという辺りが、非常に重要な到達目標ではないかと私は思います。
○藤本委員 先ほど国民のニーズという話が出たときに申し上げようと思ったのですが、これから先、本当に亡くなる方が増えていく中で、QOLを高めていただくということは最大の国民のニーズだと思っていますので、太田委員のおっしゃられたようなところを、この話の中でもメインにしていただきたいという感想を持ちました。
○永井座長 これは更に議論も積み重ねられるわけですね。
○有賀委員 そういう意味では、4ページの表の中は、表として議論するという水準にまでは、まだいっていないです。先生が言われたようなことも含めて、今後しっかりとやっていかなければいけないと思っています。特に、今、藤本委員が言われた国民のニーズですね。
○大久保委員 前回もお話しましたが、今回の制度は、看護の中の診療の補助を安全に行う仕組みであると理解していますが、名称が「研修制度」に変わりました。内容については、これまで議論を重ねてきました、行う看護師の能力を習得するためのものということに変わりはないのでしょうか。
○簑原医事課長補佐 もともと診療の補助のうちの話であるというところが、1つ大前提になっているところでして、研修の終了の到達の評価は、当然ながらする必要があると思っていますので、一定程度、研習の修了のときの確認というか、考査等は必要だと思っております。
 一方、今申し上げたとおり診療の補助のうちですので、この研修を終えたら、何かの行為ができるようになるとか、そういう制度ではありませんので、そこは「能力の認証」と言いますと、誤解があるところがありますので、「研修制度」と名称を変えさせていただいたところです。
○片田委員 研修をするのは能力を付けるためであるから、能力を発揮できているかということへの評価があることは当然ですので、そういう意味での一貫性があって然るべきだとは思っています。
 この研修制度のことに関しても、まだ道半ばという部分で、今後具体的に検討されていくのだということが、よく分かります。いろいろな研修の在り方が出てきている状況を踏まえて、特に、特定行為の研修を受けた人たちと、そうではなくて、それでも研修をしなさいと言われる人たち、そこの部分がどうなるのかも含めて、丁寧に研修の部分の有り様を検討していっていただけたらいいと思います。
○藤川委員 先ほど事務局から説明があったように、基本的なところを勉強して、あとは各部門ごとに、心臓外科であれば心臓外科、救命であれば救命、在宅であれば在宅の勉強をすればいいと思います。専門家になっていかなくてはいけませんから、自分にとって要らない行為まで勉強する暇はないと思います。
 そういう意味では、単位が2単位でいい人もいれば、5単位の人もいるし、いろいろ様々です。そうなると、国家認証までする必要はないわけです。例えば診療放射線技師であっても、サブスペシャリストとして認定機構を作られて、いろいろな専門性を身に付けた方がいらっしゃいますが、それを国家資格にしていないわけです。専門医も国家資格ではありません。看護協会が作っている専門看護師、認定看護師もそうです。特定行為に関しても、研修をした医療機関できちんと認証して、研修する施設は国がカリキュラムのチェックをして、見ていただければと思います。出来上がったところは、オートノミーで検証して、この人は安全にできるということを確認していただければ十分と考えます。
○永井座長 今は、まだ研修の在り方のほうですので、検証の在り方はまた後で御議論いただければと思います。
○藤川委員 研修をする項目が単位によって違いますので、単位の種類の違う様々な看護師が出てくるわけですので、それを同じように認証するのはいかがなものかという問題は必ず出てきます。先ほど言われた能力の認証、あなたは2つの単位を取った能力しかないということになってくるわけです。国家資格にする必要はないということを厚生労働省も言っていますので、その辺は皆さん認識をして、議論をしていただきたいということです。
○島崎委員 質問です。資料2-2の3ページに図がありますが、、「領域」という概念と、「行為群」という言葉があります。また、資料2-1では、「指定研修の内容は、一定の行為群や領域ごとに区分してはどうか」という言葉が使われています。
 先ほどの有賀委員の御説明で、技術を切り売りするわけではなくて、その前提となる臨床推論であるとか、病態がどういうストラクチャーになっているか。つまり、判断に関わる部分が重要なのだという話だと思います。
 したがって、個別の行為ごとに切り分けていくわけではないということは理解するのですが、「領域」という言葉と、「行為群」というワーディングはどういう使い分けをされているのでしょうか。
 というのは、先ほどの議論の資料2-2の2ページで、??と分かれているのですが、?は「領域ごとの」という使い方をしています。?は「一定の行為群又は個別の行為に係る」という使い方をしているわけです。「領域」という概念と「行為群」という言葉は、どういう使い分けをされているのか御説明いただけないでしょうか。
○有賀委員 私は、行為群は領域だと単純に思っているだけです。
○島田看護サービス推進官 資料2-2の2ページの論点の真ん中の●に記載していますが、ある1つの塊の行為群あるいは領域で、それを全て習得していただくか、それとも行為ごとに習得することも可能とするか、御議論をいただくことが必要かと思って論点を設定しておりまして、どちらかというと、大きなまとまりを領域、小さなまとまりを行為群、更にばらばらなものを個々の行為という形で、議論していただくための言葉を、一応置かせていただいておりますが、どういった範囲のものを、どういう領域あるいは行為群とするのかというのは、これから特定行為が決まった段階で括りを考えていくことになろうかと思っております。
○有賀委員 要は、今は余り決まっていないということですね。だから、私は、これを全部「領域」と読んでもいいと思います。
○宮村委員 研修の内容とか、私は歯科医師ですので、よく分かりません。だけれども、一般国民とか、患者の立場で分かるのです。
 藤川委員がおっしゃっているように、特定の行為を新たに設けるというのは、医療安全の確保に資するものだというのは、正におっしゃるとおりでして、しかしこれがイコール国民のニーズかどうかというのは分からないので、文言としてはもう一遍考えていただきたいと思います。
 それと、研修内容についてです。私個人は、包括的指示であれ何であれ、医師の指示の下に看護師がやるのであるから、いわゆる判断と技能というときに、私は技能を重視してほしいと発言したことがあるのですが、判断が医師と1?も変わらないとか、医師を超える判断力があると思われると、医師の指示を受けるという行為がなくなると、本当に患者は困るのです。私は体験的に、とにかくごちゃごちゃ言わなくていいから、医師に聞いてくださいというのは、何回もありました。
 だから、包括的指示の下、プロトコールの下でも、判断力というのは、ここはもう一度医師に聞いてみようというような判断力が磨かれるような研修内容にしてほしいですね。医師になればいいというぐらいの研修の内容だと、これは何をやっているか分からないので、飽くまでも、医師の指示の下、包括的指示の下での自分の行為の判断力が磨かれないと、患者にとっては困ると思っています。
 ただ、技術的には、スキルはどんどん高めてほしいです。私は患者としては、おおよそ医師より看護師のほうがうまいような気がしますので、それはいいのですが、判断だけは、そういうことを申し上げたいと思います。
○藤川委員 今の発言は、多分点滴とかの話だと思います。全ての手術行為、医行為に対して、看護師のほうがうまいということはあり得ませんので、それは誤解を招くと思います。
○宮村委員 すみません。最後の部分、撤回いたします。
○半田委員 まだ論議になっていない資料2-2の7ページなのですが、事務方にお教え願いたいのです。いろいろな研修の後に、各研修機関の責任において評価を実施することになっているのです。何らかの評価をすることは大事だとは思うのですが、全て指定機関がやって、統一性とか、そういうことは全く関係ないのか。要するに、1つの制度としてこういうものを導入しようとするときに、機関を指定するということにおいて、そこまで全部付託するのか、あるいは評価というところの統一性をどう考えるのかについて、教えていただきたいと思います。
○島田看護サービス推進官 その部分も、正に今後御検討いただく点かと思っておりますけれども、この指定研修機関では、一定の基準に基づいて指定をさせていただくということで、その指定基準の中に評価に係る部分、どのくらい詳細なものをやっていただくということを盛り込むか、あるいはどの程度のものという、緩やかなものを盛り込むかということを、具体的に今後御検討いただくということになろうかと思います。
○永井座長 それは継続的な評価、機関に対する査察を含んで、評価も行うということでしょうか。ただ機関を指定するだけではないと理解していいですね。
○島田看護サービス推進官 すみません、その場合の「評価」と申し上げたのは、各研修者がどこまでの到達度に到達したかという評価を、指定の際にやっていただく内容として盛り込むかどうかという点についてでございました。
○永井座長 でも、今度は機関を評価しないといけないわけですから、そちらのほうはどうなさるのかということです。最初にリストを作って、この機関は行ってくださいというだけではないはずですよね。継続的な機関に対する評価をどうするかということです。
○簑原医事課長補佐 指定基準で一定の要件を設定させていただくことになりますので、その要件に合致しないという状況になれば、指導等をしていく必要があろうかと思いますので、そういう指導等はやっていく体制を取る必要があると思っています。
○永井座長 そういう縛りのある指定であると理解する必要がありますね。
○大久保委員 資料2-2の7ページですが、特定行為の特徴を考えますと、安全性を担保するためには国の関与が不可決であると考えておりますので、図にありますように、法律に位置付けて、指定研修を受けた看護師が看護師籍に登録していただくことが絶対に必要だと考えています。
○小川委員 指定研修について御苦労されてまとめられたというのはよく分かるのですが、先ほど有賀委員からも、資料2-2の3ページの左側が非常に大事で、右側と連動するのだという話がありました。
 イメージとしてよく分からないのは、例えば左側に関しても、行為、領域によって、大分基本的な知識についてユニバーサルなところと、こういう領域あるいはこういう行為だからこそ、臨床推論として、こういう部分が特別に必要だというところが、かなり出てくると思うのです。そうすると、よく分からなくなってきたのが、3ページの左側のところに関しても、かなりいろいろな分野が出てきて、右側に関しては、行為・領域からすれば、ものすごい項目が出てきて、これの組合せからすると、何千という組合せが出てくるわけで、それを認定して、実際に運用するときに、どのように認識をされているのかというところが分からないので、その辺を教えていただければと思います。
○有賀委員 先生が非常に分かりにくいということについて、私がよりたくさん分かっているかというと、必ずしもそうではなくて、同じ程度かもしれません。それを前提にお話を聞いてください。
 私がこれを見て理解するのは、今現在トライアルとして、救急、皮膚・排泄、急性期の東京医療センターのものなど、幾つかの分野があります。だから、分野というか領域も、行為を幾つか並べたと仮定して、1つずつしかやらない分野がもしあったとすると、1つずつで、既に20幾つあるわけです。2つとなると、この中から2つ選ぶという、Cの29の2というコンビネーションができてしまって、29×28÷2という形になってしまいます。
 そういうことでやってしまうと、とてつもないことが起こりそうなのですが、私がこれを見ながら理解しているのは、今現在試行されているものが少し増えるかなという程度であって、先生が理論的に考えるように、29×14とか、そういう形にはならないのだろうと思って理解しています。もう少し議論させてください。
○小川委員 その辺に関しては御議論している最中だとは思うのですが、委員の方々の頭の整理をしておかないと、ぐちゃぐちゃになるかなという感じがしたものですから、質問させていただきました。
○永井座長 具体的な名前を挙げて表を作っていただくとか、カテゴリを作るということが必要になると思いますが。
○有賀委員 そこまでいっていなくて、みんながそういう議論のまま、この議論もしているということです。
 具体的なことはしないといけないと思います。だから、先ほど太田委員から表のことがありましたが、後ろの表は、そういうことを踏まえると、3ページの左側にも、ある意味では重みづけというか、そこら辺が出てくることはあるのではないかなと想像します。
○藤本委員 質問です。教育の場でそれぞれ指導をする方というのは、当面はドクターだと思うのですが、例えば介護施設や、在宅療養など、指導をする方たちが研修をする場所に十分いない場合もあります。そういう点については、何か御議論はあったのでしょうか。
○有賀委員 そういうことがありそうだということはみんな知っているのですが、勉強するプロセスを作るときに、指導者がいないところで勉強するのかい、という程度には指導者がいないといけないだろうと。
 だから、介護の現場で指導者が比較的薄いということがあっても、勉強するときには一緒に勉強しようという程度にはいてほしいという理解であります。だから、そこのところは厚生労働省の事務局がきちんと考えてくれているとは思いますが、薄いことそのものが本当にいいかどうかは別にしても、勉強するときにはきちんと勉強しようということだけは確かです。太田委員、それでいいですよね。
○太田委員 私は何の権限もないのですが、現実的にそうならざるを得ないです。ですから、現場で訪問看護師について実習する場合は、非常に有能なナースが教育するということです。
○有賀委員 最初はといったのはそういうことですよね。診療の補助としての部分についての勉強のプロセスは医師に従ってということになりますよね。それは、いずれそういう人たちがたくさん出てくると、その先輩が後輩を教えるということは、私は山ほどあると思います。
○安部委員 今の話との関連です。資料2-2の6ページに実習施設がありまして、もちろん訪問看護師の研修もやらなければいけませんので、ここで訪問看護ステーションが実習施設ということになっていると思いますが、訪問看護ステーションには、実際には患者はいらっしゃらないです。そうなると、訪問看護ステーションではなくて、患家が実習場所になるという理解でよろしいのでしょうか。
○島田看護サービス推進官 御指摘のとおり、訪問看護ステーションに患者にお越しいただいてということではなくて、ステーションにいる看護師が患者のお宅に出向いたときに、指導医とともに実習をするということを念頭に置いています。
○有賀委員 今の川崎の訪問看護ステーションなどはそうですよね。
○太田委員 訪問看護師に医師が同行して、患者宅で指導するという理解ですか。
○有賀委員 今現在の勉強のプロセスは、そういうことで進行中であるということです。ですから、それを見倣う限り、基本的にはそういうことで出発しなければいけないのかなと思っています。診療の補助という意味です。
 先生のいうキュアからケアへ、長寿から天寿、そういうことまで含めて勉強するという意味においては、先輩のナースが後輩のナースを教えるという話はたくさんあると思いますけれども、当座の話の出発としては、診療の補助についての議論をしているということでの括りの議論だと理解されます。
○太田委員 要するに、現場に医師も同行して指導するということですか。
○山本医事課長補佐 ケースバイケースで、いろいろなパターンがあると思っています。必ず医師が同行していないといけないかというと、必ずしもそうではなかろうと思っています。一緒に行くときもあれば、看護師と一緒に行くときもあって、いろいろなパターンが実際にはあるのではないかと考えています。
○山口委員 指定研修機関での評価について、資料2-2の7ページにありますが、各指定研修機関で基準を設けて教え、その責任で評価をするとなっています。知識に関してはペーパーテストとなっていますが、学生の臨床研修のようにCBTのような、できれば全国統一的なもので試験をすれば、今はICの時代なので、ある程度一定のレベルを担保するということはできるのではないかと思うのですが、そういうことは考慮の中には入っていないのでしょうか。
○有賀委員 そこまで議論していません。
○永井座長 それは追い追い議論いただくということで、お願いしたいと思います。
 急ぎますが、続いて、「特定行為に係る看護師の研修制度(案)について」の御議論をお願いしたいと思います。この特定行為に係る研修の制度化、研修修了の効果、研修機関の指定の方法、こうした制度の大枠について、皆さんにある程度御理解いただいていると思いますけれども、研修修了の登録について、前回、議論が持ち越されています。藤川委員からもう少し詳しい御意見を伺って、必要な対応をしようということになっていました。藤川委員の御意見を参考に、これまでの議論を通じて各委員の一定の共通認識となっていると考えられる、制度創設に当たっての基本的考え方を、まず、まとめていただくことにいたしました。事務局にお願いして、先ほどお読みいただいた、資料4の「特定行為に係る看護師の研修制度の創設に当たって(案)」を作成しています。これで御了解いただければ、本推進会議としての制度創設に当たっての確認事項と位置付けたいと考えています。
 また、指定研修の修了に係る看護師籍への登録についてですが、再度、御議論をいただいたほうがよろしいだろうということで、修正案で提示された「看護師籍への登録」と、藤川委員御主張の「学会等民間主体が登録を実施する案」のそれぞれの効果について比較した資料を作成しています。これに基づきまして、本日、御議論いただいて、制度の骨格についてのコンセンサスを得たいと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○簑原医事課長補佐 資料3から5に基づきまして御説明をさせていただきます。資料3ですが、これは前回の推進会議で試案の修正案という形でお示ししたものと内容は同じです。名称につきましては先ほど御説明したとおり、「特定行為に係る看護師の研修制度(案)について」と名称を変更しています。
 資料4は、座長から御指示を頂き、今まで本推進会議で御議論があった事項や、そもそもの制度の前提となるであろう事項について、事務局で叩き台を作成しました。内容は先ほど読み上げたとおりですが、これについて御議論いただければと思っています。
 資料5が、指定研修を修了した看護師の登録の方法です。これについては指定研修を修了した看護師について、看護師籍へ登録する場合の効果についてどのように考えるか、一方、学会等民間主体が研修や登録を実施すべきという御意見がありましたけれども、その場合の効果をどのように考えるか、といったところを御議論いただくために用意したものです。
 左側が、今回資料3でお示ししている研修制度(案)の内容です。概要のところで、研修機関は厚生労働大臣が指定する。研修の枠組みについては厚生労働省令で規定する。研修を修了した看護師からの申請に基づき、看護師籍に登録するとともに、登録証を交付するという内容になっています。一方、学会等民間主体が研修や登録を実施する案が右です。研修自体は学会等民間主体が実施する。研修の枠組み自体も各学会等で定めていただく。学会等が定める修了要件に合致する看護師について、各学会から修了証を交付するという案です。
 それぞれ、医療現場への効果、制度的な効果について整理をしているところです。医療現場への効果ですが、2つに共通するものとしては、当然、医師又は歯科医師の指示に基づき看護師は診療の補助をする。その個々の看護師の能力の確認をするときに、この両者について能力確認のための一助となるところは、一定の効果があるのではないかと考えています。両者とも共通の点ですが、飽くまで研修を修了していることの確認に止まるものですので、当然ながら国家資格を創設するものでもありませんし、制度として看護師資格の中に特段の職位を設けるものではないというものになろうかと思っています。
 次からが違いです。研修制度(案)のほうですが、医師又は歯科医師による個々の看護師の能力確認の統一的な指標となり得るということで、当然、看護師籍に一括して登録しますので、一定の統一的なものになると思っています。一方、学会等で実施していただく案については、個々の看護師の能力確認をする上で一定の評価の指標となり得るとは思っていますが、当然ながら、各学会で研修の修了を確認することになりますので、看護師の能力確認を医師又は歯科医師の方に行っていただくときには、その各学会が行っている研修修了評価の確認の内容を評価した上で活用していただく必要がある、というところで違いが出てくると考えています。
 次に、制度的な効果のところですが、ここもそれぞれ違いがあると考えています。看護師籍への登録については、指定研修の修了状況について統一的に把握し、看護師に登録証を交付することが可能になると考えています。一方、学会等で登録を実施していただくことになると、当然ながら各学会が研修の修了証を交付することになりますので、看護師がどの学会から修了証をもらったかは、看護師が個々で管理する形になると考えています。説明は以上です。
○永井座長 それでは、特に資料4と5について重点的に議論したいと思います。いかがでしょうか。
○藤川委員 厚労省の提案が、能力認証から研修制度と変わってきましたので、研修をした病院でないと研修をしたか否か分かりません。学会では分かりませんので、研修した医療機関で修了証を出すようになると思います。
 もう1つ、知識面は統一的にペーパー試験ができますから、ペーパー試験に関しては学会が合格証を出し、きちっと学会で登録しておく。本人が活躍する場というのは、そんなに転々とするわけではありませんので、自分の研修医療機関できちっと修了証を確認し、いろいろな配置をする場合に、看護師長やスーパーバイザーのドクターが求める人材を適材適所に配置すればいいと思います。修了証に関しては、学会と研修した施設で発行することで、十分ではないかと思います。
○永井座長 ほかに、いかがでしょうか。
○片田委員 これまで皆さん方に関与していただいて、4年間もこのことに関して討議していただいている。それは非常にありがたいことだと思います。ただ、一番最初の頃、それは2年間の大学院でやるのだという部分が入ってきていたのです。そこが変更され、分野特定の部分のところは入れて、分野特定にするのだから小さい単位で研修していきましょうと、システム自体の大枠がすごく変わったと思います。そのような中でやっていく場合に、この研修案は多岐にわたった施設・組織が研修を行うものであって、そうすると厚労省は、研修機関に関して全部審議しなければならないことになってくるし、登録に関しても時間が必要になってくるだろうと思います。いわゆるプロトコールに関しても、医師とのプロトコールなしに看護師が自分で勝手に医行為をすることは法律的に認められていないから、あり得ないのです。そういう意味で、特定の医行為に関して研修をもっとやることは賛成です。危ない部分のところはもっとやったらいいと思います。けれども、看護師籍への登録証の発行を厚労省がすべきなのかということに関しては、そうとは言えないと私は思っています。
○永井座長 理由を御説明いただけますか。
○片田委員 今、申し上げましたように、指定研修が様々な形で、内容がどうなってくるのかまだ分かっていない。極端に言えば、1行為はなるべくやめてくださいということで、関連する行為という部分があったとしても、その行為自体、例えば小児と老人は全く違った行為になってくる。そういう状況の中でやっていく研修になるのだろうと思います。それぞれの場で必要な行為になっていくのだと思います。そうなってくると、その研修というのはシステマティックな部分から少し離れていくのではないかと思うので、是非、研修制度の創設に関しては注意深く審議していただきたい。それから、研修を受けた人たちがやる行為と、全く研修を受けない人たちがやる行為もある。そこの部分をどう整理するのか。同じ行為をやるのに1人は登録し、1人は登録しないということに関して、今の段階ではまだ整理が足りないのではないかと思います。4年間という長い時間があったけれども、早急に変わってしまったという状況に関して、きちんと審議していただけるとありがたいと私は思います。
○永井座長 論点が2つあると思います。1つは、研修機関が大学院独占でないというのは話が違うということですね。それと、研修機関が多様になって、また行為も多様なので、システマティックに本当にできるかということで、注意深く議論してほしいということですね。今の点、いかがですか。ワーキングあるいは事務局から説明をお願いします。
○有賀委員 先ほど小川先生からも質問がありましたように、現実を踏まえながら、今の言葉で言えば注意深く議論してきたことは間違いありません。多様になるだろうということについても、多分、多様になるのだと思いますが、野放図に多様になるという状況ではありません。ワーキングの中で本件についてのみ議論したことはありませんが、ワーキングの粗方の意見として、医行為の責任そのものは病院長が持ちますけれども、社会の仕組みとしての有り様全体については、国民の安心ということからすると、恐らく厚生労働省が一定の仕事をしなければいけない。その中で修了証ですか、つまり看護師籍に登録することに関して粗方の皆さんの思いは、この表で言うと左側の厚生労働大臣に面倒を見てねという形になっていると、私は理解しています。
○永井座長 今の問題は、確かに多様性のある教育をしないといけないし、注意深い議論も必要だと思います。機関も極めて多様ですし、その辺は全体のシステムをどう作るかということで、通知でなく法制化したほうがいいというのは、恐らくそういうところに国の関与がしっかり入れば、標準化であったり基準作りが順調にいくのではないかということで、法制化の意見があったのではないかと思いますが、島崎委員、いかがですか。
○島崎委員 今、永井先生がおっしゃるように、これまでの議論の経過を辿ってみれば、いろいろな議論があったにせよ、特定行為の実施については統一的な基準で行うということだったと思います。もちろん、その場合に研修があまり頑なになりすぎて、実際に受講できないということについてはいろいろな配慮の必要性はあるにしても、基本的なフレームとしては、今申し上げたように、統一的なスタンダードできちっと行っていくということが大前提だったと思います。
○永井座長 つまり、国の関与をどのくらい加えるかということだと思います。
○島崎委員 ええ、そういうことだと思います。
○永井座長 実際は非常に難しいのだと思います。だからこそ、学会や各病院に任せていていいのかという立場の方と、むしろ自由にしたほうがいいという立場の方がいて、むしろ医療関係者以外の社会はどう見るかにも、かなり関係があると思います。藤本委員、山本委員から御意見を頂けますか。
○藤本委員 今、専門医の研修が変わりつつあって、今まで学会が独自に認定していたものを整理しましょうということで、専門医の研修についても議論がなされています。国民のニーズとして言えば、この看護師に関しては質の担保が非常に重要だと思いますので、国の一定の関与は絶対に必要だと思っております。それに合わせて私が判断するために質問をしたいのですが、右の案の場合、「各学会等」と書いてありますけれども、実際、これに関与する学会というのはどのような学会を想定しているのか、御議論があるようでしたら伺いたいのです。
○永井座長 藤川委員、いかがですか。
○藤川委員 この議論がスタートしたのは心臓外科学会、救命学会、それから在宅もありますけれども、一番はそういう医療現場から話が起こったのです。医師不足が顕著であることから、ある程度の危険な行為もさせたいということで始まったわけで、そんなに全ての学会がこういう看護師を求めているわけではない。きちっと医師が医行為を実施する医療現場が圧倒的に多いわけです。手挙げ方式ですから、専門看護師が絶対要るという所は手を挙げればいいわけです。歴史のある学会が圧倒的に多いですから、そこは専門医制度もしっかりしているし、専門医と協力してやる専門看護師をつくるというスタンスで十分対応できると私は思います。厚労省も、専門学会指定の医療機関に投げざるを得ないと思いますし、実際の実務はそういう学会に登録した指定病院がやるようになると思いますから、システムとしては何ら問題ないと考えます。
○永井座長 学会を作るのは自由なので、その辺の整理をどうするかという問題が出てくると思いますが、半田委員、どうぞ。
○半田委員 この問題について非常に悩んでいたのですが、昨年、ある出来事がありました。ある伝統のある医学会が、突如、ある職種を作るとして、我々が反対しても誰が反対してもそれは作るというので、昨年から試験と研修を始めました。非常に高額な研修費を取って試験もやっている。そういうことがどんどん起こってくるわけで、同列にそういうものと一緒でいいのかと私は思うわけです。そうすると一定のものにして、そのための研修制度をどう考えるかと、逆流した見方をしたほうがいいと私は思います。研修制度がまだあやふやだからという話でなく、我々がちゃんと認証した上でのものを作る。そのための研修をどうするかという目的意識を持ったほうがいいと思います。そこをはっきりしておかないと、いつまで経ってもこの話は終わりがないような気がします。そういう意味においては、学会等でやるよりも、もうちょっとしっかりしたものがあるほうがいい。それは昨年の経験から強く思ったところです。
○片田委員 1つの学会が、自分で勝手と言うと語弊があるのでしょうけれども、おやりになるという発想を私たちはしているわけでなく、例えば、看護の場合は看護系学会協議会があります。専門看護師をつくってきた過程の中においても、それぞれの学会が自分たちのところでやるわけではなく、お互いのコンセンサスの中で、どのレベルをやるのかについてきちんとディスカッションをし、検証がされ、そして実行していくという認証システムなのです。それを認めていただければいいわけです。このような形で認証していくシステムを学会が作り、それを承認するという形での国家の関与は、私はあり得るだろうと思っています。おっしゃる通りで、1つの学会が勝手に作るのは危ないだろうと思っています。
 そのような中で27項目になりはじめ、あるいはもう少し減らしていくとなったときに、もちろん安全性の確保は非常に大切で、ガイドライン等を明確に出すことも大切で、研修モデル内容を示すことも大切なので、これらは厚労省に是非やっていただきたいけれども、その研修については審議会でやるべきものなのか。きちんと認められた学会群で作り上げ、国が認めたシステムにに登録されればきちんとした形になり得るというのは、他の国でもなされていると理解しています。
○永井座長 国が関与するメリットとデメリットがあると思いますが、法律の立場から山本委員に御意見を伺いたいと思います。
○山本委員 前提として、一定の研修を受けた看護師であれば包括的指示でもって特定行為ができるという法制度を定める以上は、そこで言われる研修とは何かということも、当然、法律で定めないといけないわけです。ある人が研修だと思っているから、その研修をやっていればできますという話ではなくて、飽くまで法律で、研修とは何かということも定めなくてはいけない。一定の条件を満たした研修でなくてはいけないと、法律で定めておく必要がある。しかし、そういうふうに抽象的に書いたとしても、一体、どの団体がそれを満たしているかは依然としてはっきりしないので、指定という制度を設けましょうという話だと思います。そういうふうに一般国民に対して法的な効果を持つ話ですから、国が情報を集めておくことは、それだけで世の中が動くという話ではないのですが、むしろ何か起きたときに国が確実に情報を持っていて、的確に対処できる体制を作っておくというバックアップが必要だという話だと思います。ですから、法的に申し上げれば、指定という枠組があって、国が情報を持っているというのでないと、法制度として成り立たないのではないかと思います。
 ただ、その上で、問題は指定の要件の中身です。そこのところをどれだけ柔軟にしていくかについてはいろいろ議論があると思います。むしろそこのところは実質的に議論を深めていっていただきたいと思いますが、全体の枠組みとして、指定と、国が情報を持つという制度以外は、なかなか考えづらいのではないか。先ほどの多様性との関係で言えば、むしろいろいろ多様なものが入ってくる。しかし、それでも国民に対して分かりやすいものにしなくてはいけない。多様だけれども一定の透明性を持っていないといけないときには、フレームワーク、制度は国が法令で設けることが、むしろ多様性と透明性を両立させるために必要なのではないか、そういう感じがします。
○永井座長 そのときに、認証を国がするか学会がするか、あるいは籍に書くか別の名簿に書くか、この辺はどういう理解をしたらよろしいですか。
○山本委員 籍に書くか、それとも別の形で情報を保存するかという点に関しては、両方あり得ると思います。どちらが分かりやすいかという話ではないかと思います。今の案では認証というのは入っていない。修了ですね。そこのところはいろいろな制度の定め方があるだろうと思います。つまり研修機関を指定する、修了の要件を定めるというところまで制度化して、具体的にある人がその要件を満たしているかに関しては、それぞれの指定された研修機関に判断を任せるというやり方もあるし、あるいは先ほどの案ですと、むしろ試験機関を更に指定して、そこの試験をパスすれば効果を持たせるという制度を作ることになるかと思いますが、そこはいろいろな制度の組み方があると思います。
○永井座長 そうしますと、学会が最終的に研修修了を認めることは、法的にはちょっと難しいということですか。
○山本委員 学会とは、多分書けないだろうと思います。こういう条件を満たした団体を指定するということを書いて、学会が仮にその条件を全部クリアして指定されれば、学会が行うということは考えられるかと思います。現実にそういうふうに動くかどうか分かりませんが、制度的に言えば、指定の要件を書く。ただ、これは固有名詞では書けないのです。それを学会が仮に満たせば学会が指定されるということだと思います。○永井座長 いかがでしょう。
○北村委員 民間のほうでやるのかどうかということであるとしたら、今、学会や民間でやっている認定制度は、その職種の範囲の中で専門性を高めるための認定であって、今回のものは特定医行為を拡大するような形ですよね。そういう意味ではグレーゾーンの行為をやると、それはやっていいですよということですので、正式に国の関与が必要です。それと指定研修機関についても、今、研修事業がかなりやっているわけです。その範囲の中である程度方向性が出てくるのではないかと思っていますし、研修内容や単位が関わってくると思いますので、このまま進めていただいて結構だと思っています。
○島崎委員 端的に言うと、ここの研修の義務付けを行うか行わないかに関わってくるだろうと思います。少なくとも資料3だと一定の研修の義務付けを行うこととなっている。この場合、研修を受けていない人がその行為を行ったときに、法的にどうなるかという問題がありますが、直ちに罰則がかかるわけではないということは、前回あるいは前々回の事務局の答弁でした。それでも直ちに直罰が掛かるわけではないにしても、研修義務違反にはなり、、それが続けば一定の行政処分の対象にはなり得るという説明もありました。そういうことだとすれば、それは重要な法律的効果だと私は思います。そうであれば、一定の法律効果をもたせるのであれば、研修を修了しているかどうかについて統一的に国が把握するのは、むしろ素直な考え方だろうと思います。
 更に言えば、先ほどの山本委員の御発言を聞いていて思ったのですが、確かに一定の要件を満たせば登録機関を別に定めることはできるかもしれませんけれども、国から認定された登録機関でも、それは一種の準公的な機関ということになるのだろうと私は思います。そうであれば一番素直なのは、確かに看護師籍であるかどうかについては議論があるかもしれませんが、少なくとも公の登録として何らかの名簿に記載することは、どうしても必要だと考えます。
○永井座長 公の名簿と看護師籍の違いというのは何なのですか。
○島崎委員 仮に修了何とか簿というものを、別に作ってもいいかもしれませんが、例えば臨床研修とのアナロジーで言えば、臨床研修を修了した医師に関しては医籍に登録するわけです。実際、看護籍みたいなものが全くない状態で考えれば、研修修了簿といったものを作らざるを得ないと思いますが、私が申し上げたのは、現実には看護籍というものがあるのですから、そこへ登録するのが最も分かりやすい。例えばある病院が、この人間が特定研修を修了しているかどうか確認するときに、その人が看護師としての資格を持っているかということと併せて、研修を修了しているかどうかを統一的に確認する意味からも、それが最も簡便かつ妥当な方法だと思います。
○片田委員 現在行われている専門看護師に関しては、日本看護協会で確実に認定された人のリストを公開しています。そこに問い合わせれば、いつ、どこで認定を受けたのかが明示されるし、ホームページ上でも閲覧できます。しかし、それを免許の裏側に書くだけだと誰も分からないのです。それで、登録された人と同じことをやっている人が他にもいるという状況は、私は阻止すべきだと思います。そういう意味合いで、もう少し検討が必要なのではないかと思っています。
○藤川委員 資料3にも書いてありますとおり、飽くまでも「医師の指示の下、診療の補助のうち」ということで、診療の補助行為の中の難度の高いものという位置付けを、日本医師会はしていますので、診療の補助行為から外れる医行為をさせるわけではありません。診断・治療は看護師はできないと医師法で決まっていますから、保助看法だけで議論するのではなく、医師法に抵触しないかどうかだけはきちっと押さえないといけない。保助看法を少し改正すればいいではないかという矮小化した議論ではなく、医師法の診断・治療は必ず医師が行うべきであるというところを取り違えないようにしないといけません。国民から見れば、医師に最善の医療をしてもらいたいと受診したのに看護師にされたことによって、不満や不安を感じる国民も多いわけですから、その辺も十分頭に入れておかなくてはいけない。
○太田委員 私は、かねてから国の関与が重要であることを主張してきましたが、在宅に関してだけ申し上げますと、私は在宅関係の学会にほとんど関係していますけれども、在宅医療をやっている医師は学会にほとんど加入していません。日本在宅医学会が一番オーソライズされているわけですが、そこで専門医は一握りです。学会の会員というのは医師だけの場合もありますし、看護師も学会員になれる場合もあるのですが、実際、訪問看護も含めて在宅医療に関する研修を行う場合、学会はそこまでの能力が乏しいのではないかと感じています。
○藤本委員 もう少し実務的なところから、資料5の右側を、複数の団体が登録を実施すると仮に解釈したとします。学会等民間主体ということは復数の団体が登録に携わるということになると思いますが、資料2-2の5ページのところに、これから追加の行為が出てきた場合というのがありますね。こちらを見たときに、1人の看護師が複数の領域の研修をする場合が出てくると思いました。そのときに、この人がどういった領域の研修をしたか一括して見られるものでないと、こちらの領域についてはこちらの学会、こちらの領域についてはこちらの団体というように複数の団体に問い合わせないとなりません。それでは非効率的だと思います。そういう意味では国になるのか、それとも片田委員がおっしゃった看護協会になるのか分かりませんけれども、統一した1つの所で情報が見られるようにする必要はあるだろうと思います。
○藤川委員 その問題は医師でもあるのです。専門医資格を2つ、3つ持っている場合があります。日本医師会は認証局を立ち上げています。看護師界にも普及すれば、看護師のなりすましの問題も解決します。看護師の国家資格もそうだし、専門的なものも最終的に全部入れるのです。それは学会で登録しておこうが、どこで登録しておこうが、本人がきちっと持ってやっておけばいいし、疑わしければそこの学会に問い合わせればいいわけです。全く問題なく本人の認証は、どの資格を持っているかは簡単にチェックできるようになると思います。
○山本委員 一言だけ、指定という制度を作った場合に、新たに全国に1つとか都道府県に1つという制度を作ることは、今、極めて難しい。ですから指定を求めて、ある要件を満たしたからといってどんどん団体が出てくる可能性があることを、ひとつ確認しておきます。
○片田委員 それは病院が研修施設になっても、他の機関がなっても、同じですね。
○山本委員 一定の要件を満たした所ということ。
○永井座長 制度の全部の窓口、元締の登録する所は一本だということですね。
○山本委員 登録するのは、もちろん国です。元はそうなります。
○永井座長 研修はいろいろな所でやっていいのでしょうけれども、そこの元締をどうするか。それは民間なのか国なのかという議論です。いかがでしょうか。
○宮村委員 私は、島崎委員がおっしゃったように素直に考えたらいいと思う。特定看護師をつくるとして、それをもう一遍最初から議論しろなんて言われても、今更という感じがある。保助看法さえも変えていくという。言わば国の関与がずっとあって、私なんかに言わせれば、一番最後に、それは自由に学会であれ何であれというのではなく、修了証はパッケージで全部最後まで責任を取ってくれという感じがします。
○大久保委員 もう一度、日本看護協会の考えをお話したいと思います。特定行為の特徴を考えると、安全性を担保することが、まず求められますし、それには統一化も考えて、国の関与が不可欠だと考えます。法律に位置付けて、指定研修を受けた看護師を看護籍に登録することが必須であると考えています。
 もう1つ確認というか、お話したいことがあります。資料3の2つ目の○の・の2つ目に、「指定研修の受講が義務付けられない看護師についても、医療安全の観点から保助看法上の資質の向上に係る努力義務の内容に、特定行為の実施に係る研修を追加する」とありますが、保助看法の28条の2では、全員に努力義務となってしまいます。そもそもこの議論の経緯から言いますと、本会では多くの看護師が特定行為を行うとは考えていません。ですから法律上、特定行為を実施する場合のみ研修の努力が必要であると、そういう形にしていただきたいと思います。
○永井座長 これは、「特定の医行為を行う場合は」ですね。
○簑原医事課長補佐 そういう理解です。
○永井座長 「診療の補助として特定の医行為を行う場合は」というのが抜けているということです。
○藤川委員 今、看護協会の方が言われたように、診療の補助行為として具体的指示の下で特定行為ができるとなっていますので、我々が言っている特定行為から極力危険なものを外して安全なものにして、ある程度の技術が要るというところで、一般の看護師の全体的な能力を上げる努力をするほうが、保助看法の精神に則っていると思います。看護師である以上、生涯教育を受けて、医学の進歩に付いていける看護師であり続けるというのは必要なことです。一般の看護師はしなくていいとすれば、進歩する医学には付いていけないと思います。
○片田委員 看護界はそんなことを一切思っていません。実際に看護の法律や倫理綱領の中にも、確実に自分たちで自己研鑽して努力するという部分があり、それは徹底しています。だから自立的にできること、できないことを判断してきたと思っています。特定行為の部分の研修は大切だと思います。これらの項目について、本当に静脈注射のケースのように、いわゆる局長通知のみで対応できないものかという部分も含めて、項目が減ってきたからこそ余計に検討の継続が必要だろうと思います。
○永井座長 でも、それは全く議論の最初に戻ってしまって。今、グレーゾーンがあるというところから始まっているのです。これは医行為なのか、普通の看護師が普通に行っていいのか、その間のところがあって、それが必ずしもみんなに普及しているわけでもないし標準化もされていない。結構、危ないこともある。そこから、その行為を、できるだけ現場に影響が出ないように、しかし、質を担保するにはどうするかというところが議論の始まりですので。果たして、では今まで自立的に全部判断できていたのかということも問われないといけない。
○片田委員 ちゃぶ台返しをするなと一番初めに言われましたが、ちゃぶ台返しをしているつもりは一切ないのです。状況の変化の部分とグレーゾーンに関して明確にしていただくことは、ワーキンググループで努力してくださっているので、是非、継続していただきたいと思っています。
○永井座長 更に議論は必要だと思いますが、議論は元には戻らない。グレーゾーンからスタートしているという認識は持っていただきたいと思います。
○藤川委員 議論を続けていただくのは結構ですが、可能な限り危険な行為を増やしていくということは、医療安全の立場からしないほうがいいと思います。現実に今やっていて、安全にできるけれども、きちっと研修をしておかないと危ないという項目だけに極力抑えていただかないと、日本医師会としては賛同できません。
○堺委員 たびたび藤川委員がおっしゃっているように、医療の安全の担保は非常に重要だと思います。そういう意味から、最終的な登録は国がしっかり責任を持ってやっていただければ非常にありがたいと思っています。
○小川委員 今、登録と言いますか、研修を修了している看護師の管理の問題ですよね。学会というのはもともと自主的に作ってきた会であり、現在、専門医制認定機構の中で学会の専門医の統一化を図っているところですが、有賀先生はよくお分かりのように、古くからある専門医ですら中身にはかなり温度差がある。もう1つは、日本医学会に参画している学会と、参画していない自主的な学会と、まだまだ混在している中で、学会が管理をするのはちょっと難しいかなと私は思います。例えば、弁護士になったら全員が日弁連に加入するし、ドイツでは医師になったら全員が医師会に加盟するわけです。ところが、日本は全員が医師会に加盟しているわけではないし、看護協会に看護師が全員加盟しているわけでもない。そうすると、職種別の日本医師会が管理する、あるいは日本看護学会が管理するというのも難しい。そうなると、先ほど島崎先生にまとめていただいたように、看護師資格の中に特段の職位を設けるものではないということを明確化しているわけですから、管理という観点からすれば、看護師の登録ですか、そこで管理するのが一番簡単だと思います。そういう意味では島崎先生に先ほどまとめていただいたのが、一番すっきりすると私は思います。
○永井座長 もう1つ、学会が国の干渉を好むかというところもあると思います。資料を出しなさい、どういう状況ですかということを、国が場合によっては学会を調査しなければいけない。これが本当に学会活動に馴染むかというところは、少し別の意味から懸念があるような気がします。最後に山口委員、どうぞ。
○山口委員 学会のほうも、今、第三者機関を作って学会のレベルを揃えていこうという大きな流れの中にあります。そのくらい、一定のレベルに揃えるということはなかなか難しい。そのためには相当の努力をしなければいけない。ここで求められているのは、この研修をいかに全国同じようなレベルでやるか、知識も技能も同じようなレベルに統一し、それを保証していくかという話だと思いますから、それから言うと、もちろん学会の協力は是非受けなければいけないと思いますが、それをまとめていく窓口は1つで、それぞれの領域において、温度の高い低いがないような形を整えていくことが求められるところです。そうなると、国という1つの組織がまとまってやっていかないと、1つの制度として一定のレベルを保っていくことはなかなか難しいと思います。そういう意味から、国が指導する形で学会の協力を得て、この研修体制を作っていくことが最低限必要なラインではないかと思います。
○永井座長 ありがとうございました。今日はもう時間になりましたので、この辺までにしたいと思います。大体、各委員の先生方のお考えは見えてきたように思います。できればもう少し調整したいと思いますので、更に議論を続ける必要があると思います。ただ、この推進会議も大分長い期間に及んでいますので、できましたら今年度内に報告書をまとめるということで進めたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
 最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
○田原医事課長 次回の推進会議ですが、また追って詳細については御連絡したいと思います。本日はありがとうございました。
○永井座長 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局医事課 企画法令係(内線:2569)

代表: 03-5253-1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> チーム医療推進会議> 第17回チーム医療推進会議議事録

ページの先頭へ戻る