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2013年1月31日 第9回保育士養成課程等検討会の議事録

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成25年1月31日(木)15~17時


○場所

中央合同庁舎4号館 共用108会議室


○出席者

委員

汐見座長、網野委員、上村委員、埋橋委員、倉掛委員、田中委員、藤林委員、増田委員、矢藤委員、若盛委員、渡邉委員

事務局(厚生労働省)

橋本保育課長、北山幼保連携推進室長、鈴木課長補佐、丸山保育指導専門官、今井在宅保育係長

事務局(文部科学省)

松本教職員課専門官

○議題

 (1) 「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例に関する検討会議(文部
    科学省)」について
 (2) 幼稚園教諭免許を有する者の保育士資格取得について
   ・実務経験の算定対象とする施設について
   ・実務経験年数について
   ・幼稚園教諭実務経験者が受験を必要とする科目、試験科目免除を行うために必要
    な履修内容について
 (3) その他

○議事

○汐見座長
 まだ何人かの委員がご到着ではないのですが、最初の方は確認事項だと思いますので、始めさせていただきます。
 定刻になりましたので、ただ今から「第9回保育士養成課程等検討会」を開催します。
 私もそうですが大学関係者は今が一番忙しい時期で、委員の皆さまにはご多用のところをご参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日の議事に入ります前に、事務局より、資料の確認と委員の出席状況について報告をお願いいたします。

○橋本保育課長
 お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。お手元の資料の確認をいたします。最初に議事次第があると思います。それから資料1としまして「幼稚園教諭実務経験者の保育士資格取得の検討について」という議論の前提の紙でございます。資料2は「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例に関する検討会議(第2回)における議論の論点」、資料3は「幼稚園教諭実務経験者の保育士資格取得特例について」、資料4は、大嶋委員と増田委員からご提出いただいた「保育士資格・幼稚園教諭免許及び養成課程の構造(試案)」でございます。
 それから、参考資料1として「保育士試験の実施について」、参考資料2として「幼稚園教諭免許状と保育士資格に関する資格要件の比較」、参考資料3として「認可外保育施設指導監督基準の概要」を配布させていただいています。足りない資料等がありますでしょうか。よろしいですか。
 委員の出席状況でございますが、本日は、大嶋委員がご欠席でございます。網野委員と増田委員は少し遅れておられるようです。以上でございます。

○汐見座長
 ありがとうございました。それでは、議事に入らせていただきます。本日は、前回に引き続き「実務経験のある幼稚園教諭免許所有者の保育士資格取得の特例」について、議論をしていただきたいと思います。
 本検討会は「保育士資格取得の特例」をどのように定めるかということの検討に目的を絞って開いています。お手元の資料1「幼稚園教諭実務経験者の保育士資格取得の検討について」に検討の目的、方法、内容についての文章があると思います。これをもう一度確認していただいて、このことについては既に説明されていますので、今回は説明を割愛させていただきます。昨年度いろいろな角度から、かなり議論していただきましたので、今回はそれを整理していただきます。
 もう一度確認させていただきますが、今回新たな「幼保連携型認定こども園」の職員を「保育教諭」と法的に定めております。その保育教諭については、「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・資格を有していることを原則としていますが、現実には片方しか持っていない職員がたくさんいるわけです。その片方しか所有していない職員は現実にはさまざまなところで勤務経験を有している人たちが大部分ですので、その勤務経験を評価しながら、同時にもう一方の免許・資格取得に必要な単位数等にどのような特例を設けられるかという検討を行っているわけであります。
 文部科学省においても、この検討会と同じように保育士資格は持っているけれども幼稚園教諭免許状は持っていないという人たちの免許取得の特例について検討が行われています。文部科学省の方針と厚生労働省でやっている方針とが基本のところでは足並みをそろえておかないとまずいことになりますので、その辺りも勘案しながら議論していかなければいけないということです。
 それでは、議題の一つ目「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例に関する検討会議」の状況について、文部科学省の担当者から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本教職員課専門官(文部科学省)
 文部科学省の教職員課専門官の松本と申します。文部科学省側の幼稚園教諭免許の特例の検討会を担当させていただいております。
 11月16日に「幼稚園教諭の幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例に関する検討会議」という、こちらの「保育士養成課程等検討会」の裏版といえる検討会を開催しましたので、資料2に基づいて説明させていただきます。
 幼稚園教諭免許の特例の方の検討会では、同じように保育士としての在職年数、そして、その在職年数として評価する施設の範囲、そして追加で修得を求める単位の内容及び単位数等について議論をしていただいているところでございます。
 まず、「最低在職年数」から、説明させていただきます。保育士としてどの程度の年数を勤務していれば、その在職年数を評価することが適当かという論点がございますが、会議では、3年間在職すれば、一通り保育士としての業務を経験し、ある程度の自信も持ってくる段階でもあるため、3年の在職年数を標準とすることが妥当ではないかという意見がございました。
 また、過去に勤務した年数については、今回の新たな特例制度ができてからの勤務年数を評価するのか、それとも、昔から働いていた勤務経験年数を評価するのかという論点もございましたが、これからの勤務経験のみならず、過去に勤務した年数についてもこの特例の要件である在職年数として認めてもよいのではないかという意見がございました。
 また、3年の在職年数に加えて月当たりの勤務時間についてどうするかという議論がございました。実は幼稚園教員資格認定試験というものがございまして、基本的には教員免許状というのは大学の教職課程を履修して取るものでございますが、資格認定試験という制度も設けられており、その場合、保育士として3年働いている人が試験を受けることになるのですが、1か月当たり120時間以上働いていることが条件となっておりますので、それを参考にしつつ議論したところでございます。会議の中では、月120時間という場合、保育士の勤務実態によっては1日4時間の人もいれば6時間の人もいる、8時間の人もいる。そういうさまざまな場合が考えられるため、月120時間以上という要件については慎重な検討が必要ではないかという意見が出たところでございます。
 続きまして、「勤務経験を評価する施設等の範囲」についてでございます。ここについては細かくは記載しておりませんが、幾つかのメルクマールを示して議論をいただきました。口頭で恐縮でございますが一つは、保育所保育指針に基づいた教育・保育を実施している施設。小学校就学前の幼児を対象にしている施設。一定規模の集団により継続的に教育・保育を行っている施設。そして、行政監督の仕組みがある施設。このような施設で働いた保育士としての勤務経験を考慮してはどうかという論点でございました。
 また、そのような施設単位で区切っていくのか、それとも保育士それぞれの勤務実態を見ていって判断していくのかという議論もございましたけれども、一人一人の勤務実態を把握するのは制度上難しいところも多いということもあり、ある程度勤務する施設単位で線引きをしていかざるを得ないのではないかという意見がございました。
 また、行政監督は、しっかりと質を担保する仕組みがあることが重要な観点であり、そういう意味では、認可保育所だけではなくて、認可外保育施設における保育の経験も評価してはどうかという意見がございました。このため、各都道府県においては認証制度に基づいて運営している保育所等もありますが、そのような施設も対象としてはどうかという意見がございました。
 続きまして、「大学等で修得を要する内容及び単位数」についてでございます。ここでは、幾つか議論になった具体の科目の例を示させていただいています。まず、免許状を取得するためには教養として通常であれば日本国憲法・英語コミュニケーション・体育・情報機器の操作それぞれの科目について計8単位を修得することが義務付けられていますが、このような日本国憲法や情報機器の操作については、保育士資格しか有していない人たちについても、大学を卒業していれば学んでいるのではないか。一方で専修学校卒の保育士については、教養的な科目を学んでいない場合もあって、そこについては学歴要件によって履修すべき科目内容は異なってくるのではないかという意見がありました。
 個別の話になりますが、その他に特別支援教育に関するニーズは高いということで、幼稚園教諭免許を取得する際の教育の基礎理論に関する科目の中の「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程(障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程を含む)」については履修させる必要があるのではないかという意見がありました。教育相談の知識については、保育士の現場経験から身についていると考えられるので、あらためて履修させる必要はないのではないか。また、保育の指導法については、保育士養成課程でもいわゆる5領域を扱っていることから、総論的な内要を履修させてはどうか。
 保育士は教科という観点からの知識・技能は弱いのではないかという意見もございました。幼稚園教諭の場合は小学校教諭の免許も併せて取得している場合も多いことから、そのような意見が出るのですが、一方で幼稚園教諭の方は社会的養護が非常に弱いという議論もございましたが、そういう意味では「教科に関する科目」については、少しでも履修させたらどうかという意見がございました。ここについては、また次回の会議において内容について議論をいただく予定にしております。
 その他、教職課程の科目の履修方法でございますが、既存の教職課程の科目を履修していくことを想定するのか、それとも、今回のように現職の保育士のために必要なエッセンスだけを抜き出して効率的に学んでいったらよいのかというところが会議の場で論点になりまして、ここについても次回の会議で議論することになっております。以上でございます。

○汐見座長
 ありがとうございました。議論に入る前に、今のご報告で確認しておきたいこと等がございますか。

○若盛委員
 最後の二つですけれど、次回に検討というのは、これ以後のという解釈でしょうか。

○松本教職員課専門官(文部科学省)
 ご存じのように、保育士検討会と幼稚園免許の特例会議については、ほぼ同じタイミングで会議を開催しているところでございまして、幼稚園免許の特例の会議は第3回を2月5日に開催する予定でございます。その2月5日の会議でご議論いただく予定としております。

○若盛委員
 ありがとうございました。

○汐見座長
 他に、ご質問等があればお願いします。

○渡邉委員
 一つだけ。幼稚園教諭のところで出てきた話ですが、最低在職年数の3番目のところで何時間必要かという話が出てきます。認定こども園の法律上、非常勤講師も保育教諭を持っていないと駄目という話らしいです。そうすると、保育士と幼稚園教諭のどちらかしか持っていないパート的な人も実際には保育教諭にならなければ今働いていても資格を取れないという話になってしまいます。そこに何時間という枠が入ってきたりすると、1日6時間働かなければいけないとなってくる。そうすると、1日3時間とか4時間働いている人たちは資格を取れないですよね。保育教諭は非常勤講師まで入るという法律になって、現状でやっている人たちが資格を取るというならば、パート的な人たちまで両方の免許を5年間で取らなければ働けないということだけは確認をさせてください。

○松本教職員課専門官(文部科学省)
 新しい「幼保連携型認定こども園」については、それぞれ置くべき職がございます。保育教諭や講師等です。これは学校教育法と似たような構造になっております。学校教育法も小学校に教諭を置きなさいとか講師を置きなさいとか助教諭を置ける、養護教諭を置けるというような同じ立て付けになっております。これを、いわゆる「職」と称しておりますが、この職については勤務形態についての記載はありません。常勤であろうと非常勤であろうと、その職にあるためにはその資格を有していなければいけないとなっておりますので、勤務形態にかかわらず幼保連携型認定こども園における職に就くのであれば、両方の資格が必要になるということになります。

○汐見座長
 ありがとうございました。それでは、こちらの議論も同じようにしたいと思います。
 それでは、次の議題で「幼稚園教諭免許を有する者の保育士資格取得について」です。今、文部科学省からの説明にもありましたが、論点は三つであります。一つは「実務経験の対象施設について」、どこで働いていたか、どこに限定するか。それから「実務経験年数について」、これは前回にかなり議論していただきました。もう一つは、実務経験者が試験を受ける。あるいは養成校で科目を履修する場合の科目を何にするのか。この三つのテーマです。今日は、その三つを議論したいのですが、対象施設と実務経験年数については既に議論しましたので、これを整理していただいた上で少し議論し、今日はその先の「履修を必要とする科目をどうするか」という辺りに少し時間を割きたいと思っていますので、よろしくご協力をお願いいたします。
 最初に「実務経験の対象施設について」の議論をしたいと思います。事務局から、説明をお願いします。

○橋本保育課長
 資料3をご覧いただきたいと思います。まず、三つの論点を通じた「総論」といたしまして、これまでご議論いただいた中で三つほどピックアップしております。一つは「保育士資格取得特例」ということで、これはあくまでも期間を限った措置であるという前提の下での検討ということであります。
 それから、保育士資格と幼稚園教諭免許の取得特例について、取得に必要な履修時間等に関して双方のバランスを取る必要があるということ。
 三つ目としまして、幼稚園免許更新のための30時間の履修時間というものがありますが、これもその履修時間を確保することが大変であるというのが現状でございますので、それを踏まえて履修方法や時間について検討する必要があるといった点が概ね全体を通じた意見であったと思います。
 それで、最初の議論の論点であります「実務経験の算定対象とする施設について」でございます。これまでの主な意見でございますが、一つは「幼稚園、保育所、認定こども園、へき地保育所、小学校・放課後児童クラブ」といったものが算定対象施設として良いのではないか。それから、小学校教諭としての経験は実務経験に含めなくてもよいのではないか。
 また、「幼稚園以外の幼児教育を行う施設等」は算定対象から除くべきではないか。
 「認可外保育施設」の場合は、保育指針に沿っているか、指導監督の状況などを考慮して個々に検討が必要ではないかといったご意見が出されていたと思います。
 前回の検討会におきまして、座長から議論の整理についてコメントをいただきました。「認定こども園(保育所型、地方裁量型)の幼稚園機能部分」「特別支援学校幼稚部」「小学校・放課後児童クラブ(人事交流によるもの)」「保育所」「認定こども園(幼稚園型、地方裁量型)の保育機能部分」「へき地保育所」を算定対象とし、「幼稚園以外の幼児教育を行う施設」は対象外としてよいのではないか。
 それから、認可外保育施設は、指導監督の仕組みの中で、どの程度指導監督が行き届いている施設なのか。保育所保育指針に則って保育を実施していたところなのかどうか。そういった点からの検討が必要ではないかといったところでございます。
 2ページ目でございます。主な意見を踏まえた算定対象施設の考え方でございますが、まず一つ目としまして、幼稚園における実務経験を評価した保育士資格取得特例として、資格取得に必要な単位を軽減することになりますので、保育所での保育内容と共通性の高い「幼稚園教育要領」又は「保育所保育指針」に基づく教育・保育を実施している施設を算定対象施設とするという考え方でございます。
 認可外保育施設については「保育所保育指針」に準ずる保育を行っているものとして、認可外保育施設指導監督基準を満たしていることが確認できる施設を算定対象施設とするといった考え方があるのではないか。
 さらに、具体的に整理してみますと、?は、保育所、幼稚園及び認定こども園は、「幼稚園教育要領」又は「保育所保育指針」に基づく乳幼児を対象とした教育・保育を実施しているということで、算定対象施設としてはどうか。
 ?として、特別支援学校幼稚部及びへき地保育所も「幼稚園教育要領」又は「保育所保育指針」に準ずる教育を実施しているということで、実務経験の算定対象施設としてはどうか。
 ?として、認可外保育施設は「保育所保育指針」に準ずる保育を実施することとされていますが、実施形態がいろいろあるため、実務経験の算定対象施設とする認可外保育施設は、次の条件をいずれも満たす施設としてはどうかということで、一つ目が認可外保育施設指導監督基準を満たしていることが確認できる施設。二つ目としまして、一定規模の集団により継続的に保育を行うことを目的としている施設ということで、一時的な利用や夜間の利用を中心とする施設は除くということでどうだろうかということです。なお、※印にありますように、幼稚園併設型認可外保育施設については、幼稚園と一体の施設として指導監督を受けていますので、これも算定対象施設とするということです。
 ?としまして、小学校や放課後児童クラブは人事交流等によって出てくる部分でございますが、これについては二つのポツを並べています。対象児童の年齢及び幼稚園教育要領に準じた教育が実施されていないと考えて実務経験の算定対象外施設とすると考えるか、それとも、二つ目のポツにありますように教育・保育の連携という人事交流の趣旨から、一律に対象外施設とせず、必要とする実務経験年数を例えばこれを二つ目の議論でいたしましたように3年としたときの、そのうちの一定の期間、例えば1年だけに限定した上で実務経験の算定対象施設とするかといった整理の仕方が考えられると思います。説明は、以上でございます。

○汐見座長
 ありがとうございました。対象施設の問題に限定してご意見をいただきたいと思います。今、ご説明いただいたことについての質問も含めてお願いしたいと思います。
 その前に、本日は大嶋委員が欠席ですが、事前にご意見をいただいておりますので、それを読み上げさせていただきます。
 実務経験の算定対象とする施設については、「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」に基づく教育・保育を実施している施設を基本とするというものです。従って、?の「小学校・放課後児童クラブ(人事交流によるもの)」は、対象外とする。すなわち「小学校・放課後児童クラブ(人事交流によるもの)」のみでの実務経験者については、経験年数として算定しないというのが大嶋委員のご意見です。
 今のご説明では、?に二つのポツがあって、両論併記の形になっていますけれども、そのうちの上の方ですね。人事交流であったとしても、幼稚園教育要領に則った教育・保育の経験ではないということで、今回は対象外にするというご意見です。
 それでは、自由にご意見をお願いいたします。ご意見をいただきたいのは、四つに整理していただいて?保育所、幼稚園及び認定こども園、?特別支援学校、?認可外保育施設、?小学校ということで、非常に分かりやすくなりましたが、?だけは外したらどうかということです。それから、?の認可外保育施設については、別にある指導監督基準に則っているということが証明されれば算定対象としてよいのではないかということです。
 何か、ご意見がありますか。

○上村委員
 大変分かりやすく整理していただいているのではないかと思って読ませていただきました。本会としては、今までここでの前提として両方の資格・免許の取りやすさはバランスを取るべきであり、これまでの実務経験を評価し、なるべく取りやすくするべきであること、また、今回の検討は時限措置であるということを述べてきましたが、今回それらについては確認していただいているので、よかったと思っています。
 保育士の専門性ということは後ほど述べさせてもらいます。また、その際、保育士資格のみ有している方も、幼稚園教諭免許をのみ有している方もお互い応用する力があるということも後ほどお話しさせていただきたいと思います。
 3番の検討内容について、???については今、ご説明があったように本会としては対象施設とすることでよいと思っています。?については、特に放課後児童クラブには保育所保育指針に沿った内容の「放課後児童クラブガイドライン」が策定されており、それに沿って運営されていることからも、一律に算定対象外とするのではなく、2番目の案に賛成です。例えばガイドライン等に沿って保育していれば、3年の経験があれば1年の実務経験として換算しても、よいのではないかと思っています。以上です。

○汐見座長
 今のご意見を少し整理しますと、今日提案していただいた???については、この案どおりでよろしいのではないかということで、?については、3年のうちの一定の期間、例えば1年に限定して、それを実務経験の算定対象とする。そうすると、3年だとすると9年ということになりますね。そういう計算でしていってはどうかというご意見ですか。

○上村委員
 はい。

○汐見座長
 ありがとうございました。どうぞ、ご意見をお願いします。
 前回、網野委員は議論には参加されていませんが、このような形で整理していただいたので、これについてご意見がありましたら、お願いします。

○網野委員
 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私も前回の議事録や今回の資料を読みまして、概ね了解できるところですが、今お話のありました放課後児童クラブに関しては、まさにおっしゃるように国の基準も作っていますしガイドラインも作っていますし、今度は子ども子育て関連3法で、これをさらに充実強化ということで今新たな基準づくり、ガイドラインづくりに入っていますので、内容としては保育という部分で関連性が高いと思います。「保育教諭」となるための暫定措置として考えた場合、本来保育士は18歳未満の子どもを対象としますので、放課後児童クラブの子どもたちに対して保育士の業務的な役割を果たすというのは、たくさん含まれているのですが、その場合「幼保連携型認定こども園」の保育教諭になるということで、このことを考えた場合には、かなり志向する人が限られる可能性があります。それにしても学童期以上の子どもの関わりについての深い理解というのは、資格を取得する上で非常に重要ですが、放課後児童クラブそのものを実務経験の算定対象とするかということについては相当議論があると思いますので、先ほどお話のあったような趣旨で何らかの条件付きということで含めてよろしいのではないかと思います。

○汐見座長
 下のポツに近いご意見ですね。その前に確認させていただきたいのですが、?の「人事交流によるもの」というのが条件として付いています。これは人事交流ではなくて初めに学童と保育士資格のとありますが保育所には勤めないで学童指導員でずっと勤めていて、しかし、この機会にという人は入らないということになるのですか。

○橋本保育課長
 事務局からお出ししました資料は、これまでの議論の中で出ていましたのが幼稚園で勤務あるいは保育所で勤務していた人の中で、例えば公立の人などで小学校に人事交流で一定期間行ったり、あるいは放課後児童クラブに一定期間行っていただいたりというケースもありますので、そういうところを救済しなくてよいのかという脈絡で出てきたと思っています。そこのところは、この資料の意味としてはそういう趣旨でございますが、そこは踏まえていただいた上でご議論いただければと思います。

○汐見座長
 そうなると、またややこしくなりますね。ごまかすこともできます。その辺はもう少し考えてご意見をいただきたいと思います。今のところは下のポツの方の意見をとるということですね。お願いします。

○田中委員
 ただ今の、特に放課後児童クラブに関しては、自治体によって実施方法がまちまちだと思います。直営でやっている場合もあれば委託のところもありますし、補助でやっているようなところもありますので、中身の水準がある意味一定しないだろうと思いますので、基本的には経験であればどこでもということよりは、人事交流とかある程度縛りをかけた方がよろしいのではないかと思います。
 もう一つ、認可外保育施設の指導監督基準を満たしていることを確認できる施設という部分も、かなり職員の配置など変動要因がある。指導監督をしている立場で言うと、毎年のように基準を全て満たすのかどうか。ここも質のところがありますので、確定後2年程度連続であるなど何らかの縛りがあった方が質を一定水準で確保するという意味では確認をとる必要があるだろうと思います。

○汐見座長
 自治体によって実務管理の様子もさまざまなので、ガイドラインに従ってきちんとチェックしているところもあれば、読んだこともないところも多分あると思いますので、例えば「人事交流の一貫として」という縛りをつけておかなければいけないということですね。「人事交流によるもの」はそれなりに意味を持っているということになりますが、その場合に下のポツのような形でやるということです。意見が出にくいですか。

○渡邉委員
 私も???はこのまま認めていく方向で、できるだけ裾野は大きい方が良いと思いながら、?はどうしても考えてしまいます。。横浜市の場合だと社会福祉法人が放課後児童クラブの運営を募集していたり、認定こども園的なところが学童保育をやっていたりという園もあります。そういうことをやっている園だと人の配置によってあそこに人が足りないから向こうに行ってとか、それも教育が分かっていて、幼保も分かっている人たちがほしいという話になると下のポツの方が良いのではないかと思います。ただ、その一方で認定こども園で幼稚園や保育園、乳児だけの話でいけば、別に小学校の学童クラブまで入れなくてもよいのではないかと思ったりします。幾つかの園で認定こども園プラス学童保育までやろうという園が出てきているところがあるとすると、辞令的に「あなたは学童に行きなさい」と言われている人たちが、幼稚園教諭免許を持っていて保育士を持っていないから学童に行きなさいと言われたら、その人は保育士資格を取れない。取れないということは、今度、その園や法人が認定こども園になってしまったら資格がないから戻れないという話になる。そう考えると何らかの救済方法を持っていた方が良いのではないかと感じていました。

○汐見座長
 今のご意見は、人事交流は公立の場合はそういう形で分かりやすいのですが、地方の都市に行くと社会福祉法人が学童保育も併設していやっていて職員がそこで回っていることもあります。そういう場合は人事交流と似たようにやらないと非常に人事配置に不便が生じるのは間違いないことですので、「人事交流によるもの等」にするという形でしょうか。救済しなければいけないのではないかというご意見です。
 意見が出にくいようですが、暗黙の了解として???はこれでよろしいのではないかということで先に進むということで、?については、今のところ全部外してしまうというよりは一定の条件をつけた上で少し救うという方が合理的ではないかという意見が多いということです。そのように確認した上で、また後で思いついたことがあれば、お願いします。

○増田委員
 今、座長がおっしゃったとおりですが、先ほど田中委員から実際の行政で指導監督に当たって、しかも横浜はかなりの数の状況を実際につかんでいらっしゃるというお話の重み、あるいは他の地域におきましてもかなり?についても差があるし、認可外施設についても先ほどおっしゃった連続して継続性というところはとても重要な要素だと思います。ですので、基本的には?の?は認めるのですけれど、そこにどういう形で条件を加えるかというのはさらに検討する必要があると思いますが先ほどの田中委員の観点に配慮しながら実際の文を作っていただきたいと思いました。
 放課後児童クラブ等についても、今はとてもニーズが高くてそれに応えるのにひたすら一生懸命さまざまなところが取り組んでいるという状況の中で、今回二つ目のポツにあるようなことは重要だと思います。これについても、示し方によってはいかようにもとれてしまうところも出てくると思いますので、ここにある「3年のうちの一定の期間」という具体的な例示も必要かもしれない。基本的には??、??。特に?と?についてはかなり条件をしっかりと示した上で、ということを申し上げたいと思います。

○汐見座長
 ?のところは、実際上はそんなにたくさんいらっしゃるわけではないと思います。実際には保育所で何年か勤めている人しか出せませんし、ですから2年で出した人しか問題にならない。3年勤めたら、それでよいわけですから、そんなにたくさん対象者がいるということにはなりません。その場合に、こうやって縛りをつけて救うということでよいのではないかということだと思います。

○渡邉委員
 ここの議論とは少し外れてしまって申し訳ないのですが、公立の小学校と公立の幼稚園が人事交流するといったときに、小学校と幼稚園の免許を持っている人が多いから小学校から幼稚園というのは人事異動で来られるのですが、その人たちが保育士資格を持っていなかったら認定こども園では講師にもなれないとなると、そういう交流ができなくなるという問題が起こってくるのではないかというのもあったりします。ここで議論する話ではありませんがせっかく小学校の先生が幼稚園に行ったり幼稚園の先生が小学校に行くようになったのは小学校の教諭免許を持っていれば可能だったと思いますが、保育士の資格があるかどうかで人事交流ができるかどうかということも起こってくると今感じたので付け加えさせていただきました。

○汐見座長
 教育施設に勤めるときは、その資格が原則必要だということですから、下手をすると、あまり変にやってしまうと、ここでやったら資格を取れるぞという抜け道をつくってしまうような感じにならないようにということもあります。今日のところの大体の合意ということでは、多少の附帯意見はございましたが???について基本的にはこうで、?についても、そういうケースも十分あり得るということで、数は多くないにしてもそういう人たちを運んでいくということにしないと非常に職場で困るところが出てくるだろうということです。ですから、下の方のポツで表現の仕方をもう少し勉強しなければいけないかもしれません。今は例として出ていますが、その方向で考えていくということで今日のところは了解したということで進めたいと思います。また、思いついたことがありましたら、ご意見をお願いします。
 今日はカリキュラムの検討をしたいと思いますので、次に進めます。「実務経験年数について」の検討に移りたいと思います。この点について事務局からご説明をお願いします。

○橋本保育課長
 それでは、先ほどと同じ資料の3ページをご覧いただきたいと思います。これまで出されていた意見としましては「経験を積んだ施設の種類や幼稚園教諭免許の免許種別によって、実務経験年数の差をつけるか」という議論もあったのですが、それは設けない方が良いのではないか。それから、「何年前の勤務経験まで認めるのか」といった検討も必要ではないか。必要な実務経験年数は「3年かつ4,320時間」あるいは「4,320時間」とすることが適当ではないか。このようなご議論が出てきたと思います。前回も座長から議論の整理のコメントをいただきまして、幼稚園教諭免許の1種・2種・専修の種別と幼稚園等の施設の種別によって、経験年数に差を設けない。「3年かつ4,320時間」にするか「4,320時間」にするのかについては、もう一度議論を詰めるといった整理のコメントをいただきました。
 本日お示しする考え方でございますが、算定対象施設を、「幼稚園教育要領」又は「保育所保育指針」に基づく教育・保育を実施している施設とする場合、教育・保育等の内容に共通性が高いということで、経験を積んだ施設の種類によって、実務経験年数の差を設けない。幼稚園教諭免許を有して、幼稚園等の算定対象施設で勤務した経験を評価することとして、免許種別による差は設けない。保育士試験の特例を適用するためには、幼稚園教諭免許として一定の経験を得ていることに加えて、幼稚園教員免許の取得特例との均衡を考慮して、3年間の実務経験を必要とする。非常勤職員等で勤務日数が少ない方もいらっしゃいますので、保育士試験の実務経験の基準と同様ですが、6時間×20日×3年つまり36か月で4,320時間という条件を加える。仮に勤務期間の条件は付けずに、「4,320時間」という条件のみを特例適用の条件とする場合には、例えば1日に9時間、8時間の通常勤務プラス1時間の超過勤務といったことが考えられますが1日9時間×20日それで24か月勤務しますと4,320時間ということになります。従いまして、常勤者で少し長めの勤務を2年間続けますと2年程度で条件を満たすことが可能となってきますので、「3年間」と「4,320時間」の双方を満たす。「または」ではなく「かつ」という条件が必要ではないかといったところがこれまでの議論を通じた考え方ではないかと思います。そこで具体的な案でございますが、経験を積んだ施設の種類や幼稚園教諭免許の免許種別により、実務経験年数の差は設けないこととし、必要とする実務経験年数については「3年かつ4, 320時間」としてはどうか。一番上の二つ目のポツで何年前までの勤務経験まで認めるのかという議論もございましたので、そこについては保育士試験又は幼稚園教員認定試験では、受験に必要な実務経験についての有効期限を設けておりませんので、本特例でも同じように、勤務経験に有効期限を設けないということでどうかといった形で整理をしております。以上です。

○汐見座長
 ありがとうございました。前回の議論を踏まえて、さらにいろいろな角度から検討して付け加えた上で、非常にシンプルに「3年かつ4,320時間」としていつの勤務経験かという辺りについても条件を設けないということで、ある意味シンプルに出してはどうかというまとめをしていただきました。今の説明に対するご質問でも構いませんので、この案についてご意見をお願いします。
 なお、大嶋委員からは非常にシンプルに「3年かつ4,320時間に賛成です」といただいています。かなりこれは前回も議論しましたので、どうぞ。

○上村委員
 文部科学省の会議の検討である保育士資格のみ有する方が幼稚園教諭免許を取得する際に求められる実務経験年数とのバランスを考えて、前回は時間のみで4,320時間とするべきという意見を述べさせてもらいましたが、一定の経験を得ていることおよび、文科省側の検討会とバランスを考慮すると書いていただいているので3年かつ4,320時間でよいと考えます。

○汐見座長
 2年で9時間は労働時間でいくとあれですが、こういうのは一連の周期でこうなっていくという経験が大事だということで、3年間でOKを出したという経験を持っていることは意味があるという含みもあると思いますが、3年かつ4,320時間で出したらどうか。これに対してはそれでよろしいのではないかというご意見だったということです。これについては、あまり異論はなさそうですが、よろしいですか。

○網野委員
 3年かつ4,320 時間に全く私も賛成です。その場合、3「具体的な実務経験年数の検討」の2番目のポツですが有効期限を設けないというのはこれでよろしいかと思いますが、現実に今、保育士は本当に不足していて、特に自治体によっては相当積極的に再雇用制度を広げようとしています。それでも難しい面がありますが、現実に相当現場から離れた方が職に戻るということと関連する部分があると思いますので、現実にも幼稚園の先生をして結婚して子育てに専心して例えば保育サービスを受けたりという中で、この分野も非常に関心がある。場合によってはこのようなシステムがあるのなら、ぜひそういうことで保育士の資格も取りたいという人にとっても一つの道として開ける部分もあると思います。そういう点で言いますと、特に再雇用的な部分と関連しますと、これを仕組みとして作った場合に実際に採用に当たるというか、そういう流れの中で何らかの通知を出す場合に必ず新規の初任者研修的なものを義務付ける。努力義務ではなくて、できればそれを適用させるということまで配慮した進め方にしてはいかがかと思います。

○汐見座長
 今、大変現実的には大事な論点だと思いますが、それをこの委員会でやるかどうかという問題があると思いながら、私はこれをやるときには保育指針が変わる以前に仕事を辞めていたという人、独学で勉強をやっていた人はどうなるのだろう。そういうことの方が心配で全く保育原理など変わってやったことがないという人には初任者研修的なものがないと分からないということがあります。

○橋本保育課長
 この特例の議論とは直接関連しないかもしれませんが、今般、補正予算の編成がございまして、その中で保育士の確保対策が幾つか含まれました。その中の一つとして潜在保育士、一度辞められた方の復帰を促していくことが非常に重要だということで、マスコミ等では処遇の改善が大きく出ておりますが、それ以外の保育士・保育所支援センターと呼んでいるもので、いろいろなマッチングでつなげていくという取組。それから、そういった再就職をしていく方々に対する研修や園の管理者側からどういう人事管理をすればそういった再就職の方々に復帰してもらいやすくなるかといったことを園にアドバイスをするなど、いろいろなメニューを盛り込んでいます。それぞれの自治体の事情に応じて取り組んでいただくことになりますが、そういったカムバック組の方々が職場に復帰するのを円滑に進めていただくためのいろいろな面での環境整備。これはこれで一つの人材確保策として全体として進めなければいけない。そういった状況に取り組みつつあるということをご紹介だけさせていただきます。

○汐見座長
 今年度の補正予算482億円の中に再雇用のためのシステムづくりを支援するというのがありますので、今の網野委員の意見の中身を含むと、これについては簡単な報告書ができるわけですので、そこに一言そういうことについて配慮していただきたいということを書き込むことを考えてもよいかもしれません。

○増田委員
 今、課長からご説明がありましたところに私も若干関わっているところがありまして、実感として、これから資格を持っていて入ろうかという方の中に、汐見座長がおっしゃったように新たな指針あるいは現状に即した形での保育士としての役割は具体的レベルでは理解されていないということを、関わることで実感します。ですので、制度そのものに触れることはできないにしても、今のような附帯事項のような何か一言私も必要なことだと思います。それが保育の質を下げないということにもつながるのではないかと思います。

○汐見座長
 今のご提案は厚生労働省あるいは国の進めている再雇用のための施策とぴたりと重なっていますので、無理なことを要求するという形ではないので、一言書いておくことがここにも示すことになると思います。そういうことを前提で勤務経験の有効期限は設けないということで、網野委員よろしいでしょうか。他に、ご意見がございますでしょうか。

○渡邉委員
 「3年かつ4,320時間」でよいと思っています。ただ、文部科学省の会議で話したときに保育園の方が絶対に1時間とか2時間とか朝だけとか夜だけとか、そういう非常勤的な働き方をしている人たちが多い。そのような人たちが幼稚園教諭免許を取らなければいけないという場合、4,320時間は結構ハードルが高いという感じを持っています。その整合性をとるのかとらないのか。ただ、経験とすれば幼稚園でも保育園でも4,320時間ぐらいが必要だという気持ちを持っています。、実際にはパートで保育士しか持っていないけれども幼稚園教諭免許を取らなければいけないという人が出てくるときに、このハードルが高くなるのではないかという懸念を持っています。、その辺がどうなのかと思っています。

○汐見座長
 これはどうですか。若盛委員も同じことを考えますか。

○若盛委員
 子どもの質を高めていく上では必要な経験も伴ってくるのではないかと思っています。ただ資格を優先させることだけではないと思っています。

○汐見座長
 国がここまでやっていて、この水準までの経験を求めるというある種の国の見識を示すことになりますから、5年間でそれを取ればよいわけですから、文部科学省側と足並みをそろえてもよいと思いますが、厚生労働省側としては3年間かつ4,320時間ということで一応合意したという形で進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、今回はこれを少し議論していただきたいのですが、実務経験者が受験する場合あるいは履修する場合に必要とする科目の検討であります。これについて、事務局から説明をお願いします。

○橋本保育課長
 それでは、資料3の4ページを開いていただきたいと思います。こちらの検討会でこれまでの意見の整理をしていますが表になっているところをご覧いただきますと、試験科目・履修科目を順に上からご覧いただきまして、一番右側の欄に「各委員の意見」ということで例えば「社会福祉」については免除してもよいのではないかというご意見と、これは履修が必要ではないかというご意見の両方が出てきている。「相談援助」については免除してもよいのではないかというご意見がこれまでの中では出てきている。そういう趣旨でここのところは書き分けています。ですから、両方の立場からの意見が出たところは両方並べておりますし、片方からの意見が出たところはそれだけが書いてあります。そういう意味で申し上げますと、「社会福祉」については両方から、「相談援助」については免除という趣旨のご意見、「社会的養護」については必要というご意見、「社会的養護内容」の演習については免除という趣旨のご意見、「児童家庭福祉」については両方からのご意見、「家庭支援論」についても同じでした。「子どもの保健?」につきましては必要だという趣旨のご意見、「子どもの保健?」の演習につきましては両方の立場からのご意見がありました。「子どもの食と栄養」も両方からのご意見がありました。「保育原理」については免除でよいのではないかという趣旨のご意見、「乳児保育」については必要だという趣旨のご意見、「保育相談支援」については両方の立場からのご意見、以下の科目につきましては免除してもよいのではないかというご意見でした。
 それを少し具体的に申し上げますと、その下の方になりますが、「社会福祉」と「児童家庭福祉」のいずれか1科目を履修すればよいのではないかという趣旨のご意見がありました。それから、「相談援助」については保護者の相談に応じた経験を踏まえて免除してよいのではないかというご意見がありました。「社会的養護」については、保育士として児童養護施設等で働く可能性があるため、履修が必要ではないかというご意見。それから、被虐待児は9割が地域で暮らしている。また、児童福祉施設で働く者として履修が必要ではないか。こちらも履修が必要という趣旨のご意見だと思います。「社会的養護内容」については演習科目ですので、実務経験を考慮してもよいのではないかという趣旨のご意見。5ページ、「家庭支援論」と「保育相談支援」ですが、保育士としての専門的役割を修得するための科目なので履修が必要ではないかというご意見と、逆に幼稚園の勤務経験により、相談支援・家庭支援を経験するため免除してよいのではないかというご意見がありました。「子どもの保健I」「子どもの保健?」「子どもの食と栄養」ですが、「子どもの保健I」「子どもの保健?」につきましては、子どもの保健は衛生面や生命保持の観点から履修が必要ではないかという趣旨のご意見。「子どもの保健?」と「子どもの食と栄養」の関係については演習科目であるため、実務経験を考慮してもよいのではないかというご意見。「子どもの保健I」「子どもの保健?」「子どもの食と栄養」全体を通じて幼稚園で2~3年勤務している間に、園児の感染症対応、弁当の対応、健康への対応も経験していることに対する評価が必要ではないかという趣旨のご意見もございました。「乳児保育」につきましては、幼稚園では乳児に接する経験がないため、履修が必要ではないか。試験科目の「保育原理」は、「乳児保育」を履修することで免除できるのではないかというご意見。「障害児保育」については、特別支援教育として学んでいることを考慮して免除してよいのではないか。演習科目であるため、実務経験を考慮してもよいのではないか。「保育内容総論」「保育内容演習」「保育の表現技術」については、実務経験を考慮して、免除できるのではないかというご意見がありました。
 今度は整理の考え方でございますが、幼稚園勤務による経験等を考慮しまして、まず試験科目からいきますと、「保育実習理論」の受験を免除してはどうかという一つの整理が考えられるのではないかと思います。それから、「保育実習理論」以外の受験科目については、次の科目を履修することで受験を免除することを検討してはどうか。その次の科目でございますが、?から次のページの?まで幾つか考え方を並べております。まず、?としまして幼稚園での勤務では経験できない「乳児保育」は必修としてはどうか。?として特例により取得した保育士資格であっても、乳児院や児童養護施設などの児童福祉施設において保育士として勤務することが可能となるので、「社会的養護」は必修としてはどうかと考えております。?-1・?-2は両方書いていますけれど、「家庭支援論」の取扱いが違っております。?-1は幼稚園の勤務の経験などを考慮して「保育原理」及び「相談援助」については、履修を免除し、「家庭支援論」については必修としてはどうか。?-2は、「保育原理」と「相談援助」及び「家庭支援論」については履修を免除してはどうかというか。?については、「子どもの保健?」と「保育相談支援」の取扱いが1と2で違っております。?-1は演習科目の「社会的養護内容」及び「障害児保育」については、実務経験を考慮して免除し、「子どもの保健?」と「保育相談支援」については必修としてはどうか。一方、?-2は演習科目である「社会的養護内容」「子どもの保健?」「保育相談支援」「障害児保育」については、実務経験を考慮して履修を免除してはどうかという整理でございます。?は幼稚園での勤務により、感染症や疾病の対応及び食事に関する関わりを経験しているので、「子どもの保健I」と「子どもの食と栄養」については、実務経験を考慮した内容としてはどうか。?幼稚園での勤務により、幼児教育機関として子育て支援機関や家庭との連携などを経験していることから、「社会福祉」と「児童家庭福祉」については、実務経験を考慮した内容としてはどうか。?と?は考慮した内容ということで通常のカリキュラムよりも少し簡素化した内容の考え方がされたと思います。
 以上の?~?までの考え方を再度具体的に整理したものが下の表でございます。これについて、あらためて申し上げたいと思います。案1は履修が必要というご意見があった科目。それから、履修が必要というご意見と免除してもよいのではないかという両方のご意見があった。両方のご意見があったものは全て履修が必要という方向に盛り込んだものが案1でございます。従って、整理の仕方でいきますと2の?・?・?-1・?-1に基づく案ということになります。この案の場合は合計して18単位が必要となります。
 案2の方は、履修が必要というご意見があった科目と履修が必要、免除してもよいのではないか。両方からの意見があったものと、この科目の中で免除してもよいのではないかというご意見もあった演習科目の一部と「家族支援論」を免除としたものでございまして、考え方としては2の?・? ・?-2・?-2という考え方に基づく整理の案でございます。この場合は14単位ということになります。
 案3は、案2の整理の仕方に加えまして先ほど見ていただいた?に書きましたように「子どもの保健I」と「子どもの食と栄養」については、実務経験を考慮した内容としてはどうかという考え方によりまして両科目を学びながらも単位数を減らした場合の履修内容でございます。この場合ですと案2で「子どもの食と栄養」が2単位、「子どもの保健I」が4単位になっていますがこれを整理して2単位という形に整理し直すもので全体としては10単位となります。
 案4は、案3に加えまして先ほどの?に書きました「社会福祉」と「児童家庭福祉」は、実務経験を考慮した内容としてはどうかという考え方により、この二つの科目を学びながらも単位数を減らした場合の履修内容でございます。この場合は、「社会福祉」が2単位、「児童家庭福祉」が2単位となっているところを合わせて2単位という形に整理しますので合計8単位となります。各委員からいただきましたご意見を基に案1~4まで幅のある形で具体的な検討内容をお答えさせていただきました。
 7ページをご覧いただきますと、履修パターンごとにどれぐらいの受講時間が必要になるかを例示しております。コマ数や時間数は必ずしもそれぞれのところで同じとは限りませんが、本検討会の第5回のときに矢藤委員から開講時間数についての試算という資料をいただきました。その資料や各大学での開講状況などを基に受講時間の例を作成してみたものです。これをご覧いただきますと、例えば通学課程による履修ということで考えてみましたときに案1では合計180コマ、仮に1日4コマ履修するとして約45日間。案2でいきますと34日間、案3ですと23日間、案4ですと19日という計算になります。通信課程で履修するケースを考えてみますと、独習+レポート+試験+面接授業と考えたときに、独習・レポート・試験のところは回数が違ってまいりますが、面接授業のところだけを見てみますと案1の場合は約6日、案2の場合は約4日、案3・案4の場合は約2日という計算になってくると思います。説明は以上でございます。

○汐見座長
 ありがとうございました。少し頭を整理しながら、どういう案が今整理されて出てきたのかをもう1回頭の中で整理していただきたいのですが、一応これまでの意見を勘案すると四つぐらいのプランになるのではないかということです。単位数で言うと分かりやすいのですが、18、14、10、8。その中で全部なくしてしまうとまずいので、いわゆるシラバスを例えば通信添削で取るような場合のシラバスを別に学べるということを含んでいます。それを中身を決めなければいけませんが、そういうことも含めて単位でいうと、こういう四つの案になるのではないかというご提案です。認識を一致させるために、ご自由にご質問・ご意見をいただきたいと思います。お願いします。
 
○藤林委員
 ここではないのですが「相談援助」のところで、保護者の相談に応じた経験を踏まえて免除してよいのではないかと確かそういうのがあったと思いながらも、このように書かれてしまいますと、ソーシャルワークの重要性を一貫して主張してきた者としては少し抵抗があると思っているのと、「社会福祉」と「児童家庭福祉」は「社会福祉」の科目では制度政策論も含めた形で入ってくる場合が多くて、この三つの科目の中で現場経験だけで学習できないとすると「相談援助」ではないかという印象を持っております。つまり、昔よく上智社会福祉専門学校に行ったときに保育科の学生が言っていた「自分は友だちから相談を受けやすいからソーシャルワーカーだ」と。素人の相談を受けることとプロとして相談を受けることがごちゃごちゃになっている危険性が往々にしてございますので、3科目の中で重視するのであればソーシャルワーク系を重視していただきたいという意見を述べておきます。全面的に覆すということではありませんが、一応述べさせていただきます。

○汐見座長
 具体的に、今出ている案の中でここは復活した方が良いのではないかというご意見はございますか。

○倉掛委員
 四つの案を並べてみて、こういう第5の案はどうかという意味で、藤林委員がおっしゃったものと近いのですが、保育士の専門性なり業務を考えたときに、児童の保育と保護者に対する保育指導が入ってきているということ自体が新しい保育指針や新しい養成課程の中で、昔の方は知らないで現場で保育している保育士も実際にあるような状況の中で、ここは何らかの形で全部免除してしまう第2案、第3案、第4案は「家庭支援論」も免除「保育相談支援」も免除ということになりますと、私としては抵抗があったものですから、?の「家庭支援論」は講義ですから単位は2でしょうが、ここに仮にできるのであれば1単位、例えば?と?の「子どもの食と栄養」「子どもの保健I」を合わせて6単位を2単位にするという案も出ているので、いわゆる合わせ技ができるのでしたら1単位だけでも入れて、演習という?の「保育相談支援」は実際上保育指導に該当する部分だと考えていくと、ここも1単位ぐらいは何らかの形で入れていただくと、第4案に対して2単位だけ増えた合計10単位で、数としては案3に近いのですが、そういったことも検討していただけたらと思いました。一つの案としていかがでしょうか。

○汐見座長
 ありがとうございました。「家庭支援論」と「保育相談支援」というのは改定でも比較的新しいカリキュラムです。10年ほどしか経っていませんので、以前の方はあまり勉強していない。保育士自体もそうです。ですから、ここは少し単位数を減らして履修内容を絞ってでも残してはどうかというご意見です。網野委員、お願いします。

○網野委員
 今のお二人の委員のご発言は、私も主張したいと思っていたところです。現実につくづく感じていますことは、多くの養成校では幼稚園教諭の免許と保育士の資格を併有できる学校が多い。その場合、幼稚園に就職した場合でも「家庭支援論」「保育相談支援」を学んでいるということは反映されるわけです。この効果は明らかに違ってきていると思います。今の教員養成課程の中では、このような視点の科目なりカリキュラムが欠けていることは間違いないと思います。
 一つだけ簡潔に例を申し上げますが、大学院のゼミで学生は非常に社会人の入学が多いのですが、幼稚園の教諭、保育士・主任保育士という方が大学に来て、私は主にこの分野を集中的に教育研究を進めていて、ゼミを開いている場合むしろ幼稚園教諭の方が本当にこれを学んでいないということを学生も実感しています。どんなに幼稚園で子どもや保護者と関わったりいろいろなことの対応をしていても原理とか考え方、理念、家庭支援、保育ソーシャルワークという面は学ぶ必要があるということは明らかに具体的にも出てきています。そういう点では、現在これからさらに将来、未来に向けてこのようなまさに認定こども園の目的である子育て支援を本格的に進める上では「家庭支援論」「保育相談支援」を倉掛委員が進め方で案を出していただいていますが、実務経験も考慮して何か単位数なり設定の仕方をもう少し今以上に案2以下でも考慮していくというのはとても大切ではないかと思います。

○汐見座長
 具体的には今、網野委員がおっしゃったのは先ほどの倉掛委員と同じような形でよろしいですか。

○網野委員
 そうですね。

○増田委員
 私も倉掛委員がおっしゃった方法が「あり」ではないかとあらためて思いました。「家庭支援論」にしても、これは確か以前は「家族支援論」という名称で平成14年からあるという。今日のいろいろな変化の中で保育士養成の中でぜひ必要ということで平成14年から。そして、今回あらためて「家庭支援論」となった。さらに平成23年度に「保育相談支援」が入る中で実際に多くの現場の方と話したり履修を介して保育現場の方といろいろなお話を聞く中で、ここで非常に長い経験をお持ちになり、再度の研修をお受けになっている保育士の方々でさえ非常に悩みつつ取り組んでいらっしゃるという中でゼロにするか1にするかはとても大きなことで、折衷案を出してくださった。こういった科目の中で大きな負担はないけれども必要な要素がみんな入っているというこの提案はとても良いと思います。

○埋橋委員
 今のお三方のご意見に追随、賛成するものです。確かに相談したり支援したりという業務は新しいものですし、現実的に保護者との関わりは非常に課題、原理なり原則を踏まえた上で先ほどおっしゃったようにソーシャルワークの専門性ということも考えたときに、ソーシャルワークとまではいかないけれども基本を知った上での実践はとても大事だと思います。具体的に倉掛委員がご提案されましたように。具体的な検討内容ということで言えば「家庭支援論」と「保育相談支援」がここでは単純に合計すると3単位だけれども少し負担なので、その上の2番の??で実務経験を考慮した内容という声を聞きまして、こちらで言えばその上の「社会福祉」と「児童家庭福祉」をセットにして2単位というのがありますが「家庭支援論」と「保育相談支援」をセットにして2単位という形が一つ考えられるのではないかと思います。
 後先になりますが、このことを4ページの保育士試験の試験科目でいえば「相談援助」と「保育相談支援」でそれぞれ免除か履修不要かと分かれているわけですが、この二つ両方というよりも一つ免除ということで「保育相談支援」に含めて2の「相談援助」については免除、「保育相談支援」については履修必要という形で相談や支援ということに関しての業に対する一番基本的な修得するべき要件が入れられるのではないかと思います。以上です。

○汐見座長
 確認します。最後の?と?「家庭支援論(講義)」「保育相談支援(演習)」をくっつけて名称はどうするかですが、これで2単位というのが一つ。

○埋橋委員
 そうです。

○汐見座長
 今のところは、それだけですか。

○埋橋委員
 科目で履修する場合が今のことで、保育士試験ということがあると思いますが、保育士試験では「相談援助」という科目、試験科目ということになるかと思いますが、試験科目「社会福祉」のところに「相談援助」、試験科目「保育原理」のところに「保育相談支援」があって、それぞれ免除、履修必要とあるわけですが、「社会福祉」の相談援助は免除とし、「保育原理」「保育相談支援」で履修必要と整理できるのではないかと考えます。

○上村委員
 本会としては、取りやすさを重視して、試験ではなく履修で取得するということがまず前提と考えています。具体的な案ですが、前回も申しあげたとおり「乳児保育」「家庭支援論」「社会福祉」「社会的養護」の四つはしっかりと押さえたいと思っております。ただ、今回示された案なかから考えると、案3に「家庭支援論」を追加する、または、案3の「児童家庭福祉」のなかに「家庭支援論」の内容を含めていただくのがよいと考えています。「家庭支援論」の内容をしっかりとどこかに入れていただくことを、ぜひお願いしたいです。「児童家庭福祉」に入るのかどこに入るのかは検討する必要があると思いますが、「家庭支援論」の内容は含めていただきたいと思います。今皆さまにご意見をいただいたように、案4に家庭支援論と保育相談支援が1単位ずつ追加するという新たな考え方もあるのだなと感じました。そのように思っています。

○矢藤委員
 今、ご意見が出ていることの趣旨に全く賛成ですが、技術的な問題というか制度全体の整合性の問題で、保育士試験の中で受験科目として特別に設けられていない、保育士試験で要求されていないものをここで要求するということが説明可能なのかということです。例えば「保育原理」のところには「相談援助」を含めるといったことがわずかに附則のような形で出ていますが、その程度の示し方をしているものに関して単位の履修を求めるといったことが説明可能なのかということについて、なるべく説明できるようなアイデアがある方が望ましいと思いますが、意見というよりは疑問というか質問です。

○汐見座長
 もう一度確認させてください。整理させていただきたいのですが、保育士試験を受けて取る方法と、それを科目を履修することによって代える。試験を受けないで取るという二つが出ていて、試験科目の中では2科目は免除になっていますから、7科目のうちの「保育実習理論」は全て免除になっていますから試験科目から外す。そうすると、試験科目は6科目になりますね。普通の保育士試験と一緒に受けるのですか。別にやるのですか。つまり、一緒にやるのであれば中身は変えられませんよね。つまり、1年に1回やっている試験のときにあなたは6科目でよいという形になりますが、試験の中身は一般受験者と同じになります。ということは、試験科目の中身を、もしごちゃごちゃといじると両方を取る人の試験については違う内容になるというのは、ややこしいことになりますから、それはできない。ですから、先ほどの試験科目の中をいじることは難しい気がします。そこは確認して、科目等履修で取るときも、そういう人だけ特別のシラバスをつくらなければいけないという幾つかの案が今出ています。通常のシラバスでよい場合、一般と同じでよい場合と6単位を2単位にしてとかいろいろありますから、特別に全部シラバスをつくらなければいけなくなる可能性はあります。それを各養成校に要請して、そういう形の通信の教材や試験をやっていただきたい。これは大変面倒というか手続きになって、仕方がないのですがそういうことを丁寧にやっていかなければいけないことになります。そうならざるを得ない。勝手に私はそのようにイメージしたのですが、違いますでしょうか。

○橋本保育課長
 この案でいったときの案3、案4にありますような既存の保育機関の履修科目をセットにしてやった場合に、ある程度中身の再編成は必要になってくると思います。それから、試験問題のことを考えますと、何種類も試験問題を作るわけにはいかないと思いますので、そういったときに試験科目の中のそれに対応する履修科目のところで、ここは外せないとなった科目のところを最低限履修していただくと、それに対応する試験科目が免除になるというやり方をする。

○矢藤委員
 履修の方法の確認ですけれど、つまり、通常養成校で開講されているものをそのまま科目等履修で取るのではなくて、更新講習のように特別なシラバスがあるものを用意して受けるということであれば整理しやすくなるという考えでよいのですか。

○汐見座長
 そういう形です。だから、養成校でそういう人たちのための夜間講座や昼間は勤めながら授業に来られない場合、それを通信でやる場合にはそういうシラバスをあらためて作っていただきたいとせざるを得ないですね。通常のままでもよいものもありますが。

○矢藤委員
 そういうものもあるということですね。

○汐見座長
 それで何科目か取って、試験は3科目だけ受けるとか。いろいろな取り方が出てくるわけです。

○倉掛委員
 ちょっと教えてください。参考資料1の3ページに参考資料は「保育士試験の実施」ということですがその3ページに別表ということで試験免除科目と履修科目の相関表が矢印付きで出ています。この指定保育士養成施設で習得した科目がこの試験科目になるという別表があるわけですが、今の議論をこの表を使って説明していただけないでしょうか。
 といいますのは、案1・案2・案3・案4と出ているのですが、私が先ほど申し上げたお願いは「家庭支援論」や「保育相談支援」を何らかの形で履修していただきたいという趣旨です。そうすると、それを履修した場合は、試験免除科目との関係がどうなるのかという辺りはどう理解すればよろしいでしょうか。

○矢藤委員
 今の答えで、保育士試験だけで取る人を想定して考えたときに、保育士試験で全部取る人に関しては「相談援助」の内容が十分に入っていない状況です。そのこととどのように整合性が取れるのかということですね。

○倉掛委員
 つまり、試験問題としてはそんなに差をつけたものができないとすると、それを受けていないと難しいですよね。

○橋本保育課長
 今、倉掛委員がおっしゃった参考資料1の3ページの表は、現にある幼稚園教諭免許を持っていて実務経験を問わないスタイルでの試験の免除科目とその履修科目との対応関係の表なので、今ご議論いただいている実務経験を考慮したときにはこの表でいえば右側にある履修科目の内容が絞られることになってくると思います。ですから、先ほどのご議論でいえば、今までの議論の中で一番下の「保育実習理論」と出ている部分については、いずれも免除してもよいのではないかという議論でほぼ一致していると思いますので、この分については全部免除となってくるだろう。例えばその上の「保育原理」について試験科目「保育原理」の中には履修科目でいうと「保育原理」「乳児保育」「保育相談支援」「障害児保育」という科目があるわけですけれど、仮にこの中で先ほどの議論のように「乳児保育」は外せないのではないか。中身の分量はともかくとして「保育相談支援」は外せないのではないかという議論で整理するとすれば、そこのところについて「乳児保育」と「保育相談支援」を履修していただくと「保育原理」という試験科目は免除になるという対応関係になってくると理解すればよいと思っています。

○汐見座長
 ただ、その場合だと「子どもの保健」と「子どもの食と栄養」は別々になっています。先ほどの案3になりますと、合わせて2単位ということになりますから、これはどうなりますか。「子どもの食と栄養」を半分にして。

○橋本保育課長
 仮に「子どもの保健?」「子どもの保健?」「子どもの食と栄養」この中身を若干統廃合して中身を軽減する案3のような形でやりますと、統合された2単位分の履修をしていただくと試験科目でいえば「子どもの保健」と「子どもの食と栄養」が免除になる。

○汐見座長
 こうやって、またそこに一つ作るということですね。

○増田委員
 これは今までの経緯の中で保育士養成課程の検討のときに常に保育士試験の検討がなされたわけですが、その際に保育士試験は3年の猶予をもって認めるという流れもある中で、保育士養成課程の方はこんなに細かい観点から教科目数が増えたりしている中で、保育士試験の科目は大きな変化をしないで中に入れ込むという形で流れてきているわけです。
 ところが、今のようにより教科目ごとで必要度を検討していくと当然そこに整合性がしっかりと図られない部分が出てきてしまって、先ほど課長から今までの討議の結果をとても分かりやすい形で第3案・第2案を示していただいて、この線でいくと新たな保育士養成課程で設置されている教科目を重視して、その内容そのもので検討してくださった。これから暫定的に行うそれはあくまでも「幼保連携型認定こども園」での保育を担う者としての基本的な力を身につけるという観点からいえば、この方法が一番実質的な意味で良いものだと思います。一方、旧来の形のままで内容的にはこういうものを含む形で1科目の中にも多種多様な、しかも重みがあるものといろいろなものが混在しているところを今のままで提示したら混乱すると思います。
 ですから、あくまでも暫定的措置というのがどういう形なのか。ここでもう一度基本的なところを私たちは確認しておかないと、せっかく今の倉掛委員のような中身をしっかりと学ぶ、修得できるものができても制度といいますか全体的な枠組みの中ではおかしなことだという、いろいろな立場の方が納得できないものになってくると私自身も今これは大変だ、基本をもう一度今回の暫定措置に出す内容の提示の仕方をもう一度確認していただければ。教えていただきたいと思います。

○汐見座長
 その整理については、今日の会議では決まらないと思いますので、あらためて整理した上でご議論いただきたいと思います。申し訳ない。大嶋委員のご意見を読まないで先に進めましたので、大嶋委員のご意見を読ませていただきます。ぜひ参考にしてください。
 「幼稚園教諭実務経験者が受験を必要とする科目、試験科目免除を行うための履修科目3.の具体的な内容(履修科目の案)については、案3に賛成です。ただ、履修科目は、「社会福祉」と「児童家庭福祉」を合体して1科目2単位とする。「子どもの保健?」2単位と「子どもの食と栄養」2単位を分けて、いずれも講義とする方法もあるかと思います。このパターンでも規定の時間数で履修しようとすると23日間必要となっています。案2では34日間必要であり、現場にいながら、これだけの時間を捻出するには大変な困難があると思われます。案4については、二つの分野「社会福祉と児童家庭福祉」「子どもの保健I」と「子どもの食と栄養」を合体することになっていますが、合体はどちらか一つの分野で十分だと思います。ただ、8単位とする案4については、文部科学省の検討会議における単位数との関係で再度検討する必要があるのではないかとも思います。」
 というご意見です。文部科学省の方は大体これぐらいですか。8単位ぐらいまだ決まっていないですか。

○松本教職員課専門官(文部科学省)
 単位数については具体的な検討はまだしておりません。2月5日の会議で議論していただく予定です。

○汐見座長
 ただ、文部科学省の方で何単位かといったときに、それと合わせる必要は必ずしもなくて、特に幼稚園の先生は例えば「乳児保育」「子どもの食と栄養」はほとんど勉強されていませんので、どうしてもしてもらわなければいけませんから、多少こちらの方が増える可能性があると私は見ていますが、今の大嶋委員の意見を参考に。

○矢藤委員
 1点、技術的なことと、もう1点は全体的なことですが、先ほどの蒸し返しになりますが保育士試験だけで受けた人、つまり、実務経験がなくて試験だけで受けた人の方が学んでいる内容が少ないということになって、実務経験があってさらにいろいろ勉強することになります。現実的には保育士試験の合格率がかなりシビアになっていることを考えると、しっかり勉強してくださっていると思いますが、少なくとも表になったときの整合性に依然として疑問が残るということです。
 次は、全体的なことですが、全ての子どもが質の高い保育教育を受けることができる「幼保連携型認定こども園」の設置を推進するということが前提にあって、そのための人材を確保するために資格の取得しやすさを妨げることはできないのではないかと考えます。一方で、ここで出てくる議論では専門性をどう担保するかということが併せて出てくると思いますので、ここでどういう科目を取らせるかということだけで解決できない問題があるのではないかと思います。
 ですから、取り方としてはより容易で大嶋委員の案のように10単位程度ということでもよいかと思いますが、研修等によって専門性の基盤をある程度網羅的に担保できるように自治体が配慮する。そして、自治体が配慮することに加えて養成施設が協力することを努力義務にするといった提示の仕方ができるかどうか分かりませんが、そのようなやり方を何か補足的に加えておかなければ全体的な整合性がとれなくなるのではないかと思います。

○上村委員
 確認で質問です。移行措置は5年間です。例えば一般の保育士試験を受けたときは合格した科目の有効期限は3年間ですが、今回の特例措置で設定された科目をすべて取りきるのに期限はあるのでしょうか。履修であったとしても、働きながらこれだけ受けることは大変なことです。1年ですべて受けられなかったとなったときはどうなるのかということを現場としては考えます。

○汐見座長
 それはまだ詰めていませんよね。

○今井係長
 その辺はまだ詰まっていないところですが、現在の科目等履修は何年前までと有効期限を設けていませんので、3年前の科目等履修でも5年前の科目等履修でも有効とされています。今回の特例も幼稚園の免許所有者と同様の考え方から始まっていますので、同じような考え方、特に期限を設けない考え方が基本になってくると思います。

○汐見座長
 矢藤委員が今おっしゃたことは私も個人的には大変大事なことだと思っていまして、今ここで何を議論しているかというと、保育教諭という身分になってもらいたいとなってきたということは時代の流れではあるのでしょうけれど、そういうつもりで初めから就職したわけではない人がそういう職場で働くようになった場合に、その人はもっと今よりも勉強し直して来いと言うわけにはいかない。既に実務経験が相当あって、それを最大限勘案した上で資格が取れるというシステムを上手に作っていかなければいけない。なるべく取りやすい、それなりに努力はするけれども取りやすいシステムにしなければいけない。ハードルが高過ぎると進まないだろうということがあります。従って、最低限これだけは取ってもらいたいという辺りを私たちは議論している。結果として、それだけで見るとここの人たちは十分な学習をしないで取れたということになりかねないので、そうやって取った場合でも新しいタイプの「幼保連携型認定こども園」で仕事をする人たちの研修システムについては、例えば社会的養護もそうですし「家族支援論」のような形についてももう少し丁寧に働きながら研修できるようなシステムをきちんと作っていただきたいということを附帯の要請として付けておくことをここでやらなければいけないのではないかというご意見だと思います。

○倉掛委員
 前提の話になってしまうかもしれないのですが、認定こども園で保育をしていく上で「保育教諭」は新しい資格ではなく職名であると理解しています。つまり、二つの資格を持っているということが条件ですというだけの話であって、そうすると、あたかも新しい資格ができるように捉えるのは間違いですが、私は議論の前提として認定こども園が自立するためにというイメージで考えていますが、実は一切関係なく認定こども園に勤めようが勤めまいが、この期間はその資格は両方取れますというだけの話ですということをしっかりと念頭に置かないと、特例という意味が本当にどこに役立つのか。認定こども園が充実するというのは私の理解では双方の交わっている資格の重なっている部分がより大きくあるから特例を設けようということではなくて、教育と保育なり、あるいは社会福祉なりの広がりが認定こども園の保育を充実させるために双方の良いところをより結集させるという補い合いがあるからこそ両方の資格が必要だという話だったはずです。ですから、実際に資格が取れるというのは保育が活性化していく、より質が高まっていくためのやり方としてこの方法を考えていくという前提を見失わないようにした方が良いのではないかと思います。

○汐見座長
 何のために何度も議論しているかということに戻らないと、これだけで狭く議論していると無理が出てきますが、とにかく今の制度を合理的に動かすためにある特定でやっているのだということをはっきりさせたいということです。だから、足りないことが出てきた場合はきちんと補填するような制度を作っていかなければいけないことも含めて、少し書き込むということですね。
 時間が迫ってきたので、申し訳ございません。資料4が出ていると思いますが、これは大嶋委員と増田委員がご提出くださっている資料で、今「保育教諭」は職名であるとおっしゃっていて、そういう形でしか今はないのですが、将来的にはどのようにするのかを含めて念頭に置いておかなければいけないということでこれを作ってくださっていますので、説明をお願いします。

○増田委員
 今日は大嶋委員が欠席ですけれども、大嶋委員や全国保育士養成協議会に関わるいろいろな方々が参画しながら研究的に保育士資格、幼稚園免許及び養成課程を構造的に理解しながら、特にここでもいろいろお話がありましたように、保育士は今日も出ております試験制度、2年養成、3年養成、4年養成があり、いずれも保育士資格を取得するということになっています。一方、幼稚園は2年養成、4年養成、大学院養成という中で2種・1種・専修というような体制が今までずっと取られてきました。保育士の専門性が問われて何年も経過していますが、制度そのものを検討するという段にまで至っていません。そして、保育士養成課程検討会の中間まとめにおいても、そうした4年制の在り方も含めて今後の課題であるということまで提示されておりますが、そこから踏み出すことがなかなかできていないということがあります。この検討会でもいろいろ出ましたように、確かに今回のテーマは、暫定的なところでその目的の確認ですが目的に向けて検討するということになっていますが、その際に保育士の専門性ということ、保育士の資格は18歳までの、しかも社会的養護に関わる幅広い深い者を対象とする中で具体的に4年制養成ではどういった専門性、どういった学びのプロセスがあるのだろうか。そして、大学院までどう続けるのか。では、2年制養成からあるいは試験で取得したものをステップアップしていくことも含めて今日の保育士養成、幼稚園教諭のことも含め現場からのステップアップも含めた形で一つの図に示したものでございます。これはすぐに現実のものになるとは思っていませんが、基本的に保育士のより専門性を高めていくために、2年間の養成というのは基本的にとても重要なことですので、そこに例えばここに示していますように学習系列の例示ということで相談援助系、養護系、障害系、保育系、教育系といったより専門性を2年制の期間となった保育士資格に付加していく。さらにそれを大学院へとつなげていくということを常に暫定的なことを考える状態の中でも、こうした将来的な見通しを持ってますます厳しくなっている保育の内容も保育士のいろいろな対応も含めて大変厳しくなって保育士不足という状況がある中で、ぜひ委員の皆さま方にもこういう考え方があるということをご理解いただきながら、そのことを理解した上で今日の与えられている課題に応えていくべきではないかということで、一つの今までまとめてきたものをお示ししました。

○汐見座長
 ありがとうございます。この件については、今日は議論する時間がないのですけれども、あらためてこの会で幼稚園の免許に合わせる形で「保育教諭」がテーマになってきたということで、保育士の資格の今後の在り方について、もう少し原点に戻って検討するときの「たたき台」が出ているということをご承知おきいただきたいと思います。そこを少し頭に入れながら、この議論をもう少し詰めてまとめたいと思います。今日のところは最終的な結論がきちんと出たわけではありませんが、貴重な意見がたくさん出されましたので、それを踏まえた整理を次回でやっていただきたいと思います。どうもありがとうございました。では、事務局から次回の日程等についてお願いします。

○橋本保育課長
 本日はありがとうございました。次回は、今日いただきましたご議論を踏まえて、この検討会としての暫定的な対応につきまして報告案というものを「たたき台」を作ってご相談させていただきたいと思っております。今日いただいた中で少し幅がある部分もありますが、その辺につきましては、どのような形で整理するか座長と相談させていただきたいと思っています。
 また、先ほどの説明にもありましたように、この後2月5日に文部科学省での幼稚園の教職課程に関する同じような検討会がございますので、そちらの動向等も踏まえて整理案を座長と相談させていただきたいと思っています。
 本日は、誠にありがとうございました。次回の日程等につきましては、追ってご連絡させていただきますので、お忙しいところ恐縮でございますが、次回もご出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(了)

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