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2012年7月6日 第7回子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議 議事録

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成24年7月6日(金)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所第2特別会議室


○出席者

委員

柳澤座長、今村委員代理、奥山委員、神尾委員、齋藤委員、桜山委員、佐々木委員

参考人

植田参考人(大阪府立母子保健総合医療センター)
吉留参考人(山梨県障害福祉課)
山崎参考人(静岡県立こども病院)

事務局

泉母子保健課長、堀内課長補佐、山本課長補佐、三平課長補佐

○議題

1.開 会
2.議 事
 (1)子どもの心の診療ネットワーク事業の実施状況等について
 (2)中央拠点病院(国立成育医療研究センター)の取組について
 (3)その他
3.閉 会

○議事

○泉母子保健課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第7回「子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議」を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、また、暑い中をお集まりくださいましてありがとうございます。
 私は、母子保健課長の泉と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 さて、この会、今日、初めて御出席の先生方もいらっしゃいますので、これまでの経過をかいつまんで御説明いたしますけれども、私たち、厚生労働省母子保健課におきまして、平成17年から19年にかけまして、子どもの心の問題への医学的対応の充実を図るため、子どもの心の診療医の養成に関する検討会というものを行ってまいりまして、子どもの心の診療に関わる医師の養成といったことを議論していただいたわけでございますが、その中で、そうした医師を確保し、養成していくために、子どもの心の診療や研修を専門的に行える医療機関を中心として地域のほかの医療機関や保健福祉などの機関と連携した、子どもの心の診療体制が必要であると。
 こういう御意見をいただいたことから、平成20年度から3年間のモデル事業といたしまして、子どもの心の診療拠点病院事業を開始いたしまして、この有識者会議は、そのモデル事業の発足当時から、モデル事業について評価するということで開始させていただいております。
 モデル事業3年間が終わりまして、23年度からは、本格実施ということで、この取組みを全国に広げていきたいということで進めてきております。
 また、事業の目的も専門的な人材養成というところに、やや重点を置く形にしてまいりまして、更に、今年度からは要綱を一部改正いたしまして、震災の経験も踏まえて、災害時の子どもの心の支援も行えるような体制というのも併せてつくっていくということも事業の目的に加えたところでございます。
 また、ここしばらくの母子保健課所管以外の省内での子どもの心に関する動きを御紹介いたしますと、まず、24年度の診療報酬改定でございますけれども、児童・思春期精神科入院医療につきましては、これは、児童・思春期精神科入院医療管理料というものが新たにつくられましたし、また、精神科通院治療の20歳未満の加算につきましては、児童・思春期精神科入院医療管理料に係る届出を行った医療機関については、16歳未満の場合は2年以内ということで延長されております。
 また、医療法に基づきまして、各都道府県が医療計画というのをつくって、5年ごとに見直しをしているわけでございますが、今まで、4疾病5事業といって、がんとか脳卒中、糖尿病、心疾患などが特定の疾病として挙げられたわけでございますが、そこに新たに精神疾患というのが5疾病目として加わることになりまして、当然、その中には、子どもの心の問題も考慮して、思春期を含む児童精神医療の提供体制というのを、その中で考慮するようにということも中に盛り込まれているところでございます。
 こちらの事業に戻りますと、23年度から、先ほど申しましたように、子どもの心の診療ネットワーク事業という形で本格実施しているところでございますので、本日は、事業を実施していただいています、自治体の取組み状況であるとか、それから、中央拠点病院の取組み、そして、先ほど申しました、特に人材養成というところに力を入れていただいております、山梨県さん、静岡県さんの取組みについて御紹介いただきまして、今後のこの事業のさらなる発展につきまして、皆様方の助言、評価をいただきたいと思っております。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
○山本課長補佐 ここで、事務局から委員の変更について御紹介させていただきます。
 人事異動等で変更された方ですけれども、まず、全国保健所長会会長で、長野県飯田保健所長の佐々木隆一郎委員です。
 全国児童相談所所長会会長で、東京都児童相談センターの桜山豊夫委員です。
 どうぞ、今後、よろしくお願いいたします。
 また、本日の委員の御出席の状況ですけれども、業務の御都合ということで、今村委員の代理といたしまして、日本医師会から湯浅課長補佐が代理で御出席いただいております。
 また、青山委員、南委員からは御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日、参考人の先生にいらしていただいておりまして、中央拠点病院の報告といたしまして、本事業に係る厚生労働科学研究の成果を御報告いただくため、大阪府立母子保健総合医療センターの植田紀美子参考人にもおいでいただいております。
 あと、先ほど課長から御紹介させていただきましたが、人材育成を積極的にされている自治体の中で、本日、御出席いただけるということでおいでいただきました、山梨県の障害福祉課の吉留慶子主査にもおいでいただいております。
 静岡県からは、静岡県立こども病院の山崎先生においでいただいております。
 では、以後の進行を柳澤座長にお願いいたします。
○柳澤座長 今、御紹介いただいた柳澤です。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事を進めさせていただきます。本日、限られた時間ではありますが、活発な議論をお願いいたします。
 まず、本日の議題に入ります前に、事務局からお手元にお配りしております資料の確認をお願いいたします。
○山本課長補佐 お手元の資料の確認をお願いいたします。クリップどめで、机の上に置かせていただいておりまして、クリップを外していただいて、まず、議事次第、座席表、その後に資料がすべてホチキスどめや、1枚紙で1から8までと参考資料が1と2ございますでしょうか。もし、ないものがございましたら、事務局まで御連絡ください。
○柳澤座長 よろしいでしょうか。それでは、早速、議事の1番目、子どもの心の診療ネットワーク事業の実施状況について進めさせていただきます。
 まず、資料1から4について、事務局から御説明をお願いいたします。
○山本課長補佐 では、まず、資料1から御説明させていただきます。
 資料1は、子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議の開催要綱と、委員の一覧でございます。
 先ほど、委員の異動の御紹介もさせていただきましたが、本日の会議の要綱になります。
 また、資料2につきましては、平成23年度の事業実施自治体の一覧、23年度は、10の都府県に事業を実施していただいております。
 また、裏面に24年度の子どもの心の診療ネットワーク事業の要綱をお付けしてございます。
 続いて資料3です。こちらは、子どもの心の診療体制等について、母子保健課から各都道府県の母子保健担当課に、昨年の7月から8月にかけて、各県の子どもの心の診療体制について調査をした結果になります。
 子どもの心の事業を実施している自治体にも、事業をされていない自治体にも両方にお伺いしました。
 その結果ですけれども、子どもの心の問題に関し、関係機関の連携のための会議を行っているかということについて、47のうちの32の自治体は、何らかの会議というのも活用しながら、関係機関の連携の会議を行っているということでした。
 市町村の方で、子どもの心の問題に関し、関係機関の連携の会議を行っているかどうかを把握しているかという問いに対しましては、もうちょっと減りまして、21の都道府県で要保護児童対策協議会や発達障害の会議等を活用して会議を行っているということでした。
 4番ですけれども、子どもの心に関する困難事例や入院を要する事例の診療を行う医療機関があるかということに関しては、もう既に子どもの心の診療拠点病院の事業を実施しております10の都府県を除いた37の自治体にお伺いしたところ、28の自治体は何らかの医療機関があるということで、自治体の方で把握しているということでした。
 一方、9の自治体の方は、ないということでございました。
 4で、はいとお答えになった自治体の中で、28自治体が子どもの心の診療ネットワーク事業の実施予定があるかどうかとか、子どもの心の診療ネットワーク事業でやることになっているような事業をやっているかどうかというようなことを更にお伺いしたのが、?から?番のものになります。
 裏面をめくっていただきますと、子どもの心の診療ネットワーク事業についての各自治体からの主な御意見というものを書かせていただいております。
 これまでも、昨年までもいろいろ自治体に調査させていただいた結果でも言われておりましたが、なぜ、子どもの心のネットワーク事業がなかなかできないのかということに関しては、医療機関がないというようなこととか、あとは、自治体の中での関係部署が多岐にわたって、主導となる部署の決定が難しいというようなことが、今回も指摘されております。
 この結果につきましては、昨年の終わりだと思いますけれども、自治体の方にはお返しさせていただいておりまして、こういう結果も参考に各都道府県で、子どもの心の診療体制整備を引き続き行っていただくようお願いしております。
 資料4になります。平成23年度は、10の都府県に子どもの心の診療ネットワーク事業を実施していただきました。年度が終わりましたので、各自治体から事業の実施状況について御報告をいただいております。
 資料2の裏の要綱をごらんいただきますと、さまざまな事業、子どもの心の診療支援事業、子どもの心の診療関係者研修・育成事業、普及啓発情報提供事業ということを行うこととなっているんですけれども、今回、診療ネットワーク事業になった際に、事業内容の?のウの子どもの心の診療に専門的に携わる医師及び関係専門職の育成というのを新たに加えておりますので、今回は、この事業の報告の部分で、?の子どもの心の診療関係者研修・育成事業に、育成事業と研修事業というふうに分けて各自治体から御報告をいただきました。
 各自治体の実施状況について、ちょっと細かいので、御説明は割愛させていただきますが、育成事業の実施状況につきましては、まだ、さまざまな事業になっておりまして、本日は、この御報告いただいた中で、育成事業を実施されていて、かつ、本日、いらしていただけるということで、山梨県と静岡県からいらしていただいたということになっております。
 大体資料の御説明は、以上となります。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対して、何か御意見、御質問はございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、先に進めさせていただきます。続きまして、本日、お越しいただいております、事業実施の自治体から、ただいま御説明がありましたように、山梨県、静岡県における事業の実施状況について報告をしていただきます。
 それぞれ15分程度でお願いしたいと思います。また、御質問等は、2つの県の報告が終了した後でまとめてお願いいたします。あらかじめ、そのことを御了承ください。
 それでは、早速、山梨県からお願いいたします。
○山梨県 山梨県障害福祉課の吉留と申します。よろしくお願いします。
 では、座って失礼させていただきます。
 最初に山梨県の状況をお話しします。面積が4,465平方キロメートル、市町村の数が、現在27の市町村になります。人口が85万7,000、出生数が6,651人で、出生率が7.8、そして、19歳以下の人口が16万ということで、県全体の人口の18%を占めているといった、とても小ぢんまりとした、甲府市の中央部から大体2時間あれば、どこにでも行けるよというような小さな県です。
 山梨県では、こころの発達総合支援センター、精神保健福祉センター、北病院、あけぼの医療福祉センターの4か所を拠点機関と定め、子どもの心の診療ネットワーク事業に取り組んでいます。
 また、拠点病院が、県の中央と西側に偏っていることから、富士北麓地域をカバーするため、こころの発達総合支援センターの職員が出張して、都留児童相談所内にある都留クリニックを開設し、診療と相談、富士ふれあいセンターの方で相談事業を実施しております。
 富士ふれあいセンターは、富士北麓東部地域の障害者の自立支援と社会参加を積極的に進めるための、障害者福祉の相談、訓練、研修等を行う機関になっています。
 こころの発達総合支援センターについて御紹介します。平成22年度までは、児童相談所内に非常勤の医師1名、心理士1名を配置した子どもメンタルクリニックと、障害者相談所内に相談員、ケースワーカーと心理士を5名配置した発達障害者支援センターを開設していました。診療から相談、療育までをワンストップで支援できる体制をつくるために、平成23年4月に子どもメンタルクリニックと、発達障害者支援センターの機能を持つ、こころの発達総合支援センターを開所しました。
 所長を含む医師2名、保健師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士等20名の職員で業務を行っております。
 診療、相談、地域支援、関係者のコンサルテーション、人材育成のための研修・普及と併せ、平成24年4月からは、幼児期、学童期、成人期に分かれての、集団療育のグループもスタートしました。
 山梨県の子どもの心の診療のネットワークについて、続いて御紹介します。
 こころの発達総合支援センターを中心に、思春期外来、思春期病棟を持つ精神科の北病院、精神保健福祉センター、病院及び医療型の障害児入所施設と医療型の児童発達支援センター、また、障害者の自立支援法による療養介護及び介護事業を行うためのあけぼの医療福祉センター、この4つの機関が互いに連携して中核をなしています。
子どもの心の診療に関する事業については、各機関とも個別相談や研修を実施し、精神保健福祉センター以外は、診断と治療の機能を持っています。
 精神保健福祉センターでは、青年期のひきこもりの支援、虐待防止のための親子教室などを開催しています。
 また、精神保健福祉センターとこころの発達総合支援センターは、同じ建物の中にあることから、合同のカンファレンスを実施したり、日ごろから連携の取りやすい環境にあります。
 あけぼの医療福祉センターでは、小児神経科医の診断やセラピストによる発達障害のリハビリも行われています。
 それを囲むように、教育、医療、福祉、保健の関係者が連携し、拠点機関との連携を図りながらネットワークをつくっています。
 平成23年度の子どもの心の診療ネットワーク事業について報告します。
 診療支援連携事業について、診療連携推進会議ということで、年1回、県の障害福祉課で主催し、実施しています。関係者の連携意識が高まり、診療連携推進のひと役を担っています。
 診療体制の強化事業では、こころの発達総合支援センターに常勤の精神科医1名、非常勤の心理士1名を配置しています。
 こころの発達総合支援センターの平成23年度の相談診療実績は、相談は延べ4,292件、そのうち新規が555件、診療は延べ1,408件、新規が279件ということで、平成22年度、前年度と比較すると、相談が4.5倍、診療が1.4倍となっています。
 合同事例検討会は、北病院において、学校、病院、地域関係者により実施をしています。関係者の理解と強化につながっていますが、もともとの精神科病院というイメージが強く、相談しにくいのか、数が増えない状況があります。
 子どもの心の診療関係者の研修・育成事業についてです。
 診療対応力研修と専門研修については、それぞれ年2回実施し、思春期の心の問題に関する早期発見、早期支援に結び付ける、知識、技術の向上につながっていると評価していただいています。
 先進地視察研修においては、拠点機関の職員による先進地の視察を行い、専門性の向上に努めています。
 思春期症例カンファレンスは、北病院の思春期病棟に入院している症例に対して、拠点機関の医師を中心に症例検討を行い、スキルアップにつなげています。
 人材育成は、本事業の予算では、後期臨床研修医・精神科医・小児科医の研修を通して人材育成を行っています。
 人材育成について、もう少し詳しく説明をします。
 北病院では、年間を通して後期臨床研修医2名の研修の受入れを行い、指導をしています。
 その結果、児童精神科医療の理解を促進し、興味を深める機会となっています。23年度の実績では、1人の医師が、この児童精神科を目指したいというような志を示したという報告を受けています。
 こころの発達総合支援センターでは、可能な限り、積極的に研修を受け入れています。
 平成23年度は、精神科、小児科の医師の研修の受入れを行いました。今年度は、更に、臨床研修医、医学生の研修の受入れなども行い、センターの見学や診療の陪席など増加傾向にあります。
 今後は、センターで研修プログラムの作成を予定しているとのことです。
 普及・啓発事業については、講演会やシンポジウム、図書の購入や貸出し、ホームページでの情報提供を行い、一般県民の理解を深めるための情報提供を行う機会となっています。
 23年度の事業を受けて、24年度も同様な形で事業がスタートしている状況にあります。
 実施しての成果ですが、連携の促進・強化ということで、医師同士の連携であったり、関係機関との連携、また、拠点病院同士の連携というところが強くなってきたというふうに感じています。
 また、専門職種、関係職種の知識・技術の向上や、普及啓発の推進にもつながっていると感じています。
 今後の展望についてですけれども、今までは、早期発見に努め、その人に関わる、この数年間を関係者が頑張って支援をして、次にバトンタッチをするという形で支援が進められてきました。
 今後は、早期発見と早期支援と併せ、ライフステージを通した一貫した支援体制づくりを進めていきたいと考えています。
 そのために、市町村単位の支援体制づくりが必要と考えます。
 市町村単位の支援体制づくりとは、妊娠期から成人期までの各ライフステージにおいて、のりしろのある連携支援、ライフステージにおいて、そのときに中心となる、学校であったり、保育所だったりという機関を中心としながら、それと併せ、地域の住民の理解やサポートが得られる環境づくり、行政における保健・福祉・教育が連携して、途切れのない、また、どこからでもスタートできる支援体制の整備がされているといったところが目指す支援体制づくりです。
 そのためには、こころの発達総合支援センターを始めとする拠点機関が行う地域の専門職種、関係者の人材育成、支援体制づくりのための専門的なアドバイスやコンサルテーション、また、拠点機関での支援が必要な子どもたちに対する診療や治療、相談、療育、また、その結果を地域にフィードバックするといった支援や連携が重要になると考えています。ここの連携をとても大事にしてやっていきたいと思います。
 市町村単位で行う一時的な支援と、拠点機関が行う二次、三次的な支援が連携して行われることで、当事者が相談しやすい環境ができて、支援が受けられ、発達障害や虐待などによる二次的な障害による問題を減らしていくとか、支援が必要な人たちの自立した生活を支える居場所づくりを目指して取り組んでいこうということが関係者の中で共有されています。
 以上です。ありがとうございました。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。ただいま、山梨県における事業の状況について御報告いただきましたけれども、御質問については、後ほどまとめてということにさせていただいて、引き続いて、静岡県についてお願いいたします。
○静岡県 静岡県立こども病院の山崎でございます。よろしくお願いいたします。
 では、座って御報告をさせていただきます。
 静岡県全体の事業につきましては、資料4を見ていただければと思いますが、ここでは、こども病院の主にネットワークに関する事業から、特に今回お話しするようにと言われました育成に関する事業について御報告をさせていただきます。
 併せて、本事業あるいはネットワーク構築提言について、少しお話ししてもよろしいという許可をいただきましたので、最後にお話をさせていただきたいと思います。
 初めに、こども病院の児童精神科部門の概要ですけれども、平成20年に外来が開設しまして、他科とは別の独立した空間に診察室が6つあります。
 それから、病棟は、複合型と呼んでいますけれども、開放ユニット、比較的軽症の任意入院で入ってくる子どもたちを診る病床26床と、重症の子たちを引き受ける閉鎖ユニット7床。それから、身体管理も必要な拒食症の子たちを受け入れるようなハイケアユニット3床、合わせて36床になっております。
 専従スタッフは、児童精神科医が常勤5名、そして、レジデント2名です。育成の医師は、また、別枠でございます。
 看護スタッフは21名、心理士が専従で常勤、病院全体では5.5ですけれども、精神科としては4名で、来年度から5名の予定です。PSWは、常勤1名、非常勤1名、そして、クラークが2名で、このスタッフで、病棟および外来を運営しております。
 当初考えた業務内容ですけれども、診療部門は、この3つの領域でございますが、それに加えて、連携や啓発、育成ということも取り組んでいこうと考えていたところで、最初のモデル事業がちょうど同じ時期に始まり、仲間に入れていただくことになりました。
 関係機関の連携、そして、精神保健に関する啓発活動、そして、児童精神科医の育成ということを、この児童精神科部門の業務として考えています。
 外来部門は、こころの診療科という診療科名ですけれども、ごらんのように5つの外来に分類して、緊急度も考慮して、トリアージできるようにということで、5つの窓口をつくっています。
 それ以外の緊急枠を別に設けるということもして、なるべく待機日数を減らそうということで、若い人たちには御負担をかけていますが、昨年度は、平均待機日数が11日でした。
 それでは、昨年度の主な事業ですが、診療に関することについては割愛をさせていただきまして、主にネットワーク活動でございます。
 1つは、県内の児童養護施設の巡回相談でございますが、10施設、それぞれ2回、計20回やっております。
 2年目になりまして、各施設がどういうことをしてほしいかということをあらかじめ希望を取りまして、その希望に沿って、活動事業を行っております。
 ある施設では、講義をして欲しいということですので、スライドのような内容の講義を行いました。
 それから、一事例をしっかりと時間をかけて事例検討するという場合には、担当の児童相談所の職員も来ていただいて一緒に行っています。
 それから、一事例ではなくて、いろんなことを聞きたいという施設もかなりおられますので、相談会みたいな形で、職員の質問に我々が答えるというような、これが、比較的最近は人気が高いと思います。
 今年、3年目に入るのですが、継続してほしいという希望がとても強く、協議会からも正式に要請があって、今回も同様の頻度で実施をすることにしております。
 それから、一次診療圏である静岡市の要保護児童対策地域協議会に参加をしております。昨年度は、初めての試みということで、進行管理会議1回、実務者会議9回に参加して、専門医の立場から診立てや介入方法について助言をしていくということ、それから、我々も情報共有していくということでありましたけれども、今年は、もっと来てほしいという関係機関からの要望が強く事務局からの要請をいただいて、今年度は静岡市は3つの地区で3地区計15回の参加を予定しております。
 それから、教師のための児童思春期の精神保健講座というのを、毎年開催しております。頻度は、6月からの偶数月の第2火曜日の夜という時間設定で、昨年度は、延べ242名の参加です。
 内容は、まず事例検討会、これは、学校の先生がケースを出していただいて、守秘義務もありますので、そのクローズドの会でその場で資料も全部回収してということであります。
 それから、ときには、ミニレクチャーを入れて、先生方に少し勉強していただくということで、これも今年度も実施することになっております。
 それから、今日、一番御報告すべき、専門的に携わる医師の育成です。これは、本事業になって、私の方でも希望していた医師の育成というところを、この事業の中核の1つに入れていただいて、非常に感謝しておりますが、こども病院としては1名、これまでのレジデントとは別枠で育成を始めております。
 目的は、県外、県内を問わず、子どもの心の診療に携わる専門医を育成し、マンパワーの供給に貢献するということです。
 もともとの育成は、児童精神科医の育成だったんですけれども、今回は、そこ児童精神科医に限定せず、小児科の先生であれ、精神科医であれ、その領域を志す人はどちらでも受け入れるということで、去年から引き受けております。
 プロイィールですが、これは、本人の許可を得ていますので、卒後7年目の小児科医です。この領域の臨床経験はほとんどありません。A県のB大学小児科の医局に所属しておりまして、一般小児科をずっとやってきた医師です。
 研修期間は3年間ということと、研修を終えた後は、必ずA県に戻って、子どもの心の診療を継続するという約束をした上で引き受けています。
 このまま静岡に残ってもらうと、お引き受けしたかいがございませんので、必ず地元に帰るようにといっております。
 主な研修のプログラムですけれども、なるべく学ぶというよりは、身に付けるということをメインに考えておりますが、まず、毎朝、病棟の申し送りとミーティングには必ず参加する。これには、全ての医師、当日勤務の看護師、PSW、CP、教師各1名が参加しております。
 それから、外来診療日以外の日は午後1時半からの病棟カンファレンスに必ず参加をする。
 それから、午後の集団療法やレク活動に参加する。そして、家族会にも参加すること。
 そして、少し慣れてきたところで、指導医とともに主治医になって患者さんを担当するということが、入院の主な研修になります。
 あとは、時間のある限り病棟の中で、自分の受け持ち患者以外の子どもたちと交流することも業務としています。
 外来部門については、指導医の新患の外来の陪席を、これは、3年間、時間があるときには、必ず付くようにさせています。
 そして、時間が経ったところで、指導医の下で、新患外来の診察をするようになって、今も週1回1人ずつやっておりますが、これに伴って、再来診療を行っております。
 コンサルテーション・リエゾン部門は、指導医とともに、リエゾン当番というのが、毎月曜日から金曜日まで決まっていまして、そこの担当の一人になっております。
 それから、子ども病院ですので、緩和ケアチームがございますので、そこのメンバーとして活動する。
 それから、リハビリテーション部門としては、ショートケアを、今、スタートしたところですが、そこにスタッフとして参加しております。
 それから、現在、私たち常勤医が行っています、アウトリーチ活動3つについては、帯同して一緒に勉強するようにということになっております。
 それから、全国レベルの各研修会、学会の参加についてもなるべく行かせるようにしております。
 カンファレンス・スーパーバイズ・クルズスですけれども、新患のカンファレンス、それから、心理療法とショートケアのカンファレンスというのを毎週月曜日の夜、これは、業務としてやっております。時間外勤務手当を出して、業務として参加させていますが、医師全員、CP、PSWあるいは近くの小児科の先生だとか、成人の精神科の先生で興味がある先生も参加できるオープンな形のカンファレンスにしております。
 火曜日が入院カンファレンスで、入院の子どもたちの1週間の様子を報告して、今後の方向についてディスカッションするということで、これも医師全員参加とし、時間外の業務にしております。
 ですので、月、火は夜遅くまで頑張れというふうにいっておりまして、水曜日以降は、それぞれの業務が終われば帰る、というようにしております。
 それから、私が個人スーパーバイズを行っていまして、構造化されたものについては、月1回1時間は確保しています。それ以外の時間でも、いつでも必要なときに呼びとめて聞くようにという体制でやっております。
 これは、若手の医師を中心として、大体3人から4人くらい引き受けています。
 それから、クルズスは、医師だけのもの、コメディカルも加えたもの、それから、看護スタッフも加えたもの含めまして、大体月1回くらいは少なくとも開催しているという状況です。
 これは、研修到達目標の一例ですけれども、みんなにちょっと目標が高過ぎると言われているんですが、こういうことをイメージしながら3年間、少しはできるようになりましょうということで目標を掲げています。
 次に、これまで参加させていただいて感じる本事業の意義と展望についてお話をさせていただきますが、静岡に関しましては、何と言ってもネットワーク活動に、我々が非常に参加しやすくなったということだと思います。
 御存じのように、我々が病院の外に出るというのは、なかなか大変な手続がございます。
 まず、関係機関から派遣依頼がないと出かけられません。それから、私たちは今、独法化して民間人ですので、きちんと予算立てした形で謝礼をもらいなさいと言われていますので、そうすると、関係機関が予算化しないと、なかなか我々は出ていけないわけです。それがこの事業によって先方が予算化しなくても先ほどのネットワーク活動が可能になったというメリットがございます。
 ただ、やはり3年間やってみて思ったのですが、結局、それは全部常勤医がやっているんですね。常勤医は外来を4日やらせていまして、1日フリーの日をつくっているんですが、そこのフリーの日にアウトリーチ活動をときどき入れていますので、最終的には、常勤医の業務量が増加していることになります。レジデントたちは戦力にはなりませんので、ネットワーク活動としては、今くらいが限界かなという感じであります。
 それから、例えば、児童養護施設の方々とは、なかなかこれまで、我々がお会いする機会がございませんでした。そういう機会が随分増えまして、先月、虐待をテーマにシンポジウムを県全体で開催したときも、そういうスタッフも出てきていただくようになって、いろんなところで顔見知りになるということは、とてもよかったと思いますし、現場レベルのみならず、県のこども家庭課の方々が事業のまとめ役をしてくださっていますので、縦割りを超えた連携がとてもスムーズにいっているかと思っております。
 それから、この育成という事業が加わって、私たちが掲げていた育成機関としての役割がより明確になったと思います。
 それから、少し生意気に提言をさせていただきますと、やはり、地域拠点病院といわれる病院がない都道府県に対しては、地域拠点病院の設立を推進していくということは非常に重要ではないかと思っております。これについては、後述させていただきますが、具体的には、先ほど課長からもお話がありましたように、診療報酬が改善されて、拠点病院に対して最低限のところが担保されたという情報を、例えば、各都道府県の関係部署の方に情報提供をするとか、先ほどのアンケートにもありましたように、人材のいないという所、人材を育成するという所をうまくマッチングするとか、それから、実は、やることは決めたけれども、どういうふうにつくっていいかわからないという都道府県もあるやに聞いていますので、そういうことについて、既に行っている県などから情報提供するといったことをしながら推進していくということが大事ではないかと思っています。
 もう一つは、やはり本事業で、どういうネットワーク活動を行うべきなのかというのをある程度明確にしていくことは非常に大事ではないかと思っております。勿論、地域性もございますけれども、やはり、ネットワークというのは、本来、こういうことが、医療が関わってやるべきことで、その中で、それぞれの県が自分のうまくいっているところ、足りないところを意識しながら、それぞれの都道府県のレベルが大体同じ方向に進んでいくということも大事ではないかと思います。
 それから、子どものこころの問題について、ユーザーにとって有益な情報を掲載したパンフレットの作成、これは、中央拠点病院が担っていただけるとよいなと思っています。今、医療、教育、福祉、それぞれのマップはどの県にもあるんですね。しかし、例えばご家族や学校の先生が、発達障害のことで困ったというときに、福祉と医療で別々のマップになってしまっていますので、どこに相談に行けばいいのかわかりにくいということがあります。やはりここは、少し縦割りを超えて、子どもが困ったときにどういうところに行けばいいのかというマップ、フォーマットを、できたら国レベルでつくっていただいて、それを各都道府県が頑張って横の連携をして落とし込んでいくというようなことをやると、それぞれのところに、子どもをサポートするマップが標準化された形でできていくのではないかと考えております。
 最後です。これは、あくまでも個人的見解ですけれども、やはり子どもの心の診療ネットワークを展開していくには、都道府県レベルとして考えるのであれば、やはり地域拠点病院の整備というのが大前提だろうと考えております。
 その中で、その拠点病院が各機関と連携をきっちりしながら、従来あるネットワークをより強固なものにしていくという手順を踏まないとなかなか難しいのではないか。これは、そういうイメージです。
 地域拠点病院というのは、どういうことをやるところかということですが、子どもの心の診療に専門的に携わる医師が複数いる、しかも、可能であれば、やはり数名いる、勤務しいるということが大事ではないかと思います。
 つまり、外に出ていくというのには、一人、二人ではとても難しいですね。それから、子どもの心の診療に関する、当然、専門外来のある、そして、何より、重篤な心の問題を抱えた子どもを適切に治療することができる専用病棟もしくは専用病床、やはり子どもの治療環境ということを考えると、専用病棟が望ましいと考えております。
 そして、都道府県と連携しながら、地域における心の診療ネットワークの中核的な役割を担うということが大事だと思っています。
 というのは、ネットワーク活動というのは、全く診療報酬に反映されていない活動ですので、やはり公的病院がかなり担わないと難しいと思います。そういったこともあって、そう考えております。
 それから、先ほどのアンケートにもありましたように、医者が足りないという都道府県、かなりまだ多いですので、幾つかの拠点病院の中から、心の診療に専門的に関わる医師を養成する機能を有しているような病院をサポートしていく、仮に人材育成型拠点病院と呼んでおりますけれども、そういったことが大事ではないかと思っております。
 我が国の現状です。いわゆる児童精神科の専門病棟を持っている病院というのは、平成23年4月の段階で、全国で16病院、14都道府県です。
 先ほど、入院することができると答えた病院が28と書いてありましたが、それは、混合病棟や専用病床で、大人がいたり、それから半分大人だったりというような状況で、専門病棟は、恐らく、この後少し増えましたが、この時点では16病院です。
 ですので、拠点病院の整備の必要性というのは、こういったことで、やはり複数の専門医がいる公的医療機関が必要だと思いますし、病病連携、病診連携、そして、病院関係機関連携の、各連携が機能して初めてネットワーク活動というのは展開すると思いますし、専門医の不足の改善ということにも地域拠点病院が寄与していくだろうと思います。
 もう時間が過ぎてしまいましたので、これは、厚労科研で私が分担研究していましたころのネットワークの在り方に関する研究の報告書を少し改変した、ネットワーク構築するための必要な施策という提言の一部でございます。
 お時間を過ぎてしまいました。以上でございます。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。ただいま、山梨県と静岡県について事業の内容、特に研修、育成といったことを中心に御報告いただきましたけれども、委員の皆様から、何か御意見あるいは御質問ございませんでしょうか。
 どうぞ。
○神尾委員 神尾です。ありがとうございました。では、まず、山梨県の方から、新しいビジョンの下に、最初からつくられているので、今日的な課題が、将来どういうふうに解決されていくのか、5年後が想像できて楽しみな、そういう御発表だったと思うんですけれども、とても期待しています。
 すばらしい点として、まず、第1に、診療科をめぐる既存のいろいろな問題点を踏まえた上で、児童精神科だけでなく、小児科、そして精神科のそれぞれの拠点を基にネットワーク化が想定されていることです。
 次回に是非、お示しいただきたいのは、人材のキャリアパスについてです。この領域に必要な人材のキャリアパスというのは、これからは、もっともっと多様であるべきだと思うんです。今、静岡県からの御報告にもあったように、小児科出身の先生が精神科に来られたり、また、逆もあったり、いろんな多様なモデルを是非お示しいただければ、と思います。中長期的に新しい、統合的な医療、総合医療という性質を考えると、是非、多様な選択肢をお示しいただければ、と思います。
 第2に、やはり本事業のアウトカムを評価するときに、先ほど人数は余り増えていなかった、という言い方をなさいましたが、人数がアウトカム評価として適切かどうかという点nも含めて御検討いただきたいと思うんです。 というのは、山梨県では発達障害の早期発見に力を入れて取り組んでおられ、私の考えですけれども、地域で早期発見の取り組みの成果を地域全体を評価するときのアウトカムの1つには、これまで未診断だった子どもたちが初めて受診につながる年齢、初診年齢が下がったかどうか、ということもあり得ると思うんです。当然、受診年齢、初診年齢は、疾患ごとに違うわけで、ベースラインと比較してお示しいただくと非常に参考になるかなと思いました。
 第3に、先に泉課長がおっしゃったように、国民病の1つに精神疾患は入ってきているわけで、今日ではもはや決して希少疾患ではないということを考えたら、中規模以上の都市では、わずかしかいない専門医だけでその診療を担えることは絶対にあり得ないので、いかに一次、二次の医療と三次の専門医療が役割分担するか、という双方向のシステムをお示しいただきたい、と思います。一次から三次まで全部吸い上げるだけでは専門機関がどんなにすばらしいサービスを提供していても必ず何年か後には破綻してしまう、と懸念します。 以上です。
 ちょっと続けていいですか。
○柳澤座長 どうぞ。
○神尾委員 静岡県の御報告に対して、こちらは、もともと子ども病院という、三次の医療機関を背景に、今までのサービスをより充実して、しかも新たに小児科から来られた研修医の先生にプログラムを試みているという非常に具体的な御報告で参考になりました。すばらしいなと思ったのは、目標に児童精神科医の専門医を養成するのではなくて、総合的な子どもの心を診る医者を育てるというようなことをお考えになって点です。目標の上から2番目に、外来で適切に診れるようになることが、研修後、地域に帰って地域に貢献してもらうということとともに挙げられていたところが、大変すばらしいと思った点です。山崎先生ご自身もおっしゃっていたんですけれども、今、無償で病院の常勤の先生方がアウトリーチ活動として学校に出向いて、他府県では真似できないすばらしいサービスをなさっているという点には、少し懸念があります。当然、サービスの受け手からすれば大歓迎だと思うんですが、地域システム全体として持続可能かという観点、つまり費用対効果では、三次専門医療機関の常勤医が今後もそうしたアウトリーチ活動を継続的に、かつ発展的に担っていただくことが可能なのでしょうか。今後ますますこれまで未対応だったニーズの発掘をし、更にサービスが広がっていくと予想されるので、先に申したこととと重なるんですけれども、一次の医療機関をどういうふうに巻き込むか、いかに一次、二次、三次と役割分担して、それらが一体となって教育とか、福祉と関わるようにしするか、もお示しいただきたいと思います。今後、どれだけのニーズが発掘されることを予想されるかなども推定していただいたうえで、今後、どういうふうに、どこが担っていく計画なのかというのがわかると、拠点の先生方がバーンナウトするということもなく、地域の中でケア・システムが充実していけるんではないかと、私は期待してます。
 以上です。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。ただいまの神尾委員の御意見に対して、山梨県あるいは静岡県から何か、それに対するお答えなり、コメントなり、ありますでしょうか。
○山梨県 山梨県ですが、御意見をいただきどうもありがとうございました。最初の部分の統合的な医療の人材育成というところについては、また、持ち帰って、先生方と相談をしていきたいと思っています。
 早期発見の初診の年齢というところで御意見をいただいたことについては、こころの発達総合支援センターについてのみの統計しか、今、手元にないのですが、子どもメンタルクリニックのみのときと比べて、診療については、幼児期が1.7倍、高校生が1.4倍、あとは1倍というような状況です。
 相談部門については、幼児期が8.4倍というふうに、一番の伸びを占めていまして、その後、中学生、小学生が2倍ちょっとというような相談件数の伸びになっています。
 メンタルクリニックが3か月待ちとか、そんな状況で人材も増やしてパワーアップしたんですけれども、2年目を迎えて、また、それに近いような状況になってきているというところが、現状としてあります。
 もう一つ、地域で診てくださっている先生たちとの連携というところですが、もう一つ、発達障害の会議も障害福祉課の方でもっておりまして、山梨県は小さいので、どの会議をしても、大体同じ先生方の顔ぶれになるというようなところもあります。顔の見える中での安心した連携というところもあり、その中の先生の発案で、精神科の先生たちの研修会に、発達障害だったり、心の研修もやってほしいという意見もいただき取組みをしたりというようなことがあります。意見をいただく中で発展的に考えていきたいと思っています。
 ありがとうございました。
○柳澤座長 山崎先生、ありますか。
○静岡県 神尾先生、ありがとうございます。最初のネットワーク活動ですが、これは、少しずつ人材を増やしていかなければいけないということで、こども病院としては、私からスタートして、その後、医長も入れて、今は常勤全員で分担してやっておりますが、もう一つは、県レベルでいいますと、寄附講座で、杉山 登志郎先生が浜松医大の特任教授に就任されまして、そこで人材育成していますので、今後人材が育ってくると思いますので、ネットワーク活動にも参加していただけるのではないかと期待をしています。
 それから、日常の診療に関しては、私もいろんなところで申し上げているんですが、こども病院は、地域医療支援病院ですので、紹介状が来ると断れないんですが、精神科に、3歳児健診で引っかかったお子さんがストレートに紹介されて来るということが起きてきて、三次医療機関としてはちょっと困っています。
 そういう状況を踏まえて現在は、発達障害のお子さんを一次診療で診ていただける小児科の開業医の先生をサポートしていこうと考えています。
 もう一つは、静岡県は、横に広うございまして、下田などとても遠方から来ていただくのが、非常に申し訳ないケースもありますので、クリニックの先生たち、つまり、子どもも診られる精神科医の先生方のネットワークを何とかつくりたいということも考えています。こうした観点から、他県から講演に来ていただく先生方にも、講演の内容は、専門家向けではなく、一般の小児科の先生が少しでも理解してくださるような内容をお話いただくようお願いしたり、一般精神科医の先生が興味を持つ発達障害などの話をしてほしいとお願いしたりしています。これは恐らく全国的な課題だろうと思いますので、日々の診療の連携だけではない、研修などのシステムをつくっていかなければいけないと思っております。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。奥山委員、どうぞ。
○奥山委員 大変充実した取組みのお話を両県から聞かせていただいて、ありがとうございました。
 特に、今回、養成あるいは教育というところに主眼を置いてお話をいただいたわけですけれども、特に、医師が足りないということで、医師の教育にどうしても偏ってしまうといいますか、それが中心になるのは当然だと思います。しかし、心理士さんなんかも、子どもの心の診療に携わる基礎を学んでいる心理士さんというのが、なかなかいなかったりということもありますので、コメディカルの養成ということに関して、どういうふうにお考えかを聞かせていただけるとありがたいと思います。
○柳澤座長 山梨県、静岡県、それぞれからもし、何かあれば。
○山梨県 こころの発達総合支援センターの集団療育が始まり1つのグループをオープンすることを前提にしていて、保育所の先生だったり、心理士だったりに見学に来ていただいたりとか、そういった中で人材を育成していくというようなところ、あと、市町村ごとのモデル事業を実施していて、そこで連携を取りながらお互いにどんなことをしているかというようなところを知り合う中で、更に意識を高めていただいたりというようなところが、今、わかる範囲なんですが。
○柳澤座長 どうぞ。
○静岡県 こども病院として独自に実施してはいませんが静岡県の場合には、発達障害者支援センターが総合支援部という形で研修事業に取り組んでいます。特に各地域の発達障害に関わる職種の方への研修を数多く実施しています。
 ただ、これは、私の個人的な見解ですが、医師以外の職種の方たちが自分の職場を離れて研修を受けたいというように持っていくためには、国の政策としてどうするのかということはあると思います。この事業でやるというのは、ちょっと難しさを感じています。そういうニードは余り感じません。それは、我々のアンテナの張り方の問題かもしれませんが、つまり、自分の業務時間をどんなふうにやりくりして、トレーニングを受けにくるかというようなこととかを含めて、やはり少し職種が違うと難しいのではという思いは持っています。
○奥山委員 ということは、心理士さんとか、ほかのコメディカルの方々で、研修に行きたいという方は余りいらっしゃらないと。
○静岡県 病院での研修は、余りないですね。県内で開催されているいろいろな研修会には、皆さん参加されていると思いますが、実は病院で心理士さんに研修させてあげることは結構難しいんですね。心理検査は陪席させられませんし、心理療法には陪席させられませんので、病院としても研修を継続的に来るとすれば、新患に陪席させたり、きちんと契約ができれば、ケースを持ってもらうようなことでのスーパーバイズということになると思います。
○柳澤座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 今の点にも関係するんですが、今、先生方のつくられたプログラムは、非常にすばらしいと思うんですが、1点、特に、研修プログラムにおいては、現在、どうしても見学型のプログラムから、いわゆる参加型のプログラムの方に医学部のトレーニング、学生さんの実習も変わってきていますし、将来的には、児童、思春期のトレーニングも、いわゆる参加型のものに変わっていく中で、今、奥山先生がおっしゃったような心理士の方だとかあるいはソーシャルワーカーの方が入った複合的な参加型のプログラムをつくっていくということができれば、こういうふうな中核病院の中でやっていただける事業の1つとして、つくっていっていただければすばらしいと思って、今のお話を聞きながら感想を持ったんですが、いかがでしょうか。
○柳澤座長 どうぞ。
○静岡県 参加型というのは、具体的などんなイメージですか。医者たちは、すべて参加型でやっているんですけれども、コメディカルの人たちの参加型というのは、どんな感じでしょう。
○齋藤委員 これは、私の海外での経験に基づいてなんですが、例えば、児童の病棟なんかにいた場合に、いわゆるプライマリーテラピストという、いわゆる日本でいう、主たる患者さんと接する方というのは、必ずしも医者ではなくても、ソーシャルワーカーであったりとか、サイコロジストであったりとか、中にはティーチャーだったりとか、リクレーショナルテラピストでもよかった、そういうような方と、あと、医者が連携して医療をつくっていくというメカニズムが存在したりした中でトレーニングを受けていると、余り、先ほどおっしゃった、最初にだれが患者さんの治療をするかというところで、余り三次とか二次とか高いレベルの先生方ではなくても、ある程度日常的な患者さんのニーズに対応できるという点に関しては、ある程度、医師以外の人を含めたチームの中でやっていけるんではないか。
 そのときに、心理の方だとか、ソーシャルワーカーの方も、そのチームの中に参加することによって、患者さんとの間のコミュニケーションを取って、チームに大きな貢献をしながら、自分も児童精神科医療を学んでいくという機会がより多くなるんではないかと考えて、今、そういう話をさせていただきました。
○柳澤座長 どうぞ。
○静岡県 ありがとうございました。よくわかりました。実際の臨床のチームの中では、そこまで欧米的なやり方が日本でなじむかどうかは別としまして、当院もかなりチーム医療でやっていると思いますが、私が先ほど、システムとして難しいと申し上げたのは、医者は、その間、ほかのところから転勤してきて、こっちでこの事業費で給料を払って研修を受けているわけですね。
 ですので、コメディカルの方が参加型で、ここの事業で研修を引き受けるというときには、その元の職場を辞めてくるということにしないと、とても患者さんを責任持ってお任せすることはできませんので、そういうシステムが、どうもほかの職種はなじまないのではないかというのが、私の印象でございます。
○柳澤座長 奥山委員、どうぞ。
○奥山委員 実は、成育医療研究センターには大学を卒業して大学院にいる方あるいは大学院を卒業するくらいの方で、心理の研修を受けさせてくれないかというような希望はときどき来ます。
 ところが、先ほど先生もおっしゃったように、研修プログラムというのを、まだ持てていないので、なかなかお引き受けしづらいというのがあります。もう少しコメディカルの研修プログラムを発展させなければいけないと思っています。研修医、医者は研修プログラムが結構できているんですけれども、コメディカルの研修プログラムはなかなかないので、その辺は、もう少し考えてもよいのではないかと思って、ちょっと御質問させていただいたのです。
○柳澤座長 ほかに、2つの県における取組み、それに関連した報告に対して、御意見、御質問はございませんでしょうか。
 山崎先生の方から、本事業への提言ということで、拠点病院のない都道府県に対してというようなことも触れられていました。これは、拠点病院の整備というところから始まっている有識者会議ですけれども、22年までのモデル事業、それから23年度はネットワーク事業というように、事業としての取組みに行政としてはなっているわけですけれども、モデル事業だったときに、手を挙げてやっておられた都道府県というのは10とか11とかですね。現在、23年度からネットワーク事業としてそれに取り組んでいる都道府県も10でしょう。本来だったら、ここで全国的に展開されてもいいというように、モデル事業から本来の事業という意味では、その辺がそうはいっていないというのは、どういうことが一番問題になるんでしょうか。座長からの質問で申し訳ないんですが。
○山本課長補佐 まず、幾つかの自治体からお伺いしている話としましては、モデル事業という名前でやっていたために、ずっと継続しないんではないかと思った自治体があったようでして、23年度から本格実施ということになって、この事業は、これからも続くんだなということを、結構、自治体も思われたようです。23年度は新しい申請はなく、10のままだったんですけれども、24年度は、長野県とか、島根県でもやりたいということで申請をいただいていますし、あと、幾つか御検討いただいている自治体もありますので、少しずつ増えてきているというところだと思います。
 ○柳澤座長 では、神尾委員、簡単に。
○神尾委員 今のに関係してですけれども、今日御発表いただいた山梨と静岡は、ある意味で対照的なモデル・タイプだと思います。山梨の方は、新たに行政主導で、つまり、コミュニティーケアから始まって、幼児から成人までのりしろを作ってサービスが圭造するように計画している。だから、この行政主導の本事業にはぴったりはまると思うんですね。
 一方、静岡の方は、もともとあったすべての小児医療を担っていた拠点である子ども病院が、しかも民間だとおっしゃっておられましたが、三次から地域ケアにトップダウンで活動されている。 だから、行政の関与が見えにくく、ほとんどを病院がカバーできてしまっているように思いました。逆にこうした拠点病院がない地域は、病院に依存することができないので、行政主導でやらざるをえませんし、拠点病院がないから地域での子どもの診療やケアができないことはない、というモデルを山梨県が示されたと理解しています。本事業の全国展開に非常に期待していると申し上げたのは、そういう意味です。
○柳澤座長 ありがとうございました。それでは、今の課題について、何か付け加えることがあればですけれども、なければ、先に進みたいと思います。
 今日の議事の2つ目、中央拠点病院の取組みについてというところに移りたいと思います。
 資料7について、奥山委員から、資料8については、植田参考人から御説明をいただいて、御質問は、やはり、2人の説明が終了した後で、まとめてお願いしたいと思います。
 それでは、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 昨年の有識者会議の後でも、被災地の子どもの心のケアシステムの問題に関していろいろ御議論いただきました。そのような中、今年度から、ナショナルセンターとして被災地の医療に何らか貢献をしてほしいというお話がありました。
 うちのセンターに関しては、子どもの心の診療ネットワーク事業に参画しているからということがありまして、子どもの心の診療としての研究を行うことになりました。
 ですので、研究代表者は、うちの総長です。子どもの心のネットワーク事業で行われてきた地域ネットワークの在り方、それから、これまでも連携とか、そういうネットワークの在り方と、それから、コンテンツとしての標準化ということを同時に事業をサポートする研究の中でいろいろやらせていただいたんですけれども、それを被災地版という形で行っていきたいと考えております。ここの部分が被災地の分析、それから、被災地に外部からの支援をするときに、どういう形がいいのか、そして、コンテンツとして、いろいろな治療、ケアの在り方の標準化ということを中心としたことを行っていこうと思います。
 この心の診療ネットワーク事業での皆さんとのコミュニケーションノウハウを基礎として、こういうことを行っていきたいと考えているということでございます。
 これは、今年度は何をやるかということを細かく書いたものですけれども、いろんな被災地内でのネットワーク状況の経時的変化ということに関して、分析をしていくということ。
 それから、外部からどんな支援があり得るのか、例えば、遠隔相談システムというのは、いろんなところで出てくるんですけれども、なかなか成功していないのです。ですから、では、何で難しいのか、どうしたらいいのかというのを含めて考えていきたいと思いますし、研修に関しても、ときどき研修疲れしていると地域では言われているので、実際に、本当にどんな研修が一番ニーズがあるのかということを分析していきたいと考えております。
 それから、こちらに関しては、いろいろな治療法あるいはさまざまなケアの在り方に関しての標準化、そして、できれば、最終的にケアも含めて、災害精神医療というのがありますけれども、災害児童精神医療の入り口くらいは、何らか御提示するような形でいきたいと思っています。これが、研究の形で行う今年度のものです。
 もう一つは、つい最近になって、ナショナルセンター全体のプロジェクトとして、身体疾患を持った方々のうつの問題に取り組むということを今年度行うことになっております。
 例えば、糖尿病の方々のうつのスクリーニングをして介入して、そして、それを全国的に均てん化していくという考え方なのです。実は、成育医療研究センターで何をするかというのが、まだ決まっておりませんでした。最初は産後うつをという精神神経センターの方からの御提案があったんですけれども、うちの中でかなり議論をいたしました。お産というのは、ある意味、身体疾患ではなく、継続的な診療がないという話もあって、最終的に精神神経センターの方とも打ち合わせをして、つい最近決まったんですけれども、子どもの慢性疾患のメンタルヘルス、今回は、特にうつを中心としたメンタルヘルスに関して取り組んでいこうということになりました。今年度は、ちょっと特殊ではあるかもしれないんですけれども、炎症性腸疾患を対象として、うつのスクリーニングをして、そのコーディネートをして、ある程度治療が必要な方に関しては、治療的介入を行って、そして、そのノウハウを基に研修を行っていくという形になってきております。
 これも、拠点病院事業の方ともリンクさせて、できれば、今年度の拠点病院事業の研修ということに関しましては、身体疾患を持ったお子さんへのメンタルヘルスに関してのケアということを中心に、少し研修を組んでいきたい、つまりコンサルテーション・リエゾンを中心に研修を組んでいけたらというふうに考えております。
 もう一つ、事業評価といいますか、私たちが事業をやっていく上で、充実、発展させていくために、どんな指標を使ったらいいのかということが、課題になっておりました。
 いろいろ考えましたが、なかなか結論が出ませんでした。例えば、全児協さんでやっておられるみたいな統計を取るということでは、このネットワークの状況の指標にならないとか、あるいはいろんな病院さんで、取れる指標と取れない指標とあるということがあって、なかなか難しかったんですけれども、この後、お話しいただける植田先生の方で、昨年、費用対効果の方の研究をなさっていただいた中で、御提案をいただくという形で、今回、御提案をいただいております。
 それが、次の資料の2枚目になります。ここの3、指標の例ということで挙げていただいております。
 できるだけ拠点病院を中心としたネットワークの評価ということで、地域との連携の在り方とか、地域に研修とか、地域のアウトリーチの事業ということをどのくらいなさっておられたか。
 拠点病院そのものに関する指標の中には、恐らく3番が地域連携に関する指標ということで、前々回の有識者会議でもお話が出てきた、紹介率だけではなくて、やはり逆紹介率がどのくらいあるかということで、ネットワークは少し図っていくべきではないかということを入れていただいて、今、このようなことを考えているということを御報告させていただきたいと思います。
 これに関しましては、御意見があったらいただいた上で、午後、ネットワーク事業をしている方々との会議がございますので、そこで更に検討をさせていただきたいと考えております。
 今日、委員の先生方にお配りさせていただいたのが、去年の研究報告書ですけれども、この中に、この後、お話しくださる植田先生の詳しい報告も入っております。
 ネットワーク事業の皆様方には、既に何部か送らせていただいておりますので、是非、ごらんいただければと思います。
 以上でございます。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。それでは、続いて、植田先生から、どうぞ。
○植田参考人 大阪府立母子保健総合医療センターの植田と申します、どうぞ、よろしくお願いします。恐縮ですが、座らせていただきます。
 私どもの資料ですが、パワーポイントの打ち出しと、もう一つ、非常に細かな表ですが、そちらの表と2種の資料をお手元に御準備いただければと思います。
 昨年度、奥山先生の研究班で「子どもの心の診療およびその拠点病院システムの費用と効果に関する研究」について、研究の分担をいたしました。本日は、研究の報告をさせていただく機会をいただきましてありがとうございます。
 分担研究では、費用と効果に関する調査をいたしました。まず、目的でございます。こちらの1から3を目的にしています。拠点病院事業に従事した者にかかった費用、これは人的費用にフォーカスを当てまして、そちらを明らかにすること。
 2番目としまして、事業評価になり得るベンチマーク、いわゆる評価指標の事業導入前後の変化を明らかにすること。
 3番目は、拠点病院と拠点病院事業未実施で、子どもの心の診療を行っている医療機関、これを対照病院というふうに位置づけまして、拠点病院と対照病院との相違を明らかにすること。
 この3点を目的にして、いわゆる事業導入でどのような取組みが加わって、そのためにどれくらい費用がかかって、それで何が変わったかというところを調査いたしました。
 本報告では、この5つについて紹介したいと思います。
 まず、診療報酬上の病院機能、また、心の診療従事者、これは、病院の基本情報として、まず、とりまとめなければ、ほかの評価ができませんのでまとめています。
 次に、事業導入でどのような取組みが加わったかということで、拠点病院事業内容別の実施状況を報告します。
 次に、事業導入で人的費用がどれだけかかったかということで、事業内容別、職種別の人的費用を紹介いたします。
 最後に、いわゆる評価指標として、どういうふうに事業導入で変わったかというところを御報告いたします。
 まず、調査の概要ですけれども、調査対象といたしまして、11自治体、18か所、これは、調査時点は、昨年度です。平成23年11月が調査日になっています。
 ですので、先ほどの山梨県の御報告の中でありました発達障害者支援センターが開設されました前の情報、山梨の場合は、そういうふうになっています。
 拠点病院は、11自治体、18か所の拠点病院、対照病院は、19自治体、48か所の医療機関にお願いいたしました。
 この対照病院の選択ですが、先ほど山本先生の方から紹介がありました調査から、平成23年11月時点の結果で、かつ、公表可能とおっしゃってくだりました医療機関の48か所に調査をしています。
 子どもの心に関する困難事例や入院を要する事例の診療を行う機関ということで書いてくださっていますので、どちらかというと、事業に参加されておりませんけれども、同様な事業を実施されている実績があって、事業参加の可能性が非常に高いという医療機関であるという認識をお持ちいただければと思います。
 調査方法は、記名式の自記式質問票で、回答率は、このように拠点病院78%、対照病院35%でした。
 非常に複雑な調査でして、新たにまとめていただく必要性もございましたけれども、たくさんの病院の方々が協力してくださいました。この場をお借りして、病院の皆様にお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 まず、基本的な情報として、表1から4の結果ですが、簡単に総括させてもらいます。
 まず、拠点病院間では、診療報酬上の病院の機能が異なっておりました。精神科及び小児科を標榜している病院では、小児入院医療管理料を算定できる可能性はありますけれども、精神科のみを標榜している病院では、算定できず、この相違が診療報酬の相違として大きい状況でした。これは、平成24年度の診療報酬改定の前の話ですので、先ほどありました、児童・思春期精神科入院医療管理料というものが加算から特定入院料になることによって随分と課題解消が期待されると思います。
 児童思春期精神科入院医療管理加算の算定が、拠点病院に非常に特徴的でした。これを算定している病院が、ネットワーク事業に参画できる潜在性があると考えられました。
 また、ネットワーク事業に今後する可能性の高い対照病院であっても、専従医の不足、いわゆる児童精神あるいは小児科医でも子どもの心の診療を専門とされている医者が非常に少なかった、それで、専従する医師の確保が浮き彫りになっております。
 次に表5で、お手元に表5を出していただければと思います。非常に細かな表になって恐縮ですが、表5の左側に拠点病院事業の内容の項目があり、それぞれの診療支援、普及啓発、研修事業ごとに各事業内容に関して、実施回数、職種別従事者数、従事時間数等を計算しております。
 これは、これまで要綱上にありました項目と、あとは、こちらの有識者会議で各自治体が御報告されました内容、また、報告書などを基に、洗い出しまして、実態に即した事業項目として挙げております。
 表5の方に拠点病院事業の内容別実施事業及び事業内容別、職種別従事事業というものをまとめておりますけれども、非常に実施状況にばらつきがありましたので、平均値というよりも中央値を使用して、結果解釈をしております。
 パワーポイント資料に戻っていただきまして、結果説明をいたします。
 診療支援または普及啓発、研修事業、すべていずれかの事業を、勿論ですけれども、実施されておりました。
 診療支援の実施頻度というのは、非常に平均値と中央値が乖離しておりまして、各拠点病院により、大きく異なっておりました。
 医師数が多い拠点病院ほど診療支援、また、医師への初期研修や後期研修、コメディカルへの実施研修などに力を入れておりました。
 複数の拠点病院を設置されている場合、各病院が事業を役割分担されて実施されていました。
 続きです。事例に対する出張医学的支援、また、巡回相談は、1人1回当たりの時間が比較的長くなっていました。医師では、中央値が6時間、これは、アウトリーチにかかる時間も含めた形で御報告していただいていると思います。
 ホームページを通じた情報発信など、この普及啓発の小項目2つを除いて、すべての事業は、主として医師が従事されていました。
 医療関係者従事人数は、各事業1回当たりに非常に幅がありました。
 一方、事務員の方は、1回当たりの人数は、どの事業も1人か2人御担当されておりまして、1人1回当たりの時間がほかの職種に比べて非常に長かったです。
 同様について、対照病院の結果です。診療支援は、普及啓発や研修事業に比べると、対照病院でも実施されておりました。
 関係者向けの一般的な研修というものは実施されましたけれども、専門研修、事例検討会や医師への継続研修、コメディカルへの実地研修などは限られた病院のみが実施されておりました。
 普及啓発の中でも、関係団体等への講演は比較的多く実施されていましたけれども、自ら企画して実施しているというよりも、むしろ、社会の子どもの心の問題に対する関心の高まりとか、その対応の必要性から、要請があって講演を実施されているんではないかというような状況が推測されました。
 従事者間での実施状況を比べましたら、従事者では、医師が主であって、次いで心理士と、これは、拠点病院の結果と同様な結果になっています。
 拠点病院では、事務員の方が、大体従事されておりましたけれども、対照病院では、事務員の方は、ほとんど従事されていなかったという結果になっています。
 今の表5、6の拠点病院事業内容別実施状況と、職種別従事状況をまとめたスライドです。
 顔の見える連携強化を図ることが可能で、事例にとっても有益でタイムリーな相談ができる出張医学的支援・巡回相談は、1人1回当たりの時間が比較的長く、医師数が多い拠点病院のみ行っていました。
 医師への初期研修や後期研修、コメディカルへの実施研修などの専門的かつ継続的な研修事業でも医師数が多い拠点病院が実施しておりました。
 拠点病院でも対照病院でもほとんどすべての事業項目で医師が関与しておりました。医師は、臨床医としての診療業務に加えて、調整業務、連携業務等が要求されていたという実態があります。これは、対照病院でもです。
 ですので、子どもの心の診療医にとって、調整業務・連携業務というものも、診療業務に加えて必要不可欠であるということで、小児領域他分野、成人精神科領域と異なる点であるということが浮き彫りになったかと思います。
 拠点病院では対照病院に比べ、事務員が従事しておりました。他機関や地域住民との関係を継続的に安定して保つためには、事務員という方は非常に必要不可欠な人員であるということがわかりました。
 以上から、事業導入で加わった事業内容と、それによる子どもの心の診療の強化についてのイメージをまとめました。
 対照病院に対する調査結果でわかりましたように、もともと診療支援、研修、普及啓発は、最低限ありましたし、実際、拠点病院も事業を開始される前、実際にやられていた実態があったと思います。それぞれやられていて、そもそも子どもの診療には、調整や連携業務が必要不可欠な事業であったという事実が明らかになりました。事業化によって、主に加わった取組みとしましては、医師、コメディカルスタッフの確保、事務員の投入、関係機関の顔の見える連携強化、主としてアウトリーチになってくるかと思います。また、関係従事者への専門研修、住民への受動的でなく能動的な普及啓発というものが加わったことで、この3つのそれぞれの事業に有機的なつながりが生まれ、また、支援が点から面へ、また、ネットワークの厚みが広がっていくことが期待されます。
 それによって、家族とか子どもによい影響がもたらされるということをより期待できるというふうに考えられます。
 これは、1つの提案ですが、今回、事業の取組み状況を詳細に分析した結果、調査者の立場として見えてきた事業の最終ゴールです。子どもの心の健康へ向けた取組みということで、まず、お子さんの心の健康問題があって、それに対して、子どもさんや御家族が一生懸命取り組んでいらっしゃいます。それぞれさまざまな関係職種、保健医療従事者であり、教育者であり、福祉機関の関係者であり、皆さんがそれを支援していくと。
 かつ、環境づくり、診療や支援を受けやすい環境、そういったものをつくっていくことによって、最終的には、子ども、家族のQOLの向上を目指していくというような事業の最終ゴールがあると、今回の結果を通じて、私自身が感じたことです。
 次に、どれだけ費用がかかったかということに移ります。また、表の7を見ていただければと思います。
 この表の7に拠点病院事業内容別、職種別人的費用を計算しております。どれだけ費用がかかったか、人的費用についてフォーカスを当ててまとめております。
 これは、どのように計算したかと申しますと、下に小さく書いておりますけれども、実施頻度の中央値、1回当たりの人数、また、1人1回当たりの時間、また、職種別時間当たりの平均支給額を掛け合わせて、人的費用を算出しています。
 職種別時間当たりの平均支給額というものは、拠点病院は、公立の病院もありますし、大学病院もありますし、私立の病院もありましたので、平成22年の人事院の職種別民間給与実態調査というものがございまして、大体それぞれの職種の40歳前後の、一番中堅で実質やられる方のコスト、給与を参考に算出しています。
 この表を見ていただきましたら、一番下の総計、人的費用の総額が約955万と算出されました。プラスαと書いておりますのは、子どもの心の診療の初期、後期研修にかかる人的費用であるとか、コメディカルスタッフの実地研修にかかる人的費用というものは計算ができませんでしたので、そちらの方は除くということで、それがプラスαに含まれるというふうに理解をしてください。
 次は、小項目ごとに見ていきますと、事例に対する出張、医学的支援、巡回相談が一番人的費用が高くかかっているという結果になりました。
 また、診療支援、普及啓発、研修事業、3つを比べてみますと、診療支援にかかる費用が一番高く、約570万円となっております。職種別に見るということは、総計を横に見ていただきたいのですが、職種別に見ると、多くの事業で医師の人的費用が非常に高くて、次に事務員の方の人的費用が高かったということです。
 次にベンチマークの結果ですが、今回、ベンチマーク、評価指標というものが何であるかということは、決まっておりませんでしたので、いろいろな文献であるとか、いわゆる国のさまざまな調査であるとか、そういったものを参考に、あらゆる指標を使った上で、調査をいたしました。
 本当に大変な作業が必要であった病院もあるかと思いますがよく回答してくださっております。それをまとめたものが、表2と4で、非常に細かくなっておりますので、パワーポイントで結果を申し上げたいと思います。
 まず、初診外来患者数は、外来診療実日数というものが、病院によって5日であったり、2日であったり、いろいろですが、そういったものに比例するのではなくて、医師数に比例していたということです。
 あと、外来患者延数割る初診外来患者数ですね。一度初診に来られて、その方をどれだけフォローするかという指標になりますが、医師数が多いほど、ずっとフォローされているという傾向にありました。
 また、新入院患者延数割る初診外来患者数ですが、外来に来られて、どれだけ入院されるかというようなものですが、新入院患者延数は、在院日数とか病床数とも関連いたしますけれども、小児入院医療管理料を算定している拠点病院の方が高い傾向にありました。
 事業実施前後で、初診外来患者数と、入院患者延数の増減は、普通は増えていれば増え、減っていれば減りますが、1か所の拠点病院のみ異なっていたのですが、大体増減は、どの病院も一致しておりました。
 先ほど議論の中で、初診の外来患者さんの平均年齢という話がありましたけれども、これも1つベンチマークとし調査しております。
 結果として、やはり平均年齢というのは、その病院の特性によって全く違ってくるということが見えてきまして、疾病特性であるとか、病院機能と非常に関連しておりまして、大きく3つに分けております。
 平均年齢が小学校低学年前後の拠点病院というものが、まずありました。疾病特性を見ましたら、広汎性発達障害、多動性障害の患者さんが多くを占めまして、特に、就学前患者が多くて、小児科医も従事している拠点病院でした。
 次に、平均年齢が小学校の高学年、1よりも少し高いグループ、その中でも2つに分かれています。
 まず、一方、小児専門病院の精神科が担当している拠点病院で、広汎性発達障害や多動性障害の患者も多く診療されていますが、加えて、神経症性障害、摂食障害などの他の疾病患者も多く診療している拠点病院。
 もう一つは、広汎性発達障害の患者が多く占めますけれども、その内訳が就学前から中学生まで一定の割合でいる拠点病院、ここで平均年齢を取ると、小学校高学年になってくるというような状況です。この2パターンに分かれました。
 3つ目は、平均年齢が高校生前後というグループです。これは、精神科救急入院料であるとか、精神科急性期治療病棟入院料を算定していて、児童・思春期精神科入院医療管理加算、平成24年以降はないですが、この管理加算を算定していない拠点病院で、子ども以外の成人の精神科の患者さんも多く扱う病院でした。神経症性障害の患者が多く見られていました。
 このように、平均年齢については、疾病特性と病院機能と非常に関連しているという結果が出ております。
 次は、ほかの事業実施前後の比較であるとか、ほかのベンチマークについての説明です。まず、紹介率ですが、事業実施前後の変化を見ますと、ほとんどすべての拠点病院で増加をしております。
 それから、初診外来患者数が少ない場合とか、ほぼ100%の紹介制を取っている病院を除いて考えてみると、大体紹介率は、すべての事業導入後、増加しています。
 逆紹介率については、算出できたという拠点病院は7か所です。外来で、主に初診患者を診療している拠点病院を除くと、逆紹介率は、大体8から34%の範囲でした。
 平均在院日数については、精神科救急入院料、また、精神科急性期治療病棟入院料を算定している拠点病院、また、特定機能病院、こういうところは、非常に平均在院日数が短かったです。
 また、被虐待児を多く診療されている拠点病院は、平均在院日数が非常に長かったです。ですので、平均在院日数を考える際には、被虐待児を除いた平均在院日数の把握が必要になってきます。
 対照病院につきましても、今、申し上げたような初診外来患者数とか、入院患者延数の特徴、初診外来患者平均年齢と、年齢別疾病別初診外来患者数の関係など、拠点病院の特徴と相違はなかったです。
 対照病院で逆紹介率が非常に高い対照病院がありましたが、こちらの病院が、子どもの心の診療に関する業務を多く実施しているわけでは、実はなかったです。
 こういったベンチマークの状況を全部かんがみまして、ネットワークというものをどういうふうな指標ではかれるのかなども考察をしました。
 診療評価指標なども、今、すごく言われているような時代ですけれども、このネットワーク事業に関しては、診療支援、研修事業、普及啓発が相互に関係し合って、事業が展開されており、拠点病院の病院機能、また、事業形態が全く異なっております。精神科でされているところもあれば、小児科でされている、大人も診ているところもあれば、子ども病院もある。また、診療報酬の取っている状況も全く違うと、そういう背景の中で、一律にベンチマークの目標値を設定するというのは、非常に困難ですし、それをすることに意味があるかどうかというのは、非常に疑問だと思いました。
 ですけれども、それぞれの拠点病院で、ベンチマークの変化を追っていくということは、患者の動向とか、子どもの心の診療の周知状況を概観できるという意味で大変重要です。というのは、例えば、地域で一次病院がたくさんできると、もしかしたら紹介率は下がるかもしれない、逆紹介率が上がるかもしれないとか、子どもの心の健康問題に対する周知状況が地域で変わってくると、このベンチマークの指標の解釈も違ってきます。ですので、各診療拠点病院で、経時的に追っていくことにより、その変化によって、各地域がどうやっていくべきかを考えることができ、そういった意味で事業評価として有効ではないかと、今回考えました。
 まとめです。拠点病院間で、診療報酬上の病院の機能が異なっておりました。
 こちらの方は、児童・思春期精神科入院医療管理料というものが加算から特定入院料になって、800点から2,911点になって、この課題については、かなり変わってくるんではないかと思います。
 対照病院でも、子どもの心の診療に専従する医師の不足がありました。そのことが、事業への参画を困難にしている現状がありました。
 拠点病院でも医師数によって、事業内容の実施の病院間の格差を認めております。ですので、子どもの心の診療医の確保、また、養成というのが喫緊の課題であるということが、改めて再確認されたということです。
 次に、拠点病院、対照病院ともに拠点病院事業のほとんどすべての項目に医師が関与しておりました。子どもの心の診療医というのは、調整業務、連携業務というものも業務として要求されていると、この業務に対しても何らかの診療報酬等の対価というものが必要ではないかと思いました。
 また、拠点病院事業の必要経費、この必要経費というと誤解を招きますので、人的費用ということで、人的費用の面での必要経費というものは、総額約1,000万プラスαと推計できました。
 ですので、例えば会場費であるとか、交通費とか、そんなものは入っていませんので、総額予算としてはもっと必要だということになってきます。
 ベンチマーク、評価指標の目標値を設定するというより、ベンチマークの変化を追っていくということが事業評価の目安となって非常に重要ではないかとまとめました。
 ありがとうございます。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。大変重要な研究成果を報告していただいたと思いますが、奥山先生の報告も含めて、中央拠点病院、特に、今、御説明いただいた研究報告についての御意見、御質問はございませんでしょうか。残された時間が少し短くなってしまいましたけれども、どうぞ。
○佐々木委員 私、保健所長会から初めて来ましたので、今日は黙っていようと思っていたんですけれども、地域のネットワークと県レベルのネットワークがあると思うんですね。それを分けて少しお考えになった方が整理がしやすいかなと思いました。
 それから、奥山先生の報告の中に、相談先はなかなかないけれども、医療には困っていないというような文章があったような気がするんですが、そういうところは、なぜ、相談先に困っているのか、そういうようなことも少し出していただくと、その保健所の役割がわかってくるのかなと思いました。保健所は全国に495か所ありますので、それから、保健師が、ある程度のスクリーニングは担えると思いますので、是非、そういうこともネットワークへの支援に入れていただくといいのかなと考えました。
 もう一つは、植田先生の今の評価指標のことについて、やはりそもそもこれは何を目指しているのか、要するに医者を増やすだけなら医者の数を見ればいいわけですし、本当はきっと診療できない子どもを減らすとか、そういうようなところに最終目的があるような気がするんです。
 そうすると、そもそもどれくらいの需要が各県であるのか、それに対してどれくらいの専門職、医師を含めてコメディカル、どれくらいの要請をしなければいけないのか、そういうような、まず、目標を立てる、どういうふうに立てたらいいかというのは、きっとどこかの研究班で、ある程度の指標をつくっていただかないといけないんだろうと思いますけれども、そういうことをベースにして、これから全国展開していくわけですから、各県に下ろしていただく方がいいかなと思いました。
 そのときに、ネットワークのイメージ図をまずつくること。それに必要な、山崎先生が言っていたような、いろんな項目をチェックリストとして都道府県に示して、自分のところでは、何がどれくらい足りないということがわかるような、そういうものを出して、それでやっていただくと、その評価というのもできるんではないかと思いました。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見をいただいたと思いますけれども、今の御意見も含めて、何か、どうぞ。
○神尾委員 今、佐々木先生のおっしゃたことに同意ます。
 そう考えると、植田先生の御発表の結論も、私は非常に納得がいくんです。つまり、今、佐々木先生がおっしゃったように、今回の事業はネットワークと事業自体の名前も変わったように、やはり明確に地域を対象としているので、病院の評価が目的ではないはずです。なので地域の指標には何が適切なのか。
 先ほど、植田先生も病院の初診年齢についておっしゃっていたと思うんですけれども、私は、地域の評価指標としては、地域には未診断の子どもたちがたくさんいるわけで、その子たちがなんらかのサービスにどれだけ早くアクセスできたか、そこから病院にどのくらいでつながったか、これは、やはり地域調査、疫学調査なんですね。だから、病院の統計資料だけからでは出てこない。だからこそ、厚生労働省の事業であって、行政が関わって、各地域ごと、佐々木先生がおっしゃったように、それは規模によって全く違うだろうけれども、やはりそういう地域を対象とした評価ということを念頭に置く必要があるという点で、全く同感でございます。
 以上です。
○奥山委員 恐らく、佐々木委員が前の資料をお読みいただいたのかなと思いますが、前回、モデル事業のときに、この事業をやった成果として、全国の拠点病院になっている病院、そうではない病院で調べた結果として、お子さんがある程度の拠点病院にたどり着くようなお子さん方が、最初にどこへ行っていいのかわからない、困ったという率は、かなりこの事業をやって有意に下がったということは言えるんだけれども、まだ、1、2年の段階だったということもあるんだと思うんですけれども、症状に気づいてから、拠点病院というか、病院にかかるまでの年限は縮まってはいなかった。大体2年くらいだったということが、前回の調査の結果だったわけですけれども、おっしゃるとおり、いろいろな保健、小児医療、いろいろなところに、まず、最初に親御さんたちが行ってということがありました。
 そういうところにかかっている割合は、8割くらいのお子さんたちがそういうところにかかっているんですけれども、そこを通って来る場合と、ダイレクトに来る場合といろいろあるということがあって、先ほど山崎先生の方でもちょっと出てきていたかと思うんですけれども、その辺のところの交通整理がまだできていない、そのシステムをつくっていかなければならないということは、そのとおりだろうと思います。
 それを地域でどのような形で、それを指標にしていくのか、これは、実際に拠点病院システムだったころの費用対効果みたいなことで少しお願いをしていたので、植田先生のは病院中心の方からごらんいただいたんですけれども、今度、地域全体の評価となりますと、これは、行政を巻き込んでいろんな指標を出していかなければならないことになってくるだろうと思います。
 もう一つ、先ほど、事業のある意味到達目標みたいな形でチェックリストをつくったらどうかというのは、確かに、そろそろ必要な時期なのかもしれないと思っています。これは、私の解釈ですけれども、モデル事業の段階では、それぞれの地域に合わせて、それぞれの形でやってくださったのを、前回、かなりいろいろなパターンがあるということで、まとめさせていただきました。
 それに対して、そろそろこういうことをやってほしいなということの提案というのは、必要な時期に入ってきているのかもしれないと思って、御提言を受けとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○柳澤座長 どうでしょうか、ほかに何か御意見、どうぞ。
○桜山委員 私も全国児童相談所長会の代表として出ているものですから、佐々木先生が言われましたように、相談機関として、勿論、保健所もありますし、児童相談所も関わっていると思うんですが、私が現場から聞いているところでは、やはり、児童相談所で相談を受けても専門医といいますか、足りないということで、この事業で人材育成ということも、随分先ほどから言われておりますし、そのことが、奥山委員、神尾委員あるいは植田委員もちょっと触れていたかと思うんですが、初診年齢ということで、速やかに医療につなげる体制を確保することになると思いますので、そういう意味で、その方面、まさに地域でのネットワークということもありますが、よろしくお願いしたいと思います。
○柳澤座長 どうでしょうか、ほかに何かございますか。
 いろいろな意見を伺って、大体定刻が近づいてまいりました。自治体の取組み、また、研究成果など、本事業を進めていく上で、大変参考になることも、今日、御報告いただいたと思います。それに対して、活発な御議論もいただきました。事務局におきましても、本会議の報告を、各自治体へ情報提供をしていただいて、より一層本事業が向上していくように御支援をお願いしたいと思います。
 今日は、本当に活発な意見交換ができて大変よかったと思います。
 それでは、事務局にお返しいたします。
○泉母子保健課長 どうもありがとうございました。さまざまな御意見をいただきましたので、今日の資料と御意見のあったことなどにつきましては、既に事業を実施している自治体あるいはこれから取り組もうとしている自治体に伝えまして、さらなる取組みを促していきたいと思います。
 今日も御議論がありましたとおり、モデル事業の段階では、例えば、中核病院のあるところ、ないところ、それから地域の医療機関の体制が、心の診療体制がある程度あるところ、ないところ、さまざまなところで、できるところから取り組んでいただこうという形でモデル事業を始めたわけでございますけれども、やはり、目標とするところというのが、ある程度、今までの議論で明らかになってまいりましたので、だんだんと収斂させていく段階という御指摘もそのとおりだなと思っておりますので、今後の自治体の取組みを促していく上で、そうしたところに配慮していきたいと思っております。
 委員の先生方には、今後とも引き続き御指導いただきますよう、お願いいたします。
 それでは、これをもちまして、第7回「子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議」を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。
○柳澤座長 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課母子保健係

電話: 03-5253-1111(内線7938)

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