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2011年10月7日 第2回母子健康手帳に関する検討会 議事録

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成23年10月7日(金) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省 省議室


○出席者

委員

柳澤座長、明石委員、出石委員、今村委員、内山委員、榎本委員、小野委員、小原委員、梶委員、加藤委員、田中委員、藤内委員、福井委員、渕元委員、松平委員

健康局

喜多専門官

事務局

泉母子保健課長、馬場課長補佐、山本課長補佐、芳賀栄養専門官、小林企画調整係長

○議題

(1)論点整理(案)について
(2)その他

○配布資料

資料1母子健康手帳に関する論点(案)
資料2母子健康手帳の現行様式に対するご意見

○議事

○馬場課長補佐
 定刻より少し早いですけれども、全員おそろいでございますので、ただ今から「第2回母子健康手帳に関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆さまには、本日も大変お忙しい中を、遠方よりご出席賜りまして誠にありがとうございます。
 最初に、本日の委員のご出欠について、お知らせいたします。海野委員より、欠席のご連絡をいただいております。
 それでは柳澤座長、議事進行をよろしくお願い申し上げます。

○柳澤座長
 前回の第1回検討会において、大変活発なご議論をいただきましたので、それを受けて事務局で論点を整理してくださっていますので、本日は、それを材料にして活発なご議論をお願いしたいと思います。
 議事に入ります前に、事務局から、資料の確認をお願いいたします。

○馬場課長補佐
 それでは、皆さまのお手元に配布させていただきました資料の確認をさせていただきます。まず、表紙がございまして座席表、資料1が「母子健康手帳に関する論点(案)」でございます。これは1ページから13ページまで、最後が予防接種のところでございます。次の資料2は少し分厚い横置きの資料でございますが「母子健康手帳の現行様式に対するご意見」ということで、めくりますと左側に現行の省令様式を、右側にはそれぞれの項目のところに、いただいたご意見を書かせていただきましたので、議論等の参考にしていただければと思います。また、机上には委員の先生方からいただいた資料がございます。一番上には本日ご欠席の海野先生からいただいた「『胎児発育曲線の掲載』の必要性について」というものでございます。次に、小野委員からいただきました胆道閉鎖症のカラーカードのパワーポイントの資料があります。これは綴じ込みのものと「外国における胆道閉鎖症スクリーニングの現状」という一枚紙のものがあります。次に「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」ということで、これもパワーポイントのカラー刷りのものと白黒のものがありますが、これも小野委員からご提供いただいた資料です。最後に、福井委員からいただきましたマタニティ・パスに関する資料で、2枚目に「マタニティ・パスを活用しましょう」というカラー刷りのもの、その下にA3版の大きいものを折り畳んだ資料が2枚付いております。資料は、以上でございます。不足等がありましたら、ご連絡ください。
 また、前回の議事録(案)でございますが、こちらについては皆さまに一度ご確認いただいたものですが、もし修正等がありましたら、来週14日の金曜日までに事務局へご連絡ください。以上でございます。

○柳澤座長
 それでは、本日の議題であります「論点整理(案)」について、順次、事務局から説明をいただいた上で、議論を進めていきたいと思います。それでは、お願いします。

○馬場課長補佐
 ご説明いたします。資料1の1ページでございます。まず「総論」の1、2、3について、説明させていただきます。「総論」「各論」それぞれに【背景】【検討会等での主な意見】【留意点】、そして最後の大きな括弧内に【論点】としてお示ししております。総論・各論ともに、このような順番でまとめさせていただいております。また、議題ごとに「参考」としてそれぞれの議題内容の前提にもなっております法律事項等も、そのつどお示ししております。
 まず2ページ目の1「母子健康手帳の役割と名称」についてでございます。【背景】でございます。母子健康手帳には、母子保健法上、妊産婦、乳児及び幼児の健康診査及び保健指導の記録を行うことが規定されているということでございます。
 【検討会等での主な意見】として、母子健康手帳の本来の役割については、手帳自体に期待される機能、また「親子健康手帳」に名称変更すべきという意見がありました。
 【留意点】でございます。右側の「参考」にもありますけれども、母子保健法上においては、母性、乳児、幼児の健康の保持及び増進を目的としているということでございます。
 その上で、【論点】を整理いたしました。ここでは、母子健康手帳の役割は、法の趣旨に照らして、母子健康手帳の健康の保持及び増進であり、名称は変える必要はないのではないかということ。もう一つは、父親の育児参加の促進のために、父親も記載できるような欄を設けてはどうかということを論点として挙げさせていただきました。
 次に、4ページの2「母子健康手帳の記載対象年齢」についてです。【背景】については、前のページの「参考」にもありましたけれども、母子健康手帳には、母子保健法上、妊産婦、乳児及び幼児の健康診査及び保健指導の記録を行うことが規定されているということでございます。また、5ページの「参考」においては母子保健法第6条の言葉の定義に「乳児」「幼児」がありますが、「幼児」とは、満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者と規定されています。就学以降の子どもの保健については、学校保健安全法、満18歳未満の者については児童福祉法に規定されております。
 【検討会等での主な意見】としては、学童期以降の身体発育について発育グラフを追加することや、子どもの発達には切れ目がないので、継続性が必要であるという意見がありました。
 【留意点】としては、小学校就学以降の児の記録については、既に例えば母子健康手帳の11ページ、任意のところに7歳以降の者も規定されていること。学校保健統計における身体発育曲線のグラフは文部科学省のデータを基に作成されているというところに留意する。
 その上で【論点】ですが、就学以降にも、母子健康手帳に記録すべき情報はあるか。あるとすれば、それは何でしょうかということを挙げさせていただいています。
 6ページの3「任意様式のあり方」についてです。ここは、まず復習といいますか、省令様式と任意様式の違いにつきまして、第1回検討会の資料3にポンチ絵がありましたけれども、皆さまのお手元にも母子健康手帳がありますか。母子健康手帳においては省令様式は緑色のページで、任意様式はオレンジ色のページとして分けてあります。資料1の8ページの上段には省令項目、下段の施行規則には任意記載についての記載が法令上は記載されているということでございます。
 【背景】から、まず申し上げますと、前回お話がありましたけれども、平成3年の改正で、後ろの任意様式のところについては母子保健課長通知で事項の記載義務を示して、その後情報量の増加に伴い22ページも増加したという背景があります。後ろの任意様式自体は、自治体が採用する母子健康手帳を見ますと、母子保健課長通知どおりのものから完全オリジナルのものまで、現状はさまざまなものがあります。分量の話もありましたけれども、今は省令様式が49ページ、任意様式が40ページとありまして、後ろのミシン綴じの部分も限界に達しているようなところがあります。また、近年増加してきました情報については、副読本や一部市町村の子育て情報紙やホームページを通じて提供できるようになってきているというのが、今までの背景です。
 【検討会等での主な意見】を整理しますと、省令・任意を混在することで、情報は確実に読まれるのですけれども、任意がたくさん入ることによって、ページ番号が市町村によってまちまちになるという課題がある。また、分冊することもあるのではないかという意見もありましたけれども、それに対して1冊でやるべきではないかという議論もありました。情報更新については、ホームページなどでアップデートしていくべきで、母子健康手帳自体は10年経っても変わらない内容にすべきではないか。また、情報は最低限のものでよく、誰に聞いたらよいかといったことは母親にとって重要な情報ではないかというご意見がありました。
 【留意点】では、省令様式と任意様式が一部混在する場合には健診の実施効率等を考慮すると、混在化したとしてもページの場所を統一すべきではないか。省令様式と任意様式を例えば一部混在化した場合は、先ほどのページの番号が、省令の後に任意がどれだけ入るかわからない。では、妊娠のところに妊娠の情報を入れたとしても、それが3ページの所もあれば5ページの所があったりすれば、次の乳幼児のところは番号が違ってしまうというような留意点があるということです。全体量としてもページ数の増加というものは、先ほどミシン綴じの話がありましたけれども、困難ではないかということです。それから、分冊化するという話もありましたけれども、本を2冊作るわけですから、新たな予算措置が必要になるのではないかということでございます。
 これを受けて、最後に【論点】でございますけれども、記録のタイミング、省令様式に記録を記載するタイミングと合わせた情報提供ですが、分冊化については、先ほどの点で実現可能性は低いのではないかという点があります。印刷の問題もあり、分量にも限界があるのではないかということもございます。一部混在させる方向からすると、省令項目の後に現行の任意記載の中で必要な情報を入れるのはどうでしょうかと。例えば予防接種は省令の就学前の項目の後に7歳以降の任意の記録を入れるとか、現行の46、47ページに予防接種の記録がありまして、51ページにも予防接種の記録がありますので、それを近くする。すぐ後ろに入れ込む。ただし、妊娠経過の後には妊娠において必要な情報を入れるということです。盛り込む情報のページ数を規定することに、その後のページ数も変わらないというところでございます。省令様式の後に入れる任意記載については、全国一律に掲載するべき情報は何か。任意記載に何ページと規定するとしたら、そこに何を入れるべきなのかということでございます。
 その下にあります「その他の任意情報の内容、提供方法」については、任意記載のところから何ページというところに入れた以外のものは、どうするべきなのか。必要な情報提供を促すためには、任意様式に記載すべき事項の規定は続けるべきではないかという議論がありました。また、現在の母子健康手帳に記載されている以外で必要な情報はないかという論点があります。以上が「総論」の1、2、3の論点整理でございます。ご議論をよろしくお願い申し上げます。

○柳澤座長
 ありがとうございました。「総論」ということで1、2、3についてご説明いただきました。議論に入る前に少し確認したいのですが、資料1の6ページの真ん中辺りに、「ミシン綴じの限界分量」として括弧の書きで「1冊100円程度」とありますが、これは値段のことですか。それとも、1冊が100ページ程度ということですか。

○馬場課長補佐
 値段も100円、ページ数も100ページということです。

○柳澤座長
 値段も100円、ページ数も100ページぐらいが限界だということですね。わかりました。
 それでは、今「総論」の中の1、2、3それぞれについて、前回の背景と検討会での主な意見、留意点そして論点ということでお話しいただきましたけれども、この論点として書かれていることについて委員の皆さま方からご意見をいただきたいと思います。
 最初に、総論の一つ目の項目「母子健康手帳の役割と名称」についての議論は、いかがでしょうか。事務局の論点整理としては「母子健康手帳の役割は、法の趣旨に照らして、母子健康手帳の健康の保持及び増進であり、名称を変える必要はないのではないか」「父親の育児参加の促進のために、父親も記載できるような欄を設けてはどうか」とまとめてありますが、いかがでしょうか。今までも親子手帳や親子健康手帳という名称にした方が良いのではないかというご意見もあったわけでございますが、その点に関して、いかがでしょうか。どうぞ。

○藤内委員
 確かに母子健康手帳の役割というのが、母子保健法に定められた「母子の健康を守る」ということにあるのでしょうが、今日のように父親を含めた親子にしっかりアプローチしていかないと母子の健康が守れないという状況を考えると、母子保健法の定めでは母と子だから、父親も含めた親子という枠組みは不要ではないかというのは、現状を考えると厳しいのではないか。むしろ、父親も含めた親子にしっかりアプローチする、あるいは親子でこの手帳を利用していただくという思いから「親子健康手帳」という名称は必要ではないかと思います。
 ただし、その場合は母子保健法第16条に「母子健康手帳」という名称がありますから、そうなれば母子保健法そのものの改正が必要になってくるので、そこの部分のハードルはあると思いますが、これを機に「親子健康手帳」という名称も検討をお願いできればと思います。

○柳澤座長
 藤内委員から、前回に引き続いて今のようなご意見がありましたが、どうでしょうか。

○小原委員
 小原です。私は「母子健康手帳」という名称は、母親に乳幼児を育てる責任があるから母親が管理しなさいという意味の「母子健康手帳」だとずっと思っていて、そうではないということが今回、背景などを伺って、やっと理解できたのです。ですから、そのように思っていたときは「親子手帳」にした方が良いのではないかと思っていたのですが、そういった母親と乳幼児の健康を管理するための手帳だということがきちんと伝われば、そんなに女性たちも抵抗がないと思います。被害妄想かもしれませんが、「母子」といわれることでプレッシャーを感じていたので、メッセージの発信の仕方を工夫していただきたいということが一つ。
 もう一つは、「父親の育児参加促進のために、父親も記載できるような」というところで、今は家族の形も難しいというか多様化しているので、これもまた「父親」と限定するのもどうなのかと思っております。「社会全体で育てる」ということであれば、家族や地域の人・かかわった助産師・保育園の人など、いろいろな人が書き込めるような形にして、何も「父親」と「母親」としなくてもよいのではないかと思いました。

○柳澤座長
 どうもありがとうございます。他に、どうでしょうか。

○松平委員
 松平です。私も今のご意見と、ほぼ同じです。やはり、一つは母子健康手帳というのは長い歴史があるということと、母子の健康維持という主目的があること。それから、もし具体的に父親が参加して父親の内容を入れるとして、では何を入れるかというと、あまりないような気がします。ただ、母子健康手帳を利用して父親にも育児参加していただいて、この母子健康手帳を有効に活用していただくことは必要だと思いますけれども、父親そのものの情報を入れ込むことが、あまりないような気がするので、私は「母子健康手帳」のままにしていただきたいと思います。

○柳澤座長
 どうぞ。

○明石委員
 私も、やはり母子健康手帳は母と子の健康を守るということが基本だと思いますので「母子健康手帳」の方が良いと思います。
 それから、やはり今の世の中はいろいろな家族形態がありますので、私は過去の妊娠の記録も要らないのではないかという意見を書いたのですけれども、それは恐らく賛成は得られないだろうと思いながら書きました。やはり、この手帳は今いる子どもと母親の健康を守るためにということでよいのではないかと考えています。

○柳澤座長
 出石委員、どうぞ。

○出石委員
 私も、母子の健康を守ると意味での目的というところで賛成です。
 それから、いろいろな健診や街中を歩いていますと、父親が育児に参加している姿がずいぶん見られるようになってきておりまして、あえて「父親」というところにこだわらなくても、ポジティブな意味でもよろしいのではないかと思っております。むしろ、周産期から、一番抵抗力の弱い幼児期における健康を守っていくという目的で「母子健康手帳」を推したいと思います。

○柳澤座長
 他に、ございますか。どうぞ。

○榎本委員
 私も「母子健康手帳」の方が良いと思います。それは、母親が初めて、あるいは2人目でも子どもをみごもったときには大変なリスクを負っている。それから、非常に心配している。それに対しての手当てをしてあげる。あるいは初めての子どもが小さく生まれてきたときに、その子どもをどう育てるかというのは、とても大変なことだし、リスクも大きいと思います。そういうところで、それを支援してあげる、応援してあげる。そのことが薄まらないように「本当に大事なことは、こういうことだよ」ということで、母親と子どもに焦点を絞って書く。あるいは、手帳の目的にするのが良いのではないかと思いました。

○柳澤座長
 この論点に関しては、大体皆さまのご意見が一致しているように思いますが、よろしいでしょうか。それでは、この「母子健康手帳の役割と名称」についての論点として挙げられていることについてはご議論いただいて、大体このような方向でいきましょうということで、先に進みたいと思います。
 次は、「母子健康手帳の記載対象年齢」ですが、これについても【背景】と【検討会等での主な意見】が書いてありますが、全体として「後ろへ延ばす」ということ。それはどの程度までか。内容については、どういうところまでかということが議論されたわけです。
 【論点】としては、就学以降にも、母子健康手帳に記録すべき情報はあるのか。あるとすれば、それは何か。任意様式での記載で足りるのかということだと思いますが、どうでしょうか。ここで出た問題としては、身長・体重の発育曲線を先まで延ばすということ。それから、あとは予防接種のことでしょうか。そういったところで、この点に関して検討会で出た意見としては、学童期以降の身体発育、就学以降の成長の記録、それから、もちろん子どもの発達に切れ目はない、ずっと連続しているというのは当然の話ですが。

○藤内委員
 これは、この後の任意記載の部分で議論がありますので、そちらで主に議論していただければと思いますが、母子保健法をカバーする範囲が就学前までということで、基本的に省令様式の部分が就学前までで、予防接種も成長の記録も就学前までで終わっているわけです。実際に子どもたちの成長は「切れ目のない」というご意見のとおりですので、省令様式のところと任意記載の部分がギャップなく、うまくつながるような形で、子どもの成長が切れ目なく記載できるようにしていただければと思います。

○柳澤座長
 他に、どうでしょうか。

○松平委員
 松平です。今のご意見につながるのですけれども、我々医療現場でこの母子健康手帳を見て、子どもの生活習慣病を診るときに、身長が120?ぐらいで止まるのです。その後が結構、肥満度が問題になってくるので、肥満度のところだけでもよいので少し大きい年齢まで入れてほしいということです。
 そうすると、当然この母子健康手帳のサイズが小さいのではないかという議論が小児科医会で出まして、予算の問題があるでしょうが、1サイズ大きくしていただくことは可能でしょうか。

○柳澤座長
 この手帳の大きさ・厚さなどに関しては、後でもう一回議論することにしてはどうかと思いますが。発育曲線も少し年齢を幼児期を過ぎた学童期にわたってあった方がよいと。
 これは座長として言ってよいのかどうかということはありますが、十数年前から、小児科の関係の学会などでは、この母子健康手帳と学校の健康手帳を連続したものとして、ぜひやってほしいという意見は常に、ずっと続いて出ています。それで当時の厚生大臣と文部大臣にそれぞれ要望を出したりしたこともあったのですが、今は、そういうことがあまり行われなくなってきているかもしません。

○榎本委員
 先ほどの私の意見で、母親と子どもは非常にリスクを負っているということ。とても気をつけなければいけないことなので、あまり後半に延ばしてしまうと大事な焦点がぼやけてしまうのではないかという気がします。ページ数の制限がありますから、できれば前半の方でもう少しきめ細かくやった方がよいのではないかというのが私の意見です。

○小原委員
 素朴な疑問ですが、成長曲線を先まで延ばしたとして、真面目に記録していたとして、母親としては色の着いた部分に入っていれば問題ないのだなと思って、誰にも見せることがないままに終わってしまうというか、小児科に持って行って時々チェックしてもらうというような習慣がないものですから、記録していても何か問題があるのかどうかというのは、わからないのではないかと思いますが。

○柳澤座長
 小児科を受診するときは、ぜひ毎回出していただきたいと思います。

○小原委員
 そういうこと自体、あまり認識がなく、全然活用していないのが現状です。

○松平委員
 それは全く違います。我々小児科開業医は、子どもさんが小さいときは必ず、どんなときでも持ってきていただきます。我々が見るのは、その帯の中に入っていることと、カーブがとても重要になるので、そこは必ず見せてもらうのです。決して有用でないことはありません。

○柳澤座長
 小野委員、どうぞ。

○小野委員
 小児科医の立場から、私も発言します。今、松平委員は「開業医は」と言われましたが、勤務医でも小児科医であれば、来られた患者さんは予防注射だけであっても必ず体格は見ているし、診察もします。それから、記録を入れたりして、母子健康手帳を見ています。発育・発達に問題はないかというのは、いちいち申し上げませんけれども、まず見ていますので。とても大切なものです。

○柳澤座長
 どうぞ。

○梶委員
 梶です。生活習慣病予防のために、ぜひ20歳くらいまで成長曲線もしくは体重・身長の記録があればよいと思います。特に、思春期の女子は今、やせ症が増えていますので、その辺もフォローできるような形がほしいと思います。
 それから、母から母へつなぐという意味で、生まれた女の子の初潮年齢が書ける欄、あるいは身長・体重が書ける欄だけでもあると、いざ妊娠したときに聞かれてもわからない母親もいますので、ぜひその欄を設けていただければありがたいと思います。以上です。

○柳澤座長
 ただ今、ご意見として、幼児期以降の発育についても、何らかの情報が記載されるという意見。また、幼児期までに限ってよいというご意見もありました。

○泉母子保健課長
 ちょっと教えていただきたいのですが、就学以降も書くとした場合には、身長・体重というお話があったのですが、小学校低学年ならともかく、高学年になると学校で受けた体格の検査の結果を持って帰りもしませんし、どういうタイミングで実際に記録できるのか、イメージがわかないのですが、教えていただけますでしょうか。

○柳澤座長
 その点は、どうでしょうか。

○松平委員
 私は生活習慣病が専門ではないのでわからないのですが、子どもの生活習慣病は肥満の問題になって、目立って我々が注意して指導する必要が出てくるのは、多分、学校に入ってからだと思います。そうすると、学校で定期的に身長・体重を測っても、家庭に持って帰ってしまうか、学校に保管しておくかのどちらかです。我々の診療所に受診しても、それは持ってきません。例えば、我々のところに受診されたときに、身長・体重を測ることは簡単ですから、母子健康手帳をいつも持ってくれば、幼児や赤ちゃんと同じように、そこで測って我々が記入することは可能だと思います。

○今村委員
 できるだけ、専門の先生方のご意見を入れるのがよろしいのではないかと思います。ただ、この前からのご意見をお聞きしていますと、記載する内容が相当膨らんでくる可能性があるということで、どのようなものが入れられるかということを、軽重を判断して、余裕があれば、できるだけ専門の先生方のご意見を入れるということで、最終的な調整が必要になってくるのではないかと思っています。

○柳澤座長
 学童期の成長曲線も、ぜひ、これに続いてあった方がよいという意見。すると、それはどの形で入れるか。任意部分に入れるかということだと思います。これは任意部分についての議論にも入った上で、全体を見渡して、結論というか、最後にまとめてみたいと思います。
 それでは、「総論」の3番目「任意様式のあり方」ということで、今までの議論の中からも関係が出てくると思います。【背景】として、このような法律あるいは通知が出されている。それから、母子保健・子育て情報については、このような既に広く使われている副読本や市町村が出している情報あるいは民間からの情報発信も豊富にあるということで、【検討会等での主な意見】としては、省令様式と任意記載を、どのような形で1冊の母子健康手帳の中に入れるか。混在させるか、あるいは今のように前後に置くか。また、ページ数を母子健康手帳としては、全国的に統一することが非常に重要である。そういうことを勘案した上で、情報の部分のエッセンス的なところを決めた省令様式の中のページ数のところに情報として記入するということも、先ほどご説明があったと思います。そこに発育曲線の学童期以降のことも、どのような形で入れるかということになろうかと思います。
 【論点】としては、とにかく分冊化ということについては、実現可能性は低い。それから、混在させる場合にも、情報を省令で規定、又は管理された混在化にする。その場合に、どのように混在させるかということになろうかと思います。この点に関して、いかがでしょうか。藤内委員。

○藤内委員
 現状でも、省令様式49ページまで、任意記載50ページ以降ということになっているのですが、実際の自治体の中には、省令違反といいますか、混在させている自治体も幾つかあります。私どもの研究班で平成21年度に、各県の母子保健担当者に「一押し」の母子健康手帳を推薦していただいたら、その半分は省令違反でした。省令違反の方が、「一押し」の母子健康手帳として挙がってくること自体、ある程度、混在させなければいけないということを物語っていると思います。今回、事務局で提案していただいた、省令様式の前に、こういう内容の任意記載を入れるという形、「管理された混在化」という表現が使われていますが、こうした検討により、現在、省令違反になっているような自治体も、省令の範囲内に収まってくるのではないかと思います。

○柳澤座長
 どうも、ありがとうございました。この点に関して、他にご意見はどうでしょうか。今、藤内委員が言われたこと、既に各自治体で、そのようなものを作っているところが、かなりあるという現状を見ると、今言われたような形にするということは技術的に難しいことではないと考えてよろしいですか。また、それを取捨選択することも可能であると。

○榎本委員
 私は、基本的には混在化というのは、あまり望ましくないと思っています。省令部分というのは、医師が見て、医療のパスになると思いますので、とても大事なことだと思います。それから、任意記載の部分は母親が見て、母親を支援する貴重なツールになると思っているので、それが入り乱れてしまうと、そこのところが役目をきちんと果たせなくなってしまう可能性があります。もし、混在化するのであれば、ご専門の人が無理のないように、わかりやすいようにした形を十分に検討した上で、なされるべきだと思います。

○柳澤座長
 他に、ございますでしょうか。山本課長補佐、手を挙げられましたか。

○山本課長補佐
 ちょっとご意見をお伺いしたいのですけれども、省令様式の中に、隣にあるべき情報、本当にそこにどうしてもあった方がよい情報というのは、どういう情報なのかということです。今、榎本委員が混在化するなら、十分検討した上でとおっしゃいましたけれども、今までお伺いしている範囲ですと、予防接種は側にあった方が良いのではないかというご意見をいただいていましたが、その他に、どのような情報があるのかということをお伺いしたいです。妊婦健診の部分は、後ほど議論があります。

○柳澤座長
 今、山本補佐からご発言があったところですが、妊婦健診のところは置いておいて、それ以外のところで、省令様式の中に情報としての任意記載の部分を限定的に管理された形で混在化させる。その実例となるようなものとしては、どのようなものがあるかということをおたずねになったところです。良いと言われている母子手帳にどのような形で入っているのか、紹介いただくとよいと思います。

○藤内委員
 今日は資料2で用意していただいていますから、それで見ますと5ページ、7ページです。妊婦の健康状態や妊婦の職業と環境という記載欄があって、それから妊娠中の経過ということで、9~15ページに妊娠中の妊婦健診の結果が記載できる欄があるのですが、こういうページと、任意記載欄、今日は資料がないのですが、52ページ以降の「健やかな妊娠と出産のために」という、妊娠中の生活について、妊婦に必要最小限知ってほしい情報等を提供しているページがあります。これはかなりページが離れているものですから、実際にここを開けて読む妊婦さんは非常に少ないというのが、私どもの研究班の調査でもわかっております。こうした部分を、最初に妊娠がわかって、この母子健康手帳をもらい、先ほどの5ページの妊婦の健康状態を記載するときに、こういう妊娠中の注意事項についても併せて目を通せるようなレイアウトにしたらどうかということです。
 それから、手元に常陸大宮市の母子健康手帳があるのですが、常陸大宮市の母子健康手帳は妊娠の経過、つまり妊婦健診の結果を書く前に、10ページ程度を確保して「初めてお父さんやお母さんになる方へ」というメッセージや、「赤ちゃんの発育と母体の変化」ということで、妊娠の月ごとの胎児の様子と、その時期の母親の体の変化を表で示しています。産科でも指導を受ける内容かと思いますが、手帳の中にそうしたことが書いてあり、その後に自分の妊婦健診の結果が記載できるという流れになっていますので、妊娠中の自分の体の変化と自分のデータ、それからこういう読み物といいますか解説と合わせて理解することができるという工夫がされています。

○柳澤座長
 今、藤内委員が言われたいろいろな情報に関しては、先ほどの論点整理の中の6ページの中ほどのところに、このような形で現在は情報提供がされている。その中で、母子健康手帳の副読本というものが非常に広く普及していると私は聞いています。先ほど藤内委員が言われたことは副読本の中によく書いてある内容だと思います。

○出石委員
 出石です。副読本の話が出たものですから発言します。少し論点がずれるかもしれないのですが、第1回目の会議で、母子健康手帳を交付するときに、その副読本を使って、こういう情報があるということ、どのように使うかということなどを説明するという話題も出ていたと思います。母子健康手帳そのものというよりも、どのように交付するかというところを、大事にしていくことで、副読本の中にある情報をうまく活用していくことにもつながっていくと思います。母子健康手帳は、健康チェックという目的で、今日は助産師もいらしていますが、値を見ながら、それを使って母親と対話していくというツールだと思っております。最低限の情報は必要だと思いますが、それ以上の知識というものがここに入ってくると、管理、ぱっと見るという意味でも、どうなのかという思いはあります。むしろ、副読本は各行政が工夫していろいろな形で交付されていると思いますので、そういった場面で、どのように交付していくかという議論を別の場所で大事にしていった方が、より生きてくると思います。
 
○柳澤座長
 どうも、ありがとうございます。明石委員、どうぞ。

○明石委員
 私も予防接種以外は基本的には全国統一のところに書いてある方が良いのではないかと思います。名古屋市、特に、私どもの区も転出入が大変多い所ですけれども、健診などのときにも同じようなところを見て、わかるということが大変大事だと思います。予防接種については、任意記載事項を工夫するなり何なりあると思いますが、連続して見られるようにしてほしいと思っております。それ以外については、出石委員が言われたように、いろいろなところで工夫して母親たちに見ていただくように、最初にお話しするということで、そういうことは全とうできるのではないかと思います。

○小野委員
 一言、小児科医の立場から、妊婦のたばこをやめてほしいと強いメッセージを出したいところです。最初のページの妊婦の健康状態等というところで、たばこを吸いますか。酒類を飲みますか。はい、いいえで終わってしまうのですが、特に吸いますという人には、ぜひ、他の副読本でも他のページでも読んでもらえるようにすべきです。このページに直接書かないといけないとは思いませんけれども、強いメッセージ性のあるマークなどを使って、たばこはいけないものということが伝わってほしい。そういう工夫が必要だと思いました。

○柳澤座長
 そういった個々の記載についての工夫は、これからも検討しないといけないです。

○小野委員
 そういう工夫をすることで、コンパクトに必要な部分だけをまとめていく書き方でよいと思います。

○小原委員
 今、工夫の話が出たので、関連してですけれども、例えば記録のところで、質問形式でつたい歩きをしますか、何々しますかとあります。つたい歩きをしますか、身振りをしますかと書いてあって、1歳のところにそれが書いてあるということは、1歳くらいでこういうことをするのだなということはわかると思います。それで自分の子どもはしないとか、少し違うときに確かめのために、もっとたくさん書いてある方を読むと思います。そういう意味では、この間いただいた補足版に、いろいろなチェック事項という形で入っているのですけれども、こういう自分や自分の子どもがどうなのかというチェックを書いていく中で、自分は違うというときに、たくさん書いてあるところを読みたくなるのではないかと思って、ここの質問事項を工夫していただくことで、この時期にこういうことが起きたりするということも認識できると思います。
 それから、もう少し具体的に、例えば2歳のところに「テレビなどの音楽に合わせて体を楽しそうに動かしますか」と書いてあるので、テレビは見せてもよいのだなと思う一方で、1歳のところに「テレビやビデオを長時間見せるのはやめましょう」とあるのです。でも、長時間というのは、1時間なのか1日中なのかその人によって基準が違います。そういう意味では「テレビを1日何時間くらい見せていますか」というところがあって、自分で書いてみて、よく考えてみたら半日くらい見せているとなったときに、自分は長時間見せているのではないかということに気付いたりすると思いますので、説明を書くというよりは自己チェックしながら、あれっと気付いたときに、どこを読んだり聞いたりすればよいということが、わかればよいのではないかと思いました。

○柳澤座長
 どうぞ。

○藤内委員
 副読本のことで、実は今、母子健康手帳を交付する際に、副読本として、いろいろなリーフレットの類を含めれば10冊ほど渡している自治体が少なくありません。つまり、母子健康手帳以外に、たくさんの副読本の類をもらうので、その副読本を丁寧に、これはこのときに活用して、これはこのときに読んでねと言えばよいのですが、肝心な母子健康手帳の活用方法について、十分な説明ができなくなってしまうので、大分県では、母子健康手帳交付の際には、できる限り母子健康手帳のみにして、必要な情報はタイムリーに必要なときに渡すようにしましょうということを市町村に働きかけています。そうでないと、母子健康手帳交付のときに、確かにいろいろな情報を渡す良いチャンスですから、副読本が増えすぎてしまっている部分があります。それから、1回目の検討会でも紹介したのですが、母子健康手帳に書かれているのは副読本に書かれているのと全然重みが違うのです。しゅうとや違う世代の人から「昔はこうしていた」と言われても、今の母子健康手帳は日光浴についてはこのように書かれていて、あまりしない方が良いと手帳に書いてあるという話になると、納得する。それが副読本になると重みが違ってくると思います。解説については、必要最小限を母子健康手帳に載せて、年々変わっていくようなものについては、QRコード等を付けてWeb上で情報提供をして、携帯でも読めるようにする工夫も可能だと思います。

○柳澤座長
 なるほど。どうも、ありがとうございました。泉母子保健課長、どうぞ。

○泉母子保健課長
 先ほど、何を記載すべきかということをご相談しましたが、もう少し具体的に申しますと、例えば、妊娠中のことであれば、52ページからに「健やかな妊娠と出産のために」とございますけれども、先ほど全体のボリュームをあまり増やせませんというお話を申し上げましたが、省令様式を充実した方が良いというご意見が出ているので、そうすると勢い後ろの部分のボリュームは全体として減らさなくてはいけない。そのときに仮定の話で、イメージでお聞きするのですけれども、例えば、妊娠中のところで、一般的な知識まで書く必要があるのか。あるいは、例えば、健康診査を受けましょう、たばこや酒の害から赤ちゃんを守りましょうといった注意やメッセージの部分だけを残して知識的なところは他に譲ってもよいのか。
 それから、その後ろの方にいろいろな制度の紹介がありますが、こういうものはあった方がよいのか。その辺りを、少し具体的ご意見をいただけますでしょうか。

○柳澤座長
 今、泉課長が言われたことは、非常に重要なポイントだと思います。私の立場としては、全くそのとおりだと思いますが、いかがでしょうか。

○松平委員
 小児科の松平です。先ほど副読本の話も出ましたけれども、私は母子が健康に育つためには、この母子健康手帳一冊で完結できるような形にしていただきたいと思います。副読本はたくさんありますし、育児書もたくさん出ていますから、たくさん母親たちに読まれると、少し内容が違うと、非常に育児に不安を持ってしまいます。ですから、私は「母子健康手帳を50回読んでください」とよく言います。母子健康手帳を何回もよく読んでいただくと非常に味が出てくるというか、他のものを読まなくてもよいことがたくさん出てきます。例えば、離乳食の進め方と書いてあるのですけれども、2、3回読むと離乳食の進め方で終わるのですが、その後に「目安」という言葉が出てくる。そうすると、6か月の自分の子どもはここにいなくてはいけないけれども、目安であれば、前後にいてもよいという育児に幅を持たせることができるので、これをたくさん読んでもらうことが副読本の充実よりも私は必要だと思います。
 それから、先ほどから議論が出ているように、省令のものは省令のもので、その他のものは分けていただいて、そこで加味するものは、予防接種のところは絶対にそうなると思います。もしかしたら、歯科健診が一緒になるかなと思っております。

○福井委員
 一つ目の省令様式に任意記載事項を混在化させるかどうかということですが、先ほど、藤内委員が常陸大宮市の母子健康手帳を参考にして言われていて、その内容を見させていただいたところ、これは混在化させなくても、後ろの方に入れていただければクリアできる内容だと思いました。赤ちゃんの発育と母体の変化ということが間に挟みこまれていますが、これは妊婦に必要な知識とともに、妊婦が妊娠経過の見通しを持つために役だてることができるツールだと考えられますので、これはぜひ入れていただけると有用ではないかと、思います。
 参考資料として、日本看護協会からマタニティ・パスを提案させていただいたのですが、常陸大宮市の母子健康手帳に搭載されている、赤ちゃんの発育と母体の変化は、本会が提案させていただいたマタニティ・パスとほぼ、同一だと思います。マタニティ・パスにつきましても、合わせて、ご検討いただきたいと思います。
 母子保健課長からお話しのありました、制度の紹介については、ぜひ残しておいていただきたいと思います。妊産婦を支援する人々も国の動き、つまり母子を支援する制度の理解をしておく必要がありますが、例えば、就労妊婦が増えていますけれども、働いている妊婦の上司が、母子保健上の制度を理解していないと申しますか、制度の変化に追いついていけない状況があって、現在どうなっているのかがわからなくなっている状況があります。上司が、妊婦から、母子健康手帳を見せてもらって、現在の制度がこのように変わっているということを理解したという話は、よく聞きます。就労妊婦が不利益を被ることのないように、よりよく労働環境を整備していただくためにも、ぜひ制度のところは、特に労働に関するところは、残していただきたいと思います。以上です。

○渕元委員
 渕元です。実際、いろいろな人と出会っていると、母親教室に出たり、いろいろ本を買ったりということで情報を集めている人もいらっしゃいますが、中には、母子健康手帳を受け取っただけで、分娩前教育も全く受けていないし、実際にいろいろな事情で、そういう雑誌も買っていない、買えない状況であったりなど諸事情があるという意味では、最低限、母子の健康が保持できたり増進できたりという意味では、今ある程度の情報量は必要ではないかと思います。

○柳澤座長
 この総論の3番目としての「任意様式のあり方」は、結局は、省令部分と任意部分をどのように振り分けるかということになると思います。いろいろなご意見がありましたが、さらに何かございますでしょうか。

○出石委員
 出石です。今、委員の皆さまのお話を聞いていると、妊娠期のポイントと、産んだ子どもを育てていくポイントに若干、分かれてくるのではないかという気もしました。先ほど、事務局の人がおっしゃいましたように、働くところの制度や最低限必要なところはあると思いますが、市町村によって、いろいろ工夫されている制度まで細かく載せてしまいますと、若い世代の人ほど転出入が激しいので、かえって混乱をきたすのではないかという思いもあります。まず、健康を保持するためのたばこにしても、いろいろなアルコールにしても、最低限の注意事項に関する知識は載せていくべきだと思います。後ろ側の任意様式でもよいという思いもありますが、チェックしながら、これだけは注意しようという項目、特に妊娠期と新生児期のことに関しましては、丁寧に書いていった方がよい。子育ての部分、1か月を過ぎてだんだん子どもの体力がついてくる部分に関しては、知識の色が濃くなってくると思います。その辺りについては副読本等で丁寧に伝えていく工夫という捉え方をあらためてし直すと混乱が違うという気がしました。

○柳澤座長
 この論点に関して、さまざまなご意見をいただきましたけれども、どうでしょうか。今までの議論を踏まえて、事務局として何かこのような方向にまとめていけそうだという感じになっていますか。泉課長。

○泉母子保健課長
 ご意見が完全に一致しているわけではないと思いますが、全面的に知識部分を前に持ってくる方が良いというご意見は、どちらかというと少数だと思いました。最低限必要な命にかかわるようなことだけを持ってくるのかどうかということと、後ろの部分は簡略化できるところがあれば、ボリュームという制限の中で、せざるを得ない。そういうことを少し事務局で考えたいと思います。
 それから、制度の問題、特に全国一律の制度については、最低限必要な知識として残すべきではないかと、お話を聞いて思いました。

○柳澤座長
 さまざまなご意見があったと思います。今、泉課長が言われたように、省令部分に関しては、かなり情報提供的なものに関しても、非常に命・健康に密接に関係するようなエッセンシャルなことに関しては、省令部分、前の方に持ってくるということがある。
 それから、任意様式に関しては、もう少し精査して、省略できるところがあるかもしれない。
 また、法的な制度上のことに関して、全国一律の制度はきちんと記載するというのは、当然のことだと思います。そのような方向でこの論点に関して整理をしようということです。

○今村委員
 私の居住地は長崎県ですが、実は9月14日の長崎市こども健康課長からの通知が、市内の産婦人科医・小児科医各位ということで文書が届いております。前置きを省いて、「現在使用している母子健康手帳、親子健康手帳に変換されるという国の動きがあります。そこで、現在の母子健康手帳を一層充実させるため、改善に取り組んでいる博報堂生活総合研究所が作成した親子健康手帳について関係者にご意見を伺うことによって、長崎版母子健康手帳の基礎資料とさせていただきたいと思います」というものです。その博報堂が作成したのは「親子健康手帳」と書いてあります。そして、中身を見ますと、混在です。要するに、地方の行政でこういうところでの議論とは全く別個に、こういうことをやっているということで相当、混乱しています。これを基礎にして何か訂正があるのであれば言ってくれと、非常に危うい感じがあります。

○柳澤座長
 先ほど藤内委員が言われたことも、そういうことが全国的にかなりあるというお話だったと思いますが、こういう状況に関して、国としてはどのように対応していくと今、考えておられるのでしょうか。

○泉母子保健課長
 母子健康手帳は市町村が作るものですので、いろいろな創意工夫があって然るべきであると思いますが、一方で、正確な情報提供や健診がきちんと行われるということも、私たちとしては全国的に担保される必要があると思います。今回、例えば健診のページが自治体によって違うということは、いろいろ混乱を招くというご意見はいただいておりますので、市町村から相談があった場合には、そういった考え方を伝えていくことなると思います。

○柳澤座長
 国としてのモデルを作る。その上で、各市町村としては独自の工夫をしてくださって結構ですというスタンスなのでしょうか。省令部分を含めてですけれども、省令の部分についても相当変わっているというようなお話もありましたが。

○泉母子保健課長
 基本的なルールの上で市町村独自の工夫をしていただくことが基本であると思います。

○藤内委員
 そうなると、今度は健診で使うときに医師が困るということが起こりますので、できれば今回の改定で多くの市町村からみても、これなら前よりも便利になった、使いやすくなった、必要なときに必要な情報にアクセスできるようになったと感じられるものであるなら、自治体毎に大きく変更した母子健康手帳は減ってくるだろうと思います。
 先ほど小原委員もおっしゃったように、例えば喫煙の欄をチェックすると、これについては何ページをご覧くださいというように、そのチェックされた内容によって任意記載事項の後ろの何ページを見てくださいというようなことも大事な工夫だろうと思います。そのような形で今のものを少し変えることで、見やすくすることも可能であると思います。

○柳澤座長
 そうですね。大体それぞれの委員からご意見をいただいたと思いますが、「任意様式のあり方」は、もちろん結局は省令様式の部分とも関係してくるわけですが、これに関して今いただいたような議論を踏まえて、どういう形のものにするということをもう一度事務局でまとめてもらいたいと思います。
 ここでは、次の「各論」に話を進めて、場合によっては、また任意様式や省令様式に戻ってくる可能性もありますが、次の「各論」に関して、事務局から説明をいただきたいと思います。

○馬場課長補佐
 「各論」につきましては、四つの項目がございます。まず、9ページの「妊娠経過の記載の拡充」でございます。先ほどと同じように順番に説明します。【背景】ですが、3ページにもございましたけれども、健診等は母子保健法で規定されています。「妊産婦」というのは、妊娠中又は出産後1年以内の女子とされています。分量についても、現在のところ、妊娠の経過は8ページしかないというところです。昨今、健診は14回まで増加して、公費負担も充実してきたところでございます。また、妊産婦の安全にかかる意識や状況も変化してまいりました。
 【検討会等での主な意見】としては、三つのカテゴリーがございますが、一つ目の「妊娠のリスクの情報提供」としては、リスク自己評価票を盛り込むべきということでした。陣痛促進剤のリスクについても盛り込むべきという意見もございました。二つ目には「記録の充実」としまして、感染症の検査や超音波や胎児曲線を入れる意見、妊産婦自身の記載、また、記載の様式自体の全体の変化についても意見としてございました。
 【留意点】としては、「リスク自己評価」という点では、全国一律の実施は可能なのかどうか。「胎児曲線」では、超音波検査の実施回数の実績のばらつきですとか、推定体重ですので、適切な測定や、それに対する指導が可能かどうかという点がございます。
 その上で、【論点】を整理いたしますと、「妊娠・分娩のリスクの情報提供」では、リスクの自己評価は、事後の体制等がまだ未確立であるため導入困難ではないか。一方で、妊婦自身が妊娠のリスクを理解することが安全で安心な分娩のためには重要なので、妊娠・分娩のリスクについては全体の分量を考慮しつつ記載してはどうかと。また、陣痛促進剤のリスクについては特記すべきかどうかということでございました。
 二つ目の「記録の充実」という点では、検査結果記載欄の充実を図るべきではないか。これは具体的なもの、感染症や超音波検査の所見、胎児曲線、妊産婦自身による記録について、これもすべて全体の分量を考慮ということがあるかもしれませんが、図るべきではないかという議論がございました。

○柳澤座長
 「各論」の最初の「妊娠経過の記載の拡充」に関して、論点として挙げられているのは、「妊娠・分娩のリスクの情報提供」で、リスクの自己評価は事後の体制等が地域により異なるため導入困難ではないかということです。それから、陣痛促進剤のリスクについて特記してほしいということが要望としてあると聞いていますが、それをどうするか。
 そして、もう一つの「記録の充実」ということに関して、検査結果の記載欄の充実を図る。また、感染症の記載をどうするか、特に超音波検査結果の所見についてはどうするか。その中でも、特に胎児曲線についてはどうか。妊産婦自身による記録について充実を検討してはどうかといった意見があって、これらを論点として列挙してくださっていますが、この点に関して、どうでしょうか。前回の第1回検討会で大きな一つのテーマになったのは、妊婦のリスク評価ということと、超音波検査で測った胎児曲線、それを載せた曲線、それにプロットするといったことについての必要性ということがあったわけですが、これについて、いかがでしょうか。海野委員からの意見書に関しては、ここで紹介していただいた方がよろしいですか。どうでしょう。

○田中委員
 産婦人科ですので、やっと出番です。海野委員からの資料の説明を、少しよろしいでしょうか。

○柳澤座長
 どうぞ。

○田中委員
 海野委員は、今日は学会等でどうしても出られないという連絡がありました。それで、ここに記載してあるとおりですが、日本産科婦人科学会では、2)で超音波は大分やっています。ガイドラインの中に、初診のときに、これはどこの病院でもやっています。あとは、妊娠4~12週とありますが、この近辺ではやって、予定日をきちんと出している。20週前後では流産・早産の境目のところに来ていますが、経過の状況などいろいろな子どもの発育の状況、最低限のものをチェックして、30週ごろには胎盤などいろいろなものをチェック、37週ではそろそろ分娩に向けてということで、最低限のことでガイドラインではいろいろこういうことをやってくださいということを推奨しています。なおかつ、妊婦健診の公費負担の中に1回分の超音波も入っております。市町村によっては2回ということもあります。そして、胎児の発育曲線に関しては、昔から超音波の学会等に妊産婦学会でデータを出しておりまして、これは我々の中では既に認知されているもので、教科書的にもこれを使っております。ですから、ぜひ、胎児曲線というものを、私たちのころはドップラーで心拍を聞いただけですが、今はほとんど超音波の断層を皆さま見ていますので、当然発育も見ていますから、これを毎回やりなさいとは言いませんが、2)にあるようなポイントポイントの時期では押さえて発育がどうか、子宮の中の胎児の発育が悪い場合は、これは治療を必要とする発育不全なのか、治療をしても仕方がないものかということも見当が付きますので、やはり胎児の発育にとっては非常に重要なことだと思いますので、ぜひ胎児曲線、発育曲線をこの記載の中に入れていただきたいということが強い要望でございます。もう一つ、よろしいでしょうか。

○柳澤座長
 はい。

○田中委員
 感染症に関しましても、これは母子健康手帳がいろいろなところで使われていくので、果たしてどうかということも一理ありますが、やはり診療する側からしてみれば、どこかに飛び込みということを考えれば、この感染症も記載しておいてほしいというのが希望です。
 それから、リスク評価というのも、妊婦は今の時代、いろいろな書物に、年齢何歳以上は少し危ない、筋腫があると言われた人は危ないなどいろいろなことがあると思います。要するに自然妊娠でなかった場合も少しリスクがあるなど、いろいろなことがありますので、リスク評価で何が何点というのは産婦人科仲間では大体わかるのですが、妊婦に点数が「では、私は何点だから、どうすればよいの」といろいろ地域によってあると思います。東京のある区では、その点数によって診療所で診ていてもこの点数以上になった場合は「母体搬送依頼のとき、私たちは取りませんよ」というちょっとした圧力ではないですけれど、連携を取れていて、そこの診療所も速やかに「何点以上なったから、うちではお産は無理だから、あなたはどこどこに行ってください」と。私たちも、わかりましたという感じで取っているわけです。ですから、診療する側もよいし、妊婦も距離的には同じ区域であればそれほど遠くではない。しかし、安全ということを考えたら、これは絶対に必要である。だからといって、何が何点という細かいところまで、それは診療する側がわかっていればよいことですので、こういう項目が年齢や、妊娠前はどうだとか、妊娠前の体重は書いてありますが、こういう項目が問題なのですよという項目のみといいますか、単語のみ列記していただいても、最低限はよいという気がしましたので、発言いたしました。以上です。

○柳澤座長
 ありがとうございました。産婦人科、周産期のお立場でご説明いただきましたけれども、リスク評価、胎児曲線、感染症の三つの点に関して、そのお立場からご発言いただきました。ただ、胎児曲線にしてもリスク評価にしても、任意記載のところで収載すればよいのか、ぜひとも省令部分に入れるべきか、その辺に関して何かご意見がございますか。

○田中委員
 妊婦健康診査のときには、母子健康手帳でいいますと、資料2でお話ししますと9ページ、11ページ、13ページ、15ページまで、書く欄があるわけです。ちょうど回数でいきますと、予定日を1週間か2週間が過ぎるとぎりぎりで書くところがなくなってしまいます。もう少し言いますと、妊娠初期の7、8週から書くと、まず項目が二つ、三つ、欄がなくなってしまうぐらいですが、この近辺に入れていただけるとわかりやすい気がします。何週だから、こうですと。ですから、この最後のページに記録として書く方としては非常に便利で、今はこの週だから、こうですよということは説明しやすいです。

○柳澤座長
 胎児曲線ですか。

○田中委員
 そうです。感染症に関しては、絶対にここに書かなければいけないということではなく、私たちとしては白か黒かがわかればよいわけですから、前のときも発言しましたが、検査結果を転記すると間違いがあるので、コピーを持って来ていただければ、それで十分という気はします。実際、現場ではそういう気がします。

○柳澤座長
 感染症については、前回検査をしたかしていないかというチェックをして、その結果をここに記載するかどうかは本人の了解を得てというような対応であったと思いますが、それでよろしいのでしょうか。

○田中委員
 個人としては、そういう気がします。柳澤座長はおわかりだと思いますが、感染症で結果がプラスですと「あなたのお母さんはこれがあるから」ということで、保育園に入るときに、そのような社会にしてはいけないのですけれども、そういう風潮もあるように私は聞いているので。自分の子どもが入るときは、そういうことはなかったのですが。ですから、結果までは、自分たちやる側がわかっていれば、それから本人がわかっていればよいと思います。

○明石委員
 感染症に関しましては、私も母子健康手帳に記入することは反対ですけれども、前回見せていただいた母子健康手帳は、どこのものだったかは忘れたのですが、感染症の検査結果を一覧にして母子健康手帳に挟み込んであるところがあったと思います。そのようにすれば、子どもに渡すときには外せばよいわけですし、病院に持って行くときには付ければよいわけですので、そういう工夫があると皆が非常に助かるのではないかと思いました。

○柳澤座長
 妊娠経過の記載について、他にご意見がございますでしょうか。「リスク自己評価」は、補足版は今、皆さまのお手元にありますか。これをそっくりそのままここに収載することは可能かどうかは難しい話であると思いますが、何らかの形で女性が妊娠した場合に、自身のリスクに関して一定の判断ができるように。それによって医療機関に相談できるようにというようなこともあってよいということ。どうでしょうか、それは任意記載の部分にそういうインフォメーションが流されればよいというお考えでよろしいですか。

○田中委員
 そこまで任意記載と省令の中にという、あくまでも母子健康手帳にこだわる必要はないと思います。要するに、これは妊婦のリスクの問題ですから、産婦人科医側としては、どこの診療所、どこの病院、どこの大学病院という医療機関の機能によって対応できる妊婦なのかどうかということが産婦人科医自身は心配なのです。ですから、母子健康手帳をもらいに行ったときに、一つ部屋のような所があって、はい、あなたは自分でチェックして、この点数だったら、その近くの診療所は特に仲良くしているのだったら、そこでいいですよとか、いくら仲良くしていても、その診療所ではなくて基幹病院の方がいいですよとか、何かそういうものがあればよいという気もしています。妊婦自身が自分を自覚して、どこの医療機関を選ぶか、診療所や病院であれば、産婦人科に医師がいればどこでもよいだろうという時代ではないような気がします。

○柳澤座長
 リスクの自己評価に関しては、ご意見をいただいたわけですが、胎児の発育曲線に関しては、基本的には妊婦健診の項目の後にそういった曲線があった方が使いやすいという意見でした。感染症に関しては、先ほど明石委員が言われたような方式もあるということだと思います。妊娠経過の記載の論点として、項目を幾つか挙げてありますが、大体主な問題はその程度だと思います。

○藤内委員
 研究班で、産科婦人科医の先生方からこの妊娠中の経過については具体的に自由記載もといろいろ出していただいたのですが、資料2の9ページから始まって15ページまでの、妊婦健診の記録というのはこの4ページといいますか、見開きで記載されていますけれども、先ほど田中委員もご指摘されたように、全部で16回分です。今、公費の対象は14回ですけれども、場合によっては予定日より少し遅れたり、もう少しこまめに診察があると16回では足りないということも発生するのです。また、妊娠中の経過は2見開きに分かれているので、できれば一望というのでしょうか、一覧できた方がよいと思います。つまり、妊娠初期から分娩までの妊婦健診の結果を一覧できた方がよいという意見が結構たくさんの先生方から寄せられていました。では、どうすればいいかというと、現行の「妊娠中の経過」のページは、上に妊婦健診の結果の記載欄があって、下に他の検査結果の梅毒やB型肝炎の結果、さらには「妊婦自身の記録」がありますが、これを見開きに18回分の妊婦健診の記録ができるように整理して、先ほどの感染症等の検査結果などは、検査結果を貼り付ける欄を別ページに設ける、それから、「妊婦自身の記録欄」を充実させて妊娠中もしくは産後を兼ねて4ページ分ぐらいに妊娠中の妊婦の体や気持ちの変化等を記載できるようにして、「妊娠中の経過」の前のページでもよいし、後ろのページでもよいので付けたらどうだろうと思います。
 第1回検討会で医師が記録する妊婦健診の結果と妊婦自身が記録する欄を見開きでということを提案させていただいたのですが、そうすると、もっと分散して妊娠中の経過を記載することになるので、それは急いで妊婦の経過を知りたいときに非常に不便だという意見が根強くありますので、むしろ今、提案していただいたように、妊婦健診を一見開きで16回分とか18回分を記載できるようにしてその前後に妊婦自身が記録をしっかりとできるようなスペースを確保していただければと思います。

○柳澤座長
 今、藤内委員から、妊娠中の経過というか妊婦健診の経過の記載と感染症も含めたその他の検査結果の記載、妊婦自身の記載、それから胎児曲線といったもののまとめ方といいますか、書き方について全体としてのご意見をいただいたと思いますが、どうでしょうか。

○田中委員
 前回も発言させていただいたのですが、助産師さんがいらっしゃればお聞きしたいのですが、腹囲は本当に必要でしょうか。妊婦で最初の4か月、5か月ぐらいまでであれば、まだよいのですが、おなかが大きくなってきて、腹囲を測るときに「はい、腰を上げて」と、ベッドの上でやったりするのは、これもまた大変だと思います。果たしてEBMが全然ないものを、それよりも妊娠前のBMIや今の状況の指導の方が良いような気がするのです。あるから書くというのが私ども医局員なのです。なければやりません。あるのにやらないと妊婦が「どうして、これをやってくれなかったのですか」というのがあるのです。これは数をこなすのは大変です。昔のものなので書かなければいけないのでしょうけれども、私は一切書かずに斜線を引いて、血圧が高かったら、2回目の血圧をそこに書くというぐらいの利用しかしてないのです。

○柳澤座長
 その辺の細かい書き方や妊娠経過の欄の順序ということについては、産科の先生のご意見を聞いて工夫していただく。また、全体を例えば18回に増やして、18回の欄を見開きで見られるというようにできるかどうか。その辺も産科の先生、実際に健診をする立場の先生方の意見でまとめていただいた方がよろしいのではないかと思います。

○山本課長補佐
 細かいところはまたご相談させていただければと思います。1点、ご意見をいただいていない部分といたしまして、陣痛促進剤のリスクについて、さまざまな妊娠リスクの中で特記する必要があるかどうか。それから、妊婦はいろいろな薬を服用すると思われますが、この中で特記することが必要かどうかということについて、ご意見があればお願いしたいと思います。

○柳澤座長
 今の山本課長補佐のご指摘に関しては、どうでしょうか。

○田中委員
 これは、今書いてある以上に必要はないと思います。要するに「こういうことがあったときは、よく質問して説明を受けてください」ということは必ず書いてあるわけです。それで、産科の医師も薬を使う場合は必要性を説明して大体承諾書を取っているはずです。ガイドラインでもそのように示していますので、あらためて言い始めると、それだけではなくて他のいろいろな薬もと、どんどん出てきてしまうというのが学会と医師会の考え方です。以上です。

○柳澤座長
 この問題に関しては、今、田中委員が言われたようなことで検討会としては進めることにしたいと思います。
 先に進ませていただきます。各論の2「成長発達の確認方法」について、事務局から説明をいただきす。

○馬場課長補佐
 各論の二つ目の「成長発達の確認方法」です。【背景】ですが、厚生省児童家庭局長通知の実施要綱を見ますと、母子健康手帳の内容を参考として、それまでの発達状況等をしっかり確認し、その結果を記入ということで書いてあります。また、厚生省児童家庭局母子保健課長通知にもございまして、こちらでは、保護者の記録は乳幼児健診の問診票などの項目と重複しているものも多く、健診への活用を想定しているのではないかと考えられます。
 【主な意見】としては、「はい・いいえ」という項目ではなくて、「いつできましたか」とすべきというご意見がございました。【留意点】としては、ある時点の「できる」「できない」という記録に比べて、項目ごとに達成された時期の記録は記憶に基づいた記載となるので、正確性に欠けるのではないかというところでございます。
 その上で【論点】です。健康診査等への活用の観点から現在の月・年齢別の確認(はい・いいえ)を継続するか、別途、育児支援や母親自身による記録の充実の観点から、限定した項目については達成時期を記載するページを設けてはどうかというところです。これも全体の分量に配慮してということでございますが、いかがでしょうか。

○柳澤座長
 ここは乳幼児健診に実際に従事している小児科の先生方のご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小野委員
 私は「できる」「できない」ではなく、「いつできたか」という質問に変えたらよいという話を前回もさせていただいたのですけれど、どうしてもそのような聞き方でないといけないかということにおいて、母親の心理的な負担を減らすのに、違う聞き方でもよいのではないかという程度の意味合いで出しています。この欄は、あくまでも母子健康手帳に記入するのは親なので、医師側は別のものでチェックしているということで、母親がチェックするに当たって、どちらが記入しやすいか、あるいは正しい記載になり得るか、心理的負担が少ないかという意味で、提示・提案させていただいたところです。
 それから、この【主な意見】というところで、「未熟児等の保護者にとって」ですが、未熟児だけに限ったことだけではなく、少し発達に遅れがある人の場合に、この時期でこの質問あるということは、「今、できないといけないのだろう」と思って、マイナス志向になられる方がいるということから、そのように提案したのですけれども、やはり「はい・いいえ」の方が答えやすいという多くの方のご意見があれば、それでも構わないのではないかと思っています。

○松平委員
 私も小野委員と同じ意見ですけれども、母親が首がすわったとかおすわりがしっかりできたということをなかなか確認しづらい点があって、間違った情報をいただくことがあります。ただ、母親にとって、どちらがプレッシャーにならないかというところで議論すれば、私はどちらでも構わないと思います。

○柳澤座長
 そのような意見がお二人の小児科の先生からありましたけれども、現行の母子健康手帳についても、首のすわりやおすわり、はいはい、つかまり立ち、つたい歩き、それからひとり歩きという運動発達のマイルストーンとして重要なポイントに関しては、「はい・いいえ」とともに、達成の時期を記入するように書いています。ですから、それは「はい・いいえ」ではなく、全部そういう形にするともとれるご意見が前回あったわけですが、必ずしもそうでなくてもよい。それから、その他にもたくさんの項目がありますけれども、これは目の前に赤ん坊がいる場合には、「はい」か「いいえ」を付けられるのですが、いつごろから出来ていたかというのは、母親としても非常にわかりにくいことかと思います。私が意見をいうのは少し具合が悪いのですが、そう思います。

○榎本委員
 この母子健康手帳の「はい・いいえ」ですけれども、項目によってはいつごろできたかという項目が無きにしもあらずで、特に私どもの歯科でも、例えば「歯が生えていますか・いませんか」よりも、いつ生えたなどと書けるようになっていてわかりやすいかと思いますので、項目によっては使いやすい場合がありますので、一律に「はい・いいえ」でこだわらないで、項目によって、いつごろということが記載してあったら便利である、あるいは母親方にとっても便利であるならば、それはこの際、少し変えるところがあれば変えたらどうかと思います。

○柳澤座長
 例えば、歯の生え始めなどに関しては、「生えているか・生えていないか」ということではなく、「いつ生えたか」ということを記入するように、この母子健康手帳にはそのような形になっていますけれど。この発達に関して、「できる・できない」あるいは「はい・いいえ」ということをそのまま今の形を踏襲してよいかどうか。あるいはもう少し工夫して達成した時期を記入できるように。

○藤内委員
 例えば、この37ページの4か月健診のときの「首がすわりましたか」や次の41ページの6~7か月健診の「寝返りをしますか」「おすわりをしますか」というところが、この「はい・いいえ」がなくて、すわった時期というのは何月何日ごろというのが不確かなら、例えば3か月半ごろ、4か月ごろというようにかなりアバウトであっても、できた時期がそこに書かれていれば、多分健診の際に「それはここでできている」とOKが付くわけです。ただ、ここに「はい・いいえ」と書かせて、ここの「いいえ」に丸を付けなければいけないというつらさがあるのですが、逆にここにできた時期を書くのであれば、それが遅れているということがここにきちんと書けるという意味で、その子どもの発達をしっかりと記録できます。マイルストーンになるような発達項目について「はい・いいえ」ではなくその時期を書かせるようになっているので、「はい・いいえ」をとるというのはいかがですか。

○柳澤座長
 私は先ほど、そういう観点で申し上げたのですけれど。しかし、全部をそうするのは難しいだろうと言ったのです。重要なポイントとなるマイルストーンに関しては、既にできるようになった時期を書くようになっていますので、「はい・いいえ」はその項目に関しては外してもよいのではないかと思います。どうですか。この点に関しては。
 他にご意見がなければ、少し時間も押していますので、先に進みます。次の、便の色調カードを導入するかどうかについて、説明をお願いします。

○馬場課長補佐
 12ページで、便色調カードについての【背景】ですけれども、現状では先天性胆道閉鎖症の発症率は9,000人に1人という報告があります。パイロットスタディも実施しています。現行の母子健康手帳の中を見ますと、色調を言葉で記載しているのですがカラーはないということです。
 【主な意見】としては、早期発見・早期治療につなげるためには便色調カードの利用を入れ込むことが必要ではないかということがあります。
 【留意点】として、精度を保つためには厳密に指定された便色を印刷する必要があります。また、市町村による新たな予算措置も必要となります。先天性胆道閉鎖症が疑われる場合に、自治体および医療機関のフォロー体制が、しっかりとできているのかどうかというところが重要なポイントになります。
 【論点】ですけれども、全国一律に義務的に実施するのはその点が困難と考えられるが、より多くの市町村で利用できる方法を検討してはどうかということを一つ、事務局の案として出させていただきます。

○柳澤座長
 これは先天性胆道閉鎖症のスクリーニングのための便の色調を言葉で非常に簡単に書いてあるところを、カラーチャートを母子健康手帳の中に入れるということに関しての意見ですが、小野委員、どうぞ。

○小野委員
 お手元の資料は松井先生のお名前で出ていますけれども、胆道閉鎖症の早期発見のためのカラーカード、国立成育医療研究センター病院の病院長である松井先生が出してくださった資料です。これをご覧いただくとわかるように、根本的な原因は何かということがまだわからない病気ですけれども、9,000人に1人、年間で大体100~110人あるいは120人ぐらい出ている疾患です。これは早期発見が非常に大事で、このカラー印刷の資料のとおり、10年生存率は発見が遅くなればなるほど非常に悪くなるということははっきりしています。早期発見と早期治療が非常に求められるのですけれども、この便のカラーカードを入れていただくことによって、この病気だけではなくて、便の色調に変化をきたすような他の新生児あるいは乳児肝炎、先天性胆道拡張症その他の、珍しいですけれども胆汁排泄障害等の鑑別診断が必要になってくる他の疾患を発見する契機となる。あるいは、便の色が今の核家族化その他で「赤ん坊の便の色はこれでよいのだろうか、見たこともない」という人に対して教育的な、あるいは啓発の効果もあると思いますので、大変重要だと思っています。毎回、便の色がどうかというのを、このカードを側に持っていって見ることができるという利点がありますので、ぜひここは1か月健診の辺りに綴じ込んでいただきたいと思っています。

○柳澤座長
 今のようなご意見があって、カラーチャートを母子健康手帳に入れるということについての強いご意見がありましたけれども、いかがですか。

○松平委員
 先天性胆道閉鎖症というとあくまでも先天性と思われるのですけれども、後天性の胆道閉鎖症もあるのです。先天性胆道閉鎖症の最初の便を見ると、真っ黄色なのです。それが段々と白っぽくなってきますので色調の変化を、最初は白色ではなくて黄色なのです。そこをやはり母子健康手帳で確認していただいて、自分の子どもの便が生まれたときよりもだんだんと月が経つにつれて白っぽくなったら病気です。肝炎も含めてやはり病気ですから、その色の変化を見ていくことが非常に重要だと思います。

○柳澤座長
 そういう意味で、母子健康手帳に加えるということに関して、積極的な意味があるとお考えです。ただ、その場合、いろいろと技術的な問題があるといわれているわけですが、その点に関して事務局から、もう少し説明がありますか。例えば、印刷の方法とか。チャートの大きさはどれぐらいになるとか。

○泉母子保健課長
 今、松井先生が作られているカードは厳密に色をチェックされて、それの色を出せる印刷会社は、現時点では限られていると伺っています。例えば、本体とカードを、どう組み合わせるのかというのは、経費のことも含めて考えなければいけないと思いますので、今日の時点では、母子健康手帳と一緒に使えるようにした方がよいというところまでのご意見をいただいて、具体的なやり方については、さらに検討してみたいと思います。

○小野委員
 補足で、よろしいでしょうか。多分、印刷1人分、それから入れ込む作業を加えても、新潟県下の病院からの出てい論文によれば1人分10円以内、8.5円ぐらいと計算されています。ここに岩手県の母子健康手帳がありまして、ここは特別な良い紙に良い印刷をしているものが貼り込んでありますけれども、大変色調がよくわかり、白っぽいのと薄黄色の微妙な間の所が他の印刷ですと少しわかりにくいのだろうと思いますので、なるべくそこはわかりやすい印刷のものを入れたいと思います。

○泉母子保健課長
 カード1枚の単価と母子健康手帳に入れ込むための経費は別にかかると思いますので、その辺りも含めて実はもう少し高い値段を聞いているものですから、相談していきたいと思います。

○出石委員
 出石です。たまたま、私の属している職場が神奈川県でパイロット事業を受けているものですから、近ごろこの色調カードをプレテストで使っていただいた母親に、所属でオリジナル作成した使用後の感想を聞くアンケートを行ったのです。初めて出産した母親にとっては、小野委員がおっしゃったとおり、赤ん坊の便の色がわからないということで、非常に安心材料になったと。3人目ぐらいの母親になると、もう勘があるので「ああ、そのようなものがあったわ」というような感想をいただいています。ただ、母子健康手帳に入れ込むと、便の側までこの色調を持っていくことが必要ということを松井先生はおっしゃっていますので、その辺の使い勝手が心配です。また、一番心配なのは、この場で言うことではないのかもしれないのですけれども、予算のところです。病気の早期発見という意味では、ぜひこれを取り入れていくべきだろうと思いますけれども、その辺の使い勝手とあとは全国的に導入するとなると、かなりいろいろな事情がある市町村が今は多いと思いますので、その辺はどうなのかと心配しています。現場としては取り入れられれば、より良いのではないかという思いはしています。

○柳澤座長
 ここの【留意点】にも、自治体および医療機関のフォロー体制の整備が必要と書いてありますけれども、これからその整備をしなければいけない状態だと、まだ母子健康手帳に入れるというのはかなり時期的に難しいということにもなりかねないと思います。今、出石委員は全国的な状況が心配だとありましたけれども、どうなのですか。例えば、母親が生後1か月ぐらいの赤ん坊の便をこのチャートで見て、白っぽいところにあるということで小児科医を受診すれば、その後に関してできるだけ対応できるような、望ましくは生後60日までに手術ができるような体制は、大体全国的にできているのではないかというのは、私の個人的な印象ですけれど、どうですか。

○松平委員
 私も、できていると思います。

○榎本委員
 先ほど来のご議論と前回の検討会でも、これはとても大事なことですし、こういうことこそ率先してやるべきだと、聞いていて思いました。ただ、いろいろな手法や技術的なものもありますけれども、それはお考えいただくことと、例えばこの33ページの空欄に、もしシールを貼るだけでよいのならどうなのか。あるいは、先ほどのご意見のように、1枚別紙で刷るとか、スケールのようにするとか、いろいろな工夫があるかもしれませんので、ご検討いただいて積極的に入れる方向でしていただきたいと思います。

○田中委員
 これを入れていただきたいというのは、切なる願いです。あとは手法の問題で、その便の色は一生続くわけではないですから、極端なことを言えば、別に母子健康手帳に印刷して何も取り入れなくても、分娩する医療機関に渡しておいて初産婦のみに渡す。「これはなくしてはいけません。次に子どもを産んだら、また使うのです」というようにすれば、経費の節約にはなると思います。やり方はいろいろとあると思います。必ずしも、母子健康手帳に入れなければいけないというのは、少し外して考えても。そうすると、国の予算はほとんど変わらないと思いますが、そういう使い方があるのではないかということで、一言です。

○柳澤座長
 どうもありがとうございます。皆さん、かなり積極的に「これは必要なことだ」というご意見で一致しているように思います。それをどういう形で母子健康手帳に組み込むか、あるいはカードを作ってそれを持たせるか、シールにして貼るかということに関して、経費的なことも含めてご検討いただくことにしたいと思います。よろしいですか。
 それでは、その次は4番目として「予防接種記載項目の充実」です。

○馬場課長補佐
 13ページに移ります。まず、【背景】ですけれども、「予防接種法の定期接種」に対して、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会における検討中のワクチンというものが示されています。また、参考にもありますが、予防接種法において、乳児および幼児の予防接種済証は、母子健康手帳への記載で代用可能とされています。
 【検討会等での主な意見】は、予防接種欄は記載しにくいとか、定期と任意の違いがわかりにくいということがありました。18歳までにわたり保存・活用ができるようにするべきというものがあります。
 【留意点】としては、予防接種の種類や接種時期等は、ある程度頻繁に変更される。先ほどの予防接種部会でもいろいろとありますけれども、変更されるものがある。小学校就学以降の記載については任意様式ですけれども、これ自体が予防接種法を見ますと、予防接種済証とはならない。乳児・幼児についてはということになるので、予防接種済証にはならないというところを留意すべき点です。
 【論点】ですけれども、予防接種記載項目の充実としては、18歳までの予防接種の記録ができるようにすべきかということと、任意接種の記載欄を充実すべきかというところです。よろしくお願いします。

○柳澤座長
 どうもありがとうございました。予防接種の記載に関して、乳幼児期を過ぎた予防接種に関しても、引き続いて記載できるようにした方がよいというご意見はかなりあったと思います。ただ、今、事務局からご説明があったのは、乳幼児期を過ぎてから学童期以降の予防接種の記載に関しては、法的に接種証明にはならないという指摘がありました。ただ、この予防接種というのも、制度といいますか、割と頻繁に変化していきますので、そういう点も含めて、どのように対応するか。これについては、小野委員から何かご意見がありますか。

○小野委員
 予防接種を勧奨していくという立場が、まずあると思います。勧めていくに当たっては、それまでの記録も非常に重要になりますし、それを見て少し高年齢になった人への接種の方法が変わってくることもあります。継続性を持った予防接種記録としての機能が、この母子健康手帳にはあるかと思います。その点で、例えばサーバリックスなど、少し年齢が高くなっても手帳に記録したいところで、これはずっと引き続いて記録手帳として機能させるために、ぜひ充実させていただきたいと思います。

○柳澤座長
 その「記録を充実させる」という意味で、どのような形にしたらよいかということを含めて、少しお話しいただきたいと思います。

○小野委員
 任意であることがはっきりわかるようにできていた方がよいかもしれません。補助金は、自治体ごとのばらつきは大きいのですが、一つは、まず間違いがないようにするという工夫が非常に重要かと思います。日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールというものを日本小児科学会のホームページに載せていますので、それを3ページ分、資料として提出しています。非常にカラフルですけれども、これをせいぜい2色刷りぐらいで、どこかに折り込めるとよいと思っています。さらに、今は任意接種でしかありませんが、ヒブ、プレベナーに関しては、そのカラーページの次に表裏に両面印刷していますものを、ご参考までに資料として提出させていただきました。この表裏印刷のものは、静岡県東部保健所で利用している、考えられたものですが、おたふくかぜも2回、水ぼうそうも2回できるように欄を作ってあります。一番の工夫はその裏面ですが、インフルエンザ菌b型(ヒブ)とプレベナーに関しては、スタート時点の月齢によって実施する回数も違います。それを時系列ですべて混在させて記載してしまうことになり、第1回が何か月齢で始めたかというのが非常にわかりにくいのが現状ですけれども、この資料のように7か月未満で始めれば、全部で4回するのだということが一目瞭然でわかって、これは事故を未然に防ぐ一つの工夫で、なかなかよいアイデアではないかと思いましたので、提出しました。

○柳澤座長
 今、小野委員からは任意接種の予防接種の記載の仕方についてのある自治体での工夫について紹介がありましたけれども、こういうものも含めて、この【論点】として、18歳までの予防接種の記録ができるようにするべきかということに関しては、するべきという方向で、皆さんよろしいのでしょうか。

○松平委員
 ぜひ、ここに出ているように「小学校就学以降の記載については任意様式。小学校就学以降の記載は、予防接種済証とならない」ということを法改正していただいて、2年前に新型インフルエンザがはやったときに、新型インフルエンザワクチンを短期間に接種したときは非常に困ったのです。予防接種済証明書を出すのが非常に困難だったのです。そのときは厚生労働省にお願いして、乳幼児には母子健康手帳で済ませてよいということを言われましたけれども、非常にたくさんのときに短期間に接種が来るときに、予防接種済証明書を発行しにくいことと、予防接種済証明書を発行すると、今度は母子健康手帳に全然記載されていないから、後になってわかりづらくなってしまうことがありました。
 それから、今の母子健康手帳の46ページに最初に左からBCGが入ってきますと、母親はBCGを最初にするつもりで予定を立ててしまっています。これは非常に間違いが起こりやすいので、左上は最初に受けるべき予防接種をぜひしていただきたいです。
 それから、先ほど小野委員が言われたように、任意でもどんどん変わっていきますから、予防接種を10年に1回の改定ではなく、予防接種法が改正されたら、その時点で母子健康手帳の中の予防接種の欄は随時改定できるように柔軟性を持たせていただきたいと思います。

○柳澤座長
 その辺の柔軟性というのは、可能なのでしょうか。

○泉母子保健課長
 過去にも確か、予防接種法の改定に伴って省令様式を変えたことがありますので、法的な制度が変われば、それは可能だと思います。それから、今のいろいろなご提案はとても大事なことだと思いますが、すぐに対応するのは難しい点もあるとは思いますけれども、予防接種担当の結核感染症課と相談しまして、様式などは少し検討したいと思います。

○喜多専門官(健康局)
 健康局結核感染症課ワクチン対策専門官の喜多と申します。ご承知のように、現在、予防接種部会で、予防接種法の改正についてご議論いただいております。ご指摘の小学校以降の母子手帳の予防接種記録を予防接種済証に代えられないかということについて、論点として持ち帰らせていただき、検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○柳澤座長
 予防接種の母子健康手帳への記載について、他に何かご意見がありますか。

○山本課長補佐
 細かいことで恐縮ですが、接種の順番を見やすくするようにという松平委員のご意見ですが、今のところ、小児科学会のスケジュールによりますと、任意接種のものが早く来ることになっていまして、それですと打つ人と打たない人がいるわけですので、やはり定期接種から順番になって、その後、任意接種のものについては、実際にワクチンの種類を記載すべきなのかというところも、いろいろなワクチンの種類が変わって、しょっちゅう打つ回数や時期、それから、二つのものが三つになったりなどと、いろいろとしているのですが、その辺は少し細かい話で恐縮ですが、せっかくの機会なので教えていただきたいのです。

○松平委員
 確かに、任意接種を始めにもってくることは良いと思います。少なくとも、ここでDPTを上に持ってきていただいて、BCGを下に下げることです。それから、予防接種部会で検討されるでしょうけれど、ヒブ、肺炎球菌は多分定期接種になっていきますから、それは今は任意の中でも名前を入れておいていただきたいと思います。それから、地方自治体では水ぼうそう、おたふくかぜもかなり公費助成制度が始まっていますから、そのようにやるべきものについては名前を入れていただいた方がよいと思います。

○柳澤座長
 他に、ご意見はありますか。
 それでは、大体今日の予定された時間になってきたのですが、今日の議論については、どんどん進めさせていただくという、座長としては申し訳ないような議論の進め方もあったと思います。なお、今までの論点に関して、各委員から何かご意見があれば、書面として、母子保健課に提出していただければと思います。そういうことで、よろしいでしょうか。これは、いつまでに。

○馬場課長補佐
 こちらについては、来週の10月14日金曜日までにいただけたらと思います。資料1の論点の話ですが、資料2についても、ページごとに今までご意見いただいたものもあります。これについても、本日議論できなかったものを含めまして、さらに、ご意見があれば、資料1、2両方について10月14日の来週金曜日までにいただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

○柳澤座長
 それでは、まだ意見を出したいという人については、今、馬場課長補佐が言われましたように、来週14日までに母子保健課に提出をお願いするということで、そういった意見も踏まえて、これからの予定をもう一度整理してください。

○馬場課長補佐
 ありがとうございます。それでは、今回、論点整理を基にご議論いただいた内容から、報告書案を作成しなければならないのですけれども、来週10月14日金曜日までにいただいたものも含めまして、座長ともいろいろご相談させていただく中で、報告書案を次回の検討会で提出させていただければと思います。
 その次回の検討会ですが、10月31日月曜日、3週間後くらいですけれども、今のところ最も多くの委員のご都合がつきそうなのですが、こちらも最終的な決定をみましたら、皆さまにご連絡申し上げます。10月31日が、今のところは一番委員の先生方のご都合がよいと思われる日なのですが、また、その点も良い悪いをおっしゃっていただけたらと思います。

○柳澤座長
 本日も、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。まだまだ議論が不消化といいますか、足りない部分があったように自分としては感じております。今、馬場課長補佐が言われたような形で、次回までに報告書案を作成していただくということで、それを基に、次回の議論を進めたいと思います。そういうことで、今日の検討会を閉じさせていただきます。どうも、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課母子保健係

電話: 03-5253-1111(7938)

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