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2013年3月4日 平成24年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会家庭用品安全対策調査会 議事録
医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室
○日時
平成25年3月4日(月) 10:00~12:00
○場所
中央合同庁舎第5号館6階 共用第8会議室
○議題
・特定芳香族アミンを生ずるおそれのある家庭用品の規制基準について
・その他
○議事
○事務局 それでは、時間がまいりましたので、只今から「平成24年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会 化学物質安全対策部会 家庭用品安全対策調査会」を開催します。
委員の皆様には、御多忙の折、お集まりくださいまして、誠にありがとうございます。
本日の調査会は、9名の委員のうち9名全員に御出席いただいておりますので、開催に必要な定足数を満たしており、成立していることを御報告申し上げます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第をご覧ください。こちらの議事次第の下半分に配布資料というところがございまして、議事次第、委員名簿、座席表、それから資料1が2つございまして資料1-1、資料1-2、それから参考資料0、これは家庭用品規制法の概要になります。それから参考資料1、参考資料2とございます。
資料の不足がございましたら、お知らせください。よろしいでしょうか。
なお、平成25年1月28日付で委員改選がございまして、東北大学院薬学研究科教授の永沼先生、公益財団法人日本中毒情報センター大阪中毒110番施設次長の波多野先生に新たに本調査会の委員に御就任いただいております。
一言ずつ、御就任の御挨拶をいただけますと幸いです。御挨拶につきましては、五十音順でまず永沼先生からお願いいたします。
○永沼委員 御紹介をいただきました、東北大学薬学研究科の永沼です。今回から委員に加えていただきました。よろしくお願いします。
私の専門は重金属の毒性学でして、研究はそちらの重金属をやっていますけれども、教育は化学物質の安全性を含めた講義をやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○波多野委員 日本中毒情報センターの波多野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
家庭用品に関しましては、急性中毒の観点から健康被害の事例収集ですとか解析などを行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、座長ですが、同改正によりまして土屋前調査会長が退任されましたため、調査会長の選出をさせていただきたく思います。
なお、調査会長の選出は委員の互選とさせていただきたいと思いますが、どなたか御推薦等ございますでしょうか。
畝山先生、お願いします。
○畝山委員 元国立医薬品食品衛生研究所で生活衛生化学部長でおられて、家庭用品の安全対策についてお詳しい西村先生がよろしいと思います。
○事務局 ただいま、畝山委員より調査会長は西村委員にという御提案がございましたけれども、いかがでございましょうか。
(委員 異議なし)
○事務局 ありがとうございます。御承認いただいたということで、西村委員には調査会長に御就任いただきます。西村先生におかれましては、調査会長席に移動をお願いいたします。
(西村委員 調査会長席へ移動)
○事務局 それでは、以降の議事進行を西村調査会長にお願いしたいと思います。
西村先生、御就任の御挨拶をお願いいたします。
○西村調査会長 西村です。どうも御推薦、また、御承認頂きどうもありがとうございました。
本調査会は、生活環境にある家庭用品が安全で、また安心して使えるということをいろいろ調査、審議するという重要なミッションを持っていると認識しております。皆さん、御活発な御意見、または御質問をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。簡単ではございますがこれで挨拶とさせていただきます。
それでは、座らせていただきます。
最初に、まず本日の調査会の公開について申し上げます。本日の調査会は、原則として公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、また個人の秘密、企業の知的財産などが開示されて、特定の者に不当な利益、または不利益をもたらすおそれがある場合に該当しないと考えられますので、公開としたいと思います。
委員の皆様、いかがでしょうか。御了解いただけますか。
(委員 異議なし)
○西村調査会長 また、議事録につきましては、後日、皆様に確認していただいた後に公開されますので、あらかじめ御了承おき願いたいと思います。この点につきましても、よろしいでしょうか。
(委員 異議なし)
○西村調査会長 それでは、議事に入りたいと思います。
まず、「特定芳香族アミンを生ずるおそれのある家庭用品の規制基準について」ですが、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 かしこまりました。それでは、まず資料1-1に基づいて基準の骨子案について説明をさせていただきます。
資料1-1の1ページ目をごらんください。前回の調査会でポイントを4つほど示させていただきましたが、前回のペーパーを元に基準案と、あとは案の理由を入れた資料になっております。まず、1ページ目と2ページ目に従って骨子案について説明させていただきます。
まず(1)の規制対象物質につきましては、前回の調査会では、EUにおける規制対象物質は22物質ありまして、IARCのクラス分類等を考慮してどの範囲を規制すべきかという点と、前回の資料にはなかったのですが、基準値は幾つにすべきかといったところが論点の1つ目としてあると思います。
IARCのクラス分類は参考で示しておりますけれども、クラス1からクラス3までありまして、ハザードと情報の確かさに幅があるといったところと、基準値につきましてはEU、韓国につきましては30μg/g以下、中国のほうは20μg/g以下で設定をされているところでございます。
そういったところで、前回の委員の先生方の議論等も加味しまして、事務局から示させていただいた基準案といたしましては、まず規制対象物質につきましてはEUで採用されている22物質に2,4-キシリジンと2,6-キシリジンを加えまして、o-アミノアゾトルエン及び5-ニトロ-o-トルイジンを除いた22物質というものを提案させていただきます。また、基準値につきましては30μg/g以下を提案させていただきます。
「理由」につきまして、まず2,4-キシリジンと2,6-キシリジンにつきましては、前回の調査会におきまして、この2物質はEUでは規制はされていないのですが、委員の方から、この2物質につきましてはリスクの懸念があるのではないかといったような御意見等をいただきましたので、こちらの2物質も家庭用品規制法における規制対象物質ということで案のほうに加えさせていただきました。
また、o-アミノアゾトルエンと5-ニトロ-o-トルイジンはEUで規制されている物質になるのですが、この両物質は後ほど説明させて頂く分析法の強制還元の操作で分解をしてしまいまして、適切な分析法が確立されていないといったところがございますので、こちらは家庭用品規制法の性質等を鑑みて、家庭用品規制法における規制対象物質という指定の仕方はしないこととします。
なお、この2物質につきましては、分解物質が今回規制対象物質とする予定の22物資に入っていますので、実質的には分解生成物を分析することで、基準違反等について判定は可能と考えております。
また、基準値につきましては、後ほどリスク評価書のほうで説明させていただきますので理由は省かせていただきます。
続きまして、(2)といたしまして規制対象製品はどうするかといったところで、こちらはEUの規制では繊維、革製品のうち皮膚に長時間直接接触するものといったことで指定をされております。
前回の調査会では、上記のEUの考え方に、現行の家庭用品規制法の規制で近いと思われるものがDTTBとディルドリンといった物質でございまして、そちらの対象製品が以下の括弧書きのとおりになっているといったことで、それをたたき台にして議論してはどうかということを提案させていただきました。
そして、資料1ページの下のところですけれども、「基準案」といたしまして、繊維製品につきましてはディルドリン、DTTBの規制対象製品に加えまして、1枚めくっていただきまして2ページ目の一番上のところをごらんください。
そのうち、加えましてテーブル掛け、えり飾り、あとは「タオル、バスマット及び関連製品」というものを加えた製品群で規制してはどうかということを提案させていただきます。
また、革製品につきましては、そこに示しましたディルドリン等の規制対象製品のうち、でできたものが流通している可能性があると思われる、資料に示した製品を指定してはどうかということを提案させていただきます。
「理由」については、今説明させていただいたとおり、DTTB、ディルドリンの対象家庭用品をたたき台にしまして、繊維製品につきましては前回の議論の中で、まず?といたしまして、当初衛研のほうで行いました実態調査の中でショール、ランチョンマットといった製品の基準値違反が観察されましたので、日本における基準違反が観察される可能性がある製品といたしまして、テーブル掛けとえり飾りというものを追加させていただいております。
また、前回の議論の中で、子どもが口に持っていく可能性が高い製品、例えばタオル等について考慮する必要があるのではないかといった意見を委員の方からいただきましたので、子どもが口に持っていく可能性が高い「タオル、バスマット及び関連製品」を規制対象製品として加えさせていただいております。
また、革製品につきましては先ほど説明したとおり、実際に流通している可能性があるもので、皮膚に長時間直接接触する可能性があるものということで指定をさせていただければと考えております。
続きまして(3)の論点といたしまして、前回の調査会において衛研で行いました調査等の報告書の中でリスク評価のシナリオと推計式を示させていただきましたけれども、リスク評価に当たって留意すべき点はあるかといった論点で、こちらも後ほど資料1-2でリスク評価書を説明させていただきますので、そちらで説明させていただきます。
最後に(4)といたしまして試験方法です。各国でEUの試験法をベースに各々試験方法を作成しているところですが、日本におきましてもEUの試験法をベースに作成すべきかというところと、あとはバリデーションは実施する必要があるかということで、前回の調査会の議論でもバリデーションは不要なのではないかという意見をいただいているところでございます。
「基準案」といたしましては、今から河上参考人から説明させていただきますが、EUの試験法をベースにいたしまして、資料1-1の3ページから始まる別紙のとおりの案でいかがかということを提案させていただきます。また、前回の委員の方々の意見も踏まえまして、バリデーションは実施しないということにしたいと思います。
「理由」は以下に書かせていただきましたけれども、ISOの動きとしてEUの試験法をベースにしてISOの作成作業が進んでおりますし、また、日本におきましても当該ISOをベースにしてJIS化するというような作業を同時に進めているところで、国際整合との観点から申しましても、EUの試験法をベースにして分析法の基準を作成するのが適当ではないかと考えております。
また、EUの試験法につきましては、ヨーロッパだけでなく日本におきましても広く実施されているという現状がございますので、バリデーションは特に不要ではないかと考えております。
まず、資料1-1の骨子案の説明は以上になります。
続きまして、河上参考人から資料1-1別紙、この資料1-1の3ページ目から始まりますけれども、試験法について説明をお願いしたいと思います。
○河上参考人 国立医薬品衛生研究所の河上です。私のほうから、別紙となっております基準案について説明させていただきます。
こちらは、基準案となるもので実際の分析方法について記載してあります。また、これ以外にフローチャートになっている資料が配付されているかと思います。こちらは、資料番号はついていないのですが、お手元にありますでしょうか。資料1-1別紙は文章になっておりますので少しわかりにくいかと思いまして、それを一部簡略化したフローチャートを用意いたしましたので、こちらを主に使いながら説明をしていきます。細かい数字などにつきましては、こちらの別紙のほうを見ていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
家庭用品中の特定芳香族アミンの分析方法ですが、その大きな特色としまして先ほども説明がありましたが、対象となる家庭用品に用いられたアゾ色素を還元処理し、アゾ基を開裂させ、それにより生成した特定芳香族アミンを測定するという方法になっております。
今回、素案として提案させていただいております分析法については、基本骨格は欧州で用いられている方法に基づいて作成しております。また、分析方法ですけれども、大きく繊維製品と革製品という製品の違いで前処理の方法が変わってきて2つに分かれています。そして、それらの中、それぞれの製品につきましても分析操作が異なることから、さらに2つに分かれています。これは、分析対象となる化合物の違いによって2つに分かれています。
こちらのフローチャートのほうを見ていただくとちょうど4ページになっていると思いますが、このように分析法は大きく考えて4つに分類されています。
繊維と革、それぞれの製品について分析法が2種類ありますのは、規制対象物質、22化合物のうち、4-アミノアゾベンゼンについては分析操作中の還元操作で分解されてしまうということから、異なる操作方法をとっています。
それでは、初めに繊維製品中の4-アミノアゾベンゼン以外の対象物質、21物質の分析法について説明いたします。資料1-1では別紙の3ページ目、フローチャートでは最初のページをごらんください。資料1-1の別紙のほうでは、21物質のうち、代表例としてo-トルイジンを記載してあります。
初めに繊維試料の調製について、資料1-1の3ページの「試料の調製」という箇所を見てください。試料は、身体と接触する繊維の部分を試料とするとします。また、白色の繊維は試料からは除外します。可能な限り、原則、色別に試料を調製するようにしたいと考えています。また、色の違う部分の分離が難しい場合には、幾つかの色が混ざってもよいとしたいと考えています。
また、繊維の素材によって用いられている色素の種類が異なってくることから、それによって前処理方法が変わりまして試料調製方法が異なってきます。そちらについては、「試料の調製」の「(1)分散染料が使用されていない繊維製品」と、「(2)分散染料が使用されている繊維製品」という項目があります。
「(1)分散染料が使用されていない繊維製品」というものは天然繊維が該当しますが、このような天然繊維のみから構成されている繊維製品につきましては染料を抽出するという操作が必要ありませんので、試料を細切して試験に供していきます。
「(2)分散染料が使用されている繊維製品」は化学繊維が該当しますが、こちらの場合には繊維から分散染料を抽出するという操作が必要になってきます。このような試料、化学繊維のみから構成されている繊維製品、または化学繊維で構成されている部分が天然繊維で構成されている部分と分離できない繊維製品試料につきましては、後ほど御説明しますけれども、抽出法を用いて分散染料を抽出する。そのために、細長い短冊状の試料を調製することとなります。
次に「試験溶液の調製」ですけれども、フローチャートをごらんください。
「分散染料が使用されていない繊維製品」については、フローチャート左側の操作になります。細切した試料を反応容器に量りとり、メタノールを加えた後、還元処理を行っていきます。
また、「分散染料が使用されている繊維製品」につきましては、始めに繊維からの抽出が必要になります。細長い短冊状に調製しました試料を、フローチャートの真ん中辺りに図が書いてありますが、このような形で沸騰する抽出溶媒に直接触れることなく還流抽出を行うように設置します。クロロベンゼンを用いて30分間還流抽出を行った後、冷却し、還元処理へと試料溶液を持っていきます。
このときに、還流装置から試料を取り出したときに、完全に脱色されている場合には試料はそのまま破棄します。一方で、脱色が完全ではない場合、分散染料以外が使用されている可能性がありますので、試料を洗浄して、それを先ほどの分散染料が使用されていない繊維製品と同様に細切して反応容器に入れて還元処理を行います。
還元操作ですけれども、こちらは70℃のクエン酸緩衝液の中で亜ジチオン酸ナトリウム、ハイドロサルファイトとも言いますけれども、こちらの水溶液を加えて還元をして冷却をして、そして抽出操作へと移っていきます。
抽出操作ですけれども、前回の調査会では分液漏斗を用いた液-液分配法による抽出と、珪藻土カラムを用いた抽出の2種類の方法を御紹介いたしましたが、今回の素案ではEUの分析法に従いまして珪藻土カラムを用いた方法としています。
そこに記載されております操作で抽出後、対象のアミン類をGC/MSにて測定いたします。
なお、基準値は、先ほど事務局から説明がありました30μg/gに適合しているかどうかについては比較試験で判断したいと考えています。
具体的にですが、対象アミン標準溶液及び試験溶液をそれぞれ1ml試験管に採り、内部標準溶液を加えてそれぞれをGC/MSにて測定します。得られたクロマトグラム上で標準溶液の対象アミンのモニターイオンのピークと、保持時間が一致するピークが存在する場合、対象アミンの存在が確認された場合には、対象アミンに相当するピーク面積の内部標準物質のピーク面積に対する比を求め、同じように標準液においても対象アミンのピーク面積と内部標準物質のピーク面積の比を求めます。
そちらを、フローチャートの下の方に書いてありますけれども、こちらの式に入れてあげて計算したときに1g当たり30μg以下でなければならないといった形にしたいと考えております。
こちらの標準溶液ですけれども、資料1-1の6ページ目のところに調製法が書いてありまして、ここではo-トルイジン標準液となっておりますけれども、こちらの濃度でGC/MSで測定すると、ちょうど試料中で30μg/gとなるように設定されています。
GC/MSにてこのような形で基準値以上の対象アミンが検出された場合には、フローチャート右側のところにさらに矢印で先に書いてありますけれども、GC/MSのスキャンモードでマススペクトルを確認し、さらに別途、HPLC法にて試験溶液中に対象アミンが含まれていることを確認することとします。
以上が4-アミノアゾベンゼン以外の対象アミン、21物質の繊維製品中での分析法になります。
次に、繊維製品中の4-アミノアゾベンゼンの分析法について説明をします。資料1-1の7ページ目です。また、フローチャートは2ページ目を開いてください。
4-アミノアゾベンゼン分析法につきましては、方法が2段階の構成になっております。これはどういうことかと言いますと、先ほど4-アミノアゾベンゼンは還元処理にて分解してしまうという話をしました。そのため、始めに先ほど説明しました4-アミノアゾベンゼン以外の対象物質の分析方法を実施します。その際、4-アミノアゾベンゼンはその構造上、アゾ基が開裂してアニリンと1,4-フェニレンジアミンへと変化します。
そこで、資料1-1の8~9ページの「3 試験」に書いてありますが、先ほどと同様の試験を行ったときに、アニリンと1,4-フェニレンジアミンのどちらかが試料中で5μg/g以上検出された場合には、資料1-1の9ページの「4 追加試験」を行うといった形にしたいと思っております。
この5μg/gという数字ですけれども、仮に試料中に4-アミノアゾベンゼンが試料1g当たり30μg存在していた場合に、アニリン及び1,4-フェニレンジアミンは14~16μg/g生成します。
アニリンの回収率について、欧州の分析法の規格では70%以上を要求しておりますので、仮に70%の回収率だったとしても1g当たり5μg/gという濃度であれば、アミノアゾベンゼンの違反を見逃すことはないということでこの数字にしてあります。
「4 追加試験」となっている試験方法につきまして、フローチャートに記載してあります。こちらをごらんください。分析操作、試料の調製法につきましては、先ほどの繊維製品のアミノアゾベンゼン以外の分析法と同様の試料調製方法になっています。異なってきますのが、還元処理と抽出の部分になります。還元処理が、先ほどと比べまして温度が40℃ということもあり、穏やかな還元処理になっています。また、抽出方法が珪藻土カラムを用いるのではなくて、メチル-tert-ブチルエーテル、MTBEを用いて液-液分配にて抽出を行っています。
このようにして得られた試験溶液につきまして、先ほどと同様に基準値に適合しているかの判断を行います。また、基準値以上の4-アミノアゾベンゼンが検出された場合には、先ほどと同様にスペクトルを確認し、また別途、HPLCにて確認試験を行うこととします。
以上が、繊維製品についての分析法の説明になります。
次に「革製品」についてです。革製品につきましては、資料1-1の13ページ目、フローチャートは3ページ目をごらんください。
革製品つきましても4-アミノアゾベンゼンとそれ以外の2種類に分析方法は大きく分かれてきます。初めに、革製品中の4-アミノアゾベンゼン以外の対象物質の分析方法について説明いたします。
フローチャートを見ていただきますと、右側のほうに「試料の脱脂」という項目があります。革製品では始めに試料を脱脂する必要がありまして、革試料を細切して目開き4mmのふるいにすべてそれを通して4mm以下という試料を調製した後に、一定量1.0gの試料を反応容器に量り採り、それにヘキサンを入れて超音波処理を行って脱脂操作を行っていきます。この操作を2回行った後、ヘキサンを除去して還元操作へ移っていきます。
還元処理につきましては、繊維製品と同様に亜ジチオン酸ナトリウム水溶液を用いております。ただ、繊維製品と若干、処理の方法は異なっています。このような処理で還元処理を行った後、抽出は珪藻土カラムにて抽出を行います。
試料は、調製し終わった後はGC/MSにて測定します。基準値に適合しているかどうか、または基準値以上の対象アミンが検出された場合の対応につきましては、繊維製品と同様に行っていきます。
次に、革製品中の4-アミノアゾベンゼンの分析法ですけれども、フローチャートは最後の4ページ目、資料1-1は16ページ目をごらんください。
まず、試料の前処理方法ですが、フローチャートの右側の「試料の脱脂」につきましては先ほどと同じ方法で試料の脱脂、試料調製を行います。繊維製品と同様に、ほかのアミン類と比べて穏やかな還元処理を行い、抽出は珪藻土カラムではなく、メチル-tert-ブチルエーテルで液-液分配を行って抽出して、それをGC/MSにて測定するという方法になっています。
基準値に適合しているかどうか、また基準値以上の対象アミンが検出された場合の対応につきましては、繊維製品や先ほどの4-アミノアゾベンゼン以外の革製品の場合と同じになります。
説明は以上になります。
○事務局 続きまして、資料1-2について御説明申し上げます。
「繊維製品及び革製品に含まれる特定芳香族アミン類について(案)」について御説明申し上げます。ゴシック体の部分ごとに御説明してまいります。
まず1ページでございますが、「検討対象とする家庭用品及び物質」、2ページ目に「有害性に係る情報等」、3ページの中ほどから「暴露に係る情報等」、それから最後になりますが、6ページの中ほどから「総合評価」、「リスク管理の考え方」について記載がございます。
それでは、1ページ目の「検討対象とする家庭用品及び物質」から説明してまいりたいと思います。
まず(1)のところでございますが、対象とする家庭用品は資料1-1の基準案のページ下の記載と合わせてございます。これは、一番初めの説明と同じ規制対象製品となっています。
それから(2)についてですが、特定芳香族アミンとはアゾ色素が還元的に分解されて生成する芳香族第一アミン類のうち、発がん性を有する、または発がん性が疑われる、この表1に示すものをいいます。表1では、一番左に物質名、一番右にIARCの分類が示してございます。
2ページ目をごらんください。ここでは「有害性に係る情報等」を記述していますが、(3)につきましては前のページの(2)の表1と見比べていったらよろしいかと思いますが、IARCの発がんリスク分類を表2に示しています。
表3でございますが、こちらのThe Carcinogenicic Potency DatabaseからIARCグループ1及び2Aに分類されている特定芳香族アミン類のCarcinogenic Potencyをまとめたものとなっています。
また、これらの物質のスロープファクターでございますが、これが表4に示してございます。
(6)のところでございますが、特定芳香族アミンのリスク評価は最も低用量で発現して、かつ重篤な有害作用である発がん性を指標としまして、スロープファクター及び暴露量から算出した過剰生涯発がんリスクを用いることとしております。
次に、「暴露に係る情報等」につきまして御説明したいと思います。(7)について、国立医薬品食品衛生研究所の平成20年の調査から、IARCグループ1及び2Aに分類されている特定芳香族アミンの繊維製品における検出頻度及び検出濃度範囲を表5にまとめています。
(8)では、平成23年度の調査について繊維製品を表6、または革製品を表7にまとめています。
続きまして、(9)でございます。(9)では、(7)及び(8)の国内における実態調査においてIARCグループ1及び2Aに分類されている特定芳香族アミンのうち、これは593μg/gでございますが、ベンジジンは最も高い検出濃度となり、検出頻度も4-アミノビフェニルに次いで高いものとなっています。
次に、(10)でございます。RIVM、これはオランダの国立公衆衛生環境研究所となりますが、そこの研究所で衣類に使用されたアゾ染料の経皮暴露評価を実施しています。基本式は、ここに示された式のとおりです。この式に従って計算するために、具体的にどのようなパラメーターを置いたらよいかがその下の次の表になります。
(11)についてですが、(8)の実態調査においてベンジジンの最高濃度、先ほど申し上げた593μg/gを検出したシーツについて、当該製品に使用されたアゾ染料由来のベンジジンの皮膚暴露量を試算しました。これは、これは表でいいますと4ページの下の表の一番上のカラムになりますが、暴露量は7.2μg/年となりました。
これはどのように算出したかといいますと、4ページの下のパラメーターから5ページの上の表のパラメーターを1から0.1まで全て掛け合わせたものとなっています。これを掛け合わせますと、7.2μg/年となります。
各パラメーターの根拠でございますが、5ページの1)から5)までとなっています。
次は、6ページで総合評価でございます。(12)の部分になりますが、(11)で算出された年間暴露量から体重50kgとして算出されました1日当たりのベンジジンの暴露量が3.9×10⁻⁷mg/kg/dayとなります。これと、(5)のベンジジンのスロープファクターを用いまして、当該製品のベンジジンによる過剰生涯発がんリスクを算出いたしましと、9.0×10⁻⁵となります。
「リスク管理の考え方」でございます。これは(13)のところですが、家庭用品規制法に基づく安全対策は同法第3条にあるように、家庭用品に含有される物質の人の健康に与える影響を把握し、当該物質により人の健康に係る被害を未然に防止する措置を講じることが、製造または輸入の事業を行う者の責任であることを基本に置いています。ここは、義務規定が法律で科せられています。
一方で、?で、現に国内において高濃度の特定芳香族アミン類が検出される繊維製品及び革製品が増加する可能性を否定できないこと。
それから?として、今後諸外国から輸入された特定芳香族アミン類が検出される繊維製品及び革製品が増加する可能性を否定できないこと。
こういったことから、特定芳香族アミン類に対して、家庭用品規制法に基づく規制措置の導入を検討する必要があると考えます。
(14)についてですが、総アミン類の総溶出量が30μg/gの繊維製品による過剰生涯発がんリスクは4.6×10⁻⁶と算出されますので、我が国における大気環境基準の設定に当たり、現段階においては当面生涯リスクレベル10⁻⁵が目標とされていることを勘案しますと、上記のリスクは受容し得るものであると考えます。
(15)でございますが、以上のことから特定芳香族アミン類が検出される繊維製品及び革製品を使用した場合の過剰生涯発がんリスク並びに欧州及び中国等における特定芳香族アミン類の規制等を考慮の上、家庭用品規制法に基づく次の措置を講じる必要があろうかと考えております。
基準でございますが、繊維製品及び革製品から還元操作等で生成する特定芳香族アミン類を30μg/gとする。
(16)でございますが、有害性に係る知見等の進展等を踏まえつつ、適宜、見直しの必要性について検討がなされるべきであろう。以上でございます。
○西村調査会長 ありがとうございました。
それでは、只今の説明に関しまして御質問、または御意見がございましたらお願いいたします。委員の方々、いかがでしょうか。
高木委員、どうぞ。
○高木委員 2ページ目の一番上のところで、子供が口に入れるものに関しては特段配慮するということで「関連製品」という書き方がしてあると思うのですが、その中に最も口に入れやすい「おもちゃ」が含まれているかどうかというのが1つ。
それから、おもちゃの中には革製のぬいぐるみなどもありますので、革製品についてもその関連製品のようなものを項目に加えて、その中におもちゃが入るということを入れたほうがいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○西村調査会長 事務局、どうでしょうか。
○事務局 口に入れ得るおもちゃにつきましては、日本の法体系ですと食品衛生法で規制することになってございますので、頂いた先生の御意見につきましては、食品衛生法を担当している部署と連携しながら対応をとっていけるか検討してまいりたいと思います。
○西村調査会長 今の解説でよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。そのほか、御意見いかがでしょうか。また、御質問も結構ですが、どうでしょうか。
川本委員、どうぞ。
○川本委員 細かいことですが、資料1-2の6ページの「総合評価」の(15)の30μg/gというのは、これは特定芳香族アミン類の総量が30μg/gという理解でよろしいですか。あえて書かれていないみたいですが。
○西村調査会長 河上参考人、どうぞ。
○河上参考人 こちらにつきましては、それぞれ個々の物質です。ですから、22物質総量ではなくて、個々の物質が各々30μg/g以下ということです。
○川本委員 それぞれがということですね。それで、一番危ないベンジジンでこの基準値をつくったということですね。わかりました。
○西村調査会長 そういうことでよろしいですか。そのほか、御意見、御質問ございますでしょうか。いかがですか。
波多野委員、どうぞ。
○波多野委員 今回は革製品が入るということなのですが、これは例えばかばんとか靴というのは今回は対象とは考えないということでよろしいのでしょうか。直接、肌に触れることは結構あると思うのですが、過去に革製のサンダルを素足で履いて皮膚炎、アレルギーという事例もあったのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
○西村調査会長 事務局、どうぞ。
○事務局 御指摘いただきましたので、そちらの製品についても皮膚に長時間触れるかどうかという観点で検討させていただければと思います。別途、また御相談させていただければと思います。
○西村調査会長 では、よろしくお願いいたします。そのほか、御意見、御質問ございますでしょうか。
それでは、また御意見、御質問等がございましたら随時、手を挙げていただければと思いますが、もう一度資料1-1に戻りまして、ここに(1)から(4)までございますが、見直しをしながら整理をしていければと思います。
まず(1)です。ここに書いてある基準案ですが、EUで採用されている22物質に2,4-キシリジンと2,6-キシリジンを加え、それから分析の観点からo-アミノアゾトルエンと5-ニトロ-o-トルイジンを除いた22物質ということで考えていきたいということ。それから、基準値は先ほど御質問がありましたけれども、それぞれこの試験法、分析法によって30μg/g以下にしたいということについていかがでしょうか。よろしいですか。
特に御意見ないようですので、2番目の今、御質問がありましたけれども、靴に関しましてはまた考慮して、皮膚に直接接触するということの観点から追加の検討をしていただくということですが、ここに書いてあるような対象の製品、これ以外にもこういうものがあるんじゃないだろうかとか、それからこの観点から少し検討を加えていただきたいというものがあれば、ぜひ委員の方々から御指摘をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。
それでは、3番のリスク評価、これは先ほど資料1-2で御説明していただきましたが、このような考え方でリスクを評価をしていったらどうだろうかという案です。この辺りについて少し複雑な計算式もありますが、委員の方々から御質問、またはコメントがありましたらお願いいたします。
どうぞ、長尾委員。
○長尾委員 4ページで、先ほどのオランダの国立公衆衛生研究所ですか、RIVMの評価方法は1999年と2000年ということでかなり古いんですが、現時点ではこれしか参考にできるものはないのでしょうか。
○西村調査会長 事務局、どうぞ。
○河上参考人 私から御説明させていただきます。
現時点で、私どもの把握している限りでは、これ以上のこれより新しいリスク評価というものは把握していません。これは、EUの規制で繊維製品が入っているのが2000年の前半のほうですので、そのときにこちらの文献を参考にしていると考えています。
○西村調査会長 よろしいでしょうか。そのほか、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、(4)で試験法ということですが、EUで採用されている試験方法をベースに、先ほど河上参考人から御説明がありましたが、その方法について御意見、御質問がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに、これは確認ですけれども、22項目すべては大変だと思うのですが、例えばここにある1つ、4-アミノアゾベンゼンについて、大体定量下限というのはわかりますか。試みられたときの感じですが。
○河上参考人 GC/MSを用いていますので、測ろうと思って濃縮していけばかなりのところまで測れるのですが、通常、私が聞いている範囲ですが、EUであったり、ISOだったり、そういったところでは試料中当たり5μg/g、5ppmを定量下限として、そこまで量れればいいでしょうということで運用されていると聞いております。
○西村調査会長 そのような情報で、家庭用品規制法における基準値について30μg/gという数値を出すということに関して、そのレベルだということですが、いかがでしょうか。大丈夫ですか。
今、1番から4番まで個別に見直しをしていただきましたけれども、全体を通してこういうことを注意したらとかございますか。
どうぞ、菱田委員。
○菱田委員 今、対象物質のほうを2つ落としてという話もあったんですけれども、このISOで進められている分析法の対象とずれてしまう部分が出てくるかと思うのですが、その辺りはどのように対応されますか。
○河上参考人 EUで用いられているISOも、今EUの方法をISOに移そうとしているんですが、そちらに元々これらの発がん性特定芳香族アミンを生成する可能性のあるアゾ色素を規制するという形になっておりますので、この中の22物質のどれかが出てきて30μg/g以上であればそれを意図的に使われている可能性があるのでという規制のかけ方になっています。
今回、家庭用品規制法の場合では、各特定芳香族アミンそれぞれを指定していくという形になりますので、どうしてもそこで分析法が現在確立していないものについて入れるということはその法体系上できないということになりますので、そういった措置になっています。
それで、EUの概念として還元処理によって特定芳香族アミンが生成するということになっていますが、今回の基準案では2つ外しておりますけれども、参考資料2の2ページ目をめくっていただきますと構造が書いてある資料がお手元にあると思います。2ページ目の下のところにIARCのグループ2Bが書いてありますが、例えば左上にo-アミノアゾトルエンがございます。こちらはアゾ基が還元して開裂しますと、片方がo-トルイジン、片方が2,5-ジアミノトルエンになります。こちらは、o-トルイジンのほうは規制対象物質に入っておりますので、還元して生成するということを考えた場合には規制対象になると考えられます。
また、3ページ目に5-ニトロ-o-トルイジンが書いてあります。こちらはニトロ基は還元されますけれども、こちらが2,4-ジアミノトルエンになります。こちらも規制対象物質に入っておりますので、こういった形でフォローされているかと考えています。
○西村調査会長 どうもありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。細かいことでもいろいろな御質問をしていただいて結構ですので、ぜひ検討するべき項目があるということであれば御意見いただければと思います。
永山委員、大丈夫ですか。よろしいですか。
そのほか、畝山委員、大丈夫でしょうか。
中川委員、大丈夫ですか。
それでは、皆さんから今いろいろ御意見、御質問をいただきましたが、どうもありがとうございました。
事務局は、只今の委員の方々の御意見を踏まえまして基準案を作成していただき、次回以降の調査会で再び審議できればと思います。よろしいでしょうか。
本日、議題にある事項につきましては、全て御審議していただきました。審議事項に関しましてはよろしいですか。
もしよろしければ、そのほかに事務局から何かありましたらお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の当日配布資料がお手元にいっているかと存じますが、それについて少し御説明したいと思います。
○西村調査会長 委員の皆様方、よろしいでしょうか。では、事務局よろしくお願いいたします。
○事務局 「「ウイルスプロテクター」の自主回収を開始しました」というタイトルが書かれております報道発表資料です。
4ページをご覧ください。このウイルスプロテクターですが、図が書かれておりますが、このような形で首にぶら下げて、成分として次亜塩素酸ナトリウム、クエン酸、シュウ酸、硫酸塩、吸収性材料等が入っております。この製品は、身の回りのウイルス・菌の除去・消臭を目的として販売されておりました。
3ページに戻っていただけますでしょうか。「出荷数量」がおよそ70万個、「出荷時期」が今年の1月15日~2月8日、「輸入業者」がERA Japan株式会社です。
回収に至ったこの経緯ですが、理由がそこに書かれております。平成25年2月4日にウイルスプロテクターを首から下げて乳幼児を抱いていたところ、乳幼児の胸部が化学火傷を負う事故が報告されたという症例がございました。それで、こういうような症例も含めて2月20日現在、重複事故、重複がありますが、確認中の症例も含め、50件の事故報告を受けております。
この「回収理由」ですが、?として「製品に対する安全性の検討が十分でなかったこと」、?として「平成25年2月5日以降、妊婦や乳幼児に使用しないことなど、その時点で考えられる追加の使用上の注意を同封し消費者に注意喚起を行ったものの、同様の事故が継続して発生したため、自主的に回収することといたしました」。これは、企業からの回収理由でございます。
今後ですが、その製品を見ていただくとわかるのですが、「商品にスリット(隙間)が空いているため、商品を使用する際、直接肌に触れたり薄着の上から使用したりした場合、?汗に成分が溶解して、塩素の発生が加速されたことによる熱傷、?クエン酸、シュウ酸が汗に溶解した際の酸による熱傷、または?次亜塩素酸が汗に溶解したことによる熱傷が生ずるといったメカニズムにより化学熱傷を負うおそれがあります」ということが危惧される具体的な健康被害でございます。そういうような症状が起こった場合には、速やかに医療機関を受診するようにお願いしているというものです。
前のページに戻りまして1ページ目ですが、そういうことを含めましてこの輸入業者であるERA Japan株式会社が自主回収を2月22日から開始したというお知らせ、これがその報道発表資料でございます。
この内容ですが、この製品は既に2月18日付で消費者庁が直ちに使用を中止するように注意喚起を行っております。それについては、資料の5ページをごらんください。消費者庁のほうから、「次亜塩素酸ナトリウムを含むとの表示がある「ウイルスプロテクター」をお持ちの方は直ちに使用を中止してください」という注意喚起を行っております。こういうような事態をもって、自主回収の判断に至ったということでございます。
それに伴いまして、その下に、「当省は、輸入元に対し消費者への注意喚起に万全を期すよう指導し、地方自治体に情報提供し」と書いてございます。まず、事業者に対しては2月22日同日付で、「「ウイルスプロテクター」の使用に伴う製品事故拡大防止に係る措置について要請」というものを私どもの室長から出しておりまして、今後、係る事故の拡大を防止するために、不特定多数の使用者に対する注意喚起と被害者への対応等について消費者への情報提供に万全を期すこと。健康被害に遭われた消費者には、誠意を尽くして対応すること。事故拡大防止のために講じた措置、原因究明を行い、その結果及び再発防止策について3月8日までに当室に報告すること。また、新たに把握した本製品関連の事故情報について、随時当室へ報告すること。このような要請をいたしました。
また、地方自治体に先程の情報を提供し、消費者への周知、注意喚起についての協力を要請しますと書いてございますが、それにつきましても同日付で各都道府県、政令市特別区の衛生主管部局家庭用品の安全対策主管課宛てに私どもの室長から「「ウイルスプロテクター」の使用に伴う製品事故について」ということで、消費者への周知、注意喚起、都道府県等への情報提供を行うということで、今回ERA Japan株式会社が自主回収に着手したことを公表して、消費者への周知、注意喚起、事故情報の収集等について協力をお願いしているところです。
また、資料の9ページをごらんください。当省の報道発表と同日付で、消費者庁からも「次亜塩素酸を含むとの表示がある「ウイルスプロテクター」について(使用中止及び自主回収のお知らせ)」というものを公表しております。そこに書かれている内容で1点、10ページのところに「事故情報の件数」というのが公表されておりまして、「ウイルスプロテクター」は成分が先ほどもお話したように、肌に触れることで化学熱傷を引き起こすおそれがありますということで、この事故情報については2月21日正午時点において消費者庁に22件の情報が寄せられているという公表をしております。
今後、この製品について事故情報の収集と、また「ウイルスプロテクター」に限らず、類似製品についても同様の事故情報の収集、事故原因の明確化、またさらなる消費者への周知、注意喚起を行っていきたいと考えております。以上でございます。
○西村調査会長 ありがとうございました。只今の説明に関しまして御質問、または御意見などがございましたらお願いいたします。いかがですか。
これは、波多野委員から何かお話ししていただけるようなことはありますか。
○波多野委員 中毒情報センターでは、この製品に関してこのような事故というのは現時点では把握しておりません。
○西村調査会長 委員の方々、いかがでしょうか。このような形で化学熱傷を起こしたという事例があったということですけれども、これは、洋服の上からでも、洋服の布地も色が変色したりとか、結構、刺激が強くあらわれているようですが。
○事務局 先ほど、製品の実物を回覧させていただいたのですが、事故が起こったのはスリットというちょっと穴が空いているところがあるのですが、そちら側を皮膚に接触した場合に起こっているということがございます。ですから、反対側だったらそういうことが起きなかったのではないかと推測されます。
ただ、一方で、そのスリットからその薬剤が放散しているということがございますので、製品設計の部分でも何か問題があった可能性はあるかと思います。
○西村調査会長 わかりました。菱田委員、どうぞ。
○菱田委員 先ほど最後のほうで、関連製品に関してもというお話だったのですが、こういったタイプの関連製品について、どれぐらい事故例を把握されていらっしゃいますでしょうか。
○西村調査会長 事務局、お願いいたします。
○事務局 政府内の情報が今、消費者庁に一元化されておりますので、消費者庁の整理を待って、我々もその情報に基づいて対応してまいりたいと思います。
○西村調査会長 そういうことですので、その情報が出ればまた情報提供していただこうと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○中川委員 次亜塩素酸ナトリウム以外に含まれているクエン酸、シュウ酸は皮膚のケミカルピーリング(皮膚を腐食させる作用でにきびの治療などに使用)によく用いられています。にきび用の石けん等に入っています。
これらの物質はショートコンタクトだと問題ないのですが、長時間接触していると顔などでは皮膚の腐食が進みかなり真っ赤になってずるむけになることがあります。このウイルスプロテクターに関して、私のところにもマスコミから何件か電話がかかってきましたが、聞いた話によると、私が心配していた瘢痕を残すような化学熱傷は今のところはないようで、瘢痕を残さず上皮化しているようです。早い時期に回収できてよかったと思います。
○西村調査会長 どうも情報提供ありがとうございました。
そのほか、委員の方々から御質問、または情報提供などもございましたらよろしくお願いいたします。特に委員の方々からないということであれば、大分早いのですが、よろしいですか。もしあれば、先ほどの議題に戻っても何か御質問したいこと、またコメントしたいことがあれば、まだ時間もありますので戻って審議をしたいと思いますけれども、よろしいですか。委員の皆様、大丈夫ですか。
それでは、委員の方々には一応御理解していただいたということで、幾つかコメントをいただきましたので、よろしければ事務局にお返ししたいと思います。
事務局から何かございましたら、よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局からは、特にございません。
○西村調査会長 それでは、大分早いのですが、特に委員の方からの御意見もないということで、今日の調査会をこれでお開きにしたいと思います。
委員の皆様方、どうもありがとうございました。
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