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2012年11月28日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年11月28日(水)10:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(9名):五十音順

 石郷岡   純、○鈴 木   勉、 関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、

 曽 良 一 郎、 鍋 島 俊 隆、 花 尻 瑠 理、◎望 月 正 隆、

 和 田   清

(注) ◎部会長 ○部会長代理

他参考人2名

欠席委員(3名):五十音順

 桐 井 義 則、 成 瀬 暢 也、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

 榮 畑   潤 (医薬食品局長)

 中井川    誠   (監視指導・麻薬対策課長)

 佐 藤 大 作 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 ただ今から「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、委員の皆様方には御出席いただき、御礼申し上げます。
 本日は成瀬委員、桐井委員、藤岡委員から欠席の御連絡をいただいております。現在のところ、当部会の委員数12名のうち、9名の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、本日の審議事項は指定薬物の包括指定ですが、提示している具体的な物質群での検討を進めていただいた先生方を、参考人としてお呼びしています。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□です。
 開会に当たりまして、医薬食品局長の榮畑から御挨拶を申し上げます。
○医薬食品局長 医薬食品局長の榮畑です。おはようございます。本日は気候があまりよろしくなく、寒い中、かつ朝からの会議に、先生方には御出席いただきまして、ありがとうございます。中井川課長から、本日の中身について簡単な紹介がありましたが、これまで指定薬物については個々の指定ということで、取り組んでまいりました。それに関して、この指定薬物部会の先生方には大変御支援、御協力を頂戴しまして、ありがとうございました。
 ただ一方で、そうは言いましても、これまでの取組だけでは、なかなか指定薬物としての規制が不十分だという御指摘も頂戴していますから、これまでも先生方に御相談させていただきましたが、化学構造の類似した違う物質が流通しているということも踏まえて、指定薬物の規制について、より効果的な方法として、化学物質の類似したものを包括的に指定させていただけないかということについて、先生方からも御意見を頂戴してまいったところです。そういう点で本日は、これまでの個々の指定ではなくて、言わば乱用が危惧される特定の化学物質作りに対して、指定薬物としての指定の可否、そういうことが相応しいのかどうかについて、また、本日の御審議を踏まえて、新しいステップに進めさせていただくのがいいのかどうかについて是非とも御審議、御意見を頂戴できたらと思っています。
 先生方には今回だけに限らず、今後とも指定薬物の必要な諸規制について、御指導、御支援のほど、頂戴できればと思っています。今後とも一つ、よろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長 本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を後日公開することとされているので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。なお、この包括指定については、社会的な関心が非常に強いということがありますので、本日、仮にこの部会で了承が得られた場合は、部会終了後に部会長が記者会見を行う予定となっています。従来、個別指定の場合ですと、具体的な指定物質名については、パブリックコメントの場で初めてオープンにするということになっていますが、今回の場合は、特に包括指定が新しい概念ということもありますので、指定の内容については、記者会見の場で説明を行うという整理にさせていただきますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは部会長の望月先生に、以後の議事進行をお願いします。
○望月部会長 それでは、議事の進行を務めさせていただきます。最初に事務局より、配付資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をします。本日の資料ですが、資料は1~3まで、参考資料は1~2まで、参考文献は1~3までを配付させていただいております。なお、資料1、2については、本日配付させていただいたものに差し替えさせていただいておりますので、そちらを御覧になってください。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。
 それでは議事に移ります。本日の議題は、「指定薬物の包括指定について」です。審議する物質群について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 今回、御審議をいただきたい物質群は、厚生労働科学研究の研究班にて検討されました「指定薬物に相当すると考えられた物質群」になります。
資料1は、指定を考えている物質群の基本骨格の構造式、基本骨格と置換基の名称、指定省令の条文(案)を記載しています。これらの物質群について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否か、また、指定範囲が適当であるか否かについて、御審議をいただきたいと考えています。
 資料2は、本物質群を選定するまでの検討内容の概略と、本物質群の指定範囲の検討における基本的な考え方などについて整理をしたものです。
資料3は、本物質群の指定範囲に係る検討内容と、その検討結果が詳細に記された研究班の報告書になっています。
 事務局から、まず資料1と資料2に基づいて、説明をさせていただきます。
資料1ですが、一番上の所に基本骨格という形でお示ししていますけれども、この(1H-インドール-3-イル)(ナフタレン-1-イル)メタノンについて、1.、2.、3.の所に様々な置換基を結合させた場合、その物質について包括指定するかどうかの検討を進めてきました。
 次に資料2の説明です。まず指定薬物の包括指定に至った背景についてですが、これまで違法ドラッグ対策に関しては、国内外で流通が確認された違法ドラッグに含まれる成分を、指定薬物として個別に指定していまして、それの製造・販売などを規制してきました。しかしながら、次々に化学構造を変化させた物質が登場してくるということで、規制を逃れて、販売などがされている状況です。この状況への対策として、本年4月の部会で、指定薬物の包括的な指定の導入に向けた検討を進めるという方針が了承され、これを受けまして、検討を進めてまいりました。
 包括指定の導入に当たっては、その包括指定の対象となる範囲が明確であること、対象に含まれる物質の中枢神経系への作用が科学的に類推できることという、二つの要件があります。これらを念頭に置きまして、厚生労働科学研究で、対象物質群の設定でありますとか、指定範囲についての検討が進められました。
 2番は、検討対象とした物質群と、その選定理由です。今回、中心となる化合物は先ほど紹介したものになりますが、JWH-018に類似したものということで、選定しました。このJWH-018を選定した理由ですが、本年の8月に、指定薬物から麻薬に移行していまして、現在JWH-018は麻薬です。このことで有害性、また乱用実態は明確であるということ、それからJWH-018というのは、平成21年10月に指定薬物として指定されていまして、規制されていたわけですが、これを指定した後、JWH-018の化学構造に類似した物質が次々に登場しまして、そういった物質についても、これまで指定薬物として指定してきています。それから、いわゆる脱法ハーブというようなものに含まれることが多い合成カンナビノイド系の物質の一種であるということから、JWH-018を中心として考えることにしました。包括指定の範囲を検討した物質群ですが、1ページに「基本骨格」と書いてあります。この基本骨格に置換基が結合する場所を、先ほど3か所示させていただきました。この場所は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が確認される場所ということで、3か所選んでいます。
 また、検討した置換基を有する物質に関しては、□□□□□に加えて、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□から今後の乱用の恐れが懸念されるものということで選びました。この基本骨格に様々な置換基が結合した場合に、どのような中枢神経系への活性が見られるかというところの類推をするために、研究班にて研究を行っていただいております。概略はこの資料に記載していますが、研究班では中枢神経系に対する活性の類推というところと、科学的に中枢神経系への作用が類推される範囲というものが、どういうものかということでの検討を行っていただいております。詳しい内容について、研究班で検討いただきました□□□□から説明をお願いします。よろしくお願いします。
○□□参考人 資料3を御覧ください。「3-(1-Naphthoyl)indole構造を有する合成カンナビノイドの包括指定範囲の検討」というテーマで検討させていただきました。初めに概略をお話します。
 まずターゲットとしては、カンナビノイド受容体、CB1という受容体に作用する物質についての検討を行うということで、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□によって、物質の範囲を検討しようということで、□□□□にお願いしました。
今までに、合成カンナビノイドの作用が出るというKi値は、□□nMという報告があります。これを一つの最大値、閾値として我々は設定しまして、□化合物を範囲に入れたらどうかということで、範囲を引きました。その範囲の中に入っている化合物、もしくはその範囲から外れている化合物、四つずつになります。概要としては範囲の中に入っているA,B,C,Dという化合物を新たに合成して、その作用を確認しました。その結果、A,B,C,DはCB1受容体に作用がありました。さらに医薬品の開発を考えますと拮抗作用、その受容体の作用を阻害するような作用があるかということも問題になりますが、これはないことを確認し、範囲が妥当ではないかと見いだしたわけです。
 次ページからの□□□□解析について、□□□□より御説明をいただきたいと思います。
○□□参考人 私は主に□□□□□□を担当しました。置換基の位置を1.、2.、3.と先ほど書いたように呼ばせていただきます。先ほども御覧いただいた、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□というものが、ターゲットになってくるわけです。
 今回、□□□□を調べる上で、二つ大きく分けて調べました。まずは□□□が付いている骨格について、それが資料3の4ページです。Table1、Table2とありますが、これが要するに置換基の位置が□□□□□□□□□□□が付いたもの、ただし一部、□□□□□□□□□□□□□□□□という化合物もありますが、基本的には□□□が付いたものです。その範囲をまず定めようということで、ここに黒く書いたJWHの数字というのは、□□で知られている化合物で、□□□□□□□□が出ているということで、赤字で示したものが、今回□□□□□□□□□□□□です。その□□□□□□□□□□□というのは、3ページに書いた□です。□個の化合物があるのですが、□□□□□□□□□□□を基にして、□□□□□を作りました。ここに示した□□とか□□□というのを見ますと、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□であったということです。それを基にして、Table1とTable2を作りまして、□□□を出しました。先ほど□□□□から御説明があった□□nMに線を引いてみると、この青いラインの内側ということになります。□□□だけでは十分に化合物をカバーできませんので、二つの置換基、□の置換基に関しては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が付いたものについて、調べてみました。これも同じで、やはり赤い所が□□□□□で出した□□□です。これを見ますと、いずれも□□□のみと比べましても、□□□□□□□□□□□□□という化合物、あるいはそれに近い、それに匹敵するような□□□を持っているということで、これに対してはTable1、Table2で定めた範囲と同じように扱おうということにしました。
 それから3.の置換基は、Table4、Table5に示した□□□□を入れました。□□□□□□□□□□□□□□□□□□、これは□□□だけで、一部□□□もありますが、水素、□□□□が付いていない、水素に比べても活性が高く、活性といいますか、Ki値が低かったり、それに匹敵するということで、これも含めようということで、最終的に6ページで、これを数え上げるのはなかなか大変なのですが、総合して数え上げて、それをTableにしてみるとこういう形になるということで、計算してみますと□□化合物というのが、我々が考えた範囲であるということです。以上です。
○□□参考人 続いて、その範囲について私の方で、範囲の妥当性、これはCB1受容体というものに作用があるかどうかということについての□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□するという作業を行いました。
 8ページを見ていただきまして、これは先ほどのTable1をそのまま持ってきたものですが、A~Hまでの8種類です。この化合物を□□□□□□□□□□の検討を行いました。
 次の9ページの図1、これはCB1受容体に作用がありますと、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□その作用を検討した結果になります。そうしますとA,B,C,Dについては範囲の中に入っている化合物なのですが、これは蛍光強度が上がりますので、確かにCB1に作用することが確認できるということです。一方、E~Hの化合物については、範囲の外に位置する化合物なのですが、これは明確な作用が出てこないということで、範囲の中に入っている化合物について、その作用というものが明確ではないかということが分かりました。
 図2はその作用が確かにCB1受容体を介しているかどうかということを確認する目的で、CB1受容体の拮抗薬、受容体の作用を遮断する薬を前処置いたしました。AM251という薬物です。そうしますと化合物Aですが、この効果は完全に抑制できるということで、CB1受容体を介したものであるということを確認しました。
 次の10ページですが、今度はその化合物に受容体をブロックする拮抗作用があるかということを確認しました。これはJWH-018(10μM)で刺激したときの作用です。これに対する影響を検討しました。その結果、A,B,C,Dは範囲の中に入っている新しい化合物ですが、これに関しては拮抗作用、その作用を抑制することはなかったということです。したがいまして範囲の中にあるものは、拮抗作用を持ったものがないということが分かりました。
 最後は図4ですが、実際に動物に投与しまして、作用が出るかということについても検討を行いましたが、範囲の中に入っているA,B,C,Dについては、体温下降を計ったわけですが、作用に強弱はありますが、その作用が出てくるということで、範囲の中に入っているものが活性を持っていることを確認しました。
 以上の結果から、我々□□□□による解析と薬理学的な解析より、□化合物を範囲の中に入れたらどうかということで、結論としました。以上です。
○事務局 資料2の説明を続けさせていただきます。資料2の3(3)についてです。ただ今、御説明いただきました、研究班で検討された範囲を基にして、行政的な視点も加えまして、包括指定の対象範囲(案)というものを提案させていただきたいと考えています。
 その行政的な視点という部分ですが、二つありまして、最初の点は□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□というところを挙げています。4ページになりますが、特に科学的な類推によりまして、包括指定の範囲を決めるというときに、今回はKi値□□nM以上の物質について、包括指定の範囲から除くという案が研究班から出ていますが、□□nM以上のものというのは、省令で除外していくという格好でいかなければならないということですが、このことは裏を返すと、省令で除外した物質が安全であるというメッセージとして受け取られ兼ねないということも、考慮する必要があると考えています。
 二つ目の点ですが、今回は□□nMというところから、このようなことを申し上げますが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということを勘案して、範囲を決める必要があるということです。
 そこで、包括指定の範囲の考え方として、□□□□□□□Ki値の物質であれば、乱用の状況下では□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□というものは否定できないのではないかということ、それから、健康被害の発生する恐れを否定する程度の規制を前提とするということであれば、規制範囲というのはKi値□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということにしてはどうかというのが、事務局としての提案になります。
 これを踏まえて、包括指定の案についてですが、資料3の4ページの表でいきますと、Table1に関しては、ここに示された範囲全体を包括指定の範囲として、□□□□以上ということでKi値が計算されている5物質、C8の所と、それから右下の方にありますが、その5物質について、包括指定には含めないということにしたいと考えています。R1の炭素鎖の末端にハロゲンなどが結合している場合、Table3で検討しているものについてですが、□□□□□□□□が結合している場合というものが、この検討で除いておりますけれども、やはり同じ考え方で□□□□□□□□までには達していないということで、こちらも全体を指定の範囲に含めることとしたいと考えています。
 次にR2にメチル基が結合しているTable2の場合ですが、包括指定の範囲として、一度に記述する範囲は、R1のC7までとしまして、R3の所はC6までの範囲とします。R1がC8の所で、□□と□□というのがありますが、こちらについてもこの範囲に含めることにしたいと思っています。このR1がC7、R2がC6までの範囲の所で、□□□□以上のKi値で示されているものは、やはり右下の所で4か所あります。R1がC5の所については、□□□□□□□などが結合した場合のものについても、指定範囲にはしないということにしたいと考えています。
 資料2の4ページに戻っていただきまして、ただ今説明しました範囲について記述したのが、この表の所の記述になっています。これを更に書き下したものが、資料1の省令(案)というものになっていますが、こちらではR2がHの場合と、R2がMeになっている所を、二つに書き分けて記載しています。この格好で包括指定の範囲を決めた場合、その範囲に含まれる物質の数は775となります。この中で既に麻薬に指定されているJWH-018、それ以外に指定薬物として指定されている物質が14ありますので、合計15については除いて、全く新規に今回指定される物質の数が760ということになります。
 次にこれを指定省令ということで、条文に書き起こす必要がありまして、これに関する検討した結果についても御説明します。包括指定の省令の条文(案)については、初めに述べました、包括指定の導入に向けた要件として、「対象となる範囲が明確であること」が必要だとされていまして、これを満たすべく、海外での包括指定の事例も参考にして、関係機関などと協議をしています。刑罰法規適正の原則の要請から、薬物規制法規においては、ある物質が規制対象になるか否かということについては、文書で一義的に判断し得ることが望ましいということで、包括して指定される物質群について、その外延が明確である必要があるということで協議をしたところ、今回の包括指定の範囲については、中心となる構造を示して、そこに様々な置換基が結合した物質を指定するということで、提案させていただいております。この指定方法であれば結合する置換基、それから置換箇所というものが特定されていますので、指定される範囲の外延は明確になっていると考えられ、最初の「対象となる範囲が明確である」という要件は満たしていると考えています。
 なお、先ほど説明しました、既に麻薬や指定薬物として指定されている物質については、麻薬については指定薬物になるわけではないので、それは対象外であるということを明記するということ、それから、既に指定薬物として個別に指定されているものについては、条文の方から削除しまして、包括指定の範囲に含まれるような形での指定の仕方にして、重複しないように規定したいと考えています。
 こういったことを踏まえ、条文(案)としまして、資料1の2ページと3ページに記載していますが、このような形で本体の物質名を挙げて、そこのそれぞれの場所にどのような置換基が付くかというところを示して、それが組み合わせで結合するということ、そして、この「ただし」という所で書いてあるのが、先ほど示しました□□□□以上のKi値を持つ物質で、それについて除いていくというところで、規定していきたいと考えています。御審議いただく物質群に関する説明は以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。事務局と参考人から説明がありました物質群を指定薬物として指定することについて、委員の先生方から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○□□委員 私ども□□□□□□□□においては、かねてよりインターネットなどを通じて、国内の違法ドラッグの流通実態調査を行っています。今回、私どもの調査結果に基づき、国内の流通実態の側面から今回の指定薬物の指定範囲について、その妥当性を少々検討してみました。
 まず、合成カンナビノイドが初めて指定薬物に指定されたのは、第4回目の指定薬物指定のときからで、2009年の11月から3化合物の規制が施行されています。それ以後の買上調査で合成カンナビノイドが検出された703製品について、含有化合物を検討しましたところ、2011年10月から規制を受けた第7回目の指定薬物指定以前は、今回包括になりましたナフトイルインドールの骨格を含めて、4種類の基本骨格におおむねすべての化合物が含まれています。その移り変わりとしては、2009年11月規制の第4回指定薬物以前は、ナフトイルインドール骨格を有する化合物が50%、また第4回~第5回指定薬物指定の間、2010年9月までは63%、第6回、2011年5月規制までは80%、2011年7月までは59%と、非常に高い割合でナフトイルインドール骨格を有する化合物の流通が認められています。2011年の10月以降に関しては、この4種類以外の骨格を有する化合物が数多く出現しましたが、何か特別に中心となる骨格があるわけではなく、現在私どもが把握しているだけでも少なくとも8種類の骨格の合成カンナビノイドが認められています。一つ一つに関しては、流通の数はそれほど多くありませんが、その他の骨格を有する化合物が昨年10月から今年の7月、第8回目の指定薬物部会までに36%の割合で出現しています。一方、ナフトイルインドール骨格を有する化合物も42%と依然最も高い割合を占めていますので、今回指定薬物の包括範囲としたナフトイルインドール骨格は、妥当な選択だと思います。また、置換基の位置を3か所設定して、指定範囲を定めていますが、それについても検討を行ったところ、私どもが今まで把握していますナフトイルインドール骨格を持つ国内流通の指定薬物に関しては、未規制の化合物も含めて、モルフォリル構造を有するJWH-200、メチルピペリジン構造を有するAM1220、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を除き、すべてインドール構造の1若しくは2位、またナフタレン構造の4位の位置に置換基を有していたので、今回の指定範囲は妥当ではないかと考えています。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。今回の骨格の指定、あるいは置換基の指定が極めて妥当なものであることを、□□委員から明確に御説明いただきました。ほかの御意見はいかがでしょうか。
○□□委員 先生方の御検討では、1位と3位の炭素数を幾つか増やしたらどうかということでしたが、2位はメチルだけに限定されていますね。例えば、2位のメチルをエチルなどにすると、Ki値は大きくなってしまうのですか。そのようなデータはあるのですね。
○□□参考人 実験結果としてはないです。
○□□委員 それでは、この点は今後検討が必要ですね。
○□□委員 少し臨床的な視点から伺いたいことがあります。今回は細胞株の実験ですから、これは吸収や摂取法を想定した場合は、例えば静注した場合をほぼ想定と考えていいものなのですか。つまり、普通こういうものはまさか静注では使われていないと思うので、ほかの摂取法ですから、少なくとも先生が見積られたもの以下の活性として、体内に発揮される想定で考えてよろしいのでしょうか。最大限に安全を見積った値がここまでと考える考え方でいいのでしょうかということなのですが。
○□□参考人 今回細胞での検討ということで、あくまでもKi値からの推測になります。実際に使用される部分との相関性も十分あり得る範囲として、我々は考えています。
○□□委員 要するに、直接ばく露されたときにこういうことが想定されて、そうすると一般的に行われているような摂取法を想定した場合は、少なくともこれより活性が強くなることは考えなくても、ここまでだという理解でよろしいわけですね。
○□□参考人 そうですね。確かに、製品に入っている実際の薬物量がどれだけ摂取で体内に入るかは非常に難しいところだと思います。実際の薬理学的な検討を見ますと、実際の製品に入っている量よりも大体半分から、場合によっては10分の1程度で評価がされていますので、恐らく摂取したときに人で作用が出てくる範囲に今回の値は入っていると考えています。
○望月部会長 よろしいですか。今の点で、厚労科研の研究的なデータですと、□□nMを最大値とするが、行政的な面から見ましたら、ここに示されたように、□□□□□□□までを全部規制するという点が大きな違いかと思いますが、いかがでしょうか。規制する意味からいうと、やはり広く取った方がいいということでよろしいですか。ほかにはいかがですか。
○□□委員 基本骨格を持っているもので、拮抗作用を持っているものはないのでしょうか。
○□□参考人 それについては、今回範囲の中の四つの物質のみの検討ですので、すべてにおいての検討は残念ながらできていません。しかしながら、文献的、さらには実際の特許の関係で、化学構造でこのナフトイルインドール骨格を持った拮抗薬の報告があるかを調べたのですが、現時点ではヒットしませんでした。ですから、恐らく拮抗作用を有するものはないのではないかと思います。ただし、部分作用薬、弱いものは恐らく入ってくる可能性はあるかと考えています。
○□□委員 分かりました。
○望月部会長 ほかにいかがですか。
○□□委員 今回、三つの置換場所を指定すると、かなりカバーできるというお話が、先ほど□□委員からもありました。ということは、作る側から考えると、ここの置換基以外のところで活性物質を見いだそうとすると、ものすごくハードルが高くなって、やる側の意欲を削ぐようなことになるという理解でよろしいのでしょうか。
○□□参考人 合成のしやすさ等もかなり出てくると思います。
○□□委員 今までに文献や特許情報で公開されているナフトイルインドール骨格を有する化合物に関しては、実際にはこの3か所だけではなく、ほかの位置に置換基があり、それなりの活性を有するものも報告されています。しかし、現時点では国内外における流通実態を見ると、この3か所の置換基でほとんどカバーされているのではないかと考えています。
○□□参考人 作る側からすれば、効率が悪くなるということですね。
○望月部会長 優秀な有機化学者は、その壁を乗り越えることが楽しみだということはあるかもしれませんが、そうなったらきりがありません。そのような優秀な化学者は、倫理的にはそのようなことはしないと信じています。ほかにはいかがですか。
表の見方なのですが、資料3の4ページのTable2でR2がMeのとき、一番下のR3がC6、□□、□□とありますが、これは含まれるのですか。そうすると、本日いただいた資料2の4ページのR2がMeの場合、(1)でR3のところに、直鎖アルキルC1-C5と書いてあります。これは、C6ということですか。
○事務局 その部分は、5ページの一番上の表で、下に飛び出した二つの部分が該当する所になります。
○望月部会長 C6が加わっているのですね。分かりました。ほかには、どなたか御意見ありますか。
○□□委員 指定された薬物に店頭の商品が該当しているかどうかを、第一線の取締りの人が簡単に調べられるのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 その点については、御指摘のとおりです。基本的には、この世に存在しない物質が含まれているということですので、仮に現場に出向いて収去なり買上等で見つかって、いわゆる既存の標準品等で同定できない、具体的に言うと今までの指定薬物で個別指定されたものでないものであれば、今回の予算でデータベース等を□□□の方に整備することになっています。それを照会していただきつつ、一義的には□□□に御相談いただくような形になろうかと思います。その辺りの御支援は、平成25年度予算でやっていますし、□□□から要望があれば、引き続き御支援申し上げたいと思っている次第です。
○望月部会長 □□□□□□の先生、よろしくお願いします。最初は、当然スペクトルデータで推定することから始まって、そのあとに実際に合成していただいて合わせて、そのデータは、各地方にも回すということですね。
○□□委員 分析的な観点から、今回の指定範囲を考えますと、置換基の位置や種類が限定されていますので、□□□□□□□□□□□などの質量分析のイオン化において、基本的には、ある特定の部位で□□□□□□□□□□を起こすことが予想されます。もちろん同定ではありませんが、その□□□□□□□□□□のパターンから、包括範囲内の化合物に相当する可能性があるか否か、ある程度の推測は可能かとは考えています。位置異性体などもありますので、最終的には□□□で構造を決める必要がありますが、最初のスクリーニングで、ある程度の予測を立てることは可能かとは考えています。
○望月部会長 ありがとうございます。ほかには、どなたか御意見はありますか。
○□□委員 今回の包括指定に関しては、根拠もしっかりしていますし、賛成です。ただ、一つ心配なのは、包括指定からはずれる化合物が体内に入るとどうなるかが予測できていないところです。この化合物そのものは代謝されていなくてバインディングだけで見ていますので、今後はそこをきちんと何か検討することを考えていった方がいいかもしれないと思います。
○望月部会長 □□参考人、ただ今の点について何かコメントはありますか。
○□□参考人 物質によって、どのように生体内で代謝されるかに関しては、例えば実際に今、□□□などは代謝されて別のものになり、更に活性代謝産物があることが分かっています。次は、そういったことも踏まえて検討していく必要があると考えています。
○望月部会長 ほかには、どなたか御意見はありますか。今、□□参考人がおっしゃった「次は」なのですが、この次の方向としては要するに置換基を変える、場所を変える、あるいは基本骨格も変えるということについては、どのような方向性をもってお考えでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 政策面から申し上げますと、一つは先ほど言いましたように、別の置換場所の可能性なども含めて、今回基本骨格について行政サイドと規制サイドとしては、これは要するに要注意骨格であるということを対外的に広く言っています。引き続き、別の置換場所も含めて厳重に干渉するのだというようなスタンスで望みたいと考えています。そのような観点からも、引き続き検討を進めてまいります。
 それから、別の基本骨格については、正直申し上げて現段階ではどれにするかというところまでの選定は全然されていない状況です。今後の方向性は、基本的には当然次の基本骨格についても同じような包括指定をしていくスタンスで望んでまいりたいと思っています。
○□□委員 質問なのですが、例えばこの物質が含まれていることを明らかに化合物から同定するのではなく、中枢神経作用を示す活性測定値に基づく規制の仕方は可能なのでしょうか。
○監視指導室長 今御指摘の部分ですが、実際市場で売られているものはハーブの中に化合物が混ぜられた状態で、かなりマトリックスが汚い形で売られているものです。実際に、そういった試買品を取って、そこからバインディング活性を直接見れるようにいけるかどうかというのは、まだ技術的に、もうワンステップあるのではないかとは考えています。
○望月部会長 ほかには御意見はありますか。
本日の皆さんの御意見ですと、この包括指定の範囲は適切であろうということが伺えます。資料1に含まれるような条文を出して、約760物質を新たに指定物質として指定することになると思います。特段の反対はないということでよろしいでしょうか。 
それでは、発言が出尽くしたと考えますので、審議をまとめたいと思います。ただ今御審議いただきました物質群は、薬事法第2条第14項に規定する指定物質として、包括的に指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局より本件に関わる今後の手続、スケジュール等について説明をお願いします。
○事務局 今後のスケジュールについて御説明いたします。本件の結果については、12月19日(水)に開催予定の薬事分科会で報告させていただく予定です。また、本日の結果を受けまして、パブリックコメント、WTO通報等の必要な手続を行い、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、参考資料2に記載していますが、化学合成用途、医療用途として使用されているという実態は、今までのところ聞いておりません。いずれにしても、パブリックコメントの結果を受けまして、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存です。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。今後、厚労科研による研究は、引き続き何年かは続けられるのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 その辺はまだ議論はしていませんが、原則的にはそのような方向で検討してまいりたいと思っています。
○望月部会長 厚労省の予算が、厚労科研に関連して全部止まっていますよね。この間、科学技術部会で質問しましたが、大体3、4月にならないと決まらないというのが解散の前でしたので、今度の解散の結果でまた何か変わると、年度を明けてしまう恐れはないのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 執行面については、多分切れ目がないように対応するべきだと考えますし、そうなるのではないかと見通しております。
○監視指導室長 御要望については、厚生科学課の方にも伝えさせていただきたいと思います。
○望月部会長 ということで、厚生科学研究も引き続き、先ほど先生方から出された問題点についても更に検討していただくという方向で進めたいと思います。事務局から、その他連絡事項がありましたらお願いします。
○事務局 本日の部会の資料は、回収いたしますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。
○望月部会長 それでは、委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、「平成24年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会」を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(内線2779)

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