ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 「統合医療」のあり方に関する検討会> 第5回「統合医療」のあり方に関する検討会議事録




2013年2月8日 第5回「統合医療」のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成25年2月8日(金) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室


○議題

1.意見整理
2.その他

○議事

○佐々木調整官 おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまから第5回「『統合医療』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ本検討会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 本日は、金澤構成員、羽生田構成員より御欠席との御連絡をいただいております。
 また、羽生田構成員の代理で三上参考人が来られるということでありますけれども、ちょっとおくれて見えられる予定でございます。
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 いつものとおり、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、これまでの議論の整理(案)をおつけしてございます。
 以上でございますが、資料の欠落等ございましたら事務局にお申しつけいただけたらと思います。
 よろしかったでしょうか。
 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○大島座長 おはようございます。
 それでは、議題に入りたいと思いますが、その前に、「委員欠席の際には、かわりに出席される方の扱いについて事前に事務局を通じて座長の了解を得ること」、となっていますが、これについて私は了解をさせていただきました。「及び当日の会議において承認を得ることによって参考人として参加し、発言をいただくことを認める」というふうになっておりますので、今、事務局のほうから御紹介がありましたように、羽生田構成員のかわりとして三上参考人が出席されることになっていますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大島座長
 ありがとうございます。お認めいただいたということで、議事を進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 きょうの議題は「これまでの議論の整理」で、できれば今回でこの検討会をまとめたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 これから事務局のほうからこれまでの議論の整理の説明を受けるわけですが、その前に簡単に私なりの整理についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、健康に関する関心が最近、非常に高まっているという社会環境の変化あるいは状況の変化、これは高齢化等の大きな影響があるかと思いますが、その中で統合医療についての関心も非常に高まっている。これは世界的な傾向であって、日本も例外ではない。この分野が大きな産業になっているという事実もありますし、国によってはこれを看過することができないということで、多額の国家予算を投入して研究が進められているという事実もあります。
 検討会の発足については、政府の政策の中に位置づけられたということがきっかけになっておりますが、議論をしていく過程の中で、委員の間でも統合医療については重要で、見過ごすことのできない社会状況になっているという共通認識が得られたというように理解をしています。
 そして、こういった状況にどのように対応するのが国としての責任を果たすことになるのかという方向に議論が向かいました。最初はそもそも統合医療とは何かから始まったのですが、最終的な論点としては、統合医療の中身そのものの整理と、それぞれの医療内容についての安全性・有効性の評価をどう担保できるかというところに集約されてきたのではないかと思います。
 結論としましては、現在認知されている科学的な方法論による評価の仕方では統合医療とされているもののそれぞれをきちんと評価していくには限界があるという、共通の理解が得られたのではないかと思います。
 では、どうするかということですが、一つの選択肢としては、現在広く社会に認知されている科学的な評価に値しないものはむしろ切り捨てたほうがいいのではないか、ここまでの明快な選択肢が示されたわけではありませんが、そういった考え方が一つあるということ。
 一方で、科学的な評価の限界を認めつつ、これだけ広く使われているという状況を考えると、世界あるいは日本でどんなことが起こっているかという正しい事実をきちんと、情報として提供していくことのほうが重要ではないかというような御意見と2つの方向に分かれてきたのではないかと思います。
 結論といたしましては、今後こういった統合医療に対する評価については新しい方法論が開発されて、きちんと確立されるということを一方で期待しつつ、現実は現実であるわけですから、それをきちんと見詰めて、そこから得られる可能な限りの情報を国民にきちんと提供していく。こういった仕組みをつくっていくことが現時点、国の責任として果たすべき方向ではないかという方向でまとまりつつある、そんな理解をしているところです。
 今回のまとめは、今、私が述べましたように、科学的な判断ということに必ずしもこだわらず、事実をどうやって国民にきちんと提供していくのかというあり方を構築してゆくという方向でまとめをしたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、これまで統合医療の概念、あるいは現時点における科学的知見、安全性・有効性等の評価、今後の取り組みといった点について4回の会議が行われてきたわけですけれども、事務局のほうからそれぞれについて説明をお願いしたいと思います。
○坂上補佐 事務局でございます。
 資料の御説明をさせていただきます。「これまでの議論の整理(案)」という資料をごらんいただければと思います。この資料は、今、座長からお話しいただきましたように、今まで御議論いただいた論点を事務局のほうで「これまでの議論の整理(案)」としてまとめさせていただいたものでございます。
 それでは、1ページをおめくりいただきます。
 まず、この資料の構成です。目次を見ていただきますと、「1.はじめに」「2.『統合医療』について」ということで、背景、定義を記載させていただいております。「3.『統合医療』の現状」「4.諸外国における取組」「5.今後の取組」「6.おわりに」という構成でまとめさせていただいております。
 それでは、本文の御説明をさせていただきます。
 2ページ目をごらんください。この検討会が開催された経緯等をまとめさせていただいております。
 1.はじめに
  「統合医療」については、患者・国民や医療界において未だ共通認識が確立していない状況にあること、「統合医療」の療法は多種多様であるが故に安全性・有効性に関する科学的根拠が求められることから、その推進に当たっては、これらの課題に適確に対処していく必要がある。
 このため、これまで得られている知見や、「統合医療」を取り巻く状況を踏まえ、今般、専門的見地から検討を行い、今後の「統合医療」のあり方について現時点における整理を行った。
 2.「統合医療」について
 (1)統合医療をとりまく背景
  近代西洋医学は、感染症をはじめ様々な疾患について、治療方法の開発や病因の分析に多大な貢献をもたらした。
 一方で、がん、アレルギー疾患、精神疾患のように、食生活やストレス等様々な複合要因によって起こりうる疾患については、必ずしも容易に克服できない状況が生じており、近代西洋医学だけでなく、漢方、健康食品、各種の民間療法が広く患者・国民に利用されているという実態がある。
 1ページおめくりいただきます。
 このような中、咋今、近代西洋医学の手法では説明しきれない各種の療法を、近代西洋医学と対立的に捉えるのではなく、むしろ、両者を組み合わせることによって、より大きな効果をもたらし得る新しい医療の概念として、「統合医療」の考え方が注目されてきた。
ということでまとめさせていただいております。
(2)本検討会における「統合医療」の定義
 定義につきましては詳細を割愛させていただきますが、社団法人日本統合医療学会とか、米国衛生研究所、WHOなどの「統合医療」「伝統医療」などの定義を参考にこの検討会でさまざまな御議論をいただきました。
 それを踏まえまして4ページをごらんいただければと思います。本検討会における統合医療の定義を記載させていただいております。
 本検討会においては、以上の現状を踏まえつつ、「統合医療」を、「近代西洋医学を前提として、これに相補・代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療であり、医師主導で行うもの」と位置付けることとした。
という記載にさせていただいております。
 「図1 近代西洋医学と組み合わせる療法の分類について」という図をごらんいただければと思います。これについては前回の検討会でも御議論いただきましたが、統合医療の概念整理の図を記載させていただいております。
 以下の表につきましては、平成22年度厚生労働科学研究において取り上げられた療法について、効果の有無を問わず整理したものという前提で記載させていただいております。
 統合医療につきましては、近代西洋医学を前提として各種の療法を組み合わせたものとするということで、概念図にさせていただいておりますが、療法の分類につきましては、「食や経口摂取に関するもの」「身体への物理的刺激を伴うもの」「手技的行為を伴うもの」「感覚を通じて行うもの」「環境を利用するもの」「身体の動作を伴うもの」「動物や植物との関わりを利用するもの」「伝統医学、民族療法」ということで分類させていただいておりまして、前回も「国家資格等、国の制度に組み込まれているもの」「その他」ということで分類させていただいております。
 詳細はごらんいただければと思います。
 続きまして、1ページおめくりいただきます。
 3.「統合医療」の現状
 (1)「統合医療」に関する科学的知見
  平成22年度厚生労働科学研究において、2008年から2011年の4年問、コクランライブラリーに報告された相補・代替療法に関するシステマティックレビューについて、主な療法の数と有効性についての分析が行われている。
 その中では、大多数について「未確定」とされております。
 詳細は下の図2をごらんいただければと思いますが、割愛させていただきます。
 続いて6ページをごらんください。
 「統合医療」については、現時点では、科学的知見が十分なものから全く得られていないものまで様々なものが存在する状況にある。
  このようにばらつきが見られる理由として、「統合医療」は個人の反応が異なることからランダム化比較試験(RCT)が実施できない分野が多くあるとされており、評価が非常に困難であるためとされている。
 しかしながら、相補・代替療法に関するランダム化比較試験の論文数は増加傾向にある。また、漢方薬のように国において大規模臨床試験が進められ、作用機序が明らかになりつつあるなど一定の成果を挙げているケースもある。
  また、新しい技術開発により、これまで不明であった療法の作用機序が客観的に解明される可能性がある。
 以上のことから、現時点では「統合医療」に関する科学的知見は必ずしも十分でないものの、これからの様々な取組によって明らかにされていくことが期待される。
というふうに記載させていただいております。
 (2)国内の状況
 (ア)「統合医療」の利用状況
 これも先ほどと同様に平成22年度厚生労働科学研究のデータを用いております。これによりますと、一般人を対象とした、医療機関以外で提供されている相補・代替療法等の利用状況に関する調査(回答数3,178人)では、いずれの療法においても、「利用したことがない」という回答が最も多かったという結果が出ております。
 続きまして、7ページをごらんください。
 各種療法について記載させていただいております。「(表1)各種療法の利用経験」に各療法についての利用経験のアンケート結果をまとめさせていただいております。
 続きまして、8ページをごらんください。
 8ページの下段「(イ)『統合医療』に対するイメージ」ということでまとめさせていただいております。
 これも先ほどの厚生労働科学研究の調査研究において、一般の方を対象に相補・代替療法等に対して持っているイメージについて調査を行った結果でございます。
 「(療法について)わかっている」と回答したものも療法によってさまざまでございまして、逆に「(療法について)わかっていない」というものもさまざまな結果が得られたということです。
 1枚おめくりいただきまして、「(表2)各種療法に対する認識」ということで、療法の内容について「わかっている」「わかっていない」「どちらでもない」ということでまとめさせていただいております。
 続きまして、9ページの下段「(ウ)『統合医療』を利用する際の参考とする情報等」ということでまとめさせていただいております。これも先ほどの厚生労働科学研究の調査研究において、一般を対象に、医療機関以外で提供されている相補・代替療法等を利用する際の参考とする情報内容について調査を行っていただいております。
 これについて、「価格」を参考にするということが最も多いというデータがありまして、この結果からは、必ずしもエビデンスに関する情報が最優先されているわけではなく、むしろ価格が低いことに関心が高いという可能性が示唆されているということでございます。
 詳細については、10ページ目の「(表3)利用に際して参考にする情報」ということで、参考にする情報についてまとめさせていただいております。
 続きまして、10ページの下段です。
 「4.諸外国における取組」ということでまとめさせていただいております。これも平成22年度厚生労働科学研究事業でまとめていただいたものでございます。
 これも詳細は割愛させていただきますが、米国衛生研究所とかハーバード大学代替医学研究センターにおける取り組みをまとめさせていただいております。
 また、中国での取り組みとか、インド、韓国における伝統医学に対する取り組みをまとめさせていただいております。
 続きまして、12ページの下段「5.今後の取組」ということで、今後の取り組みの内容について、まとめさせていただいております。
 (1)基本方針
 「統合医療」は多種多様であり、かつ玉石混淆とされている。また、現時点では、全体として科学的知見が十分に得られているとは言えず、患者・国民に十分浸透しているとは言い難い。
  このような状況下で「統合医療」を推進していくためには、患者・国民の信頼を得ることが重要であり、まずは、安全性・有効性等が適切な形で確立されなければならない。特に安全性の確保ができない「統合医療」を患者・国民に提供することは適当でない。
という御意見がありましたので、まとめさせていただいております。
 1枚おめくりいただきまして、13ページになります。
 また、患者にとっては、現在行われている治療法に限界を感じた際、他の療法に活路を見出そうとする可能性がある。しかしながら、この場合、療法に関する情報を求めるものの、情報が氾濫している中で、より確実な内容の情報を必要としていると考えられる。
  以上のことから、今後の取組としては、「統合医療」の各療法について、安全性・有効性等に関する科学的知見を収集するとともに、これらを基にして必要な情報を広く発信していくことによって、患者・国民及び医師が療法を適切に選択できるようにすることが重要である。
というふうにまとめさせていただいております。
 続きまして、今後の具体的な取り組み内容についてです。
 (2)具体的取組
 具体的には、国においては、国内外の「統合医療」及び近代西洋医学と組み合わせる各種の療法に関する学術論文を収集する体制を整備するとともに、国内の代表的な拠点において、医師をはじめとする多職種が関わることによって行われる臨床研究を支援し、その結果を還元するといった実践面のアプローチを併せて進めることによって、「統合医療」に関する科学的知見の集積を図ることが求められる。
 また、このような情報収集を行った上で、集積した科学的知見を基に、各種の公的機関と連携して、こうした情報をインターネット等を介して提供する仕組みづくりにも取り組むことが重要である。
というふうにさせていただいております。
 具体的な内容につきましては、1枚おめくりいただきまして、14ページの上「図2 『統合医療』の情報発信の進め方について」という概念図にまとめさせていただいております。
 まずは科学的知見の収集ということで、「専門家からなる文献調査委員会(仮称)を設置し、科学的見地から、以下の?から?について取り組む」ということで、情報のソースとして、コクランライブラリー、米国衛生研究所、国内の代表的な拠点による知見、国内外の学術論文などから情報を収集しまして、この委員会において?文献検索、?文献要旨の翻訳、?エビデンスレベルの付与などを行いまして、その情報を取りまとめる。
 続きまして、その情報をもとに情報の発信を行っていくということでございます。
 文献調査委員会が整理・加工した情報を公的な機関のホームページに掲載する。
 掲載情報は、適宜追加・更新する。
 他の公的な関連情報データベースとのリンク化も進める。
ということで、ホームページ等によってその情報を発信していくということを想定しております。
 これにつきましては、医療関係者によるアクセスとともに、国民・患者によるアクセスも想定しておりまして、医師等の専門家と患者・国民の両方に向けて情報発信を行っていくということを想定しております。
 「(3)取組に際しての留意点」ということで、(2)の具体的取組を行うに当たり、留意すべき事項を取りまとめさせていただいております。
 「統合医療」のエビデンスについては、ランダム化比較試験のように、よりレベルの高いエビデンスがより多く集積されることが望ましい。一方で、必ずしも全てがランダム化比較試験による必要はないのではないかという意見もある。考慮できるエビデンスとしていくつかの段階があるとされているところ、収集した科学的知見を情報発信する際には、そのエビデンスレベルを明示する形で行うべきである。
という意見がございましたので、記載させていただいております。
 表4については、一般的なものなのですけれども、「治療のエビデンスレベル(段階)」を明示させていただいております。
 続きまして、15ページです。これも留意点を取りまとめさせていただいております。
 1つ目の・につきましては、評価のあり方として、その傾向や連続性を捉えるという考え方もあるということを踏まえて、科学的知見の収集の上、整理するべきである。
 2つ目の・つきましては、誰が、どのような属性を持った対象者に、どの療法を用いて、その結果どうなったのかといった知見を整理していくことが必要である。
 3つ目の・につきましては、患者・国民や医師等による療法の選択を支援する観点からは、有効性の有無だけでなく、「現時点では有効性が認められていない」といった情報も有用である。
 5つ目の・につきましては、また、各国の政策の状況や、社会経済的側面、国民のニーズの動向など、一般的な科学的な情報に加えて社会科学的な知見の収集も重要であると記載させていただいております。
 最後の・につきましては、情報収集及び発信の対象となる療法の範囲については、本検討会でも相当の議論があったが、現時点で一定の整理を行うことは困難であること、また、適切な医療を行う上で、有効性だけでなく安全性についても必要な情報を提供していくことが重要であることから、国内において現状行われていると考えられる療法を幅広く対象とするべきということで、まとめさせていただいております。
 「(4)その他」につきましては、WHOにおけるICD分類の取り組みの現状をまとめさせていただいております。
 1枚おめくりいただきまして、16ページです。
 「統合医療」には、病気になる以前の状態(「未病」の状態)から兆候を捉え、治療を行っていくという考え方がありますので、予防的な姿勢も重要であるというようなことをまとめさせていただいております。
 最後に「6.おわりに」ということでございます。
本検討会では、今後の統合医療のあり方に関して、様々な議論を交わしていただきました。
 その中で、患者全体を診る全人的医療の重要性が話題に上ったり、チーム医療の重要性も改めて指摘されたところでございます。
 このように、今回の検討におきましては、個別の療法の如何に関わらず、医療とはそもそも誰のためのものであり、今後どうあるべきかといった根本論などについても御議論いただきました。
 これらの議論は極めて本質的なものと言えまして、今後、「統合医療」に関する科学的知見が集積され、その詳細が明らかにされていく中でも、医療に関わる様々な立場の者にとって、引き続き意識されていくべき命題と言える。
ということで終わりを結ばせていただいております。
 17ページは委員の先生方の名簿、18ページは検討会の開催状況についてまとめさせていただいております。
 割愛させていただきましたが、これまでの議論の整理の御説明でございます。
 以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、これから議論に入りたいと思いますが、一括して全部というのはちょっと乱暴な感じがしますので、少しずつ分けながら進めさせていただきたいと思います。
 まず最初に、2ページから4ページにかけての「はじめに」と「『統合医療』について」の文脈について、いかがでしょうか。どうぞ。
○渡辺構成員 渡辺でございます。
 今の御説明を聞いていて、根本的に統合医療を推進する目的は何なのだろうということがわからなくなってしまった。要するに、アメリカなどは医療費の破綻を防ぐための医療費の削減というアメリカらしい目的があるわけです。
 ここに鳩山総理が言ったからとか海外でそういうことが行われているからということが書いてあるのですが、本当はそういうことではないのではないか。この検討会の本当の目的は、国民目線に立った場合に、なぜ統合医療というものを考えなければいけないのかということの中身が抜けているように思ったのですけれども、そこはいかがでしょうか。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 事務局からお答えいたします。
 御指摘のとおり、今回の検討会の開催につきましては、これまでの議論の整理の中にございますように、鳩山総理大臣の施政方針演説がきっかけにはなってございますけれども、統合医療につきましては、こうやって振り返ってみると、現状、さまざまなところで広く使われているような実態がある。冒頭座長にもおまとめいただきましたけれども、国がそのような状況を見て、では、何ができるのかということを今回、専門家の先生に集まっていただいて御議論いただいたところでございまして、決して医療費を削減するとか、政治的に言われたからだけではなくて、翻ってその現状を見ながら今、何ができるかということを御議論いただく、そういうところというふうに認識しております。
○大島座長 どうぞ。
○渡辺構成員 何のためにというところがまだわからないのですが、どういうことなのでしょうか。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 統合医療が現状使われている中で、ひょっとしたら有効なものであるかもしれない。一方で、安全でない療法が行われている可能性もあるかもしれない。その中で統合医療をとにかく推進だということが言い切れるかどうか、そのあたりについて見識のある先生方に御意見をいただきながら我々としても取り組みを考えていきたいなと思いましたので、このような検討会を開催させていただいたというところになります。
○大島座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○伊藤構成員 今のところにちょっと補足したいと思います。
 患者サイドから見ますと、日本の医療というものに対して、医療技術的な面についてはすばらしいものがあるのですけれども、実際医療を受けている患者さんの満足度が低いという報告があり、すなわち医療技術のレベルと患者の満足度との乖離があると考えられます。統合医療はそのへだたりを埋める医療として考えられるのではないかと思います。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○門田構成員 私も今、渡辺先生がおっしゃられたところに同じような疑問を実は感じておったのです。
 統合医療の推進よりも本来あるべき医療の推進だと思うのです。医療をどう捉えるかという哲学的な話をする必要があるかもわかりませんけれども、ちょっと置いておいて、本来あるべき医療とは何ぞや、西洋医学ではないものもあるかもしれない。本当の医療を推進していく上でそのほかのものもあるかもしれないという意味で、医療を推進ということだと思うのです。目的というのは、金でもないし、何とかでもない、今の医療が完全かというと、必ずしもそうでない。
 それの一つとして統合医療というのもあるけれども、ここの文章の14行目に「その推進に当たっては」と書いているけれども、統合医療を推進ということが本来の目的というよりも、ここはちゃんとした医療を推進していく意味で、「統合医療について施行する場合」とかなんとかと。鳩山総理が「推進」とおっしゃられたのは構わないと思うのですが、そういうふうに感じております。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○渡辺構成員 まさに門田先生がおっしゃったとおりだと思うのです。本来医療のあるべき姿があって、それが実現できていないから、そのアンチテーゼとして統合医療みたいなものがアメリカで生まれてきた。だけど、いつまでもアンチテーゼのままではいけないと思っていて、私の指摘としては、本来の医療のあるべき姿があって、統合医療の推進というのは目的ではなくて、手法だと個人的には思っています。
 ですから、本来あるべき姿の医療の中で西洋医学がカバーできないところについて統合医療を利用するということはあっても、それを推進する、どうのこうのというのは目的にはならないと私は感じております。
○大島座長 いかがでしょう。
 広井先生、いかがでしょうか。
○広井構成員 今、先生方のほうから出された意見と大きくは同じようなものなのですが、2のところで一定の趣旨のようなものも書かれていますので、「はじめに」というのは、どちらかというと経緯を記したもので、ここで大上段に統合医療とはというのを書き過ぎるのもどうかなと思います。ここはイントロダクションですので、どちらかというと検討の経緯という位置づけではないかと私は思っておりましたので、本文の中でその趣旨のようなものがある程度浮かび上がってきているようにも思っております。
○大島座長 いかがでしょう。
 私の理解では、今、渡辺先生から提示された話というのは、いわゆるそもそも論のところに行く話で、もともとこの検討会が提示された経緯は、いい悪いは別にして、政策課題の中に入っているというところが最初なのです。
 そもそも統合医療とは一体何なのかというところから入っていって、統合医療の具体的な評価の仕組みとか、そういった方向に議論がどうしても行きがちであったということで、医療全体の中における統合医療の位置づけとか、そういった点については、時々そういう議論が出たり入ったりはしたのですが、それをきっちりと位置づけた上でどうしていくのかという方向での議論は充分には行われなかったと言えると思います。
 しかしながら、統合医療の今の実態と社会状況というものを全体的に浮かび上がらせるということではこの検討会は十分に貢献しただろうと思っていまして、それによって今、渡辺先生が指摘されたような問題も改めて我々の問題意識の中に浮かび上がってきたということが言えるのではないか。何か取ってつけたような理屈ですけれども、そう感じています。
 では、そもそも医療というのは一体何なのかということから始めて、今まで我々がやってきたような科学的医療の限界と統合医療ないしはそれに準ずるような医療の役割、意味づけが、総合的に見た場合に一体どうなのかというのは、この検討会でやるべきかどうかというのは別にして、また違った意味合いを持つものかなという感じはします。
 いかがでしょう。今の問題をはっきりと定義づけるというのはちょっと難しいと思うのです。もしやるとすれば、また一定の議論の機会を設けなければいけないということになると思いますが、それがこの検討会の役割かどうかというのはちょっとというように私は思っていますが、いかがでしょう。どうぞ。
○丸井構成員 今、座長のお話にもありましたように、本来、医療はどうあるべきかというのは非常に大事な問題で、今、何人かの委員がお話しされたとおりだと思うのです。そのために統合医療をどう使うかという話であるということは私も賛成です。
 ですけれども、その話は、今の座長のお話にもあったように、入り口でするのではなくて、16ページの「おわりに」で若干触れていますが、むしろこの検討会の出口として話を残すという形のほうがいいのではないかと思います。例えば16ページの「おわりに」のところに既に医療とは何かということも考えたというのがありますが、いわばまとめの出口のところでもう少し強調するという形で残したほうが今後のためにもいいのではないかと考えます。入り口で議論するよりは、出口のところで残すというふうにしたらいかがかと思います。
○大島座長 いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 「おわりに」のところまで見ていただくことになりますが、そこを見てからもう一回この議論のところに戻っても構わないと思います。
 ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。どうぞ。
○門田構成員 4ページの表に「温熱療法」という単語があるのですが、がんの温熱療法のような形で西洋医療の中に入っていっている「温熱療法」という単語があるので、ここでひとくくりに「温熱療法」と入れていていいのかどうなのかと思いました。意見、コメントです。
○大島座長 いかがでしょう。どなたか説明していただけますか。事務局で説明できますか。
○佐々木調整官 確かに御指摘のとおり、がんは熱に弱いというところから、増殖を抑えるという意味で温泉治療というのがあるのは存じ上げています。
 ここではわかりやすく書かせていただきまして、「その他」の「温熱療法」というのは患部を温めて、それによって痛みが和らいだ、そういう治癒効果をもたらせるものを念頭に置いておりますので、ちょっと一線を画すものかなと思っております。
 そういうフレーズを記載すべきだということであれば、左側に例えば「温熱療法の一部」と書くのはやぶさかではないですが、ちょっと表がにぎやかになってしまうかなというところは懸念されます。
 以上です。
○大島座長 納得できるような、できないような説明ですけれども、よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょう。どうぞ。
○伊藤構成員 4ページの前半に統合医療の位置づけというところがございますが、「医師主導で行う」というところは誤解を招くことがあるかと思うのです。最後のところには「チーム医療」あるいは「全人的医療」というのがございますけれども、医師主導で多くの領域の医療従事者と連携して行うチーム医療だという言葉をそこに補足していただければというふうに考えます。
○大島座長 いかがでしょうか。
 細かい文言に至るまで、議論の過程の中で定義はこうするというコンセンサスを得たという話ではないですね。このニュアンスだということですね。
○佐々木調整官 おっしゃるとおりです。
○大島座長 いかがでしょうか。
 伊藤先生の今の提案について中に入れるということは十分可能なわけですね。
○佐々木調整官 可能でございます。
○大島座長 ほかの先生方はいかがでしょう。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○佐々木調整官 場合によっては医師単独で行われる療法もあるかと思いますので、その両方が読めるような書き方を工夫させていただきたいと考えております。
○大島座長 最初の議論の中で、結局、誰がということが非常に重要であるという議論がありました。それを医師だけに限定するかどうかというのはちょっと別にして、そこを曖昧にすると逆にわけのわからないものになりかねない。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○丸井構成員 「誰が」というのが非常に重要ですし、もう一つは「どこで」というのも大事なところではないかと思います。
 いわゆる診療所・病院で行われる医療なのか、それ以外の場所で行われるのかということで、ある程度従来の医療にそれ以外の療法を取り込んでいくというような大枠を考えるとすると、一体どこでというのもある程度頭に置いておく必要があると思います。
 そういうわけで、「誰が」だけでなく、「どこで」というのを少し意識できるといいなと思います。
○大島座長 いかがでしょうか。
 どこでというニュアンスは、「医師」という言葉が出てくると場所が限定されてくるだろうとは思います。
 どうぞ。
○佐々木調整官 場所の話は、これだけ多様な療法が多様な形で行えるということを考えますと、医療機関で行われる可能性は十分想定されるのですけれども、それによらない場面も想定されるので、意識は持ちつつも、限定的に書くのは正直なかなか難しいと事務局として感じるところであります。
○大島座長 いかがでしょうか。
 実はここの問題に少し厳密に踏み込むと相当ややこしい問題が出てくる感じがするのです。「医師が」という話になると、医師主導で、しかし、その費用とかそういったものをどう考えていくのか、あるいは法律の解釈の問題を一体どういうふうにするかという話になってくると、これは相当ややこしくなってくるのかなという感じがしないでもないのです。今の時点で厳密にそういったものを規定していくと相当に難しい話になりそうな感じがしますから、ちょっとぼやかしておいたほうがよいとも言えます。
 では、行われた医療についての責任は一体誰がとるのだという話になると、国としては可能な限りの情報を提供しますが、その情報をどう受け止めて判断するかということでは、医師の考え方あるいは価値観と患者さんの考え方、価値観とで決定されることであるというようにしか多分言いようがないだろうと思うのです。
 その結果、とんでもない結果が起こった場合、国は知らんと言うのか、その辺の責任問題は一体どこへ行くのかということを言い出すと、ちょっとややこしい話になりかねないという感じがしないでもないのです。
 少なくともそういった枠組みについて明快にこうだと言い切れるようなものは、見当たらないと思いますが、いかがでしょう。どうぞ。
○丸井構成員 私は別にこだわりません。
 ただ、どういう場面で行われるかというような、疑問とか具体的な質問の形で何かが提示されることもあります。そういうときに、どのように対応できるかということを考えておく必要がある。そういう意味で発言させていただきました。
○大島座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうぞ。
○伊藤構成員 国民がこれを見て統合医療というのをイメージする際に、どういう疾病や病態を対象にしているかということをある程度、具体的に言ったほうがいいのではないかなと思います。急性疾患で原因が単一のものは、それを取り除けば治療は完了しますが、多くは慢性疾患であり、非常に複雑な要因が絡み合っており、単一の治療だけでは対処できない。それは後のほうで書いているのですが、そういった慢性の疾患で西洋医学だけでは十分機能しないようなものということをある程度イメージするような文章を入れていただいたら、国民は統合医療がどういうものを対象としているのかということがわかるのではないかなと思うのです。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 御指摘の点につきましては、議論の整理の2ページの25行目から29行目に今回、統合医療といった話が出てきた背景を書かせていただいておりまして、一応ここで記載しているつもりでございます。
○大島座長 いかがでしょうか。
○伊藤構成員 ここに「精神疾患」と書いていますけれども、非常に広いので、例えば今後問題となる認知症などが恐らく対象になりますし、がんでも非常に早期のものはこの部類に入らなくて、いわゆる難治がんとか、あるいはがんの再発のもの、そういったことをある程度書いたほうがいいのかなというふうに感じました。
○門田構成員 反対です。それは誤解のもとだと思う。今の段階でそれは書けないと思います。特にみんなががんとか認知症ということを非常に認識しているときに、エビデンスとして我々は認めていないということを言いつつ、ここの文章に一気にそこまで書くことには反対です。
○大島座長 ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。どうぞ。
○梅垣構成員 私も細かくは書かないほうがいいと思います。そもそも統合医療とはどういうものかという議論をしているときに、細部まで書いてしまうと先ほどのどこで何をやっているかというところまで踏み込んだ中身になってきますから、余り細かく書かないほうがいいと思います。
○大島座長 ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に移らせていただきたいと思います。
 5ページから12ページにかけての「3.『統合医療』の現状」「4.諸外国における取組」の部分について、いかがでしょう。どうぞ。
○丸井構成員 国内の調査で6ページから9ページあたりのところを担当した者として、先ほどの定義、位置づけのところで「医師主導で」ということで、いわゆる医療場面というのを想定しているわけですが、この調査では医療場面の調査というのは全くできていないし、していないのです。それをむしろ避けたということです。
 医療場面以外のところでどんなことが行われているかという調査を行ったものなので、そのあたりをどこまで明示する必要があるかということです。今回の検討会の報告で先ほどのような位置づけをしたにもかかわらず、ここで使われているものはそれ以外の場所の調査結果だということです。その辺を何か書いておかないと、医療機関も含めてこういう実態であるというふうに誤解を招いてはいけないかなと思います。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○佐々木調整官 今、丸井先生からいただいた御指摘も実は記載させていただいておりまして、資料の6ページの27行目に「一般人を対象とした、医療機関以外で提供されている相補・代替療法等の利用状況」という形で断りをさせていただいております。
○大島座長 いかがでしょう。これでは足らないですか。よろしいでしょうか。
○丸井構成員 書いてあるという意味ではそれでいいのですけれども、一々ここにありますと言わなければならなくなるかなという懸念がありましたので、そういう意味で誤解のないようにしたいとは思います。
 このときにはあえて医療機関への調査は行わなかったので、そういう意味で意図的に医療機関以外のところということにしてあります。確かにこのように書いてあるので、それでいいと言えばいいと思います。
○大島座長 ほかにいかがでしょう。
 ちなみに、丸井先生、このときの背景として、医療機関で自主診療として行われているような統合医療というのはどれほどあるのか、ほとんどないというふうに考えてよかったのか。
○丸井構成員 かなり行われています。先ほどの温熱療法のようなものも、例えば整形外科などでは実際に保険の点数にもなるような形で、同じことを別の場所でやると全く医療として認められないけれども、ある一定の場所、整形外科で行えば、それは医療の中であり、点数になるということがあります。医療機関に対して調査をするということは、統合医療を今回の検討会などを経ないで推進するかのような予断を与えるということもあって行いませんでした。これについては全く状況がわからないということです。
 先ほどの6ページの(ア)のところも「統合医療」、先ほどちょっと議論になりました4ページの上の大まかな位置づけのところでも「統合医療」、今回考えている統合医療という使い方をしているということになると、いわゆる世に言う統合医療、一般の方が考えているような統合医療と、今回、先ほどのような位置づけをした統合医療とは少し違うということであるということになります。その辺のところを何かの形で使い分けて、「一般に言われる統合医療」というような言葉をどこかで入れて、今回、我々が考える統合医療というのはこういうものだという区別が必要かもしれないと思います。
○大島座長 いかがでしょう。
 私は、国として今まで触れなかった部分について、現時点で考えられる状態というのはこうだということをまとめるという、そこがこの問題のスタートかなという感じで見ているのです。
 この後、考えられる問題を上げろといえば、多分いっぱい問題が出てくると思います。問題をあげつらってどうなのかということを今の時点でやるよりは、とにかく正しい情報提供ということからスタートして、何年か後でもう一度整理をし直していくとか、あるいは問題がさらに明快になってきたというところで整理をし直していくというようなプロセスを経ていくのかなというように思っていたのですが、いかがでしょう。
 三上委員、何かございますか。
○三上参考人 日本医師会から羽生田先生のかわりに参考人として出させていただきます三上でございます。
 5ページのコクランライブラリーの報告の件が書かれているのですが、ここの記載のところには「鍼(はり)療法等の6件について『効果あり』とされているものの、大多数については、『未確定』とされている」。それを受けて、6ページに「『統合医療』については、現時点では、科学的知見が十分なものから全く得られていないものまで様々なものが存在する状況にある」ということで、原因が書かれています。
 「効果あり」というのが6件で、「効果なし」か「未確定」というものが82件ということから考えますと、「効果あり」というのも科学的知見が十分かどうかということについてもよくわからない上で、大半はそういうエビデンスを見つけるものがないという理由については実証が難しいのだという書き方にしておかないといけない。エビデンスはないけれども効果のあるものが半分ぐらいあるようなイメージの書きぶりになっているのではないかと思いますので、その辺はどういう立場で書くかということですけれども、事実をちゃんと書いておかないといけないのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○大島座長 いかがでしょう。事務局のほうから何かございますか。どうぞ。
○佐々木調整官 そういう意味では、書き方だと思うのですけれども、5ページでは「鍼(はり)療法等の6件については『効果あり』とされているものの、大多数については、『未確定』とされている」という記載をさせていただいて、まさにファクトそのものを書かせていただいています。さらに6ページの1行目から3行目には本当にさまざまなものがありますよということをさらっと書いたにすぎませんので、大きく誤解を招くようなものではないというふうに事務局としては考えております。
○三上参考人 「様々」という言い方だとバランスよく散らばっているという感じなのですけれども、大半はエビデンスがないという原因については、ランダム化比較試験が実施できないからというふうなことで書いていただくほうが正確ではないか。9割は効果がはっきりしないということなので、「様々」と言いますと半々かなというふうなイメージも受けますので、その辺は誤解のないような書き方のほうがいいかなと思っています。
○大島座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○佐々木調整官 先ほどの三上先生の御指摘を踏まえまして事務局としても書き方を少し工夫させていただきたいと考えております。
○大島座長 そもそもRCTになじまないと。
○佐々木調整官 そこまでの言い方でなくて、現状、大半はまだエビデンスがはっきりしないというところをもう少し明確になるように書かせていただきたいと思っております。
○大島座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に12ページから16ページにかけての「今後の取組」「おわりに」のところについて御議論をいただきたいと思います。
 いかがでしょう。最初のところでも少し触れたことに関連してくる部分かと思います。どうぞ。
○渡辺構成員 13ページの「(2)具体的取組」です。非常によくまとめていただいていて、情報発信、情報の整理がすごく大事かなと思います。梅垣先生がプレゼンをされたときも、サプリメントとか健康食品の情報というのは医者が知らなかったりするということでした。医者が全部知らなくても、少なくとも病院の中の栄養士さんとか誰かが知っているということが大事だと思うのですけれども、それについて非常によくまとめていただいたかなと思います。
 ワーディングだけですけれども、13ページの31行目の「医療従事者や研究者も対象として念頭に置いた」というまどろっこしい表現を「医療従事者や研究者も利活用しやすい情報発信の仕組みを検討すべきだろう」というふうにしていただければ、すっきりするかなと思います。
○大島座長 いかがですか。どうぞ。
○佐々木調整官 御指摘を踏まえて修正させていただきたいと思います。
○大島座長 ほかにいかがでしょう。
 「おわりに」の文章は相当に格調が高いなと感心して見たのですが、事務局のほうで全文を読んでもらえますか。
○坂上補佐 事務局でございます。
 それでは、改めて全文を読ませていただきます。16ページをごらんください。
 6.おわりに
  本検討会では、今後の「統合医療」のあり方に関し、様々な議論が交わされた。
 一例としては、これまで近代西洋医学が、国民の健康の向上に大きな成果を上げてきた一方で、様々な病態が解明されていくに従い、医師等の専門性が臓器別等に細分化されていく中で、患者全体を診る全人的医療の重要性が話題に上った。また、医師をはじめとして各種の医療従事者等が連携して関わっていくチーム医療の重要性も改めて指摘された。
 このように、今回の検討においては、個別の療法の如何に関わらず、医療とはそもそも誰のためのものであり、今後どうあるべきかといった根本論について思いを致す場面があった。
 これらの議論は極めて本質的なものと言え、今後、「統合医療」に関する科学的知見が集積され、その詳細が明らかにされていく中でも、医療に関わる様々な立場の者にとって、引き続き意識されるべき命題と言える。
 以上です。
○大島座長 相当に格調の高い文章を事務局のほうで用意されたので、私も感心しているのですが、いかがでしょうか。
○門田構成員 確認ですけれども、先ほどの丸井先生の出口論のあの話はどうなるのですか。
○大島座長 場所の話ですか。
 どうぞ。
○佐々木調整官 門田先生の御指摘は、本来の医療という定義は非常に難しいと思うのですが、本来の医療を大切にしながら統合医療をどのように位置づけるかという御指摘が冒頭あったと思うのですけれども、医療のあり方そのものについては、まさに今回の先生方の御議論の中でいただいたコメントをここでまとめさせていただいたということでございまして、事務局としては、短いフレーズかもしれませんが、このような形で出口ということで、今後、いろんな場面で考えていくべき命題ということで結ばせていただいているところであります。
 もしこれで十分でない、こういう記載をすべきだということがあれば御意見をいただけたらと思うのですが、ただ、かなり価値観が入るような議論だと非常に書きづらいだろうなというふうに思っておりまして、本来の医療とは何かとか、制度に裏打ちされた近代西洋医学をベースにして構築されているところもある中で、これが絶対だというような記載というのはなかなか難しいということで、正直悩みながらまとめたところでありまして、御理解いただきたいと思います。
○大島座長 いかがでしょう。
 丸井先生、いかがですか。
○丸井構成員 渡辺先生、門田先生の提起は非常に重要だと思いました。
 「おわりに」のところで先生方の初めの御意見が表現されていないということであれば、むしろ積極的にコメントいただいたほうがいいのではないかなと思っています。
○大島座長 渡辺先生はいかがですか。
○渡辺構成員 一番最初に私が言わせていただいた指摘はここに入っているかなと思っておりますので、この文章でいいのかなと思っております。
○大島座長 ほかにいかがでしょう。門田先生はどうですか。
○門田構成員 皆さんがそう認識されておるのであれば、私も全然構わない。最初これを読ませていただいたときに、最後の「おわりに」というのは、座長が言われたとおり非常に高尚な文章を書いておられるし、ここに入れてくださいと言うと、また悩まれるのではないかという気もする。ここはこれでおさまっているという気もいたします。
○大島座長 いかがでしょうか。全体を通して御意見をいただければと思います。どうぞ。
○渡辺構成員 先ほど申し上げましたように、日本の漢方もそうなのですけれども、1970年代に漢方がブームになったときというのは、西洋医学に対するアンチテーゼなのです。漢方がいいというよりは、本来の医療の姿を西洋医学が失い始めかけたころ、梅ちゃん先生のような体全体を診る医者から臓器別に診るような医者にだんだんなっていって、ビル診がふえて、自分の専門領域は診るけれども、それ以外は一切診ないというような医療になってしまったところに対するアンチテーゼとして漢方がブームになっていった。アメリカにおいても統合医療がブームになった背景というのはそれによく似ています。
 アンチテーゼのままではいけないわけで、漢方も医療用として三十数年たってエビデンスを積み上げてきた。ですから、統合医療というものも、いつまでも西洋医学がだめだからというアンチテーゼでなくて、そこから脱却する必要があると思います。
 先ほど私が一番最初に申し上げたのは、統合医療は目的ではなくて、手法だと思っております。ですから、統合医療というツールを生かしてどうやって本来の医療の姿に戻していくのかということが本当のミッションなのかなと考えて、一番最初の発言をさせていただいた次第です。 以上です。
○大島座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○南構成員 最初の御指摘は非常に重要な点で、できれば最後にこの思いを書いていただけるといいのかなと私も思います。現在でも非常にきれいに書かれてはいますけれども、反対される方がなければ、そういう大きな思いは書き込んだほうがいいのではないかなという気がします。
 そうであればなおのこと、先ほど丸井先生がちょっと指摘された、世の中の人が考える統合医療とこの検討会が扱った統合医療はちょっとずれる部分がある、ということにも注意が必要だと思います。この表の扱いとか、そこが私はちょっと気になるのです。そこはこのままでよろしいのかどうか。これは多くの方が読まれると思いますので、もしそうであるならば、そういうことに少し言及しておく必要もあるのではないか。統合医療というもの自体がまだまだ同床異夢、考える人によって描くものが違うという現状がこの検討会でも明らかになったわけですから、そこのところは誤解のないように書いておいたほうがいいのではないかと思います。
 また、国民的な視点から言うと、エビデンスとか有効性・安全性について、「効果があるというエビデンスがない」ということが強調されていますが、でも、効果がないというエビデンスもないだろう、そういう思いを持つ方が多いのだと思うのです。統合医療の効果とか安全性の評価の仕方自体が従来のやり方では難しいということが書かれていますけれども、そこを一般の人にわかりやすく説明する必要があると思います。この会議でも言いましたが、なるべく誤解のないように丁寧に説明していただけたらというふうに思いました。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○佐々木調整官 幾つか御指摘いただいたと思うのですけれども、2つ目の定義への言及についてです。この検討会の仕切りとして4ページに定義を書かせていただいて、それ以外の定義が、決まったとして、どのようなものが一般的なのかというのがなかなかわからないところもありまして、とりあえずこの検討会ではという断りをさせていただくことによって、言外にいろんな見方、考え方があるでしょうというようなことで読めないかなというふうには考えております。
 現時点でエビデンスが必ずしも得られていないといったところも重要な情報だと思っております。15ページは、今後の知見を集めていく過程での留意事項として、16行目のくだり「有効性の有無だけでなく、『現時点では有効性が認められていない』といった情報」、いずれにしろはっきりしていないといった情報も一つの有用な情報だろうということで、留意すべき点として書かせていただいているところでございます。
○大島座長 いかがでしょうか。
 一般の方、いわゆる国民が思っている統合医療というものとここで議論されてきたような統合医療とのギャップがあって、資料の扱いとか、あるいは書きっぷりによって、特に「(2)国内の状況」の資料の扱いについてなどでは、どうも誤解されやすいのではないか。これがどういう資料なのかという説明については一定に書かれてはいるけれども誤解されやすいのではないかという指摘が、実際につくられた丸井先生や広い視野で見られる南構成員のような方からあったのですが、これはもう少しわかりやすく注釈を加えるとか何かということを入れたほうがいいのかなという感じがしますが、どうですか。どうぞ。
○佐々木調整官 例えばの提案ですけれども、この資料については割と表のところにぱっと目が行く可能性が高いと思いますので、例えば表のそれぞれのタイトルの全てにおいて、どの場面での療法かということ、最初の断り書きのところを書き加えさせていただいて、見る人がぱっとわかりやすいような形で記載させていただく。そんなことを今、考えておりますが、いかがでしょうか。
○大島座長 ほかにいかがでしょう。どうぞ。
○丸井構成員 今の点に関して私も先ほどから考えているのですが、解決策がないのです。例えばここの検討会で扱う統合医療は鍵括弧をして、一般的に使われているものは鍵括弧を外すというやり方も考えてみたのですが、非常に難しい。
 特に先ほどの現状のところに関して言えば、22年度の厚生科研のタイトルは括弧がないのです。世に言う統合医療というつもりで、括弧なしで使っているのです。
 ですから、例えば5ページの1行目はともかく、2行目の(1)のあたりは、鍵括弧を外すともともとの報告書と同じになりますから難しい。最初お話ししたように、我々が言う統合医療のときは括弧をつけて、そうでない場合には外すというのも、全体を見ていくと難しいので、統一的に修正できないなと今、思っているところです。事務局のほうで、こういうふうにすれば先ほどの2つのニュアンスの違いを出せるというのがもしあればと思いました。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 今、丸井先生の御指摘を踏まえてちょっと考えているのは、検討会でオーソライズした分は「統合医療」という形で、とりあえず検討会の仕切りとして書かせていただいて、それ以外のところについては、「各種の療法」とかそういう言葉で書かせていただいているので、例えば今、先生がおっしゃられた5ページの「統合医療」としているところは「各種療法」に変えさせていただくとか、そういう形で工夫はできるかなと考えています。
○大島座長 いかがでしょう。
 ある程度知識のある我々が最初にこの検討会に入ったときも大分混乱していたから、普通の人のところへ持っていけばさらにということはよくわかります。
 ちょっと乱暴な言い方をすれば、ある部分はやむを得ぬだろうということで前へ進むことによってむしろ深刻な問題が逆に出てくるようであれば、それをいち早くつかまえて対応するというやり方をせざるを得ないこともあるのかなと思ったりもするのです。こんないいかげんな言い方ではいけないでしょうか。
 細かく対応していこうと思うと、これも相当にややこしく、難しい感じがします。
 いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 全体を通してこれからこういう点に留意すべきだということも含めて御意見があればお願いします。どうぞ。
○伊藤構成員 今回、あり方に関する検討会は5回で一応区切りということで、こういうメッセージが出されるのですけれども、次のステップとして情報を整理し、文献調査委員会といったものを立ち上げて、国民に正しい知識を啓発するというお話もございました。そこで、今後は、今度は専門家集団の中でそれぞれ議論していく必要があると思います。班会議という形をとって議論していくのか、その辺はどのようにお考えですか。
○大島座長 どうぞ。
○佐々木調整官 事務局です。まだ具体的な構想は詰めていないところでございますが、情報の科学的知見の収集、発信をしていく。その段において、資料の14ページの上にポンチ絵を掲載させていただいておりますが、科学的知見の収集等に当たりましては、専門家から成る文献調査委員会といったものを開き、アドバイスをいただきながら文献の収集の取り組み、情報の提供ということをやっていきたいというふうに漠然と考えております。
○大島座長 それをどう扱っていくかということについては、多分最後に局長が何かお話をされると思いますけれども、これからこういうことが必要ではないかという全般のことについて、何か御意見があればお願いします。
 それぞれお一人ずつ簡単にいただいて終わることにしましょうか。
 梅垣先生、全体を通していかがでしょう。
○梅垣構成員 統合医療について、一般の人と専門職の人の認識にずれがあるのです。それは根拠に基づかないような情報を流したりしているというのが根本にあると思いますから、この検討会で議論して、統合医療はどうあるべきかというのを国民に周知するようなことをすれば、今、生じている一般の方と専門職の方の認識のずれを埋めることができると思うのです。それが次につながるので、今、すぐに統合医療が利用できるというわけではないと思っています。ですから、今回議論されたのは、基礎的な土台をつくる上では非常に重要な議論ではなかったかなというふうに考えています。
○大島座長 三上参考人、いかがでしょう。
○三上参考人 きょう初めて出させていただいたのですが、統合医療が医療というふうに名づけられているのですけれども、これがどういう位置づけなのかよくわからないというのが現状です。ただ、有効性とか安全性の面について効果がないとしても、有害なものがないということであれば、医療の位置づけでない中で民間の方々がされるということについては大きな問題はないのではないかという気もします。
 ここに書かれている統合医療の定義の中で、温熱療法などにつきましては、今回、先進医療の中に認められた心疾患に対する和温療法というのもあるわけですけれども、明らかに効果のあるようなことも当然出てくると思いますし、そういう意味では、エビデンスを重ねていくということが非常に大切なのではないかと思っています。
○大島座長 広井委員、いかがでしょう。
○広井構成員 まず、統合医療についての最初の政府のドキュメント、文書が出たということ自体が一つ大きな意味を持っているものだと思います。それはどちらの方向にということに限らず、この文章にありますように、安全性・有効性を確認しながら今後の展開を図っていくということだと思います。それが1点です。
 あと、先ほど出ましたように、「おわりに」の文章にありましたように、私もここは印象深く読ませていただきましたけれども、統合医療を考えるというのは、決してそれだけにとどまるものではなくて、そもそも医療とは、あるいは科学とは、あるいは病とはといった基本論にかかわるものですので、そういった議論の端緒がここで示されたというのは非常に意義があるものだと思います。
 最後にもう一点、15ページの22行目あたりに社会科学的な知見の収集の指摘が出された。これも重要だと思っております。冒頭に座長もおっしゃられていたかと思いますけれども、今、各国が統合医療に関連する政策を非常に強化して、欧米諸国はもちろんですし、中国などがこういった分野に大きく力を入れております。そういう各国の政策の状況とか、ここにも出ておりますような社会経済的な側面とか、こういう社会的な側面についての調査なり研究ということも今後、非常に重要になってくる。それが一つ示されたというのは意味があることではないかと思います。
 以上です。
○大島座長 渡辺構成員はいかがですか。
○渡辺構成員 最後にお時間をいただいたので、また我田引水の漢方の話を少しさせていただきます。
 15ページから16ページで触れていただきましたけれども、漢方は今、国際的には非常に注目されている、その一方、国内では非常に危機的な状況であるということを皆さんに何回か話をさせていただきました。
 2つの側面があります。1つは国民の医療の効率化という国内的なもの。
 もう一つは、中国、韓国などが推進している原動力となっている、漢方そのものが持つ経済性です。中国では1988年に国家中医药管理局ができて、20年足らずで10兆円産業になっています。中国は国際的に中医学をブランド化して展開しているという中で、日本の漢方の存在が国際的にはどんどん薄れているという事情がございます。
 日本は医師が行う伝統医学ということで、まさに統合医療のモデルです。私の立場でこの検討会に加えていただいた中で、漢方のことを少し入れていただいたので大変ありがたいのですけれども、今後の展開の希望としては、中国、韓国はちゃんと政府組織があって国際的に推進し、経済的にもほとんど発展しているということに対して、日本もそれに匹敵するような組織づくりとか体制づくりというものを是非ともお願いして、私の最後の発言としたいと思います。
○大島座長 門田委員、いかがですか。
○門田構成員 私自身は、この検討会が始まって、どうまとまるのだろうと非常に心配しておった者の一人なのです。先ほど出ていましたけれども、統合医療を医療と言うのかというあたりも含めて本当にばらばらな発想の中でこの検討会が始まった。
 しかし、きょうが最終ということで、最後に情報発信だと。我々が医師、臨床家として現場におって患者さんを診ている場合に、多くの患者さんがいろんな治療を選択しているけれども、結局のところ患者さんたちに情報がないのです。身近な人がよさそうな話をしたらそれに飛びついて、周辺が見えなくなってその中に落ち込んでいくということを経験しております。一番大切なことは、正しいものを正しく情報発信するということで、今回そこに落ちついたということは非常によかったな、うまくまとめていただいたなというふうに思います。
 先ほども出ておりましたけれども、医療そのものと統合医療と西洋医学、いろんなことを考えていったときにどうかというあたりも問題ではありますが、ひとまず今の段階ではこういう形でまとめていただいて良かった。しかし、次の問題も抱えているという認識を発信していただいたこともよかったかなというふうに思っております。
○大島座長 南委員、いかがですか。
○南構成員 国として初めて統合医療というものについて取り組んだ検討会であり、報告書であるという意味で、ここで議論したこととまとめを出すことの意義は非常に大きいと思います。
 今までおっしゃったこととも重なりますけれども、現状できわめられない部分がいかに多いかということがわかったということもまた非常に大きな意味のあることで、それに対してこれから国としてどういうふうな取り組みができるのか。現状では情報が非常に大きな意味を持っているということを国民に知っていただくことが大事であると思います。
 情報を扱う仕事をしている立場からもこういった現代科学で評価しきれないことの情報の出し方の難しさを感じます。何人かの方が指摘されましたけれども、医療とは何かということもありますが、国が取り組む医療制度の中にこういう状況のものを組み込むべきなのかどうかという別の次元の問題があると感じます。
○大島座長 丸井委員、いかがですか。
○丸井構成員 いろいろお話が出たとおり、明治4年(1871年)に日本がドイツの医学を入れると決めてから一貫して近代西洋医学を追求してきた日本の行政の中で、今回のように統合医療をディスカッションする場ができたということは、本当に画期的なことだったと思います。そういう意味では、短い期間でありましたけれども、この議論の報告書を一つの仮説のようなものとして提起することに意味があるのではないかと思います。先ほど来幾つかお話がありましたが、これによって多少混乱があったり、問題があるのではないかというような議論が起こってくることをむしろ期待したいと思います。
 そういう意味では、先ほど座長もおっしゃられたように、完全な報告書でなくていいのではないか、むしろこれからの議論を巻き起こすために一石を投じるということで、客観的に見ても歴史的に意義のある集まりだったと思います。ということで、余り完全なものを求めなくていいのではないかなと思いました。
 ありがとうございます。
○大島座長 ありがとうございました。
 私も最初の一、二回のところでまとまるのかしらというように思ったのですが、何とかそれなりに着地することができたということで、本当にありがとうございました。
 私たちの世代というのは、科学というものに完全にどっぷりとつかって、頭の中のどこをたたいても科学、科学としか出てこないのですが、現実はすごく大きく変化していて、従来の枠組みで現実の変化というものに対処しようとすると、そこからあふれ出てくるような状況というのが間違いなくある。その事実をどうやって謙虚に受けとめていくかということは、年をとればとるほど難しくなるのですが、幾つになってもその事実をきちんと受けとめて、その変化をよりよいものにしていくためには、それまでの固定した価値観とか考え方とか方法論というものについても本当に白紙で見なければいけないということがあるのだなということに改めて気づかされたというような感じがいたします。
 ということで、今回のこの報告書のまとめを基本にしてこの検討会のまとめというふうにさせていただきたいと思います。
 きょう御議論いただいたところでいろいろ出てきた細かい点などについては、事務局と相談しながら私の責任でまとめさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大島座長 ありがとうございます。
 それでは、議題「2.その他」で何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 最後に局長のほうから全体のまとめと御挨拶も含めたお話をお願い申し上げたいと思います。
○原医政局長 医政局長の原でございます。
 格調の高いお話はなかなかできませんけれども、5回にわたりまして統合医療について御議論いただきました。私も途中から参画させていただきましたが、非常に難しい分野だなと初めから思っておりましたけれども、さまざまな御意見、また厳しい意見のやりとりもございましたし、活発な議論が進んだのではないかと思います。そういう意味では、委員の皆様方には大変感謝を申し上げたいと思います。
 また、座長におかれてもさまざまな幅広い意見の中を十分勘案していただきまして、今回まとめのところまでたどり着いたことに大変感謝を申し上げております。
 先ほどもいろいろお話がございましたけれども、統合医療というのは、行政で取り組むのが非常に難しい分野でございます。この報告書の中にもありますけれども、各種の療法については、エビデンスがないようなものがほとんどなわけでありまして、効果がないと言っているわけではありませんが、効果があると証明されたものがほとんどない。そういう中で、それらの療法といわゆる西洋近代医学を組み合わせた形で統合医療というものを考えていこうという一つの定義をしていただいたことも大きな成果ではないかと思っております。
 ただ、普通の国民の方々は、恐らく各種療法そのものを統合医療、医療の一部と考えられると思いますけれども、それについては、この中でもありますように、いわゆる西洋近代科学的な手法による証明というのはなかなか難しいところが多くあると思います。だからといって否定をするのではなくて、いろいろな角度からいろいろな報告があるでしょうから、そういう情報を集めて分析をし、それを発信していくということが今後、重要だと思っておりまして、具体的な取り組みの中でもそういう形でまとめていただいたことは非常にありがたいと思っております。
 今後、今のような情報の収集や発信を中心にやっていきたいと思っておりますけれども、まだまだ世の中が動いていきますので、いろいろな療法の中でいろいろなことが出てくるかと思います。そういう中で今後、先生方にお集まりいただいて議論する場をまた開かねばならないことがあろうかと思いますが、その折にはまた御協力をぜひともお願いしたいと思います。
 いずれにしましても国民が安心・安全で暮らしていく中で質の高い医療をどのように組み立てていくか、そういうことが非常に重要と考えておりますので、先生方におかれましては今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げまして、私からの御礼の言葉とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、これで閉会をいたします。本当にありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課 (内2513、2520)

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