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2013年2月6日 第24回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会 議事概要
医政局研究開発振興課
○日時
平成25年2月6日(水)16:00~18:30
○場所
厚生労働省 16階 専用第17会議室
○出席者
(委員)
永井委員長 | 青木委員 | 梅澤委員 | 春日井委員 | 貴志委員 |
木下委員 | 高橋委員 | 戸口田委員 | 中畑委員 | 前川委員 |
松山委員 | 湊口委員 | 山口委員 | 山中委員 |
(事務局)
厚生労働省医政局研究開発振興課 |
○議事
議事概要
すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた札幌北楡病院、順天堂大学医学部、大阪大学医学部附属病院、大阪市立大学大学院医学研究科、島根大学医学部附属病院からの申請、先行審議となった広島大学病院、兵庫医科大学、大阪大学医学部附属病院(関節)、近畿大学医学部、東京大学大学院医学系研究科、京都府立医科大学、東京大学医科学研究所附属病院、東京医科歯科大学医学部からの2件の申請について審議された。そして、名古屋大学医学部附属病院からの2件、東京大学医科学研究所からの変更事項についても審議がなされた。
その結果、継続審議の島根大学医学部附属病院と先行審議の東京医科歯科大学医学部からの1件(半月板)、変更審議の3件は了承され、継続審議の大阪市立大学大学院医学研究科と先行審議の広島大学病院、兵庫医科大学、大阪大学医学部附属病院、近畿大学医学部、東京大学大学院医学系研究科、京都府立医科大学、東京医科歯科大学医学部(滑膜)の申請は持ち回り審議となった。その他の申請については、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。
(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1~17参照。)
(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験 |
申請年月日 | 平成20年9月4日 |
実施施設及び総括責任者 | 特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 堀江 卓 |
対象疾患 | 既存の治療に抵抗性の末梢動脈疾患(慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病) |
ヒト幹細胞の種類 | 自家末梢血単核球細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 厚生労働大臣意見発出日より3年間 144症例(推奨療法群72症例、推奨療法+細胞移植治療群72症例) |
治療研究の概要 | G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスによりCD34陽性細胞を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し末梢血管再生効果を見る。北野病院等を含む計26施設による多施設共同研究を予定。 |
その他(外国での状況等) | Inabaら、Asaharaらは、G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し、慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方、Kawamuraら(平成17年)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく、G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang、Ishida(平成17年)、Hoshino(平成19年)による同様の臨床研究の報告がある。 |
新規性について | 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計26施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいは推奨療法及びG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかを無作為に割り付け、この併用治療の有効性と安全性を推奨療法との比較によって評価するものであり、プロトコールとしての新規性を認める。 |
(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験 |
申請年月日 | 平成24年8月30日 |
実施施設及び総括責任者 | 順天堂大学医学部 田中 里佳 |
対象疾患 | 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症・バージャー病) |
ヒト幹細胞の種類 | G-CSF動員自家末梢血単核球細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 試験予定期間:平成21年1月より5年間 5症例 |
治療研究の概要 | G-CSF皮下注射後にアフェレシスにより自己末梢血単核球を採取し、下肢へ筋肉内注射を行う。有害事象発生の有無などによる安全性評価に加え、下肢虚血重症度の推移、潰瘍サイズ、下肢虚血性疼痛、生理学的検査などにより治療効果を評価する。 |
その他(外国での状況等) | Horieらは、「下肢虚血患者を対象としたG-CSF動員自家末梢血単核球移植の臨床効果と安全性に対する多施設後ろ向き調査」を実施した。全国162例を検討し、本治療の安全性を示している。 InabaらやAsaharaらは、「慢性重症下肢虚血患者を対象としたG-CSF動員自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生治療」を開始し、その臨床効果が示されている。 |
新規性について | 本研究は多施設共同研究であり、当該施設では5例の末梢動脈疾患患者を対象に、TASCII及び日本脈管学会編の診断・治療指針に準じて行われる「推奨療法」あるいは「推奨療法及びG-CSF動員による末梢血から採取した自家末梢血単核球細胞移植治療」のいずれかをランダムに割り付け、本併用療法の推奨療法に比した有効性を検討し、また同等の安全性を有しているかを検証する。 |
(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 重症心筋症に対する骨格筋筋芽細胞シート移植による治療法の開発 |
申請年月日 | 平成24年10月24日 |
実施施設及び総括責任者 | 大阪大学医学部附属病院 澤 芳樹 |
対象疾患 | 重症心筋症 (拡張型心筋症及び虚血性心筋症) |
ヒト幹細胞の種類 | 骨格筋筋芽細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 3年間 DCM20症例及びICM20症例 |
治療研究の概要 | LVAS装着を必要とする前段階、または年齢などにより心移植適応とならない重症心筋症患者に対し、自己の骨格筋から単離した筋芽細胞を、温度応答性培養皿を用いてシート化し、心臓外壁に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 申請者により、LVAS装着患者に対する筋芽細胞シート移植の臨床研究が、指針施行以前より開始され、総括が行われている。平成21年8月より開始された第1相試験ではDCM5例、ICM7例にシート移植を実施し、安全性の観点から研究の継続に差し支えないとの中間報告がなされている |
新規性について | 骨格筋筋芽細胞シートによる第2相臨床研究である。 |
(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成23年1月20日 |
実施施設及び総括責任者 | 大阪市立大学大学院医学研究科 石川 修 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より5年間 細胞移植群:40症例、対照群:40症例 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、大阪大学CPCにて骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery社は、平成9年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDAの認可を受け商品化した(Carticel R)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている。 |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 重症低ホスファターゼ症に対する骨髄移植併用同種間葉系幹細胞移植 |
申請年月日 | 平成21年11月25日 |
実施施設及び総括責任者 | 島根大学医学部 竹谷 健 |
対象疾患 | 重症低ホスファターゼ |
ヒト幹細胞の種類 | 同種骨髄由来間葉系幹細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 厚生労働大臣意見発出日から平成25年3月31日まで 10症例 |
治療研究の概要 | 本研究は、アルカリホスファターゼ欠損により骨を作ることが障害される低ホスファターゼ症の中で、致死的な経過をとる乳幼児の患者に対して、骨髄移植後に同種骨髄間葉系幹細胞を移植するものである。ドナーは、患者の家族(2親等以内)の中でこの病気ではない人から選定する。抗がん剤(ブスルファン、シクロフォスファミド、抗胸腺グロブリン)を用いて患者の骨髄を排除しておき、移植後は、GVHD予防のため、免疫抑制剤(メソトレキセートおよびタクロリムス)を使用する。 |
その他(外国での状況等) | この疾患の重症型は、現在の段階では、呼吸障害に対する人工呼吸管理、痙攣に対する抗けいれん薬などの対症療法が行われる。これまで、同施設の経験症例を含めて3人の患者が骨髄移植、骨移植および骨芽細胞・間葉系幹細胞移植を施行され救命された。なお、平成20年からアメリカで骨へ移行しやすく改良されたリコンビナントALP製剤の治験が始まっている。 |
新規性について | 本研究では重症低ホスファターゼ症の患者を救命するために、骨髄移植後に同種間葉系幹細胞を用いた移植をすることに新規性が認められる。 |
(別紙6)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成25年1月21日 |
実施施設及び総括責任者 | 広島大学病院 越智 光夫 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より5年間 細胞移植群:40症例、対照群:40症例 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery社は、平成9年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDAの認可を受け商品化したCarticel R)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている。 |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙7)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成24年7月27日 |
実施施設及び総括責任者 | 兵庫医科大学 吉矢 晋一 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より5年間 細胞移植群:40症例、対照群:40症例 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、大阪大学CPCにて骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery社は、平成9年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDAの認可を受け商品化したCarticel R)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている。 |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙8)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成24年6月27日 |
実施施設及び総括責任者 | 大阪大学医学部附属病院 澤 芳樹 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より5年間 細胞移植群:40症例、対照群:40症例 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、大阪大学CPCにて骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、大阪市立大学あるいは兵庫医科大学にて細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery社は、平成9年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDAの認可を受け商品化したCarticel R)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている。 |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙9)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成24年12月4日 |
実施施設及び総括責任者 | 近畿大学医学部 赤木 將男 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より5年間 細胞移植群:40症例、対照群:40症例 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery社は、平成9年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDAの認可を受け商品化した(Carticel R)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙10)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 角膜上皮幹細胞疲弊症に対する無血清・無フィーダー細胞培養条件による羊膜上培養自己角膜輪部上皮細胞シート移植の探索的臨床試験 |
申請年月日 | 平成24年12月6日 |
実施施設及び総括責任者 | 東京大学大学院医学系研究科 天野 史郎 |
対象疾患 | 角膜上皮幹細胞疲弊症 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己角膜輪部上皮細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より1年間、実施期間:厚生労働大臣意見発出日より3年 3症例 |
治療研究の概要 | 培養自己角膜輪部上皮細胞シート移植を、動物の血清とフィーダー細胞という助け役をする細胞を用いずに行うことにより、動物に由来する未知の病原菌に感染する危険性を大きく低下させることに成功している。 |
その他(外国での状況等) | 平成9年に世界初の角膜上皮再生医療が行われ、平成12年代には、キャリアや血清、フィーダー細胞に工夫がこらされるようになってきた。申請者は平成20年に血清とフィーダー細胞を排除する方法を報告した。 |
新規性について | 無血清・無フィーダー細胞下に角膜輪部上皮細胞シート移植を行うところ。 |
(別紙11)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 水疱性角膜症に対する培養角膜内皮細胞移植に関する臨床試験 |
申請年月日 | 平成24年12月25日 |
実施施設及び総括責任者 | 京都府立医科大学 木下 茂 |
対象疾患 | 水疱性角膜症 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト他家培養角膜内皮細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日から平成27年3月まで、観察期間:移植後6カ月 6症例 |
治療研究の概要 | 有効性・安全性の評価を行う。従来他家角膜移植の他有効な治療法がなかった本疾患の治療を、培養した角膜内皮細胞の前房内注射により行い、角膜内皮再生医療のパラダイムシフトをもたらそうとしている。 |
その他(外国での状況等) | 申請者らはウサギのみならず、ヒトのように増殖能が非常に低いとされるカニクイザルから角膜内皮の培養を行い、疾患モデルの角膜を透明治癒させてきている。またROCK阻害剤を用いることでキャリアを用いない細胞移植による角膜内皮再生を可能にした。 |
新規性について | 水疱性角膜症に培養角膜内皮細胞移植を行うところ。 |
(別紙12)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成24年12月28日 |
実施施設及び総括責任者 | 東京大学医科学研究所附属病院 竹谷 英之 |
対象疾患 | 血友病患者の膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より2年間、観察期間:移植後1年間 5症例 |
治療研究の概要 | 安全性・有効性の評価を行う。血友病では幼少期から関節内出血のため青年期から末期関節症となりうる。血友病性関節症の早期から末期の間には有効な治療法がなく、本治療法の確立が求められている。 |
その他(外国での状況等) | 慢性的に出血を起こす血友病動物モデルは存在しない。骨髄刺激法併用関節内注射法の臨床研究が広島大学を中心に計画されているところ。 |
新規性について | 血友病性関節症に間葉系細胞移植を行う所に新規性がある。 |
(別紙13)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 半月板縫合後の滑膜幹細胞による治癒促進 |
申請年月日 | 平成24年12月28日 |
実施施設及び総括責任者 | 東京医科歯科大学医学部 関矢 一郎 |
対象疾患 | 膝半月板損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己滑膜由来間葉幹細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間 5症例 |
治療研究の概要 | 安全性と有効性の評価を行う。関節鏡視下で半月板損傷に対し縫合術を行い、その際に滑膜を少量採取し、2週間培養する。関節鏡で観察しながら半月板縫合部に細胞浮遊液を10分間静置し、修復部に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Osiris Therapeutics社は、平成17年より、半月板切除後の骨髄間葉系幹細胞を関節内注射する第1/2相臨床試験を行っているとされるが、ほかには半月板障害に対する細胞治療の報告は承知していない。半月板全切除後に半月板の同種移植が欧米及び韓国で行われている。 |
新規性について | 半月板損傷に対する細胞治療は日本では初めての試み。 |
(別紙14)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 滑膜幹細胞の集合体による軟骨再生 |
申請年月日 | 平成24年12月28日 |
実施施設及び総括責任者 | 東京医科歯科大学医学部 関矢 一郎 |
対象疾患 | 膝関節軟骨欠損あるいは局所に限定した変形性膝関節症 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己滑膜由来間葉幹細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 登録期間:厚生労働大臣意見発出日より3年間 5症例 |
治療研究の概要 | 安全性と有効性の評価を行う。関節鏡視下で滑膜を少量採取し、2週間培養し細胞集合体を作成する。関節鏡で観察しながら軟骨欠損部に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 骨髄刺激法、骨軟骨柱移植、自家骨膜移植および自家培養軟骨細胞移植などが行われているが、これらの手法で現時点では臨床成績に有意な差は認められていない。また当施設では滑膜幹細胞を細胞浮遊液の状態で移植する再生医療を平成20年4月より開始しており、本研究は細胞を効率的に移植できるように改良を行ったものである。 |
新規性について | 滑膜幹細胞を集合体の状態で移植するのは初めて。 |
(別紙15)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 軟骨無形成症等骨系統疾患に伴う低身長症例および下肢長不等症例に対する培養骨髄細胞移植の併用による骨延長術 |
申請年月日 | 平成22年2月15日 |
実施施設及び総括責任者 | 名古屋大学医学部附属病院 石黒 直樹 |
対象疾患 | 骨延長術を要する以下の症例 1 各種骨系統疾患(軟骨無形成症、軟骨低形成症など)に伴う-3SD以下の著しい低身長を呈する症例 2 外傷や先天性疾患により3cm以上の脚長不等を有する症例 |
ヒト幹細胞の種類 | 骨髄間葉系幹細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 厚生労働大臣意見発出日より5年間 主要評価項目解析対象数として30骨 |
治療研究の概要 | 骨欠損のため骨延長を要する症例を対象として、培養骨髄細胞移植を併用した骨延長術の有効性を検討する。平成14年より、培養骨髄細胞と多血小板血漿をトロンビン、カルシウムとともに延長部位に移植する治療を開発し、これまでに40例、70骨以上に対して臨床研究を実施し、良好な仮骨形成を確認してきた。さらに、GMP基準を遵守した細胞調製室で実施し、臨床応用基盤を確立する。 |
その他(外国での状況等) | 骨髄間葉系細胞を培養下に骨芽細胞へ分化、増殖させる技術は確立されてきた(Pittenger et al, Science, 1999)。分化・増殖させた骨芽細胞を移植部位において良好な増殖および骨形成能を発揮するためには、細胞増殖因子と足場の開発が行われている。 |
新規性について | ヒト幹指針の施行前に既に開始され、安全性と有効性を示してきた臨床研究について、臨床基盤を整備したうえで臨床応用を目指す。 |
(別紙16)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 非培養自己ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた腹圧性尿失禁治療の有用性に関する研究 |
申請年月日 | 平成21年8月11日 |
実施施設及び総括責任者 | 名古屋大学医学部附属病院 後藤 百万 |
対象疾患 | 腹圧性尿失禁 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 平成25年3月31日まで 30症例(女性10症例、男性20症例) |
治療研究の概要 | 皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞(ADRCs)は、腹部または臀部の皮下脂肪から従来の脂肪吸引法により採取し、ADRCs分離装置により回収する。障害された尿道の括約筋及び尿道粘膜下に経尿道的内視鏡下で注入し、括約筋機能を回復させ、尿失禁を治療する。ADRCsが括約筋障害のために開いた尿道を閉鎖すること、ADRCsが括約筋再生に向かうこと、ADRCsから分泌されるサイトカインが局所の血流を改善することなどが、尿失禁を改善させる機序と考えられる。 |
その他(外国での状況等) | ADRCsを用いた腹圧性尿失禁治療は国内外において行われていない。オーストリアにおいてヒト培養自己骨格筋細胞を使用する臨床再生治療が行われているが、培養過程における安全性の問題が懸念される。 |
新規性について | ADRCsを用いる本研究では、細胞供給源として大量の前駆細胞が含まれる脂肪組織を用いる。細胞分離装置を用いることで、短時間で前駆細胞が得られる。さらに、腹圧性尿失禁に対する、ADRCsを用いた臨床研究は世界で初めてのものであるという点で、新規性が極めて高い。 |
(別紙17)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成25年2月6日審議分
研究課題名 | 自己骨髄由来培養骨芽細胞様細胞を用いた歯槽骨 再生法の検討(第1、第2a相試験) |
申請年月日 | 平成22年10月1日 |
実施施設及び総括責任者 | 東京大学医科学研究所附属病院 各務 秀明 |
対象疾患 | 歯槽骨萎縮症 |
ヒト幹細胞の種類 | 骨髄由来間質細胞 |
実施期間及び対象症例数 | 厚生労働大臣意見発出日より4年間 最終目標症例数:25症例(第1相15症例、第2相10症例) |
治療研究の概要 | 歯槽骨萎縮症患者を対象として、顆粒状の担体に対して最適化された自家骨髄間質細胞の培養、分化誘導条件を用いて、歯槽骨再生治療の有効性及び安全性を評価する。従来、自家骨移植が必要とされた患者に対して、歯槽骨を再生し、最終的にはインプラント義歯による治療を可能とすることを期待する。自己骨髄由来間質細胞をリン酸カルシウム顆粒上で培養し、デキサメサゾン、アスコルビン酸等を加え骨芽細胞様細胞へ分化誘導、手術に用いる。 |
その他(外国での状況等) | 当施設では、先行する臨床研究として、平成16年から「自己骨髄由来培養骨芽細胞様細胞を用いた歯槽骨再生法の検討」を行っており、培養自己骨髄間質細胞の移植、およびその後の観察期間中に、本治療に起因すると考えられる副作用などの有害事象は認められず、全例で骨再生を認めた。 |
新規性について | より効率的な骨再生を行うために先行臨床研究のプロトコルを改良し、ヒト細胞を用いた動物実験を行った。本研究では、最適化と簡便化が図られており、先行する臨床研究との比較により、有用性を検討する。 |
厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 所 属 ・ 役 職
青木 清 上智大学生命倫理研究所長
位田 隆一 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 特別客員教授
梅澤 明弘 国立成育医療研究センター研究所 副所長
春日井 昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学 教授
貴志 和生 慶應義塾大学医学部形成外科 教授
木下 茂 京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学 教授
小島 至 群馬大学生体調節研究所 教授
島崎 修次 国士舘大学大学院救急システム研究科長
高橋 政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チーム チームリーダー
竹内 正弘 北里大学薬学部臨床医学 教授
戸口田 淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野 教授
○永井 良三 自治医科大学長
中畑 龍俊 京都大学iPS細胞研究所 副所長
中村 耕三 国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局長
前川 平 京都大学医学部付属病院輸血細胞治療部 教授
松山 晃文 (財)先端医療振興財団再生医療研究開発部門 再生医療開発支援部長
水澤 英洋 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授
湊口 信也 岐阜大学大学院医学系研究科再生医科学循環呼吸病態学 教授
山口 照英 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部 研究員
山中 竹春 国立がん研究センター東病院臨床開発センター 室長
(敬称略)
○:委員長
<照会先>
医政局研究開発振興課
電話:03-5253-1111(内線)2587
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