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2013年1月31日 第1回ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査評価検討会 議事録
医薬食品局安全対策課
○日時
平成25年1月31日(木)18:00~20:00
○場所
航空会館 501+502会議室
○議題
○事務局 それでは、定刻となりましたので、「平成24年度第1回ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査評価検討会」を開催いたします。
開催に当たり、俵木安全対策課長から御挨拶いたします。
○事務局 医薬食品局安全対策課、俵木でございます。
本日は、局長から御挨拶をする予定でございましたけれども、急な用務で、先ほどかわりに挨拶をきちんとするようにと言われてまいりましたので、かわりまして御挨拶をさせていただきたいと思います。
改めて、本日はお忙しい中、先生方に夜遅い時間にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。また、日ごろより医薬行政に多大なる御理解、御尽力、御協力をいただいておりまして、改めてこの場をかりてお礼を申し上げさせていただきたいと思います。
この検討会は、平成24年度からの新しい事業として、ワクチン接種と乳幼児の突然死との関連の疫学調査を実施するということで、昨年12月に国立感染症研究所において、既に調査を開始していただいておりますが、その調査の進捗状況の評価、実施に当たっての御助言をいただくことを目的に開催させていただいているものでございます。
乳幼児のワクチン接種がふえてきておりまして、一方で乳幼児期というのは原因不明の突然死も報告される時期であり、偶発的にそれが重なることもあって、これまでにもワクチン接種後に突然死をされるような症例が報告されてきております。それらについては、専門家の先生方に御評価もいただいて、直接的な明確な因果関係はないというふうに評価をされておりますが、接種を受けるお子様のお母様方、御家族の方々には不安がないこともないだろうということで、私ども厚生労働省としては、そういったお母様方の御不安をできるだけ拭ってワクチンの接種を進めていただけるように、きちんとした疫学的な検証データを集めてまいりたいと考えているものでございます。
我が国での突然死でございますが、SIDSと診断されるケースが年間150例程度というふうにお聞きしておりますけれども、疫学的に検証できるようなデータを出すためには、かなりの数の症例を集めてやるしかございませんで、年間150例の症例となりますと、恐らく2年か3年の時間をかけて調査をやっていくしかないかなというふうにも考えております。そのために、日本小児科学会、また、日本小児救急医学会の御協力をいただきまして調査を始めさせていただいたところでございます。
本日の会合におきましては、既に開始しておりますが、調査の実施方法等について御報告をさせていただいて、忌憚ない御意見をいただいて、できるだけ多くの症例を集めて価値あるデータをつくっていけるようにしていきたいと思いますので、先生方の御協力、何とぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
次に、構成員の先生方を御紹介いたします。
まず、本会の座長ですが、本会の開催前に構成員による互選の手続を事務局で行いました。その結果、独立行政法人国立成育医療研究センター総長・理事長の五十嵐隆先生にお願いすることといたします。
○五十嵐座長 御紹介いただきました、成育医療研究センターの五十嵐です。どうぞよろしくお願いいたします。
俵木課長が説明になられましたように、この検討会というのは、去年から始まった非常に重要なミッションであるワクチン接種と乳幼児の突然死の関係があるのかないのか、あるいは、いい影響を与えているのか、悪い影響を与えているのか、それを明らかにする班会議が始まったわけですけれども、それを側面から支援する、あるいは批判するというミッションが与えられています。
ぜひとも先生方の御協力で、日本からプロスペクティブにいいデータを出すためにアシストしたいと思いますので、御協力をいただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
続きまして、構成員の先生方を順に御紹介いたします。簡単に一言ずつ御挨拶をお願いできればと思います。
京都第二日赤病院小児科副部長の長村敏生先生です。
○長村構成員 京都第二日赤小児科の長村と申します。
私は、小児救急医学会からの指示で、この検討会に参加させていただいておりますので、小児救急の現場で診療に当たっておられる先生方の意見を代弁するような形でお役に立てればというふうに思っております。
どうぞよろしくお願いします。
○事務局 独立行政法人国立病院機構三重病院院長、三重大学大学院医学研究科連携大学院教授の庵原俊昭先生です。
○庵原構成員 三重県の庵原です。
長年ワクチンにかかわってきた関係で、この構成員に選ばれたかと思います。
よろしくお願いいたします。
○事務局 大阪市保健所感染症対策課保健副主幹、松本珠実先生です。
○松本構成員 松本です。
全国保健師長会の代表ということで、保健師の代表として来させていただいております。また、大阪市ということですので、予防接種の行政、それから、母子関係の行政にも携わっておりますので、そのあたりの意見を反映させていただければと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局事務局 日本医師会常任理事、小森貴先生です。
○小森構成員 皆様、こんばんは。日本医師会の小森でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局事務局 埼玉医科大学総合医療センター教授、加藤稲子先生です。
○加藤構成員 埼玉医科大学総合医療センターの加藤と申します。よろしくお願いいたします。
私は、昨年の2月から埼玉医科大学のほうに勤務しておりまして、それ以前は名古屋市立大学のほうに長く勤めておりました。名古屋市立大学にいた時代から、乳幼児の突然死(SIDS)の研究をしていまして、現在も厚労省の研究班を中心に続けさせていただいております。
よろしくお願いいたします。
○事務局 独立行政法人国立成育医療研究センター研究所成育政策科学研究部成育保健政策科学研究室室長、掛江直子先生です。
○掛江構成員 掛江でございます。おくれて申しわけございません。
専門が生命倫理ということで、研究所のほうで患者さんの権利であるとか子供の権利を医療の中で検討させていただいております。
よろしくお願いいたします。
○事務局 また、本日は御欠席でございますが、大阪大学大学院医学研究科教授祖父江友孝先生、また、慶応義塾大学商学部教授吉川肇子先生にも構成員をお願いしております。
続きまして、本会には疫学調査の研究グループの先生方も参考人として御出席をお願いしておりますので、御紹介いたします。
国立感染症研究所感染症情報センター室長、多屋馨子先生です。
○多屋参考人 感染症情報センターの多屋と申します。
この研究事業を、今既にスタートしているのですけれども、きょう一緒に来ています先生方とともにやっております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 独立行政法人国立病院機構福岡病院統括診療部長、岡田賢司先生です。
○岡田参考人 福岡病院の岡田と申します。
小児感染症、あるいはワクチンをやっています。
どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 国立感染症研究所感染症情報センターセンター長、大石和徳先生です。
○大石参考人 感染研の情報センターの大石と申します。
私自身は、小児科医ではなくて内科医なのですけれども、このプロジェクトを感染症情報センター全体で支えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 国立感染症研究所感染症情報センター第二室研究員、島田智恵先生です。
○島田参考人 感染症情報センターの島田と申します。よろしくお願いいたします。
○事務局 同じく、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官、砂川富正先生です。
○砂川参考人 砂川と申します。予防接種副反応研究班と、積極的疫学調査実施時にかかわるということで参加させていただいております。
よろしくお願いします。
○事務局 同じく、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官、新井智先生です。
○新井参考人 新井です。よろしくお願いいたします。
○事務局 また、本日は御欠席でございますが、国立感染症研究所所長渡邉治雄先生、北九州市立八幡病院院長市川光太郎先生、また、川崎市衛生研究所所長岡部信彦先生、国立感染症研究所感染症情報センター第三室研究員佐藤弘先生も研究グループに加わっております。
最後に、事務局のスタッフを紹介いたします。
初めに御挨拶いたしました、事務局でございます。
○事務局 よろしくお願いいたします。
○事務局 広瀬誠課長補佐でございます。
○事務局 よろしくお願いいたします。
○事務局 黒羽真吾課長補佐でございます。
○事務局 よろしくお願いします。
○事務局 高浦葉月主査でございます。
○事務局 よろしくお願いいたします。
○事務局 私、安全対策課の課長補佐、吉田と申します。
また、平山審議官及び渡邊室長がおくれて到着する予定でございます。
紹介は以上でございます。
これ以上は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(報道カメラ 退室)
○事務局 それでは、議事進行を座長の五十嵐先生にお願いいたします。
○五十嵐座長 では、事務局から、審議参加に関する利益相反の取り扱いにつきまして御報告をお願いいたします。
○事務局 本検討会は審議会ではございませんが、取り扱う議題の性格を踏まえまして、薬事食品衛生審議会の部会、調査会と同様に、各構成員のワクチン製造販売業者からの寄附金・契約金等の受け取り状況についてあらかじめ確認をしておりますので、御報告いたします。
ワクチン製造販売業者は現在11社ありますが、各社からの過去3年度における寄附金等の受け取りについて各構成員から御申告いただきました。その結果、審議会における取り扱いを本会に当てはめてみた場合、審議に参加できない基準及び議決に参加できない基準に達している構成員の方はおりませんでした。
したがいまして、本検討会におきましては、今後特段の問題が生じない限り、構成員全員の参加で議論を進めていただきたいと存じます。
また、参考人として御出席いただいている研究グループの先生方につきましては、所属組織において本件に係る利益相反の管理が行われることとなっております。
以上の取り扱いにつきましては、本会合の議事録の中で記録し公開することといたします。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの御説明に対しまして、審議参加に関する利益相反の取り扱いですけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、特にないようですから、御了解をいただいたということで、ありがとうございました。
続きまして、事務局から、きょうの配付資料の確認をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、配付資料の確認をいたします。
まず、本日の座席図が1枚紙でございます。
本日の検討会の議事次第、1枚紙がございます。
その半分から下のところに配付資料の一覧がございますので、これに沿って説明いたします。
資料1、本検討会の構成員及び参考人のリストでございます。
資料2、本検討会の開催要領でございます。
資料3、ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査事業の実施について、平成24年11月29日付の報道発表資料でございます。
資料4、「ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査事業に対する協力のお願いについて」、研究グループから各医療施設に送られたレターでございます。
資料5、それに添付されている担当医用説明書、「『ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査事業』への協力のご依頼」というものでございます。
資料6、「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」、診断のための問診・チェックリストのコピーでございます。
資料7、ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査対照例用問診・チェックリストでございます。
資料8、直近の海外文献の概要ということで、「Self-controlled case series(sccs)methodの概要」というパワーポイントの資料でございます。
また、委員の先生方におきましては、このパワーポイントの資料の元文献について4種類、英文のコピーを配付いたしております。
以上でございますが、漏れ等ありましたらお申し出ください。よろしいでしょうか。
○五十嵐座長 それでは、議事に入りたいと思います。
まず、議題1、「ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査事業の実施について」、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局のほうから本事業の経緯、概要等について、また、本会の役割について説明いたします。
資料1が、本検討会の構成員のリスト。
資料2が、開催要領でございます。
資料2の開催要領の「目的」を見ていただきますと、「本検討会はワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査事業における、調査の進捗状況等の評価と必要な助言を行うことを目的として開催するもの」ということです。
「検討事項」といたしましては、「ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査の進捗状況等の評価」、また、「当該調査に係る必要な助言」となっております。
「構成員等」「運営」については、ここに記載のとおりでございますが、1点、4の「運営」の(5)をごらんください。
本検討会の開催は原則として公開といたしますが、個人情報の保護、知的所有権の保護等の観点から座長が必要と判断する際には非公開とすることができる。非公開とした場合の検討会の結果については、構成員の了解を得た上で公表できる。このように取り決めさせていただいております。
続きまして、資料3をごらんください。
資料3は、今回の疫学調査を実施するに当たって、11月29日に報道発表した際の資料でございます。
ここに書いてありますとおり、本事業を始めるに当たってはきっかけがございまして、平成23年3月に、インフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを含むワクチンの同時接種後の乳幼児の死亡が複数報告されました。調査の結果、審議会におきましては、ワクチンの接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められない、ワクチン接種の安全性に特段問題があるとは考えにくいという結論が出されております。
ただ、その際に、海外ではワクチン接種と突然死の関連についての疫学調査が行われているにもかかわらず、日本国内で同様の調査研究がないということが指摘されております。それを受けまして、国内での検証できるデータというものを求める上で、この疫学調査を実施するという経緯がございます。
調査方法につきましては、この後、研究者の先生方から詳しく説明いただきますけれども、報道発表資料の4ページ目を見ていただきますと、パワーポイントのA4横の資料がございます。ここに示しましたとおり、この調査は前向きの症例対照研究として設計されております。原因不明の乳幼児の突然死の診断について、乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドラインチェックリストというものが厚労省の別の研究事業で作成されており、SIDSの診断と予防のためにそのチェックリストを活用していただくよう、各医療機関に対して普及啓発が行われているところでございます。
このチェックリストに記録が行われた症例を、いわゆる既存資料という形で、症例が発生した場合に症例を報告いただき、また、それとともに、その症例と性別、年齢もしくは月齢が一致する対照例を2例選んでいただいて、それについては保護者の同意を受けて、調査用紙に記録して報告いただくというやり方でございます。
これについては、別途、資料6と資料7でSIDS診断のための問診・チェックリスト及び対照例用調査用紙を参考までに添付してございますので、後で研究グループの先生方からご説明いただくこととしたいと思います。
非常に少ない症例を対象とする疫学調査でございますので、これにつきましては、日本小児科学会等の協力を得まして、全国の小児科専門医研修施設、また、その関連施設に調査協力の依頼を行っているところでございます。
今後、その結果をこの検討会のほうに適宜報告しまして、進捗状況等の評価を行っていただいて、必要な助言をしていただくという流れになっております。
事務局のほうからは以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問、ございますでしょうか。
特にありませんか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
議題2、「疫学調査の実施方法、実施体制、実施状況などについて」は、事務局に加えて、きょうおいでになっていらっしゃいます研究グループの先生方から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 これにつきましては、多屋先生、よろしくお願いいたします。
○多屋参考人 国立感染症研究所感染症情報センターの多屋です。私のほうから、国立感染症研究所に依頼がありました本疫学調査の概要について御説明をさせていただきたいと存じます。
まず、今、厚生労働省のほうから御説明いただきましたように、12月7日に資料4、協力のお願いという文書を、日本小児科学会の多大なる御協力をいただきまして、専門医研修施設の小児科指導医の先生宛てにお送りさせていただきました。
内容につきましては、次のページにございます「概要」と書いた、先ほど御説明いただきましたものをポンチ絵として御説明しているのですけれども、さらに詳しい資料につきましては、資料5と記載しておりますが、「担当医用説明書」というものにまとめてございます。お忙しい先生方ですので、これを全部お読みいただくのはもちろんのことなのですけれども、5ページ目に、これを簡単にまとめた概要版というものをつけてございます。
この疫学調査の概要につきましては、まず、資料6「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」というのがことしの秋、SIDS予防に対する強化月間というのが11月にあったと思うのですけれども、それに先立ちまして厚生労働省のSIDS研究班の先生方が、今まであった既存のものを少し改編して第2版としてつくってくださったものです。
その裏になるのですけれども、問診・チェックリストがございます。これは、今まで使われていたチェックリストの中には、右の列にある「直近1カ月間のワクチン歴」という項目がなかったものでございますので、このほど、「直近1カ月間のワクチン歴」という項目をチェックリストの中に織り込んでいただけることとなりました。
このチェックリストは、基本的には乳幼児が突然死されたという患者さんを診断された場合に、主治医の先生が御家族の方ですとか関係者の方に聞かれたり、あるいは母子健康手帳をごらんになられたりして記載されるものという位置づけになっております。
突然死に至ってしまわれた状況などがかなり詳しく記載されるようになっているのですけれども、これにつきましては、「カルテ保存用紙、法医・病理連絡用紙」と書かれていますように、恐らくこれが書かれて、カルテに保管されているものと思います。
この疫学調査事業では、こちらは、この保管されている用紙のコピーを国立感染症研究所のほうに送っていただくというところから研究が始まります。この問診・チェックリストのコピーが送られました後、先ほど吉田先生のほうから少し御説明いただきましたように、この患者さんと月齢、性別が同じお子さんで、その病院に受診された方、死亡が診断された、できれば前後2週間、前後4週間の間にその病院を受診された方を対照として、資料7に示しますチェックリストを御記入いただくというケース・コントロール・スタディーとなっております。
この対照例用の問診・チェックリストは、先ほどのSIDS診断のための問診・チェックリストと、ほとんど全て項目は全く一致させております。ただ、死亡ということがないお子さんを対照にしますので、死亡ということについての項目の質問をしてございません。
また、主な臨床検査データについては、もちろん検査をされていない方もたくさんいらっしゃると思いますので、臨床検査データというところもございません。
それ以外につきましては、同じ項目を記載いたしまして御回答いただくのですが、これにつきましては、この疫学調査事業のことを御説明いただいた上で同意がいただけた保護者の方からこの内容を聞いていただいて、感染研のほうに送っていただくという流れになってございます。
人数につきましては、対照の方はお二人お願いしますということでお願いをしております。
現在のところ、進捗状況を簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、12月7日に小児科学会の専門医研修施設というところにお願いのお手紙をお送りしました。この医療機関が519医療機関ございます。ここは、主に3次医療を担当されているところが多いです。また、救急、1次医療、2次医療、それぞれ重なって担当されている医療機関が多くあります。
現時点で519医療機関のうち、248医療機関については、この疫学調査に御協力いただけるかどうかのお返事を頂戴することができまして、1回目のお願いの回収率は47.8%と、全国調査としては非常に高い回収率をいただくことができました。ただ、まだお返事をいただいていない医療機関につきましては、本日付でもう一度お願いのお手紙をお送りさせていただいております。
この小児科専門医研修施設から御回答いただいた248医療機関の結果をまとめさせていただきます。
お手元の資料の、先ほど吉田先生が説明してくださった概要の裏になるのですけれども、ファックス返信用紙が入っているかと思います。このような形で、この調査に御協力いただけるかどうかということに加えまして、御協力いただけると御回答いただきました医療機関の先生方には、その医療機関で最近受診した原因不明の乳幼児の突然死の症例数を記載していただいております。
その数を申し上げますと、御回答いただきました248医療機関から、平成23年は88人、平成24年は82人の原因不明の乳幼児の突然死の患者さんを御経験されたという回答をいただきました。
先ほど、俵木課長様のほうから150人ぐらいの乳幼児突然死症候群というお話がありましたので、ちょうど半分ぐらいの回収で、約80人から90人の乳幼児突然死症候群の患者さんを経験されたという回答をいただいていますので、恐らく残りの二百数十施設で50人ぐらいを御経験されたのではないかと考えております。
次に、小児科専門医研修施設の関連施設というのが約700施設ございます。その関連施設700につきましては、ことしに入りまして、同じ協力をお願いできませんかという御依頼のお手紙をお送りさせていただきました。そちらのほうからも既に御回答をいただいておりまして、700のうち、今、300余りですが、やはりこちらも半分ぐらいの施設から協力の御回答をいただきました。協力いただける施設が267施設、ただし、こちらでは、先ほどの専門医医療機関とは違いまして、SIDSの患者さんを御経験された数が少なくございました。平成23年は、267施設の中で10人、平成24年は18人の患者さんを御経験されたという回答をいただいておりますので、今既に協力可能と御回答いただいた医療機関の先生方からは、100人ぐらいの御経験をされた医療機関が今回の疫学事業に協力してくださるという御回答をいただけたということになります。
既に1つの医療機関からは、ことしに入りまして乳幼児の突然死の患者さんを御経験されたという御回答をいただきまして、対照例の方を検討してくださっているところというのが疫学調査の現在の進行状況となります。
私からは以上のようなところです。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
事務局は、何か追加はございますか。
○事務局 特段ございません。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、岡田先生。
○岡田参考人 岡田です。
多屋先生から2回目の協力のお手紙を本日付けで出していただいています。そのときに同じ発信元で同じ施設に依頼を出していただいているのですね。来ていない施設、結構大きな施設がありそうです。たとえば、大学などです。そういうところには、この親委員会の名前をかりて、もう一回、お願いしますというような文書を出していただくことは可能でしょうか。
○事務局 リマインドの仕方になるのですが、できるだけ多くの機関に御協力いただきたいと考えておりますので、今、先生がおっしゃった方法も一つのオプションにしたいと思っています。というのは、また別の方法として、例えば学会のホームページ等に掲載をお願いして呼びかけるなどいろいろな方法がありますので、できるだけ多くの機関に協力いただけるような手段を使って調査協力の呼びかけを行いたいと思いますので、そこは事務局のほうとしても検討させていただきます。
○岡田参考人 よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
多屋先生、いいですか。
○多屋参考人 はい。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。
○掛江構成員 研究計画について教えていただきたいのですが、資料5の2ページ目の2番目の元のではないほうの対象者の「保護者への同意」のところですが、「保護者からの同意書の取得は求めません」という記述になっているのですけれども、これは同意書を求めないということだけではなくて、同意を取得しないというふうに読み合わせていただくものでしょうか。
○多屋参考人 御質問ありがとうございます。決してそうではございませんで、「研究の方法」の3番目、「対照の選択と保護者への同意」という項目がございます。この症例対照研究の対照は、死亡された方と同じ病院を受診した月齢と性別が一緒のお二人の方を選んでいただくわけですけれども、主治医の先生というか、小児科の先生から、こういう調査に協力していただけませんかという御説明をしていただきまして、そして、いいですよと同意していただいた方についてのみ、この対照例のチェックリストを御記入いただく。その同意につきましては、その旨、カルテに記載をお願いいたしますという流れになってございます。
○掛江構成員 申しわけございません。質問の仕方が悪かったようで、対象というのは、突然死された方のほうの、2番のほうの亡くされた方の場合の同意について、「保護者からの同意書の取得は求めません」という記述について質問させていただきました。
○多屋参考人 亡くなられた患者さんにつきましては、SIDS研究班の先生方がつくられました問診・チェックリストというのを書いていただけるように、小児救急医学会の先生方にお願いをしてくださっているというふうに聞いております。
恐らく、乳幼児が突然に亡くなられたというお子さまの保護者の方ですので、こういう疫学調査をしますということを御説明して、その同意をというような状況には、臨床の現場ではなかなかならないであろうということから、このチェックリストは既存の資料として同意をいただかずに、これを書かれた方についてコピーを送っていただくという形の疫学研究にしようということにいたしました。
○掛江構成員 確認なのですが、そうすると、カルテ情報と同じで、既存資料でチェックリストのある方のお名前等の個人情報を削除したものを疫学研究に援用する。可能なのか不可能なのかはよくわかりませんけれども、匿名化したものをお使いになるという理解でよろしいでしょうか。
○多屋参考人 そうです。「氏名(イニシャル)」と書いていますが、IDナンバーだけになっておりまして、こちらでは個人を特定するということはできないような流れになってございます。
○五十嵐座長 小森先生。
○小森構成員 確認でございまして、SIDSについては、皆さん御承知のように、現場で、特にお母様を初め、非常に精神的に大変な状況に追い込まれておられるという現状の中で、つまり、今御説明いただいたことと似ているのですけれども、そういったことについての、当然やっておられると思いますけれども、倫理委員会の状況等について少し御報告を、事務局なのでしょうか、その確認を少ししておいたほうがいいのかなということでございます。
もう一点は、今、多屋先生の御説明で十分お聞きしたのかもしれませんが、可能な限り多くということでございますけれども、今の御選択いただいた小児科の研修に関します病院が、もしも100%応じてくださるとすると、おおむねSIDSの全例という考えでよろしゅうございますか。
○多屋参考人 小森先生、ありがとうございます。
この研究事業のチームの中に、小児救急医学会の理事長である市川先生に入っていただいておりまして、市川先生にはいろいろ御指導をいただいているのですけれども、恐らくほとんどの患者さんが、日本小児科学会の専門医研修施設という病院を受診されるか、そちらに搬送されることが多いであろうというお話をいただきました。また、長村先生に補足いただけるとうれしいのですけれども、そういうお話をいただきまして、実際、半分の医療機関の先生がお返事をいただいたのですけれども、150人の年間のSIDSの患者さんのうち、既に100人ぐらいはそちらで御経験されているというふうに言っていただいていますので、おおむね小児科専門医研修施設のほうを受診されている方が多いのではないかと考えております。
もう一つの御質問である倫理委員会につきましては、国立感染症研究所に設置されております、こういう人に対する疫学研究も含めて倫理委員会に申請をいたしまして、これらの資料を全部倫理委員会に提出して審査をしていただきました。そちらで倫理審査は承認しますというお返事をいただきまして、この事業を開始することにいたしました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○小森構成員 結構でございます。今申し上げたような御事情、皆さん共有をして、この会に臨んでいると思いますけれども、そういう意味で、倫理審査委員会の結果ということを1回、しっかり確認をさせていただくことが重要かと思って御発言させていただきました。
ありがとうございました。
○五十嵐座長 大変貴重な御指摘、ありがとうございました。
長村先生、何か追加はございますか。
○長村構成員 多屋先生がおっしゃったように、SIDSのような内因性の突然死のほとんどは、恐らく日本小児科学会の専門医研修施設に搬入されるだろうと思うのですが、そもそも対象となる死亡例の定義があいまいなように思われます。これはSIDSを対象にした研究なのでしょうか、それとも、あらゆる突然死を含めた研究なのでしょうか。
○多屋参考人 御質問ありがとうございます。
SIDSと診断されるのは、恐らく剖検などいろいろ終わって、最終的にSIDSというふうに診断されると思うのですけれども、そこまで待つのではなくて、乳幼児の方が突然に亡くなられたという方が診断された場合に、症例として登録をいただくという形にしてございます。
○長村構成員 そうすると、例えば交通外傷であっても突然死はあり得るし、いろいろな基礎疾患で障害のあるお子さんが誤嚥をして窒息するみたいなこともあり得ると思うのですけれども、そういうのも全部ひっくるめての突然死というふうに考えていいのでしょうか。
○多屋参考人 基礎に御病気を持たれていらっしゃいまして、その病気でお亡くなりになられたという原因がわかっている患者さんについては、対象とはしてございません。
○長村構成員 チェックリストには、基礎疾患の有無というのを聞く項目がありますが、それを参考に基礎疾患の人は除外するということでしょうか。
○多屋参考人 明らかにその病気でお亡くなりになられた方というのは、対象とはしていないです。あくまでも原因不明で亡くなられて、この問診・チェックリストを御記入になられた方というのを症例として御報告いただくような形になってございます。
○長村構成員 SIDSに限定するのであれば、ワクチン接種がSIDSを起こしやすいかどうかという研究になると思うのですけれども、対象がSIDSプラスいろいろな原因不明の突然死とした場合、何が突然死のrisk factorになったのかという解析がなかなか難しいのではないかということを懸念します。
さらに、先程150人のSIDSの内の80人が集まっていますとおっしゃいましたけれども、その80人は必ずしも全てがSIDSと確定診断されている症例ばかりではないような気がするのですけれども、それは今後の解析により明らかになっていくと考えれば良いのでしょうか。
○多屋参考人 ファックスでお願いしているのは、最近受診した原因不明の乳幼児の突然死症例数という形でお伺いしておりますので、どのように書いてくださっているかは全てわかるわけではないのですけれども、そういうふうに診断された方が、今のところ大体100人ぐらい、協力可と回答していただいた医療機関から、それぐらいの患者さんをごらんになられたという回答をいただきました。
○長村構成員 ひょっとして、未診断の心筋症の子どもさんが不整脈で突然死するとか、そういう症例まで入ってくると、ワクチンの影響を厳密に検討することが難しくなるのではないかと危惧します。
○庵原構成員 これは、要するに剖検例で確定したのと、解剖なしと書く欄がありますね。ということは、剖検例で確定したのと怪しいのと分けるということで層別解析みたいな形が可能と読めるのですけれども、それでいいですよね。そうすると、長村先生の心配していることがある程度クリアされるのではないかと思うのです。
○五十嵐座長 島田先生、どうぞ。
○島田参考人 私のほうから少し追加しますと、おっしゃるように、先生が御心配されている、例えば基礎疾患だとか、剖検のあり、なしなどは、解析をする上で統計の手技の中で調整することができるので、それは大丈夫だと思います。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○長村構成員 はい。
○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○松本構成員 先ほどの保護者への同意の件ですけれども、医療機関のほうでなかなか全数は御協力いただけていないということなのですけれども、例えば保護者のほうに同意を求めるための簡単な概要を書いたものとか、そういったものがあれば、医療機関のほうもそれを提示しながら対照者のほうに御説明をしやすい、医療機関としても協力できるのではないかという可能性はないのかと思ったのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○多屋参考人 それにつきましては、現在つくったものがあるというわけではないのですけれども、今いただきました御意見をもとに、この後、検討していきたいと存じます。
○掛江構成員 今の御質問に関連するのですけれども、私も対照者の同意のほうも気になっていて、いただいた資料を拝見すると、御本人が対照例用問診・チェックリストに記入するということなのでしょうか。それとも、もしドクターがということであるならば、記入をもって同意を得たこととするというのは自記式の場合に使われる方法であって、ドクターが書かれるのであれば、口頭で同意を取得したというような記載欄があるほうが望ましいのかなと。御本人が何らかの概要なり共通の説明文書をごらんになられて、御本人が記入されたのであれば、御本人が意思を持って書かれたという確認ができたということで、この論理は成り立つと思うのですけれども、若干そこがしっくりこなかったので、方法の手順は既に決めておられるのだと思うのですけれども、再度御確認いただければと思っております。
○多屋参考人 ありがとうございます。現在のところは、保護者の方にお渡しして書いていただいても悪くないようにはなっているのですけれども、現在のところは、基本的には先生のほうにカルテからの転載をお願いしたいという形にしてございます。
○五十嵐座長 今の方法で倫理的に非常に問題があるということが生じますか。
○掛江構成員 倫理的に問題といいますか、非常に気になるところは、調査用紙への記入をもって本調査に同意していただいたものと考えるという。
○五十嵐座長 5ページのところですね。
○掛江構成員 ほかのところにも書いてございましたので、その場合は、御本人の意思をもって記入された調査票の場合に使われる論法かなと思いましたので、若干違うような気もいたしました。
○五十嵐座長 そうすると、5ページの右下にある吹き出しのやつですけれども、担当医から口頭で説明をした上でということですね、同意を得た上でという文章があれば問題ないという意味ですか。
○掛江構成員 5ページもそうですし、2ページの3の真ん中の御説明でも、口頭で説明していただいて、同意が得られた者についてとちゃんと書いてあるので、口頭の同意をいただいたことをもって同意取得としていただいて、記入をもって同意としてしまうと、そこにそごが生じるかなというふうに感じております。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○多屋参考人 ありがとうございます。まだ、御報告いただいた患者さんはお一人で、対照例はこれからというところですので、これを書いていただくという方法が可能かどうか検討したいと思っています。
○小森構成員 ささいなことでお許しもいただきたいのですが、先ほど申し上げたような事由を共有するとすると、資料7の記載欄の一番下に2行書いてございます2行目が、こういったチェックリストをお書きいただいたものに、こういう記載はちょっとなじまないのではないかと思いますので、ぜひ削除の方向で御検討いただきたいと思います。
○多屋参考人 それにつきましては、こちらのほうでも既に検討をしてございまして、これは医療機関の先生方にはこのように書いているのですけれども、実際に、もし保護者の方に書いていただくのであれば、最後の行を書いていないものも別途つくってございまして、ホームページには最後の行を書いていないものを上げてございますので、そちらをダウンロードしていただけましたら、最後の謝金については記載をしていないものが掲載されてございます。
○小森構成員 ドクターがお書きになるものであっても、これは不要ではないかと私は理解します。
○五十嵐座長 これは、削除することはできますか。
○多屋参考人 ホームページには既に削除したものを掲載しております。
○五十嵐座長 それでは、そういう方向でお願いしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、御意見どうもありがとうございました。
最後の議題3に移りたいと思います。「直近の海外の文献について」ですけれども、ワクチン接種と乳幼児の突然死の関連ついて、今回の疫学調査では前向きのケース・コントロール・スタディーの手法を用いるわけですけれども、既にフランスの疫学調査等では、それから、最近出ましたイタリアとドイツのケース・シリーズ・スタディーという新しい方法を用いた論文の報告がありますので、この会に御出席の皆様全員でその情報を共有したいと考えています。
これにつきまして、事務局及び研究グループの先生方から御説明をいただきたいと思います。
○事務局 これにつきましては、研究グループの島田先生のほうから、資料8のパワーポイントの資料を御用意いただいていますので、御説明をお願いできればと思います。
○五十嵐座長 よろしくお願いします。
○島田参考人 では、資料8を用いて説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほど、五十嵐先生のほうから御紹介があったように、今回のスタディーデザインは前向きのケース・コントロール・スタディーとなっているが、そのほかの方法も検討してみたらどうかという御提案もありましたので、今回のスタディーに応用ができるかどうかも含めて、きょうは御紹介させていただきます。
「Self-controlled case series methodというのが最近のワクチンと、ある一定のアウトカムというか、例えばここでは突然死症候群なのですけれども、アウトカムとワクチンの関連を見るときに、最近使われ始めているメソッドです。以後、SCCSと申し上げます。
1枚目の下のスライド、2と書いていますけれども、そこに行きます。
これは、この手法を編み出したWhitakerという人たちの研究グループが出した、SCCSメソッドのレビューのようなペーパーから紹介します。
これができた背景としては、90年代にイギリスで、MMRと無菌性髄膜炎との関連を検証するために用いられた。ただ、去年の日本とよく似ているのですけれども、早急にこの関係を検証することが要請された。ところが、従来、古典的な手法でやるケース・コントロール・スタディーをするとなると、コントロール群を集められない、そういう時間はかけられないということで編み出したということです。
以前から用いられていたcross-over methodというのは、ある事象が起こった症例の中で、1つの症例の中で期間を分けて、症例の中で対照のピリオド、暴露、事象が起こったピリオドを使うという手法のcross-over methodというのがありまして、それを応用して編み出しましたというメソッドです。
現在では、ワクチン以外の複数回の暴露機会とアウトカムの関連を検証する目的で応用されています。
最初にSCCSの論文が出たのは、95年だということです。1995年に文献になりました。
次のページ、3番目のスライドですけれども、これもTutorial in Biostatisticsからの引用です。
このSCCSの利点は、ケースのみで実施可能、これが一番大きな利点です。
あと、同じ症例をケース、またはケースと比べるべきものとして使うので、性、経済社会的背景や遺伝学的背景、また、個体の弱さというのは、原文ではindividual frailtyとなっていますけれども、これは、例えば定量的にはあらわせないけれども、この子、体力ないよね、この子、体力あるよねみたいなものを指していると思われます。個体の弱さ(frailty)や基礎疾患などの交絡因子に左右されない。
3番目、4番目は、このメソッドに特化したものではないですけれども、発生頻度を数式に挿入可能、モデリングが可能ということです。
制限としましては、アウトカムの発生に暴露の条件が左右されないことが必要とあります。これはちょっとわかりにくいですが、今回、アウトカムは死亡ということに設定しているので、死亡した後にワクチンはもちろん打てないので、死亡した後にワクチンという暴露条件が左右されないことが必要という意味です。これは、死亡というアウトカムが設定されている場合は、左右されることはありません。
どんなときに左右されるかというと、例えば同じワクチンとして、ある1回目のワクチンを打ったら手が腫れてしまった。そうしたら、次、ワクチンを受けるときに、何らかの行動変容があるかもしれない、そういう場合には、腫れてしまったとかアレルギーが出てしまった、そういうアウトカムの発生に次の暴露の条件が左右される、そういう意味です。
2番目ですけれども、イベントが反復するものでは、イベントというのは、この論文の中ではアウトカムと同じ意味で使われています。イベントもしくはアウトカムが反復するものでない場合、そのイベントが発生する確率は小さいことが必要。これは、今回の研究事業でいいますと、乳幼児突然死症候群なので十分に発生する確率は小さいと言えます。
3番目、算出可能なのはrelative incidenceのみで、absolute incidenceが算出できないというのは、absolute incidenceというのは、ある人口をある期間見たときに、何人発生しましたか。例えば、100人、1年間観察して、1人発生したら、そのabsolute incidenceは1%、100というふうになるのですけれども、このSCCSの場合は、一つの個人である時期とある時期の発生率を比較するので、そのabsolute incidenceが算出できないという意味です。
4番目、イベントが発生する時間や年齢にばらつきがなければならないということですが、これは、簡単に言ってしまえば、例えばそのイベントが発生する時間を2歳だけに限っているとか、そんなことはあり得ないので大丈夫なのですけれども、そういう意味です。どんな年齢にも起こり得るし、どんなワクチンとイベントが発生する時間も、必ず14時間後とかそういうふうに固定されていないので全く関係ないですが、一応、こういう前提のもとでなければできないという制限があるということです。
その下、これはSCCSのメソッドを使った論文の紹介です。2011年に発行されたもので、イタリアでのスタディーです。
これも「Sudden Unexpected Deaths」となっていますけれども、ちゃんと剖検されてSIDSと診断されたものと、剖検まではいかなかったけれども、原因がよくわからなかった突然死というのを含めて、SUDとしています。そのSUDとワクチンの関係を見たスタディーということです。
具体的なメソッドは、5番目のスライドに書いてありますけれども、SCCSでは、図のAのほう、Self-controlled case series(SCCS)のほうに書いていますけれども、例えば、このスタディーでは、そのワクチンから2週間をリスクピリオドと決めています。ワクチンを打って2週間、リスクピリオド以外をコントロールピリオドに設定しています。もしリスクピリオドに発生した場合を、この場合は死亡ですけれども、イベントを発生した場合をケースとして扱って、コントロールピリオドにイベントが発生した場合をunexposed、非暴露ケースとして両方の群を比べるという意味です。
7番目、8番目のスライドに行きますけれども、このスタディーでは604人が対象となって、その下、8番目ですけれども、Exposedというのはリスクピリオド、何らかのワクチンを打って14日以内に亡くなられた方がExposedケースで52人、リスクピリオド以外に亡くなられた方がNot-Exposedケースとして192人解析されましたという状況です。
この文献の結論としては、SUDとワクチンの関係は明らかでなかった、有意な関係は認められなかったというふうになっています。
10番目のスライドになりますが、結論とディスカッションということでまとめていますけれども、対照としたワクチン接種後7日以内のrisk ratioがちょっと高目に出ていた。ただ、4番目のポツにありますけれども、risk ratioが高いのは、接種後7日以内の群と1回目の接種の群で、最もSUDが起こりやすい年齢群、これが影響しているのではないかというものでした。こういうぐあいで、最近のワクチンとあるイベントの関係を考察することが多いです。
最後のページになりますが、ただ、最近、SCCSは、やはり完璧な方法ではないのではないかということで、それを少し変えて、理論的には私も理解していないのですけれども、SCCSメソッドをもう少しモディファイした方法のほうがいいのではないかということが提唱されています。ただ、modified SCCSというのは、まだ発展途上というか、検討中のメソッドということで、広くほかの研究で採用されているわけではないみたいです。
今回の事業にSCCSというのは使えるかということですけれども、もともとケース・コントロール・スタディーを補完するという意味でSCCSは編み出されました。ケースだけをリクルートすればできるスタディーなので、私たちの事業の中でもできます。本事業でも実施可能です。
ただ、もっともクリティカルなデータは、予防接種歴なのです。リスクピリオドとそうでないピリオドがはっきりわからないとこの手法は使えないので、頑張って症例群と対照群で予防接種歴はストリクトにとれないといけないと思います。
以上です。
○五十嵐座長 御説明、どうもありがとうございました。
御質問、御意見ございますか。
○庵原構成員 0-1とか0-7とか0-14と、観察期間とコントロールと2つ分けていますね。その観察期間がワクチンとは関係あるとかという前提があってですか。それとも、要するに、イベントが0-14と15-28とかを比べているのは、ワクチンでは、起こるとしたらそこに起こるのだという前提で切っているという意味ですか。
○島田参考人 おっしゃるとおりで、大体先行研究でリスクピリオドというのは決められているみたいで、このスタディーでは0-14というふうに設定されています。
ほかのスタディーでは、必ずしも先行研究が0-14でない場合があるので、0-14、14-28というふうに2つのリスクピリオドを決めている場合もあります。それは任意でできると思います。
○庵原構成員 実をいいますと、ワクチンの場合に、0-1だと統計的に有意差が出て、0-7だと消えていくというのがありますね。これでもテーブル3を見ていますと、1回目のワクチンの0-7と、コンフィデンスインターバルは1を超えていますね。ということは、このところだけ統計的には有意に読めるのですけれども、そういう形で0-1をとる意味があるのか、0-7をとる意味があるのか、その辺のところのとり方というのは、何か根拠があってとっていくわけですか。単に統計的な差を出すために切り分けているのかという、そこの意味なのですけれども。
○島田参考人 統計学的に差を出すために設定するのは手法上御法度なので、大体先行研究で証明されたリスクピリオドを設定することが多いです。例えばロタだと、ロタなりのリスクピリオドの設定の仕方があります。
○庵原構成員 そうすると、これはMixed-Valentのものだからこういう形で、要するにやってみたらこういう結果であったという解釈でいいわけですか。
一般的にワクチンが関係する突然死に、不活化ワクチンの場合は大体0-2ぐらいの間に起こってくるだろうというイメージをほとんどの人は持っているのですけれども、それを0-7で来て有意だから、そうしたら0-7でやばいのではないかということを持っていっていいのかという、そこの話なのです。要するに、統計的な数字をそのまま実際に持っていっていいのかという、そこの解釈ですけれども。
○島田参考人 例えば、こういうことはしませんという例から挙げますと、自由に0-5とそれ以外の区域を見てみたら、どうも0-5で有意差が出た。では、これをリスクピリオドにしようという方法ではないのです。あくまでも先行研究などを調べて、リスクピリオドは最初から設定します。それで比べるといい。
○五十嵐座長 ほかはいかがですか。
○加藤構成員 今御紹介いただきました論文で「First Two Years of Life」と書いてありまして、先ほどの研究方法のほうに戻ってしまうのですけれども、乳幼児の突然死という場合に、年齢のところが何歳ぐらいまでを考えていらっしゃるのかとか、チェックリストの資料なのですけれども、これが乳幼児突然死症候群を対照として作成されていますので、小児科医として見ると、1歳未満のお子さんを対照にしたチェックリストみたいなイメージが強いのではないかと思うのです。
それで、この調査研究が何歳ぐらいまでのお子さんを対照としているのかというのが、このお願いの文章を見てはっきりわからなかったので、例えば1歳を過ぎてから打つ予防接種もありますので、どこら辺までを対照年齢とするのかというのを示しておかれたほうがいいのかという気がしたのですけれども。
○多屋参考人 乳幼児突然死症候群診断ガイドラインの後ろにあるチェックリストを書かれた患者さんをケースとするというふうに決めましたので、これを書かれた人は全部送っていただくという流れになっておりまして、年齢は明確に何歳までにするというふうには書いていないのですけれども、送っていただいた後で年齢については解析をすることは可能かというふうには考えております。
○島田参考人 補足をします。
症例が余り集まらないだろうということで、年齢を決めずに広くとってみようということが最初にありました。その上で、集まってくれば解析の時点で年齢は調整できたり、対照を絞ったりできるというふうに考えております。
○加藤構成員 ガイドライン(第2版)の最初の「定義」のところに、「原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」とはっきりここに書いてありますので、1歳未満というふうに意識が行ってしまう可能性が少しあるのかなと思いました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
○岡田参考人 実際の症例の中で、特にケースの場合ワクチン歴がなかなかわからないことがあると思います。母子手帳を持ってきていなくて、救急病院に行って、そこで亡くなったというときに、カルテを書く先生方も、恐らく母子手帳で確認ができないと思うのです。そのときに、今の島田先生の御説明だと、特に1か月以内のワクチン歴でいつやったかというところがとても大事になってくるとすると、倫理的にも、ケースのところに、例えば感染研から主治医の先生に、もう一度、母子手帳でワクチン歴を確認していただけますかという問い合わせというのは可能なのでしょうか。
○五十嵐座長 どうぞ、補足してください。
○掛江構成員 非常に重要な点だと思うのですが、私自身が細かいプロトコルを見せていただいていないので何ともと思うのですけれども、例えばSIDSで亡くなられた方でワクチン歴の正確に記入がない方の場合、そもそも同意も何も、医療機関では追加のコンタクトはないわけですね。そういう方に、しかもメンタルにもいろいろなつらい状況にある方に、この調査のためだけに、しかも既存資料ということで同意をとらずにデザインしている計画でアプローチをするというのは、恐らくまずできないであろうと思いますが、プロトコル上はどういう。
○多屋参考人 実際は、そこが一番悩んでいるところなのですけれども、御報告いただいた方は、最初の方はワクチン歴は不明ということだったのです。唯一BCGの跡があるので、BCGのみは接種している、あとは不明ということだったのですけれども、このチェックリストをつくっていただくときに、SIDS研究班の先生方が随分議論してくださって、あと、母子保健課の方も議論をしてくださったのですけれども、「直近1カ月のワクチン歴」というところにもっと詳しく母子手帳を必ず見て書いてくださいということを書いてもいいだろうかと随分議論をしたのですが、そういうふうに書くと、ワクチン歴だけ特化して非常に詳し過ぎるというような御意見もいただきまして、最終的には一番上にある※印の「母子手帳をお持ちの場合、ワクチン歴などは、母子手帳からの転載も可能です」と入れていただくのがぎりぎり許された範囲内だったということなのです。
このチェックリストを書いていただくというお願いを小児科の先生方にしていくしか、この事業としてはなかなか難しいのかなということを考えておりまして、最初に送ってくださった先生には、ワクチン歴について今後わかるということはあるのでしょうかということはお伺いをしているのですけれども、それはないという御回答だったので、そこは我々も一番悩んでいるところなので、何とかチェックリストを書かれる先生に1か月間のワクチン歴というのを、ぜひ母子手帳をお持ちの方は見ていただいて書いてくださいというお願いをしていかなければならないのかなと、一番悩んでいるところではあります。
○掛江構成員 だとすると、最初にSIDSのチェックリストを送っていただいたときに、ワクチン歴のところが正確に記入のない方というのは、実は本調査の対照者として適さない方ですね。そこがわかっていながら、コントロール2名の方をまたさらに探していただくというようなお手間をかけるのは、可能性としてはむだな研究にむだな労力を費やしていただくという意味で、デザインとしては非常に不適切な面があるように思うのです。
プラス、長村先生が最初のほうで御指摘された、別の死因が、ほかのものがあることというか、ワクチンと関係ないであろうことがほぼわかるような方で、SIDSのチェックリストを書いていらっしゃる方も、この資料だけがドクターのところに来ている情報だとすると、当然、書いて送ってくださる可能性はあると思うのですけれども、その場合も、かなりむだな労力になっているのかなというふうに感じるのですが、いかがなものなのでしょうか。
○多屋参考人 まさしくそれを、先日、このチームで相談をしておりました。最初の患者さんが、そういうワクチン歴、BCGが不明ということだったので、この患者さんについては対照の方をお願いするというのは申しわけないので、この調査の対照としないでもいいのではないかというのをチームの中で議論をしていたのですけれども、ただ、この疫学調査には、チェックリストはワクチン以外にもいろいろな項目がございまして、そういったところについても検討をしていくということが盛り込まれているものですから、ワクチン歴以外の情報についても大事なので、症例対照研究として対照の方をお願いしようというふうに御相談の上でなったというところがございます。
ですので、ワクチンとの関係ということについては、症例対照研究という形にはなり得ないことになってしまいます。そこはチームの中でも随分議論をしたのですけれども、中では、そういう理由で引き続きお願いをさせていただこうかということになっているのですけれども、今のところ、お一人の報告があって、最初の方がそういう状況だったというのは、先生おっしゃるとおりで、まさにこの間、議論をしていたところでした。
○長村構成員 初歩的な質問で申しわけないですけれども、ワクチン接種の有無ということで評価するのであれば、ワクチンの種類がこれだけたくさんあって、同時接種も含めていろいろなやり方をしているのに、全部ひっくるめてワクチンが良いか悪いかみたいなことしか結論が出せないということにならないのでしょうか。最終的には症例を集積し、各ワクチンに関して個別に検討する予定になっているのでしょうか。
○島田参考人 そのとおりで、先ほど御紹介したSCCSの手法なども用いて、ワクチンごとの検討はできると思います。ただ、その場合も、おのおののワクチンの接種日とかが非常に重要になってくるので、現実的にどのくらい解析可能な症例が集まってくるかは、実は今のところは不安材料です。
また、外国でされているSCCSとかケース・コントロール・スタディーがうまくいくのはなぜかというと、ワクチン接種歴のレジスターが公的に自動的にできるのです。そうすると、新たに亡くなったからといって聞く必要がないからうまくいっている。だから、そこが少し私たちの制限です。
○長村構成員 もう一つ、細かい質問で恐縮ですが、このチェックリストから突然死の原因として虐待の可能性は除外できるようになっているのでしょうか。
○多屋参考人 むしろ、それはSIDS研究班の先生に教えていただきたいのですが、これで虐待を除外する目的で使われているかどうかは、こちらではわからないのですけれども。
○加藤構成員 このチェックリストをつくる過程で、項目について御家族の受診されたときの御様子とか、そういう項目も一応考えたのですけれども、ここで唯一残っているのが、左側の下のほうの「病院搬入時の状態」というところで、「外表の外傷」とか「その他の特記事項」というところに少しだけ残しました。
ですから、明らかに外傷とか皮下出血みたいなものがあればここで挙がってくると思うのですけれども、そこまで100%除外できるということではないと思います。
○五十嵐座長 制限が幾つかあるのではないかという御指摘なのですけれども、ほかはいかがですか。
○庵原構成員 先ほどの外国だとレジスターがあるという話で、日本でも一部のところではコンピューターでレジストをされているのですけれども、そのデータをこのために引っ張り出してくるということは問題が生じるわけですか。それは倫理的な問題、どこの領域の問題、法的に問題が出てくるのですか。登録されていないところは無理なのでしょうけれども、多くのところは、今、電算化でワクチン歴は、定義に関しては登録されているのですけれども、それはこのために引っ張り出してもらう、ないしは行政に頼んで教えてもらうということは可能なのですか、それとも個人情報の秘密にひっかかるのでしょうか。その辺、厚労省側はどう考えておられるかということと、倫理的にそのことは可能かということだけ、倫理学者にもお聞きしたいのですけれども。
○事務局 想定していなかったので正確に検討もしていないのですけれども、そのためには、医療機関から個人情報を出していただくしかないので、市町村に出していただくのか、厚労省に出していただくのか、そこがかなり難しいのではないか。多分、一つ一つの医療機関で倫理審査会を通してもらうとかということも必要になってくるような気もするのですけれども、いかがでしょうか。
○庵原構成員 要するに、逆に言うと、感染研の中央で、こういう症例の場合は通してもいいというのを一遍通してしまってくれれば、各施設で倫理審査はかけやすくなるのですけれども、ないしは、これは個人情報ではないというか、そこへ含まれないというか、外国でもやっているのでオーケーですよという形でいけるのかという、そこの解釈です。
要するに、イタリアとかでやっているところはいけているわけですね。なぜ日本がいけないのかという話も出てくるのですけれども、その辺いかがですか。日本の法律だと、やはり厳密に個人情報保護でひっかかってきますか。
○事務局 正確に検討してみないとですけれども、直感的にはかなり難しいと思いますけれども、外国でできているのが、例えばどういう法律的なバックがあるのか、どこかでそういう調査には協力すべきみたいなことが規定されていたりするのかもしれまぜんので、そういう法律で規定されている場合に個人情報を出していただくということはスムーズにいくのだろうなとは思うのですけれども、いずれにしても、ワクチン接種は行政のほうで動いている中で、原因不明でお亡くなりになった、それはどこの医療機関にかかるかわかりませんが、その医療機関からお亡くなりになった方の氏名なり個人情報を出していただかない限りは、そこと連携できなくなってしまうので、その個人情報も病院から出してもらうというところが、なかなかハードルが高そうな気がするのですけれども、きょう御指摘いただいたので、可能性についてはもう少し精査して考えてみますけれども、かなり厳しいのではないかと。
○五十嵐座長 掛江先生、その点で何か補足ありますか。
○掛江構成員 今、俵木課長がおっしゃったとおりだと思うのですが、私自身、レジストリを存じ上げていないので、不勉強で申しわけないのですけれども、どこが主体で、どういう目的で集めていらっしゃるレジストリなのかがよくわからないので、例えば解釈として、目的外使用なのか、目的内で使用できるのかとか、そういったところも関係あるのかとは思うのです。どういう目的で予防接種の情報をどこが集めて管理していらっしゃるか、それがどういう権限で、どういう皆さんの了解に基づいて集めていらっしゃるものなのか、その目的もどういうふうに周知されているのかというあたりを一度御確認いただいて検討して、今までのお話を伺っていると、検討していただく価値は非常に高いのかなと、特に数が少ない中でというところで、研究チームの先生方も非常に苦労されてプロトコルを検討されているのが非常によくわかりますので、そういった意味では、公的なものが公的な手続を踏んで使えるのであればよろしいのかと思いました。
○松本構成員 市町村のほうで予防接種台帳ということで台帳システムを組んでおりますので、この方がいつ、どの予防接種を受けたかというのは、大概の市町村は把握できていると思います。例えば、死亡届というのは恐らく市町村にお出しになられますし、その中に記載されている内容というのは死亡原因等も書かれておられますので、ひょっとしたら保護者のほうにこういうことで突合させてもいいかということの御了解を、こういうナーバスな状態で大変申しわけないと思うのですけれども、御協力が求められるのであれば、突合することは不可能ではないのではないかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○砂川参考人 例えば、海外で副反応が疑われる事例の調査のための基礎データをどうやって集めているかというところについて、今、きちんと情報をお示しできるわけではないのですが、幾つか見てきた状況で言うと、例えばアメリカとかイギリスは、人口の何割かという人たちをあらかじめ登録しておいて、事例が生じたときに、そのような人たちより詳細な情報を収集・分析することが可能になっている国があったり、北欧などは、人口が少ないこともあるのですが、国民の全員がコホートみたいになっており、まれな事象に関する情報を分析できるようになっているという工夫があります。今の議論とは本質が違うかもしれませんが、こういったまれな事象が発生したときにどのような分析を行うか、そのための人口ベースでの調査体制をどう構築していくか、そういった国としての仕組みを考える一つの機会にもなるかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
大変難しい問題がありそうだということが今の議論でわかってきたのですけれども、この点は、これからもう一度チェックしていただいて、その答えも近いうちにいただくということでよろしいですか。今すぐに返答できないことが多いようですので、いかがでしょうか。
○事務局 いただいたご意見は内部で検討いたしまして、また検討会のほうにお返ししたいと思っております。
○庵原構成員 もしそれが無理だと、私たちの現場で言われているのは、亡くなられた方というか、SIDSで飛び込まれた方がかかりつけ医が誰かと聞いたら答えてくれることがあるのです。そうしますと、かかりつけ医がわかれば問い合わすことは可能になるのですけれども、この研究計画でそういう手法を用いるのもバツになるのですか。倫理的とか何とか言われて、裏からこそっと行っているような気はするのですけれども、そういうのは、得た情報をフルに使うということは許されることでしょうか。その辺を教えてください。
○多屋参考人 研究計画書には、そのようには申請をしてございませんので、もしそういうことをお願いするとなると、多分、追加で倫理委員会に申請をして承認をいただかないと、現時点ではそれはできないことかと思っていますので、また持ち帰りまして、再度、倫理委員会にそういうことで申請できるかどうか考えてみたいと思います。
先ほどから先生方からいただいていたレジスターの件ですけれども、確かに定期接種はレジストされていると思うのですが、今回、もともとはヒブと肺炎球菌から始まったことで、今、任意接種のワクチンもたくさんある中、それが全部登録されているとなると非常に難しく、それでは、母子手帳だったら任意であっても、定期であっても書かれているので、何とか母子手帳を見ていただいてここに書いていただきたいという研究チームの願いが込められていたわけですけれども、本当にそこが今難しいところで、それが可能かどうか聞いてみたいと思います。
○岡田参考人 確認ですけれども、感染研からケースをいただいた先生のところに、もう一度ワクチン歴を聞いてくださいということを問い合わせるのは御法度ですか。
○掛江構成員 私が答える立場ではないような気もするのですが、SIDSの診断を受けられた方というのは、既存資料の使用しかここでは想定していないので、既存資料の使用の方に追加情報を求めるとなるとデザインが全く変わるわけですね。そもそも既存資料ではなくて、新たに調査の同意をいただいてコンタクトをとるというデザインに変わってしまうので、そこはかなり大きな変更になるかと思いますし、メンタルなことを考えると難しいのかなと。
○五十嵐座長 幾つかクリアしなければいけない問題がきょうは出てきたので、これは後で検討していただいて、また次の検討会のときまでにどうするかも決めていただかなければいけないのですが、ただ、スタディーはもう始まっていますので、大きな方針変更というのはなかなかできないので、結局、しばらくは今のままで行くわけですね。
○多屋参考人 今のままで行かざるを得ないのですけれども、追加での倫理委員会のほうに申請するというのは検討してみたいと思います。
ただ、お願いをしたいのは、何とか母子手帳を持って駆けつけられた場合は、その母子手帳からここに転載を、ぜひ小児科の先生にお願いしたいというふうに考えております。というのは、このスタディーを考えるときに一番考えたのは、亡くなられたお子さんのお母さんに、予防接種歴だけを新たに聞くとなると、あたかも予防接種が悪かったような印象を保護者の方にむしろ与えてしまってはいけないということで、とにかく既存資料の中にワクチン歴をどうやって入れていただくかというところにSIDSの研究班の先生は随分苦労してくださったところなので、ただ、実際に挙がってきてみるとそこが不明という方が1例目だったということがあって、チームの中でもそこをどうしていいかということで悩んでいるところでもあります。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、今まで御指摘いただいたことにつきましては、もう一度検討するということで、幾つか問題点が明らかになりました。先生方の御指摘、大変ありがとうございました。
それでは、一応これで予定していた議事は終わりにしたいと思います。
それに関係する、あるいは、それ以外のことでも結構ですけれども、構成員の方、あるいは参考人の方から、何かお話しすることはございますか。
どうぞ。
○掛江構成員 もし可能であればなのですけれども、プロトコル自体をここの委員の先生方で情報共有させていただくというのはできますでしょうか。プロトコルがないので、いろいろ読み取れないところも多くて、例えば研究期間もどのくらいの研究期間だからn数の限界がいろいろあって、年齢の制限もつけないでとか、その全体像が見えない部分もございまして。
○多屋参考人 倫理委員会のほうに提出いたしました資料につきまして、こちらのほうにお出しすることは可能なので、共有させていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
では、これは後日、構成員の方たちにお送りいただきたいと思います。
これで本日の議論を終了したいと思いますけれども、最後に事務局から何かございますか。
○事務局 貴重な御議論ありがとうございました。今日、幾つかの宿題事項をいただいておりますので、これについては事務局のほうでも研究班の方々と御相談の上で検討いたしまして、またこの会議のときに回答をしたいと思っております。
また、今日の会議の速記録でございますが、出来次第、先生方に連絡をして、確認・修正を得てから厚生労働省のホームページに掲載する予定でございます。
次回でございますが、調査の進行具合などを見て開催日を調整したいと思いますので、また先生方のほうに連絡をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、きょうの会議をこれで終了したいと思います。遅くまで活発な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。
<照会先>
医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111
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