ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 労災保険の事業の種類に係る検討会> 第1回「労災保険の事業の種類に係る検討会」議事録




2013年2月7日 第1回「労災保険の事業の種類に係る検討会」議事録

労働基準局 労災補償部 労災管理課 労災保険財政数理室

○日時

平成25年2月7日(木)15:00~16:30


○場所

経済産業省別館1107号会議室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)


○出席者

参集者(五十音順、敬称略)

岡村国和(座長)、鈴木博司、竹村宗哲、山田篤裕

厚生労働省(事務局)

中沖労災補償部長、木暮労災管理課長、中原労災保険財政数理室長、白尾労災保険財政数理室長補佐

○議題

 (1)検討会の趣旨、業種区分の現状について
 (2)製造業における業種区分について
 (3)事業細目の再編について
 (4)その他

○議事

○数理室長補佐(白尾) 定刻になりましたので、ただいまから「第1回労災保険の事業の種類に係る検討会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。座長が決まるまでの間、私のほうで司会進行をさせていただきます。傍聴者の方々にお願いがあるのですが、録音と写真撮影は遠慮されるようにお願いします。最初に労災補償部長の中沖より御挨拶させていただきます。
○労災補償部長(中沖) 先生方には御多忙のところ、この検討会に御参集いただき、誠にありがとうございます。労災保険は、先生方御承知のとおり社会保険と異なり、産業ごとにそのリスクによって、55の区分に分けて保険率を設定いたしております。この区分については、当然のことながら産業構造の変化に応じて、労働災害防止のインセンティブをどう有効に発揮させるか、あるいは保険財政や保険技術上の観点から、適宜、毎回見直しをしております。今回の業種区分の在り方については、前回の検討会で議論されたわけですが、宿題になっておりました事項もございます。本検討会では、次の料率改定に向け、この結果を基にどのような業種区分で料率を設定するのか、あるいはどのようなデータを取ればいいのかということなどにつきまして、御議論していただきたいと思っております。大変重要なポイントですので、御議論をよろしくお願いいたします。
○数理室長補佐 それでは、お集まりの方々を御紹介します。名簿については資料No.1-1、ページ番号で2ページ目になります。役職名が書かれておりますので、五十音順でお名前のみ御紹介させていただきます。岡村委員、鈴木委員、竹村委員、山田委員です。事務局を説明します。労災補償部長の中沖、労災管理課長の木暮、労災保険財政数理室長の中原です。
 次に座長の選出に移ります。座長の選出については、先ほどの資料1-1の3で、互選になっております。あらかじめ委員の方に御意見を聞きましたら、前回の労災保険財政検討会又はその前々回の労災保険の料率に関する検討会の委員を歴任されました岡村委員ということでお伺いしておりますが、そのようでよろしいですか。
                 (異議なし)
○数理室長補佐 ありがとうございました。岡村委員が座長ということで司会進行をお願いします。
○岡村座長 座長を務めさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。本検討会では大きく分けて、1つ目は製造業に係る業種の区分の整理、2つ目に事業の細目の再編について検討することが課題となろうかと思います。この順で検討していくということでよろしいですか。
                 (異議なし)
○岡村座長 まず、検討会の趣旨や業種の区分等の現状などについて、事務局より説明をお願いいたします。
○数理室長(中原) 説明させていただきます。まず最初に、検討会を開催する趣旨について簡単に説明申し上げます。1ページの資料1-1になります。「労災保険の事業の種類に係る検討会 開催要綱」を御覧下さい。労災保険率については、55の事業の種類、業種に区分しており、業種ごとの災害率に応じて設定しております。最近では、平成18年4月に、金融業などの3業種を「その他の各種事業」から分離・独立させています。また、平成23年に開催された「労災保険財政検討会」においても、業種区分の在り方が報告されており、その内容などを受け、労働災害発生状況を分析するなど、行政の内部でも検討を行ってきました。今回、具体的な業種区分の見直し案を作成することを目的として、本検討会を開催するものです。検討課題としては、「製造業における業種区分」「事業の細目の再編」を予定しています。
 続いて、業種区分に関して、これまで整理されてきた考え方などを説明します。業種区分設定の基本方針です。3ページの資料1-2の「労災保険率の設定に関する基本方針」を御覧下さい。こちらの中ほどの1「業種別の設定」というところがあります。読み上げさせていただきますと、「労災保険率は、業種別に設定する。業種区分は、労働災害防止インセンティブを有効に機能させるという観点から、作業態様や災害の種類の類似性のある業種グループ等に着目して、当該グループごとの災害率を勘案して分類することとする。その際には、費用負担の連帯性の下に、労働災害防止活動を効果的に浸透させていくことができる業界団体等の組織状況等について斟酌しつつ、保険技術上の観点から、保険集団としての規模及び日本標準産業分類に基づく分類等をも勘案する」ことを基本としております。
 次に、平成23年に開催された労災保険財政検討会において課題とされた事項について、説明させていただきます。5ページの資料1-3を御覧下さい。「その他の各種事業」からの分離・独立についての指摘がこの検討会によってなされております。「その他の各種事業」からの分離・独立に関する基本的考えです。(1)労災保険率が同一となる分離・独立は、労災保険制度の簡便な運営の観点からその意義は小さいが、労働災害防止促進等の効果が見込まれるのであれば検討すべきであること。
 具体的に名前が挙がった事業の区分についてです。(2)「情報サービス業」について、データの収集・整備を図ること。(3)「医療保健業」について「医療」と「福祉」に分離してデータを収集・整備し、その結果に基づいて、社会政策的な見地などを取り入れて検討すること。(4)「洗たく・洗張又は染物の事業」について、クリーニング工場と取次店の実情などを調査し、労災保険の業種区分における取扱いを検討すること。こういったことが課題として示されています。
 業種区分の現状について、簡単に説明させていただきます。9ページの資料2-1を御覧下さい。ポイントについてお話させていただきます。これまでの経過として、平成18年度の業種区分の見直しの考え方などについてです。9ページの中ほどの3番です。平成18年度の業種区分の見直しについては、産業構造の変化によって、保険規模の大小の差が激しかったこと。労働災害の発生率の高い製造業、建設事業では細分化されておりましたが、サービス業を中心とする第3次産業では比較的大くくりとなっていたこと、「その他の各種事業」では、適用事業場が半数以上、適用労働者数が6割を占めていた状況であったこと。そういうことから、事務従事者割合の比較的高い業種を分離すること、災害率、保険集団としての規模等を考慮すること、日本標準産業分類の大分類に対応すること、そういったことに着目し、「通信、放送、新聞業又は出版業」「卸売業、小売業、飲食店又は宿泊業」「金融業、保険業又は不動産業」といった3つの業種を「その他の各種事業」から分離・独立させております。これらの業種区分の現在の労災保険率の状況を申し上げると、分かれる前の「その他の各種事業」と比べて、±0.5/1000といった状況で、差は余りない状況です。
 項番4、5になります。平成18年にこの3業種区分を分離・独立させたわけですが、分離・独立させた「その他の各種事業」の規模は、平成23年度末時点においても、適用事業場数82万5千、適用労働者数1,800万人といったことで、全体の3分の1を占める大きな保険集団となっております。平成19年度からの5年間の状況を見ると、労災保険全体としては1万5千事業場の減少となっており、労働者は143万人の増加となっております。「その他の各種事業」では全体が減少している中でも4万1千事業場の増加、適用労働者についても、全体が143万人増加していますが、「その他の各種事業」で196万人増加といった状況になっています。一方では、製造業については4万7千事業場の減少、建設事業においても2万9千事業場の減少になっています。
 次に保険集団としての必要の大きさについてまとめたところです。項番7になります。保険集団が小さいと保険は安定的に運営することが難しいことが1つあります。また、実際保険としての信頼性理論から考えると、事故件数が1,000件は必要ではないかといったことが前回の労災保険財政検討会で指摘されています。
 資料8ページに戻っていただくと、資料1-6に業種別の新規受給者数をまとめております。新規受給者数の少ない区分を見ていくと、上のほうから大体300人を切っているようなところを見ていくと、鉱業の区分のほとんどのところでかなり少なくなっています。建設事業でいうと「鉄道又は軌動新設事業」が小さくなっている。製造業の「陶磁器製品製造業」「たばこ等製造業」、運輸業の「港湾貨物取扱事業」といったところが300人を切るような状況です。かなり少ない状況となっています。本日資料として用意しておりませんが、安定的な保険運営を考える上では、休業補償給付の対象となります休業4日以上といった災害数についても着目する必要があると思いますが、そちらの数になっていくと、保険事故としてはかなり小さな数になってしまうということです。
 戻っていただき、10ページの資料2-2の最後になります。最近の業種区分の統合の状況です。統合のほうとしては、平成10年に「金属又は非金属鉱業」と「石炭鉱業」をまとめております。もう1つ、平成15年に「木材伐出業」と「その他林業」をまとめて「林業」という区分を作っています。大分類ごとの業種区分の状況については、資料2-2のとおりとなっております。こちらの説明は省略させていただきます。業種区分の現状等についての説明は以上です。
○岡村座長 只今、業種区分等の現状などについて事務局より説明がありました。この点について御意見がある方、また事務局の説明等について御質問のある方はいらっしゃいますか。特に御意見がないようなので、何かあればまた戻って検討するということで先に進めさせていただきます。次に、製造業の業種区分の見直しについて検討したいと思います。業種の区分の見直しに当たって、どのようなことを基本方針とすべきかということや見直し案などについて事務局から説明をお願いいたします。
○数理室長 説明させていただきます。先ほど、保険を安定的に運営するための保険集団の大きさについて説明いたしましたが、小さな保険集団の統合についてお考えいただきたいということで提案させていただきたいと思います。先ほどの繰返しの部分もありますが、新規受給者数の少ない業種については、鉱業の多くの区分、建設事業の「鉄道又は軌道新設事業」、製造事業の「陶磁器製品製造業」「たばこ等製造業」、運輸業の「港湾貨物取扱事業」といったものがあります。
 一方で、業種区分を統合した場合、新しい区分については、先ほど説明した資料1-2の中の労災保険率の設定に関する基本方針に基づくものであることが必要であろうと考えております。災害率に着目すると、労災保険率そのものは、災害の重篤さも含めた災害率に該当するものであろうと考えられますので、労災保険率がほぼ同一といった条件が必要であろうと考えております。また、作業態様や労働災害の種類の類似性についても着目しなければならないと考えております。
 労災保険率については、15ページの資料2-5に平成元年以降の労災保険率の推移をまとめております。こちらを御覧下さい。非常に保険集団が小さい鉱業については、5.5/1000から88/1000ということで、非常にばらけているように、労災保険率にかなりの違いが出ている状況があります。また、さらに作業態様や労働災害の種類の類似性に着目していくと、この際、多くの区分に分類されている製造業の統合をまず検討していけばいいのではないかと考えております。
 13ページの資料2-3に製造業の業種区分の現状を簡単に整理させていただいております。製造業全体の最近の動きですが、平成19年度末から平成23年度末の5年間で適用事業場数が43万7,000事業場から39万事業場ということで、4万7千事業場が減少している。また、労働者数についても921万9千人から868万3千人ということで53万6千人減少といったことで、かなり減少している状況です。業種の区分数ですが、25ということで多くありますが、全体の業種区分55の半数を製造業が占めているといった状況です。
 年間新規受給者数の少ない事業場は先ほど申し上げましたが、1,000人未満である業種は「たばこ等製造業」など他に7業種といった状況です。大きいところでは「食料品製造業」では非常に大きな状況になっています。
 平均的な保険規模は、単純に業種の数で割っていくと、一部の大きな業種区分に引っ張られる部分がありますが、平均的な規模で大きい業種については、事業場数で言うと「輸送用機械機具製造業」「金属製品製造業又は金属加工業」の2業種のみといった状況になっております。労働者数の面から見ても「電気機械機具製造業」「食料品製造業」「輸送用機械機具製造業」の3業種のみになっております。製造業では、平均的な保険規模よりも小さい業種がほとんどといった状況になっています。
 その中でも、事業場数の小さいところでは「パルプ又は紙製造業」「非鉄金属精錬業」で事業場数が極端に小さくなっている状況です。
また、業種区分の関係ですが、今般、第12次労働災害防止計画を策定しているところですが、こちらを見ると、製造業の業界団体における安全衛生活動に長い歴史と実績があるということが評価されています。
 次に統合案について説明させていただきます。製造業について、保険規模の小さいところ、あるいは新規受給者数の少ない業種区分の統合について考えてまいります。その中で、今まで申し上げたように、労災保険率がほぼ同じであるところ、作業態様や労働災害の種類の類似性、労働災害防止インセンティブを有効に機能させる観点から労働災害防止活動を効果的に浸透できる業界団体の組織状況、活動状況といった観点から「食料品製造業」と「たばこ等製造業」の統合について御検討いただきたいと考えております。
 統合案については16ページの資料2-6を御覧ください。中ほどに「食料品製造業」と「たばこ等製造業」の労災保険率の変遷を記載しております。「食料品製造業」については、平成13年度9.0/1000から徐々に下がっていき、平成24年度で6.0/1000といった状況になっております。「たばこ等製造業」については7.0/1000から、この間上下を繰り返しており、平成24年で6.0/1000といった状況となっております。
 それぞれの保険規模を見ていくと「食料品製造業」については、先ほどからお話申し上げておりますが、十分な大きさ、保険規模を持っていると考えております。一方、「たばこ等製造業」については事業場数、労働者数とも平均から比べるとかなり小さくなっている状況になっております。新規受給者数についても、平成23年度は255人。保険事故数1,000件という目安からすると、かなり下回っている状況です。休業4日以上を見ると年間60人ということで、かなりの少数ということです。
 このように「たばこ等製造業」の保険規模が小さいこともあり、労災保険についても先ほど御案内させていただいたように、改定の度に増減を繰り返すといった状況が続いております。安定的な保険運営を行う上でも、他の大きな分類と統合することが必要ではないかと考えています。日本標準産業分類との関係で申し上げると「食料品製造業」と「飲料・たばこ・飼料製造業」と2つの区分が該当するわけですが、お茶以外の飲料・飼料については、日本標準産業分類では飲料・たばこ・飼料に分類されますが、労災保険の区分については「食料品製造業」に入っています。仮にこの2つを統合すると、日本標準産業分類と整合性も確保されるといった状況があります。
 17ページの資料2-7を御覧下さい。仮に統合した場合の労災保険率の状況です。平成21年度改定、平成24年度改定ともに算定すると、実際の算定の労災保険率に違いがないといった状況になっております。製造業の業種区分の見直しについての事務局からの説明は以上です。
○岡村座長 ありがとうございました。製造業の業種区分の見直しについて、事務局で説明がありました。御意見がある方、また、只今の事務局の説明について御質問等のある方、いらっしゃいませんか。
○鈴木委員 質問ですが、たばこ製造業は、具体的にはどういう会社が含まれるのですか。
○数理室長 たばこですと、一社のみが該当いたします。「たばこ等」の「等」については、製茶業が入っております。
○鈴木委員 業種というのは、どのようなことを捉えて分類しているのですか。
○数理室長 労災保険の適用の原則は、工場ごとに適用するといった考え方をとっています。たばこを作っている工場と、食料品や飲料を作っている工場は別ですので、別々の業種を適用しております。
○鈴木委員 なるほど、1つの会社で分かれているということですね。
○山田委員 詳細な資料をありがとうございます。今の事務局の御提案、食料品製造業とたばこ等製造業をどうするかという御提案ですが、労災保険料率の変遷をみると、労災保険の料率を計算するたびにたばこ等製造業が動いている。確かに16ページの中ほどの資料で動いていることは分かるのですが、教えていただきたいのは、食料品製造業でも平成13年度は9.0/1000、平成15年度では7.0/1000、とこちらもやや動いているようなのですが、何か動いている理由が簡単に分かれば教えていただきたいと思います。
○数理室長 ちょっとお待ちください。
○山田委員 どうしてこのような質問をさせていただくかというのは、労災保険料率が改定するたびに動いているなら、その下をご覧になれば分かるように、新規受給者数が非常に小さく、災害が起きることでのぶれも大きいということなら、同じく食料品製造業についても、平成15年以降はないのですが、それ以前では少し大きいぶれが起きているので、何があったか確認しておく必要があるのではないかと思いました。もし今日、すぐには無理ということであれば、また次回にでも御無理のない範囲で教えていただければと思います。基本的に、御提案がどうとかということではなく、この数字の動きが何か、一応、念のために確認させていただければというのが私の質問の趣旨です。
○数理室長 食料品製造業については、平成13年度以降、この改定時点から見てきますと、新しく保険給付を受ける方が減少していること、あともう1つ、新規の年金受給者が大きな割合で減少していることが要因となっていることだろうと考えております。
○竹村委員 分離のコストや運営の手間を考慮しますと、まとめられるものはまとめてよいのではないかと思います。先ほど目安となる事故件数が1,000件というお話がありましたが、たばこ等製造業を見ると、受給者数で255件、休業4日以上で60件と、規模もきわめて小さく、仮に食料品製造業と統合した場合の試算が次のページにありますが、元の食料品製造業の数字とほぼ同水準ということになります。独立させたままでいく特別の事情がない限りは、まとめていくということに私は賛成です。
○岡村座長 どうもありがとうございました。その他に何かありますか。
○山田委員 私も先ほど数値について御質問させていただきましたが、今、竹村委員からもご発言されたように、新規受給者数の数を見れば、1,000人というベンチマークが出ていましたが、実際かなり下回っているので、私も統合できるということであれば、御提案については、その方向性でよろしいのではないかと考えています。以上です。
○岡村座長 事務局、何かありますか。
○数理室長 特にございません。
○岡村座長 事務局から提案につきまして、竹村委員、山田委員からも御意見がありました。私としては、業種区分の見直しの基本方針として、労災保険率がほぼ同じであること、また、作業態様、あるいは労働災害の種類の類似性があること、また、業界団体の組織の状況等、さらには日本標準産業分類等の整合性等を勘案して、今回、基本方針に基づいて「食料品製造業」と「たばこ等製造業」の統合は妥当なものだと判断しておりますが、委員の皆様、いかがですか。
                  (了承)
○岡村座長 また御意見等があれば、再度検討するということにいたしまして、先に進めさせていただきます。
 次に事業の細目の再編について検討します。事業の細目の現状について事務局から説明をお願いいたします。
○数理室長 18ページ、資料3-1を御覧ください。事業の細目については、現時点において283の区分に分けています。事業の細目についてなかなかイメージがないと思いますので、細目表、資料の33ページから業種区分、事業の種類の細目ということで付けています。この中の左から3番目が労災保険の料率区分の事業の種類です。その区分をその右の所、事業の種類の細目ということで、この細目で更に細かく分けているといったものです。一番最初の所で言えば林業の料率区分ですが、これがこの中で5つの区分に分かれているといった状況です。全ての事業の細目数は、現在283の区分数となっています。
 これで産業ごとの事業の細目数を見ていくと、多い順に製造業が160、建設事業が41、その他の事業が32、運輸業が16、鉱業が14、電気等の事業が6、船舶所有者の事業が6、林業が5、漁業が3といった状況となっています。製造業においては、適用事業場数39万事業場数ということで、全体の15%という状況ですが、事業の細目数の割合を見ると57%ということで、非常に高い割合と多くの細目に分かれているといった状況です。この細目は先ほど御覧いただいたとおりですが、「労災保険率適用事業細目表」ということで、これは厚生労働大臣が定めて告示しているもので、この細かい内容を見ることによって、労災保険率を当てはめるといった側面を持っているものです。
 そもそも、この事業の細目ですが、どういった考え方で設定しているかと申し上げますと、資料3-1の3ですが、1つには分離・新設すべき事業の区分、労災保険率の新しい区分を設定するための情報を得るといったことが1つの目標、さらに労働災害防止行政の推進に必要な労働災害に関する情報を得ることを目的として、事業の細目を設定しています。
 最近では、産業構造の変化に伴いサービス業が拡大してきていること、労災保険制度においてもサービス業の多くが含まれている「その他の各種事業」で保険規模が拡大してきているといった所ですが、「その他の各種事業」の中でも情報サービス業が3万9千事業所・105万人、社会保険・社会福祉・介護事業が10万4千事業所・229万人と大きなウエイトを占めているといった状況です。また、新規受給者数の全体としての割合ですが、平成13年度で「その他の事業」は、新規受給者が49.9%と半数を若干切る状況でしたが、平成23年度では55.8%と、こういったサービス業の受給者も増えてきているといった状況です。
 行政の立場からの問題意識として、もう一度発言しますが、サービス業の規模が非常に大きくなってきているといった状況があり、こちらについては新しい業態も出現しているといったところもあり、こういった新しいものに対応するために、事業細目を新設しなければならないのではないかといったこと。こちらについては、前回の検討会での提言を基に検討を行ってきたというところです。
 一方で製造業ですが、こちらのように保険規模が縮小してきているといった所について、必要なくなってきた事業細目を統合して行政事務の効率化を図ることも必要ではないかと考えています。そこで、今回は製造業の事業細目に焦点を当てて御検討いただけないかと考えています。製造業については先ほど御覧いただいたように非常に細かい分類となっていますが、現状で考えると、今後、新しい業種の区分を設定する可能性は、今の細かい状況を見るとこれはかなり低いであろうと考えています。
 もう1つ、労働災害防止行政推進のための情報としては、製造業においては、労働安全衛生法に基づいて労働基準監督署長に提出が義務づけられている「労働者死傷病報告」がありますが、こちらの集計を活用しており、現状では事業細目の集計を必要としていないといった背景もあります。それと、業種区分、こういった細目を簡略化するということで、労災保険実務の簡素化にもつながるといったこと、こういったことが製造業に関しては事業の細目を原則的に業種区分と同一のものとしてはいかがかということを考えています。例外的には、「その他の製造業」は比較的バスケット項目的なところもあるので、こちらは残しておくべきではないかという部分はあります。
 もう1つ、今回、先ほど検討いただいた食料品とたばこ等製造業ですが、こちらも今後の推移を見ていく必要があると思いますので、こちらは残す必要があるのではないかと考えていますが、それ以外の所については、原則的に業種区分と事業細目は一致させるといったことで御検討いただければと思っています。
 例えば、これによります効果ですが、食料品製造業で考えると、製造する食べ物の種類により11の事業細目に分類しています。実際、これは食料品でも肉製品のものとか水産加工物といったものと分かれていますが、こういった所について当てはめる作業がなくなるので、そういったことについては簡素化されるのではないかと考えています。事業の細目の現状についての事務局からの説明については、以上です。
○岡村座長 只今の事務局の事業細目に関する説明がありましたが、それをある程度要約すると、産業構造の変化に伴ってサービス業等が拡大し、「その他の各種事業」の保険規模が拡大した、あるいは新たな業種が出現している。そのような中で、事業の細目数が多いほど事業をより多く分類して労働災害に係る情報が得られるということと、その反面、適用事業場数が少なくなっている事業の細目が存続していることによって、実務上、不必要な事業の細目が多くなって、区分が分かりづらくなっているということに集約されると思います。只今の事務局の案について、事業の細目を原則的に事業区分と同一のものとすると。例外的に、その他の製造業等の事業細目と統合する予定の業種を事業細目として残すという案がありました。その点について何か御意見等はありませんか。
○山田委員 今の御提案のとおり、行政の簡素化ということで、もし行政上必要のないデータということであれば、もちろんまとめていただくということでよろしいかと存じます。教えていただきたいのは、今、御説明にありました、そういった細目を整理統合したとしても、労働基準監督署に上がってくるデータからいろいろ分析が可能だということですが、もしそこの部分についての補足説明、つまり、どのようにそういった細目を統合してもデータが取れるのかということについて、教えていただければと思います。
○数理室長 実際のところになると、こういった死傷病報告の集計においても、ほぼ労災の区分と同じ、業種区分、こちらと同じ状況で集計されているといった状況があります。そこまで細かい分類で集計しても、なかなか数が出てこない所もあり、ある程度大きい所でまず見ているところがあります。その中で場合によっては掘り下げて見ていくというやり方があるので、分類としてはこういった細目レベルでやっているわけではないのですが、現状においてはこの分類で十分であるということと、死傷病報告、こちらは災害発生の経過とかいろいろあるので、そちらを分析してやっていくほうが効果的であることもあり、こちらを重要視して使っているといった状況です。
○山田委員 分かりました。
○竹村委員 どこまでの区分で情報を持たせるかというところは、私ども損保でも非常に悩ましい問題ではあるのですが、どのような単位で分析するかに着目をして、その分析に必要な区分を持たせれば良いのではないかと考えます。事故の態様面も含めて、その区分ごとに事故頻度(frequency)、単価(damageability)についての情報を蓄積していくことになるかと思うのですが、製造業については、業種区分よりも更に細かい区分を持たせたとしても、信頼性の観点からも余り有効ではないとは思います。特段統合して困ることがないようであれば、使用機会のないものは思いきって統合することがよろしいかと考えます。
○岡村座長 事務局から何か補足説明はありますか。
○数理室長 特にありません。
○岡村座長 今、竹村委員から出た意見のほかに特にありませんでしたので、事業細目の新設及び統合について、ただいまの事務局の案についてよいと私は思いますが、先に進めてよろしいですか。
                 (異議なし)
○岡村座長 次に、前回の検討会で提言された「情報サービス業」や「介護事業」などについて、新たな事業の細目の範囲をどのように定義すればよいか検討したいと思います。この点について事務局から説明をお願いします。
○数理室長 「情報サービス業」について説明します。20ページ、資料3-3を御覧ください。現在の事業細目においては情報サービス業ですが、ここにある「9416 前各項に該当しない事業」といったところに含まれています。情報サービス関連産業の雇用者数の状況、職種別の状況ですが、これは続いて21、22ページで事業所数、雇用者数、職種別の雇用者の構成比といったものを付けています。
 今回新たに設定する情報サービス業ですが、これについては日本標準産業分類の状況と職種構成、特に情報関連業SEが多い状況ですので、このウエイトの高いことなどを参考にし、日本標準産業分類の中分類の「39 情報サービス業」と「40 インターネット附随サービス業」を合わせたものを事業の細目の範囲とするのが良いのではないかといったことで考えています。
 次に、「医療保健業」の事業細目の再編について説明します。23ページ、資料3-6になります。日本標準産業分類での区分ですが、中分類において「医療業」「保健衛生」「社会保険・社会福祉・介護事業」といった3つの分類が設定されています。24、25ページに資料3-7、3-8で事業所数、労働者数をまとめています。こちらを御覧いただくと、社会保険・社会福祉・介護事業で、事業所数と労働者数が大きく増加しているといった状況が分かるかと思います。医療保健業の事業細目の分離に当たりましては、医療業については中分類の「83 医療業」と「84 保健衛生」を1つの塊とすること、福祉・介護については、「85 社会保険・社会福祉・介護事業」の範囲とするのが良いのではないかと考えています。
 一方で、介護と医療の区分が明確にできるのかという問題が実務上出てくるのではないかと考えています。26ページ、資料3-9を御覧ください。こちらは医療施設における療養病床がありますが、この図表の上のほうですが、療養病床については、医療保険と介護保険の対象の両者があるといった状況です。
 ただ、療養病床については、どちらも、医療機関や病院といったものでして、介護保険制度における介護療養型医療施設と言われている所ですが、施設としては、医療機関や病院だけれども、介護事業と位置付けられている所です。介護施設については、この絵の下のほうに分類を3つ付けていますが、介護療養型医療施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設の3つの区分に分けられているといった状況です。介護療養型医療施設については、医療施設であるということが前提となっており、介護とともに医療を提供する施設となっています。介護老人保健施設については、看護、医学的管理の下における介護と必要な医療、日常生活上の世話を行う施設となっています。そういったこともあり、介護療養型医療施設、介護老人保健施設の多くについては、医療法人が開設している所が多いといった実態があります。
 介護サービス事業所はどうかと申し上げますと、こちらは27ページ、資料3-10でまとめています。そのサービスの内容により若干違いはありますが、医療法人が開設しているものも非常に多くある状況です。医療法人は右から3つ目の欄にありますが、こちらが多い所もあります。介護サービスについてはこの他に介護予防サービスもありますが、こちらは介護サービスとほぼかぶってサービスを提供している状況があるので、こちらでほぼ代表されているのではないかと考えて、大丈夫かと思っています。
 実はこのように医療と介護が混在している状況があり、医療業と介護事業は労災保険の適用関係で考えると、分けるのは非常に難しい部分が多少あるのではないかと思っています。そういうことから、医療業と介護事業は、保険の業種区分としては同一のほうが労災保険の実務として取扱いやすいと考えています。
 介護事業者についてはかなり増加していることもあり、災害状況とか非常に細かく取っていく必要があると考えています。労災保険のデータとしては災害状況を把握する観点もあるので、事業細目としては先ほど説明したとおり、日本標準産業分類の中分類に基づいて医療と介護事業を含む福祉ですが、こちらに分割するといったことを考えていますが、業種区分として医療と介護事業を区分することについては、できるかは少し難しいところがあろうかと思うので、慎重であるべきではないかと考えています。いずれにしても、この状況について今後とも状況を注視していきたいとは考えています。
 続いて資料を用意していますが、認定こども園の取扱いについてです。現在、労災保険適用に当たり事業細目の判定が難しいものとして、「認定こども園」の事業があります。資料の28、29ページの資料3-11、3-12ですが、資料3-12に認定こども園のイメージ図を付けています。認定こども園については、就学前の教育・保育を一体として捉え、一貫して提供する新たな枠組みでして、幼稚園と保育園の双方の機能を持っているという所です。
 その中で、下のほうに4つのタイプに分離されている所があります。現在、労災保険の適用ですが、幼稚園の事業については教育業となっており、保育所の事業については医療保健業となっています。認定こども園については、双方が入っているということですので、該当する所がないところですので、単に名称だけではなくて、各施設の実態を職員がいろいろ書類などを見ながら、「教育業」又は「医療保健業」のいずれかに分類しているのが実情です。そういったこともあり、この際「幼稚園」「保育所」「認定こども園」といった事業の細目を新設して、それぞれそこに当てはめるといったことで、労災保険実務の簡便性と斉一性を確保したいと考えています。この3つの点の細目の新設などについて説明しましたが、この対応表については32ページ、資料3-15に付けています。大体このようなイメージになることを説明しました。説明については以上です。
○岡村座長 只今の事務局の案について、何か御意見等はありませんか。全体としてあれば。なければ個別に。
○山田委員 御説明にもありましたように、特に医療保険、医療業、社会保険、社会福祉・介護事業及びその情報サービス関連業については、急速に従事者が増えているということもあり、細目を新設されて新たにどういう、こども園も含めてですが、いったいどういうことが起こっているのかという情報収集をするという意味では、大変結構な御提案だと理解しています。この後どうデータを取って公表されていくのか、これらの細目が決まりましたら、今後どういうことになるのかについても教えていただければと思います。以上、コメントと細目を決めたら長期的にこのあとどうされるのかという質問です。
○数理室長 今回は情報が詳しく取れていないという部分です。どういう状況かを取っていきたいと思っています。その結果として、労災保険の業種区分として分けるのか分けないのか。実際のところ、例えば経済センサスなどで人数とか、事業所数とか出ていますが、労災保険適用となると、その数字と必ずしも一致しないところがあるので、そういった大きさの状況、災害の発生状況、それぞれの業界団体の状況、そういったものを見ながら、その他各種の中に残しておくのか、分けるべきなのかは、今後見ながら、分けるべきであれば分けていくといった方向で見ていきたいと思っています。
 ただ、一方で医療と福祉のところですが、ここで医療と福祉全体と1つとして分けていくのであれば、そこは可能であるのかという感じはしますが、医療と福祉を明確に分けようということを考えると、もう少し適用の仕方とかいろいろなことがクリアでないと難しいのではないかと思っているので、その辺については医療と福祉をそれぞれ独立させることは難しいのではないかと考えています。
○鈴木委員 質問ですが、医療と福祉の適用の仕方をどういうようにされるのですか。例えば、先ほどの医療のところで医療施設、医療法人ということであれば、その法人の実態がかなり変わってきて、介護がその法人のかなりメインの業務になっているという場合でも、医療法人だったら医療と分離されるのですか。
○数理室長 それについては、基本的には実態を見ながらということになると思っているので、そこが分けられるぐらいのものであるのかどうか、それについてもこれから引き続き考えていく必要があると思いますが、現状を見る限りにおいては、医療で働いていらっしゃる方が兼業的な形で介護もやっている。同じ施設の中でも見掛けの名称が違う状況の中で、介護保険の対象になっているものと医療保険の対象になっている事業を同じ所がやっている状況があるので、そこを分けるか分けられないかは引き続き考えていく必要があると思います。そこで仮に分けられないとしたら、どちらが主かということで分けるのが労災保険適用の原則ですので、そういった方向でもいいのかどうか、そこまで含めてまだもう少し考えていく必要があるのかと思っています。いずれにしても、今回新たな業種区分として立てるものではありませんので、もうしばらくその辺については引き続き見てやっていきたいとは思っています。
○鈴木委員 これもまた基本的な質問で恐縮ですが、どちらがメインでやっているかは行政側が判断できるものなのですか。
○数理室長 最終的には行政のほうで判断ということになります。具体的に言いますと、従事者数の割合とか、売上げがどうかです。医療の場合に売上げという表現がいいのか分からないのですが、経営的に、経済的にどちらのウエイトが大きいのかと、そういったものを判断の材料として格付をしています。
○鈴木委員 例えば先ほどの幼稚園とか、保育園とか、こども園というのは、何となく素人目にもそれほど発生率に違いがあるようにも思えないのですが、介護と医療は結構発生率に違いがある気がします。しかも介護はこれからどんどん大きくなってくるという中では、今回はという話ではないのかもしれないのですが、そこの適用の仕方、判断の仕方は何か一つ大事なポイントのような気がします、これは意見というかあれですが。
○竹村委員 製造業は統合の方向で、サービス業は分離すべきものは分離という方向というふうに理解しました。サービス業の中でも、特にIT社会とか高齢化社会が進展する中での成長産業については、リスク実態が時系列で変化する可能性もありますので、その発生率とか発生の態様について、トレンドを把握しておく必要があります。特に情報サービス産業は、今、過重労働とか精神障害等の件数が多いと聞いていますので、後の検証や対策に活用することも視野に入れながら、情報の蓄積をしていくことは大きな意義のあることだと思います。冒頭に細分化でコストが余計に掛かることを申し上げましたが、それよりも細分化の便益が上回るようであれば分けるべきだと考えます。
○山田委員 今の過重労働のところで先ほどコメントし忘れたのですが、医療業といっても、診療所と病院とでは、病院のほうが過重労働ははるかにひどいわけです。過重労働が病院で行われているのは各種データから明らかなわけですから、そこの部分のデータを取れる形、細目を、今は医療業で独立ということですが、もし可能であればそういった細目を実は取る必要があるのではないかと考えています。これは多分細目を新たに作るには、新たな行政コストが発生するという問題もありますが、今、病院の統廃合などで地方においても病院での過重労働はかなり問題視されています。そういったことからすれば、あらかじめそういう問題にターゲットを絞るためにも細目を分けることを、医療業は今のご提案ではひとまとまりになっていますが、新たにそれを作ることによって行政コストとの勘案になると思うのですが、考えていただければと思います。
○数理室長 今の御指摘については、病院と診療所と、分かりやすく言うとそういう区分かと理解していますが、いずれにしても取りあえず今回医療業というものをまず分けることから始めて、あと災害防止活動、労働災害の防止という観点ですね。そういった面からも考えて、必要性が出てくるのであれば、その際に検討すべきではないかと考えています。
○山田委員 多分必要か必要ではないかは1回分けてみて、それで高いか高くないかを1回見てみないと分からないと思います。初めから全部を医療業というふうに1つにしてしまえば、つまり必要か必要でないかは分けなければ出てこないものです。もちろん先ほど申し上げたように新たに分けることによる行政コストの発生という側面もありますが、これだけ勤務医の過重労働が言われているから、ここは別立てにして見るべきではないかというのが私の意見です。分けなければ見られないわけですから、分ける必要があるのではないかと。それにはもちろん、繰返しになりますが、分けることによるコストも発生するので、そこら辺は考えなくてはいけないところですが、過重勤務の実態について言えば分けておくべきではないかというのが私からの意見です。
○岡村座長 よろしいですか。私の不手際で大変申し訳ありませんでした。全体をまず見た上で1つずつ、情報サービス業、医療、社会福祉・介護業の分離、認定こども園等について検討していこうと思いましたが、いきなり医療業のところで議論が集中してしまいましたので、もう一度整理して、最初に戻り情報サービス業から一つ一つ検討していきたいと思います。
 情報サービス業について、「9416 前各項に該当しない事業」の中の情報処理サービス業を抜き出して、日本標準産業分離の39と40を参考として「情報サービス業」の項目を新設して、その中に「ソフトウェア業」「情報処理・提供サービス業」及び「インターネット附随サービス業」を入れるということですが、これについてよろしいでしょうか。何か御意見ありましたらどうぞ。よろしいようでしたら、この方向で検討したいと思います。
 続いて、先ほどから議論に上っていた「医療業」と「社会保険・社会福祉・介護事業」の分離についてですが、病院と診療所の過重労働の分を勘案しながらということも含めて、当面は医療と介護事業に分割はするけれども、事業区分としては慎重に取り扱うという案ですが、いかがですか。よろしいですか。
 3番目の認定こども園の関係について、更なる御意見等はありませんか。今日用意していただいた資料の中で認定こども園は、保育所と幼稚園をハイブリッドにしたような4つのパターンがあって、その濃淡もありますが、どちらの業種も関連している部分があるということでした。しかも保育所は社会福祉、幼稚園は教育、認定こども園はそういう分類がないということで、それら3つ、「幼稚園」「保育所」「認定こども園」を事業細目として新設するという事務局の案ですが、それについて何か御意見はありませんか。ないようであれば事務局の案でよいとして、先に進めたいと思いますが、いかがですか。
 最後の検討課題に入ります。「洗たく、洗張又は染物の事業」について、前回の検討会ではクリーニング工場と取次店の実情について調査し、業種区分の取扱いについて検討すべきとされていました。この点について事務局から説明をお願いします。
○数理室長 それでは「クリーニング業」「洗たく、洗張又は染物の事業」について御説明します。30ページ、資料3-13、3-14が該当です。クリーニング業、リネンサプライについての現状の調査を行ってきましたが、その中のポイントを申し上げたいと思います。
 まず、資料3-13です。クリーニング業については労災保険の事業の細目については、「洗たく、洗張又は染物の事業」に分類されております。平成23年度末時点の適用事業場数、労働者数は「洗たく、洗張又は染物の事業」全体で4千事業場、16万人という状況です。前回の検討会の指摘の中で取次店の状況についても調査してみるということもありました。第1番目として、取次店の現状についてです。実際の現状と実際の適用の状況を調べております。資料3-14、A~Hは、それぞれクリーニング業を営む企業です。いずれもクリーニングの工場を有しています。直営店は、名前のとおり、クリーニング工場を持っているクリーニング企業が直接営んでいる取次店です。フランチャイズ店は、洗濯などそういうものは自ら行わずに、フランチャイズ契約によりクリーニング品の取次を行っているものです。このクリーニング業の取次店の労災保険の適用の状況を調べると、直営店は小規模ということもあり、ほとんどにおいてそこの中で自らが労務管理を行っている状況はなく、事業の独立性がない状況です。労災保険については取次店であっても本体のクリーニング工場と一体化して労働保険が適用されている状況です。
 一方でフランチャイズ店は、クリーニング工場とは全く関係なく、フランチャイズ店がそれぞれ保険が適用されている状況です。取次店の状況については、これらを踏まえると、仮に「洗たく、洗張又は染物の事業」を「その他の各種事業」から分離独立させるとなると、フランチャイズ店の取次店は「洗たく、洗張又は染物の事業」に入ってこないことになるので、「その他の各種事業」になるのではないかと考えております。そうなると直営店はクリーニング本体にぶらさがっている状況ですので、同じ取次店でも直営店かフランチャイズ店かで業種の区分が相違することになり、保険料負担の不公平が生じかねないという状況があります。
 第2番目として、クリーニング業を含む「洗たく、洗張又は染物の事業」は、独立させるだけの保険規模があるのかないのかぎりぎりでないかと思っております。平均的な保険規模と比較すると、やはり1/10ぐらいの規模でしかありません。業種区分の簡素化を考えると、独立させる保険集団としては小さいのではないかと思います。
 3番目として、クリーニング業の作業態様、労災保険率を勘案すると、他と統合させて保険区分を作るということもありますが、なかなか類似したところがありません。
 4番目として、労働基準法などについては、クリーニング工場は製造業として取り扱われておりますが、日本標準産業分類では取次店とともに生活関連サービスに格付けられている状況です。労災保険については社会保険としての性格を持ち合わせておりますので、労災保険としての区分は、国民にとっては、従来どおりサービス産業の区分の「その他の各種事業」のほうが分かりやすいのではないか。
 5番目として、前回検討会の報告の中で、クリーニング業についての御指摘がありましたが、クリーニング業界、リネンサプライ業界ともに私どもで接触しましたところ、労働災害防止について対応が始まっていると。例えば機関誌に災害状況を載せるなど、災害活動について例えばいろいろな話をしてほしいなどの話が出てきております。そういった労働災害防止の機運も高まっているという状況もあります。こういったことがあり、事業の細目としてはやはりデータの収集を継続することは必要ですが、従来どおり「その他の各種の事業」として労災保険率を適用していくことが現状では妥当ではないかと考えております。「洗たく、洗張又は染物の事業」についての説明は以上です。
○岡村座長 ただいまの事務局の説明について何か御意見等はございますか。
○竹村委員 こういった改定をする場合、2つクリアしなければいけないハードルがあると考えます。1つは料率の公平性を確保すべきということ、もう1つは、新たな分類に円滑に移行ができるかどうかという部分です。前回の検討会以降、事務局でリアルなサンプルを基にして調査いただいた結果、同じ取次店でも直営とフランチャイズで業種区分が分かれてしまいますので、リスク実態に差がないのに料率の格差がついてしまう部分がどうしても出てきます。現状ではこのまま据え置くのが妥当ではないかと思います。妥当な区分の置き方は今後の課題にせざるを得ないと考えます。
○岡村座長 事務局、今の件について何か補足することはありますか。
○数理室長 クリーニング業、取次店を含めてですが、労災保険の料率区分をどのように適用していくかについては、引き続き考える必要があると思います。現状においては実際に労働災害防止の機運が高まっていると感じておりますので、その状況を注視しながら、その効果が出るのであれば、別に分けるまでもないだろうという結果が出てくるかもしれませんので、そういうところを見ながらやっていきたいと思っています。現状ではこのまま「その他の各種事業」の中に入れておくと考えております。
○岡村座長 そのほかに何かどなたかございませんでしょうか。それでは私としては、クリーニング業の取次店の実態というのがある程度分かってくると、クリーニング工場に着目して製造業として取り扱うよりも、現行どおりの取扱いのほうが、先ほど竹村委員から出たように、保険料及び保険としての公平感、不公平感がないと考えられますので、事務局が提案した、データの収集は継続して行うものの、「その他の各種事業」として保険料率の適用するのが妥当であるという提案を取り入れたいと思いますが、いかがでしょうか。
                  (了承)
○岡村座長 それではほかに御意見等はないようですので、事務局の案でよいとしたいと思います。
 本日、検討すべき課題は以上で全て終了しましたが、特にその他、全体を通じて御意見等がある場合には、どうぞ忌憚のない御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木委員 意見ではないのですが、本当に基本的な考え方です。冒頭、部長から労災については他の社会保険と違って、業種ごとに発生率に応じて料率を分けているという、正しく今日のテーマはそうなわけです。それは私なりにいろいろ考えてみると、業種別にここにあるようにそのことによって、労働災害自体の発生率を抑えるようなインセンティブになるということはもちろん効果としてよく分かります。ただそれよりも前におそらく労働災害については、それは事業主がともかく災害の補償をしなければいけないのだと。したがって、それを担保する仕組みとして労災保険があるので、当然のことながらその保険料も全額事業主の負担である。そういう大前提があって、だからそこについては医療、年金などにあるような所得の再分配的というか、そういうところはいらんのだということだと思うのですが、これは私の勝手な想像ですが。
 一方で、パンフレットを今日さらさらと見ていたら、アスベストの補償に関して、一律に広く課しているという、何という掛金か名前は忘れましたが、これはアスベストそのものについては、全産業でそういうものを使っているからという説明がされていたと思います。それはそれでまた分かるのですが、労災の保険料の負担のあり方は、やはりそこの日本の経済なり産業なりは、危険な産業もあり、そうでない産業もあり、それは全体で日本の経済は成り立っているのだから、一定の部分は全産業一律に負担するという発想がないものなのですか。
○管理課長 やはりそれは労災保険の場合は、社会保障制度の一貫ですので、全産業一律の部分と業種別に分かれる部分と両方がミックスしているというのが実態だと思います。したがって、どこの部分でミックスさせるかということだと思いますが、これは資料の中に入っている料率設定の基本的な考え方の場合でも、例えば年金でも一定の7年のところは業種に反映させるけれども、それを超える部分は全業種で見るというようなのがあります。さじ加減をどうするかは、正に皆様方、労使も含めた所で御議論いただきますが、やはり業種に反映させる部分と全業種で皆で助け合う部分というのを組み合わせていると御理解いただいたほうがいいかなとは思っています。
 それが結局、業種の分類の仕方にも関わってきますので、やはりある程度リスク負担をなるべく業種に割り振るのだというのを強く考えれば、どんどん細かく分けろという議論でして、これはかつて規制改革会議など、平成18年改正前にはむしろそういうほうからのアプローチがあって、業種を分けていくこともございましたが、やはりそれは社会保障の制度である以上限界がありますので、ある程度の公平感を維持しながら、しかしながら助け合う制度として保険集団を作っていく。今、そういうバランスの取れた形でやろうということで考え方を整理し、その中で非常に難しい課題ですが皆様方にお諮りして、このぐらいだねということを御判断いただいているところです。したがって理論的に絶対こうなるというものがあるわけではない。そこが非常に難しいところと思っております。
○鈴木委員 ありがとうございます。
○岡村座長 個別保険の公平性の問題と社会保険の社会性の問題をどうバランスを取るかは、社会保険でも同じように公的年金も含めていろいろ考えられていると思いますので、その辺のバランスはもう少し時間をかけて慎重に考えていったほうがよろしいのではないかと思います。公平性については、いくら社会保険でも完全に無視することはできませんので、今の業種のあり方を適宜見直していきながら、バランスを保つような努力をするということが肝要であると思います。
 そのほかにどなたか御意見等はございませんでしょうか。それでは本日の事務局からの提案については概ねその方向で問題がないと思いますが、いかがでしょうか。
                  (了承)
 それでは次回の検討会では取りまとめの議論をさせていただきたいと思います。特に御意見がないようであれば、本日の議事はこれで終了いたします。次回、第2回の開催日等については、3月12日(火)15時を予定しております。本日は議事進行について御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局 労災補償部 労災管理課 労災保険財政数理室

(担当)室長補佐 白尾: 03(5253)1111(内線5453)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 労災保険の事業の種類に係る検討会> 第1回「労災保険の事業の種類に係る検討会」議事録

ページの先頭へ戻る