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2013年1月9日 障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合(第3回)議事録

○日時

平成25年1月9日(水)10:00~


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

中島八十一委員 大橋正洋委員 加藤元一郎委員
冨永秀文委員 豊原敬三委員

○議題

(1) 障害認定基準及び診断書の改正案について
(2) その他

○議事

○中島座長 定刻になりましたので、ただいまより障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合第3回を開催します。本日は大変ご多忙中のところ、また、お寒い中を本会合にご参集いただき、誠にありがとうございます。
 さっそく議事に入りますが、まず事務局のほうから資料の確認をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 資料の確認をします。お手元の議事次第の下、資料1として失語障害がある場合の認定方法について、資料2として障害認定基準及び診断書の改正案、資料3として豊原委員提出資料。以上の資料のほか、参考資料として前回の専門家会合の議事録をお配りしています。不足がありましたらお申し出ください。なお、資料3については、実際の診断書の事例ですので、個人情報保護の観点から非公開とします。委員の皆さま方にはお配りしていますが、会合終了後に回収しますので、よろしくお願いします。以上です。
○中島座長 本日の議事の進め方です。前回頂戴したご意見を反映した形での資料1、失語障害がある場合の認定方法についてを再度議論していただき、その後、資料2、障害認定基準及び診断書の改正案を、これまでの議論を踏まえた上で最終的に仕上げていきたいと思います。最後に豊原委員ご提出の高次脳機能障害に関わる認定事例について、委員の皆さま方にご確認をいただきたいと思います。
 事務局のほうから資料1の説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 私のほうから説明をします。資料1、失語障害がある場合の認定方法についての資料をご覧ください。項番1は前回の資料で示したところですので省略します。項番2の前回会合における委員意見というところが、前回先生方に議論をいただいた部分を要約したものです。若干説明を加えながらお話します。前回、委員の皆さんからいただいたご意見として、1つ目のポツ、現行の認定基準「言語機能の障害」では、失語によるコミュニケーション能力の欠如による日常生活の困難さが評価されていない。もともと言語機能の障害の認定基準については、音声に関わる部分しか評価されていないというところがあるので、早期に基準を見直すべきではないかというご意見をいただいています。診断書についても機能損失に関するところだけを記述する様式になっていますので、十分に失語症の方の障害の程度が判断できないのではないかということでした。こちらについては今後早期に基準等の見直しを図っていきたいと考えています。
 次に2ページの一番上です。現行の診断書で、言語と精神の2つの診断書に分けて記載する形になったとしても、高次脳機能障害をこの2つの診断書で判断するとしても、評価が著しく下がったり等級が下がるという不利益は生じないのではないかというご意見でした。もともと精神の診断書1枚で判断するのか、それとも2つの診断書で併合して判断するのかというときに、2つの診断書で判断しても不利益になることはないのではないかというご意見でした。
 3つ目です。失語を言語機能の障害で評価し、他の高次脳機能障害の障害を精神の障害で評価すると、加重になるので総合認定のほうがいいのではないか。こちらは逆に、言語の部分が2級、精神の部分が2級になるケースです。両方ともぎりぎり2級だった場合に、2級足す2級になると1級相当になってしまうので、日常生活の部分等を含めて加重評価になるのではないかと考えると、総合認定のほうがいいのではないかというご意見でした。
 次です。身障者手帳では失語症を中枢性の言語障害として認定し、精神障害者保健福祉手帳では失語は対象としていない。手帳では言語のほうで失語症を見ていて、精神障害者保健福祉手帳のほうでその他の症状について認定の対象としていますが、年金だけ両方一緒にすることになると、判定方法が手帳と年金では変わってしまうので不公平になるのではないかというご意見でした。
 次です。他の傷病においても併合認定する場合に、等級が上がってしまうこともある。こちらは加重になるのではないかというご意見に対して、実際にほかの疾病の併合でもそのようなケースはあるということが委員のほうからご意見としてありました。
 次です。加重になるという意見もあるが、重度から中等度の失語がある場合については、重く評価されることは妥当なのではないか。失語症の方については、言語の今の基準は日常生活を反映していないので軽く見られているということからすると、逆に重く評価されることは妥当なのではないかというご意見でした。
 最後です。失語症を精神の診断書で判断することとした場合に、脳血管障害による肢体の障害のある方が、肢体と精神の診断書で請求してくるなど、混乱をきたすのではないかというところです。こちらについては前回説明しましたが、現在脳血管障害によって肢体の障害と言語障害が生じている場合については、肢体の診断書と言語の診断書をそれぞれ2枚出す形に去年から整理しています。従って、こちらの取り扱いと変わってきますので混乱するのではないかというところでした。
 ここで、事務局でも考えてみたのですが、今、肢体の障害と言語の障害がある方が多くいますので、精神の診断書で失語を判断するというようにここで決めますと、肢体と言語の診断書で出している方についても、肢体と精神で出さなければいけない形になるのかというところもきちんと整理しなければいけないと考えています。
 併合判定することになると、加重の問題などいろいろありますので、併合判定する際の手法については考える必要があると事務局としては考えています。以上が先生方にいただいたご意見になりますので、これを踏まえて再度検討をいただければと思います。以上です。
○中島座長 事務局のほうからただいま説明がありました、失語症がある場合の認定方法について委員の皆さまにご意見を伺っていきたいと思います。前回の意見の要約は今のでよろしいですか。追加するご意見があれば承りたいと思います。事務局から何か追加することはありますか。
○小杉障害認定企画専門官 特にありません。
○冨永委員 私のイメージでは、麻痺や知覚障害、関節の拘縮など、脳卒中でいえばこういうのがあれば身体障害者手帳で、失認、失行、中枢性の失語、それから短期の記憶障害とか注意障害とか遂行機能障害、コントロール障害は精神で見られると思っていました。これは、末梢性というか口蓋裂などの言語障害は専門ではないから精神科に入らない。中枢に由来する分で、麻痺や知覚障害、関節の拘縮は専門分野ではないのです。後者の部分は精神の診断書で十分見られると思います。以上です。
○中島座長 ほかに意見はありませんか。
○加藤委員 今のご意見でいいと思いますが、現実的に精神と言語と肢体と3つの診断書を出される人がいるのですか。理論的には必ずいるのですが、現実には出てきているのですか。
○小杉障害認定企画専門官 肢体と言語を分けたのが平成24年の9月1日で、今年度の9月施行の受付分から分けるようにしています。例えば肢体と言語を合わせて上位等級になるケースであれば両方出していただいています。失語の部分を言語のほうで出さないで精神で出すとなると2枚で、3枚になることはないのではないかと。
○加藤委員 患者はいます。右の麻痺があり、失語があり、病巣が内側部で、著しい記憶障害があると。健忘症状がメーンで、それに失語があり右麻痺があるという人はいるのですが。
○小杉障害認定企画専門官 今、実際出てきているかどうかは把握していません。3つを合わせれば上位等級になるということであれば、3枚出していただくことになると思います。
○加藤委員 すごくややこしいですね。仕方がないのですが。その場合に激しい加重が起こるのは問題だと思います。
○大橋委員 去年の9月から書類が変わったということですが、そのようにした理由と、その効果がどうであったかを教えて下さい。
○小杉障害認定企画専門官 肢体の診断書の中に、言語の会話能力を記載する欄があったのをご存じだと思いますが、もともと言語障害については、会話状態と語音の2つを確認するところがあり、それに基づいて認定することになっているのですが、肢体の診断書には会話の部分しかなかったので、認定としては片手落ちになってしまいますので、きちんと語音と会話の両方を肢体の診断書に入れたほうがいいのではないかということで、肢体の専門家会合のときに提案したのです。
 肢体の診断書を書く先生方は、語音のところは「われわれは耳鼻咽喉科ではないので書けない。書けないものをここに書けと言われても困る」と。そこをきちんと書いてほしいというのであれば、診断書を分けるべきだろうという意見がありました。結果的に肢体の診断書から会話の部分を除いて、言語に関する障害については、耳鼻咽喉科ではなくてもいいが、言語を書ける先生に書いていただいて、きちんと言語の障害の状態を確認して等級を判断する、基準にきちんと合わせて判断するという結果になりました。肢体の見直しのときに切り分けたということです。
○大橋委員 今の説明では語音の障害でとくに耳鼻科的な問題を明確にしようという意図で、去年の9月に書類を整備したと理解できました。そうであれば多くの失語症患者の場合は、肢体障害の書類のコミュニケーションの記述を利用し、さらに記憶力などの障害を伴う場合は精神の診断書を追加すると、書類は2枚でいい。まれに語音の障害が耳鼻科的な問題と重なる方の場合は、もう一枚出すことになりそうだという理解でよろしいですか。
○小杉障害認定企画専門官 言語障害の認定基準で2級相当の方は会話だけでも認定ができますが、3級相当では語音と会話と両方見ていかなければいけないのです。重い方は、言語が2級になるケースでは言語で2級、あとは肢体なり高次脳機能障害に係る精神で出したものと合わせて併合して、1級になるかどうかを見るようになると思います。私たちはできるだけ診断書を出す数を少なくしたいので、個々の障害を足して上位等級になるのであれば、必要な診断書は出していただきますが、言語が3級以下にしかならなくて、ほかのものと足し込んでも2級以上にならないのに、わざわざ複数出していただく必要はないので、その場合については、肢体だけで2級になるのなら言語は悪くなってきたときに改めて一緒に出してくださいという形にしたいと考えています。肢体のほうも同じようにやっています。肢体と言語を合わせても上位等級にならない場合には、言語のほうは現在は出さないで、肢体だけで2級相当であればそれで認定して、言語のほうが悪くなってきたら、合わせて1級相当になるのであれば、その診断書を後から追加で出していただくという対応方法を取ることにしています。
○大橋委員 去年の9月の診断書の改訂は、耳鼻科的な構音の障害を、もう一つ分けようという発想だったと理解しました。でも、今の説明では、今後改訂される診断書には、言語の障害の中に、構音のことだけではなくて、コミュニケーションや日常生活なども含まれることになるのだと思います。コミュニケーションや日常生活の困難は、耳鼻科の先生にとっては書きにくい内容と思われますが。
○小杉障害認定企画専門官 そこは今後の検討課題にしたいと思います。今は便宜的に肢体と言語を分けていますし、今回ここで高次脳機能障害については言語と精神の診断書に分けたとしても、言語のほうも認定基準を見直したときに、どこまでコミュニケーション能力に関わる部分も入れていくか、高次脳機能障害では失語症のような方は入れないで、別に項目を設けるのかなど、その辺も考えていかなければいけないと思います。単純に音声だけの失語の方、音声が出ない人と、記憶障害も含めて脳の障害のある方の言語が一緒になっていること自体、認定上無理があるのかなと思います。根本的なことを考えて、言語の中でしっかり書き込んで、診断書もそれに合わせた形にしていくのか、高次脳機能障害に係る失語症については精神のほうに戻すのか、別に項目を設けるのか、どのようにするのが一番認定上認定がしやすいか、理解されやすいかなどというところも併せて今後検討していきたいと思います。
○大橋委員 印象では構音だけを分けたほうが良いと思います。言語に関わる高次脳機能的な、あるいは生活困難については精神のほうに戻して、構音に関わる問題だけを耳鼻科の先生にきちんと診断して書いていただくほうが分かりやすいのかなと個人的に思います、今のお話を伺っていて。
○小杉障害認定企画専門官 このようなご意見を踏まえて、今後どちらにしたほうが認定上しやすいのか、認定の現場の先生方にご意見を伺った上で検討していきたいと思っています。
○加藤委員 1ついいですか。不勉強なのですが、今の言語の診断書にはコミュニケーション能力など、そのような項目はないのですね。
○小杉障害認定企画専門官 ないです。
○中島座長 これまでの3回の会合を通じて、言語の障害というもの、失語症および構音障害の問題を含めて言語障害についてのいろいろな諸手続きについてはいろいろな困難が伴っていることが分かりました。これは今後深い理解と整備が必要だということが明らかになったわけです。これは引き続き、別途年金局のほうで検討をいただくことにしたいと思います。
 もう一点の議論の発端である、できれば診断書の枚数を減らすことで書く人あるいは申請する人の便宜ならしめるという議論に関しては、先ほど記述の説明にもありましたように、脳血管障害の場合にはどうするのかという問題も考える必要があります。この会合では高次脳機能障害を中心に据えて議論しているわけですが、当の高次脳機能障害の患者においても、肢体不自由を伴っている方が約3分の2いますので、診断書を1枚にするということを失語症に限って実現することが、ただちに簡便化につながるかどうかということも考慮する必要があります。それらを総合して皆さま方に2つの案が提示されていますので、案1ならびに案2について、それぞれの可否というか、いい点、欠点、あるいは先生方のご意見を今一度承っておきたいと思います。いかがでしょうか。
○冨永委員 診断書は最低でも1枚5,000円ぐらいかかりますから、枚数が少ないものが患者の負担が少ないが、言語の障害がある脳血管障害の場合は2枚要るのかと。麻痺とか後遺症とかありますので。現場でやっていると2枚来ますが、2週間に一度ぐらい認定するわけで、肢体のほうが終わっていれば、精神科やリハ科の先生は総合的に見ることができると思います。なぜかというと、精神科にはPSWがいたりして、日常生活の現状、目が離せないとか見守りが必要だということまで含めて判断している。その辺が脳外科の先生は弱いと思いますから、後のほうで精神科で、身体は2級だから、こちらはあれでいいかなと総合的に見られる。これは大変だから併合して1級にしたほうがいいという判断は、精神科やリハ科の先生がうまいのではないかと思いますから、2枚でもそういうことができると思います。
○中島座長 ほかの先生方はいかがですか。
○加藤委員 また分からなくなってきましたが、案1は高次脳機能障害による失語症の機能の損失以外も評価できることから失語に関しては言語機能の障害で判断して、その他は精神の障害で判断する。失語に関しては言語機能の障害で判断するといっても、言語機能の障害というのは、構音障害や口蓋裂以外にないのですから、分からない。
○中島座長 それでは私が述べることにします。高次脳機能障害で失語症を持っている場合は、言語の障害としてもう一枚診断書を出していただく。
○加藤委員 それは単なる構音の障害などですか。
○中島座長 構音障害があったら構音障害も書いていいと思います。
○加藤委員 そこに言語理解という項目はないのですね。
○小杉障害認定企画専門官 ないので、言語の診断書を使うときは、下のほうにその他を書く欄がありますので、そこに先生に書いていただきます。
○加藤委員 いずれにしても併合で加重を考えていくのがいいと思いますが、失語症の専門家、耳鼻科の専門家、精神の専門家が集まってきちんとミーティングをしなければ整理しにくいような気がしてきましたが、今のところは今言ったような形で併合でいいと思います。
○中島座長 いかがですか。それでは今のご意見を踏まえて今後年金局において、失語症の問題をどう取り扱っていくかについて真剣に議論をしていただくとして、この会合における皆さま方のご意見として案1のように整理したいと思います。
 続きまして事務局から資料2について説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 資料2の障害認定基準及び診断書の改正案をご覧ください。前回1項目ごとにご確認いたいだいたもので、その後修正が必要なものを直したものです。実際に赤字になっているところが、今回の専門家会合の中で議論をして整理したものです。中身的には前回1項目ずつ説明しましたので省略します。
 診断書のほうも前回ご確認いただいたところです。こちらには反映させていませんが、診断書に関して言語機能については別の診断書と2枚でする形になりますので、記入上の注意の最後の欄に、高次脳機能障害による失語症があるときには、言語機能の障害用の診断書も必要になるという記入上の注意をひとつ入れようと考えています。
 今回は修正をしていませんが、裏面のところで前回ご意見があった、精神障害ではないという意見がありましたが、一般の方が見ても分かるようにということで、あえて今回修正していませんが、右側の3の日常生活能力の程度の(1)の精神障害のカッコの中に、病的体験・残遺症状・認知症・性格変化等を認めるが、社会生活は普通にできると書いてある、カッコの中の認知症を認知障害と訂正をします。基準の中でも認知障害という中で含めましたので。医学的には精神障害ではないとおっしゃる方にもここでご理解いただけると思いますので、そのような訂正でよろしければ、その方向で進めたいと思います。以上が今回訂正したところです。
○中島座長 事務局から説明がありました改正案について先生方のご意見をいただきたいと思います。いかがですか。
○豊原委員 前回の会合で、症状性を含む器質性精神障害のところに、カッコで高次脳機能障害を含むか何かをと一言言ったと思うのですが、それはなくてもよろしいですか。
○小杉障害認定企画専門官 入れるところも検討したのですが、器質性精神障害のところにアルコールなどの説明がいろいろ入っているので、悩ましいかなと思い、もう一度議論をいただくところかと思いました。
○中島座長 加藤先生、その点。
○加藤委員 これはどこか1箇所に(高次脳機能障害を含む)を入れたほうがいいと思います。1箇所でいいです。Bの1の一番初めのところがいいですが。
○中島座長 Bの一番初めのところですか。
○加藤委員 Bの1です。症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)、ここだけでもいいですから1箇所入れたほうがいいと思います。
○中島座長 Bの(1)、それともBのタイトルですか。
○加藤委員 タイトルに入れるとややこしくなりそうだということですね。だからその次の行のところに。
○中島座長 「症状性を含む器質性精神障害とは」というところで、器質性精神障害の次にカッコで、高次脳機能障害を含むとするのですね。その点につきましてほかの先生方はいかがでしょうか。
○豊原委員 それでいいと思います。ただ、これをどこかに入れておかなければ、4ページの(5)に「高次脳機能障害とは」と唐突に出てくるので、その前にBの(1)の器質性精神障害のところにカッコで入れたほうが分かりやすくなるのではないかと思います。
○中島座長 ただいまのご意見をもう一度整理します。3ページのBの(1)の「症状性を含む器質性精神障害とは」の「精神障害」と「とは」の間にカッコをして「高次脳機能障害を含む」を入れるというご意見で、ご異論がなければこれでいきたいと思います。
○小杉障害認定企画専門官 了解いたしました。
○中島座長 ほかに何かお気付きの点はありますか。
○大橋委員 患者さんにとっては年金診断書作成依頼は初めての方もいて、何科の先生にどのように書いてもらったらいいのか、分からない方もいらっしゃると思うのです。ソーシャルワーカーなどが指導はしてくれると思いますが。記入上の注意を読むと、高次脳機能障害であれば、精神科の先生でなくてもいいと書いてあります。これは、利用者に対する情報にもなると思います。脳卒中で肢体障害に言語や認知の障害が併合していると、複数の科の先生に診断書作成をお願いしなければならない場合があると思います。
 そのような場合に、患者さんはどこの科とどこの科に行けば自分の状態が適切に判断してもらえるのかという情報が必要だと思うのです。利用者にとっての情報や指導は記入上の注意以外にあるのですか。
○中島座長 それについては私のほうから述べますが、平成21年の10月22日に、社会保険庁の課長通達が出ていまして、高次脳機能障害の障害年金の作成医は精神科医に限らないとなっています。主治医が神経内科、リハビリ、その他であっても作成医になることができるという通達が出ていますので、先生の疑問はそれでよいと思いますが。
○大橋委員 それは記入上の注意に書かれているので分かるのですが、先ほど冨永先生が、脳卒中の失語症の方で肢体不自由と失語症がある場合に、複数の科にまたがって診断書を依頼しなければいけない場合に、患者さんがそういう情報を知らないと戸惑う場合がありますから。
○中島座長 それは周知のことですね。
○小杉障害認定企画専門官 障害年金を請求するときは「窓口で相談をしてください」とお願いしています。どの診断書を提出していただくのがその方の障害を適切に判断できるか、というところが重要になってきます。窓口においでいただいたときに、どういうところに症状が出ているのか、障害が生じているのかを伺った上で、肢体の診断書も必要なのか、言語の診断書も必要なのか、精神の診断書だけで済むのかというところを、ご家族もしくは本人に確認をした上で、肢体が必要であれば肢体については、今かかっている病院で肢体を診てもらっている先生に書いてもらってくださいというご案内をすることになります。
 障害年金の場合にはどの時点の障害の状態を書いていただくかという期日があります。障害認定日時点の障害の状態を書いていただく、もしくは現在の状態を書いていただくという、細かい指示をしています。その際にそういったところについてもご案内をするように窓口で対応していますので、あえて記入上の注意のところに、大橋先生がおっしゃっていたようなことは書かなくても、窓口の対応のフォローの中でしていけると思っています。
 今回は言語のことを入れたのは、切り分けてしまった以上、そこは明示して、記入上の注意の中に入れておいたほうがいいと思い、提案した次第です。
○大橋委員 よく分かりました。
○冨永委員 一般の病院は大きな総合病院にしか、MSW、医療ソーシャルワーカーはいないのです。精神科は、病院にPSWという国家資格がある精神保健福祉士という人がいます。この制度には一番詳しいです。これは肢体のほうももしかしたら併合認定になるかもしれないと、そういう判断ができます。年金局でも案内していますし、精神科に相談していただければ、こちらも出したほうがいいというアドバイスができるのかなと。
 現実には国民年金は2級以上しか年金は出ないのですが、厚生年金は3級までです。そういうことも加味して、それでずれるのはよくないのですが、この人は国民年金だから3級では年金が出ないということで、若干重めに書くことがいいか悪いかは別として、精神科医はやっている人も結構いるのかなと。その辺もリハ科の先生と精神科医が、全部ではないですが、比較的理解していると思っています。以上です。
○中島座長 ほかにはいかがですか。
○豊原委員 細かいことで申し訳ないのですが、記入上の注意で、われわれは障害に対して障害等級、1級、2級、3級と思っているのですが、2行目に、てんかん、知的障害、発達障害、認知症となっていますが、認知障害ではなくて認知症でよろしいのですか。
○小杉障害認定企画専門官 認知障害に訂正します。
○豊原委員 分かりました。
○中島座長 ほかにいかがですか。
○加藤委員 この前ミーティングで議論になったと思いますが、とても大きなことなのでなかなか難しいのだと思います。将来のことも考えて、診断書の名前を精神及び行動の障害用とすることはなかなか簡単ではないのでしょうか。そうすると行動の障害だなと。海外では、ビヘイビアとコグニッションという言葉は似たようなニュアンスで使われています。行動の障害という言葉をいれるとリハビリの先生や神経内科の先生が書きやすくなることがあると思います。これは大きなタイトルなので簡単に変えられるとは思いませんが、将来、精神及び行動の障害用というような診断書にすると、患者さんにとっても医師にとってもメリットが大きいのではないかと思います。今後ご検討していただきたい。
○冨永委員 今は精神病と使わない、精神障害と使います。精神病院だったのですが、今は精神科病院と呼んでほしいということで、日本精神科病院協会となっているわけです。今言われたように、発達障害や高次脳機能障害、てんかんも含めて精神障害ではないといって、書く人も抵抗があるし、出す人も抵抗があります。5年後ぐらいかもしれませんが、敷居が低くなるような、精神と中ポツ行動障害でもいいですから、非常にいい考えだと思います。
○加藤委員 確かにてんかんなどの場合に「精神病じゃないじゃないか」となりますよね。
○大橋委員 確認ですが、精神の障害用というのは行政用語で、知的障害、精神障害、肢体不自由とか行政用語としてのタイトルだとすると、行政用語を変えるのは難しいと思うのですが。行政用語なのか、それとも、この書類はそういうものだということを示すタイトルなのか、どういう考え方ですか。
○小杉障害認定企画専門官 細かいところまでは分からないですが、ほかの厚労省内も含めて行政用語で使っていると思います。ここをどのように変えていくかというのは、先ほどの先生方のご意見を基に手帳のほうの診断書と合わせていく必要があると思います。その辺を手帳等も含めて私たちのほうで調整しながら考えていきたいと思います。
○中島座長 私も加藤先生のご意見は実にもっともなことだと思います。非常に大きな問題でして、時間をかけて慎重に進めていくべき事項だと思います。ただ、非常に大切なご指摘だと思っています。ほかにご意見はありませんか。特にご異論がなければ、1点文章を書き足すところはありますが、その点を踏まえて改正案のように整理したいと思います。ここまでの議論をもって、3回行いました本会合の結論としたいと思いますが、さらに、ここでご意見として承っておいたほうがいいものがあれば伺いたいと思いますが、いかがですか。
 先生方は非常にご専門でいらっしゃるので、高次脳機能障害等の障害年金認定の枠を越えた非常に大きな問題がたくさんあるということが明らかにされて、そういった意味で今回は有益な議論を頂戴したと思っています。よろしいですか。
 それでは、豊原委員から資料のご提出がありましたので、ご説明を豊原先生からお願いします。
○豊原委員 同じ症例ですが、各専門の先生方によって現在の症状、または状態像に関しても、ADL能力の判定程度についても食い違いが出ています。これは仕方のないことだと思います。64歳の男性は、病名はそこに書いてあるように、右側頭葉内側グリオーマとの診断で手術をされ、その後、後遺症として高次脳機能障害が残ったということです。初診に関しては、受診が平成22年7月14日でオッケーですので、最初は事後重症で請求されていたのですが、認定日の診断書も作成していただけるということで、平成24年1月14日が認定日ですが、それから3カ月以内であれば、認定日の診断書として許容しましょうということで、その後、24年4月10日現症の診断書が提出されました。
 これを書いた先生は河村クリニックの、専門は精神保健指定医の先生です。障害の原因となった傷病名に関しては、この先生は精神科の専門医ですので、高次脳機能障害、F06とあるのですが、うつ病も合併していると。反復性うつ病、F33もあるということで、ADL能力の判定および程度がこのように評価されています。
 マル10の障害の状態を見ると、抑うつ状態として、刺激性、興奮、憂うつ気分があって、そう状態として、易怒性・被刺激性亢進があると。こういうところからF33という病名をつけたのだと思います。知能障害等としては、遂行機能障害、注意障害、その他に記憶障害があるという方です。
 マル10で左記の状態について、その程度・症状・処方等を具体的に記載してくださいというところを見ますと、不安、抑うつ気分、意欲減退、苛々などの症状を呈して、非常に訴えが強く易疲労感が強いと。高次脳機能障害にしては人や物にあたる、物忘れや、いろいろな人格変化が伴っているということです。1人の外出は極めて難しく、第三者の援助が必要な状態であると。ここを見ただけで、この方は2級相当かなという感じを持つわけです。
 そして、ADL能力の判定および程度を見るわけですが、整合性が非常にあります。表面の状態像と日常生活能力の判定、能力の程度においては非常に整合性があるということで、適切な食事摂取はその程度ですが、身辺の清潔保持は自発的にはできないと。一番ひどいのは金銭管理と買い物で、全くできないです。そのほか、通院と服薬、他人との意思疎通、身辺の安全保持および危機対応。最後の社会性に関しては、助言や指導をしてもできない、若しくは行わないということで、ADL能力の程度は4と判定されています。マル11で日常生活において周囲の援助を必要としており、労働は不能であるということです。
 私は障害厚生年金の認定をしていますので、厚生年金資格記録を見て、実際にこの方が本当に仕事を辞めているかどうか、給料をもらっているかどうかが分かるわけです。この方は平成23年5月1日で厚生年金の資格記録は消失していますので、前の仕事はしていないということが分かるわけです。厚生年金の資格記録もありますが、それも消失しているということと、状態像と日常生活能力の判定、程度、マル11で日常生活において周囲の援助を必要とし、就労は不能であるということを考えれば、当然2級に該当するのではないかと判断しました。
 次の診断書です。これを書いたのはリハビリデーションの専門医で、諏訪の杜病院のリハビリテーション病院の専門の先生です。最初にあったうつ病がなくなり、F06だけで評価していると考えてよろしいのかなと。この病院に来た理由は、高次脳機能障害の詳細評価および障害年金の申請を目的に来られたということです。抑うつ状態としては憂うつ気分がありますが、そのほか、そう状態として書いてあることはあまり変わらないのですが。具体的な記載例としては、礼節は保たれており、笑顔が見られるなどコミュニケーションは良好であるということが書かれています。中枢性の言語機能障害はないということが分かると思います。ただ、下に書かれているような高次脳機能障害が見られるということです。
 裏面を見ると、ADL能力の判定において前回の精神科の専門の先生は、身辺の清潔保持が、自発的かつ適正に行うことはできないが、助言や指導があればできると。今度のリハビリテーション科の先生は、全くすべて適切にできると変わっています。そのほかは変わっていないです。ADL能力の程度に関しては、前回の精神科の専門医の先生はADL能力の程度を4としたのですが今回は3というように、より軽めに評価されています。しかし、マル11で日常生活においても第三者の援助が欠かせない状態であり、労働能力はない。実際に厚年記録を見ても、厚年記録は消失していますので、これがこう変わったとしても、2級にいくのではないかと思います。
 この中で最後のカの臨床検査がよく分からないのです。WAIS-3、これはFIQが80ということですが、WMS-R、WCST、D-CATは、リハビリテーション科の専門の先生であればご理解が願うと。この程度であれば、日常生活能力の障害はどの程度なのかということが判断できるのかなと、この臨床検査を見ましてですね。大橋先生にそこをお聞きしたいのですが。
○大橋委員 神経心理学的検査から、ADLのどこの丸付けが適当かを判断できるかというと、できないと思います。生活困難は基本的にはアパートに1人で生活している場合を想定して、清潔、食事、買い物ができるかということでしょうが、その方のもともとの経験や、いろいろな要素があるので、神経心理学的検査だけでは判断できないと思います。
 神経心理学的検査によらず、豊原先生が指摘されたことは、武居先生はうつ病を書かれていないから、それは専門性の違いによるのだと思います。武居先生は高次脳機能障害がご専門ですが、高次脳機能障害だけで生活困難が起き得るということで、うつ病というのは書かれていなかったのだと思います。うつ病という診断があったから3にしたか4にしたかということなのか、それとも、その先生がご自分の中で考えている基準で3にするか4にするかというのが違ったのかというのは、神経心理学的検査のこの数値であれば3で、この検査のこの数値であれば4でということはできないと考えます。
○冨永委員 手帳も判定しています。どちらも2級になります。手帳は県によって違うと思いますが、大体全国一緒かと思います。日常生活能力の程度は、できる、できない、もしくは行わないということまであるのですが。右の重いほうの2つに3つ以上マークがあって、3か4だと2級にしています。左寄りが多いと3でも3級になることがあるのですが、これはどちらも2級で、手帳でもそうですし、年金でもそうだと思いますし、精神科医とリハ科の先生の特徴が出ていてどちらもいいと思います。リハ科とか脳外科でもらわなければ、精神科はこういうデータをつくることはできないのです。それぞれ精神科とリハ科の先生がうまい具合に書かれて、少しばらつきはありますが、総合的には納得できる2級でいいと思います。
○加藤委員 豊原先生のご質問で、臨床検査が細かく書いてありますが、大橋先生が言われたように、この臨床検査、心理テストから直接的に日常生活の状況や生活能力を予測することはかなり困難です。完全に対応しているわけではなく、大概のことは分かるという感じです。これはIQが悪くないですね。VIQが84で、FIQは80になっていますが、いいほうを取ると84で、まあまあです。WMS-Rはいろいろ指標はありますが、一番大事なのは遅延再生で79です。これはいわゆる近時記憶で、これが8割でまあまあですから、物忘れがあるといってもたいしたことはない。
 次のWisconsin card sorting testのCAというのは達成カテゴリー数といいますが、これはゼロで悪いのですが、内容を見ているとこの辺はかなり専門的な話で生活援助には意味はありません。また、少し注意障害があるかなという指標が読めます。相対的に見ると、認知障害はそれほど強くはないと。遂行機能障害、記憶障害、注意障害があるのですが、それほどひどくない感じがします。
 そういうことをベースにしてみれば、前の精神科医の先生は、うつや人格変化、怒りっぽいとか、そういうものを重要視していて、リハビリテーション科の先生はそこは外してというか、少しそこは問題にならないのではないかという感じで3になっているのだろうと思いますが、私も2級でいいと思います。
○大橋委員 豊原先生が、同じ患者さんに違う科の先生方が丸を付ける位置が違うことを示されたのは、判定するのはすごく大変だということを示されたのですか。それとも、今後これはまずいのではないかというご提言ですか。
○豊原委員 両方です。各先生の専門性によって、ADL能力の判定程度が異なるのは仕方がないのですが、各先生によってこれだけ違いがあるということを知っておいていただきたいと思います。これは仕方がないことで、リハビリテーション科の先生に、うつ病があるのかどうかを判断しろと言われてもできないです。ですから、これは逆の場合なのかもしれません。精神科の先生が、実はリハビリテーション科の先生と同じようなADL能力の判定程度にして、リハビリテーション科の先生がもっと重く書く場合があるかもしれないということで、作成される、記載される先生の専門性によってADL能力の判定程度に違いが出るのは仕方がないと。障害厚生年金において就労状況を調査しますので厚生年金記録も見ます。そういうことで、この方は平成23年以降全く就労できていないということです。これは労働に厳しい制限があるということを越えて、日常生活に著しい制限があるということなので2級でいいかなと思います。これはまず何級かということと、書く先生の専門性によって過小でない場合もあり、違いが出るということを現場としては知っておいていただきたいと思います。
○大橋委員 先生は就労状況の資料を見て総合的に判断されているのですが、脳外傷の人だと、仕事はするけどすぐに辞める、50回ぐらい就職、退職を繰り返している方もいます。ずっと仕事をしていないといってもアルバイトとか、就労はしたが長続きしないというのは結構重要な問題である場合が脳内症の人にはあるように思うのですが、そういうことを含めて総合的に判断をされているのでしょうか。
○豊原委員 アルバイトは入りません。ただ、大橋先生が言われたようなことであれば、厚生年金記録も資格を取得して喪失、取得して喪失、という記録がありありと残るわけです。障害者雇用であれば、あまり定期的に就労できていないということであれば厚生年金記録がないわけです。そういう状態を見て、この方は通常の就労を定期的に行うことができない人だと判断できます。ADL能力は状態像や判定程度を見て総合的に判断して、この方の場合は2級と判断してよろしいと考えています。
○冨永委員 一部身体の清潔保持のところはずれていますが、よく一致しているし、それぞれ精神科医とリハ科の先生が、同じ症例で一致率が高いと逆に見ました。奇跡的なくらい合っているなと。先生は就労のことを言われるが、私は就労よりは日常生活能力で援助が必要、見守りが必要なのがあれかなと。就労にこだわるとあまりよろしくないということをインプリンティングされているような気がして。
 例えば脳外科の先生で、食事で嚥下できるとか、そういうレベルで書いている人も結構います。精神科でよくいるのですが、退院してインスタントラーメンばかり、野菜を入れずに食べていたら体に悪いでしょうと。お金も、買い物もできておつりも計算できるが、1カ月分を2週間で使ったり、そういうことが精神障害者ではありますから。それはそれぞれ書き方があります。精神科医は比較的総合的に書くことができるのではないかと思います。
 ただし、普通の精神科で高次脳機能障害のテストバッテリーが精神科医にはできないです。その情報を提供していただけるか。脳外科または神経内科で書いてもらうか、どちらかをすればうまくいくと思います。以上です。
○豊原委員 私は障害厚生年金をやっていますので、労働能力の減損に重きを置くので立場が。日常生活能力の減損に重きを置く障害基礎年金とは評価が少し違ってくる。
○冨永委員 年金局にそれを教えてもらいたい。僕の記憶違いですかね。就労よりは日常生活能力ということでは。
○小杉障害認定企画専門官 障害基礎年金は日常生活で見ることになっているので、冨永先生のご覧になっている方法だと思います。豊原先生がおっしゃっているのは、特に3級は労働能力で見ていますので、そこがあります。前回診断書を変更したときに、下に現症時の就労状況という欄を入れましたが、これは精神障害者だけではないですが、今は積極的に障害者の就労を図ろうと、厚労省も含めてやっているところです。働いているだけで日常生活がいいというように見てはいけないということの参考のために、どういう働き方をしているかを書いていただくようにしています。一般的な働き方ができるということであれば、日常生活能力もある程度あるという判断になるので、そういう意味で、豊原先生は厚生年金に加入して、ある程度の就労ができているかどうかを見ていらっしゃるのだと思います。
 障害基礎年金の場合については、ここに書いてある内容から判断をいただく部分もあると思いますが、ベースは日常生活ということです。根本的に見る観点は同じですが、見方が少し違うところなのかと思います。
○加藤委員 些末なことですが、エの現症時の就労状況を書く診断書が回ってきて初めてのときに、何を意味するのかよく分からなかったのです。例えば勤務先、一般企業と書いてあって、ここに丸ができようはずがないと思ったわけです。今言ったように、日常生活能力と就労能力が分離しているという考えに立てば理解はできますが。この先生はここを書いていませんね。ここの記入率というか、記入しなければいけないのかどうかとか。例えば最後の右側の3番のところに丸が付いていないと、丸が付いていないからだめだと返却されてきます。エのところは書かなくてもいいのですか。それともどのぐらい正確に、どのぐらいの率で書いてあって、それがどのぐらい正確なのかというのが、どうなんだろうといつも思っています。
○小杉障害認定企画専門官 どのぐらい書かれているかというのは、実際に現場に確認していないのですが、こちらについては精神医学会のほうからもご意見がありまして、全部書いてくれと言われると、本人に「あなたはどこに勤めているの?」というように突き詰めて聞くのは難しいということでした。私どもがここを情報としてできるだけ欲しいと思っているのは、先ほど申し上げたように、特に知的障害者や発達障害の方が就労支援施設などで働いていると、日常生活能力の向上だと言われて、年金を止められるという事象があったというところで指摘を受けたときに、先生も働いていると書いてくださるので、表面もありますから、働き方を確認しなければいけないということで、できる限り情報として欲しいというようにしていますので、必ず書いてくださいとは申し上げていません。ここは記載がなくても、返戻するようなことはしていません。ただ、就労しているというところで、一般企業で普通にお給料をもらっていて精神疾患だといって年金の請求を出されても、それを本当に精神疾患として見ていいのかというところがあります。そういうところのいろいろな情報源として書いていただいているというのが現実です。
○加藤委員 分かりました。今の話でよく分かったのは、ここをとにかくきちんと書いてくれというのは発達障害の人に対してなのですね。その意味が分かりました。
○冨永委員 発達障害は一緒だと。ほとんど保護的就労で就労支援のAとかBで、多くて7~8万、少ない人で2~3万が平均かなと。障害年金が国民年金が6万5,000円ぐらいありますから、足せば親亡き後も、グループホームなどで暮らせるかなというぐらいの金額になるということです。それはもちろん障害年金。私がびっくりしたのは、20歳前の場合に収入制限があって、それも200~300万かな。それで20歳以降の場合はないということで納得できないところもありますが、東京の基準ですが、こんなにもらっていれば田舎ではいらないのではないかと思うのですが、そういうことになっているということです。保護的就労が多いですから、20万を超えると少し考えるということです。
○中島座長 意見も一通り出たと思いますが、豊原先生はこれでよろしいですか。
○豊原委員 あと、お願いしたいのは、これは2級でいいのですが、あと、3級の事例を皆さま方に。
○冨永委員 先生が書かれています。インターネットとかで見られると思います。新しい書類で、1級、2級、3級があると思います。
○小杉障害認定企画専門官 今、豊原先生のほうからご要望がありました認定事例については、私どものほうで、今の診断書の様式で作成して、中島先生のほうにご相談をして、事例という形で出していきたいと思います。
○中島座長 それでは、本日の会合の議論は終わりにしたいと思います。事務局のほうから何かありますか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 委員の皆さま方におかれましては、これまでご専門の立場から貴重なご意見をいただきありがとうございます。本日の議論で、障害認定基準と診断書の改正案について若干指摘がありましたので、整理が必要な箇所については、座長をはじめ委員の皆さま方に事前にご連絡を申し上げて整理をしたいと思います。
○中島座長 今後の修正等については、委員の皆さま方にご確認いただいた上で、最終的な取りまとめは私に一任していただくことになりますが、よろしいですか。ありがとうございます。 今後の予定について事務局からお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 今後の予定ですが、本会合の結果を受けて、改正案について行政手続法に基づく意見公募手続き、パブリックコメントを経て、通知発出の作業を進めていきたいと思っています。施行時期については6月ごろを予定していますが、診断書の様式も変わりますので、十分な周知期間を取ってからの施行ということで考えています。
 また、非公開である今日の認定事例を除いて、本日の資料および議事録については厚生労働省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いします。
 最後に本会合の閉会に当たり、年金局事業管理課給付事業室長からごあいさつを申し上げます。
○新事業管理課給付事業室長 委員の皆さまにおかれましては、大変お忙しい中、昨年11月から3回にわたりお集まりいただき、熱心なご議論、ご意見を賜りまして、心より御礼を申し上げます。ただいま申し上げましたように、今後パブリックコメント等を経て、4月ごろには通知を発出したいと思います。本会合のご議論の中でいただいた専門的な見地からのご意見を踏まえまして、今後は周知広報を含め、実際の運用に十分生かして施行してまいりたいと考えていますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○中島座長 以上をもちまして本会合を終了したいと思います。委員の皆さま方にはお忙しい中をご参加いただき、貴重なご意見を頂戴したことを心から御礼申し上げます。委員の皆さま方からは本会合における議題にとどまらず、日本の医療・福祉・年金制度の根幹に関わる非常に大きなかつ重要な問題が多く含まれた、実に大切なご意見を頂戴したと思っています。この議論が今後の年金局の業務に反映されて、よりよい制度ができていくことを期待して本会合を終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局事業管理課給付事業室

代表: 03-5253-1111(内線3603)
直通: 03-3595-2796

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