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2012年11月26日 第4回「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」議事録

○議事

○阿部座長 定刻になりましたので、第4回「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」を開催いたします。委員の皆さまにおかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは、頭撮りはここまでとさせていただきます。では事務局から資料の確認をお願いいたします。
○三上企画官 お手元に資料として「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会報告書骨子案」を配布しております。もしありませんでしたら、事務局へお申し付けください。
○阿部座長 議題に移りたいと思います。本日は報告書骨子案の検討ということで、これまでのヒアリングや委員の御意見を踏まえ、事務局が整理した報告書の骨子案をもとに、取りまとめに向けた御議論をいただきたいと思います。まず事務局より骨子案の説明をお願いいたします。
○三上企画官 それでは事務局で作成した骨子案につきまして説明させていただきます。先ほどお話しました資料の報告書骨子案に沿って説明させていただきます。
 まず1の「はじめに」というところがあります。これは前提となるような諸条件をお書きいただければと考えていますが、現在のところでは、議論を踏まえてということで空欄にしております。
 本骨子案を取りまとめるに当たりましての2.「基本的な視点」をまず置いています。これにつきましては、(1)で企業側の人材ニーズの分類を行っています。能力ある人材を正規雇用として採用・登用したい、非正規雇用の労働者にも正規雇用の労働者とともに主要な業務を担ってほしい、専門的な業務については、必要なときに必要な人材を確保したい、定型的・補助的業務については非正規雇用の労働者に任せたい。
 一方で、労働者側のニーズを分類したのが(2)です。aが、正規雇用として働きたい、bが、現在働いている企業で労働時間や勤務地等、柔軟な働き方を維持しながら主要な業務を担っていきたい、cが、企業の枠にとらわれず専門性を身につけて、それを活かした仕事がしたい、dが、定型・補助的な業務で働きたいという4つの類型に分類しています。この4つの分類にかかわらず、必要な能力を身につけられる能力開発の機会を得て、能力にふさわしい処遇を受けたいというニーズが労働者側には全般的に存在するということです。
 この企業側、労働者側のニーズを突き合わせてみたのが(3)です。正規雇用の労働者の採用等を行いたいという企業のニーズが、労働者側のニーズに比べて小さいという状況にあり、正規雇用になりたくてもなれない労働者という方々が増えている。その一方で、企業側のニーズにあるような、非正規雇用のままでも主要な業務を担ってほしい、専門的な業務で活躍してほしいというニーズも、企業側では大きな広がりをみせていないという現状にあるとまとめています。この結果として、定型的・補助的な業務は拡大して、自らの希望がかなわないままこのような業務で働くことを余儀なくされている労働者の方々が生まれていると分析しております。
 そういう観点から、このような現状で、キャリアアップの観点を踏まえて、非正規雇用の労働者の方々の態様をさらに分類させていただくと、(4)のア、イ、ウ、エのようなものになるだろうということです。正規雇用を希望しながらそれになれないフリーター等の方々、現在の企業で柔軟な働き方を維持しつつキャリアアップを望むパートタイム労働者の方々、専門性を身につけながら企業の枠にとらわれずにキャリアアップをしていくことを望む派遣社員や契約社員の方々、それからエとして、定型的・補助的業務で働くことを望んでいる方々、現在、継続雇用の進展の中で増えてまいりました高齢者の方々、本格的な就職ではない学生アルバイトの方々等、4つの態様が存在するであろう。
 (5)で、能力開発につきましての施策の基本としては、正規雇用・非正規雇用という雇用形態にかかわらず、将来に夢や希望を持って安心して生活を送ることができるような収入の確保、これが重要である。そのためには能力開発の機会が与えられ、キャリアアップが図られることが重要であるということです。そういった意味では、特に、新卒時の就職環境が厳しかったために正規雇用になれなかった方々、その後もそういった方で正規雇用になれないままでいるような方々、こういったフリーター等の、不本意非正規という言い方にしておりますが、そういった方々に焦点を当てた能力開発が必要であろう。その一方で、やはり柔軟な働き方を求める方々、それから専門性を身につけてキャリアアップを図りたい方々、こういった方々についてもその希望がかなえられるような道筋を確保していくことが必要であろうということです。なお、定型的・補助的業務で働く方々ではキャリアアップを望まない方々というカテゴリーが存在するかと思いますが、そういった意味ではキャリアアップ支援の必要性については必ずしも高くありませんが、企業による必要な能力開発や相応の処遇の確保が望まれるということです。
 以上のような労働者のニーズに応じた、また企業側のニーズも踏まえつつ、ふさわしいキャリアアップの道筋を描いていくことが必要であり、このために必要な能力開発のあり方を今回検討していくということです。そういった意味では、いわゆるこれまでの典型的な職能型の正規雇用のみを視野に入れるのではなく、専門職型の労働市場ということも観点に入れていくことが必要であるとまとめております。また、労働者個人も能力開発の意義を理解し、主体的に取り組んでいけるよう促していくことが重要とまとめております。
 3.ですが、具体的な「施策の方向性」です。個別論に入る前に、総論として(1)と(2)にまとめています。(1)は、キャリア教育の充実等によるフリーター等不本意非正規の増加の防止、(2)が、労働者の態様と企業側のニーズを踏まえた複線的なキャリアアップの道の確保ということです。
 (1)で、雇用志向の積極的な教育政策ということを掲げております。就職氷河期などを経まして就職困難な状況が生じているという中では、フリーター等の増加を防ぐためには、学校から職場への円滑な接続ということが重要になる。こういった意味では、中退の防止や中退者への学校と連携した就労支援などのフリーターへの道筋対策とともに、学校教育段階の早期の段階から職業に必要とされる専門的能力を身につけられる機会を提供する、社会に出る前に、職業人として必要とされる自覚などの理解を深めていただき、主体的に自らの働き方を選択していけるようにキャリア教育を充実することが重要であろう。またそういった「雇用」の観点からの積極的な教育政策が不可欠である。そういった意味ではキャリア・コンサルタント等による専門的な相談機会の確保を図っていくことも必要であろう。
 それから、初期キャリアの形成支援ということで、企業においても、キャリアについて見通しのないまま早期の離職を招かないような努力をしていただくことが必要であろう。また、労働関係法令等の遵守の精神もなく、労働者を使い捨てにするような劣悪な雇用慣行を行う企業については厳に戒めるべきであり、雇用管理の改善の指導、関係法令違反の疑いのある場合には必要な監督指導を実施するということです。
 (2)です。フリーター等の不本意非正規につきましては、可能な限り正規雇用への転換を促進していくことが必要としております。この前提としては正期雇用の場ということが不可欠になります。そのためには、成長分野だけでなく、製造業などの正社員の吸収力のある産業や、各地域で地味でも確かな雇用ニーズのある産業を伸ばしていくことが必要ということで、こうした「雇用」の観点からの積極的な産業政策を講じることが重要となってくるとまとめております。括弧で記載しておりますが(雇用志向の積極的な産業政策)ということです。
 一方で、こうした正期雇用の場の確保というのは一定の限界がある。そのため、現在働いている企業で柔軟な働き方を維持したいという方や、専門性を身につけてキャリアアップを図りたいという方も存在する。こういった複線的な働き方ということも同時に用意していくことが必要である。こういったことを実現するためには、労働者の職業能力に関する評価のフィードバックが不可欠であり、こういったことを行える、自らのキャリアについての相談ができる環境を整備することが必要ということで、(キャリアサポート環境の整備)ということを挙げております。
 (3)として、それぞれの各個別の雇用形態の転換の比較的具体的な方策ということで挙げております。労働者の方々が自らの能力を高めていくためには、個人、企業、業界団体、公的部門が適切な役割分担を行い、効果的な訓練機会を社会全体で確保することが必要ということです。特に非正規雇用の労働者の方々につきましては、企業を移動する可能性が高いため、個々の企業での教育訓練投資の回収が難しいため、個々の企業での対応には限界がある。こうしたことから、労働者個人においても、キャリアについて主体的に考え、必要な能力開発を行っていくことの必要性、こういったことの気づきを促しながら、個人の主体的な取組への支援を強化することを挙げております。また、これは個人には限界がありますので、業界団体、公的部門による充実した能力開発機会の提供を行うことを挙げております。こうした取組により能力開発を行った後の自らの「将来像」を「見える」ようにすることが必要ということです。
 具体策です。正規雇用への転換です。企業内での正規雇用への転換につきましては、個々の企業の特有のノウハウがありますので、各企業が主体となった取組を好事例の普及や助成などにより公的部門が支援していくということがまず大事になる。転職による正規雇用への転換につきましては、各企業での訓練機会の提供が望めないということで、個人による自発的な取組への支援の強化や公的部門による訓練の拡充が不可欠であろう。こういった正規雇用への転換ということになりますと、企業のほうは、即戦力となるスキルと同時に、コミュニケーション能力や判断力、対応力などの社会人としての基礎能力を求める傾向にあり、こうした企業のニーズを踏まえて、労働者の態様に応じた、安定的な雇用に真につながる充実した能力開発機会を、雇用保険の受給者だけでなく全ての労働者に提供していくことが必要と掲げております。まとめて申し上げますと、(即戦力重視型訓練と人間力養成型訓練の開発・実施)という複線的なものということです。また、こういった取組には、労働者の身近な取組として、地域の能力開発の拠点として、コンソーシアム方式で地域の公共職業訓練機関、大学等の教育機関を活用して、地域の経済団体等とも連携・協力しながら、地域や社会全体でのニーズを踏まえた能力開発機会を労働者の身近な場で提供していくことが必要ということで掲げております。(地域コンソーシアムによる訓練実施)という形でまとめております。施策例は省略させていただきます。
 企業内でのキャリアアップです。非正規雇用の労働者が主力として働き、雇用の長期化、雇用が長期になっている企業というのは現に存在している。また今般の労働契約法の改正によって、こうした雇用の長期化がより現象として現れるであろう。こうした労働者に正規雇用の労働者の方々とともに主要な業務を担わせ、そのキャリアアップを図ることへの企業の意識の高まりが現れることが期待されるということです。そういった観点からは、改正労働契約法の円滑な施行や、企業特有のノウハウを身につけられるようなキャリアアップに向けた取組への助成等を行うことで、非正規と正規の雇用管理を統合しながらキャリアアップのための能力開発を行うことを支援していくとしております。(統合型雇用管理の普及)という形でまとめております。
 それから、企業の枠を超えたキャリアアップです。企業の枠を超える場合におきましては、やはり専門性を身につけられる能力開発機会の確保と身につけた能力を持ち運べる環境の整備が必要であろう。そういった意味で専門職型キャリアシステムの構築が必要不可欠ということです。企業の枠を超える場合につきましては、各企業での訓練機会の提供が望めないということですので、個人による自発的な取組を支援することが必要となる。このためにも能力を企業の枠を超えて評価できるよう資格・検定制度等の整備も望まれるということです。こうした専門的業務につきましては、企業は個人請負などを活用することも多く、そのためこういった個人による取組も重要ですが、現にあります労働者派遣の派遣元による能力開発や仕事の場のマッチングの可能性の活用も期待できるということです。そういった意味では、労働者派遣事業の中で、こうした分野について、こういった形での非正規雇用労働者のキャリアアップに資する育成が期待されるということで、(キャリアアップ型専門職派遣モデルの創設)ということです。ただ、こういった取組につきましては個々の派遣事業者の能力開発投資の回収が難しいということもありますので、業界団体や公的部門による支援も重要ということです。なお、定型的・補助的業務で働くことを望む方につきましても、相応の能力確保を図り、企業の生産性の向上を図るという観点から、職務を遂行する上での能力開発を企業が進めていくことが望ましいとしております。
 以上のような能力開発の方向性に共通のものとして、実用的な職業能力評価ツールの整備が必要であろうとしております。能力が労働市場や企業内で適切に評価され、相応の処遇が確保されるためには、やはり職業能力の共通の物差しが必要であり、そういった観点から、ジョブカードや職業能力評価基準の労働市場での普及に向けた必要な見直しを行うことが求められる。そういった物差しとして、業界団体や公的部門が職業、業種等で共通した資格制度、検定制度の整備に取り組むことが望まれるということです。
 最後に、以上の事項についての横断的な重要な事項ということで、こういった施策を進める上では、産業政策や教育政策との連携が不可欠であり、政府全体が一丸となって強力に取組を推進していくことが重要。それから、労働者派遣制度や雇用保険制度の見直しが今後行われる場合には、いま申し上げましたような観点から取組を強化していくことも必要であると掲げております。以上です。
○阿部座長 ただ今説明していただいた骨子案では、施策の方向性についての記載はされていますが、具体的に想定される施策について、現時点で何か補足があればお願いします。
○山田職業能力開発局長 今の説明の中で、3ページの(3)の公的な能力開発の関係について若干補足をさせていただきます。ここに書かれているように非正規が増えてくる中で、やはりそれを補完する意味での公的職業能力開発というのは非常に重要だということだと思います。現在、離職者訓練については年間50万人の規模で訓練を行っています。10年前と比べて約2倍ぐらいになっております。これが適正規模かどうかということはあるかと思いますが、かなり規模的には拡大をしてきているという状況です。ただ、質というところで、従来は施設内訓練が主要だったのですが、民間への委託訓練が非常に増えてきており、最近は求職者支援訓練も始まりましたので、全体の9割が民間への委託訓練という状況になっております。
 就職率で見ますと、施設内訓練と民間への委託訓練を比べると、かなり民間の就職率が低いという状況にあります。今後の課題としては、やはり民間への委託訓練の質をどう担保していくかが非常に重要になってくると考えております。先ほど御説明のあった訓練の内容、この検討会の中でも、例えば企業現場での実習が重要だとか、あるいはコミュニケーション能力等の基礎力を伸ばす訓練が重要だなどの御指摘がありまして、訓練の現場のほうに確認をしましたら、そういったものが重要であるという感じは非常に共通しており、その辺のところを訓練の中身としても伸ばしていく必要があるのではないかということです。ただ、民間への委託訓練の中で、こういう要素も入れてくださいと言うだけでは、なかなか難しいのかなという感じがしていまして、我々としては業界団体、あるいは谷口さんがおられる高・障・求機構の中の実務家の方なども入っていただく中で、グッドプラクティスの作り込みをしていく。その中で良いものができれば、それをほかにも波及させていくような仕組みを作っていく必要があるのではないか。それをコンソーシアム方式と呼んでみたのですが、そういったことを広げて、質というものを担保していく。実施機関が民間のほうにシフトしていくということは流れではあると思いますが、その中身をこういう形で質的に担保していくという仕組みが重要ではないかと考えている次第です。
 離職者訓練についても重要ですが、ここでも様々、在職者の非正規労働者のキャリアアップをどうするのかといったようなことについても御議論がありました。これについてはこういった企業の中での非正規の訓練を推進するということで、それに取り組む企業への公的助成を安定局のほうでも予算要求されるという状況になっておりますが、問題は、こういった仕組みを活用して、どこでどういう訓練を受けるかということだと考えております。非正規労働者を正規に転換させる、あるいは処遇の改善をさせるということに結び付けるカリキュラムというのはどういうものなのかといったことも、まだ見えていない部分があります。こういったこともコンソーシアムという枠組の中で併せて検討していくことができないだろうか。あるいは、現在ジョブカードとセットで有期実習型訓練を行っております。企業の中でのOJT、Off-JTを組み合わせた訓練の有効性がかなり分かってきていますが、取り組んだ実施企業からは、なかなか有効な訓練カリキュラムを作ることが難しいといったような指摘もあります。こういった有効な訓練カリキュラム、企業の中でのOJT、Off-JTを組み合わせた訓練の中でも、どのように行っていけばいいのか、こういうノウハウを作り上げるという意味でも、先ほどのような仕組みをうまく活用していくことができないかと考えています。
 もう一つは、離職者訓練については、やはりどういう訓練を行えば就職の可能性が高まるのかということが非常に重要ですが、日々、求人ニーズに接しておられるのはハローワークの方々です。できるだけハローワークで、どういう訓練を行えば就職可能性が高まるのかという点について意識をしていただいて、そういった情報を訓練機関のほうにつないでいただく中で、より適切な訓練が行われていくという流れは非常に重要ではないかと思っております。
 もう1点、ISO29990という教育訓練サービス分野における国際規格があります。これを活用して厚労省でガイドラインを作成いたしまして、ホームページでも周知中ですが、これはどちらかというとPDCAサイクルの手順を示したというところがありまして、これにプラスして、PDCAを動かしていく具体的な取組事例を加味した形での研修プログラムを作りたい。この研修プログラムを公共訓練を受託される民間の機関に是非受講をしていただいて、質のアップにつなげたいと考えています。
 4ページで、施策例のeのところに、「生活訓練や労働体験等を通じて社会性や集団的規律、勤労観等を養える場を確保」と書かれておりますが、これにつきましては、現在、ニート等の若者に就業体験等を通じて経済的な自立を促すという地域若者サポートステーションという事業を行っています。これはNPOに委託をして予算を付けているものですが、かなり実績を上げており、貴重な社会的資源だと考えております。こういった事業への財源の確保の拡充をできればしていきたい。NPO等に支援人材の方々がいらっしゃるわけですが、正直、こういった人材の育成が十分に行えている状況ではありませんので、こういう貴重な人材を育成していく仕組みも併せて整備をしていく必要があるのではないかと考えています。補足をさせていただきました。
○阿部座長 ありがとうございました。では、報告書骨子案について御質問、あるいは御意見があればお願いしたいと思います。
 初めは大きな2番、3番という具合でやろうと思ったのですが、後のほうで時間が足りなくなると困りますので、どの部分からでも結構ですので、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
○平田委員 1番の「はじめに」のところに、これから書かれる内容に含まれるものかなとも思いながら伺っていたのですが、ここで使われている言葉の定義や意味などを少し明確にしながら使ったほうがいいと思われるものがいくつかあると思いました。その一つとして、正規雇用、非正規雇用というものをどのような概念で使うのか。「望ましい働き方ビジョン」のピンク色の冊子があったと思いますが、そこでは有期、短時間、間接雇用を除く人を正規とするとあったかなと記憶しておりますが、いずれにしてもそこが少し明確になっていないと、ぼんやりするかなと思いました。
 あと二つ、言葉として「キャリアアップ」という言葉なのですが、これもどのように使うかによって、読み手によって、理解のされ方が随分違うかなと。定型的・補助的業務の人や高齢者の方、あるいは学生の方は、キャリアアップは望まないというように読めるような記載がありますが、それでいいのかなというようなところがあります。
 これに関連して、働き方の労働者側のニーズのところで、具体的には1枚目の2.の(2)のbのところで、主要な業務を担いたいとか、主要な業務を担わせたいというようなことが企業にある・ないと出てくるのですが、これの「主要な」というのはどういうことかなと。と申しますのは、私は企業様の非正規雇用について、取材等お話を聞くことを重ねておりますが、あるいは労働者の意見も聞いていますが、かなり「主要な」と言えるのではないかというところに、非正規労働は及んでいるのではないかという実感がありまして、そういう点からここに書かれていることとちょっと違う実感を持っていたので、その理由は「主要な」の扱い方かなというように思います。
○阿部座長 事務局から何かコメントありますか。特になければ。
 まず「正規」、「非正規」の定義ということなのですが、これは前からもこの場だったかどうか分かりませんが、できるだけ非正規という言葉は使いたくないという思いはあったと思います。ただ、そうは言っても、この検討会の名称は非正規雇用というようになっていますが、個人的にもあまり非正規という言葉は使いたくないなと思っています。ここで、では正規の定義とか非正規の定義をどうするかということなのですが、一般的には、無期雇用で、主要な業務を担っている人たちが正規雇用と言われることが大部分ではないかと思うのです。あとはそれ以外ということで非正規と言う。非正規の場合には、無期・有期という人たちもパラパラ入っていますし、補助的な業務をやったり、主要な業務を担っている方たちもいらっしゃいますので、必ずしもこれがというのはないのですが、皆さんがイメージする、いわゆる正社員というのが、ここで考えている正規雇用ではないか。正社員の場合には、その企業に特殊な業務を担っていて、そのための訓練がかなり行われているような方々で、それに対して、それ以外の方たちは特殊性が比較的低い業務を担い、あまり教育訓練の必要のない、あるいは教育訓練を行われていない方々というように認識したほうが、この能力開発抜本強化に関する検討会としてはいいのではないかなと個人的には思っています。
 それから、「キャリアアップ」の意味ですが、確かにおっしゃるとおり、キャリアアップというのも、それぞれキャリアは個人個人で違ってきますので、どうしたらアップと言えるのか、多分、1段階進むのもアップでしょうし、0.5段階でもアップだと思うし、その幅も違うでしょうし、いろいろあると思うのです。なので、ここは少し考えていかないといけないかなとは思いました。
 1ページ目に「キャリアアップが図られることが重要」とか、2ページ目の上のほうにも「キャリアアップをすることを望む」と書いてあるのですが、これでは多分、意味がつかめないと平田委員がおっしゃったとおりではないかと思いますので、少しここも書き加える形にする必要があるかなと思いました。また先生方から御意見をいただきたいと思います。
 主要な業務も、「主要な」と言われると確かにそのとおりですが、先ほど言ったように、私はその企業で絶対必要な業務というのがあって、どれも補助的な業務は絶対なければいけないのですけれども、それはほかの人にすぐに代替できるような性質の業務というように考えたらどうでしょうか。いろいろあると思いますけれども。できたら能力開発のほうにつなげていきたいということで考えると、やはり特殊性が高い、特殊性とは何だと言われると困るのですが、特殊性が高い、あるいはその企業のやり方みたいなのがあって、それをかなりやらないと企業にとっては業務遂行が困難であるとか、そういったイメージで、この主要な業務とか、業務遂行に必要な能力というように考えたらどうかと、お聞きしながら思っていたのですが、これについても皆さんから御意見があればいただきたいのですが。
○佐藤委員 私もちょっと指摘しようと思っていた点について平田委員からあったので、全く同感なのです。キーワードについての定義です。雇用形態の、特に非正規については、これもやり出すとすごく大変な議論になるかなと思っています。阿部座長がおっしゃる趣旨を基本形としながら、具体的には2.の(4)のところで、通常言われているパートタイマー、派遣・契約社員等、学生アルバイト、こういうものが例示されているわけです。そうすると、やはり基本的には通常の労働者、すなわち正社員をいわゆる典型としつつ、それと異なる、例えば労働時間が通常より短い、通常と比べて期間が限定である、通常と比べて雇入先で仕事をするのではなくて派遣先などで仕事をするというような人たちなどを、ここでは非正規と総称するというぐらいかなというように、通常言われているという意味で、やや緩やかな定義が一つあるのかなと思いました。ただ、そこも詰めていく必要がある重要な論点だと思います。
 それから、キャリアアップも重要な言葉でして、これはいわゆるキャリア論やキャリア研究という観点からすると、いろいろ議論のあるところであります。外形的に捉えるアップというのと、内的に捉えるアップと二つあって、外形的には通常ここで言っているキャリアアップだと思うのですが、いわゆる賃金、処遇などの改善、地位や仕事の裁量でやりがいなどの改善というようなものが見込まれるようなポジションに移ることが、基本的にはキャリアアップですね。したがって典型的には特定企業での昇進などがまずその典型ですが、転職をしつつ、処遇を下げないで上げてとか、あるいは仕事の裁量度を上げていくとか、そういうものも一応アップに入ってくるだろう。悩ましいのは、内的なほうでありまして、必ずしも外的でアップしなくても、例えば仕事のやりがい感など、自分らしさみたいな、自分の価値観のようなものに合っているかどうかというのは、必ずしも外的な基準だけでは定義し尽くせないので、しかしそれは本人から見ると結構重要なのです。価値観が高まるというのが、何か気づきによって与えられて、そしてやりがいが高まっていくというのも、一応内的にはアップというように捉えることができるということなのですが、ここでは恐らく外的なところからの定義を強めにしつつ、内的も配慮するという感じかなというように思います。
 あと主要な業務。これも通常言うところの基幹業務対補助業務とか、コア業務対周辺業務というような対比で言えば、いわゆる主要なというのは周辺ではなくて、基幹あるいはコア的な業務として捉えているという。これも緩やかに捉えてはどうかなと今のところは思っています。ただ、これもやり出すと大変かなと思いますが。
○阿部座長 ほかにありますか。
○小野委員 キャリアアップのことについてですが、学術的な論文などでも必ずキャリアを定義付けしてから本題に入っていきます。「キャリア」は、「職の連鎖」と定義づけられることが多いのですが、では「アップ」がついたら何なのだと。職が連鎖してアップしていくというイメージだとは思うのですが、例えば私がやった研究でしたら、「キャリア形成」の定義付けは、能力とかスキルが職の連鎖によって上がっていくというのがまず第1段階で、それプラス、処遇というものがそれに準じて上がるかどうかをくっ付けるかどうかという議論をしました。結論的に言って、非正規、特に派遣などは、前者までは可能だけれども、後者のキャリア形成というのは難しいだから、そこまでの処遇の向上も目指したキャリアアップとするのか。あるいは能力、スキルの向上のみでキャリアアップと捉えるのか。
○尾形企画課長 最初のお話にありました正規や非正規の定義なのですが、実は「望ましい働き方ビジョン」を取りまとめたときにも、これはかなり大きな議論になって、そこで一応の整理はさせていただきました。平田委員が先ほど引用されたのは、そのときの整理です。その場でも、これを議論したら大変なことになるというので、これはあくまでも便宜上の整理という形でまとめたものなのですが、そこでは、正規雇用を、法律上の概念である無期かフルタイムか直接雇用かの三つの概念、その三つ全てを満たすものを正規雇用として、それ以外のもの全部を非正規雇用とするという形にしております。無期でフルタイムで直接雇用であればいいということになりますので、いわゆる典型的な正社員というのは、その一部になりまして、「いわゆる正社員」よりは広い概念として「正規雇用」というのはこのビジョンでは便宜的に整理されたということなのです。
 この検討会の中で正規雇用という言葉遣いは、2.の(1)(2)のところで正規雇用という言葉を使っているのですが、2.の(3)のところにもありますように、「長期雇用を前提に能力の向上に見合った処遇が確保されている正規雇用の労働者の採用等を行いたいという企業側のニーズが、労働者側のニーズに比べて縮小しており」と。こういう文章の中で、あえて定義という形ではないのですが、ここで使っている正規雇用のニュアンスというのは、一応文章の中に落としたつもりでございまして、座長が先ほどおっしゃったような方向のイメージに大体なっているのではないかと思っております。
○阿部座長 ありがとうございました。キャリアアップのことなのですが、小野委員は処遇が入るか入らないかは大きいという話でしたが、これは多分、処遇の上昇まで入っているというように考えてもよいのではないかと思います。というのは、1ページから2ページにかけての2の(5)です。この中でどうもキャリアアップということを書いてあるのが、やはり将来に夢や希望を持ちながら安心して生活を送ることができるような収入を確保できるというようなイメージで書いてありますので、キャリアアップには処遇も入る、能力と処遇も上がるということなのではないかと思います。
○小野委員 それを踏まえて、よろしいでしょうか。私も処遇が上がるということを、まず前面に出して書いていただきたいというのがあるのです。というのは、この間の原さんの研究報告でもありましたし、私のやっている研究でもあるのですが、非正規の大きな問題として、ある程度能力開発できている人はいるのだけれども、そこが処遇につながっていないというのが大きな問題点なのです。ですから、ある意味、1ページの(5)のところで3行ほど書かれていますけれども、要は、「将来に夢や希望を持ちながら、安心して生活を送ることができるような収入を確保できるよう、能力開発の機会が与えられ、キャリアアップが図られることが重要」と書いてあるのですが、今は能力開発の機会があっても、処遇にはつながっていないのです。ここは点でつながっているのですが、今はつながっていない状況なので、そこをもうちょっとかみ砕いて書き直してもらいたいなというのはあります。
○阿部座長 3ページの(3)の(i)の最後ですが、「労働者が自ら主体的に能力開発に取り組むことを促していくためには、その能力開発を行った後の「将来像」を「見える」ようにしていくことが必要」と書いてあって、多分そこを狙っているのだと思うのです。ただ、将来像が見えるようにというところが、例えば追認プロファイルがきれいに描けるとかいうのを読み取れるかどうかというところがあると思うので、もう少しその辺りは書いてもいいのかなとは思いましたが。小野委員が言いたいことは、多分このイメージだと思います。
○小野委員 労働者自身が、能力開発をしたら将来的に賃金が上がるんだというイメージを持たない限り、能力開発に進まないと思うのです。やはり今のままだったら、能力開発しても収入が上がらないじゃないというようなことだと思うので、そこの部分のやる気スイッチを押すような見える化というものが必要なのだということです。
○西久保委員 正に私も同じ考えを持っています。要は、能力が付いて、それを発揮しても、結果的に処遇が上がっていかないという理由の一つとして、日本の企業の人事制度は割合に職能型の企業が多いというところを持っておりまして、弊社の制度を以前御紹介しましたが、どちらかというと職務型です。職務型というのは、能力があれば正規だろうが非正規だろうがかまわず、基本的にはその役割に応じた処遇体系に付くというのが、途中の段階で入っても必ず付けるということですので。例えば2ページの(6)の2行目、3行目ぐらいですが、「その際には、いわゆる職能型の典型的な正規雇用のみを視野に入れるのではなく、専門職型の労働市場を広げていくという観点も必要」とあります。専門職型は確かに必要なのですが、ここの間に、そもそも企業自身がもう少し職務型のいわゆる人事制度体系にしていくべきではないかというのを是非入れていただきたいなと思っております。
 同じようなポイントが4ページの中段ですが、企業内でのキャリアアップということで、企業の中で主要な業務を担わせてそのキャリアアップを図るという、正にこのキャリアアップが先ほどの処遇につながるのかつながらないのかというところで、企業側の受け手の姿勢として、やはり能力を発揮できる人材がそれなりの処遇を与えられるような制度にしていくことが必要というのはあると思います。
○阿部座長 是非それは書き加えられれば。
○田村委員 1ページの2.の基本的な視点の(1)で、「能力ある人材を正規雇用として」というのは、どうも気になっていまして、では反対は能力のない人という話になります。ここはむしろ管理・技能型の人材については正規雇用というような感じで今までは議論があったのかなという気がしまして、ちょっと言葉遣いが気になりました。あと、企業側のニーズの中に是非入れていただきたいのは、似たことになるのですが、繁閑のある業務について有期がかなり雇われている、短時間で雇われているところがあって、それらは多分OJTを必要としない、教育訓練の削減だとか、即戦力だとかという面がありますので、企業のニーズには、やはりそういう低賃金は容易に解雇できるというニーズが根本にはあるのかなというところがあり、そこが抜けているような気がいたします。
 それから、2ページから3ページにかけての(2)ですが、正にここに書いてあるとおりなのですが、相対する正社員に対して、本当にこの人たちは魅力を持っているのだろうか、長時間労働、過酷な家庭も顧みられないような労働のところを正社員がやったとするならば、それをパートの人たちが本当に望んで、非正規を正社員に持っていくことが幸せなのかというと、正社員の働き方そのものを変えていくということも必要なのかと。要は、正社員の働き方は魅力的なのだという置き換えも必要なのかという気がいたします。
 その次の(?)で、「一方で、正規雇用の場の確保にも一定の限界があり」という言い切り型になっているのですが、多くのところで正規がやっている仕事を、短時間の方たちに置き換えをやっているという現状があります。この辺を見直すと、短時間正社員等々もあるのかもしれませんが、一定の限界があると言い切ってしまうことについては若干問題ありという気がします。
 それから、5ページのいちばん最後の(4)で、今ほどありましたキャリアアップと処遇のリンクというのは私もないなと思っているのですが、ジョブカードだとか職業能力評価基準云々がありますけれども、これは全ていくときにはベースになる生活できる賃金+能力がプラス計算になっているのですが、一つの考え方としてはマイナスになってもいいのではないか。ここの仕事については、例えば10万円なら10万円、20万円なら20万円だ、ここが劣っているから1万円削減するみたいな、プラス評価ではないマイナス評価のような採用の仕方という考え方もできないのかなと若干思っておりまして、これは思い付き的な意見ですが、申し上げておきたいと思います。以上です。
○阿部座長 そうですね。「能力ある人材を正規雇用として採用・登用したい」という。多分ここのところは管理だとかそういうところにいくということもあると思うのですが、企業側の人材ニーズは、非正規雇用者からの転換ですとか、あるいは非正規雇用者をどう使いたいかというところをイメージして書いているということなのではないかと思います。だから、非正規雇用の中でも、能力があって管理的業務に付ける人とか、そういう人は是非登用したいというイメージで書いていると思います。なので、もちろん能力がなければそのままかということになってしまうところはありますけれども、それをどうやって引き上げていくかというのが、ここの場で検討すべき事項ではないかと思うのですが。
○田村委員 ルーチン的なことを真面目にずっとやり続けられる人も企業にとっては必要な人材なのです。それも能力だと言われれば能力ですけれども。ここで言うのは、いま言われるような、会社にとって付加価値を高めるような人たちというイメージがあるものですから、それ以外の人は全部駄目なのかというのは。
○阿部座長 ただ、ルーチンワークでもその人たちが固定的にいないと企業が困るということになれば、当然それは企業はやりますよね。
○田村委員 正社員にしますよね。それはここで言う能力とはちょっとイメージが違うものですから。
○阿部座長 そういうことですか。つまり、能力というのが。
○田村委員 反対語が嫌なのです。能力のない人というのは何なのかというのが。
○阿部座長 能力のない人ね。
○佐藤委員 2ページの(2)のところですよね。ここは非常に重要なところだと思うのですが、それがゆえに議論を尽くしたほうがいいと思うのです。一つの考え方は、非正規から正規へというときに、現状は非常に断層があって、スロープのようになっていない。すなわち二者択一的な、おっしゃるような不安定で低スキル、低賃金の非正規と、いわゆるハードな働き方を要求される正規という、しばしば二極化したような、そこを少しジャンプして転換というイメージで捉えられる可能性があるのですが、実はそこで現状とかあるべき方向を考える上でも、ジャンプもありますが、現状からいくと断層になっているので、スロープを作る。そこにはある種のステップがあって、言わば中間型の正社員というか、いわゆる残業プラス転勤ありみたいなものだけではなくて、そこはもう少し限定的、中間的な、それもしかし正規的な性格が非常に強いようなタイプの雇用もあるわけです。それを中間に置くことで、ややスロープ的になってくる。
 問題なのは、そこを一つ置いて、更にもう一つは雇用の場の確保が不可欠というところにすぐいくのもなかなか難しいと私は思っています。そのためには、その前に職業能力の正当な評価というか、それをかませるということだと思うのです。そうすることで、いわゆる非正規労働者の職業能力を正しく評価して、職業能力が伸長したという物差しが、今企業の中ではあるけれども、企業を超えてはないのです。そこが一つ問題で、後の話にもあるのですが、そこをしっかりやって、いわゆる雇用形態に捕らわれず、職業能力の社会的な仕組みをしっかり作った上で、そして2番目にスロープを作って、3番目に正規雇用の確保につながっていくというようなロジックを挟み込むことが一つかなと思うのです。このままだとジャンプのイメージが強いのは確かだと思うのですが。
○阿部座長 確かにそうですね。ジャンプではなくてステップ型を作っていく。ただ、現状ではステップというのはないので、そういう意味ではちょっとジャンプのことを念頭に置いたような形で書いてあるかもしれませんが、確かにステップを作るというのは大事なのかもしれませんね。
○尾形企画課長 今の佐藤先生のお話に関連してなのですが、3ページの(3)は「正規雇用への転換」ということを書き連ねている部分なのですが、そこのアに3行ほど書いてあるのですが、書き方がややインパクトがなかったのかもしれませんが、今、先生がおっしゃったようなこともイメージしている部分です。これを、ほかのところでもっと意識的に書いているのは、4ページの「企業内でのキャリアアップ」という項目がありまして、そこではかなり意識して、中間形態のようなものを普及させていくという意味で、西久保先生が日頃おっしゃっているようなものをイメージして、統合型雇用管理の普及を言っているわけですが、実はアの部分でも、そういう話があっていいのかなと思って書いているのです。書き方を改めなければという部分は感じておりますが、ここはそういう趣旨です。
 それから、物差しが必要で、ちゃんとそれが評価されてという、そこが大事だという趣旨で正に5ページの(4)の記述がございまして、これも佐藤先生のお話と突き合わせてみますと、やや言葉足らずです。例えば2行目なのですが、「労働市場や企業内で適切に評価され」と素っ気なく書いてあるのですが、企業の中だけでなくて、企業を超えたところでもちゃんと社会全体で評価されるという意味で、労働市場や企業内で適切に評価されると書いたつもりでした。
○阿部座長 分かりました。ありがとうございました。今のジャンプからステップへというステップ台を作るというところを、「基本的な視点」に書くのか、「はじめに」に書くのか分かりませんが、やはり非正規から正規へ転換するということが従来大変だったというところを少し書いて、大変だったものを少しでも軽減するために、ステップ台みたいなものを作るということを書くのはいいのではないかと思いました。それを一つのこの検討会の目玉にしていったらどうかと。そのステップ台を作るために、企業も努力するし、個人も努力するし、社会制度というか、労働市場の環境の整備として、職業能力評価ツールですとか、ジョブカードを使うというような形でまとめていければいいと。その流れで、田村委員がおっしゃっていた、「能力ある人材」の言葉遣いを少し見直してみたいと思います。よろしいですか。
 それから、正社員の働き方は魅力的かという話ですね。それは実際そのとおりですし、中にも書いてありますが、労働基準法を無視したような働かせ方をしているという記述もありますので、そこはそういう形で書いているつもりだとは思うのですが、先ほどの基準法云々のところで、少しその辺りをイメージするような形にしたいと思いますが、よろしいですか。
○三上企画官 補足致します。先ほど田村委員がおっしゃったように、正社員の方々が全ていまの正社員の働き方に魅力を感じるかどうかという部分は、やはり労働者の方々のニーズの中で既に分かれているのかなと。そういう意味で先ほどの「主要な業務」というところにも絡んでくるのですけれども、いわゆる正規雇用でブラック的な所は除くとして、ある程度ガチガチな中で働いても構わないという方が、2.の(2)でいうaの分類の正規雇用です。やはりそこではなかなか難しい、そこまでいかなくても、それに近い責任分担で働きたいというイメージで書いているのがbです。そういう意味で、「柔軟な働き方を維持しつつ、主要な業務」ということで、そこで少し書き分けてみたということです。
○阿部座長 それから、田村委員が最後におっしゃったマイナス評価のことが、私は十分に理解できなかったのです。
○田村委員 ジョブ・カードを持っていると、給料を5,000円上げますというのではなく、正規社員はこの仕事をしていたら20万円だけれども、あなたはこれが劣るから減るのですという評価の仕方も、あっていいのではないかと思っていました。経営側として、この制度は非常に難しいと思うのです。なぜ劣るのかという説明を十分していくときに、足し算ではないマイナスというのも、これからはあるのだろうと思います。特に来年4月1日から有期労働契約法の関係で、5年経ったときになぜ差があるのかという説明責任が使用者側に来たときに、そういう評価の仕方、足し算だからいくらですというのではなく、この働き方で能力が違うから、あなたはこの人とは違うのですという説明が出てくるのだろうと思うのです。
○阿部座長 確かに足し算だけではないですよね。しかし、それは物差しである職業能力評価基準と、それに紐づけられるような市場賃金なり企業内での評価なりというのが、きっちり結び付く形になっていけば、足し算・引き算というのが正当に評価されると思うのです。それがない中でマイナス評価になるというのは問題かもしれません。ですから、やはり物差しをしっかりつくっていくことが大事ではないかと思うのです。
○田村委員 多分、処遇というのは最終的には総合的な判断で決まってくるだろうと思います。そのときに、プラスだけではない評価の仕方もあるのかなと思います。
○和泉委員 1ページの2.の(4)の整理は、何のためにしているのかと思ったのです。一つ考えられるのは、非正規の中にもいろいろあるという例示で、具体的にフリーターとかパートタイムとか、皆さんがイメージしやすい言葉を並べるという目的があると。そうだとすると、それはやめられないのかもしれないのですけれども、私が違和感があったのは、それぞれに「等」と付いているので、フリーターだけではなくて、ほかの立場の人にも「等」があると言っていると思うのです。ですから、どうしてもそのことに引っ張られてしまって、後ろの「フリーター等」とか「パートタイム等」とかがないほうが、いろいろな考え方やいろいろな希望がありますということが、分かりやすいかなと思ったのです。どうでしょうか。
○三上企画官 2.の(4)の趣旨は、確かにイメージしていただくために個別に入れていたのです。むしろ2.の(2)の、現状の労働者の希望との比較で言えば、(4)はこれからこういうことをしていきたいというものです。例えば正規雇用なら、正規を希望しながらなれないという実態です。確かにそちらのほうが重要です。そういった代表的な例として、フリーターを挙げさせていただいております。
 (イ)については、現在働いている企業で柔軟な働き方を維持しながら、多分、処遇改善も意味としては含むというニュアンスで、能力開発をして処遇改善を望む方ということです。ニュアンスとしてはおっしゃったとおり、各項目はそういうニュアンスです。そういう意味で、少し書き方を工夫させていただいたほうが。それに限定するとか、括弧書きにするとか、ちょっと考えさせていただければと思います。
○和泉委員 いまは派遣や契約社員をやっていて、正社員を希望しているけれども派遣社員の人もたくさんいらっしゃるのです。「等で入っているのですよ」といくら言われても、フリーターに代表されてしまって、派遣を選んでいる人は、専門性を身につけながら、自ら企業の枠に捕らわれずにいるというように思われると、「違うな」と思う人もいらっしゃるかと思いました。
 ついでに、これに関連する質問です。今回は雇用労働者ですから、今、自営業の人とか個人請負の人は入らないと思うのです。いわゆる「フリーランス」という人たちです。しかし私はいつも、フリーランスとフリーターはどこが違うのだろうと思っているのです。例えば収入のなくなったフリーランスの人は、フリーターではないのかとよく考えているのです。リーマン以降、食べていけなくなっている、生活が本当に危ぶまれている自営業の人たちやフリーランスの人たちが、周りにたくさんいます。そういう方たちはここに入るのですか。フリーターの中に入るわけですか。
○三上企画官 第3回のときにお出しした図のイメージで申しますと、そういった方々というのはこのフリーター。もともとの図の中に定型的業務の所に派遣とか、いろいろ書いてありまして、フリーランスで、なりたかったけれどもなれない方というのは、当然入ってくると思います。
○和泉委員 私もそこがとても大切だと思っています。就職できなくて、たまたまパソコンのことがよく分かるから、一人で仕事を始めた若い人が、リーマンを機に駄目になったということもあると思うのです。ここで大切なのは、一旦正社員になったけれども、子育てのために辞めてからはなかなか見つからないから、派遣もあるかもしれないのですが、その時がきたらもっとたくさん働きたいという時があったとしますよね。あるいは不本意で自営業になって、フリーランスでやっているという人もいらっしゃるかもしれない。本人が、人生のどの段階であっても、望む時に望むような能力開発をして、希望をかなえていくことができる社会や開かれた機会ということが、もうちょっとどこかにあるといいのではないかと、ここを見ていて思いましたのでお聞きしました。
 二つ目は小さなことではあるのですけれども、ここに書いてあるというより、先ほど施策の御説明があったときに、訓練校で民間の委託の部分のクオリティーを上げていく場合に、訓練カリキュラムを作ることも要請していくし、雇用志向をもっと強めていくというお話があったかと思うのです。このあちらこちらに出てくるキャリア・コンサルタントという方たちも、クオリティーというか、いわゆる雇用志向というか、結果志向というか、そこをすごく共有していただくことが大切かと思っています。
 カウンセラーの勉強や中身を見ていると、それはカウンセラーとしてとても大切な要件ですけれども、寛容型というか寄添い型というか、何しろ本人に寄り添って気持を引き出してあげて、気付きを与えていくという手順なのです。これは本当にカウンセラーのベースだとは思うのですけれども、今回、キャリアアップとして処遇まで含めてアップしていくためのカウンセラーは、単に寄り添っているだけだと、なかなか難しいのかなと思っています。3ページにも「雇用志向の積極的な産業政策」というのがあったと思うのです。現場でカウンセリングをする人も、もうちょっと雇用志向の積極的なカウンセラーになったほうがいいのかなと少し思いました。
○阿部座長 前のフリーランス云々の段階ですけれども、3ページの最後には「安定的な雇用に真につながるような充実した能力開発機会を、雇用保険の受給者だけでなく、全ての労働者に提供していく」と書いてあるので、一応門戸は開かれているのだろうと思います。
 それから「雇用志向の積極的な産業政策」とか、「積極的なキャリアカウンセリング」というのは、書くのは書けるでしょうけれども、どうなのでしょうか。
○岡崎職業安定局長 キャリアカウンセラーにはいろいろな方がいます。寄添い型でやっているのは、たしか若者サポートステーションとか、ああいう所にいるキャリアカウンセラーはそういう部分が多いのですが、ハローワークなどで、リストラされた方々に対して次の職をというところは、いままでの経験をどうやって活かして何に就くかといったことを相談するのですからキャリアカウンセラーも対象者によって大分違う専門能力を有していますので、和泉さんがおっしゃるようなことをやっている人もいるのですが、そういうことも重要だというのを、ちょっと書き込めばいいかなと思います。
○小野委員 カウンセラーと言ったら、どちらかというと心理的な意味。
○岡崎職業安定局長 キャリア・コンサルタントで、カウンセリング的なところを重視される方と、キャリアのほうを重視している方といらして、それらを全部合わせて、今、2万人とか3万人とかいる。それは対象者によっていろいろなことをやっていますから。
○小野委員 派遣会社などだったら、「カウンセラー」と「コーディネーター」というように、違う言葉を使われますよね。マッチングをする人はコーディネートする人だし、カウンセリングをする人はカウンセリングをする人ということですから、「カウンセラー」というように書くと。「カウンセラー」とは書いてないのですか。
○和泉委員 「コンサルティング」と書いてあるのですけれども、実際はカウンセラーの資格を持った人たちがやっています。いま言ったように、いろいろな人がいるわけじゃないですか。今後、これをやっていくためには目的を共有して、みんなが一丸となってやらないと成果が上がらないと思ったので、そういうように考えていますということが出て、資格を取る場合の勉強もそうですけれども、そういうことも意識して、場面によってはそれを使い分けられる技能が、コンサルタントなりカウンセラー側にないといけないと思うのです。こういうタイプの人がいる、こういうタイプの人がいるというのではなくて、場面と目的に応じて、それを使いこなせてこそプロのコンサルタントだと思うので、そういうクオリティーの上げ方をしたほうがいいのかなと思った次第です。
 1個目のほうは、門戸が開かれているのはそうだなと思ったのですけれども、私が大切だと思っているのは、その時がきたら、人生のいかなる時でも能力開発を自分ですることができて、その実現が可能になる、硬直化されていないというか、そういうニュアンスが欲しかったのです。ここまで派遣できてしまった人は途中からは難しいとか、一旦辞めた人は難しいとか、そういうことではなく、あるいは本人もキャリアアップを望まなかった人だとしても、途中から望むようになったときには、そのチャンスが自分の努力により与えられる社会というか、支援というか、そういうニュアンスが欲しいと思ったのです。
 ついでなのでもう一つ申し上げます。先ほど話題になっていたことに戻ってしまうのですが、キャリアが処遇まで入るとすると、2ページの(エ)は直さないと。「キャリアアップを望まない者」というのも、自分で責任が増えたりするのは嫌かもしれないけれども、処遇は上がって欲しいとか、少なくとも給料は上がらなくても下がらないで欲しいとか、雇われ続けたいと思っているとか、全ての人はそうかなと思うのです。これはやはり表現を変えたほうがいいかもしれないと思いました。
○阿部座長 最後のところは、私もそう思っています。実は、定型・補助的な業務で働きたいと本当に思っている人というのは、そんなにいるのかどうかよく分からない。確かに責任は取りたくないなという人は。
○和泉委員 たまにいらっしゃいます。
○阿部座長 そういう人もいらっしゃいますけれども、もしかしたら処遇が上がると困るという人もいるかもしれない。
○小野委員 税制のことですね。
○阿部座長 税制は余り影響しないかもしれないけれども、社会保障制度といった点です。ですから、後ろでそういうことも書くかどうかです。
○和泉委員 もっと言うと、いまの社会で本当にアップしていけるのは難しいのです。現状維持で御の字だという感じの厳しい社会になっている中では、振り落とされずに今を維持できるということも、精一杯処遇を保つということなのかなと思うのです。そういう意味で、アップは嫌かもしれないけれども、今を保ちたいと思っている人たちという意味では、「キャリアアップを望まない」という言葉は駄目かもしれませんね。
○阿部座長 その辺りも含めて考えます。後段で能力開発の話をするのですけれども、能力開発を望まないのはなぜか、本当に補助的な業務でずっとやりたいのか、補助的な業務でないと家計全体に何かマイナスの影響があるので望まないのかが分からないところもあるので、その辺りをどうするかをまた考えないといけないかもしれません。
 あとはやり直し、再チャレンジですね。「再チャレンジ」という言葉が何年か前に流行りましたけれども、いまはどうなったのか分かりません。
○和泉委員 「再チャレンジ」と言うと、使い古された感じがするのです。
○阿部座長 確かに最近話題になっていると思いますが、いままでの日本の雇用システムというのは、特に正社員の部分は新卒一括採用でできているわけですけれども、こういう時代になってくると、いわゆる再チャレンジというように、入口がいくつかあってもいいのではないか。特に職能型から職務型に移っていけば、そういう入口はいくらできても構わないので、もしかしたらそういう形で移っていくかも、ということを書くということでいいのでしょうか。
○和泉委員 「再チャレンジ」と言うと、ちょっと違います。もっと柔軟であるということです。今回は違うかもしれないけれども、子育てが終わった50代の女性とか、パートをやっていて、完全に手が離れたからちゃんと働きたいと思っているような人たちにもいっぱい出会うので、もっと本当にいろいろな人がいろいろな段階で、自分が思ったときに能力開発をして、社会に貢献しながら職を得ていけるといいなという感じだったのです。すみません。「再チャレンジ」でもいいです。
○三上企画官 三つほどありましたが、この骨子案の中での考え方を御説明させていただきます。全体的に御意見をお伺いしておりますと、骨子案ですので書込みが足りない部分があって、大変恐縮しております。まず、今の議論にあったやり直しという側面というか、自分の意思で機会をつくってそういう側面に出ていく場合は、先ほど(4)の紋切的な言い方で申し上げましたけれども、ア、イ、ウ、エみたいな形で、そういう気持を持たれてチャレンジしようという方々が出てきた場合、それは能力開発ということでやっていただければという思いで書いています。
 ただ、御本人たちが何ともできなかった、いちばんはまった典型というのが、ばらけて書いてありますので分かりにくくなるのですが、3.の(1)で、就職氷河期世代の方々のことを書かせていただいております。この方々の話というのが、結局いちばん典型で、フリーターしかなかったのでフリーターになってしまったと。一時期は諦めていたけれども、やはり戻っていこうという思いになられたときに戻っていく。そこがいちばん分かりやすいし、社会的にも問題かなということで書いております。そういった意味ではもう少し幅広い側面で、その意思を持たれたときに変わっていかれることをサポートするという意味を、決して否定するものではありませんので、書き方を考えさせていただきたいと存じます。
 キャリアコンサルティングについては、3ページの(2)の(?)に、キャリアコンサルティングの普及のところで、必要な人材の育成・確保も図りながら、質・量ともにもう一度。特に量の面では、かなり不足を指摘されていますし、いま御指摘いただいたように、質も必ず全て充足しているとも限りません。それをサラッと書くとこういう形になってしまうのですけれども、そういう気持を持ちながら書かせていただいているということです。
○山田職業能力開発局長 キャリコンの部分をもう少し申し上げます。最近は大学のキャリアセンターなども就職に力を入れて、そういう所にキャリコンを配置するという流れが、かなりできてきています。いわゆる入職や停職のところでは、キャリコンというものがかなり評価をされ、ニーズも出てきました。
 ただ、小野さんも以前に言われましたように、やはり絶対量が少ないのではないかという感覚です。恐らく企業の中にいる非正規なり正規なりでも、労働者の方々が自らのキャリアアップを図ろうとするときに、相談に乗ってもらえるような体制がない。いま企業内でキャリアコンサルティングをやっている取組というのは、まだまだ非常に不十分だと思うのです。先ほど企画官からもありましたように、そういうニーズはあるだろうと思うのですが、そのニーズに応えられるようなキャリアコンサルティングの人材がいない。だから需要が出なくて広がらないという悪循環の部分があります。恐らく企業の中で潜在的なニーズはかなりあるのではないかと思うのですけれども、やはり人材の育成とその活躍の場を企業の中で広げていける仕組みづくりと、その両面を相まってやっていかないと、そこがなかなか表に出てきていないという感じがしております。
○小野委員 キャリアコンサルティング自体は、労働集約的な仕事であると思います。ですから人がたくさんいればいるほど、量的に回っていくとは思うのです。しかしある意味、質を担保することも非常に重要です。例えば先ほど、委託が9割というお話をされたと思います。委託先というのは、人材ビジネス関係の企業に委託されているというように理解してもいいですよね。
○山田職業能力開発局長 民間の教育訓練機関です。
○小野委員 そこの実際にキャリアについて教育される方たちの資格というか、指導員の方たちの共通した素養というか資質が、事業全体の質に直結していくと思うのです。今の日本のキャリアカウンセラーの資格というのは、民間の資格になっていますが、聞くところによると、派遣会社などでそれを取ることを推奨されている所もあるものの、みんな持っているわけでもないし、各企業独自に営業やコーディネーターの方たちを教育訓練されている所もあるので、企業によってその辺の良し悪しに差があると思っています。キャリア・コンサルタントのサポート環境の整備という中では、やはりある一定のキャリア・コンサルタントの方の物差しみたいなものをどう作るかというのも、一つ重要なことではないかと。また、それを質・量ともにどういうように普及させていくかというのも重要ではないかと思います。
○佐藤委員 いまの話の関連でよろしいですか。その意見に賛成です。私はキャリア・コンサルタントと重なりつつも、違った人材として、いわゆるトレーナーというか指導員を。調査をやると、能力開発に関して何が問題かというと、「主要な人材がいない」という結果がいちばん多く出てくるのです。これは安定的に出てきます。次が「時間がない」、次が「教えても辞められる」となります。結局、企業も教えたいと思っているけれども、教える人材が意外といないのです。これには二つあります。まず、技能は持っているけれども、教え方がよく分からないので合わないというのがあります。世代が離れてくると、ますますそういう傾向があるわけです。それが一つです。
 それから、もともとの能力というか、教えるべきスキルが十分に高まっていないということがあると思うのです。ここをどう書くかというのが勘所です。それはどこに関係するかというと、先ほど山田局長がおっしゃったことで言うと、コンソーシアムのいわゆるハローワークと大学と経済団体と連携しながらやっていくというときに、スキル向上のための施策として、訓練内容の質向上ということになります。そこに指導員人材の質向上を、はっきり明記したらどうかと思います。このa、b、cと並んでdでもいいですが、そこをしっかり書くというのが、一つ重要なことになってくるのかなという気がします。先ほどのコンサルタントの質向上にもちょっとかかわっているのですけれども、そこが一つです。
 それとの関連で言うと、もう一つは5ページの(4)にくるのかもしれないのですが、能力開発のPDCAをしっかり回すことが、なかなかできそうでできないということです。その好事例を収集して普及させていく。すなわち、誰が誰に対してどのように回すかという好事例を集めて、それを普及させていくことが非常に大事だと思うのです。いまは企業でも、特にIT企業などはそうであるように、一人育てるのもなかなか大変ですから、OJTのグッドプラクティスなどを集めています。そこでスキル要件を定めて、どのタイミングでどうやって教えたらいいか、どういうように失敗体験を共有するかということをやっているのです。
 しかし、それは個々の企業の中に埋没していて、見える化されていないわけです。その見える化されていないものを社会化していくところが、すごく欠けているように思うのです。ニーズはあるけれども、その器がないから案外できていない。その器がコンソーシアムかは分かりませんが、そこに入ってくるべきものかなと思っています。そこがすごく大事だということと、ニーズがあるとも思っているのです。位置は分かりませんが、そういうことをどこかに書き込んだらどうかなと思います。
○阿部座長 ほかにどうぞ。
○平田委員 話題が移ってしまうのですが、いまの議論はこの辺りで大丈夫でしょうか。大きく二つのことを思っています。まず一つ目は、書き方の位置の問題です。具体的には資料の3ページの(3)です。特に非正規雇用の労働者については、教育訓練投資の回収の面から、企業だけの努力では難しい、だから本人も主体的にやらなければいけないし、企業や社会全体で支えるというところがあるかと思うのです。これを先に持ってきたらいいかなと思っています。
 なぜならばという理由ですが、私は中小の経営者の方に非常によく会うものですから、そういう方々に読んでいただいたときに、「ああ、そうだな」と思っていただくという面もあります。その一つとして、資料の2ページの3.の(1)の「初期キャリアの形成支援」で、「企業は、若者の初期キャリアの形成を支援し、キャリアについての見通しのないまま、早期の離職を招かないように努めることが必要」とあります。企業は辞めさせたいわけではなくて、企業の努力もあるとは思うけれども、本人も、どうなんだろうというようなところもあると思うのです。ですから企業だけにこういうように言ってしまうと、「何なのだ」と思われてしまうのではないかと。
 あるいは、その次の3ページの上から3分の1ぐらいですが、「非正規雇用のままでも、将来に夢や希望を持ちながら安心して生活を送れるような収入を得られるよう、企業内で柔軟な働き方を維持しながらキャリアアップが図れる道、又は専門性を身につけながら企業の枠を超えてキャリアアップを図る道も同時に用意していくことが必要」。これも用意するのは、多分企業だと思うのです。企業がそういう需要を感じなければ、そこに人は行けないわけですから。そうすると、やはり社会全体でという形にしていかないと、こういう需要を国が喚起できるのかな、これは誰がやるのだろう、企業への啓発なのかなというように読んだのです。そういった面から、非正規能力開発というのはどこかではなく、全体でやる。それを国もサポートというか、一翼を担うという形にして、全員でよい循環を回していきましょうというニュアンスで話し合われてきたかと思うのですが、そういうものが出やすいかなと思いました。それが1点目です。
 2点目は、非正規の能力開発の内容についてです。具体的には3.の(3)の「正規雇用への転換」のウに、スキルだけではなくて企業が求める能力として、「コミュニケーション能力や判断力、対応力など社会人としての基礎的な能力も求める傾向」とあります。これも話し合われたと思うのですが、この内容は結構重要かと思っています。その際、コミュニケーションや判断力、対応力もそうですけれども、私は民間に勤めてもいますし、そういう企業も見ていて、結局重視されるのは、どう一緒に協働していくかとか、目的を一緒に達成していく意欲とか、責任感とかなのです。
 具体的には4ページの施策例のeに、「生活訓練や労働体験等を通じて社会性や集団的規律、勤労観を養える場を確保」とありますが、この勤労観の辺りかなと思うのです。目的達成意欲とか、うちも営業目標みたいなものが出てくるわけですが、そこを「みんなでやるぞ」というときに、一緒にやっていくことが期待できるような人は、やはり正社員にしていくというのがあると思うのです。ここも書き方だと思うのですけれども、コミュニケーション能力だけでもないのかなと思いながら読みました。一般に生きていく上での基礎力と、社会人として雇用されていくときの基礎力というのは、若干違うものがあるのではないでしょうか。その辺が少し出ると、今後の施策にも生きてくるかなと思いながら読みました。以上、意見は二つです。
○阿部座長 最終報告書の段階では、今おっしゃったようなところを前に出したり、この意義というものを言えるようにすればいいのではないかと思いました。後段も多分それが大事だと思いますので、そうしたいということでよろしいでしょうか。
○谷口委員 細かな部分については、これまで議論されてきたところで同感の部分も大変たくさんありますので、その辺は省略しますが、実は基本的なところで、もやもやとしている所があります。それは何かと言いますと、この検討会のタイトルにもあるように、「抜本強化に関する検討会」と銘打っているわけです。抜本強化ということで、実は私もプレッシャーを感じながら参加してきたのです。「抜本強化」と言うと、やはり何か一本筋の通った決め手のようなものが求められている気がしてならなかったのです。
 そういう意味で2ページ以降の施策の方向性一つ一つは、大変ごもっともという感じを受けるのです。しかしながら、全体を貫く枠組みが一つ見えてきていない感じがするのです。評論家的な生意気なことを申し上げて申し訳ないのですけれども、抜本強化というのは、私の単なる個人的な幻想だったのでしょうか。そういうところをお伺いしたいということです。もし何か新しい能力開発の枠組的なものがあるならば、是非とも出していきたいという気がします。
 その一つは、能力開発政策が1990年代半ば以降、個人主導ということを一つの軸として、ずっと展開してきているわけです。そうしたことをヒントにするならば、正に非正規、この言い方もこの検討会の当初から、私はネガティブ感が漂って、どうも違和感を感じていたのですが、そのことは抜きにしても、仮に「非正規」という言葉を使わせていただきますと、これこそ個人主導の能力開発政策の本物らしさを捉えている部分ではないかと思うのです。そういう意味で、正に個人主体の能力開発ということを、一つの軸としては既に政策として長らくやってきているわけですけれども、もう一度振り返ってみる必要があるのではないかという気が致しました。
 2.「基本的な視点」として、(5)に大変重要なことが書いてあります。「正規雇用・非正規雇用という雇用形態にかかわらず、将来に夢や希望を持ちながら、安心して生活を送ることができるような収入を確保できるよう」ということが、能力開発に期待されているわけですよね。そこをやはり大事にしたいわけです。私は、キャリアアップを前面に出すことには違和感を感じていたのです。あるいは2ページの(6)の「労働者個人が能力開発の意義を理解し、主体的に取り組んでいけるよう促していくことが重要」という一つの重要な視点、これを前面に出して、全体を貫くような、施策の方向性を貫くような軸が用意できないかと思うのです。抜本強化というそのイメージは幻想でしょうか。
○阿部座長 「抜本強化」という言葉ですが、ここにいる皆さんは、谷口委員がおっしゃりたいことを共有できているのではないかと思っています。確かに1990年代から、個人主体の能力開発政策へ梶を切っていったわけですけれども、非正規雇用者の場合は企業が訓練をするということは、なかなか考えにくいので、当然個人が主体となって能力開発をしていく必要があります。そこの部分をどういうようにしていくかということで、後ろの「施策の方向性」というのが書かれているのだろうと思うのです。もしかしたら、それがまだ抜本的にうまく強化されたように見えていないのかもしれません。
 基本的には個人個人のキャリアというものを、個人が主体となって考えてもらう、自分がどういうことをやっていくかというのを考えてもらう。そこにキャリア・コンサルタント等、あるいは学校教育等を導入していくということがある。かつ、その後はこういうキャリアでいきたいということが決まれば、それに応じた訓練機会を提供するということです。今まで企業がやってきたものを個人がやるときに、どういう仕組みが必要かということですが、今まで雇用保険の受給資格者だけだったものを、もうちょっと広げましょうということが書いてあります。更に企業の中でも、いままで訓練の機会の少なかった非正規雇用の方々への訓練をどうしたらいいかというのを、実際にコンソーシアムなどで考えて、そういうトレーニング内容まで詰めていければいいということが書いてあります。
 最後に、個人が主体となって能力開発をした結果、それを処遇や就職へ結び付けるための物差し、つまり職業能力評価ツールを整備していこうということが書いてあります。確かに時間もなく、これをまとめなければいけないという問題もあったかもしれませんが、個人が主体となって、能力開発ができるような仕組みを整備していきましょうということは、私は一応それなりに書いてあると思うのです。ただ、それが抜本的になったかと言われると、それはそれぞれ思いがあるかもしれません。個人的に言えば、この検討会は10月、11月、12月という短期決戦型でまとめるということで、確かに皆さんも言い足りないところもあるかもしれませんし、結果として抜本的になったのかと言われると、自信のないところもあります。ただ、3か月で一応の方向性、方針というのは見えてきたのではないかと思っています。
 胸を張れるかどうかというのはありますが、本当に短期間でまとめなければいけないというのが宿題だったものですから、もっと時間があれば、なぜ今までこうした個人主体の能力開発が、なかなかうまくいかなかったのかとか、物差しである職業能力評価ツールとして様々なツールがあるにもかかわらず、余り使われてこなかったのはなぜなのかといったところも、実は議論できればと思っていたのです。ただ、そこは難しいし、時間もありません。しかし是非、そこは後でやりたいと思います。ですから谷口委員がおっしゃる抜本的かというのは、これから抜本的な強化につながるような書込みをしたり、検討会の終わった後に、施策をもう少し具体的に考えてもらったりする必要があるかと思います。
 まだ最終報告書には時間がありますので、もし必要であれば、こういう方向性をもっと強化しろと言っていただければと思います。ただ私自身は、今までに非正規雇用労働者と言われている人たちの能力開発を議論したことは、それほど多くはなかったように思うのです。政策的にもそういったものはなく、能力開発はもちろんありましたけれども、非正規雇用者向けの能力開発というのはなかったように思うのです。そういう意味で、この検討会は意義があったのではないかと思います。余り守りに入ってはいけないですね。別に事務方を守っているわけではないのですが、そういう思いでいますということです。御回答になっているかどうかは分かりませんが。
 もちろん、まだ時間はありますので、こういうところはもっとしっかりやったほうがいい、という御意見があればお寄せいただければと思います。間に合わないとは思うのですけれども、能力開発や職業能力評価の今後の政策に関連して、先ほどから何回か言葉が出てきましたように、PDCAサイクルを回すようなもの、そしてよりよい能力開発と能力評価が可能になるようなものも、是非明示していただいて、非正規雇用労働者の能力開発が本当に強化されるようにしていければと思います。ほかに御意見はありますか。
○小野委員 2点あります。報告書を書き込むときに重点的にというか、ちょっと考えて書いていただきたいのです。中でも、4ページのエで「地域の能力開発の拠点として」という所で、地域のことに触れられているのですけれども、非正規労働というのは外部労働市場に位置し、地域の労働市場が非常に重要になってきます。地域での雇用創出であったり、地域での産業界との連携であったりというのが、正規雇用よりも非常に重要なファクターであろうと私は思っております。ですから何か一つのカテゴリーでもいいので、もうちょっと地域ということをピックアップするような形で、書いていただければ有り難いです。
 もう一つは、処遇のことに固執しますが、1ページに「安心して生活を送ることができるような収入を確保できるよう」と書いてあるのです。いま非正規で働いていらっしゃる方というのは、どうやって生活していくかということが非常に重要なことになってくると思います。この検討会の中でどこまで書き込むかということですけれども、私は最賃というのは、非常に重要な問題だと思っております。
 今の最低賃金の中で、果たして安心して生活を送ることができるのだろうかというときに、私はかなり疑問視せざるを得ないと思っております。非正規であっても生活できるような金額というのは、やはり300万円以上だろうと思いますので、そこをどういうように確保していくかというのは、やはり大きな問題であると思います。そこを越えてくるような処遇であれば、恐らく正規であっても非正規であっても、労働者はそんな呼称に捕らわれることなく、仕事に就かれていくだろうと思います。ですから地域の中で考える上で、最賃というもののあり方を同時に考えていく必要があるのではないかと思うのです。この中で、「安心して生活を送ることができるような収入」と言うのであれば、そこのところにも若干言及するなり、示唆を与えるような書きぶりが望まれるのではないだろうかと思っております。
○阿部座長 考えておきます。
○佐藤委員 多分、次回で最後ですよね。先ほどの谷口さんからの抜本強化ということに引き寄せて見たときに、いわばこの検討会の報告書の新味をどうするかということです。前半に、職業能力開発と処遇は別かつなげるかという話があったけれども、能力開発というのは、職業能力の伸長が基本ですよね。それが処遇につながるかどうかは分からないけれども、とにかく伸長ということで、普通はそれを伸ばすことがよいもので、ニーズにも合っていると考えた。いわば新味と言うと私は、そこをもう少し雇用につなげるところを出しているというのが新味かなと思うし、それが案外抜本的だと思うのです。
 今までも雇用につなげる能力開発ということが、いろいろ言われてきたけれども、本格的に非正規を視野に入れて、そこを謳って主張したものは余りないように思うのです。そこが一つの新味ではないかと思います。ですからキャリアアップを書くときの書き方として工夫をして、そこに新味があるという書き方をしてはどうかなというのが一つです。雇用につながるという意味で。
 あと、個人主導型でという最後のところですが、自助が基本であるし、いわゆる能力開発の自助というと、個人主導型ということになるわけです。学習や能力開発の主体の基本は、まずは個人だと思うのですけれども、この報告書では、そこは企業との連携あるいは共助ですよね。そういうものとの間でうまく機能していかなければいけない。ただ、個別企業にはやはり限界があります。特に社会的能力評価などというのは、個別企業の努力だけでは限界がありますので、そこは公助で補っていくと。いわば自助、共助、公助の重層的な連携と、PDCAをしっかりそれぞれのレベルで回していくことが基本です。そこが新味の二つ目かなと思っています。
○和泉委員 谷口委員のお話を伺っていて、私も刺激を受けました。個人主体の能力開発ということで言うと、いままでは企業だったら企業に伝えればよかったのでしょうけれども、この報告書がということではなくて、一人一人に届かなくてはいけないと思うのです。この地域コンソーシアムの訓練が、すごく新味なのかどうかは分かりませんけれども、私はとてもいいことだと思っています。
 こういうものなのか、それともハローワークなのかは分かりませんが、一人一人の非正規の人たちは、国がこのように考えてくれていて、いざとなったら応援してくれているとは自分たちは思っていないのです。届いていないような気がします。例えば、介護だったら包括支援センターという、包括的に支援してくれる所があって、そこに行けばとりあえずの手掛かりがつかめると思うのです。いままで企業に雇われていた人は、企業の中でそれがあった。先ほどのお話も、いつの間にか企業の中のコンサルタントの話になっていくのですけれども、非正規の人は自分が企業の仲間だと思ってもらっているとは感じていなくて、とても孤独感があるのです。どこに行っても、とにかくそこに行けば、とりあえず相談に乗ってくれたり情報がもらえたりする所があるということが、とても大切だと思うのです。
 それがもしかしたら、今まではハローワークだったのかもしれませんけれども、ハローワークというのは、イメージ的に失業した人が行く所だという感じがあって、離職したときでないと行かなかったりします。もちろん教育訓練給付などもあるし、いろいろな施策もやっているのですけれども、それはその当事者になった一部の人しか知らなくて、多くの非正規の人たちは、そのことを知らないと思うのです。それがハローワークなのか、このコンソーシアムというものなのかがよく分からないのですが、そういう一人一人に届くような施策に変えていく書きぶりにするだけでも、大分抜本的に違うのかなと。そこが個人主体であるかどうかで違うのかなと思いました。
○阿部座長 では、それも是非。
○田村委員 小野さんが言われた最低賃金にちょっとかんでいますので。最低賃金は能力に関係のないところで決まってくる部分がありますので、ここで書く抜本的な能力開発というのとは違う。そもそも生活を支えたり賃金比較の問題なのです。ここではむしろ能力をどう評価するかという処遇での物差しのほうが大事であって、最低賃金で上がった瞬間、事業主はその賃金に応じた能力を付けて欲しいとか、仕事をして欲しいと思い出すかもしれませんけれども、こことは議論が違うような気がしますので、余り触れないほうがいいのではないかという気がします。
○阿部座長 分かりました。考えます。
○西久保委員 和泉委員がおっしゃった国からのという話です。先ほど、もしかしたら非正規の方は企業から見て一人ぼっちではないかと言われましたね。
○和泉委員 いい会社にいれば違うと思うのですけれども。
○西久保委員 その辺は企業の姿勢はちゃんと持つべきで、それは入れてもいいかなと思います。非正規の方にとっては、国より企業のほうがより近いのです。企業として一人の大事なメンバーとして、いかにやっていくかというのを入れていただいたほうがいいかなと思うのです。
○和泉委員 それはすごくいいメッセージだと思います。
○阿部座長 それから地域のイメージです。地域というコンソーシアムのイメージは都道府県単位ですよね。違いますか。市町村単位まで下がりますか。
○岡崎職業安定局長 多分、労働市場圏だと思います。県だと大きいような気がしますし、市町村だと小さいです。
○阿部座長 ハローワーク管内ぐらいのイメージですか。ただ、そういう地域の括り方は結構小さいですよね。今までそういうやり方で、コンソーシアムを作ったことはあるのですか。
○山田職業能力開発局長 これを全面的にやるというのは。
○阿部座長 難しいですか。
○山田職業能力開発局長 なかなか現実的ではなくて。
○阿部座長 研究をしていく。
○山田職業能力開発局長 やはり点で稼いでいくしかないのではないかという気がするのです。
○阿部座長 多分、都道府県レベルでは難しいので、そこは工夫する。すぐにはいかないかもしれませんけれども、徐々にいくつか試行錯誤しながらやるということでしょうかね。ただ、和泉委員がおっしゃったことは大事なので、是非盛り込むようにしたいと思います。
○山田職業能力開発局長 これを言っておかないと書けないと思うので申し上げます。先ほどの平田さんの意見とも関連します。今日の議論の中で、能力開発が処遇に結び付くところを言っていこうというお話がありました。恐らくそれは能力開発をして企業に支払能力が増すという形にならないと、処遇には結び付かないのです。やはり能力開発をすることによる企業にとってのメリットとか、そもそも付加価値を増すような能力開発を考えるとか、生産的なところをきちんとやっていかないと、企業としても払えないという現実があると思うのです。そこは補足させてもらったほうがいいかなと思います。
○西久保委員 弊社でも能力を持っている人を採用したいというのはあるのですが、前提としては、やはり持っている能力を企業内で発揮して、発揮した人にそれなりの処遇を与えるというところにつながっているのです。たまたま発揮するというのが、ずっと抜けてはきたのですけれども、やはり能力を持っているだけでは駄目だと思うのです。それをいかに企業のために発揮して、それが結果的に企業にフィードバックされて、処遇として本人に返るというこの循環が回っていることが大事だと思うのです。その辺を入れていただければと思います。
○阿部座長 そういう意味ではマネージメントサイドの問題というのも、もしかしたらあるかもしれませんね。そういうことを書いていけば。いま山田局長がお話したことと、西久保委員がお話したことをまとめて書いていくということでよろしいでしょうか。ほかにありますか。
 多分、皆さんもまだいろいろと御意見があると思うのですが、時間も超過していますので、本日はこの辺りで終了したいと思います。本日の議事についても、非公開に該当する特段の理由はないと思いますので、議事録は公開にしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(了承)
○阿部座長 では、そのように取り扱わせていただきます。次回の日程等について、事務局からお願い致します。
○三上企画官 次回の検討会は12月中を予定しております。調整の上、改めて御連絡させていただきます。よろしくお願い致します。
○阿部座長 それでは、これをもちまして本日の検討会を終了したいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
○岡崎職業安定局長 今日言い足りなかったことがあれば、お寄せいただければ報告書に反映します。もし何かあれば、早めにコメントをいただければと思います。


(了)

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