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2012年12月5日 予防接種後副反応・健康状況調査検討会

○議事

○飯野室長補佐 定刻を少し過ぎましたが、ただ今から「予防接種後副反応・健康状況調査検討会」を開催いたします。
 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとします。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 傍聴の方は、傍聴に際しての留意事項の厳守をお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席をいただきまことにありがとうございます。
 本日は、堺構成員から欠席の御連絡をいただいております。
 また、本年7月に大矢構成員から辞任の申し出がございましたので、御報告いたします。
 なお、昨年9月の開催以降、事務局員がかわっておりますので、新たに着任した者を紹介させていただきます。
 健康局長の矢島でございます。
 課長補佐の難波江でございます。
 予防接種専門官の城でございます。
 それでは、開催に当たりまして、矢島健康局長より御挨拶を申し上げます。
○矢島健康局長 構成員の先生方には、大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。先生方には日ごろからの予防接種行政だけではなく、厚生労働行政全般にわたりまして、いろんな意味で御支援、御協力をいただいております。この場をおかりいたしまして、厚く御礼申し上げさせていただきたいと思います。
 本日のこの「予防接種後副反応・健康状況調査検討会」でございますけれども、定期の予防接種による副反応につきまして、因果関係を問わず、予防接種後の一定の健康被害について収集いたします「予防接種後副反応報告」と、比較的軽微で通常起こり得る副反応にアンケート調査を行います「予防接種後健康状況調査」の2つを実施しております。本検討会におきましては、年に一度、主にその発生頻度の関する評価をいただいているところでございます。
 予防接種対策を推進する上で、その副反応の発生頻度を分析いたしまして、その情報を公開し、国民の皆様の御理解を得ていくためには、この検討会における評価は大変重要な位置づけにあると私は認識させていただいております。構成員の皆様方には、予防接種の副反応という重要な課題に日々取り組んでいただいておりまして、お忙しい中、事前に副反応報告書の評価・分析を行っていただきましたことにつきまして、この場をおかりいたしまして、厚く御礼申し上げさせていただきます。
 なお、本年5月には予防接種部会より、この検討会は新たにつくられます評価・検討組織に統合すべきとの御提言をいただいておりますので、予防接種制度の見直しが進みますと、今回が最後の会議になると考えております。本日も先生方の専門的かつ大局的な見地からの貴重な御意見を賜りますとともに、引き続きまして、これからも副反応に関します課題について、我々も取り組んでいきたいと考えておりますので、御支援、御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 簡単でございますが、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○飯野室長補佐 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○飯野室長補佐 それでは、この後の議事の進行につきましては、加藤座長にお願いいたします。
○加藤座長 皆様、こんばんは。
 それでは、議事に先立ちまして、本日の資料の確認を事務局からお願いします。
○飯野室長補佐 本日の資料の確認をさせていただきます。
 資料1「平成23年度予防接種後副反応報告書集計報告書(案)」、
 資料2「平成23年度予防接種後健康状況調査報告書集計報告書(前期)(案)」、
 資料3「平成23年度予防接種後健康状況調査報告書集計報告書(後期)(案)」、
 参考資料で、予防接種後副反応・健康状況調査検討会開催要綱、構成員名簿、
 以上になります。資料に不足がございましたら、事務局にお申しつけください。
○加藤座長 よろしゅうございますか。
 それでは、議事を進めます。まず、資料1「平成23年度予防接種後副反応報告書集計報告書(案)」につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○難波江課長補佐 それでは、お手元の資料1「予防接種後副反応報告書集計報告書(案)」について、御説明させていただきます。
 まず一枚おめくりいただきまして、予防接種後副反応報告制度について改めて御紹介させていただきます。
 予防接種後副反応報告は、医師が予防接種後の健康被害を診断した場合または市町村が予防接種を受けた者もしくはその保護者等から健康被害の報告を受けた場合に、「予防接種実施要領」及び「インフルエンザ予防接種実施要領」に基づき厚生労働省へ報告するものであるとしております。
 この制度は、予防接種後の被接種者の健康状況の変化についての情報を収集し広く国民に提供すること及び今後の予防接種行政の推進に資すること等を目的として、平成6年の予防接種法改正に伴い実施されてきたものであり、本集計報告書は、厚生労働省に報告された予防接種後副反応報告書を、報告基準にある臨床症状ごとに単純集計し、まとめたものであるとしております。
 留意点は以下に記載しております。読み上げさせていただきます。
 1番目、本報告は、予防接種法に基づく定期接種として実施された予防接種を対象としており、いわゆる任意の予防接種は報告・集計の対象とはなっていない。
 2番目、報告するかどうかの判断は報告者が行うため、各都道府県の接種対象者人口などを考慮しても報告数に県ごとのばらつきが大きく、副反応数の発生率などについてはこのデータからは分析できない。
 ワクチン別の副反応報告頻度については本報告ではなく、平成8年度より実施している予防接種後健康状況調査事業の報告書を参照していただきたい。
 3番目、本報告は、予防接種と健康被害との因果関係に関わらず予防接種後に健康状況の変化をきたした症例を集計したものであり、これらの症例の中には、予防接種によって引き起こされた反応だけでなく、予防接種との関連性が考えられない偶発事象等も含まれている。
 集計に当たっては、予防接種との因果関係がないと思われるもの、もしくは、報告基準の範囲外の報告等についても排除せず、単純計算してまとめている。
 4番目、本報告は、予防接種健康被害救済制度と直接結びつくものではない。救済措置の給付を申請する場合には、別途、各市町村でまとめた書類の提出が必要である。
 平成23年度の結果でございますが、ページ番号1番に総論として記載されております。結果のまとめでございますが、総論の3番目に記載されております。平成23年度に報告された症例数(副反応件数)はDPT(DTを含む。)169例(183件)、麻しん0例(0件)、風しん0例(0件)、MR、麻しんと風しんの混合ワクチンでございますが、77例(95件)、日本脳炎121例(146件)、ポリオ18例(18件)、BCG93例(94件)、インフルエンザ108例(110件)で報告された総数は、586例(646件)であった。
 1例に2つ以上の副反応が重複しているものがあるので、解析については、件数で示した。
 なお、DPT(DT)ワクチンは1期4回、2期1回の計5回、MRワクチンは1期から4期の計4回、日本脳炎ワクチンは1期3回、2期1回の計4回、ポリオは2回のそれぞれの総計であるとしております。
 各ワクチンの結果でございますが、2ページ目、まずDPT、DTワクチンでございます。DPT、DTワクチンの総件数は183件であった。24時間以内の報告が57.4%、1~3日での報告が36.6%であった。
 年齢別に見ると、0歳が53件、1歳35件、2歳37件、3歳は15件との報告であった。
 報告された副反応で最も多かったものは、接種局所がひじを越えた異常腫脹91件(49.7%)であった。そのほかじんま疹2件、39度以上の発熱は26件、全身の発疹14件、けいれん7件であった。
 DPTワクチン接種後の副反応報告について、特記すべきことは以下のとおりである。
 死亡例、5件報告されております。
 1例目、5カ月女児、1期初回1回目接種後5日目、うつぶせ寝状態で心肺停止にて発見される。剖検あり、乳幼児突然死症候群と診断される。
 2例目、5カ月男児、1期初回1回目、BCGと同時接種、接種当日自宅にて心肺停止。基礎疾患に左心低形成症候群あり。
 3例目、4歳女児、1週間前ヒブ接種。肺炎球菌ワクチンでございますが、プレベナーとDPT1期初回2回目同時接種。接種1週後BDG接種時診察にて心筋炎の診断を受け、入院。入院後死亡。
 4例目、6カ月女児、1期初回3回目接種翌日、死亡。詳細は不明。
 5例目、5カ月女児、1期初回1回目、ヒブと同時接種3日後発汗、呼吸状態悪化にて緊急入院。その後死亡という症例でございます。
 続きまして、神経障害、3例ございます。
 1歳6カ月男児、初回3回目接種、1週後生ポリオ接種。1カ月より歩行障害あり、MRIにてADEMの診断。
 2例目、4カ月女児、初回1回目接種当日、左顔面神経麻痺。
 3例目、5カ月男児、1期初回2回目プレベナー、ヒブ同時接種。接種当日無熱性けいれん5分間。入院後けいれん重積ありという症例でございます。
 循環器障害が2例ございまして、8カ月女児、1期初回2回目接種後3日目嘔吐、不機嫌、頻脈、肝腫大にて、心不全の診断。拡張型心筋症の疑い。
 2例目、6カ月女児、1期初回2回目接種翌日元気なく、手足冷感あり。心筋炎の診断。
 血小板減少性紫斑病が2例ございまして、5カ月女児、1期初回2回目、ヒブ、プレベナーと同時接種。接種後紫斑出現。
 2例目、6カ月男児、1期初回1回目、ヒブと同時接種。1カ月半後出血斑あり。
 ネフローゼ症候群が1例ございまして、2歳1カ月男児1期追加接種5日後より全身浮腫出現でございます。
 DTワクチンは特記すべき事項はございませんでした。
 麻しんワクチン、風しんワクチンも報告はございませんでした。
 続きまして、4ページ目、MRワクチンでございます。
 MRワクチンの副反応報告件数は95件であった。41.4%が24時間以内の副反応であり、1~3日が20%、4~7日が13.7%、8~14日が20%、15~28日が2.1%、29日以降は3.2%であった。
 年齢の内訳は1歳が43件、6歳が11件、12~13歳が15件、17~18歳が26件であった。
 副反応から回復している報告とされたものが65件、回復していないと報告されたものが10件だった。残りは回復状況不明であった。
 回復していない10件のうち1件は脳炎、脳症例、1件はその他の神経障害例である。
 個別症例でございますが、17歳男児において11日後両足首以下のしびれ、その後歩行障害、膀胱直腸障害、17日目発熱、しびれ、全感覚麻痺はTh10まで上昇した。
 2例目でございますが、12歳男児において29日後歩行困難、排尿困難、臍部以下及び上肢末端の感覚障害、膀胱直腸障害を認め、ADEMと診断された。
 そのほか、血小板減少性紫斑病を発症したのは5例で、いずれも1歳であった。そのうち、男児2例、女児3例であった。
 まとめでございますが、MRは77例、95件であった。2人に重篤な神経系疾患を認め、5人は血小板減少性紫斑病を発症したというものでございます。
 続きまして、日本脳炎ワクチンでございます。
 日本脳炎ワクチンの副反応報告は146件であった。入院例については、詳細を記述した。死亡例はなかったというものでございます。
 即時性全身反応に分類される報告は8件で、2件はアナフィラキシー、6件は全身じんま疹であった。また分類としてはその他の異常反応に含まれるが、クループ症候群が1件報告された。
 アナフィラキシーと報告された2件のうち、1件は接種3分後に嘔気、頭痛、意識消失を認めたがすぐに治癒と記載されており、紹介先の他院でアナフィラキシーと診断された。入院例は以下にございます。
 4歳女児、1期追加接種5分後、アナフィラキシーショックで2日間入院し、回復。
 5歳男児、接種30分後よりクループ症状、軽い咳そうと呼吸苦が出現し、徐々に増悪し接種1時間後には会話不能となり経過観察目的に2日間入院し回復。
 続きまして、脳炎・脳症に分類される報告は9件あり、急性脳炎・脳症が2件、急性散在性脳脊髄炎、ADEM(疑いを含む)が7件であった。発症は接種の3日後に1件、4日後に2件、6日後に1件、8日後に1件、17日後に1件、23~26日後に1件、38日後に1件、約2カ月後に1件であり、先行感染と考えられる症状を認めた者も存在した。
 個別の症例でございますが、1例目、3歳男児、1期初回2回目接種2時間後から発熱と不機嫌。接種4日後のMRIと髄液検査で脳炎と診断され、12日間入院し回復。他疾患の可能性として、ウイルス感染による無菌性急性脳髄膜炎・脳症の記載あり。
 2例目、3歳女児、接種1週間後に1期初回2回目接種。1回目の接種から12日後、2回目の接種から5日後に発熱し、翌日15分間のけいれん。抗けいれん剤を処方したが意識障害が出現したため入院。頭部MRI所見と脳波異常から急性脳症と診断。抗菌薬とグロブリンの投与を行った。入院中の経過は良好であったが、グロブリン投与後の経過観察のため13日間入院し、回復退院。
 3例目、3歳男児、接種6日後から足底痛あり。接種15日後から38~39度の発熱。その8~11日後、ワクチン接種から23~26日後から、足を引きずって歩くようになり、その後口数が少なくなり、ひとり立ちできず、坐位を保てなくなり活気がなくなった。不明熱として接種34日目に入院。MRIで白質・小脳・視床に炎症所見あり、ADEMと診断された。歩行困難、小脳失調、錐体路障害、意識障害はステロイドパルス療法に反応して改善傾向あり。他疾患の可能性に多発性硬化症との記載あり。
 続きまして6ページ目、4例目、3歳女児、接種6日後から発熱。接種8日後からけいれん発作、発語の低下あり、接種9日後に入院。接種10日後から意識障害を認め、接種11日後にMRI検査実施し、ADEMと診断。
 5例目、5歳男児、接種4日後から左上下肢の間代性けいれん出現。意識あり。近医受診し、抗けいれん剤2回挿肛するも発作が持続するため、救急車で搬送入院。意識あり。左上肢のピクつきあるも、徐々に消失。頭部MRIでADEMが疑われ加療中。
 6例目、6歳男児、接種12日後の発念で近くの病院受診。その16日後、接種38日後から頭痛、足が震える、目に斑点が見える。接種39日後から物がゆがんだり、虹色に見え、足が震えるため受診。MRIで皮質下白質に信号変化が散見され、ADEMと診断。眼科でも視神経炎と診断された。他疾患の可能性に多発性硬化症との記載あり。
 7例目、8歳男児、1期初回接種17日後に両下肢の疼痛。翌日から傾眠傾向出現し、接種20日後に頭部CTで右側の低吸収域を認め、接種22日後に入院。頭部MRIで右側前頭葉、側頭葉にT2高信号を認めADEMと診断。ステロイドパルス療法等で症状改善傾向あるも、両下肢疼痛、左上肢の筋力低下の残存があり、入院加療中である。後遺障害を認める可能性が高いと報告される。他疾患の可能性としては、今後の経過により多発性硬化症と診断する可能性もあると記載。
 8例目、9歳女児、1期追加接種2日後の夜の39度の発熱。翌日には解熱するも、その夜、接種3日後からけんれん発作出現し、救急搬送されたが、抗けいれん剤無効のため入院。低体温療法、ステロイド治療により改善。頭部MRIでADEMの疑いと診断。約1カ月のMRIはほぼ正常に改善し、29日間入院して回復退院。
 9例目、11歳男児、1期追加接種1カ月後から倦怠感あり、さらにその1カ月後、ワクチン接種から2カ月後から運動時に転倒することが多くなった。CT、MRIの検査によりADEMと診断され、ステロイドパルス療法を5日間施行後、高用量のステロイド内服。18日間入院する。同療法を接種から7カ月後にも実施し15日間入院という症例でございます。
 なお、この9症例につきましては、現在、予防接種部会の日本脳炎に関する小委員会において、さらに詳細な評価を実施しているところでございます。
 続きまして、6ページ目下でございますが、けいれんは13件でこのうち3件は上記ADEMに伴い、1件は上記急性脳症に伴って報告された。残り9件のうち、2件は血管迷走神経反射による失神に伴い、4件は接種当日あるいは翌日に認められた熱性けいれんであった。残りの3件は、接種当日・4日後・5日後にそれぞれ認められた無熱性けいれんで、2件は他疾患の可能性としててんかんの記載があり、1件は脳波異常が認められた。
 入院症例でございますが、3歳男児、期不明で接種6時間後ごろに38度台の発熱、翌日も発熱持続するが元気あり。入浴中に反応低下、全身性強直発作を認め、けいれん重積の状態で1時間30分持続した。その後体温は39度台に上昇。7日間入院して回復。
 2例目、3歳男児、期不明接種10時間後に嘔吐。38度台の発熱あり、救急外来受診。診察直後にけいれん発作を認め緊急入院。熱性けいれんも考えられるが、今回初回発作。3日間入院して回復。
 3歳女児、1期初回接種18時間後、就寝中に急に四肢を屈曲させがくがくさせる動作が出現し呼びかけに反応しなくなったため、無熱性けいれんとして3日間入院し回復。他疾患の可能性としててんかんの記載あり。
 その他の神経障害として分類された報告は5件で、そのうち2件はギランバレー症候群であり、残り3件のうち1件は、3歳9カ月女児で接種翌日から足のしびれ、左足内反位、眼瞼・上唇の腫脹を認めたが自然消失、3日後には全ての症状が消失・治癒した。1件は9歳女児で、接種8時間後に立ち上がろうとしてふらつき、転倒。後頭部痛、ふわふわ感あるも翌日には症状消失した。1件は10歳女児で、接種翌日から接種側の腕のしびれ、疼痛あり末梢神経炎の可能性が考慮された。
 入院症例でございますが、3歳女児、接種4日後ごろから軽度の下肢痛で発症し、接種6日後からふらふらして下肢に力が入らず歩けないため、入院。ギランバレー症候群と診断され6日間の入院で回復した。
 2例目、13歳女児、1期初回2回目とHPVワクチンの同時接種32日後に、1期初回3回目とHPVワクチン2回目を同時接種。その当日に突然の脱力、歩行困難、四肢の筋力低下、感覚障害で発症。血清抗糖脂質抗体陽性でギランバレー症候群と診断され入院。回復しているも後遺症ありとの記載あり。接種1カ月以内に肺炎の既往があった。
 続きまして、8ページ目でございます。運動障害は2件で1件は上記ADEMに伴い、1件は上記ギランバレー症候群に伴って認められた。
 全身の発疹は接種後24時間以内に7件、接種翌日に4件、合計11件報告された。4件はかゆみを伴い、1件は発熱を伴っていた。1件は嘔吐を伴った多形滲出性紅斑、1件は小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンとの同時接種であった。
 39度以上の発熱が59件で最も多い副反応であった。このうち33件は他疾患の可能性ありと報告されていた。可能性のある他疾患名は、感冒・急性上気道炎・咽頭炎・急性気管支炎が13件、急性扁桃炎が1件、手足口病が3件、ウイルス感染症が5件、急性胃腸炎が5件、尿路感染症が1件であった。接種24時間以内が47件と最も多く、1~3日目以内が11件、4~7日以内が1件報告された。
 その他、異常反応に分類された報告は26件で、8件は血管迷走神経反射に伴う顔色不良・血圧低下・除脈・失神等、その他、接種後の気分不良、クループ症候群、眼瞼・上唇の腫脹、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、単純性股関節炎、接種直後の気分不良と躯幹の掻痒感、接種翌日の嘔吐下痢、耳痛と足のしびれ、腋窩の疼痛と腫脹・腕のしびれ、腋窩リンパ節腫脹、両下肢の出血斑、熱譫妄、発熱に伴う嘔吐、発熱に伴う両手のしびれ等が報告された。基準外報告は局所反応2件、全身反応11件、合計13件であり、いずれも接種当日の発熱、頭痛、嘔吐あるいは接種部位の腫脹であった。
 入院症例でございますが、1例目、3歳女児、1期初回1回目接種当日の夜から腹痛。翌日38.3度の発熱を認め、受診。インフルエンザ迅速診断キット陰性のため、整腸剤の処方を受け帰宅。帰宅後両足に皮疹あり。翌日皮疹が消失しないため、受診したところ、皮疹は皮下出血であっためシェーライン・ヘノッホ紫斑病と診断され入院。血小板数正常。14日間で症状改善し退院。その後、皮下出血再び出現し、6日間入院し、治療継続中。
 2例目、8歳女児、1期初回接種6分後に急に顔面蒼白、意識朦朧なり倒れ込む。除脈認め、ボスミン筋注。10~15分後に血圧回復、心拍数88に回復。念のため救急搬送し、1日経過入院のもと、翌日元気に退院。迷走神経反射による除脈、低血圧発作の可能性が考えられると報告。
 10歳男児、2期接種20分後に意識低下、低血圧となり入院。
 回復の有無については、回復しているが121件、回復していない8件、その他は不明・無記入であった。
 日本脳炎ワクチンのまとめでございますが、今年度は阪大微研製の乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンに加えて、化血研製のワクチンの使用が始まった。
 最も多い副反応は39度を超える発熱で59件であったが、このうち33件は他疾患の可能性が同時に報告されていた。
 入院例19件については、詳細に記述したが、ロット番号に集積は認められなかった。
 急性のアレルギー反応と考えられる例が9件報告され、このうち2件はアナフィラキシー、1件はクループ様症状、その他は急性じんま疹であった。
 脳炎・脳症が2件、ADEMが7件、ギランバレー症候群が2件報告されたが、接種3~5日後の早い発症が4件、接種23~26日後、32日後、38日後、2カ月後の比較的遅い発症がそれぞれ1件報告されていた。先行感染を疑わせる症状を認めた者もいたことから、ワクチン接種との関連についてはさらに詳細な情報をもとに検討する必要がある。
 けいれんについては、急性脳炎やADEMに伴って報告されたもの以外に、血管迷走神経反射による失神に伴ったけいれんが2件、熱性けいれんが4件、無熱性けいれんが3件報告された。
 その他の異常反応に分類された報告では、血管迷走神経反射によると考えられる症状が最も多く8件報告された。それ以外に、接種当日に発症したシェーライン・ヘノッホ紫斑病、単純性股関節炎、接種直後の気分不良と躯幹の掻痒感、嘔吐下痢、耳痛と足のしびれ、腋窩の疼痛と腫脹・腕のしびれ、腋窩リンパ節腫脹、両下肢の出血斑、熱譫妄、発熱に伴う嘔吐、発熱に伴う両手のしびれ等が報告がされたが、ワクチン接種との関連についてはさらに詳しい情報をもとにした検討が必要である。
 続きまして、ポリオワクチンでございます。
 ポリオワクチンの副反応報告件数は18件であった。
 日数別に見ると、18件中9件が24時間以内。1~3日以内が4件、22.2%、4~7が0件、8~14日が5.6%、15~28日が16.7%であった。このうち、麻痺例は2件であり、2件とも接種後15~28日に発生していた。
 年齢別に見ると、総数で0歳8件、1歳8件、2歳0件、3歳・4歳各1件であった。麻痺例は0歳1件、3歳1件であった。
 副反応として報告されている18例のうち、麻痺例は2件、その他の異常反応は6件、基準外報告10件であった。
 麻痺例として報告された2件は、免疫不全のない0歳男児1例、3歳男児1例の計2例で、女児の報告はなかった。免疫不全のあるものは0例であった。
 麻痺例の症例でございますが、6カ月男児、1回目OPV服用後14日目ごろより感冒様症状、18日目に右足が動かないことに家族が気づき受診、右下肢弛緩性麻痺が認められ入院。MRIにてTh12右側に異常信号領域が認められ脊髄前角炎と診断。便中よりポリオウイルス3型、ポリオワクチン株が検出。発症、右足が動かないから約6週間後時点で右足麻痺残存、リハビリ中。
 2例目でございますが、3歳10カ月男児、2回目OPV服用後25日目に右膝痛出現、伝い歩きとなり、32日目ごろより麻痺が急速に進行し、34日目に入院。ギランバレー症候群との疑いで治療。発症から16日目時点でつかまり立ちまで回復しているがリハビリ中。
 その他の異常反応として報告される6件は、発疹3例、膨疹またはじんま疹2例、一過性の左下肢麻痺1例であった。
 基準外報告として報告された10例は、死亡例としてSIDS1例、重症例としてADEM1例、この症例はDPT接種後としても報告されている症例でございます。難治性てんかん1例であった。そのほかには、急性胃腸炎1例、発熱3例うち熱性けいれん1例、手足口病1例、下痢1例、接種直後の一過性右下肢麻痺1例であった。
 続きまして、11ページ目、BCGワクチンでございます。
 BCGの副反応報告件数は94件であった。性別では明らかに男性が多く、報告時の年齢別に見ると、0歳82件、87.2%、1歳以上12.8%であった。副反応の種別では、腋窩リンパ節腫脹52.1%が最も多く、さらに腋窩以外の部位のリンパ節腫脹が3件見られた。次いで皮膚結核様病変が22.3%であった。骨炎は前年の5例に引き続き7件と、前々年度までに比して比較的高頻度を保っているように見える。他に接種局所の膿瘍・潰瘍は3.2%、その他の反応として接種局所のケロイド1件、全身性播種性BCG感染症が1件であった。
 腋窩リンパ節腫脹について見ると、総数49件のうち、0歳児46件、1歳児1件、残り2件が3歳児であり、男児が30件と腋窩リンパ節腫脹全体の61.2%を占めており、いつものように性差が明らかである。その発生時期は接種後8日~2カ月で63.3%と集中しており、その後3カ月までに89.8%が発生していた。3カ月を経過した後に発生した者は10.2%であった。報告時点までに「回復している」と答えた者が13件、「回復していない」と答えた者が20件であった。経過中に入院した者は1件あった。
 皮膚結核様病変の21件は、20件(95.2%)までが0歳児であり、性別に見ると男で11、女で10件が見られた。発生時期は接種後8~2カ月に57.1%、その後3カ月までに76.2%が集中しており、それ以降に5件発生した。報告時点までに「回復している」が12件、「回復していない」が8件であった。経過中入院したものが4件あった。
 骨炎の7件は全例男児、発生時の年齢は5件が1歳、2件が3歳、また発生時期は全員接種後6カ月以降であった(9カ月~19カ月にわたる)。経過の知られている6件は全て入院治療を受けており、その報告時に「回復している」が4件、「回復していない」が2件であった。罹患部位は上腕骨2件、大腿骨、脛骨、下肢(詳細不明)、肋骨、前胸部各1件となっている。それぞれ患部の腫大や運動制限などがきっかけで発見されている。菌所見の記載のある6件全て膿や組織からBCG菌を検出同定している。
 今期は全身播種性BCG感染症の報告は1件で、生後3カ月で接種、接種7カ月でリンパ腫、肺炎、汎血球減少症と診断され、その後全身性発疹を発症し、患部からBCG菌を証明したものである。その後抗結核化学療法を行ったが、呼吸不全のため接種後12カ月で死亡した。
 なお、今回は「死亡」が上記のほか、1件報告されていた。生後5カ月の児で左心低形成症候群を持っていたが、DPTワクチンとの同時接種を受け、数時間後に睡眠中呼吸停止に至ったものであるというものでございます。
 まとめでございますが、今期の報告事例は、この数年来の傾向と同様、リンパ節腫脹が半数以上、残りの大半を皮膚結核様病変が占めていた。事例総数は昨年度とほぼ同数で、一昨年度にうかがわれた増加傾向は沈静した感があるが、より長期の傾向を慎重に見ていく必要がある。
 リンパ節腫脹は上腕の局所に接種されたBCGが所属リンパ節である腋窩において増殖し、リンパ組織がこれに反応する、いわゆる正常の宿主反応が強調して起こったものである。典型的なものは接種後1~3カ月で発生し、多くは腫脹のみの単純性リンパ節炎で、数カ月の経過でゆっくりと自然治癒する。ときに化膿して穿孔・排膿することもあるが、これも化学療法は不要で、予後は良好である。腫脹するリンパ節の個数は多くは1個であるが、まれに複数個、また今回見られたように少数ながら腋窩以外の部位に発生することもある。
 皮膚結核様病変は、大半が「結核疹」様病変で、局所・所属リンパ節で増殖したBCG成分がリンパや血行性に全身に播種されアレルギー的反応を起こしたものとされる。多くは接種後数週間で発症し、全身にさまざまなタイプの発疹が発生する。発熱を伴うこともあるが、予後は良好である。抗結核化学療法を不要とする専門家も多い。そのほかの皮膚病変として真性皮膚結核様病変と呼ばれ、BCGが接種局所からやや離れた部位の皮膚に転移し、そこで増殖し特異的病変をつくるもの、さらに接種局所周辺皮膚のループス様反応もある。これには抗結核剤による化学療法が勧められるが、いずれも予後は良好である。
 上記2者に比し頻度ははるかに低いものの、より重症な反応である骨炎(骨膜炎、髄膜炎、関節炎を含む)は、今年度も昨年度と同様の例数で見られ、この数年間の高頻度が定着した感があるが、引き続き慎重に観察していく必要がある。発生の時期は今回見られたように接種後1年前後とかなり時間が経過してからのものが多い。抗結核剤による化学療法の適応であり、多くの例が外科的治療(排膿や掻把)が行われる。予後は良好であるが、ときに骨の成長障害などが懸念されることもある。先天的免疫異常が関与する例もあると言われているが、今回の報告例については明らかではなかった。
 今回報告された2件の死亡例は、いずれも基礎疾患(左心低形成症候群、リンパ腫等)を持っており、死亡ないしは副反応の発生についてはそれらとの関係が疑われる。特にリンパ腫を伴った例では、皮膚症状は免疫不全による全身播種性BCG感染症と考えられるが、これが、当初気づかれたリンパ腫やそれに対する化学療法などと関連するか否かは不明である。
 続きまして、最後でございますが、8番目、インフルエンザワクチンでございます。
 インフルエンザワクチンの副反応報告件数は110件であった。報告事例の性別、年齢構成は第8-2表に示すとおりであり、検討対象はすべて60歳以上、そのうち57.3%は75歳以上の後期高齢者であった。
 表8-1に示すように、即時性全身反応は9例見られたが、アナフィラキシー5例、全身じんま疹4例であった。39度以上の発熱は10例に見られている。全身の発疹が見られたものは、即時性のものを除いて20例であった。神経系の副反応としてはけいれんが2例報告された。
 ワクチン接種後、発症までの日数は第8-1表に示すとおり、記載のある110例中24時間以内が63.6%、1~3日が21.8%、4~7日が8.2%、8~14日が3.6%、15~28日が1.8%であった。
 報告時点の予後を回復状況別に第8-3に示すが、回復しているもの63例、回復していないもの17例であり、30例はその後の経過が報告されていない。
 インフルエンザワクチン接種後の死亡例は8例であったが、ワクチン接種後の7日までの死亡例が7例あった。肺炎5例、感染性心内膜炎1例、虚血性心疾患既往症の急死例1例であった。
 まとめでございますが、検討対象は高齢者で、約半数は後期高齢者であり、種々の疾患を発症し死亡に至ることも少なくない。今回インフルエンザワクチン接種後7日以内の報告が7例あったが、この報告書の初めに述べられているように、ワクチン接種後に見られた症状を全て記載しており、予防接種との関連性が考えられない偶発事象などが含まれている可能性がある。
 事務局からは以上でございます。後段には統計表が添付されております。よろしくお願いします。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ただいま補佐のほうから資料1に基づいて御説明がありましたが、これら全体に対しまして、各構成員から御意見がございましたら伺います。
 特にございませんか。
 一番最初に御説明がありましたとおりの報告の基準があって、それに対する報告を各担当者が記載したものを取りまとめたものであるということですので、特別に各担当者でどこかを訂正するというところはございませんですね。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、議題の2番目「平成23年度予防接種後健康状況調査集計報告書(案)」につきまして、同じく補佐より御説明お願いいたします。
○難波江課長補佐 それでは、議題2につきまして、資料2と資料3を用いて御説明させていただきます。まず、この調査の概要につきまして、資料2の25ページに記載されておりますので、こちらのほうでこの調査について御説明させていただきます。
 予防接種の副反応調査は二つの方法で実施されている。すなわち、「予防接種後健康状況調査」と「予防接種後副反応報告」である。本報告は前者で、定期接種のワクチン個々ついて、あらかじめ各都道府県単位で報告医を決めておき、それぞれのワクチンについて接種後の健康状況を前方視的に調査したものである。ちなみに、後者は、予防接種後に発生した副反応を後方視的調査に基づき報告のあったものをまとめたものである。
 今回は、平成23年度前期(平成23年度4月~平成23年度9月)をまとめたものです。
 資料2が前期の報告書でございまして、資料3が後期の報告書になっております。
 詳細でございますが、1番、本調査の目的は、国民が正しい理解のもとに予防接種を受けることができるよう、接種前に個々のワクチンの接種予定数を報告医ごとに決め、接種後、それぞれのワクチンごとに一定の観察期間を通じ、接種後の健康状況調査を実施することにより、その結果を広く国民に提供し、有効かつ安全な予防接種の実施に資することである。
 2番目、調査対象としたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷風三種混合ワクチン(DPT)、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン(DT)、麻しん、風しん、麻しん風しん混合ワクチン、日本脳炎、ポリオ、インフルエンザ、BCGである。
 3番目、健康状況調査の実施期間及び対象者数は、DPT、日本脳炎については、各四半期ごとに都道府県、指定都市当たりそれぞれ40名、MRについてはそれぞれ80名を対象とし、接種後28日間を観察期間とした。
 ポリオについては、前期は100名を対象として35日間を観察期間とし、BCGについては接種数が年間一定ではないことから、前期は100名を対象として、観察期間を4カ月とした。
 26ページ目の上段に、23年度の調査、前期と後期を合わせたものでございますが、この健康状況調査の対象数と有効回答数が記されております。それぞれのワクチン約1万、MRは2万ですが、この数を対象に調査を行っております。
 4番目以降は、具体的な手順が記載されております。
 調査の結果でございますが、資料3の109ページ以降に、前期後期を合わせた累計が記載されておりますので、こちらで御説明させていただきます。資料3の109ページ目以降が1年間を通じた報告でございます。
 それぞれのワクチンの状況の結果は、111ページ以降に記載されております。まず、DPTでございますが、DPT1期初回1回目の結果でございます。対象者数は1,543人で、このうち1,534人、99.4%が生後3カ月から3歳代であった。何らかの症状を呈したのは312人、発生件数は420件であった。男女児間に差は認められなかった。症状とその発現日、年齢の関係を見ると次のとおりである。
 37.5度以上38.5度未満の発熱は2.9%であるが、接種7日目までの小計は1.9%であった。接種1日目の0.8%が最大であった。
 38.5度以上の発熱は1.9%であるが、接種7日までの小計で0.8%であった。接種後3日目の0.3%が最大であった。
 局所反応は合計107件、6.9%であるが、接種7日までの小計は6.2%であった。接種後1日目の3.2%が最大であった。
 けいれんは接種後1日目に1件、0.1%であった。
 嘔吐は18件、1.2%であるが、接種7日目までの小計は0.8%であった。
 下痢は46件、3%であるが、接種後7日目までの小計は1.4%であった。
 せき、鼻水は175件、11.3%であるが、接種後7日目までの小計で5.3%であった。接種後1日目の1%が最大であった。
 以降、DPTにつきまして、初回の2回目と1期初回の3回目、1期の追加、DTの2期がそれぞれ記載されておりまして、まとめが114ページ以降に記載されておりますので、そちらを読み上げさせていただきます。
 まとめ、各項目で従来の結果と大きな相違はなかった。
 多く報告されるのは局所反応である。特徴的には1期初回1回目接種後の局所反応が接種後2日以内に5.6%と多く見られるが、接種7日以降も0.1~0.2%の局所反応が見られた。一方2回目接種以降は接種後1日目に6.0~13.7%に見られるものの8日以降ではほとんど見られない。
 けいれんは1期初回1回目に1件、1期追加接種後に2件見られたがいずれも37.5℃未満の発熱を伴っていた。
 接種後の嘔吐、下痢、せき、鼻水を観察しているのは、紛れ込みの副反応を観察することが目的であるが、28日を通じて大きな発生率の相違はなく、このワクチンを接種する年齢に見られる健康状況の変化と思われるとなっております。
 続きまして、MRワクチンでございます。
 MR1期、対象者数は12カ月~24カ月未満の3,683人で、このうち何らかの症状を呈したものは795人、21.6%、発生件数は990件であった。男女間に差は見られなかった。
 観察期間中に発熱を認めたものは16.8%であった。37.5度以上38.5度未満の発熱を認められたものは5.6%であり、38.5度以上の発熱が見られたものは11.1%であった。
 発熱の時期別では、接種後6日までが7.1%、接種後7~13日が5.8%であった。
 局所反応は2.5%に見られた。そのうち73件は3日以内、76件は6日以内であった。
 けいれんが見られたものは0.4%、体温37.5度未満が0.1%、体温37.5度以上が0.3%であった。
 じんま疹は2.4%に見られ、接種後1日以内は0.3%、13日以内は1.8%であった。発疹は4.3%に見られた。6日以内の発疹は1.3%であり、7~13日の発疹は1.9%であった。リンパ節腫脹は0.5%、関節痛1件であったとされております。
 その後、MRの2期、MRの3期、MRの4期の記載がありまして、118ページにまとめが記載されていますので、こちらを読み上げさせていただきます。
 発熱率、局所反応発現率、じんま疹発症率の出現率はMR1期が最も高く、2期はそれに次ぎ高い。3期は2期より低く、4期は3期よりさらに低かった。発疹の出現率はMR1期が最も高く、2期はそれに次ぎ高い。3期、4期は2期よりさらに低かった。関節痛は1期では出現せず、2期~4期に認められたというものでございます。
 続きまして、日本脳炎ワクチンでございます。
 平成21年6月2日から乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが1期の定期接種に使用可能となり、平成22年8月27日から2期の定期接種に使用可能となった。本年度、平成23年度は、3歳と4歳に加え、1期を完了していない9歳となる年度と10歳となる年度の者、小学校3~4年生に積極的勧奨が再開されていた。
 1期初回1回目の結果でございますが、調査対象人数は1,380人であった。接種年齢は0歳3人、1歳6人、2歳23人、3歳801人、4歳161人、5歳183人、6歳149人、7歳54人で、積極的勧奨の対象者である3~4歳は全体の69.7%であった。
 健康状況調査の観察期間である接種後28日間に何らかの健康異常が発生した者の割合を見ると、1歳33.3%、2歳8.7%、3歳12%、4歳11.8%、5歳11.5%、6歳6%、7歳5.6%で、調査対象全体では11%であった。「発熱、局所反応、けいれん、じんま疹、発疹」以外の症状を認めた者は前期、後期の報告書にそれぞれ記載した。
 何らかの健康異常が発生した者の割合を男女別に見ると、男性13.2%、女性8.8%である。
 発現症状別に見ると、37.5度以上38.5度未満の発熱は3.4%、38.5度以上の発熱は5.1%、接種部位の局所反応は2%、じんま疹は0.6%、発疹は1.1%に認められた。けいれんの報告はなかった。
 症状の発現日別に見ると、局所反応は接種翌日をピークに0~2日に多く、接種6日後以降の報告はなかった。発熱も接種翌日をピークに0~2日に多く、それ以降は0~6件と散在した。じんま疹と発疹は1~2件ずつ散在し、一定の傾向は認められなかった。
 マウス脳由来のワクチンが使われていた平成8~20年度の累計では、発熱、局所反応の頻度は、接種翌日にそれぞれ0.9%、3.4%であったが、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが使われていた今年度は、発熱、局所反応頻度は接種翌日にそれぞれ3.0%、0.8%であり、細胞培養日本脳炎ワクチンの接種翌日の発熱の頻度はマウス脳由来日本脳炎ワクチンと比較して高く、局所反応の頻度は低かった。しかし、発熱の頻度は、前期で1期初回1回目の発熱頻度が高く、後期ではマウス脳由来のワクチンと同等であり、累計するとマウス脳由来ワクチンより乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンのほうが高い頻度であったが、これについては今後の調査で確認が必要と考えられた。
 その後、1期初回2回目、1期追加、2期の記載がございまして、121ページの下段にまとめが記載されておりますので、読み上げさせていただきます。
 今回の報告は、平成22年度の報告と比較すると、2期の調査対象者がふえて、いずれの期・回においても1,100~1,300人台の調査数が得られた。何らかの健康異常は、1期初回1回目11%、1期初回2回目9.8%、1期追加9.3%、2期8.8%であり、回数を重ねるほど頻度は低くなった。医療機関を受診したものは5,005人中233人(4.7%)で、入院は6人であった。
 接種翌日の発熱、37.5度以上の割合は、1期初回1回目が3%、1期初回2回目が0.8%、1期追加が0.8%、2期が0.8%で、1期初回1回目の頻度が最も高かった。接種翌日の発熱の頻度はマウス脳由来ワクチンよりも高かった。平成23年度前期、後期に分けると、前期のほうが発熱の頻度が高かったことについては、今後の年度で引き続き観察する必要があると考えられた。
 局所反応の割合は回数を重ねるにつれて徐々に増加し、2期では1期に比べて局所反応の頻度が高く接種翌日にピークがあったが、マウス脳由来ワクチンより低い頻度であった。
 じんま疹、発疹は一定の傾向はなく、頻度も低かった。けいれんは1例のみ報告された。
 続きまして、ポリオでございます。
 ポリオ1回目、接種対象児は2,763人で、内訳は3~5カ月が420人、6~8カ月が1,205人、9~11カ月が718人、1歳が366人、2歳以上が54人であった。このうち対象期間中に健康異常の発生のなかった人は2,136人であった。何らかの健康異常が見られた人は627人であった。健康被害発生件数は829件で、年齢別では、3~5カ月60人、6~8カ月246人、9~11カ月198人、1歳111人、2歳12人であった。接種数の比較的多い1歳以下では、9~11カ月及び1歳で何らかの健康異常が見られる割合が高かった。
 発熱は356人、接種対象者の12.9%に見られ、そのうち1歳以下では、3~5カ月の同年齢接収対象者の4.5%、6~8カ月で10.6%、9~11カ月で17.8%、1歳では19.1%、2歳では20%であった。38.5度以上の発熱は7.7%で、発熱者の年齢別では3~5カ月で同年齢接種対象者の2.9%、6~8カ月で5.9%、9~11カ月で11.3%、1歳で11.7%、2歳で10%であった。接種後の日数では接種0日で接種対象者の0.3%、1~2日目で1.1%、3日目で1.5%、4日目で0.7%、5日目以降は0.1~0.5%の範囲で推移し、31~35日目は1.4%であった。接種1~4日以内が若干多いもののその後特定の日数に集中する傾向はない。38.5度以上の発熱で見ると、接種0日が0.2%、1日目が0.6%、2日目が0.4%、3日目が0.7%、その後は0.1~0.4%で推移し、31日~35日は0.9%であり、特定の日数に集中する傾向はない。
 けいれんを来した症例は4人で、37.5度以上の発熱を伴うものが2例、伴わないものが2例であり、無熱者が接種7日目と15日目、有熱者が接種5日目と20日目に生じたものであった。
 嘔吐は4.5%に見られ、0日目の接種対象者の0.5%、1日目0.4%、2日目0.3%、3日目0~0.2%で推移し、31~35日目は0.3%であり、特定の日数に集中する傾向はない。
 下痢は12.5%に認められた。接種後の日数で見ると、0日目で0.9%、1日目2.1%、2日目1.7%、3日目0.8%で、以降0~0.7%の範囲で推移しており、31~35日は0.5%となっている。
 続いて、ポリオ2回目がございまして、まとめが125ページに記載されておりますので、読み上げさせていただきます。
 ポリオ1回目、2回目の接種後発症割合を見ると、発熱1.9%:15.9%、嘔吐4.5%:3.6%、下痢12.5%:12.5%、けいれん0.1%:0.3%となっている。
 発症までの期間を見ると、1回目の発熱のピークは接種後3日目であった。おしなべて0.1~0.5%に発熱が見られている。2回目の発熱ピークは接種後2日目であった。おしなべて0.2~0.5%に発熱が見られ、接種後31~35日目では1.5%の発熱となっている。
 嘔吐については、1回目の0~2日で0.3~0.5%とやや高目であるが、1日当たり0~0.2%程度の嘔吐がほぼ連日見られている。2回目も接種後1日目に0.4%と若干高目であるが、おおむね0~0.2%に嘔吐が見られ、特に日による変化は見られていない。31~35日目では0.3%となっている。
 下痢については1回目接種後1日目2.1%、2回目接種後も同じく1日目1.9%がピークとなっており、1回目2回目とも接種から1週間目前後あたりからほぼ横ばいとなっている。
 1回目接種者と2回目接種者での健康状況変化の発生割合は、大きな差が見られない。
 これらの状況の変化が生ワクチンによるポリオの反応であるか否かの判断は難しいのはこれまでと同様であり、考察も同様である。しかしこれらの健康状況の変化はいずれも軽微な自然回復性のものにとどまっており、現段階でポリオワクチンの重要性を妨げるものではないと思われる。
 なお、今回の接種対象者数は、例年に比して若干少ないものであったが、健康異常発生の割合は例年に比して大きな変化はなかったというものでございます。
 続きまして、BCGでございます。
 平成24年度に行われた総数4,073人について接種後観察の成績である。接種対象別に見ると、3~5カ月で97.4%で最も多く、6~11カ月は1.7%、3カ月未満は0.9%とわずかである。
 これらの中で0.6%に何らかの異常が見られた。健康異常発生者率を月齢別に見ると、3~5カ月児で0.6%に見られた。性別に見ると男0.8%、女0.5%と、男が有意に多かった。
 異常の種別に見ると、「リンパ節腫脹」が0.4%、「局所の湿潤」が0.2%であった。けいれん等の反応は認められなかった。ともに3~5カ月児のみで見られた。
 リンパ節腫脹は全18例中2例が接種後1カ月以内に、9例が1カ月後2カ月以内に、5例が2カ月以降3カ月以内、残り2例が3カ月以降4カ月以内に発生していた。
 局所の湿潤の頻度は3例が1カ月以降2カ月以内、2例が2カ月以降3カ月以内、残り3例が接種後3カ月~4カ月以内に発生していた。
 接種局所の針痕に関する観察は3,412人、被接種者総数の83.8%について行われた。全体では15~18個の者が多く80%。4個以下の者も0.7%あった。平均個数は全体では16.1個で、健康状態の有無別に見ると、「なんらかの異常あり」で15.8個、「異常なし」で16.1個であり、両者間に著差はなかった。
 まとめでございますが、観察された被接種者の97%が3~5カ月児であり、6カ月を過ぎてから接種される者は1.7%と少なく、3カ月以前の接種は0.9%とさらにわずかである。副反応として今回はリンパ節腫脹が18例と局所の湿潤が8例見られた。「けいれん」その他は皆無であった。
 リンパ節腫脹は、今回のように多くは接種後1~2カ月くらいで発生し、大部分はその後6カ月以内に自然に消退する。積極的な治療は不要である。局所の湿潤は今回は63%までが接種3カ月以内に見られたもので、これらは正常反応が強調された例と考えられる。残りは3カ月を越えてから見られ、後者の中には混合感染によるものが多少はあると考えられ、特に反応の強い者には一般抗生剤の内服や塗布を試みてもよい。
 針痕は今回の観察では全体で平均16.1個見られた。標準的な技術で接種した場合に期待される15個以上となっている。ただし、針痕個数が4個以下のものもごくわずかあり、技術的に改善の余地がある。
 続きまして、インフルエンザでございます。
 平成23年4月1日~平成24年3月31日の間に、インフルエンザワクチンの法定接種を行った1,283名について、接種後の健康状況について報告を求めた。性別、年齢別に、健康異常発生数の発生割合を140ページに示した。147人、11.5%に165件の報告が見られた。男性5.1%、女性15.1%と大きな性差が見られている。年齢階層別に見ると、健康異常発生率が高いのは60~64歳の25.5%であった。
 健康状況報告書に見られた症状を154ページに示したが、118例、接種者の9.2%、異常健康状況の71.5%を占めるのは、注射局所の疼痛などの局所反応であった。全身反応としては、全身倦怠感が1.7%、頭痛0.9%、37.5度以上38.5度未満の発熱が0.3%、嘔吐が0.4%、じんま疹が0.3%に見られた。神経症状を呈した例や死亡例は報告されなかった。
 ワクチン接種から健康異常発生までの日数は172ページに示したが、接種後2日間以内に以上発生件数の88.5%が見られ、7日目以降に見られたものは4.2%であった。
 過去10年の集計成績と比較して同様の成績であり、本年度に特異な点は見られませんでした。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ただいま、課長補佐のほうから資料3について御説明がありましたけれども、1点だけよろしいですか。115ページの上から6行目のところ、「37.5度未満」と書いてありますが、これは「以上」です。
○難波江課長補佐 失礼しました。
○加藤座長 そのほかのところで、各構成員の方々から何か御意見がございましたら伺います。
 特に、御担当の構成員の中で、記載間違いがあるとか漏れがあるということはございませんか。よろしいですか。
 よろしいということでございます。したがいまして、本日の目的でございます23年度の副反応の報告書と健康状況の調査集計報告書につきましては、原案どおり可決されたとみなさせていただきます。どうもありがとうございました。
 では、事務局から何か御意見ございましたら、お願いいたします。
○飯野室長補佐 本検討会のまとめにつきましては、近日中に「副反応報告集計報告書」及び「健康状況調査報告集計報告書」を自治体に配付するとともに、厚生労働省ホームページにも掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、結核感染症課長から御挨拶申し上げます。
○正林結核感染症課長 本日は、お忙しい中、この検討会にお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
 冒頭、局長から申し上げましたが、予防接種部会で本検討会は新たに設置する評価検討組織に統合すべきという御提言をいただいておりまして、近いうちに予防接種制度の見直しが進みますと、本日の検討会が最後の開催となることとなります。
 先生方の中には、平成6年からずっと長期間にわたって御協力いただいている方もいらっしゃると思います。改めまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 また、今後とも先生方の専門的なお立場から御助言をいただければと思っております。
 本当にどうもありがとうございました。
○加藤座長 終会でございます。ありがとうございました。


(了)

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