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2012年11月20日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第29回議事録
医政局看護課看護サービス推進室
○日時
平成24年11月20日(火)16:00~18:00
○場所
厚生労働省19階専用第23会議室
○出席者
秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長) |
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授) |
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授) |
大滝 純司 (北海道大学大学院医学研究科・医学部医学教育推進センター 教授) |
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長) |
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授) |
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長) |
真田 弘美 (東京大学大学院医学系研究科 教授) |
竹股喜代子 (前 医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長) |
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長) |
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長) |
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授) |
山本 隆司 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授) |
○議題
1)医行為分類(案)について
2)その他
○議事
○島田看護サービス推進官 それでは、定刻よりも若干時間が早うございますけれども、御到着予定の先生方、おそろいですので始めさせていただきます。
ただいまより第29回「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多用の中、会議に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
まず、本日の委員の出席状況でございますけれども、本日、山本委員より遅刻と御連絡をいただいております。それ以外の先生方はすべて御出席でございます。
また、本日は参考人の方々にお越しいただいておりますので、まず御紹介させていただきます。
日本救急救命士協会会長・鈴木哲司参考人でございます。
続きまして、日本言語聴覚士協会副会長・立石雅子参考人でございます。
続きまして、日本作業療法士協会会長・中村春基参考人でございます。
続きまして、日本歯科医師会常務理事・佐藤保参考人でございます。
続きまして、日本視能訓練士協会会長・臼井千恵参考人でございます。
続きまして、日本診療放射線技師会副会長・小川清参考人でございます。
続きまして、日本薬剤師会副会長・土屋文人参考人でございます。
続きまして、日本理学療法士協会・高橋仁美参考人でございます。
続きまして、日本臨床衛生検査技師会副会長・小沼利光参考人でございます。
続きまして、日本臨床工学技士会会長・川崎忠行参考人でございます。
また、本日、日本医師会常任理事・藤川謙二参考人も御参加の予定でございますけれども、1時間程度おくれてお越しと御連絡をいただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第を配らせていただいております。
その下に座席表、そして本日御参加いただいております参考人の方々の一覧をつけさせていただいております。
その下ですが、
資料1、参考人所属団体からの提出意見の綴りをつけさせていただいております。
資料2、「看護師以外の医療関係職種が関係する行為にかかる整理」、これは1ページの資料でございます。
資料3、「包括的指示・具体的指示が行われてから診療の補助が行われるまでの流れにいての(案)」、2ページの資料でございます。
参考資料といたしまして、参考資料1、「意見提出学会・団体等の一覧」の1枚の資料でございます。
参考資料2、「第28回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」における委員の主な御意見でございます。
参考資料3、「医行為分類(案)及び教育内容等基準(案)にかかる説明会資料」の綴りをつけさせていただいております。
そして、資料番号をおつけしておりませんけれども、本日お越しの藤川参考人からの提出資料をつけさせていただいております。
資料の不足などがございましたら、途中でも結構ですので、事務局のほうにお申しつけください。
カメラの方がいらっしゃいましたら、ここまでとしていただきたいと思います。
それでは、有賀座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○有賀座長 委員の方々、並びに関係の皆様には、お忙しい中、どうもありがとうございます。こんにちは。
早速、きょうの議論を進めます。最初の資料1にあります日本医師会以下の1ページからずっとありますが、恐らく事務局が順番を指定してくれていると思いますので、各参考人の方々から団体の御意見についての説明をまず賜るということで出発したいと思います。おひと方、3ないし5分という予定のようですが、どうでしょうか。
では早速始めたいと思います。1番が藤川先生ですが、おくれて見えると聞いたので、ページの順番でよろしゅうございますか。
○島田看護サービス推進官 はい。団体様の五十音順に並べさせていただいておりますので、順番に御説明いただければと思います。
○有賀座長 それで、アイウエオのイが日本医師会ですね。カキクケコ、日本救急救命士協会ですか。順番は恐らくページの順番だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木参考人 日本救急救命士協会の鈴木でございます。本日は発表の機会を持たせていただきまして感謝申し上げます。
それでは、本会からは教育内容と基準案に係る意見ということで、意見を申し述べさせていただきます。
教育内容に関してですが、2年以上と8か月以上とする課程のすべてに共通することなのですが、救急救命士は前例として気管挿管ができる医師以外の唯一の医療関係職種であります。そして、気管挿管ができるに当たって、いわゆる特定行為ですが、どのような認定基準があるかと申しますと、まず追加講習ということで、62時限の講義と演習をすることが義務づけられております。そして日本麻酔科学会の専門医の指導下でその講義・演習を修了した後、オペ室で全身麻酔症例を対象に30例以上に気管挿管を行うことが義務づけられております。
この30例ですが、成功症例を30例以上ということでありまして、成功とは患者に有害な結果を与えることなく2回以内の試行で気管挿管を完了したことを言います。そして気管挿管ができる対象患者でありますが、心肺機能の停止した患者のみに限られておりまして、意識があって麻酔をかけて挿管をするという一連のオペ室での流れの中では認められていないというのが救急救命士の気管挿管の特定行為の認定のシステムであります。
今、議論ありますように、いちがいに気管挿管を看護師さんに認めるという場合には、前例をぜひ踏襲することを御検討いただいて、看護師さんにも気管挿管をぜひできるような形で医行為のチーム医療の推進をぜひしていただきたいというのが本会の趣旨でございます。
以上でございます。
○有賀座長 ありがとうございました。
一連のプロセスで、資料1にあります各団体からは、一気にお話を賜って、その後、まとめて議論をしていくということでよろしいですね。その都度やっていきますと、エンドレスゲームになるといけませんので。そのような形で、今、日本救急救命士協会のお話を賜ったので、次、日本言語聴覚士協会からお願いいたします。
○立石参考人 日本言語聴覚士協会副会長の立石でございます。それでは、お手元の資料の23ページのところに、本協会からの医行為に関する意見ということで述べさせていただきます。
11と49となっておりますが、主として49のほうで申し上げたほうがおわかりいただきやすいかと存じます。摂食嚥下機能の評価につきましては、通常スクリーニング検査から嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査といった詳細検査を必要といたします。特に嚥下造影検査は被曝のリスクもございますので、その実施判断には慎重さが求められるところです。
言語聴覚士は口腔、咽頭、喉頭など摂食嚥下機能に関する諸機関の評価及びスクリーニング検査による摂食嚥下機能の評価結果を総合的に把握して、嚥下造影検査などの必要性を判断し、医師、放射線技師とともに検査を実施しています。
今回の案では、行為名「嚥下造影の実施時期の判断」となっておりますけれども、実際には行為の概要説明においても実施時期の判断の次にとる行為については明示されておりません。
したがいまして、11番の「CT、MRIの部位・実施時期の判断」と同様に、今回の医行為の分類案における「嚥下造影検査の実施時期の判断」ということの妥当性については、判断ができかねるということで、ここのところを明示をしていただくなり、このままでは判断ができかねるという意見でございます。よろしくお願いいたします。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
その次は、日本作業療法士協会から、お願いします。
○中村参考人 日本作業療法士協会の会長をやっております中村春基と申します。きょうはこのような機会をいただきましてどうもありがとうございます。
今回、A、B、Cということで討議に挙がっておりますが、リハ関係はほとんどCとEに分類されていまして、今回このような公の場で、それについての討論はないわけですが、国民医療行為・医行為の枠組みに関する意見というところに書かせていただきましたが、それらも含めて検討することが、今後、チーム医療を進める上で必要ではないのかということで、時間的な関係もありまして、そこまで踏み込んだ討議は今回なされないわけですが、ぜひ引き続き、リハに関する項目も、チーム医療という観点で言いますと、お互いの業務分担ということを明確にしなければいけないところがありますので、ぜひ引き続き、そのような検討を進めていただきたいというのが1点であります。
それから、教育内容基準に関する意見は、末節的なことなのですが、各技術はそれぞれ専門的な基礎に立って成り立っておりますので、包括するのではなく、そういう技術別の基礎をしっかり踏まえた研修体系をしてくださいというのが1つであります。それから、単位数で計算してありますが、実際45時間、60時間という単位で教育をやっておりますとばらつきがあります。ここら辺ではしっかり時間数を定義しておいたほうが今後進められる上でばらつきをなくする1つの大事な項目ではないのかと思います。
現実なのは、日本作業療法の教育課程でも実習時間で何単位と書いてあるのですが、時間数の読みで大分混乱を起こしているところがありますので、そこへの御配慮をお願いしたいというのがあります。細かくはそこに書いてありますので、また、考慮していただけたらありがたいと思います。
以上であります。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
次は日本歯科医師会・佐藤先生、お願いします。
○佐藤参考人 日本歯科医師会・佐藤でございます。私のほうの資料は28ページに記載してございます。まず意見に関する点は、医行為枠組みに関する意見として、資料番号は、対象が資料2及び3でございます。資料名につきましては、資料全般を通じて。訂正箇所につきましては、「医行為」という表記につきまして、修正として、医師叉は歯科医師の指示のもと、特定行為を実施するとなっており、医行為、歯科行為または医行為(歯科医行為)と記載していただきたいというのが修正案の希望でございます。
その理由でございますが、口腔外科等の現場において、今回提示されている特定行為のうち、看護師と共同して歯科医師が歯科医行為として実施している行為が大多数あるためという点が1点、もう一点は、医行為・歯科医行為とない場合、歯科医師が特定看護師に指示することができなくなってしまうというのが理由でございます。
御検討のほどよろしくお願いいたします。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
では、日本視能訓練士協会から、どうぞよろしくお願いします。
○臼井参考人 よろしくお願いいたします。日本視能訓練士協会の会長をさせていただいております臼井と申します。本日はこのような機会を与えていただきありがとうございます。
私どもの意見は30ページにありまして、眼底検査の実施時期の判断、それと眼底検査の実施ということですが、まず、眼底検査の実施時期の判断、これは提案としては特定行為B2になっておりますが、これは絶対的医行為のAに変更が必要ではないかと考えております。眼底検査自体は医行為でありまして、医師が眼底検査を実施して、その結果に基づいて、次回の眼底検査実施時期を判断すべきものであると考えております。
その理由は、慢性疾患で代表的なものとしては、糖尿病網膜症は眼底検査が必要だと思われますが、新生血管の出現や網膜、硝子体出血のような内科的な治療は内科の治療の効果とは別に眼底出血等が出現することが知られておりまして、それらの予防や治療に関しては眼科医による精密な眼底検査の実施と再診時期、次回の眼底検査実施時期の判断が必要と考えているということがその理由でございます。
それから、眼底検査の実施、これは眼底カメラにて瞳孔を通して眼底を照射撮影することにつきまして、現在はB1またはCになっております。眼底撮影自体は看護師の業務に含まれていると私どもは解釈しておりまして、視能訓練士の場合はその中で業務独占の範囲があるけれども、視能訓練士も散瞳して眼底撮影ができると視能訓練士法でうたわれているのですけれども、そのほかに放射線技師と臨床検査技士は無散瞳で眼底の写真の撮影が、今、可能となっています。この場合には、無散瞳カメラによる撮影なのか、それとも散瞳して行うべきか、明確に判断できかねましたので、もし散瞳して看護師の方が撮影するのであれば、特定行為としてきちんとした教育が必要ではないかと考えました。
以上です。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
それでは、日本診療放射線技師会、よろしくお願いします。
○小川参考人 日本診療放射線技師会の副会長の小川と申します。貴重なお時間ありがとうございます。
このアンケートに関しましては、私たち本会のみならず地方の技師会にも協力してまとめさせてもらいました。簡単に説明させていただきますと、32ページに書いてありますけれども、診療放射線技師が関係する医行為9番、11番、49番は、B2からAという修正評価を出させていただきましたが、これは撮影部位や実施時期の判断は絶対的な医行為という意見が多くて、つまり放射線業務についてはAと医師が行うべきと判断いたしました。
行為ナンバーの17の超音波に関しましては、AまたはB2とさせていただき、これは研修、教育で得られるという判断でさせてもらいました。X線検査は被曝を伴う検査ですから、放射線検査の正当性、線量の最適化、防護の最適化は研修等で対応できるレベルではないと考え、Aとなりました。
我々はチーム医療のための看護師業務に関して、応援、支援、アクセスを踏みたいと考えております。例えば撮影の部位や検査の実施の判断、この「判断」という言葉を「提案」という言葉に置きかえていただければ責任範囲にも含まれ、積極的なチーム医療になると思っております。
放射線検査に関しましても、診療放射線技師に相談いただき、それから、医師に提案いただければ、あるいは医師と看護師と診療放射線技師が三者で一緒に実行すれば、チーム医療という観点からも大いに進められると思います。
今回は、業務実態調査を以前報告させていただきましたが、ある病院のCT室の現状を報告させてもらいますと、その病院は300ベッドぐらいで、急性期なのですが、CTが1台、MRI2台あります。その病院のCT室では造影するかどうか、造影剤に何を使うのか、どのくらいの量を使うのか、どのくらいの速度で注入するかなどの、つまり薬剤の選択、使用量を全部診療放射線技師が決めて実行しております。静脈確保は看護師さんが行っております。検査は技師、接遇は看護師と技師が協力して行っています。装置の性能を知り、患者さんの状態を見ている現場の診療放射線技師が看護師と協力しながら、毎日30件から40件行っております。
このような現状をお話させていただきました。以上です。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
次は日本薬剤師会から、どうぞよろしくお願いします。
○土屋参考人 日本薬剤師会の副会長をしております土屋でございます。本日はこのような御機会をいただきましてありがとうございます。
資料35ページでございますが、当初、別紙2がタイトルが「看護師が実施する薬に関する行為の分類の考え方について」とございましたので、これはきちんと「診療の補助として」ということを明記すべきではないかということと同時に、このワーキングで、常に調剤済みの医薬品についての議論がなされておりますので、調剤済みであることがわかるようにするために、調剤から下に矢印を引っ張ってそれがこの2つに分かれるという形をとりました。このことにつきましては、前回、このワーキングにおいて、川上委員が指摘したと思いますので、その下は、診療の補助として実施する薬に関する行為が明確にわかるようにということで点々で枠を囲んだのでございますが、前回、星委員から、この横幅が広すぎて、これはちゃんと内側にしておくべきではないかという御指摘いただきました。そのとおりかと思いますので、出した意見としては、横を少し狭めるという形になるかと思います。
既にそういった点は前回の資料について反映されておりましたので、あと一点、医行為に関する意見として薬物血中濃度検査の実施時期の判断でございますが、薬物血中濃度というのは結局薬物治療の有効性と有害事象の発生を回避することを目的としておりますので、この実施時期の判断は、本来は医師、薬剤師が行うべきであって、看護師が実施時期の判断を行うことは不適切であると考えておりますので、「B2」であるものを「E」とするという形で意見を出させていただきました。
以上でございます。
○有賀座長 ありがとうございます。
日本薬剤師会の次は、日本理学療法士協会から、よろしくお願いいたします。
○高橋参考人 日本理学療法士協会の高橋です。きょうはありがとうございます。資料は39ページになります。行為番号の56から順に説明させていただきます。
酸素投与の開始・中止・投与量の判断ですけれども、我々、呼吸理学療法を展開するに当たって運動療法が主体になるわけですが、運動誘発性の低酸素血漿というのは結構多くの症例で運動負荷することによってあるわけですけれども、その際にはあらかじめプロトコールといいますか、医師の指示のもとに酸素容量の増量等をやってリスク管理するといったことが一般に行われておりますので、この点を考慮いただきたいということでございます。
2つ目の59番ですけれども、挿管チューブの位置調節ですけれども、これは我々理学療法士が理学療法と全く関係なくて挿管チューブの位置を変更することはございません。ただし、ICUとかで体位交換またはギャッチアップした際には、挿管チューブが深く入り込んだり、または抜けやすくなるといったような事例があって、そういった際にリスク管理上、もちろんずれないような対応をするのですけれども、その際に多少ずれたときにそれなりの対応できるようなことはあってもよいのではないかということでございます。
62番、人工呼吸器モードの設定条件の判断ですけれども、これは人工呼吸器装着下で体位交換、座位、または立位に持っていって離床を促すといったことにチームアプローチとして関与することが多いのですけれども、安静臥床の条件とモードを変更して、そういった離床を進めるためにもそういった全体の意見を統合するような形で持っていったほうがより安全に展開、リスク回避を図られるのではないかということです。また、人工呼吸器やっている際に排痰の手技を行います。この際には我々両手技的に胸郭を押すようなアプローチもございまして、この際には圧、ボリューム、プレッシャー、その辺をコントロールしないとリスクがあるので、これも医師の指示のもとプロトコールに基づいて、そういった圧、量を変えられるような形のほうが望ましいのではないかということです。
64番ウィニングですけれども、これは離床に関しては、理学療法士、運動機能と呼吸機能を主に見ながらやっていくわけですけれども、栄養状態や多くの項目のウィニングには評価が必要だということで他職種が関与する必要が当然あると思います。安全なウィニングを展開する上でも、ぜひプロトコールに基づいて我々も関与できるような形といったものをお願いしたい。
それから、66番のNPPVですが、これも在宅などでもやられていますが、重症な呼吸不全患者は、NPPVから回復に結構時間を要して難事することがあるわけですけれども、回復期などではNPPV装着下に離床、またはADLの改善、場合によっては運動療法などもやるわけですので、そういった際には、先ほどの人工呼吸器のときと同様にモードを少し変えたりといったことは当然出てくるので、その辺も考慮いただきたいと思います。また、ADL 上では食事とかそういったときには当然NPPVは外してADLを回復に向かわせるといったこともやりますので、そういったことも考慮いただければということで書かせていただきました。
よろしくお願いいたします。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
日本理学療法士協会の次は、日本臨床衛生検査技師会からお願い申し上げます。
○小沼参考人 日本臨床衛生検査技師会の小沼でございます。当会のほうは、42ページから資料のほうに記載されております。
当会の総括的な考え方につきましては、42ページに記載のとおりでございますが、私どもが日常の現場で行っている検査でございますけれども、いわゆる検査と言われているものに関しては、検体検査の部分と人間に直接触る生体検査の部分がございます。この両方が今回コメント記載の中に入ってきておりますので、別々に考えますと、私どもはいわゆる保助看法(保健師助産師看護師法)の診療の補助の規定の一部を開放して、その中で臨床検査技師が臨床の業務を行っているのが実態であります。
今回この表にありますような超音波、心電図、頚部エコー、いわゆる画像診断にかかわるような項目については、看護師さんがやることに関しては何ら問題がない中で、臨床検査技師がそれを業務として行っているだけにすぎないということでございます。したがって、あえて看護師さんがこの業務をするとか、しないとか、できるとか、できないと論じるようなものでもないような気がしております。
また、検体検査の一部におきましても、感受性の判断については、特に実施につきましては、判断は医師が行うにしても、実施についてはその検査の過程の中で、みずから判断して次に進めるという行為もございます。
したがって、今回の場合、生理検査におく実施時期の判断については、医師が判断をし、臨床検査技師がその検査を行っているという実態を考えますと、ここに記載のとおりのようにしていただくのが最も好ましいと考えてございます。また、そのほか、検体の採取についても、現状ではさまざまな事例があると思いますが、最初は基本的には本来であれば医師が行うのが好ましいと思っておりますが、ケース・バイ・ケースと考えております。
以上でございます。
○有賀座長 どうもありがとうございます。
日本臨床工学技士会からの御意見をお願い申し上げます。
○川崎参考人 日本臨床工学技士会の川崎でございます。よろしくお願いします。私どもは50ページからでございます。
医行為名の55番、そこから羅列してありますけれども、現実問題、ここでいう55番のACT(活性化凝固時間)の測定の実施時期の判断というのは、既にこの行為自体が非常に一般化しておりまして、あえてここに載せる必要があるのかという内部的な意見がございます。臨床工学技士の日常業務でACTの測定はどの分野でもごく当たり前のようにやられておりまして、ある場合では看護師さんも手がすいていればやっているというのが現場の状況ですので、ここで取り上げる必要はないのではないか。
それから、「一時的ペースメーカー」の操作・管理なのですが、ここでいう管理というのがイメージが非常に漠然としているということがございます。患者さんの管理であれば、当然看護師、ドクター、臨床工学技士も含めて全部見ているわけですけれども、その中であえて管理となると、操作と管理はここでは別扱いで名称で書いてありますので、管理というのは何なのだろうという部分がありますので、その辺も少し明確な表記をしてほしいということがあって、あえて削除すべきであろうということです。
それから、IABPチューブの抜去、これはかなりリスクもあって、後に出血したりということが事例的にございます。そういうことで、これは絶対的に医行為ではなかろうかという判断です。
それから、麻酔の補足説明等に関しましては、これは極めて患者さんの立場からしたら重要なことで、先生からいろいろ説明は受けても、現実どういう場面でどういった機械を使ってということが常に患者さんから質問されます。そういうことがあって、チーム医療として術前に患者さんのところに訪れるというような施設も多くあります。そういうことから特定行為にすべきではないかと思っております。
次に、同じように麻酔に関しては128でも同様です。
136の心肺停止患者への電気的除細動の実施という部分で、これは現行法のところに位置づけとして臨床工学技士法、臨床工学技士の業務指針にうたわれていますので、ここでいう「身体への電気的刺激の負荷」というのが施行令、施行規則に明確にうたわれております。それから、採血であるとか、気体の注入、気体の抜去、採血という行為が特定行為として臨床工学技士法の法令規則に載っておりますので、そういうのも入れてほしいということです。
136は同様です。
52ページ、137になりますけれども、これに関しても、いわゆる急性期医療で行われる場合と普通の血液透析のように慢性の維持透析というのは内容が大きく異なっています。多分この委員会等で検討されているのは救急医療の場面が多いのではないか。慢性の場合は既に包括的な指示で現実チーム医療が成り立っております。あえて一般の慢性の血液透析は除いて、ここでは急性血液浄化という部分でお願いしたいと考えております。現実、この領域ではかなり死亡事故も起きておりますし、そういう面で、これはきちんとしておいたほうがよろしいのではないかということでございます。
次のページに行きまして、教育に関しましても、資料を読ませていただいて、8か月、2年以上のコースという部分で、教育内容の方向づけが大きく異なっているのが不自然であると思われます。いわゆる特定行為を行うに値する教育という部分、特定行為名がありますけれども、いろいろな機械を使ったり、いろんなことを考えますと、例えば医療費に関しての授業がなかったり、もう少し幅広い内容でなければ、この行為には対応できないのではないかというようなことがあります。
先ほど臨床衛生検査技師会からも話が出ましたように、もともとが保助看法の範囲内で私ども働いておりますが、1点違うのは、常に新しい機械が開発されて現場にきます。先ほど言ったペースメーカーの話であるとか、機械関係というのは日進月歩で進んでいますので、それに追従できる現場の看護師であり、臨床工学技士であるという部分ではかなり先を見たような形なりとか、常にどこかの委員会で業務の見直しといいますか、特定行為の追加や見直しをやっていただければと思います。
以上です。
○有賀座長 どうもありがとうございました。それぞれの方たちが、3ないし5分ということをきちんと守っていただいたので、資料1の説明については、おおむねよろしいと思います。藤川先生はまだ届いていませんが、事務局が関連する行為の整理ということで、資料2を出してくださっています。参考人所属団体からの意見に引き続いて、「看護師以外の医療関係職種が関係する行為にかかる整理」ということで資料2ができていると思いますので、説明ください。
○島田看護サービス推進官 それでは、資料2について説明させていただきます。
ただいま御意見について御説明いただいたところでございますけれども、この資料2につきましては、「看護師以外の医療関係職種が関係する行為にかかる整理」ということで資料をつくっております。
まず、この点に関しましてワーキングでも御意見をいただいているところでございまして、その中から2つほど出しております。
各医療関係職種の業務については、それぞれ行為等を切り分けるのではなく、相互に乗り入れをしながら実施することで現場ではうまく行われている、といった御意見をいただいておりました。
そして、看護師以外の医療関係職種が実施できる診療の補助行為について、看護師は実施できるかもしれないが、これらの医療関係職種は専門的内容に特化した教育を受けており、そうした職種が実施すべきなのではないか、といった御意見もいただいておりました。
この後、ディスカッションしていただく際の論点ということでたたき台という形でございますが、示させていただいておりますけれども、看護師以外の医療関係職種の業務のうち「診療の補助」に含まれる行為は、法律上看護師が実施することができるが、各行為については実際の医療現場の状況や場面によって、看護師以外の医療関係職種が行い、必ずしも看護師が行うことにはならないのではないか、といったことを論点としてまとめさせていただきました。
こういった点も御参考にしていただきながら意見交換をしていただければと思います。
以上でございます。
○有賀座長 どうもありがとうございます。資料2によれば、相互乗り入れといった途端に保助看法のみならずに少しプラスアルファの議論が求められる。先ほども日本診療放射線技師会からの意見陳述がありましたように、多面的なものを見ていかなくてはいけないことになるのだと思うのですが、現実は全くそのとおりだということが何となくわかりながら、看護師さんの議論を今までしてきたのですね。
参考人所属団体からの意見をいただいて、資料2をお聞きして、参考人の方たちも含めて、いつものように意見の交換ということなるのだと思います。
○星委員 本当に皆さんありがとうございました。本当は言いたいことが半分ぐらいしか言えてないのではないかと思って心配をしているのですけれども、順番にといいますか、私、2~3気になるのですが、余り一遍に聞くとわけがわからなくなるので、まず、一番最初に救急救命士の方からお話がありまして、遠慮ぎみに挿管のところは、ちゃんとおれたちが勉強した程度にやれよということをおっしゃったのですね。現実に挿管を救急車の中で医師がいないところでやるというところの場面が、有賀先生は得意なのでしょうけれども、どんな指示をして、どんな指示を受けて、具体的に実地でやって見せてくれなくても結構ですけれども、どんなやりとりをしながら挿管に及ぶのか。その結果をどのように医師に報告し、その医師がどのように反応しというようなことの一連のことが、どんなふうなことなのかというのが知りたいのが1つ。
それから、六十何時間と30症例というもので、それは多くの人たちがそれができるようになるのか、実際に挿管の機会はそんなにいっぱいあるのかと思ったりもするのですね。救急隊の配属先によっても違うのだろうと思うのですね。ですからその辺の実際のところをもう少し具体的にお話していただけるとイメージがわいて、六十何時間30症例というものの意味も私理解できるような気がするので、その辺、教えていただけますでしょうか。
○鈴木参考人 有賀先生が御専門なのですが、メディカルコントロールといって、救急救命士の質を担保するために、各地域にメディカルコントロールに敷かれておりまして、大きく分けまして、メディカルコントロールはオンラインのメディカルコントロールとオフラインのメディカルコントロールというものがございまして、厳格にプロトコールが決まっております。そして救急車が現場に行って心肺停止の患者、いわゆるプロトコールに当てはまるような傷病者、我々患者とは言えませんので傷病者といいますが、傷病者に接した場合には、まず電話、オンラインを通して基幹病院である救命センターなり、地域の2次医療機関に携帯電話等を駆使して、状態をバイタル等を送って、そして挿管の許可がその医師から得られれば気管挿管をすると。近年にあってはICTといって、ビデオカメラで写るような安易な、簡単に事故率が少ないようなデバイスもできておりますので、そういったもので進んでいるというような現場であります。
そして、エビデンスなのですが、気管挿管を必ずしもしたから救命率が上がっているという世界的な論文を見てもエビデンスに乏しいこともあるので、必ずしも現場で気管挿管をするというわけではありません。できる限り病院が近ければバックバリューマスクで換気をして、そして医療機関に運ぶというようなことを行っております。
そして、救命士の認定なのですが、3年ごとに再研修をすることになっております。その間に1症例ももし傷病者に遭遇しなければ、その認定が取り消されるということであります。なかなかインフォームドコンセントをとって病院内で気管挿管をできないような地域もありますので、気管挿管の認定。きょうの話から外れますが、薬剤認定というのがまた別にはあるのですが、きょうは気管挿管にフォーカス当てて話したいのですが、なかなか認定されない。ある意味、気管挿管が救命士が乗っている救急車と地域を変えれば乗らない救急車、ある意味、こういったところで命の格差も出ているというのも現実です。この認定を厳格に求めていくとなかなか認定されないというのが現状にあると思います。
○星委員 いい話を聞きました、ありがとうございます。地域ごとに濃淡があるというのは、これから、我々はこの議論をするときも大変重要なことだと思うのですけれども、これは有賀先生に聞いたほうがいいのかもしれませんけれども、3年ごとの見直しというのは、技術的におくれてしまうからとか、あるいは経験がないと、それは3年やらないと勘が鈍るような気がするのですが、その間、シミュレーター使ったり、そういう訓練の機会は当然あるのだと思うのですが、御自身がされているかどうかわかりませんが、自信満々でやられているのですか、それともどきどきしながらやられているのですか。そのあたりのところと、最初のバイタルのチェックといいますか、心肺停止状態だという判断は、具体的に心電図を使ってやられるのですか。それともその他の方法でやるのですか。その2点を教えてください。
○鈴木参考人 まず現場に駆けつけたときは、今、ガイドラインが変わっていまして、いわゆる死線期呼吸、ふだんどおりの呼吸がなければもう心肺停止とみなして、それで行っております。そして、心肺停止症例を疑う場合には除細動で胸部誘導のものを張って心電図波形を確認しますので、一応目で見た所見と機械的な所見の2つをもって心肺停止と判断をしているというのが現状であります。
○有賀座長 先生の質問に追加でいいですか。今、救急救命士の有資格者が全国におられる。しかし、一気に代表としてしゃべるには、消防本部の規模が余りにも違いすぎて話がしづらかったのだと思うのですね。東京などでは、東京消防庁にはたしか220隊ぐらいありましたか。
○鈴木参考人 はい。
○有賀座長 それで、年間の、今、言った心肺停止症例が1万6,000か1万7,000なのですね。ですから、先生、路上での心肺停止もありますけれども、老人施設などで呼ばれたときには心肺停止だったというものも含めて。ですから在宅ももちろんいますけれども、そういう人たちをみんな入れるとそれだけいるのですね。だから全部片っ端から気管挿管しているわけではありませんが、東京消防庁の救急救命士は、そういう意味では事例がかなり多いですね。
消防そのものは、実は市町村単位が1つの塊の単位ですから、少し田園地帯へ行きますと、町村が一部事務組合のような形をとってやっている。北海道とか、それでも住んでいる人の数が少なければ、自動的にそうなってしまいますので、3年間本当にやらないという救急救命士もいるようです。東京では比較的多くの救命士が多くの事例に当たっているということになります。いちがいには言いにくいのでしょうが。
どちらにしても、救急救命士は救急救命士の国家資格を取った後に、今言った訓練をするのですね。学校でももちろんそれらしいことは勉強しますけれども、主に病態生理、気管挿管の意義というようなことに特化した勉強内容があって、シミュレーターを使ったようなことは多分消防学校でやっていると思いますが、極めて具体的には、資格を取った後にやる。ですからアドレナリンの注射もそうですし、今の気管挿管もそうですし、除細動も基本的には学校の中での勉強を経た後にシミュレーターを使いながら現場に出てやっていることになるのだと思います。
○鈴木参考人 救命士なのですが、基本的に民間の教育機関で養成されるものと公的な機関で養成するものがあります。要は6か月で養成される人たちが気管挿管と薬剤認定をもらえるわけですが、教育年限はちょっと外れるかもしれませんが、6か月的な時間でもできてしまうのですから、ある意味、特定行為の看護師に目を向けるなら、すべてやっていただいても構わないのではないか。ですから養成教育の年限を救命士というのは整えないといけないのではないかという思いを持っております。
自信満々かどうかということですが、救急車という場ですから、顔の見える関係にないわけですね。唯一、医療専門職であって、医療機関で働けない職種が救急救命士なのです。顔の見える関係といって、医療機関内に入ると行為ができないというこの場の議論ですけれども、医者から離れていれば行為ができて、医者のそばにいると行為ができないという矛盾が救命士がずっと抱えております。ここの場を解かないとチーム医療の推進はなかなかうまくいかないのではないかというのが1つの私どもの提言でございます。
以上です。
○有賀座長 最後の部分は少しディメンションが違いますので、私は完全に理解していますけれども、ここにおられる方たちが、そういった次元でディスカッションを始めると、また違う話になってしまいますので、それはそれでと思います。
○大滝委員 委員の大滝と申します。特に気管挿管は特定行為の中でも象徴的な事項であるので、本当に重要だと思いますし、大変参考になるお話だと思います。関連して3点伺います。まず修正案のところで、62時限と30例を同じようにという御意見です。62時限の内容について、それまでの教育が看護と違っているともおっしゃいましたので、その点も含めて突き合わせるという、ただ単に時間数と内容を同じにすればいいというものではないという趣旨だと受け取りましたが、その点についての確認が1つ目です。
2つ目は、3年ごとに再研修をなさっているということですが、再研修の内容、どこで、どのような研修をするのか、どの程度具体的に、どんな形で定められているのか教えて下さい。
3点目は、私の聞き違いかもしれませんが、3年間に1例も経験しなければ取り消しになる。
○鈴木参考人 再教育です。
○大滝委員 その再研修を受けられるか、受けられないかについて、それまでの活動内容が何か反映されるのか、確認したいのです。
以上です。
○鈴木参考人 この62時限という時間ですが、一応我々救急救命士の資格を持っている者がこの程度の教育を受けて認定されるので、ぜひとも最低限度はこれぐらいの時間は考えていただきたいということで提言をさせていただいております。
そして再教育ですが、先ほど私誤ったことを言ってしまいまして、認定が取り消されるということではなくて、再教育は3年ごとに行うのですが、それは地域のメディカルコントロールというところで決められておりまして、そこの中で再教育が適切に行われない場合等については気管挿管等の施行の中止についても検討する場合があるぐらいなことが盛り込まれています。ですから場合によっては、先ほど有賀座長がおっしゃいましたように、地域格差が非常にありますので、東京のように心肺停止傷病者に多数遭遇するような救急隊員は、スキルという意味では行為の質の担保ができるでしょうけれども、全く3年間ほとんど気管挿管のデバイスを使わないというような救急隊員もあるということで、一様には話せないような問題であると思います。
(藤川参考人入室)
○大滝委員 済みません、確認ですが、そうすると1例も経験していなくても、3年後に再研修を受ければ資格は更新することができるのでしょうか。
○鈴木参考人 それは地域メディカルコントロール協議会が認めればということです。
○大滝委員 研修の中で評価をするということですか。
○鈴木参考人 中でです。もともとこれは資格ではなくて、都道府県が認証するわけですから、これはある意味、消防機関が定めたルールといってもいいのかもしれません。
○大滝委員 自己規制のようなもの。
○鈴木参考人 そういうことですね。基本的に国家資格があればできるはずなのですが、そういう1つの認定制度を総務省消防庁が敷いたということです。
○大滝委員 ありがとうございました。
○神野委員 ほかの方も含めてですけれども、今、日本救急救命士協会の方と日本作業療法士協会の方がカリキュラムについての御意見いただいたわけで、中村参考人のほうも、どちらかというと、特定医行為としてOT的(Occupational Therapist)なことをやるならば、OTさんに見合うだけの研修を積むべしというような御意見でよろしいのですねということが1点目です。
それから、日本診療放射線技師会のほうで、特定医行為が判断ではなくて、相談や提案ということに関しては私は全面的に賛同いたします。もし、その辺のところで、提案でまずいというまた意見があったときには議論していただきたいと思います。
それから、日本理学療法士協会さんのほうは、これはどちらかというと、今度理学療法士さんの業務さんの業務の拡大をすべしととってよろしいのですか
今、3団体に質問ですけれども、以上でございます。
○高橋参考人 業務の拡大という範疇になるのか、的確には答えられないかもしれないのですけれども、実際呼吸理学療法をやっている場面では、既にチーム医療とチームアプローチの中で、先ほどお話したような内容のことは既にやっているわけですね。勝手に我々がやるのではなくて、その中での指示をいただきながら、場面場面に応じてやっています。
○神野委員 一般の理学療法士さんが、既にここに書いてあるような、ここでBとか言っているような行為についてはもう既にやっている。
○高橋参考人 呼吸を専門とするような分野の方であれば、そういった形で少し携わっている。
○神野委員 そこにはもしかしたら、今現在の一般の看護師さんも一緒に仕事をしていらっしゃるわけですね。
○高橋参考人 そうです。
○神野委員 ありがとうございます。
○川崎参考人 それについては、呼吸ケアチーム加算とか、診療報酬のほうで早くついていますので、チーム医療が進んでいます。臨床工学技士も、酸素濃度とか機械の設定とか、どんどん看護師さんと一緒に既にやられています。
先ほどの話を挿管したり云々という部分で、本当に医療現場でそういった医師以外の人がやって、どの程度救急医療の現場で効果が出るのかという部分の議論というのは今までされておりますでしょうか。
○有賀座長 必要があってやっているということについて、どういうふうに臨床研究の俎上にのせて、やらなかったときよりもやったときのほうがいいといった、そういう論文があるのかという御質問であるとすると、臨床救急医学会などでの議論などによれば、薬剤師さんたちから出たり、看護師さんから出たり、先ほどの救急救命士からの論文が出たりしていますので、そういうのを見ていただければよいと思います。
○川崎参考人 医学的なエビデンスではなくて、医療現場で、例えば挿管しようというときに、ドクターが挿管するときに、例えば看護師さんなり、そこの臨床工学技士なり理学療法士さんが関与して呼吸療法をチーム医療として始めるというときに、医師以外の人がやった場合の治療現場の効果といいますか。
○有賀座長 それは救急救命士による除細動などはどう考えても、世界的に見ても、日本国のデータがほかの国よりもすぐれていると思います。社会復帰率がどんどん上がっているというようなことがありますので、もしここでの議論の言葉を使うのだとすれば、患者さんが、今、やってほしいと。心肺停止の患者さんですからやってほしいとは言いませんが、そういった局面において早速やるということがあるということのほうがよい結果になる。これは間違いないはずなので、除細動についてはそういうものが出ております。
○川崎参考人 同じように、203項目が特定医行為化して看護師さんがどんどんやっていくというような方向づけが医療に効果的であるという部分は前面に出してほしいなと。
○有賀座長 今、言った国からアウトカムというか、臨床治療結果として、どれだけ差があって、その部分がどれだけ寄与しているかという話は極めて難しいかもしれませんが、少なくとも医療者がみずからの責任において、それらの医行為をしていくそのプロセスで、早くやったほうがいいだろうと、そういうようなことがあれば、それはそれでプロフェッショナルな意見としては、私はそれはそれで取り入れるべきだと思っております。
○川崎参考人 理学療法士さんもどんどん参加されることは本当にいいことだと思いますので、そこに先ほどの文章で、医師、看護師等だったのが、看護師、理学療法士等となると、その辺は文言の使い方が。
○有賀座長 それは先ほどのディメンションの違う話が混じるということと、多少接触するかもしれない意見がありますので、余り無理やりにそういうようなところで戦わなくても私はいいのではないかと思いますが、もともと「チーム医療」といった切り口で議論を出発させるときに、看護師さんだけに焦点を当てるのは、ほかの人とも一緒に仕事をしているので、その部分だけを議論するのは極めて無理がある。このことについて私は何年も前から言っている。しかし、そうは言っても保助看法の中での議論をしようと思うとこのような形になるということで、現場からある意味乖離しているような文字面が並ぶのはある程度がまんせざるを得ない。
もう一つ、言いますと、203の項目を切り取りするような形で話を始めました。しかし、その項目が1個だけぽつんとあるわけではなくて、全体の流れとしてあるわけで、全体のダイナミックな流れをどう理解するかによって読み手のばらつきが相当出てくる。だから書き手もばらついているし、読み手もばらついているし、議論するときにも、声のでかい人の話がぐっと引きずるかもしれないという意味においてもばらつくというばらつきが出る。このように大きなばらつきが起こって、大変この話は難しいと言わざるを得ないのですけれども、ただ、1つ、私たちが一致できるのは、現場のイメージを共有すると。例えば、今、救急の現場においてといったときに、恐らくあの現場と思うと思うのですね。あの現場と私の思ってこの現場はそんなにばらばらではないと思いますので、そういう意味では、こちらにいる現場を知っておられる方たちが出てくると議論そのものはそんなに難しいところへ飛んでいってしまうことはないのではないかと私は思っております。よろしいですか。
○川崎参考人 ありがとうございました。
○高橋参考人 先ほどの実際に現場でやっているかということに関してですけれども、若干補足させていただきますと、医療点数で、呼吸ケアチーム加算というのは既にあるのですね。その中には、医師、看護師、臨床工学技士と理学療法士が参入することによって人工呼吸器からの離脱を促進させるようなことが既にうたわれているという現実も考慮していただきたいと思うのですね。
○中村参考人 先ほどの議論と話題が変わりまして、教育について御意見申し上げましたが、これはA、B、Cの項目の中での教育の内容ということで判断しております。例えば作業療法について特定看護師のカリキュラムになって教育区分化していただいて、それで特定看護師の業務範囲としてなるかということに関しましては、専門職団体として3年間、4年間と教育して、そこでプロフェッショナルということをやっているわけですから、少なく指示というのではなくて提案という形に多分なるかと思います。
そこの中で言いたかったのは、業務の切り分けをどう切り分けするかというところは、全体が集まって確認したわけではありませんので、事リハに関しましては、既にカンファレンスというのが日常的に行われてチーム医療は既に実施されています。指示ということではなくてカンファレンスという場でそれぞれ専門職が意見を言い合って、目標を確認し、やることを確認しておりますので、そういう意味では特定看護師制度というのがリハの中でどういう機能をするかというのは非常に疑問を感じておりまして、そういうところでも、この制度がリハの中でどのように機能するかということを再度検討していかなくてはいけないのではないかと御提案でございます。よろしいでしょうか。
○有賀座長 そういう意味では、すべての職種に関して、今と全く同じ議論ができますね。この専門職能団体と新しい機能が病院の中にもし付与されるとすればどういう関係か。それは私たち業界筋の話であって、基本的には患者さんが前にあって、したがって、こういうふうな状況になっているということがありますから、それも含めてもう一つ輪を広げて議論しないと多分いけないだろう。
それから、3年ないし4年の教育は、教育されてそのままぽんと、例えば昭和大学病院に来たときに、早速すべてできる、そういう意味でのプロフェッショナルかというと必ずしもそうでなくて、若手とベテランとが相互に関与しながら若手が育っていくではないですか。そういう意味では、今、言った年限というのは非常に重要ですけれども、特定看護師さんと呼ばれる人たちも仕事ができるようになるためには、そういう意味での卒後の勉強が大事だといった議論がここでは結構ありますので、それも理解してください。
○中村参考人 よく理解しています。だからこそ、職種がどういう役割をするかというのをはっきり、ある程度絵をかいたほうがいいのではないか。そういう議論があって、その上でこれがあるべきだと考えます。
○有賀座長 それは職能団体の固有の議論ということが多分あると思いますので、そういう意味では、また、こういうふうな機会で言っていただくというのがいいのではないかと思います。
とりあえず一段落でいいですか。いいですね。なぜかというと、藤川先生に御発言頂きたい。アイウエオでいくと1番だったのです。
○前原委員 先生、いいですか。
○有賀座長 はい。
○前原委員 ありがとうございます、皆さんのお話しをお聞きして非常に勉強になりました。川崎参考人がおっしゃられたことは、私の理解からすると、チーム医療を前進させるという方向での発言だろうと思いますけれども、特定看護師というのは、まだ日本ではできておりませんし、それのエビデンスというか、アウトカムはまだ出てきていませんので、日本でのデータはないのだろうと思いますけれども、欧米というと、藤川先生が嫌がってしまうのかもしれませんけれども、欧米のNP・PAの制度、中間職種の人たちが医療的なことを勉強し、技術を持った人が、その場でタイムリー、シームレスな医療行為をすればアウトカムとしては非常に患者さんにとっても、医療の質も上がるという、そういうペーパーはたくさんあります。もう山ほどあります。調べてみればあると思います。日本ではまだないということだと思います。
以上です。
○有賀座長 それでは、藤川先生、参考人所属団体からの提出意見のイの1番が日本医師会だったのであります。よろしくお願いします。
○藤川参考人 どうも遅参しまして、本日は火曜日で、私たち日本医師会、ちょうど役員会の定例の日ですので、都道府県医師会長会議を抜け出して、私の答弁が終わりましたので、今、参りました。
お手元の資料に、日本医師会の考え方は提出をさせていただいておりますが、日本医師会のまず立ち位置をどこに置くかということですが、我々は医師ですので、あくまでも根拠になるのは医師法でございます。医師法は刑法の中にありますが、その医師法に基づいて我々は医療・医業をやるわけですが、そのときにあくまでも医師法に基づいて、医学教育を受ける医学部で教育を受けて、そして卒業して国家試験を通って、今、研修医制度、非常に弾力的に検討しておりますが、研修医制度を通じて、そして専門医制度も、今、議論をしてきましたけれども、専門医の問題をクリアして、患者さんに対して、日本として最高の医療を提供するということが、我々日本医師会の立場であろうというスタンスで動いております。
ここに「タスク・シフティング」の情報を持ってきていますが、以前、日本医師会として、明日また親会議がありますけれども、親会議に出しました資料の中の一部を持ってきまして、いわゆる、今、議論されていることはどういう位置づけで議論をされているのか。タスク・シフティングとは「医行為の一部の他の職種への委譲」という表現になっております。
背景として、WHOが医療人材不足を部分的に解決する手段として提唱したものであって、突然日本看護協会から起こったわけでもなし、突然厚労省から起こったわけでもないということですね。世界的に注目されるようになった一つの要因は、アフリカにおけるHIV/AIDSの流行です。国によってはHIV陽性者の割合が人口の20%に達し、多くの医業従事者が自身もAIDSが原因で死亡しております。国家規模のダメージを受けて、医師だけによるHIV陽性者の診断や治療が困難になり、看護師等に医療行為を任せざるを得ない状況が生じたということです。
一方、先ほど欧米とありましたが、日本医師会はイギリスもアメリカも非常に仲よくしております。例えば『ランセット』にしても、武見敬三氏が日本の『ランセット』の代表責任者になっておりますように、我々日本医師会としてもハーバードの武見講座を持っていますので、日米、日英とも非常に医療界でも仲よくしていますので、前原先生の先ほどの言葉は否定していただきたいと思います。
欧米でもナース・プラクティショナーの職務が拡大されるようになってきた。こうした世界の流れの中で、日本でも看護師等の職務拡大が主張されるようになり、「タスク・シフティング」の課題が取り上げられた。これが、いわゆる今議論されているところの背景でございます。
裏を見ていただきますと、世界医師会において、「タスク・シフティング」に関する決議を行っております。2009年10月、世界医師会ニューデリー総会の採択です。
世界医師会として、「タスク・シフティング」という医行為の委譲の概念を容易に加盟各国に適用することはできない立場であることを明確にした上で、何を目的としてタスク・シフティングが行われるかを検討し、適切な医療の確保はどうあるべきかについて述べた文書を採択しております。
また、「タスク・シフティングと医療の継続的発展のための戦略に関するアジア大洋州医師会連合(CMAAO)特別委員会において、2011年3月、世界保健機構(WHO)やWMA(世界医師会)より発表されている「タスク・シフティング」の概念をアジア大洋州の医師会連合として審議するためのCMAAOは東京にて総会を開催し、「タスク・シフティングを医療人員不足の最終的な解決解決策としない」、いわゆる非常事態、緊急性、救急のとき、災害時のときには活用していいということです。「業務委譲は技術領域に限定し、診断及び処方等の知識集約的業務(いわゆる医学的知識を要するもの)に拡大しないこと」、これは医療安全のため、医療の質を落とさないためです。「政府はタスク・シフティングを費用削減の方法と見なさいこと」、いわゆる医療費削減、経済的に苦しいからタスク・シフティングをして医師がすべきことを看護師やほかの業種にどんどん下げていくことはだめですよということで、8つの勧告を含む東京声明を取りまとめ、11月に台湾で行われた総会でCMAAO声明として採択された。
これが我々日本医師会の立ち位置としての、日本の医療安全を保ち、日本をトップレベルの医療レベルを保って、そして患者さんに対して、患者のためになるオーダーメードの医療をしようというスタンスですので、これを御理解いただいて、ここのワーキングでもしっかり議論をしていただきたい。一応、あしたの親会議でも、それに基づいて発言をさせていただきたいというのが、きょうの私の日本医師会としての立場です。
以上です。
○有賀座長 どうもありがとうございました。
ということで、参考人所属団体からの提出意見が全部出そろったところで、引き続き、まだ意見を言っておられない、どうぞ。
○星委員 ちょっと教えてほしいのです。日本臨床衛生検査技師会の方だと思うのですが、保助看法云々といって、例えば頚動脈超音波とか何とかといろいろありますね。腹部超音波の実施のところで、「保助看法の範疇で」云々と書いてあって、「但し、実施者の技能は専門学会が行っている認定制度で担保されることが好ましい」というのが何度も何度も出てくるのですが、この専門学会が行っている認定制度、私、事務局に調べてくれというと、木で鼻を括ったような話しか出てこないのですが、具体的にどういう団体が、どんな目的で、どういうレベルの、あるいはどんな方法で認定をしているのか。それに受かるためには、卒業したてでだめなのはもちろんですけれども、どのぐらいの要求度でやっているのかを余り時間もないので簡潔に教えていただけるとありがたいのですけれども。
○小沼参考人 お答えいたします。今、超音波に限ってのお話だったのですが、超音波は日本超音波医学会というところが超音波の認定制度を行っております。したがって、臨床検査衛生技師、看護師でも放射線技師でも御自身で取れる自信があれば、これは取っていただいていることだと思うのですが、それを評価するという意味ではどうしても認定制度に受かるとか、受からないとかということで論議されますので、皆さんそれは受けるようです。それが日本超音波医学会が行っている認定制度です。
部署部署に分かれていまして、腹部、表在、下腹部とか分かれていますけれども、勉強の程度に関しては、私は実はそのライセンスを持っていませんので、詳細についてはわからないのですが、なかなか熱心に勉強しているようでございます。ただ、これは実際のところ実技は試験にはないのです。ないのですが、そこに至るまでの間に「ハンズオン」というような研修会を数十回にわたり受けて、そして受けているというのが現状でございます。
○星委員 持っている人がいたらうれしかったのですけれども、私が前から主張していることの1つに、そういう技術的な訓練については、所属する学会といいますか、学会が、これは看護師さんでもいいし、検査技師さんでも放射線技師さんでもいいのですね。保助看法で許されている人たちがその学会を構成しているのですか、医師も含めて。
○小沼参考人 その構成は医師ですね。医師が構成していて、超音波検査士も入っているというところだと思います。
○星委員 ある種の自分たちの認証制度を持っていると理解してもいいのですね。
○小沼参考人 超音波に関してはそのように判断していただければいいです。
○星委員 ありがとうございます。
○有賀座長 星先生、多くのナースにしても、ほかのコメディカルスタッフにしても、何らかの業界の中での認定というか、専門というようなときには関係する医学の学術団体と一緒にやるということがしばしば行われている。直近では、私、薬剤師さんの救急認定薬剤師さんというものに携わったのですけれども、そのときには病院薬剤師会と医師や薬剤師も入っている臨床救急医学会という2つの団体が議論して、そして仕組みをつくっていった。多分AIDS、感染症、幾つかの薬剤師さんたちの団体も多分同じような形をとっているのではないかと思うのですけれども。
○土屋参考人 学会と直接やっているのはがんの専門薬剤師は医療薬学会でございまして、あとは日本病院薬剤師会のほうで関係学会と連携をとりながら、精神科領域、妊婦・授乳婦とか、そういったような各種の認定制度を持っております。
○星委員 そういう意味では、それぞれの分野の専門性を基礎教育で学び、特別な分野といいますか、それの研さんを重ねて、座学なども含め、講習を受けたり、ハンズオンをやったり、実技をやったりして、どうやってそれを確認するかは別ですけれども、それなりの時間と手間と経験を重ねていく。ただ単に経験を重ねて、あなた、偉いね、と言っただけではなくて、ある種のハードルを超えて、皆さん自分たちのある種の専門領域としてお持ちで、誇りを持ってやっていらっしゃるのだと思うのですね。それがまさに今の現場の姿だろうと思いますし、前々から言っている、そういうものの認定のそういう団体のやっていることは尊重すべきだし、既にやられていることをベースに考えるべきだと思っていて、先ほどのエコーの例が非常にわかりやすかったのであえて言ったのですけれども、今、おっしゃったようなことが、今、我々が進めようとしている議論が、そういうものをテーブルの上からバタバタッと落として、いやいや、これからは特定何とかとか、あるいは認定何とかなんだというようなことを言うのは、いかにも私としてはもどかしいというか、話を反対にしてしまうような、つまりせっかくできかかったチーム医療を壊してしまうのではないかという思いを持って、今の質問させていただきましたし、土屋先生おっしゃるように、非常にナローなバンドかもしれませんが、そこをずんと突き進んでいる先人の人たちがいるということは強く認識すべきだと改めて思いました。
○有賀座長 ここでは保助看法の話を俎上に上げているわけですけれども、今のくだんの、例えば検査技師さんたちがエコーをやるといったときに、肝臓腫瘍をエコーで描出しようと思うと、お薬をぽたぽた落とすというふうなことをして、エコーの画像を得るということがあるときには、昭和大学では医師が法律に従ってぽたぽた落としてはいますけれども、しかし、地域によっては、技師さんがぽたぽたと落とさざるを得ないという状況がある。診療放射線技師さんたちも、造影剤に関して、体内に注入するといったことに関して、そのようなことを、先ほどの話ではありませんが、せざるを得ないということがあるので、ある意味、余計な法律があるからそうなっているという言い方もあるわけですね。
星先生がおっしゃるのと同じ目線で考えたときに、そういった法律があるのでちょっとグレーになってしまった。大手を振ってはなかなか言えない。だけど、患者さんのためにはそれがあるということで、この議論が実は起こっているということも私たちは知っているわけですね。
法に抵触するようなことにもしなるのだとすれば、それは行政がそれなりのイニシアチブをとって先へ進めなければいけないのかもしれないし、もっと言うと、保助看法とかそういうのは一切なくしてしまえという話だってあるかもしれない。ただ、そこは秩序の国ですから、日本医師会が言うみたいに、そういう人員が足りないからやるとか、そういう問題ではなくて、患者さんにとって、今、必要だということであれば、どうやるかという話になっていくのだろうと思うのですね。微妙な問題に関してどうするかということが避けて通れないというようなことがあって、ここまで来ているのですね。前原先生も恐らくそういった意見で言ってきているのだとは思います。
○前原委員 いいですか、名前言われたので。日本臨床衛生検査技師会の方が専門的なことをやっていることに関しては何もそれを否定しようと思ってチーム医療の会を開いているわけではなくて、それはそれで立派にやられていて、チーム医療としても活躍しているわけですけれども、ここで言っている「特定看護師」という名前を、それをどう業務拡大していくのか、どういう特定行為をしていくのかといったときに、看護師さん、保助看法でやられるからやっているといっても、非常に専門的な知識ですからできないでしょう。だけれども、患者さんを評価し診断するに当たっては救急でも腹部エコーは必要なときもあるだろうし、そして在宅でも、ある場面では必要でしょうし、外科でも内科でも特定看護師さんがそういうことをやることに対しては、そういうものは認定の検査技師さんから習って、その技量を高めていくということをやろうとしているところで特定行為と上がっているのですね。また、目指す方向が違うわけなので、うまく言えませんけれども、特定看護師さんが技量としてそれを学ぶのであれば、相当の訓練と、今、検査技師さんがやっている認定のレベルを超えていかなければいけないのだろうと思っています。
それをいきなり2年間の特定看護師のコースで腹部エコー、心臓のエコー全部できる、そんなことはありませんで、どういう機序で、どういうふうになっていて、どういうときには有効なのかというところを勉強していただいて、特定看護師になるのだったら、救急で腹部のエコーをもっとスペシファイして勉強していく。それは各学会がもちろんやっているので、何もそこで、その組織というか、その制度を壊すわけでもなければ何でもないと私は理解していますので、星先生もそのように理解していただければありがたい。
○神野委員 きょうのお話伺って、最後に川崎参考人がおっしゃったように、日本の医療は技術も知識もどんどん進歩している中で、皆さんが患者さんのために、あるいは日本の医療のために前向きに業務拡大をもう既に行っているというふうなプレゼンテーションがいっぱいあったのではないかと思うのですね。しかも、それは医師の具体的な指示と個々の患者さんに対する具体的なプロトコールというものがあって、それに伴って各職種の方がチーム医療としてやっていると理解したわけです。
その中で、今、ここでの議論は、29回も何やっているのだという話になるかもしれないけれども、看護の分野にだけ今の保助看法の特定の枠をつくるという話があるわけです。しかし、皆様方が、特定薬剤師とか特定理学療法士、特定作業療法士をつくれとおっしゃるのか、それとも我々はそれは主張しないから、看護のほうも主張するなというのか、どちら向きなのでしょうか。
○藤川参考人 チーム医療の根本は、自分たちが与えられた国家資格を卒業してから、生涯教育も含めて専門特化していくわけですけれども、匠にならなくてはいけないのですね。プロフェッショナル・オートノミーで、自分たちの与えられたところの仕事をしっかりほかの業種から頼まれたときに100点満点の仕事ができると。麻酔をかけるなら麻酔をかけるし、リハビリ頼んだらリハビリがきちんとできるというところに信頼関係があってチーム医療が成り立つわけですから、ほかの業種にどんどん入り込んでいくことがチーム医療ではなくて、そこのいわゆるコーディネートをするのはもちろん責任を最終的にとる指示を出す医師ですけれども、そこは任せられる、この人なら任せられるという風度の高い職種がそろったところで、初めて高度なチーム医療ができるわけですから、まず自分の分野をしっかり、プロフェッショナリズムを高めていくというのが原点ではないかと思います。
○有賀座長 同じ議論がぐるぐる回っても仕方ないので、資料3というのがあります。今、たまたま先生が具体的な指示とかいう話が出たので、もう一回、包括的な指示、つまりそれぞれの職種が、それぞれの専門性を高めることがチーム医療の原点ということになりますが、それを高めるためには混ざり合って仕事をするというのが1つのポイントであるというのはどの職種も大体わかっているわけですね。混ざり合ったときに多少の乗り合いが起こるということもどうも本当らしいと。その部分で余りのひどい乗り合いは法律に抵触するだろうということがあることも間違いない。
その中で出てきた看護師さんに関する限り、救急救命士にも包括的指示というのはありますので、私と鈴木さんは、多分ここで一番この件については違和感なく理解していると思いますが、包括的指示も人によって少し理解に差がある可能性があるので、事務局が少しまとめてプレゼンテーションをするための資料をまたつくっていただきました。これを説明していただけますか。
○山本医事課長補佐 それでは、資料3に基づきまして「包括的指示・具体的指示が行われてから診療の補助が行われるまでの流れについて(案)」について御説明をさせていただければと思います。
座長からお話ありましたとおりで、試案を示させていただき、そこで具体的指示・包括的指示という文言が出ておりましたけれども、医療現場の指示の系統、包括性、具体性というのはグラデーションがあり、どこかで1つ切ることはなかなか難しいところがあろうかと思いますけれども、そうした中でも包括的に行おうという場合は一体どういうものなのかという共通の理解を醸成していくために資料を作成させていただいております。
それでは、資料を見ていただければと思います。
包括的指示が行われる場合には、事前にプロトコールに基づいて診療の補助を実施すると。
その包括的な指示が成立することにつきましては、?どういった患者にそのプロトコールが適用されているかというところが明確にされていること。どの患者にこれが使われているかということがわからないということではないということが1つ大きい前提になろうかと思っております。
次に?として、プロトコールの中ではどういった状態になれば、その次にどういった内容をやるか。その内容が指示を受ける看護師が理解しうる程度の内容として指示が明示されていることが重要であると考えております。
その上で、そうした対応可能な範囲を逸脱した場合には、早急に医師に連絡をとるなり、その指示が受けられる体制が整えられていることが実際に包括的指示を行っていく上での前提ではないかと考えております。
その上で、3つ目の「○」でございますけれども、包括的指示を受けた看護師は、?で特定した患者に対し、?の病態の範囲に合致しているかを確認した上でプロトコールに基づき診療の補助を実施するか、また、改めて指示を求めるのかということを判断していくことになるのではと考えております。
その一方で、具体的な指示を受ける看護師は、当然個別の対象となる患者が特定されることは当然でございますけれども、個別具体的に、医師が病態を確認する中で個々の指示を受けているというものではないかと考えております。
最後のところが、本日のワーキングと特に関係することかと思いますけれども、チーム医療という形を行っていく中では、看護師が病態の確認を行った上で、他の職種と連携しながら、実際に医療が行われる場合もあると考えております。
それを表であらわしたものが次のページになっておりますので、そちらをごらんいただければと思います。
一番上のところが、いわゆる包括的指示をイメージしたもので、赤の部分が、医師がプロトコールを示した上で指示をするという形でございます。例えばなのですけれども、発熱時に何らかの行為を実施するですとか、呼吸困難状態になれば、どういう行為を実施するというところが赤の部分で示された上で、その示された状態に合致するかどうかを、青の部分で看護師が確認をした上で、具体的に検査や採血ということを実施するという形で行われるものが基本的には包括的指示ではないか。
その一方で、病態の確認までを医師が行ってしまうというのが中段ではないかと思っておりまして、青の部分を赤で囲っているのがまさにそういうところでございます。病態の確認をした上で、個別の行為を看護師に指示をしていくのが中段でございまして、同一の行為でありましても、発熱でしたり、呼吸状態の変化のようなものを医師が確認して、個別に行っていく場合には、具体的指示で、中段になりますけれども、事前にプロトコールで示した範囲を示した上でその病態が当てはまっているかどうかを看護師が確認した上で行っていくものが包括的指示になるのではと考えております。
一番下の部分が、他職種との連携のところでございまして、今、お話させていただきましたような病態の変化を看護師が確認した上で、さまざまな例えばX線ですとか、他職種の方が実施されるものもあると思っていまして、これまでのワーキングで議論していただいたものの包括性・具体性については、こうした形でまとめられるのではないかと思っておりまして、一応整理として示させていただいております。こうした考え方で整理をしていくことについて、ぜひ御議論いただければと思っております。
以上でございます。
○有賀座長 ありがとうございます。一番下の流れについては、看護師さんが患者さんの病態を確認すると。報告した上で、医師叉は歯科医師による指示のもとで、他の医療職種が診療の補助に該当することをやりますという話ですね。
○山本医事課長補佐 はい。
○有賀座長 つまり黄色は看護師さんがやる診療の補助ですけれども、緑は他の医療職種がやるので色違いと、そういうことでいいのですね。
○山本医事課長補佐 はい、そうでございます。1点、補足させていただければと思っていまして、矢印がそのまま右に流れていく場合と、青に行った後、戻った上で行く場合があろうかと思っておりまして、これは指示の仕方として、先ほど前提条件を与えた上で、個別の医師に戻らずに、当てはまっていれば、他職種のほうにその指示が伝達されて行われる場合と、状態に応じて、再度医師に確認をした上で緑のほうに行く場合と両方あろうと思っていまして、そういう意味で、最後の下のところは2つの流れを示させていただいております。
○有賀座長 ですからちょっとしつこいですけれども、プロトコールに規定された病態の範囲であるということでありますと、他の医療職種が診療の補助の実施という緑をするに当たっても、医師又は歯科医師による指示というふうな基本骨格については変わらないですね。
○山本医事課長補佐 まさにそのとおりでございます。
○有賀座長 そういう意味では、青から緑に行くときにも、赤で全体を囲むことは多分ないとは思うのですが、ピンクっぽいような景色もないわけではないと、こういう話ですね。
○山本医事課長補佐 はい。
○有賀座長 つまりグラデーションがありますので、私が言ったピンクっぽいというのは、これは白ですけれども、ピンクっぽいこともあってもいいのではないかという。
○星委員 有賀先生が一生懸命事務局をかばおうとしているのはよくわかるのですけれども、この話はそうではありません。ここに書いてあることは、看護師が判断して、看護師が他の職種に指示をするということですよ。私はそういうふうにこれは読みます。有賀先生はそうではないと読んでいますけれども。
○有賀座長 グラデーションがあると言っているだけです。
○星委員 グラデーションはいいんですけれども、どちらが本筋かといえば。
○有賀座長 どちらが本筋かといえば、私が言っているほうが本筋に決まっています。
○星委員 いやいや、先生がおっしゃるのは本筋ではない。私が申し上げたいのは、ここで議論すべき、先生が一生懸命、1回医者に戻るよね、と言っている話はまさにそこで、それがとても大切なこと。この場合に、最初に病態を確認を行うというのが必ずしも看護師でないということも、みんなちゃんとわかっているはずなのですが、こう書いてしまうと、すごく平面的に見えて、右への流れということのほうが本筋に見えてしまうので、先生も一生懸命、そうではないよね、とおっしゃっていることもよくわかるのですが、私はこういうことがそう見えるということ自体に問題があると思います。他職種の話をここに、もし、3番目の最後のところに書くのだとすれば、もう少し丁寧に、他職種が直接指示を受けて、そして自分たちが指示を受けた病態のプロトコール、これは包括的な場合ももちろんあるわけですから、そのプロトコールから逸脱したときに、医師に相談をしたり、看護師に相談したりという話だってもちろんあるわけで、その意味でこの矢印の向きようと、3番目のこの絵については、私は到底承服がいかないというか、もし示そうとしていることが、有賀先生がおっしゃるような内容だとすれば、この図式とその前のページの説明の文章は全くその筋を示していないと私には感じられるので、全く書き直すべきだと思います。書き直すというか、訂正すべきだと思っています。
それはいいです。これは言っておかなければいけないことなのですが、結局包括的な指示を受けられるということは、要は病態の確認ができるということを指すのであるとすれば、それは病態の確認ができる包括的指示を受ける人が、例えば特定行為に関していえば、ある一定の指定した研修を受けなければいけないという形にするとすれば、これはかなり難しい話になると私は思います。かなり難しいというのは、これは看護師さんの話からちょっと離れていくと、例えば、先ほど包括的な指示を医者が出して、みんなで呼吸器リハをするという話が出ていました。それはだれが、だれに指示をしたりというような風景ではきっとなくて、医師からの指示を包括的にみんなが受けて、そして包括的な指示の範囲でそれぞれの専門性を生かしながら、呼吸器リハをやっていくという風景だと思います。実際、私も見ています。
ですから、そういうことを考えたときに、こういう一方的に、例えば包括的な指示を受けられるという人の範囲を決めてしまうような、つまり包括的な指示は、この範囲の人しかできないというようなことを決めてしまうという考え方そのものに私は矛盾を感じざるを得ません。
したがって、この話、きょう皆さんに来ていただいたのはとてもいい話だと思っています。看護師から指示を受けるのは気に入らないとか、そういう精神論というか、感情論ではなくて、みんなが実際にそれぞれの専門職が、ある種、医師の包括的な指示を受け、病態や患者さんの状況を確認しながら、医師と相談をしながらいろんな補助の行為や薬剤の行為をしているという現実を我々はみんな共通の認識として持つべきだと思いますし、それを前提に、特定の行為というものが本当にあるのだとすれば、どういうことなのかというのを包括的指示と具体的な指示だけで切り分けられない、もう一次元のディメンションをもう少し明確にすることで、皆さんが思っている風景、皆さんが感じている不安ということを軽減できるのではないかと思うのですね。
ですから、そのことをもう少し丁寧にしないで、包括的指示・具体的指示のきれいな紙にまとめて色違いにしてくれるのもいいですけれども、これをまとめようと思ったときに、こういう間違いというか、意図としているのかもしれませんけれども、こういうふうな、みんな顔色変わりましたからね。そういうようなことを私はされるのは、とても、こちら 側に立っているわけですから、先生横からですけれども、私は正面ですから見えるわけで、この包括的指示ということが看護師に伝わって、それがあたかも、その他の関係職種に伝えられるような誤解を受けるような議論を私たちはしてはいけないと思います。
○有賀座長 してこなかった。どうぞ。
○山本医事課長補佐 星先生、先ほどの御指摘で、当然赤から緑だけのものが当然看護師に対して中段のようなものがあるということは我々も承知しておりますけれども、これは看護ワーキングなもので、そういう焦点で資料をおつけしている、そこは御容赦いただければと思っております。
以上でございます。
○川崎参考人 臨床工学技士の場合に限ってなのですけれども、これは話しておいたほうがいいかなと思います。臨床工学技士法そのものが包括的な指示と具体的な指示というのが明確に政省令で決まっています。危なくない、プロトコールで決まっているようなことは包括的指示、リスクの高い部分、例えば患者に電気的刺激を与えるとか、採血するとか、気体を記入する、そういうリスクの高いものに関しては、その都度、具体的な指示をドクターにいただきなさいというのが臨床工学技士のスタンスです。ですから考え方によっては、この包括的指示というものの考え方とは基本的には違っています。
あと、この色分けの問題もちょっとあるのですけれども、例えば臨床工学技士が治療していて、患者の状態を把握しています。そのときにいろんな病態の確認をして、先生に言って、また、それから指示が出ます。そういうのは当たり前のようにやっています。ですから、今言った、赤からブルーに行って、グリーンに行くとか、そういう形はもう少し柔軟に考えていただかないといけないかなと思います。
○臼井参考人 眼科的に言いますと、眼科の場合は、我々視能訓練士がほかの科の先生方がなさっているようなことを一切やるのですね。ですから眼科の場合は、患者さんがいらっしゃると、まず視能訓練士がいろんな検査をするということになって、その後に治療のところに看護師さんが加わるというような立場もあるので、そのあたり、各科、各科という部分も考慮いただいたほうがいいのではないかということを、今回のいろいろな資料を拝見して思いました。
あと、もう一つ、これは眼科医会に相談してこちらに参った事情もあるのですけれども、眼科医会とか眼科学会もこういう場に呼んでいただきたかったというのを先生方がおっしゃっておりまして、医師会が代弁していただいているという部分はありますけれども、こちらの意見提出団体とか、そこを拝見しても、そういう部分がある程度偏っているような部分もあるのかなというところは、弱小のグループというところもありますが、お話しさせていただきたいと思います。済みません。
○真田委員 先ほど発言できなかったのですけれども、今回来ていただいた参考人の方々、おおむね看護師が行う特定行為に関しましてご理解いただいているし、かつ非常に強力なチーム医療がこれで実践できるのかと思うと大変うれしい思いをして聞かせていただきました。ありがとうございます。
今、包括的指示・具体的指示のお話になっておりますけれども、私、これを見まして28回の検討の中で、1番、包括的指示が行われる場合の流れ、これがまさに今まで検討してきた内容ではないかと思っております。プロトコールに基づいて、そして、何が今まで議論されたか、包括的指示と具体的指示両方混ざる場合が多いのではないかと言われてきた場合、そこに看護師による患者の病態を確認ができると、このことが今までの議論の大枠であったような気がして、この流れに関しましては大変理解もできますし、おおむねここで今まで議論してきましたB1、B2が該当するのではないかと思っております。これは私の意見です。
あと、先ほどから検討されている一番下の項目に関しましては、もう一度検討も可能かと伺いました。
以上です。
○有賀座長 ありがとうございます。どうぞ。
○英委員 済みません、藤川参考人にぜひ伺いたいというか、教えていただきたいのですが、「タスク・シフティング」の考え方は大変整理されていて、こういう基盤がもともとあって、こういった議論、こういった自制が起こってきているのだということをよく理解できました。また、先生が2ページの赤で囲まれたところが多分日本医師会としての判断基準ということで、業務について言うと、診断及び処方等の知識集約的な業務には拡大しないということで、技術領域に限定すべきだということで、先生がこの実際の具体的な修正案をそれぞれ出されていらっしゃるのではないかと思うのですね。かなり審議されたところも多くあって、このあたり、私はある意味、我が意を得たりみたいなところがあるのですけれども、一方で判断について、ことごとく、先生は提案という形に修正すべきではないかといった御提案だと思うのですけれども、もし今の議論を踏まえると、例えばプロトコールが既にあった中で、共通の患者さんが来て、余り病態がひどくない人で、その場合にはプライマリーな看護師の判断で、心電図やって採血やってという判断、これはあくまでプロトコールの中での判断ということになりますけれども、その際も提案という形をとるべきだという先生は御提案ということでしょうか。
○藤川参考人 我々が言っているのは、あくまでも診療の補助として、一般の看護師がプロトコールを十分理解できると。一般の看護師でもできる安全な行為はプロトコールに基づいてやっていいのですよ。心電図をとるにしても、乳児一般検査の術前検査をするにしても、あくまでも一般の看護師のスタンダードな標準レベルを上げることによって地域医療は成り立っていくと。それを一部のところで、一部の看護師だけやったからといって、全国のチーム医療のレベルが上がるわけではないわけですから、一番大事なのは、あくまでも医師が具体的指示も包括的指示も出します。しかし実際、現実に包括的指示出すときも、実際は具体的指示を出さざるを得ないのですね。いろんな合併症があるわけですから、プロトコール内におさまらないのが圧倒的なのですよ。だから患者さんにオーダーメードの治療をするというのが今の現場でも標準的な考え方ですから、それをするときには、当然一般の看護師ができる範囲は包括的指示のもとでさせていいのですよ。しかし、それを超えるところ、ないしは侵襲性のあるところはきちんと医師が行うと。
そこで、今、技術的というのは、ここに来られている専門分野の国家資格を持った人たちが1つの技術屋さんなわけですね。特定行為ができるように、国家資格でトレーニングをされたリハビリ師であれ、呼吸器リハビリであれ、眼科の検査技師であり、その中でも特化した人たちが専門タスク・シフティングで国家資格として認めてきているわけですよ。その大枠の流れを、世界的な流れ、日本の今までのスタンダードの流れをぶち壊す意味があるのかと。何でかというと、世界でトップレベルの医療結果を出している皆保険制度という制度だけではなくて、チーム医療の中でもすばらしい結果を出しているときに壊す必要があるのかというのが、我々のいわゆる診断処方というのは、薬剤師さんが処方を考えたとしても、処方せんは切れないわけです。あくまでも処方の提案をして、医師とチーム医療として、この患者さんに対して、こういうがんの治療をするときに抗がん剤の新しいのはどういう副作用があるか、カンファレンスを実際やるわけです。薬剤師の意見はどうですか。我々がんの専門医はこう思いますよ。地域ではこう考えています。どうしますかと、現実にカンファレンスしますね。そのときにすばらしいプロフェッショナルとしての薬剤師は意見を述べなければいけない。しかし、最終的に決断をするのは、この治療で行こう、この患者さんにこの方法でやろうというのは医師がすべきですよということがここに書いてあると。
○英委員 一般の看護師の底上げというのは、まさにそのほうが現場でのチーム医療を推進するのに有効性が高いと私ども大変認識するところなのですけれども、ただ、一方で、かなり行為的に難しいというか、従来の看護教育の中だけでは賄いきれなかった部分の特定行為をもしプロトコールに基づいて行うとしたら、そういった必要性はあるのではないかというのが議論の前提ではあると思うんです、こちらでの。そういったときに、例えば1個1個の提案という形なのか、それともプロトコールに基づいて、ある程度判断してもらって、それで最終的には医師が、この胸痛は心筋梗塞であったという、そこまでの判断はそれぞれ、採血の結果であったり全部総合的な判断になりますね。ここは診断になりますけれども、1個1個の検査をするかしないかというのは、ある意味、診断というところには抵触してないのかなという認識を私は持っているのですけれども、いかがでしょうか。
○藤川参考人 検査の結果を見て、自分の心の中で、頭の中で当然考えますね。循環器内科の看護師さんが、循環器の疾患を考えないわけがないです。考えますよ、もちろん仕事をする上で必要です。ただ、そこでもし診断をしたときに、誤ったときに診断ミスでは済まない。医師でももちろん診断ミスすることがありますよ。しかし、あくまでも最終的に、先生、心筋梗塞の患者らしい人が来ています、というのはいいですよ。心筋梗塞ですよということが果たして医師法に抵触しないか、やはり抵触するわけです。そこは用心しないといけない。
○英委員 よく理解しました。
○有賀座長 医師法に抵触するという、そのフレーズそのものは全く私も理解しますが、もし医師法に抵触することのほうが患者さんにとって不利益なことがあれば、それは医師法を変えるべきですね。それでいいんですね。私たちの生きているこの現実の中で、法が何らかの足かせになるのだとすれば法は変えていくべきであろう。
○藤川参考人 私も憲法を変えることは別に間違いではないと思いますね。もちろん憲法を変えることは間違いではないけれども、きちんとしたいい結果が出ているときに変える必要があるかということがまず1つですね。現実に違法性阻却として、例えば平成15年に静注はしていいよと言っているのに、静注ができない看護師もいるし、下手な看護師もいるし、上手な看護師もおる。上手な看護師でありながら、現実にやらない大学の看護師がいっぱいおる。この現実は何なのですかと。現実にまずそれをやれば、研修医の朝の仕事はぐっと楽になります。これをまずやってください。それが最低限の条件でしょう。
○有賀座長 何かよくわからない話ですが・・・。
○前原委員 今回のワーキングでは、星先生よりもっと強力な人が出てきたという感じがしておりますけれども、そうするとこの会は最初から成り立たないのですね。現状認識はこうも違うのかというのがあります。一番すばらしい日本の医療といっても、先生、いろんなところにひずみが出てきているわけですよ。そうですね、当然。医師法だってもう60年ですか、変えなければいけないだろうと。医療法、その話をしていると長くなってしまいますから、要は看護師さんの業務拡大をしなければ、今の日本の医療の現場はもたないということの認識が、藤川先生と私とは違うのだと多分思いますね。これだけ医療がどんどん発達して、専門職になり、皆さんが頑張っていらっしゃる。だけれども、医療の中心というのは、申しわけないけれども、看護師さんと医師でかなりやっている部分がある。そうすると専門職と専門職の間のその領域のあいている部分の仕事はだれがやるのか。
先生の考え方からすると、医者をどんどんつくればいいのだと。そこにまた医者は来るよと。救急に来ますか。それとも周術期に来ますか。そのほかに在宅に来ますか、先生。幾ら1万人ふやしても私は無理だと思いますよ。それはもう流れとして、欧米が嫌いかもしれないけれども、欧米の流れとして、NP・PAと間のことを業務をする職種をつくるということは非常に効果的であるし、イフェクティブだと。経済観念など要りませんよ。それはだれにとっていいかといったら患者にとっていいのです。医療の質を上げるためにはいいんです。医師よりもかえってそういう職種の人がレベルが高いものがあります。多分そこで診断とか処方とかということをここで認めて、ドクターをまたつくるとか、そんな考え全くありませんけれども、その間の医師と看護師さんの間を埋める、また専門職の方々の間を埋めるコーディネーターなり、私、「触媒」と言っていますけれども、触媒的な働きをする人をつくろうというのがチーム医療の看護業務拡大の原点で、それが一丁目一番地の第1回からのテーマです。
そこを最初から否定して、日本の医療が一番いいのだから、これ以上、何を変えるのだ。そしたら、この話は全くないんですよ。それを親会議で、先生もまたそれを話されると、また一丁目一番地の1回目から、またこの議論をやらなければいけないということになります。そこの大きな違いがあるのはいいですけれども、それを認識していただかないと、絶対に。今の日本の医療が世界一すばらしいというのであったら、それで今のままでいいのか、現状主義でいいのかというのは、皆さんそう思っていないですよ。救急、周術期、小児、ICU、在宅、そう思いますよ。それでいいのだったら、日本医師会の人が皆さんそれでいいのだったら、そういう意見ではないと思いますよ。各地区の医師会の先生なりに聞いてみると、やはりそういう業務の人は必要ですね、と言いますよ。勤務医の中でもほとんどそう言います。
○藤川参考人 有賀先生、いいですか。
○前原委員 ちょっと興奮しました。ごめんなさい。
○藤川参考人 先生の気持ちは熱くわかるのですけれども、今度、医療現場で看護師さんたちが本当に全員そんなこと思っているのかといったら、ほとんど思ってないのです、現実は。一部の看護師さんたちだけの意見に先生が振り回されているということに早く気づかれてほしいのです。
○前原委員 一部ではない。もしかすると、一部とするとなら、いきなり来年1,000人とか2,000人つくろうとは思っていません。その特定の看護師さんという、そういうレベルの両方の業務の間を埋める触媒的な役目の人を年間、わかりませんよ、50人、100人、200人になってくる。それプラスアルファ、今も専門的に働いている認定看護師さんたちも、医療の技量を持ちやっていらっしゃる。そういう人たちを、何人になるかわかりませんけれども、それはプラスになるでしょう。
それと同時に、並行して親会議でも方策委員会やっていますね。皆様のもとで、現に呼吸器チーム、周術期チーム、WOCチーム出てやっていますけれども、並行してチーム医療やっているわけです。そこのレベルの専門職の人たちも当然業務拡大はするわけです。業務拡大をしつつ、やるに当たっては、まずは看護師業務拡大で突破口を開こうというのが、それは一番イフェクティブではないのかというのでこの会があるのだと私は思っています。
○有賀座長 どうぞ。
○竹股委員 なるべく短めに話しますけれども、私は自分の体験から少し話させていただきたいと思います。私は東京のいわゆる大病院と言われるところで幾つか働きました。そこにいたときは、私どもはできるだけ看護職の専門性に、我々が求めるものとして、療養上の世話の部分に大変力を尽くしてきた。医師がたくさんいたせいもあったのかとは思いますが、診療の補助というのはできるだけやらないと。もう30~40年前ですけれども、できたら採血もしないというぐらいな勢いでやってまいりました。
そして近年になって地方に行きました。私は自分のパラダイムが非常に大きく変わりました。それは何が変わったかというと、地方の病院は看護師がこんなに診療の補助行為をやっている。IVは当たり前でした。私はやったことないです、東京にいるときは。そこではいわゆる診療の補助行為をナースがかなり担っていた。なぜかと言うと、かつて医師が少なかった。ですからナースはそれをやらざるを得なかったという現実に即しているわけですね。そして直近になりまして、病院は医師も多くなりました。いわゆる専門職の人たちも潤沢におります。そして唯一、ナースが少ない。
こういう状況になりましたときに、私は看護管理者としてどういうことをしたかというと、ともかく医師を始めとしてありとあらゆる専門職の皆さんに、看護の今までやってきた診療の補助行為、医行為をやってくださいと。どんどんとってくださいと。看護職は患者さんを見切れないんですと。高齢化していますから、看護の仕事が多くなっている。
そういうようなことを考えましたときに、そもそもここの話し合いの中で、足かけ3年、私、最初のときいましたから、足かけ4年の中で、何を話してきたかというと、自分の環境のところに特化して話しているわけではなくて、先ほど前原先生おっしゃいましたけれども、私のいた病院は非常に大きな病院ですからいいのですけれども、地方の病院は本当に医師がいないのです。そのほかの医療の専門職の方も本当に少ないのです。もちろんナースも少ない、みんな少ないのです。ですからできるだけ総力戦でやるのですけれども、それすらも言っていられないぐらいの状況になっていることもある。
前の大きな病院でも、例えば冬になると、長いときで、本当に申しわけなかったのですけれども、2週間ぐらい救急車をお断りしました。3次は受けました。これは待ったなしですから。なぜかというと、もうベッドがないのです。その患者さんを引き受けてくれる後方の病院もないのです。
そういうような実態がある中で、私は看護職として、これは私の個人的な意見ですけれども、別に好きで、やりたくて、診療の領域をとってやる、そういうつもりではございません。管理者としてもないです。ただ、やはりそれはこれからの、まさに本当に高齢化の中で、医療の依存度の高い方たちがたくさん来る中で、ナースであれば、ナースのレベル、あるいは医者でなければできない以外のあるレベルで私たちが参画できるだろうというところの今チャレンジをしているつもりなのですね。
だから、その辺が、私、ずっと聞いていて、何かすごく専門職エゴみたいに言われる、言われてないかもしれませんが私はそういうふうにとれてしまって、大変複雑な思いがいたします。
以上です。
○秋山委員 私は在宅の現場を抱えるところから出ておりまして、在宅はそういう意味では、まだ私は東京の中で仕事をしておりますので、チームを組めるお医者さんたちもたくさんいますけれども、多くの全国の仲間は、医師の指示書のもとで訪問看護していますけれども、お医者さんの指示をなかなか受けにくい状態で、目の前に患者さんの状態がいろいろ変わると。その中で、ある意味グレーゾーンと呼ばれるものを今までやって来ざるを得なかった、そこを、今すぐ在宅の分野の人がみんな特定のトレーニングを受けられるかというと、それは別だけれども、これから先の後輩たちが進むべき1つのキャリアアップ、その中で、在宅の分野でも看護職が少し業務拡大ができれば、本当にお医者さんが少ない地域での在宅の分野では助かるのではないかと私自身は非常に思っている次第です。
○有賀座長 土屋先生、大阪での議論も、今言った薬局の薬剤師さんたちが、今言われたような局面において、それなりの仕事をしようぜという話ですね。先生、少し大局的な話。
○土屋参考人 チーム医療ですと、基本的に医療機関の中のチーム医療、あるいは地域のチーム医療とありますけれども、ここをつなごうと思うと、病院と薬局の薬剤師同士がきちんと情報をつながないと、あるいはケアマネとつながないと、そういう在宅のところでのあれができないわけですね。ですから、そういったことを含めて、そういうさまざまな地域によってやり方も違うでしょうし、チームの組み方も違うとは思いますが、そういった情報の連携といいますか、そういったことをきちんとやっていくことが、薬物療法でいえば、そういうシームレスな安全で安心な、適正かつ薬物療法を達成するやり方だろうということで、やはり皆さんが業務独占がどうのこうのというよりは、きちんと自分の持ち分のところをちゃんとやって、なおかつ情報をきちんと伝えるということは極めて重要だと思っています。
○有賀座長 畳みかけるようで申しわけないのですが、藤川先生が出してくださった裏の赤いところ、この赤いところは全くそのとおりでいいのですね。そうですね。それで、なおかつ有機的なチーム医療を含むという中での、例えば看護師さんに関する議論があって、それは土屋先生たちも理解されますね。
○土屋参考人 我々は積極的に処方提案というものを通じますが、処方をするのは医師であるということは大前提であります。
○川上委員 若干補足しますと、例えばある特定のプロトコールとかパスに基づいて薬物治療していく場合に、医師と薬剤師が事前に協議をして合意した上で、実際には医師が処方するのは当然なのだけれども、合意した内容に基づき協働して薬物治療を進めていくというのは現場では今はやられていることかと思いますし、平成22年4月30日医政局通知の「薬剤師を積極的に活用することが可能な業務」の1番でも示されていることだと理解をしております。
○有賀座長 ここに書いてある赤いところはそのとおりですね。そういう意味では。この赤いところをきちんとわきまえた上で、藤川先生のおっしゃるタスク・シフティングに関する議論を丁寧にしていくという話なのではないかと思いますが、どうぞ。
○井上委員 時間がないのに、最後に言っておきたいのですが、いいですか。
○有賀座長 次の機会のためのいろいろな議論のための話ということでどうぞ。あと2分なんです。
○井上委員 はい。資料3の包括的指示・具体的指示のこの資料が出てきて、私、先ほどから全然わからなくなってしまって、頭がこんがらがっているのですが、包括的指示、言ってみればいわゆる病態に関する判断の認識的なところ(青線内に2)を多分指定研修ということになるのでしょう。それを真ん中のものは医師がかわってやる。それが具体的指示だと言いながら、行った先(黄線内3)が、両方とも、「看護師が、技術的な難易度叉は判断の難易度が高い診療の補助を実施」って、両方一緒なんですね。そうすると、一体これ何なのか。私、余計わからなくなりました。はっきり言って、もう60年続く保助看法の中で、看護師の教育レベルは年々高まってきて、そして在宅等も含めて包括的指示というのは、ある意味、看護師がかち取ってきたものです、よりよい医療のためにと思って、看護師が自ら判断してやってきて、ここが役割拡大につながるところかもしれないのですが、これは私は、例えば2番目は、指定研修を受けた看護師でも手に負えないような重篤な人に関して、特定の医療従事者につながるような人が具体的指示を受ける場合があるというならわかるのですけれども、これは対象は一体だれなのでしょうか。一般看護師が真ん中のルート行かれちゃうと余計にわけがわからなくなって混乱が起きると思います。
○小松委員 私も同じことをすごく考えていて、最後が同じ、同一の行為とおっしゃったので、それが混乱を少し私の中ではしているということがありますので、次回の論議のときにすればいいと思いますけれども、ちょっと混乱しています。
○有賀座長 ある同一の行為を思い浮かべて、そして、それがいつも同じかというと違うというところがみそなのだろうと私は思っていますが、それも次回にということになるのでしょう。
○前原委員 業務独占しないということですよ。それをこういうふうに表現したのだと私は思います。ここで業務独占するとなると、また、この会も1回に戻ってしまいますから、それだけのことだと私は思います。そうすると具体的なことを書くに当たっては、だんだんとそういうことはできなくなってくるということだと思います。
○有賀座長 私たちが仕事をしているのは、私たちの仕事場の景色、文字は文字ということがありますので、そういう意味では難しい。
事務局におかれましては、もう6時が来ましたので、エネルギーは尽きました。おあと、よろしくお願いします。
○島田看護サービス推進官 本日は御議論いただきましてありがとうございました。参考人の先生方もどうもありがとうございました。
次回以降の日程につきましては、また別途、御案内させていただきます。
以上でございます。
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