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2012年11月27日 第2回運動基準・運動指針の改定に関する検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年11月27日16:00~18:30


○場所

厚生労働省 12階 第13会議室


○議題

(1)高齢者やこどもの取扱いを含めた運動基準の内容について
(2)生活習慣病患者に対する保健指導の一環としての運動指導

○議事

出席者
 構成員
  鎌形 喜代実 市川市こども部部長
  下光 輝一  公益財団法人 健康・体力づくり事業財団理事長
  鈴木 志保子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授
  鈴木 隆雄  独立行政法人 国立長寿医療研究センター研究所長
  須藤 美智子 ソニー健康保険組合事務長
  田中 喜代次 筑波大学体育系大学院人間総合科学研究科教授
  戸山 芳昭  慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授
  内藤 義彦  武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科教授
  藤川 眞理子 葛飾区保健所金町保健センター所長
  道永 麻里  社団法人 日本医師会常任理事
  宮地 元彦  独立行政法人 国立健康・栄養研究所健康増進研究部長

 厚生労働省
  矢島健康局長
  宮嵜がん対策・健康増進課長
  佐藤がん対策・健康増進課長補佐
  菊地がん対策・健康増進課長補佐

○宮嵜がん対策・健康増進課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「第2回運動基準・運動指針の改定に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日は、田畑構成員、福永構成員におかれましては御欠席との御連絡をいただいております。また、藤川構成員、道永構成員は、御都合により少しおくれて御出席ということでございます。
 また、本日は、文部科学省のスポーツ・青年局体育参事官付の白旗和也教科調査官にオブザーバーとして出席をいただいております。後ほど御発表もいただく予定となっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○白旗教科調査官 よろしくお願いします。
○菊地課長補佐 それでは、私のほうから、まず資料の確認をさせていただきます。
 お手元にお配りしている資料ですが、まず、議事次第、座席図、構成員名簿、資料1「運動基準・運動指針の改定に向けた主な論点に関する第1回検討会での主な御意見」、資料2「身体活動・運動に関する新たな基準と指針について」を配付しております。
 また、本日は構成員の方々から資料をいただいておりまして、後ほど資料につきましては御説明いただきたいと思いますが、まず、文部科学省の白旗教科調査官から「学校体育と幼児期運動指針の概要について」という資料と、「幼児期運動指針」及びその普及用パンフレットをいただいております。
 それから、内藤構成員からは、「疾病予防および健康に対する身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因」という資料。
 それから、田中構成員からは、「オーダーメイド減量プログラムの開発」に関します資料をいただいております。
 それから、須藤構成員からは、「職域での実践者(管理者)の視点」という資料。
 鈴木志保子構成員からは、「運動指導と栄養指導の組合せに関する教育者の視点」という資料をそれぞれ御提出いただいております。
 それから、構成員の方々には、机上参考資料として緑と青の紙ファイルを1冊ずつ御用意しております。1冊は参考資料で、運動基準2006など既に公表されている資料は前回と同じでございますが、今回、文部科学省の白旗調査官から御紹介いただきます「幼児期運動指針」とその普及用パンフレットを追加しております。
 また、もう1冊のファイルですけれども、これは前回、第1回の検討会の配付資料をつづっております。
 なお、傍聴者の方々の資料には、「幼児期運動指針」の普及用パンフレットのコピーですが、白旗調査官御提出資料の後におつけしております。こちらのほうをごらんいただければと思います。
 これら机上パンフ類につきましては、第1回と同様に検討会を通して御利用いただくということで、会議終了後も机上に残していっていただきますようお願いします。もしお持ち帰りを御希望される構成員の方がいらっしゃいましたら、事務局までお申しつけください。
 資料の確認は以上でございますが、不足あるいは落丁等ございましたら事務局までお申しつけください。
 それでは、報道の方は、撮影はここまでとさせていただきたいと思います。
 では、以降の進行につきましては戸山座長、よろしくお願いします。
○戸山座長 承知しました。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の議題ですけれども、お手元の議事次第にありますように、議題1では、第1回、先日の検討会から引き続きということで、指針も視野に入れながら、新たな運動基準の内容について議論したいと思います。特に本日は、高齢者や子供のことも含めて、基準に関しまして一定のコンセンサスを得たいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、議題2としましては、生活習慣病患者に対しての運動指導について、保健指導の現場でどう取り組まれており、また、どう対応していくべきかということについての観点で御議論していただきたいと思います。
 なお、生活習慣病を持つ人への運動指導というものに関しましては、安全管理の観点というのは非常に重要でございますけれども、この安全管理に関しましては、次回の検討会で議論したいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速、議題の1に入りたいと思います。
 第1回の検討会での議論で皆様方からいろいろ意見を頂戴いたしましたけれども、議論の内容について事務局でまとめておりますので、まず資料1と2をごらんいただいて、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○佐藤課長補佐 よろしくお願いいたします。
 では、お手元に資料1を御用意ください。こちらには、「運動基準・運動指針の改定に向けた主な論点に関する第1回検討会での主な御意見」ということで、先日の第1回でお示しした6つの論点の案、そして、それに対するいただいた御意見をまとめたものでございます。
 読み上げますので御確認をいただきたいと思います。論点1、運動基準・運動指針の「対象者」及び「利用者」をどう考えるか。主な御意見としましては、運動基準・運動指針について、全ての世代を対象とすることはできないか。また、運動指針の利用者は一般の国民を想定すべきではないかという御意見がありました。
 続いて、論点2です。新たな科学的知見を踏まえ、運動基準をどのように改定するか。主な御意見としては4つです。18歳から64歳については、現行の基準を引き続き活用可能なのではないか。個人差を考慮した基準として、「今より少しでも身体活動量を増やす」としてはどうか。体力の基準について、全身持久力をメッツで表示してはどうか。名称について、「身体活動・運動基準」あるいは「身体活動基準」と変更してはどうかという御意見をいただきました。
 続いて、論点3です。高齢者、生活習慣病患者及びこどもの運動基準についてどう考えるか。65歳以上については、余暇身体活動を含めて4メッツ・時/週を基準とできるのではないか。対象グループごとに基準を示してはどうか。
 続いて、論点4です。安全かつ効果的な運動指導のために留意すべきことは何か。安全面の配慮について、対象に応じて書き分けられないか。身体活動・運動の上限値の検討が必要ではないか。
 続いて、論点5です。利用者の視点に立った運動指針の在り方についてどう考えるか。国民にわかりやすいシンプルなメッセージとすべきではないか。運動指導の説得力を増すために、生活の中で実感できるメリットを提示できないか。
 最後に論点6です。まちづくりの視点を含めた普及啓発の具体的方策についてどう考えるか。一般の国民にわかりやすいパンフレットをつくってはどうか。ウオーキングのための環境整備等のまちづくりは、歩数の増加に有効なのではないか。健康教室等は、高齢者の社会参加の機会でもあるため、行政の取り組みが重要ではないか。こういった御意見をいただきました。
 この中で、論点1、論点2について主に第1回では御議論いただいたわけですが、その部分につきましてまとめたものが、次の資料2でございます。パワーポイントの横長の資料になっております。お手元に御用意いただきたいと思います。
 「身体活動・運動に関する新たな基準と指針について」ということで、第1回検討会における議論を踏まえた整理でございます。主には、研究班で行っていただきましたシステマティックレビュー、メタ解析による結果、それをベースとして、たたき台として整理したものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、まず、「18~64歳の人における身体活動・運動の基準について」でございます。まず、意義について整理しますと、2点あります。1つ目は、身体活動量をふやすことで、がんを含めた生活習慣病になるリスクを下げ、メタボリックシンドローム、ロコモティブシンドローム及び認知症を予防できる。加えて、運動習慣を持つことで、これらの予防効果をさらに高めることができる。こうした意義を踏まえまして、身体活動量と運動量について、それぞれ基準を設定するということでございます。
 まず、上の枠囲みですが、「身体活動量」、言いかえると「日常生活で体を動かす量の考え方」ということになると思いますが、2つ挙げたいと思います。
 まず1つ目として、今より少し長く少し活発に体を動かしましょう。例えば、今より毎日10分ずつ長く歩きましょうというメッセージでございます。例えば毎日10分ずつ長く歩くことで、生活習慣病等になるリスクを約3%ずつ減らせるということがシステマティックレビューで示されております。
 次に?ですが、「日常的に“歩く程度の動き”を23メッツ・時/週行う」、言いかえると「1日に60分は、歩いたり体を動かしたりしましょう」、あるいは「1日8,000歩以上を目指しましょう」ということになります。この中で出てくる歩く程度の動きというのをメッツの表示をあえて使わずに例示としますと、右側の箱にありますようなものが例示として示すことができるということでございます。
 続きまして、下の枠囲みになりますけれども、運動量の基準でございます。「スポーツや体力づくり運動を行う量の考え方」につきましては、まず、スポーツや体力づくり運動を4メッツ・時/週行う。言いかえると「1週間に60分は、“息が弾み汗をかくくらいの運動”を行いましょう」ということでございます。この「息が弾み汗をかくくらいの運動」というのはどんなものかということを例示したのが右側でございます。
 加えて、できればということで、30分以上の運動を週2回以上行いましょう。言いかえると、運動を習慣にしましょうということをここで基準として示していくことができるのではないかということでございます。
 この身体活動量、運動量いずれにつきましても、健康日本21(第2次)の目標設定との方向性は共有していることになります。
 また、同じ年齢層、18歳から64歳の方々について、体力、その中でも全身持久力の基準についても御議論をいただきました。
 それでは、次の2ページ目でございます。もともと体力の中でも全身持久力を指標として、さらに具体的には最大酸素摂取量を基準とした考え方というのが、現行の基準、「健康づくりのための運動基準2006」でも基準として示されていたものでございます。それがこのページの上半分のところに示されているものです。ただ、このとき、最大酸素摂取量ということで、単位もごらんのような単位が使われておりました。これをよりわかりやすくしてはどうかという御提案をいただいておりまして、それが単位をメッツに変更するということにしておりますが、この2ページの中段あたりにあります表でございます。「健康づくりのための性・年代別の全身持久力の基準」ということで、40歳未満、40~59歳、60歳以上について、このようなメッツ表示での全身持久力の基準が設定できるのではないかということでございます。
 これをどう使うのかというところを少し、考え方ということで御説明しておりますが、考え方?が、ある意味、持久力のアセスメントに使えるということ、それから、考え方?というのは活用法というふうにお考えいただければと思います。
 まず、持久力のアセスメントにつきましては、例えば10メッツの運動強度というのは、ランニングであれば167m/分というスピードになるとされておりますけれども、こうしたランニングを3分間以上できるのであれば、40歳から59歳の男性相当の体力があるというふうにアセスメントすることができるということです。
 考え方?に書いてありますのは、このような基準値を達成する、あるいは維持するためには、基準値の50%以上の強度の運動を習慣的に行うことが必要であるということで、例えば50歳の男性であれば、10メッツの50%ということで5メッツが目安になるといった形で運動指導に使っていただくということを想定したものでございます。
 18歳から64歳に関する基準は、今のところ御議論いただいているのは以上になります。
 続きまして、3ページ目をごらんください。こちらには65歳以上の人における身体活動の基準について、第1回での議論をまとめたものでございます。ちなみに、現行の基準は69歳までを対象としておりますけれども、それ以上について、特に70歳以上については言及がないということで、今回、こちらは70歳以上を含むということでは初めて示されるものになるかと思います。
 まず、意義ですけれども、体を動かすことで活発な社会貢献が続けられ、ロコモティブシンドロームや認知症等を予防でき、自立した生活をより長く送ることができるということが意義になります。
 そして、基準としましては「余暇身体活動量」ということで、言いかえますと「余暇活動を含めた、日常生活で体を動かす量の考え方」でございます。18歳から64歳までのところは、余暇活動を含めたというところが入っておりませんでした。ここが異なる点でございます。
 具体的には、外出やガーデニングなど、ごく軽い動きでもよいので4メッツ・時/週行うとうことです。メッセージとしましては、「余暇時間を座って過ごすばかりではなく、毎日15分は体を動かすようにしましょう」ということでございます。
 これを科学的な根拠を持ってその意義について御説明しますと、座りがちな高齢者に比べると、こうした動き、毎日15分以上体を動かしている場合はロコモティブシンドロームや認知症等になるリスクを約15%減らせるというデータによるものでございます。
 この余暇活動を含めた日常生活で体を動かす量という動きの具体例として、右下の枠のところに例示を示してございます。このような動きでもいいのだというふうにお考えいただければというものでございます。あくまで例示ですけれども、参考にしていただければと思います。
 ここまでのところが身体活動・運動の基準に関する核になる部分かと思いますけれども、その他の視点についても第1回で幾つか御指摘をいただきました。視点ということでまとめております。
 視点1、身体活動・運動の最短持続時間や望ましい実施頻度について、明確化できるか。
 視点2、身体活動・運動に取り組むことで短期的に得られる効果について、言及できるか。
 視点3、体力に関する基準として、全身持久力のほか、筋力等について設定できるか。
 視点4、18歳未満について、基準を設定できるか。
 視点5、生活習慣病があっても、通常の基準が適用できるのかどうか。これは議題(2)の関係になります。
 視点6、新たな基準の名称をどうするか。
 こういったことについて御議論をいただければと考えております。
 最後のページは、少し先の議論になりますけれども、指針についての視点をまとめてございます。指針につきましては、第3回、次回の検討会で御議論いただくということを予定してございますけれども、主には趣旨、内容、その中で基準との関係、情報量、表現の工夫といったところがありますのと、あと、名称をどうするのかというところがございます。これも指針を視野に入れていただく形で本日の御議論をいただきたいと思いますので、特に趣旨のところを後ほど御議論いただければと思っております。
 資料1と2の御説明は以上とさせていただきます。
○戸山座長 ありがとうございました。
 資料1では、前回第1回の検討会での主な御意見ということでございますので、これはよろしいかと思いますが、よろしいですね。何かありましたら、後ほどまた御意見いただければと思います。
 資料2の1ページ目から1つずつ、皆さんに御意見をいただきながら進めていきたいと思います。
 初めに、御説明ありました18歳から64歳までの身体活動・運動の基準についてでございます。前回、たしか宮地委員からお示しいただいて、2006年から200編ぐらいのエビデンスに基づいた論文を見ていただいて、基本的にはそれと大きな変わりはないという御指摘だったと思います。それがこのような形で1ページに書かれております。この18歳、64歳、それ以上の高齢者についても、これが中心的なものになる基準と判断しておりますけれども、まず、これの1ページ目、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木(志)委員 前回の基準の策定のときに、身体活動を生活活動と運動に分けて話を進めていったと思います。そのときに、この1ページ目に載っている身体活動に関して、今よりも少し長く、少し活発に体を動かしましょうというところは、運動に定義されるのではないかと思うのですが、下に運動量というところは、完璧にスポーツや体力を増強させるために行ったものというような位置づけで、前に言っていた運動の定義とは変わってしまうと考えればいいのでしょうか。以前は?のところに示されているようなことをすれば、運動をふやしましたねと、生活活動の中で自分の速度を上げたり、量を多くしたりすることが運動につながるのですよという指導をしてきました。ここの観点がぶれてしまうと、今までやってきたことがどのように結びつくのかあやふやになってしまうのですが、お答えいただければと思います。
○戸山座長 これは、事務局ないし宮地委員のほうからでよろしいですか。
 宮地委員、どうぞ。
○宮地構成員 6年前の検討会で、基準2006や指針2006を策定する際に、運動と身体活動の整理をどうするかということが議論になったと思います。先生が今おっしゃった、少しでも自分の生活活動をふやすということは、その人の余暇時間に食い込んでいくわけですから、運動なのではないかというのは的を射た御指摘だと思います。
 それを運動とするのか、あるいは生活活動にするのかというのは、実は学問的に非常に難しい問題です。バスで行けば30分で行けるところを、歩いていくと40分かかり10分余分に使って、その10分は余暇時間なので運動の領域に入るという考え方もあると思うのです。そこのあいまいなところを今回は一つ明確にしようということで、運動でもなく生活活動でもない、余暇身体活動という概念を入れました。
 運動とは、余暇時間に目的を持って行うということに加えて、計画的であり、構造的であることが1つ重要です。例えば、スポーツあるいは体力づくりといった計画的なものです。気がついたときに5分でも10分でもぱっとやりましょうということは、やはり計画的ではないということで、運動の中に入れるのは不自然であり、とはいえ、生活活動とも明確に言えないので、身体活動の中に余暇身体活動という概念を定義して、身体活動の基準に入れました。運動として10分ふやしても、生活活動として10分ふやしても、いずれも身体活動を10分増やすということで整理しました。
○鈴木(志)構成員 ここでの議論では納得のいくことなのですけれども、指導現場としては、例えばエスカレーターやエレベーターを待っている時間を、階段を使って上がると6階ぐらいであればエスカレーターやエレベーターで上がるのと時間的にそう変わらない。そのときに、生活活動の中の時間とは別に変更もなく、体には相当強度の高いものを取り入れることができるので、それ自体は運動としてカウントしていきましょうということはとてもやりやすいキャッチでした。30分間や15分間でも自分の運動時間を作ることができる人ということは、働いている方ではそうめったにいらっしゃらないので、指導する側からいえば、生活の中で階段を使うことで身体活動量を確保した場合には運動として認めてあげますというのは、悪い考え方ではないと考えるところがあって御質問させていただきました。
 ありがとうございました。
○戸山座長 若干とらえ方によって違うかなと。同じようなことをやっていただくにしてもということではないかと思います。
 どうぞ。
○内藤構成員 今の議論に関係した話ですが、運動という言葉に、やはりこだわりがあって、専門的な立場で言うと、宮地委員の言われた運動の定義が正しいと思います。けれども、運動不足という言葉があって、それが一般用語として通用しているので、どうしても運動という言い方をするとは思いますが、できれば身体活動量というか、身体活動という言葉をもう少し普及させていくのが本来であって、身体活動をたくさんやったねというのが評価できるような形のほうがいいのではないかと思います。
 あと、身体活動量というのは、前の定義では全体が身体活動量になっていたのが、これは日常生活の部分を考えていますので、もし分けて考えるのであれば、日常身体活動量とか生活活動量という形で2つに分けて考えたほうがいいのではないかと、言葉の定義としてそういうふうに思います。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。明確にここはということで線引きは難しいところもあると思いますし、とらえ方によっても違うと思うのですけれども、目指すところは多分皆さん一緒だと思うので、いかがでしょうか。
○宮地構成員 今の内藤先生のお考えどおりで良いですけれども、今、内藤先生が身体活動は生活活動ではないかという御理解でお話をしていたのですが、そうではないですね。生活活動も運動も余暇身体活動も全部含めて身体活動を60分やってほしいということなので、もう一度整理をさせていただきたいと思います。
○戸山座長 どうぞ。
○下光構成員 きょう出された資料は、基準ですね。
○戸山座長 そうです。
○下光構成員 指針はまた別になるかと思うのですが、前回、私が発表させていただいた米英、WHOなどの各国のガイドラインでは、成人は1週間150分、中等度以上の身体活動量となっており、国際的にはこれがスタンダードとなっていて、研究や調査では、その基準でたくさんの論文がでていますが、宮地先生、それらの基準と日本の基準との関係はどうなっていますでしょうか。
○戸山座長 宮地委員、どうぞ。
○宮地構成員 欧米とかWHOが言っている30分・週5回の合計150分の身体活動というのは、ここで書いてある?の1日60分のおおよそ半分ぐらいの量です。欧米では150分を推奨するとともに、さらにその2倍の300分をやるとよりよいと言っています。我が国の場合は、150分を基準にしてしまうと、日本人の平均値よりもはるかに下回ったようなものを基準にすることになってしまうので、それは日本の基準としてはふさわしくない。そこで欧米でいうところの300分に近いような1日1時間、60分掛ける5日やれば300分、60掛ける7日やれば420分になりますけれども、というのを基準にするべきであろうということで、欧米のものとは明らかに違うものになっております。
○戸山座長 よろしいですか。
 では、鈴木委員。
○鈴木(隆)構成員 今のこのページと別なことでよろしゅうございますか。
○戸山座長 結構です。この1ページ目ですか。
○鈴木(隆)構成員 1ページです。1ページというか、ほかにもあるのですけれども、例えば、「意義」という文章で、「身体活動量を増やすことで、がんを含めた生活習慣病になるリスクを下げ、メタボリックシンドローム、ロコモティブシンドローム及び認知症を予防できる」と書いてあるのですけれども、予防の解釈がなかなか難しい問題だと思うのです。本当に認知症、あるいはロコモティブシンドロームでもいいのですけれども、予防できるかということなのです。リスクは確かに下げると思うのです。しかし、私たち専門家は多分この言葉を見たときに、認知症を予防できるというのは、かなり限界を持って予防できるということは理解できていると思うのですが、一般の国民の方が、例えば予防できるというふうに書いてしまうと、何か身体活動をふやすと、メタボリックにもならないし、ロコモにもならないし、認知症にもならないというようなとらえ方をされるのは、ある意味で非常におそれているのです。
 皆さんの平均寿命が80、90になったときに、例えば18から64でどれだけ身体活動をやったとしても、本当に認知症を予防できるというふうに書き切ってしまっていいのかどうかというのは、私はかなり疑問を持っています。なので、リスクを下げるという言い方であればいいと思うのですが、あるいは認知症を予防できる可能性があるというぐらいだったらまだいいのですけれども、ここまで言い切ってしまうのは違和感を持っております。
○戸山座長 ありがとうございました。皆さんから貴重な御意見をいただきました。ただ、基本的には、今いただいた御意見等々を参考にしながら、文言等々の修正を含めて、次回、事務局のほうで基本案を出していただく形でよろしいでしょうか。
○田中構成員 簡単に一言よろしいですか。
○戸山座長 はい。
○田中構成員 30分・週2回というのは、ちょっと30分のハードルが高くて、週2回というのが習慣化としては物足りないような気がするので、トータルとして同じですけれども、15分以上5回とか、そういうこともまた検討していってはいかがなものかということです。食事、入浴、睡眠は習慣で毎日、しかし、運動の習慣は週2回というのは、ちょっとバランス的にどうかなというのをまた御検討いただければ。
○戸山座長 宮地委員、何かありますか。よろしいですか。
○宮地委員 今の御指摘に関しては、例えば身体活動量の?は先生のお考えにかなり近いのではないかと思います。15分を4回ふやすという考え方を、例えば10分を6回ということでもいいのではないかと。なので、身体活動の中に運動も含んでおりますから、10分・6回みたいな取り組みをあるいは15分4回のような形に入れていくということもいいのではないかと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。
 では、1ページ目は、基本的には皆さんの意見を参考にしながら、これを基本という形で次回御提示させていただくように、よろしくお願いいたします。
 それでは、2ページ目のところの「18~64歳における体力の基準について」で、2006年では最大酸素摂取量のところがなかなかわかりにくいという意見を含めて、下段にあるような形に変えております。これに関していかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうですね、これはわかりやすくということでよりいいのではないかと思います。ありがとうございます。では、これは皆さんに御同意いただいたということにさせていただきます。
 めくっていただいて、3ページ、よろしくお願いいたします。これは前回、鈴木委員からも少しプレゼンがあったかと思いますけれども、今回は、高齢者、65歳以上の方々にも身体活動の基準をということで進めてきたことでございます。これに関して何か御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ。
○鈴木(隆)構成員 先ほどの「意義」で予防という言葉がひとつ気になるのと、それから、括弧の中に「座りがちな高齢者に比べて、ロコモティブシンドロームや認知症等になるリスクを約15%減らせる」ということなのですけれども、この約15%という数値を入れ込んでいいかどうか、これも少し気になるところで、主として欧米のデータだと思うのです。多分、我が国でのそういう一つのポピュレーションの研究でのこういったデータがまだないので、この辺は少し控え目にしたほうがいいのかなという気はしております。
○戸山座長 ありがとうございました。
 ほかにどなたか。どうぞ。
○鎌形構成員 「意義」の中で、「体を動かすことで、活発な社会貢献が続けられ」という、この活発な社会貢献が続けられるという意味が、この中の意義としてどういう位置づけなのか、ちょっと理解がしにくいのですが、説明がありましたら教えていただきたいです。
○戸山座長 事務局、よろしいですか。活発な社会貢献が続けられるということに関して、説明願いたいということですが。
○佐藤課長補佐 文言について、もちろん御指摘いただいて修正をぜひさせていただきたいと思うのですが、特にこの部分について参考にさせていただいたのは、第1回のときの鈴木先生の御提出いただきました資料のほうにございますので、ちょっとごらんいただければと思うのですけれども、こちらの青い紙ファイルに第1回のものがありまして、最後に鈴木先生の御提出いただきました資料に、28枚目になりますが、このあたりの表現を含めて盛り込んでいけないかというふうに思った部分があるのですけれども、このあたりは御指導いただければと思います。
○鈴木(隆)構成員 確かに、28ページの前期と後期の比較ですね。
○佐藤課長補佐 直接ではないのですけれども、言葉としては。
○鈴木(隆)構成員 確かにこの文言はなかなか難しいかもしれませんので、検討しましょう。
○佐藤課長補佐 わかりました。
○戸山座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。今、「活発な社会貢献」と、「予防でき」は鈴木委員から御指摘がありました。この辺のところを検討させていただいて、基本的にあと15%への指摘がありましたね、これが明示できるのかという御指摘もございました。この辺を踏まえて、65歳以上における身体活動の基準に関して、基本的には、4メッツ・時/週ということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、最後にどうぞ。
○内藤構成員 下光委員のほうから提示された欧米の資料を見ていますと、やはり高齢者では持病というか、いろいろ身体的な問題があるケースを想定しておいて、その記述を加えておいて、この内容であればいいのではないかと思いました。その辺がちょっと感じたところです。
○戸山座長 ありがとうございました。
○鈴木(志)構成員 余暇という言葉ですが、余暇という言葉は体育とか運動の世界では多く使うのですが、一般の方は余暇というとレクリエーションとか遊びという感じで読み込めるので、言葉の定義があればいいのかもしれないのですが。余暇という言葉は、相当余った時間というようなイメージで捉えられてしまうと、暇な人がすること…… 私だけであれば済みません。
○戸山座長 わかりました。いろいろな意見をいただいて結構ですので、この余暇というところも、今、お話が出ましたので、この辺のところも踏まえて、基本的にはこういう形で決定ということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、その次、4ページをごらんいただきたいと思います。18歳から64歳に関する基準と65歳以上に関する基準は、今の議論を踏まえた形での決定ということにさせていただきます。ありがとうございます。
 その次ですが、4ページ目のところの視点1にございます、「身体活動・運動の最短持続時間や望ましい実施頻度について、明確化できるか」ということでございます。いかがでしょうか。
○佐藤課長補佐 ちょっと補足させていただきたいのですが、最短持続時間という話をあえてここで出しておりますのは、20分以上運動しないと脂肪が燃えないから意味がないといったようなことがよく一般的には言われるのですが、それはエビデンスはないというお話もありましたので、そのあたりを国民の方々に広く知っていただくために少し言及できないかというところがございます。お願いします。
○戸山座長 ありがとうございました。ということですが、御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ。
○宮地構成員 運動持続時間というのは、今、佐藤補佐のほうから御説明があったように、昔は30分続けなければ脂質代謝の観点から意味がないとよく言われておりましたが、最近は細切れでも変わらないと言われるようになってきました。欧米などのガイドラインでは、1回の身体活動を最低10分一塊にという考え方もあります。1BOUTは少なくとも10分を3回で30分やりなさい、30分を週5回で150分にしなさいというのが欧米、あるいはWHOのガイドラインであります。
 ところが、10分続けなければ、では、エネルギー消費量や生活習慣病予防効果が減るかというエビデンスがあるかというと、またそれもないということです。基本的にエネルギーの観点からすれば、5分であろうが、10分であろうが、20分であろうが同じであります。なので、例えば階段を数階分上って3分使った場合でも、それは十分な身体活動ということになります。我が国のこの身体活動の基準値では10分にはこだわる必要はないのではないかと思っております。
 また、我が国の就労や子育て世代のライフスタイル等を勘案すると、10分とはいえ、まとまった時間を確保することが難しいというのが我が国の労働者や子育て世代の実態ではないかと思います。余り最短持続時間や頻度等にこだわることなく、身体活動なら合計で60分、あるいは運動なら1週間合計60分という形で、まとまったトータルの量だけを定めることが基準としてはふさわしいのではないかと考えます。
○戸山座長 ありがとうございました。海外では幾つかあるらしいですけれども、我が国に照らし合わせますと、トータルでよろしいのではないかと、今、宮地委員の意見では明確化というものではここはちょっと難しいのではないかという方向かと思いますけれども、いかがでしょうか。ほかに御意見あれば。
 どうぞ。
○田中構成員 今の宮地委員の意見に全く反対ではなく、むしろ賛成なのですけれども、もしも最短持続時間というのを書いて、しかも20分の認識を改めるというのであれば、私は極端なことを言えば、1分、2分でもやれば効果は期待できるので、そういう意味で、最短の感覚的に見て5分なり10分というのを一つのBOUTとして入れるのもよろしいかと思います。
 ですから、こちらがいいという意見ではないのですけれども、それもまた今後検討すればと思うのです。時間もないですけれども。
 1つだけ気になっているのが、日本人の犯している誤用ではないかと思うのが実施頻度です。食事、入浴、睡眠、全て生活習慣は、食事を実施するとは言わないので、これは単に実施という言葉を取って「頻度」で使うか、やるなら「入浴頻度」というか、あるいは運動なら「実践」と使うべきで、「実施」ということは、留学生からも日本語として不適切ではないかとよく聞かれます。ちょっと気になっていたので。
○戸山座長 ありがとうございました。今の御意見ですと、入れられるものであれば、若干含めてもいかがなものかという御意見だったと思いますけれども、基本的に全く反対ではないということかと思います。
 ほかにどうでしょうか。いかがですか。よろしいですか。
 基本的には、今、宮地委員の意見に反対ではないということですので、今の意見も入れられるかどうかを少し煮詰めさせていただきながら、この件に関しては宮地委員の意見を主にとりながら進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 その次の視点2のところです。これは、国民からみますと、運動を取り組んでいて短期でも効果があるものを示して下さいというものは当然のことだと思いますし、こちらから示すとしても、こういう効果が得られますよというものは示してあげるべきかと思うのですが、短期の効果について言及できるかということです。これも当然、エビデンスに基づいた形でどのぐらいあって、それが示せるかになろうかと思いますが、この視点2に関しての御意見はいかがでしょうか。
 どうぞ。
○宮地構成員 前回、鈴木志保子先生から御指摘をいただいて宿題という形で受けとめておりますので、私なりに勉強してまいりました。肌がきれいになるとか、スタイルがよくなるとか、たるみがとれるとかいろいろあるわけですけれども、エビデンスを調べてみましたところ、これは言ってもいいのではないかと思えるのは、複数の無作為割付介入研究があり、さらに総説やメタ解析等でしっかりそれが承認されているというものであれば、まず1つあるのは、腰痛や膝痛のような非常に高齢者に多いようなものを、ストレッチや筋トレなどの運動介入で改善することができるのだと。しかも昔から言われているような余り強度の高いものでなくて、ストレッチであったり、軽い体操でもかなり効果があるというエビデンスもありますよということが、例えば『日本公衆衛生雑誌』に種田行男先生らが2008年に、『日本整形外科学会雑誌』等で赤井正美先生らが2006年にということで挙げられております。なので、ストレッチや筋トレは膝痛や腰痛にいいのでやってみましょうというようなのはいい言い方かもしれません。
 それから、風邪とかインフルエンザが予防できますよというのは、冬の季節が近づいてきたりするといいだろうとに思います。実は、これについても複数RCTがありまして、例えば『The American Journal of Medicine』などでChubakらが中強度の、過度でない身体活動は上気道感染症の発症リスクを下げるということをRCTで示しておりますし、総説等でも「Exercise and Sport Sciences Reviews」に2009年に出された論文でも、過度はだめだけれども中強度ならよろしいと示唆されておりますので、あれもこれもというわけにはいきませんけれども、この2つぐらいのものに関しては現場で保健師さんや管理栄養士さんが使っていただいてもよろしいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○戸山座長 前回の宿題と受けとめていただいて、たくさん調べていただいた中でしっかりRCTエビデンス、あるいは介入研究の中で出てきたものが2つ挙がっていたと思います。運動器障害に関しては、比較的短期で得られる効果も出ていますよというのと、感染に関しても効果が出ているようであります。これは、たくさん調べられた結果での御報告と思いますけれども、もしそういう形でよろしければ、幾つか今、宮地委員からお話があったものも1つ2つを入れ込んで言及というものがよろしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○鈴木(隆)構成員 今の件に関して、異存はないのですが、むしろよくわからないのは、短期的に得られる効果というのは何かということです。例えば私のイメージでは、宮地先生に全部メタ解析してやっていただきましたけれども、プロスペクティブなRCTなのです。そうすると、RCTをやっている期間だけの問題なのです。だから、逆に言うと、私は全て短期だと思っているのです。
 20代にどのぐらい運動をやっている人が、60代、70代、80代で心血管系のイベントがどれだけ減ったかというのは、非常に限られたコホートスタディーしかありません。例えば、パッフェンバーガーのハーバード大学同窓生の追跡研究とかです。多分、私どもが知っているのは、先ほど認知症が出ましたけれども、認知機能低下についても、多くのもののRCTというのは、たかだか1年、2年、あるいは数年なのです。これは、ある意味で短期だと思っています。だから、この短期的に得られる効果というのは、一体何を基準にしてやるかということを決めないと、ちょっと今の議論はぶれてしまうのではないかというおそれを持っております。
○戸山座長 どうぞ、事務局から。
○佐藤課長補佐 今のところ、事務局のほうで短期的という言葉を使ってしまったために、そういった御指摘をいただいたのだと思うのですが、そもそもは資料1の論点5のところにお示ししましたように、2つ目の○なのですが、「運動指導の説得力を増すためにも、生活の中で実感できるメリットを提示できないか」という御指摘を念頭に置いたものでしたので、言葉の使い方には注意したいと思います。ありがとうございました。
○戸山座長 ほかにいかがでしょうか。確かにそうですね。短期的というインターバルで見ると、そういうとらえ方になってくるということで、論点5のところと御理解いただければと思います。
 どうぞ。
○内藤構成員 同じような議論かもしれませんが、短期で効果を出そうというそもそもの目的が、本来的な目的ではないというか、最終的には、要は運動してみたら気持ちいいでしょうとか、そういう運動をしない人にさせるためのニンジンのような感じといいますか、そういうイメージの効果であって、最終的には慢性疾患の予防とか、あるいは長期的には医療費の抑制とかそういうところにつながる効果を目指すべきなので、余りここにこだわらなくても、とにかく運動したらこんなことが期待できるよというような話ができればと思ったりしています。
○戸山座長 ここのところは、多分、出し方、言葉、文言の使い方ということでよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。多分、それが一番大事になってくるのかなと。
 どうぞ。
○藤川構成員 得られる効果ということで、短期的にも長期的にもですけれども、糖尿病とか予備群の方の場合は、やはりインスリンの感受性が運動によって高まるということで、痩せた糖尿病の患者さんでも、痩せるための運動ではなくて、骨格筋にブドウ糖を流す感受性を上げるための運動でぜひしたほうがいいということで、先ほどのに戻ってしまうのですけれども、糖尿病の場合は、1日しっかりやれば48時間効果が持続しますよということをどなたかの先生がおっしゃったのを、結構どこかのマニュアルに書いてありましたので、そういった感じでは指導しておりますので、効果ということでは、血糖を下げるインスリン、要するにメタボの高血糖のそういった方たちに勧めるという意味でも効果があるというところでは言及してもいいのかと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。生活習慣病、糖尿病等々は、また後ほどお願いしたいと思いますけれども、幾つか出ました。糖尿病が出ました。その辺のところのエビデンスというものをもう一度確認していただいて、短期的という意味合いではなくて、言葉の出し方を十分注意して、生活の中で実感できるメリットですよという形の出し方であれば、多分よろしいのではないかと思います。そういう視点で御了承いただければと思います。ありがとうございました。
 それから、今度は視点3に移らせていただきます。「体力に関する基準として、全身持久力のほか、筋力等について設定できるか」ということでございます。これに関していかがでしょうか。
○宮地構成員 これについても、実は私たちの研究班で全てメタ解析まで終わっております。ただ、前回の会議でも申し上げたとおり、体力の中でも全身持久力と比較しますと、筋力や柔軟性等のその他の体力は余り十分なエビデンスがあるとは言えません。基準値という形では恐らく示せないと思うのですけれども、幾つかあったものとして、高齢者の握力が強ければいいという文献は、日本人も含めて数多くあります。
 それから、ふだんの歩行速度が速ければいいというエビデンスも複数あります。ただ、論文の数は全身持久力や身体活動量や運動量に全く及ばないということがあります。なので、基準値を策定するということは多分できませんけれども、参照値のような形で、例えば握力であれば、男性は65歳で40キロ弱ぐらい、女性で20キロ強ぐらいはあったほうがよろしいですとか、歩行速度であれば74 m/分、強度ですと3.5メッツなので、高齢者が歩くのにするとちょっと速いかなという感じですけれども、それぐらい歩けると、36 m/分、その半分ぐらいですから、非常にゆっくり歩いている人よりもいいですよとか、を示して自分がどうあるべきか試せるような値というのを提示することは不可能ではないと思っています。
 ただ、繰り返しになりますが、基準値と同列には示せないと思います。
○戸山座長 鈴木委員がうなずいていますけれども、多分同じような感じではないかと、高齢者の中では、多分、先生もそんな感じでお示しいただいているのではないかと思います。
 今、宮地委員からは、握力と歩行速度は基準値にはなかなか難しいけれども、参照値としてはよろしいのではないかとの意見です。ほかにいかがですか。
 どうぞ。
○内藤構成員 基準と指針とでまた取り扱い方は違うかもしれないのですが、欧米のガイドラインでは、大体最近のものは筋トレが入っておりますので、それをこの基準に落とし込めるかどうかという、その辺がひとつ検討課題かと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、この全身持久力のほか筋力等々については、今、宮地委員から、握力や歩行速度等々、参照値として盛り込めればということと、今の意見も参照しながら設定する方向で少し事務局のほうで検討いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、よろしければ、視点4、「18歳未満について、基準を設定できるか」というところの御議論に入りたいと思いますが、冒頭で御紹介がありましたけれども、本日は文部科学省の白旗教科調査官にお越しいただいておりますので、学校体育での取り組みと幼児期の運動指針について御紹介いただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○白旗教科調査官 文部科学省で教科調査官をしております白旗と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうは学校体育の取りまとめをしておりまして、その関連ということで幼児期につきましても運動指針の作成ということで取りまとめをいたしました。きょうは、いただいた時間の中で学校体育、それから、幼児期運動指針の概要と、これも作成しましたというだけではなかなか浸透していかないものですから、少しでもよりきちんと学校関係者に浸透していくためにとった方策について少し紹介をさせていただければと思います。
 それでは、配付させていただきました「学校体育と幼児期運動指針の概要について」というペーパーに基づきまして、早口になるかと思いますが御説明をさせていただきます。
 では、1を見ていただいてよろしいでしょうか。教育は範囲が広いですので、体育だけということを考えていきますとなかなかうまくいきません。教育の中の学校体育ということなのですが、学習指導要領そのものにつきましては、授業の指導内容を規定しているものなのですけれども、大体10年に一度改訂をされています。今の教育では何を目指すのですかと一言で言われると、生きる力を育みます。それにつきましては3つの大きな要素になっておりまして、「豊かな人間性」「確かな学力」「健康・体力」と大きく3つなのですけれども、今回、非常に大きな事実としては、改正されました教育基本法という法律にこちらのことが位置づけられた。ですから、極論するならば、「健康・体力」、法の中の文章ですと「健やかな体」と書かれておりますが、教育の中では必ずこれを育まなければいけないということが法律に盛り込まれているということです。
 次に参ります。学校体育は、今回、2008年(平成20年)に改訂したのですけれども、一体何が課題になったかといいますと、1つは、上の赤い四角に「その課題を踏まえ」と、「健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現することを重視し改善を図る」と。今まで小学校から高校までのことしか考えていなかったのですけれども、大事なのは卒業した後である。そこにつながるような学校体育をしっかりつくっていこうという大きなテーマがありました。それに向けて内容の改善を図っていったのですが、「その課題」というところで、中央教育審議会の答申で補足で書かれた文章は、この下の●の4つでして、特に上の1つ目、運動する子とそうでない子の二極化が非常に進んでいる。もう一つは、体力が、いわゆる全国の体力調査をしておりますけれども、それが下がった低い状況のままで今もいるということ、このあたり、学校体育をさらに考えていく必要があるのではないかということが課題として出ておりました。
 次に、3に行きますが、そういうことで、大きな柱立てをつくりまして、1つは、「生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の育成」をしっかりしよう。この中には運動を好きになるということも当然筆頭としてあるわけですけれども、基礎的な技能がある程度はできる、楽しめるぐらいの技能ができるということであるとか、人とのかかわりとか公正な態度とかということもありますし、さらに、自分はどういう練習方法をとるとうまくなるのか、こんな思考・判断といいますけれども、そんなことも大事だということで、まずそういうことをきちんと小中高を通して学んでいこう。
 2つ目は、きちんと動ける体を小さいうちから育む、こういうことを2つ目の視点としていこう、これが体力の向上に向けた指導の充実。
 3点目は、体育の中でも保健という領域が単独でありますけれども、これはきちんと知識を身につけて、それがふだんの生活の中で生かせるように段階的に指導していきましょう。
 この大きく3本が今回の学習指導要領の柱になっています。
 では、4に参ります。こちらでは、先ほど運動の二極化という話がありましたが、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」をやっておりまして、これを見ますと、運動習慣についてのグラフが変わらない、どの年を出してもほとんど同じような図になってしまうのですが、例えばこれでいきますと、小学校女子を見ますと、生活の中で体育以外で体をどれくらい動かしていますかと聞きますと、1週間の合計が60分未満と言っている小学校5年生が全体の4分の1近い状況です。運動している子が、時間が少ないほど人数が多いという、小学校ではそういう形になっておりまして、中学校の女子を見ていただきますと、同じく1週間で60分未満という子が3分の1近くいる。中学生の場合は部活動をやっている子たちは結構動いているものですから、ラクダのこぶのように少し多い子たちもいるというのが現状です。
 左側は男子なのですけれども、男子でも1割ぐらいは60分未満というような状況になっておりまして、これは数値としてきちんととったがために、非常に深刻な問題だなと改めてわかったところでございます。
 ですから、この下にありますように、体育の時間だけは逆に言うと必ず全員していますので、ここでいいものをつくって魅力あるものにしていくことが非常に重要だということを、全国の教育委員会を集めての協議会でも指導しているところであります。
 次に、5に行きますと、体育の内容の構成図なのですが、小学校から高等学校まで、器械運動系、陸上、水泳、ダンス系、そして球技系、さらには武道、こういった運動領域と、これ以外にちょっと特殊になるのですが、体つくり運動という体力を高めていくことを目的とした領域が1つあります。ほかの領域は、例えば小学校1、2年生、2年間の中で学習をしますということなのですけれども、体つくり運動だけは必ず毎年しますということで決まりになっています。
 この色が違うのは、子供の発達というのは校種ごとにすぱっと変わるものではなくて、むしろ4年ぐらいで大きく体も心も変わるのではないか、そのあたりを踏まえて全体を整理しましょうということで、4年ごとのまとまりを一つの塊としてとらえていまして、そうなってくると楽しさというのも小学校4年生ぐらいまではいろいろとやる楽しさ、余り難しいことをやるよりは易しいことをたくさんやって自信を持ってもっとやりたい、そういう子育てを。小学校の高学年から中学校2年生ぐらいにかけましては、かなり体が伸びてきますので、物も客観的に考えられたりしますから、その運動、スポーツと言ってもいいかもしれませんけれども、その基礎的なことがきちんと身につくようにしていきましょう、そういう楽しさを追求していこう。
 最後は、中学校3年からその先につきましては、自分でやってもっとやりたいというものを選んで、それを深めていく、そういう楽しさを見つけていこう。卒業した後も何かの運動やスポーツにかかわっていけるというような、それを豊かなスポーツライフというものにつなげていける、そういう仕組みにしましょうということが今回の大きなコンセプトです。
 6は体育理論というのがありまして、中学校以上はある程度理論的に心や体の発達ということについて学んでいくとか、保健のほうでは習慣化を図っていくための動機づけをしていくとかいうことで、自分や人、友達とかの心や体に関心を持てるような、そんな狙いを持ってこのような形で整理をしています。
 体つくり運動というのがちょっとわかりにくく、なおかつ、今回では一番かかわるところかと思いますので、この後少しお話をさせてください。
 7を見ていただきますと、体つくり運動というものがまた大きく2種類ありまして、1つは体ほぐしの運動というものです。別にマッサージをするわけではないのですけれども、どちらかというと心ほぐしと言ったほうがいいかもしれません。体育は、どちらかというと勝ち負けとか高まったとかというところに行きがちなのですけれども、そもそも体を動かすこと自体が楽しいということで、そこにスポットを当てたものです。
 それから、下にあります色がついている「多様な動きをつくる運動」「体力を高める運動」というのがあるのですけれども、「多様な動きをつくる運動」というのは今回初めて登場しました。子供は遊んでいれば、こんな基本的な動きというのは知らないうちに身につくでしょうということで今までなかったのですが、どうもそういうわけではないぞということで改めて入ったものです。青の「体力を高める運動」というのは、意図的に自分の体のことを知って、どういう体づくりをしていったらいいのか、それを運動を通して学んでいく。これ全体を体つくり運動領域と呼んでいます。
 もう少し補足を今度は8のほうでさせていただきますと、今言いましたように「多様な動きをつくる運動」も大変わかりにくいですけれども、ネーミングどおりでして、いろいろなことをしていて、基本的な動きというのが当たり前のようにできるようにしていきましょう。でも大事なことは、そうしますと、どうも体育は特訓してしまって、嫌いにしてしまう。もっときれいに回りなさいとかいうことでどんどん嫌いにしてしまうという傾向があるものですから、そうではなくて、楽しくやっているうちに気がついてみたらできたという、そういう体育を目指さなければだめですよと。
 それに対しまして、小学校の高学年以降は、まず体力の高め方ということをそもそも知らなければいけない。ここで言っている体力というのは、柔軟性、巧みさ、筋力、持久力と大きく4点言っていまして、運動へのパフォーマンスもありますが、それ以外にも健康の保持増進につながるとか、意欲や気力にも結びつくということで体力を捉えています。
 中学3年以降、高等学校にかけては、今度、自分の生活にきちんとこれが応用できるように、自分にとってちょうどいい負荷であるとか、運動の種目であるとか、そういうことを考えていく。ですから、そこではメッツも登場して、授業の中で使われております。
 9に行きます。「多様な動きをつくる運動」についてです。そもそも子供が遊んでいればできたのではないか、例えばスキップがこんなにたくさんできないのかとか、養護教諭の方がよく言われていたのですけれども、転ぶと歯を折ってしまう、何で手が出ないのかというと、そういう経験をしてきていないので、気づいたときには歯を折ってしまっている、ものすごく歯を折るという子供たちが増えている。歯自体が弱いのかもしれませんけれども、これは、やはり異常なのではないかということで検討が進んできたところです。どうももとをただすと、経験する運動の量も少ないのですが、経験する種類が少ない。遊んでいる遊びが本当に固定されてしまっていて、限られたことしかしていない、どうもこのあたりに原因がある。では、この後改善されていくのかというと、まず放っておいたら、さらによくなくなるだろうと。であれば、必ず全ての子供が通る学校体育でしっかりやろうよということで入ってきたのが、この「多様な動きをつくる運動」というものです。10歳ぐらいまでに何とか体力を高めるとか、スポーツの技能を身につけるとか、そういったことの素地が育つようにしていきましょうといったコンセプトです。
 10のほうに行かせていただきますと、スポーツ基本法というものが昨年の6月に制定されました。当然、法ができますと、それを振興していくための基本計画というのができるのですが、ことしの3月末にできた基本計画、柱立てについて話し合われました。当初は、この3番目、?と書いてあります緑の「住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境整備」といったものが特に話題に上っていたり、あと、?番、「国際競技力の向上」、オリンピックの前だったということもあったのですけれども、最終的には、やはりみんながどの人もと考えていくと、学校体育をもっと充実する必要があるのではないかということで、子供のスポーツ機会の充実が大きな話題になりました。その中の?の1番目が、下の四角にあります「幼児期からの子どもの体力向上」と、幼児期ということ。それから、2番目に「学校の体育に関する活動の充実」です。
 そこで、幼児期ということになるのですが、11のほうでは、先ほど申し上げましたように、小学校の低学年、中学年ですから、7歳から10歳ぐらいまでが対象なのですが、小学校に行って、「ちょっと一回転回ってごらん」と言うと、ばたばた子供が倒れるという状況で、友達と一緒に立とうというと、完全に依存してしまうのか、加減がうまくできないというちょっと驚くような状況でした。でも、それは突然小学校に上がってできなくなるのではなく、当然、その前に原因があるだろうと。幼児期については、平成19年から21年、3年かけまして文部科学省で調査研究を行いました。それをベースにしてつくっていったのですけれども、まずは数値的に明らかに体を動かす機会が減っているということ。それから、その子たちの少し運動といいますか、体を動かすようなことを投げかけていった幼稚園を卒園した子たちと、そうでない幼稚園の追跡調査をしていきましたところ、かなりその後も影響しているなと。小学校に上がってからの追跡調査でも、体力・運動能力調査を調べますと、やはり高い傾向にあるということで、きちんと手を打たなければならないだろう。しかも幼児なので自主的にといっても無理なものですから、大人がわかっていないことにはどうしようもない。そこで大人向けに指針をつくっていこうということになりました。
 簡単に言ってしまいますと、四角にあります「毎日合計60分以上楽しく体を動かすことが望ましい」と、これに集約されてくるのですが、色を変えているのは、それぞれ深い意味があります。ただ60分動けばいいということではなくて、多様性ということがとても重要であるとか、あと、楽しくということが大事で、なおかつ、60分と書いていますが、量ですね、時間というより本当は量なのだと思います。それから、3歳と5歳ではかなり違いますので、みんなに同じことをさせればいいということではありませんよと、そんなことがその指針の中には盛り込まれています。
 60分という量に対しましては、非常に文部科学省内でもいろいろ意見がありまして、本当に出せるのかというのはあったのですけれども、もしこの60分というのを出せなければ、毎日たくさん楽しく体を動かしましょうというだけですから、それが指針なのかということで、当たり前のことではないかで終わってしまいますので、何とか出す必要がありました。かといって、55分ではだめで、65分はもっといいと言えるのかといいますと、なかなかこれは難しい。先ほどから出ていますが、明解なエビデンスは難しいので、大体という感じです。1つは、私たちが狙ったのは、わかりやすいものでないと浸透できないということ、もう一つ、できそうなものを出さないとやってみようということにならないということがありまして、先ほどの調査研究の1つのデータから言いますと、1日60分体を動かして、外遊びをしているかに対して、4割を超える子たちがどうもそこに達していない。でも、6割弱の子がいけているので、ちょっと意識すればいけるあたりの数値かなということであるとか、あとは、次の13ページのほうにありますが、WHOとか他国の似たような指針レベルのものを見ていきますと、多くの国で60分というのが一つの指標として出していますので、このあたりがやはり妥当なところではないかということで60分という数字を出しています。
 時間になりましたので、この後につきましては、とりあえず学校の体育だけでは難しいですよという図が14番で、15番のほうは運動に関しての、例えば話をするとか一緒に見るとか、子供に何か話をする、1週間以上どのくらいありますかという頻度と、子供の体を動かしている時間の相関を見たものです。こういう環境があると子供というのはそこにすごく影響を受けるというあたりが出ているところです。
 最後にこれだけお話しして終わりにしたいと思います。16のところです。やはり文部科学省も、何かつくって配ればみんなわかっているのではないかとつい思いがちなのですけれども、なかなかそうはいきません。ただ、教育ですので、指導者がとにかく理解していただかないことには実現は難しい。しかし現実は、やはり日々忙しい、なかなか目が届きません。そこで、ここにありますのは、皆さんにお配りされているかと思いますが、ここで訴えたものは、幼稚園、保育園の先生方も、御自身が遊びを余りしてきていない世代に入っている方も多かったということで、なかなか遊びが広がらない。知らない人から知らない人に伝えているような状況が起きているのではないか。そうすると、1つのものでもいろいろな遊び、工夫によってどんどん広がる。そうすると、そこで経験できる動きが変わってくるということを何とか訴えたいと思いまして、それを22万部ほどつくって配布しています。ただ、それはそのときに思いついたのではなくて、その前に小学校版で、先ほどの「多様な動きをつくる運動」で作成しているのです。結局、先生方も何をやるかわからないのです。ですから、こんな小学校版をつくったところ、これが圧倒的に先生たちに見られました。これはいけるのではないかということで中学校版をつくったら、やはり中学校版も同じくそればかり見られるのです。というわけで、幼稚園版もつくってみたという流れであります。
 1つめくっていただいて17、これが最後なのですが、学習指導要領という名称が非常にかたく、ものすごく無機質です。それを教員用に解説している学習指導要領解説体育編という本がありまして、これは編集したのは私なのですが、自分で言うのも何ですけれども、読んでいておもしろくはないです。ものすごく無機質というのでしょうか、余計なことは一切書いてありません。しかも、図も何もなく、文字だけで動きを説明していますので、これだけ見ていい体育の授業ができる人は、多分なくてもいい授業ができる方かなと。何とかもっと多くの教員にわかるようにしたいということで、こんな『まるわかりハンドブック』というのを図入りでつくったのです。何の丸わかりかというと、学習指導要領の丸わかりでつくりました。これをつくっていく間で、やはり静止画だと難しいなということで、田中理恵さんの写真があるのですが、彼女をはじめ、アスリートにもちょっと参加をしていただいてデジタル教材を、この丸わかりの動画版をつくったという、そんなことをして、よい体育の授業づくりに取っかかってもらう敷居を低くして、何だろうと思ってまず開かせる。開いてみて気にかかったら徐々に上に戻っていって、最後はちゃんとこれを読んでもらうというような仕掛けをこの二、三年で施していったというところでございます。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。白旗調査官の御説明がございました。学校体育についての概要ということでしょうか、取り組みということでしょうか。それから、指針、なかなかすばらしいものを見せていただきました。非常に広く利用されているということでございます。ありがとうございました。
 さて、ここから議論に入りたいと思いますけれども、今、運動指針ということでは、合計60分以上楽しく体を動かすことが望ましいということを全面に出しているお話がございましたけれども、さて、18歳未満、子供の基準に関して設定できるかで御議論いただければと思いますが、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○宮地構成員 医学的なアウトカム、例えば子供のころにたくさん運動すると長生きするとか病気になりにくいというエビデンスは、先ほど白旗専門官がおっしゃったように、あいにくまだないですね。それは、やはり50年も60年も追跡する研究は実際にはまだできていないという現実だと思います。
 厚生労働省として、そのための基準とか指針というのを明確に今の段階でつくれるかというと、エビデンスベースでは、やはり難しいだろうと思います。ただ、文科省のものは非常によくできておりますので、文科省の60分楽しく遊ぶというのを応援していくとか、あるいは、子供たちの取り組みが将来大人になってからの健康につながるのだということをある程度明確にしていくというのは一つの立場かなと考えます。
○戸山座長 ありがとうございました。18歳以下での明確な基準、エビデンスに基づくものは、どうも現時点では拾い上げられていないということかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○内藤構成員 非常にわかりやすい指針があって、これは非常にいいと思いました。やはり将来、だんだん大人になって、危惧されるような運動というか、身体活動が非常に少ない大人が増える状況では、いち早くこういう幼児というか、子供向けの指針は、やはりつくるべきではないかと思います。
 ただ、ちょっと気になったのは、スポーツというか運動が前面に出て、ふだんの電車の中ですぐ座ったり、ゲームをしたり、そういう日常生活での活動のことをもうちょっと、学校のことでは入れにくいかもしれませんけれども、何か含めることができないかと思いました。前に下光構成員のほうから提示されたイギリスの指針によれば、とにかく動くのだというような指針が出ておりましたので、寝るとき以外はとにかく動けという感じで書いてあったのが非常に印象的だったのですが、何かそういう日常生活の中で活動的な生活をするようなメッセージも、もし子供用のものをつくるのであれば入れておいたらいいのではないかと思いました。
○戸山座長 ありがとうございました。第2次健康日本21の中にも子供からの運動の重要性が盛り込まれております。ただ、基準に関しては、今、宮地先生のお話もありましたけれども、少し厳しいところにあるのかという感じがいたします。
 ただ、座長からですが、私は整形外科ですけれども、思春期、子供のころからの運動が骨密度を上げて非常にいいというのはよく出てくるところです。ただ、これが本当に基準として使えるかどうかは、もしよろしければ事務局のほうで検討していただいて、もし可能であれば次回お示しいただくし、これは厳しいということであれば、それで結構です。
 18歳以下では、そういう方向でよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○下光構成員 12年前ですが、健康日本21の身体活動の目標値を立てるときに、子供も対象にしようかということで身体活動・運動分科会の私たちは、テレビゲームをする時間を減らしたり、非活動的な時間を減らそうという目標を立ててみたのですが、親委員会ではまだ時期尚早ではないかということで立ち消えになったことがありました。
 ただ、その当時もアメリカ小児科学会や日本の小児科学会で、テレビゲームを長くやっている子供たちの健康障害が問題になっており色々勧告を出していたかと記憶していますですから、その辺については運動をすれば健康になるということではなくて、内藤先生がいわれたようなことの流れで、何か基準とか指針が入れられないのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○戸山座長 ありがとうございました。これも少し調べさせていただいて、次回もしそのようなものが可能であればということで、事務局で御検討いただきたいと思います。ただ、この基準に関して、それが明確に出せるかを問われていると思うので、そこだと思います。座長のほうからの骨密度と運動の関係や、今お話ししたことを少し事務局のほうでもんでいただいて、出せるものは出していただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、そうさせていただきます。
 その次、視点ですけれども、5は後ほどやります。視点6の「新たな基準の名称をどうするか」で、これは本当は第1回目で決めていただくなり、御議論いただくべきことですが今までを踏まえた形でいかがでしょうか。できればここで意見をいただいて、方向を決めさせていただければと思うのですが。資料1にありますように、「身体活動・運動基準」ないしは「身体活動基準」に変更してはどうかという御意見もいただいたかと思うのですけれども、「運動基準ではなくて・・・」、いかがでしょうか。どなたか御意見をいただければと思います。
 どうぞ。
○下光構成員 これは前の指針の検討会においても委員の中ですごくディスカッションされたところで、そのころは既に体力科学の分野では、運動やスポーツではなくて身体活動を推進しようという流れになっていたのですけれども、身体活動という言葉が一般的な言葉になっておらず国民にはわかりにくいだろうということで、運動指針、エクササイズガイドという言葉になった経緯があります。それから6年がたちまして、身体活動という言葉も徐々に広まってきていますし、国際的にも運動という言葉は使われていないので、ぜひフィジカルアクティビティー、身体活動という用語を使用していただければと思います。そのあとに運動をつけるかどうかは、また別問題かもしれません。よろしくお願いいたします。
○戸山座長 ありがとうございました。今の御意見は、身体活動という御意見だったかと思います。いかがですか。その方向でよろしいですか。
 それでは、そういう方向でこの部会では身体活動基準とさせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤課長補佐 現在の基準は、健康づくりのための運動基準2006というふうになっているのですが、この頭の部分はいかがいたしましょうか。
○戸山座長 そうですね。「健康づくりのための運動基準2006」という頭のところ、これも大事ですね。いかがですか。運動基準云々は身体活動というものに変更ということですけれども、いいアイデア、ないしは継続でも結構ですし。
 どうぞ。
○内藤構成員 これは後の、いわゆる病気の人も含めて、この指針があるかによってちょっと変わってくるのかと思います。だから、対象者がどうなのかということになるかと思います。
○戸山座長 ほかに御意見いかがですか。基本は、健康づくりは健康づくりなのですけれども、そうすると、「健康づくりのための身体活動基準」という、皆さんの顔を見ているのですけれども、大体「うん、うん」と。
 よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○宮地構成員 私は、やはり健康づくりのためのという明確な定義が必要ではないかと思います。
○戸山座長 よろしいですか。では、そういう形で頭の部分は継続で、下は身体活動基準という名称にさせていただきます。ありがとうございました。
 その次は、資料2の5ページ目をごらんいただきたいと思います。これは、今後「新たな指針を作成する際の視点」ということになります。主として、誰が何の目的で利用するかということで、これも、やはり本来第1回目で定めておくべきかと思いますけれども、第1回目では、一般の方にわかりやすいのにしてくださいと、基準というものは研究者ベースでとかいろいろあろうかと思うのですが、この辺に関して少し意見をいただきたいと思いますし、いかがでしょうか。
 前回の基準は、確かに余りにも少し数値云々は難しく、わかりにくく、研究者向きで、もう少し広くどうだという意見も出たかと思います。
○佐藤課長補佐 補足させていただきますと、今回のは、第1回、第2回の御議論を踏まえまして、今後、事務局から素案を作成させていただくに当たりまして、誰が何の目的で利用する指針なのかというところだけは明確にしていただければと思っております。
 もともと基準は研究者のためということは、研究者は当然使われるということではあったのですが、2006の指針につきましては、一般の方向けということで、つくられたものでした。ただ、第1回でいろいろ御指摘がありましたように、内容、ボリュームも含めてなかなか一般の方には難しいのではないかといった御意見もあり、また、この運動基準・運動指針を活用する方々という意味では、保健指導の現場、特に医師、保健師、管理栄養士といった方々が保健指導の現場で活躍されているわけですけれども、そうした方々が利用されることを念頭に置くのかどうかといったところを少し明確にいただけるとありがたいかというところでございます。
○戸山座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○鈴木(志)構成員 私のプレゼンの中にその件についていろいろ入れていまして、今述べるべきかとても複雑な状況にあるのですが。
○戸山座長 この点に関してですか。
○鈴木(志)構成員 はい。対象者や評価に関してです。
○戸山座長 今のこの点に関してであればいいですよ。どうぞ。
○鈴木(志)構成員 対象者に関して、指針は、一般国民を対象に作成すべきであるべきと考えています。運動と栄養、栄養とフィジカルアクティビティーは切っても切り離せない問題なので、さまざまな対象者別に栄養と身体活動のガイドラインを専門家用には作成していくべきではないかと考えています。中途半端に入れ込むよりは、切り離して考えていく方がいいのではないかという提案を持っています。
○戸山座長 指針は一般国民向けということです。明確にお答えいただきましたけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○内藤構成員 同じような趣旨になるかと思うのですけれども、ガイドラインというか、指針は国民向けです。あと、それ以外、研究者という想定した対象がありますけれども、研究者というよりは、むしろヘルスプロフェッショナルというか、いわゆる指導の現場とか、あるいは、いわゆる特定健診、特定保健指導の現場で、保健師あるいは健康運動指導士という人たちが、こういう運動はどういう意味があるのかと聞かれたときに、その虎の巻というか、そういう根拠として使えるようなものが一つ望まれるのではないか。
 国民も、やはり自分で知りたいという方はおられると思いますので、それにもちゃんとしたエビデンスが載っていますよということで、信頼のできるニュースソースとして、情報源として位置づけられるのではないかと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。大体皆さんの意見、方向は一致しているかと。要するに、基準というものは、今お話しした保健師とかヘルスに関係するようなところを基準に置く。それから、指針に関しては一般向けということでよろしいですか。
 今後、特に指針に関しましては一般国民向けと明確にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 今日は2時間半とっておりまして、非常に内容が濃くなっております。ここからの御議論でお願いしたいところは、議題2に移らせていただきたいと思います。
 議題2は、現在、医療として行われる運動療法についてです。保健指導、メタボリック、糖尿病等々に関しまして、いろいろな形で運動療法の取り組みが行われていると思います。その中で、肥満の方、非肥満の方、両方が含まれるかと思いますが、こうした運動指導について、いろいろな立場から、きょうは4名の構成員の先生方に御発表いただいて、その後、少し意見交換をさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、早速、内藤構成員から、生活習慣病患者における運動指導の意義とそのメカニズムについて御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○内藤構成員 テーマに沿った内容にちゃんとなっているかどうか少し自信がないのですけれども、まず、運動量、身体活動というものをどう位置づけるかということで、それを今まではずっと量的なものでこのぐらい必要ですという議論があったのですけれども、その次に、やはり大事なポイントとしては、身体活動が健康にとってどういう影響があるかということで、それを整理することが必要だと思いますので、それについての情報を提供したいと思います。
 一般向けの資料を引っ張ってきたので、少し簡単なところはありますけれども、要は、いろいろな部位、いろいろな病気に身体活動というものが影響するということであります。指導の現場、特にこれは基準よりはガイドラインのほうで大事になるかとは思うのですけれども、いろいろな生活習慣病、あるいはほかの病気と考えられるようなものに、例えば先ほど言われました感染症なんかにもそれなりの防衛効果があるということで、とにかく身体活動はこういう意味があるということで、それをちゃんと伝える必要があると思います。それについて全体のリストアップしたものと、それから、一つ一つのもう少し詳細なメカニズムがあると、こだわる人には納得していただけるのではないかと思います。
 ここで準備しましたのは、今の時点で考えているものを挙げたのですけれども、がんに対する効果というのが少し抜けていますので、そういうところももう少し整理して、基準のほうにもどういう効用があるかということを提示していけばいいのではないかと思います。
 また後で、論点のところで出ましたけれども、エビデンスをどこまで載せるか、ここにも一緒に載せるかということで、もし大きな作業が伴うのであれば考えないといけませんけれども、ある程度可能であれば、エビデンスのレベルランクとか、あるいはレベルを入れるのが難しければ、あるかないかという形で示すとわかりやすくなるのではないかと思います。
 きょうは論点のところで、指導の現場で今とにかく問題になっているのは、3ページ目ですけれども、メタボリックシンドロームあるいは糖尿病に身体活動は効果があるかということで、いろいろなエビデンスはもちろんあるわけですけれども、単純に3つの病態プラス肥満ですけれども、それぞれに対して身体活動は効果的であるということは、もう既に十分なエビデンスがありますので、それからだけでもメタボリックシンドロームには効果ありと言える。ただ、メタボリックシンドロームの本体としては、インスリン抵抗性の話が出てきますので、そこに対する効果をもう少し丁寧に、ここには十分に示しておりませんけれども、それぞれエネルギー消費とインスリン抵抗性の部分と、筋肉における糖の取り込みとか、そういうところを中心に説明するような資料を準備すればいいのかと考えられます。
 それから、今回の議論でも挙がっておりますけれども、身体活動の過剰も、この段階ではまだ不十分な記述が多いですが、やはり載せたほうがいいのかなというふうに考えて、それを準備しておきました。
 具体的なデータに関しては、5枚目のところにちょっとありますけれども、先ほど感染症の予防効果があると、適度な身体活動であればあるということですけれども、逆にやり過ぎると感染症のリスクが高まるというエビデンスもあるということを示しています。
 それから、整形外科的には、身体活動量が増えれば、けがというか、いろいろな整形外科的な問題が起こってくるということで、オーバーユースの問題も情報提供したらどうかと考えます。
 あと、それぞれ効果があるというふうに論じていますけれども、どの程度の効果があるかということで、やはり量的な部分も少し情報提供するといいのではないかと考えます。まだ一つ一つ断片的な知識で申しわけないのですけれども、そういう形の構成ができればと考えます。
 それから、あと栄養と身体活動というのがペアで考える場面が多いと思うので、その辺の議論も一緒に情報提供はどうかと考えます。
 それから、、身体活動量をふやすことに関する話題が全体としては中心になっておりますが、もう一つ考えないといけないのは、セダンタリー(sedentary:不活動、座りがち)な生活の問題です。いわゆる座りがちな生活が多いわけですから、このことに関する情報提供というか、これもエビデンスを宮地委員のほうで十分検討されていると思うのですが、できれば基準、ガイドラインのほうにもセダンタリーに関する記述というのが盛り込めないかというのが、1つ私の提案です。
 セダンタリーの背景要因については、不十分なイラスト案で申しわけないのですが、例えばこういうものを、実際の指導場面で示すことによって、どの場面・時間で身体活動をふやすかという、時間の有効活用というのでヒントが見つかるのではないかと思います。実際の運用というか、これから身体活動をふやしていこうという場面での提案も盛り込んでいくべきではないかと考えます。その後には、それを考えていく上での運動習慣にしていますが、、運動を定着するための要因について、こういう要素を考えていかなくてはいけないということを示しました。何というか、概念的な提案だけで具体的に何をやるか、この資料には出してはおりませんが、これらの要因を考えながら組み立てていく必要があるということで、この資料をつくらせていただきました。
 それから、先ほどの議論に関係するのですけれども、指針の対象の問題があります。健康人であれば勧奨ということになろうと思うのですが、半健康人というか、メタボリックシンドロームの人が該当するかもしれませんが、これらには指導、そして病気の人になってくると処方という形になってきますので、この指針をどういう対象にするかというところでもう少し考えておくというか、議論する必要があるのではないかと思います。
 最後の2つの資料は、実際の指導の現場で、あるいは個人が簡単に健康情報を収集するのに、こういうコンパクトにまとめたリーフレットのようなものをつくって、これで取っかかりにし、あるいは基本はこれで知っていただくというようなやり方です。これらは以前、厚生労働省の研究班で使ったりしたものなのですが、こういうものをこの機会につくれたらと考えて、例として提示させていただきました。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。後ほど総合討論は時間をとっておきますけれども、内藤構成員に関しまして、何か御意見、御質問はございますか。
 どうぞ。
○下光構成員 ちょっと細かいところなのですけれども、2ページ目の心理的な影響のところの過剰な危険性のところがランナーズハイになっていますけれども、ランナーズハイが問題(障害)かどうかということがあります。障害ということになると、ここはオーバートレーニング症候群やスティルネスという運動のやり過ぎによる障害を挙げていただくのがよいと思います。
○内藤構成員 そうですね、オーバーユースは筋骨格系で。
○下光構成員 メンタル的にもオーバートレーニングが鬱状態と鑑別が難しいというのがありますので、ここでもいいのではないかと思います。
○戸山座長 ほかによろしいですか。また後ほど総合討論をやりますので、それでは、内藤構成員、どうもありがとうございました。
 続きまして、田中構成員にお願いしたいと思います。地域での実践者の視点からで御発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○田中構成員 特定健診保健指導が定められる以前から、ちょうど30年前からこういう仕事に取り組んでおりますので、どうしても私たちのこれまでのやり方というのがございまして、多少独自のところも御説明しながら、できるだけ今後の保健指導に活用していただけるような情報を提供したいという気持ちを持っております。
 まず、タイトルは、私が考えるに、生活習慣病患者でもいいのですけれども、不良者に向けた、この言葉もいいかどうかわかりませんが、健康支援の一環としての運動勧奨という言葉を参加者向けに表現するとフィットするかなと。指導者にとっても敷居が低く、参加者の動機づけによい。ですから、制度であったとしても、募集案内等にはこういうメッセージも使っていただければと思います。
 1部は、介入(指導、支援)結果、2部が動機づけ資料、第3部は、指導内容を紹介したいのですけれども、時間の制限のため、きょうは割愛させていただきます。
 2ページ目に移ります。2ページ目がわかりにくいのですけれども、一番上の●1ですけれども、大学の個人研究室での活動は、先ほど言いました30年ぐらいやっています。●2のSMART Studyというのは2004となっていますけれども、1996の誤植です。このときに鈴木隆雄先生にも御指導いただいております。TARAとは何かというと、時間がかかるので一言で言いますと、筑波大学の先端学際研究プロジェクトというのが走り出しまして、そこで目玉のプロジェクトを採択してくれまして、オーダーメイド減量プログラムの開発というところに着手しました。オーダーメイドのことは、きょうは時間が限られているので、これも割愛します。
 そういった中で、下から5行目ぐらいに書いています「スマート減量プログラム」、最近スマート・ダイエットと言っていますけれども、こういったものを日本から、筑波大学から世界に発信したいという願いを込めて、こういう商標登録を取ったりしております。大学もベンチャーを立ち上げるようなことが盛んに言われまして、本部からの要請も受けまして、大学ベンチャーTHFというのを立ち上げて今日に至っております。きょう御説明するのは、この大学ベンチャーのデータはゼロで、全て大学で行ったものでございます。
 次のページを見ていただきたいと思います。1999年から2004年の5年間で、女性だけで459名の中年肥満女性を研究対象にしました。今は大体22~23%がメタボになりますけれども、15年前ですので、15%がメタボリックシンドロームに該当しました。予備群は半分ぐらいいますけれども、その67名のメタボ該当者が3か月後にわずか8名に減少したということで、顕著な効果が得られたというふうに言えるかと思います。
 その次は、2004年から2007年のデータですけれども、一番右にMSと書いてあるのがメタボリックシンドロームです。週1回限りの食事指導だけで76%の方がメタボから予備群、もしくはメタボから脱出改善です。週1回の食事に週3回の運動を加えて、87%がメタボ改善ですので、運動を負荷する価値は十分ある。ただ、食事1回、運動3回ですので手間はかかります。そういう意味で、食事にウエートを置いた保健指導というものは不可欠だと考えております。
 次のページをお願いします。これは国際学会で発表したものですけれども、下にDと書いてあるのが食事群、あとは、Aがエアロビクス、Wがウォーキング、Rがレジスタンス、ARがエアロ、プラス、レジスタンス。どれを見ても食事だけで7キロ、食事に何かエクササイズを含めると8から10キロ、すなわち食事に比べて、さらに1キロから3キロ余分に体重が減るということでございます。
 その次を見ていただければ、「ランダム割付study」となっていますけれども、対象群が動機づけ講話1回、弱介入群が、動機づけ講話+痩せるための資料提供のみ、強介入群が、講話と資料提供と週1回の集団指導を、大体3か月やるのですけれども、この中田らのスタディーでは6か月やりました。それで動機づけだけで3キロ、弱介入、資料提供だけで約5キロ、介入群が約8キロという、介入すれば大体8キロということがわかりました。
 摂取エネルギーの変化は、200、380、650と随分3群間に違いがあります。どのグループも歩数にして1,100歩ぐらい増加しております。そういうことで、3つとも同じように運動量がふえて、食事の改善、カロリーの摂取だけが変わったということで、これだけの結果が出ていますので、運動の重要性というのと、もう一つ、体重を落とす、腹囲を減らすというか、そういう目的には食事というものが大事だということがわかります。
 次のページは、ことしのデータなのですけれども、運動の有無でメタボリックシンドローム因子にどう違いが出るかということですけれども、1つ目、WCは腹囲です。2つ目、血圧、3つ目血圧、4つ目、HDLコレステロール、そして中性脂肪、血糖値。統計的に有意差が出たのは、腹囲とHDL コレステロールですけれども、これは人数が単年度で少ないので有意差は出ませんが、多くのデータを年度の違うやつを全部混ぜていくと、ほとんど全てにそれなりに運動の負荷的な効果は求められます。ただし、血糖値は今回有意差が出ておりません。過去のデータでも、一般に言われている糖尿病の血糖値の改善にいいと言いますけれども、運動を負荷してもしなくても私たちのところでは変わらない。なぜ変わらないかというと、糖尿病、血糖値の高い方がしっかりコントロールして採血するといない、一番少ないということが挙げられるかと思います。
 7ページ目ですけれども、次に、第2部、左下に書いてある「動機づけ講話」では、何で1回の講話だけで3キロも痩せるかというと、この肥満者の内臓脂肪体積の画像、右上の黄色の部分が体積の画像です。2つ目が面積です。そういう画像を示しながら、あるいはHDLコレステロールは、特に今、肥満男性は少ない人が多いのです。これは心筋梗塞リスクが高くなるというメッセージを出したり、私たちが開発した活力年齢だとか、そういう情報から説明します。
 もう一つは、サルの絵がありますように、『Science』に掲載されたコールマンらの研究ですけれども、遺伝子的に人に近いアカゲザルで、やはり食習慣改善が、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病どれをとっても顕著によくなる、長生きできる、疾病予防につながるということが言われていますので、ここで言っているように、個人を健康覚醒に導く。御本人がなかなか無理なら、奥様をお呼びして、その家族を健康覚醒に導く、そういうサポートをする。その中で食事の重要性と運動の重要性、両方をしっかり伝えるということをしております。
 次の8ページ目ですけれども、そういう意味で「成功への5か条」、頭の減量スイッチオン、あなたの頭のダイエットスイッチをオンにしましょう。現状把握、気づいてください。結婚前47キロ、今90キロという、それをもう一度反省し、決断しましょう、目標設定しましょう、目標設定も個人が主体的にするようにします。3つ目に食生活改善の実行。これは徹底してください。運動は嫌いならしなくてよい。しかし、いずれはやってください。ですから、好きになるまでというか、痩せるまでというか、やりたくなるまでちょっと待つという姿勢を私たちは貫いています。ただし、やるなら義務的にやるのではなくて、大いに楽しんでください。楽しめない人は余りやらなくてもよい。楽しむすべ、楽しむ方法を見つけましょう。これが先ほどの文部科学省の白旗調査官のメッセージと似たところがございます。そういうふうに決断し、目標を立て、食生活改善し、運動を楽しみという自身の行動変容を満足し、自己効力感を高めていって自信を深めて、自分もやれるという気持ちを持っていただいて、リバウンド防止、そういうふうにつなげていく。そういったことを最低1回、できたら月に一、二回、理想は週に1回指導することで、2、3キロ、4、5キロ、8キロ、9キロ減量が可能だということを栄養士、保健師、健康運動指導士らが効果的にサポートするというところが特徴でございます。
 あと1枚で終わりますけれども、この辺はちょっと抵抗があるかと思いますけれども、減量教室での第一声です。大半の肥満、要するに健診でひっかかって保健指導に来る方の大半の肥満、メタボは、健康な人の本当の隣だから、2つ目、大半の人で脱出は極めて簡単。二、三週間たてば7割、二、三か月たてば、私たちのところでは9割が席替えだということは、合計3,000名のデータからはっきり言えるということで、私たちはこういうメッセージを出しています。
 こういうメッセージは、取っかかりの敷居を低くする目的なのです。自信を見せているというわけではなくて、取っかかりの敷居、やろう、やれるという意味の動機づけなので、また参考にしていただければと思います。
 二、三週間でなぜ7割が改善するかという、これは先生方も抵抗があると思うのですけれども、1日3回の食事が1週間で21回、3週間で61回、61回の飲食行動の中の55~56回を変えると、運動があろうとなかろうと、見事に血液は反応します。そういう意味で、筋肉、骨、循環器系に運動は大事ですけれども、検査値を変えようとすると、運動は食事に勝てない。そういう意味で、食事も入れていくことが大事かと思います。
 最後に、これで終わりますけれども、肥満研究に出しているのが低頻度介入保健指導プログラムです。これは茨城県が導入してくれたのですけれども、2か月半で5回会うのですけれども、1回から4回は指導で、5回目は、もう最後の採血、体力測定、リバウンド防止講話ですから、本当の指導は4回です。それで大体最初は3.2キロで、5年目に5キロを超えました。5年目は23名全員が残る。そういう意味で、回数が、これは特定保健指導とちょっとパターンは違いますけれども、四、五回のコースでもわずか二、三か月で四、五キロの減量効果を上げることが可能である。その中で具体的なことは今後また情報提供し、何か指針に役立つ情報があれば提供したいと思っております。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。生活習慣病の中で、運動と食事と減量というものが特にキーワードではなかったかと思います。
 総合討論には回しますけれども、どなたか御質問はありますか。
 では、1つだけどうぞ。
○下光構成員 食事が大事というのは、すごくこの結果からわかるのですけれども、最初の3ページ目を見ると、食事で10%減って、運動だと3%ぐらいしか減っていないというところで、運動のインパクトが弱く感じられるのですが、運動の場合は体重減少というよりもむしろ体組成が変わる。運動をすることによって筋量がふえて、脂肪の減少と相殺されてしまう、そこでバランスがとれてしまうということがあるので、体重の変化だけでは評価できない。体組成の変化はこの研究でごらんになっていないのですか。
○田中構成員 体組成はDXA法で全身もやりますし、超音波法で骨強度、内蔵脂肪面積から、あるいはインピーダンスの多周波から全てやっております。そうすると、やはり運動をしているほうが筋肉は保たれているという結果は出ております。
 ここは運動のインパクトが弱いのですけれども、これは食事をかなりしっかり指導して全員脱出させたいという思いで、その影響なのです。食事の指導がもうちょっと緩やかになると、運動の効果がもっと目立ってくるとは思います。
○戸山座長 ありがとうございました。時間も押していますので、後ほどということにさせていただきます。
 それでは、その次が須藤構成員のほうから、「職域での実践者(管理者)の視点」という論点から御説明お願いいたします。
○須藤構成員 それでは、資料を1枚めくっていただきまして、「ソニー健保における保健事業体系図」というパワーポイントの3ページ目から入らせていただきたいと思います。
 私どもの健保組合では、青枠で囲ってありますように、さまざまな身体活動及び運動に関する指導をしてまいりました。きょう御紹介しているのは、まず、真ん中辺にあります一次予防から二次予防に対してアプローチしておりますウェルネススクールというものを簡単に御紹介いたします。
 下のパワーポイントになりますが、これはメタボリックシンドローム予備群の改善・予防のためにやっております。特定保健指導の一環としてもやっております。半年間の間に、最初の1か月間に3回会いまして、1回90分の講義、実技をしております。
 次のページに行っていただきます。2007年から2010年度までに、実際、BMI25以上で参加してくださいました男性が1,344名、女性が230名の結果です。男性で5%以上の減量というのを私たちは一つの目安にしております。実際に男性の5%以上減量者が約3割、女性が2割です。
 特定保健指導で私どもの実績としましては、5%以上を出す保健指導というのが約2割になっていますので、集団健康教育としてはそこそこいい成果ではないかと思っております。実際、1%以上までを含めますと、男性で7割、女性で6割ということになります。
 その下がプログラムの内容になっておりますが、緑が管理栄養士さんに担っていただくところ、青が健康運動指導士が担うところ、ピンクが保健師、看護師が担うところになっておりますが、やはり多職種連携で健康教育を進めてまいります。
 次のページに行っていただきますと、減量効果のまとめが上のパワーポイントになっております。これは、先ほどの5%以上が高減量群、1%から5%未満が低減量群というカテゴライズと、先ほどの円グラフと一緒です。
 見ていただきますと、やはり歩数を増加させることが第1要因になりますが、加えて、職域では脂肪摂取の問題、夕食までに食べる回数の問題等々、食事も非常に大きな問題となっております。つまり、今回のガイドラインにおいてもそうだと思うのですが、職域におきましては、どうしても運動ができないときの食事のコントロールも含めまして、食事指導との連携は必須だと思っております。
 下の図に行きますと、先ほど内藤構成員のほうでもう少しアカデミックな図が出ているのですが、やはり運動定着率が悪いという現場の状態をシェーマにしたものです。実際、やはり働き盛りの人の運動に対する優先順位は非常に低いという現状があります。
 次のページに行っていただきたいと思います。私どもが実際に運動指導をするときに工夫しているエッセンスを3つほど挙げさせていただきました。働き方に合わせた指導、自分で決めさせるということ、脳科学者の茂木健一郎さんがソニーにいるのですけれども、気づきのアハ体験という言葉を入れさせていただきました。
 下に書いてありますが、「働き方に合わせた指導」ということで、徹底的にどこでできるかということを私たちも提示しますし、考えていただくことを工夫しております。先ほど白旗調査官のほうにもありましたけれども、ああいう現場で直接働きながら何を工夫してできるかという、ああいう資料があると、現場としては非常に役に立つと考えております。
 次のページに行っていただきたいと思います。実際に自己決定していただくわけですが、やはり目標設定するときは、参加者御自身が70%以上は達成できるものという感覚を持っていただかないと、その後、決して続きはしないというのが現場の感覚です。また、アハ体験とありますが、やはり自分自身で実際にやってみた体の気づきとかエビデンスに基づいた知識の気づきとか、歩数計をつけたり、行動記録をつけることで客観的に見た気づきとか、そういうものの気づきがもたらされるような資料があると現場としては非常に有用であると考えます。
 次の下のグラフですが、これは特定保健指導の集計結果3年分です。同じようなものが出てきますのでぽんぽんと説明させていただきますが、男性社員で1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上続けているという方は、3年間、2割で変わっておりません。
 次に行きます。女性社員ですけれども、同じ設問に対して、12%、3年間変わっておりません。
 次が男性の社員で、日常生活において歩行と同等以上の身体活動を1時間以上やっていますかという設問ですが、27%、変わっておりません。
 次に行きます。女性においても24%、3年間変わっておりません。ちょっと恥ずかしい報告ばかりしているとは思うのですが、最後に、歩く速度が速いですかという、職域ですのでせかせか歩くのだとは思うのですが、男性57%、3年間変わっておりません。女性も同等ということで、この10年で10%上げるということが私どもは非常に大変だというふうに認識しております。
 その下が働き盛りの生活習慣なのですが、やはり通常、仕事がたくさんあって長く働いて、深夜まで働くと、そのストレス解消に飲んだり食べたりすることで発散し、運動不足の状態、睡眠不足の状態で、また翌日会社に行って、モチベーションが上がらないという状態でまた仕事がたくさんある、この悪循環を回しているのが今の、当社とは申しませんが、社員の状況だと思っております。
 次のページに行っていただきますと、その生活習慣をコントロールすることを保健指導するのが、私は産業保健だと思っております。その中で身体活動を実際に運動習慣の獲得をやっていただくことによって心身の健康を向上させることと、やはり企業で最大の問題になっておりますメンタルヘルスの問題においても非常に重要であるということをPRしていただきたいと思います。
 また、高齢者の雇用が今後ますます加速してまいると思うのですが、十分な能力を発揮して働ける体力というものを維持向上するということが、企業においては非常に重要だと思っております。
 そして、社員の疾病を予防し、将来的な医療費抑制に少しでもつながること、さらには、身体活動、運動習慣の獲得というものが企業の生産性に寄与するというものがなければ、やはり職域において社員の運動に取り組む意欲は上がらないと考えております。
 次に、運動と身体活動増加のための企画例ですが、定期健康診断というものが法的に義務づけられておりますので、それを活用するのが前提なのですが、その前に健診結果が御褒美になるのはどうかと考えました。
 次、お願いします。私どもの2012年度特定保健指導の一環で、ポピュレーションアプローチで今、トライアルしています。2012健診前チャレンジということで、3か月前から募集しまして歩数計を配ってやったら、歩数計をあげるというどちらでもいいようなインセンティブかもしれないのですが、差し上げております。
 そうすると、次の下のページにありますように、12月現在で2,830名、メタボ者の約5%が参加してくださっております。多分、集団的なポピュレーションアプローチで私たちも20年ぐらいやっているアルキング活動がありますが、20年かかって約1割というところを見ると、こういう健診前にアプローチしていく方法も一つのいい方法ではないかと考えております。
 次のページに行ってください。禁煙活動ですが、これはどこでもかなりうまくいっている活動かと思うのですが、ソニーにおいても非常にうまくいっております。その上が私どもの喫煙率の推移ですが、下がってきております。
 その下、全社を挙げてどうやって禁煙支援活動がうまくいったかといいますと、やはり、まずトップ、経営者の、健保で言うと理事長ですが、そこの理解です。そこがトップセールスして各事業所を動かしてもらって、そして事業所の職制としての組織を動かす、これが職域においては活動が一番普及するものだと思っております。そして、なおかつ法的な労働安全衛生法の改定が非常に後押ししているということもありまして、企業においてはこの活動が非常にうまくいく活動の一つの典型例だと思っております。
 次のページに行って、最後、まとめさせていただきます。運動基準・運動指針の改定に向けた主な論点への私どもの立場から意見を申し上げたいと思います。
 運動指針の対象者というもので、先ほどまでいっぱい出ていたので申し上げることもないと思うのですが、やはり子供から大学生まで、企業に入る前に何とかしていただきたいと思うのですが、そのエビデンスが下にあります。私どもの企業で男性3,600名、女性1,200名、10年間連続してデータをとりました。そうしますと、見ていただくとわかるように、20歳、入ってきてすぐが一番体重が変わります。その次が25から29というふうに、一番変わってくる年齢がここになります。環境が変わるからということもそうなのですが、そもそも身体活動の大切さというものを企業に来てから教えるのでは間に合いません。私どもはそれをするために企業があるのではありません。ですので、大学のほうでぜひ運動や栄養の重要性を全部教えていただいて、それから企業に入れていただかないと、私どものほうで身体活動を挙げるということは別の角度からする意味であって、そもそもの教育は大学のほうでお願いしたいと思います。
 最後のページに、体重の連動とともに血液データの連動もデータで出してみましたので、御参考にしていただければと思います。
 論点5の利用者の視点としましては、職域における指導者の視点としての運動指針というのは、やはり栄養指針と連携していただきたいと思います。
 次に、職域では、歩数の増加、身体活動の強度の増加がまず最初だと思いますので、この点がわかりやすいものをガイドラインに入れていただければと思います。
 また、気づきの資料、例えばロコモティブシンドロームなどは、チェックして自分の体力のミニマムレベルがわかる、ああいうような気づきのものが私どもは扱いやすいと思っております。
 そして、働きながら身体活動量を増加させるための工夫の指導書が欲しいと思っております。
 また、何よりも本人が理解する、国民一人一人が理解するためには、自覚的運動強度や運動時間など、身近に接する言葉で書いていただけるのが一番うれしいと思っております。
 最後に、普及啓発のための環境整備ですが、宮地構成員のほうに初回、質問させていただいたときに、環境整備かなというふうに言っていただいたので、ぜひ職域においては労働災害防止計画に盛り込むとか、外部監査の項目の中に入れ込むとか、企業における安全衛生マネジメントのシステムの中に盛り込むとか、そういう職制が動くスキームをつくっていただきたい、それが環境整備だと思っております。
 また、経営層というものを動かしていただくのも企業においては一番重要です。健康経営、健康会計など、経営層が理解し、参画したくなるシステムづくりも環境整備としてお願いしたい点です。
 さらに、働き盛りの人が身体活動・運動したくなるようなエビデンス、これは疾病予防ということもさることながら、やはり運動をすることが集中力や創造力を高めて、仕事のパフォーマンスも向上させるものであるというようなエビデンスがあることが、働き盛りのモチベーションには一番効くものと思っておりまして、私のほうからの意見として提言させていただきます。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。職域から現場としてのいろいろな意味で本当に参考になる説明ではなかったかと思います。
 文科省の白旗さんはお帰りになってしまいましたか。聞いていただければよかったかなと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 1つだけどうぞ。
○鈴木(隆)構成員 1つだけ教えてください。25ページの下のBMIの年代別縦断的変化というのは、縦断変化ですから、例えば男の20代をずっと10年間追跡したデータですか。
○須藤構成員 そうです。私どもが健診データを10年丸々全部とれた方を1本の線で引いてあります。だから、20から25の方は、10年後は30から35になっているのです。
○鈴木(隆)構成員 だから、1994年に20代で入った人は、簡単に言うと、10年たつとBMIが2ふえているということですね。そういうデータですね。
○須藤構成員 そういうデータです。
○鈴木(隆)構成員 ありがとうございます。
○戸山座長 ありがとうございました。
 それでは、きょう、この検討会の最後になりますが、鈴木構成員から「運動指導と栄養指導の組合せに関する教育者の視点」について御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○鈴木(志)構成員 発表の機会をいただき、ありがとうございます。
 運動基準・運動指針の活用を進めるために、この6年間活動してまいりました。課題や問題点をまとめましたので発表させていただきます。資料をごらんください。
 まず1ページ目になります。保健師・管理栄養士に普及した主な内容をまとめました。運動指導を実施する上でエビデンスを理解するために運動基準を活用するために運動指針の説明を軸として、メッツ・時とエネルギー消費量について普及してまいりました。メッツ・時に関しては、例えばおにぎり1個を手で表現してくださいと言うと、大きさのイメージを表現することができます。運動量は、軽い動きが長いときと強い動きが短いときではどちらのほうがエネルギーを多く使うのかなど、はっきりした考え方がわかっていないため表現できないものでした。しかし、メッツ・時によって表現が可能になったことを解説してきました。運動指導する際には、エネルギー出納から話を進めることが多く、メッツ・時からのエネルギー消費量を計算する方法についても解説しました。残念ながら、運動指針に記載されているエネルギー消費に関する内容だけでは不十分であったため、解説を聞く機会がない場合には、指針の情報だけではメッツ・時からエネルギー消費量を計算して活用することは不可能であったと言えます。
 次をごらんください。保健師、管理栄養士に求められる生活習慣病の改善・予防のための運動指導のあるべき姿をまとめました。色をピンクにしたところを中心にお話しします。
 エネルギーの摂取量と消費量のバランスを考える際、身体活動状況を把握することは不可欠であるため、運動の専門的知識を持っていることは当然である。この点は生活習慣病の改善や予防だけではなく、いかなる対象者にあっても指導を行う際には必須となります。対象者の心に染みるエビデンスを示し、動機づけを行う。身体活動をエネルギー消費量として表現する。運動の効果をエネルギー消費量や疾病の予防だけではなく、湧き出るような達成感、汗をかく喜び、心の開放などの運動することで味わうことができる効果までつなげて、対象者と共有(共感)できる指導をする。あるべき姿を実践するためには、運動指導に対するスキルと運動指導者自身のある程度の動きができる体が必要であると考えます。
 次をごらんください。「健康づくりのための運動基準・運動指針2006」の問題点を3つにまとめました。その1つ目です。運動指導をする際には、対象者個人の指導時における目的やライフスタイルに合った目標を立て、実行に結びつけます。対象者が運動することにより、医療費の抑制にどのぐらい貢献するかは、対象者個人にとって運動の実践に結びつく動機とはなりません。また、対象者個人の10年以上先の将来のメリットを示しても、特に若い世代はすぐに運動を実行しなければならないとは考えにくいところがあります。指針を国民の身体活動量の増加、適量の維持のために活用するのであれば、対象者個人に魅力ある短期的に効果が実感できるエビデンスを示すことが大切であると考えます。
 次をごらんください。2つ目の問題点です。現在の指針は、内容が国民にとって難しく、理解して実践的に使うことができず、専門家の指導テキストの意味合いが強いと考えます。指針の対象者は、指導者なのか国民なのでしょうか、明確に議論をすべきだと思います。これは先ほど終わったので安心しました。
 また、基準と指針の役割についても明確にして改正を行うべきと考えます。
 指針については、全面的な改正が必要であると感じます。資料には記載していませんが、私は指針は国民のために作成すべきだと考えます。また、専門家用には、身体活動と栄養、食事は切っても切り離すことができないものであることから、栄養と身体活動のガイドラインを高齢者、子供、健康を維持する成人、男性版、女性版、アスリート、生活習慣病の改善必要者、疾病別の患者など、対象者別に作成すること、さらに、今回の改正が作成のきっかけになることを強く希望します。
 次、お願いします。3つ目の問題点です。6年間、運動基準・指針の活用を促してまいりましたが、今回目にした評価が主に歩数と運動習慣であったことにショックを受けました。身体活動は、短くても積み重ねることによって量を確保することで効果があると言ってきました。歩数と運動習慣だけで評価できるものではないと考えます。今回の改正では、あらかじめ評価基準を明確にし、その評価基準にのっとってデータを出していけるようなことをしていただけますと、指導する側としては、ここを上げていこうとか明確になると考えます。
 最後になります。次のページをごらんください。運動指針の22ページにあります「内臓脂肪減少プランニングシート」について変更を提案させていただきます。
 このプランニングシートは、特定保健指導でも活用されているものであり、あわせて提案させていただく次第です。なぜ変更が必要であるかを課題として示しました。?内臓脂肪の減少を要する対象者は、指導を受ける時点で、腹囲(体重)の変動がない状態であるわけではなく、増加し続けている場合が多いです。?腹囲(体重)が増加している状況であれば、エネルギーの摂取量が消費量を上回る状態が続いていることを意味します。?この減少は、身体活動量に合わせて食べる感覚にズレが生じていることによるものであると考えられ、このズレの解消なしに減量プランだけを立てた場合には成果が期待できません。
 最後2枚の資料は現行案と変更案ですので、並べてごらんいただけるとありがたいです。変更案を解説しますと、1年間に1キロずつ体重がふえていく対象者がいたとします。体脂肪1キロは7,000キロカロリーとして、1日当たりのエネルギーのズレは365日で割り込みますと約20キロカロリーになります。対象者本人の意識なしにズレているのですから、解消しなければ体重はふえ続けていきます。また、このズレの解消をせずに、例えば1日150キロカロリーのエネルギーを減少させる減量プランを立てた場合には、ズレているエネルギーの減少分が吸収されてしまうため、実質的には130キロカロリーの減量プランとなります。したがって、1日150キロカロリーを減少したときの成果は得られないということになります。
 内臓脂肪減少(減量)の成果を得るためには、各人の腹囲(体重)の変動状況を把握した上で、エネルギーの消費量と摂取量の調整を運動と食事で確実に行うことが重要であることから、プランニングシートの変更案を提示させていただきました。ぜひこの変更案を活用していただければと思います。
 以上です。ありがとうございました
○戸山座長 ありがとうございました。今、鈴木構成員から内臓脂肪減少のためのプランニングシートの変更案ということで、これを活用してみたらどうかという御提案がございました。
 それも含めまして、総合討論にしたいと思います。時間も押しておりますけれども、どうぞ。
○佐藤課長補佐 事務局ですけれども、本日御指摘いただきました内容を、このような形で次回に向けてまとめさせていただければと思います。1つだけ申し上げたいと思います。
 先ほどの御議論で、基準はヘルスプロバイダー向け、指針は一般国民向けということを明確にしていただきましたので、先生方の御発表のエッセンスを、今後素案をお示しする際に基準の参考資料であるとか、一般国民向けの指針の素案に盛り込んでいきたいと思います。特に先ほど来、先生方から御指摘いただいているような、食事と一緒にやってこそであるとか、メンタルヘルスの部分でメリットが非常に重要だとか、そのあたりとメカニズムについて、このように説明するとわかりやすいとか、そのようなあたりを先生方の御発表の中からできるだけこちらのほうで取り上げてまとめていきたいと思いますので、またそれを次回御議論いただければと思います。
 ここでは、ぜひ最後に御紹介いただきましたプランニングシートについては、先生方の御議論をいただいた上で事務局のほうで整理したいと思いますので、こちらを特に御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○戸山座長 最後、鈴木構成員から、最後のページを少し見ていただいて、これの活用に関して御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○鈴木(志)構成員 保健指導に当たっている従事者と話していて、きちんと目標を日々達成しているもかかわらず効果が出ないという御意見をいただきまして、何かが間違っていると思い、見直したところ、特定保健指導の場合、太っているのがとまった方に指導するわけではなく、指導時も太り続けている方に指導しているのであって、太っている状況を何も抑えずにプランニングシートを立てることは、ある意味、その部分を無視していますから、計画通りに実施しても期待している効果が出ない可能性も出てくるというところに着目しました。
 従事者がこの考えを持っていない場合には、このズレが解消していませんから、実施しても効果が出ません。従事者が、自信と責任を持って実施を促すために、対象者が取り組めば実行しただけの効果が得られることを実感できるようにするために、この案をぜひ御検討いただければと思います。
○戸山座長 力強いメッセージをいただきまして、いかがでしょうか。活用する方向ということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ほかに何か。
 どうぞ。
○宮地構成員 どんどん変えるべきだと思うのですけれども、まず、変動しているか、していないかというのを分けるために、本人が、1年なのか3年なのかわかりませんけれども、体重がどのように推移しているのかということを明確に記憶していなければいけなかったり、あるいは記録があったりする必要があるのかとか、ここを分ける段階で正確性が問われると思うのですけれども、先生、そこはどのようにクリアされようと思っているのですか。
○鈴木(志)構成員 最近の健診では過去3年分程度が記載されているので、できる限り、過去1~3年分を活用していただいて、そこからズレているエネルギー量を算出していただけるとよいと思います。健診の業者変更で過去のデータがない場合には、面談時のインタビューで、去年のデータと比べて算出することになると思います。このズレを考慮するのとしないのとでは結果の成果の出方が違うと思いますので、この案を入れていただきたいです。難しいというのであれば提案をさげますが、ズレを考慮に入れるという概念だけは入れていただきたいです。
○宮地構成員 標準的な質問票の中に、過去1年で体重の変動がプラスマイナス3キロありますかという質問項目があって、例えばそこでチェックが出たような人に関しては、確実にこういうことを考慮しなさいとか、あるいは過去の健診にさかのぼってみなさいというようなことで整理が大分できるのではないかと私は思ったのですけれども、そういうのは使えそうですか。
○鈴木(志)構成員 そうですね。特定保健指導の現場では整理ができると考えています。
○須藤構成員 鈴木先生に質問なのですけれども、現場で使うときに、変動と言われても、例えば先ほどお示ししたように、私どもの変動という考え方はプラスマイナス1%以内で変動と考えないのです。だけれども、健診委託業者だと0.1%動いても減ったと思ってくるわけです。そうすると、この変動というのを何%ととらえてとか、何キロととらえてというのがないと現場としては非常にわかりにくいということになると思います。
○鈴木(志)構成員 1?以上の変動をとらえることになると考えます。この図の右左に分かれているところを見ていただきますと、プランを立てる前に、この1年間の腹囲の変動の状況を確認しましょうとしましたので、最初に腹囲の変動が1年以上ない、あるいは減少している場合は、そのまま減量プランニングに入っていただくことになります。明確に健診の結果から1キロ以上増加している場合には、右に示したズレの計算をして解消することから始めます。
○須藤構成員 ありがとうございました。
○宮地構成員 先ほど事務局のほうからも、基準はプロバイダー向けで、指針は一般国民向けにというお話があったと思います。前回は、このプランニングシートの現行と書いてあるものがエクササイズガイドにも載っております。改訂版を指針に載せるとなると、一般国民向けになって国民の人が一々やるのはとても難しいですね。それは先生、お考えは。
○鈴木(志)構成員 これは指針に載せるのではなく、従事者用ですので、参考資料という形で記載していただくことが適切であると考えます。「内臓脂肪の減少のプランニングを立てる場合には」と置いていただければと思います。
○戸山座長 よろしいですか。
 どうぞ。
○下光構成員 ぜひ職域においては労働災害防止計画に盛り込むとか、外部監査の項目の中に入れ込むとか、企業における安全衛生マネジメントのシステムの中に盛り込むとか、そういう職制が動くスキームをつくっていただきたい、それが環境整備だと思っております。
須藤先生の御発表のまとめのところで、24ページですけれども、職域で労働災害防止計画や安全性マネジメントシステムへの運動指針の導入とか、職制が動くスキームをつくってもらいたいということが言われましたが、この辺はまた縦割りということがあって、がん対策・健康増進課ではなくて労働衛生課の担当になろうかと思うのですけれども、その辺は課同士でディスカッションしていただき、こういうところに入れてもらうとか、そういうようなことは可能なのでしょうか。職域のほうなのですが、健康日本21も、今回はワーク・ライフ・バランスとか、職域における健康づくりが入ってまいりましたので、ぜひ運動指針についてもこちらから働きかけていただければと思います。
○戸山座長 そうですね。基本的に食も当然大事ですけれども、運動が中心ということは当然御理解いただいて、その辺のところは持ち帰って検討したいと思います。基本的には健康づくりのための生活云々、基準ですから、ないしは指針ということですから、ちょっと考えさせていただきます。
○内藤構成員 職域での運動の頻度とかが余り変わらなかったということに関係しての話なのですが、DLWで国立健康・栄養研究所で1日の消費エネルギーを正確にはかって、身体活動に関する質問紙調査で同時にやっていただいたのですけれども、質問項目で何が一番消費エネルギー量に関連しているかというと、仕事中の姿勢だったのです。ということは、仕事中座っている人が多い状況、またふえていく状況では、1日の消費エネルギー量はなかなか伸びていかない。ですから、その辺はいかに座っている時間を減らすかというのが、先ほどの議論ではないですけれども、立って会議をするとか、何かそういう工夫があるとまた違ってくるのではないかと思いました。
○戸山座長 ありがとうございました。1回、2回を経まして、今日の2回は2時間半ほど設定させていただきました。今日、第2回では、基準・指針を明確に設定して、名称も決めていただきました。それから、子供の基準も、一応はある方向を示していただきましたし、生活習慣病に対して4名の構成員の方から貴重な御意見、御説明もいただきました。
 この議論、それから、1回、2回の報告を踏まえまして、事務局のほうで整理していただき、次回の検討会で新たな基準、そして指針の素案を提示していただきたいと思います。皆さん、その方向でよろしいでしょうか。今、皆さんの議論等々も十分に踏まえた形での基準、指針の素案をぜひお願いしたいと思います。
 また、きょうも4名からすばらしい御説明もいただきましたし、現場での保健指導に大いに役立つのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、今日はぴったり終了となりました。御協力ありがとうございます。時間になりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきます。
 最後に事務局のほうから何かございますでしょうか。
○菊地課長補佐 今後の日程だけお伝えします。次回、第3回検討会ですけれども、12月26日、水曜日、2時からということで予定しております。後日、改めまして正式に御連絡差し上げます。
 なお、次回検討会で御発表いただきます構成員の先生方におかれましては、当日用の資料ということで12月20日、木曜日をめどに事務局までお送りいただければと思っております。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。皆さんの意見を参考にしながら、すばらしいものができるように私も努力したいと思います。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

厚生労働省健康局がん対策・健康増進課
  課長補佐 佐藤(内線2348)
  係長    原 (内線2396)
(代表電話)03-5253-1111

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