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2012年12月12日 障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合(第2回)議事録

○日時

平成24年12月12日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

中島八十一委員 大橋正洋委員 加藤元一郎委員
冨永秀文委員 豊原敬三委員

○議題

(1) 高次脳機能障害に係る障害認定基準について
(2) その他

○議事

○中島座長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合を開催します。本日は師走の大変お忙しい中、また、お寒い中を本会合にご参集いただき、誠にありがとうございます。それでは議事に入ります。まず、事務局から資料の確認をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 資料の確認をします。お手元の議事次第の下、資料1として「障害認定基準及び診断書の見直し案に係る確認事項と議論すべき事項」、資料2として「障害認定基準及び診断書の見直し案(修正版)」、以上の資料のほか、参考資料として障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合の第1回、前回の議事録をお配りしています。不足がありましたらお申し出いただければと思います。
○中島座長 資料はありましたでしょうか。
 本日の会合の進め方ですが、資料1の「障害認定基準及び診断書の見直し案に係る確認事項と議論すべき事項」の各項目について事務局から説明をいただき、資料2の見直し案の修正版を確認していきたいと思います。事務局から資料1の項番1の説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 それでは私のほうから説明します。資料1の項番1です。資料2のページが記載してありますので、資料2の「障害認定基準及び診断書の見直し案(修正版)」も併せてご覧ください。1ページから2ページの赤字で修正している部分については語句の訂正ということで、前回議論の対象にしないことにしましたので、これについてはこのまま修正ということにします。3ページのBの「症状性を含む器質性精神障害」で先生方に議論をいただくところについて確認します。項番1、3ページのBの(1)で、また書きから赤で示しているところです。「また、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する」については第1回目のときに説明したように、知的障害と発達障害の基準の見直しをしたときに、総合的な判断をするという方針を決めて直しています。それに合わせた形で文言を整理しています。このような文言で総合認定をするという趣旨がきちんと記載されているかどうかというところです。よろしくお願いします。
○中島座長 項番1について委員から何か意見はありますか。豊原先生。
○豊原委員 タイトルが「症状性を含む器質性精神障害」となっていますが、精神障害者保健福祉手帳の診断書を見ると器質性精神障害(高次脳機能障害)として下記を認めるとあります。Bを「症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害)」としたら分かりやすいと思いますが、いかがですか。
○中島座長 今の豊原先生の意見についていかがですか。冨永先生。
○冨永委員 先生が言われたことはだいぶ理解できるのですが、私は精神保健福祉センターですから手帳の判定も行っています。似たような形式です。年金の診断書はだんだん手帳の診断書よりも良くなりつつあるかなと思います。今言われたように精神障害、最終的にですよね。てんかんのときにG40ですがFコードではないのです。全部できると書いて、一番左に1番に丸をして診断書を取っているのです。そんなことがすごく多い。神経内科や脳外科で発作は年に2~3回あるのに間欠期は何ともないですと。精神障害ではありませんと言い張って、大体8割ぐらいは、発作のときに転落したり、やけどをしたりしたときに一定の制限を受けるのではと聞いたら、そうですねと。手帳があれば福祉のサービスも受けられるし、就業の障害者枠もできるのですよと説明したら、9割ぐらいは納得されて書き換えてもらうのですが。中には精神障害ではないと言って、福祉の概念が少し分かっていらっしゃらないことも。1年間通して2~3回うつになったら気分障害で取り得るし、てんかんも年に何回かあれば取れるのに、間欠期に何ともないから大丈夫、精神障害ではありませんと言い張られるのです。ここを直すためには少し考えたほうがいいかなと、手帳の判定をしてつくづく思いました。
 障害者本人や家族も精神障害によるというところにすごくとらわれて、出さない人も一定限度いるかなと。脳外科や神経内科、小児科の先生には福祉の概念の理解が少し十分ではないかなと。われわれの広報も及んでいないかもしれませんが、そこは非常に大事なところだと思っています。カッコをするのであれば、精神障害のところに「神経症状や発達障害により」としたほうが一番分かりやすいかなと思っていました。高次脳機能障害も一緒ですね。
○中島座長 冨永先生の言われることは「症状性を含む」の次にということですか?
○冨永委員 そこに入れてもいいですが、最後の丸を付ける段階で、精神障害というものにすごく抵抗感がある人が一定限度いるということです。本人も。
○加藤委員 精神障害者保健福祉手帳はどのようになっているのですか。
○豊原委員 専門外で申し訳ないのですが、精神障害者保健福祉手帳では、診断書の中の5の器質性精神障害(高次脳機能障害)として下記を認めると。あとは注意、集中力の低下、情報処理の低下、遂行機能障害、記憶障害、病識の欠如、脱抑制ということが書いてあります。
○加藤委員 分かりました。症状性を含む器質性精神障害の後に、カッコで高次脳機能障害を含むと書くと、高次脳機能障害と精神障害の概念がごちゃごちゃになっている人がいて、高次脳機能障害は精神障害ではないと思っている人の誤解を解くこともできるかもしれないと思います。
○中島座長 大橋先生。 
○大橋委員 精神障害者保健福祉手帳のほうに合わせることで混乱が少なくなるからよろしいと思います。ただ冨永先生が言われた、てんかんの方の場合の冨永先生のご懸念は高次脳機能障害と入れるだけで大丈夫でしょうか。
○冨永委員 神経症状などを入れたら、発達障害もそうなのですが。発達障害はFコードにあるのですが、高次脳機能障害も04、06、07です。てんかんが一番問題だと思います。本来はもらえる人が手帳をもらえないし、年金ももらえない状態があるのではないかと思います。
○大橋委員 それはカッコに高次脳機能障害と入れるだけでは解決がつかない、別の問題として残ることになりますね。
○冨永委員 高次脳機能障害に関してはこれでいいと思います。そこに入れる。でも、ここまで読む先生があまりいないということです。手帳の診断書だけで書こうとするからどうしても。一番まずいのは、もらえるべき人がもらえないのが一番問題かなと思っています。
○中島座長 冨永先生の意見ももっともなことだと思いますが、この場ではカッコ書きで高次脳機能障害を入れるかどうかということに議論を特化したいと思います。その点についてはいかがですか。「含む」という語句がたくさん並ぶのもいかがと思いますが、書き方はともかく、高次脳機能障害をカッコ書きで入れるということで、事務局のほうですっきりとした文言に整えてもらうことにします。
 専門官、何かありますか。
○小杉障害認定企画専門官 まず確認したいのは、器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)と入れる場合に、Bの症状性を含む器質性精神障害の後に入れるということだと思いますが、それ以外の文面の途中はどうするかということです。そこもいちいち入れていくかどうか、こちらで最終案を作るときに検討した上で出してよろしいですか。
○中島座長 座長として結構だと思います。
○小杉障害認定企画専門官 それでは最終案を出すときに、入れるという前提で整理して示したいと思います。
○中島座長 大橋先生。
○大橋委員 私が知らないだけだと思いますが、症状性を含む器質性精神障害で、症状性を含むというのはどういう意味ですか。問題になるのは、機能性精神障害と器質性精神障害の区別が付きにくいことがあり、症状だけの場合にどちらなのか混乱する場合があります。症状性を含むという文言は本来どういう目的か説明していただきたいです。
○中島座長 加藤先生。
○加藤委員 これは結構誤解が多いと思いますが、長く続いている症状性精神病というものがあります。例えばループスとか。症状性精神病の場合はループス精神病を入れるとすると、SLEの血管障害があるかないか分からないのです。脳血管障害、脳梗塞などがあったりすることもあるのですが、そういうのがあるかどうか分からないのですが、ない人にもループス精神病が続くことがあります。例えば甲状腺機能亢進症が治らない場合も精神病が続くことがあって、甲状腺機能亢進症で精神病が続く場合は、甲状腺の機能亢進が脳に影響を与えて精神病を起こしているのですが、脳に何かあるかどうかは分からないのです。何かはっきり見えるものがあれば器質性精神病ということです。そういうさまざまな、潰瘍性大腸炎を含めていろいろ脳に実態があるかどうか分からないが、症状のある内科的な病気に伴って精神病が持続することがあります。それを入れるのが基本概念だと思っています。SLEの場合を含めて脳に脳梗塞が起こってしまえば器質性精神病です。そこが分からないところがあるのです。機能性精神病というのは、機能的には全く原因が分からないという意味ですから、そういう区分でいいと思います。
○中島座長 よろしいですか。
○大橋委員 今の説明は大変よく分かりました。自賠責では、軽症脳外傷の問題があります。むち打ち外傷後に認知や行動障害が起きているとおっしゃる場合に、器質性脳損傷であるという判定が難しい場合があるのです。しかし、障害年金の場合には、主治医が脳しんとう後にそういう症状が継続しているものであると判断すれば、補償の対象に含むことはあり得ると考えてよろしいですか。
○中島座長 それは前回の第1回目のときに議論が出ていました。そのときに事務局と私のほうで併せて回答を申し上げたところです。原因を問うのが障害年金の制度ではなくて、結果が明確に高次脳機能障害を残しているということであれば、原因いかんによらずそれは障害者年金の対象になるということで、そういう議論がなされたと思います。それでよろしいですか。それが脳しんとうであったかどうかについては問わないのです。結果として明確に高次脳機能障害が残っているということが大事で、原因が脳しんとうだったから認める、認めないという議論には、今の障害者年金の制度の議論はなじまないところがあります。いかがですか。
○加藤委員 大橋先生が言われることは非常によく分かります。毎日毎日それで苦労しています。マイルドTBIの問題は別の領域できちんと議論していかなければ、ここの場では難しいのではないかと思います。中島先生が言われるように、確かに何か原因があってその後精神病状態になったらこれに入るということはいいかもしれませんが、心因の問題もありますし、PTSDの問題もあります。頸椎、頚髄の損傷が脳に与える影響は全然分かっていません。それと、脳のびまん性軸索損傷の問題もあり、これも見えない。見えないものだらけが集まっているので別の議論をしたほうが、別の場所のほうがいいと思います。
○中島座長 大橋先生、よろしいですか。項番1についてほかに何か意見はありますか。
 続いて項番2について事務局から説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 続いて項番2を説明します。3ページの(2)の一部例示のところです。こちらについては、それまで認知症と傷病名で書いていたものを認知障害と直しました。それから「常時の援助が」というように「介護」を「援助」にしました。認知障害についても、もともと認知症という症状を書いていること自体がおかしかったのでという説明をしました。ここの中を細かく書くかどうかの議論もありましたが、ここについてはあえて記載はしないという形で認知障害という言葉のみにしています。「援助」についても前回説明したように「介護」という言葉よりも、精神疾患のある方については「援助」という言葉のほうが望ましいだろうということで、知的・発達障害の基準の見直しのときに直しました。精神疾患全体的に「介護」という言葉よりも「援助」のほうがふさわしいということで修正したところです。
 各等級の障害の状態に関してのところで、単に認知障害という言葉だけでくくっていますが、このような書き方のみで各障害の程度がきちんと判断ができるかというところもありますので、そこも併せて議論をいただければと思います。
○中島座長 項番2についての今の説明はいかがですか。何か意見はありますか。後で疑問があれば再び取り上げることにします。項番3に移ります。事務局からお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 4ページの(5)です。こちらは今回のメインになりますが、高次脳機能障害の症状等を説明したいということでこの項目を設けています。認定基準は認定医の先生方だけではなく、年金に携わるいろいろな方がご覧になります。そのような方々が高次脳機能障害を障害として見るとき、症状にどのようなものがあるかをご理解いただくという意味で入れているところもあります。高次脳機能障害の症状として出ているものが明確に書かれているかという観点で見ていただければと思います。
 ここのなお書きのところで、障害の状態は当初は「脳の代償機能やリハビリテーションによる好転も見られることから」としていましたが、脳という言葉は必要ないのではないかという意見をいただきました。「代償機能や」と文言を訂正していますので、こちらについてどうかというところです。
 症状固定に関しては、初診から1年6カ月経過した日以後とすることで問題がないかということも併せてご検討いただければと思います。前回お話ししたときに、肢体の脳血管障害やいろいろな要因で、肢体の障害の診断書と精神の診断書は両方出てくるケースがありますが、肢体のほうは6カ月を経過した時点で症状が固定している、状態は変わらないという場合はそこで認定することが可能ですが、高次脳機能障害についてはリハビリ等で症状の改善が見られる、日常生活能力が戻ってくる部分もあるということで、1年6カ月の障害認定日の本来の基準としている日までは、固定しているとは見ないということでいいかどうかも併せて議論をいただければと思います。
○中島座長 今の説明について意見はありますか。冨永先生、よろしくお願いします。
○冨永委員 肢体のほうが6カ月、精神障害の症状固定は1年半ということでみんな刷り込まれていると思います。6カ月とすれば高次脳機能障害者にとっては、リハビリでまだよくなる可能性があるから有利になるでしょうが、この1年半を外したらまずいかなと。固定というのが文面にもなっています。よく考えたら、感情障害なども一緒なのです。うつや、そうではないときにはほぼ普通の生活ができるので固定という言葉にはなじまないが、年間を通じて2~3回あるということで、そんな傾向にある固定という感じです。だから、高次脳機能障害も半年にすれば有利になるかもしれませんが、1年半は変えないほうがいいと思います。
○豊原委員 現場からです。実際に認定していますが、器質性精神障害で1年半後に認定するが、現況で2年、3年後に見直しが図られます。そのときにまた変わっているのです。そういうことは困るのです。固定が1年半以上たって、4年も5年も6年もたって固定のはずなのに症状が重くなっていることがまれならずあるのです。この認定は非常に困るのです。ですから6カ月は短すぎるので最低1年半という枠は外してもらいたくないというのが現場の声です。
○中島座長 大橋先生は意見がありますか。
○大橋委員 そうすると再認定は何のためにするのですか。重くなる場合はあり得るのではないですか。
○豊原委員 頭部外傷でも脳血管障害でもいいのですが、大体1年半で普通は固定です。もう一回頭部外傷を起こすとか、もう一度脳梗塞を起こすとか多発性脳梗塞とか、そういう場合は悪くなることがあります。そうではない限り、1回の疾病においては、高次脳機能障害に関して障害は大体1年半で固定すると思います。ところが現況の診断書を見ると、悪くなっているケースがまれならずあるのです。そんなことがあり得るわけがないではないかと思うのです。
○大橋委員 生物学的には恐らくそうだと思うのですが、障害年金の等級判定では、病院に一人で行けますかとか、食事が一人で作れますかとか、そういう項目について丸をして、5段階のうちのどれかで障害等級を。そうすると2年ぐらいたつと、その方々の生活環境が整っていない場合には、ご飯が自分で食べられなくなるとか、社会的手続きができなくなるとか、生物学的には変わっていないが生活の困難さが重度になっている場合があり得るのかなと感じます。
○中島座長 書類を書く先生と、それを受け付ける先生とで、それぞれがいろいろな立場でいろいろな困難があるということは大変よく分かりました。1年6カ月という期日設定についてはいかがですか。
○冨永委員 これを変えると高次脳機能障害はそれでいいかもしれないが、認定する立場からは、1年半を崩すとなし崩し的になるような気がします。
○中島座長 これ以上ご異論がなければ1年6カ月でいきたいと思います。あと文言について問題はないですか。また後ほど承るとして項番4に移ります。事務局からお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 項番4については(5)の2行目のその障害の主な症状としてはということで、具体的に失語、失行、失認、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが生じるものであると書いている失語の部分です。下のまた書きのところで、失語の障害については、本章「第6節 言語機能の障害」の認定要領により認定するというように、失語についてはもともと言語機能の障害のところで、脳性によるものもとなっていますので、そちらで判定するという形でよろしいかということで前回お示したときに、総合認定になるのか併合認定になるのかということで議論をいただいたところです。こちらについては資料1の最後の2ページの3のところで、改めて議論をしていただくことにしたいと思います。
○中島座長 この項番をすべて説明して議論をし終わった後に、失語症をどうするかという問題は十分なディスカッションをしたいと思います。これは先送りして項番5に移ります。
○小杉障害認定企画専門官 項番5は、(6)の「日常生活能力等の判定に当たっては」というところです。こちらについても、実際に精神疾患や高次脳機能障害をお持ちの方で、今はいろいろな就労支援などがなされて働いている方もいます。過去に精神疾患、特に知的障害者について、長く働けるのなら日常生活能力が向上したということで年金が停止されている事例があるということで問題がありました。状況を確認したときに確かにそのようなことがあったということです。単に働いているということだけで判断するのではなく、働いている状況、状態をよく判断をしましょうということで、(6)の日常生活能力の判定のところに、どういう労働かということを配慮して判断するようにということを足すように、知的障害、発達障害のところで修正しました。今回こちらについては、すべての精神疾患のところに、どんな精神疾患の方でも同じように就労に関してはいろいろな支援があってできていることがあると伺っていますので、同様の記載でいいのではないかということで修正したところです。この内容でいいかどうかの確認です。
○中島座長 (6)の文章表現はいかがですか。冨永先生。
○冨永委員 実際に精神科で保護的就労というのですが、就労支援のBぐらいで2~3万にしかならないし、Aでも7~8万、ほとんどそれぐらいですから、障害年金と合わせて、7万で14~15万です。3万ですと10万に満たないけれど。それでもグループホームでも住める。親亡き後もグループホームなどで何とかなるのかなという感じです。まれに20万とかあるのですが、これは親せきの会社に名義だけを貸していると、これはどうなのかなと思うのですが。これはこの案通りでよろしいと思います。保護的就労とか一般就労でもそんなにいっぱいもらっているわけではないですから、この文面の通りでいいと思います。
○中島座長 ほかに意見はありますか。
○豊原委員 保護的就労をしたとしても、それが実質的には労働できる状態ではないということで当然2級、給料をもらっているから2級ではないというのではないと。3級だと、そういうことではないということで、分かりました。
○中島座長 ほかにはよろしいですか。1の障害認定基準に関する部分はいったんこれで区切りをつけます。2番目の診断書に移りたいと思います。項番6について事務局からお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 診断書の見直し案(修正版)をご覧ください。項番6ですが、青でくくってあるところです。前回青でくくっているところに高次脳機能障害の症状について入れるということで、アからカという形で入れています。症状について記載するようになって、そこに丸をつけるということでいいのではないかという意見をいただいています。ここで失語を入れるべきか、今の状態にするかというところが一つ残っています。知的障害等としていますので、ここは高次脳機能障害のみならず、知的障害や認知症などのあらゆる知能に関する障害がある場合には丸をつけるということで、それぞれに分かれていませんので、全体的にこういう形で書いて、それぞれの障害の症状が書けているかというところについても、併せて確認をいただければと思います。
○中島座長 診断書の青で囲んだ部分ですが、失語については先ほどの項番4と同様に、後で十分な議論の時間を設けたいと思います。取りあえず項番として今議論はありますか。ないようでしたら項番7に移りたいと思います。
○小杉障害認定企画専門官 項番7です。同じ青枠の下に空白で青になっているところです。こちらは薬物による精神疾患が出た場合ということです。もともと1に乱用、2に依存、3に離脱と入っていたところです。離脱についてはおおむね症状が出て治療を開始すると、ある程度の時期で症状がなくなるので、精神の疾患で年金の請求をするのは基本的に1年半を超えたところからですので、その時点でそういう症状が出ていることはないだろうということで削除ということで示したところです。こちらについて妥当かどうかという確認です。お願いします。
○中島座長 いかがですか。豊原先生。
○豊原委員 このことに関してです。私の専門外ですが、認定医の先生で国立久里浜医療センターの病院長の樋口先生、アルコール専門の先生ですが、コメントを残しています。その先生のご意見によれば、アルコールに限らず脳を制御的に働かせる物質が脳神経細胞に影響を与え、身体依存があるかどうかを確認する大きな目安としては離脱の項目を確認していますと。例えば禁酒ができず飲酒し、離脱の症状が出ていることが、実際に診断書を見ると、アルコール依存者によく見受けられるために依存の重症度、レベルを確認するのに、離脱の項目は重要な指標としているというコメントをいただいています。議論をよろしくお願いします。
○中島座長 いかがですか。
○加藤委員 樋口先生が言われることはその通りです。確かに離脱症状がたくさん出る人は依存の重症度が高いだろうと思います。依存症そのものは、薬物にかかわらず離脱症状をチェックするのはとても大事な作業です。離脱症状は身体依存を確認するためのツールというか症状なので、依存概念の中に含まれると思います。1年半後に書くのでしょうから、1年半もずっと離脱が続くという人は極めてまれです。依存があって薬物使用があって離脱が出て、また、離脱が取れて依存が残っていて薬物使用があって離脱が出るという、繰り返しはとてもあるのですが、その場合に離脱症状は症状ですから、離脱という病態ですが固定した病態ではないので、依存の中に含まれるので、ここに離脱があるのは病態としてはむしろ問題ではないかと思います。ここは乱用と依存だけでいいと思います。
○中島座長 いかがですか。
○冨永委員 加藤先生が言われる通りです。精神科医も障害認定でアルコール精神病とすることも多いですが、年に何回か飲んで体が受け付けなく、離脱症状が起こって身体依存がある証拠で、確かに1年半も続くことはないのです。きちんと分かっていて、乱用と依存のところで症状を説明するときに、年に何回か離脱症状を起こすと、アルコールを隠れて飲んでいるようだということを書ける先生であればいいのですが。書けない場合は離脱症状も時々出るという形で入れておいたほうがいいかなと思うが、加藤先生の意見もよく分かります。微妙です。症状なのですよね、状態。乱用と依存とは確かに並立しないような感じはします。
○中島座長 いかがですか。
○加藤委員 離脱症状が頻回に出ているというのは右側に書けばいいので、ここに離脱とあるのは。例えるものがなかなかないのですが、幻覚が出る原因を書いているような、クラスが下の症状だと思います。
○冨永委員 それはクラスが違います。せん妄とかと一緒ですよね。
○加藤委員 そうです。ですから問題かなと思います。それも短期間持続ですから、延びても1カ月ぐらいです。
○中島座長 それでは今の議論を踏まえて事務局から。
○小杉障害認定企画専門官 はい、こちらでご判断いただいた形に直そうと思っています。
○中島座長 今の議論を踏まえて削除ということで、一定の結論を持ちたいと思います。
○小杉障害認定企画専門官 分かりました。そのような方向でしたいと思います。
○中島座長 項番8をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 裏面の右側の下のほうのカのところです。前回はカッコの中の記載を少し追記したことについて説明が漏れていましたので、改めて確認ということです。臨床検査のところですが、いろいろな心理テスト、認知検査、知能障害の方の知能指数などの検査をした場合には、検査日と検査の内容を書いていただきます。今までどのような検査をというのをあまり丁寧に書いていませんでした。今回は認知症や高次脳機能障害で神経系のいろいろな検査の方法があって、それぞれ先生方がされているようなので、その中で判断できるものについてはできるだけ情報としてあったほうがいいのではということで文言を整理しました。この程度の事例でここのカッコの中に入れているものでいいかどうかということです。
 先ほど最初に説明するべきでしたが申し訳ありません。前回加藤先生からご指摘がありました、表面の先ほどの病状、状態像を書くところの文言が、今使っていない、医学的にもおかしい文言だということでご指摘があったところについて、2のそう状態、5の統合失調症等の状態の青字で示しているところはご意見をいただいて訂正をしたものです。こちら以外にもおかしいものがあれば、併せて訂正しようと思っています。こちらについてもこれでよろしいかどうか、8と一緒に確認をいただければと思います。
○中島座長 いかがですか。
○冨永委員 知能障害などは大体児童相談所で療育手帳をもらっていますから、それを参考にします。ない場合は民間や公的な病院で、田中ビネーやWISCを参考に判定します。例えばうつであればSDSのスケールを書いてあったり、認知症であれば長谷川式とかMMSEというものが書いてあればいいのですが、書類であったほうがベターですが、なければだめということはないです。高次脳機能障害に関していえば、三宅式対語テスト、短期記憶障害、遂行能力障害、注意障害のそれぞれにテストバッテリーがあります。全部そろわなければ、もらえないということではなかなか大変かなと。病院のレベルもいろいろありますので。参考資料として、BADSや無関係・有関係の対語テスト、MMSEなどありますので、そういうものが書いてあればベターかなと思います。絶対なければいけないとするとなかなか難しいと思います。
○中島座長 いかがですか。
○冨永委員 加藤先生、どうですか。大学の先生は厳密な証拠、エビデンスを示しなさいとか。
○加藤委員 ここは書き始めたら切りがないので、これぐらいで書けるものを、本人の状態を一番表せるもの、例えば記憶障害が非常に激しかったら、先生が言われるように記憶検査の結果を書いて、行動障害がひどければ前頭葉系のことを書いていただくということでいいと思います。要求するのが無理なところもたくさんありますので。
○中島座長 ほかに意見はありますか。では事務局の案でいきたいと思います。
○小杉障害認定企画専門官 ありがとうございます。
○中島座長 項番1から8までの説明と議論が終了しましたが、委員のほうから追加すべき事項、あるいは議論すべきことがありますか。
○豊原委員 失語は一番最後ということで、これからですよね。
○中島座長 はい。では失語に移りたいと思います。前回の会合では失語障害の認定方法についていろいろな意見が委員の方々から出されました。再度ここで議論したいと思います。まず、事務局のほうで議論のポイントをまとめていますので説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 説明します。2ページの3の「失語障害」の認定方法についてということです。前回説明した上で議論をいただいているので復習になります。現行の認定基準、言語機能の障害では脳性の失語も認定の対象としています。機能を損失しているだけではなく、高次脳機能障害で失語になっている方についても、基準上は言語機能の障害で見ることになっています。高次脳機能障害の場合については失語だけではなく、その他の失行や失認など多様な症状が出現しているということで、日常生活に関わる部分についても、どれに基づいているかというのはなかなか難しいと思うのですが、恐らく失語だけが出ている方は少ないと思います。この場合にどうするかということもひとつの問題になるのではないかと思います。
 次に3つ目として、高次脳機能障害の失語障害を言語のほうで認定する場合に、日常生活の支障度がどの程度考慮されていたかというところが、前回でのお話も含めて疑問に残っているところです。音声の表現だけではなく、失語症は文字の表現なども障害になっていると伺っています。実際に音声表現ができないという言語機能の障害の方よりも、状態として日常生活の支障度がかなり重いと思うのですが、今までそこがきちんと考慮された形で認定されていたのかどうかが疑問だというところです。
 ここで複数の障害がある場合の認定ルールとして、と言っているのですが。今、認定基準上では併合ということで、A+Bということで、それぞれの障害について基準上で当てはめて等級判定をした上で、それをA+Bという形で最終的に等級を判断するという併合のやり方。また、内部疾患の場合には、特に日常生活の支障度を分けることができないということで、今回は精神もそういう形にしているのですが、全体的な状態で見ましょうということで総合認定するという方法の2つがあります。今回の高次脳機能障害については、なかなか日常生活の支障度が分けられないので総合的に見るべきかというような意見もあります。実際に併合で見るのか、総合で見るのか、どちらの方法で認定するのが適切かというところで今回議論していただきます。
 併合と総合の認定、それぞれの方法でやった場合に、どのようなメリット、デメリットがあるかということで、下のほうに表として示しています。まず、併合認定のメリットですが、失語の障害の音声による表現損失だけではなく、健忘等による日常生活の支障をきちんと考慮できるのではないかというところです。それから言語障害と精神障害を分けることで、認定医が今までよりも判断しやすくなるのではないかと。もう一つが、各手帳の判定方法と整合性が図れるというところです。手帳のほうは別々に見ていますので、厚労省として判定するに当たり、同じような判定方法のほうがいいのではないかというところです。
 併合認定をすると逆にデメリットになるところです。これは複数の診断書の作成が必要ということで、今回の高次脳機能障害は精神の診断書を出していただくことになります。失語がある場合については言語の診断書ということで2枚作成することになります。併合することになると、言語のほうで判断した等級と、精神の診断書で判断した等級を合わせることになるのですが、この場合はある意味日常生活の支障度も含めて、障害の部分で加重で障害程度が判断されてしまう可能性があるのではないか。要は足し込むことによって、重めに出てしまうところがあるのではないかということです。
 次に総合認定という場合にはどのようなメリット、デメリットがあるかというところです。診断書が1枚ですので請求する方に負担は少ないというところです。高次脳機能障害の障害を全体として総合的に日常生活能力の判断ができる、先ほど申し上げたように重複するところを1つで見ることができるところがメリットかなと思います。
 デメリットですが、今の認定要領によると具体的な判断基準がありませんので、こちらは精神のところに失語に関するところを書いていませんので、ここについての記載が必要になるのではないかということです。器質性精神障害の一病態であるのに、高次脳機能障害のみ、そこだけ詳細な記載をすると平仄が合わなくなってしまうのかなというところです。
 次に、失語の状態を詳細に診断書に書かれていないと等級判断に影響されると。今の精神の診断書に多少書くところをつくるのかという話になると思うのですが、細かい記載がないとなかなか状態を読み切れなくて、実際のその方の症状よりも低く判断されてしまう可能性があるのではないかということです。
 失語のみが出るケースがあると伺っていますので、その場合は失語のみは言語のほうで見て、他の症状が出ている人は精神のほうの診断書で見るということで、失語だけをとらえたときに、失語の障害という同じ障害を持っている人の判定方法が違うことがいいのかどうかということになると思います。
 それぞれ総合認定、併合認定はいずれもメリット、デメリットがありますので、この中でどのようにしていくのか。認定をする上で、請求者が自分の障害の程度がどのように判断されたかということを後日確認する場合があります。そういうときに明確に説明できることが必要かと思います。
 このような観点からどのような方法で認定するのかという意味で、3ページに案1、案2ということで2つ示しています。案1としては、高次脳機能障害による失語症の機能の損失以外も評価できるということから失語に関しては「言語機能の障害」で判断し、その他症状は「精神の障害」で判断したうえで併合する。それぞれ2枚診断書を出していただいたうえで併合認定するという方法。
 案2としては高次脳機能障害による障害は総合的に判断すべきであり、失語も含め「精神の障害」の診断書1枚で総合的に判断する。ただし今の基準上では、失語のみの場合については言語機能の障害で認定するとなっていますので、失語のみと言われた場合については言語のほうの基準を使うという案。1か2のどちらかで判断いただくようになると思います。ほかにこういう方法というものがあれば、それも含めて検討いただければと思います。
○中島座長 大きな問題に直面するわけですが。
 豊原先生。
○豊原委員 その前に、障害年金の認定基準に言語機能の障害というのがありまして、2級、3級、障害手当金に分かれています。ところがこの中の認定要領を見ますと、3級の、言語の機能に相当程度の障害を残すものと、あと、4種の語音のうち、2種が発音不能、又は極めて不明瞭なため日常会話が家族は理解できるが、と書いてあります。障害手当金のところでは、4種の語音のうち、1種が発音が極めて不明瞭なためと書いてあり、4語は何かというと、「ま行」、「ぱ行」、「ば行」、「さ行」、「た行」、「ら行」や「しゃ」、「ちゃ」、「じゃ」、軟口蓋音の「か行」、「が行」などと書いてあるのです。これではこの認定要領を使って認定できないです。
 身体障害者手帳はそこははっきり書いてあります。3級、4級に分かれていますが、3級の言語の機能の障害としては、言語機能の喪失であると。4級は中枢神経によるもので、音声言語のみを用いて意思を疎通することが困難なものをいうと書いてあります。これは中枢神経障害による失語症を頭に入れて、そのような基準が書いてあるのです。今の障害年金の言語機能の「ぱ行」、「ば行」というのでは現場としては認定できないので、ここの文言をもう少し身体障害者手帳の3級、4級に近づけた形で認定要領の表現を変えていただきたいと考えています。
○中島座長 これは言語機能の障害のほうの要領ですね。それは別個で議論を。
○小杉障害認定企画専門官 いずれにしてもそれぞれ別にやるということになれば、今豊原先生が言われたようなところは大きな問題だと思いますので、すべての基準の見直しを図っていく中で、今言われたような形での検討をしていくべきだと考えています。
○中島座長 大橋先生。
○大橋委員 ルールの確認をしたいのですが。例えば失語症を別個に加重、併合で判断するとして、高次脳機能障害のほうで2級程度、失語症のほうで2級程度となると2+2で1になるのかどうか。それが2と3だったらどうなるのか、教えていただきたいのですが。
○小杉障害認定企画専門官 基本的には2級と2級になると併合すると1級になります。ただ2と3の場合はほとんど2級よりも上に上がることはできないので、片方が3級相当だと、結果的には足して2級です。3級と3級も2級になれるものがあります。
○大橋委員 一番の問題は2級と2級のこと。
○小杉障害認定企画専門官 2級と2級が基本的に1級になってしまいますので、全体像を見たときに本当に1級相当の障害なのかと。現場の先生方にすると、逆に重くなったという懸念はおありだと思います。
○冨永委員 精神科は曖昧ですが総合判定をしていると思います。例えば、統合失調症で年配になって四肢が不自由になったりしても、日常生活の総合的な能力で2級程度、1級程度で、認知症もそうだと思います。だから総合判定のほうがいいのですが、避けたいのは、ぎりぎり2級の人という場合があるのです。ぎりぎり2級の身体障害と精神科医も総合的に見ると不自由しているよねと2級をあげると1級になる。これはルール上不公平だし、患者も2枚診断書が要ります。理解してくれている先生が2人いなければなかなか通らないということです。私は1枚で総合判定をしたほうが、精神科はそう思っているのではないかと。ただし、言語機能のどうのこうのというのは精神科医は逆に分かりません。神経内科的なところですよね。でも精神科の現場では総合判定しているのは間違いないと思います。
○中島座長 今の冨永先生のご意見を踏まえて、事務局のほうに2つ確認しておきたいことがあります。言語機能障害の診断書があるわけで、これは喉頭癌の術後があるわけですから、身体から言語機能障害がなくなるということはあり得ないのです。その中にある脳性の失語を言語障害のほうに残したまま、精神のほうに失語という項目を小さく加えるという話かどうかという確認をまずしておきたい。2つありますが、その1つを先にいきましょう。
○小杉障害認定企画専門官 ここについては、失語を精神のほうで見るべきだというご意見であれば、こちらのほうで判断するのかなと思っています。そうすると、言語のほうに失語を残しておくことが本当にいいのかということになるので、私は同じ病気の方に2つの判断基準があってはいけないと思っています。最後に総合で見ると言った瞬間に、高次脳機能障害に係る失語については、言語から抜かなければいけないのかなということも検討しなければいけないと思っています。
○中島座長 もう一点とても大事なことです。診断書が2枚なのか1枚なのかという、先ほどのメリット、デメリットでも出てきていますが、高次脳機能障害を中心に据えて議論をするとどうしてもそうなります。現実の問題として、脳血管障害で右半身マヒで失語症の症例では、これが最も典型的な例になると思いますが、今度は肢体不自由と精神の障害ともう1枚、さらに1枚ということで、やっかいな複雑なことになりはしないかと思います。その取り扱いはどうですか。
○小杉障害認定企画専門官 現在、脳血管障害で肢体不自由のマヒが出ている方に言語障害がある場合は、24年9月1日からの肢体の基準の見直し後の新しい基準で施行しています。前回の議論のときに、言語が本来は言語障害の基準に基づいて判断しなければいけないのに、診断書に会話の部分だけが書けるようになっていました。肢体のマヒと会話のところだけを見て併合するという形にしていました。基準の中には会話と語音があるにもかかわらず、会話だけで見ているのは本来の認定基準に沿っていないということで、これではきちんとした言語の判断をしてないことになるので、きちんと切り分けましょうというようにしました。9月1日以降に出された診断書については、言語のところを肢体の診断書から取りました。言語の障害のある方、重いということで肢体と言語を合わせれば上位等級になるのではないかという方については、改めて言語のほうの診断書も提出するように、要は2枚の診断書で判断して併合認定をするという形に変えています。ここはいろいろ議論になったのですが、きちんとそれぞれの障害を判断しなければいけないということで2枚という形にしています。そちらとの平仄を合わせるというところも、今回の高次脳機能障害でも考えなければいけないと思っています。
○中島座長 いかがですか。大橋先生。
○大橋委員 今、肢体、脳卒中の方の場合は分かりました。そうすると、言語障害についての認定基準や、もしかしたら診断書そのものも、今後改められる可能性があるということですね。先ほど豊原先生も言われたように、認定基準で構音障害に類するような「ぱ」「し」「しゃ」というものは失語症の障害を反映していないので、認定基準は改められるべきだとは思うのですが、失語症の診断書のほうがどうなっているのか。高次脳機能障害の生活困難ということであれば、例えば病院に一人では行けないというのは、もしかしたらコミュニケーション障害があるからかもしれないので、問題が記憶障害なのか言語障害なのか。ADLのところでこの人の生活の困難というものを表現できるのですが、失語症の方で構音障害だけではなくて、字も読めないとか、コミュニケーションの問題がある方の診断書が生活の困難さのレベルを表現していないで、構音障害を主体として考えられていると、脳卒中の方であるとしても失語症のために生活困難がある方を、そういうことに基づいて2級か3級かという判断ができないと思います。
○小杉障害認定企画専門官 先生がおっしゃる通りです。今の言語の診断書は全く日常生活などは加味していませんし、語音と会話能力のみを記載している状態です。前回言語のところの診断書は誰が書くのかという話になったときに、特に脳血管障害で肢体不自由でリハビリをしている方に、脳外科の先生やリハビリの先生は言語のところは書けないということで専門の方に書いてもらうしかないという意見もあって、実際に肢体から抜いたという経緯があります。語音で見ていること自体が適切なのかどうかというのも、今後、言語の基準を見直すときに議論しなければいけないところだと思います。今言われた失語のような障害の場合には音声のみではありませんから、そういったところの症状を適切に、言語のみで見る場合にどうやって見ていくかという意味で、診断書も含めて検討すべきだと考えています。
○加藤委員 今聞いていて、構音だけの問題で診断されているというのにとてもびっくりしています。昔見て変だなと思って10年ぐらいたちます。大橋先生が言われたコミュニケーションの問題はすごく大事です。そこを踏まえなければ、脳障害による失語は全然反映されませんよね。そこは本当にお願いしたいなと。失語のことでいろいろなことをやると、中島先生はよくご存じだと思いますが、言語関連の学会の先生が大変な意見を持っていらっしゃるので、きちんと取り扱っていかなければいけないと思います。脳障害の失語というのは内言語の障害ということで、内言語の障害はほとんど思考の障害なのです。考えることなので、その辺をきちんと反映していかなければ、確かに咽頭癌の後や構音だけがおかしいというのも問題がありますが、その辺を考えた上でやっていただきたいと常々思います。
 併合か総合かというのは非常に難しいのですが、併合でいいのかなと一応思いました。
○中島座長 言語機能の障害のほうはこの会合での議論の対象ではないのですが、大きな問題を抱えているということについては私個人も全くそうだろうと考えます。高次脳機能障害を考える場合に、高次脳機能障害者の持つ生活困難さを表現するに当たり、現行のままでは失語を持っていたとして、この書式では評価が著しく下がってしまうかというと、私個人は必ずしもそうではないだろうと、等級がぐんと下がってしまうような不利益は生じないだろうと考えています。その点について委員の方々の意見はいかがですか。
 2枚書いてそれによって2級、2級を合わせて1級となってしまうほうが、かえって重く出てしまうという傾向すらむしろあって、それから比較すると1枚にまとめるというと、妥当性は別ですが、等級としては恐らく下がってくるのではないかという気がします。その辺の意見はいかがですか。冨永先生は現場としてはどうですか。
○冨永委員 2級と2級で1級なのが来ていて、現場では例えば身体のほうは担当官で2級であれば、総合的に見たら1級には無理だということで精神は3級に落とすこともあります。向こうがもらえなかったら、総合的に見て気の毒だからと逆のこともあるのです。だから、現場ではその辺が問題で、通常は総合判定。案の2がいいと思うのですが、失語症のみの場合にきちんと適切にできるかどうかです。問い合わせがあったときに、失語の評価を身体障害者の中枢性の言語障害でして、高次脳機能障害でもすると加重しますから。2番がいいと思うのですが、失語症のみの場合がどれぐらいあるかとか、その辺が分からないです。私は案の2がいいと思います。これは私の意見です。
○大橋委員 併合する場合、先ほどのように失語症についての診断基準や診断書の整備を是非お願いします。
○冨永委員 加藤先生の意見を取り入れるのに賛成です。言語障害で末梢性というか中枢性のウェルニッケやブローカなど、その辺はコミュニケーションの障害なのでこちらに入れてもいいのですが、そしたら身体障害者の手帳に残すのを末梢性というか、喉頭癌とかその辺に限れば非常にいいと思います。高次脳機能障害に失語が入れば総合判定しますからそれでいいのですが、今のままではまずい。
○加藤委員 案2というのは、この診断書の1枚目に失語を入れるということですか。
○冨永委員 入れてもいいのですが、身体障害者のほうに中枢性の言語障害が残っていると不公平になると。失認とか失語、失行も一緒です。
○加藤委員 今回知能障害等のところに高次脳機能障害でアは失語ではなかったですか。抜きましたよね。もう一回ここに失語を復活させなければ、案2は成立しないと思います。
○冨永委員 そうしたら身体障害者のほうを変えなければいけないです。中枢性は少しおかしいかなと。
○加藤委員 その作業はかなり大変ではないですか。
○冨永委員 どうしたらいいか技術的な。
○豊原委員 少し一般的なことを。私は随分併合認定をすることがあります。内部障害を主体に認定しているのですが、内部と精神、内部と外部、これは完全に単純に併合認定しているのです。精神で2級相当、心臓でも2級相当とおっしゃっているのだが、結構そういう方は1級になるのですが、日常生活能力を見たら、ほとんどベッド周辺の生活ではなくて、かなりADL能力に著しい制限がある人でも活動範囲の広がる人がまれならずいらっしゃいます。そこは割り切って、ほかの併合においても結構不平等が生じていますので、それはしょうがない。ある程度不平等が生じてもしょうがないと割り切って、先生方に議論をいただければいいかなと思います。
○中島座長 今いくつかの議論を伺って、案の1、案の2と委員の中でも分かれるところです。私の議論の希望としては先ほど申し上げた通りで、高次脳機能障害を中心に物事を考えての2枚、1枚だけれども、1例として出した脳血管障害の場合には、ここでの1枚にするという議論が成り立たず、すべての例において1枚にするという議論に全くつながらないわけです。むしろ、非常に分かりにくくする局面も出るということについてお考えいただけたらと思うわけです。
 その上でもう一度今の委員の方々から出てきた意見の中で、失語症という脳に原因を求める言語障害については、真剣に障害年金の議論の対象にすると大ごとになって、恐らく今回の予定する3回の議論の中ではまとめられない大きな問題となります。また、この会合だけで決められる問題でもないということは明白です。言語のほうの認定基準はこの9月1日に改正したばかりですよね。
○小杉障害認定企画専門官 肢体が9月です。言語は昭和61年に新しい認定基準が作られたのですが、その前から変わっていないので、逆に言うと、本当に脳性の状態ということがまだ十分議論されていない、今の状態がよく分かってくる前につくられています。音声のところがメインにしかつくられていない基準だということで、きちんと見直さなければいけない時期だと思っています。
○中島座長 非常に古色蒼然としたものであることはよく分かりました。その一方で口蓋裂でいろいろな発音ができないと、それを決して無視してはいけないと思うのです。それはそれで極めて重要な問題です。そういう現況を踏まえて、言語の障害についての見直しが必要だろうということは各委員が非常に一致したところです。具体的に精神の障害用の診断書にどのように反映させるか。現実的にどのように物事を判断したらいいかということについて、今少しご意見を伺えたらありがたいです。いかがですか。
○加藤委員 中島先生に反論するわけではないのですが、例えば高次脳機能障害の中に失語を入れた場合に、失語、失行、失認、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害の中で、重症度にもよりますが、どれが一番社会生活に影響を与えるかというと、重度の失語が社会生活に一番影響を与えると思うのです。そういう意味ではここにあったほうがいいとは思うのですが、いろいろなことを考えたら、私は併合と、案1で分けたほうがいいような気がします。その場合に、重度から中等度の失語があり、なおかつ、それ以外の高次脳機能障害とか精神障害がある場合は、えこひいきでより重くなるというのはリーズナブルなことだと。むしろそのほうがいいというように一応考えました。
○中島座長 加藤先生の意見は非常によく理解できるところです。それは非常に受け入れやすいご意見であることは事実です。言語の障害のほうに脳性の失語の細かい規定がある上で、ただ、ここでは精神の障害として失語も伴っているというぐらいの意味では、失語が入ることについて全く問題がないと思います。ただ、あえていったん削除してみたことについては、失語というものが別途、障害者の診断書として作成するという重みを持った障害ですので、ほかの失行、失認とは大きく意味が違うだろうと思います。また、物事の運用上ここに失語という言葉があるから、失語は精神の診断書でいくということも、なかには誤解を招くところも生じましょう。そういう総合的な観点からすると、ここで失語という言葉を除くのは決して高次脳機能障害者の不利益になることでもなければ、失語症単独の方にとっても不利益になることではないと考えます。そういう考え方を私は仮にここで述べているのですが、各委員の方々のおっしゃることももっともなことです。いかがでしょうか。大橋先生。
○大橋委員 そもそもこの議論は前回豊原先生から、高次脳機能障害で2級、さらに失語症で2級と書く先生がいて、そうすると1級になってしまうという問題提起をいただきました。それはということでここまで議論が深まったのだと思うのです。ただ、先ほど豊原先生は、割り切って、2と2が出てきたら単純に1と判断するからと。割り切れるのであれば、先ほどのように構音障害も含めて言語障害、失語症のほうの認定基準と診断書を、脳卒中の方も考えながら整備していただいて、あとは判定される先生に割り切っていただくのかなと思うのですが。
○中島座長 あとは大変付け足し的な考え方ですが、右に大きな空欄があって、そこに自由記載ができるわけです。その点では、十分な意見の開陳をすることが可能な書式になっていることは指摘しておきたいと思います。要するに左の項目に丸をつけるだけではなく、右の空欄には十分にそれぞれ作成医の意見を述べることができるということが配慮されています。
○大橋委員 逆に言うと、わざわざ失語症の用紙を利用しなくても、極めて重度なコミュニケーション障害のために、1級に相当するぐらい生活困難が重いということが空欄の中で分かるように書いてある場合は、これは失語症だろうということで、もう一枚書きなさいということではなくて、1枚でも通る可能性があると理解してよろしいですか。
○中島座長 極めて常識的に単独で請求できるものであれば請求するというのが、私たち作成医の姿勢だと思います。どこまでも簡便にということを全面に押し出せば、安直のそしりを免れないと思います。
○大橋委員 1枚でもいいか、それとも2枚書くかというと?
○中島座長 当然そのような制度にのっとって2枚作成するべきものだと思います。
○小杉障害認定企画専門官 実は最終的に認定医の先生方に見ていただくまでに、まず、相談の窓口のほうで、請求する方から症状等を伺って診断書を渡すという作業になります。できるだけ傷病にとらわれず、どのようなところに障害があるのか、今どういうところに支障があるのかというところを請求者の方から聴いて、例えば肢体にありますとか、言葉が出ないですとか、精神疾患になっているのですとかという症状を伺った上で、診断書を渡す形の指示をしています。というのは、よく病名にとらわれて診断書を渡して、実際に認定をしようとすると本当に知りたい症状が書いていない診断書が出てきて、認定医の先生方がすごく困るという意見が過去からありました。窓口の職員には、その方がどこに症状が出ていて、どういうところが不自由なのかを伺った上で、そこを適切に書ける診断書を渡してくださいという話をしています。高次脳機能障害についても、どういうところに症状が出ているのですか、どういうところが不自由ですかということを聴いた上で診断書を渡すことになります。そういう意味でいうと、言語にも出ていますと言われれば2つ診断書を渡して書いてもらうほうが、より適切な判断ができると。
 ご本人に負担を掛けるということは重々承知していますが、その方の症状をきちんと判断して年金を受けてもらうという意味で、1回目のそういう場合には両方出していただくという形で。実際に認定してみて、言語の部分は上位等級になるほどの障害の程度ではないということであれば、次からは精神のほうだけしか出さなくてもいいという判断をするのか、両方出してもらうことで上位等級をキープできるのであれば、次回有期認定をするときについても両方出してもらうというように、実際に肢体のほうもそういう形でしています。そういったところは、まずは出してもらうのですが、次からは負担を掛けないように、必要のない方には出してもらわないという方法もあると思います。まずはそれぞれ出してもらうのが望ましいと思います。
○大橋委員 身体障害者手帳の場合は第15条の指定医で、言語障害について書く人はそれぞれの地域で医師が指定を受けるわけです。精神障害、言語障害、肢体不自由、内部障害、それぞれ身体障害者手帳の場合は指定を受けなければいけません。年金の場合は今のお話ですと、身体障害者手帳とは別だから、失語症についても肢体不自由についても、何科の医師が書いてもいいという理解でよろしいですか。
○小杉障害認定企画専門官 原則どのお医者さんも書けることになっています。精神の診断書だけが当初精神科医としていたのですが、てんかんや高次脳機能障害は精神科医の先生が見るのではなく、脳外科やリハビリの先生方が見られるケースが多いということで、一部疾患によってはそのような先生方が書けるように変えただけです。それ以外の診断書についてはどの先生でも書けることになっています。逆にいろいろな先生に書いていただくので、認定するほうは大変難しいという問題がありますが、実際にかかっている先生に書いてもらうというようにしています。
○加藤委員 言語の障害の診断書は誰が、何科が書いているのですか。常識的に考えると神経内科かリハビリですよね。
○大橋委員 今のお話では小児科の先生が書かれてもいいし、何科が。
○冨永委員 発達障害はそうです。
○中島座長 言語の障害と言ってしまうと耳鼻科医が多いのです。
○小杉障害認定企画専門官 この前リハビリの先生に「書けない」と言われたのです。「耳鼻科の先生が書くのでしょう」というようなことを言われて。肢体の診断書に入れていたときに「そもそも見れません」と。脳神経外科やリハビリの先生は言語を見れないので「書けと言われるのは困るのです」というように前回言われました。それで言語を取って、言語はきちんと言語が書ける先生に書いていただくという話になって、肢体のほうから外れたという経緯があります。ですので、恐らく耳鼻科の先生が。
○加藤委員 耳鼻科が多いわけですね。失語は神経内科とリハビリテーション科が多い。脳外もですね。脳性の失語とか、そういうのがややこしいですが、失語というのは中枢性のものなのです。ここをきちんとしておかなければ、議論がごちゃごちゃになると思います。
○冨永委員 私は精神科だからその辺は甘いかもしれない。11欄の現症時の日常生活能力及び労働能力、ここをうまいぐあいに書くのがリハ科の先生と精神科医だと思うのです。脳神経外科や神経内科の先生はこの辺の書き方が苦手です。11欄を見ると、この人の日常生活にはこんな支障があるというのがきちんと表現できなければいけないのですが、その辺にばらつきが出てきます。発達障害が入ってきましたらほかの科の先生も書くのですが、11欄の書き方は難しいです。手帳などは市町村や医師会などでやる機会があるが、年金の書き方はなかなか広報する機会がないと思います。その辺は今後の議論かなと思います。
○大橋委員 そのことに関連して、今の加藤先生の質問の身体障害者手帳のほうだと15条指定、指定を受けなければ書けないので、リハ科医が失語症を書くことの指定を受ける場合もあるし、でも基本的には耳鼻科の先生が多いのだと思います。ただ、年金は全く別の目的で別のものだということだとすると、年金の診断書を書く担当医に分かってもらわなければ不利益が生ずるのかなと思います。同じ厚生労働省なので、だんだん同じような様式の診断書が離れていくのは、先ほど豊原先生も認定基準、失語症、身体障害のほうはこのような文言だが、年金のほうはこういう文言でとおっしゃっていました。その辺は統一理論というか統一したほうが混乱が少ないと、いずれの話かもしれませんが。認定する医師の場合は別のことなのかもしれませんが、認定基準とか書式は同じような考え方のほうが混乱は少ないかなという気はします。
○中島座長 周知ということは非常に重要です。前回もそれが大事だということは申し上げた通りです。身体障害者手帳の15条の指定医ですが、高次脳機能障害は身体障害者手帳の対象ではないので指定医はありません。従ってどのような方でもということでの議論になります。手帳のほうは指定医があって、年金は指定医がないという議論にはなじみません。
○大橋委員 失語症はありますよね。
○中島座長 失語症はもちろんあります。
○大橋委員 そうすると、年金の診断書も指定医ではないから書けないという利害が出てくるのだと思います。身体障害者手帳は15条の指定を受けなければいけなくて、肢体不自由や内部障害、内部障害は腎臓やエイズも入るのでしょうが、それぞれ指定を受けなくてはいけないのですが。中島先生のお話のように、高次脳機能障害は精神障害の中なので、器質性精神障害なので15条の指定を受けなくても書けるのです。ただ、身体障害者手帳の言語障害は15条の指定を、県あるいは政令指定都市でしょうか、そういうところから指定を受けた医師でなければ診断書は書いてはいけないのです。そうすると、そういう2つの似たような書類を書くときに、15条の指定を受けていないリハ科の医師で、失語症を書けないと思い込んでいる人は障害のほうも、失語症に関わる障害年金の診断書は書けないと思ってしまう人が出てくるかもしれない。
○中島座長 今日は障害者手帳の話をしているわけではありません。先ほどの先生の話は、そちらは指定医があるから周知が十分になされる、正しく書けるはずだと。ところが年金のほうはそれがないから十分には、例えば10欄、11欄は書けないのではないかという議論かと思ったら、そうではなくて、先生がおっしゃりたいのは。
○大橋委員 先ほどリハ医の方で「私は書けない」という人がいるというお話だったのですが、15条に縛られているのではないかと思うのです。そうではなくて、失語症による生活困難とか、そういうことで新しくつくられる認定基準を見て、これだったら書けるとリハ医に思っていただければ、15条指定がないリハ医でも書いていただいていいのかなと。
○中島座長 あまりそういう誤解を持っているリハ医はいないと思いますが。
○冨永委員 精神保健指定医だけで統合失調症を中心に見ていたのですが、発達障害が入ってくる、それから高次脳機能障害。一次情報を持っているのは脳外科、急性期の病棟からずっとびまん性軸索の意識障害とか。今日議論があったように、現在の状態は交通事故の後とか、発作の後こういう状態だったらもらって当然だということで。でも裁けないんですよ。情報をもらって、精神科医、指定医に回ってくると裁けないから、発達障害は小児科の先生に協力してもらう。高次脳機能障害は脳外科、リハ科、神経内科の先生に協力してもらう。こうしなければ現実に裁けない。全部精神科医で一次情報は持っていませんし、書き方はうまいかもしれないが情報がないと書けませんから、そうだと思います。それは指定医、身体障害者の手帳のように県の指定とかすると切りがないのかなと思います。
○中島座長 それぞれの現場でのご意見を伺っていますと、今の障害者手帳の制度も年金の制度も運用に当たっての不満や不平がたくさんあるということはよく理解しました。それはそれとして、取りあえず今後の議論の持っていき方について、多少ここでコメントをしておきたいのですが。事務局、何かありますか。
○小杉障害認定企画専門官 先ほど大橋先生が言われた、私がリハビリや脳外科の先生が「書けない」と言っているのは、診断書が書けないというよりも言語の語音などの判定ができないので、診断書を書けと言われても書けないということを先生方がおっしゃっていたということです。資格がないという話ではないということです。
 今なかなか先生方にうまく書いていただけないというご意見がありましたが、私どものほうで周知広報を図っていくという大事な仕事を怠っているもので、大変申し訳ないと思っています。手始めとして前回も作成したのですが、診断書の作成要領を作っています。そこに、今回議論をいただいて、先生方がこういうところが困っているというご意見も含めて、こういうところを注意して書いてくださいということを促していくものを、前回作ったものに、さらにそういうところを入れていきたいと考えています。診断書の作成要領以外に認定事例のようなものも需要があれば作成して、そのようなものがちまたに本として出ていきます。そういうものを見る先生方もいらっしゃるので、そういった地道なところから周知広報を図っていきたいと考えています。
○冨永委員 高次脳機脳障害は先生の例とか、うちも2級の例なども作りましたが、ああいうものが広報されてくるとだいぶ違うと思います。
○中島座長 障害者手帳の高次脳機能障害に関する書き方、書式見本というものもホームページを通じて提示していますので、似たようなものができれば便利かなと思っています。
 いくらか時間がありまして、失語症を診断書の中でどのように取り扱うかということは十分に議論されて、委員の方々の述べたいことについて今日は出尽くしたと思います。これは後日議事録を全部まとめた上で、これをご覧いただいて、私どもも論点をもう一度整理しますので、委員の方々については次回の第3回目、年が明けてからの会合のときにこの点を明確に決定づけたいと思います。
 最後になりますが、今後の検討課題、こういうものを議論すべきという点がいろいろ委員の方々にあるかと思います。今日必ずしも結論を出すことではなくて結構ですので、こういうことをこの会合が開催されている間に議論すべきではないかという点がありましたら、ご指摘いただければありがたいと思います。いかがですか。今後の検討課題です。
○小杉障害認定企画専門官 豊原先生のほうからご意見がありまして、次回は認定の事例を示して、せっかく専門の先生方がお集まりなので、同じ状態であろう方の書き方が作成医によってだいぶ違っているので、そういったものをどう判断していいかということを議論させていただきたいということです。ご了解が得られれば、次回はその資料を用意してお話をさせていただければと思います。
○中島座長 それは次回までに論点を整理していただくとして、ほかに何か検討課題として、こういう点はぜひ議論しておくべきだという点がありますか。
○冨永委員 高次脳機能障害もそうですが、最初に発言したように、精神障害にとらわれる人が結構多いのだなと。家族や本人、神経内科や脳外科の先生ですね。本当は法律的には読み替えというのですか、含みますよと。てんかんや高次脳機能障害の独自の福祉法、どんどん法律をつくっていったら切りがないですから、読み替えというのですが、字面にとらわれて本来救われる人が救われない現状があるのだなというのが分かります。分かっていない人が書くと間欠期は何ともないと、そういうのは感情障害と一緒だということで。福祉の概念を少し広報していかなければ損する人が出てくるのかなと、手帳も年金も判定していてそう思います。
○加藤委員 この前も言いましたが、できないのでしょうが、精神の障害用ではなくて、精神ドット行動の障害用とすると偏見が少し減るかなと思ったのですが。
○中島座長 精神ドット何とおっしゃったのですか。
○加藤委員 精神と行動の障害用。
○冨永委員 悪くないです。案としては、そこだけ変えればいい。精神障害、精神、丸かポツを。
○中島座長 ほかに何か検討課題に加えておくことはありますか。本日は出なくても次回の会合までに何か思いつくことがありましたら、第3回の会合で議論したいと思います。
○大橋委員 今日は失語症についていろいろ教えていただいて、書く立場としては今までわざわざ失語症の診断書、年金の診断書を書かずに高次脳機能障害の中で1枚で表現していたところがあったと思います。ただ、今日の議論で明確にコミュニケーション障害というものがあるのであれば2枚書くべきだということだとすると、今後2枚書かなくてはいけないのかなと思うのですが。これは私だけなのかどうかなのか、大事なことのように思うので、言語に関する認定基準の整備と診断書の整備を速やかにやっていただいて、今後はコミュニケーション障害がある人は2本立ててやるべきだということを周知していただいたほうがいいと思います。感想です。
○中島座長 周知という点ではどれも重要だと思っています。ただ、1点誤解を招かないように申し上げておきたいのは、今後2本立てでということではなくて、現行もそうだということは一応認識いただきたいと思います。従って分かりやすい話をすれば、脳血管障害で右半身マヒと失語症を伴ったと。それは前回も出ましたし、障害者手帳もそうですが2本立てになっていると。今後はそうなりますよということではなくて、現行もそうだという理解でいいですね、事務局。
○小杉障害認定企画専門官 はい。
○大橋委員 ただ、認定基準と診断書の整備は。
○小杉障害認定企画専門官 そうですね。精神の障害の診断書に、最後に記入上の注意がありますので、そういったところに失語の障害がある場合には、別途言語の診断書を提出してくださいと入れていくとか、まずは失語があるのなら別の診断書が必要だということがいろいろなところで分かるようにしていきたいと思います。
○中島座長 よろしいですか、大橋先生。
○大橋委員 お願いします。
○中島座長 冨永先生。
○冨永委員 2級と2級で1級になる。そういうのは不合理だが現状しょうがないと。それは1枚の診断書でも一緒なんですね。ずっと見ていると分かるのですが、甘めに書く先生と、辛めに書く先生がいて、本来もらえる人がもらえないのが一番困る。本来はもらえないのに気の毒に思って書いてあげたら、そこの病院に集中したり、現実にはそういうことがあります。遡及も、1年半目が悪くて、今が悪ければ5年前は悪い証明は要らないと。簡素化のためでしょうが、要らないとなっています。これも書く医者によっては300万も400万も入るわけですよね。そこら辺は矛盾があるが、現状変えようがないと思うのです。だから精神科医的ですけど、完璧にしようとするとものすごく大変になりますから、少しずつ広報していく以外にないのではないかと思います。
○中島座長 ほかにご意見はありますか。追加のご意見がなければ、委員の皆さま方から一通りのご意見を頂戴しましたので、本日の議論はこのあたりで終わりにしたいと思います。皆さま方のご意見を踏まえて、事務局で明年の会合に向けて再整備をしますので、委員の方々におかれましても今日の議論を踏まえて、次回の会合が有益なものになるように、いろいろな論点を整理しておいていただければと思います。次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日はありがとうございます。次回の日程については、明年1月9日水曜日午前10時からの開催を予定しています。後日改めて開催場所の連絡を差し上げたいと存じます。
 本日の資料および前回会合の議事録は厚生労働省のホームページに掲載する予定ですのでよろしくお願いします。
○中島座長 本日の会合はこれで終了とします。次回は最終回ですので、認定基準の改正案などをもう一度整理して、よりよいものとして最終案としたいと思います。委員の皆さま方には、長時間にわたりどうもありがとうございました。


(了)
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