ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会> 第3回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録
2012年11月29日 第3回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録
年金局事業企画課社会保険病院等対策室
○日時
平成24年11月29日(木) 10:00~12:00
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○議題
1 論点整理
2 全体的議論
○議事
○重元社会保険病院対策室長 皆さん、おはようございます。若干定刻より早いですが、皆さんお集まりですので、ただいまから第3回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会を開催します。本日は大変お忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。
事務局より本日の出席者の紹介をします。まず委員の皆さまの出欠状況について報告します。本日は福井委員が欠席との連絡をいただいていますが、そのほかの委員の皆さまはご出席です。今回もRFOから尾身理事長、依田審議役、宇口総務部長に出席をいただいています。出席者の紹介は以上です。
それではここから議事に入りたいと思いますので、プレスの方のカメラ撮りはここまででご遠慮いただければと思います。座長、よろしくお願いします。
○田中座長 皆さん、おはようございます。第3回の検討会をよろしくお願いします。さっそくですが議事に入ります。本日はこれまでの議論の論点整理をした上で、それを基に全体的な議論をいただきます。事務局から資料の説明をお願いします。
1論点整理
○重元社会保険病院対策室長 資料の説明をします。本日の資料としては資料1、資料2ともに横置きのものを配っていますが、順に説明します。まず資料1です。これまでの議論を踏まえた意見・論点の整理です。これまで2回この検討会で議論をいただきました。第1回目は新機構の使命、役割、第2回目は目標、評価、組織財務運営や情報公開について議論をいただいています。これまでの検討会の中で、事務局から提出した資料、検討会の場で委員の皆さまからいただいた意見を踏まえた論点整理という形で資料1を組み立てています。順を追って説明します。
1ページ目の基本的方向性というところです。ここは新機構の法人制度の在り方、検討の方向性についての整理をしている部分です。この部分については委員から出された主な意見ということで、新機構の1つ目の○です。新機構の法人の在り方については、国立病院機構や労災病院のほうの機構になぞらえる必要はないかもしれませんが、異なる形式とすることも一方では考えにくいと。独立行政法人か国病等が目指そうとしている新しい医療法人という形に考えられるのではないかという意見や、新機構について、同じように病院を直営をしている国立病院機構よりも厳しい規制の下に置かれることには違和感があるという意見をいただきました。
このようなことを踏まえて論点整理、基本的方向性としては1つ目の◆にありますように、新しい機構が自らの使命や役割を的確に遂行できることを制度として担保していくことが必要であるという基本的な考え方です。
2つ目として、病院事業の特性を踏まえると、独法制度共通の規制というのはなじみにくいのではないかと。病院事業という医療事業の特性を踏まえると、臨機応変な対応が求められるということから、可能な限り法人の自主性や自律性を尊重するという仕組みにしてはどうかということです。
3点目として、新機構への国の関与の在り方については、法人の説明責任、透明性ということが確保されることを大前提に事後的な評価を重視する。具体的にはどういうことかというと、例えば実績評価の結果、改善すべき点があれば、法人の業務運営の改善を促すような仕組みを取り込んでいってはどうかということです。新機構というのは、政府からRFOに対して出資されている病院を用いて事業運営をしているという性格を持っている法人です。適正な業務運営を担保するという観点から監事機能、役員の責任について、関係法令を参考に必要な規定を設ける、整備をしてはどうかということです。これらについては後ほど出てきます。
続いて2ページ、機構の使命、役割についてです。第1回目の検討会で尾身理事長のほうから中心に説明いただいた部分です。これまでの提出資料についても、RFOから提出された資料をまとめている部分です。提出資料のおさらいをすると、新機構としては、社会保険病院が担っていた5疾病・5事業、リハビリ等の医療提供にいっそうの充実・強化を図ることはもとより、地域医療の機能の確保を図るため、次の役割を担ってはどうかということです。新機構における病院間ネットワークはもとより、地元の自治体、医師会、医科大学、関係医療機関などとも連携して、5点ここに整理しています。1つは地域医療の課題の集約・分析・解決を通して、地域医療連携のモデルを構築することに貢献すること。第2点目として、地域包括ケアの実現に積極的に寄与すること。3点目に災害被災地域、あるいは僻地等の医師不足地域に対して支援を行うということ。4点目として、総合医の養成に積極的に関与し、総合医が専門医と共同してシームレスな地域医療の構築に向けて貢献していくということ。5点目が、地域医療や地域包括ケアの要となる人材を育成していく。そのようなことを通じて、超高齢社会における地域住民のニーズに応えていこうという役割でした。
これを踏まえて各委員の皆さま方からは次のようは意見が出されました。社会保険病院は全国60いくつある中で病院ごとに、それぞれの地域で担っている役割が異なっているのではないか。そのような中で機構の役割を1つの役割に限定して統一するのは難しいのではないかという意見。それに対しては、確かに病院ごとに地域で担っている役割はさまざまだが、機構全体で哲学を持って補完をし合うことによって、スケールメリットを生かした病院事業の運営ができるのではないかという意見もありました。
人材の養成、育成関係については、大学病院や地域の医師会との連携の重要性に関する意見、総合医を育てる機能については日本には少ないので、これをさらに進めていってほしいという意見。他設置主体の医療機関との連携も含めて、地域で質の高い医療を提供するために、機構がどういう役割を果たすのかという考え方を組み込むべきだという意見、他の病院と情報交換を積極的に行うべき。
3ページ目ですが、社会保険病院については介護老健施設を併設している病院が多いので、地域における完結型の機能を持っているのではないかと。5疾病・5事業を推進しつつ、国保病院等とも連携して総合医を育成すればいいのではないかという意見をいただいていました。
これらを踏まえて事務局の論点整理として、新機構の役割については5疾病・5事業等の医療提供の実施のほか、地域医療の確保を図るため、さまざまな機関との連携をして地域の状況に応じて、次のような役割を担ってはどうかということで、大きく4つほどに整理をしています。1つは、地域医療の課題の集約・分析・解決を通して地域連携のモデルを構築し、全国的な地域医療の向上に貢献してはどうかということ。2点目は、総合医の養成に積極的に関与することにより、総合医が専門医と共同して地域完結型医療の構築に貢献してはどうかということ。3点目は、地域包括ケアの実現に積極的に寄与するために、その要となる医師や看護師等の人材を育成して、地域住民の多様なニーズに応えるということ。4点目が、被災地域、僻地等の医師不足地域に対する支援を行うことにしてはどうかという4点です。
最後の◆にありますが、災害発生時等の緊急時における大臣の命令を受けて、必要な措置を取る役割、これは平成23年に成立している議員立法の中で既に機構の役割として位置付けられているところです。この役割についても引き続き担ってはどうかということです。
4ページは、国立病院の検討会での論点整理についても参考までに掲載しています。政策医療の部分について、国病の役割について論点整理がされています。
5ページの目標、評価というところです。ここ以降は前回、第2回の検討会で議論をいただいている部分です。まず1つ目の○は基本的な考え方ですが、事務局から提出した資料をおさらいします。地域医療の機能を確実に確保するという観点から、国が医療の特性を踏まえて直接評価を行い、必要な改善を促していく仕組みにすべきではないかということと、あとは現行の独法制度の枠組みにとらわれずに医療の現場を担う法人の自主性、自律性を尊重すべきではないかという基本的な考え方の下に2つ目の○以降です。まず先ほど来申し上げている法人の自主性・自律性を尊重し、法人に機能をより効果的に発揮してもらうためには、まずは国から基本的な法人の役割の方向性を基本方針として示すことにしてはどうかということ。この基本方針を示すに当たり、医療の特性を踏まえて専門的な観点から、関係審議会の意見を聴くと。その上で基本方針を出すことにしてはどうかという方向性です。
3つ目の○は、基本方針を受けて法人で基本目標、基本計画、年度計画を定める。1にあるように国の示す基本方針に基づいて、基本目標を作成して国の認可を受ける。2にあるように基本目標を踏まえて、中期的な基本計画、それを毎年度どのように実施していくかという年度計画を作成する。3で申し上げた基本目標の認可に当たっては、関係審議会の意見を聴く仕組みにしてはどうかということを提案しました。
最後の○の法人の評価です。現行の独立行政法人制度では主務大臣は直接評価には関与していませんが、そのような仕組みではなく、1にあるように新機構においては政策責任者である厚労大臣が法人の業務運営の状況を評価してはどうかということ。2にあるように、評価の結果に基づく業務運営改善については、命令ではなく勧告としてはどうか。その評価に当たって、第三者のチェックの仕組みとして、関係審議会からの意見を聴いてはどうかという形で前回事務局から資料を提示しました。
6ページは、前回の事務局からの提出資料に対して、数値目標的なものは必要だが、医療の分野で本当にその数値目標がなじむのかという意見、地域医療の機能をどう推進していくかを基本目標に示すべきであるという意見、法人が基本目標以下をつくっていくことについて、法人自らが目標を作成することについては評価できるという意見、それから関係審議会の意見を聴くということについては、医療の観点というだけではなく政策評価をするという観点から、評価をしていただくという視点もあるのではないかという意見もありました。基本方針については、医療の状況を取り巻く環境の変化を踏まえて、定期的に見直したほうがいいのではないかという意見もありました。
これらを踏まえた論点整理としては、基本方針、基本目標、基本計画、年度計画という大きな枠組みについては異論はなかったのではないかと考えています。その枠組みについてはそういう方向で整理してはどうかと考えています。2つ目の◆にあるように、基本方針、国から基本的な方向性を示すということ。3つ目の◆にあるように、基本方針に基づき法人が基本目標をつくる。それから国の認可を受けると。それを受けて基本計画、毎年度の年度計画を作成するということ。事業実績の評価については、4つ目の◆の部分ですが、厚労大臣が直接評価を行い、業務運営の改善を促す仕組みを入れ込んでいくと。その仕組みについてまずは勧告になります。これは後ほど出てきますが、勧告に正当な理由なく従わない場合については、もう一段命令まで出せるような仕組みを制度として仕組んではどうかということです。
最後の◆の部分です。基本方針の策定や基本目標の認可、業務実績の評価、これをやるに当たり、関係審議会、医療の特性を踏まえた専門的な視点を持つ、第三者チェックの仕組みとしての医療関係の審議会の意見を聴いてはどうかというように整理しています。
7ページ目は、同じ目標、評価の部分に関する国病のほうの検討会の論点整理です。
8ページですが、組織・業務運営・財政運営です。ここでは監事機能についての整理です。監事機能については、現在の独立行政法人制度の中では監事の職務の規定のみがあると。監事の職務は業務の監査を行うという、その規定だけなのですが、一方で新しい行政法人通則法の改正法案、こちらは衆議院の解散で廃案になってしまいましたが、そちらの改正法案や、その他の法令の仕組みなどを見ますと、監事機能について権限、事業の報告徴収や業務財産状況について調査を行う権限や、不正行為等があった場合に報告する報告義務、このような義務規定があります。新法人における監事機能についても、職務だけではなく、権限・義務というものを付与してはどうかという方向で資料を提出しました。
こちらの論点については前回の検討会では意見は特にありませんでしたので、今回の論点整理でも前回の事務局提出資料の方向性で整理してはどうかと考えています。国病の検討会の論点整理でも同様の整理がされています。
9ページですが、法人の業務運営の改善に関する部分です。こちらは2つあります。提出した資料の1つ目の○、業務運営の改善について、大臣が直接評価を行った結果、業務運営の改善を促す仕組みについては、自主性・自律性を尊重して勧告してはどうかという資料を前回提出したということ。法人の業務運営の中で、著しく適正を欠く場合、あるいは不正違法行為があった場合に、厚生労働大臣が是正業務運営改善について命令を出せる仕組みを仕組んでおいてはどうかという資料を出していました。前者の業務運営の改善については、先ほど目標、評価のところで申し上げたように、最終的に勧告でとどまるのではなく、命令が出せる形にしておく必要があるのではないかという意見がありました。これを受けて、論点整理として業務運営の改善を促す仕組みについては、法人の自主性・自律性を尊重し、まずは勧告をすることにし、法人が正当な理由なく勧告に従わない場合は命令が出せるという仕組みの形に整理してはどうかと思っています。
2点目の著しく適正を欠く場合、不正行為、違法行為がある場合については、厚労大臣が業務運営改善について是正命令を出せる仕組みを仕組んでおいてはどうかということです。国病の検討会でも同様の方向性で論点整理として資料が出されていたところです。
10ページは役員の任命や役員の責任についてです。前回の提出資料では1つ目の○新法人の役員について、その任にふさわしい方をどのように選考任命するかということ。法人の役員については、職務の遂行の適正性を担保するために任務を怠り、法人に損害を与えた場合の損害賠償責任について、それを課してはどうかということを出していました。前者の法人の役員の任命の部分については、行政法人の通則法の改正法案の中では原則公募としながらも、一方で専門的な知識、経験や優れた見識を有する特定の方を任命する必要がある場合は、公募によらず任命権者が任命できるという法案の規定になっていたところを受けて、新法人ではどのようにそこを考えるかということで議論をいただいていたところです。
主な意見としては、特に公募を中心に意見をいただいていたところです。1つ目の○にあるように、公募も含めて適任の人物を責任者、理事長の場合は大臣任命ということになると思いますが、決められるような仕組みにすべきではないかということ。2つ目の○として、公募自体はいいのだがふさわしい人に応募してもらわなければいけないという趣旨で、応募条件や公募条件についてきちんと詰める必要があるのではないかと。その上で公募自体はいいのではないかという意見でした。現場の院長や事務局長についても最適な人がなるべきで、それが独立採算制を遂行する上では重要だという意見がありました。損害賠償責任に関しては、役員に損害賠償責任を課すということであれば、それに見合う権限も与えなければなり手がなくなるという意味だと思いますが、そういった権限を与えるべきという意見もありました。
今回の事務局の論点整理としては、役員の任命について新機構においては医療事業を担っているという特性がありますので、専門知識、優れた経験を有する方をその任につかせることが必要です。その選考に当たっては、公募も含めて任にふさわしい方を選ぶことができる方法を基本としてはどうかということ。損害倍書責任については、任務を怠ったことにより法人に生じた損害を賠償するような責任を課すことにしてはどうかという整理をしてはと考えています。
11ページは、雇用・人事管理の部分です。こちらはもともと独立行政法人のほうで、総人件費抑制の規制というか考え方があり、それを医療の現場に一律に適応することがふさわしいのかという観点から出てきた論点です。前回の提出資料では、病院事業を実施している新機構においても国病機構と同様に、業務に対する透明性などを確保しつつ、法人の目的を達成すると。そのためには必要な人員を効率的に必要なところに配置できるということを基本に考えてはどうかという形で出していました。これに対して大きな異論はありませんでしたが、それを裏打ちするような形で、最適な人がなるべきだという意見もありました。
今回の論点整理としては、前回提出した資料の方向性ということで整理したいと思っています。地域医療の機能の確保を行うために必要な医療職などの人員を効率的に配置できるようにすることにしてはどうかということです。こちらについては国病の検討会の資料の中でも、同様の方向性で論点整理の資料が出ています。
12ページは財政措置や利益処分の部分です。前回の資料の中では1つ目の○にありますが、新機構では通常独立行政法人であれば業務運営のために出ることになっている、国からの運営費交付金は平成23年の法律により支給されないことが明確になっています。そのため、病院等の施設に関する整備費用や医療機器の購入費用を自前で確保していきながら、自立的、効率的な経営を実施していくことが新機構には求められています。そのようなことを前提に病院運営を考えていかなければいけないということです。既存の補助制度や国等の委託事業も積極的に活用していく、あるいは委託事業を受けていくことも検討していくべきではないかということです。
3つ目の○は利益処分に関してです。こちらは今の独立行政法人制度の仕組みでは、毎期で黒字、純利益が出た場合には経営努力の認定というハードルを経て、ある決まった目的に剰余金をあてていく仕組みになっています。その中期計画の最終年度で、その次の中期計画に繰り越しができるかどうかについて認定を受けた上で、そうしなければ次期への繰り越しが認められないので、そうなると国庫返納になるという仕組みになっています。そのような現行の仕組みを新機構においてどう考えるかということでした。ここについては3つ目の○にあるように、国の医療政策として重要な課題である地域医療の機能の確保に関しては、先ほども申し上げた通り、自律的、効率的な経営の実現を目指していかなければいけないという観点から、利益処分をそれにふさわしい形でどのように考えていくべきかという形で提出していました。
こちらについての意見としては、運営費交付金や財政措置が新機構にはない中で、減価償却費を計上した上で利益を出していく、新しい機器の購入費を賄ったりしていかなければならない中で、そのようなことが本当に可能なのかという意見もありました。
論点整理としては一番下の1つ目の◆の部分ですが、国からの運営費交付金は出ないため、病院等の施設に係る整備費や機器の購入費用などを確保することが求められる中、医療の利益を患者に還元し、地域住民のニーズに応えていくためには、自律的かつ効率的な経営の実現の観点を踏まえた利益処分の在り方について検討すべきではないか。前回の資料の中では、医療で得られた利益は医療事業に活用するのが基本ではないかと整理していました。既定の補助制度や国の委託事業の積極的な活用・受託をしてはどうかという形で整理してはどうかと考えています。
13ページの国立病院の検討会の論点整理でも、3つ目の◆の部分に同じような方向で資料が出ています。
14ページは情報公開・発信に関してです。新しい法人がもともとは国から出資を受けて、そのような病院を使って事業を行う、あるいは法人の説明責任や透明性が確保されることを前提として事後評価を重視するという方向性で、目標評価のところで整理できればと説明しました。そのような場合を考えれば、政策目的の実施状況、医療事業の公共性、このようなことに着目した情報公開を行うことで説明責任を果たしてはどうかというように前回提出していました。今でも独立行政法人通則法あるいは医療法の中で、さまざまな情報を公表、公開しなければならないことになっていますので、引き続き公にすることを基本的な方向性として考えてはどうかということです。こちらについては前回の検討会では特に意見はありませんでした。今回の論点整理でも前回の提出資料の方向性で整理してはどうかと考えています。国立病院の検討会でも同様の方向で論点整理がされています。以上が資料1でした。
資料2は裏表の1枚紙です。こちらは中期目標行政法人と新法人についての論点の比較で、一応廃案にはなっていますが、先の臨時国会まで継続審議できていた独立行政法人通則法の改正法案の中で、新しい行政法人の中の1つの類型として中期目標行政法人、中期的な目標管理により目標達成を図っていく法人ということだが、中期目標行政法人のそれぞれの論点と、今回この検討会で議論をいただいている新しい機構についての論点を、それぞれ中期目標行政法人と整理が変わる方向で、今整理している部分について抜粋して一覧にしているものです。役員の任命や職員の人事管理、利益処分、裏面の目標設定や目標評価の関係、違法行為の是正等の部分ですが、左側に中期目標行政法人における方向性、右側に新法人の論点整理ということで、右側の新法人の論点整理については先ほどの資料1の中で、それぞれのパーツの部分で出てきた、今回の論点整理をそのまま引用した形になっています。便宜上一覧表にしました。資料2の説明については資料1と重複する部分がありますので説明は省略します。本日の提出資料の説明は以上です。よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございました。審議に入る前に確認です。今の説明の中に出てきた中期目標行政法人に関する法律の廃案に伴い、私たちが検討している地域医療推進機能推進機構の検討会に何か影響があるのでしょうか、ないのでしょうか。一部不安が出ているという声を聞いたので説明しておいてください。
○重元社会保険病院対策室長 今座長から話がありましたように、先ほどの説明の中で申し上げたように、通則法の改正法案は衆議院の解散により、今は廃案という形になっています。廃案になった法案の方向性については政府内でも詳細が明らかではない部分があると思います。基本的には、今回の独立行政法人の見直しについては今年の1月の閣議決定を踏まえて議論が進められてきたという経緯があります。ここで検討している新しい機構の法人制度の在り方についても今年1月の閣議決定を踏まえて、この検討会で議論をいただいていると理解しています。今後の政治状況がどうなるのか、それにより独立行政法人制度の見直しがどうなるのかは、事務局のほうで言うのは難しい部分があります。われわれとしては法人制度の検討会については今までの方針で、今の段階では引き続き検討を進めていくという方向で考えています。
2全体的議論
○田中座長 われわれは今日の議題について淡々と議論をするということでよろしいですね。今説明のあった資料についてご意見を伺います。既に一度述べられたことでも、もう一度強調しておきたければ再度発言をいただいても構いません。項目がたくさんあるので分けて議論します。初めに1基本的方向性、2機構の使命、役割等、3目標、評価、ここまでに限り、意見や質問のある方の発言をお願いします。よろしくお願いします。
○冨永委員 2の機構の使命、役割等です。今は社会保険病院等では健診業務をしています。健診バスをもって地域住民の健診をしています。1から5の地域包括ケアというのは、コミュニティにおいて住民参加のもと、健康づくり、健診、在宅ケア、リハビリテーション、福祉・介護サービスの全てを一貫して提供する全人的医療・ケアと言えると思います。厚生労働省の介護に関する文書にでも、地域包括ケアという言葉はたびたび出てきます。こう書いたのではなかなか分かりにくいこともありますので、総合医にしても地域住民のヘルスケアということを重んじるわけですから、ヘルスケアということを分かりやすく入れてもらったらありがたいなという気がしました。すなわち健康づくりの事業です。
○田中座長 健康づくりも使命としてはどうかということです。
○渡辺座長代理 今の冨永先生の意見に関連します。健康づくりも大事ですが、どこにどういう入れ方をするということと、冨永先生のところの国診協では最近地域包括ケアに加えて、地域医療包括ケアという言葉を使われています。そこに健康づくりという言葉を国診協では込めていると感じます。そういう趣旨ですか。
○冨永委員 はい。
○渡辺座長代理 例えば3ページで、地域包括ケアという言い方が厚生労働省でも使っているし、一般に国診協に限らず、地域包括医療・ケアという言い方をしています。その辺の言葉の問題があるのかなという気がしました。
もう一点は質問ですが、3ページの論点整理の最初の◆の2つ目の黒ポツで、尾身理事長もおっしゃっていましたが、総合医の養成に積極的に関与云々というのはもちろんいいのです。その次のポツで「住民が安心して暮らせる地域包括ケアの実現に積極的に寄与するために、その要となる医師、看護師等の人材を育成し」となっています。上の総合医の養成と、この下の包括ケアのための医師、看護師の育成というのはどう違うのかと。総合医も地域包括ケアでの役割を果たすと思いますが、この辺の表現についてどなたに聞くのが妥当か分かりませんが、もう少し説明していただく必要があると思います。
○田中座長 お答え願います。
○重元社会保険病院対策室長 3ページの質問で、地域包括ケアの実現に積極的に寄与と、総合医の養成との関係ということです。地域包括ケアを実現していくにはいろいろな職種の方が連携していくことが必要になってきます。ここでいう地域包括ケアはいろいろな職種の方が連携して、医療も含めた各種サービスを提供していくというのがもともとの意味合いです。在宅でいろいろなサービスが受けられる体制を、地域で整備していくことが地域包括ケアのもともとの意味だったと思います。地域包括ケアの体制を構築していくためには、いろいろな職種の方が関わっていくことになると思います。
例えば総合医の方でも、社会保険病院の中にいるお医者さんが地域包括ケア、在宅ということは意味合いが違っているのかもしれません。新しい機構の中で養成をしていただくお医者さんが地域の社会保険病院のお医者さんということではなく、地域の中で地域包括ケアの実現に向けていろいろ関与していくことはあると思います。お医者さん以外の人材であれば、訪問看護を提供する看護職の養成など、いろいろな職種の方を養成することで、新しい機構が役割を果たすことで、地域包括ケアという地域における仕組み、体制の整備に寄与していただくという趣旨で整理していると事務局は理解しています。
○田中座長 地域包括ケア研究会委員長として一言発言しておきたいのですが。今の渡辺副座長の質問は大変大切だと思います。前者の総合医は社会保険病院等の中で働いている方が主になると思いますが、後者の場合には地域包括ケアシステムは中学校区単位の話ですし、社会保険病院がそれぞれの中学校区単位の仕組みづくりに関わることはあり得ません。むしろそこで働く地域の開業医の先生たちを育成する意味に私は取りました。地域包括ケアにおける医療は在宅医療、訪問診療のことで、外来入院は含みませんので、在宅医療、訪問診療が行える病院医師、開業医を、病院を通じで研修をするとか、仕組みをつくると理解をしました。
地域包括ケアの要となる医師、看護師と書くと、もっと多職種なのです。要になるのはケアマネジャーかもしれないし、地域マネジメントを行う自治体の職員も大切ですし、地域包括ケアシステムで一番多く働く職種は介護従事者です。医師、看護師が要の宣言は医療モデルになってしまいます。むしろ積極的に寄与するために、そこに役立つ医師、看護師等といわなければ、ほかの人たちも自分は要だと、何で勝手に要が医師、看護師と決めてしまうのだと言われそうな気がしました。医師、看護師が応援していただくことは大変結構ですが。
ほかにはいかがですか。菊池委員お願いします。
○菊池委員 全然違う観点で、これまで述べてこなかったのですが、機構の役割との関係で船員保険についてです。私は協会けんぽの船員保険協議会の委員をしている関係からですが。船員保険は歴史的に古い制度で独自の発展を遂げてきたわけです。船員保険の被保険者の方々は、今回の経緯というか、社会保険病院と一体としてやっていくことに対してかなり心配されている部分があります。船員であり船の上での医療ということで、特殊なものがあるという、それを従来の船員保険病院が担ってきていたのだとしたら、それがどうなるのかという部分です。どこかに残ると思いますが、最終的なまとめの中で、従来船員保険病院が担ってきた船員たちのための医療があるのであれば、少し書き込んでおいたほうがいいのではないかと。基本的な方向性に異論は全くないのですが、そこを配慮する必要があるのかなという気がしました。
○田中座長 今の船員保険に関する懸念については何か説明はありますか。
○重元社会保険病院対策室長 今ご指摘がありましたように、船員保険病院というか船員保険会で、船員を念頭に置いたいろいろな独自な事業をされていることをわれわれは承知しています。それを新機構との関係でどう整理しなければならないかというのは問題としては認識していました。そこは整理が必要だと考えています。今ご指摘がありましたように、取りまとめの中にどう反映させていくかについては検討したいと思います。
○田中座長 中沢委員お願いします。
○中沢委員 話が戻って恐縮ですが、先ほどの地域包括ケアのところです。これまでの提出資料の中では、地域医療地域包括ケアの要という形で書いてあるのを、ここで地域包括ケアだけにしたというところは、基本的には地域包括ケアは地域医療も含めてという概念でよろしいのか。地域医療だともう少し医療色が強いところの人材育成もあるし、地域包括ケアだと、どちらかというと介護色の強いイメージがあると思います。その辺の言葉の使い方の整理と、なぜ地域医療が消えてしまったのかというところを教えていただきたいと思います。
○田中座長 事務局お願いします。
○重元社会保険病院対策室長 2ページの最後では地域医療地域包括ケアとなっており、3ページの論点整理で地域包括ケアとしているのは、今ご指摘がありましたように、地域包括ケアは医療、介護の両方という意味もあると考えて、論点整理では地域包括ケアという形で整理したということです。
○田中座長 地域医療というと、普通はもう少し広い単位で考えます。医療圏単位であったりします。入院医療も含むし外来医療も含む。閣議決定をされている地域包括ケアシステムというのは、介護だけではなく地域の生活の話です。住まいとか生活支援、食事等々、虐待防止、そういうものを含む生活の話なので、並べて書くことは構わないにしても、両者は一緒ではないと思います。地域包括ケアシステムの中の医療は先ほど言ったように、基本的に外来に来られない方々のために医療が出向くタイプのものが医療として入り込みますが、外来に歩いていける方の場合は地域包括ケアシステムでなくても大丈夫です。おっしゃる通り、言葉遣いの整理は最後に確認したほうがいいと思います。
小林委員お願いします。
○小林委員 目標と評価のところです。非常に重要な機構が担うミッションというか目的からすると、今後日本にとっても重要な地域医療や包括ケアということだと思います。目標に異論があるわけではありませんが、ガバナンスの観点からすると、国による法人の評価と、法人と地域医療を実際に担っている個々の社会保険病院との関係のところで、国が法人の在り方を評価するものと、法人が個々の社会保険病院の目標達成度を評価することの階層化というか、そこの連携を図っていく必要があると思います。国は全体的に日本の地域医療がどうなっていくのかという観点で、法人の目標達成度を見るのだと思います。法人は個々の社会保険病院が個々の事情の中で、どのように目標を達成していって、それが法人全体の目標達成とどう関連しているのかを見ていかなければいけない。その辺の階層化というか、見る観点の違いというのをもう少し盛り込んだほうがよろしいのではないかという気がしました。
○田中座長 国が直接個々の病院を監督するわけではないのでしょうが、今の論点に関してはいかがですか。事務局は何か答えますか。
○重元社会保険病院対策室長 法人の業務実績の評価をするときは、新しい機構として毎年度の業務実績の報告を国に出してもらうということで、国は今言われたように、個々の病院というよりも法人全体としてあがってきた実績評価を基に評価をするという仕組みになると思います。個々の病院については、新機構が毎年度の業務実績の報告をつくる中で、それを吸い上げてくることになると思います。新機構の中で業務実績の報告をつくる中で、いかにきちんとした報告なりが個々の病院からあがってくるかという仕組みをいかに組み立てていくかということだと思います。ご指摘の点については留意しなければいけないと思います。
○田中座長 大変貴重なご指摘をありがとうございました。ほかはいかがですか。理事長のほうから最初の3項目について何かおありですか。
○尾身理事長 有用なご指摘をいろいろありがとうございます。私のほうからご指摘に対する私の意見を述べます。最初のミッション、役割についてご指摘があり、座長からも地域医療と包括ケアは違うが非常に関係があるということでした。私の個人的な考えは、3ページ目の3番目のポツの趣旨は、医療と介護の連携が言われていますが、実際には現場で医療人と介護の人のギャップはかなりあるので、それぞれ違うものではあるがさらなる連携が求められるということで、地域医療かつ地域包括ケアと並列して書かれるのがいいのではないかと個人的には思っています。
健康増進のことが冨永委員、渡辺副座長のほうからありましたが大賛成です。われわれが地域包括ケアというときには、単に病気になった人、あるいは疾病を抱えた人にどうケアするかだけではなく、認知症の問題があるし、フィジカルな、寝たきり、体が動かない、この2つがある。こういうものをどうして防いで、健康づくりをするかというのも、われわれのミッションの1つに入れたらいいということで、そこに入れ込めればと思います。
3番目の包括ケアのところで、座長のご指摘の医師、看護師だけではないというのはおっしゃる通りです。ここは言葉が少し足りないと思うので、ケアマネジャーを含め、医師、看護師も当然入るわけですので、少し修正したらいいのではないかと思います。
小林委員のガバナンスの話ですが、前回ガバナンスのときでも、RFOのほうから提案しましたが、これからはしっかり統一したルールをつくり、各病院の評価もしっかりして、そういうものを国に送るという二層構造で、新機構の本部としてはしっかりしたルールを決めていろいろな業績を、いわゆる見える化をして透明性を持って国に報告することだと思います。
○田中座長 最初の3つの論点について、ほかにはよろしいですか。後でさかのぼっていただいても結構ですが、次に4監事機能について、5法人の業務運営の改善について、6役員の任命、役員の責任等、7雇用・人事管理、これらについて意見や質問があればお願いします。4から7です。
○冨永委員 専門家ではないので分かりにくいので教えていただきたいのですが。9ページの5の組織・運営等のところの3つ目の四角の中の2つ目です。不正行為云々があるときは命令ということ。これはいいと思いますが、10ページの6の組織のところでは、2つ目のカッコの最後の4つ目の○に損害賠償責任を課すとあります。3つ目のカッコで、新法人の自律的な運営云々で損害賠償の責任を課すことにしてはどうかと。この辺がよく分かりません。勧告・命令で済まない場合に賠償責任を課すということでしたが、賠償責任というと、一般の会社、法人でもあまり穏当ではないと思います。賠償責任ということまで言われると、私自身であれば、やってられないという気がするのですがいかがですか。
○田中座長 説明をお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 9ページの改善命令の話と10ページの役員の損害賠償責任との関係は、命令がなされて、賠償責任とか、必ずしもリンクするものではないと思います。ものによりけり、事案によりけりだと思います。9ページの改善命令は法人の業務運営の中で不正行為、違法行為があるということをとらまえて、改善命令を出すということであるのと、10ページの損害賠償責任は役員が任務をやっていく中で、任務を怠ったことにより法人に損害を与えると。法人に損害を与えたことに対しての賠償責任ということです。9ページと10ページの話は必ずしもリンクするものではありません。ものによってはリンクしてくる場合、不正行為、違法行為によって法人に損害を与える、それが役員の任務を怠ったことによるものである場合は両者がリンクする可能性は出てきますが、これは必ずしもリンクするということではありません。それぞれ見ていく形だと思います。
○田中座長 冨永委員、よろしいですか。
○冨永委員 分かったような、分からないようなことで、本音は分からないのですが。リンクするということでもあるのですが、役員の賠償責任ということが、一般の会社でも例えばどこかの会社が倒産したから、役員に賠償責任を負わすということは普通は法人ではないように思います。それが機構ではこういうことまで書いてあるというのは書き過ぎではないかという気がします。私は全く素人なので分かりませんが。
○田中座長 お願いします。
○重元社会保険病院対策室長 前回の提出資料の中に出していましたが、お手元にファイルがあれば見ていただければと思います。第2回の資料の中の資料5の4の4ページです。その中で横表が4ページの下半分に掲載されています。今の独立行政法人通則法の中では損害賠償責任に関する規定はありませんが、一般社団や一般財団の中では任務を怠ったときには損害賠償責任の規定があるということや、民間会社の中でも会社法の中にはそういう規定があると。廃案になっていますが今回の通則法の改正法案の中でも、このような規定が設けられているということを踏まえて、法人としての自律的な、業務の適正性を確保するという観点で、このような損害賠償責任を設けてはどうかという提案をしました。
実際に損害賠償責任を課されたときにどうなるかという話で、最初の論点整理の資料の説明の中でも申し上げたように、なり手がなくなるのではないかとか、そのようなご指摘もあると思います。例えば民間の会社では役員の損害賠償責任に関する任意の保険制度のような仕組みも保険商品としてあると承知しています。そのような保険の仕組みが活用できるかどうかということも、次の段階として考えていく論点なのかなと考えています。
○冨永委員 1枚ものの、目標行政法人と新法人の論点整理の比較というところには書いてないのですが、これは意味があるのですか、ないのですか。
○田中座長 事務局。
○重元社会保険病院対策室長 事実関係としては中期目標行政法人の正しい通則法改正法案の仕組みの中では損害賠償に関する規定というのが設けられていましたので、ここは不十分だったかもしれません。1枚ものの資料は不十分だったかもしれません。申し訳ありません。
補足します。最初に申し上げたように、資料2の1枚紙は中期目標行政法人と新法人との間で同じものについては、同じ整理になっているものは書いてないということです。大変失礼しました。
○田中座長 小林委員、お願いします。
○小林委員 今の件ですが、冨永委員がおっしゃっていることに私も同じような感じを持ちました。法人のミッションを達成というのが非常に重要で、ミッション達成のために内部コントロール、内部統制の仕組みを法人の中につくって、内部統制については誰が責任を負うのか。理事長が責任を負うのか、役員が責任を負うのか。会社の場合だったらCEOが負うことになると思います。何に責任を持つのかということを明確にする必要があるのではないかと思います。ここの書き方では、私は法律の専門家ではないのですが、任務を怠ったことによりというのは非常に漠然としていて、法人のミッション、目的を達成するために十分な内部コントロールを行う。その中で不正や何かいろいろな齟齬があった場合には内部コントロールの責任を負うことのほうが合理的ではないのかと思います。
アメリカの政府の場合は行政機関の長が内部統制の責任を負うと法律で定められていますので、そこはもう少し明確にしたほうがよろしいのではないかと思います。
○田中座長 本文に書くかどうは別として説明ができるようにしたらいいのではないかと言っていただきました。菊池委員、お願いします。
○菊池委員 今の点に関してです。任務を怠るという、中身は何かということだと思います。そこはある程度書き込むかどうかは別にして、少し明確化していただければと思います。この部分は決して医療の萎縮を招くような趣旨の中身のものではないと。そこは自律的な運営というものを1つの大きな柱にしているわけであり、また、医療の専門性ということもありますので明確に押さえたほうがいいのではないかと思います。
○田中座長 監事機能については前に意見が出なかったと説明がありました。監事にきちんと法人のガバナンスの中でこのような機能を持たせるのには賛成します。
3から7についてほかにご意見はありますか。渡辺委員、お願いします。
○渡辺座長代理 基本的なことを確認しておきたいのですが。9ページの論点整理で、言葉の問題もありますが、最初に2つ◆があって、厚生労働大臣が評価結果に基づいて業務運営の改善を促す仕組みについては、医療の現場云々と。それで勧告して、正当な理由なく勧告に従わない場合は命令となっています。これは評価結果に基づく業務運営。その次の◆が医療事業の業務運営が著しく適正を欠く場合や不正行為こうこうある場合にはいきなり命令です。私の不勉強かもしれませんが、業務運営についてはまず主務大臣による評価があるわけです。その評価に基づいて勧告して、医療現場だからいろいろなことがあるだろうから事情を聞いてみて、正当でなければ命令になるわけです。下のほうはどういう意味ですか。医療事業の業務運営が著しく、当然といえば当然ですが、評価といきなりなのかと、その辺をもう少しご説明いただけますか。
○田中座長 お願いします。
○重元社会保険病院対策室長 下のほうのいきなり命令の部分につきましては、これは1つ目の業務実績評価とは関係なく、日常の通常の医療事業をやっている中で、違法行為、不正行為、あるいは著しく適正を欠く行為があった場合については大臣が是正とか業務運営改善の命令を出すという仕組みです。評価のほうと関係しているということではありません。1つ目のほうは業務実績評価を行う中で、業務運営の改善をしたほうがいいような部分というのが出てきたときに、まずは勧告をしていくと。評価という仕組みの中での話と整理をしています。
○渡辺座長代理 その通りで分かるのですが。両方結論があっていいと思いますが、私自身が独法評価委員会で長くやってきて感じたのは、言葉のグレーゾーンというか、どちらかという仕分けしにくいゾーンが。下は医療事業に関して、それは分かります。医療事業で何かあればいちいち評価なんか待っていられないから、すぐに改善命令を出さなければいけないのは分かるが。いっぽうで、医療事業が、特に独立行政法人の病院の場合はこれまでも医療事業が一番のメーンのテーマで、それで評価した結果、これはおかしいという。例えば医療事業の中にも診療事業もあれば、医師の養成もあればという、細かく言い出すと切りなくあるわけです。だからその辺を少し、取り越し苦労かもしれないが、下のほうはよく分かるが、医療現場の治療というか患者相手にというか、そんなイメージだと思うのですが。そこのところを私自身も明快な答えはないのでもう少しはっきりさせないと、何か曖昧な印象を残したままになるのかなぐらいの気持ちがあったので、そのようなことを質問しました。
○田中座長 私も一委員としていいですか。10ページです。委員から出された意見の中に院長や事務局長についての意見があるのですが論点に入っていません。これは入れないということでしょうか。
○重元社会保険病院対策室長 3つ目の、出された主な意見の院長、事務局長の点については、論点整理の中の最適な人がなるべきという部分で。論点整理の1つ目の部分は法人の役員の話が念頭に置かれています。役員というのは法人機構本部の理事長なり、理事なり、監事、こういったところが念頭に置かれています。そういう意味では院長や事務局長は法人の役員という位置付けではないので、この中には入れていなかったということです。事実関係を整理するとそういうことです。
○田中座長 11ページに書いてあると理解していいのですか。7番目のほうで、院長、事務局長について読み込めるということですか。
○重元社会保険病院対策室長 はい。
○田中座長 10ページです。役員は公募すべきである、公募を含め、ふさわしい方を選ぶことには賛成です。万が一のときは当然賠償責任、それもいいと思います。この2つだけだと、いい人を採る、悪いことをしたら罰するぞと、少しきついというか、論理が飛び過ぎている感じがします。ふさわしい方を採る。本当は間に選ばれた役員が能力を発揮できるように業務を明確化し、責任や権限を明確化すべきであると、業務の行い方が書いてあって、悪いことをしたらだめだと書いてあるならいいのですが。公募します、捕まえます、では間が飛んでいる感じがします。
○重元社会保険病院対策室長 そこについては工夫をしてみたいと思います。
○渡辺座長代理 今の座長の意見に関連するというか、法人としての役員に関してはこの表現でかなり充足していると思います。かつて委員から意見が出たように、現場の院長、事務局長、特に社会保険病院の場合は天下り的な人が多いことも批判されてきたことは確かです。そのような批判に応えているのかなという、われわれ委員の責任でもあるが、論点整理の中でもう少しその辺を、法人のことだけですからということで済ませられるのかなという気がします。その辺のかつての反省もここに盛り込む必要があるのかなという気がします。どうでしょうか。
○田中座長 参考としてまとめに取り組んでいただきます。ほかにいかがですか。理事長、今出た論点について何か意見というか感想でも結構ですがありますか。
○尾身理事長 われわれもじっくり検討したいと思います。
○田中座長 ほかになければ、8財政措置、利益処分、9情報公開・発信、この2つの部分についてご意見、ご質問がありましたらご発言をお願いします。
テクニカルなことですが日本語の話で、12ページの一番下の行です。「既定の補助制度や国等の委託事業」と書いてありますが、「既定」と書くと、これからできる新しい補助制度が使えないことになるので、「既定」という形容詞は要らないのではないですか。「さまざまな補助制度や」でいいと思います。
○渡辺座長代理 今おっしゃったように、既定の補助制度と言いたかったことは、例えば救急指定を受けると補助金が出ます、そういった補助制度を念頭に置いているからこのような表現になったのかと、あるいは高度医療等々。これは失礼ながら、社保や厚年は無理なのかと思うが、競争的な研究費用を獲得するという、委託事業を積極的活用、受託もいいが、研究の面というのを入れるべきなのかどうかと思ったのですが、そこまで踏み込めないのかなという気がします。そこにご意見があればおっしゃってください。
○尾身理事長 渡辺座長代理のほうからの補助金と委託事業の話です。12ページの一番下からの2番目の◆に書かれているように、今回は交付金が支給されないことが去年の議員立法で決まり、いろいろな建物整備等も自前でやるという指示が出されている。そういう中で補助金や委託事業は病院経営に使うということではなく、病院経営は自前の診療報酬でやるということが自立性だと思います。今の渡辺座長代理の研究のことですが、私の考えは、総合医の育成について、あるいは、地域包括ケアの在り方についての研究の委託などができればいいのではないかと思います。もう一つの補助のほうは、例えば先ほど人材の育成とか、総合医の育成というのは直接病院の運営とは違います。しかも機構の中の医師だけではなく、場合によってはほかの機構、外の医師あるいは看護師、ケアマネジャーなんかの育成にも関わるべきだと思っています。そういう意味での補助制度、あるいは委託事業活用ができればいいのではないかと個人的には思っています。
○田中座長 今の8、9でもいいですし、全体を通しての考え方で、ここはまだ抜けているのではないかとか何かありましたら。中沢委員お願いします。
○中沢委員 最後のところにかかるかもしれませんが、運営費交付金が支給されない中で、病院経営をどのような形で立て直すというか、しっかりさせていくかというところがかなり求められるところだと思います。例えば独立行政法人で神奈川県も病院をいくつか独法化されていますが、基本的には運営費交付金の中で実際やっているわけです。政策医療をお願いしつつやるというのは、かなり難しい話もあるのではないかと思います。例えば多分いろいろな病院がやっているのは、内部努力のような形で、業務の民間委託や薬剤の共同購入というところで、いろいろ努力をしていたり、診療報酬制度をしっかり活用し、施設基準等を取得するように努力をして、補助金や委託金も併せ、全体的に収益を考えていかなければ、なかなか成り立ち得ないかなと思います。ここに入れる入れないはともかく、そういった視点で効率的な病院運営をしっかりやっていただきたいという希望です。
○田中座長 日々の運営はできるにしても建て替えのことを考えると、より大きな視点から考えなければいけないということですね。いかがですか。
○冨永委員 8番目の上のカッコの3の3つ目の「利益処分をどのように考えるか」ということは当然厚生労働省のほうもそのように考えているのだと思いますが、現場の院長を務める立場から申し上げると、機構全体の中の1つのそれぞれの病院でしょうが、各自努力した利益に関しては、国に返すのではなく留保できて、地域住民や高度医療のための準備資金として活用できるということを盛り込むべきかどうかは知りませんが、ぜひそのようなことにしていただきたいと思っています。各病院のやる気を出すためにも、頑張ったらそれだけ次の医療機械が買える、あるいは建物が増築できるということにしておかなければ沈滞してしまうのではないかという気がします。
○田中座長 お願いします。
○渡辺座長代理 先ほどの受託補助金や受託のところで、13ページの国病、労災のほうの参考は載っていますが、私もこの委員をやっていますが、利益処分についてはこの表現は
国病、労災とほぼ同じといってもいい、これでいいと思います。両方ともに利益処分については、冨永先生がおっしゃったように、病院独自のいろいろな患者のために使えることは使うというと思います。あとは細かいことですが、既定の補助制度云々については、13ページの国病、労災のほうは2つ目の◆で「公的・民間医療機関に対する補助制度が存在するものは、可能な限りそれを活用できる仕組みとしてはどうか」という表現になっています。RFOのほうは、先ほど尾身理事長も委託事業とおっしゃったけれども、委託事業がかなり柱になっているという気がします。厚労省に伺いたいのですが、そのような意識が何かあって、書き分けというか、そうしたのかと確認しておきたいのですが、よろしいですか。
○田中座長 お答えください。
○重元社会保険病院対策室長 この部分については明確な書き分けの意識があるかどうかということでは、正直ないと思います。そこは国立病院機構の議論の推移等も踏まえて、最終的には整理をきちんとしたいと思います。
○田中座長 課長お願いします
○医政局国立病院課長 どういう意識で書き分けたのかは後で整理しますが、制度的に国立病院機構のほうは補助の対象になっていないものが存在しています。これはこちらから見ればお願いということになりますが、補助制度のほうを変えてもらう必要があるというところの問題意識が少し違うという感じがします。
○田中座長 お願いします。
○整理機構総務部長 渡辺先生はよくご存じですが、今日は国病の側ではなく地域医療のほうで言います。去年議員立法の中に、国費を投入しないという、法律に条文があります。国費の解釈は独法ですから運営費交付金ととらまえていますが、できればこのようなオフィシャルな委員会、検討会で今の補助制度の議論、先ほど尾身理事長が言いました、国から委託を受けるとか、県、自治体から受ける委託事業等々、不採算な部分に補助が出る部分についてのパブリックなお金というものを指していないという明確な判断というか、その辺がファジーになっています。国病は独法ですから原則補助制度がもらえないというのと同じで、われわれは国費は入らないという言い方をされていますので、その辺を気を遣っているというか手探りでいっているという状況です。
○田中座長 問題提起がありました。国費を入れないときに、補助制度や委託事業はどうなんだろうと。委員としての意見はいかがですか。最終的に決めるのはわれわれではないが。渡辺委員が言われたのも、あり得る補助や委託は国費の定義にはここでは入らないという感じで発言されたのですね。
○渡辺座長代理 はい。
○田中座長 ほかはいかがですか。国費とは運営補助金のことで、赤字を補填する補助金はいけないが、何か特別な事業のためのお金とか、委託研究等はあり得ると。全員うなずいているので、委員側はそういう意見のようですね。問題提起をありがとうございました。
よろしいですか。ほかになければ終わりますが。事務局からよろしいですか。一応委員の方々の意見を伺っておきたい点がほかにあれば言っていただいても結構ですが。
よろしければ時間が早いですが、一渡り中身を皆さんに触れていただいたし、それぞれ貴重な意見を伺いました。これまでの議論を踏まえて、次回に取りまとめを行う予定です。今後の予定について説明をお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 今座長からありましたように、次回の第4回目はこれまでの議論を踏まえて、この検討会での取りまとめをしたいと思います。日程については調整の上、皆さまに連絡をしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。以上です。
○田中座長 時間は少し短かったですが、凝縮した議論をいただきましてありがとうございました。第3回の検討会をこれで終了します。ありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会> 第3回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録