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2012年11月13日 第7回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成24年11月13日(火)14:00~15:30


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室


○議事

○今野座長 それでは時間になりましたので、ただ今から第7回中央訓練協議会を開催いたします。今日の出席者については、御手元の参考資料1に出席者名簿がございますので、ご覧いただきたいと思います。
 また事務局に異動がありましたので御紹介いたします。新たに就任された山田職業能力開発局長です。内田大臣官房審議官です。吉本総務課長です。青山能力開発課企画官です。
 それでは議事に入ります。今回は平成25年度の全国職業訓練実施計画の策定に向けて、求職者支援訓練の訓練コース設定の在り方を中心に意見交換を行いたいと考えております。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 改めまして能力開発課の青山です。資料の説明をいたします。
 資料1です。中央訓練協議会は前回6月28日にありましたが、来年度の平成25年度の訓練規模について、今年度より減少するという方向で御議論いただいたところです。その後、そういう御議論も踏まえて厚労省のほうで概算要求をいたしましたので、その内容を御報告します。
 まず、公共職業訓練(離職者訓練)の部分は、訓練規模で申し上げますと、約16.4万人で要求しています。その内訳は飛ばしまして、求職者支援訓練のほうは約16.8万人で要求しています。これは公共職業訓練も求職者支援訓練も、いずれも今年度は括弧書きですが、それと比べると3割減となっています。なお、求職者支援訓練については、訓練計画を策定する際には、充足率がありますので、この定員を充足率0.8で割り戻した人数で上限としますので、この要求規模でいっても、これより多少多い人数で訓練計画を作っていく仕組みになっています。
 本日は、このうち、職業訓練実施計画に向けての方向性の御議論をお願いしたいと思っておりまして、以下、資料を用意しています。今回の議論は、訓練計画を策定する際に、その内容となります分野ごとの配分といった方向性を議論いただく趣旨でお願いするものですので、そういう論点を提示する形になっています。なお、訓練実施計画の平成25年度の本体につきましては、今日の御議論に基づき今後作業いたしまして、予算の成立も見ながら中央訓練協議会で、再度御議論いただいた上で年度末を目途に策定したいと考えています。
 それでは、資料1の論点の説明ですが、論点の1つ目が基礎コース、実践コースの割合をどうするかです。この制度におきましては、訓練コースの内、基礎的能力から実践的能力までを一括して付与する訓練である実践コースを中心としつつ、基礎的能力のみを付与する基礎コースも必要ということで、審議会でも議論されており、その考えで訓練計画も策定しています。したがって、現在の平成24年度の計画におきましても基礎コース20%、実践コース80%で人数を定め、「地域職業訓練実施計画においては基礎コースの割合を20%超としてはならない」としています。これに基づき、各県でも20%以下で訓練枠を設定しています。
 次に論点の2つ目です。訓練のうち、基礎コースは職種横断的な訓練ですが、実践コースは特定の職種に必要な実践的技能までを付与する訓練ですので、訓練分野は分かれてきます。この実践コースの訓練分野につきましては、成長分野とされる分野について基金訓練の実施状況なども踏まえながら、訓練定員の配分を掲げています。計画本体には、ここにありますように24万人のうち、6万人とか3万6,000人の人数ですが、割合で示しますと、介護系が25%、情報系が15%、医療事務系が7%とし、その他の成長分野(農業、環境、観光など)等で残りの53%を充てる計画になっています。これをどうするかというのが2つ目の論点です。
 3つ目の論点が新規枠の割合をどうするかということです。これは訓練を認定する際の新規参入枠のことですが、訓練の認定をする際に基金訓練、または求職者訓練の就職実績があり、その就職実績が良好なものから選定するものですが、そういう訓練の実績がなくても、今後、行おうとする訓練の案などを見まして、申請を認め、認定を行っている新規参入枠を設けています。平成23年度は基礎コース、実践コースでいずれも5%から10%だったのですが、平成24年度は基金訓練の実績などが揃わない端境期ということも考慮して基礎コースは5~10%の間ですが、実践コースは5~20%の間で設定すると定めています。なお、被災3県の岩手、宮城、福島県は5~30%と更に緩和した枠を認めています。この枠内で各地域計画で新規枠の割合を決めてもらっています。以上が新規枠の論点です。
 4つ目の論点は、特定の対象者の特性・訓練ニーズに応じた職業訓練の扱いをどうするかです。右の欄にありますように、現行の訓練計画でも「東日本大震災の被災者や未就職のまま卒業することとなった新卒者など、対象者の特性・訓練ニーズに応じた職業訓練の設定にも努めること」とされています。こういう扱いをどうするかということですが、実際にもこういう計画に基づきまして、被災地の震災に特例的な重機を運転するための訓練コースの設定を行ったり、また、学卒未就職者向けの訓練コースを必要に応じ、都道府県労働局の判断で定員枠を確保することもしております。論点の説明は以上です。
 次は資料3で、各論点ごとに御議論をいただく際に参考となるデータを説明します。
 まず1点目の論点で、基礎コース、実践コースの割合にかかわるデータです。1ページ、上の枠囲いにありますように、申請状況を見ると基礎対実践が30%:70%、認定状況を見ると基礎対実践が25%:75%です。これはグラフを見ていただきますと分かりますとおり、折線グラフが認定上限値という認定枠なのですが、基礎は常に認定上限値を上回る申請があり、枠に収まるように認定している実態です。実践コースにつきましては、少なくとも全体を合計すると、この折線グラフの認定上限値を下回るか、ギリギリぐらいの認定申請数であり認定も行われている。少なくとも合計と申しましたのが、この実践コースの中で地域ごととか、分野ごとに細かく区分けして1個1個見ると枠を超えている場合もあるとは思うのですが、合計するとこのように全体としては下回る結果になります。
 2ページは、定員・応募・受講状況です。枠の中に、実践よりも基礎のほうが応募率が高く、同様に定員充足率も高いと書いてあります。下のグラフをご覧いただきますと分かりますとおり、左から定員・応募・受講の順に4期分ありますが、残念ながらいずれも定員に対する応募者の割合や定員充足率、即ち定員に対する受講者の割合は1倍とか100%を下回ります。その中でも比較しますと基礎のほうが応募倍率、定員充足率とも高い状況となっています。ちなみに、その訓練の供給と充足の関係を、訓練の中止の視点で見たのが下の表です。受講生を募集した上で、応募者が定員の半数に満たない場合には中止することを認めていますが、その結果、学校が中止と判断したコースが生じております。その割合がいちばん下の中止率で、平成24年度の上期で基礎コースは16.6%、実践コースは26.8%で4分の1前後の割合です。
 次の3ページ目は就職状況で、本年3月末までに終了した者の就職状況です。この表の中の網掛けの欄が就職率です。基礎コース71.7%、実践コース73%になっておりまして、いずれも7割を超えています。元々、事業目標は基礎コースが60%、実践コースが70%でしたので、特に基礎コースについては目標を大きく上回っていることになります。ちなみに、就職した人のうち、雇用期間の定めがない就職の割合はいちばん右の欄で、実践コースのほうが高くなっています。
 以上が基礎コースと実践コースのデータですが、補足で説明しますと、地域訓練協議会で出された意見などを見ておりますと、基礎コースはパソコンスキルに関する訓練が多いようです。そのパソコンスキルを身に付けたいと思う方が受けているのですが、中にはパソコンスキル以外の能力はある程度持っているけれども、就職するためにパソコンスキルの能力を、更に身に付けて就職したいという人もいるということで、基礎コースの受講をしてる方は多様な方々なのかなと捉えておりまして、就職率が目標よりかなり高いというのもそういう受講者層の多様さが背景にあるのかなと想像しています。
 いずれにしましても、このように現行計画上の枠は20%、80%の形で基礎、実践の割合が定められていますけれども、実態はより基礎のほうに訓練の供給と受講生のニーズとも厚くなっているという現実があります。ちなみに、地域訓練協議会でも議論されている地域の関係者の意見を見ましても、基礎コースの割合をもっと上げるべきではないかという声が見られます。なお、別の視点の話で、実践コースのほうが、特にIT分野などを見るとカリキュラムが難しいので受講生も敬遠するし、申請をしようとする訓練機関も敬遠するのではないかという意見も上がっています。これが基礎と実践の割合のデータです。
 続けて、実践コースの中の訓練分野のデータを4ページ以下で説明します。訓練内容が就職に結び付くことが必要ですので、まず4ページ目の始めでは、求人ニーズについて産業別に資料を掲げています。産業別の有効求人数のシェアですが、(2)の平成24年度の9月までの月平均で見ていただきますと、介護が多く含まれる医療・福祉の分野が一番多く2割を超えています。卸売・小売、サービスといった順に求人のシェアがあります。ちなみに、訓練分野の重点として掲げている情報通信の業務を見ますと、3%台でそれほどシェアは高くないということです。ただ、これは訓練分野は医療事務といった職種的な分野、産業普遍的分野もありますので、なかなかこれだけでは1対1で対応しないということで、参考にご覧いただければと思います。
 次が求職者ニーズで、5、6ページをまとめて見ていただきたいのですが、求職者の応募倍率とか定員充足の状況です。ザッと眺めていただきますと、例えば5ページの4つの箱の中でも、重点分野として掲げている介護福祉分野、医療事務分野は他分野よりは応募倍率、充足率も高い状況です。6ページにあるデザインの分野も比較的高く出ています。その他、営業・販売・事務の分野が5ページの最後のグラフにあり、それほど高くはないのですが規模としてはありますので掲げているところです。今、デザインの話を出しましたので、少し留意していただくべきこととして補足しますが、基金訓練の頃はIT分野の中にWebのプログラミングとか、アプリケーション制作といったものとともに、ホームページ制作のようなWebデザイン的なものとの両方の内容を含んで捉えていましたが、現在は後者のWebを使ったデザイン等はデザイン分野として整理しています。そのため、Web制作等の訓練が結構あることから、デザイン分野は定員も受講もあるということです。
 営業・販売・事務は、後ほど御説明しますが、シェアが結構あるという事実があります。
 農林業、旅行・観光、エコ分野は計画上は重点的に掲げています。残念ながら訓練自体があまり多くないので、なかなか見にくいのですけれども、一定の量で行われている部分はあります。
 次に7ページのグラフで受講者の分野別分布です。平成24年度を見ていただきますと、重点分野としている介護・福祉が一番多く、その他、営業・販売・事務、デザイン、医療事務、IT事務の順に多くなっています。重点分野の介護、医療、ITも一定のシェアがありますし、重点分野として掲げていない営業・販売・事務、デザインもあるという状況です。しかもITよりも医療事務やデザインが若干多くなっているのが現状です。
 一番下の表が分野別中止率でIT、営業・販売・事務は中止率も高く真ん中の介護や医療事務は中止率が比較的に低くなっています。残りは元々サンプルが少ないので、留意して見るに留まるかと思います。
 今まで説明しましたように、計画に掲げていない営業・販売・事務、デザイン等も一定量のシェアがありますので、今回、データを御紹介しました。かつ、都道府県においては、例えば営業・販売・事務といった訓練分野を一定の枠を取って認定しているところも幾つかありまして、都道府県のそういう自主性もある程度出ている分野かと思います。その他計画上、言及だけしている農林・観光とか、エコといったものについても、認定枠を設定している都道府県も若干あります。
 8ページ、分野別就職率は介護福祉が80.5%で一番高く、その後はデザイン、医療事務の順で高くなっており、IT、営業・販売・事務は若干低くなっている状況です。介護福祉については、下の表にありますとおり、雇用期間の定めがない就職者の割合とか、本人がコースに関連した就職だと回答した関連就職も一番高いという形で出ています。
 9ページ以降は3つ目の論点の新規枠のデータです。新規枠は先ほど言いましたように、基礎コースは5~10%、実践コースは5~20%の間で都道府県ごとに枠を設定して認定をしていますが、基礎コースは元々、新規枠の申請がそれほどなかったので、平成23年度と平成24年度とで余り変化は見られないのですが、右の実践コースのグラフを見ると、新規枠の申請は減っております一方で、実績枠、これは実際に行った求職者訓練か基金訓練の就職実績が出せる訓練ですが、この実績枠が増えておりますので、新規枠から抜け出して実績枠で申請するというシフトは見て取れます。そういう形で新規枠の申請は落ち着きつつあるとは言えるとは思うのですが、依然として基礎、実践ともに認定定員の2倍相当の申請があります。
 実際、その新規枠5~10%とか5~20%で全国計画を定めていることとの対比で実績を見ますと、例えば基礎コース、この左のグラフの下にある小さなものですが、その中で新規枠の申請・認定定員の割合を見ると7.1%、7.5%と7%台で収まっていますが、右の実践コースで見ますと、申請・認定とも新規枠の割合が19%、15.8%というようにやはり10%を超える割合で、まだ存在をしています。ちなみに、新規枠で行われた訓練の成果を見るという意味で、就職率を取り出してみたのが下の就職率の比較という表です。まだサンプルがそれほど多くないので、注意は必要ですが、特に基礎コースでは全体平均に比べて新規枠のみで見た場合のほうが高いというデータも出ておりまして、就職率でみると新規枠は遜色ない結果になっています。
 10ページ以降の参考資料の御紹介です。10ページは訓練の受講者数の最新のデータです。昨年度の10月から3月までと今年の4月から9月までの半年間、要はこの施行後1年間分の受講者数です。合計で右上の欄の10万1,790人で、基礎、実践は内訳は基礎が2万8,000人程度、実践が7万3,000人超ということで人数が掲げられています。次の11、12ページは求職者支援訓練のカリキュラムの作成(例)とありますが、これは高齢・障害・求職者雇用支援機構が訓練の認定申請を受け付ける際の参考資料としてホームページに掲げている例です。あくまでも例ですので、これが全てということではないのですが、11ページが基礎コースのITの科目を設定したカリキュラムや簿記科目を設定したカリキュラムのイメージです。12ページは実践コースで、この分野以外にもいろいろあるのですが、IT分野とWebデザイナーなどが含まれるデザイン分野の例も掲げています。先ほど難し過ぎるという話もしましたが、こういうものを見てそういう意見が出てきている実態はあります。
 資料4は今回、議論する基となっている今年度の訓練実施計画です。御参照ください。これも昨年度の中央訓練協議会の議論などを踏まえて作っております。計画は全体の実績の振り返りから始まって、公共職業訓練の計画があり、これもまた年度末に御議論して決めます。そして、これから議論をお願いします3ページの求職者支援訓練の計画の形で構成、作成しております。
 資料5です。先ほどから何度か「地域で枠を設けて」と申しましたように、各都道府県ごとの訓練の計画の内容です。先ほど御紹介しました資料4の全国の計画に基づきまして、都道府県においても訓練協議会で議論した上でこのような計画を立ておりまして、左から年間上限値、つまり各都道府県ごとの認定上限枠、右の欄に行きますと、基礎、実践の割合を定めたり、新規枠の割合を定めたり、その上で基礎コースの実数の上限、実践コースの中の介護・医療事務、情報の分野の枠を定める、また独自の取組として、その他の中でも営業・販売・事務を取り出して枠を設けたり、その他の分野で設けたりという計画となっています。これは裏表で47都道府県分を掲げさせていただいています。御参考にしてもらえればと思います。
 資料6は地域訓練協議会で出された主な意見です。6月28日に中央訓練協議会をやったあとに、各都道府県でも7月頃に地域訓練協議会を開催してもらいました。次ページ(参考)にありますとおり、地域訓練協議会も、本協議会と同様に有識者のほか、労使団体、教育訓練機関、高齢・障害・求職者雇用支援機構、都道府県の担当課、労働局という構成で議論をしております。中央と同じように6月、7月に議論し、また、11月、12月頃、具体的には本日のこの協議会の議論のあと、地域でも開催してもらうつもりです。さらに、中央と同じように3月末にやるという形で、これも年に3回開きます。直近の地域訓練協議会で出された意見で主なものを拾ったのが資料6です。
 時間の関係で逐一の説明は省略しますが、例えば1ページ、4つ目の○は先ほど一番目の論点で申しました基礎コースの割合を引き上げて欲しいといった声で、どういう人が受けているかとか、どういった内容かということが意見として出ております。実践が難しいということも踏まえて、どういったニーズが出てきているかという声を整理しています。例えば2ページ目の3.定員充足に関する事項でも、先ほどから何度かデータでお示しをしている中止コースが課題で挙げられています。公共職業訓練や求職者支援訓練、求職者支援訓練同士の競合で受講申込者が分散して中止になってしまうという課題が掲げられています。これも御参考にしていただければと思います。
 資料7は今日の議題の中心ではありませんが、国と都道府県が実施している公共職業訓練の実施状況で、施設内委託訓練の人数と分野別の人数も載せております。これは御参照ということで、お手すきのときにご欄いただければ幸いです。私からの説明は以上です。
○今野座長 先ほど説明のありました資料2に、今日検討していただきたい項目が4つありますので、順番にやっていきたいと思います。1番目は、基礎コースと実践コースの割合をどうするかについて議論をしていただければと思います。現行は基礎20、実践80という構成でやっています。どなたでも結構ですので、御意見、御質問がありましたら。
○浦山理事・総務委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 今、御説明いただいた資料6の「地域訓練協議会で出された主な意見」の1.の上から4つ目の○ですが、基礎コースの割合(現行2割)を引き上げてほしい。この辺の観点で、黒ポツでいくつかその理由は書いてありますが、これは私ども全国の専門学校関係の調査でも出ています。今は求人数が少しずつ増加をしていることもあるのだろうと思いますが、そういうようなことから転職希望者などの求職者、支援受講者も少しずつ増えているということで、実質的には特に黒ポツの2つ目です。求職者層は、パソコン操作のスキル以外は就職できる能力を備えている。この辺が、かなり重要な観点なのかなと思います。資料がいろいろあったので、どこに書いてあったかがよく分からないですが、求職者支援訓練の昨年の10月からこの9月までの実績ですが、10万人強というデータがどこかにありました。資料3の10ページにその人数が出ておりますが、その中の内訳を見てみると、基礎コースが2万8,000人ということは、10万人強に対して27.8%というシェアになるのだろうと思います。だから、実績自体が3割近いという観点。そして、また、なぜに3割近い求職者層が、今の時代の局面でいるかというようなところから、この辺の主な意見の基礎コースの割合というものも、今、2対8ということには一応、これは平成24年度の実績ですが、平成25年度はどうするかという観点で、数字的にいえばもう3割、7割ぐらいにしてもいいのではないかなというコメントです。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○谷治専務理事・総務委員長(社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 資料3の1ページの応募状況というか申請状況を見ますと、基礎コースは定員よりも相当数の申請がある。実践のほうは、定員をかなり割れているような応募状況ということを考えてみても、基礎コースのほうをかなり増やしていかなければいけないのではないかなと思います。今、浦山さんからも話がありましたように、基礎コースは少なくとも30%ぐらいをシェアとして計画したほうがいいのではないかと思います。
○間部産業政策第二部長(日本商工会議所) 先に質問をさせていただきます。資料3の8ページのいちばん下の「関連就職割合」というのは、IT分野であればITのコースを受講した方のうち、IT関係の分野に就職した方が50.3%いた、という見方でよろしいのですよね。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 そのとおりです。これは本人に、訓練コースの内容に関連した業種又は職種の就職か否かを「はい」「いいえ」で答える報告を出してもらっていて、「はい」に答えた方の率を掲げております。
○間部産業政策第二部長 要は、50.3%というのはITというコースを受講されて、ある種この分野に進んでいただくための訓練をしてきた方が達成された数字であり、結果的に50.3%というのはよしとする数字なのか。実際は訓練したにもかかわらず、この分野に半分しか就職できていないというこの就職割合を、今後、どう評価していくのかがあるのかなというのが1つです。
 それと、課題というか検討事項の全般に関して言えますが、先ほど基礎コースを受講された方のニーズが高いというお話もあり、あるいは御説明の中でも、もともと基礎コースを受けられている方は別のいろいろな能力があって、それにプラスアルファでパソコンのスキルを持つことで就職に結び付いているケースが見られるというお話があったのですが、この基礎コースを受けたことが、本当に就職するに当たっての最後の1つの大きなポイントになっているのかどうかなど、もう少しそこら辺を精緻に検証する必要があるのかなと思います。そういうものがデータとして出てこないと、一概にコースの割合をどうするという議論に簡単に行けるのかなというのが1つの疑問というか意見です。
 あと、私どもの立場からすると、基礎コースであれ実践コースであれ、実際に就職した方が果たしてずっとそのまま働き続けていらっしゃるのか、定着率がどうなっているのか、そういう視点も、いろいろなことを判断するに当たって、1つのデータとしては必要なのではないかなと思います。すぐにやめてしまっているのでは、この制度自体の趣旨というものが必ずしも生かされていないような気がいたしますし、そういう点も併せて今後考えていく必要があるのではないかなと思います。意見だけです。
○今野座長 今おっしゃられた前半の意見は、内容的には次の論点に関連しますよね。ですから、そこで議論させていただければと思います。ほかにどうですか。今のことで何かありますか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 今の御議論は、十分に参考にしていきたいと思いますが、基礎コースについてこちらも先ほど一部言いそびれた部分があります。いろいろな層が受けていることのほかに、数字的な話を言いますと、先ほど概算要求の説明を初めにしましたとおり、訓練規模全体を3割落としていますので、そもそも全体的に数が減る中で、基礎コースの割合が維持されると実数は減るところ、基礎コースのニーズがこれだけ集まっていることをどう考えるかということはあるのかなと思います。実践コースのほうはより減るものの多少枠の余裕がありますが、基礎のほうはより厳しくなるという状況があると思います。
 一方で、もともとこの制度を導入した際には、就職に結び付く実践的な訓練を中心とするという制度趣旨がありましたので、もちろんそれも踏まえてよく考えていかなければいけないと思います。その上で基礎と実践を見る場合、実践のほうにも少し目を配らなければいけないなと運用する立場としては思っています。すなわち、一部実践が難しいという声を御紹介しましたが、訓練カリキュラムが硬直的になっていないかとか、その結果、基礎コースと実践コースの水準の乖離が大きくなっていないかということは運用上もよく気をつけて見ていって、必要な対応はしていきたいと思っております。その上で、皆さんの御意見を踏まえて検討していきたいと思っております。
○今野座長 これまでの考え方からすると、先ほどから基礎コースの割合を増やそうではないかという御意見が出ていて、それは大雑把に言うとニーズが多いからという話ですよね。でも、ニーズが多くても効果的でなければ、やる必要はないですよね。そうすると、効果的かどうかをどう見るかですが、今のところ持っているデータは就職率ぐらいしかないので、就職率については基礎と実践はそんなに変わらないということであれば、ニーズから見てもそうだし、効果性から見ても基礎を増やしてもいいかなということになる。ただ、今あった御質問は、効果性を見たときに今後ですが、もう少し見なければいけない視点というのはありますよね、という問題提起だったと思います。ですから、ここでもし就職状況に差があったらば、先ほどから増やしたほうがいいという意見がありますが、なかなかそうはいきませんよという話になるとは思います。ほかにありますか。このままですと、今までの御意見を踏まえると私のまとめとしては、大体3割ぐらいにしたらと。
○新谷総合労働局長(日本労働組合連合会) 今、論議されているところで、教育機関の代表のお二人から基礎コースを増やしてはどうかという御提案をいただいたと思っています。厚労省にお聞きしたいのは、教育機関に対する助成金が実践コースと基礎コースでは同じ金額、同じ基準で支払われているのかということと、設備投資や講師の質などを純粋にコストで考えると、実践コースのほうがコストはかかっているのではないかと思っていますが、今お二人からは基礎コースを増やせとお聞きしたものですから、それはそれでいいのですが、今、今野先生がまとめのほうでおっしゃっていただいた、就職率がほぼ等しいではないかということと、定着率がどうかという効果の問題がありますが、もう1つの視点で見たときに、基礎コースで培われるスキルが雇用の質との関係でどうなのかというところです。それが、この指標でいくと3ページに期間の定めのない雇用の割合が出ていますが、ここで見るとかなり良い数字はそれぞれ出している感じはしますが、基礎コースのほうが、いわゆる無期雇用の率が若干劣る感じがしております。ここも、もう少し上げてもらったら、先ほどおっしゃっていただいたような基礎コースを増やせという論議に「そうだ」とつながりやすいのですが、この辺をどう評価するかをもう少し見ていきたいと思うところです。以上です。
○今野座長 ほかにいかがですか。元々は実践コース中心でいきましょうというのが原則なので、2対8にしたわけです。そういうのを忘れて、現場のニーズと先ほど言った簡単な就職状況だけを比べると、これでいくと1対1でいいではないかという話にもなりかねないですよね。そういう点からすると、まだ実践コース重視で行こうではないかという原則を下ろしたわけではないので、したがって私の意見としては、あるいは皆さんの出た意見を整理すると、少し増やしてみようかなということで2.5割というのはあるかもしれないけれども、切りのいいところで3割かなと思っていました。そういう意味で、私も3割と言ったのです。ここでまたやってみて、どういう結果が出るかというのを見て、将来的にはいろいろな可能性があると思います。原則を外してしまう可能性もあるかもしれないし、やはり戻そうという可能性もあるかもしれない。したがって、とりあえず来年度は3割に上げてみて、それでもう一度結果を見るということでいかがですか。ですから、原則は下ろさないということで。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 よろしいですか。御質問があったので確認的に。今、新谷委員のお話の中で、訓練機関への奨励金の話がありましたので御紹介しますと、基礎コースは受講者数に応じた定額性で、1人に月6万円を払っております。実践コースは、就職実績に応じて段階的になっていて、いちばん低い場合で1人に月5万円、就職率がいちばん高いレベルで7万円ということで、就職実績という効果を高めるインセンティブが働くように、実践コースの奨励金を仕組んでいますので、御紹介させていただきます。
○今野座長 次は資料2を見ていただきたいのですが、実践コースの重点を置くべき訓練分野はどうするかについて御意見をいただければと思います。何かありませんか。
○浦山理事・総務委員長 質問を含めてですが、開設率というか資料3の2ページの定員充足率というのは、定員が57.6%という平成24年度の第2四半期を見てみると、定員100人に対して受講者が57.6人来ていたということですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 はい。
○浦山理事・総務委員長 これは、各コースというかプログラムごとに57.6%が平均して来ているという意味ではないですよね。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 はい。
○浦山理事・総務委員長 そうなると、これも全国のいろいろな意見ですが、学校でやるのだから定員20人でやっても、極論しますと、仮に5人しか応募がなかった。けれども、5人あるいは7人しか来なかったから、次から次とキャンセルしていいかというような地域での信頼性というか役割というか、そういうようなことを考えるとデータ的に定員の何パーセントぐらい来ているのが、全体の充足率の何パーセントというようなものというのは出るものでしょうか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 確かに、個々のコースごとに定員と受講者数はあるので、当然分析すればあると思いますが、そういう形での集計はこちらも正直したことがなくて、ただ我々も地方に出掛けて聞いてみると、確かに定員の半分未満しか集まらず、訓練の中止ができるけれども中止しないで、頑張っている開校しているコースがあるというのも事実聞いております。ここはよく今後分析していきたいと思っております。
○浦山理事・総務委員長 結構、そういうのがありますよね。
○今野座長 赤字になってもいいやと思って。
○浦山理事・総務委員長 赤字になっていいやという所はどこにもないと思いますが、全体で帳尻を合わせるような、ぐらいだろうと思いますが、でも、そういうことでは本当はあまり良くない。そういうことから見ても、どの分野にどれだけというところの参考にもなるのかなという質問とコメントです。
○新谷総合労働局長 どの分野に重点を置くべきかに関連すると、この求職者支援制度は求職者に対して訓練をしてスキルを高めて、労働市場に戻っていただくという役割を担っているわけです。いただいた資料の4ページに求人のニーズが出ていますが、これは職業安定統計から出された業種別のニーズです。例えば、「情報通信業」という業種の求人ニーズが出ていますが、IT人材というと製造業であろうが運輸であろうが宿泊であろうが、情報サービスを担う方々はこの業種に限らず、広く求人のニーズがあるはずです。その一方で、7ページ以降のデータは職種のコース別のデータになっていて、4ページの求人ニーズの把握の仕方と職種ごとのコースの把握の仕方に断絶があると思っています。ですから、今後どの分野に重点を置くかといったときに、もう少し統計の整備というか、職種別の求人状況の把握を進めることが必要ではないか。ITで見ると7ページに中止率が出ていて、結構高いです。だから、これは求人のニーズの総量とコースの設定とうまく合っているのか。8ページにいくと、先ほども話題に出ましたが、いちばん下の「関連就職割合」を見たときに、どうも4ページの求人ニーズの業種別ではうまく捉えきれていないのではないかという懸念があります。申し上げたいのは、もう少し統計の整備を進めていったほうが、この制度の精度を高めるためにはいいのではないかということを申し上げたいと思います。以上です。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 御指摘は受け止めて、今後の分析をしたいと思っております。有効求人数の職業別というのもないことはないのですが、職業別になってしまうと労務が多かったり、専門技術的というのも全部丸められてしまったりして見えにくかったので、こちらの方も訓練分野との対応関係が見えづらかったというのはあります。就職に結び付く訓練ということを考えると求人ニーズの捉え方は、各地域に協力してもらうことも含めて、いろいろ考えていきたいと思います。
 先ほど間部委員、今の新谷委員の御意見も合わせてですが、分野別の就職状況は8ページにありますが、例えば関連就職がなぜこの割合なのか、残りは何なのかについては、そこまで本人に聴き取るようなことになっていないので見えないのですが、そこはどう評価するのかは今後の課題だと思います。いずれにしても就職しているとこと自体はいいことであり、もちろんいろいろな求職活動をする中でたまたまマッチングはうまくいった方かもしれませんし、そこの評価は難しいと思っています。他方、就職した内容やその後の定着については、訓練との関連性はそういう意味ではその要因の全部でなく一部かもしれませんが、今後どのように捉えていくのかは課題とさせていただきたいと思っております。
○今野座長 何か統計の連結が悪いわけですね。統計というか、先ほどの言葉で言うと片方では業種で見て、片方では職種で見るとか、あるいは職種も、こちらの分野はAパターンで見て、こちらはBパターンで見るとか、そういう意味での連結が悪いという話ですよね。したがって、需要から訓練内容から就職の状況まで、一貫して1つの視点で見にくいような状況にあると。それは事実だね。
○志村職業能力開発局能力開発課長 結論としては工夫してまいるしかないですが、統計として取れる原数値は限られておりますので、次回以降ですが、できる限りどういうバックデータから導いてこういう整理をしているかがクリアになるように、整理していく。その過程の中で、行政実務としても政策としても訓練の中止、それが本当の実ニーズを反映していない訓練の設定に響いているところがあったら、そこも是正していく要素ですので、併せてしっかりやっていきたいなと考えております。
○今野座長 既存の統計がいじれなかったら、できることは、このためだけの大調査をするしかないですよね。それも全国だから地域別に考えなければいけないからかなりのサンプル数で、そういうのもあってもいいかなと思います。
○志村職業能力開発局能力開発課長 ここは求職者支援制度の話ですが、公共の委託訓練等も抱える問題は同じです。ですから、しっかりと受け止めて可能な限りやってまいりたいなと思っております。
○今野座長 ついでに、先ほどの関連職種に関連して、私のコメントなのですが、たぶんこの関連職種というのは「関連しているか」と聞いて「はい」というものでしょう。
○志村職業能力開発局能力開発課長 申告ベースです。
○今野座長 それも、主観的にYES、NOですよね。だから、結局同じ問題です。ほかにいかがですか。
○小林労働政策部長(全国中小企業団体中央会) 私も、過去の中央訓練協議会の議論の経緯から見て、新谷さんが御指摘いただいた4ページの業種別の話について申し上げます。最初に議論していたとき、この実践コースの分野は成長分野を意識して、我が国の成長分野である介護関係に人が必要だ、情報関係に人が必要だというので、それを着眼点に数字を置いていったのを記憶しています。実際の求人ニーズはどうなのかというと、そうではない部分もあるでしょう。これは業種的な捉え方なので、職種的な捉え方をするとまた違った面もあるのかもしれません。過去の経緯を言えば、実践コースは成長分野に着眼点を置きすぎていたのかも知れません。これが本当に、今後続けていく上でいいかどうかはもう一度考え直さなければならないところです。ある程度、求人のニーズに合った形というのも捉えていく必要があり、求職者に対してもハローワークはいろいろ御相談に乗ったときに、成長分野にこういう分野で、いろいろ良いお仕事があることを紹介いただくとか、動機づけも今後必要なのかと思います。それで、実践コースの受験をしていただいて、目を向けていただく、それが充足率を高める結果にもなると思うので、努力してほしいと思います。
 話が長くなりましたが実践コースについて、今、言ったような成長分野的な捉え方というのは考え直すべきであって、違った分野の構成というのも考えるべきだろうと思います。現場ではいろいろなニーズが出てきています。実態に合わないということで、その他のコースの中で営業・販売・事務というのも作ったり、介護系、情報系、医療事務系という捉え方は見直すことも必要です。もう1つ、分野別に何人という人数で提示していますが、これは現場では混乱を起こすことにもつながると思いますので、県ごとで考えるということであれば何割程度どの分野という提示方法の方がいいのかと思います。そのような観点で、検討いただければありがたいです。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 ありがとうございます。今の御意見は非常に参考になります。確かに、介護福祉や医療、情報通信、観光、環境というのは、元々成長戦略でも掲げている成長分野ということもありまして、訓練でも重視しているものです。訓練をするためには、雇用がないといけないのは、おっしゃるとおりで、これは様々な施策と一体で進めていく。かつ、おっしゃっているとおり、ハローワークでもその点を認識して、きちんと紹介するということかと思っております。
 そのように関連施策と一緒になって取り組むものですが、訓練の重点分野は重点分野として認識はしていきたいと思っています。他方、おっしゃいましたように、今言っていただいた営業・販売・事務は複数の県で枠を設けていますし、デザインというのもあったりします。国として掲げる成長分野をある程度やってもらうと同時に、都道府県の地元の産業構造や、それに基づく求人ニーズを見ながら地域で協議して、独自の枠を設定してもらうというのも重要だと思っていますので、両方の併せ技というか、国の大方針、プラス、地域でもある程度、創意工夫できる余地というものも考えて計画を作るのが重要かなと思っております。そういう意味では営業・販売・事務というのも、絶対ではないけれどもお勧め分野というように示すことは、考えられるのかなと思っているところです。
○今野座長 皆さんの御意見は、例えば、具体的にこの分野を増やしたほうがいいとか、この分野を減らしたほうがいいなどというよりは、何か、考え方のような御意見が多かったので。この訓練分野を、例えば具体的に介護系を何パーセントにしようかなどということについて、事務局はどう考えていますか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 そうですね、こちらは実勢を見ております。まず、介護というのは、元々25%で一番高い割合ですが、実際も25%を超える実施がされていますし、就職率なども一番いい、一番マッチングはうまくいっている分野です。求人が多いということだと思います。重要な分野として一番目に掲げるべきと考えております。その他、今の計画上は、情報15%、医療事務7%なのですが、情報分野については、一部デザイン分野に移行していることも影響してか、また、結構専門的で、少し難し過ぎるという御意見もありましたが、計画上の15%ほどシェアがなかったりもします。逆に、医療事務は、実際は女性の方が多く受けているのですが、一定のシェアがあります。このため、実勢を踏まえると、医療事務、情報の順というか、医療事務と情報が10%ずつぐらいのイメージが実勢に合うかなと思っておりまして、程度ということですけれども、そういうイメージが一番収まりがいいかと思っております。
○今野座長 そういう感じで、事務局は考えているようです。何か御意見はございますか。現状をきちんと踏まえてやってというぐらいですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 分かりました。重点分野も念頭に置きつつ、実勢と地方の自由度も考えながら。今、何万人かという数でやっているのですが、元々方向性を定めるのが国の計画なので、小林委員がおっしゃったように、割合のほうがふさわしいと思ってますので、その方向で考えたいと思います。
○今野座長 将来的に、地域の実勢を重んじて、結果がどんどん上がってきたときに、すぐではないですが、成長戦略で考えている分野が、ほとんどニーズがなくなってきたら、我々はどうするのですかね。そういうことはないですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 その方向に雇用がいくように頑張るだけだと思います。
○今野座長 そういう形で対応していただくということで、その次のテーマです。新規枠の割合はどうするかについて御意見をいただければと思います。これを守っていない県はたくさんあるのですか。そんなことはないですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 守っています。5~10%、5~20%の間で、都道府県ごとに設定するように指示しています。その中では差はあるのですが。
○高橋労働政策本部長(社団法人日本経済団体連合会) 被災3県については、上限数が30%ということを決めています。資料3の9ページで、同じように被災3県だけに絞って特例的に見たときに、新規がどのくらいの率になっているのか。もし、その辺りが分かれば数字を教えていただきたいのですが。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 ちょっと今回は出しきれておりません。ただ、実数でパラパラッと見たところ、被災3県は、結構、枠を有効に使っている感じはあるので、かなり新規の訓練の申請は来ているように見えます。
○高橋労働政策本部長 それは、3割に近い数字になっているということですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 感触で恐縮ですが。
○浦山理事・総務委員長 この新規の割合、新規の申請に伴っては、かなりいろいろと課題がたくさんあるような気がします。一つはやはり、実績がないと出ないと。これはこれで決まりだから仕方がないのだろうと思いますが、実績を作れないもどかしさのようなものも、実際やっている事業所においてはあります。やはりどうしても就職率という括りは可視化という観点からも大事ではあるかもしれませんが、先ほども2番目の項目で出ましたが、やはり地域には、いろいろな地域の人材、ニーズというようなこともあるということを考えてやっていくと、言ってみれば、全国でやっておられる大手さんが、実際には認定される割合が多いのか、今、その辺りはちょっと分からないままでしゃべっていますが、そうなってくると、なかなか新規枠に申請をしていくというのは極めて難しいということ。
 このことは、ここの項目でお話をすることが適切なのかどうか分かりませんが、いわゆる公共職業訓練から比べたときの、求職者支援の申請書類の煩雑さは、やはり相変わらずで、結構大きな課題として声は出てきていまして、この声は、逆に収まって収斂されていくのではなくて、返って大きくなっているような、この1年間でも、かなり制度が変わった、それについて、また書き直させなければいけない。極論ですが、私は実際に見たことがないので間違っていたら訂正してほしいのですが、公共職業訓練のほうは、大体4、5ページとすると、求職者のほうは、その10倍近い30~40ページというようなことも。その辺りは間違っていますかね。ということもあって、この辺りの新規枠のところを、是非、新しいところにもどんどん入っていけるような仕組みのようなものが検討できないものかというコメントです。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 私も数えてはいませんが、確かに書類は数十枚ぐらいはあるような気がします。公共職業訓練は委託で、一定の内容を前提に競争させて実施主体を決めるのですが、求職者支援訓練は民間が自主的にやっているものを認定するので、カリキュラム、講師などの認定規準を設けており、それを確認するために書類をお願いしているので、一定の量になります。もう一つ、申し訳なかったのが、制度が変わったとおっしゃったように、ここ1年間いろいろ試行錯誤で運用上補足しながらやってきた部分があります。どうしても運用の細かい手直しはあり、一部書類を変えたということもあったのも事実です。そこは御迷惑をおかけしていると思います。施行後1年経って、そういう声も聞こえてきますので、こちらも書類の簡素化などは不断に考えていきたいと思っております。もちろん今は必要があってとっているのですが、簡素化や合理化というか、ここまで本当に要るのかといいうのを、皆さんの声を聞きながら考えてまいります。
○今野座長 元々こうやって新規枠という枠を作っているということは、入るのと出るのを少し作って、全体の品質を上げていこうというのが意図ですよね。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 そうです。
○今野座長 そういう意図からすると、多く入ってきて多く出ていったほうが品質は上がるというシナリオが一つありますが、もう一つのシナリオは、長い経験をしていくと、品質の高い機関だけが残っていれば、新規は余り入ってこなくなるというシナリオも考えられます。ですから、評価をするためには、現状はどういう状況かをお話いただいたほうが。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 こちらも、都道府県労働局からいろいろ声を聞いているのですが、おっしゃっているとおりで、まだまだ新規参入を希望する学校があるので、新規参入枠は維持してやりたいというところもあるし、他方で、都市部ですが、訓練機関がかなり実績を積んできているので、新規枠の申請が減ってきたところもあります。このように、地域により浸透度合にばらつきがあるというのが感触としてあります。
○浦山理事・総務委員長 もう1点、今の新規イコール就職率と極めて重要な関係、密接な関係があるという観点で少しコメントなのです。資料6にも書いてありますが、4.に就職支援に関する事項ということで、最初のマルポツなのですが、効果的な就職支援のため、ハローワークの指定来所日に行う就職支援と訓練機関で行うキャリア・コンサルティングとが、いかに連携をしていくことによって、就職率も上がっていくということにも繋がるのだけれど、実際の声は、いわゆる受講者から聞くと、恐いと。恐いというか、来所日に行っても「ちゃんと休まないで行ってるか」「ちゃんとやってるか」と。何か非常に恐くて、それでなかなか、またすぐ行けないというようなこともありまして。地域訓練協議会ですね、平成24年度のプランの資料もいただきましたが、そこにもワーキングチームのことは明確に書いてあったと思うのです。平成24年度の参考資料です。書いてなかったかな。書いていますね。平成24年度の資料4の4ページの「地域訓練協議会においては、必要に応じ、地域の産業ニーズを踏まえて訓練内容も検討」というのはワーキングチームです。ワーキングチームですから、いろいろなことを協議してもいいのだろうと思います。実際に、ワーキングチームを設けているところは、果してどれ程あって、そして、そのワーキングチームとハローワーク等々との、こういう就職支援に伴う連携が、いか程に行われているか、その辺りをお聞かせいただくと、もう少し新規のところの就職率も上がる可能性も出てくるのではないかと思いますが。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 ワーキングチームは、地域訓練協議会と共に必要に応じ開催、ということとしています。ワーキングチームの意義は、実務的なレベルで柔軟に議論できるように開いていただくイメージでお願いをしているものなのですが、そういう意味では、多くのところでそういう意味でのワーキングチームを設けていると思います。もちろん、その場において、就職支援における緊密な連携についても議論いただいているかとは思っております。
○浦山理事・総務委員長 もし実践しているとすれば、こういうコメントが起こってくるのはどういうことなのですかね。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 恐らくこれは、自らのところもそうすべきということなども含めて、そういう意見が挙ったのではないかと思うのですが。
○高橋労働政策本部長 我々には限られたデータしかないのですが、資料3の9ページで、新規の割合をどうするかと考えたとき、やはり2番の就職率の比較のところが一番重要なデータになるのだろうなと思います。そうすると、基礎コースは、新規参入者の方のほうが全体よりもパフォーマンスがいいのですが、実践コースは少し全体よりも悪いと。なかなか評価が難しいなと。その上で、実践コースの中で、先ほどの議題で議論した重点分野などを見ると、就職率が非常にいい医療事務などは、新規のところがかなりパフォーマンスが悪いのです。そう考えると、新規の枠を直ちに引き上げるというようにはならないのではないかなと思っていて、とりあえず現状のままで様子を見るということでどうでしょうというのが、私の考えです。
○今野座長 私が気にしているのは、先ほど言った二つのシナリオを覚えていらっしゃいますか。前半のシナリオは、出入りが多いほど品質が上がるだろう。出入りが大きいわけだから新規枠は大きくしたほうがいいわけですよね。次のシナリオは、もう安定してきて、いいところしか残ってなくて、無理に入れると、今度は品質が下がるから、余り無理に入れなくていい。そうすると、この下限になるのですよね。何となく上限のほうはいいかなと思うのですが、先ほど青山さんが言われた例で、下限のほうが、こうやって枠をはめるのに少し窮屈になっていないかというのが少し気になるのですが、それはどうですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 都道府県によっては、下限の5%よりも低いのでもいいぐらい、新規枠の申請がないというところも聞こえているので、下限は柔軟にしていただけるほうが、都道府県は助かるかなというのが正直なところです。
○今野座長 そうすると、高橋さんの意見を踏まえると、現状維持でいきましょうと。もうしばらく見ましょうと。でも、下限は少し柔軟にしてもいいよというまとめになるのですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 そうですね。もちろん全く設けないわけにはいかないので、やはり新規参入の余地は要るので、ゼロは駄目だけれども少し柔軟にというのが程良いかと思っております。
○小林労働政策部長 新規枠の割合を決めたというのは、研修内容というより、基金事業のときに給付金の不正受給が問題になったことが理由だったと記憶しております。訓練に出席していなくても出席扱いとして認めるような訓練機関があった。、求職者の訓練事業というのは、受講生の取扱いも含めて、今までの公共の委託訓練と違う側面の訓練機関の果たす役割があるのです。また、訓練経験のない機関が訓練機関として名乗りを挙げてきたという過去の問題があったので、新規枠を設けているのだと思います。その辺りを少し念頭に置いて、ある程度の枠を設け続けることが必要だと私は思います。
○新谷総合労働局長 小林さんと似たような意見なのですが、職業訓練を市場として捉えたときに、やはり複数のプレイヤーが参入してきて、競争の中で訓練機関の質を上げていくというのは大事だと思うのです。その一方で、今、小林さんがおっしゃったように、過去の基金訓練では、何も規制がなかったものですから、いろいろな業者というか、全然教育訓練をやったことのない機関が参入してきて、「安かろう悪かろう」みたいな状態になって、しかも、評価する指標が、事後的な就職率を基準に置くということから、やってみないと分からないところがあって、事前のチェックが効きにくいところがあったのです。今回、新規の枠をはめて、事前の規制をかけて、ふるいにかけていくという事前規制を入れているわけですが、先ほどの書類の件もありましたが、事前のチェックが、かなり厳しくなっていますので、私は少し逆なのですが、プレイヤーの数を増やして、競争を促進していってはどうかと思っています。事前チェックがかなり厳しくなっていることもありますし、かつ、ISO29990のガイドラインも策定されているので、あの辺りも事前チェックの指標として使えるのではないかと思っています。参入の規制をその辺りでかければ、一定の質を担保した業者が入ってくると思いますので、その辺りも含めて、もう少し新規枠については拡大の方向で考えられないかというのが私の印象です。
○谷治専務理事・総務委員長 資料3の9ページの就職率の比較ということで、基礎のほうは、全体が71で、新規が74と。本来ならば新規のほうが経験が薄いわけですから下がって当然という部分があるにもかかわらず、新規のほうもいいと。実践のほうも、確かにこの数字を見ると、少し新規のほうは落ち気味なのですが、これは、初めて対応するということなどを考えると、相当力を持った団体などもあって、きちんとしたものをしているのかなという気がします。今お話が出たように、ISOの29990とガイドラインを、もう少し工夫しながら取り入れていただければ、団体の選別もかなり明確に図れてきます。特に実践コースのほうは、結果としての就職率にかなり重きを置いてやっていますので、その辺りを考えると、やはり、少し新規枠を広げていくほうが、全体的な水準、スキルが上がっていくのではなかろうかと思います。
○今野座長 何か理屈で考えると、入口規制をきちんとしておけば、新規枠など要らないのですが。つまり、入ってくるところでクオリティが完璧だったらですよね。だから、理屈で言うと何か違うかなという感じがするのです。
 もう一つ気になるのは私が言った後半のシナリオですが、例えば、実践コースなどでは新規枠は、傾向的に落ちているのです。そうすると、私が言った2番目のシナリオが、ある程度機能しているということもあるだろうという想像はつくことなので。といって、一気に変えるのも何だから、今のところ、高橋さんの言われた案と私の案の折衷案がいいかなと思っているのですが。もし、新規枠が傾向的にずっと増えていると、新谷さんが言われたことも、私は少し考えるのですが、下がっているので。現状ではとりあえず、私が言ったようなまとめがいいかなと思うのですが、どうですか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 それを参考にします。実践コースのほうは、そういう意味では基礎よりも、元々上限は高いですが、その上限に貼り付いてまだ実績があることを考えると、現状を維持していくほうが、各現場はやりやすいかと思っております。
○今野座長 それでは、あと5分です。最後です。資料2で4番目の論点です。特定の対象者の特性・訓練・ニーズに応じ職業訓練の取扱いをどうするか。具体的には、被災地域と学卒未就職者をどうするかということでいいですね。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 はい、そうです。まだ学卒などは、今、実施中のコースもあるぐらいなので、恐縮ですが、実施状況をこれからいろいろ分析したいとは思っておりますが、現在は、こういうものも念頭に置き、引き続き考えていくというイメージかと思っております。御意見をいただければ。
○今野座長 いかがですか。何か議論しにくいのですが。少なくとも、被災地はどう考えていますか。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 被災地コースは、今、重機訓練コースが複数行われています。訓練の設定にとどまらず、認定基準を変えて、特例を設けています。これはまた、制度改正事項にもなりますので、年度末までに能開分科会でも議論をお願いしたいと思っております。
○今野座長 そうすると、皆さん何か考えていらっしゃることがあれば御意見をお聞きをしておいて、参考にしていただければということですね。
 では、よろしいですかね。これで、本日用意された論点の議論は終わらせていただきましたので、「その他」です。
○新谷総合労働局長 資料1で、概算要求の数字を示していただいたのですが、これを拝見すると、今年度に比べて、訓練の定員が3割ぐらい削減されているわけです。もちろん、雇用情勢が好転しているということも背景にあると思うのですが、最近の、足元の景気の状況を見ると、先行きの不透明感がかなり高まってきています。また、一部の業界では大規模なリストラが起こっております。そういった面でいくと、今回、3割の削減の概算要求ということですが、雇用情勢を注意深く見守りながら、訓練の定員については、補正予算がどうなるかということに関係しますが、是非柔軟な対応をお願いしたいと要望を申し上げておきたいと思います。
○青山職業能力開発局能力開発課企画官 はい、分かりました。
○今野座長 昨日のニュースでしたか、GDPが年率でマイナス3.何パーセントでしたか。よく考えてやってください。
○志村職業能力開発局能力開発課長 公共職業訓練にしても、求職支援訓練にしても、平成25年度の要求人員が3割程度落としている。それぞれの要因がありまして、求職支援訓練については、施行後1年の状況を見て、実績も反映し、あとは全体の求職者状況を反映しています。
 公共職業訓練のほうは、かつて機構のほうで委託を進めてまいりました。今、大半が都道府県からの委託に切り変わったわけです。そして、その中でやはり、47都道府県の公共職業訓練の設定というのは、都道府県と雇用対策を協議していくようなものです。そういった中での数字の積み上げとなっており、額も見ていただくと、求職者支援訓練の予算のほうが3割程度減っていても、公共職業訓練の予算のほうは額の減り方が少ない。これはやはり、都道府県と話す中で、予算上の設定期間よりも、実際はむしろ少し長いものが多いため、できる限り実態に合った予算を組むといった考えでやっております。そして、また、いろいろな事態が起こったときの対応については、既定の予算とは、また別のものであるというふうには、十分認識しております。
○今野座長 本日は委員の皆さんからいろいろな意見をいただきましたので、それを踏まえて職業訓練の実施計画の作成の作業を進めていただきたいと思います。
 それでは、本日の中央訓練協議会を終了させていただきます。次会の開催については、別途、事務局から連絡がございます。ありがとうございました。


(了)

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企画調整第二係: 03-5253-1111(内線5928)

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