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2012年10月4日 第5回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会議事録

○日時

平成24年10月4日(木) 17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

1 第4回検討会宿題事項
2 これまでの議論を踏まえた意見・論点の整理
3 その他

○議事

○永井座長 それでは、時間になりましたので、「第5回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」を始めさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中ご出席いただきまして、ありがとうございます。本日は高橋委員がご欠席とのことでございます。本日の議事はお手元の議事次第にあるとおりでして、第4回検討会宿題事項、及びこれまでの議論を踏まえた意見・論点の整理、この2点についてご議論をいただきたいと思います。早速、議題1について事務局から説明をお願いします。
○渡辺国立病院機構管理室長 それでは、議題1についてご説明させていただきます。資料1をご覧ください。「第4回検討会宿題事項」と書いてあります。前回の検討会において委員の皆様方からいただいた宿題について、説明をさせていただきます。資料は4種類あります。
 まず、資料1-1をお開けください。「国期間分の退職手当と整理資源の推移」というグラフです。国期間分の退職手当、これは、平成16年4月の独法化以前の国期間分に対応する退職手当ですが、これが将来どうなっていくのかという点、そして同様に整理資源、これは現在の共済年金の給付額のうち昭和34年に国家公務員共済組合ができる前の、いわゆる恩給制度の期間に対応した額を旧公務員グループで負担しているものですが、こちらについて、将来的に数字がどのようになっていくのかということを示したものでございます。青いものが退職手当で、このような形でだんだん減っていくということがわかっていただけるかと思います。同様に、整理資源についても将来的にだんだん減っていく傾向にあるということが、おわかりいただけるかと思います。
 続きまして、資料1-2をお開けください。「法人移行後の負担状況について」ということです。こちらは昔、国家公務員などをやった者が、法人に移行したあとに各種制度もしくは各種負担はどうなっているのかという表でございます。上の3つの欄が独立行政法人で、公務員型と非公務員型に分かれています。この公務員型というところに、現在、国立病院機構が属しているわけなのですが、年金制度は国家公務員共済で、公経済負担などについては自収自弁の性格が強い法人は法人が負担しています。注1をご覧ください。この法人が負担している中では、現在は、造幣局、国立印刷局、国立病院機構の3法人のみが公経済負担をしているということです。自収自弁の性格が弱い法人については国が負担しているという状況です。独立行政法人の中で非公務員型については、もともと国のもの、特殊法人のものとに分かれていまして、もともと国のものは年金制度は国家公務員共済、公経済負担については上と同じです。もともと特殊法人だったものは厚生年金で、公経済負担はなく、国が負担しています。
 それ以外の法人については、国立大学法人、日本年金機構など、そちらに挙げてあるとおりです。この中で日本年金機構は、年金制度は厚生年金で、公経済負担はありません。日本郵政株式会社は、(当分の間)というただし書付きで国家公務員共済に加入していますが、ただし公経済負担はありません。NTT、JT、JRなども厚生年金で公経済負担はないという状況になっています。ちなみに、この資料はもともと財務省出典の資料であることを付け加えさせていただきます。
 次に、資料1-3をご覧ください。「年金制度と公経済負担について」です。国立病院機構の現状と課題については、上の四角にあるとおりです。現在、国立病院機構は、先ほど申し上げました公経済負担を負担することとされていますが、そのような独立行政法人は、国立病院機構と国立印刷局、造幣局の3法人と、一部の職員に係る機構のみとなっています。下の表については先ほどのものと重複しますので、説明は割愛させていただきます。
 1頁おめくりください。参考1「職員の非公務員化に伴う課題等」ということです。これは第2回の検討会に一度出したものですが、再掲させていただいています。現在、社会保険については、国立病院機構は国家公務員共済組合というところに入っていますが、医療事業を行う非公務員型の法人の例でいいますと、例えばナショナルセンターは同様に国家公務員共済ですが、労災病院は厚生年金保険かつ健康保険で、日赤なども同様に厚年かつ健保ということです。主な課題ということで、今後、社会保険の適用の在り方ということが課題として挙げられていたと考えています。
 次の頁の参考2です。公経済負担金は将来どうなっていくのかを機械的に試算したものです。年金の給付額の増加に伴い将来的な公経済負担金の額も増加していくということが、おわかりいただけるかと思います。
 4頁の参考3です。「共済年金における公経済負担について」ということで、図を用いて簡単に説明させていただきます。イメージというところの太線から左側、これは現在の厚生・国民年金の仕組みですが、下半分の基礎年金の中で、2分の1は、皆様方ご存じのとおり国が税金で負担しています。共済年金について、同様の基礎年金の2分の1部分は公経済負担金と呼ばれていますが、この部分については、現在、国立病院機構が独自で負担しているという状況になっています。次の頁の参考4は条文の抜書きですので、説明は省略させていただきます。
 続きまして、資料1-4をご覧ください。「監事機能について」ということで、前回ご質問があった部分です。医療法人の真ん中の欄をご覧ください。監事の職務について「業務または財産の状況の監査」とありますが、現行の独立行政法人通則法または新たな行政法人通則法案においては「業務の監査」としか書いていない、これはなぜかというご質問がありました。下に赤字で載っているところはコンメンタールからの抜書きですが、「監事による監査は、財務内容等の監査を含む業務の能率的かつ効果的な運営を確保するための監査として行われる」ということです。この業務の監査の中には財政状況の監査も含んでいるということですので、実質的に医療法人の監査と内容的には変わりがないということを、ご説明させていただきたいと思います。資料1については以上です。
○永井座長 ありがとうございます。それでは、ただいまのご説明に、ご質問、ご意見をお願いします。
○伊藤委員 資料1-3の4頁、公経済負担についてです。その他の法人などと同じように国の負担にしてほしいというのはわかるのですが、年金財政の問題でもありますし、きちんと議論する必要があると思っています。ちょうど被用者年金一元化法案が通って、この部分は、共済でも厚生年金に加入するという形になると思います。被用者年金一元化後の公経済負担についてどういう取扱いになるかという整理はされているのでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 一元化以降の点については現在特に議論はされていないわけですが、いずれにしても自収自弁という形で、そういう法人は公経済負担を自ら行うという形で整理されていますので、共済年金に残る限り、まだわかりませんが、たぶん同様の整理が続く可能性は高いと思っています。
○永井座長 いかがでしょうか。
○齋藤委員 資料について簡単な質問が2つあります。資料1-1は、「国期間分の退職手当と整理資源の推移」ということで、国立病院機構の資料ですね。青線と赤線がずっと一致しているのが不思議だと思うのですが、いずれにしても、この国期間分の退職手当と昭和34年以前の恩給時代の年金については、運営費交付金として国から来ているわけですね。そういう理解でいいのですか。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 国期間分の退職手当については、運営費交付金から全額予算措置されています。
○齋藤委員 来ているわけですね。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 はい。
○齋藤委員 それから、整理資源についても来ているわけですね。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 整理資源については、平成23年度までは運営費交付金で予算措置されていましたが、24年度以降については法人が自ら負担するということになっています。そのため、資料を国期間の手当については強調して青い線にして、整理資源については、あくまでも参考ということで破線のグラフにしています。
○齋藤委員 2番目の質問ですが、同じようなデータが労災病院でもあるわけですか。今日は出ていないのですが。
○木暮労災管理課長 労災病院グループについては、もともと発足のときから民間の労使関係でやっていまして、国家公務員のように共済に入っているというわけでもありませんし、一般の民間と同じ制度の中でやってきた、身分も国家公務員でなかったということですので、このような形での国立病院と同じような制度的な問題というものはありません。
○齋藤委員 もう1つの質問は、3頁の参考2の「公経済負担金の推移」という赤いグラフです。これが平成20年度のところで急激にカーブが上がっている理由は何なのですか。
○渡辺国立病院機構管理室長 その部分については、基礎年金の国庫負担割合が3分の1から2分の1に引き上げられたことに対する結果です。
○永井座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。また後ほど議論になると思いますので、先に進めさせていただきたいと思います。これまでの議論を踏まえた意見・論点の整理ということで、テーマごとに意見・論点の整理を行っていただきたいと思います。事務局から、まず資料2と資料3をまとめてご説明いただいて、そのあと、資料2の各テーマについて皆様からご議論をいただきたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。
○渡辺国立病院機構管理室長 資料2につきまして説明をいたします。「これまでの議論を踏まえた意見・論点の整理」をご覧ください。何点かに分けて論点の整理をしております。1.「基本的方向性」については、4つの点に分けて整理しております。1点目は、新法人への移行は、単なる法人制度の変更に止まらず、国立病院及び労災病院がこれまで担ってきた使命を果たし、我が国の国民医療の向上に寄与できるよう、医療事業の特性を踏まえた制度設計としてはどうか。2点目は、法人による臨機応変な対応、経営判断が求められる医療事業の特性等を踏まえると、独立行政法人制度共通の一律の規制は馴染みにくいという意見もあり、可能な限り法人の自主性・自律性を尊重することとしてはどうか。3点目は、国による法人への関与の新しい在り方については、国が担うべき政策医療等について国が適切に関与しつつ、事後評価を重視することとしてはどうか。4点目は、政府出資により事業運営を行う法人であることから、確実に事業を実施するために、監事機能の強化、厚生労働大臣による業務運営改善への関与、役員の責任の強化等を行うこととしてはどうか。このような4点の論点を整理しております。
 2.「両病院の使命、役割、業務等」については、委員の皆様方から出された主な意見、資料に載っている意見の抜き書きをしておりますので、何点かピックアップして説明いたします。いちばん最初の○は、国立病院と労災病院は、国が医療政策や労災補償政策上必要と判断した事業について、引き続き率先して実施すべきというのが、第1回目の資料に載っております。2つ目の○は、政策医療の範囲は、時宜に応じて検討していく必要がある。3つ目の○は、両病院は、政策医療を提供するだけではなく、一般医療も含め地域の医療機関との連携を強化し、地域の患者サービスや医療水準の向上・発展に寄与すべきである。1つ飛ばして、5つ目の○は、基本的に政策医療をやるべきというところは同感であるというご意見をいただいております。6つ目の○は、医療には地域性があるため、それぞれの地域の住民が求める医療を提供することを第一に考える必要があるというご意見です。8つ目の○は、ナショナルセンターは先端的かつ要素還元的な研究をしていくわけだが、両機構の場合にはネットワークがポイントであるという意見です。次の○は、緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の命令について、仮にこうした法律の条文が何もないと、災害時などに現実としては動きにくくなるのではないのかというご意見です。次の○は、新法人移行後の労働者健康福祉機構が担う業務は、病院事業と産業保健事業であり、ほかの事業は、経過措置はあるにしても、ほとんどやらないということで構わないのではないかというご意見です。
 これを踏まえて、3頁、「論点整理」です。1点目は、政策医療については、国がその範囲等を明確化し、引き続き確実に担わせることとし、その範囲は時宜に応じて見直しをすることとしてはどうか。2点目は、病院ネットワークを活用し、政策医療の課題を把握することや、その課題に対応するための研究が必要ではないか。3点目は、政策医療を実施するとともに、地域の中で必要とされる医療は、他設置主体の医療機関と連携しながら、引き続き提供することとしてはどうか。4点目は、災害発生時等の緊急時における厚生労働大臣の命令については、引き続き同様の規定を置くこととしてはどうか。5点目は、新法人移行後の労働者健康福祉機構が担う業務は、病院事業及び産業保健事業と経過措置的業務としてはどうか。
 4頁、3.「目標・評価の在り方」についてです。最初の○で、新しい法人制度の目標・評価の在り方については、法人の機能をより効果的に発揮するため、現行の独立行政法人制度の枠組みにとらわれず、医療の現場を担う法人の自主性・自律性を尊重すべきではないか。国が担うべき政策医療等を確実に実施するという観点から、国が医療の特性を踏まえつつ直接評価を行い、必要な改善を促せる仕組みとすべきではないか。これは第3回目の資料から引いてあるものです。下から2つ目の○で、政策のミッションとして、確実に実施してほしい医療の範囲等は、行政サイドが指示を出して実施を担保するほうが良いというご意見です。その下の○で、目標について、医療の世界で数値的な目標を達成するというのは馴染まないかもしれないが、一方で、評価というものは、この年にはこういうことをやるのだという目標を立てていることに対して評価するものであるため、年数を含めない形にするのはいかがなものか。5頁、次の○は、国の出資があるとすると、いきなり純粋に民間医療法人というわけにはいかず、何らかの国の関与は必要。評価などについて関与する場合は厚生労働省だけで評価した場合に、お手盛りという批判は出ないのか。それを防ぐためには、厚生労働省がしっかりとした評価を行い、それを社会保障審議会なりが厳しくチェックすればよい。このようなご意見をいただいております。
 それを踏まえた「論点整理」です。医療事業の特性を踏まえ、国が担うべき政策医療等について国が適切に関与しつつ、目標や計画については極力、法人の自主性・自律性を尊重するものとしてはどうか。目標は適切な期間を区切って設定することとしてはどうか。事後評価として、政策責任者である厚生労働大臣が直接評価を行うこととしてはどうか。厚生労働大臣による基本方針の提示や評価にあたっては、医療事業の専門性や、お手盛り防止の観点から、第三者である関係審議会の意見の聴取を行うこととしてはどうか。この4点を論点として整理しております。
 6頁、4.「法人の組織・運営(ガバナンス関係)」の論点についてです。ガバナンス関係につきましては、下から2つ目の○で、説明責任・透明性の確保、監事機能、法人の業務運営の改善について、基本的には現状を踏襲しており、その点では問題はなく妥当であるというご意見などをいただいております。
 そのような意見を踏まえた「論点整理」です。新法人は、自律的かつ効率的な法人運営を行うこととなるが、国からの出資を受けて事業を行うこと、法人の説明責任や透明性が確保されることを前提として事後評価を重視することとした場合には、国から負託された業務の実施状況や医療事業の公共性に着目した情報公開を行うことで、説明責任を果たしていくこととしてはどうか。監事機能については、現行の職務のほか、不正行為等の発見時の報告義務や、職務の遂行に必要な報告徴収・調査権限を付与することとしてはどうか。また、医療事業の業務運営が著しく適正を欠く場合や、不正行為・違法行為がある場合には、厚生労働大臣が是正又は業務運営改善について命令することとしてはどうか。このように整理しております。
 7頁、5.「法人の組織・運営等(役員関係)」です。最初の○は、新法人の役員、特に理事長は、その任に相応しい者をどのように選考・任命するか。これは第4回の資料からの抜書きです。次の○は、公募が適当なケースと適当でないケースがあるというのは、少なくとも業務の最高責任者に関しては、適切な方を選ぶ方式というのは、公募しないということも納得できる。「論点整理」として、1点目、役員は、医療事業を担う法人の特性を踏まえ、専門的知識や優れた経験を有する者を着任させることが必要であり、その任に相応しい者をどのように選考・任命するか検討してはどうか。2点目は、新法人の自律的な経営や業務運営を確保する一方で、役員の職務遂行の適正性を担保するため、任務を怠ったことにより法人に生じた損害を賠償する責任を課すこととしてはどうか。
 8頁、6.「法人の組織・運営等(雇用・人事管理関係)」についてです。上から4つ目の○で、法人の自主性に任せるというならば、人事交流も含めて考えたときに、果たして国立病院機構は今のままの公務員型でいいのだろうかという疑問がある。次の○は、急性期病院間の競争がますます激しくなる今後、新法人に優秀な医師を集める1つの方策として、医師のキャリアパスの中で一部の医師を対象とし、「年俸制や任期制」を選択することができる制度を導入することが考えられる。また、新法人の職員の給与水準については、優秀な医師や看護師の確保に支障がないようにすべきである。その下の○で、政策医療を実施する医療機関としては、病院の運営にあたり、総人件費による管理は、病院を運営する責任者としては、運営に縛りがかかり適切でないため、患者ニーズに応じた柔軟な体制が確保できるようにすべきである。そのような意見をいただいております。
 9頁、このような意見を踏まえた「論点整理」として、3つ整理しております。1点目は、従来の総人件費による管理は、医療事業の特性に照らすと適切ではないという意見もあり、今後の我が国の医療提供体制について、サービスの提供体制の効率化・重点化と機能強化を図ることが政府方針において示されていることを踏まえ、新法人においては、説明責任や透明性を確保し適切な事後評価を行うことを前提に、国民生活向上に資する医療の提供を行うために必要な医療職等の人員を効率的に配置できるようにすることとしてはどうか。2点目は、そのため、新法人の職員は非公務員とし、優秀な医師や看護師の確保に支障がないように、給与水準の在り方について検討することとしてはどうか。3点目は、国立病院機構においては、公務員制度の下では限界のあった雇用・人事管理について、非公務員化に伴い柔軟化を行いつつ、両機構について、子育て中の医師等の活用、医師不足地域での高齢ベテラン医師の活用などを進め、提供する医療の向上に努めることとしてはどうかと、論点を整理しております。
 10頁、7.「法人の組織・運営等(投資・財務関係)」です。国が担うべき政策医療等について、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す観点から、どのような財政措置等が必要と考えるべきか。既定の補助制度の活用についても検討すべきではないか。現在、国立病院機構は診療報酬を中心とした収入の中から政策医療を行っているが、国が政策医療を担うと言う以上、それを担保するお金なりが必要ということはないのか。公経済負担については、これはそもそも不当に負わされている負担だと考えている。国が担うべき政策医療等について、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す観点から、利益処分をどのように考えるべきか。利益が出て、これが民間的な自律の新法人になったときに、国庫納付というのは論外であり、それは人件費に使うなり、新たな投資に使うべきだというご意見をいただいております。
 11頁、これらのご意見を踏まえて、「論点整理」として、1点目、運営費交付金は診療事業には一切投入されておらず、国立病院機構については、そのほとんどは過去債務清算事業、労働者健康福祉機構については、約6割が労災病院等以外の事業のために措置されているが、その性格が、使途が特定されない、いわば渡し切りの交付金のため、国民目線から見ると、多額の赤字補填が行われているという誤解が発生している。このため、新法人に対する財政支援の在り方を検討してはどうか。2点目は、公的・民間医療機関に対する補助制度が存在するものは、可能な限りそれを活用できる仕組みとしてはどうか。3点目は、医療の利益を患者に還元し、高度化する医療内容、国民(患者)のニーズに応えるためには、自律的かつ効率的な経営の実現の観点を踏まえた利益処分の在り方について検討すべきではないか。4点目は、国立病院機構においては、職員の非公務員化に伴い、適用する社会保険及び公経済負担の在り方について検討すべきではないか。
 12頁、8.「将来の統合も視野に入れた具体的な検討」です。最初の○は、メリットは運用で対応することが可能な部分もあるが、一方、デメリットや仮に統合しようとする場合の懸案・課題は短時間では解消することが難しいことから、両法人を直ちに統合することは困難と考える。これは第3回の資料に出ているものです。次の○は、将来の統合も視野に入れた両法人の在り方について、社会情勢の変化、医療ニーズの変化等を踏まえて、引き続き検討していくことが必要と考える。このような資料の抜き書きをしております。
 これらを踏まえた「論点整理」です。両法人においては、現在、国立病院機構・労働者健康福祉機構協議会を設置し、人事交流、医薬品・医療機器の共同購入等を進めているところだが、まずはそれぞれの課題、懸案の解決に取り組む一方で、両法人間の連携方策をより強化し、将来の統合も視野に入れた検討を進めることとしてはどうか。
 13頁、9.「その他」です。最初の○は、新法人の制度設計に際しては、政策医療を確実に実施するために、将来の少子化、大学指向や、医療の高度化・複雑化等の環境の変化を鑑み、看護師養成の在り方について検討する必要がある。2つ目の○は、政策医療分野を実践できる看護師を育成するため、国立病院機構の看護師養成所の大学移行を検討。3つ目の○は、付属看護学校の大学化は、看護の質の向上あるいは看護の領域の拡大という点で望ましいという意見をいただいております。この点につきましては、現在、前回さまざまな皆様方からご意見をいただきまして、いまのところまだ内部でその論点を整理し切れていない状況ですので、本日、論点整理としては載せておりません。この部分についてご意見があれば、ご発言いただければ幸いです。
 資料3は「中期目標行政法人と新法人についての論点の比較」です。この「中期目標行政法人」というのは、現在の独立行政法人のうち、研究を行うような行政法人、または、例えば国立博物館等の行政法人で、多くのものが今回移行するとされている新しいタイプの中期目標行政法人です。現在、こちらについて法律が国会に提出されておりますが、まだ成立はされておりませんが、その中期目標行政法人と新法人についての論点の比較をしております。
 掻い摘んで説明いたします。「役員の任命」については、中期目標行政法人では、理事長は、主務大臣が内閣の承認を得て任命、候補者は原則公募。理事は、法人の長が任命、候補者は原則公募とされております。新法人につきましては、先ほどご説明しましたが、その任に相応しい者をどのように選考・任命するか検討してはどうかということで、論点を整理しております。
 「役員の人事管理」につきましては、中期目標行政法人は、報酬及び退職手当の支給基準は、国家公務員の給与等、民間企業の役員の報酬等法人の業務実績等を考慮するとされております。新法人につきましては、先ほどご説明したとおり、従来の総人件費による管理は、医療事業の特性に照らすと適切ではないという意見もあり、国民生活向上に資する医療の提供を行うために必要な医療職等の人員を効率的に配置できるようにしてはどうか。2つ目のポツで、給与水準の在り方については検討することとしてはどうか。そのような形で論点が整理されております。
 1つ飛ばして、「政府による財源措置」については、中期目標行政法人は、運営費交付金という形で、政府による財源措置がされております。新法人につきましては、最初のポツの最後の行で、新法人に対する財政支援の在り方を検討してはどうか。公的・民間医療機関に対する補助制度が存在するものは、可能な限りそれを活用できる仕組みとしてはどうか。
 いちばん下の欄、「利益処分・国庫納付」については、中期目標行政法人におきましては、中期目標期間終了時において、主務大臣の承認を受けた金額を次期中期計画の定めるところにより、次期中期目標期間中の業務の財源に充て、残余を国庫納付という形にされております。新法人につきましては、利益処分の在り方について検討するべきではないかということです。
 裏面で、「目標設定・計画策定」については、中期目標行政法人は、3~5年の中期目標期間において、主務大臣が中期目標を提示し、同期間において法人が中期計画を作成して、主務大臣が認可、法人が年度計画を作成し、主務大臣に届出という形になっております。新法人につきまして、目標や計画については、極力、自主性・自律性を尊重するものとしてはどうかという形で論点を整理しております。
 「評価」については、中期目標行政法人では、主務大臣が評価をし、必要があるときは業務改善命令という形にしております。新法人につきましても、厚生労働大臣が直接評価を行うこととしてはどうか、評価に当たっては第三者である関係審議会の意見の聴取を行うこととしてはどうか。
 「違法行為等の是正」については、中期目標行政法人ですが、主務大臣は、特に必要があるときは、違法行為等の是正命令。新法人につきましても、著しく運営が適正を欠く場合や、不正行為・違法行為がある場合には、厚生労働大臣が是正又は業務運営改善について命令することとしてはどうかと論点を整理しております。駆け足になりましたが、資料2及び資料3についての説明は以上です。
○永井座長 ただいまのご説明では9つのテーマがありますが、一度にではなくて、いくつかのグループにまとめてご議論をいただきたいと思います。資料2では委員から出された主な意見と、事務局が整理した論点整理、これが対になって記載されておりますが、この資料をご覧いただいて、論点整理として足りないもの、各論点の整理の仕方、この視点からご意見をいただきたいと思います。最初に1.「基本的方向性」、2.「両病院の使命、役割、業務等」について、約10分ほどご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。「政策医療」という言葉が何度も出てきますが、何か厳密な定義はあるのでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 政策医療につきましては、独立行政法人国立病院機構の中期目標、これは厚生労働大臣が示しているものですが、その中で次のように書かれております。「国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療、難治性疾患等に対する医療、歴史的・社会的な経緯により担ってきた医療及び国の危機管理や積極的貢献が求められる医療として別記に示す政策医療分野を中心に」ということで定義されております。別記のところに、がんや循環器病、神経・筋疾患など、19分野が政策医療の分野として記されております。
○木暮労災管理課長 労災病院につきましても同様に、厚生労働大臣の定めた中期目標におきまして、13分野について政策医療の分野を示しております。
○永井座長 ただその中でも、非常に政策的な色彩の強いものと、重要な疾患であるという位置づけのものと両方ありますが、その辺の重点の置き方はどうなのでしょうか。最低限、例えば重症心身障害であるとか、エイズ対策とか、そういうことはやらないといけないのだろうと思いますが、がん、循環疾患、神経はどういう位置づけで政策医療として考えるべきなのか。あるいはもっとこういうものを積極的に行いつつ、より不採算の医療、政策的な医療をしていくということなのか。そのウエイトの置き方で、今後の在り方が随分変わってくるのではないかと思うのです。政策医療は、ほかの病院でやっていない医療だけをするのかどうか。そういうことではないのだろうと思うのです。かなり広く総合的な医療を行いつつ、政策のミッションの高いものをきっちりやっていくという位置づけなのかと私は個人的には思っていたのですが、どうなのでしょうか。
○齋藤委員 いま座長が言われたことに賛成ですが、もともと国立病院について言いますと、昔の政策医療というのは結核だったのです。結核がコントロールできたあと、神経難病や重症心身障害に広げて、しかし、それだけでは全国の病院の病床が余ってしまうので、だんだん循環器やがんというものも政策医療ということで進めてきた経緯があると思います。
 ところが、「政策医療」という言葉は、国立病院の中の人が言う意味と外の人が感じる意味とは違うと思います。他の民間病院は、なぜがんや心臓病が「政策医療」なんだという疑問を常に持ってきたと思います。ですから、そこをどうやって説明していくか。いま座長が言われたように、不採算の、政策医療以外ではできないようなことをやるためには、それ以外の所で稼いでやらなければいけないとか、いろいろな説明はできると思います。「政策医療」という言葉に対する理解は、国立病院の外と中では温度差があると思います。
○永井座長 おそらく、それぞれの機構で、位置づけについてまず意見を持ってというか、合意をした上で方針を立てていかないといけないのだろうと思います。
○梶川委員 その場合、定義づけと併せて、定義づけられたものの不採算性みたいなものをどういうふうにして透明度を上げて計測し得るか、その部分とセグメントとしてセットになると思うのです。医療行為ではなかなかそういうものは捕捉できないということになると、全体が抽象論になりますので、それはどうしても仕方がない部分はあると思うのですが、その辺を、どういうふうに内部補填が行われているかという点をどのぐらい説明責任を持って透明度を上げてやるか、両者併せてご検討をいただければと思います。
 さらに言えば、追加的な財源を何かの政策に持っていくために、いままでとは違う形でということになりますと、まさにその部分にどのくらいコストがかかるのかというお話をどう説明していただくかは非常に重要になるので、そこまで含めて定義づけを考えていただきたい。全体として、抽象論、概念論ではすごくわかるのですが、少し数字にも落とし込める形をどう取れるかは重要になると思います。
○永井座長 それはおそらく運営費交付金の使途というか、目的とかなりリンクしてくるわけですね。
○(独)国立病院機構 桐野理事長 先ほどの説明でも出てきましたように、診療部分には国費は入っておりませんので、政策医療も含めてすべてが収支相償で今のところは運営しており、それは私どもも労災病院も同様です。
 政策医療については、たしかに抽象的なところがあって、全体としては政策医療の19分野という言葉を使いますが、元々は国立病院が、戦後、陸海軍の病院などから転換されて、国民に広く医療を提供することになったときに、そういう経緯から、一般的な地域医療も含めて、国立病院はこれを行うという経緯があって、その中でも特に昭和30年代になって結核がだんだん勢いが治まってきたところで、重症心身障害とか筋ジストロフィーなどの神経難病が非常に大きな問題になってきたので、そこに重点を徐々に移していくことになってきたわけです。
 今後もそれはわからない面もありまして、例えば、筋ジストロフィー症に対する特殊な治療が成功する可能性もかなりあるわけで、もしそういう風になってくると、また違った様相を帯びてくるということです。ただ、委員の先生方がご指摘になるように、他の病院ではなかなかすぐとりかかれないような病気について、組織的にそれを取り組んでいくのが政策医療の趣旨ではないかと私は理解しております。
○渡辺委員 それに関連して、3つ目の◆で「国が担うべき政策医療等について」となっているのですが、一見わかるのですが、例えば、自治体病院、つまり自治体も政策医療を担っているわけです。どこがどう違うのか。国が担うべき政策医療と自治体が担う政策医療があるのですが、そこは明確には区分できないわけです。
 結論を先に言うと、「国が担うべき」はいらないのではないか。つまり、政策医療等については国が適切に関与しつつやらないと、国が担うべき政策医療は何なのかと言われかねないと思います。
 もう1点、細かいようですが、2つ目の◆に「意見もあり」とありますが、「意見もあり」と言うと、何かややサイドに置かれたような印象があるので、「意見がある」と、もっと自律性を重んじろということです。以上です。
○(独)国立病院機構 清水副理事長 内部での資金調整に関してお尋ねが出ましたが、現在、私どもは企業会計的な形での独法会計で運用しておりますが、それは法人全体だけではなくて、144病院個々に財務諸表、会計学の原則に従って作っております。専門家でないとなかなか読みにくいかもしれませんが、それを見れば、病院対本部との関係でどういうふうな資金のやり取りがあるかということは原理的にはわかるような形になっております。
 それを簡単に申し上げますと、病院からは定率でお金を本部に頂きまして、短期的な赤字の病院にはお貸しをするといった形で、ルールに基づいて行っております。理事長が申し上げたように、独立採算が原則ではありますが、現実、その年その年ではどうしても赤字が出る病院には、そのような形でお金をお貸しして、同時にその病院での経営努力を求めるといった形で、アカウンタビリティがあるような形で財政運営をしているところです。
○梶川委員 私は、内部補填という話が、事業所単位というつもりではなくて、一般医療でご努力された部分を国のために政策目的に使われているということが正当に評価される形が少しでも取られれば、そのほうがいいのではないかというつもりで申し上げた点が1つです。
 もう1つは、運営費交付金が決して医療に使われていないということは十分に承知の上ですが、今後、さらに付加的な目的をやるために国が手当をするという文脈が読める部分、国はなかなか出していただけないのでしょうが、そういったさらなる国のオーダーを受ける場合には、何らかの形でその部分がわかるほうが、より皆様方のご努力がはっきりするということだと思います。全体的に、予定調和的にご努力されている部分を少し前に出されたほうが、法人としての方向性や努力の成果がよくわかるのではないかという、むしろそちらのほうに力点を置いた質問です。
 そうは言っても、そんなことは医療の現場で分けられないではないかという実態も多々あるので、無意味なコストをかけて説明のための資料を作っても意味がないのではないかと思いますが、ただ、いずれ何度もその議論は起こってくる話で、むしろ、組織そのものが本当にパブリックなものだと言い切ってしまうのであれば、あまりその辺の一般診療と政策医療との区分けでものを言うのではなくて、そもそも存在そのものが政策的であり、公的なのだという言い方もあるかもしれませんが、その場合、どういうふうに解釈していけばいいのか。そういうような意味で意見を言わせていただきました。
○永井座長 また追々振り返りつつ進めたいと思います。時間の関係で先にまいります。3.「目標評価の在り方」、4.「法人の組織・運営等(ガバナンス関係)」について10分ほどご意見をいただきたいと思います。
○夏目委員 都合があって欠席が多くて申し訳ありません。いままでの議論の経過は、それなりに把握しているつもりですし、今回の論点整理についても、よくきちんと整理されているのではないかと思っています。ただ、「目標・評価の在り方」の論点整理の2つ目ですが、「目標は適切な期間を区切って設定することとしてはどうか」となっているのですが、それはそれでいいのかもしれませんが、それではこれからこれをどうするのか。この論点整理のあとに、これからまとめ、報告書的なものを作り上げていく際に、適切な期間を区切ってという「適切な期間」というのはいったい何をイメージするのか。目標というのは、組織にとっていちばん重要な事柄の1つであって、組織というのは、適切な目標がない限り、実績を上げ、あるいは従業員を1つのベクトルに合わせてみんなで努力していくという仕組みがなかなか作りづらい。目標をどう適切に作っていくかということは大事で、その際にやはり期間は極めて重要です。目標ごとに適切な期間を区切るのか、論点整理の意味がよくわからないのです。いろいろな議論が私の欠席のときにあったのかもしれませんが、何を言いたいのか、もう少し噛み砕いて説明していただきたいと思います。
○渡辺国立病院機構管理室長 目標期間につきましては、いま現在、国立病院機構は5年間ということで中期目標期間を設定しております。それにつきまして委員の皆様がどのようにお考えになるのか、長くしたほうがいいとか、もっと短い方がいいとか、いろいろなお考えがあるべきだと考えておりますので、それにつきまして、もしご意見がありましたら、この場でご意見をいただければと思います。
○夏目委員 そこで言う目標というのは経営全体の、要するに、いままで中期計画や中期目標という形での期間というイメージですか。例えば、医療の世界ですから、必ずしも数値目標に馴染まないような形で評価しなければいけないのだけれども、しかし、評価するに当たって目標がないと評価できない。したがって、例えば、わかりやすく言うと紹介率とか逆紹介率とか、いろいろな数値目標を立てますが、それは年度ごとに数値目標をこのぐらいの目標に向けて努力したらどうかという形で、年度ごとに目標は立てます。経営目標にしても、1年間の収支やそういうもので立てます。もう少しそれを長くすれば、普通の企業体であれば3年が当たり前で、5年の目標を立てていくというのは、少し長過ぎるのではないかというのが一般的だと思います。ここで言う目標というのは、個別の事柄の目標を適切な期間を区切って設定するということではなくて、経営全体の目標を3年にするか、5年にするか、あるいは10年にするかということの議論ですか。
○渡辺国立病院機構管理室長 噛み砕いて申しますと、いま現在ある独立行政法人制度というのは、それまで国の機関だったところは、大体1年間でどのようなパフォーマンスを上げるかということでやってきたものを、それをもう少し延ばしましょうと。新たな法人の形態として3年から5年という中期目標期間を定めて、その中である程度数値目標を定めてやっていきましょうというのが今ある独立行政法人制度です。
 今回、それが改革されて、新しい法人制度を作るわけですが、その中でも、ある程度の期間を定めて、目標を決めて、それに向けてやっていきましょうという制度は変わらず適用されるものと考えております。その中で、目標とする期間を何年先に置くのか。例えば、いま5年なら長過ぎるというご意見もありましたが、医療という特性に鑑みて、本当に5年ということでいいのか、もう少し長期のスパンが必要というご意見もあるかもしれませんし、5年では長過ぎるというご意見もあるかもしれませんが、そういう経営全体の目標期間と、個々の事項について目標の数値を立てる場合には、それを何年先を見据えてやるのかという期間と考えていただければよろしいかと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○梶川委員 期間とも関係するのですが、いまの評価のところで、厚労大臣が直接される部分、または関係審議会で意見を聴取する。評価のきめ細かさとかは抜きにして、オーナーシップを持っておられる所轄庁として、いわゆる民間の株主総会ではないですが、何らかの形で年度ごとぐらいに何かを見られるというのが普通かなという気はするのです。
 さらに大きく中期計画等を、ある程度もっと第三者性をもって、従来の独法評価のようなこともあるのかもしれませんが、直接、行政的に、少なくともスポンサーである国が見る期間としては、1年に1回ぐらいは通常あり得るのではないかという気がするのです。その期間と、ガバナンスの議論というのは、またつながってくる話なのではないかという気がします。
○渡辺委員 いまの点に関して言うと、目標というのは、たしかに夏目委員もおっしゃったように、いきなり目標とくるから私自身もわかりにくい。独法の評価委員を務めた経験で言えば、5年の中期目標を立てて、ものによって、何年後には例えば紹介率・逆紹介率をこうするぞとか、とにかく診療事業、経営から人事までいろいろな目標があるので、そのことを当然言っているのだろうけれども、そこで適切な期間を区切るというのは、気持ちはわかるが非常に抽象的でわかりにくいというご指摘で、私も全く同感です。結論としては、ここのところはもう少し書き込んだほうがいいという気はします。いきなりこれがきてしまうものだから、あまりにも抽象的で。といっても、あまり書き込んでしまうと、たしかに独法のときもそうでしたが、ものによって違うわけだから、全部は書き切れないのだろうと思います。無責任な言い方ですが、書き方を工夫したほうがいいかなという気がします。
○伊藤委員 第3回のときに、目標や評価の在り方のところで議論したところだったと思いますが、いまの独法制度での中期計画に代わるものとして、基本目標を定めるという提案が事務局からあったと思います。その基本目標について確認させていただいたら、年次を定めないという話でしたので、そこについては、目標たるものは年次を決める必要があるのではないかと私は申し上げました。そういう意味で、今日こういう形で整理されていると理解したのです。確かに皆さんおっしゃるように、この目標というのが、具体的に何を指しているのか。目標というのは、以前、提示があった、中期計画に代わるものとしての基本目標を指しているのでしょうか。基本目標に年次を定めるということですか。
○渡辺国立病院機構管理室長 基本的にはそれを指しているということです。
○伊藤委員 その下で基本計画を作って、中期計画を作って、さらに年度計画を作るという考えを前に示されていましたが、そういうことでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 そこのスタイルについては、結論的な論点としては整理できていないのですが、まさにここにあるとおりに、できる限り法人の自主性・自律性を尊重するものとしていきたいということでございます。
○永井座長 それでは5.「法人の組織・運営等(役員関係)」について、10分ほどご意見をいただきたいと思います。
○齋藤委員 5.は役員、特に理事長をどうやって選ぶかに尽きると思います。いま世の中には公募という大きな流れがある、しかしこういう法人の場合は、公募は相応しくないという議論が散々あって、それはたしかだと思うのです。新法人に関する法律にどのように表現するかですが、「公募」という言葉を完全になくすことはできないと思うので、「公募と推薦もできる」というようなことにしておけば、あとは土俵の上に乗ってから、専門的知識を持った、優れた相応しい人を選ぶというのは、選考委員会で、運営面でできるわけですから、土俵の上に公募以外でも乗れるだけの道を作っておく表現さえあれば、これは解決すると思います。
 ちなみに、少し前にアメリカのNIHのディレクターをどうやって選ぶかを聞いたのですが、決して公募ではなくて、数人の人を推薦して、それを大統領のところに持って行って、大統領が決めるという選考の仕方で、決してアメリカでもNIHのトップは公募で選んではいないという事実もあります。以上です。
○夏目委員 全く同感で、公募で最も相応しい医療のトップを選べるのかとなると、もう何度も議論されたので繰り返すのもあれなのですが、やはり公募を原則にすべきではないと私も思います。ただ、公募を全く消してしまうと、またお手盛りで、仲間内で選ぶのではないかという、あらぬことを疑われてしまうので、やはり公募の道も残した上で、しかし公正な選考委員会といったものできちんと選びますと。そこで、事務局がリストアップして、公募の方も、それ以外の人は事務局で選考して、相応しい人を選考して、公正な委員会へと。何かそういうものを設けて、そこできちんと選ぶという仕組みを作られたらいいのではないかと思っています。原則公募という形で縛るべきではないと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。6.「法人の組織・運営等(雇用・人事管理関係)」にいきます。
○伊藤委員 9頁の「論点整理」の、「医療現場における雇用の柔軟化が求められる状況」についてですが、言いたいことは理解しているつもりです。ただ、これを求めているのは設置者、理事者のほうで、広く言えば利用者もそうだということになるのかもしれませんが、雇用される側からすれば、柔軟化を求めているかどうかというのは、必ずしも言い切れないと思います。また、「柔軟化」という言葉で、不安定雇用をイメージさせるようなことはよくないと思いますので、そういう意図ではないということで、表現を工夫する必要があると思っています。
 それから、これは言うまでもないことではありますが、柔軟化が必要だから非公務員化をめざすということですので、それであれば、「優秀な医師や看護師の確保に支障がないような給与水準の在り方を検討する」とありますが、ここは労使関係の中で決まってくるという原則がありますので、それを前提に理解していく必要があります。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○夏目委員 9頁の「論点整理」の最初の◆ですが、このとおりで全く異論はありません。ただ、ここに書いてある「必要な医療職等の人員を効率的に配置できるようにすることとしてはどうか」というのは、このとおりなのですが、具体的に、必要な医療職の人員を効率的に配置することができる仕組みを、どういう形で作るのか、ここは相当知恵を出していただかないと、なかなか医療の現場に相応しいような形になっていかないのではないかと。医療の質を確保しつつ、効率的な配置をどのような仕組みで担保するのか、少し知恵を出していただければと思います。ここに書いてあることはそのとおりで、何も異論はありません。
○永井座長 この「効率的に配置できる」というのは、総人件費管理を外れて、できるということですね。総人件費管理の中で再配置するということではないわけですね。
○夏目委員 この前ここで出ていたように、例えば総人件費管理、もう絶対額の管理をしていくと、全く実態に合わなくなる可能性が強いので、例えば人件費率みたいな、業務量が増え、収益が増えれば、それに合わせて人件費も増やせるといった形を取るとか、何か効率的に配置できる仕組みを少し工夫していただいたらと思います。人件費率がいいのかどうか、医療の実態がよくわかりませんのでわかりませんが、1つの知恵かなとは思います。
○堺委員 いまのご発言に関連してですが、やはりこれからまた医療制度も変化していきますし、医療を取り巻く環境も変化していきます。そうしますと、どういう人員を、いつどのように配置するかというのは、それこそこういう公的な機関にかかわらず、医療機関全体はいつも考えて、それを工夫して実行していくわけですが、それが全体の規制、例えば人員の規制あるいは人件費の縛りとか、そういうものがありますと、環境の変化になかなか適応するのが難しくなって、結果として医療の提供が十分でないということが生じる可能性もございますので、このところは、できるだけ当該の医療機関の判断が尊重されるような仕組みが望ましいと思います。もちろん、当該の医療機関の判断が適正であったかどうかは、こちらにもありますように、事後評価が必要だと思います。以上です。
○岩村委員 国立大学法人の人件費の管理というのはひどいやり方になっていまして、それを踏まえて考えてみても、新しい法人を考える上では、いまの国立大学法人あるいは独法のような人件費管理の在り方とは違う、より柔軟なものができるようにするということは必要だろうと思います。
 それから、2つ目の◆の「雇用の柔軟化」というのは、私の理解では、公務員制度というのは非常に硬直的で、人事管理もかなりやりにくいところがあるので、それはむしろ医療の現場に、より適切に対応できるような形にするということの趣旨だと理解していますので、少し書き方を工夫していただいて、誤解のないようにしていただければ、それでよろしいのかなと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。7.「法人の組織・運営等(投資・財務関係)」にいきます。ここは重要な問題がありまして、利益処分の問題が入っております。あと、公経済負担の問題です。
○齋藤委員 11頁の「論点整理」の1の最後に、「このため、新法人に対する財政支援の在り方を検討してはどうか」と書いてあるのですが、この意味がややわかりにくいのは、必要なお金はどうしても、過去の退職金とかはもらわなければいけないですよね。それの名前を変えることによって、「国民目線から」と書いてありますが、「国民目線」というのは、おそらく民間病院も含めてだと思うのですが、名前を変えたりシステムを変えれば誤解が解けるのかというと、そうではないと思います。現在でも、積極的に説明をして、診療事業に一切お金が入っていないことを、ホームページでも、しつこく説明することによって、むしろ解決できるのではないでしょうか。新しい在り方ということで解決できる問題ではないと思うのですが、この部分はいかがでしょうか。
 おそらくこの誤解の中には、現在のことはよく知らないということと、もう1つは過去の財政援助の歴史を引きずっていると思うのです。随分国から援助があって、建物や土地ももらったことも引きずっているので、それは過去は過去で、いまはそうではないということをいろいろな場面で繰り返し主張していくしかないと思うのですが、いかがでしょうか。
○土生国立病院課長 そういうご意見もあると思いますので、この場でいろいろな形でご議論いただければと思います。
○伊藤委員 いまの点ですが、そういった一般の診療のほうには交付金は入っていないのだという点は、しつこく理解を求めていくことは必要だというのはそのとおりだと思っているのですが、ここでの読み方としては、3行目にある「渡し切りの交付金」だということと、それを改める必要があるという意味で検討が必要だと読んだものですから、ある意味、補助金的な交付金ではなく、使途が明確になっている、このための補助金にするというようなことが必要ではないかと私は理解しましたが、そういうほうがよろしいのではないかと思っています。
○永井座長 いかがでしょうか。
○渡辺委員 確かにこれは、失礼ながら全体として文章的にもわかりにくいと思うのは、先ほどもおっしゃった方がいらっしゃいますが、誤解が発生しているから在り方を検討すると。誤解があっても説明すればいいわけであって、その場合は財政支援の在り方を検討する必要はないわけで、うまい文章が思い付きませんが、文章として誤解を招く文章かなという気はします。
○土生国立病院課長 文書上こなれていないというのはご指摘のとおりでございますが、そういうことも含めて、いずれにしても新法人に対する財政支援はどうあるべきかということは、当然ご議論いただく必要があるわけですから、この論点、あくまでも今日示したものですから、もっとほかの論点もあろうかと思いますし、そういう点も含めて、財政支援の在り方、これまでの交付金がいいという考え方もあると思いますし、もう少し使途を特定すべきという考え方も現に出ているわけですので、その点も含めて、ご意見をいただければと思います。書き方が誤解を招く表現であることはお詫びしたいと思います。
○岩村委員 先ほどの伊藤委員の話もそうなのですが、ここを素直に読んでいくと、むしろ使途を特定する形のお金の入れ方をすることによって、誤解が生じないようにすると読めるのですが、そうすると、いまの補助金のような形になって、そうすると補助金適正化法とか、そういったものが全部適用されるということになったときに、本当にそれというのは使い勝手がいいのかという気は、他方でするのです。
 交付金の場合ですと、基本的にはどう使うかは受け取る側に任されていて、そういう意味では自由度が高いです。そのことと、誤解が発生しているということが、直で結び付いているのかどうかという気はします。先ほど齋藤委員のご指摘にもありました。
 ですから、ここのところは意図はわかるのですが、やや論理が飛躍していないだろうかという気がいたします。
○(独)国立病院機構 清水副理事長 誤解はいろいろな努力で解けばというのは、ご指摘のとおりですが、私ども国立病院機構として、様々な活動をして、いろいろな機会にそういうことを申し上げましても、なかなか伝わらないというのが実情でございまして、犬が人を噛んでもニュースにならなくて、人が犬を噛むようなことをしなければ、なかなかインパクトがないというのが実情で、皆様方の、国立という名前で、いろいろなことがあるのではないかという思いの払拭は、なかなか難しいというのが当事者の考え方でございます。
 それから、岩村先生のお尋ねですが、現在、私どもが頂いている中のほとんどが、自由度がない、国期間分の平成16年3月以前の期間についての退職給付の原資ですので、運営費交付金だから使い勝手がいいような形でというよりは、実質的に使い勝手が決まっているお金を頂いているわけですので、こういうものを頂くのであれば使途を特定していただいた方が、すっきりするのかな、誤解を生じせしめないのかなと思っています。
○(独)国立病院機構 桐野理事長 国から「運営費」を頂いているわけではないのです。ですから、運営費交付金という名目で運営費でないものを頂いているという状況が、私どもにとっては何となく変だと思っています。ただ、40億円の部分は研究費として、これはまさに純然たる運営費交付金的ないただき方をしていることは事実でございます。
○岩村委員 そこのところは私のほうで理解が不足で、申し訳ありませんでした。
○梶川委員 私が申し上げたいのは先ほどから同じことなのですが、まさに多少情緒的な誤解というのは、どうしたらいいかというのは如何ともしがたい部分があって、いまの現状は本当はいまの数字をそのまま見ていただければ、誤解される筋合いではないのだと思います。運営費交付金と公経済負担なり何なりを比べれば、わかる話なのですが、それ以上どうしたらいいかというのは、広報の世界になるかなという気もいたします。
 ですから、今後、追加的に何か政府が役目を負わすときの財政支援の方法論というのは、どのような形がよりわかりやすいかなとはなるのかなと思います。
 ただ、前提としては、さっきの話を再述するような形になるのですが、コスト負担みたいなものを、全体の採算的なものを、よりどのような形で説明をし続けるか。例えば利益処分の話も、実はそれにつながると思います。一旦、ここの部分までは利益なのですと、それを更なる政策医療に回されますというところは、何か表現上、別に会計を仕事にしているから思うわけではないのですが、何かその表現方法が出ませんと、ただ利益が出ていないという言い方をされたり、ないしは利益が出すぎているではないかという言われ方をし続けざるを得ないので、その辺を老婆心ながら、ご説明しやすい形を技術論的にもどう作っていくかというところは、厄介だなという気はいたします。結局、利益の前のほうで、ちゃんと目的のあるものに使っておられるのだけれども、その出方と、何となく不効率でとんとんになっている話とが混ざってしまうと、本来の趣旨には全くなりませんので、その辺は少し技術的なことも含めまして、ご検討が必要になるかなという気がします。
 利益処分自身、国庫に納めないというのは、全体としてパブリックな目的のための組織体であるので、診療報酬で自己完結されるということは、十分にあり得る話ではないかなと思います。
○堺委員 いまの利益処分ですが、いまの制度ではこれはまだできないと、私は理解しておりますが、是非、近い将来導入していただきたいと思っておりますのは、複数年度での評価なのです。単年度で利益が出る場合でも、それが確定するのは年度末であることが非常に多くて、それを今度、組織体の経営に資するほうに用いますと、今度はその年度ではいろいろ問題が起こるということが間々ございます。
 ただ、いまの制度では複数年度での評価ということはありませんが、これは制度の改正が必要だと思っておりますが、将来、複数年度で評価することが組織体の活性化に資するだろうと考えております。
○(独)国立病院機構 清水副理事長 利益処分を考える上で、私どもが一番気にしておりますのは、実は建物の老朽化でして、昭和54年以前、もう30年を経過した建物が外来で6割、病棟で4割ございます。もう雨漏りしたり、手狭になったり、6人部屋だったり、長い廊下があったり、古色蒼然たるものがございます。
 それが、なぜそれでも残っているかと申しますと、平成16年3月以前、国の時代に投資総量が少なかったということです。個別のものは、若干お金をかけたものもございますが、国時代は基本的に投資の総量を抑えていた。その結果として、現在の減価償却費負担が少なくなった。その結果、一応3桁の利益が単年度では上がっているという形になっていますが、私どもは、本来であればこういう古い、患者にいろいろと不快な思いをさせているような環境を整備したいなと、そういう強い思いを持っています。
○永井座長 よろしいでしょうか。それでは8.「将来の統合も視野に入れた具体的な検討」、9.「その他」にいきます。いかがでしょうか。
○渡辺委員 関連して基本的なことを伺いたいのですが、特に「国立病院機構」という名称ですが、2004年に独法化したときは国立病院機構で公務員型できたので、事実関係としてお伺いしたいのですが、いわゆる民間型の新法人になったときに、「国立病院」という名前を使えるのですか。
○渡辺国立病院機構管理室長 まだそこに関しましては、使える使えないという結論は出ておりません。ただ、独立行政法人になった際に、国から離れて使えるかとか、もしくは非公務員型のところが「国立」という名前を使えるのかというのは、1回議論になった覚えがありまして、それについては、簡単にいえば、ある一定の国の関与があれば国立という名前は可能だということで整理したという覚えがございます。
 ただ、新しい制度になったときにどうなるかというのは、まだ議論はされておりません。
○渡辺委員 つまり、将来の統合ということは私も以前言ったことがあるのですが、将来の統合を視野に入れるぐらいはいいと思うのですが、現実にいうと、労災もそうですが、歴史があって、患者、国民からすると、国立病院は信頼度が高いのです。労災病院というのは、慣れというのもあるし、将来の統合を視野に入れるぐらいならいいのですが、仮に統合というのは本部機構の統合だと思うのだけれども、そういった場合の、ある意味では細かい点かもしれませんが、名称も含めて考えておく必要はあるのかなと思います。以上です。
○永井座長 いかがでしょうか。看護師養成所は意見は出ていますが、論点整理にはなっていないというのは、どうしてでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 先ほどちょっと申し上げましたが、前回、さまざまなご意見をいただきまして、まだいろいろな論点が事務局で整理しきれておりませんので、今回は載せるのを差し控えさせていただきました。
○永井座長 いかがでしょうか。よろしければ全体を通して、足りない論点、論点の整理の仕方、何かございましたらご指摘いただきたいと思います。
○渡辺委員 いまの部分で、「将来の統合も視野に入れた」というところを、この委員会ではなくて、将来は統合すべきだと外で言っている人もあるようなのですが、我々が議論したのは、メリット、デメリットは両方あると。何のために統合するのかという議論をしました。そこをちょっと追加しておかないと、将来の統合も視野に入れるのはいいのだけれども、メリット、デメリットがあるのだということを、もうちょっと明確にする必要はあると思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○齋藤委員 今日、論点整理して、たぶんもう1回ぐらいやって、報告書ができると思うのですが、それは誰に対する報告書なのですか。誰に対して報告書を出すのかによって、書き方がいろいろあると思うのです。常に、「何々してはどうか」とか、両論併記みたいだと、ディスカッションしたことはわかっても、なかなかクリアな方向性は出ないのですが、誰に対する報告書なのか、その辺によってかなり戦略が違うと思うのですが。
○永井座長 どのようなまとめ方になるのでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 検討会の形としましては、局長の下に設置されている検討会ですので、形式としては、医政局長と労働基準局長の両局長に対して報告をする形になります。
○夏目委員 先ほども少し申し上げたのですが、言わずもがなで、こんなことは言う必要はないと言われるかもしれませんが、この論点整理でまとめられている方向については基本的にこのとおりだと思いますし、全く異論はないわけですが、これから具体的な制度や仕組みに落とし込む際に、是非、今回あえて、こういう医療事業に相応しい法人制度を作るのだということとか、あるいは今まで独法一律の規制や縛りにいろいろな形で悩まされ、苦しめられたという苦い経験を十二分に踏まえて、同じ轍を踏まないように、医療事業の特性を十二分に踏まえた新しい制度設計を、具体論でも貫いていただきたいと思います。
 例えば資料3に、あえて論点の比較という形で資料を整理されているのだろうと思うのですが、新しい法人を作るといって、これからだんだん制度設計していくと、どうしても、いまある程度形が出ている中期目標行政法人というものが、どっしりとこの存在が表に出てくるのではないかということを心配します。そうすると、例えばいちばん大事だと思う利益処分について、最終的に中期目標行政法人は残余は国庫納付という形になっているわけです。ところが、おそらく今回の新法人は、いまお話も出ましたように、施設や設備が相当老朽化している。これを早く何とかしないと、高度な医療を提供できない、国民に安心した医療を提供するに当たって、早く何とかしなければいけないわけですから、少なくとも国庫納付という形に引っ張られないように、是非、頑張って制度設計をしていただきたいと思います。
○梶川委員 この組織を改革されるというのは、いちばん重要なのは、本当に責任のある、裁量権を持った組織として、国民に質の高い医療を広く波及される、普及されるという部分だと思いますので、それに見合う組織形態と運営ガバナンスを是非確立できるようにと。
 そういう意味では、先ほどとまた重複するのですが、やれ評価だ何だということは、全体として役員の任命とか裁量の在り方とか、評価とか、一連のものだと思うのです。例えば役員任命がある意味では自主的に行えるということ、もちろん公募も併せてですが。先ほど評価の話があったのですが、例えば任命された理事長が理事も選ぶというような形で、もし年度で評価がないとすると、かなり長い期間において、別にガバナンス機構を内部的にでも、いわゆる株主総会もどきというか、何かお作りになられれば、ある程度経営裁量に対する責任免除みたいなものが起こりますが、万が一役員が選ばれている数期の期間にわたって、所轄庁のほうで何かの一定の評価が行われない場合は、逆に責任が非常に過重になってしまわれたり、また説明しきれない部分が、時によって出てくると思うので、その一連の整合性を是非お取りいただけるような形にされるほうが、その分、自由に運営できるということになりますので、それはよく整合性を持って捉えていただければなと思います。そうでないと、目的に合わない、やたらとプロセスで縛られるという従来の形になってしまう、自由にいい給料をお払いになるという裁量を得るために、本当に自由裁量のある、担保してもらえるガバナンスの仕組みを是非お考えいただければなと思います。
○岩村委員 一言だけですが、私も今回の論点整理で、基本的には全体としてはよろしいのだろうとは思っております。
 資料2の1頁の1.「基本的方向性」で、先ほど渡辺委員がご指摘された3番目の「国が担うべき政策医療等について国が適切に関与しつつ」というところは、大事なところではあるのですが、「国が」「国が」と出てきて、文章としてはあまりうまくないです。
 もう1つは、従来のこれまでの議論の中で紹介されてきた、例えば基本方針とか、基本計画というようなものと、うまくマッチングするような形で、ここのところを基本的方向性の中に書いていただくと、全体としての整合性も増すし、説得力もあるのかなと思います。
 先ほどの渡辺委員のお話もありましたが、国立病院というものは、そういう意味では国がある意味では関与しつつやっていく、国民に高度な医療を提供するという役割のものだと思いますので、そこのところのミッションをここで適切に表現していただければと思います。
○永井座長 そのほかいかがでしょうか。そうしますと今日はここまでとさせていただいて、ご発言できなかったご意見、あるいはあとでお気付きの点がおありでしたら、後ほど文書、メールでお送りいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次回第6回目は報告書(案)について、皆様にご議論いただくことになります。事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○木暮労災管理課長 次回は11月13日(火)の午前10時からお願いしたいと思っています。会場、場所については、決まり次第ご連絡をいたします。以上です。
○永井座長 それでは、これで第5回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会を終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 尾崎・星(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 角園・松本(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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