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2012年11月6日 第36回がん対策推進協議会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年11月6日(火)
17:00~19:00           


○場所

厚生労働省低層棟2階 講堂 
(東京都千代田区霞が関1-2-2)




○議題

1 開  会
2 議  題
   (1)がん対策関連の検討会の進捗状況について(報告)
   (2)平成24年度都道府県がん対策担当者技術研修の開催について(報告)
(3)がん対策の評価指標について
   (4)相談支援について
3 意見聴取
   (1)がん計画における評価の活用 評価枠組み、指標の考え方(宮田参考人)
   (2)相談支援センターが地域に根付いたグッドプラクティスと課題(大石参考人)
4 その他

○議事

出席委員:門田会長、天野会長代理、石井委員、上田委員、江口委員、川越委員、北岡委員、田村委員、中川委員、中沢委員、西山委員、野田委員、花井委員、堀田委員、前川委員、眞島委員、松月委員、松本委員、道永委員
参考人:大石参考人、宮田参考人

○岡田がん対策推進官 定刻となりましたので、ただいまより第36回がん対策推進協議会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局の健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官の岡田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の皆様の出欠状況でございますが、皆様から御出席との御連絡をいただいております。本田委員、道永委員からは遅れるという御連絡をいただいております。定足数に達していることを御報告申し上げます。
 本日は、がん対策の評価指標と相談支援について御議論いただく予定としております。そのため、ヒアリングをさせていただく方としまして、評価指標につきまして、厚生労働科学研究で、がん対策の評価指標策定に関する研究を進めていらっしゃいます東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座准教授の宮田裕章様をお招きしております。
 また、相談支援につきまして、相談支援センターのグッドプラクティスを御紹介いただくため、地方独立行政法人佐賀県立病院好生館相談支援センター医療相談係長の大石美穂様をお招きしております。
 また、本日は、去る9月10日付で厚生労働省の人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 健康局長の矢島でございます。
○矢島健康局長 矢島でございます。よろしくお願いいたします。
○岡田がん対策推進官 健康局がん対策・健康増進課長の宮嵜でございます。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 宮嵜でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○岡田がん対策推進官 事務局でございますけれども、本日、がん対策・国際保健担当審議官の麦谷は公務のため欠席をさせていただきます。
 また、厚生労働省のほか、文部科学省及び経済産業省より御出席をいただいております。
 それでは、以後の進行を門田会長、よろしくお願いいたします。
○門田会長 皆さん、こんにちは。協議会の間隔が非常に長くなって、たしか前回は猛暑の真夏で、もう冬になっているなという感じになっております。本日もぜひよろしくお願いいたします。
 では、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○岡田がん対策推進官 では、資料の確認をさせていただきます。その前にメディアの皆様、恐縮でございますが、カメラをお収めいただきますようよろしくお願いいたします。
 資料1 がん対策推進協議会委員名簿
 資料2 がん対策関連の検討会の進捗状況について
 資料3 平成24年度都道府県がん対策担当者技術研修の開催について
 資料4 がん対策推進協議会の今後の課題に関する前回協議会での意見
 資料5 がん計画における評価の活用 評価枠組み、指標の考え方
 資料6 相談支援・情報提供に関する前回協議会での意見
 資料7 相談支援センターが地域に根付いたグッドプラクティスと課題
 参考資料1 がん対策推進基本計画
 参考資料2 緩和ケア推進検討会~中間とりまとめ~
 参考資料3 がん対策推進協議会の今後の議題について(案)
 参考資料4 がん対策全体を評価する枠組みと指標の策定について
 参考資料5 がん対策指標に関する委員からの意見のまとめ
 参考資料6 がん相談支援センターの現状と今後の充実に向けて ~研修の実施状況と相談対応の室評価の試み~ (概要)
 参考資料7 がんに関する相談支援について
 参考資料8 がん患に対する支援や情報提供の今後のあり方等に関する委員からの意見のまとめ
 前川委員提出資料 がん診療連携拠点病院相談支援センター訪問・調査と「提案」
 堀田委員提出資料 「知れば安心 がん情報」「身近な人ががんになったとき」
 資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。何か資料に問題はございませんでしょうか。よろしゅうございますか。特にないようでしたら、本日の議題に入りたいと思います。
 本日は、まず、事務局よりがん対策関連の検討会の進捗状況、都道府県がん対策担当者技術研修の開催について御報告をお願いしたいと思います。
 次に、前回の協議会でこれからどう検討するかということで、参考資料3に基づきまして前回ディスカッションいただきました。そのうち、まず全体的な話と個別の課題に分けられるということで、全体的な問題についての話と個別のものを上手に織り込んで会を進めていこうと皆さんとお話ししたのではないかと思います。その中でも特に、評価指標ということが前回から課題として残っておりながら、それが進んでいないということで、何はともあれ、この指標については早急にやらなければならないと皆さんから御意見をいただきました。そういうことから前半は、がん対策の評価指標についてのヒアリングをし、御意見をちょうだいすることにさせていただきたいと思います。
 そして、後半は、どちらかというと個別な課題ということで、相談支援を引き続きやりたいと思っております。相談支援の中で、前回もピアサポーターの話が一緒に出てきておりましたので、今回はピアサポーターは別にピアサポーターとしての話を進めることにして、ひとまず本日は相談支援というくくりでディスカッションをしていただいたほうが、話があっちに行ったり、こっちに行ったりということにならないのではないかということで、本日は相談支援を中心にお話をさせていただきたいと思っております。
 前回からの引き続きで、どういう方向で行くかということをディスカッションいただいて、今日は準備させていただいておりますが、ここまででどなたか御発言ございますか。中川委員どうぞ。
○中川委員 先ほど、門田会長から全体と個別という話が出ました。前回の協議会で会長がお出しになられた氷山の図、全体を俯瞰するというものがありましたが、新しく基本計画ができた今、個別の問題は大変重要なのですが、やはり長期的な視点に立てる時期だと思っております。門田会長は普段、お言葉では死生観と言われていて、私はがん対策の根底にそういった死生観的なものが必ず影響を与えると思っています。検診受診率が低いのと、緩和ケアが進まないというのは実は海面の下でつながっていて、そういう点では指標の策定にも長期的な観点を含めるべきだろうなと思って、そういう視点も忘れてはいけないということだと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 前川委員どうぞ。
○前川委員 私も前回、門田会長が話されたことを聞いて、なるほどなと思っていたんですけれども、どなたからもコメントがなくて、私もコメントできなかったことを非常に残念に思って、今、中川先生がおっしゃったので私も勇気を出して意見を一言だけ話させていただきます。
 がん対策は目の前のことも非常に大事なのですけれども、長期的展望をテーマにした論点も絶対に必要ではないかと思っております。本当に前回の門田会長のお話を聞きまして、そう思いますので、今後何らかの形でそういうことができればなと願っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 会長の提案のサポートをしていただき、ありがとうございました。今が節目でございまして、次に向けて動くときに、今までとちょっと違った角度で見ていくということを申し述べさせていただきましたけれども、今日はそれを支持していただきました。皆さんと一緒にこの点は共有していただいて、長いスパンでどう対策を講じるかという見方を今のタイミングで勉強していきたいと。ですから、次回以降そういうものを入れていくことを事務局と相談したいと思っております。
 そのほか、どなたか御発言ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、次にまいりたいと思いますが、資料2に沿って事務局から前回の検討会の進捗状況についての御説明をお願いしたいと思います。
○事務局(秋月) それでは、資料2「がん対策関連の検討会の進捗状況について」御報告させていただきます。
 まず、小児がんの拠点病院についてでございますが、これは基本計画を踏まえまして小児がん医療支援の在り方に関する検討会で検討いたしまして、その報告書が9月3日にとりまとめられました。これを踏まえまして厚生労働省では「小児がん拠点病院の整備について」という健康局長通知を出しまして拠点病院の要件を定めておりますけれども、具体的には患者数が少ないために診療実績であるとか、学会の認定施設であること、それから、緩和ケアの実施、相談支援の実施、長期滞在施設の整備、保育士の配置などを要件としております。これについて応募した結果、10月9日の締め切りまでに合計37の医療機関から申請がございました。報告書の提言にございますとおり、年内を目途として小児がんの拠点病院の指定に関する検討会を開催いたしまして、拠点病院を全国に10カ所程度、地域ブロックごとには1~3カ所程度を指定する予定としております。
 この指定に当たりましては、報告書にもございますが、集約化であるとか、地域の全体の小児がん医療をリードしていくという大きな役割が期待されておりますので、申請していただいた医療機関にも丁寧に確認をしながら慎重に選定を進めていきたいと考えております。
 それから、2番の緩和ケアについてですが、緩和ケア推進検討会は本年4月から開始いたしまして、計5回開催しております。緩和ケアセンターの整備であるとか、身体的苦痛や精神心理的な苦痛の緩和に求められる方策を盛り込んだ報告書を9月26日に中間とりまとめとして公表しております。この中の内容の一部は、既に概算要求に反映させていただいております。
 今後ですけれども、専門的な緩和ケアを提供するための各職種の適正な配置や緩和ケアへのアクセスの改善、緩和ケアに関する教育体制等について議論をする予定としております。
 3番のがん検診についてですけれども、がん検診のあり方に関する検討会も本年5月から開始いたしまして、計2回開催しております。第3回は来週の火曜日、11月13日に予定されておりまして、引き続き子宮頸がん検診について議論をする予定としています。子宮頸がんについて一定程度の結論を得た後、ほかのがん種であるとか検診の受診率の向上施策について議論をする予定としております。
 がん診療提供体制について少し開始が遅くなっているのですが、がん診療提供体制のあり方に関する検討会を年内に立ち上げる予定としております。拠点病院の指定要件の見直しであるとか、地域のがん診療のあり方、国民に対する情報提供のあり方、拠点病院の評価等について議論する予定としております。
 それから、がん研究については前回の協議会で上田委員や野田委員から御質問もいただきましたけれども、関係省庁、特に文部科学省や経済産業省、イノベーション室とかございますが、そういうところときちんと連携いたしまして、年内を目途に第3次対がん10か年総合戦略に続くがん研究戦略を策定するための検討を開始することとしております。
 事務局からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 ただいま検討会の進捗の御報告について、どなたか御質問・御発言ございますか。松本委員どうぞ。
○松本委員 検討会の内容について、この協議会の場でもう少し御説明をいただく場があってもいいのではないかと思っております。もちろん、いろいろな議論があるものをごっそりここに持ってきてもう一回議論するというのは非常に非効率ですので、そんなことをする必要はないと思いますが、それぞれの検討会の中で専門の先生方が御検討なさっている内容、エッセンスは、もしかしたら、このがん対策推進協議会の中でも共有しておくべきこともあるかもしれないと思っております。
 このがん対策推進協議会というのは、言うまでもなく国のがん対策の一番大事な部分を担っているはずだと思っております。そういう意味で、先ほど門田会長がおっしゃったように、もっと広い視点で考える必要があるのではないかという前回からの御発言にも沿うのではないかと思いますけれども、それぞれの検討会で行われていることが、この紙に書かれている数行の結果だけではなくて、そこではこんなディスカッションがあったのだという御報告がもう少しあってもいいのではないかと。もちろん、すべての検討会については求めませんけれども、ここはというときにはそれぞれの検討会の会長なりどなたかに、ここで御意見を述べていただくなり、そういったことがあってもいいのではないかと思いました。
○門田会長 ありがとうございました。
 前川委員どうぞ。
○前川委員 小児がん拠点病院についてですけれども、内容を余りよく知らないので、ちょっとピントがずれた質問かもしれませんが、拠点病院化すると、例えば中四国とかだと遠くの病院に行くようになります。その場合の経済的な負担というのは非常に大きい。先だって県の策定委員会か何かのときに発言したのですけれども、少し補助とかそういうことは考えられますかとお尋ねしたところ、病気は小児がんだけではないよ、がんだけではないよというお答えを県からいただきました。ですので、このあたりを今どの程度進んでいるかわかりませんけれども、ぜひ経済的な負担が少しでも少なくなるようにしていただきたいなと願っております。
○門田会長 ありがとうございました。これについて何か事務局からありますか。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 まず、松本委員から御指摘のありました検討会の検討状況をもうちょっと詳しく報告すべきものは報告する、あるいは委員長から報告があってもいいのではないかと。ケース・バイ・ケース、内容にもよると思いますので、会長とも御相談させていただいて、こういう表現は悪いかもしれないですけれども、この協議会の場も貴重ですから、もし必要な参考資料や資料の送付で済むようでしたら、逆に協議会委員の先生方に送付させていただくとか、御指摘はごもっともだと思いますので、いろいろな仕組みで対応させていただければと思っております。
○門田会長 それから、もう一つ小児がんの。
○事務局(秋月) 小児がんの財政的な支援については、既に小児がんの拠点病院については今年度の予算で2.5億円確保しておりますので、それで必要な人員やあるいは研修といったところに活用していただければと考えております。
○矢島健康局長 小児がん拠点病院を年内をめどに決めよということになりますと、次回の協議会ではもう決まりましたという話になってしまう可能性もあるわけで、逆に言うと、患者さんたちが求めているものは、今後の小児がん対策のあり方についての中に書かれていた趣旨で患者さんの立場としてどういうふうにしてほしかったのかということをもう一度、教えていただきたい。患者さんを集約化することも含めて、結果的に患者さんにとって望んでいない形になってしまっていることがあってはまずいということもあるわけですので、逆に御懸念のところも含めていろいろと教えていただければありがたいと思っております。
○前川委員 各病院に考えていただくということなのですけれども、拠点病院化というのは国が決めたことですよね。ですから、国のほうも患者支援ということを視野に入れていただきたいなと思います。
○矢島健康局長 予算としては今は入っていないのですが、その中でどういう形でやるのが患者さんにとって一番いいのかということを教えていただきたいのです。
○前川委員 それは、やはり国のほうで予算を取っていただいて、難しいかと思いますけれども、病気は治った、だけれども、患者にとって経済的な負担がある。そうすると、家庭全体が破綻してしまう。例えば、離婚とかいろいろなことが派生してくるケースもあるということで、国の都合でと言うと語弊がありますけれども、国の方針で拠点病院化したということは、患者が拠点病院化してください、してくださいと言ったわけではないので。それもあるかとは思いますけれども、例えば、これから小児がんになった子どもさんは拠点病院に行かざるを得ないということで、何らかの救済策があればいいなと思います。
○矢島健康局長 済みません、教えていただきたいのですが、行かざるを得ないという御議論だったのでしょうか。
○門田会長 ちょっと待ってください、そこまで話を戻さないでいただきたいのですが、いわゆる初期の拠点病院のように、5大がんという多いものを対象に全国に400近く認定してきたものとは今度は違います。非常に希少なものについてどうするかということで、そんなに多くの拠点病院はできない、やはりどこかに集めることが必要になる。それは医学・医療の面から見ても、分散しているよりも集めてやるほうが効率的だということ、それはそうだと思います。
 ところが一方で、患者さんの立場をとると、あるところまでの距離を行かなければいけいなので、今後さらに希少がんその他のこともどんどん広げていくとするならば同じような課題が発生するので、そういうことについても今後の方向として考えていただきたいという御発言だと理解したいと思うのですが、よろしいですか。
○天野会長代理 1つだけよろしいですか。私は小児がんの検討会にかかわらせていただいた委員の1人として一言申し上げますと、小児がんの7~8割以上の患者さんに治癒が期待できる中で、小児がんの中でも特に希少なものについては、まだまだ治癒が期待できない難治性のものが残されていると。そうすると、現在の小児がんの診療体制の中では、数年に1例しかないといった施設が出てきてしまう。そうすると、そういった患者さんにとってはそういった施設ではなくて、集約化していただいて、よりよい治療を受けたいという希望が患者さんから出ていたということは間違いないです。ただ、それは今、前川委員から指摘があったように、集約化されることによって患者さんの経済的な負担が増えるのは同時に間違いないということなので、委員の中からは、そういった集約化と同時に経済的負担の軽減もぜひ考慮していただきたいという意見が検討会の中でもあったと思います。結果として、そういった負担の軽減にはつながってはいないのですが、一部ではありますけれども、そういった無料の滞在施設を確実につくっていただくということが入っていたと思うのですが、そこにとどまることなく引き続き、ぜひそういった負担の軽減についても検討していただきたいと、私からも切に願っております。
○門田会長 そのほか、どなたかございますか。堀田委員どうぞ。
○堀田委員 別のことですけれども、この検討会というのは健康局長の諮問機関という形で整理されていると思うんですね。ですから、ここで逐一の議論は当然ないわけですが、緩和ケア推進検討会から中間とりまとめが出まして、都道府県拠点病院に緩和ケアセンターをつくるという提案があるかと思います。これは非常に重要な問題ではありますが、センターともなりますと相談支援センターと並びの組織を拠点病院に義務づけるという形になるのかどうかと、現場の意見をきちんと聞いた上で進めていただきたいと思います。もちろんこれは反対という意味ではなくて、現場の実情に合わせた形でぜひ御議論を進めていただきたいと思います。
○門田会長 この点は、よろしくお願いいたします。
 そのほかいかがですか。眞島委員どうぞ。
○眞島委員 今のに関連すると思いますが、例えば、英国のシステムのNICEですと交通費などもすべてカバーされて、病院に行きますと窓口があって、そこは何をやるのかというと、病院までの交通費を支払う、リインバースするというシステムがあります。ある健康政策に関しての分析によりますと、日本の高額医療費制度はいろいろな方が使われていて、便利なものではあるのですけれども、それが必ずしも十分ではないという御議論があるかと思います。高額医療費の国の負担総額は幾らかというと4,610億円だそうです。それを聞いて4,610億円なのかと思いました。この4,610億円を例えば今の予算の中にいれて、国が高額医療費を負担するようなシステムはできないだろうかと。そのようなシステムによって、かなりのがん患者さんの負担は軽減されアクセスは改善されるのではないかと。先ほど皆さんから御意見が出ていましたけれども、長期的な構想に立って、そういったシステムを考えるという場がどこかにあってもいいのではないかと思います。この協議会もその役割の一つとして患者の負担を軽減する新しいシステムについて考えることはできないものかなと思いました。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございます。そういう視点をぜひやっていきたいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。そのほかにもあるかと思いますが、少し時間も押していますので前に進みたいと思います。次に、事務局から資料3に基づいて御報告をお願いしたいと思います。
○事務局(秋月) それでは資料3「平成24年度都道府県がん対策担当者技術研修の開催について」御報告をさせていただきます。
 これは、もともと基本計画のほうに現在、国のがん対策推進基本計画が見直されたことを踏まえて、県でも見直しを進めていただいているのですが、基本計画の中で国が都道府県の計画作成の手法等の重要な技術的事項を助言するということも記載されておりますので、こういったことに基づきまして、この研修を開催することといたしました。
 日時ですけれども、今年11月15日、16日の2日間にわたって実施する予定としております。
 内容ですけれども、都道府県基本計画の作成の考え方であるとか、疫学統計データの活用法、先進事例の分析として大阪、広島、島根から紹介をしていただく予定となっております。最後には、グループディスカッションを行う予定としております。
 裏面に2日間の詳しい内容も記載しておりますので、適宜御参照ください。
 事務局からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 この研修についての御意見・御質問ございませんか。天野委員どうぞ。
○天野会長代理 こういった研修を開催していただいて、都道府県計画の進捗をよりよいものにしていただけることは大変ありがたいことなのですが、1点お願いがございます。例えば、計画を策定する段階で、県によっては千葉県のように拠点病院の患者さんに対してアンケートを行って、その声をもとに意見を集約して計画をつくっているところだとか、鹿児島県のように患者団体に委託して、患者団体の声を通じて拠点病院の患者さんの意見を集約して計画をつくっているところもございます。そういった実際に医療を受けられている患者さんの声を集約することについても、この研修会等を通じて、ぜひ御指導いただければと思っております。
○門田会長 よろしくお願いいたします。
 そのほか、どなたかございますか。ないようでしたら、次にまいります。資料4、がん対策の評価指標についてということで、まず最初に、事務局から説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○岡田がん対策推進官 では、評価指標につきまして、これまで御議論されていたことも若干振り返りつつ、資料の説明をさせていただきます。
 まず、お手元に資料4及び参考資料3、参考資料4、参考資料5をお出しいただければと思います。前回、参考資料3に基づきまして、今後の協議会の議題ということで御議論いただきまして、資料4にございますように、評価指標についての議論を行う必要があるという意見を複数の委員の皆様からいただきました。
 昨年12月ごろに、この協議会でも一度、評価指標についての御議論をいただいております。それにつきましてまとめたものが参考資料4及び参考資料5でございます。時間の関係で簡単に紹介させていただきますが、参考資料4でございます。
 前計画では個別目標や参考指標が設定されておりましたが、成果に関するものが少ないということや全体目標である死亡率の減少やQOLの向上との関連が明確でないとの指摘があったという認識を共有したかと思います。
 その対応方針ということで、成果に関するものも含む適切な指標を設定するということや、また既存の調査等で把握できない指標について、必要性及び優先性を踏まえて開発を進めるという御議論いただいております。
 2ページの図が、その際御議論いただきました内容で、右側の全体目標、新たな計画では、がんになっても安心して暮らせる社会の構築という全体目標が加わりましたけれども、右側の全体目標と左側にあります個別施策との関連を踏まえつつ指標を作成していくといった御議論をいただきました。
 また、3ページにございますように、全体目標につながる評価指標としまして、どのような内容であれば指標としてデータがとれるのかという候補につきましても、資料としてお出しさせていただいております。
 参考資料5では、こういった議論を計3回ほどしていただきましたけれども、その中で委員の皆様からいただきました御意見でございます。幾つか御紹介させていただきますと、検診の精度管理に関する指標が必要ではないかといった御意見や、医療の提供体制に関しても指標として見る必要がある。また、希少がんもしっかり指標として位置づける必要があるといった御意見。また、患者満足度といったようなものも指標として見ていく必要があるということ。また、小児がんや緩和ケアについても、地域の緩和ケアチームの数でありますとか、緩和ケアに関する在宅死率といった指標も必要ではないかといった御意見などをいただきました。
 また、ストラクチャー、プロセス、アウトカムといった各指標を見渡した議論をする必要があるといった御意見。また、施策の裏づけとなる財源等の指標についても考えていく必要があるといったような御意見を昨年、御議論の際にいただいております。
 本日は、先ほど御紹介させていただきましたように、昨年こういった御議論をいただき、評価指標について研究を進める必要があるだろうと事務局としても考えておりまして、現在、厚生労働科学研究において評価指標の検討をいただいております。本日は、その研究班の分担研究者であります宮田参考人に指標検討の基本的な考え方、また、指標を作成するまでどういったことに留意すればいいか等についてお話をいただきたいと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの今までの経緯の説明につきましては、後ほど一括して質疑応答をしたいと思いますので、引き続き宮田先生から、資料5に基づいて御説明をお願いしたいと思います。20分ぐらいでお願いいたします。
○宮田参考人 御紹介いただきありがとうございました。東京大学医療品質評価学講座の宮田と申します。
 本日は、先ほど御紹介がありましたとおり、厚生科研の指定研究の「がん対策を評価する枠組みと指標の策定に関する研究」、橋本英樹先生が主任研究者を務める研究の一環として考え方について、まず、お話しさせていただければと思います。
 政策評価については、医療計画、さまざまなところでPDCAサイクル、あるいは成果志向、ストラクチャー、プロセス、アウトカムといった言葉の中で、特に平成24年から強く重要視されていると思います。なので、まずやらなければいけないという背景があるのですが、なぜ必要なのかというところに関して、本日いらっしゃる方々は御存じだと思いますが、簡単に整理させていただきたいと思います。
 1つ目が、患者・市民の視点に立った政策を実施すること。2つ目が、限られた資源の適切な配分を行うこと。3つ目が、政策取り組みの継続的な改善を実現するということです。
 まず、1つ目についてですが、ここで申し上げるまでもないですけれども、これまでは医療者が患者に与え、患者・市民が任せるという時代があったのですが、これからは患者・市民の視点に立って、よりよい医療のあり方を評価し、そして、関連するステークホルダーの連携の中で政策を実施するということがますます重要になってきていると思います。これは、医療経営学のほうでも同じように考えられるようになりまして、今までは高齢化の中で増大する医療費をいかに抑制するかという視点になりがちだったのですが、患者・市民の視点、どういったサービスを提供することができるかを最初に考えて、その先にどのような資源、医療システムあるいは診療報酬を初めとした制度を位置づけるのか。まず、提供できるサービスの質から考えましょうというようなことが重要視されてきています。
 諸外国では、このあたり必ずしもステークホルダーの連携にならずに利害対立になりやすいのですが、日本のがん領域においては、がん対策推進基本法で連携が示され、今回のような協議会というような形でも結束されているので、皆様の取り組みというのは、日本だけではなくて海外に先進的な事例として今後を切り開いていくのではないかと期待しております。
 一方で、やはり財源の問題も極めて重要です。今までは日本は、高度経済成長と多数の働き手が少数の高齢層を支えるという前提で社会保障の設計をしてきたのですが、これからは経済成長のスピードに関しても、高度経済成長というものは前提にできないですし、さらに言うならば、世界でも経験されていない高齢化社会に突入していきます。イギリスのある雑誌は、2050年は日本が最も暗い国になるだろうと。いわゆる1人で何人もの高齢者を支えて、システムがままならないのではないかというような予想をされています。
 ただ一方で、医療に関しては、国の多くの資産を有する団塊世代以上の方々が今後医療を必要としていって、公費・私費にかかわらず、この10年は国需で成長する数少ない産業であろうということも言われています。ここでよりよいモデル、日本の医療をさらによいものにして成長産業にすることで、次の世代、20年先、30年先に日本を支えるような中核産業にも成り得るのではないかと考えています。ここでコスト・エフェクティブなシステムをつくるということは、日本のこの10年だけではなくて、もっと先を考える上でも非常に重要であると考えています。
 3番目が、先ほどの高度経済成長、社会保障制度の一環で、日本は公平な資源配分を重視して、いかに人をつけるか、あるいはいかに箱物を増やすかといったところが、医療にかかわらず多くの施策の重点課題でした。これは先ほどのように、既に人口構造の変化で成り立たなくなっていくということだけではなくて、国際的な観点の中で日本の価値を示していくということにおいても、かいた汗あるいは人がこれだけいますということではなく、成果あるいはプロセスといったものに注目して、患者・市民の視点に立った成果を示すことが必要になるであろうと。既に、日本のプロフェッショナルはものづくりあるいは職人文化と言われていますが、世界の中でもかなり高い位置にいるとは思いますが、これをさらに高めていく上では、客観的な質を内外に示すことが極めて重要になると考えられます。
 次に政策評価の概要について、その指標の議論に入る前に評価の枠組みについて、簡単に概要をお話しさせていただければと思います。
 評価において最も重要になるのはPDCAサイクルです。改善に取り組むそれぞれの現場が理解・納得して、現実の中で取り組みの改善に活用できる情報を継続的にフィードバックすることになります。つまり、どんなにいい計画をつくっても、それが実践されていかなければ全く意味がないので、ただいい計画をつくるということだけではなく、それを実行してチェック・評価して改善活動を行うといったサイクルを回すことが最も重要な要素になります。
 評価に関しては、セオリー評価、プロセス評価、インパクト評価、コスト・パフォーマンス評価、いろいろな分類の仕方があるのですが、大まかに言うとこの4つがあります。本日は時間に限りもあるので簡単紹介します.、プロセス評価は進捗が予定通り実施されているかというものです.計画を書いてもそれが実行されていなければ意味がないので、計画どおりに手順が進んでいるかを把握し評価するものです。インパクト評価は、実際に政策に改善効果があったかどうかを検証するものです。医療においては、このインパクト評価の体系がEvidence based medicineという形でいろいろな領域で用いられるようになっていっています。最後が、実際に改善効果があったとしても、それが実現可能な費用の中で実施できるかどうかという、費用対効果を検討することが重要になります。
 ただ、この3つの評価が実施される前提として、その政策が正しい目的に添って計画されているかという理論評価が重要になってきます。本日は、この評価枠組みについて、セオリー評価を中心に簡単に概要をお話しさせていただきます。
 このセオリーは単純に分類すると4つ、実際に資源を投入して活動を行う。活動を行ってその結果が出る。その結果どういった成果が生まれていく、この4つのプロセスになります。
 例えば、再就職支援プログラムで言えば、人、金、時間が限られた中で再就職支援プログラムを実施して、結果としてはプログラムを何人修了しましたといったところになります。日本の施策は、この結果で止まってしまっているところが多く見られますが、実際に重要なのは、その結果、就職率がどれくらい上がったかとか、あるいはその目標が長期的に実現しようとしている所得水準が向上したかどうかということです。この結果と成果を区別して考えることが評価枠組みの中でも重要な要素です。
 こういった形でわざわざ評価枠組みをつくる、指標をいきなり定めずに、その手前で評価枠組みをつくることにどういう意義があるのかについて確認させていただきますと、1つは、今お話ししましたように、最初の枠組みがぶれてしまうと、その後のプロセスであったりインパクトであったりコスト・パフォーマンス自体が的外れになってしまうので、この確認が必要であるということです。
 もう一つは、政策関係者、いわゆる実施している人たちだけではなくて、患者・市民あるいはがん対策推進協議会で言えば、さまざまなステークホルダーに対して客観的に進捗と成果を示すという上でも重要になります。
 また、計画の修正・発展、やはりこの枠組みがしっかりしていないと失敗したときに改善に向けた手がかりを得ることができません.実際はある一部分が失敗しただけで、その他はうまくいっていたかもしれないですし、あるいは成功していたとしても部分的に失敗があるかもしれません。そういったところで、あの人が悪いあるいはあれは全部だめだったというような、すべてを崩す議論にならないように、計画の修正・発展を考える上でも、こういった枠組みを共有するということが重要になります。
 また、多くの場合は、その業務は人に依存してしまうので、人が配置転換したり、あるいは辞めて別の組織に行ってしまったりすると、またゼロベースから議論が始まってしまうので、ロジックモデルの形式で客観的な枠組みを共有することで業務引継といったこともスムーズにできるという利点があります。
 次に本日は3点、評価枠組みを考える場合の重要な要素についてお話しさせていただきます。
 1つ目は、アウトカム志向でその結果が設計されているか、活動が設計されているかというものです。今回挙げる課題はすべて改善されたものなのですが、かつてガイドラインはガイドラインをつくるところで止まっていました。ただ、患者・市民に対する価値の実現を考えた場合には、そのガイドラインが何を実現するかを考えることが必要になります。つまり、ガイドラインがつくられただけではなくて、それが現場の中で使われて遵守されているかどうか、あるいはガイドラインを守った医療を行うことによって、その領域の治療成績が向上しているかどうか。その治療成績の向上といったものは、今後どういった課題を抱えているか、ガイドラインの次の改善にはどういうポイントがあるのか。そういったことを体系的に把握することによって、より有用なものになります。したがって、ただ、つくるということだけではなく、成果を意識しながら活動を行っていくことが重要な要素になります。
 もう一つは、個別アウトカムは最終的なアウトカムにつながるか。今いろいろな施策ががん対策でも進められているのですが、個々の課題がひょっとしたら、がん対策が標榜する死亡率の削減であったり、QOLの向上につながらないかもしれません。これは実際に心臓外科領域で行われた取り組みですが、臨床現場における労働負荷が非常に高くなってきて、その一方で治療成績も改善しなければいけないという問題意識がありました。多くの領域ではとにかく人をつけようということで、医師を増加させればいいのではないかという政策がとられがちなのですが、実際に、心臓外科で客観的なデータに基づいて検証したところ、ある程度質の高い手術を行う上では一定の経験が必要であることが明らかにされました。つまり、いたずらに医師を増やしても低質な医療がさまざまな人によって提供されてしまうので、ただ人を増やすということは、この領域では得策ではないのではないかと。つまり、心臓外科の専門性を要さない業務を他職種が行うといった分業を推進していくことであり、あるいは少数の心臓外科医でも良質な手術が実施可能な体制を構築していくこと、これが重要なのではないかと考えられました。
 したがって、最終目標を実現する上で個々の目標、どうしても個別の計画でとじていってしまうと忘れがちになってしまうのですが、常に最終的なところにつながり得るのかということを、特に人あるいは箱物をつける場合には意識することが重要になると考えられます。
 3番目は、がんで実際にあった例なのですが、アウトカムの構成は適切かということも重要になります。つまり、目的に掲げられていないと活動自体が生まれないことになります。1期のがん計画では、未成年者の喫煙率0%というのが、たばこ対策の目標として掲げられていたのですが、実際は未成年喫煙率以外にも成人喫煙率の低下であったり、新規喫煙者の減少といったことがあって初めて全体の喫煙率が低下して、がんの予防につながっていくということがあります。今回の2期のがん計画ではこの点は修正されていますが、こういった形で目標として認識されていないものに関しては向かうこともできないので、アウトカムの構成というものを適切な構成とすることが重要な観点になります。
 このように政策の枠組み評価で注意すべきポイントというのが幾つかあり、全体と個別目標がつながっているか、あるいは目標を達成するために別のステップを設定する必要があるか。あるいは全体の目標を達成するためにほかの目標があるか。個別目標を分解し、別に細分化した目標設定が必要か、こういうような検討が必要になってきます。
 ただ一方、これを研究班ですべて行うというよりは、既に大阪府の実例ですが、さまざまな取り組みがさまざまな方々によって行われており、大阪府の例では、国では掲げられていないような枠組みを設計したり、非喫煙者に焦点を当てたりとか、あるいは喫煙をまだ考えていない人にどうアプローチしていくのかといった取り組みがあります。こういった形でさまざまな実践的な取り組みをされている方、あるいは患者・市民の方々から広く意見を募りながら、政策の枠組みを考えていくというのが今回の研究班の初年度の一つの課題であると考えております。
 今は既に予防、早期発見だけでなくて、専門医療従業者の育成等さまざまな施策が取り組まれていますが、個々の目標を全体目標に位置づけながら評価枠組みを検討していくことが我々の課題であると考えております。
 ここまでが枠組みに関しての御説明です。
 最後に、指標について簡単に概観させていただきたいと思います。
 枠組みが適切に設計された後に初めて指標を立てるということに意義が生まれてきます。ただ、この指標についても幾つか検討すべきポイントがあります。目標は、あるべき姿を常に念頭に置いて検討すべきであると。
 実際に、ただ検診をやればいいということではなくて、改善につながらない検診も中にはございますので、こういったあるべき姿の中で指標を考えていくことも重要ですし、その指標達成のために現場が努力することが実際に改善につながるかということも重要になります。
 その指標を実際に活用して、現場が有効な活動を設計することが可能かどうかということも重要になります。つまり、指標をやたらめったらつくっても、活動の軸が定まらずに全く有益なものになりませんし、あるいはその指標を集めるところで現場が力尽きて、考えるというところで力が使えないということもございます。今回、この研究班では既にある調査、医療施設調査、患者調査あるいはまだ活用されていないDPCの調査、こういった活用可能な調査を迅速にフィードバック、各領域の改善の活動に使えるようにノウハウを共有しながら提供していくことも重要な要素であると考えております。
 最後に、これも非常に重要な要素なのですが、指標設定が困難な領域を放置しないということもあります。特に、これまでなかなか測定が難しいということでQOLの領域に関してははかられてこなかったわけですが、このように早期に指標をつくることが難しい領域もあります。専門家の人々あるいは患者さんと協力しながら、どんなに頑張ったとしても、短期で設計することは困難であるという領域であっても、それを放置せずに、現時点で指標を設定できなかった理由を明確にしたり、あるいは今後、指標を設定するために必要なステップをどうすればいいかということを考えたり、あるいは、どんなに頑張っても直接はかれないのであれば代理指標を設定したり、附帯情報を活用することによって、その領域の改善につなげていくということも重要になってきます。
 18ページの上は、ブラックボックス放置による失敗例なのですが、例えば、いい医師、良質な医療を提供する医師の育成が目的で、それは例えば、ガイドラインに基づいた治療を提供できるとか、あるいは患者さんを尊重したコミュニケーションを行うことができる、あるいはリスク調整死亡率といったアウトカムがより良好な医師を育成するというものがあるのですが、これらそれぞれ測定が困難です。
 例えば、机がきれいな人がいい医師であるという意見があるとして、では、机をきれいにするという指標だけを設定してしまうと、机をただひたすらきれいにする人だけになってしまって、現場の改善につながらないということがあります。これは非常に極端な例ですが、ブラックボックスを適切に把握しながら、そして、現状の指標を立てていくというようなバランスが極めて重要なものになります。
 今年度の研究班の活動ですが、特に今まで測定されてこなかったQOL領域に関して、拠点病院との連携をベースにしながら、どういった視点で患者さんの価値を実現できるかを考えるたたき台をつくることを目標にして活動を行っていきたいと考えております。
 最後に、今年度の研究の進め方について、もう一度整理させていただきたいのですが、3点ございます。
 1点は、がん対策を評価する枠組みを多角的視点から検証するということです。これは今後、がん対策推進協議会などで指標を選定していただいたり、方向性を考えていただくといったものに先駆けて、その前提となる評価の目的、あり方の枠組みを提示して、目的志向を持った効果的な評価のための基盤を提示することを行いたいと考えております。
 2点目、3点目が先ほどの指標の各論部分なのですが、全体を俯瞰するとともに、この枠組みを決める前である程度有効だと考えられた2点、既存資料の活用案の提示、費用対効果を考慮して新規のデータ収集を必要最小限とするために、既存のデータの利活用を都道府県の担当者が行うことができるような枠組みを検討したいと思っています。
 3番目は、QOL関連の評価枠組み。これは最後にお話しさせていただいたものですが、患者さんの視点からアクセス、診断、治療、そしてフォローアップといった流れを支援するために、その機能について拠点病院の現状、そして、今後どういったことができるのか、その可能性を検討してきたいと考えております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 評価の考え方を中心に基本的な考え方を御説明いただき、最終的には今回我々がやっていることに対しての進め方ということで3つのことをおっしゃっていただいたということですが、皆さんから御質問をお願いしたいと思います。
 川越委員どうぞ。
○川越委員 宮田先生、本当にクリアーなプレゼンテーションをしていただいて、ありがとうございます。ふだん私がこういう班会議、研究会、協議会に出たりとかいろいろな場で感じているもやもやを非常にクリアーに吹き払っていただいたような感じがして、こういう方向で進んでいったら本当にありがたいなと思いました。
1つやはり一番大事なのは、アウトプットで終わっていてアウトカムに至っていないということが余りにもいろいろなところで多いのではないかと感じたことを申し上げておきたいと思います。それは感想というかお願いになってしまうのですけれども、最後におっしゃられたQOL関連の評価枠組みの検討ということは、ある意味で本丸に乗り込んだような感じがいたしております。これは一番難しい評価ではないかと思いますけれども、患者視点に立ったら一番大事な評価ということになっていると思いますので、ぜひ力を入れてやっていただきたいなと、これはお願いでございます。
 それから、QOL評価というのは、まさに緩和医療のあり方と強く関連するわけでございますけれども、2002年のWHOの緩和ケアの定義の中で、まさに最終的には患者・家族のQOLを向上させるアプローチであると言っております。その中で、では何を通してかというと、全人的な取り組みを通してQOLを改善するということがうたわれています。さらにその前段階の話で、それは命を脅かす状況に遭遇した患者とその家族に対して、という言葉が出ているわけです。つまり、このQOL評価というものは命が脅かされたときの状況ということに関して、そのときに私はいつも考えていただきたいなと思っていることは、まだ助かる可能性があって全人的な取り組みをする場合と、助かる見込みが全くなくなったところでの全人的な取り組みの評価やQOL評価というのは、やはり分けて考えなければいけない。根本は同じなのですが、ウエートが全然違ってくるという点を考えていただきたいと常々思っております。
 私は今、緩和医療といいますか、ホスピスケアにかかわる医者として、こういう協議会に出ていていますが、がんの予防、治療という日の当たるところだけではなくて、患者・家族が一番困ってる、さまよっている日の当たらない部分があると感じています。まさに本当にQOLが求められているところに十分日が届いていないということがありますので、ぜひその点をこの研究班の中で盛り込んでいただきたいなと、これもまたお願いでございますけれども、よろしくお願いいたします。
○宮田参考人 コメントありがとうございます。今いただいた視点を重視しながら、さまざまな方々に意見を伺う中で落ちる視点がないようにして、しっかり枠組みをつくって、こちらの協議会に提案したいと思っております。
○門田会長 江口委員どうぞ。
○江口委員 7ページのセオリー評価のところで、○○人修了と言う数値はアウトプット(結果)であり、その先のアウトカム(成果)が重要なのですね。この協議会でいろいろな進捗状況の報告書がたくさん出てきますが、アウトプット(結果)の文言で終わっていることが非常に多かったと私は思います。アウトカム(成果)を明記する必要があります。
 19ページのQOL関連の枠組みのところで、私が気になったのは拠点病院中心の流れです。「拠点病院を中心とした現状と可能性」と記載されていますが、むしろ地域連携とか面の部分の流れが大事だと思います。データを取るというと、すぐに拠点病院に目が行くかもしれませんけれども、実際には患者さんの流れというのは拠点病院だけではなくて、地域の中でどういうふうに患者さんが動いていくかということが非常に大事だと思います。患者さんの動きを面としてとらえる場合の評価を先生はどのように考えられているかをお聞きしたいと思います。
○宮田参考人 御指摘ありがとうございます。まさに、おっしゃっていただいた点は、非常にQOL評価において重要な点だと考えております。つまり、一番重要なのは地域の中で患者さんががんになって治療を受けた後、その地域に帰っていくという、病院の外側も含めたいわゆるペイシェントジャーニーと呼ばれたりもする,ライフタイムケアであるとは思いますが、こういった観点を踏まえて状況をとらえるのが我々も最も重要なことだと考えています。
 実際は、拠点病院は拠点病院のみをよくするだけではなくて、本来地域の中のネットワークを構成し,地域全体としてのケアの質をより高めていくというミッションも持ったものです.従って御指摘観点を含めて,地域の中で拠点病院がどういった役割を果たせるかというところも含めて考えていきたいと思います.もう一つは、地域という流れを最終的には把握するにしても、その過程で例えば、治療にかかって病院での患者さんの体験について把握し、さらにその病院の中でも例えば相談支援を受けたり、緩和治療を受けたりとか、いろいろそれぞれのユニットでの経験があるので、様々ないろいろなフェーズをしっかり意識しながら、まずは拠点病院における体験から把握していきたいと思います.今回は御指摘のとおりデータの取りやすさというところもある面は否めないのですが、ただ、今までそこが全く埋まっていない部分でしたので,調査を基軸にしながら拠点病院の中での個別の治療や拠点病院に来るまで、いわゆる外側の地域での治療というものを考えていたきたと考えております。従って今回の検討は,そういった地域の中でのケアを考えるための第一ステップだと考えていただければと思います。
○門田会長 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 貴重な御発表をいただきまして、ありがとうございました。私からの質問は2点ございます。
 1点はQOLのところで、患者満足度等ということで示されていたかと思います。患者満足度ということで患者さんにアンケートをとること自体は現状でも可能かと思いますが、実際に指標として活用するとなると非常に難しい問題もあるかと思いますけれども、1点目の質問は、内外でそういった患者満足度調査等を指標として活用されている例があれば御教示いただければと思います。
 もう一点が、こういった患者満足度調査が仮に指標として活用できた場合、それが実際に医療の向上につながる可能性について、もし御示唆や知見などがありましたら、御教示いただければと思います。
○宮田参考人 おっしゃるとおり、患者満足度というものは極めて難しい指標です。例えば、アメリカのナーシングホームの評価では、指標として患者満足度は使われているのですが、この場合はそれが唯一絶対のものではなくて、例えば、亡くなられる直前に満足だと言ったとしても、そこで感染症対策がしっかりできていないとか、褥創管理がしっかりされていないというような満足とは別に、医療として提供されるべきプロセスが成立しないと、そこでのナーシングホームの医療はいいものとは言えないということがあります.従って客観的情報を混ぜながら主観的な情報の限界というものを見ていく、そういう形で指標として使われているという例があります。従って今年度いきなり患者満足度を指標にするのは、日本では限界が強いので慎重な協議が必要だと思いますが、客観的な附帯情報を交えながら検討していくことが必要になるとかと思います。
○門田会長 松月委員どうぞ。
○松月委員 私たち看護の領域では、なかなか数字化できないものがたくさんあり、いつも悩まされますが、患者さんの満足度または患者調査を指標として活用するということに関して、代理指標、附帯情報という考え方でここに踏み込んでいただくことに、私は大きく期待したいと思います。
満足度のような質的な情報というのは、客観的なものではなく主観的なものなので、なかなか指標として活用しにくいという議論が昔からあります。
しかし、医学領域以外では、指標として活用している領域もあります。是非、そうした事例を参考にしていただき、初段階では確実な情報ではなく代理指標ぐらいの精度であっても、今後、それを精査しながら活用していけるところまで踏み込んで、今回ご尽力いただいている研究の中で、是非、形にしていただきたいと思っております。その成果を大いに期待しております。
 ただ、患者さんは自分の意見を言うことになかなか慣れている方が少ないです。例えば、相談支援センターへの相談でも敷居が高過ぎて、なかなか自分が思っていることが表現できないという実態があります。このような背景を念頭に置き、表面に出てきた言葉だけをとらえるのではなく、その状況も合わせたような指標を検討していただけるとありがたいなと思っております。
期待しておりますので、是非、頑張っていただきたいと思います。
○宮田参考人 御指摘ありがとうございます。先ほどの点にも関連することなのですが、やはり難しいとはいえ、今現状では各病院で患者さんがどういった体験をされているのかを体系的に共有していないので、それを指標にするかどうかは別として、患者さんの病院での体験を病院にフィードバックして、そこからまず考えていただくということが重要になると思います。その中で、いい医療というのはどういうものなのかを考えながら、その先のステップを見ていけるように、その連携も踏まえた形で評価を位置づけることができればと考えております。
○門田会長 田村委員どうぞ。
○田村委員 少し今までの議論と話が異なるのですけれども、最終的には同じことになるのですが、既存の資料の活用を提示しながら枠組みの検討をするというお話で、その中で「費用対効果を考慮しつつ」という文言があります。なかなか難しい費用対効果の設定について、私は薬物療法を専門にやっている学会の代表という立場から、御存じのように最近の薬剤は分子標的薬が中心になって、極めて高価です。一方で、それほどすばらしいドラマティックな効果がないものも結構あって、すなわち、従来の治療法に対して少し上乗せ効果がある程度で広く使われるようになってきています。それはそれでいいのですけれども、かなり費用と効果のバランスの問題を議論しなければいけない、我々が持っている財源を枯渇させないようにしないといけない。最終的には患者さんに対していいQOLで長生きしていただきたいということはあるのですけれども、どこかである程度評価して、ここまではいいよ、これ以上はちょっと難しいよというような基準みたいなものをつくっていかれる予定なのかどうか。かなり難しい話なのですけれども、この班でどこまでやられるかをお聞きしたいと思います。
○宮田参考人 コメントありがとうございます。今回スライドで書かせていただいた費用対効果は、御指摘いただいた個別の中での費用対効果に踏み込む前の段階の、新たに指標のための調査をひたすらやると現場も疲弊してしまって、新たな財源ということもあるので、既に行われている調査・データを活用しながら、どれくらい現状を見ることができるのかを今年度考えています。ただ、御指摘いただいたように、例えば、個別のがん研究においての費用対効果も極めて重要な要素で、これを例えば、極めて短いスパンの費用対効果だけで考えてしまうと、可能性をつみ取るだけ狭義の極めてプロダクティブではない仕分けになってしまうものになる可能性があります.特にこういった研究開発あるいはイノベーションの部分に関しては、投資的な側面も踏まえながら効果を考えることが重要になってくるので、短期の成果だけではなくて、中長期をにらんだ上でプロジェクト単位だけでなく分野単位というな投資的観点が私は重要になるかなと思います。ただ、今年度はそこまでは踏み込まないと思います。
○門田会長 中沢委員どうぞ。
○中沢委員 御説明ありがとうございました。今、都道府県では、がん対策推進計画を改定するとともに医療計画も改定しているところですが、医療計画の中で、特にがんの医療体制の構築につきまして、医政局の方から43の指標が示されています。それに基づきまして、各都道府県が数値を入れ込むという作業をしているところでございます。それを見ますと、例えば、アウトカム指標に関しては2つしかございません。今回の御発表の中で、「既存のデータの活用」に関しては、確かに都道府県が調査を別途やるとなると、かなり多額の予算を要するということもあります。そうした意味での費用対効果の考慮は、非常に重要な視点だと思いますが、QOL関連の評価に関して今、医政局の通知の中では全く記載がないわけでございます。これに関して、評価の枠組みについては、ぜひ各都道府県や拠点病院が評価しやすい方向での検討をお願いいたします。評価の仕方が余り複雑になりますと、各都道府県で取り組むのがなかなか難しいと思いますので、なるべく各都道府県レベルで評価ができるような視点をぜひ盛り込んだ形で、QOL関連の評価に関してのフォーマットを示していただきたいということを要望させていただきます。よろしくお願いします。
○宮田参考人 ありがとうございます。全くおっしゃるとおりで、私どもも特に研究者がやると研究のための調査になって、項目がたくさんたくさんになってしまうのですが、実際に現場の方々の拠点病院で調査をやるにせよ、通常の業務の中で無理なく、そして、それが活用できるようにという形で調査対象、いわゆるデータを収集する現場との話し合いを深めながら枠組みを検討したいと思っております。
○門田会長 続きまして、堀田委員どうぞ。
○堀田委員 私は臨床医で、化学療法などの治療法の開発とか新薬開発など介入的な研究しておりますが、有効性や有用性で成果があるかどうかというのを最終的なエンドポイントを生存率などに持ってきて評価するのですが、そういう場合にできるだけ交絡因子を減らしてクリアーにしておいて、どれだけのアウトプットが得られるかを見ていくのが通常のやり方になります。、一方で総合的ながん対策となると、いろいろな面からアプローチしなければいけなくて、したがって、指標もたくさんになってしまうと。さっき指標項目が四十幾つとおっしゃっていたけれども、できるだけ交絡要因を減らしていって単純化していくということが可能なのかどうかというあたりは、いかがでしょうか。
○宮田参考人 これは、それぞれ改善に取り組む現場との話し合いが重要になると思います。我々も17ページの上のスライドにあるように、外科領域と連携しながら3,400病院と連携して、今おっしゃっていただいた交絡要因も考慮してリスク調整を行った、例えば、死亡率や合併症発生率といったものを指標にしたベンチマーキング改善に取り組んでいます。例えば、ある領域でアウトカムとよばれるものは30ぐらいあるのですけれども、これをいきなり全部改善するとなると、現場も把握するだけで混乱してしまうので、今日日本の現状を考える上でどこをターゲットにすべきか、あるいは現場が頑張って取り組めば改善可能なのかといった幾つかの観点を考慮しながら、ターゲットを絞っていただきながら取り組みにつなげていくということが重要になるかなと考えております。
○門田会長 上田委員どうぞ。
○上田委員 非常にチャレンジングでQOLに対して取り組んでいただくのは非常に素晴らしいと思いますが、満足度に関して一言お聞きしたいと思います。このQOLの満足度以前に、日本の医療に対する満足度が、我々医療担当者、従事者としては、欧米と比べて比較的いいという観点で治療しているにもかかわらず患者さんの満足度は非常に低いということが問題になっていると思います。先ほど交絡条件とか堀田委員もおっしゃっていたけれども、そういうことの前提なくしてQOLの満足度に入っていって、本当にデータが出るのかどうかという点が第1点。
 それから、QOLを前回の会長のお話の中にあったように、それは医学・医療の一環である、がん医療の一環であるという、その一直線上のものであると。先ほどの川越委員のそこはもう少し個別的なものも必要だという意見は私もわかります。しかしながら、それががんになった人に対する治療の一環であるという流れの中でとらえているかどうかという問題、それから、死生観の問題、そういうことがある程度明確にされないというか、そういう点に関しての哲学なり、そういう観念を整理しないで、ここへ入っていってデータが出るかどうかということをちょっと懸念するのですけれども、その辺に対する切り口はどのように考えていらっしゃるかを教えていただきたいと思います。
○宮田参考人 御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。特に、満足度というものは期待値が違うと。これは既にいろいろな報告でも出ているのですが、期待値を操作するというのも可能であると言われています。悪く言っておいて普通の結果を出すのと、よく言っておいて普通の結果を出すのと満足度は変わってしまうので、極めて短いスパンの中でも操作を受ける可能性もあります。そういった意味で、この主観的な満足度のみを指標として使ってしまった場合には限界がありますし、あるいは日本の中でも地域差があり、例えば、病院ごとの機能、拠点病院あるいは大きな病院だと、やはり重症の患者さんを治療する使命が出てくるので、どうしてもそこに同じ満足度を実現するのは難しいかもしれません。そういった形で、最初のフェーズで満足度を横並びにして、それを公開するというのは今の段階で研究班としては難しいと考えております。
 ただ、一方で、何も知らなくていいのかというとそうでもないわけで、患者・市民の方々との対話の中で、一体彼らがどういうことを体験しているか。最後の満足だけではなくて、例えば、病院であれば病院に来てから治療を途中で受けて、最後に退院される、あるいはそこで亡くなられる方もいらっしゃると思いますが、その体験というものを研究班としての最初のフェーズで共有していきたいと考えております。
○門田会長 花井委員どうぞ。
○花井委員 患者視点が非常に重要であるということを最初に掲げていただいての指標の考え方というのは、我々患者関係委員にとっても患者全体にとっても非常にありがたいことなのですけれども、先ほどからQOLの話題が出ておりますが、先ほど宮田参考人もおっしゃったように体験を共有するというお言葉がありました。例えば、がん患者というのは非常に多層的な苦悩を抱えていまして、そのQOLも悩みも時間の経過とともに刻々と変化していくということがございます。その意味では、がんの疑いがあるとされてから治療、そして、治療後に至るまでそういうことが変化するという視点に立って、このQOLの指標づくりを考えていただければなと思っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 西山委員どうぞ。
○西山委員 今後の指標の立て方について不明確な点があって、先生の御意見をぜひともお聞きしたいのですが、評価指標を立てる上で解析手法が確立できていないものについては、(再現性を担保して公開していくことが)かなり難しいということですか。今まではほとんどそうしたものを対象としたディスカッションだと思うのですけれども。
 それから、もう一点、これからのいろいろな評価指標を見極める上で解析手法の確立していない参考資料としてのみ用いる指標と数値として絶対的に見られる指標とを分けて考えていく方向をとるべきですか。
○宮田参考人 我々研究班の考え方としては、やはり客観的な評価、ベンチマーク、そして公開に耐える指標というのは先生のおっしゃるとおりごく限られております。ただ、そこだけに注目を当てると極めて虫食いの状況になって、全体を考える上でもいびつになり得ると思います。
○西山委員 それをお聞きしたかったので。要するに、2つのタイプの指標を考えていくべきだというサジェスチョンですか。
○宮田参考人 そうですね。
○門田会長 ありがとうございました。我々にとっては指標をどうするかというのは、第1期のときからずっと課題になって、なかなか進んできませんでした。ただ、皆さんの関心は非常に高いということで、今次々と御質問あるいは御意見をいただいたと思います。そういうふうに我々がいろいろな対策を講じている割には、そこのところがもう一つ見えない、アウトプットまでは出てくるけれども実質はどうなっているんだという疑問からずっと脱却できていないということで、今お話を伺って、方向性としては見えるのですが、しかし、まだまだ患者さんの心理状態を含めて難しいものもあろうかなと。皆さんからいろいろな注文がたくさん出たのですけれども、我々が欲しいものはそれ1つですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それと、我々は年度年度ずっと追いかけられてきています。この指標の件については非常に追いかけられて、次の5年のうちに前半である指標を決めて、そして、中間期にはそれで評価し、5年以内にその次のステップをと追いかけられるところまで来ているのも事実なんです。無理な上に無理な注文なのですが、今の段階でパーフェクトというのはあり得ないだろうと思っていますので、ぜひ年度内に出していただいて、次のときにはまた次のものを加えていただいてもいいと思うのですが、ぜひよろしくお願いたいと思います。注文ばかりで済みません、よろしくお願いします。
 では、この件については一旦ここでとめさせていただいて、次に相談支援に移っていきたいと思います。それでは、まず最初に事務局から説明をお願いします。
○事務局(秋月) それでは、資料6「相談支援・情報提供に関する前回協議会での意見」ということですが、最初に参考資料6を見ていただきたいと思います。
 これは前回のがん対策推進協議会のときに、高山委員からがん相談支援センターの現状と今後の充実に向けてということで御発表いただいたのですが、リマインドということでそのときの発表内容を概要としてまとめていただいたものです。
 中身としては、相談支援センターは主に院内の施設利用者の患者に対応しておりまして、院外対応というのはまだまだ発展途上にあるとか、あるいは2つ目にございますように、地域内で調整だとか役割分担で地域全体で充実可能な機能でもあるのではないかと。それから、相談支援センターの労働負荷の話であるとか、あるいは診療加算がついているとインセンティブが働くんだけれども、補助金だけだとなかなか厳しいところもございますというような御説明がございました。
 こういった発表を踏まえて資料6で、前回御意見としていただいたのですが、まとめますと、まだ相談支援センターが周知されていないのではないかと。それから、相談しやすい環境を整備していくことが重要ではないかという御意見をいただきました。これを踏まえて会長とも相談しまして、今回、佐賀県立病院好生館の方からグッドプラクティスということで御紹介いただいてはどうかということでお願いをした次第です。
 事務局からは以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、佐賀県立病院好生館の大石さんに御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大石参考人 地方独立行政法人佐賀県立病院好生館、医療相談を担当しております大石と申します。よろしくお願いします。資料7をご覧ください。
 グッドプラクティスと申しましても、特別な取り組みではないと思います。どちらの拠点病院でもできることかと思いますが、まず、佐賀県の現状からお話をいたします。
 隣県に生活圏域が食い込んだ形になっておりまして、医療も流れやすい状況にあるということ。そして、拠点病院はわずか4カ所のみということになっております。
 2ページです。当館の相談支援センターの概要ですが、病院の概要としてですが453床で、一日平均の外来患者数は10月現在700人です。平均在院日数は13.3日となっております。
 相談支援センターは、館長が相談支援センター長で、連携係が7名、医療相談係が7名、そのうち社会福祉士が5名ということで対応しております。
 平成19年度に初めて配置されたのですが、それから漸増したという結果になっております。
 役割としては右上に述べているとおりです。
 当館の相談支援センターの5年間の実績です。こちらは平成19年度からだんだん相談件数は上がってきたのですが、好生館は総合病院でして、緩和ケア病棟、救命救急もあるような医療機関です。その中で全体相談の中のがん相談というのも実績はどんどん積んでいるという状況です。
 右下の表ですが、がん相談が上に掲げております数字のとおり、約4倍に伸びております。全体の医療相談件数ですが、平成22~23年度に関しましては、若干減った状態であるにもかかわらず、がん相談のほうは順調に伸びております。
 相談支援センターの5年間の実績を3ページ上にまとめてみました。先ほど花井委員が苦悩が地層のように重なってとおっしゃったとおりなのですが、がん相談の内容としては医療に対する不満も含めまして、このようになっております。ただ、地域特性を大変反映しておりますのが、転退院支援、在宅支援というのが医療費が心配であるという相談よりも多くなっているというところです。これは在宅の資源ですとか、化学療法から緩和の移行期に向けて拠点を離れるときに起こる相談の性質というのが現れているかと思います。
 このような現状の中、取り組みの第1番目、成功例ですけれども、相談支援センターは館長が相談支援センター長です。そして、がん診療の体系は下に図式化しているとおりですが、ここで仕掛けをつくりました。相談支援センターの医療相談係が社会福祉士が多いという現状から、化学療法は正直なところ私たちは苦手でございました。ですから、反対に化学療法委員会の事務局を引き受けることによって、いろいろなレジメンの関係等を読もうということになりました。それをすることで化学療法委員会に出席している先生方とも密に連携を取るという仕組みを仕掛けとしてつくりました。
 また、化学療法から緩和ケアへの移行期には、非常にニーズの中にも現れているように相談の内容が種々ございまして、この移行期のかかわり、それから、緩和ケアの渦中にあるときの心の苦悩を引き受けていくような相談支援センターづくりということでは、こういった体制づくりが功を奏したのではないかと思います。これは相談支援センターだけが取り組んだのではなくて、好生館全体の仕組みとして相談支援センターに対しての仕掛けをつくっていただいたと理解しております。
 4ページにまとめをしております。館長直属の部署であるということ。館長ミーティングのときに、相談支援センターの改善に関しても直接プレゼンできました。まず大きいところとしては、相談支援センターの場所ですが、目立たない引っ込んだ場所にあったのですが、これは平成22年度に場所を移して広げていただいたということで、目立つ場所に大きく相談支援センターの看板を掲げさせていただいて、館内に来られる患者さん方あるいは御家族様にも周知できるようにいたしました。
 また、化学療法委員会が相談支援センターというところなのですが、先ほど述べましたとおり不足しがちな化学療法の知識が得られて、化学療法実施前、実施中の患者さんの現状を委員会全員に直接報告できるという仕組みをつくりました。ですから、ニーズをいかに館内に広げるかという役割も担っております。
 それから、館内の横断的な活動の中で生まれる相談支援ということで、緩和ケアチームとして多職種の活動の中で受ける患者や家族からの相談が増えました。これは社会福祉士がどうしてもチームの中に必要だというのをドクターのほうから訴えてくださって、チームに加わることが可能となったわけです。
 次に、ツールの活用です。このような資料を平成20年度につくりました。エレベーターでは人は手持ちぶたさですので、館内のエレベーターで目にとまる場所に全階に張る、全棟に張るというような仕組みをつくりました。また、これは年度内に地域の医療機関や行政、公民館すべてに配付したのですが、年度内だけにとどまるのではなくて、毎年度繰り返し配付しております。そうすると、市あたりが協力して、ほかの相談でおいでになったにしても、がん相談がありますとこちらに患者さんの対応をという依頼が行政を通して来るという仕組みにもつながったということになります。
 また、5ページは地方のテレビ局なのですが、テレビの出演でのPRということも行いました。これは平成20年度に行ったのですが、県民からの相談に対して健康増進課がテレビ局からの依頼を受けられたということだったのですが、それでしたら、相談支援センターの実際の相談員の顔も覚えていただこうということで、相談員が出演して、がん患者必携について知りたいという問い合わせに対して回答するというような番組でした。
 また、前年度は当館の理事長の発案で、また同じテレビ局の番組で健康に関する各拠点病院以外の先生方も、ほぼドクター方が参加してお話をされる番組があるのですが、その中でがん相談というようなところも含めて相談支援センターをPRしてみないかという話もあり、それが実現しました。
 今回お話しした一番大きいところが?です。これは地域多職種集合の場面での周知ということで、緩和ケア症例検討会を取り上げてみました。まず、緩和ケア病棟に就任された先生から地域のことがよくわからないという一言があったこと、それから、これは実際に起こった困った相談の内容ですが、拠点病院で化学療法を受けておられる患者さんにもかかわらず、たまたまケアマネジャー方がかかわっておられる御家族で、腫瘍熱が出たとしても地域のクリニックの先生にそれを投げてしまっていて、拠点病院にその情報が入らない、全く拠点の役割を果たしていないという対応が重なって起こったということがありました。
 こういう現状をきちんと統制をつけて、ほかの職種、医療には関係ない福祉の分野も兼ね合わせたところでのがんの対策で症例検討会が活用できるのではないかということで、平成21年度から開始しております。最初は35名程度の集まりの中から始まったものが、多いときでは課題によりましては150名の地域からの多職種の参加がございます。職種としましては、下に書いておりますような医師から歯科衛生士、介護福祉士などの多職種が参加するという場面になっております。
 この中で左側の写真ですが、左側で白衣を着ておりますのが緩和ケア病棟部長の小杉先生です。それから、右の写真で、こちらを向いて中央に写っているのが化学療法の嬉野先生、立って質問をしているのは血液内科の松石先生というふうに、先生方もひざを交えての場面に乗ってくださったということです。これは最初にはいろいろな御意見がありました。そういった場面に医師が出ることで、反対に不安や不信感をぶつけられるのではないかということだったのですが、それは全くございませんでした。やはり、ひざとひざを突き合わせての場面ということで、こんなに近しい存在が先生方だったのかというような好評の場になっております。
 そして、ケアマネジャーですとか、医療分野に余りなじみがない方々に医療の基本、がんの相談の基本だったり、知識の基本をここで学んでもらうという場面にも活用できております。
 6ページもその続きなのですが、有床診療所といったところも交えての連絡会も相談支援センターが担いました。これは先ほど述べましたように、地域資源がとても少ないという中で、ある資源は全面的に使っていかないと今後はもっと大変な状態になる、それは宮田先生のお話にも先ほどありましたように、団塊の世代が実際に介護を要する時代が到来したときに、地域の資源が足りるのかということです。これは前回の推進協議会の資料を見せていただきましたが、門田先生から出された氷山の一角の水面下に沈んだ部分の話にもありましたところです。そちらは、やはり医療と介護の両面が歩み寄って体制を整えていかないと、がん患者さんを難民にしてしまうのだということも見越しての長期的な計画の中から生まれたものです。
 そしてまた、こういう対応をするのであればということで、好生館の中での人員的な中長期的な取り組みを5名に増員するということを打ち出してくださいましたので、これが並行してなされることで地域への周知が進んできたと考えられます。
 ?ですが、好生館では化学療法患者会というものを立ち上げて3年目になります。これは2カ月に1回のペースでやっているところなのですが、先ほどエレベーターや各病棟に相談支援センターのチラシを張るということもやってきたところですが、同じように化学療法患者会というものも、こういう催しの案内を張るようにしております。左側がその案内のチラシですけれども、これは張るだけではなくて化学療法に対応する先生方、真ん中の写真にあるのが、がん診療部長の消化器外科の佐藤先生ですが、ポケットの中に小さいサイズをつくっておいて、必要だなと思われる患者さんには、そこで手渡してどうですかというようなことを話しかけてくださって、相談支援センターの周知をしてくださっています。
 一番右側の写真は、その患者会の一例ですが、これは実際に入院している化学療法中の患者さん、それから、その御家族だったり、外部の方もおいでになります。人数は少人数の方がやりやすいということから、少ないメンバーから開始して7名程度だったときもあります。ですが、先生方がずっとそこにとどまっておられるというのではなくて、空いた時間に15分程度おいでいただくだけでも、先生が私たちのことを心配してくださったという意識から、相談支援センターが核となって、そのつなぎをとったというところでも相談支援センターに次のステップへの相談が増えてきたきっかけとなっております。この中での相談はやはり就労問題、解雇になってしまうですとか、デスエデュケーションの役割を担っていたりというようなことにも活用できております。
 7ページは??のまとめですが、在宅療養の不安、拠点から実際の医療が離れるときの不安というのは、放り出された感というのが非常に大きかったのですが、これは症例検討会で多職種に周知することよって、私たちでは限られた人員ですので伝えられないことを繰り返し繰り返し対応できるケアマネジャーらが、その役割を担っていくというような仕組みにもつながりました。
 それから、化学療法開始前、開始中の療養、医療費、就労の不安も少しずつですが、地道に解消できているところです。
 周知に至った要因は、相談支援センターの私たち相談員だけが働いたわけではなくて、やはりキーパーソンとなる、ここに写真を載せておりますが、理事長、館長、それから、がんにかかわる各部長、事務部長が、こちらから持ち上げたプレゼンに対して、それを受け止め周知に協力してくださった取り組みがあったからこそできたのだと思っております。
 このように私どもはある程度の周知ができてきたのですが、院内では先生方が異動されて代わってしまうということなので、反対に院内にも働きかけを続けていくことは必要なことかと思っております。
 また、相談支援センターの相談員としての課題ということで、8ページの表にまとめております。まずは、教育・研修というのはとても重要です。私たちが根拠を持って対応することでの基礎研修というのは重要です。?、?、?は、補助金の活用もなされておりますし、院内でのバックアップ体制も取りやすい状況を国がつくってくださっていると私は解釈しております。
 次に必要なのは、地域の牽引者をつくることです。これは相談を受けるだけではなくて、外部に対してのアプローチをかける地域のネットワークをつくる、そういう仕掛けをつくる人物が各地域、拠点病院に必要ではないかと思われますが、これに対するPRや公報の仕方、それから、地域のニーズに即した企画・立案研修という一括したものをやるのが望ましいと考えます。これは、国立がん研究センターの高山先生のほうでも研究会をつくられたり、いろいろな仕掛けをどういうふうにするかというのを発表者をつくってプレゼンするというずはらしい場面を設けておられるのですが、それに対しては実際、補助金の活用がなされにくい、すなわち受講しにくい体制となっておりまして、集まったメンバーから話を聞いてみますと、自費で来ましたという方も相談員の中には非常に多くなっておりました。でも、とても必要な研修だと私は理解しております。
 それから、今日私がお話をさせていただいたのは、佐賀の地域特性の中でのニーズに合わせたお話だったのですが、ニーズに合わせた研修というのは各地域で必要かと思われます。拠点病院で開催して、その中に訪問診療、訪問看護、居宅介護支援事業所ですとか、医療・福祉が統合した医療・福祉ミックスの研修を、やはり拠点病院のできれば相談支援センターが核となってやっていけば、反対に相談支援センターの周知と周りに支援者が増えると思われます。
 つたない発表でしたが、私の話は以上です。ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。すばらしい取り組みの御報告をいただきました。
 御質問・御意見ございますか。花井委員どうぞ。
○花井委員 どうもありがとうございました。大石参考人は、どこにでもあるような取り組みと謙遜なさいましたけれども、決してそうではなくて、非常に先駆的なお取り組みであり、先ほどの宮田参考人のお話にあったような、患者の視点に立った成果を目指してやってこられたのだなと感嘆して伺っておりました。
 幾つかお尋ねしたいことがあるのですが、まず、資料の2ページ目、相談支援センター15名、地域医療連携係7名などと、非常に相談支援センターの人員配置が手厚いなという印象を受けますけれども、この方々の専従と兼務の割合を教えていただきたいということ。
 それから、3ページ目、参考人から患者さん心の苦悩を受け止めるような相談支援センターでありたいというお言葉があったと思ったのですけれども、上の方のグラフでいきますと、例えば、患者さんが抱えている悩みや問題の中でも非常に大きいと思われる再発の不安や、がんのことが頭から離れないとか、がんになって人間関係がこのように変わったとか、医師とコミュニケーションがうまくいかないというメンタルな面での御相談という項目がここでは見られないように思いますけれども、これはどこかに含まれているのでしょうか。含まれているとしたら、その割合がわかれば教えていただきたいと思います。まずは2つです。よろしくお願いします。
○大石参考人 花井先生、御質問ありがとうございます。まず、1つ目の御質問ですが、2ページ目の相談支援センターの内訳ですけれども、この15名の中で1人は館長、それから、地域医療連携係7名としておりますが、看護師3名は医療の分野にかかわるがん相談でしたら、こちらのほうに連携して相談をとるという体制なのですが、実質がん相談を中心的に受けておりますのは、医療相談係のソーシャルワーカー3名になります。これは正規雇用が現在3名、それから、期間雇用が1名、非常勤が1名という5名体制になっております。そのうちがん相談にかかわりますのは、正規雇用の2名と期間雇用の1名ということになります。
 2つ目の御質問ですが、実は統計を取っておりますのが3種別ありまして、ほかのをとりつければそれもわかりやすかったかと思いますが、大変申し訳ございません。今言われた苦悩等の心の非常に深い部分、痛みの4分類に関しますところでも活用が大きいところなのですが、これについては「診断内容について」というところ、「緩和ケアについて」というところ、それから、心の苦悩は医療費が心配であるというところにも含まれますので、各ところに苦悩は分散されて表れております。それで、苦悩だけでまとめるとしたら、8割方が苦悩です。皆さん方、がんの相談の中で苦悩を持たない相談というのはないに等しいのではないでしょうか。例えば、転院先が見つからない、そういうことだけでも私は放り出されるの、病院が見つからなかったら私はどうすればいいのということから、落ち込み、疲弊しというようなことにつながります。
 答えになりましたでしょうか。
○花井委員 ありがとうございます。こういったがん相談の分類の中にはメンタルという項目がよく見受けられるものですから、お尋ねをいたしました。どうもありがとうございました。
○門田会長 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 貴重な御発表をありがとうございます。私からは2点質問がございます。
 1点目ですが、館長というか病院長というトップが相談支援センターの責任者になられたということで非常に多くのよい点があったという御指摘があったかと思いますが、一般拠点病院ですと、例えば、看護職員の方ですと看護師の方のローテーション等があって、なかなか相談支援センターに定着はしなくて、高山先生の御発表にもありましたが、いつまでたっても基礎研修の受講者が減らないと。なかなか定着がしがたいといった現実がある中で、例えば、御発表の中で社会福祉士の一部定数化とか、看護職の方に関しても人員上の配置について、トップの方が動かれたことでよかったという点がもしあれば、そのあたりの詳細について御教示いただければと思います。
 2点目が、拠点病院の相談支援センターは補助金に頼っている部分が非常に多いと。患者サポート充実体制加算が今年から一部入って、一部診療報酬でも手当が出るようになりましたが、基本的に補助金に頼っている部分が多いということで、補助金の活用部分で、もし補助金のこういった部分が変われば、より相談支援センターとして助かるといった面があれば教えていただければと思います。
○大石参考人 御質問ありがとうございます。
 まず、1点目の定数化にかかるところで非常に大きいかかわりがありました。実は、私も平成19年度は、がん相談員として非常勤・嘱託の立場での採用でございました。それまで社会福祉士は好生館はゼロでございまして、がん対策基本法が制定されてから初めて「ねばならない」ということで、ソーシャルワーカー、社会福祉士が入ったわけです。ですが、初年度から私が先を見据えてやったことは、受けた相談について分類し、可視化していこうという取り組みを最初からやりました。それに対して上席である相談支援センター長に持ち上げてということを毎年度繰り返しておりましたところ、これでは相談の件数に対して人員が足らないだろうというお声かけをいただきました。それで、うってつけのプレゼンの場面がやってきたのですが、これは時間的にも足らないので勤務時間体制も延ばしてほしいということを訴えました。そうしましたところ私の立場も変わりましたし、また、相談支援センターの人員も増やしましょうということになりました。そうすると、返ってきた言葉は、やはり結果は出すのかということだったので、結果は出しますということで、それは実際にニーズがこれだけあるのですから、相談支援センターは幾らでも仕掛けの方法を持っていますと。その仕掛けさえつかんでいただければ、その波に乗っかってというか、いろいろなところと連携してやれますということを言いました。
 1つ、センター長と申しますのが、心臓血管外科の医師でございまして、がんとは離れた存在でした。そこに対してのプレゼンも相乗効果をうたいました。がんの専門病院と総合病院では仕掛けの仕方は異なると思います。その中で、ほかの相談を受けていますと、例えば、透析の患者さんだったり、心外の患者さんからは本当によくある話なのですが、家族ががんで自分のほうが介護をしているので自分は入院はできませんと。いろいろな混乱が起こりつつある中、それを放置して自分が透析なんてできないでしょうということを言われますので、それは心配しないでくださいと。私たちは家族様も包括的に支援をしますということで、実際にアウトリーチをかけながら相談体制をつくったというのが1つでございます。
 また、後のほうで御質問いただいた、これもとてもありがたい御質問なのですが、この場でぜひともと思いますのが、最後の8ページのまとめで少しお話をしましたけれども、基礎研修?、?、?というのは、がんの予算の枠の中で旅費等が支給されるという仕組みになっています。ですけれども、ここで均てん化を図るという、中央一括というのはできる限りできているのですが、2番目、3番目というのは、その位置づけではないと言われるところが多いので、やはり勉強したい、本当に向上心のある者は自腹を切ってでも行くというようなやり方になっています。ぜひともこのあたりをこの枠の中に含んでいただいて、その牽引者をつくるというのがなければ、やはり人が入れかわるのはどうしても免れないところであって、例えば、嘱託であったりという位置づけの中での対応の変化というときには、この基礎研修は絶対的でしょう。ですが、その牽引者という役割をつくるのであれば、こういったところもぜひとも組み込んでいただければと切に願います。
○天野会長代理 ありがとうございます。拠点病院の機能強化事業費の中で相談支援センターが支えられているという面があると思うので、実際の細部のところについてぜひ御検討いただければというのが1つ。そもそも拠点病院の機能強化事業費の交付要綱の件について、今年度の初めのほうで相談件数に応じた配分がというようなお話があったかと思いますが、それについて相談支援センターの維持がなかなか難しいのではないかといった御指摘をさせていただいて、厚生労働省で御検討いただき、それを一部変えていただいたという経緯があったかと思いますので、その補助金のあり方について予算確保をぜひ引き続きお願いできればと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 では、石井委員どうぞ。
○石井委員 相談支援センターが非常に多くの取り組みをしていて感激したのですけれども、3ページにあるようないろいろな相談があるわけですよね。相談内容に対して支援するわけですけれども、どこまで踏み込んでいくのかということを聞きたいと思います。例えば、医療費が心配であると言った場合に、いろいろなサポート体制を紹介するだけなのか、それとも実際にそことの間を取り持つような仲介みたいなことまでやっていくのかということです。だから、どこまで踏み込むか。余り踏み込み過ぎると、逆にその後にいろいろなクレーム等が出る可能性も一応あるのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
○大石参考人 これは、実は一律ではございません。なぜかと申しますと、その相談者の相談内容についてアセスメントをしますときに、その方のストレングスをはかります。持っている力ですね。それでこの人は提案だけで自分で動けるというところに行き着きましたときには、それで終わるのですが、例えば、同行支援がなければ難しいのではないだろうかというとき、家族で済む場合、家族もいない独居、身よりなし、家族疎遠の場合には、行政と連携して、それを取りつけてみたりということはします。そのときには必ず行政に相談内容を出しますがということをお断りしてやっていくのですが、このような根拠で画一化は図っていないところです。
○門田会長 松本委員どうぞ。申し訳ないのですが、もう終わる時間に近くなってきましたので、皆さん、できるだけ簡潔にお願いいたします。
○松本委員 では、できるだけ簡潔に2点お尋ねいたします。
 1つは、メディアを使った周知をなさっています。これに係る費用は先ほどの補助金をお使いになったのかどうかということが1つ。
 もう一点は、館長を初めとして院内全体のマインドの浸透が非常に図られていると思います。ですから、治療医の方から相談支援センターに行ってみたらとポケットから紙が出るというのは、本当にマインドの浸透以外にないと思います。これが図れた特別な理由がありましたら教えてください。特別な理由ではなくて、どこの拠点病院でもできるだろうと思われる仕掛けがもしあったのであれば、それを教えてください。
○大石参考人 まず、1つ目の御質問から。メディアに対する訴えかけですが、これは特別な予算は使っていないです。もともとあった番組なんですね。そこに乗っかるための提案を県が、こういうことがあるよ、顔を見せてということを働きかけてくださったので、例えば、冷蔵庫をイメージしていただいたら、あり合わせのもので何かを取りつけるというやり方しかできないと考えるよりも、あり合わせのものでこんなにできるじゃないかという考え方にしたほうがうまくいったということです。
 あと、館長がいろいろな提案をするというのではなくて、むしろがん診療部長あたりが、がんに対しての仕掛けを相談支援センターが一生懸命つくっているのだから、自分たちができることは何なんだということを反対に問いかけてくださったということです。ここでまた強く申し上げたいのは、やはり権限者、影響力のある方々、そういう方々が投げかけをしてくださったことで実現したということ、それと、私たちは相談支援センターの立場でわかっていただくための働き方をやはり足でやっていったというところです。同じ研修を受けていても、どうしても足がかりが見つからないというのではなくて、これ1つは持ち帰ろうという気持ちであれば、仕掛けは幾らでもつくれると私は思います。モチベーションをいかに上げる研修を受講するかということに関しましては、中央で行われております高山先生方がなさっておられます研修は、私はいつもモチベーションを上げて帰らせていただいておりますし、今回はこの仕掛けを持って帰ろうというふうに考えました。
 以上です。
○門田会長 堀田委員どうぞ。
○堀田委員 とてもすばらしい取り組みで感激いたしました。すべての拠点病院がこのようになれば何も問題はないのですが、現実はそうではないというところをどうするかという話だと思います。確かにリーダーシップとかそういう問題は非常に重要だと思いますし、そういったものがどこでもできるような仕掛けをつくっていかないといけないと感じました。
 1つは、私ども国立がん研究センターは、この11月26日に都道府県拠点病院の情報提供・相談支援部会というのを発足させまして、それで情報共有して今のようなお話を好事例として広げていくとか、拠点病院の相談支援センターの共通の問題や解決法検討して参りたいと思います。そして拠点病院の中でも都道府県拠点がやるべき内容と、拠点病院がやるべき内容というのは私は違うのではないかと思います。そういう意味で、都道府県はもっとリーダーシップを発揮して、相談支援に関しても地域をまとめていくということをやっていく必要があるだろうと思います。そうしないと、拠点病院は点でしか動いていないということになります。
 1つだけ質問したいのは、相談ニーズがこの間にすごく伸びていますけれども、院外からの相談というのはどのくらい伸びていますか。
○大石参考人 院内からの相談もかなり伸びています。これは先生方からの相談という形でも参りますし、看護師長からの相談というのも参ります。それで足がかりをつけたところで、患者さんの御家族からの相談ということにもなりますが、これは済みません、数字がはっきりと表れていないのですが、外からの相談よりも若干割合的には高いと思います。6対4ぐらいの比率になりはしないかというところです。大体外からの相談が4割方と思っていただいたらいいでしょうか。
 今のお話の中でですが、やはり私たちにも限界がありまして、全相談件数は平成23年度は減ってまいりました。やはり私たちも持つべき時間はすべて使ってということなのですが、これを来年度も次の年度もと続けていくのは非常に疲弊につながるところです。やはりどうぞ仕組みづくりをということでお願いしたいということと、やはりおっしゃってくださったとおり、都道府県の拠点の相談支援センターがもっと牽引していただくべきだと感じております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、前川委員どうぞ。
○前川委員 感想を1点と質問を1点、それと私が提出資料を出しているのですけれども、少し発言させていただいてよろしいですか。3分ぐらいですか。わかりました、では手短に。
 まず、感想は、各階のエレベーターの壁にいろいろなチラシを貼ってあるというのは、本当だったらどこでもできること。でも、していないところが多いというのを感じて、すばらしいなと思いました。
 それから、質問は、館長直属の部署だということなんですけれども、平成19年のがん対策基本法ができてから館長が直属になられたのか、どなたの発案で館長に直属になられたのかをお尋ねします。
○大石参考人 これは大変答えにくいところなのですが、もともとの相談支援センター長は館長でした。ところが、中間でこれがかわったんです。そうしましたら、やはりホウレンソウ(報告・連絡・相談)が全体のこととしてうまく通じない。やはり上に持ち上げるよ、それから更に館長に持ち上げるよというステップが必要になって、若干足並みが押さえられたというところがありました。それで、理事長の発案で、館長が直属の相談支援センター長になるべきだというようなお声かけをいただいて、また元に戻ったというのが実情です。
○前川委員 すばらしい理事長さんですね。
 では、私が提出している資料を3分間で説明させていただきます。
 平成22年に3人の患者委員で相談支援センターの訪問調査を行ったのですけれども、数が多かったので今回は、環境設備などについて私が相談に行ったと仮定した感じで1人で行いました。
 目的は、どのような体制で相談事業が行われているか、初めて行ったとして看板がわかるか、看板があるかどうかということを見ました。6病院ですけれども、北海道から九州までの広範囲で行っております。地域の差があるかどうかを体感してみたいなと思いました。あとは、家に帰って病院のホームページをネットで検索して、がん患者と家族が相談支援センターにアクセスできるかどうか、しやすいかどうかという4点を調べました。
 このきっかけは、院内がん患者サロンに来られる方で、がん相談支援センターを知らないという方がとても多いんですね。すぐそこにあるよと言っても、ああ、そうなんですか、何を相談すればいいのですかという声をよく聞きましたので、こういう調査と提案をいたします。
 まず、九州のA病院ですけれども、玄関に入るとすぐに地図がありまして、看板も大きく書いてありました。これは非常にわかりやすかったです。
 ホームページからのアクセスですけれども、トップページから地域医療連携室をクリックして、がん相談支援センターが出てきてクリックすると右下の図が出てきます。これはわかりやすかったです。
 B病院は、がん相談支援室とあります。言い忘れたらいけないので先に言いますけれども、がん相談支援センターとか、がん相談支援室、がん相談支援科とか、病院によっていろいろな呼び方があります。なので、これは統一すべきなのかどうなのか、ちょっと疑問に思いました。
 この病院は、とても大きい病院なのですけれども、建物が古いせいか、ぐるぐる回ってやっと行ったところが目立たない場所にあると書いてありますけれども、これは検尿と採血室がありまして、そこのドアを入ってやっと右側に相談支援室がありました。でも、その中はとても充実していたんですね。患者相談室があって、県内の患者サロンのチラシすべてが置いてありました。だから、資源がもったいないという感じがいたしました。
 ホームページからのアクセスは、これも意外と簡単に相談支援室までいきました。下の図のような感じで出ています。
 次に、北海道のC病院ですけれども、ここはまだ新しくてきれいな病院でした。ホームページからのアクセスも簡単でした。ここは「がん相談支援センター」と書いてあったり、「がん相談支援科」と書いてあったり、院内の中でも両方の名称が使われておりました。
 ここの驚いたことは、先ほど好生館の館長さんがトップだとおっしゃいましたが、こちらも副院長がトップで、非常にやりやすい、相談を受けやすくて、説明もしやすいと。院内での相談がすぐトップに行くから簡単ですということと、すべての医師がセカンドオピニオンの申し出を快諾するのは当然のことだとおっしゃいました。そんなことあるんですとか聞きましたら、そんなことないことが信じられないということをおっしゃっておりました。
 四国のD病院ですけれども、こちらはホームページからアクセスが、トップページから地域連携室に行って、専門外来の御案内に行って、がん相談支援室とちょっと長くて、なれていない者にとってはわかりにくいかなと思います。そして、正面玄関には表示もなかったです。廊下には人通りの少ないところに、ちょっとパンフレットが置いてあったという感じです。
 E病院も四国ですけれども、表示はすぐ見えるところにありました。そして、だれが相談してもよいと書いてあります。ここで御説明しますが、電話相談のみのところと、実際に面談を予約してでないとできないところと、がん相談支援センターにもいろいろな種類があるということが今回わかりました。
 セカンドオピニオンについての図式化もきちんとされておりました。相談室も広々としておりました。
 ホームページからのアクセスは、ちょっと複雑でしたけれども、たどり着いたらわかりやすい地図が出ておりました。こちらの病院もやはり、がん相談支援室は院長直属だそうです。看護師さんの説明では、以前はあっちにぶつかり、こっちにぶつかり、こう言えばだめだったということがあったのですけれども、院長直属になってからは本当にやりやすくなりましたというようなお答えがありました。
 F病院は中国です。玄関に全く表示がありません。受付に医療相談窓口という小さな表示があります。そして、がん相談支援センターは2階の奥のほうに部屋があって、相談室というのはありません。外からの見学者が来た場合は、ここは通さないで地下のエレベーターから直行で上がるので、ここは見えないようになっております。
 考察は時間がないので、後で帰られてから読んでください。
 提案なのですけれども、全国のがん診療拠点病院の相談支援センターにおいて、名称、質、相談方法などが違うので、ある程度の統一を提案したいと思います。その上で、各病院の独自性があってもいいと思います。
 次に、がん対策推進基本計画を策定した国と都道府県は、がん相談支援センターなど拠点病院のがん対策が実際にどのように行われ、どこに問題点があるかなどをチェックする機能を有することが必要ではないかと感じました。
 先ほども申しましたけれども、直属の上司が院長もしくは副院長であればいいのではないかと感じております。
 地域に開かれたがん拠点病院になるためには、相談支援センターなどと協力して市民との交流の場を持ち、患者・市民の目線に立って声を聞くシステムの構築をというのが、今回の6病院を見学した結果の提案です。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。時間が少なくてごめんなさい。
 大石参考人、何かコメントございますか。
○大石参考人 ありがとうございました。
○門田会長 中川委員どうぞ。
○中川委員 前川委員のすばらしい調査、この中で繰り返し言われている病院長などがセンター長を兼ねると、これは何回も出てきているのですが、もう一つ、大石参考人の資料の3ページの下、グッドプラクティス?は、拠点病院のあり方にかかわると思いますが、今回成功している理由の一つが、相談支援センターあるいは緩和ケア、がん登録、キャンサーボード、化学療法を串刺しにしている点なんです。これは、相談支援センターから見ればプラスですし、それぞれのセクションから見て非常にプラスになると思います。とりわけ緩和ケアとの連携が非常に重要で、この辺は非常に参考になる、今後のあり方に非常にプラスになるのではないかという気がします。
○門田会長 ありがとうございました。
 眞島委員どうぞ。
○眞島委員 実は、今年8月に三重県のがん診療連携拠点病院を訪問する機会があったのですけれども、前川委員がおっしゃったことがまさに現実でした。新しい病院ですと本当にすばらしいがん相談支援センターという名前のついたものが入り口のすぐそばにあって、これは間違いなく皆さんわかるだろうなと思います。ただ、中にはどこに相談支援センターがあるかわからなくて、職員に聞いても、がん相談支援センターという言葉すらなかなか認識されていないような病院もありました。また、場所もそういうところになりますと、入口のそばではなく、例えば2階の非常にわかりづらいようなところにあって、入口には標識も何もないということもあります。我々はこの協議会でいつも「がん相談支援センター」と言っていますけれども、現状はというとそういう名前すら使われていないがん診療連携拠点病院もあるように見受けられますので、何らかの統一が必要なのではないかと感じました。
 以上です。
○門田会長 おっしゃるとおりですね、ありがとうございました。
 そのほかどなたか御発言ございますか。松本委員どうぞ。
○松本委員 言うまでもないことかもしれませんけれども、今年度中に立ち上がるという、がん診療提供体制のあり方に関する検討会の中で、当然今出たようなことは検討に入ってくると理解してよろしいでしょうか。
○事務局(秋月) もちろんです。
○門田会長 川越委員、お願いします。
○川越委員 質問はまず、患者さんあるいは家族の方は、この相談支援センターの中に入っているかどうか教えてください。
 それから、この間の高山先生のときもそうだったのですけれども、治療中の患者さんあるいは家族の方は相談に来ないと。ところが、退院するとか、転院しなければいけないというときの数が非常に多いという同じような結果が出たので、非常に興味深く拝見しておりました。そもそも相談支援センターの形というのは非常に整ってきた、もちろん今、前川委員がおっしゃったように、ちょっとでこぼこはありますけれども、多分そのうち整うと思いますが、そもそも患者さんの視点に立って、患者さんや家族の一番聞きたいことに答えているのかということ、これは答えてくれとは申し上げませんけれども、そのことを念頭に相談支援センターのことは考えていただきたいなということを思っております。
 以上です。
○大石参考人 それは今後の課題としてはとても大きいところだと思います。まず、後におっしゃった患者の一番聞きたいことに答えているのかということに対しては、相談員としての回答には限界はあるものです。ですが、そこでやめてしまうのではなくて、どうしたら回答が導き出せるのか、あるいは相談に来た御本人がその回答に気づくのかという投げかけをすることがとても重要でして、私たちが仕掛けたいのは、例えば、どういうふうにしたらそれが引き出せるよというのは、診療の中で先生にどのような質問を投げたら返ってくるのかということでしたり、いろいろなことを提案して、それが引き出せるような取り組みをしています。それに対しては、やはり何の根拠を持って私たちがそれを投げかけるのかということも、やはり教育の視点だと思っております。
 あと、先におっしゃった患者会やほかの方との相談支援センターの連携につきましては、ここに一覧で出しておりませんが、さきに述べました緩和ケア症例検討会の中に、遺族でしたり、乳がんの患者会などをお招きして、その取り組みだったり、胸の内だったり、遺族になるまでの心の葛藤について本を出された方もありまして、それは症例検討会で発表されて、ちょっと背中を押したところ、遺族としての本を書かれたということもありますので、私たちの取り組みの中で少しはお手伝いができているかと思います。
○門田会長 よろしゅうございますか。前川委員どうぞ。
○前川委員 ちょっと言い足りないというか、私たちの会でがん患者サロンを週2回開いているのですけれども、そこに来られる方で、病院の相談支援センターには話したくない、相談したくないとおっしゃることが多々あります。それは病院の中で主治医に伝わるのではないかとか、病院は病院で自分たちを守るのではないかという気持ちがあるらしくて、同じAさんでも、院内のがん患者サロンでは本音を言われて、医療的なことは相談支援センターにすぐつなぐのですが、そこに来られたときの顔が全く別人なんです。そういう事実があることを、ここでお伝えしたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、上田委員どうぞ。
○上田委員 大石さんの地域現場での取り組みのお話はすばらしく感服いたしました。私は特に医療相談に関しては地域完結型でないといけないと思っております。特に最後のページの次の教育施設などで、こういうふうにして頑張って地域でやっていくと。今、佐賀県では拠点病院はもう4つあるのですか。要は、今のネットワークで自分のところだけでやっていくと、物理的に飽和状態になることはわかっているわけです。そうすると、佐賀県であれば、どの程度でどのように今度の仕組みづくりを考えているときに、現場からどういうものがあればいいというプロポーザルがあれば、ぜひしていただきたいと思います。やはりこういうものこそは国がんでやれば済むというものではないのですよ、地域でやらないとだめなものですから、地域性ということでコメントだけいただきたいと思います。
○大石参考人 今後の取り組みとして今まさにやっているところですが、1つは、まだ国立がん研究センターの指導者研修という枠の中でその課題を投げていただいているのですが、拠点病院だけでは収まり切れないし、県内あるいは広く言うと県外までということでの取り組みがあります。それとして、まずは、拠点病院同士が顔の見える関係づくりをやって、やはり一体化した相談支援をやるというのが、先ほど御質問いただいた中にもありましたように、ここでは話せないということで、実は違った拠点病院で治療中の患者さんがこちらに来るということはよくあることです。そういう場合に、守秘義務を必ず約束することによって対応しますが、やはり実際にそちらに拠点病院があるときには、そことの信頼関係をつくるのも私たちの役割です。ですから、もとの拠点病院の相談支援センターに対する提案と、信頼が置ける場所であるということはもちろん申し上げますし、先ほどのサロンのほうからの御質問は身につまされて感じるところなのですが、実際にあります。そういうときは、ここにもお話ししにくいことでしたら、サロンもあるんですよという御紹介もさせていただいておりますし、佐賀県にあります乳がん患者の会「あじさい」は、たしか患者のパネル委員にもなっておられると思いますが、よく話をやりとりしながら拠点病院の相談支援センターとの連携、そして御意見もくださる方もいらっしゃるので、がんサロンの御意見も相談支援センターで伺いながら、一緒に対応するということもございます。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。まだいろいろと御意見あるかと思いますが、また今日も25分ほど超過してしまいました。本日の評価指標と相談支援は、本当にすばらしいプレゼンを聞かせていただいて、実りの多い協議会になった気がいたします。この件につきましては事務局でまとめてもらいますので、多分、皆さん方まだ言えなかったこともあるかと思いますので、もし何かございましたら、事務局まで申し出ていただきたいと思います。
○天野会長代理 済みません、1点だけ最後によろしいですか。前回の協議会でも質問させていただいた点で確認させていただきたいことがございます。基本計画の医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取り組みのところで、未承認薬や適応外薬を医療現場で使いやすくするための方策について従前からの議論を継続するという部分があって、従前からの議論を継続する場について、厚生労働省で基本計画に伴って検討会を設置していただいていると思うのですが、その検討の場の設置もしくは来年度の施策等でそういったものがあれば、ぜひ進捗状況を教えていただければというのが1点。
 もう一点、それに関連してですが、7月31日付でいわゆる3局長通知、先進医療と高度医療の一元化に関する通知が出ている中で、そういった適応外薬をより使いやすくするための臨床試験について、特に国立がん研究センターや、それに伴う適応外薬試験の推進が求められていると思うのですけれども、今日、堀田先生がいらっしゃっているので、その適応外薬の推進に向けた取り組みについて、何かお考えがあればお聞かせいただければということでよろしくお願いいたします。
○事務局(秋月) まず、前回御質問で、未承認や適応外薬を医療現場でより使いやすくするための施策ということなのですけれども、議論をする場というのは、まだ具体的には動き出していません。ただ、それ以外にもできることというのはございますので、それは来年度の概算要求に幾つか盛り込んでおります。
 1つ健康局では、難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究経費というものがございまして、これは研究費ということになるのですが、これも医療イノベーションの5カ年戦略を踏まえて、難治性のがんであるとか、小児がんを含む希少がんなどを中心に、適用拡大も含めて医師主導治験を推進していくこととしています。
 それから、また別に医薬食品局になりますけれども、医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬について、患者のアクセスを充実するための、これはパイロット事業にはなるのですが、そういったものも概算要求に盛り込んでいます。
 それと、先進医療についてですけれども、これも基本計画にもできるだけ迅速に活用するための取り組みを進めるというのは記載されているわけですが、それも医政局で先進医療の評価あるいは確認の手続の簡素化を図るためということで、一定の要件を満たす医療機関が、医療上必要性の高い抗がん剤に関する先進医療を実施する場合の安全性あるいは有効性について、外部機関によって評価体制を整備していくということで、できるだけ手続を簡素化していくというような予算を盛り込んでおりますので、まだ概算要求の段階ではありますけれども、来年度以降、そういった取り組みも進めていきたいと考えています。
○天野会長代理 ぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
○堀田委員 今、がん研究センターの立場はどうかというお話でしたけれども、私としても今までの法体系の中でできることを念頭に置いて、例えば、55年通知をもっと弾力的に運用するとか、あるいは適応外の臨床試験を保険との併用でできる仕組み、そういったものをやっていかないと解決は無理だということを厚生労働省にはお伝えしているし、そういう流れの中に今少しずつ来ていると思っています。
○門田会長 よろしいですか。
 それでは、本日はこれで終わりたいと思いますが、事務局から何か連絡事項はございますか。
○岡田がん対策推進官 ありがとうございました。先ほど会長からもお話がございましたように、評価指標また相談支援について追加の御意見等がございましたら、事務局まで御連絡いただくようお願いいたします。
 また、次回の協議会につきましては、皆様方の日程を調整させていただきまして御連絡を申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。次回は一応、予定では1月ですよね。正月明けということで大分間が空きますが、できるだけ早目に予定をとっていただきたいと思います。
 では、以上で本日の会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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