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2013年1月15日 第25回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 議事録

医政局

○日時

平成25年1月15日(火)17:00~19:00


○場所

厚生労働省(18階)専用第22会議室


○出席者

永井委員長、位田委員、高坂委員、斎藤委員、佐藤(雄)委員、佐藤(陽)委員、澤委員、直江委員、中畑委員、西川委員、早川委員、本田委員、町野委員、松山委員、武藤委員、森尾委員
佐原課長、荒木室長、中谷課長補佐、原専門官

○議題

1)見直し案について
2)その他

○議事

○原専門官(医政局研究開発振興課再生医療研究推進室) それでは、定刻となりましたので、第25回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を開会いたします。先生方には、お忙しい中お集まりくださり、ありがとうございます。
 本日は、佐多徹太郎委員、鹿野真弓委員、須田年生委員、伊藤たてお委員より御欠席の御連絡をいただいております。なお、澤委員より少々遅れる旨の御連絡をいただいております。20名の委員のうち16名の委員に御出席いただいており、本会議は成立しておりますことを申し上げます。頭撮りはここまでとさせていただきます。ここからは座長の永井委員長に司会をお願いいたします。
○永井委員長 それでは、最初に、本日の資料の説明を事務局からお願いいたします。
○原専門官 お手元にお配りしました資料を御覧ください。まず議事次第、座席表、委員名簿・参考人名簿があり、続けて資料となります。資料1として「前回までの専門委員会における主な意見」、資料2として「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針改正イメージ案(新旧対照表)」、資料3として「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針改正まとめ」です。
 参考資料1~17を紙ファイルで配布しております。参考資料については、委員会終了後、机上に置いたままで、お持ち帰りにならないようお願いいたします。以上でございます。過不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、本日の議事を始めさせていただきます。最初に、見直し案につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○原専門官 それでは、お手元の資料1を御覧ください。前回までの本専門委員会における主な意見をまとめております。ここでは特に、昨年12月19日の前回の委員会で出されました御意見について御説明させていただきます。
 同資料1の11ページを御覧ください。1「倫理審査委員会について」に関しまして、改正案で記載しておりました倫理審査委員会の委員が「恒常的に適切な教育又は研修を受ける」ことは、倫理審査委員会の業務とはいえないのではないか、という御意見がありました。
 2「インフォームド・コンセント(IC)、連結可能匿名化について」は、既存のES細胞が品質や安全性に関する条件を満たして使用可能である場合には、その取扱いを指針に明記するのがよいのではないか。過去のヒト幹細胞等で、研究目的で採取したものを臨床に使用する場合には、再度ICを取り直すことが原則であり、例外としては、あくまでも過去に連結不可能匿名化で採取したヒト幹細胞等であって、提供者に遡れない場合に例外規定を設けるのがよいのではないか。提供者に対するICで設けられた細則(1)から(3)は、全て既存の幹細胞等の問題であり、既存の幹細胞等の取扱いであることを断った上で明示するべきではないか。過去の試料を取り扱う際の限定方法として、例えば「この指針が発表された日よりも前に採取されたヒト幹細胞等に関しては」などと記載してはどうか。当初の研究とは別の目的で幹細胞等を使用する場合には、改めてICを取り直すことを原則として、遵守したほうがよいのではないか。連結不可能匿名化された幹細胞を使用できるかどうかの問題については、第5章の部分に使用可能な幹細胞についての規定をおくべきではないか。ここに再同意がとれない場合であって、かつ非常に重要であると考えられる場合については、倫理審査委員会の判断になるのではないか。IC及び連結可能匿名化を原則とし、過去に採取された幹細胞等に限り、ICを取得する機会が得られない場合に例外を検討すべきではないか、という趣旨の御意見がありました。
 3「ドナースクリーニングについて」は、提供者の適格性を判断する項目の1つとしての「重篤な遺伝性疾患」については、口頭・問診のみによる確認であれば、その旨を明記したほうがよいのではないか、という御意見がありました。
 4「その他」につきましては、個人情報の保護に関連して、相手を探してはならない旨を被験者及び提供者に対する説明文書に明記することが重要ではないか、といった御意見がありました。資料1につきましては、以上です。
○永井委員長 いかがでしょうか。ただ今の御説明について、御質問をいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。もし御意見がございませんでしたら、資料2の御説明をお願いします。
○原専門官 それでは、次の資料2を御覧ください。資料1で提示させていただきました主な御意見を踏まえ、前回の委員会で用いました指針改正イメージ案に修正を加えましたので、本資料2で提示させていただきます。構成は前回と同様に、左側には指針改正イメージ案を、右側には現行指針を示しております。アンダーラインは、これまでの本専門委員会で委員の先生方よりいただきました御意見をもとに改正した部分です。今回は、アンダーラインの中でも、資料1の御意見をもとに修正した部分と、新たに改正案として記載した部分を中心に述べさせていただきます。
 初めに、11ページの第3「適用範囲」の1の部分を御覧ください。こちらは、第1章「総則」の本指針の適用範囲になります。この指針は、13ページの第4に規定する対象疾患等に規定するものであって、ヒト幹細胞等を、疾病の治療を目的として人の体内に移植若しくは投与する臨床研究又は臨床研究への使用の目的でヒト幹細胞等を調製・保管する研究を対象とすることといたしました。
 次に、33ページの(2)を御覧ください。こちらは、第2章「研究の体制等」の第1「研究の体制」における5「研究機関の長の責務等」に該当する部分になります。責務の1つに(2)で倫理審査委員会の設置を規定しているところです。研究機関の長は、倫理審査委員会の委員に対して、適切に教育及び研修を行わなければならないことを規定いたしました。
 これに関連して、42ページの(2)を御覧ください。こちらは、第2章1「研究の体制等」における8「倫理審査委員会」の部分になります。前回の資料では、「倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行うものとする」の?~?に続き、?として、倫理審査委員会の委員は、適切な教育又は研修を受けることとしておりましたが、先ほどの資料1にありました御意見を踏まえ、同部分を削除し、現行指針どおりといたしました。
 次に、44ページの、ヒト幹細胞等の提供等を規定しております第3章を御覧ください。2「インフォームド・コンセント」では、ヒト幹細胞若しくはヒト分化細胞の採取又はヒト受精胚の提供を受けるに当たって、原則として説明者は提供者のスクリーニングの実施前に、提供者又は代諾者となるべき者に対し、4に規定する説明事項について文書を用いて十分に説明し、理解を得た上で、文書によるインフォームド・コンセントを受けることといたします。ただし、研究開始前に採取したヒト幹細胞若しくはヒト分化細胞又は提供を受けたヒト受精胚を利用するヒト幹細胞臨床研究に限っては、インフォームド・コンセントを受けるための機会が得られない場合で、細則で規定する場合を除くことといたしました。
 ここでは、前回の御意見でありました既存の幹細胞等を臨床利用する場合には、再度インフォームド・コンセントを得ることを原則とした上で、どうしても再同意を得る機会が得られない場合に、以下の細則で規定した例外を適用することとしております。
 その細則として、臨床研究に関する倫理指針における人体から採取された試料等の利用の部分を参考とし、次の3つの要件のいずれかを満たしていること。また、倫理審査委員会の承認を得て研究機関の長の許可を受けていることを細則として設けています。
 具体的には(1)当該ヒト幹細胞等が匿名化、特に連結不可能匿名化されていること。(2)当該ヒト幹細胞等が(1)に該当しない場合、すなわち連結可能である場合においては、ヒト幹細胞等の提供時に当該臨床研究における利用が明示されていない研究についての同意のみが与えられている場合は、次に掲げる要件の全てを満たしていること。ア当該臨床研究の実施について、ヒト幹細胞等の利用目的を含む情報を公開していること。イその同意が当該臨床研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること。(3)として、当該ヒト幹細胞等が(1)又は(2)に該当しない場合において、すなわち連結可能であり過去の同意が当該臨床研究の目的と関連性に乏しいような場合においては、次に掲げる要件の全てを満たしていること。ア当該臨床研究の実施について、ヒト幹細胞等の利用目的を含む情報を公開していること。イ提供者又は代諾者が、それぞれ当該臨床研究でのヒト幹細胞等の提供者となることを拒否できるようにすること。ウ公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であること。以上が例外を規定した細則になります。
 次に、49ページの(2)を御覧ください。こちらは、第3章、ヒト幹細胞等の提供などにおける第2「採取又は提供段階における安全対策等」の1「提供者の選択基準及び適格性」になります。研究者等は、次に掲げるものについては、既往歴の確認を行うとともに、輸血又は移植医療を受けた経験の有無等から提供者としての適格性を判断しなければならないと規定されているところですが、同種のヒト幹細胞等を使用する場合を考慮して、?特定の遺伝性疾患と家族歴を追加いたしました。先の資料1での御意見を踏まえ、遺伝性疾患については問診のみによる確認であることを明記した形に修正しております。
 次に、59ページを御覧ください。こちらは、第5章「ヒト幹細胞等の移植又は投与」の第2「移植又は投与段階における安全対策等」の部分になります。1「ヒト幹細胞等に関する情報管理」の(2)として、前回の御意見を踏まえて、使用可能なヒト幹細胞について規定いたしました。記載として、提供者の保有個人情報は、被験者の医療上の安全性を確保するため、原則として連結可能匿名化とすることとしております。ただし書きとして、先のインフォームド・コンセントの規定と同様に、既存のヒト幹細胞等については細則で規定する場合を除くことといたしました。細則として、次に掲げる要件の全てを満たしていること。また、倫理審査委員会の承認を得て研究機関の長の許可を得ていること。(1)第4章「ヒト幹細胞等の調製段階における安全対策等」に掲げる品質管理の項目を満たしており、被験者等に被害が及ばないこと。(2)被験者の人命を保護する上で極めて重要かつ緊急性を有するものであって、難治性疾患の治療等、公共の福祉の追求の上で特に重要であること。この2つが、連結不可能匿名化の既存ヒト幹細胞等の使用が考慮できることを規定した細則です。
 以上、アンダーラインが付された改正点のうち、前回の御指摘を踏まえて修正した部分と、今回新たに改正案として記載した部分を中心に御説明させていただきました。資料2につきましては、以上です。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、資料2を御覧になりながら、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○原専門官 追加で今回新しく記載した部分が1か所漏れていましたので、追加で説明させていただきます。16ページを御覧ください。16ページの(3)の部分は、第1章の第6「基本原則」に当たる部分ですが、「研究者等及び倫理審査委員会の委員は、特に提供者に関する情報と被験者に関する情報が相互に伝わることのないよう、細心の注意を払わなければならない」という文章を追加いたしました。これは、前回の御意見を踏まえまして、個人情報保護に関連し、臓器移植のガイドラインから引用した文章となっております。以上、補足させていただきます。
○永井委員長 ありがとうございます。
○早川委員 49ページの(2)があります。ここで?特定の遺伝性疾患や家族歴、これが加わったので、これは診察、検査等に基づく診断が難しいだろうということで、これについては旧で規定しているのが適用困難ということで言葉が外されたわけですね。そう理解してよろしいですね。
○原専門官 はい。こちらは昨年9月7日付けの医薬食品局から出ているiPS、ES、そして体性幹細胞でも同種の場合に、その品質及び安全性の確保に関する指針より引用し、その場合には問診で特定の遺伝性疾患を確認することとしています。
○早川委員 併せて?から?も同様に、問診だけでいいということになったと理解してよろしいのですね。
○原専門官 はい。これも同指針より引用し、整理しました。
○早川委員 分かりました。
○位田委員 42ページでしたでしょうか、倫理審査委員の委員が恒常的に適切な教育又は研修を受けることは、倫理審査委員会の業務ではないのですが、倫理審査委員としては受けなければいけないということだと思うので、どこに書けばいいのでしょうかね。41ページの8の(1)の????とあるのですが、その次ぐらいにでも「倫理審査委員は、恒常的に適切な教育又は研修を受けること」と記載してもいいのではないかと思うのです。業務ではないので。
○原専門官 承知しました。業務以外の部分で適切に教育を受けることについては、追記したいと思います。
○町野委員 33ページの(2)倫理委員会のところで、研究機関の長が委員に対して適切に教育及び研修を行わなければならないと、これは適切ではないのではないかと思います。というのは、倫理委員会の委員は独立して研究機関の長に対して意見を言うのですから、研究機関の長から教育されたら、これは少しおかしな話だと思うのです。ですから、どの位置におくか。この部分は取って、正に倫理委員会の委員としての責務であって、もちろん委員会の業務ではないことは明らかですから、別項を起こしたほうが私はいいのではないかと思います。いずれにせよこの書き方は、倫理委員会の独立性について非常に疑義を生じさせる書き方だと思います。
○原専門官 この点は次回改正される、前回、昨年12月12日の科学技術部会にも出たヒトゲノムの遺伝子解析研究に関する倫理指針での文章も、同様の記載になっています。
○町野委員 ……が深いということが分かりました。
○原専門官 その点を御議論いただければと思います。
○位田委員 今のところですが、町野先生がおっしゃるように、研究機関の長が教育・研修を行うのはおかしいので、教育・研修の機会を設けなければならないという趣旨のほうが正しいのではないかと思います。
 もう1点。44ページですが、ひょっとして私の読み方が違うかもしれないので、もし違っていたらおっしゃってください。原則はインフォームド・コンセントを受けるのですが、ただし書きの細則の(2)で「当該ヒト幹細胞等が(1)に該当しない場合において」というのは、匿名化されていない場合という趣旨で考えていいのですかね。
○原専門官 はい。連結不可能の場合になっています。
○位田委員 だから、(1)に該当しない場合というのは、匿名化されていることの反対ですから、匿名化されていないこと、つまり名前が分かっていることにならないのですか。
○原専門官 はい、それで過去に遡って再同意が得られる場合だと考えます。
○位田委員 再同意が得られる。それでア、イが入るのですかね。
○原専門官 (2)あるいは(3)の適用となる場合として、当初は連結可能としてあったのですが、同意を取る機会が得られない場合。具体例としては、転院などで住所や連絡先が変わられていたり、あるいはお亡くなりになっていたりといったケースが想定されるかと考えています。
○位田委員 私が間違っているのかな。(1)に該当しないというのは、匿名化しないという趣旨ではないのですか。今おっしゃったのは、連結するかしないかという話なのだと思うのですが、匿名化しないということは、名前が付いてずっとあると理解していいですか。連結云々の話ではなくて、要するに匿名化しないで、何の何兵衛さんという名前がシャーレかどこかに付いているという想定なのでしょうか。
○荒木室長(医政局研究開発振興課再生医療研究推進室) ここはもしかしたら書きぶりがあれかもしれませんが、原則として45ページに書いてあるように、保有個人情報については匿名化を行うのがまずベースとしてあると。匿名化は当然全て匿名化なのだけれども、連結不可能である場合には追っていけないので、なかなか再同意は取れないと。それ以外の連結可能な場合については、2、3で書いてあるということなので、確かに表現ぶり、匿名化に該当しない場合というのは、匿名化した場合と。匿名化した場合ではなくて。
○位田委員 匿名化しない場合、つまり名前がそのまま付いていると、このままだと読めるので、趣旨はよく分かるのですが、この書きぶりが少しおかしいかということです。
○荒木室長 表現ぶりがおかしいと。
○永井委員長 45ページの(3)ですが、これは前から議論になっている、研究用に取得されたヒト幹細胞を臨床に使うことも許容するという考えでよろしいのでしょうか。
○原専門官 そうです。(3)に該当する場合として、例えば、当初研究目的で使用するといった包括同意された場合も、この中に含まれるものと考えられます。
○永井委員長 すると、前の議論のES細胞を文科省の研究用のガイドラインに従って取得したものも、ガイドラインが変われば使えると読んでよろしいのでしょうか。
○原専門官 今のところ文科省のES指針の下で樹立されたESは、(1)に該当するかと考えていますが、いかがでしょうか。
○高坂委員 今おっしゃったのは、(2)に該当するのですよね。要するに、研究に使用するという形で受精卵を提供していただいている。今回はそれを臨床応用に転用したいということなので、それは(2)ですよね。(3)は、どちらかというと、臍帯血とか全く関係のない既存の試料というところがイメージ的にはあるのだと思うのですがね。
○永井委員長 そうですね。これは(2)ですね。
○早川委員 おっしゃるとおりだと思うのですが、そのときに(2)のイは「その同意が当該臨床研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること」と。この「相当の関連性」というのは、もともと文科省の基礎研究は、本来的には臨床を目的としてやっていたということが前提で、したがって、それはこの中に入るという解釈で、Q&A的にいうとよろしいわけですね、このイは。そういうことを明確にしておかないと、ここの「相当の関連性があると合理的に認められること」という話と、もう1つおっしゃった「公衆衛生の向上のために特に必要である場合であること」ということが、両方くっ付いて入ってくるという理解でよろしいですかね。
○永井委員長 今の点はいかがでしょうか。
○原専門官 (2)のイについては、もう少し「相当の関連性があると合理的に認められる」という解釈を、具体的にこちらの指針に書いた方がいいということでしょうか。
○早川委員 いや、具体的に書いてくださいということではなくて、Q&Aでも何でもいいのですが、そこは解釈としては従来からずっと議論になっている延長線ですので、従来、文科省の指針で、将来臨床を行うための基礎研究という形で位置づけられていたものが、自動的にこれに入りますねと。それは延長線上としては、公衆衛生の向上のためという話にロジックとしてはなってくるのですねと。そういう解釈でQ&Aか何か、皆さんがクリアであればそれでいいという意味です。
○原専門官 承知しました。Q&Aなどでその点を対応したいと思います。
○位田委員 これも何度も議論している話なので発言せざるを得ないのですが、ESを研究するという場合に、臨床には使いませんと。要するに患者には使いませんということを前提にして、同意をいただいているにもかかわらず、後から指針を改正というか、ESの指針ではないですが、厚生労働省の指針で、ある意味ではESの指針よりも広い使用の可能性を作って、合理的な目的の範囲内だから使いますというのは、ちょっといかがなものかと私は思います。
 しかもこれは法律でも何でもないわけですから、両方ともガイドラインです。少なくとも明確に同意していないことについて、同意を推定する形になりますよね。それをやるのであれば法律的な措置をとるのが本来の形だと思います。これも法律に基づかないガイドラインですから、それはインフォームド・コンセントの本来の形から外れていると思います。後出しじゃんけんです。
○早川委員 前々からどのような経維で文科省のところに臨床研究という使用目的が、インフォームド・コンセント上掲げられていなかったのかといろいろ伺っているうちに、それは文科省の1つのテリトリーとしてそのことは一応違うので、先生がおっしゃるように、文科省の指針、あるいはそのときに臨床研究は行いませんと明確にインフォームド・コンセントをして、そういうのがはっきりしているときは、そこで一応意思が示されているわけですから、これは適用されないのだと私は思うのです。
 だけれども、何か経緯を聞いてみると、そうではなくて、そこは想定していなかったので、そこまでは踏み込んだ表現で臨床研究に使いますとは言っていないと。ただ、そういうことのケースが多いのではないかというお話を伺っていたので、もしそうであれば、私は先ほど申し上げた解釈になるのだと。
 ですから、これは明確にそのときのインフォームド・コンセントが、これはやりませんと言っているインフォームド・コンセントなのか、そこは想定していないとかいろいろな事情で、ドナーは、その当時は単にこれは研究に使うのですよということで、それ以上のことは、もちろん使っていけないとか、いいとかいう想定ではない状況であると、今までの議論で伺っていたので、それでこれが入ってきているのかと理解をしているのです。ですから、後出しじゃんけんではないと思います。
○永井委員長 それはインフォームド・コンセント次第であるということですね。
○早川委員 それは、そうだと思います。
○位田委員 要するに、文部科学省の指針に従って研究を行う以上は、指針の範囲は出ないわけですから、ある場合には臨床研究に使いますという話はもともとないわけですね。
○早川委員 ないから書いてないのですね。
○位田委員 ないから書いてないし、ないから説明はしていないはずですね。「想定」という言葉をどう理解するかですが、あの指針は、もともとすぐには臨床に使えないから、基礎研究でまずやりましょうということで作ったはずですね。したがって、それが臨床研究に使える段階に近づいてきたという時点で、本来であれば文部科学省で臨床研究に使える可能性が出てきたということを指針に明記する。したがって、そういう形で同意を取る。ただし、文部科学省の指針に従っているので基礎研究だけれども、場合によったら臨床研究に使うこともあり得るということを、そのときに説明をしているのであれば、私はそれでいけると思います。しかし、そういう形ではもともとないですから、想定をしている、いないという話とは違うと私は思っています。
○佐藤(陽)委員 私は何回か申し上げているのですが、こういったケースの例外規定は、今回の指針案だけではなくて、臨床研究指針、ヒトゲノム指針、疫学指針の中で同じことが書かれている。ということは、同じことが想定されているわけです。ここで確かにES細胞といったスペシフィックな、特定の問題に関しては、いろいろの御議論があるかもしれないのですが、「臨床研究」、「疫学」といったところでは何が大事かを考えて、想定していなかった事態が生じた時に何を優先して対処すべきかを考えて、臨床研究なり、疫学指針なり、ゲノム指針なりの例外規定があると私は理解しています。その辺りのことから議論を進めていったほうがいいのではないか。患者の視点に立って、患者をどうやったら救えるのかという視点に立ったときに、どういう方策があり得るのかを考えていくべきではないかと思います。
○西川委員 実際には位田先生がおっしゃるように、佐藤さんも言っているように、基本的にはES細胞だけが問題になっていますよね。すなわち、文科省の指針という形で、歴史的な経緯はともかくとして、ICも含めて臨床研究を想定しないことを、わざわざ明示してずっとやってきている。ただ、その後文科省も臨床研究に必要であるということで、例えばグラントの出し方もGMP基準のファシリティーを作ったりとかいう形で、厚生労働省もそういうES細胞を想定したことをされているから、それ以降のものは、位田先生がおっしゃるように、今やらないかもしれないけれども、臨床研究に使うかもしれないということを多分考えてICをとっておられると思うのです。だから、傍聴に担当者もおられるけれども、それは事態を聞いてしまえば、それで済む話で、あと、ほかのところに影響がない形で文言をしっかりとすると。
 ES細胞が例外的過ぎて、ここで余り議論しても仕方がないので、実際に一番最初に作られたものは、多分臨床に持っていけない。もともと持っていけないものですから、臨床に持っていくいろいろなサポートがなされた後で取られたものに関して、どういうことかは私どもも最終的な実態調査が分かっていないので、1回当事者から聞いてしまえば、あっと言う間に終わる感じはするのです。
○本田委員 素人でなかなか会議に出てこなかったので、的外れな言い方かもしれないのですが、今のお話を私なりに理解すると、先ほど位田委員がおっしゃったように、文科省の指針で臨床研究のことも一応想定した説明を受けていればいいのかと思うのですが、西川委員がおっしゃったように実態が分からないということなので、分からないなりに感想を言わせていただくと、そういう可能性が全く示されないで、説明を受けていない状態で、当該研究は合理性があるからとかで、難病の患者にとっての未来のためにと言われても、その説明を受けていたら「うん」と言うかもしれないけれども、聞いていないと「聞いていないよ」という感情を持ってしまうので、そこら辺は向こうを変えるとか、前向きな議論をしていただければと感じます。
○町野委員 インフォームド・コンセントの概念が、かなりインフォメーションがなければコンセントはないということではないわけですよね。インフェォームド・コンセントは、もともとコンセント、同意の存在の問題です。したがって、インフォメーションがなければ常にインフォームド・コンセントがないという理屈はないはずなのです。もちろん臨床研究にも使えることを明示的に言っておいて、それで使うのは、それは問題ない話だと思います。その点何も言っていなかったら、しかし同意がないかと言ったら、それはそういうことはないはずの話です。インフォームド・コンセントの議論は、インフォメーションのほうだけに先走っている感じが私はしますので、そういう問題だと思います。
 したがって、本人に今のお話のように「これは臨床研究にこれから使いますよ」ということをそのときに言えたら、そうしたらOKするだろうと、言われるときはOKだろうという話なのです。しかし、その点の判断をどうするかについて、一方的に全部できるという話ではないので、ここで倫理委員会の承認を得るというのは、結局、そういう趣旨だろうと。これはどう考えても、本人の意思には反していると見られたら、これは使うべきではないと。それはいかに必要性があろうと、それは使ってはいけないことだと思うのです。
 だから、生命倫理の領域では、インフォームド・コンセントの議論は、コンセントではなくて非常にインフォメーションだけの問題として考えられているようですが、この発想は逆転していると私は思います。
 ただし、そう言っても、1からずっと始まっているその順番は、私はまだ今見ても思想的に理解できないです。(1)は、どうして連結不可能匿名だったり、インフォームド・コンセントが要らないのかの説明はどこにあるのですかね。要するに、この理屈は、本人から取れないということだけでしょう。では、本人から取れなかったら、普通はやるべきではないという話になるのですよね。もう1回インフォームド・コンセントを取れなかったら、では必要だからやっていいという理屈は、そこではどこにもないはずなので、(1)はその点でも不適切で、これは順番がどういうあれになっているかというと、(1)があるために、まず議論が混乱していると。取れなければやっていいと、取れなくて必要性があるときはやっていいと、そういう議論ではないと思います。
 佐藤先生などでも少し違いまして、いかに医療上必要であろうと、本人のコンセントの範囲外であったら、私は使うべきではないと思います。それが本来のインフォームド・コンセントの議論なのです。他方では、インフォメーションがなければコンセントが常にないという理屈も、私はないと思います。だから、そこらのことを判断するのが、倫理委員会の役割だろうと私は思います。だから、そういう点で(1)から(3)までの間どういう思想で、(1)は論外というか、私は少しおかしいと思いますが、(2)と(3)はどういう関係にあるのか、御説明いただけたらと思います。
○原専門官 (1)匿名化のうち連結不可能でない場合が、(2)になっています。先ほど申し上げた(2)に下がってくる具体的な例としては、連結可能ですが同意が取れないということで、その臨床研究開始時に被験者あるいは提供者の方が転院とかお亡くなりになって、どうしても連絡が取れないといった場合が想定されます。
 (3)はそれ以外、(1)でもなく(2)でもないという場合です。この場合は、同じくインフォームド・コンセントのアクセスが取れない場合であって、当初の研究とは関連性がない。具体的には、先ほどの包括同意されている、当初包括同意で得られた検体とか、先ほど委員の先生からも御指摘いただきました、臍帯血を利用したiPS細胞の樹立など、そういった研究が具体的には考えられるかと思います。
○荒木室長 引き続き補足です。確かに文章とすると非常に分かりにくいのですが、基本的には再同意が原則ということで、44ページの下線部のただし書きの部分で、当然既存の試料であること、さらに、インフォームド・コンセントを受けるための機会が得られない場合という条件を付した上で、(1)は基本的にはインフォームド・コンセントを受けるための機会が得られないとイコールになってしまっているので、その匿名化。その順番が、ここは(1)にあるのは違和感があるのは、多分御指摘があるかもしれません。
 (2)については、今、事務局から説明していたように、きちんと遡れる状況にはあるのだけれども、その方が亡くなられているとか、引っ越しで再同意のアクセスがしようがないと。そういう場合においてというのが(2)で、(3)は(2)に加えて当該臨床研究の目的と相当の関連性が余りない状況という形で、(1)(2)(3)を少し書き分けているという状況になっています。ですので、(1)が若干二重になっているというか、ここの細則に書く前段階「インフォームド・コンセントを受けるための機会が得られない」のと、ニヤリ以降の部分は(1)で既に状況があるということにはなっています。
○町野委員 (1)はさておくとして、1つ混乱のもとというのはトレーサビリティの問題とインフォームド・コンセントの問題が一緒になってしまっていることだと思います。トレーサビリティというのは、そもそも危険性だとか、それを除くためにどこまで辿っていけるかという問題で、インフォームド・コンセントを取るときに、辿っていけなかったら取れないだろうというのが一緒になってしまっているので、トレーサビリティの問題というのは一応切り離して、結局取れるかどうかというところが本文にある。
 そして先ほどの御説明ですと、(2)は最初に取ったとき、いただいたときのイの「当該臨床研究の目的と相当の関連性がある」ということは、結局これも恐らくコンセントの内容があったと考えても差し支えないのではないだろうかというので、これが入っている。そしてイにあるのは、オプトアウトの可能性を与えるということですよね、もし異議があったら。だから、順番としては恐らくイが先であって、アが次に来るのが普通だろうと思います。
 (3)は今のような関連性がないので、かなり厳しいかなという場合ですよね。このときについては、しかし緊急の必要性があるというウのような場合にあったら、こういうときは恐らくは否定しないのではないだろうかと、本人もそのことを言えば。というような場合だろう。つまり、いずれにせよ本人の承諾が予想しても不合理でない場合に限っているという理解で、そして本人の承諾が予想しても不合理ではなくて、しかも本人が「NO」と言えば、「NO」と言えるだけのチャンスを与えようと。そして(3)は、イは非常にきついですよね。本当にオプトアウトの可能性というのは、ただ単に公開しているだけではなくて、本人にそれが正に拒否できるような機会をもっと与えなければいけないというところで、かなりきつくなっている。そういうことでよろしいのですか。私の理解はそうだけれども、結局(1)は取ってしまってという話ですよ。
○中畑委員 今の議論を聞いていると非常に複雑なあれで、一般的には非常に分かりにくいのではないかと思います。原則として再同意が取れないものは使わないという、そこをかなり明確に示して、再同意が取れないものは、わざわざそんなものを使って再生医療を進める必要があるかということにも根本的議論になりますので。むしろ再同意もしっかり取れて、その安全性も担保されているようなものから使っていくということ。もし、そういった新しいESの細胞株が必要であれば、それは最初からしっかりインフォームド・コンセントを取って作っていただく。今、作られているES細胞の中には、一部臨床応用もするというようなことの説明を受けた上でES細胞が作られているものがあるとすれば、それは今回のこの中に含めるというような形で、もっと単純化させて、ICが取れていないものは使わないことにしてしまったほうが、明確になっていいのではないかと思います。余り無理しないほうがいいと思います。
○永井委員長 特に、匿名化すれば使えると読めるわけです。いずれかだというところが非常に幅が広くなっている印象を与えますが。
○直江委員 今の中畑先生の意見に賛成です。先ほどから町野委員からも出ていますが、この例外規定の細則が余りにも複雑で、何度読んでもよく分からない文章です。特に(1)の永井委員長がおっしゃったように、どうしても連結が取れない検体は使ってもいいということですね。私は先ほど西川委員からもあったように、リアリティとして実態が今どうなっているのかを全く知らないで、これが先に走ると非常に混乱を生むのではないか。つまり、本当に連結できないのか。ESは、何百、何千あるわけではないかもしれない。そうすると、本当に連結できないということがあるのだろうか、というような疑問すら湧いてくるわけです。この議論を進めると、何か不用意に心配を煽ることになりはしないかなという気がいたします。特に(1)の連結同意が、連結可能性がない全く切り離されたものであれば、使っていいと読めるところが一番不安に思います。
 2つ目は、同意の撤回というものを有しましょうという(3)ですが、逆にいえばこれは連結できるではないかということにもなってきませんかね。だったら、インフォームド・コンセントを取るのが原則ということと若干矛盾するような気もします。私の読み方が悪いのかもしれませんが、そのことをトータルに考えますと、今の中畑委員に戻りますが、ここは過去の検体はICを取り直して臨床に応用できるものとする、というふうにしたほうが、今までの議論をまとめるのには一番皆さんが納得できる方法ではないかなという気がいたします。
○高坂委員 今の皆様がおっしゃっているとおりだと思います。例えば、研究目的で樹立をしたものを臨床研究に使用したい、人に投与したい場合のことが一番問題になっていると思います。今いくつかおっしゃっていただいた例外規定については、臨床研究指針ですよね。ここで明確に規定をされていますが、その臨床研究指針とこれとの大きな違いは、ここで今、我々が議論しているものは、人に投与する可能性があるというところだと思います。そうすると、安全性という意味から一段慎重になっていいだろうと思います。
 ちなみに59ページに「安全性を確保するため」という(2)があります。「原則として連結可能匿名化とすること」。ただし、ここでも例外規定を設けていて、その中の(1)「第4章に掲げる品質管理の項目を満たしており、被験者等に被害が及ばないこと」というただし書きが入っています。これは厚労省としては非常に大事な点ですが、これが研究の段階で人に被害を及ぼすことが判明しているということはまずあり得なくて、こういった将来にわたっての危険性というものを想定してトレーサビリティをしっかりしようという形で、連結化能匿名化ということが出てきていることになると思います。
 そういった観点からも、文科省の指針で作られているもので、西川委員あるいは中畑委員から少し意見が出ている、その実態がどこにどういう形でインフォームド・コンセントをいただいているのかということを、もしオープンにしていいのならばオープンにして議論したほうが、これはすっきり来るなと思いました。原則は、文科省の指針に沿ってやりますよと。ただし、こういったことにも将来的に使う可能性がありますということを含めてインフォームド・コンセントを得ているならば、私はきちんとオープンにして議論したほうがうまくいくと思います。
○西川委員 実際には、どなたとは言いませんがハイウェイを預かる身で、ハイウェイの中には1つES細胞を使うというプロジェクトがあります。もちろん、私も文科省、位田先生たちと一緒にやっていましたから、本当にどういう形で使えると思っておられるのですかということもインタラクティブに議論の中で聞いておって、基本的には指針に違反することなく、きちんとコンセントも取ってやれるというふうにハイウェイでは理解しています。そういう意味でも現実的にやられる部分に関しては今、位田先生がおっしゃるような、しっかりと書いておく形で問題はないだろう。
 ただ、いくつか複雑な問題がES細胞以外にもたくさんあることは間違いなくて、私は移植の委員会におりますが、そこで一度斎藤委員会でしっかりと議論されてOKになった1つのプロジェクトが、臍帯血バンクからもらった臍帯血を使ってiPSを作る。それ自身はあそこで議論されて、基本的に一度臍帯血バンクに預かられて、もちろん臨床研究ということは言われている。当然、それ自身は治療のために行われるわけです。ただ、iPSという文言はないけれども、それに関しては一応委員会で全体が議論してという話です。先ほど町野先生がおっしゃるように、きちんと書いておけば、それがそれを満たすかどうかは倫理委員会なりの判断に十分委ねられると思うので、しかもリーズナブルな結論になってきていますから。
 結構複雑な関係がこのICの問題には常にあるので、一応まず分かりやすく書くことと、コンセントがしっかりある。臨床研究でやるということが言われているというので、余り大きな問題にはなってこないのではないかと思います。松山先生どうですか。松山先生は、ハイウェイの実際のプロジェクトをきちんと見ていただいていますから。
○松山委員 ICの問題で、どこまで読み込まれるかは非常に難しいと思います。大原則としては、再同意が取れたらというのは当然のことだと思います。実際、ESだと日本では2か所しかないわけで、両方ともICを見ていくと、患者に投与される臨床ということが読み込めるような同意書だなというイメージがありました。読み込めるかなと。ただ、その次のステップで臨床研究までは大丈夫だけれども、医薬品として製販できるかというと微妙かなという感じを持ったのですが、ちょろっとしか見ていないので、そのあとバージョンが変わっているかもしれませんので分かりません。これは忘れてください。ICがきっちり取れていればいいだろうと。
 対応できるかどうかというところは、ESを作るときはいくつかの受精胚を混ぜて、結局個人が特定できないようにあえてそこで匿名化しているので、1対1の匿名化は難しいけれども、そのときに使われた例えば20個の受精胚全部、同意を取れるならば同意を取ろうということは可能なのです。あくまでもできないのだからやめますという形ではなくて、努力したということはすごく大事なので、そこはスキップできないのだろうなと思います。
 もう1つは、ここの規定があるから全部OKかということではなくて、あくまで必要条件であって、しっかり管理されていないものが患者に投与される。今、議論しているのは提供するドナーサイドの問題ですが、被験者のサイドとして、臍帯血バンクの中でもきちんとコントロールされているところというのは可能だと思いますし、一定程度の技術的な水準の評価というのは必要になってくるのだろう。ESの場合も、実際に日本では成育と再生研だけですが、この規定ができたら海外からも入ってくる可能性があるので、海外の水準がどの程度かということは見ないといけないですし、海外のところも「同意取れません。OKですよね」とごり押しされても、我々は「YES」とは言いにくいので、そこは念頭に置かないといけないのかなと。とりとめのない感想になりまして申し訳ないですが。
○斎藤委員 ES細胞の樹立機関として、ICの具体的な内容が問題になっているので何かリスポンスしなくてはいけないのですが、当事者でないので正確ではないと思いますが、少なくとも臨床研究に使うということは言っていないことは確かだと思います。そういうことは含まれていないとは思います。ただ、先ほどもう1つ問題になっている品質のことに関しては、セルプロセッシングセンターを用いて、当然、臨床研究を想定してES細胞を樹立しております。
○永井委員長 インフォームド・コンセントを取り直すことも全く不可能ですか。例えば、何人かの候補者は。
○斎藤委員 何人かのES細胞をまとめて送付してもらっていますので、1対1の対応にはなっていないことは確かです。
○永井委員長 でも、複数の候補者から全員インフォームド・コンセントを取り直した場合はどうでしょうか。
○西川委員 全員がOKの場合は大丈夫です。これはもう議論したので。ただ文科省の指針で、はっきり言うと連結できないようにして、しかも混ぜたものをランダムに取ってくるということをやりますから、20人のドナーの方がおられて20人がOKと言った場合はいいですが、1人でもNOと言えば使えないという形です。
○松山委員 今サイエンティストとしての立場で皆さん議論されていますが、実際自分が受精胚の提供者だったときに、何年か経ったあとにもう1回お手紙とかをいただくのは、感覚的にどうなのかなというのが少し引っかかります。これは、一般の立場から来られているというか本田先生にお伺いできたら。ICを取るという我々のスタンスからいうと取るべきだと思いますが、どう思われますか。
○本田委員 もう一度きっちり説明を受けて、もう1回考え直すということは当然あると思いますが、人によって感覚も違うでしょうし。社会のためになるならと思う人もいますし、一方で「人に使われるのは考えていなかった。嫌だ」と思う人もいますので、一概にどっちということはないと思いますが、それに関する興味・感心がどれぐらい続いているかというのも人によると思います。ただ、提供したというそれだけのマインドのある、例えば私も血液採取をしたときに、これは包括同意で今後いろいろな研究に使う可能性があると言われたときに、私は別にどれに使っても構わないということで○にしたのですが、そうすると二度とそんなことを考えないで適当に使ってくださいと思っているので、名前も分からないとか何か、だから本当に人による。
 私は基本的には、自分がもしもそういうのを提供していたら再同意を取ってほしいと思います。答えになっていないのですが。
○斎藤委員 何か弁明みたいに聞こえるかもしれませんが、私たちは人のES細胞、今まで樹立したものをどうしても臨床研究に使いたいとか、そんなことは一切思っていません。成育センターではES細胞のための倫理委員会があります。そこでセルプロセッシングセンターで異種成分を一切含まないES細胞を樹立して、それを報告したわけです。そうしましたら、私もヒトES細胞の委員の1人ですが、半分以上の方は外部委員で、患者の代表の方も含まれております。その方たちから、「どうしてこんなハイクオリティのものを作って臨床応用ができないんだ。なんとかすべきである」ということを言われました。そのことを何回か前のこの委員会で申し上げましたところ、可能性としてそういうオプションは残しておくべきではないか、という意見が大勢になったという現状であると理解しております。私たちの意思ではないです。その辺は誤解のないようにお願いしたいと思います。
○本田委員 1つだけ言い忘れていたことを簡単に。もちろん、そういう意識の高い、そこまで考えてきちんとやっていらっしゃる方の思いも熱いので、理解できることだと思いますが、あとはそういう使い方をすることを社会がどう理解するかがとても大きなポイントになってくるかなと。私もメディアの1人ではありますが、メディアがそれをどう捉えるか、理解するかというのも、社会の理解という意味ではとても大きいかなと感じました。
○西川委員 今議論しているだけではなくて、間違いなく重要なことは文科省の指針を変えていただく。前から言っていますが、新しいアイディアに基づく指針に変えていただく。混ぜてからしか使わないとか、多分厚生労働省の委員会、特にマスダ委員会とが一緒になられて、そこの部分については大至急見直しをするということがあった上で、この議論があるというふうに是非考えていただきたい。
○永井委員長 ただ、文科省の指針が変わったとしても、同意を必要とするかどうかという議論は残ると思います。
○西川委員 それは位田先生がおっしゃるように、今までのある程度の無理とエクセプショナルないろいろな状況が重なっていますから、ここで無理をすると全体の整合性が崩れるのではないかと思います。
○永井委員長 つまり、同意を得た上でというのが原則であると。
○西川委員 そうです。
○町野委員 今の御意見ですと、「ただし」以下は全部取れ。例外は一切認めない。ESについてはですね。しかし、ほかのところも理屈は同じではないですか。
○西川委員 ただ、ほかのほうで、はっきり言ってミックスして分からなくするとか、そういうことは一切されてきていないですから。私たちも責任がありますが、そこまでなぜやったのかという、先ほど本田委員がおっしゃった歴史があるわけですよね。そこの部分は表には出ていないわけですね。ですから、10年の歴史で安心であるということを皆さんにも理解していただいていっているわけですから、そこに関しては私はしっかりと歴史を認識して、全部を引っくり返すことはする必要はないような気がします。
○町野委員 私はその点、若干の異論がありますが、それはさておくとして、私も最初のこの案が示されたというか考えが出てきたときは、これは無理だろうと思っておりました。しかし、そのあと実はきちんとというか臨床研究に使え得るような格好で同意を得ているのだという実態がある。そのようなインフォームド・コンセントが、ES指針の下で許されるのかというのはもう1つの問題ですが、しかしとにかくそれをやっているという実際がある。そうである以上は、コンセントは否定できないのではないだろうか。そういう観点から考えるべきであって、そうするとこのただし書きを全部取ってしまうというのは合理性はないのではないかと思われるわけです。
 それで、やるときに先ほど思想性が明らかではないと言いましたが、安全性の問題と、実際上、本人に同意が取れないという問題だけで全部クリアされるわけではなくて、本人が承諾していないということが明らかなときは、これは使ってはいけないことは、いかに必要性があってもそれは言えると思います。これが、インフォームド・コンセントの基本的な考え方です。ただ、インフォームド・コンセントのその考え方に立った上で、周縁部分というのは明らかではないところがかなりある。だから、その点の判断を倫理委員会に委ねましょうということで、ただし書きのほうは形を変えてではありますが、私は一応活かしたほうがいいように思います。
○永井委員長 もう少し具体的に、どう書けばよろしいのでしょうか。
○町野委員 これは全部書き直したほうがいいと思います。日本語としてはかなり理解しにくいですが、そういうことを言うと「お前が書け」と言われるのが非常に嫌ですが、法律の人というのはこういう事務仕事ばかりずっとやらされていてかなり大変です。
 いろいろ変えてみて、結局今のような趣旨を明らかにして、つまり本人からインフォームド・コンセントを新たに取ることができないということが、まずなければいけないだろうと。だから、原則は取れたら取ったほうがいいという話です。ただ、取れたらということについて、これが絶対不可能な場合でなければ取れないということは恐らくできないだろうと思います。
 先ほどの例ですと、20人提供した人間がいたとすると、20人から全部取ろうと思えば取れるではないかということを言われると、このES指針を作ったときの議論で、そのときも位田さんとか西川さんとかがお出でになりましたが、一番気をつけたのは、そのときに提供する人に女性が入っています。不妊治療をやっている人ですから。そういう人たちの感情というのは非常に考慮しなければいけないというのが、当時の議論だったわけです。そのことを考慮に入れるならば、もう1回あとから来て、探し出して辿っていって、もう1回同意をしろと、取るというのはやっていいのかなと、そのときの議論からするとそういう感じがします。
 もちろん、当事者でない人については、そういうことを余り痛切に感じないのかもしれませんが、提供した本人にとってはかなり大変なことだということを、そのときに思いました。したがって、草の根を分けても探し出して、なんとかなるではないかと言われると、それはすべきではないだろうと思います。
○西川委員 現実的に、そういうことは多分行われないだろうということを想定しています。それから、もう1つ。例えば医学をやっている立場の人も入って指針が作られたということは、逆に言うと研究やドナーの方以外の第三者の明らかに参加を想定して作っているわけです。はっきり言うと、絶対臨床研究には持っていかないという指針にわざわざしているわけです。そこは、あのときに一番最初に作られた中辻先生たちも、わざわざ元に戻って取られるということは多分ないだろう。
 ただ、あの指針のあとでいろいろなアンダースタンディングが積み重なってきた上で、なおかつあの指針では、臨床にも使うかもしれませんというアディショナルなICを取ってはいけないとは書いていません。ですから、それを取った上でやらなければならない現実は書いてあるから、成育もそうされていると思います。ただし、プラスアルファでは取られているかもしれないし、逆に言うと初めからそういう想定をして、再同意が得られるような形もあり得るかもしれない。ですから、ES細胞に関してはかなり現実的に考えて、余り問題は出てこないのではないかなというのが私の感覚です。
○早川委員 日本では京都大学と成育医療センターの2つですよね。成育医療センターは、臨床に使おうとしているものに対してインフォームド・コンセントを必ず取っている、あるいは取れるとして、先ほど西川先生が実態ということをおっしゃったので、その一環として御質問したいのですが、仮定ですが、場合によっては遡りも可能な状況になっているかどうかだけを教えていただければと思います。
○斎藤委員 当事者でないので、余りレスポンシブルではないのですが、物理的には、それは可能です。要するに、30人なら30人の方にアクセスをして呼び出すこともできるのかもしれませんが、それは町野委員がおっしゃられたように、かえって非倫理的である可能性もあります。ですので、物理的には可能であるけれども、実用的であるかどうかという疑問は残ると思います。
○高坂委員 早川委員がおっしゃったように現実的な対応をしようと思いますと、参考人として成育の方に来ていただいて、どういう形でインフォームド・コンセントを得ているのかを御説明いただけるのであったら、していただいたほうがいいかもしれません。少し難しい問題があるかもしれませんが、これは文科省はやってはならないということをやっているわけではないので、アディショナルに説明を患者にしていれば、それは別に違反とはならないと私は理解しているので、文科省がどのような理解をするかは知りません。そういう形で、説明文書をいかに活かせるかという方向で考えていったほうが、より現実的であり、国民の皆さんの理解を得られるのではないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。
○永井委員長 それを誰がどこで判断するかですね。
○高坂委員 そうですね。
○永井委員長 各倫理委員会に任せてよいかどうかということになります。つまり、(1)から(3)を除いて、同意を得られない、機会が得られない場合は、目的の合理性と倫理的妥当性が十分に認められる場合は、倫理委員会で判断するというような書きぶりでいいのかどうかです。
○高坂委員 いずれにしても、ヒト幹指針の二重審査になっていて、中央審査が入ります。ですから、中央ということは、当然ここでも1回議論をしておいたほうが、私はベターだと思います。
○永井委員長 その基準ですね。目的、合理性、特に倫理的妥当性の基準を、どのように書いたらいいかということです。
○町野委員 倫理委員会で判断すべき事項というのは、恐らく同意の範囲内に含まれるかという問題ですよね。もう1つは、本人に改めて再同意を得るということが、非常に困難あるいは不適切であるかどうか。この2つだろうと思います。だから、そこを明らかにした上で、原則は再同意を得ることについては、安全ですので、私はそれはそれでいいと思うのです。しかし、こういう場合は、今のようなことを判断して、倫理委員会がそれを与えることができるという書き方にすればいいのではないかと思います。
 それで、ときどき合理性、目的の妥当性ということを言われますが、先ほどから申しているように、インフォームド・コンセントのコンセントの問題というのは、それを超える問題なのです。いかに必要であり、いかに合理的であっても、コンセントがないものはやってはいけないという原則があるだろうと思います。
○永井委員長 それが倫理的妥当性に入るように思いますが。
○町野委員 私は、単純にこのいろいろな議論の中で、指針等について、必要性がある場合については、そのことを考慮した上でOKだという議論は私はないだろうと、指針全般についてそれを思っていました。
○永井委員長 目的だけでは駄目だということですね。
○町野委員 そうです。インフォームド・コンセントのコンセントを要求している以上は、それがないところでは駄目です。
○位田委員 原則は同意がないものは使わないというのが本来の形なので、それに一本化したほうがいいと思います。あと、問題は実態というところなのですが、恐らく説明文書の中には、「臨床研究に使います」とは書いていないし、書いていたら、それはこの指針に当てはまらないからといって、削除を求められているのだろうと思います。ずっと以前にそういうケースがありましたから。そうすると、現実には口頭で説明をして、それをどこまでエビデンスとして確認できるかという問題だろうと思うのです。その辺に、実態というときに難しさがあるかなという気はします。
 樹立の審査なり、使用の審査なりをしているときに、臨床に使うということは、目標若しくは目的としては書いてもいいけれども、実際に「使います」と書くと、それは書き過ぎだということで、蹴ったケースが何件もあったと思いますので、そこについては、私は実態としておっしゃっていればいいと思いますが、その証拠がなかなか出てこないかなと思います。
○西川委員 再同意をお願いするかもしれません、ということがあるかもしれませんね。
○位田委員 それはそれでいいと思います。
○西川委員 ですから、いろいろなテクニカルな問題があります。例えば先ほどおっしゃったコンセントというのは、私も1回馬鹿なことを書いて非難されたことがあるのです。例えば、ある病院が産科の病院を作られて、「人工中絶を、ここでは必ず中脳移植に使います」と書いたときに、そこに来る人はコンセントが取れているのかという問題もありますよと。
 ですから、要するに私たちは、トップダウンで物事を全部考えていくけれども、病院の医師がこのようにコンセントを取るというものと、もっと包括的な取り方というのは、いくらでもあるわけです。ですから、余り細かい議論をしないで、先ほどおっしゃったような、倫理委員会が合理性を認めるのかという話で、そういうことさえしっかりしておけば大丈夫であると。やはりコンセントがあるということは重視するということは、私はそれでいいのではないかと思います。
○武藤委員 私も原則としては、どうしても使わなければいけないという特段の事情があって、科学的、倫理的にも議論が尽くされた場合でも再同意が原則で、どうしようもないときには、倫理審査委員会という流れはあると思うのですが、今回、成育にしても再生研にしても、文科の指針で作られたES細胞を臨床研究に使うということに、御本人たちの機関が非常に積極的で、研究チームの一員であるという立場なのかどうかによっても、大分違うのではないかと思います。例えば再同意をいただけるかどうかの努力、成育の倫理審査委員会で、こういったことをいつも審査しなければいけないということも、それをどういった負担と考えればいいのか、どういう動機づけでそれを成育と再生研がやるかということも、少し考えなければいけないのかなと思います。
 つまり、もともと基礎研究で取り組まれていたものを、他機関がそれを臨床研究に使用したい、あるいは臨床応用して使いたいとおっしゃったときに、成育が果たさなければいけない責任の範囲は、一体どこまでなのかということです。
 いろいろ考えると非常に複雑で、もし新しく指針を変えた場合に、これにのっとった品質管理もして、同意もいただいて研究をするというときには、新規で始めるというのが非常に正論ではあると思うのですが、もしどうしても既存試料を使って、しかもいろいろなことを読み替えて、例外も作ってやっていくといったときには、相当慎重に、御事情も伺って、体制も決めてやらないと、難しいのかなという気がしています。
○永井委員長 つまり、再同意を得ても難しいという御意見ですか。
○西川委員 これはハイウェイでも責任として調べますが、基本的に採択するということは、患者のところに持っていけるというスキームができているということですから、それがなければ、要するにこれは採択しないのです。ですから、私たちもそういうことがきちんと、しかも指針にかなった形で全て行われていると理解していますから、そこに関しては、国のお金をもらった側も、それに応える義務があると私は思いますので、そこに関してはもう1回やり直していくと。
○中畑委員 先ほど御提案があったように、ここで参考人として説明していただくと。いろいろなことをお聞きしますと、成育では臨床に使えるセルプロセッシングセンターをわざわざ作ったと。しかも、そこの中でES細胞も樹立したのだということは、明らかに将来の臨床への応用ということを目指してES細胞を樹立しているということになりますので、そういったことの説明が、提供者にも、セルプロセッシングセンターの中で、厳密に、無菌的な環境で、将来に臨床に使うことを言っているかどうかは別にして、そういった臨床応用も視野に入るような形でES細胞が樹立されて、そのための卵を提供していただくのだという説明がなされているかどうか。もしそれがなされているとすれば、倫理委員会の判断に委ねてもいいだろうし、あるいは再同意を取るという、私はどちらでもいいのではないかと思うのですが、その辺がどのような状況であったのかを、是非一度お聞きしたいと思うのです。
○永井委員長 事務局、時間的に参考人のヒアリングをする余裕はありますか。もう少し早く結論を出す必要がありますか。いかがでしょうか。
○荒木室長 そこは先生方の御意見が重要でございます。事務局としては、スケジュールとしては、できれば年度内には一定程度の形を考えております。先生方も非常にお忙しいので、再度日程を調整させていただいて、取れるかどうかというのはあるかもしれません。ですので、最優先では考えますが、それ以外に、例えば書面なり、そういうもので、該当施設は2機関しかありませんので、そこからいただいて回覧をし、それに御意見をいただくというやり方もあるかもしれません。今の現状ではそういう状況です。
○西川委員 ただ、そういういろいろな例外はES細胞はあるにせよ、それを全体の整合性のために強く考慮すると、やはり問題が出てくるのです。ですから、コンセントを取るかどうかということに関しては、これを神経幹細胞であるとか、そういうことを想定していただいてやっておいていただいた上で、ES細胞がもし駄目なら、それは外国のは使えて日本のは使えないということですから、やはり日本のを使うために指針があるという構造は、私は間違っていると思います。
○永井委員長 いずれにしても、再同意は原則であるというところはいいですね。
○西川委員 そうですね。
○永井委員長 そのあと、取れない場合はどうするかというところで、状況をもう少し聞いてということにいたしましょうか。会議が持てればお出でいただくし、日程が難しければ、書面で御意見を伺うということにしたいと思います。武藤委員、よろしいでしょうか。そこは再同意を得ても。
○武藤委員 いえ。
○永井委員長 そこはよろしいですか、再同意があればいいということですね。
○武藤委員 はい。
○永井委員長 高坂委員、どうぞ。
○高坂委員 先ほど、町野委員も松山委員もおっしゃったのですが、遡って提供していただいた不妊治療でいらした患者等に、もう一遍アプローチをすることは、余りよろしくないのではないかということで、文科省の指針でも、これはもうおやめになったということは、以前にお話したとおりなのです。
 これは本当に噂ですが、某医療センターでは、新しく樹立を次々とされているようなのです。その場合に提供していただいている患者は、割と連絡の取れる立場にいらっしゃる方なので、場合によってはもう一遍、10人なら10人、5人なら5人の方々に、同意を得るための文書等を発送して、再同意を得ることが、現実的にできるかどうかを検討していただいたほうがいいと思うのです。
 ちなみに私どものセンターでも、この前、同意を得ていない5,000人の患者に、再同意を得るための文書を発送して、何と8割方が返ってきたのです。その中の更に7割が、全く問題ありません、使ってくださいという返答でした。
 問題なのは、返答をいただけなかった方と、既に亡くなったことが確定した場合で、これをどうするかというのは、我々のセンターの中の審査委員会で、特に外部委員の先生を中心として、それは使ってはならないという意見が非常に強かったので、それは残念ながら使っていないという現状があります。ただ、そういった努力は、模索することは大事だと思います。
○永井委員長 それでは、今の件はそういうことで、もう少しお時間をいただくことにします。ほかにいかがでしょうか。
○西川委員 もう一度繰り返しますが、指針を大至急議論し直すことを、是非やっていただきたいと思います。
○荒木室長 そこは文部科学省の指針という観点だと思います。こちらについては毎回傍聴にも来ていただいていますし、事務的にはいろいろと情報共有を図っておりますので、そこをどうやってやるかについては、事務局にお任せ願えればと思います。
○直江委員 今、先生がお聞きになったのは、指針の11、12ページの「適用範囲」のところで、「臨床研究への使用の目的でヒト幹細胞等を調製、保管する研究を対象」と書いてあります。ということは、使うかどうかはともかくとして、こちらの指針ができてしまえば、文科省の指針とは切り離して、1本これで通ってしまうわけですよね。
○西川委員 ただ、整合性の問題で、1国2制度みたいな話は、やはり間違っていると私は思います。
○早川委員 そこはハーモナイズするようにと。
○位田委員 指針ができたときの状況と、2年、3年、5年、10年経ったときの状況は違うのだけれども、指針が変わっていないという問題です。
○町野委員 私は、それが妥当かどうかは別として、こちらで体制を変えても矛盾ということはないと思います。つまり、これは前のルールを後のルールが変更したという話ですから、これは法律学のイロハで、後方が前方を配するということです。ただし、それをやっていいかどうかというのは、かなり問題です。文科省は嫌だと言っているのに、厚労省が勝手に作ったということになったら、国の意思というのは一体どうなっているのかという話です。ただ、形式的な理由で、絶対にできないということはないです。やっていいかどうかは、かなり問題です。
○松山委員 今の件ですが、やはり文部科学省にお願いしたいと。町野先生と立場は違うのですが、どうしても、これでiPS、ESが新規に出来上がった場合、ベーシックリサーチの積み上げがないと、それが有効なのか安全なのかは全く分からないので、どうしても基礎研究に積極的に使っていただかなければいけないというところが、私はあると思っています。そう考えると、文科の指針のほうも、何らかの形で手当てをしていただければと思います。
○永井委員長 そうすると、これはやはり時間がかかりますね。
○町野委員 指針が改定されるまでは使ってはいけないという、これを取るなら話は別です。そこまで決断するかどうかですよね。一番最初のときに、1つの指針にしたらどうかということは、かなりの委員も言われたのだけれども、しないということになってしまったわけです。もう1回やれという話にするのかということと、もう1つは、それでは使えないことにしますかということで、それは決めなければいけない話でしょう。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○中畑委員 アメリカなどはそういう2つの指針という形ではないので、必ず統一された1つのものに従って、研究も臨床も行われる形になっていると思いますので、そういう形で、文科省の指針に臨床への応用も加える形でもいいと思いますが、是非その作業を早急に行っていただきたいと思います。
○高坂委員 ただ、明確に進めなければいけないのは、文科省の指針でもう一遍検討を開始するということなのですが、今のインフォームド・コンセントの問題と、連結可能匿名化の問題というのは同じなのです。何を議論するかを明確にしておかないと、文科省でやっても同じことになってしまうのではないでしょうか。西川委員、どうですか。
○西川委員 是非、明確にしないといけないのは、全く非連結にするための、しかもわざわざ方法までしっかりと書いてあるという部分は、させないということを第三者の目として考えたことですから、そこは廃止していただくと。その上で、インフォームド・コンセントのときに、連結できるかどうかの議論を、それは一部やったことはあるのです。しかし、厚生労働省のこの委員会の進展を見ながらという話で、私もやめてしまいましたから、その後ほとんど進んでないとしたら、そろそろ進めたほうがいいかなという感じがします。
○荒木室長 濃厚な議論をありがとうございます。もう一度、整理ですが、既存試料のESについての取扱いについては、再同意は原則だと。だけれども、例外規定としてどういう書きぶりにするかとか、あるいはその辺は文科の指針との整合性もあるので、現行の実態を把握するという意味合いとともに、そこについて再度御意見をいただくと。既存試料以外の今後の前向きのものについては、ES細胞、その他きちんとトレーサビリティを確保する形で、しかも同意もしっかりした上でやっていく。それは臨床研究についてはそうするという理解で事務局はおりますが、そこの部分の文科省の指針との整合性の部分は、前向きなものについてもというところと、若干ごっちゃになっておりましたので、整理させていただきました。
○町野委員 文科省の指針との整合性ということでいうならば、整合性はないですよね。それは明らかなのです。あちらでは、基礎研究のために樹立を認めているわけです。ただ問題は、それを使うというのは、インフォームド・コンセントの精神に反しないかとか、そういうことなのでして、矛盾はしているということはそうなのです。少なくとも、想定をしている話ではないのです。文科省の指針は、基礎研究のために樹立を認めるというものですから、これは臨床研究に使っても矛盾しないとはいえないと思うのです。だから、問題の焦点はコンセントの存在です。そこに尽きると思います。
○永井委員長 これは文科省も改定しないと、使えないのではないですか。
○町野委員 この段階で、絶対に駄目と言ってしまうかどうかの話ですよね。それをまず決めなければいけないと思います。
○中畑委員 先ほどから議論がありますように、確か文科省の指針にのっとって今まで樹立はされているのだけれども、卵子を提供したドナーに対して、将来臨床にも使うかもしれないというようなコンセントを得ている、得て作っている可能性もあると。
○西川委員 ということは、再同意を取るということになるわけですね。
○中畑委員 その再同意が取れるような形で樹立されている可能性があるということもあったので、だから私は参考人として呼んで、そのことがあるとすれば、新しい指針の改正を待たずに、今そういう条件で樹立されたES細胞も議論の対象になるのではないかということを言ったわけです。
○永井委員長 今の中畑委員の御意見でよろしいでしょうか。そこを確認しようということですね。絶対に駄目ということではないけれども。
○早川委員 今までの文科省の指針では、「臨床研究に使うために樹立する」という項はないわけです。
○西川委員 ないです。
○早川委員 ないので、よほどインフォームド・コンセントする人が、1歩、2歩、踏み出してやっている場合は、ありかもしれないけれども。
○西川委員 ただ、1歩、2歩踏み出たものは、基本的にはリジェクトしているのです。
○早川委員 そうです。だから、ないのですよね。
○西川委員 再同意を取れるという形での担保はできるけれども、わざわざプラスアルファのコンセントのシートがあるという形は、隠さない限りはあり得ないです。
○早川委員 そこで樹立したもので、すごく有用に使えるようなものがあればという議論から始まっているわけですよね。だけれども、もともとこれから樹立するものは、当然全て原則どころか、従うというのは当然のことですよね。だから、過去の文科省経由のものの取扱いをどうしようかということの議論ですよね。ただ、そこはもともと折り合わないわけだから、そこをどうやって、どこかで折り合わなければ前に進めない。
○西川委員 ただ、この指針が発行された段階で、先ほどからおっしゃるように、文科省の指針自体をある意味で無視して、コンセントを取っていっていいということであれば、十分にやっていけると私は思います。ですから、この指針と文科省の指針との関係が明確になっていないと、実際にやる側の先生方はどうしようもないわけです。ですから、今の皆さんのいろいろな御意見を聞いていて、基本的には、これが発行された段階では文科省。
○永井委員長 あと、少し切り口は変わりますが、外国のES細胞が輸入されたときは、どう読んだらよろしいのでしょうか。
○西川委員 これは、まず間違いなく、以前にも議論しましたが、OKになると思います。
○斎藤委員 参考人召致の話が度々出ているのですが、該当されると思われる方についての想像なのですが、CPCを用いて異種動物成分を一切使わないで樹立している以上、インフォームド・コンセントの説明を行ったものは、意思として、臨床研究に使う意思が、未必かもしれませんが、あったと思われます。しかしながら、文科省にES細胞の樹立を申請する際には、そういうことは一切書けませんし、もし書いたとしたらリジェクトされてしまうわけですから、何も証拠がない。ということですので、参考人とし、召致されても、つらいところがあるのではないかと想像いたします。
○町野委員 今の御意見は、要するに参考人召致は適当ではないと。非常に直截に聞いて申し訳ないのですが、お呼びしたとしても、はっきりしたことは言えるような状況にはないだろうということですか。
○斎藤委員 そのように想像します。
○永井委員長 京都大学の場合も、どうでしょうか。
○高坂委員 実態をある程度明らかにしておかないと、道は閉ざされてしまいます。既存のものは使わないということでよろしいのですか。
○永井委員長 同意を得ればいいということですね。
○西川委員 文科省のハイウェイもあるわけですから。
○高坂委員 あるいは再同意をもう一遍取り直すということですよね。
○松山委員 その部分で、完全に全ての受精胚がESになっているわけではなくて、実際に運び込まれてストックされているものもかなりあるはずです。だから、文科の指針に全部インクルードされているのか、あるいは受入れの部分だけ厚労省の指針で見られるのかという話は、もしかしたらあるのかもしれない。
 それから、今、その文科の指針との整合性のことでヒアリング、話ができないというのであれば、既存で来ている受精胚のことも、閉ざしてしまうことになるのかなという感覚があって、そこは可能であればお話を聞きたいというところはあります。
○斎藤委員 私は想像しただけですので、決定する権限も、知識もありません。
○永井委員長 可能であればヒアリングをするということで進めたいと思います。そのほかの論点についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、資料3について御説明ください。
○原専門官 今回、既存のES細胞について御議論いただきましたが、資料3には、本日時点でのヒト幹指針の改正案のまとめを提示しています。
 1「指針改正の経緯」です。2段落目の記載のとおり、本専門委員会では、平成23年10月から本日まで、13回にわたり、ヒトES細胞を含むヒト幹細胞の樹立と分配に関する倫理性、安全性、品質等の観点から検討を行い、指針改正案を作成してきました。
 2「指針改正案の主な変更点について」、提示しています。第1章「総則」の関連として、(1)指針の適用範囲の拡大です。ヒト幹細胞等を、疾病の治療の目的として人の体内に移植若しくは投与する臨床研究に加え、今回、「又は」以降になりますが、臨床研究への使用の目的でヒト幹細胞等を調製・保管する研究を対象としました。
 (2)対象となるヒト幹細胞等です。これまで、現行の指針細則において、ヒトES細胞を用いる臨床研究は実施しないこととされていましたが、細則を削除し、ヒトES細胞を用いた臨床研究を可能としました。
 (3)インフォームド・コンセントの確保です。インフォームド・コンセントを受ける者(以下、「説明者」という)は、研究責任者又は研究責任者の指示を受けた者で、職務上、守秘義務を負う者としました。また、説明者は、適切な教育又は研修を受け、当該臨床研究を熟知した者としました。この点は、現行指針の「医師に限る」といった内容と異なっています。
 (4)ヒト幹細胞臨床研究に用いるヒト受精胚です。ヒト幹細胞臨床研究に用いるヒト受精胚は、生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって、当該目的に用いる予定がないもののうち、提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されているものであることを規定いたしました。これは、文科省のES指針と同様になっています。
 第2章「研究の体制等」に関連するものです。(5)研究の体制のうち、「研究機関の長の責務等」に当たる部分です。倫理審査委員会の設置を規定しているところですが、研究機関の長は、倫理審査委員会の委員に対して、適切に教育及び研修を行わなければならないこととしています。
 第3章「ヒト幹細胞若しくはヒト分化細胞の採取又はヒト受精胚の提供」に関連する部分です。(6)提供者の人権保護で、この部分は本日も御議論いただいた部分になります。ヒト幹細胞等の提供を受ける場合は、原則、文書によるインフォームド・コンセントを受けることが必要ですが、研究開始前に採取されたヒト幹細胞等を利用する場合に限り、匿名化されている等によりインフォームド・コンセントの取得が困難であることについて、倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可を受けていれば、例外として認めることとしました。
 (7)提供を受けたヒト幹細胞等の移送についてです。提供を受けたヒト幹細胞等の移送に当たっては、分配を考慮して、手順書及び記録を作成して保管し、本指針への適合性について、提供機関と調整機関は文書により互いに確認することを規定いたしました。
 第5章「ヒト幹細胞等の移植又は投与」に関連する部分です。(8)移植又は投与段階における安全対策等の○1ヒト幹細胞等に関する情報管理です。提供者の保有個人情報については、被験者の医療上の安全性を確保するため、原則として連結可能匿名化としました。ただし例外として、幹細胞等の品質管理が行われ、公共の福祉の追求の上で特に重要である等、倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可を受けていれば、連結不可能でも可としています。
 ○2リスクの最小化です。移植段階における安全対策のために、研究責任者は研究が被験者へ与えるリスクを最小化することに配慮して、研究計画を作成することを規定いたしました。
 以上、これまでの本委員会にての御議論をもとに提示させていただきました、改正案のまとめです。
○永井委員長 今の(6)の「研究開始前に採取されたヒト幹細胞等」で、ESについては、まだペンディングということでよろしいですね。それ以外のヒト幹細胞、例えば骨髄由来幹細胞などについては、この書きぶりでよろしいか御確認いただきたいと思います。
○位田委員 この場合の匿名化は、連結可能を意味するのか、連結不可能を意味するのか、若しくは両方を含むのでしょうか。その辺りはいかがでしょうか。「匿名化」というだけだと、はっきりしないと思うのです。
○原専門官 第3章は、連結不可能ということです。
○永井委員長 連結不可能匿名化ということですか。
○原専門官 それによって、インフォームド・コンセントのアクセスが困難という意味合いになるかと思われます。
○位田委員 そこは1つ1つ明記されたほうがいいと思うのですが。
○原専門官 承知しました。
○西川委員 前も提起したと思うのですが、除外規定がないときに、実際には中畑委員会のときに問題になった神経幹細胞をどう扱うかというのは、附則か何かでしっかりと書いておかないと、今のところは絶対に駄目なのですが、そのまま違う指針ができたからという話で出してこられないという保証はゼロですよね。そこら辺はしっかりとやっておかないと、今までとの整合性は取れない。
○町野委員 今の話ですが、私はそれほどこだわる必要はないと思っています。つまり、インフォームド・コンセント等を取得することが困難な場合ですから、その中の例示として、匿名化とか、いろいろなものがあるので、気になるならいくつか挙げてもいいだろうと思います。
 連結不可能匿名化になっていたからといって、ある場合には、トレーサビリティがあることはあり得るわけですよね。ですから、「等」というのがそういう意味なので、余りここでこだわる必要はないと思います。
○西川委員 ただ、基本的に倫理的な問題があるということで、日本では厳然とモラトリアムというものがあるのです。ですから、神経幹細胞に関して、少なくとも中絶胎児神経幹細胞に関しては使ってはいけないというモラトリアムを、私たちは持っているわけです。ですから、このインフォームド・コンセントがどうであれ、それを完全に上位のものとしてみんな考えているわけですから、そこはどこかで、駄目なら駄目、いいならいいというのを、ここに入れておく。中畑委員会のときは、それがペンディングという形で指針を作りましたよね。
○中畑委員 非常に膨大な時間、恐らく2年近くを費やしたのではないかと思います。最終的にはいくつかの案は出たのですが、最終的にはこの指針の中に盛り込むのは無理だろうと。今の日本の社会では無理ではないかという結論に達して、この指針には盛り込まなかったという結論にしたわけですので、その点をもしこの指針の中に入れ込むとすると、膨大な議論が必要ではないかと思うのです。
 私の気持ちとしては、今回はそれをもう1回議論するのではなくて、前と同じで、しばらく日本では中絶胎児からの神経幹細胞移植というのは用いないという形で進めて、今回はES、iPS細胞を盛り込んだ指針の改正に主眼を置いて、中絶胎児をどう扱うかについては、もう少し時間を掛けて。
○西川委員 指針のどこかには明示したのですか。
○高坂委員 現状では明示しています。
○中畑委員 そのまま続けていくのが、私は妥当ではないかと思います。
○松山委員 3章の(6)にインフォームド・コンセントの話が出てきます。これはあくまでもインフォームド・コンセントの話であって、例えば巷で、有償で、何か皮膚を残しておく、臍帯血を残しておくというところがあって、そういうところも同じように、連結不可能匿名化になっていて、例えば使えるのだという議論が進んでくるかもしれないので、そこは手当てが必要なのかなと思います。
 きっちりとやっている大学の機関などですと、我々はしっかりと透明性をもってやるのですが、例えば数年前に臍帯血バンクが1つ倒産して、それが地裁で差押えになったというニュースを見たことがあるのです。それが物件として出ていた場合、例えば入札した会社が、完全に連結できないと。それを使って、何か新しいことができるのだということを言われた場合、手当てが必要になるのだろうというところはあります。
 加えて、そういうところがなぜ駄目かという話は、きっちりと品質管理ができているかどうかというところがあるので、ここはあくまでもインフォームド・コンセントの問題なので、ほかの章で品質クオリティーはしっかりと管理して、そういうところができているところでなければ、スタートできないようにしておくべきなのかなというところはあります。
○原専門官 先ほど西川委員から御指摘いただきました、中絶胎児由来の神経幹細胞についてですが、14ページの2に、「ヒト胎児(死胎を含む)から採取された幹細胞は、この指針の対象としない」と、現行指針でありまして、この点はよろしいでしょうか。
○西川委員 変更していないということですね。
○原専門官 はい。
○西川委員 分かりました。明示してあればいいです。
○町野委員 「対象としない」というのは、対象としないからどうぞ御勝手にという趣旨ではないですよね。普通だと、我々のほうの用語はそうなのです。対象としない、禁止しているというのは、指針は大体そういう考え方でできていますが、普通の用語とはちょっと違うということなのです。
○永井委員長 そこは明確に書いたほうがよろしいということですね。
○位田委員 その当時の議論で、委員会の大多数は使っていいことに合意していたのですが、反対する意見が非常に強い部分もあったので、決めないでおこうということで、了解としては、やらないでおこうというものです。しかし、「やってはいけない」という書き方をしなかった。やってはいけないといってしまうと、そこまでの合意も実は取れていないのです。
 だから、解釈をすると町野委員のおっしゃるとおりだと、私も思います。つまり、ここから除外するということは、この規制は掛からないので、やっていいというように法律家は読むと思いますが、あの委員会の趣旨は、やってはいけないということで了解しましょうという話だったと理解しています。
○中畑委員 私はそうは読めないのです。これは幹細胞を用いた臨床研究の指針ですので、死亡胎児由来の神経、例えば脳の中に幹細胞が含まれているとすれば、この指針の対象になるわけですから、その指針の中で、その死亡胎児は含めないということは、それを使った医療はやってはいけないという読み方ではないかと思います。
○永井委員長 とりあえず、このままにしておくということでよろしいですか。ほかに御意見はございますでしょうか。そうしますと、ESの話をもう一度整理した上で、これももう一度御確認いただくということで、おおむね全体としては了解ということにまとめたいと思います。
 大体時間になりましたが、このあとは参考人のお話がありますので、もう一度開催するということで、そのあとで全体の取りまとめをしたいと思います。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○原専門官 本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。本日の御議論を踏まえまして、修正した見直し案、今の参考人の点に関しまして、詳細等はメール等で改めてお伝えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 それでは、本日の第25回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL  03-5253-1111
内線 2587

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