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2012年11月14日 医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第9回)議事録

○日時

平成24年11月14日(水) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

論点骨子(修正案)等について

○議事






    医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第9回)




         日時 平成24年11月14日(水)
         16:00~
         場所 厚生労働省専用第23会議室(19階)


○臨床研修指導官 まだ時間が若干早いですが、皆様おそろいですので、「医師臨床研修制度評価に関するワーキンググループ」を開催致します。
 本日は先生方には御多忙のところ御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
 また、本日の議題に関連いたしまして、岡留委員からの御紹介で、参考人の先生にお越しいただいております。済生会熊本病院院長の副島秀久先生でいらっしゃいます。
 また、文部科学省医学教育課からは、渡辺企画官にお越しいただいております。
 以降の議事運営については、座長にお願いいたします。堀田先生、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 皆さんこんにちは。お忙しいところをどうもありがとうございます。時間が少し早めですが、皆さん非常に正確にお越しいただきまして、ありがとうございます。それでは議事を進めて参ります。
 資料の確認をしたいと思います。事務局からお願いします。
○臨床研修指導官 お手元の資料の確認をお願いします。いちばん上が議事次第、委員名簿等、ヒアリング資料(副島先生の資料)、事務局提出資料1で論点骨子(修正案)、事務局提出資料2で参考資料(案)、別添1~4で各アンケート調査結果概要。事務局提出資料3で地域枠等について。参考資料で施行通知です。最後に資料番号等は付しておりませんが1枚紙で「抜粋」と書いてある平成21年6月30日付けの事務連絡です。
 不足する資料等がありましたら、事務局にお申し付けください。以上です。
○堀田座長 よろしいでしょうか。特に問題がなければ、それでは議事に入りたいと思います。
 本日は、「論点骨子(修正案)」を中心に議論をします。その前に副島先生に本日参考人として来ていただいていますので、ヒアリングに入りたいと思います。まず、御紹介をいただいたのが岡留先生ですので、その趣旨等について岡留先生から御紹介ください。
○岡留委員 本日は済生会熊本病院の副島院長先生に来ていただきました。彼は私ども済生会病院長会80病院の医療政策委員会の委員長をしておりまして、こちらのほうで今の医療制度に関わる病院団体としての提言といったようなことをいろいろとしていこうという姿勢でおられます。今日は臨床研修制度における、研修医の定員数はどこで決まったのだろうかというような問題が一つあること。実際研修医が本当に研修するための1人当たりのボリュームというか、臨床症例数をどういうふうに考えて捉えるかの検討を副島先生にしていただきました。先生のほうからさっそくプレゼンテーションをお願いします。
○堀田座長 副島先生、よろしくお願いします。
○副島参考人 それでは私のほうから、先ほど御紹介ありました臨床研修医制度の医療機関の定員と、研修医1人当たりの症例数についての検討ということで話をしたいと思います。こういう調査をする切っ掛けとなりましたのは、私は7、8年ぐらい前に日本医療・病院管理学会で、研修医修了2年後のパフォーマンスを当院が15、6年調べておりました。3年目に来たときにどのようなパフォーマンスをやっているか。特に救急が多い関係上、2年間で経験した挿管の数、大血管の確保、DCの数、心臓マッサージの数、この4点について全員を調べたらておりますが、どこで研修をしたかによって、大きな差がありました。
 本来この臨床研修制度は非常に良い制度であり、広く臨床能力をつけることについては、私も非常に前向きに捉えています。一方でパフォーマンスといいますか、どこで研修をしたかによってかなり大きな差が出てしまう。それが後々の医師の研修において大きな影響を与え、医師の偏在ということにつながっているのではないか。政策委員会の委員長という立場でこれについていろいろ調べました。さっそく進めていきます。
 目的は臨床研修をより充実したものにするためには、研修指定病院にある一定程度の医療ボリュームが必要ではないか。つまりある症例数が確保されないと実際には臨床研修の実が上がらない。どの程度が適切か、多ければ多いほどいいのでしょうが、それに限界があります。厚労省の平成22年度の「DPC導入の影響評価に関する調査」及び医師臨床研修マッチング協議会の「平成22年度のプログラム毎マッチ結果および応募者数」のデータを用いて、研修医の適正定員数とはどういうものなのかを推測いたしました。
 方法は研修医の定員数と1か月当たりの救急車搬送数、緊急入院数、手術件数、入院総数を全ての研修病院で検討をいたしました。この4項目がデータとしては得やすいことと、広く臨床能力をつけるためには、やはり救急対応、緊急手術、入院総数、こういった内容が全て関与しているだろうと考えられたので、これについて検討をしました。
 また、研修医定員数と、研修医1人1か月当たりの救急車搬送数、入院数、手術件数、入院総数を検討いたしました。
 3番目に、研修医定員数と研修医1人1か月当たりの救急車搬送数、緊急入院数、手術件数、入院総数を特定機能病院と一般病院で比較をしております。今日は事実だけを述べ、いろいろな解釈とかそういったことは述べません。
 結果1として研修医定員数と、1か月当たりの救急車搬送数、緊急入院数については、強い相関はないものの比例的です。手術件数、入院総数について有意の正の相関が見られます。これはある意味当然で、大きな病院が一定程度の研修医を定数として持っている、ボリュームに応じた研修医の定数にはなっているだろうと考えます。
 グラフは、1か月当たりの救急車搬送数が左の縦線、研修医の定員数が横線、赤が特定機能病院、黒が一般病院で緩い正の相関があります。要するにボリュームが大きい病院は、それなりに定員数は多い。さらに、1か月当たりの緊急入院数を見ても緩やかな右肩上がりで正の相関があることが分かります。
 手術数についても相関があり、大きな病院は確かに1か月当たりの手術件数は多い。ボリュームが多いところは、当然定員数が多いと言えると思います。研修医の定員数と入院総数も当然同様になります。結論としてボリュームが多いところはそれなりの定員数を確保していると言えます。
 問題は、1人1か月当たりの医療ボリュームです。グラフは救急車の搬送数ですが、非常に定員が少なく、1人当たりの救急車数が多いところと、定員が多く1人当たりにするとかなり少ないなどのアンバランスをどのように考えるかです。
 研修医の一般的な臨床能力という意味では、緊急入院が一つのポイントになります。それも同じグラフになり、定員数が少ないからといって研修実績が上がらないとか、あるいは研修の密度が低いなどは、一概に言えないと思われます。
 これを手術件数・入院総数で見ても同じようなグラフになり、研修医の定数が少なくても、ある一定程度の手術件数を確保している病院は、それなりにある。1人当たりの入院総数で見ても同様で、規模が小さいからといって、研修が不十分ではない。従って一定程度の規模でラインを引いて、これを基準値にしてはどうかというのが一つの提案です。
 結果ですが、研修病院間で研修医1人当たりの症例数に極端なばらつきが見られます。つまり1人当たりの研修ボリュームは経験度につながっていくにも関わらず、極端なばらつきが見られますし、必要十分な経験を積まずに研修を修了している可能性があり、しかも3年目になっても十分な研修を積んでいない場合も生じます。
 事実この間、3年目の研修医が来て、研修実績つまり、挿管の数や大血管の確保数があまりにも少ないので、当院の救急を任せるのは難しい。このように十分な研修を終えないまま上級医師になり、その彼らが研修医を指導することになります。自らが十分な研修を行っていないため屋根瓦的指導というものが確立できない。
 そこで提言ですが、この事実を踏まえ十分な経験数を確保するために、研修医1名に必要な1か月の症例数はどの程度かを考えました。救急車搬送数の平均はかなり低く見積もられていますが、平均15台/月となります。この15台が適切かどうかは別として、平均値、最低ラインという議論をすれば15台程度になります。緊急入院数は月に30例近くは必要で、平均34例ですが、かなり低く見積もっています。
 手術は40件以上で、これもかなり低い数字だと思います。入院数は100例以上必要です。この程度で本当に十分な研修ができるかは別とし、少なくとも現時点ではこれ以下の症例数のところも非常に多いということが言えると思います。
 どこかにどのような線を引くかと考えると、内容的な重要度は救急車搬送、緊急入院、手術・入院数の順でいずれも重要度が異なります。教育的にいちばん重要度が高いというものが救急車対応の能力、次が緊急手術に対する対応、一般的手術、一般的入院と考えてはどうでしょうか。私の主観的なスコアですが、救急車に5点、緊急入院が4点、手術が2点、入院が1点などの重み付けを行い研修医定員数を割り出してはどうかというのが一つの提言です。
 もちろん指導医がいるかも重要なポイントになるかと思います。指導体制は非常に重要で、指導医の数等を勘案することで若干の補正をかける必要はあります。しかしそもそも医師にとって「最高の教師」である患者がいなければ、指導体制が充実していてもある意味空疎であるということが言えるかと思います。
 まとめです。臨床研修は国費が投ぜられていますので、我が国の医療水準を向上させるという意味でも、研修に最低限必要な1人当たりの経験症例数といった量の議論、質の議論以前に量が確保されていないというところに大きな問題があるのではないかと認識しています。研修医1人当たりの臨床実績で定員を配分し、修了後その地域の病院に定着すれば、当該地域の医療需要に比例した研修医配置、医師配置ということが期待できます。もちろん研修を終わって移動するのは自由です。自由ではありますが、少なくとも研修医のレベルにおいて、医師の偏在はある程度是正できるのではないか、またその人たちが定着すれば、長期的には医師の偏在というのは少しずつ解消されるのではないかと考えます。
 つまり医療需要総体に見合った研修医定数あるいは医師の配置がなされ、将来的にもそこに残って頑張っていける医師が増えれば、必然的に偏在は解消していくのではないかというのが一つの提案です。以上です。
○堀田座長 ありがとうございました。あえて事実を淡々と述べるということで結論は言わないとおっしゃっていましたが、最後にご意見をおっしゃいました。細かく議論をするといろいろ論点はあるかとは思います。これを参考にして今後の論点整理に入りたいですが、今ここで確認をしておきたいこと、今の副島先生の御発表に対して御意見はありますか。
○岡村委員 先生ありがとうございました。大変クリアカットな説明で分かりやすかったです。先生はいろいろ具体的に救急車の搬送件数、緊急入院数をおっしゃいました。しかし、手術件数、手術は局所麻酔から大きな手術まであります。入院数は入院の中身、症例が大分違うと思います。それに関しては、先生はどのようにお考えですか。
○副島参考人 そこまでは分析ができていないのですが、一般に手術というとヘビーな手術から局麻のような軽い手術をやるところまで幅が確かにあります。私は研修医はある程度一般的な臨床の場を経験しておいたほうがいいと思います。ヘビーなものを最初から経験するのはなかなか難しい。むしろそれは専門医の領域になってしまいます。この一般臨床研修という制度の趣旨から考えると、局麻でもある程度は良いと考えます。もちろん単科で眼科に偏在しているところはややバラエティを考える必要はあるかと思います。一般論として、ある程度のボリュームは確保しておいたら最初のスタートラインにはなるだろうと考えております。
○堀田座長 最初に確認だけします。これはあくまで基幹型の病院に限ってのデータで、協力型等は含まないこと、募集定員数を分母にし計算しているという確認でよろしいですか。
○副島参考人 はい。
○堀田座長 ということです。
○小森委員 今の座長の御意見に似ているのですが、多くの病院、特に大規模な基幹型臨床研修病院は、周辺の多くの協力型病院と、いわゆるたすき掛けみたいな形を取っています。そのことについては今日お示しをいただいた試算にはしっかり組み込まれていると認識してよろしいですか。
○副島参考人 それは把握されていません。そこの病院のパフォーマンスとそこの病院の定数だけで割り出しています。たすき掛けして、そこでどのような症例を経験しているのかは基本的に入っていません。ただ言えるのは、たすき掛けにしろ何にしろ、ある程度の経験数、ボリュームがないと、臨床研修は効果を上げることはできないという事実です。むしろたすき掛けをするぐらいなら最初から、地域の研修病院で研修したほうが効果は上がるのではないかと考えております。特殊な科を除き、あえてたすき掛けをする必要があるのかという問題は残ります。
 大学でもそこの病院で基本的には8割ぐらいやってしまうというぐらいのボリュームは必要と思います。後の特殊な2割ぐらいをたすき掛けのグループの中でやるというのが妥当かなというのが私見です。
○神野委員 先ほど最後のほうに出された研修医1名当たりの平均値と、それを元にした数字を見て驚きましたが、当然非常に少ないということで驚きました。分布図を見ると相当ばらつきがありますので、アウトライヤー、特に低いところの分析とか、病院の性格とかは検討していますか。
○副島参考人 先ほどの低い部分は、たすき掛けをして何らかの症例を確保している可能性はあります。ただ、たすき掛けして他で症例数を確保するのなら、相当の数を確保しないといけないのもあり、そうであればたすき掛けをせず、最初からその病院が定員数をもって、ある程度育てたほうがいいのではないかと思います。そちらのほうが研修効果は上がるのではないでしょうか。いずれにしろかなりのばらつきがあるのは事実で、これを是正するためには何らかの策が必要だろうと思います。
○田中委員 研修医の少ない、定員の少ない病院というのは縦軸のほうは、どの項目も結構多いのですが、これは別に研修医が入院患者をみんな受持っているとも限らないのではないですか。
○副島参考人 そうですね。少ないところはどうしても田舎のほうの病院でマッチしない。結果的にはマッチしていない病院が多いと考えます。それでもある程度の症例数が確保できれば私は地域の研修医指導能力をある意味信頼して、そこで経験を積ませたほうがいいのではないかという気はします。そもそもボリュームのないところで研修をさせても、座学であったり、見学であったりと学生の域を出ないようでは、やはり臨床研修制度としては、不十分であろうと認識をしています。
○堀田座長 ほかにいかがですか。ありがとうございました。それでは、取りあえずここまでにしておき、論点整理の議論の中に含めていただければと思います。前回、論点整理に入ったのですが、年内にまとめるという流れから言いますと、前回は3分の1しかできませんでした。そういう意味で今日はなるべく多くできるところまでやり、あと1回は整理に残しておきたいということかあります。前回からの修正点について、まず事務局からお願いします。
○医師臨床研修推進室長 お手元にお配りしている資料の事務局提出資料1の「ワーキンググループ~論点骨子(修正案)~」を御覧ください。かねてから御案内のとおり、本ワーキンググループにおいては、年内(12月)までに論点をまとめていただく方向で御議論をいただいているところです。前回のワーキンググループにおいてお示した論点骨子の案に一部修正を加えております。
 修正内容は主に2点です。1点目が、それぞれの論点の下に「参考」として、これまでのワーキンググループにおける委員の先生方からの主な御意見を添付しております。ワーキンググループの目的としては、あくまでも論点の整理ですが、その途上でいただいた論点に係る様々な御意見を含めて、年明けから始まる臨床研修部会における具体的な制度見直しの検討に資する趣旨です。
 具体的には、例えば1ページの基本理念の部分ですが、論点の下に「参考」、主な御意見として「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できる」「プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身に付ける」等が盛り込まれた現在の基本理念は重要であり、変更する必要はないのではないか。3ページの「参考」の到達目標の内容としては、臨床研修の到達目標の検討に際しては、卒前教育との連続性に配慮する必要があるのではないか。評価手法では、到達目標の評価については、諸外国の状況も踏まえ、単に経験したか否かではなく、状況に応じて適切な行動がとれるかどうかを評価するという「コンピテンシー」が重要であり、その考え方に合わせ、現在の到達目標を見直す必要があるのではないか、といった御意見を賜っておりますので、それを記述しております。それが1点目です。
 2点目は、論点の項目として、1枚目の「目次」を御覧いただきますと、4.「その他」の1)の地域医療の安定的確保の項目を追加しております。これはこれまでワーキンググループにおいて、臨床研修制度が地域医療に与えた影響についてはヒヤリングを実施するなど、地域医療の充実あるいは確保の重要性を踏まえながら、御議論いただいてきたところで、その結果が、例えばこの中でいうと、指定基準の中の研修プログラム、あるいは募集定員の設定などの項目に枝分かれして整理されているものです。
 ただ、項目として挙げていないと、あたかもこのワーキンググループでは地域医療に配慮した議論を行っていないかのような誤解を生じかねないため、あえて項目立てをして明記する趣旨です。
 参考資料についてですが、事務局提出資料2を見ますと、これは非常に大部になっていますが、前回のワーキンググループでは非常に雑駁な形でしかお示しできませんでしたが、そのあとブラッシュアップをさせていただいております。基本的にはこれまでワーキンググループにおいて御提出いただいた資料からの抜粋ですので、時間の関係もあって、この場での御説明は割愛させていただきますが、1点補足しますと、この中の最後の、項目では目次の最後に、別添の1~4のアンケート調査があります。これは堀田座長の下での研究班にまとめていただいたものです。これについては本来であればそれぞれの項目で枝分かれさせるというオプションもありますが、アンケートとして一括したほうが皆さんに御理解していただきやすいと思いますので、この形での添付をしております。
 なお、このアンケート調査をはじめとして、研究班のデータ等については、今回のワーキンググループに間に合うように研究班の先生方、大滝委員、片岡委員、田中委員をはじめ、先生方に至急概要をまとめていただいた経緯がありますので、現段階では整理途上、ないしは中間整理的な意味合いです。その点は御理解いただきたいと考えております。
 資料1に戻って、全体の修正点等は以上ですが、論点項目を便宜上、前回は三つに区切って御案内しました。一つ目の区切り、この中でいうと、2.の2)の必要な症例までは御議論いただきましたが、残る二つ目と三つ目の区切りについては、時間の関係で御議論いただけなかったものですから、本日、まずはこれらの項目について御議論いただきたいと考えています。前回、項目の御説明までは申し上げましたが、念のため簡単に論点のみを確認させていただきます。
 まず二つ目の区切りの6ページの2.の3)の指導・管理体制です。論点としては、現在の指導・管理体制に係る指定基準についてどう考えるか、研修管理委員会の在り方についてどう考えるか、現行の診療科に加えて必修(病院独自に必修としているものも含む)又は選択必修になっている診療科についても、指導を必置とすることについてどう考えるか。
 4)募集定員の設定の?「募集定員の設定方法」については、論点としては、各都道府県の募集定員ということで、地域医療への影響も踏まえ、現行の各都道府県の募集定員の上限の設定について、例えば新たに人口当たりの医師数や高齢者割合などを加味することについてどう考えるか。激変緩和措置は平成25年度末まで募集定員の上限は前年度の受入実績の90%を下回らないようにする。この措置についてどう考えるか。各研修病院の募集定員については、現行の臨床研修病院の募集定員の算定について、例えば医師派遣加算について、派遣先が医師不足地域である場合などを加味することについてどう考えるか。激変緩和措置、平成25年度末まで募集定員が前年度の内定者数を下回らないようにする措置についてどう考えるか。産科・小児科特例プログラム加算についてどう考えるかという論点があります。
 ?の地域枠への対応ですが、論点2としては、地域枠と都道府県の募集定員ということで、都道府県の募集定員には地域枠も含まれていることについてどう考えるか。他県に係る地域枠であっても、当該大学の所在都道府県の募集定員に反映していることについてどう考えるか。地域枠とマッチングとの関係については、地域枠の学生とマッチングとの関係についてどう考えるかという論点があります。
 なお、この論点に関連して前回のワーキンググループで小森委員から、地域枠の詳しい資料を用意されたい旨の御指摘がありましたので、今回、別途事務局資料3として資料を用意しておりますので、そちらの説明をいたします。
 事務局提出資料3「地域枠等について」です。この資料の多くは、前回ワーキンググループでも参考資料として含まれていましたが、今回は便宜上、特出ししてまとめております。したがって最終的には先ほどの参考資料の中に一括したいと考えております。1ページは地域枠等の分類です。これまでいろいろな分類、バリエーションがあると申し上げましたが、具体的にはどういうバリエーションがあるのかという資料です。例えば、奨学金の有無ですが、奨学金を出していたり、いなかったりというバリエーションがあります。実施主体についても、大学、都道府県あるいは政令指定都市を中心とした市町村が実施をしている場合もあります。医学部定員増との関係については、これを政策的に定員増として実施して措置しているか否かの違いがあります。勤務地の限定についても、例えば個別病院を指定していたり、都道府県内の病院から自由に選択できるといった限定の仕方にも違いがあります。したがって、これらの包含関係を、例えばベン図のようなもので示すことがなかなか難しい状況です。
 2ページです。その中でも地域の医師確保を目的とした都道府県地域枠とあります。これが、いま申し上げた地域枠等のうちの最も狭義、すなわち狭い意味での地域枠で、平成22年度から医学部定員増として盛り込まれているものです。その要件は二つあって、大学の医学部が設定する学生の選抜枠であるということ。
 もう一つは都道府県が設定する奨学金の受給が要件になっているということです。奨学金の例としては記載のとおりで、例えば月額10万円ないし15万円を支給するということです。返還免除要件としては、下記のような条件、すなわち都道府県内の特定の地域や医療機関を特定している、あるいは指定された特定の診療科を要件として医師として貸与期間のおおむね1.5倍、すなわち9年間従事した場合にその奨学金の返還が免除されるという要件になっています。これらの対象者については平成22年度からですから、平成28年度以降、地域貢献をする方々として卒業されてまいります。平成22年度入学定員については313名が平成28年度に卒業見込みであるのをはじめ、適宜372名、437名と増えてきます。
 なお、医学部定員増については、政府としては平成22年の2年前の平成20年度から一部の大学で地域医療を担う医師の養成のための定員増を認めております。ただ、その対象者については平成20年度からで、平成26年3月以降卒業する見込みですが、これらについては奨学金の設定はしていても学生の受給までは要件とはしておりませんので、ここで言う狭義の地域枠には整理しておりません。
 4ページは文部科学省で作っている資料ですが、いわゆる地域枠等の状況ということで広い意味での地域枠です。先ほどの狭義の地域枠は、これらの内数となっています。平成23年4月現在で67大学で、1,292名の地域枠、いわゆる地域枠等が設定されています。経年変化は御覧のとおりです。
 5ページも文部科学省で作っている資料です。地域枠等で入学した者の卒業後の状況、すなわち就職状況等の進路という意味ですが、これらの大学については、地域枠等による入学者のほうが一般の入学者よりも卒業後にこの都道府県内に残る割合が高くなっています。具体的な県内定着率の平均は、地域枠等が89%に対して、一般枠は54%になっています。これらは定員増を伴わない広い意味での地域枠についてです。
 3ページに戻って、地域枠等の分類と臨床研修制度との関係についてです。これも以前、御案内しましたが、全体の中で、例えば卒業後の勤務条件があるかないかによって大きく分かれます。そのうち、卒業後の勤務条件がある場合でも、そこに???と記載していますが、初期臨床研修は指定された特定の医療機関で実施する。あるいはこの初期臨床研修は県内の医療機関から自由に選択する場合もあります。?として、初期臨床研修ではなく、初期研修後に地域医療に従事することを条件としている場合もあります。いろいろバリエーションがあるということです。
 6ページも、以前、御案内したマッチングとの関係です。現行では地域枠の学生もマッチングに参加して臨床研修を行う病院を決定しております。すなわち一般枠の学生と同様の扱いですが、自治医科大学と防衛医科大学校は別枠になっており、マッチング前に病院が決定される仕組みになっています。
 その具体的な数については7ページに記載しております。ほとんどの場合は研修医のマッチングシステムに乗って、研修病院が決定されておりますが、ごく一部はマッチングに不参加の病院、研修医があって、この中では2名となっています。それ以外に自治医科大学、防衛医科大学校の卒業者がマッチングとは別に病院を決定しています。
 8ページは、地域枠等と募集定員との関係です。現行では都道府県の募集定員の上限算定には地域枠も内数として算入しています。具体的にはこの例で言いますと、この大学の入学定員100名のうち、一般枠が70名で、地域枠については、このA県の地域枠以外に、例えば10名のB県の地域枠が設定されていた場合です。この場合のA県の募集定員の上限の算定には、?の医師養成状況を御覧いただきますと、A県の医学部定員100名とあります。すなわちB県の地域枠10名分も含めてA県にカウントするということですので、理論上は、B県の地域枠についてはB県の募集定員にカウントすることもあり得るということです。資料3の御説明は以上です。
 資料1に戻って8ページの5)の研修医の処遇等の確保です。論点としては、給与・手当については、研修医の給与・手当の状況についてどう考えるか。労働環境については、研修医の労働時間の状況(当直回数や当直明けの連続勤務等を含む)についてどう考えるかという論点があります。二つ目の区切りはここまでです。よろしくお願いいたします。
○堀田座長 ありがとうございました。それでは、ただいまから論点整理に入りたいのですが、順番に行いたいと思います。6ページの3)の指導・管理体制からです。これについて現在の論点に対して加えること、あるいは御意見がありましたら頂きたいと思います。なお、どうしても意見が合わないこともありますので、そういう場合は両論併記になりますし、皆さんで一致したことがあれば、提言という形で書いてもいいのかなと思っています。御自由に御議論いただきたいと思います。それでは、指導・管理体制についていかがでしょうか。
○神野委員 伺うと、指導医がいなくても臨床研修病院として応募する病院がある。すなわち指導医講習会をこれから受けるので臨床研修病院になりたいといった病院もあるやに聞きます。プログラム責任者講習会はなかなか狭き門かもしれませんが、指導医講習会は、いろいろな団体で、たくさん行っていますので、指導医研修が終わった指導医が必置であるということは明記してもよろしいのではないか。それが質の担保になるのではないかと思います。
○医師臨床研修推進室長 補足させていただきます。資料の10ページの?の「制度運用上の問題」の二つ目の○に「また、指導医講習会は、翌年度の受講予定の段階で申請されている場合がある」とあり、これを受けて、論点のいちばん下の「指導医講習会の受講と指定申請の時期との関係についてどう考えるか」という部分だと思われます。
○神野委員 失礼しました。もう一つ考え方として、プログラム責任者の講習まで必須にするかどうかは、本質的にはそこまで必要なような気もするのですが、そこのところはまたすり合わせたいとは思います。
○堀田座長 その部分は後のほうの論点でよろしいですか。
○神野委員 はい。
○堀田座長 それでは、そのほかで指導・管理体制について、何か御意見があればお願いいたします。片岡先生、いかがですか。
○片岡委員 私も、指導医講習会は非常に意味があると思うので必置ということで神野先生の意見に賛成です。
○堀田座長 そのほかにいかがですか。研修管理委員会の在り方等については、何か御意見がありますか。研修管理委員会の中に研修医が入っているかどうかについては、どのようでしたか。
○医師臨床研修推進室長 施行通知の中に研修管理委員会の構成員ということで要件が定められており、もちろん病院の管理者、これに準ずる者。事務部門の責任者、これに準ずる者。それから研修プログラムのプログラム責任者、群を構成するすべての関係施設の研修実施責任者といった要件はありますが、具体的に指導医について、研修管理委員会の構成員に含まれなければならないということは直接は記述はしておりません。
○片岡委員 病院アンケートにおいて研修管理委員会を開催していない所が、非常に少ないながらも存在しているので、そういう所は指導があってもいいのではないかと思いました。
○堀田座長 開催実績がない所が若干だけれどもあるということですね。もし開催していないとすると修了認定等はどうやっているのですか。
○医師臨床研修推進室長 基本的には臨床研修終了後というか、臨床研修については毎年実施状況については報告をしてもらっており、その中に研修管理委員会についても開催したかどうかまでは、私どもで報告の中の項目には入れておりませんので、改めて聞いてみないと分からないところがあると思います。
○堀田座長 基本的には例えば研修修了認定もそこを通す必要がありますよね。ですから、開催しなくて、どうやって通しているのかという気がしてしまうのです。ですから、これは必ず開くとしたほうがいいという御提案ですね。ほかにはいかがでしょうか。そうすると、先ほどの指導医の必置については、科目についてはいかがですか。
○大滝委員 研修する所には指導医がいることが原則的には必要だと思います。制度が始まった当初は難しい状況だったと思いますが、指導医講習会をかなりの数の方が受けておられる中で、科によっては1人もそういう方がおられない所もまだあるとは思いますが、研修制度について理解していただいた上で指導していただくということからも、私は最低1人の指導医がいる所にローテーションする、あるいはそれが間に合わなければ講習会を受けたあとでそこで研修していただくという形が望ましいと思います。
○堀田座長 そうすると、例えば診療科に指導医が1人しかいなくて、年度の途中で異動してしまったりすると、そこは回れなくなってしまうという話になりますが、それもやむを得ないということですか。
○大滝委員 緊急避難的なことは、当然何か考えなければいけないとは思いますが、原則として、計画の段階で既に取った人がそこにいるということは、今後は望ましいと思います。
○堀田座長 この論点の中に「指導医を必置とすることについて」となっていますが、望ましい程度だったら、いまでもそうだということになってしまうので、その辺りの御意見があれば伺いたいのですが。
○田中委員 いま指導医講習会を受講して指導医の資格を持っている人は何人ぐらいいるのですか。かなりいるのではないでしょうか。
○堀田座長 それは事務局で分かりますか。
○医師臨床研修推進室長 ございます。
○堀田座長 もしすぐ出てこないようだったら、ほかの論点で御意見をいただいていてもよろしいかと思います。
○田中委員 というのは、恐らく相当な数になっていますので、全ての診療科に必ず1人ずつというのは難しいかもしれませんが、病院の中で、例えば一定数いるということは必置にしてもいいような状況になっていると思います。
○堀田座長 先生のおっしゃる一定数というのは、診療科についは網羅的にする必要はないということですか。
○田中委員 必修の診療科においては必要だろうと思います。
○医師臨床研修推進室長 すぐには出てきませんが、記憶では大体4。
○臨床研修指導官 先ほど田中先生に御紹介いただいた指導医講習会の状況を、参考資料の59ページに第3回目の本ワーキンググループで示しております。データがやや古いのですが、平成22年度までの延べ数では4万3,000人強は講習会受講者がいるということになっています。
○堀田座長 という状況です。必修診療科には指導医を置くのを原則とするということでよろしいでしょうか。そのような形でこの場としてはまとめたいと思います。
 では、次の論点に行きますが、募集定員の設定について、ここの論点はいかがでしょうか。都道府県の募集定員、研修病院の募集定員という二つの論点があるかと思います。ここの論点の中には人口当たりの医師数あるいは高齢者割合などを加味することが必要かどうかということが論点としては出ておりますが、これについて何か御意見があればお願いします。
○神野委員 これこそ先ほど副島先生がプレゼンテーションなさったように、ここでは人口とか高齢者数とかという話ですが、実際の症例数、救急症例数、入院症例数なども何らかの指標を入れるべきなのかなと思います。
○堀田座長 具体的には例えばどのように。
○神野委員 先ほど副島先生がお示しになった救急とか、入院数、手術数、そのほかに指標として外来患者数ももしかしたらあるかもしれませんが、しかも研修医1人当たりですが、そういった数値は、先ほどの副島先生のプレゼンテーションに皆さん納得されていたと思いますので、あのような指標は必要かと思います。
○小森委員 いまの神野委員のおっしゃったことに賛成の部分もありますが、基幹型病院のみの人数で割れば、特定機能病院は当然低くなりますので、そこは協力型病院との合算で計算をすべきだと私は思っています。数値目標等を入れることについては、一体どういうものが適当かというディスカッションが必要だということと、いま申し上げた基幹型病院の本院の人数で割ってしまうことは相当問題が大きいだろうということだけは申し上げておきたいと思います。
○堀田座長 確かに小森先生がおっしゃるように、たすき掛け、あるいは協力型で行っている間に経験する症例については、副島先生の報告にはなかったのですが、それを調べようと思うと、何箇月行っているのかまでたどらないと分からないということになってしまうので、恐らくそこで止められたのだと思いますが、何か御意見はありますか。
○片岡委員 病院アンケートのことですが、別添2の6ページに臨床研修病院の定員について、各病院の責任者の回答をグラフ化しています。そのときに病院の研修医の募集定員を決定する要素として重要である項目ということで、明らかにそこでイエスが多かった項目が3番の救急症例数で、こちらは先ほどの議論のとおりかと思います。
 それ以外に多かったのは、指導医の数、教育指導体制の堅実性です。それ以外に例えば担当の入院患者数などはもともとの項目に入っていなかったので、そこは測れないということと、5番の教育指導体制の堅実性というのは漠然としているので、これを数値化できるのかという問題はありますが、病院の責任者の御意見としてこういうものが多いという状況でした。
○堀田座長 そのほかに、田中先生。
○田中委員 小森先生のお話にも関連しますが、例えば協力病院が県外に分布している場合も結構ありますので、そういう場合に都道府県の募集定員の上限が、基幹型病院のある場所ということで限定するのが妥当かどうかという問題もあると思います。
○横田委員 いまの意見に同じですが、都道府県によって他府県への医師派遣、他府県の医師の育成ということを担っている場合もありますし、その辺で結構凸凹があります。そういうことも加味していただくような都道府県の定員の決め方になっていただけるとありがたいなと思います
○堀田座長 病院群の話についてはあとで別項目がありますし、そこで御意見をいただけるかと思います。都道府県の枠という激変緩和措置がなくなったらひどいことになるみたいな意見も一方ではありつつ、そのことについての影響はどの程度あるか、どうしたらいいかということは、きっといろいろ御意見があるかと思います。
○岡留委員 いつもこういう議論になると、総定員数、例えば人口割りとか、都道府県とか画一的なナンバーが出てくるのです。私はむしろ先ほど副島先生がおっしゃったように、その疾患の、いまはDPC病院がほとんどでしょうから、非常に複雑にわたるかもしれませんが、罹患者数から逆算して、どういう疾患が多いので、例えばここは研修医数をこのように決めようとか、より具体的なインベスティゲーションが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。非常に難しいでしょうが。
○堀田座長 難しいというか、県ごとの単位で疾病構造に対応する。
○岡留委員 ええ。それが地域の疾患別、あるいは将来的にはそこに定着するかどうか、地域の医療の崩壊を少しでも防止できるような一つの手段にもなるのではないかと思うのです。ちょっとうがった見方かとも思うのです。
○堀田座長 確かにいろいろ満遍なく地域が別でも研修を受けられているかという話になると、そこは問題点があろうかと思います。そのために病院群を作って、できるだけ豊富な症例に当たれるようにということになっているのだと思います。論点の一つだろうと思います。
○岡村委員 先ほどから話題になっている救急の症例数とか、岡留先生が言われたDPCのデータを誰がやるかという問題はありますが、活かすという手はあると思います。単純に人口ということで、都会の若年層が多い所と地方の高齢者で疾患が多い所とは単純な人口割りでは良くないので、いまみたいな救急とか、重篤な疾患をいくつか決めて、DPCから出して割り当てるという方法がいいと思います。
○堀田座長 それは一応意見として留めておいて、すぐには出てこないし、研究課題かもしれません。一つの論点ではあろうかと思います。
○小森委員 研修希望者数と臨床研修の募集定員のギャップいうのは常に問題になっているわけです。厚生労働省が示された資料では逆転現象が起こりますよと。とは言え、実際には合格定員数の問題がありますので、逆転現象は起こらないだろうと考えておりますが、基本的な理念として皆さんで1回御議論しておいていただきたいのは、募集定員数と研修員数をおおむね一致させるという方向で、私どもは主張していることを確認しておきます。
○堀田座長 その点に関しては参考意見に既に御意見もいただいており、定員数と応募者数が限りなく1に近づくと競争が働かなくなってしまうという問題が起こって、そういう意味で少し研修病院の質に問題が出てくることもあるかもしれないという指摘はありました。
 一方で乖離があれば、どうしてもその時その時によって研修医の集中度合いが違ってくるということがあって地域の偏在が生じる。その両方の問題点があろうかと思います。何かこの点で御意見がありますか。よろしいでしょうか。論点としてはそういった併記をしておくことにしたいと思います。
 それでは、その次に?の地域枠への対応ですが、先ほど説明していただきましたように、地域枠と言っても、いろいろなタイプがあって、一概に一括りになかなか言いにくいところがありますが、問題は狭義の地域枠にした人はマッチングの中にどう組み込めるのか、あるいはそれは無理なのかも含めて、きちんと議論しなければいけないのではないかと思います。この点について、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○田中委員 少し前に戻りますが、産科・小児科特例プログラム加算というのがありましたが、これが本当に有効だったのかどうか。データはないのですよね。
○堀田座長 それを検証しなければいけないですよね。産科・小児科特例プログラムで、実際に産科、小児科に進路を決めた人が増えたとか、そういうことはありましたか。
○医師臨床研修推進室長 それは分析をしておりませんで、必要であればこれから資料を収集したいと思っていますが、いまの段階ではありません。
○小森委員 先ほど事務局からも論点として提示をしておられましたが、近年、他県の地域枠を取っておられる所もあるわけです。それは本来、元の県というか、教育大学の医学機関に配置をするというのは、理論的にはいかがかなという感じはします。
○堀田座長 よろしいですか。導入の経緯としては、特例プログラムができたのは、弾力化措置よりも前でしたか。
○医師臨床研修推進室長 これは平成22年度の見直しのときに同時に導入したのです。
○堀田座長 ということは、弾力化と同時ですか。
○医師臨床研修推進室長 同時ですね。
○田中委員 もう3年目に入っていますので初年度の検証はできるはずです。産婦人科のプログラムから何人が産婦人科医に入ったか、小児科プログラムから何人が小児科医になったのかは検証できるはずです。
○堀田座長 そういうのは重要なポイントですね。せっかくプログラムを作ったのに、余り増えないのでは目的が達成できません。
○医師臨床研修専門官 御指摘の件は、臨床研修のアンケート調査で実数としてはかなり少ないのですが、小児科・産科プログラム実数を、いま3年目になっている専攻医をやられている方が多いのですが、どのぐらい産科と小児科に行かれたかというのは検討させていただきたいと思います。
○堀田座長 実は私の所に産婦人科学会から、こういう特例プログラムがあるが、全体として必須科目から産科が外れてしまったので、トータルで考えると産科医の志望者はむしろ減ったということで、もう一回弾力プログラムについて再考してくれないかという御意見を賜りました。
○堀田座長 実は私の所に産婦人科学会から、こういう特例プログラムがあるが、全体として必須科目から産科が外れてしまったので、トータルで考えると産科医の志望者はむしろ減ったということで、もう一回弾力プログラムについて再考してくれないかという御意見を賜りました。
○岡留委員 産科・婦人科の理事長から意見が回ってきましたね。
○堀田座長 そんな御意見もあるという現実もあります。
○岡留委員 地域枠の話でいいですか。
○堀田座長 地域枠のほうへもう一回話を戻していいですか。それでは地域枠のほうをよろしくお願いします。
○岡留委員 これは最初の導入のときは医師不足ということで、かなり政治マターのほうにニュアンスが強かったですよね。最初に入れたときの地域枠の設定の仕方は、マッチングとはちょっと違ったのではないかなと私たちは思ったのですが、植木さん、その辺はどうでしたか。
○堀田座長 その辺り経緯はどうですかね。要するに、臨床研修制度の場合、マッチングよりも前から地域枠でやっている所もありましたよね。そういう所からいろいろ進化してきて、いろいろなタイプの地域枠が出てきたものですから、どこからを検討対象の地域枠と言えばいいのかの整理が必要です。
○岡留委員 整理がつきにくいところがあるものですか。
○医師臨床研修推進室長 一部繰り返しになりますが、地域枠というと、政府としての医学部定員増員に伴う地域枠というのは、いちばん狭義では平成22年度入学者からです。それは我々としての整理、政府としての整理だけであって、医学部生あるいは研修医から見れば地域枠と呼ばれていて、かつ奨学金を受給して、地域への定着を条件とされているという部分では変わらない部分というのは、医学部定員増に関わらず以前からあったのです。ただ、そこの部分について卒業生が出てきたものであっても、いままではマッチングシステムの中では別枠ではなくて、一般枠と一緒にマッチングをしていただいて、いわば一般の枠と地域枠とがちゃんと競争をする形でマッチングシステムには乗っていただいてやっていたということなのです。
 これが少なくとも定員増との絡みで出てくると、先ほど小森委員がおっしゃいましたが、計算上は医学部定員増に我々の定員のカウントが追い付いていかない形になって、場合によっては計算が逆転するということになりますから、少なくとも地域枠に伴う定員増の部分については対応は確実に必要になるところです。
 ただ、これも何度も申し上げますとおり、地域枠が、いままであったものを含めて、ずっと積み重なってきているものを、その全部を定員の中に100%オンするのかどうかは賛否があると思います。どういう地域枠を、どういう形で定員にオンするのかというのは非常に難しい問題が出てくる、検討が必要だということと、その地域枠をマッチングシステムに乗せるのか、それ以外の所で個別の都道府県で調整をするのかは、非常に事務的な負担も生じますので、都道府県の御意見もお伺いしながら、やり方は考えていく必要があります。ただ、論点としては、いま申し上げたように大きくあるというとです。
○堀田座長 それは非常に重いというか、なかなか一概には言えない部分を含んでいますね。
○岡留委員 先ほど小森先生がおっしゃったとおりだと思います。必ずこれはコンフリクトが起こるのではないかと思います。
○岡村委員 地域枠の問題に関してはいくつも問題があります。地域の医師不足を補うために地域枠が増えたのですが、都道府県の定員の上限を超えた場合に、地域枠を増やした意味がなくなってしまうという問題が一つあります。
 もう一つは、「『地域枠』には、卒業後の勤務条件は特に定められていないものや」と書いてあるのですが、実際にそういうのがあるのですか。勤務条件もない地域枠というのは。
○医師臨床研修推進室長 地域枠という言葉自体の用語の定義が法令等で決まっているわけではないものですから、各大学で地域枠と称していれば、中身については自由なものなのです。そうすると、例えば正確なデータは把握していませんが、私どもが地域枠と言っても、入学枠として地元の高校、つまりその都道府県内の高校卒業者が受ける部分について地域枠と。それだけの理由で地域枠と称している場合もあると伺っています。
○岡村委員 要するに医学部の学生の定員を増やしたいがためだけであって、実際には卒業後のことを考えた考えではないということですね。
○医師臨床研修推進室長 そういうものもありますし、奨学金があったりなかったりというものもありますので、そういう意味では地域枠と私どもは言っていますが、常に「いわゆる地域枠」とか「地域枠等」という言葉にしているのはそういう意味です。
○岡村委員 私たちの考えでは地域枠というのは医学部定員増が、地域の医師不足を解消するための策としてできたというイメージがすごく強いのです。その場合に拘束力はないが、本来誓約書に、その都道府県で働きますということで書いてきた人たちが、拘束力がないからということで好きにやってもいいということになってしまうのであれば、最初の基本理念から、「医師が医師としての人格を涵養し、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識」ということに全く反すると思うのです。ですから、そういう意味で医学部定員増のために設けられた地域枠で入ってきた人たちはマッチングは別枠で、最初に入った条件の中でマッチングをするというのが本来あるべき姿ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○片岡委員 地域枠の学生の立場から見ると、奨学金をもらって、卒業後の義務がある場合、本人はちゃんと決められた所で研修しようと思っているのにアンマッチになってしまったという場合、当該施設や当該地域で研修できないとなれば、本人の義務を遵守する意思があっても奨学金の返還義務が生じてしまうということも起こりえます。これは極端な例かもしれませんが、このような可能性を考えると、広義の地域枠ではなく、先ほどお話があった例えば平成22年以降に導入され、一定地域での就業義務がある人というように狭義の地域枠を定義すれば、人数はそんなに膨大なものではないのではないかと思います。
○堀田座長 先ほどの話だと400人ぐらいでしたか。
○医師臨床研修推進室長 狭義の場合は地域枠については437人です。
○堀田座長 437人ぐらいで、岡村先生と片岡先生のお二方は、それは別枠でやるべきだという御意見ですね。
○横田委員 地域枠の研修の制度ですが、実際に自分の卒業した大学で研修をするとか、県内で研修するとか、その辺の義務付けは、かなり都道府県によって違うと思いますが、いかがでしょうか。初期研修を受ける場所です。
○医師臨床研修推進室長 説明が一部重複しますが、勤務条件の課し方も、実は一通りではなく、こことここというように特定の県内の病院を指定されているものとか、この都道府県内の中から自由に選択していいというものとか、しかもその時期が9年間ずっとなのか、そのうちの何年間で、それが初期臨床研修に被るか被らないかも違いが出てくるものですから、被らない部分について定員上の措置をしても、一部空振りになってしまうこともありますので、その辺りをもし定員にオンする、計算に組込むのであれば、いわゆる地域枠について詳細に分析をして計算式に載せなければいけないという形になろうかと思います。
○堀田座長 文部科学省に今日来ていただいているので、いまの地域枠、文科省としての考え方というか方針というか、将来、どのように地域枠を利用していくかということについてはいかがですか。
○文部科学省医学教育課企画官 個人的な考え方になるかもしれませんが、考え方は、いま片岡先生が言われたような形で、狭義のものについては別枠で考えていくのがオーソドックスな考え方なのではないかとは思いますが、どうなのですか。
○岡村委員 もう一つは先ほどから話題になっている他府県の地域枠を使って定員増をした。それもその他府県の地域枠で、入った人たちがそのとおりに行動しない状況があったときに、大学の責任において別の医師を、派遣することで辻褄を合わせるように合わせているのでは、全く意味がないのではないでしょうか。だから、私は地域枠というのはマッチングを別に考えるべきではないかと思います。
○神野委員 大学の定員増に伴う地域枠に関しては、マッチングの募集定員を増やすことに関してはよろしいと思いますが、それの話とマッチングとを付けていいものかどうかは私は疑問に思います
 というのは、マッチングの方法は厚労省で決めたわけでもないし、各病院が自分たちで試験ないしは面接をやって決めるわけです。そうすると、今度の医療計画で、医師の特に地域枠とか配分を決めるようなものを、これから医療計画で地域医療支援センターを作るわけです。それを有効に使うのなら、定員増をしたマッチング枠内で地域医療支援センターが関与して、地域枠学生をどう入れるかは病院と地域医療支援センターが交渉すればいいわけです。せっかく作ったマッチングシステムと地域枠をあえて別にすると、マッチングシステム自体がだんだん青田刈りの学生でいっぱいになってしまうと、平等性というか、きちんとした質の担保ができなくなるのではないかと思うところもあります。
○大滝委員 地域枠については、既に卒前教育でいろいろなことが起きています。前にも少し申し上げたかもしれませんが、例えば差別の問題です。「低い合格基準で入った」とか「学力が低い」というように、本来の趣旨を踏まえずに批判することが生じかねず、大学によってはその学生が地域枠で入ったかどうかが分からないような形にしている所もあります。先ほどのいろいろ複雑な事情があるという話の中には、そういった背景もあると私自身は理解しています。
 地域枠の医学生、地域で働こうという人が増えたときにその県の研修枠に入れないのは問題だと思います。地域枠を別に分けてマッチングするのではなく、地域枠の学生がその地域で働く場合には、弾力的にその地域全体の総枠を増やせる形が妥当だと思います。小児・産婦人科の特別枠も同様ですが、特別枠を作ると、そこを選ぶ人は望んで選ぶ人ばかりではなく、滑り止めとして応募することも生じます。それで人気がなくなって、趣旨とは逆の差別が起きることが実際にあります。そのような弊害を防ぐ意味も含めて、地域枠という別枠で区切る形でのマッチングにはしない方が良いと思います。もし地域枠の条件を満たす人が増えて、その人たちを採用すると都道府県のもともとの定員を超えるようであれば、その人たちが不利にならない程度に定員の上乗せをするという弾力的な仕組みが望ましいと思います。先ほど話題になった各都道府県のセンターと個々の研修病院との相談等を含めて、それぞれの学生の能力や志望の実態を踏まえて弾力的に運用するのです。あらかじめ地域枠の人数を設定して、その枠で採用される人が何か楽をして採用されたと受け取られないようにする配慮が大切だと思います。
 私は医学教育学会で地域枠、地域医療教育のいろいろな委員会に参加して、実際の大学での教育の状況について話を聞いていますが、いま地域枠に入る学生にいちばん求められているのは、卒前教育もそうですが、そのあとのキャリアが見えるようにすることです。しかもそのキャリアがリスペクトされるキャリアであることが必要です。地域枠という進路を選択する学生は地域にとって非常に大切で、とても重要なことなのだという環境が整っていく工夫をする必要があります。
 そういった意味で、あらかじめ地域枠だけ人数を分けるのではなく、地域でキャリアを積む意欲に燃えた人が応募して来れば、その病院や地域にはそういう人を受け入れられるだけの枠が増えるという、そういった仕組みが求められると思うのです。選考する段階で、受験する学生が地域枠かどうかについて配慮するか否かは、もちろん病院によって異なると思います。しかし、採用枠数に達したという理由で地域枠の人たちを、その都道府県から切ることにならないよう配慮する必要があります。地域枠という形で別枠にすると、いま卒前のほうで起き始めているようなことが卒後でも起きないでしょうか。必ず起きると言っているわけではないのですが、懸念として申し上げました。
○小森委員 私も基本的に大賛成です。それから事務局が言われたように、私もこの資料を出していただきたかったのは、さらに詳細な資料が欲しいわけですが、地域枠には様々なバリエーションがあって、その十分な精査なしに、すぐマッチングから外すという議論は、いささか危険だなという認識をしています。
 地域枠の話が出ましたが、私は地域枠にも一般枠より優れた学生もたくさんいらっしゃると思っておりますが、その地域で医療をするという志の高い方々をしっかり応援してあげるという意味でマッチングそのもののことと、そういう方々の研修の質の担保のためには、すぐマッチングから外すという議論については、相当慎重に考えたほうがいいのではないかと思っています。
○田中委員 マッチングというシステムは例外を許すと公平性が著しく損なわれる面があると思います。ですから、マッチングはそのままにして、不幸にして地域枠の人が、本来行くべき地域にアンマッチしたという状況が生じたときは、地域医療の中で調整する、機構の中で例外的にどこかに定員を付加するみたいな弾力的な運用をしては如何でしょうか。例えば地域の中の比較的募集定員が多い所にプラス1というのは、研修内容を著しく障害するとは考えにくいと思うので、そういった対応をするようにしたほうが、マッチングシステムの公平性を損なわないように思います。
○岡留委員 そのこと自体が、また不公平性になるのではないですか。
○田中委員 それを言い出すと切りがないのですが。ただ。基本的にマッチングを受けるときに、地域枠の学生は、その対象地域の病院の中で選ぶわけですよね。でも不幸にして、例えばいろいろな事情があって四つぐらいの希望を出したが、その県の中では全部アンマッチになってしまったということはあり得ると思います。その人が、そうではなくて本当は6番も7番もやっておけば良かったではないかという話になるわけです。例えば4番までにしておけば、もしかしたら調整が働いて、県内のいい所に行くかもしれないと考える人もいるかもしれませんが、そこまで言い出すとどうしようもないので、それは例えば1年運用してみて、こういう問題が生じたので2年目はこう変えるとか、かなり弾力性を持たせることはできるのではないかと思います。
○岡留委員 地域枠を示したときは、必ずアンマッチの話は出てくるのだろうと思います。そのときにどう対応していくかということだろうと思います。
○田中委員 ですから、恐らく初年度にガッチリこういうルールを決めてやっていっても、必ず何かモラルハザードの問題が出てきたりすると思うので試行しつつ修正することが必要だと考えます。
○神野委員 現場として私もマッチングの前の面接をやっているのですが、定員よりたくさんの学生が来たときに、ちょっと成績がいいが、初期臨床を終わったら、もう県外に行くという学生か、ちょっと成績は悪いが、絶対地域に残るという学生の両方が受けたときに、私の判断として残るほうを順位を上げるのです。地域枠の話で現場の各臨床研修病院のテストの段階での重み付けとして、どこに付けるかは各県の、各病院の判断だと思いますが、そこで地域医療センター等が関わって、間に入っていただいて学生の選考に少し意見を頂くということがあれば、スムーズに進むのではないかと思います。
○堀田座長 賛否両論ありますが。
○大滝委員 地域枠の学生なら全部受け入れるという意味ではありません。地域医療支援センターといった所が、アンマッチになった段階でチェックをして、この人にはぜひこの地域で働いてもらいたいという地域枠の学生を、弾力的な運用をして採用するのです。国なら国に申請して、アンマッチになった地域枠の学生1人ないし2人程度を、枠を増やして優先的に採用するということです。フルマッチになっている、地域医療教育をきちんと行っている研修病院に、さらにその地域枠の学生を入れてもらうという意味です。地域枠の学生なら誰でも取るというのは逆差別を助長し、批判を受けてしまうと思います。そうではなくて、必要なレベルに達していることを確認した上で大切に拾い上げるという対応をすることによって、公正な競争を残しながら、しかも地域枠に縛られている人たちの限定された権利が侵害されることを防ぐことができると思います。
○岡留委員 そうですね。
○堀田座長 なかなか微妙な問題をいろいろ含んでいるので、一概に言いにくいところがあるのですが、原則的には、この今のマッチングのシステムをあまり壊さない形でどうやって取り込めるかということです。例外的にアンマッチになってしまった人をどうレスキューできるかという仕組みを作っていくということで、できるだけ地域枠の趣旨は生かしていくというところかなと思います。、ここは親の部会で考えていただくことにしたいと思います。この点については、この辺で一旦打ち切らさせていただきます。
 その次の5)の研修医の処遇等の確保です。給与・手当あるいは労働環境についてですが、この論点はいかがでしょうか。
○小森委員 第3回の検討会で資料が出ておりましたが、これは明らかに異常ですし、卒業1年目、2年目という研修医が高額の評価をされるということそのものが、彼らにとって何より不幸であると思っております。さまざま憲法等の縛りがあると思いますけれども、一定の基準というものを示す、そして今、一定の額以上ですと補助金のカットという形で対応しておられるということですが、その補助金と報酬額とが全然合わないわけですし、恐らくほとんど効いていないと思います。これは放置すると極めて研修医のためにということは、つまり患者さん、国民のために非常にまずい状況だと思います。どの程度が水準であるかということは、これもさまざまな議論があると思いますけれど、おおよそ司法修習生等に準じた額というようなことだろうと思います。ここはちょっと皆さんの英知を絞って何らかの新しい形を考えるべきだと。しかも、これはしっかりやるべきだと思います。
○岡留委員 全く同感ですね。私は2回目か3回目に、先生とご一緒のときかな、1,000万円近くもらってる研修医がいること自体が非常にナンセンスではないかと思ったのです。研修ということと労働力をはき違えているのではないかという認識で意見を言わせていただきました。
 先日、武冨先生がフランスなど各国のあれを持ってこられましたよね。大体ユーロにしても300万円ぐらいのところで、320~330万だったか、あの辺が大体妥当なラインではないかなと。小森先生がおっしゃっていましたけれど。何かそういうところが僕は妥当ではないかなと思います。別に僕は院長だから給料を下げろうというわけではないのですが、余りたくさんやるとこいつら遊びますね、はっきり言って。余り良くない。
○堀田座長 極端な例は、そんなに多くはないのですよね。だから、そういうところは何かの指導をきちんとやるということができるのでしょうかね。
○岡部委員 前回この資料が出たときに、大学に戻って学生と話をする機会がありました。ちょうど最終学年の学生でその人自身は基礎に進学するという方で、ご本人が発表するときに、全く同じスライドを出されて研修医になると非常に給料がいいと。自分は大学院に行って1年間は無給で翌年から学術振興会の特別研究員にもし当たれば、それで月額が20万円で年に240万円ぐらいの手当がもらえるわけですね。それを比較しても非常に矛盾を感じるという感想を言われていましたので、非常に極端なところをきちんと制限をかけて、適正な給与の体系にしていただくのがいろいろな意味でいいことだろうと思います。
○堀田座長 事務局から先に説明をどうぞ。
○医師臨床研修推進室長 補足をさせていただきます。お手元の参考資料、事務局提出資料2の48ページ~49ページにかけてが、今ご指摘いただいています研修医の推計年収についてのデータです。48ページのほうが1年次、2年次それぞれ分けて推計年収を平均値と最大・最小にしておりまして、それを次のページにグラフにしております。1,000万円以上というのは、このいちばん右側の920万円以上ということで、ごくごく一部ということになります。
 それから、補助金のカットにつきましては、48ページの※3)に書いてありますが、研修医に対して年間720万円以上の給与を支払ってる病院に対しましては、補助金を一定割合、これは具体的に10%ですが、を削減するという措置を今行っているところです。
○堀田座長 これは、総年収ではなくて固定給の話ですかね。要するに、時間外をやっていいのかは知りませんが、そういう手当みたいなものは入っていないのですか。
○医師臨床研修推進室長 申し訳ありません。ちょっとそこまでは。確認をいたします。
○横田委員 京都府は、今回マッチング率が96.5%で全国1位になれましたが、私たち地域医療支援センターで支援させていただきました。やはり人気のない病院は給料、処遇の面、例えば時間外手当であるとか住宅手当であるとかが整っておらず、そういうところに彼らは敏感に反応します。お金ばかり、処遇ばかりではないですが、処遇が悪いのを、放置していたためマッチング率が低かった病院も確かにあります。そういう病院に処遇を改善していただいて、マッチング率が100%になったりしていますので、給与の上限はもちろんあったほうがいいと思いますが、そうかといって何もしなくていい訳ではなく、各病院ともできる範囲で処遇の改善はやるべきであろうと思います。
○堀田座長 低すぎるところも逆に問題があるということは言えますね。
○横田委員 そうです。
○大滝委員 追加です。先ほど事務局からもご説明がありましたけれど、参考資料の17ページのところに先ほど岡留委員から話題にしていただいた外国の処遇が載っております。
○堀田座長 720万円以上というところからが補助金カットになるのですが、その線がもうちょっと厳しくていいのかどうかという話ですね。極端なところはやはり指定要件にかかわるのかどうかというところです。今のところは、指導という形でしておいたほうがいいのかなと思います。
○小森委員 もしも、その根拠を求めるとしたら委員長も言われましたように、臨床研修病院は臨床研修の到達目標等の遵守をして、指導するということが求められてるわけですので、到達目標の中の全人的な人間教育、人間の涵養等々の項目には、やはり700万円、800万円出すと明らかにその目的を達成するとは思えませんので、したがって臨床研修病院の指定を外すと。恐らくするとしたらそういうような、指導などに従わない場合は、それぐらいのかなり厳しい処置をかけたほうが私は研修医を守ることになると思います。そして、結果として国民を守ることになるわけですから、限りなくここのところはもっと考えていくべきだと思います。
○神野委員 払う側の立場からすると、それだけ払っても価値があるとするならば、やはりそれだけ過酷な労働をしていただかないと払う価値がないわけですので、恐らく多額の給与を払っているところは、当直回数が多いとか時間外勤務が多いとか、時間外手当ではなくて、もしかしたらまるめみたいにして支払っているかもしれません。そういう過酷な労働条件と関係すると思います。過酷な労働があるから、これだけ払っても元が取れると言うと変ですけれども、取れる病院なのかと思いました。そういった意味では、少しあとになりますが、第三者評価のところがあります。国とか厚生局の指導監査というのはあまり好きではありませんが、第三者評価のところで何らかのキャップというか、アウトライヤー的な病院に対しては調査するというような仕組みを入れておけば、こういったことは押さえられるのではないかと思います。
○岡留委員 サイトビジットはするのがいいのではないですかね。
○堀田座長 参考意見のところに既にいろいろいただいてる意見に大体集約できるような話だとは思いますけども、極端な例についてはきちんと指導をするということでお願いしたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 先ほどの推計年収の内訳ですが、これは固定給だけでして、いわゆる決まって支払われる給与ということで、時間外手当であるとか、当直手当等が除かれております。
○堀田座長 そうでしたらますます、もう少し厳しく指導したほうがいいということになりますね。分かりました。6)のその他のところに入りたいと思いますが、事務局からご説明をお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 ここから、三つ目の区切りに入ります。まず、?「臨床研修病院群の形成」です。現状を飛ばしまして、論点です。臨床研修病院群の在り方についてどう考えるか、大学病院を含めた臨床研修病院群の形成を指定の要件とすることについてどう考えるか、臨床研修病院群の形成における地理的範囲(二次医療圏、都道府県等)についてどう考えるか、臨床研修病院群を形成する各病院の規模についてどう考えるか、という論点です。
 ?「第三者評価」については、第三者による評価の在り方についてどう考えるか、という論点です。
 ?「都道府県の役割」については、臨床研修制度における都道府県の役割についてどう考えるか、という論点です。
 ?「制度運用上の問題」です。基幹型臨床研修病院の指定にかかる再申請については、研修医の受入実績が2年間なかったことにより取消しになった病院の再申請の在り方についてどう考えるか、協力型臨床研修病院において研修医の受入実績がない場合の指定の取扱いについてどう考えるか。指導医講習会については、指導医講習会の受講と指定申請の時期との関係についてどう考えるか、という論点です。
 11ページです。3.「中断及び再開、修了について」、論点です。研修の中断者のうち、「病気療養」が約半数を占め、かつ、研修の再開割合が低い傾向があることについてどう考えるか、研修医に対するメンタルヘルスの面からのケアの必要性についてどう考えるか、研修中の妊娠出産等への対応や、また、障害を有する研修医への対応について、何らかの具体的な方策を考える必要があるか、という論点があります。
 なお、この部分との関係では、前回のワーキンググループにおいて、大滝委員から、中断あるいは休止によって研修期間が2年間を超えると補助金がカットされてしまうのではないかという御指摘・御質問がありました。これについては別途資料を用意しています。いちばん最後の一枚紙で、「抜粋」と書いてある資料を御覧ください。平成21年6月30日付けの各地方厚生局宛の事務連絡です。臨床研修を長期にわたって休止する場合の取扱いについてまとめています。裏面の4番目、アンダーラインを付した部分に、「臨床研修費等補助金との関係」として、臨床研修を長期にわたって休止した後に再開する研修医を受け入れた病院においては、当該研修医の研修期間を臨床研修等補助金の交付対象とすることができる。この場合、交付対象となる研修期間は、研修を休止又は中断するまでに実施した研修の期間(月数)を24月から差し引いた期間となります。つまり、中断や休止によって全体として2年間を超えた場合であっても、研修期間2年間までは補助金は交付されるという趣旨です。
○堀田座長 研修先が変わっても、その変わった先で交付されるということですか。
○医師臨床研修推進室長 はい、おっしゃるとおりです。
 資料1にお戻りください。11ページの下の、4.「その他」です。1)地域医療の安定的確保は、先ほど申し上げましたように、項目を追加しています。まず、現状について、地域医療の安定的確保に向け、平成22年度の臨床研修から都道府県ごとに人口、医師養成数、面積当たり医師数などの地理的条件を勘案した募集定員の上限を設けること、地域医療の研修を必修とすること。また、次のページに、各臨床研修病院ごとの募集定員については、医師を派遣している場合にはその派遣実積を踏まえて定員を加算するような、制度の見直しを図っています。また、地域の中核病院を中心とした臨床研修病院群の形成の促進を図ることとしています。これらを踏まえ、地域医療の安定的確保に向けた臨床研修における取組についてどう考えるか、という論点があります。
 2)研究医養成との関係です。論点としては、臨床研修期間中の大学院における研究についてどう考えるか、です。
 3)関連する医学教育等です。13ページは、卒前教育、臨床研修、専門研修の連続性の観点から、卒前教育の在り方についてどう考えるか、専門医の養成の在り方についてどう考えるか、という論点があります。
 それから、先ほどの説明に1点、研修管理委員会に関するデータについて訂正があります。研修管理委員会の設置自体は基準で義務になっていますが開催の回数は義務がないので、指定基準のチェックのための調査はしていません。別途、REIS、臨床研修の情報システムでは年次報告で開催回数が登録されていますので、お出しすることはできると思っています。
○堀田座長 残り時間はあと20数分ですが、できるだけ御意見を賜りたいと思います。「その他」の項について、いかがでしょうか。先ほども少し話題に出ましたが、今は病院群を形成することが義務化されているわけではありませんね。
○医師臨床研修推進室長 義務にはなっておりません。現状のところに書いてありますので申し上げます。現在、基準としましては、基幹型臨床研修病院は、協力型病院、臨床研修協力施設又は大学病院と連携して臨床研修を行うこととされ、この群を構成する関係施設相互間は密接な連携体制を確保していることとされています。そこではシステム化を図って、臨床研修病院群における緊密な連携を保つため、この構成は同一の二次医療圏又は同一の都道府県内にあることが望ましい、としています。はっきりと群の形成を義務付けているわけではありません。
○堀田座長 病院群のあり方ということについて、いかがでしょうか。これを指定要件にするとなると、これは義務付けということになるわけです。もう一つは、同一の二次医療圏又はその都道府県内にあることが望ましい、ということでは、望ましいけれども跨りました、というものはありか。同じな法人でいろいろな県に跨って病院を持っているところもあるので、県を跨ることもあり得るのです。極端に、飛行機でなければ行けないような所でもよいのかという話になってしまいますが、どうでしょうか。
○岡留委員 本日は副島先生も来ておられますが、全国で80病院、いろいろな病院があって、そのメリットがあるので、そういうものを使えないかといつも考えているのです。同一県に限ると、どうしてもそこに限られてしまうのです。先生が今おっしゃったように、全国的にも展開できるような、あまり縛りのないほうがよいのではないかと思うのです。
○堀田座長 例えば地域研修で、同じ法人だけれども特長の違う病院を抱えているところはありますね。
○岡留委員 そうです。実は、今回の東日本大震災のときに、済生会の病院から応援を頼まれて全国から岩手に行っています。それも、地方厚生局のパーミッションを得て、OKでしたので、地域医療という枠で研修に行かせました。
○堀田座長 この辺について御意見はいかがですか。
○田中委員 これについては私は賛成です。医科歯科でも秋田の病院や島根の病院に研修医を派遣していまして非常に勉強になっています。そういうものは弾力的に認めていただくほうがよいだろうと思います。
 それともう一つ、少し違うことですが、大学病院と連携して、ということについてです。、私はこれをできれば必要要件としていただきたいと思います。その理由は、卒前教育と臨床研修と専門研修の3段階がある場合に、なかなか連続性が維持できないところがあるのです。卒前教育でここまで進んだという情報が臨床研修病院に伝わらない場合もあります。逆に、臨床研修病院でやったのだけれども、一遍大学から離れてしまったので大学の専門研修というキャリアパスになかなか戻れないという話も聞きます。別に大学病院が基幹型である必要はなく、どこか基幹型の病院の協力病院として大学病院が入っているという形でも、大学が見える範囲にあったほうが研修医にとってはよいのではないかと思います。
○堀田座長 大学以外の研修病院が基幹型になっていて、協力型病院の中に大学を含めておく、という御意見ですね。
○田中委員 そうです。
○堀田座長 それについてはどうですか。
○岡村委員 同じ、やはり大学にいる立場として、田中先生が今おっしゃったことはまさにそのとおりだと思います。先ほどからの、研究ということも含めて、大事なことではないかと思います。
○堀田座長 これは、要件にするとか義務化するという話にするのか、できるだけそのように、望ましいとするのか、それはいかがでしょうか。
○岡村委員 本日もずっと論点整理をしていて、「望ましい」というのが抜け道だらけの気がするので、あまり好きではありません。
○田中委員 私は、要件にするデメリットはほとんどないと思います。つまり、協力病院として大学が参加するのは鬱陶しいと思う所はあるかもしれませんが、逆に、いろいろな情報は得られます。例えば、これは大学でやったほうがよいという部分をローテーションで補完することもできます。それによって何かデメリットが生ずるということはないのではないでしょうか。
○堀田座長 たぶん、一般論としてはそうでしょう。しかし、いろいろな大学から医師が派遣されている所に特定の大学だけを入れることになると問題がある。
○田中委員 それは別に一つの大学を協力病院にしなくてもよいと思います。複数の大学が協力病院に入ることは何の問題もない。
○神野委員 研修医が来る度にそこの大学と交渉しなければいけないのかという話になります。不特定多数の大学から研修医を受け入れている病院にとってみるとどうでしょうか。地元の大学出身者ばかりの研修病院ならば、地元の大学との関連性は大いに結構だと思いますが、複数の大学、また、今回初めてだという大学から卒業生を受け入れているような研修病院もたくさんあると思うのです。そういった所では、今おっしゃったように、特定の大学とだけの連携というのはどうか。今度は研修医の立場として、それが嫌で大学と関係ない所に来る研修医もいます。実際に私たち、大学出身者のドクターと一緒にやって、そこで教育されて、指導医の先生の出身大学に今度は入りますというような方もたくさんいらっしゃいます。だけれど、最初からそれを規定するのは少しいかがなものかと私は思います。
○堀田座長 両論あるかと思います。私は、この段階では「望ましい」ぐらいにしておかないと収まらないのではないかと思います。
○医師臨床研修推進室長 1点、補足させていただきます。大学病院と臨床研修制度との関係が非常に微妙なというか、若干入り組んでいます。私どもの臨床研修病院等の指定の対象に大学病院が入っていません。大学病院としては、大学病院の附属病院は独立していて臨床研修制度の直接の対象にはなっていませんが、臨床研修を行っていただく意味で、私どもの基準に則ってやっていただいています。例えば、臨床研修病院群を形成するときに、大学病院も義務付けることになると、大学病院自体を制度の対象として、研修病院としての指定の対象にしないとおかしいという話になるのだと思います。そうすると、臨床研修制度と大学病院のこれまでの在り方自体を大きく見直すことになります。それはそれで、よいのかどうかという議論も、また別の観点で出てくるのではないかと考えています。その辺りも含めて検討が必要だと思っています。
○堀田座長 現状は、「望ましい」ぐらいにしておかないと駄目だという話です。そもそも、大学病院が指定の対象になっていないわけですね。
○医師臨床研修推進室長 直接の指定の対象ではありません。
○堀田座長 指定の対象にはなっていないということであれば、そのような整理しかないのではないでしょうか。
○大滝委員 大学と研修病院の今までのような対立や囲い込みとか、敷居があるということは、卒前教育の面から見ても変えていく時期にきていると思います。また、へき地・離島などでの研修を充実させる意味でも、それを含む病院群を、大学も含めて更に充実させることは重要だと思います。言うまでもなく、やはり指導体制が整っていることは必要です。それから、研修医が研修先を移動するときに最も気にすることの一つが宿舎です。宿舎が整備されていなくて研修医に負担がかかる、先ほどの給与の話の裏返しかもしれませんが、そういった面もあります。そうした研修の質を十分に確保することが前提になるということを一言申し上げます。
○堀田座長 時間もだんだん迫ってまいりましたので、第三者評価に移ります。この点については少しあっさりとしていますが、何か御意見がありますか。
○神野委員 先ほどは給料の話だけでしたけれども、それ以外にもいろいろなデータの中でアウトライヤー、異常値が出たところに対して、何らかの指導、監査あるいは評価が必要だと思われます。ただ、質の面として、例えばJCIでも日本医療機能評価機構でもISOでも品質何とか賞でもよろしいですが、病院の質の評価をする仕組みが世の中にありますので、何かを受けていただかないと、何でもよろしいというわけにはいかないのではないかと思います。いかがでしょうか。
○堀田座長 という御意見です。現実に今、臨床研修評価機構の評価を受けているのはどのぐらいですか。
○岡留委員 少ないですね。
○医師臨床研修専門官 正確な数は覚えていませんが、200~400の間です。
○堀田座長 病院機能評価を受けている数よりも少ないということですか。
○岡留委員 はるかに少ないです。
○医師臨床研修専門官 少ないです。
○岡留委員 病院機能評価も、今はもうプラトーにきて、もう再評価は受けないとという病院が増えています。ただ、機能評価そのものが何なのかということが、今、問われているのです。恐らく、岩崎先生がされている臨床機能評価機構もそうだと思いますけれども。
○堀田座長 それを義務付けてしまうというのも、なかなかしんどい話になりますね、今の御意見を伺っていると。何らかの第三者評価を受けることは要るのではないかということでしたが。
○大滝委員 先ほど、研修管理委員会のところで申し上げたほうがよいかと思ったのですが、ここまで待ちました。私が知っている範囲では、研修管理委員会は、外部の方も参加するオープンな場であると思います。それをきちんと開催して、ペーパーワークが多くなっては大変ですが、今の研修機能評価のコアの部分だけでも、データを委員に見ていただくような機能が発揮できると、形骸化せずに、実質的なクオリティ・コントロールができる委員会になる可能性があると思います。
○堀田座長 今、研修管理委員会の構成メンバーとして、第三者といいますか、例えば医師以外の方で院外の方を入れているところは結構あると思いますが、義務付けてはいないですね。
○田中委員 臨床研修評価機構が認定したのは126病院だそうです。ですから、非常に少ないですね。たぶん、物理的に無理なのだろうと思うのです。前にも言いまして、現実性があるかどうか検討していただくとよいと思うのは、ランダム・サンプリングで当たったらそこを精査する。どこが当たるかはそのときにランダムに選ぶので分かりませんが、当たったら精査する。それで問題があればイエロー・カードを出して、翌年改善がなければレッド・カードを出すような仕組みにしておけば、かなり抑止力にはなるのではないかと思います。しかも、割合と現実味があるやり方ではないかと思います。
○岡村委員 いちばん最初の副島先生の、かなりばらつきがあるという話も確かですね。第三者評価は必要だと思いますが、先ほどから言われているように、病院機能評価などは役に立たないかもしれないというときに、厚労省がこのような第三者機関を作るかというと、それは無理な話だと思うのです。例えば感染対策などだと、病院同士で二つぐらいの病院が。
○堀田座長 相互チェックなどもやりますよね。
○岡村委員 病院群などで、一つのところが当たったら、その群の中で、別の二つぐらいの病院が当番としてそこを見に行って評価する、そういう仕組みにしたらいかがでしょうか。
○堀田座長 アイディアですね。今、医療安全などで相互チェックをやっている、あのような仕組みですね。それを病院群で越えてやるというようなイメージですか。
○岡村委員 はい。
○堀田座長 それも提言として。
○医師臨床研修推進室長 補足させていただきます。施行通知で研修管理委員会の構成員についての規定があります。その中の一つに、「構成員には当該臨床研修病院と臨床研修協力施設以外に所属する医師、有識者等を含む」とあり、外部の方も構成員に入ることは基準上義務付けられています。
○堀田座長 基準上義務付けられているのですね。それを有効に働かせるのも一つですし、今、言ったような、相互チェックのようなことを導入するのも有効かもしれませんね。どこかに頼んでやってもらうとしても、それは数がべらぼうですから、なかなかそうはいかないと思うのです。
 それでは、「都道府県の役割」についてです。我々が何か言えるものかどうか分かりませんが、何か御意見があればいただきます。
○横田委員 これも、各都道府県によって全く体制がばらばらでまちまちだと思います。この前、私は広島県に行きましたが、広島県の医師会と県と大学とが非常によく連携して、以前から臨床研修についてお互いに考えて意見を出し合って調整するというシステムができているのです。ですから「望ましい」などという文言でなく、都道府県はそうすべきであると、そういった調整をしっかりしていくべきだという形で言っていただいたほうがよいと思います。自分で自分の首を絞めるような感じになってしまいますが、そのほうが各府県もしっかり取り組むのではないかという気がしています。
○小森委員 これも、従来からの日本医師会の主張です。各都道府県で、それぞれの臨床研修病院にプログラムが任されていますが、地域の特性等を考え、私どもとしては、各都道府県に医師研修機構のようなものを置いて、研修プログラム等についても都道府県の単位で考える場を設置してはどうかと提案をしています。関与という意味では第三者機関との関係とも多少被るところがあると思いますが、その地域に最も適した研修プログラムとして、様々な形の有識者や県民代表の方々等も御参加になられると思いますので、そういう形で関与していただくのはいかがかという提案をしたいと思います。
○堀田座長 そのほかによろしいでしょうか。
 では、?「制度運用上の問題」です。これは既に御意見も賜っています。ここにあるのは、親の部会からのものですね。
○医師臨床研修推進室長 そうです。臨床研修部会からの御指摘を踏まえて記述しています。
○堀田座長 これに対して何か御意見がございますでしょうか。受入実績が2年間なかったところが翌年に再申請をしてもよいのかという話ですね。
○岡留委員 駄目でしょうね。全然、これは論点が違うのではないかと思います。再申請して通るぐらいであれば、そういうことをしないはずです。
○堀田座長 では、どれぐらいまでOKですか。
○岡留委員 最低5年は必要なのではないですか、改善措置までの経過措置は。
○堀田座長 なるほど。
○岡留委員 やはり研修ですから、ある程度は厳しさがないといけないのではないかと思うのです。
○小森委員 受入実績が2年ないことにより指定を、ということなので、格別の落ち度があってということではないので、罰則というのはいかがなのかと思うのです。
○岡留委員 厳し過ぎるかもしれませんけれども。
○小森委員 5年間なしというより、一旦、協力型の病院をして、その実績をもって基幹型に申請できるなどの運用も考えられるのではないかと思います。
○堀田座長 それはすばらしい御意見ですね。やはり準備段階が要りますから。いきなりまた基幹型といっても、なかなかそうはいかないということがあります。
○岡留委員 私は日本医師会の意見に大賛成です。
○堀田座長 これにはあまり反対の御意見はないだろうと思います。少し端折って申し訳ありませんが、「中断及び再開、修了について」はどうでしょうか。中断の理由の過半数は病気なのですが、再開割合が低いという状況が現実にあるようです。病気はメンタルのものがかなり多いという話ですね。
○田中委員 メンタルの病気で療養が非常に長期にわたった場合に、例えば2年、3年になる場合もあるわけですが、そういう研修医の扱いというのはどうなのでしょうか。「引き続き同一研修プログラムで研修を行うことを前提としたものである」と書いてありますが、何年経っても同一の研修プログラムということに今の規則ではなるのです。やはり、何年ぐらいまでなど目安を決めておいて、それ以降は別のところで始めるなどの仕組みを考えてもよいのではないかと思います。というのは、中途半端な状態で研修医は留め置かれる形になるので、それが研修医にとって良いことかどうかは私は疑問に思います。
○堀田座長 この同一研修プログラムという意味は、同じ病院でという意味ではありませんね。
○医師臨床研修推進室長 基本的には病院が変わることを前提としています。
○臨床研修指導官 現制度の補足説明をさせていただきます。現制度上は、「中断」と「未修了」の二つの扱いに分けています。一旦お休みされても同病院で同プログラムで再び始めていただくというやり方が「未修了」、長期間に及ぶであろう等の理由から、そのプログラム、その病院では研修ができないということで「中断」していただいて、またいつか復帰後に別の病院の別のプログラムに乗って再開していただく手続。現制度でも二つあります。
○田中委員 いつ、どれぐらい休んだら中断しなければいけないのかという目安は全くないわけですね。
○臨床研修指導官 おっしゃるとおりです。
○田中委員 大学でいえば、休学期間は連続2年間までとする、ただし特別な事情があれば1年追加するといったような縛りがあるのです。そういうものを設けたほうがよい。中途半端な状態が続くので、ある一定のルールは決めたほうがよいと思います。
○堀田座長 ほかに御意見はありますか。
○小森委員 私がいちばん気にしているのは、妊娠を希望され出産された女性医師に対する支援です。もちろん、様々なメンタルヘルスを含めた疾病等の方を含めて、そういう方々にどのような対応をするのかという視点がいちばん大事だと思っています。特に女性医師の場合、研修が縛りになって、結婚、妊娠、出産をためらうということも我が国にとって損失です。そういう意味では、あまり頑な条件を付けてしまうことが彼女たちにとってよいのか。逆に、あまり長過ぎて、残りをただやってしまうことが本当によいのかという議論も当然あってよいと思います。その視点で考えていただきたいと思います。
○大滝委員 「中断及び再開、修了」の関係で、事務局に確認したいのです。卒業して国家試験合格後、何かの事情、例えば家族の介護などで、全くマッチングにも参加せず、ある期間を過ぎてからマッチングに参加することは、現時点では可能なのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 はい、それは可能です。マッチングをするときに、またそこで登録していただくことはいつでも可能です。
○大滝委員 もう1点です。未修了と再開の理由は主に病気となっています。下の「参考」に留学の話が入っていますが、研究留学も可能性としてはあると思います。研究者養成を支援する意味で、研究を理由に一旦「未修了」として研究活動に入って、残りの期間をまた再開することは制度上可能なのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 参考資料の60ページ以降が、中断・再開のデータです。中断については、中断から再開するときに届出が必要になりますので、情報が集まるようになっています。休止については特段に報告義務がないので、どういう理由で休止したのかも含めて十分なデータが揃っていません。したがいまして、留学あるいは研究のために、ということが中断あるいは休止のいずれかにもよりますが、そこまでの詳細なデータを取っていない状況です。
○大滝委員 実態はともかく、そういう人が出てきた場合に制度として可能なのかどうかについてはいかがでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 理由が「やむを得ない事情により」ということで、その解釈によると思いますが、基本的には、理由が留学や研究だからといって中断や休止をしてはいけないことにはなっていません。制度上可能であると考えています。
○堀田座長 ちょうど時間がきてしまいましたが、「その他」の部分で重要なポイントがまだ残っています。これをどう扱いましょうか。
○医師臨床研修推進室長 この後ろの、論点の下に、「参考」として主な御意見がほとんど入っています。一つだけ、「地域医療の安定的確保」は今回追加したものなので、今は主な御意見として入れていません。これまでの御意見から私どもで確認させていただいて、これに関わるものがあればお載せしたいと思います。まずは、一通り御意見を賜ったとして整備させていただきます。次回の12月が最後ですが、その際に今回の議論も含めて御案内して御了解を賜りたいと思っています。
○小森委員 時間が押しているところに大変恐縮ですが、私は、前回に非常に大切なことを言い忘れましたので、是非お話させていただきたいのです。
 到達目標のことです。男女共同参画の促進の観点で、私どもが文部科学省と交渉させていただきました。これは皆さんに同じ気持ちを共有していただけると思っています。
 平成22年度に改訂されました新しい医学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて、医師として求められる基本的な資質に、「男女を問わずキャリアを継続させて、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する」。そして、A4の(4)「生涯学習への準備」で、一般目標として、「医学や医療と科学技術の進歩と社会の変化やワーク・ライフ・バランスに留意して医師としてのキャリアを継続させる能力を身につける」という言葉を入れていただきました。平成22年度改訂なので、この教育を受けた子どもさんたちが平成28年度から卒業してこられます。是非、臨床研修制度の行動目標の中の、医療人として必要な基本姿勢・態度のどこかに、医学、医療、科学技術の進歩と社会の変化やワーク・ライフ・バランスに留意して、医師としてのキャリアを継続させる生涯学習者としての能力を身につけるなど、そういった観点のものを入れていただきたい。この理由はいまさら述べる必要は全くないと思います。この気持ちは皆様に共有していただけるものと思っております。このことを言い忘れたので、時間を使いましたが、是非御検討いただきたいと思っています。
○堀田座長 次回の取りまとめで反映していただくようにお願いします。宿題が残りましたが、せっかく岡部先生に来ていただいているので、次回に向けて、研究医の養成や大学院の関係でおっしゃっておきたいことはありますか。
○岡部委員 ここに書かれている主な意見に尽きていると思います。かなり少数の、一般的なキャリアとは違うパスウェイを取りたいと思われているような方が阻害されることがないような、弾力性のある制度を作っていただきたいということが主な論点です。
○堀田座長 ありがとうございます。時間を少し超過して申し訳ありません。今回はこれで終了させていただきます。次回、取りまとめを行いますのでそのときには御意見をいただきたいと思います。事務局から連絡事項等をお願いします。
○臨床研修指導官 次回、12月の日程につきましては、詳細が決まり次第に先生方に御案内させていただきます。
○堀田座長 御苦労さまでした。副島先生、どうもありがとうございました。


(了)

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