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2012年11月2日 障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第3回)議事録

○日時

平成24年11月2日(金)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

久保田伸枝委員 小沢忠彦委員 前嶋京子委員 
松本長太委員 若倉雅登委員

○議題

(1) 検討事項の整理について
(2) 障害認定基準及び診断書の修正案について

○議事

○久保田座長 定刻になりましたので、ただいまより第3回障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合を開催します。本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。若倉委員が所用のため15時30分に退席されますが、それまでの間はどうぞよろしくお願いします。本日の資料について事務局から確認をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日の会合資料の確認をいたします。座席表、委員名簿の他、議事次第のもと資料1として「認定基準(眼の障害)の検討事項に関する整理について」、資料2として「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」、資料3として「認定基準及び診断書の見直し案(再修正版)」、以上の資料のほか、参考資料として、「眼の併合判定参考表等」、「障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第2回)議事録」をお配りしています。不足がありましたらお申し出いただければと思います。
○久保田座長 前回第2回の会合時に寄せられた委員の皆さまの意見を踏まえて、事務局で検討事項を整理しています。本日はそれに沿って1つずつ議論をしていきたいと思います。前回は大変暑い日で議論も熱くなっていました。今日はそれほど暑くありませんが、議論のほうは熱心に熱くお願いします。
 議事次第に沿って事務局から説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の「認定基準(眼の障害)の検討事項に関する整理について」に沿って、前回会合での合意事項と、引き続き検討を行う事項について確認したいと思います。その後、資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」の項目ごとに説明します。また、資料3の「認定基準及び診断書の見直し案(再修正版)」は修正箇所を赤字として、前回会合後に修正したところには下線を引いていますが、随時検討事項と併せて説明します。その後委員の皆さまに議論をいただきたいと存じます。
 資料1について説明します。前回は10の項目について検討事項を挙げました。そのうち項番1から3および6と8については合意事項とされ、4と5および7については再整理が必要とされていましたので、個々について確認していきたいと思います。
 項番1は視野の測定方法とその判断基準についての考え方です。右にあるように、将来自動視野計を導入することも考えて、記載を削除せずこのままとするなどの意見もあり、視野の測定方法については現行の記載通りと前回の専門家会合で合意されたと考えています。
 項番2は視野の測定値の正常域についてです。こちらは委員から測定値を560とすると1/4の正常値を意味することとなり、間違ったものとなるという意見や、現行の運用と同様、この正常域で判定することとし、測定値の記載は削除するという意見がありました。測定値については削除するということで、前回の専門家会合で合意されたと考えています。また、生理的限界値を正常域に修正することは問題なしということで合意されたと考えています。
 項番3は視野が2分の1以上欠損した場合についてです。右にあるように、黄斑ジストロフィーや加齢黄斑変性という中心暗点の病名が削除されたが、注意書きの病名には「等」が入り広くなっているので問題はないと思うなどの意見もあり、2分の1以上欠損した場合は注意書きを含めて記載通りで問題なしと、前回の専門家会合で合意されたと考えています。
 項番4は2級に相当する障害の状態についてです。1/4の視標で測定不能の場合については記載通りで問題なしと、前回の専門家会合で合意されたと考えていますが、2級に相当する障害の状態については前回の専門家会合で合意事項とされていません。こちらについては後ほど資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」において説明します。
 項番5は両眼の視野が10度以内のものについてです。委員から、輪状暗点の定義を厳格に記載するとそれ以外は適用できなくなることを危惧する。今までなかったので、特に記載しなくてもいいという意見を踏まえて、また書き以降の輪状暗点の記載は削除するということで、前回の専門家会合で合意されたと考えています。しかしながら認定の対象を現行通り、求心性視野狭窄あるいは輪状暗点として認定することは妥当かについて、前回の専門家会合で合意事項とされていません。こちらについては後ほど、資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」において説明します。
 項番6は診断書の測定結果の記載方法等についてです。こちらは2つの視標に記載することは問題なしと、前回の専門家会合で合意されたと考えています。
 また、委員からコピー添付の場合に記載省略とすると、いろいろな視野の測定結果が出てくる。医師の考えを確認する意味でも記載したほうがいいという意見を踏まえて、測定結果のコピーが添付された場合、記載内容を省略するという部分は削除するということで、前回の専門家会合で合意されたと考えています。
 項番7はその他の障害の整理、障害の程度及び状態についてです。視力障害および視野障害以外の部分をその他の障害として整理した内容については、特に問題なしと前回の専門家会合で合意されたと考えています。しかし、その他の障害として追加した障害の程度を障害手当金相当として、障害の状態をそれぞれ規定した内容が妥当であるかについては、前回の専門家会合で合意事項とされていません。こちらについては後ほど資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」において説明します。
 項番8は診断書の記載箇所についてです。診断書マル10欄(4)~(6)の記載欄ですが、「瞳孔」を「調節機能・輻輳機能」の項目に、「まぶたの運動」を「まぶたの欠損」の項目に追加し、「眼球の運動」の項目を新たに設けることについては特に問題なしと、前回の専門家会合で合意されたと考えています。
 項番9の現行の視力障害の両眼の視力の和での認定の考え方、項番10の法別表の考え方については前回の専門家会合では説明のみを行いましたので、後ほど資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」において再度説明します。
 その他として、前回の会合で委員から緑内障では片眼は視力が低下し、片眼は視野が著しく悪いケースがある。こうした点が配慮されていないので、問題点として追記していただきたいという意見がありましたので、検討事項として挙げています。こちらにつきましては、後ほど資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」において説明します。資料1の説明は以上です。
○久保田座長 事務局から前回の議論をまとめて表にしていただいています。合意されていない4、5、7については後ほど討議します。この合意事項の表について何かありますか。では、異議はないと思いますので、一応異議なしとして認めていただきたいと思います。続いて未整理の事項について事務局から説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料2の「認定基準の見直し案(再修正版)の検討事項」を項目ごとに説明します。その後委員の皆さまに議論をいただきたいと存じます。それでは資料2の1の見直し案の検討事項について説明します。資料3も併せてご覧ください。
 検討事項の項番1、2級に相当する障害の状態について説明します。認定基準は資料3の(2)視野障害のウとなります。検討事項を整理するに当たり、前回の会合において委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。
 1つは2級に相当する障害の状態として示した内容は妥当か。次に1/2で10度以内の残余面積の判定について、8方向の視野の角度の測定値を基準に数値化する方法は適切かです。検討事項の表の下に、前回会合での委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番1では、今まで5度以内として2級を受給していた者が、1/4で10度をはみ出す者が出てしまい、2級として受給できなくなってしまう。1/2の残余面積が中心10度以内の50%未満とした場合は、従来の2級は全員が含まれるはずである。身体障害者手帳の3級の視野損失率90%というのは、中心10度以内の残余面積でいうと49%となるが、周辺視野の判定で既に用いられているものと同様に円の面積で半分というのが目測で評価できる限界と思う。認定側としては、今回の見直し案(修正版)は非常に分かりづらい。身体障害者手帳のように視能率のような形で数値を出すものと違い、10度以内の50%未満が裁量になりがちではないかとの意見をいただきました。
 前回の見直し案では、求心性視野狭窄あるいは輪状暗点により、両眼の視野がそれぞれ1/4の視標で中心の残存視野が10度以内におさまるもので、かつ、両眼による視野が1/2の視標で50%未満であるものとしていましたが、委員から、今まで5度以内として2級を受給していた方が2級として受給できなくなってしまうという意見や、今回の見直し案(修正版)は非常に分かりづらいという意見がありました。また、日本年金機構より認定を行う地方の現場から、視野の面積を測定して認定する基準がこれまでなかったこと等から運用に支障をきたす恐れがあることや、認定の均一化を図る観点から数値化による基準が検討できないかという要望がありました。
 このような点を踏まえて、現行の基準である5度以内におさまるものを維持しつつ、3ページの後ろにある別添のように2つの案を併記しています。資料3の別添をご覧ください。この案について説明します。1つ目の案として、両眼の視野がそれぞれ1/4の視標で中心10度以内におさまるもので、かつ、1/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計を左右別々に求め、次式により算出した値が224以下のもので、計算式は、合計数の大きい方×3+合計数の小さい方により算出します。
 利点としては、身体障害認定基準の視能率算定に完全に準拠した方法で整合性が図れることや、両眼開放視野を推測し、左右の視野を用いて評価する手法は一般化していることが挙げられます。問題点としては、認定側において計算がやや煩雑であること、現行の視能率算定方法に異論があることが挙げられます。2つ目の案として、両眼の視野がそれぞれ1/4の視標で中心10度以内におさまるもので、かつ、1/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56以下のもので、算出方法は、左右別々に8方向の視野の角度を求め、いずれか大きい方の合計が56度以下のものとなります。
 利点としては、認定側において評価が単純で認定し易いことや、身体障害認定基準の損失率90%と同等の面積(7度×8方向)を確保することで、整合性が図れることが挙げられます。
 問題点としては、左右の視野の重なり合いを考慮しないため不合理が生じる場合があることや、視野の評価には国際的な基準を含めて両眼開放視野を推測し、左右の視野を用いて評価する手法が一般的であるということが挙げられます。なお、両案とも身体障害者福祉法の視野の損失率90%と同等で整合性は図れているものと考えます。
 次に、診断書をご覧ください。マル10欄の(2)のマル2をマル2-1と変更し、さらにマル2-2として中心視野の角度を新たに記載できるように追加しています。また、裏面に7として説明書きを加えています。項番1については以上です。
○久保田座長 前回の討議からだいぶ異なった案になっています。視野のこの案に至るまでいろいろ松本先生にご苦労いただきました。先生のほうから追加して説明をいただきたいと思います。
○松本委員 2級相当の視野障害の判定案について説明します。先ほど御説明がありましたように、この問題の背景は、現行の2級判定基準である「両眼とも中心5度以内の求心性障害」が、視力の判定基準から見て同等の等級と考えられる身体障害者福祉法3級に比べて非常に厳しいものになっており、両者の整合性を確保する必要性があるからです。また、5度以内と厳格に規定されていることで、残存視野の範囲が少しでも中心から偏位した場合、ほぼ同等の障害を有すると考えられる方が認定から漏れることもあり、これらの諸問題を少しでも改善することが目的となります。
 前回は、身体障害者福祉法の3級がどの程度の障害であるかを再検討し、1/2の視標で測定された残余視野の面積が、少なくとも中心10度以内の50%程度に相当することを再確認し、これに今回の障害年金2級の基準を合わせていくことで、両者の整合性を取るという考え方でスタートしました。
 前回までの案では、判定基準をより単純にするため、目視で判定できる方法として、両眼による残余視野が中心10度内の2分の1になっていれば判定していいのではないかというシンプルな評価法を提案しました。しかし、認定側のほうで、本当に半分かどうか、ボーダーラインの辺りで判定のずれが出るのではないかというご意見があり、身体障害者福祉法のように数字として線引きをしてもらえないかという話があがりましたので、議論の上、今回の2つの案が提出されています。
 第1案ですが、これは、身体障害者福祉法の3級をそのまま採用した手法です。良い方の眼を3倍して、悪い方の眼を1倍して、それから指数を出すという考えです。視能率算定式をより単純化していますが、これは事前に算定式を展開して560や4で割らなくても良いようにしているだけで、内容は100%身体障害者福祉法と同じです。認定者の計算の負担を減らそうということで、最終的に角度を計算して大きいほうの3倍、小さいほうをそのまま出して、合計が224以下であれば2級と判定します。
 これをもっと簡略にしたらどうかということで第2案が出ています。こちらの考え方は、視野は左右ありますが、良いほうの視野だけを判定基準に使うという考えです。身体障害者福祉法の場合には3対1のウエイトになっていますが、これを4対0にしてしまう、つまり悪いほうの視野は評価しなくて、良いほうだけを評価するという考えです。この場合も、同じように残余視野の角度を計算して左右別々に合計し、左右の角度の合計の大きいほうが56以下であれば2級と認定することになります。残余視野の8方向の角度の合計が56で、中心10度内視野の残余面積が半分と一致することになります。この方法は、先ほど話がありましたように、認定側において、ぱっと見てすぐ分かるということで、評価が非常に簡単だというメリットがあります。考え方も単純です。ただ少し危惧されることは、視野の評価の場合は、左右の視野を用いて何らかのウエイトを加えたり、重なり合いを考えながら評価するのが一般的な考え方です。国際的にも現行の身体障害者福祉法でもそのようになっています。良い方の視野だけを使うことで手法はかなりシンプルですが、それに対する学術的な反論が生じる可能性が残ります。特に左右の視野の重なり合いが少ない症例では、認定が少し甘くなる可能性が残ります。
 いずれの方法も、現行の中心5度の判定基準よりは、残余視野の少し広い方、残余視野が偏位している方、あるいは左右不均等な方をより多く認定することができます。
 今回認定基準を改訂した後に、さらに追加認定できる患者数を推定した場合、第1案の現行の身体障害者福祉法の方をそのまま採用した場合がおそらく一番拡大されると思います。その次が2案の良い方の眼を使う方法になります。そして、前回まで提唱していた両眼による残余視野の重なり合いが中心10度内の50%以内という基準は3番目になります。以上です。
○久保田座長 前回の面積を見るというものから数値に変更して、いろいろ学問的にも無理があるということですが、一応2つの案にまとめていただいたわけです。診断する側としては最後の計算はしないでよいので、どちらの案でも変わらないですね。
 しかし、認定する側では(1)と(2)とでは、違いがあるので、小沢先生と前嶋先生の意見をお伺いしたいのですが。小沢先生はいかがですか。
○小沢委員 認定側として(1)か(2)かということですね。認定側は(1)のほうが数値化されているので当然楽ですが、書く方だけの問題だと思います。あとは身体障害認定基準に準拠しているのは大事なことですので、そういうことも考えて(1)と今は思っています。
○前嶋委員 簡単に考えると、(2)のほうを取るほうが、計算しなくていい分、楽なのではないかと思います。身体障害者福祉法にのっとると1番のほうですが、10度以内の細かい範囲で計算をしていくところで誤差が生じやすくなってくる。判定もやや計算が必要になってくると煩雑化してくるので、8方向の角度の合計のほうが楽ではないかというのが、私の意見です。
○久保田座長 まず、面積ではなく数値で表すことについては、認定する側も一応納得いただけたわけですね。
○若倉委員 私の個人的な意見は、前からあまり数値化するのには反対しています。でも、皆さんがそういうご意見であれば、数字を1度、2度とあまり細かくするよりは、大ざっぱに考えて、これは確かに障害だと認めるのがよいという考え方です。認定するほう、書くほうにしてもシンプルなほうが、計算が少ないほうがいいと思います。ただし、その前提となる、先ほど出てきましたが、これの前にある、求心性視野狭窄あるいは輪状暗点がある場合にはという言葉ですが、これを後で議論していただきたいのです。この言葉はいずれも網膜色素変性を意識した言葉で、それ以外の場合にはあまり使わない言葉になります。例えば緑内障は均等に求心性狭窄にはならず、どちらかに偏って狭窄してくるとか、視神経症その他の網膜疾患でもそういう例があります。そういうことを考えると、前に申し上げましたが、周辺の不規則狭窄を含むというニュアンスの言葉が入っているほうが、そして、このように中心視野の評価が問題だとしたほうが混乱がない。運用上は今までもそうしていたと思うのですが、中には審査で少しおかしいと出ることが過去にはありました。運用上は実際には求心性狭窄といわれながらも、きれいな求心性狭窄ではなくてもいいようになっていた場合が多いのですが、規定ではそこが曖昧だったわけです。審査する方によっては少しおかしいということが出ていたので、そういうことがなくなるように、この2つの色素変性を意識した言葉だけでなく、不規則な周辺の狭窄を含むというニュアンスの言葉を前提として入れればいいかと。それを議論していただきたい。私は1でも2でもいいと思いますが、2のほうがあまり大差がないので簡単で、多くの先生たちが書きやすいと思います。
○小沢委員 医師の裁量の問題で常々思っているのは、数値化して医師の裁量権がなくなることはないと思っています。例えば診断書を書く、実際に患者を診ている担当の先生方は2級相当かということを判断するわけですが、数字を書くときに、ゴールドマン型視野計から写していくわけです。2度かな3度かなと首をかしげるときに、この方が2度だと思えば、3度ではなく2度と書くだろうし。
○若倉委員 そういう裁量権は当然残っているほうがいいわけです。
○小沢委員 われわれは数字から患者を見ていないので、認定医は数字からそのまますっと判定できるのが一番ありがたいと申し上げたいと思います。
○久保田座長 松本先生も渋々ではありますが数値で認めていただいたので、数値化することについては全員合意をいただけたと思います。1か2というのでは結局2のほうが多いのですが、1のほうだと片方が0の場合に、平均が7度を超える場合があるので一番緩くなるわけですね。平均7度にすると今までの5度よりはよくなりますが多少変わってきます。事務局のほうで、変わったことで何か不都合はありますか。
○栗原障害認定企画専門官 今回の修正案では今まで5度以内として2級相当の障害年金を受給してきた方がもらえなくなることを防ぐとともに、これまでの基準では障害の程度として、視力障害や他の部位の障害に比べて厳しすぎるというご指摘により是正するものです。今回の2案、10度以内かつ8方向の角度の合計値224以下、または10度以内かつ8方向の左右いずれか大きい方の合計値56以下というものは、前回示した10度以内かつ50%未満と同等のものであり、身体障害者手帳とも整合性が取れるものと考えます。なお、この対象者については、網膜色素変性症や緑内障などで、求心性視野狭窄や輪状暗点のみの状態にある方としています。これは障害の状態の程度として見た場合、このような方が対象になると思われますし、また、現に身体障害者手帳のほうでも求心性視野狭窄、輪状暗点を対象としています。以上です。
○久保田座長 この数値で1案にするか2案にするかで、事務局としては今までの5度以内とそれほど差がないとお考えですが、簡単なほうがいいという意見も踏まえて、最終的には事務局で決めていただけたらと思いますが、いかがですか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 先ほども話したように5度というのが今までの基準です。前回若倉委員からも指摘があったように、どうしてもはみ出るものが現実にいるのではないかと言われたときに、いないと保証ができないものですから維持していくべきだと考えます。もう一つは、数値化については、全国各県で認定を行っていますので、均一化を図るという観点からも数値のほうが望ましいということです。座長が言われるように簡単なほうが、実際に基準の数値を見てすぐに判断できるという点ではそちらのほうができればいいと考えています。
○久保田座長 小沢先生は1ですか。
○小沢委員 1という強いこだわりはありません。
○久保田座長 松本先生はだめですか。
○松本委員 実際には認定可能な患者が現行より多くなる点で、どちらを採用しても今よりは患者側のメリットは大きくなると思います。私自身が少し危惧する点を整理させて頂きますと、現行の身体障害者福祉法の視能率の算定はご存じの先生方も多いと思いますが、それなりの矛盾点があり、国内外でも他の評価式を用いる研究がどんどん進められています。
 そういう意味では現行の身体障害者福祉法で採用されているからといって、必ずしも第1案がいいという訳ではないと思います。ただ、一緒にそろえたほうがいいとする第1案の考え方の背景として、日本国内で同じ等級判定をする障害年金と身体障害者福祉法において、視力の評価が同じなのに、視野だけ等級の判定の仕方が違っていいのかという点があげられます。すなわちダブル・スタンダードで本当にいいのかという疑問が残ります。
 2点目は、第2案が両眼の視野の左右の重なり合いや、左右の視野のそれぞれの重症度を評価に用いない点です。実質的な判定ではそれほど大きな違いにはならないかもしれませんが、学術的な面から考えた場合、現在のクオリティ・オブ・ビジョンを見据えた評価方と比べ、単純化し過ぎていないかという点が私としては気になっているところです。
○久保田座長 そういう意見もありますが、一応簡単なほうに決めていただけたらと思いますのでよろしくお願いします。1/2で最終的に判定するところまではいいのですが、そこに至るまでが少し問題があると思います。その次をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料2の検討事項の項番2、両眼の視野が10度以内のものについて説明します。認定基準は資料3の(2)視野障害のエになります。こちらは視野障害の障害手当金の規定になります。検討事項は認定の対象を現行のとおり、求心性視野狭窄あるいは輪状暗点のみとして認定することが妥当かです。また、検討事項の表の後に前回会合での委員からの意見を要約したものを列挙しました。1つ目は輪状暗点の定義を削除するという合意された事項ですので、それ以外を読み上げます。
 項番2では、不規則性狭窄のような言葉を輪状暗点と並列で入れた方がいいのではないか。完全に同心円でない狭窄も含まれるべきであり、本来10度以内になっていれば形がどうあれ認めていいと思うとの意見をいただきました。こちらは項番1と同様ですが、現行の基準においても求心性視野狭窄と輪状暗点を対象としているもので、身体障害者手帳も同様になっています。項番2については以上です。
○久保田座長 これについて意見はありますか。若倉先生。
○若倉委員 もうさきほど申し上げましたので、そのような意見を持っています。求心性狭窄、輪状暗点と並列という意味ではなく、求心性狭窄というものは色素変性だけの言葉なので、それでは他の疾患の方々に似たような症状の人が本当に困ってしまいます。しかし、そのあたりは、今までは医師の裁量で求心性視野狭窄に近いからこれでやっていたと思います。明確にするために不規則狭窄も含むような、言葉を並列ではなく求心性狭窄に含めると、多少拡大してもよろしいという意味のことが入っていたほうがいいのではないかという意見です。今の項番2の説明は私が言ったものかどうかよく分からないのですが、少しニュアンスが違うと思いました。輪状暗点と同じにという形になっていますがそういう意味ではなくて、輪状暗点も求心性狭窄も色素変性だけを、他のではわれわれ眼科医は頭に浮かばないです。求心性狭窄、輪状暗点というときにはその疾患しか浮かばないので。
○久保田座長 緑内障も、障害が強くなれば最後は求心性になりますね。
○若倉委員 同心円状ではないのです。一般には求心性というのはほぼ同心円状に狭窄してくるものを意識して使われていると思われるので。片側だけ狭窄してくるものはほとんど求心性とは普通言わないのではないですか。
○久保田座長 松本先生、ここの記載はどうですか。
○松本委員 歴史的に日本の身体障害者福祉法を含めて、視野による等級判定は求心性視野狭窄をベースに進んできているという背景があります。また、輪状暗点も後から求心性狭窄の拡大解釈のために追加されている考え方になります。現実的には若倉先生もおっしゃられた様に、完全な求心性狭窄を起こしている症例となると、網膜色素変性症や緑内障の末期の方しか入らなくなってしまいます。求心性狭窄という文言をどこまで診断者が厳格に解釈するかというあたりが、身体障害者福祉法のほうでもグレーなゾーンになっています。求心性視野障害の注のところに記載されている「視野の周辺部から欠損が始まり、見えない部分がゆっくりと中心に向かって進行するものである」がどこまで拡大解釈できるのかということになります。
 不規則性狭窄も現実的に今回の判定条件をすべて満たしていれば、判定していいと思います。1つだけ配慮しなければいけないものは、白内障などで視野が全体に沈下してきている方の場合で、中心部のイソプタだけがすごく狭窄をして、形だけを見ると求心性狭窄のようになっているが、ただ治療すればすぐに治ってしまうような方です。これをどう線引きするかというところも、現行の身体障害者福祉法では少し問題になっています。不規則性狭窄を加えれば現行法よりかなりの拡大解釈になりますが、たくさんの方が矛盾なく判定できることになります。現行の法律は求心性視野障害をベースにすべて考えられているので、不規則性狭窄を正式に認めた場合、どのぐらいの方が適応になってくるかというところになると思います。
○久保田座長 今度数値で表すと、真ん丸ではなくていいという感覚がありますね。10度以内だったら、どんな形でも今度はいいわけですよね。数値で表すわけですから。
○若倉委員 今度はよくないので、その前提に合っていなければ、そこのところはいかない。
○久保田座長 最初の前提のところですね。
○若倉委員 そうです。
○久保田座長 求心性狭窄、ですからこれが……。
○若倉委員 求心性狭窄あるいは輪状暗点を持つものでとか何とかと書いてありましたね。
○久保田座長 5/4でやっていないからいけないのです。最初から1/4でというから、この求心性狭窄、輪状暗点というのは1/4についての言葉ではないのです。5/4でやって始めていえることなので。1/4で視野が10度以内と決めてしまえば、求心性でなくてもいいわけですね。
○若倉委員 そうですが。だから、書いてあることによって、医者によって、随分考えが違ったり、あるいは審査員の一部もここに疑問を持って、クレームというか差し戻す場合があるという。
 審査されている先生はどうですか。そんなことはありませんか。
○前嶋委員 今まで10度以内といっても、不規則な形で10度を少し出るとか、1/2で5度以内といっても、不規則で5度を少しはみ出る6度とか7度の場合は、それだけではじかれていました。ですが、今度そこの部分は8方向のそれぞれの角度が6度とか7度とかであれば……。
○若倉委員 だから中心の部分はいいのですよ。今は前提の話です。それを適応するには求心性狭窄または輪状暗点がなければだめなのです。だからそこの部分が規定上曖昧だなと。確かに5/4でやっているのです。
○久保田座長 1/4でしか診断書を書かないのだから。
○若倉委員 審査するところにこないので分からないわけですけれども。
○久保田座長 ですから、これは要らないのではないですか。
○若倉委員 要らないとするとまた問題になるでしょ。
○久保田座長 10度以内ならいいのではないですか。1/4で10度以内なら、1/4で測れるわけですね。
○若倉委員 私はそう思います。それだけにする手も確かにあると思います。
○久保田座長 周辺に残っていようが残っていまいが関係なく1/4でやって、5/4を出さない限りは分からない。
○若倉委員 委員長の言うことに全く賛成です。
○久保田座長 どうですか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 身体障害者福祉法のほうと整合性を取ったということで、そちらのほうが求心性で判定を決めていますので、障害の状態として見たときにどうかという判断もあると思います。なくても同じような状態だということであれば別ですが、求心性のほうが状態として重いという判断があればそちらのほうがいいと思います。
○久保田座長 輪状暗点が入っていると、輪状暗点より大きい中心暗点もあるのです。ですから、身体障害者福祉法のほうと全然同じではないので、1/4でも10度以内だったらというのではまずいですか。結局緑内障などが問題なわけですよね。網膜色素変性は必ず入りますし、視神経萎縮なども入ってきますので、その他で視野ではあまり出してこないと思うのです。
○若倉委員 実際にはあまりないですが、そういうことがたまに起こってくると。これを書いたからといって、どっと新たに申請者が増えるということはないのです。今まで運用上そうしていたと思いますから。ただ明確でなかったというだけで、人によって解釈が相当違っていたということです。
○久保田座長 ウとエの両方に出てくるのですよね。求心性と輪状暗点が。2ページ目のウに前提であるのです。
○若倉委員 (2)のウですか。
○久保田座長 (2)のウです。それとエのところにまた出てくるのです。だからウは残しておいて、エのほうは、10度以内におさまるものとは1/4で10度以内におさまるものという。
○若倉委員 そこの求心性も「輪状暗点により」というのは要らないですよね。全然よらないですからね。
○久保田座長 よらないですね。10度以内というものは、この「求心性視野狭窄あるいは輪状暗点により」は削除しても意味は通じますね。
○若倉委員 それは意味は通じる。これは確かに要らないです。
○久保田座長 上に書いてありますから、上で縛れるわけですよね。
○若倉委員 縛られてはいない。
○久保田座長 2のウのところに、要するに2級相当の視野というのは「求心性視野狭窄あるいは輪状暗点により、次のいずれかに該当するものをいう」を外すことは、事務局としては好ましくないわけですね。そこを外すと分からなくなるわけですね。2級だから2級に該当する。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 ウのほうは2級で、エのほうは手当金相当のところで、一応求心性というのを書いているので別々のことではあります。
 ただ、これまで従来そのように書いていたということと、判定の際にそういう条件があれば判定しやすいということがあります。
○久保田座長 これは先ほど議論していたものの前提のところとは違うわけですね。ちょっと混乱してしまい申し訳ありません。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 そうです。
○若倉委員 ア、イ、ウ、エ、オは並列で、前の文章には縛られないけれども、ただ、ここの「により」というのはおかしいと思います。輪状暗点により10度以内におさまるというのは。輪状暗点により10度以内におさまるといわれても意味がよく分からないです。
○久保田座長 そうすると、これは先ほどのとは違うから不規則狭窄が入っていないと10度以内でも。
○若倉委員 エは全くこの文章は要らないのではないでしょうか。
○久保田座長 エは違うのですね。10度以内というのは。
○若倉委員 どういう視野かというのは要らなくて、1/4の視標で10度以内に残存視野がおさまっているものということですから。視野の形が云々というもともとの文章は要らない。前提は必要がない。
○小沢委員 認定側も見ていないし、要らないです。先ほど白内障の件で甘くなってしまう話なども、認定側で白内障での視野障害のレベルが予想されるときには、手術ができるかどうかと1回判定して、著しく診断所見が悪くてできないとか、そういう理由があれば認めています。
○若倉委員 われわれは別にそういう解釈が何となく分かっているからいいのですが、一般のどの眼科医でもこの書類を作成する可能性があるので、そこを明確にしておかなければ、不当に門前払いを食ってしまう人が出てくる可能性があるのではないかという危惧があるわけです。
○松本委員 輪状暗点の場合、輪状暗点より外側にも1/4のイソプタが残っている場合がありますので1/4が10度以内だけの条件ではこれらの患者さんが認定できなくなると思います。
○若倉委員 ただ求心性狭窄の解釈が。これは次回までにぜひ、周辺の不規則狭窄を含めてとか、含めるとか、そこが注がある。
○久保田座長 そうすると、これは2級ではないので不規則狭窄を入れてエですね。
○若倉委員 エは、この文章自体が要らないのではないですか。
○久保田座長 これは。
○若倉委員 置いておくのですか。
○久保田座長 違うのです。2級とは関係ない。障害手当金のほうに10度以内と2分の1というのがあるのでなくすわけにはいかないのです。等級が違うから。
○若倉委員 今、松本先生が言われたのはエのほうですか。
○松本委員 これはどちらも。エは絶対そうなりますね。10度以内という規定が書いてあるところに輪状暗点が入っていなければ、中心10度外に1/4のイソプタを残している輪状暗点の患者がすべて認定できなくなります。
○若倉委員 これは「により」ではなくて「があって」ですね。
○松本委員 輪状暗点がある人は、例え周辺に1/4があっても認定できるということになります。
○若倉委員 この日本語は「により」「10度以内におさまるもの」とつながっていますので変なのです。輪状暗点により10度以内におさまったり、求心性狭窄で10度以内に。求心性狭窄ではあり得るけど輪状暗点が。
○久保田座長 輪状暗点の内側ということですからね。
○松本委員 そういうことですね。そういう意味ですね。
○若倉委員 「により」は日本語として考えなければいけない。
○久保田座長 求心性狭窄あるいは輪状暗点がある場合はその内側という意味ですよね。輪状暗点の場合は内側だけで判定するという意味ですね。
○若倉委員 そういうことです。
○久保田座長 事務局のほうで、もう少し分かりやすい表現にして次回にまたやり直しを。項番2はそのように表現を考えることにして、次は項番3です。
○栗原障害認定企画専門官 資料2の検討事項の項番3、その他の障害の程度及び状態について説明します。認定基準は資料3の3ページの(3)のウです。「(3)その他の障害」は前回の見直し案では視力障害と視野障害以外を「(3)その他の障害」として1つの区分にまとめて整理しています。これらは障害の状態として障害手当金相当となります。検討事項は、「その他の障害」として追加した障害の程度を障害手当金相当とし、眼球の運動障害の修正部分を含め、障害の状態としてそれぞれ規定した内容は妥当かです。
 検討事項の表の後に、前回会合での委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。項番3では、閉瞼固守が長時間持続する、あるいは治療によっても長時間持続するような症例については、神経障害における基準を準用するというような記載があればいいのではないか。閉瞼したままという人について、手当金というと非常に不公平で、他の科での認定患者との格差がでてしまう。手当金の上というのは2級になるが、眼を開けても何をしても見えない方の2級と眼瞼痙攣での2級というのが、認定の妥当性、公平性からみてどうかとの意見をいただきました。
 そこでお手元に配布している参考1の併合判定参考表等の裏側をご覧ください。こちらは複数の障害があった場合に併合するためのものとして、障害の程度を示しているものです。両眼のまぶたに著しい運動障害を残すものは11号の2に記載されています。今回の基準の見直しにおいては、障害手当金の包括条項を適用して、まぶたの運動障害のうち、障害状態の程度が重いものについては、障害手当金相当の程度として10号とみなして規定することにしています。また、他の制度も参考にご覧いただきたいと思います。
 身体障害者手帳では、視力障害や視野障害のみで、まぶたの運動障害などの記載はありません。裏側をご覧ください。労働者災害補償では、視力、視野以外は障害等級の第9級以下として記載されており、両眼のまぶたの運動障害は第11級となっています。なお前回の見直し案では(3)ウの(イ)の眼球の運動障害のうち、麻痺性斜視で複視が強固なため片眼に眼帯をしなければ生活できない程度のものとしていましたが、(ア)のまぶたの運動障害および(ウ)の瞳孔の障害の障害状態の程度と整合性を持たせるため、労働が制限される程度のものと文言を追加しました。項番3については以上です。
○久保田座長 1つは、眼瞼痙攣が11号から10号の手当金のほうに移り、そうなったわけですが。若倉先生からもっと強いものもあるからというご意見があったのですが、これはほかの診断書とかそういうことで、前回は一応納得されましたか。
○若倉委員 納得は全然していません。私の意見が通らないのは分かりきっていますが、それでも少しだけ申し上げます。神経のこういう病気というのは、別に11級が手当金に入ったというようには思っていません。これができたころには眼瞼痙攣というものの理解は全然なかった。私がここで委員になったバックグラウンドは、眼瞼痙攣は若倉が知っているからということで入れたのではないかと思います。眼瞼痙攣という病気は、ただ目をつぶっているというだけではなくて、常時眼のまぶしさとか、眼の痛みとかの頑固な感覚異常があって、しかも精神障害、例えば抑鬱感とか不眠とか不安とかそういうことが常時あるような全身疾患です。しかし目立つところが眼瞼なので、ここに入ってきている。だから普通の眼瞼下垂とか両眼の眼瞼下垂とは全然違う神経の難病といえます。しかし、こういう認定が、眼は眼科、皮膚は皮膚科、耳は耳鼻科というように縦割りになっているものですから、そういういろいろなところに障害が起こるような病気に関しては非常に不得意にできているわけです。精神症状や感覚異常が強いものについては併合判定をして、眼瞼痙攣が手当金に固定されてしまうと、今まで1級、2級で判定されていた人もいるので、眼科で出したものもあるし、神経系で出したものもあると思いますが、逆にこれに縛られてしまって、眼瞼痙攣はただ目をつぶっている病気で、眼瞼下垂と大して変わらない病気だと思われてしまうと著しく困るということです。今回はどうか分かりませんが、大きな問題として残していただきたいと思います。
○久保田座長 事務局は何か意見はありますか。それは今後に残すということでよろしいですか。今度3級にされると。
○若倉委員 3級に固定化されてしまうと難しいので、非常に逆に無理なことが。
○久保田座長 今回ここに入れておくことで。
○若倉委員 進歩ではあります。ものすごく。
○久保田座長 進歩として入れておくことについてはよろしいわけですね。
○若倉委員 それは構わないのですが、逆にもっとひどい人に縛りを加えてしまうと非常に困るのではないかと。そこは理解してもらいたいし、また、何か審査するほうでも考えてもらいたいと思います。
○久保田座長 事務局のほうでそのように徹底できることがあればやっていただいて。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 今回手当金相当のほうにいくつか障害の状態として、眼の障害として定めたわけです。本来的にも他の障害、例えば神経系であるとか、そういうものとは併合認定がありますので、そちらのほうで併合して認定する場合もあるということを、周知するときに話をしていきたいと思います。
○久保田座長 その次の(イ)の眼球の運動障害のところに、労働が制限される程度というのを付け加えたことについては特に異議はありませんね。これは大丈夫です。ここは修正案通りに決めて整理していただければよろしいと思います。それでは次の検討内容について事務局から説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料2の検討事項の項番4、視力障害「両眼の視力」の記述についてと、視野障害「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」の記述について説明します。どちらも書きぶりの修正等になります。視力障害「両眼の視力」の記述については認定基準では資料3の2ページの「(1)視力障害」のエとなります。こちらは前回の専門家会合の検討事項9に記載していましたが、説明のみを行いましたので合意事項とされていません。再度説明します。検討事項は「両眼視によって累加された視力ではなく」という記述を削除することでよいかです。これまでの委員からの意見では、両眼視によって累加された視力という表現は好ましくない。両眼視は、遠近感覚や立体視といった機能に対して使い、ここの場合は両眼を同時に使用したとき、あるいは両眼を開けてみたときの意味と思う。手帳では両眼の視力の和だけなので記載しているが、ここでは削除した方がいいという意見を踏まえて「両眼視によって累加された視力ではなく」の部分については削除しました。
 次に視野障害「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」の記述は、認定基準では、資料3の3ページのオとなります。検討事項は「両眼で一点を注視しつつ」という記述を削除し、「片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせること」を追加記載することは文言を含め妥当かです。こちらは委員から両眼による視野というのは重ね合わせるという意味で、身体障害者手帳の基準に説明書きがあるという意見を踏まえて、身体障害認定基準の書き方に合わせて変更しています。項番4については以上です。
○久保田座長 資料3の2ページの(1)のエです。赤字で書いて線が引いてある部分「両眼視によって累加された視力ではなく」は、ここでは必要がないと思うのですが、いかがですか。
○小沢委員 その通り削除で結構です。
○久保田座長 これは削除して結構です。
 3ページの一番上のオです。「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」というところに「片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで」を追加した点と、その前の「両眼で一点を注視しつつ」というのを削除した点です。これはどうでしょうか。入れて構いませんね。
○松本委員 赤のところはこれで問題ないと思います。ただ、この次のところで、「測定した視野の正常域の面積が2分の1以上欠損する」というところは、「測定した視野が正常域の面積の2分の1以上」ではないですか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 現行が視野の生理的限界の面積が2分の1以上となっています。生理的限界ではどうかということで、正常域、実際560度になりますが、そこの面積が2分の1以上ということです。
○久保田座長 先生は測定した視野というのに違和感があるんですね。
○松本委員 測定した視野というところは、測定した患者の視野ということだとすると、そうなると思います。
○前嶋委員 「の」ではなくて「が」。
○松本委員 そうですね。そういうことです。
○前嶋委員 正常域が560ですね。「の」だと「患者さんの視野が」と読めるのです。もともと正常域の560の半分であるということを言いたいのであれば「の」だと、文章のつながりがおかしくなる。
○松本委員 「視野が」ですね。
○久保田座長 「視野が」。
○前嶋委員 「が」ですよね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 視野が正常域の面積の2分の1以上。
○松本委員 さらにこの文にはもう一つ問題があります。表の中に点々で書いてある正常域です。1/4の正常域が560ではなく、学術的に問題があるということで前回本文から正常域の範囲を削除しました。これは前の議事録にもあると思います。しかし、本文中に正常域という言葉を使うと、表の中の560を基準として書かれている点々の範囲に同じ矛盾が残ってしまいます。また、点々の範囲を1/4の正常域に変えるというのも、認定基準が変わるので難しいことになります。一方、以前まで用いられてきた生理的限界という表現は、どのような指標を用いても見える限界ということで560を基準としても矛盾がありません。また、現在実際に行われている判定は、1/4が生理的限界である正常域(560)の2分の1以下であれば認定が行なわれていると思います。すなわち「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」とは「片眼ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで、測定した視野の面積が生理的限界の面積の2分の1以上欠損しているものをいう」ということではないかと。ここの文言の整理、確認が必要かと思います。
○久保田座長 分かりました。これを追加したことで、なぜかここは分かりづらくなっています。先生が言われるのは1/4の正常域にとられるので、5/4の正常域の、1/4で測った値が5/4の半分以下であればいいということですね。
○松本委員 結局そういう運用になっていると思いますので、それをあえて変える必要はないと思います。そこを分かりやすい文章に、矛盾がないように書かなければいけないということです。
○久保田座長 これは次回までに検討して、これは残しておきます。以上で資料3の認定要領に関するところはこれで終わったわけですね。
○栗原障害認定企画専門官 そうです。
○久保田座長 少し時間があるので、今後の課題として整理する事項に移るわけですか。
○栗原障害認定企画専門官 そうなります。
○久保田座長 若倉先生、あと15分ぐらいなので、この中で特に言っておきたいことはありますか。
○若倉委員 診断書の絵で角度のところが出ましたが。これは中心視野の角度とありますが、カッコして1/2の測定値とか何か書いておいてもらったほうがいいと思います。
○久保田座長 そうですね。1/2の測定値とここに書かなければ。
○若倉委員 ドクターが分かりにくいのではないかと思います。
○久保田座長 1/2の値を図のところに書くようにして分かりやすくしましょう。私もそう思っていました。それでは次に。
○栗原障害認定企画専門官 次からの検討事項については、これまで皆さまからご意見をいただいた中ですぐに修正案に盛り込むのは難しい事項です。こちらについては前回座長からも提案がありましたように、今後の課題として整理を行い、専門家会合の意見として取りまとめていければと思います。資料2の3ページ以降、今後の課題として整理する事項を項目ごとに説明します。その後委員の皆さまに議論をいただきたいと存じます。
 検討事項の項番5、視野の測定方法とその判断基準についての考え方を説明します。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つはゴールドマン視野計以外の測定による認定基準について。次にゴールドマン視野計から自動視野計への移行についてです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので一部紹介します。
 第1回目の専門家会合においては、自動視野計で測定された時の認定基準について示してほしいという意見や、自動視野計に関しては身体障害者福祉法でも大きな課題となっている等の意見がありました。また、前回の専門家会合においては、現時点なら現行の判定基準に合った方法でしか認定できないのではないかという意見等がありました。視野の測定方法と、その判断基準についての考え方につきましては、今回の見直しに合わせての意見集約が困難であり、他制度との整合性を図ることも必要ではないかと考えています。項番5については以上です。
○久保田座長 これは前回も討議した内容です。今回の認定要項に入れることはできないが、記録として残して次の改正に当たり、ぜひ検討していただくことにしたいという箇所です。ご意見はありますか。
○小沢委員 せめてゴールドマン型ぐらい入れてもいいような気がします。ゴールドマンはもう売ってないわけですから、どうでしょうか。自動視野計のことはよく分かりました。
○久保田座長 前嶋先生。
○前嶋委員 いいと思います。
○松本委員 少しここの記載は各議論の中から抽出されただけのものですので、内容的に最終的にはもう少し整理したほうがいいと思います。
○久保田座長 記録としての残し方をもう少し整理していくということですね。
 6番にいきます。
○栗原障害認定企画専門官 検討事項の項番6です。現行の視力障害の「両眼の視力の和」での認定の考え方について説明します。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げました。検討事項については、1つは視力の測定方法をどのように考えるか。次に「視力の和」以外の認定方法について、そして他制度との整合性についてです。検討事項の表の後に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので一部紹介します。
 第1回目の専門家会合においては、両眼視の視力の和での認定方法については問題ではないかという意見がありました。視力の和での認定については、身体障害者福祉法の等級も変えないといけないと思うが、大きな課題が残っていると思うのでこの点だけは今回はできなくとも必要なときに両方の委員会できちんとやらなければいけないと思うとの意見がありました。両眼の視力の和の基準は項番5と同様に今回の見直しの中でまとめていくのは難しく、また、他制度との整合性を図ることも必要ではないかと考えています。項番6については以上です。
○久保田座長 これも意見として残すには、いろいろ整理しなければいけないと思います。何かご意見がありましたら。
○小沢委員 特にありません。
○前嶋委員 特にありません。
○松本委員 米国のAMAの基準などでは、視力と視野をそれぞれ指数で出して統合した形で評価するという考え方も導入されています。こういう考え方もあるということを残しておかなければいけないと思います。
○若倉委員 そういう抜本的なものを少し時間をかけてやらなければいけないと思います。
○久保田座長 次の項番7をよろしくお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 検討事項の項番7、法別表についての考え方を説明します。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。検討事項については、「1.認定基準」の法別表の「障害の状態」に視野障害の規定を新たに設けることについてです。検討事項の表の後に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので一部紹介します。
 第1回目の専門家会合においては、確かに認定要領においては視野のことが明確に書かれているが、別表は視野についての記載が明確ではない等の意見がありました。こちらについては法令改正が必要で、若干時間を要するという点はありますが、今後新たな年金制度改革の検討も予定されており、そうした折々を見て、法別表の改正についても検討していきたいと考えています。また、差し当たっては今回の基準改正に当たり、医療団体や関係学会等に改正内容の周知をお願いする予定ですので、その際に周知を図っていきたいと考えています。項番7については以上です。
○久保田座長 これは最初の表を見ただけではあの基準が視野だということが分からないですが、それを今回の改正のときに診断する側に周知していただけるということで。そのうちに法律改正を求めて、あの基準が視野だということを明確にしていただいたほうが分かりやすいと思います。他に意見はありますか。
 項番8の説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 検討事項の項番8、一眼が視力障害で、他眼が視野障害の場合の認定の考え方について説明します。検討事項は3級以上の障害状態を両眼で認定していることについて、次に他制度との整合性についてです。また、検討事項の表の後に委員の意見を記載しましたので読み上げます。
 項番8は、緑内障では片眼は視力が低下して、片眼は視野が著しく悪いケースがある。こうした点が配慮されていないので、問題点として追記していただきたいとの意見をいただきました。お手元に配布している、参考1の眼の併合判定参考表等の裏側をご覧ください。両眼の視力障害や視野障害は、一眼の視力障害や視野障害に比べ、障害の程度が重い区分として3級以上に規定されています。また、一眼の視力障害については8号以下に記載され、一眼の視野障害については13号に記載されており、それぞれ判定されています。次に他の制度も参考にご覧ください。
 身体障害者手帳では、視力障害や視野障害は両眼のみで、一眼に限った記載はありません。裏側の労災をご覧ください。労働者災害補償では一眼のみの判定は第9級以下に記載されています。項番8については以上です。
○久保田座長 身体障害者手帳ではこのようになるのですが、一応障害年金の認定に当たっては、一眼の視野と一眼の視力についてもある程度号は違いますが、該当するところがあるわけで合わせるのですね。ということですが、何かありますか。片方が失明しているものとかいろいろありますので、症例によって併合して診断していけばよろしいと思います。
 そういうことで、今日は視野のところで大変だったと思いますが、一応ある程度の結論が出せたと思います。細かい点を踏まえて事務局のほうで今後整理していただき、予定としては3回でしたが、もう一回開催の予定で、次回の開催について予定が決まっているようです。事務局からその点についてお話をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日はありがとうございました。次回は今日いただいた意見を参考に最終的な取りまとめを行い、意見として残す部分についてもまとめて提案したいと思います。日程は12月7日金曜日、午後3時からの開催を予定しています。後日改めて開催場所の連絡を差し上げます。なお、本日の資料および前回会合の議事録については厚生労働省のホームページに掲載する予定です。
○久保田座長 時間が少し早いですが、この際言っておきたい意見があれば。
 特になければこれで閉会したいと思います。委員の皆さま、事務局の皆さま、長時間ありがとうございました。


(了)

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