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2012年8月30日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年8月30日(木)16:00~


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(10名):五十音順

 石郷岡   純、 桐 井 義 則、○鈴 木   勉、 関 野 祐 子、

 妹 尾 栄 一、 鍋 島 俊 隆、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、

◎望 月 正 隆、 和 田   清

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名):五十音順

 曽 良 一 郎、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

 木 倉 敬 之 (医薬食品局長)

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 中井川    誠   (監視指導・麻薬対策課長)

 佐 藤 大 作 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導室長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は曽良委員、藤岡委員が御欠席、石郷岡委員が遅れる旨、御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数12名のうち、9名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 では、開会に当たりまして、医薬食品局長の木倉から一言御挨拶を申し上げます。
○医薬食品局長 木倉でございます。お暑い中、またお忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。4月に開かせていただいて以来の報告は、後でまた詳しく申し上げると思いますが、少し御報告させていただきます。4月の段階で警察庁と私ども、各都道府県警察と各都道府県の薬務課とで連携をとって、指導や摘発を進めていこうということで厳しくやってまいりました。摘発事例も多く報道される面もありますし、各報道機関もしっかり警告を発してくださっていると思います。非常に注目をされていると思っております。政府の中の動きといたしましても、5月には新しく動いている独立の機関であります消費者委員会から、委員長自ら委員会の意見をまとめて、こういう指定の迅速化、海外流通の規制、包括指定の検討などを速やかに進めるようにということを、小宮山厚生労働大臣に直接申入れをされに来ております。こういう動きの中で与野党ともに議論が進んでおりまして、本日も中井川課長が国会の議論に行かなければいけないものですから、遅れて出席させていただくと思いますが、与党からこの夏、特に若年層が夏休みの期間にもこういう物に興味本意で手を出すなども含めて、厳しく指導をするということを教育関係のところも含めて、しっかり取り組むようにという、正式な要請を民主党として大臣に出されております。今月いっぱい、政府全体の閣僚による犯罪対策の薬物対策の会議体がございますが、その薬物の乱用防止の推進会議そのものの中でも、今の5か年戦略の中でもしっかり進めておりますが、特に違法ドラッグについて、各種の取組みをしっかり連携をとって進めるという申合せがまとめられて、また確認されるというような動きになっています。今、非常に厳しくきちんとした様々な啓発のための情報を出していくとともに、規制すべきものは規制しろという御指摘を受けておりますので、大変お忙しい中でお集まりいただきましたが、前回もお話をさせていただきましたように、この部会の回数も御無理を申しますが、頻度を上げ、また分析等の御協力もいただきながら、この秋も進めさせていただきたいと思っております。また、包括的な規制に向けての御議論も更に詰めていっていただきたいと思っております。また、来年度の予算でもこういう体制を国としてもしっかりやるための予算の措置、そういう分析体制を含めてのものは、しっかり確保してまいりたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。本日は御審議を、17物質ということでお願いいたします。国や県で買上げ調査をした結果で、流通確認されたもの12物質、まだ国内では確認されていないけれども、海外流通で見られているもの5物質ということで、御審議をお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○監視指導室長 ありがとうございました。本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。
また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、予め御了承いただきたいと存じます。
 それでは、部会長の望月先生に以後の議事進行をお任せいたします。よろしくお願いいたします。
○望月部会長 それでは議事の進行を務めさせていただきます。最初に事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料ですが、資料1~5まで、参考資料1~5まで、参考文献1~19まで、また「違法ドラッグをめぐる最近の動向」という標題の資料を配付させていただいております。本日配付いたしました冊子のうち、資料2-7、2-12、参考資料4、参考文献5につきましては、事前に送付させていただいたものに、一部追記がされたものを差し替えて配付させていただいております。また、参考文献については事前に送付いたしましたのは、1~18でございましたが、本日19を配付させていただいております。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合はお知らせ願いたいのですが、よろしいでしょうか。それでは議事に移ります。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 今回、御審議をいただきたい物質につきましては、国及び都道府県で試買調査をして製品の分析を行った結果、国内で流通実態が認められた物質、又は海外では流通が認められたものの、国内では未だ流通実態が確認されていない物質になります。
 資料1で各物質の名称、別名、構造式を1~17までそれぞれ記載しております。これらの物質につきまして指定薬物としての指定をし、規制対象とする必要があるか否かにつきまして、御審議をいただきたいと思っております。資料2では各物質について行われた国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものとなっています。
 個別物質についてそれぞれ説明をさせていただきます。まず、最初の5物質、資料2-1~2-5の物質につきまして御説明をさせていただきます。これらの物質については東京都で既に議論が行われて、知事指定物質として指定されているものです。
 資料2-1から説明をさせていただきます。物質名は通称、デスエチルピロバレロンです。MDPVなどに構造は類似している物質でございます。この2-1~2-4の物質については東京都健康安全研究センターにより試験が行われており、いずれも同様の試験方法を採っております。中枢神経系の作用についてですが、まず(1)「マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察」についてです。これは被験物質を経口投与して、行動や症状について観察をしています。観察結果についてはIrwinの多元観察法を改良した得点表を用いて評価して、さらにこの下の表にございますような指標に基づいて、生態影響の有無を判定しております。まず、1.「行動観察結果」についてです。いずれの投与量でも同程度の反応が見られているということですが、強度においては用量依存的な関係が見られていないというところで、外界反応、触反応、痛反応が見られたということでございます。次ページの2.「中枢神経症状観察結果」です。こちらは2mg、100mgの投与群で反応が観察されました。耳介反射、角膜反射、払いのけ反応を示す動物が認められたということでございます。次の3.「自律神経症状観察結果」です。こちらは瞳孔の散大する動物が20mg、100mgの投与群において認められたということです。次は(2)「in vitroモノアミン神経伝達系への影響」についてです。こちらはラット脳の線条体及び皮質から調製した粗シナプトゾームとトリチウム標識したモノアミンを用いて被験物質による各種モノアミンの再取込阻害作用及び遊離促進作用を検討しております。このデスエチルピロバレロンに関しては、再取込阻害作用に関して、いずれのモノアミンについても阻害されるというような結果になっていますが、遊離促進作用に関するEC50値は測定ができなかったという結果になっています。次は(3)「マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化」です。こちらは自由行動下のマウスに被験物質を経口投与して、マイクロダイアリシス法により、大脳基底核・線条体内の神経細胞外のモノアミン量、ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニンを測定するというものです。下の表が、デスエチルピロバレロンの結果ですが、いずれのモノアミンでも神経細胞外レベルを増加させたということですが、陽性対照のメタンフェタミンに比べるとその程度は小さかったということでございます。
 続きまして資料2-2、ブフェドロンについてです。こちらも東京都健康安全研究センターによる試験が行われています。まず、(1)「マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察」についてですが、先ほどのデスエチルピロバレロンと同じ試験方法を用いております。1.「行動観察結果」についてです。いずれの投与群でも、触反応、痛反応を示す動物が見られているということです。用量依存的な傾向も若干見られているかと思います。次ページの2.「中枢神経症状観察結果」についてです。こちらは用量が大きくなるほど症状が観察される動物が増えてきたという結果になっており、挙尾反応、耳介反射、角膜反射、払いのけ反応を示す動物が認められたというものです。次は3.「自律神経症状観察結果」についてです。瞳孔が大きくなる動物が20mg、100mgの投与群で認められたということで、100mg投与群で瞳孔が更に大きい動物が観察されたという結果になっています。次ページの(2)「in vitroモノアミン神経伝達系への影響」です。この物質に関しては、再取込阻害作用と遊離促進作用いずれも認められており、程度としては陽性対照のものよりは小さいですが、いずれも阻害・促進されたというのが認められたということでございます。次は(3)「マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化」です。こちらは陽性対照よりも増加の程度は小さかったですが、いずれのモノアミン量についても増加が認められたということです。特にノルエピネフリンに対する作用が割合としては強かったという結果となっております。
 次の資料2-3、MDPBPです。こちらも同様の試験方法で試験を行っています。(1)「マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察」に関してです。1.「行動観察結果」に関してはいずれの投与群においても外界反応、触反応、痛反応を示す動物が認められているということで、用量依存的な反応が見られたというような結果となっています。次は2.「中枢神経症状観察結果」です。こちらでは20mg、100mgの投与群で耳介反射、角膜反射、払いのけ反応を示す動物が認められました。また、100mg投与群の方では、それに加えて異常歩行、自発運動の活発化などが見られたという結果となっております。3.「自律神経症状観察結果」です。こちらは20mgと100mg投与群の方で、瞳孔散大、体温上昇が認められた動物が観察されたということで、高用量の方がより激しい、より大きな作用が見られたということです。また、100mg投与群では流涎や立毛を呈する動物も観察されたという結果になっています。次ページの(2)「in vitroモノアミン神経伝達系への影響」です。こちらは再取込阻害作用に関して、いずれのモノアミンについても認められたということですが、遊離促進作用に関してはEC50値が求められなかったという結果になっています。次は(3)「マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化」についてです。こちらについてはいずれのモノアミンに関しても増加が認められたということですが、陽性対照のMDMAよりは増加の程度は小さかったということです。
 次の資料2-4、BMDPです。こちらも同様の試験方法で試験がされています。(1)「マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察」についてです。1.「行動観察結果」に関しては、いずれの投与群においても何らかの反応が見られたというところですが、作用強度としては、それほど差はなかったという結果となっています。次ページの2.「中枢神経症状観察結果」です。高用量群での反応が強く見られるというような傾向が見られています。耳介反射や角膜反射、払いのけ反応を示す動物が100mg群で認められたという結果になっております。3.「自律神経系症状観察結果」ですが、こちらは高用量群で瞳孔散大、眼瞼の開いた動物を数例認めたという程度の結果だったということです。次ページの(2)「in vitroモノアミン神経伝達系への影響」です。こちらは再取込阻害作用に関しては、いずれのモノアミンに対しても示しているという結果ですが、遊離促進作用に関してはセロトニンのみEC50値が求められたという結果になっています。次の(3)「マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化」に関しては、陽性対照MDMAよりも増加の程度は小さかったけれども、いずれのモノアミンに関しても細胞外のモノアミン量は増加しているという結果が得られています。
 資料2-5、RCS-4オルト異性体です。こちらは文献の結果を付けさせていただいています。(1)「[35S]GTPγS結合活性試験」に関してですが、こちらはラット脳から膜標本を調製して、被験物質など各種合成カンナビノイドについて結合活性を検討したものでございます。各物質の活性については、カンナビノイド受容体拮抗薬によりほぼ完全に阻害されたというようなことで、カンナビノイド受容体への結合がいずれも認められるということでございます。また、考察のところでRCS-4オルト異性体と比較検討した合成カンナビノイド、これらの多くはΔ9-THCよりCB1受容体に対する結合親和性が高いということで、RCS-4オルト異性体についてもΔ9-THCと同等、あるいはそれ以上の親和性を有すると思料されるという形で考察がされています。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。ただ今事務局より説明がありました5物質について、委員の先生方から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 私ども□□□□□□□□□□□□では、これらの違法ドラッグ製品につきまして、インターネットを通じて継続的に流通実態調査を行っております。今、御説明がございました化合物1~5について、それらの検出事例について簡単に御説明したいと思います。まず、化合物1デスエチルピロバレロンは2010年ごろから流通が認められており、私どもの試験結果だと今のところ16製品から検出されています。2番目ブフェドロンに関しても、やはり2010年ごろから検出が認められており4製品、3番目MDPBPは12製品から、4番目BMDPは少ないのですが、1製品から検出されています。これらはいずれも粉末若しくは液体の形で認められていますが、化合物1については2011年後半ごろからいわゆるハーブ製品、乾燥植物細片の製品にも合成カンナビノイドとともに含有されていることが認められています。また化合物5、合成カンナビノイドのRCS-4のオルト異性体ですが、こちらも2011年ごろから流通が始まっており、6製品から検出されています。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。いずれも検出されているということです。いかがでしょうか。ほかの先生方御意見はございますでしょうか。1~4までは十分な検査データがございます。5についても妥当な推定であるというようなことから、いずれもこれを指定することが適切かと思うのですが、ほかには御意見はございますか。
それでは審議をまとめます。ただ今御審議いただきました5物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。引き続き事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして資料2-6と資料2-12の物質について御説明させていただきます。
まず資料2-6、α-PVPについてです。こちらは構造類似物質としてMDPV等が挙げられています。中枢神経系への作用についてですが、□□□□□□□□□□□□□において試験が行われています。(1)「運動活性への影響」です。マウスにα-PVPを投与し、運動量を測定した結果、用量依存的な運動促進作用が発現しており、中枢興奮作用を有することが明らかになっているということです。また、この作用については拮抗薬の前処理により抑制されるということで、この作用はドパミン受容体が重要であることが明らかになったということです。次の(2)「ドパミン遊離に対する影響」です。マウスにα-PVPを投与して、マイクロダイアリシス法によりドパミン遊離に対する影響を検討したところ、側坐核において著明なドパミン遊離の増加が確認されたということで、このドパミン遊離量の増加が中枢興奮作用に関与していると考えられるということです。次の(3)「細胞毒性」です。マウス線条体の初代培養神経細胞にα-PVPを添加したところ、細胞毒性が発現したということです。また、MAP-2抗体による神経細胞の染色を行ったところ、α-PVP処置群において著しい細胞数の減少が確認されたということです。
 続いて資料2-12、24ページ、25I-NBOMeという物質です。こちらは構造類似物質として麻薬の2C-Iあるいは指定薬物のDOIを挙げさせていただいています。この物質は中枢神経系への作用については、定量的構造活性相関による生物活性予測をしており、これを用いてセロトニン受容体に対するアゴニストとしての効力、固有活性を算出しております。麻薬あるいは指定薬物である構造類似物質と同様の活性を示したということで、この下の表のような結果になっています。また、海外において健康被害事例が報道されており、本日追加して付けました文献にありますが、米国においてこの物質による関連健康被害事例、錯乱状態であるとか、うつ症状、脳出血、血圧上昇などが6件報道されているという状況です。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。それでは、ただ今事務局から説明がありました2物質について、先生方からの御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。□□委員お願いします。
○□□委員 先ほどに引き続き、私ども□□□□において行っている流通実態調査の結果を簡単に御説明したいと思います。最初のα-PVPですが、この化合物は2011年ごろから流通が認められており、製品形態としては液体若しくは粉末のほかに、いわゆるハーブ製品と呼ばれるような合成カンナビノイドが入った乾燥植物細片の製品から共に検出されることが多くあります。α-PVPは2012年に入ってからかなり検出事例が増え、現在7月時点で50製品から検出されています。
 また、資料2-12の化合物ですが、新しく流通が認められた化合物で、2012年6月の終わりごろから流通が認められています。7月に入り流通製品が増えており、7月現在で8製品から検出が認められています。また、こちらの資料にはないのですが、ほかの論文において、トリチウムラベルした本化合物のセロトニンレセプターに対する親和性を検討しており、それによりますと、セロトニンの5-HT2A/2Cの代表的な拮抗薬として実験に代表的に使われているケタンセリンという化合物の20倍もの親和性を示すことが明らかとなっています。以上です。
○望月部会長 貴重なデータをありがとうございました。ただ今の説明を受けまして委員の先生方から御意見はございますでしょうか。
特にございませんか。では、この審議いただきました2物質についても、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として、指定するのは適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。引き続き事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 続いて資料2-7~2-11、合成カンナビノイドについて御説明させていただきます。
まず資料2-7、MAM-2201です。類似物質としては、指定薬物のAM2201、JWH-019を挙げさせていただいております。中枢神経系への作用等については、(1)「行動薬理に関する試験結果」として、MAM-2201を含有する製品からDMSOで抽出して、その抽出溶液をマウスに投与したもの、燃焼をさせて吸煙をさせたものに対して運動活性を評価したという報告があります。いずれの投与方法においても、カタレプシー様無動状態が発現したということでございます。また、この無動状態については、カンナビノイド受容体の拮抗薬によって、著明かつ有意に抑制されたということです。以上よりMAM-2201は、CB1受容体を介してカタレプシー様無動状態を引き起こすということが示唆されたという報告がされております。続きまして(2)「CB1受容体への親和性に関する試験結果」についてです。こちらに関しては、トレーサーとCB1受容体の結合を50%阻害する濃度をdose-response curveを作り算出したものです。次ページの上に表がありますが、その結果、MAM-2201は、CB1受容体に対してJWH-122の約10倍の親和性を有するということが示唆されました。なお、参考にJWH-122のCB1受容体への親和性は、Δ9-THCの約59倍であるということが示されているという報告です。
 続きまして、資料2-8、JWH-122N-(4-pentenyl)analogです。こちらは構造類似物質としてはJWH-122、JWH-018を挙げさせていただいております。中枢神経系への作用として、カンナビノイド受容体への親和性に関する試験結果があります。本物質のCB1受容体に対する親和性を、トレーサーのCB1受容体の結合を50%阻害する濃度として算出しております。下の表に記載されているものです。この結果、本物質についてはCB1受容体に対してJWH-122と同程度の親和性を有するということが示唆されました。参考として、先ほどと同じですが、JWH-122のCB1受容体への親和性は、Δ9-THCの約59倍であると示されています。
 続きまして資料2-9、AM2232です。これは(1)「CB1受容体への親和性に関する報告」として、ラット前脳膜から精製した膜を用いて、AM2232とCB1受容体の親和性、Ki値を求めているというものです。その結果、Ki値は0.28nMということで、CB1受容体に対するΔ9-THCのKi値41nMという既報値がございますが、これから比較すると146倍の親和性を有すると計算されます。
 続きまして資料2-10、XLR-11です。こちらはインドール環にカルボニルを挟んで、3員環が付いているということで、基本的な骨格が新しい構造になっています。こちらはインシリコ評価法により生物活性を予測しており、このXLR-11の構造類似化合物でカンナビノイド受容体に対するKi値が既知である11物質がありまして、それを基にファーマコフォアフィンガープリント法と二次元QSARにより、XLR-11の生物活性を予測しています。その結果、XLR-11のKi値は最小で100nM未満と予測されたということです。
 続いて資料2-11、UR-144です。こちらも先ほどのXLR-11と似たような構造を持っておりまして、左側に3員環が付いているという構造になっております。中枢神経系への作用については、CB1受容体への親和性に関する報告として、チャイニーズハムスター卵巣細胞に発現させたヒトCB1受容体とUR-144との親和性をトレーサーとの競合置換反応によって計算しております。それによると、Ki値は150nMということです。Δ9-THCのKi値41nMと比較すると、約4分の1の親和性を有すると計算されます。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。ただ今、事務局から説明がありました5物質について、先生方から御意見を伺います。いかがでしょうか。
○□□委員 先ほどに続いて、□□□□の流通実態調査の結果を簡単に御説明したいと思います。まずMAM-2201と呼ばれている化合物は、2012年に入ってから爆発的に流行が認められている化合物でして、実際に現在でも主に流通している化合物の一つです。現在までに95製品から検出が認められております。また、次のJWH-122N-(4-pentenyl)analogも非常に多くの流通が認められておりまして39製品から、AM-2232も20製品から、XLR-11は21製品、UR-144は30製品と、いずれも2012年に入ってから流通が認められている化合物です。これら化合物の含有製品のいずれも、製品形態としては、乾燥した植物細片に化合物をまぶしてあるようなものが主で、中には粉末そのもので売られている製品もございました。なお、これは非公式的な話なのですが、私どもは、救急搬送事例ですとか、死亡事例などの生体試料の分析依頼を受けることがあるのですが、2012年に入ってから、MAM-2201と、JWH-122 N-(4-pentenyl)analogの検出事例を幾つか経験しております。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。ほかの先生方、御意見ございますか。
それでは、ただ今御審議いただきました5物質も、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であるとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。残りの5物質について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 残りの物質について御説明いたします。これらの物質に関しましては、いずれも海外での流通が認められているけれども、国内での流通がまだ認められていない物質です。資料3を御覧ください。今回これらの物質を選定したその方法について、最初に御説明をさせていただきます。4月の部会で指定薬物の迅速指定の方策の一つとして、海外で流通実態がある乱用薬物について、国内流通を確認する前に、指定薬物として指定をする可否について検討するという方針が了承されました。これを受け、今回5物質を指定候補の物質として挙げていますが、これらについては□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□によって、海外の流通状況を情報収集したということです。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、ウェブサイト等でその情報が報告書などで整理・集約されているということがあり、これらから選定したということです。今回の5物質に関して、□□□□□□□□□□□□□で流通が報告されていて、日本国内では流通が確認されていないものであって、さらに指定根拠となる科学的な知見が既に得られているという、そのいずれにも該当するような物質を今回の指定候補という形で選定をいたしました。
 個別の物質の説明をさせていただきます。資料2-13、26ページです。下から順に説明をいたします。JWH-007は、海外においての流通状況としては、2011年□□□において流通が確認されました。カンナビノイド受容体への親和性に関する報告については、Ki値としては9.5±4.5nMということで、Δ9-THCに比べ4.3倍の親和性を有すると計算される物質です。
 資料2-14、JWH-182は、2011年□□□□□において流通が確認された物質です。カンナビノイド受容体の親和性に関する報告については、Ki値としては0.65±0.03nMと求められておりまして、Δ9-THCと比べますと約63倍の親和性を有すると計算されるということです。
 資料2-15、JWH-398は、□□□□において2009年に流通が確認されました。カンナビノイド受容体の親和性に関する報告では、Ki値は2.3±0.1nMということで、Δ9-THCに比べますと18倍の親和性を有すると計算されます。
 次の資料2-16、AM679は、2010年□□□□□において流通が確認されたというもので、CB1受容体の親和性に関する報告では、Ki値は13.5nMということで、Δ9-THCに比べ約3倍の親和性を有すると計算されるという物質です。
 資料2-17、4-メチルアンフェタミンは、アンフェタミンや指定薬物の4FMPに構造が類似した化合物になっておりまして、(1)「海外における流通状況等」としては、2011年に□□□□、□□□□、□□□□、□□□□□□、□□□□□□、□□□□□□□において確認されています。なお、□□□□、□□□□、□□□□においては、関連死亡例が11件、関連中毒例が3件報告されています。中枢神経系の影響の試験結果ですが、(2)「自己投与試験」として、サルを用いて本物質の自己投与試験が実施され、比率固定スケジュール、比率累進スケジュールのいずれにおいても、4-メチルアンフェタミンの強化効果が確認されたという報告があります。次ページの(3)「in vitroモノアミン神経伝達系への影響」です。ラット脳の尾状核及び全脳とトリチウムで標識した各種モノアミンを用いて、4-メチルアンフェタミンのモノアミン遊離促進作用を検討したという報告がございます。これによりますと、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニンの遊離促進作用が下の表のような形で確認されたということです。続いて(4)「in vivoモノアミン神経伝達系への影響」です。マウスに4-メチルアンフェタミンを静脈内投与し、マイクロダイアリシス法により、側坐核のモノアミン量、ドパミンとセロトニンを経時的に測定したところ、いずれも濃度の用量依存的な上昇が確認されたということです。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。ただ今のは、国内では未流通ですが海外で流通しているという物質から選んだ5物質についてですが、これらについて先生方、御意見ございますでしょうか。
○□□委員 これまでの指定というのは、どうしても後追いという形だったと思うのですが、それが入ってくる前に国内未流通の状況から選定・指定していくということは、非常にこれは大きなインパクトのある手法だと思います。どうしても広がって問題になってから指定ということであれば、それまでの猶予があるのだという捉え方を一般的にされるかと思うのですが、未然に広がりそうなものを指定していくということは、かなり踏み込んで先手を打つということでは、とても重要な手法だと感じております。積極的にこういう指定の方法を検討されていかれればと思います。
○望月部会長 ありがとうございます。□□委員の御指摘のとおりだと思うのですが、迅速指定の方策として前回認められたことを、早速実行しているということです。ほかの委員の先生方いかがでしょうか。
○□□委員 未流通で指定されたものという情報そのものは、どのように活用されていくのでしょうか。
○望月部会長 事務局から御説明いただけますか。
○事務局 こちらの物質については、御了解いただければ指定薬物として指定をした上で、税関などでこういった物質が入ってくることを監視していただくようなことで、国内に流通するというのを防止していきたいと考えております。
○□□委員 すぐそのような体制がとれるようになっているのですか。
○事務局 海外から入ってくる場合は税関を必ず通りますので、その場で国内でないものということで、特に今回指定したものという情報は税関にも伝える予定ですので、この物質については、特に注視して見てもらうような形の監視をしていただくということになるかと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 指定薬物につきましては、従来指定した直後には、当然警察、税関も含めて、情報は提供させていただいておりますが、特に今回、海外情報では初めてのケースですので、一番想定されるのは正に水際ですので、税関の方には従来よりも早目に、準備段階でこういうことをやるということと、こういう物質が指定されそうだということは情報提供いたします。今回初めてのケースということもありますので、御了解いただければ、私の方から税関の担当課長には、新たにこういうやり方でやるので是非よろしくお願いしたいということは、訪問してお願いに上がる所存です。
○□□委員 税関でサンプリングをして、国立衛研などで分析をされる、そういうシステムができているわけですか。
○監視指導・麻薬対策課長 従来のやり方で申し上げますと、当然、指定薬物に指定しますとその標準品というのは、立前としてそれは税関の方でも揃えて自ら分析を行う。当然それは税関の方で標準品を持ち合わせていない場合であれば、衛研でそれはやりますし、こちらから提供するというようなことです。これはただ仕組みというよりも、実質的に行われてきた部分というのが当然あるわけです。原則としては、税関に情報提供するということは、税関でも当然、海外でも標準品が販売されておりますので、それを購入していただくというのが立前ではありますが、そこは実質的な協力体制を税関と話し合いながら進めていきます。今回ある意味では初めての事例ですので、どのような感じで税関に引っかかってくるかというのも、私どももまだ予想がついていませんので、そこは現場の状況を見ながら、私どももいいやり方を相談しながらやっていきたいと考えています。
○望月部会長 よろしいでしょうか。
○□□委員 それに関連して、前から言っていたと思うのですが、税関ですり抜ける場合もありますね。今愛知県でも警察が交通事故で2例、私の所へ中村署と豊橋警察署が来まして、分析を県の衛研でやるのですが、スタンダードがないので特定できないという問題があります。科捜研などに送って多分マスからいくと、その物質だろうというような予測はできますが、スタンダードがないので同定ができないという問題がありますから、やはり厚労省でスタンダードのライブラリーなどを作って、リクエストがあったらすぐ都道府県にも供給できるようなシステムも、これを機会に考えていただくとありがたいと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 御指摘の方法で、私どもは概算要求を考えております。やはり先生御指摘のとおり、要は指定物質がますます増えていくと、国内流通の実態があるものも増えていく、海外情報のものも増えていく。これから包括指定のようなものも出てくるというときに、全部の標準品をどこがどうやって揃えるのか。要するに、都道府県や県警、私どもが全部の物質を揃えるというのは、非常に非効率でもありますので、役割分担の仕方や融通の仕方などを念頭に置いた概算要求を考えております。後は衛研の方で標準品のいわゆるスペクトルデータのデータベースのようなものを作って、それを参考にしていただくとか、効率的にできるような方策を今概算要求の中で検討しています。
○望月部会長 分担といっても中心になるのは、厚労省であり、国立衛研であると思います。
○□□委員 そうですね。
○望月部会長 ただ分担で47に分けましたというのでは、あまりよくないと思うので、是非よろしくお願いします。
○□□委員 なかなか意識も違いますしね。
○望月部会長 そうですね。
○□□委員 少し話が逸れてしまって申し訳ございませんが、指定薬物の分析用標品に関しましては、現在でも必要に応じて、正式に厚生労働省に交付依頼をしていただき、その後私どもから化合物を随時交付しております。また、指定薬物未指定のものに関しましても、基本的には購入するようにお願いはしているのですが、それが間に合わないという場合には御相談いただければ、非公式的ではありますが、現在でも供給するような形を心掛けております。
○望月部会長 そのような情報は、各都道府県の衛生研究所に入っているのですか。
○□□委員 一応、地方衛生研究所が集まる協議会や、厚生労働省主催で国立衛研において毎年行わせていただいております、違法ドラッグ分析研修会議などでアナウンスはしております。
○望月部会長 ありがとうございます。ほかにはどなたか御意見ございますか。
○□□委員 また話が変わって申し訳ございませんが、例えばJWH-398などの化合物は、日本での流通は今のところ私が把握している限りでは認められていないのですが、この化合物は、今年2012年に米国においてテンポラリーのスケジュール1の規制がかかることが連邦議会で承認されている化合物です。このように他国において規制された場合、余りの製品が流入してくる可能性もありますので、あらかじめこのような化合物を指定薬物として規制することは重要かと思っております。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。重要なことだと思います。ほかには御意見ございますでしょうか。
 それでは、この5物質についても、薬事法第2条第14項に指定する指定薬物として指定するのは適当であると決議したいと思います。
 ありがとうございました。では事務局より本件に係る今後の手続き、スケジュール等についての説明をお願いします。
○事務局 本件の結果については、10月1日に開催予定の薬事分科会で報告させていただく予定です。また、本日の結果を受けまして、パブリックコメント、WTO通報等の必要な手続きを行いまして、指定薬物を指定するための省令改正の手続きを進める予定としております。また、正規用途については、参考資料5に記載していますが、化学合成用途・医療用途として使用されているという実態は、今までのところ今回議論していただいた物質については聞いておりません。いずれにしても、パブリックコメントの結果を受けまして、可能な限り適正使用に支障を来たさないように対応していきたいと考えております。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。資料5については特に説明はないのですね。
○事務局 失礼いたしました。
○望月部会長 見れば分かるということですかね。
○事務局 資料5については、もう少し後のところで説明させていただければと思います。
○望月部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。続いて「違法ドラッグをめぐる最近の動向」についての説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 お手元の当日配付資料について、前回の御審議以降で、最近非常にこの違法ドラッグ問題が社会問題化しているということですので、動向について説明します。
 1ページは、前回皆様から御審議いただいたもの、後は指定薬物の麻薬に新たに指定いたしましたので、具体的なスケジュールを時系列的に示させていただいています。なお、補足で申し上げますと、東京都がこの指定薬物制度ができる前に条例を制定されていたわけですが、4月に久しぶりに5物質が指定されまして、それを今回この指定部会でもフォローしていただいたということが、スケジュール上明らかになっています。今の指定状況で申しますと、全部で73物質という形になっています。
 次ページは、取締りの状況です。前回も御説明しましたが、3月30日付けで警察庁と私ども連名で通知を出しまして、合同で違法ドラッグの販売店舗に立ち入りまして、販売自粛の要請等の指導をすると、その後そこで買上げ等をしたものについて、指定薬物が出たものは、警察が即検挙に至らしめるというような形で、警察との合同立入りを行ったということです。これは35都道府県で行われておりまして、指定薬物を販売している事業者の存在が確認された県で立入りをしなかったのは長野県だけで、存在が確認された都道府県においては4月以降あまねく立入りを行っています。警察との合同も35分の34ということですので、ほぼ存在が確認された都道府県は、警察と合同の立入りをこの4月~7月の間に行ったということです。下の方に検挙事例という形で、これは警察の資料に基づいていますが、指定薬物又は麻薬という形で検挙した事例が左側に記載をしております。右の方は、警察が指定薬物に該当しない場合にどの法規を適用するかということで、自動車運転過失傷害・業務上過失傷害というような形で検挙をされているという事例がございます。ただ、上から二つ目の滋賀県の事例は、一応検挙はしましたが、やはり送検のところまでは至らずに不起訴処分になったということで、麻薬として指定することが検挙、送検に結びついているというのが現状です。検挙以外にも今回、警察と薬物担当課と両方で入ることが、牽制効果が上がっているということです。これは京都府の事例ですが、何度も行政や警察などが入ってこられると、どうしようもないということで、閉店に至らしめたという事例もあると聞いておりますので、警察とも協力しまして、引き続き取組みを進めていきたいと思っております。
 次ページです。最近の違法ドラッグの社会問題化を踏まえまして、各都道府県等で条例制定の動きが出ております。私どもが非公式に聞いたところによりますと、現在のところ「制定予定あり」が、6都府県です。そのほかにも「制定検討中」が4道県あると聞いております。内容につきましては、基本的に多いのが東京都の条例を踏襲するという形で、知事指定薬物という制度を設けるという所が多いようです。ただ、皆様御案内のとおり、指定するに当たっての毒性試験等については、検査能力・体制について限界があるということで、東京都の知見を踏まえて、東京都が指定したものを指定するというような方向で検討されている所が多いと聞いております。そのほかに特徴的なところは、大阪の特徴としては、今パブリックコメントにかけている最中ですが、知事指定の薬物について、単純所持規制をかける方向で検討しています。自治体からいろいろと要望をいただいております。基本的には私どもが従来から御説明している施策について、速やかにやってほしいという内容がほとんどですが、やはり各都道府県の試験検査体制に対して支援をお願いしたい、というような御要望も幾つかいただいています。
 次ページです。政治の動きです。薬事法の改正につきましては、いわゆる閣法という形では、残念ながら今国会ということではなくて、遅くとも次期通常国会までにというような形での対応ですが、与党民主党で違法ドラッグ対策について、党としての考え方を整理され、去る8月10日に提言を出されております。規制内容につきましては、指定薬物の迅速指定等、従来私どもが検討しております延長線上にありますが、重点的には夏休みという時期でもありますので、青少年に対する啓発・教育にも力を入れていくべきだということに少しウエイトを置いた形です。その中でも違法ドラッグの前に、薬そのものの服用が一体どういうことなのかということを、保護者も含めてもっと若いうちから啓発した方がいいのではないか。そうしたことがインターネット等で安易に薬物を購入するというインセンティブを牽制するのではないか、というような感じの御提言もいただいています。具体的な内容につきましては、次ページ以降に原文を付けていますので、御参考にしていただければと思います。私からの説明は以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。ただ今の説明に御質問等ございますでしょうか。
よろしいですか。続きまして、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○事務局 資料4の説明が抜けておりましたので、資料4と5について説明をさせていただきます。
資料4「海外の薬物規制体系について」ということで、前回4月の部会において、事務局から報告をさせていただくとしていたものです。今回、米国、英国、EUの状況について報告させていただきます。そのほかの国についても現在調査を継続しているところですが、状況がまとまりましたら次回以降の部会で報告できればと考えています。まず1ページ、アメリカにおいて薬物の規制は、連邦法と各州法によって行われています。薬物の製造や乱用等に関する規制に関しては、Controlled Substances Actが根拠となって規制が行われているという状況です。薬物の製造、流通、使用又、それらを意図した所持、輸入等を規制しており、対象となる薬物に関しては1.「乱用の危険性の程度」、2.「医学的な治療用途の有無」、3.「精神・身体への影響の程度」に基づき5段階、スケジュールI~Vと分類されています。この中でスケジュールIとIIの違いに関しては、医学的な治療用途があるかどうかというところでの違いという形になっていまして、Iが一番有害性が高く、Vの方が弱くなってくるというものになっています。アメリカの包括指定については前回も御説明しましたが、規制物質のアナログ、スケジュールIとIIの物質と「実質的に同様」と判断されるものにつきまして、人体摂取を意図する場合にはスケジュールIの物質と同等に扱うとされています。
 イギリスの規制については、Misuse of Drugs Act 1971に基づいて行われ、こちらは有害性の程度に応じて3段階、クラスA~Cと分類されて規定されております。また、この分類に加え、12か月を限度とする暫定的な規制が設けられています。包括指定については、基本骨格とその置換基、置換箇所を具体的に明示しまして、包括指定の対象となる誘導体を規定しているということです。
 続いてEUです。EUでは麻薬等に規制されていない乱用物質をNPSと呼んでおりますが、それに対して薬物問題を取り扱う機関であるEMCDDAと犯罪対策機関であるEuropolを中心として、EU域内での連携体制が構築されております。NPSの流通が確認された場合には、この連携体制に基づき、EU加盟国内での情報共有・交換等が行われています。EWSの概要は、NPSを検出した後、3ステップで対応されています。最初のステップでは、「情報交換・早期警告」ということで、加盟各国が製造や流通に関する情報をEuropolとEMCDDAに送付し、EMCDDAなどがこれを欧州委員会、欧州医薬品庁に通知をします。EuropolとEMCDDAは情報収集が必要だと判断した場合には、Joint reportを集約し、Joint reportをEUの理事会、欧州委員会、欧州医薬品庁に提出するというのがStep1です。Step2は「リスク評価」ということですが、理事会でJoint reportに基づいて、リスク評価の要否を判断します。リスク評価が必要だと判断された場合には、EMCDDAの専門家による委員会で、risk assessment reportを作成し、これを理事会などに提示するというのがStep2の「リスク評価」です。Step3になりますと、理事会でこのレポートなどを基に、この物質を規制対象とすべきかどうかを決定します。加盟国でこの決定を見まして、加盟国各国で規制法、罰則を国内法に従って決定していくというような手順になっています。今回は以上ですが、引き続き情報収集をしておりますので、新しい情報がありましたら、また順次報告させていただきたいと考えています。
 資料5「指定薬物部会の今後の開催スケジュールについて」です。前回の部会で指定薬物部会の開催に関して、部会の開催頻度を上げるということなどにつきまして御了解いただき、「当初の開催スケジュール」のところに書いていますが、今回8月と11月に開催するということで御了解いただいたところです。ただ、本年の4月以降、違法ドラッグの使用によると疑われる健康被害事例が散見されているという状況もあり、違法ドラッグは依然として大きな社会問題となっており、早急な対策が必要であるということを事務局として考えています。そのため、事務局としては、違法ドラッグ対策の一環として更に指定薬物の規制強化をしていきたいということで、本年度の本部会を更にもう一度10月に開催させていただきたいということで、恐縮ですが、既にスケジュール調整などさせていただいておりますが、本年10月、11月、来年以降随時という形で開催をさせていただければと考えています。次回、次々回の予定につきまして、10月に関しては10月16日の午後4時から、11月28日の午前10時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○望月部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明で何か御質問ございますか。皆さん忙しい日程を更に忙しくさせて申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。
○□□委員 一つだけよろしいでしょうか。実は6月4日~9日まで、WHOのECDD委員会がありまして、出席してまいりました。議事録、レポートが大体できているのですが、まだ公表するなということですので、それが公表になりましたら、多分次回ぐらいに御報告できるのではないかと思います。本日の話の中で教育ということが出てきたのですが、その時に乱用問題と適正使用の教育、このバランスがやはり非常に重要であり、医薬品の適正使用ということもきちんと教育していかないといけないという話が出ておりますので、是非その辺を反映していただければと思います。
○望月部会長 ありがとうございます。特に薬剤師さんの仕事というのは、やはりこういうところにも活かさなければいけないですね。他にどなたか御意見ございますか。
それでは「平成24年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会」は閉会いたします。
○□□委員 お願いがあるのですが。先ほど愛知県のことをお話しましたが、化合物は大体マススペクトルによって、これであろうということで、科捜研がほぼ確定はできないが間違いないだろう。そういうことで、こちらの事務局に、それに関連する資料が皆さんの努力で集まっているから、私の方に送っていただけませんかというお願いをしたのですが、基本的に出せないという御回答だったのです。税金を使ってこれだけいい資料を集めているのに出せないなんて、全く考えられなくて、本日のこの部会で是非お願いをしたいと思って本日はやって来ました。こういう要望が受けられないようだったら、私は委員を辞退させてもらいたいぐらいです。宝を持っていて、県レベルでもやはり協調して行政をやっていかないと駄目だと思うのです。ですから是非この委員会でそういうことは妥当であるというような、委員の先生方の御同意がいただければ有り難い。そうしたら事務局も、これはパブリックに印刷されたデータがいっぱいありますね。そういうものをなぜ出せないのか、私は全く分かりませんで、是非出せるような体制にしていただきたいと要望いたします。
○望月部会長 いかがでしょうか、出せないという根拠について御説明いただけますでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 一つは審議自体が非公開で資料も非公開という原則と、後は行政資料として有効に活用するべきではないかというところの兼ね合い等があろうかと思いますので、まだどのような知恵が出るのかということはまだ分かりません。
○□□委員 でも公開された文献ですから。
○監視指導・麻薬対策課長 既公開の資料ですが、どの資料を使って我々が判断したのかという意味合いを持っているというところも、恐らくあろうかと思います。ただ、先生のおっしゃることも確かに、既公開の資料が何でいけないのかということもありますので、そこは我々でどういう考え方なのか整理をさせていただければと思います。多分、一定の非公開、資料非公開の審議会の在り方の問題とも絡んでくる話だと思いますので、それは当然先生のおっしゃることも分かります。
○□□委員 ですから衛研でやられた資料とかは、非公開でもきちんと税金使ってやっているわけですから、そういうものは公開するべきだと思います。
○監視指導・麻薬対策課長 その辺は少し整理をさせていただきます。
○望月部会長 審議が終わった後で、その資料を更に有効利用をするためには、公開の方向でいいのではないかと思います。
○□□委員 有効に使うということが、非常に私は大事だと思います。やはり情報を共有しないと、全国的に取締りなどが円滑にいかないと思います。
○望月部会長 そのような点はよくまた御検討ください。
○監視指導・麻薬対策課長 また整理をした上で。
○□□委員 是非、お願いいたします。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(内線2779)

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