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2012年11月5日 保育所における感染症対策ガイドラインの見直し検討委員会(第2回)

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成24年11月5日(月) 19:00~21:00


○場所

厚生労働省19階 専用第23会議室


○出席者

委員

遠藤座長、石川委員、菊地委員、工藤委員、多屋委員、藤城委員、峯委員、和田委員

オブザーバー

梅木課長補佐、知念専門官、三平課長補佐

作成協力者

安井良則

事務局

橋本保育課長、田村課長補佐、丸山保育指導専門官

○議題

(1)保育所における感染症対策ガイドライン修正案について

○配布資料

資料1 「保育所における感染症対策ガイドライン」修正案
資料2 保育所における感染症対策ガイドラインの修正、加筆内容
参考資料 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 日本小児科医会 予防接種・感染対策委員会(2012・9改訂版)

○議事

○丸山専門官
 皆さま、こんばんは。定刻になりましたので、ただ今より「第2回保育所における感染症対策ガイドライン見直し検討委員会」を開催いたします。委員の皆さま方には、大変ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 第1回検討会から今日までの間に皆さまからご意見をいただきまして、ガイドラインの修正についてメールでやり取りをさせていただきました。本日は、その修正案を作成しましたので、皆さまにご議論いただきたいと思っております。この修正案作成に当たっては国立感染症研究所感染症情報センターの方々に、いろいろとお手伝いいただきました。今日は、その中でも原稿の修正やアドバイスをたくさんいただきました主任研究官の安井先生に作成協力者として来ていただいておりますので、後ほど説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 開会に先立ちまして、橋本保育課長よりご挨拶申し上げます。

○橋本保育課長
 本日は、お忙しい中、また遅い時間にもかかわりませずご参集いただきまして、ありがとうございました。前回ご議論いただきました後で、委員の先生方から具体的な修正案につきまして大変丁寧な文章を書いていただきまして、感謝感激であります。ぜひ、よいものをまとめたいと思っております。いただきましたご意見を事務局で整理しまして今日の資料にしておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 それでは、今日の資料の確認をさせていただきます。お手元に配布している資料をご確認ください。資料1としまして、改訂版の「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正案です。資料2が「保育所における感染症対策ガイドライン」の修正、加筆内容です。そして、参考資料としまして前回第1回に、峯委員からお話しいただきました日本小児科学会予防接種・感染対策委員会が作成しました「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」を参考資料としてお付けしております。以上、お手元にございますでしょうか。
 それでは、ここから議事に入らせていただきます。遠藤座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長
 それでは早速、議事に入りたいと思います。第1回から今日までの間にいろいろ皆さまご丁寧にご意見をいただきましてありがとうございました。非常に膨大な資料でしたので今日までまとまるかどうか心配していましたけれども、このようにまとまってきましたので一安心しております。多分まだ細部でいろいろな問題があろうかとも思いますけれども、今日はそういうところまで最終的には出していただきたいと思いますので、またお願いいたします。
 最初に、丸山専門官からガイドラインの改訂案の方をご説明願えますでしょうか。

○丸山専門官
 それでは、お手元の資料1と資料2を見ながら、説明させていただきたいと思います。今日の机上の資料として、後ほどご説明いただきます安井先生と和田委員のパワーポイントの資料がございます。そちらは後ほどご説明のときに使用させていただきます。よろしくお願いします。それでは、説明に入らせていただきます。
 まず、第1回の検討会が終わりましてから、皆さまからご意見をいただいたところですが、現行のガイドラインの加筆、修正を行っていくということを基本としながら、第1回の皆さまの検討会でのご意見から、保育所の職員が医療機関や保護者に説明しやすいということと保育者に分かりやすくということでは、なるべく分かりやすい言葉で作成するということ。そして、保育所のガイドラインとして学校との違い、低年齢児における留意点などをきちんと書き込んでいくということ。そして、低年齢ほど配慮が必要な感染症があるというところでは別添4ですが、以前のものについては「集団保育において留意すべき事項」としていたものを「保育所において留意すべき事項」として中に入れ込んでいってはどうかということ。そして、感染症の登園の基準の目安は、皆が納得できる基準にした方がよいだろうということ。第1回で皆さまに確認させていただきました学校保健安全法の施行規則に基準を合わせていくということ。そして、登園届については統一することは難しいということで地域や医療機関との連携の中で決めていくことの重要性、また参考様式としての考え方を入れていくということが出されておりました。こういったことから、皆さまに現行のものについて第1案の修正をお願いいたしました。
 さまざまな形態の保育所があるという中では、感染症は防止対策をしても完璧にということは難しいので、なるべく親に伝えるということを基本に、できるだけ具体的な情報も入れていくということも皆さまからご意見としていただいておりました。そして、いただきました第1案に修正を加えたものが今日皆さまのお手元にある資料1の改訂版(案)になります。
 その主な修正や加筆の内容について、お話しさせていただきます。現行のガイドラインの40ページから、今回皆さまのお手元にある資料1については59ページということで19ページ増えております。具体的な内容につきまして、目次に沿って説明したいと思います。
 1の「感染症とは」については、乳幼児期の特性ということで「乳幼児期の生理学的特性及び留意事項」を加筆いたしました。そして、学校の対応についてですが参考という形で学校保健安全法の施行規則等を入れていたところですが、これは「学校における感染症への対応」ということで(3)として修正いたしました。その中で、皆さまにメールで以前お送りしたものから、もう一度文部科学省に見ていただきまして、若干の文言修正をしているところです。そして、3ページの学校保健安全法の施行規則の修正という部分につきましては、第1回で皆さまに確認させていただいたとおり修正を行っております。4ページでは「出席停止の日数の考え方について」を新たに加筆しております。より分かりやすくするために考え方を図式にして入れております。これについては、後ほど和田委員から詳細を説明いただきたいと思います。
 2の「感染経路」ですが、ここについては前回にもお話が出ておりましたように、6ページになりますが今までの(1)~(4)の飛沫、空気、接触、経口感染の他に、血液が媒介する感染をコラムとして加筆していただいております。
 3の「感染症対策」については、かなり国立感染症研究所のご意見をいただきまして最新の知見に基づいて修正を行っているところです。(1)(2)の「感染源対策」や「感染経路対策」につきましては、より詳細に分かりやすく加筆しております。特に、9ページにおいては「咳エチケット」ということで、具体的な内容を入れ込みました。10ページ、11ページには正しい手洗いが感染症を予防する上では非常に大事であるということで「正しい手洗いの方法」として、これは写真などがあった方がより分かりやすいということで入れております。11ページの下の部分ですが、現行では「予防策」となっていたものを「標準予防策」ということで内容を修正しております。12ページの「感受性対策」の部分におきましては、予防接種について多屋委員に加筆していただいております。先ほどコラムでお話しした血液媒介感染のことと予防接種のことにつきましては、後ほど多屋委員からご説明いただきたいと思います。
 4の「衛生管理」については、分かりにくい「定期的」という言葉については削除して、なるべく分かるものについては括弧として例えば気温などを入れております。そして、「調乳室」の衛生管理については厚生労働省から出しております「児童福祉施設における食事の提供ガイド」の中にも調乳室の管理ということは書かれておりますので、アドレスを参考として入れました。そして、18ページの「プール」につきましては、年少児・低年齢児が利用することが多い簡易用ミニプールについても水質管理を徹底するということや「排泄が自立していない乳幼児には、個別のたらいを用意するなど」とあえて具体的に言葉を追加しております。そして「職員の衛生管理」という部分についても、咳などのマスク着用でありますとか、予防接種歴、罹患歴の把握などを追記しております。
 5の「感染症発生時の対応と罹患後における登園時の対応」ですが、これはコラムとして記録の重要性というところで「保育園サーベイランスを使った感染症対策」を加筆させていただいております。
 22ページの(3)は「罹患後における登園時の対応」ということで、ここについては一律に提出する必要はないということで、(3)の4行目から「別添3に、医師の意見書及び保護者が記入する登園届の様式の例について示します」ということで、ここについては「必要な」ということをあえて現行のところには書いていたのですが、今回は「診断においては、診察に当たった医師が身体症状やその他の検査結果等を総合し、医学的知見に基づいて行うものであり、登園するにあたっては一律に届出書を提出する必要はありません」と。ただ、これらの届出については、「市区町村の支援の下に地域の医療機関や学校等と十分に検討して、決めることが大切になります」ということを追記しました。そして、「医師からの意見書や保護者が記入する登園届が必要な場合には、保護者に十分に周知して提出を求めます」ということで(別添3参照)となっております。別添3については後ほどご説明します。
 6の「保育所で問題となる主な感染症とその対策」ですが、これについてはいろいろな感染症についてもっと加筆した方が良いのではないかというご意見もありましたが、今回は保育所での感染症として一番気になる部分としてはRSウイルスのみを加筆することとしました。そして、他の部分については最新の知見により各項目について修正しています。そして、インフルエンザにつきましては、エビデンスについて26ページに加筆しております。このことについては、後ほど登園基準の考え方とともに和田委員にご説明いただきたいと思います。そして、27ページにコラムとして「新型インフルエンザについて」ということで現行のものを最新の知見に修正をしていただいているところです。(5)としてRSウイルスだけを追加としましたが、その他の感染症においては、参考のアドレスとして今日参考資料としてお配りしている日本小児科学会と、これから文部科学省で検討される感染症についての解説書を引けば分かるという部分を追記しております。
 7の「感染症対策の実施体制と子どもの健康支援」につきましては、(3)として看護師の役割の重要性が第1回でも出ていましたので、役割と責務について加筆しております。
 別添1につきましては35ページ?として「消毒液の管理、使用上の注意点」を入れた方が良いという皆さまのご意見から、加筆しております。
 別添2につきましては、38ページになりますが?「下痢」について?の嘔吐の時と同じように機嫌が悪く、元気がない。顔色が悪くぐったりしているというようなことを加筆しております。そして、?の「発しん」についてですが、食物アレルギーにおける発しんも入れておいた方が良いということで食物アレルギーによるアナフィラキシー等のこともありますので「至急受診が必要と考えられる場合」ということで下の方に入れております。
 42ページの別添3になりますが、登園届につきましては先ほど皆さまにお話ししたように地域でよく話し合いをしながら決めていただくということでは参考様式としました。そして、医師が記入した意見書が「必要な」を「望ましい」としております。ここは感染症の「感」が抜けておりました。そして、右側も「医師の診断を受け、保護者が記入する登園届が望ましい」ということでここも「必要な」という言葉を「望ましい」に修正しております。「登園のめやす」につきましては、学校保健安全法の施行規則の修正に準じて修正しております。
 最後になりますが、別添4の「主な感染症一覧」というところですが、これは先ほどからお話ししています日本小児科学会から出されたものと文部科学省の方でこれから検討される解説書に文言を合わせていくということで、全て書き替えたわけではありませんが現行のものに、そちらと整合性を取るということで修正、加筆しているところです。
 1点だけ、56ページのB型肝炎においては、第1回で涙や汗などからも感染するという論文が出ているので、この中に書き込んではどうかということで、皆さまに案としてお送りした修正案の中にはそのような内容で盛り込んでいましたが、こちらで最終的に検討した結果、まだどれぐらいの頻度において感染が起きるかどうか分からない状況の中では、かえってそのような記載をすることが現場に不安を与えたり差別になるといけないということで、そちらについては削除させていただきました。今後の調査や研究等ではっきりした時点で、そういったことは書き込んでいくということで、今回はそこの部分は削除しまして、「保育所において留意すべき事項」の真ん中辺りに「すべての人に一般的な感染症対策を講じ、衛生的な日常生活の習慣を守ることにより、キャリアの児が集団生活の場で他人にウイルスを感染させることのないよう配慮する」といったことで、こちらに修正して一文を入れたということになります。少々長くなりましたが、説明は以上になります。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。ただ今の説明にご質問があろうかと思いますけれども、この後、和田委員から乳幼児のインフルエンザの登園基準のエビデンスの問題とか出席停止の日数の数え方についてご説明願い、それから多屋委員には予防接種の関係の話をいただきたいと思いますし、安井先生には感染症の最新の知見についてのご説明もお願いしたいと思いますので、その説明が終わった後でご質問をということにさせていただきたいと思います。
 それでは、和田委員からお願いいたします。

○和田委員
 それでは、パワーポイントを使って説明させていただきます。皆さまご存じのことから申し上げますが、子どもの安全と健康が保障されているということが一番重要になってくるということでございます。そして、さまざまな感染症にかかりやすい時期であるということ、集団感染の危険性があるということであります。小さい子どもが感染を起こしやすい理由の一つは免疫の問題、それから身体の構造上の問題、そして衛生知識の欠如、習性の問題、長時間一緒に過ごすということがございます。
 伝播様式に関しましては、保育園ではこういう形式を取って感染していくわけです。これは集団保育を開始した子どもにおける細菌の保菌率の推移でございますけれども、鼻咽頭の培養をしますと、インフルエンザ菌や肺炎球菌、入所しまして4~6か月過ぎますと8~9割の子どもたちが鼻咽頭に二つの菌が定着するということでございます。
 これは子どもの免疫機能でございますけれども、特にウイルスの防御についてウイルス感染細胞の破壊に重要なキラーT細胞といった機能は生後3~4か月までは十分でない。あるいは分泌型IgA産生がかなり遅れてくる。その間、母乳による補充は意義が大きい。ウイルス中和抗体経胎盤性に母親から与えられたものが生後数か月の間は子どもの感染防御に役立ちますが、母親自身が抗体を持たないウイルスについては、その効果がない。化膿菌の多くは好中球の貧食・殺菌作用によって処理されます。特殊な事情があるわけです。特に2歳未満の子どもではいろいろな危険性があるということ。肺炎球菌やインフルエンザ菌などに対する全身免疫応答においては中心的役割を持つIgG2というのが大体2歳ぐらいまでは低値を示しているということが分かっております。
 そこで、「保育所における感染症対策の考え方」としましては、集団で保育される乳幼児は、特定の感染症に罹患する頻度が高くて薬剤耐性菌に感染するリスクも高いということです。この中で、保育施設における感染の予防と制御においては一つは保育職員の個人的な衛生管理と予防接種状況。そして環境衛生、食品管理、保育児の年齢と予防接種状況。そして保育児と保育職員の人数の割合や施設の物理的空間と機能性。それから保育児への抗菌薬投与状況などが重要になってくるわけです。
 二つ目として、保育所における細菌、ウイルス、寄生虫、真菌の伝播様式を理解することが重要になってきます。そこで、病原体の伝播は次の要因に既存するということで、この赤で書いてあるところが特に重要になってきます。一つは伝播様式の問題。感染を起こす病原体数、環境中での生存度などの病原体の特徴。そして2番目に不顕性感染、これはいろいろ問題になってきますが不顕性感染またはキャリアの頻度であります。3番目が個々の病原体が出す免疫。こういったものが重要になってくるわけであります。
 そして、感染症対策の三つ目として、発症または感染した児の管理と感染の蔓延防止のための方法が重要になってきます。一つは抗菌薬による治療または予防投与。そして、適切な時期の予防接種ということであります。それから、発症または感染した児の施設への出席停止。それから、別の場所で保育するとかコホーティングの問題も重要になってくるわけであります。
 感染症対策の四つ目としては、保育プログラムを作るということで、保育児および職員に最新の予防接種状況など健康記録の定期的調査。さらには、いろいろなことがございますが、サーベイランスというのも非常に重要になってくるわけであります。職員の専門的研修と伝染性疾患を発症した職員の勤務停止は感染症の制御に重要であります。さらに、保育園というところは感染症の増幅機関であるということであります。予防接種の重要性もいえるわけです。さらには保育園の中には非常に弱い子どもや免疫弱者に感染が及んだ場合には重篤化が懸念されるという環境にあるわけであります。感染症(インフルエンザ、麻しん、水痘、流行性耳下腺炎など)は事前に予防接種を行うことで予防することが可能であります。さらには、乳幼児が感染すると重篤化しやすい細菌性髄膜炎の中にもインフルエンザ菌Bまたはワクチンや肺炎球菌ワクチンの予防接種が重要になってくるわけです。予防接種というのは感染症の発症防止、感染症による重篤化を未然に防ぐという意味で大変重要であります。そして集団免疫効果が重要になってくるわけです。
 ここで、ガイドラインのことでございますが、「保育所における感染症対策ガイドライン」は、平成19年の「保育園における感染症の手引き」を基にして、平成21年に「保育所における感染症対策ガイドライン」ができたわけです。そして、今年が3年毎の改訂ということになりますが、ガイドラインの作成の背景には、感染症に対する正しい知識を保育所関係者に持ってもらうということ。その上で、保育所における感染症対策を徹底することだと思います。「保育所における感染症対策のガイドライン」としましては、具体的な内容としては乳幼児期の子どもの特性や保育所での衛生管理の詳細、家庭との連携、ワクチンによる予防、登園基準といったものが重要になってくるわけであります。
 「ガイドラインを受けて保育所が対応すべきこと」を挙げておりますが、保育所内の感染症対策委員会の設置や市町村感染症対策委員会の設置、保護者向け感染症対策手帳の作成・配布、医療機関向け感染症対策のしおりの作成・配布、さらに感染症サーベイランスの設置だと思います。
 さらに「登園基準の考え方」ですが、先ほどお話のあったとおり、登園基準は、登園可能となった小児から他の小児への感染を100%防ぐ基準ではないと思います。医学的に病原体の排泄がなくなることを指しているものではありません。感染させる危険がかなり少ないと判断される場合で、園のスタッフ・家族が納得できると思われる基準だと思います。登園するための二大前提としては、感染力が低下して、登園しても集団発生などにつながらないとか、子どもの状態が集団生活に支障のないところまで回復しているということだと思います。登園基準の3段階として「医師の意見書が強く望まれるもの」「登園届(保護者記載)が必要なもの」「場合によって医師の指示が必要なもの」と分けられるものではないかと思います。
 そして、平成24年4月に「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令」が出たわけです。学校保健安全法感染症第1類は変更なし、第2類はインフルエンザ、百日咳、流行性耳下腺炎、髄膜炎菌性髄膜炎というところが変わったわけであります。第3類は変更なしであります。
 その中で「インフルエンザ」ですが、インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症であります。特徴は、感染伝播力が非常に強く。短期間に集中した流行が広い範囲で起こるもの。伝播様式は飛沫感染・飛沫核感染。この中で突然の高熱ということで通常38℃以上と赤で書いていますが、これは重要な症状だと思います。全身倦怠感を訴え関節痛や筋肉痛の痛みを伴って発症するわけです。その中で「集団免疫率と基本再生産数」ということも重要になってまいります。基本再生産数というのは、1人の感染者が周囲の免疫を持たない人に感染させる2次感染者の数です。集団免疫率というのは、ある集団においてどれぐらいの割合の人がその感染症に対する免疫を持っていれば、集団の中での感染が阻止されるかを示すものであります。それが麻しんは基本再生産数が16~21、インフルエンザは2~3ということです。集団免疫率に関しましては大体インフルエンザの場合は50~67%といわれております。インフルエンザの年齢別罹患率と死亡率を表しておりますけれども、小さい子どもに非常にかかりやすいということでありますし、死亡者数に関してはお年寄りが多いということであります。インフルエンザ脳症は非常に重要なものであります。私も2例ほど経験しておりますけれども、小さい子どもに多いということで、7歳未満に多いということであります。発症から2日目ぐらいに症状が出てくるということであります。その中で感染予防の基本としては「感染経路の遮断」が重要になってくるわけですけれども、インフルエンザは感染力が強いということ。1メートル飛沫感染を起こす。ウイルスは鼻、目、口を通して体にも入ってくるということです。
 インフルエンザの症状ですが、自然経過で見ていきますとこのような形をとるわけです。大体8日間ぐらい症状が続きます。最初に発熱が出てくるという形をとります。ウイルスは一番下の方に咽頭の上にウイルスが書いてありますけれども、大体5~6日目ぐらいに出てきます。これはA型香港のインフルエンザですが二峰性の形をとっています。このようにインフルエンザの中には二峰性の形をとることも多いわけです。保育園・幼稚園・学校、施設における罹患率と流行パターンですが、保育園におきましてこのように流行が拡大していくということがよく分かると思います。最初に保育園・幼稚園・学校ではやって家庭に持ち込まれるという形をよくとります。インフルエンザの残存率ですが、鼻腔洗浄液中のウイルス量の変化と症状です。感染して2日目ぐらいがピークになって、7日目ぐらいウイルスが出てくるということです。これは季節性インフルエンザAの年齢の違いによるウイルスの残存率ですけれども、小さい年齢の方が長く残る傾向です。
 そこで、インフルエンザの登校基準の変更ですが、「解熱した後2日を経過するまで」とありますが、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」ということであります。これは米国小児科学会のRed-Book 2009に載っているものですが、発症の24時間前から他の者に感染させる可能性がある。鼻汁へのウイルスの排出は最初の3日間が最も強く、通常発症7日以内に減るが、幼児や免疫力が低下した者では排泄期間が長期化するということです。ウイルスの排出量は熱の高さと関連している。抗ウイルス薬使用での検討はない。1日ぐらい短くなるということはありますが、いろいろな意見がございます。平成21年8月に出た「保育所における感染症ガイドライン」では、症状が始まった日から5日以内に症状がなくなった場合は、症状が始まった日から7日目まで又は解熱した後3日を経過するまでということでありました。
 これは出席停止期間の「解熱した後2日を経過するまでの考え方」でございますが、その解釈にはいろいろあります。?解熱を確認した日が火曜日の夕方であった場合、その日は1日分ないので水曜日と木曜日の2日間休み金曜日からの登校を許可をする場合。?は48時間後として、木曜の午後からであれば出席可能とする解釈。?は解熱を確認した日を1日とし、水曜日を2日目とカウントして木曜日から出席できると解釈するのですが、どれが正しいでしょうか。正解は?であります。その現象が見られた日は算定せず、その翌日を第1日目とします。解熱した後2日を経過するまで出席停止ですから、火曜日に解熱が確認できた場合は水曜日と木曜日は登校せず、金曜日から登校可能となるわけです。そして「解熱後2日」の取扱いですけれども、日数の取扱いは解熱した翌日から起算し解熱した日は含まないということ。
 そして、「発症後2日」については、「発症」の取扱いは発熱のみを発症とする。発熱以外の症状、関節の痛みなどは含まないということです。そして、「発症日」の取扱いは、医師の診断日にかかわらず、発症は発熱が始まった日を基準とする。「日数」の取扱いは、発症した翌日から起算。発症した日(発熱が始まった日)は含まないということです。
 そこで、今回は「出席停止の日数の数え方」ということで、出席停止の日数の数え方について、日数の数え方はその現象が見られた日は算定せず、その翌日を第1日とします。「解熱した後3日を経過するまで」の場合は、例えば解熱を確認した日が月曜日であった場合は、その日は日数に数えず、火曜日・水曜日・木曜日の3日間を休み、金曜日から登園許可となります。
 また、インフルンザにおいて「発症した後5日」というときの「発症」とは、多くは「発熱」のことを指します。日数の考え方は、上記と同様に発症した日は含まず、翌日から1日目と数えるという形を作りましたが、これは後でもう1回お話ししようと思います。
 次に「インフルエンザQ&A」ということで、Q1は、なぜ出席停止期間が従来の「解熱後2日」から変更したかということです。少ししつこいようですが、もう一度お話しします。答えとしては、今までは「解熱後2日」でしたが、罹患者からのウイルスの排出は自然経過では7日、近年の抗インフルエンザ薬の効果で解熱は1日程度早くなったものの伝播力を持つ感染ウイルスは5日間程度分離されたとの報告がある。また、タミフル投与終了時(投与4日目)には90%が解熱していたにもかかわらず、50%以上からウイルスが検出された報告がある。さらには、小児感染症学会誌で15歳以下、特に3歳以下ではウイルスの残存量が高いということ。東大医科研の河岡先生らは幼若年齢層、特に3歳以下の場合は生まれて初めて罹患した可能性が高く、抗体を保有しないためウイルス増殖期間が長くなる可能性を指摘しております。さらに、タミフル投与後のウイルス残存率はA型よりもB型で高いということ。一般のインフルエンザの経過でも発症2~3日目ごろから咳嗽、クシャミなど感冒症状が増加して飛沫核感染を起こしやすいこと。また、解熱したことのみで罹患者自身の体調・体力が十分に回復したとはいえず、この2点も今回の改正点の要因として挙げられるのではないかと思います。
 Q2は「発症した後」の「発症」部分をもう一度お話ししますが、非常に曖昧であるということでした。どの時点が発症か。発熱を発症といえるかは難しい問題であると思います。全身倦怠感、悪寒、筋肉痛・関節痛などの症状も重要で、これらがいつから出現したか総合的な判断が必要になると思います。しかしながら、一般に外来を受診するほとんどのケースの主訴は発熱と思われます。ただし、発熱に先行して咳が出現することも若干あるわけです。記憶に新しい2009年・2010年のパンデミック2009の流行の際には、ウイルスは下気道に親和性があり、発熱(または微熱)に先行して咳・息切れを訴えるケースが見られました。この場合、発熱を初発症状とすれば潜伏期が長くなり、発熱前に既に小中学校などで感染拡大した可能性も指摘されました。この経験から、ウイルスにも特性があり、周囲の流行状況と症状経過の問診の重要性をあらためて感じたわけであります。
 Q3は「不顕性感染者も約10%程度はいるのに、こんなに長く出席停止させても感染拡大阻止には結びつかないのではないか」ということでありますけれども、結論から言えば、出席停止のみで「感染の発生等拡大を完全に阻止することはできない」。出席停止の参考になると思われる調査を記載します。こういったパンデミック流行時、群馬大学分子予防医学教室の清水先生らは、ある小学校(全校生徒183名、罹患者数85名)での感染・発症および健康記録を解析しました。家庭アンケート調査で「小学生はどこで感染したと思うか」への質問に対して「家庭外で感染した」と回答したものが86%。中でも学校内と回答した者が72%、イベントが14%だった。欠席日数調査では90%以上の児童が5日以上9日間と適正な欠席日数だったと評価しております。解析後、流行自体の完全制圧ができないことを理解させる一方で地域・親・子どもたちにそれぞれ分かりやすく講演を行い「流行のスピードをゆっくり穏やかに少しずつにし」、「一度にたくさんの人が感染して」、「受診者増加で医療機関がパンクしないよう」、「うつさない、拡げない」ためのうがい・手洗い・マスク・咳エチケット・予防接種を実践して自分・みんな・町を守ろうとするように普段から正しい知識を持たせる教育が必要と述べております。
 以上をまとめますと、改正前の「解熱後2日」のままでは、?最も配慮すべき罹患者自身の体調・体力が十分に回復したとはいえないのではないか。それから、?咳嗽、クシャミ、鼻水など感冒症状が増える時期で感染源になり得るということ。さらには、?抗インフルエンザ薬で解熱しても感染性ウイルス(Live virus)は存在するということ。?そのため周囲への感染力・感染機会が高かった可能性が否定できないときには、?いったん解熱しても特に小児においては、その後、二峰性発熱を呈することもあるということ。これらは集団生活をする上で望ましい保育環境が維持できない点として挙げられると思います。公衆衛生の視点においては今般の改正によってもインフルエンザの完全な拡大阻止は不可能でありますが、少なくとも爆発的な流行の制御や流行スピードをなだらかにし、その結果、感染拡大・罹患者増加による社会機能の破綻抑制に貢献すると思われます。ただし、これを実行するには保護者の就業施設等における理解と協力が不可欠だと思います。
 従って、発症の取扱いについてインフルエンザエビデンスについては次のようにまとめました。「出席停止の日数の数え方」としては、先ほどの最後のところで「発症」とは多くは「発熱」のことを指しますと書いてありますが、ここをさらに直しまして、インフルエンザにおいて「発症した後5日」というときの「発症」とは、発熱のことを指します。発熱のみということを強くいってもよいと思います。そこをそのように直したいと思います。
 日数の考え方は同様に発症した日(発熱が始まった日)は含まず、翌日から1日目と数えます。「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」の考え方をまとめであります。平成24年4月月1日付で学校保健安全法施行規則が一部改正され、インフルエンザの出席停止期間について「解熱した後2日を経過するまで」から「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」と変更されました。「発症日から5日を経過」とした理由は、現在、インフルエンザの感染が判明すると抗インフルエンザウイルス薬をすぐに投与されることが多く、感染力が消失していない時期でも解熱してしまい、解熱を基準にすると出席が早まり、感染が拡大することが懸念されたためであります。インフルエンザ患者からのウイルス排出は自然経過で7日間、抗インフルエンザウイルス薬の効果で解熱は1日程度早くなりますが、ウイルスは5日間程度分離されたという報告や、また、抗インフルエンザウイルス薬を投与した4日目に、90%の患者が解熱していたにもかかわらず、50%以上の患者からウイルスが検出されたという報告などがあることから、発症後5日まではウイルスの感染力が残っていると考えられます。また、「幼児にあっては(解熱後)3日」とした理由は、15歳以下、特に3歳以下ではウイルス残存率が高いという報告があり、幼若年齢層、特に3歳以下の場合は生まれて初めて罹患した可能性が高く、抗体を保有しないためウイルス増殖期間が長くなる可能性が指摘されているからであります。また、解熱したということだけでは患者自身の体調・体力が十分に回復したとはいえず、特に小児においては、いったん解熱しても再度発熱する(二峰性発熱)こともあり、他の子どもへの感染の拡大防止の観点からだけではなく、子どもの健康を守る上でも1日長い日数が設定されました。以上であります。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、多屋委員から予防接種に関してご説明願いたいと思います。

○多屋委員
 私は今日のガイドラインの中身を見ながらお話しさせていただきたいと思います。予防接種に入る前に、6ページに「血液媒介感染」ということでコラムを書きましたので、最初にお話しさせていただきます。これまでオムツを替えるときは先生方は多く手袋を装着されて、かなり手洗いなども徹底されていましたが、血液については非常に無防備に素手で取り扱われているという現状も多かったと思います。保育所は医療機関に次いで血液が多くみられるところですし、ケガや鼻出血なども日常的に見られることなので、それは特別に扱うということではなくて、血液について知識を深めてもらおうという意味で書き足しました。
 「保育所の子どもたちの特徴」として、血液は日常よく見られるものである。「血液についての知識」ということで、医療に携わる者は、血液の中には病原体が潜んでいる可能性があるということは徹底して学ぶわけですが、保育所に勤める先生方にも血液の中には病原体が潜んでいるのだということを知ってもらいたいということで、ここに書き足しました。誰の血液と特定することではなく、全ての人の血液は気を付けて取り扱いましょうということです。
 次に「皮膚」ですが、最近アトピー性皮膚炎や乳児湿疹の子どもがたくさんいます。健康な皮膚の場合はバリアの役目を果たしますが、皮膚炎、ケガなどがあると病原体の侵入経路になるということを理解しておくことも保育園の先生方には重要ではないかと思って書きました。
 その次は、どういう感染症が血液で媒介する感染症なのか。これは全部ではなく主なものだけを書きました。それがその次の表1で、B型肝炎、C型肝炎、後天性免疫不全症候群、成人T細胞白血病、HTLV-1関連脊髄症、梅毒。これ以外にもあるのですが、主なものを書きました。この中で、ワクチンがあるのは唯一B型肝炎ワクチンのみなので、B型肝炎ワクチンについて少し補足説明をしました。母親がHBs抗原陽性の場合は、母子感染予防として健康保険で生後2、3、5か月にワクチンを受けるということがありますが、最近は受け忘れがあるということも問題になっていますので、受け忘れがないようにしてあげるということが一つ。それから、母子感染や輸血による感染が減ってきたことで逆に水平感染が目立ってきているということもありますので、そういった現状がありますということを記載しております。予防接種部会ではB型肝炎ワクチンについて定期接種化の必要性が提言されていますので、それを書き足しました。
 次に、12ページの予防接種のところに飛びます。「感受性対策」の中で予防接種のことが保育所のガイドラインでは述べられています。「国内で接種可能なワクチンの種類」が、実はこれを書いたときと既に変わっていまして、11月1日からDPTと不活化ポリオワクチンが混ざった4種混合ワクチンが出てしまいまして、15ページの予防接種のスケジュールも国立感染症研究所のホームページも新しいものに差替えましたので、これも四種混合が入った新しいものに差替えをお願いしたいと思っています。16ページは既に薬事法を通っていましたので四種混合ワクチンもそれぞれ書き足してありますので、スケジュール表の差替えをお願いします。
 12ページに戻っていただきまして、日本では独特の制度があって定期の予防接種として、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業。それらのいずれにも属さない任意接種という制度がありますが、定期接種でないもの、いわゆる任意接種のものにも子どもたちにとってはとても大切なワクチンがあるということを記載しています。最初の?は定期接種と任意接種の制度の違いの簡単な説明ですけれども、?の「接種を受ける時期」というのは、定期接種の場合は接種推奨時期がありますし、それぞれのワクチンでこの時期がお薦めという時期があります。それから、これも今、日本小児科学会から要望書が出ているのですが、今の制度としては生ワクチンを受けたら27日以上あける。不活化ワクチンを受けたら中6日以上あけるという制度がありますので、それは書き足してあります。今、現場では同時接種や単独接種など、いろいろご意見があると思いますが、同時に接種することが可能だということは書き足してあります。
 ?に「保育所の子どもたちの予防接種」という特出しで、保育所の子どもたちは和田委員の話にあったように感染症には頻繁にかかりますので、体調の良いときに受けられるものは早めに受けておくということと、できれば入園前に受けられるワクチンは受けておくということが大事だと考えましたので、それを書き足しています。それから、これは私の経験上ですけれども、予防接種のために仕事を休むのが難しいという声をよく聞きますし、実際に健康なときに仕事を休むというのは難しい現状にあります。保護者会などでは休みを取って行くことも多いので、そういうときにかかりつけの医療機関でワクチンを受けられたらという思いも込めて、このように工夫の一つとして書いてみました。
 次は、ワクチンの種類です。特に乳児の百日咳、四種混合を待って百日咳にかかってしまったという乳児の相談もあります。1歳になったらすぐに麻しん風しん混合ワクチンを受けてほしい。この二つは特別に生後3か月になったらなるべく早めに三種混合、あるいは四種混合。1歳になったらなるべく早めにMRワクチンを受けること。5歳児クラスになったら2回目のMRワクチンを保育園でもお薦めしていただきたいという思いも込めて書いてあります。特に水痘やおたふくかぜの定期接種化が今要望されていますけれども保育所は特に流行が頻回に繰り返されて卒園時には皆かかってしまうというぐらい水痘が大流行します。こういう特徴からも水痘やおたふくかぜについては予防接種を受けることが大事だということを明記しました。
 それから保護者には、今、予防接種の副反応が問題になっていますけれども、副反応の情報のみを知っているという保護者もとても多いので、副反応の情報だけではなくて、その病気にかかったらどういう症状になるか、重症化のリスクはどれぐらいあるかをぜひ知ってもらいたいという思いで別添資料4をぜひ見てほしいということで、ここに書きました。また、保育所というのは妊娠中の女性がとても多いところではないかと経験上感じています。妊娠中の女性はワクチンを受けたくても受けられない。生ワクチンは受けられない。妊娠中の女性こそ守ってあげたいということから、ここに記載しました。
 ?として医療従事者は今インフルエンザ、B型肝炎、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそうのワクチンを受けようという形で学会などを中心にガイドラインが出ています。でも、保育所の職員の方が例えば麻しんを発症された場合、保育所を挙げての対策ということになって、とても大変なことになりますので、保育所の職員の方もぜひこれらのワクチンを必要回数の2回受ける。「麻しんに関する特定感染症予防指針」に今、パブリックコメントが求められていますが、必要回数2回というのは今回の新しい特定感染症予防指針では明記されていますので、ここにも記載させていただきました。保育所の職員が急性B型肝炎を次々と発症されたことがきっかけで保育所の集団感染が分かったという保育所の事例もありましたので、血液に触れる機会が多いことからB型肝炎ワクチンも大事だと思って書いてあります。それから、ケガをすることが多い職種の方は、市区町村などでは破傷風トキソイドを受けていらっしゃるところが多いと思います。1968年より前に生まれた方は破傷風トキソイドを受けていないので抗体を持っていないということも加筆しています。
 最後に、ここはとても重要だと思っているところですが、予防接種歴と罹患歴の記録をしっかりと保育所の方で持っていただいて、受けてない方については記録に基づいて薦めていただく平常時の対策が一番大事で、それがあれば、もし感染症が発生したときに迅速な対応につなげられることが可能ですということを最後に書いて予防接種の項目を終わりとしました。以上です。

○遠藤座長
 多屋委員、ありがとうございました。
 続きまして、安井先生から感染症の最新の知見ということでお願いいたします。

○安井先生
 国立感染症研究所の安井でございます。本日は発言・説明の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございました。最初に、主に加筆させていただいた8ページの感染源対策、感染経路対策について、これは本書を見ながら説明させていただこうと思います。その後、私どもの大日先生が書いてくれましたコラムとしての「保育園サーベイランス」の資料がありますので、それの説明をさせていただいて、最後に新型インフルエンザのコラムについての説明をスライドでさせていただこうと思いますので、よろしくお願いします。
 8ページで、今回、加筆させていただきました主に「感染症対策」ですが、「感染源対策」については最初の文章を特に変えてはおりませんけれども、今もお話がありましたけれども保育所というところは乳幼児が集団生活しているところ、あるいは保育士・看護師などのように健康成人もおられるので、年齢によってさまざまなウイルス感染あるいは細菌感染がありますけれども、その発症率・症状が大きく違いますので、発病者だけを感染者と捉えると対策を誤ってします。その上、保育施設というところは学校のように休校あるいは学級閉鎖、学年閉鎖というのが通常ありませんので、中にいる人たちで感染が拡がってしまうということがありますので、感染源対策のところには主な加筆として有症状者、不顕性感染例もいますし軽症例もいるということを明記させていただいています。発病したと分かっている人だけを隔離していても、それだけで完全な対策にはならないということを書いています。
 「感染経路対策」ですが、以前のこちらに書いてあった文章は、感染経路は5ページに書かせていただきましたが、感染経路対策のところは「予防策」と書いて標準予防策のことだけしか書いていなかったので、標準予防策は感染経路対策ではありませんので、ここは全面的に文章を書き直させていただきました。まず、?飛沫感染対策、その前に飛沫感染の説明を書いていますので、ここは対策のみを書かせていただいています。この文章をどこから持ってきたかというと、昨年、日本保育協会に依頼されて昨年2月から7月まで感染症に対する文章を毎月書かせていただきました。その中で、最初に感染経路、感染経路対策について書かせていただきましたが、そちらに書いた文章を主に保育所対象なのでこちらに、さらに改正させていただいています。?「飛沫感染対策」は、先ほどの和田委員の説明もありましたが2メートル以上離れていてマスクを装着していればかなりそれが減少しますけれども、そういったことが保育所ではほとんど不可能に近いという日常があって、また飛沫感染する多くの感染症というのは、インフルエンザもそうですが、軽症例、不顕性感染例も含めて誰が感染しているか分からないです。発病者とはっきり分かっている人以外に感染者がたくさんいますので、日常的に咳エチケットを中心に行っていきましょうということを書かせていただいています。9ページには厚生労働省のホームページにある咳エチケットも参照していただこうということで挙げさせていただいています。
 ?「空気感染(飛沫核感染)」ですが、こちらの方は5ページで疾患として結核、麻しん、水痘、帯状疱疹を挙げています。先ほどの和田委員の説明ではインフルエンザも飛沫核感染するというところがありましたが、特殊な条件下においてインフルエンザは飛沫核感染することがあるといわれていますが、日常的にはあまりケアする必要がない。これをケアしなければいけないとなると病院あるいはクリニックに来るインフルエンザ患者の全員を別室に隔離しなければいけないのですが、今それはされていませんので、病院もそうですがそれでもって通常の対策を行われていますので、こちらの方は麻しん、水痘、結核については空気感染対策について説明を書かせていただいています。
 ただ、こちらの方に明記しているところがありますが、特に麻しんと水痘に関しては同じ部屋にいただけで短期間一緒にいただけで感染してしまうので、日常的に物理的に対策を行うというのはほとんど不可能に近いということがあって、この二つの疾患に関しては先ほど多屋委員のお話にもありましたが、ワクチン接種が唯一実は有効な対策であるということを書かせていただいています。
 ?「接触感染対策」ですが、これは飛沫感染する多くの感染症や消化器系の感染症の多くは接触感染するということで、さまざまな感染症が接触感染するということがあります。接触感染対策にとって最も重要なことは手指衛生であるということを書かせていただいています。消毒のことも書いていますが、何よりも大事なことは手指衛生をしっかりすること。丸山専門官に手洗いの写真等も付けていただいて、さらに充実しているものになりました。
?「経口感染」についても新しく書かせていただきましたが、こちらの方は食材の衛生的な取扱い等という日常的なことを書いています。ただ、多くの保育所で最近、集団発生で見られているもの、特に腸管出血性大腸菌感染症で目立つものとして、プールなども含めた接触感染がありますけれども、それ以外のものとして昨年、山形県でありましたお団子を食べて0157の集団発生がありました。今年は保育施設は必ずしも多くなかったのですが老人施設で多かったのが白菜の浅漬けです。どちらも保育所でもし購入して食べた場合は洗わないですし、そういったものがあるので腸管出血性大腸菌感染症のところに書かせていただきましたが、保育施設はそういった食材を購入するときも日常的にどのように取り扱われているかをしっかりと確認して購入していただければということを書いています。予防策については「標準予防策」と書き直していただいて、このように新しくというか前の文章をかなり残した形で書かせていただいていますが、標準予防策というのは基本的に医療機関・病院で行うものであって、体液が飛び散る場合はゴーグルを付けたり、あるいはガウンをつけたりするのですが、それは保育施設ではできませんので可能なものということでこちらで紹介させていただいています。これはどちらかというと血液などの取扱いにも準ずるものだと思います。
 次に紹介させていただきますのは、21ページの保育園サーベイランスについての文章です。資料を見ていただきたいのですが、感染症情報センターで私どもの大日主任研究官が中心になって学校サーベイランス、保育園サーベイランスの普及に取り組んでおります。今日お越しの先生方の中にも保育園サーベイランスの普及にかなりご協力いただいた方もおられますけれども、それの紹介について書いております。このパンフレットで説明させていただきます。保育園サーベイランス、裏表があって子どもの絵が描いてあるのが左側でその右側に保育園サーベイランスの原理について書いてあります。これはリアルタイムサーベイランスであると。どういうことかというと、保育園、学校もそうですが保護者から欠席の連絡があると、保育園というのはほぼ100%毎日把握されていますし保育園独自の集計をされていますけれども、それをパソコンでホームページに入力していただきますと、そのままそれが保育課、園医、保健所、役所、そして医師会の方でリアルタイムに把握できるというものです。個人情報は一切入っておりません。もちろんID・パスワードで見られるようになっております。今まで問題は起こっていませんけれども、万が一漏れたとしても個人情報は一切ここには入っておりません。毎日入力する。そして早期探知を行う。実際に今、金沢市の取組をスライドで紹介していただいたのですが、金沢市では保健所が毎日保育園のサーベイランスを見ていて、少しでも欠席者が増えたり消化器症状の子どもが増えると保育園に問い合わせを行っている。それによって保育園と相談して保育課を通じてアドバイスをするということで事前に集団発生を防いでいるということが報告されています。
 めくっていただきますと、保育園サーベイランスのメリットについて書いています。園ごとにデータ解析ができ、いつでもグラフができるということで、これで保護者への通知あるいは掲示板にそのまま印刷して貼っていただいているということが多いです。世田谷区・中野区でも区内全域で行われていますけれども、そうすると近隣の状況が分かるということです。3番目として園医の先生との連携が非常にスムーズになったというお話をよく聞きます。4番目が一番大切ですけれども、集団発生という大きな流行になる前に迅速に対応することによってそれを未然に防ぐということ。5番目として月例の自動集計があります。6番目として使う園あるいは学校において費用がかからないということがあります。そういう紹介を文章で書いております。
 インフルエンザについて説明させていただきます。23ページの麻しん、24ページ・25ページのインフルエンザについてもかなり加筆させていただきましたけれども、今日は新型インフルエンザについて紹介させていただきます。インフルエンザについてというのは、書いていることは先ほども言いましたけれども不顕性感染例や軽症例がたくさん保育園にいるということで、皆が対策をしましょうということを書いております。私自身も新型インフルエンザですけれども、大阪・兵庫県に疫学調査に行きまして、最初に大阪で集団発生した高等学校で疫学調査をして4か月後に採血して感染者549人から採血して間違いなく感染した98人の発症率を調べましたけれども、しっかり発病した、高熱を発したインフルエンザ症状を呈した高校生たちは38人しかいなかった。18人は全くの不顕性感染で、残りの人は単なる感冒症状で終わっていたということがあって、誰も日本人がそれ以前にかかったことがない全員免疫がなかったインフルエンザであっても感染者全員がしっかりとインフルエンザ症状を呈するわけではないということがありますので、保育施設においては年齢によって発症率も違うでしょうけれども、そういったことが重要であると考えております。
 27ページにあります「新型インフルエンザについて」の出典について明らかにしたかったので、こちらに出させていただきます。最初に「新型インフルエンザとは」と文章を書いていますけれども、これは厚生労働省ホームページのQ&Aから取っています。同じ文章が内閣府ホームページのQ&Aにも出ていますけれども、これが一番分かりやすかったのでこれを書かせていただいています。新型インフルエンザというのは他の文章で定義がありません。新型インフルエンザ自体は日本独自の概念なのでパンデミックインフルエンザと違いますので、これは日本で以前から作られているものとご理解いただければと思います。
 「新型インフルエンザ対策の目的」をその次に書いていますけれども、対策の目的というのは2009年以前から今まで一貫して変わっていません。?番目として国内での感染の拡大を可能な限り抑制して、健康被害の発生を最小限に留めること。?番目として流行の拡大によって、医療体制を含めた社会の機能や経済の活動を破綻させない。この2点が最大の目的であって、それは今後も変わらないと思いますので、それについても記述させていただいています。社会・経済を破綻させないということは、ピークをいかに低くするか。一気に患者を出さないようにすることが重要な対策になるということが書かれています。本文中にもありますけれども、総括会議を、それまでにも何回か行っていますが平成22年6月10日が最後の総括会議です。そして、その結論として挙げられているものを本文にも掲載していますけれども、もともとの行動計画ガイドラインは、H5Nl鳥インフルエンザが新型になった場合を念頭に置いていた。そして、行動計画ガイドラインが突然大規模な集団発生、要するにもっと死亡率が高くて、1、2例ぐらいだろうと思ったのに、気が付いたら高校でたくさん集団発生していた。そのような状況は想定されていなかったということです。そして、平成21年2月のガイドラインの改定から間もなかったということで準備期間が少なかった。ワクチンもパンデミックワクチンの供給については国内生産体制の強化を始めたばかりで、一度に大量のワクチンの供給ができなかった。そして、病原性がそれほど高くない新型インフルエンザに対応して臨時にワクチン接種を行う法的枠組みもなかったということがあって混乱をきたしたということがありました。これは本文中に書いていますが、それで専門家会議を開いて行動計画を策定した。ただ、法律の枠組みが要るのではないかということがあって今回、内閣官房が中心となって措置法が策定をされています。施行は来年4月からです。こちらに書かせていただいていますけれども、新型インフルエンザの経験を踏まえて、政府が新型インフルエンザの行動計画を改定して、その実効性を図るために法的根拠の明確化などの法的整備の必要性を謳って行われたものということです。
 緊急事態が発生したときにどのようなことがあるかというと、住民たちの予防接種の実施、外出自粛要請、そして興行場・催し物等の制限等の要請・指示、あるいは医療体制の確保等と書かせていただいていますけれども、ここで例えば学校を閉めるとか保育園を閉めるという指示も入ってくることになると思います。それをどこがするかということですが、実は緊急事態宣言が出ると都道府県がそういった指示を行うことになると私は理解しております。
 これが今後のスケジュールですけれども、来年4月に法律の施行があります。その後、細かいガイドライン等が策定されていくと思います。パンデミックです。本文中に書いていますけれども、目的を考えたら新型インフルエンザ対策というのは感染・拡大あるいはまん延をできるだけ防止する。健康被害を少なくする。そして、もう一つ社会経済を破綻させない。保育施設というのはもともと労働力の確保です。保育園が全部閉まってしまったら労働力が大きく減って場合によっては医療体制の崩壊が早まるかもしれないという問題があるのと、しかし子どもたちを守るためには、本当はできるだけ休園した方がよいだろうということもあります。この二つの目的に対して保育施設はかなり相反するものが期待される、求められるということがあって、それが今後も大きな課題であると文章として書かせていただいています。2009年のときも休園している地域もあれば、ずっと開いている地域もありました。現場で非常に混乱しましたし、どこが判定するのか。どこが指示するのかという指示系統もなかったのですが、今後はおそらく都道府県でそういう指示が出されると思いますが、かなり現状に即して臨機応変にやっていかなければいけないことだろうと思います。そして、これは我々の岡部元センター長、今の川崎市衛生研究所の所長のスライドをいただきましたけれども、パンデミック対策として重要なことは新型インフルエンザ対策ではなくて普段のインフルエンザ対策が重要で、それをしっかりやっておくことがパンデミック対策につながっていくと書かせていただきました。以上です。

○遠藤座長
 安井先生、どうもありがとうございました。これで改訂の方の案件についての説明は終わりにしますけれども、何か質問なり、この辺はこれには載っていないけれどもという点でも結構ですから、ご指摘願えればと思います。和田委員、どうぞ。

○和田委員
 全般的な、B型肝炎のところでもよろしいでしょうか。B型肝炎のところで「報告がある」という言い方になったと思いますが、血液や体液、例えば唾液、汗、涙、鼻水、尿を介した父子感染、施設内感染やあるいは水平感染もあるという少し断定的な言い方をした方がよいのではないかという気がしますが、ご意見をいただければと思います。

○遠藤座長
 この辺につきまして、どなたか。峯委員、いかがでしょうか。

○峯委員
 事実として、それはあるだろうと思います。ただ、問題は冒頭で説明がありましたように、誰がそういう感染源になるかというのは多分分からないです。その場合に、確かに不安が不安を呼ぶということが当然あると思いますが、事実としてそういうことがあるというのは間違いないということで、であるからこそ、むしろ早いうちに全員が赤ちゃんのうちにワクチンをしましょうという脈絡で文章を書けばよろしいのではないか。ただし、かなりきちんとした知識を持った人が説明に当たらないと、現場が混乱する可能性はなきにしもあらずです。先ほど心配されていた差別の問題も含めて、誰が感染源になるかということも特定できませんので、そういう場合には、その辺をどのように説明して証明していくのかがとても難しいところなので、それを文章として入れるときには、すぐにワクチンが全員にできるような体制がすぐにでもとれるというところで文章が入れば、こういう状況があるので予防接種法に基づいて全員が定期接種できることになりましたので1日も早く受けましょうと、そこがもし文章に入れていく場合の落としどころになるという言い方はおかしいかもしれないけれども、そういう感じがしています。

○遠藤座長
 これに関して、ちょうど今、峯委員がお話になったように、こういう微妙なニュアンス、それからしっかりした専門的知識がないと、そういうことが園全体にこれを共通理解としてもたらすのは非常に難しいので、こういう問題は32ページに「保育所看護師の役割と責務」というのがありますけれども、そこにそういう問題を入れてもらえればと思っています。特にそれが一番大事な仕事ではないかと思ったのですが、特に園医が健診でいろいろな意見を述べた問題とか、地域の専門家たちがアドバイスしたものは、しっかりした正しい知識として共通理解にもっていかなければいけないという意味では、どうしてもそこで専門性を生かすというのが看護師だと、そういうものをしっかりと一番先ぐらいに入れてもらうとよいのではないかと感じました。この点は、実際に現時点ではどうしましょうか。

○和田委員
 例えば「集団保育における留意すべき事項」ということを入れて、一つの書き方ですが、HBV母子感染予防措置事業はHBs人免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンを介して母子感染、垂直感染は減少した。入園してくる乳幼児がキャリアであるか否かを事前に知ることは非常に困難である。新生児期を含め4歳ごろから幼児期までに感染するとキャリア化しやすいため、乳児期早期のB型肝炎ワクチンの接種が推奨される。手洗い・血液に対する処置は徹底させること。キャリアの人権には十分配慮するということ。これを何も書かないで、あるいは現場で園医なり誰かがそういう話をした場合に、かえってそこで混乱が起きるのではないかと思います。ですから、何とか早くユニバーサルワクチンに向けてとなると思いますが、推奨されるということを書いておかなければ、何も書かないで「報告がある」ということで逃げてしまうのは、という気がします。

○遠藤座長
 多屋委員、その辺をどうお考えですか。

○多屋委員
 今、予防接種部会でそこは議論されていて、どれが予防接種法に基づく定期接種になるかという結論がまだ聞こえてこないので分からないのですが、「広く接種することが望ましい」という提言のところまでの情報しかありません。今回、涙や汗というところが削除されてしまっていますが、逆に56ページの表で、「一般的な感染症対策を講じ、衛生的な日常生活の習慣を守っている限りキャリアの児が集団生活の場で他人にウイルスを感染させることはない」と明言してしまっているところが、普通の衛生的な習慣を守っていれば感染させないというのが最近は違って、これをあまり言い過ぎるのはむしろよくないという先生方の話もありまして、汗から人に感染したというエビデンスは今のところないので、体液の中にウイルスが含まれるというのは論文として明らかに出ていることですが、それが人に感染したという証明は今のところないので、分かっているところだけは入っていてもよいのではないかと思って最初はここに書き出してあったのですが、今回はそういう意味で削除になっています。
 B型肝炎ワクチンも今ユニバーサルワクチネーションが進められていて、水痘もおたふくかぜも定期接種化を求められているわけですが、それをどこまで書けるかは厚生労働省の中でも相談が必要ではないかと思いますので、その辺の整合性を取りながら、ぜひユニバーサルワクチネーションに、特に水痘・ムンプス・B型肝炎だけ忘れられているような気がしますので、議論に入れていただきたいという要望はございます。

○橋本保育課長
 今、多屋委員からのお話もございましたように、現行のバージョンの中には「一般的な感染症対策を講じている限り、感染させることはない」と書いてありますが、それはそれで確かに先生がおっしゃったように最新の知見に照らしたときには逆にいき過ぎではないかというところもございまして、今回、事務局でも相当ここの部分の取扱いを悩みましたが、現行のガイドラインの中で感染させることはないと書いてあるのは逆に今日ご提示しました修正案の中では「全ての人に一般的な感染症対策を講じ、他人に感染させることがないよう配慮する」という言い方で断定調の書き方のところは逆に避けるように修正しました。一方で、過度に不安を持たせたり、あるいは特定の園児に対する差別ということが起こってくるような表現は避ける必要があるだろうということで、今後の知見が進化した段階でご検討いただくような、今後の課題という形で現時点では取扱っておくのがベターではないかというところで、今日はこういった形でご提示させていただきました。

○遠藤座長
 和田委員、いかがですか。

○和田委員
 よく分かるのですけれども、「ワクチンの接種を推奨する」という一文を入れるのは難しいのでしょうか。

○梅木課長補佐(健康局)
 ワクチン自体はまだ定期接種はないので、「勧奨」という言葉は使えないと思います。

○和田委員
 WHOでユニバーサルワクチンとして薦めているワクチンですが、そういうところのニュアンスは薦めるということは書けないのでしょうか。先ほど言った八つぐらい待っている定期接種・任意接種などがありますが、順番とか。

○梅木課長補佐(健康局)
 先ほど、多屋委員から麻しんに関して改訂されているという発言がありましたが、その中では「勧奨」という言葉を使わずに「推奨」という言葉で使ったようなことはありますが、基本的には勧奨という言葉はB型肝炎については使っていません。

○遠藤座長
 このB型肝炎ワクチンの方のマニュアルは検討しているような話を聞きましたけれども。
 これは検討されているのですよね。

○丸山専門官
 肝炎対策室の方で今、調査研究も行っていますが、これについては結果がまだ後ということがありますし、この件についても事前に肝炎対策室にも意見を伺って、先ほど課長がお話ししたようなアドバイスもあったというところが正直なところです。このガイドラインをできれば11月末までに出したいというところでは、今の時点で急いで入れることによって、まだ十分に説明できないものを載せることによって、かえって不安や差別につながってはいけないと思っているところです。
 多屋委員には先ほど血液の感染のところで7ページのB型肝炎ワクチンについて少し触れていただいています。こういったことで今回は新しく知識を入れていただくことにとどめて、今後のことについてはいろいろなことが明確になってきた時点で追記というか考えて「保育所において」ということで出していくなり検討会で検討していくとさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○遠藤座長
 特に集団生活におけるB型肝炎の対応についての検討会が今、進んでいるところなので、この結果を待つということで。今の文章としてはこの程度で、和田委員いかがでしょうか。知識として広めるということは重要なことだと思いますが、ガイドラインとしてこれをいきなり全部の体液がという形で心配するのも難しいのではないかと思いますので。いかがでしょうか。

○藤城委員
 現場では、この情報というのは既に流れているのです。ですから、事実は事実としてこの中に入れていく。そして、ここの中で書かれているような衛生的な取扱いというのが今の保育現場の中で、乳幼児の子どもたちの中でそれが本当に守られるのかどうかというのはとても難しいところだと思いますし、無理な汗や涙、その他の体液等も含めてそれを「衛生的な取扱い」というところでくくることの危険性があるのではないかと思いますので、そこはもう少し踏み込んだものが書けるようでしたら、そういう形で書いていただければ。特に、保育施設の現状の中では予防接種を薦めていくということが一番の対策になっていくのではないかと思いますので、この辺はもう少し進んだ内容のものが書かれることが望ましいのではないかと思います。

○遠藤座長
 それでは、これはもう少しどこまでなら書けるか。文章をもう一度書いてもらってよろしいですか。メールででも回してもらって、もう1回これは議論することにしてよろしいでしょうか。

○丸山専門官
 よろしくお願いします。

○遠藤座長
 その他の点で、何かございますか。B型肝炎だけで終わってしまうと困りますので。石川委員、どうぞ。

○石川委員
 全般的にとても良いと思っていますけれども、これだと保育者の方たちにはほとんど読んでいただけない。あるいは理解できない内容だと思います。正直言って、難し過ぎる。一つのスタンダードとしてこれが出てくるのはよいと思いますが、もっと翻訳した形でないと、私が第1回で言いましたように、この文章だけでは文化にならないと思います。例えば「感受性」という言葉が出てきますが、感受性というのはその後に少し説明の文言が出ていますが、ほとんど理解できない。例えば保母さんたちには理解できないことだと思いますし、「不顕性感染」も出てきますが、我々は分かりますけれども、そこのところをきちんと説明しないと、別枠に置いておかないと理解できないのではないかと思います。そういうのが各所にありまして、これを保育所で普及するということはできない。そろえていただいて置いておくことはあると思います。熱心なところは各章ごとに勉強会をやったりすると思います。もっと一般的に皆さんが理解できるようなレベルでの翻訳が必要だと思います。
 日の目を見なかったのですが、昨年のちょうど今ごろだと思いますが、放射線の問題について小学校版、中学校版、高校版というのを文部科学省で作っていただいたことがあります。それは日の目を見なかったようですが、そのときに小学校の子どもたちとそれを教える先生、内容をほぼ対比させた形で出して、子どもの方には分かりやすい言葉でやって教師の方には少し詳しく教えるという丁寧に作った事例がありますけれども、知念専門官はそのことについては知っておられると思いますが、全く同じような発想でとてもやさしいものと本当にスタンダードなものということでお作りになった方が良いのではないか。その方が本当に浸透するし文化になるのではないかと思います。

○峯委員
 私も賛成です。これはこれとして、資料として非常に素晴らしいと思いますが、それをどのように使うか。使い方の虎の巻のようなものがもう一つあってもよいのではないか。こういうことを知りたかったら、この部分を読みなさい。この部分のこういう文章は、こういう意味ですというのを今、同時に作ることは時間的に無理だと思いますが、今後現場でいかに使いこなせるものにするかという意味では、それはとても重要だと思います。

○遠藤座長
 今の石川委員、峯委員の意見もよく分かりますし、我々日本保育園保健協議会もそういうことを広めなければいけない立場なので、この解説書をなるべく現場に即して、本当に使えるようにという意味での手引を作っていくつもりでおりますけれども、かなり丁寧にいろいろなことを書いてあるので、これをまた手引としてやるには屋上屋からだと難しいところもありますが、むしろ重要な問題だけを拾って、要点はここだよと書かなければいけないのではないかという感じもしますが、そういう役目は我々もぜひやっていきたいと思っております。日本小児科医会にしても日本小児科学会にしても、こういう問題についてお知恵を借りられればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 他にはどうですか。ただ、これを今すぐにやさしいものに変えろと言われても、とても無理で、すぐにこれを変えられるものではないと思いますし、この内容を見ても、内容は立派なしっかりしたものが書けているのではないかと思います。ただ、ガイドラインとして今までの我々が持っていたイメージと少し変わったのではないかという気がします。ガイドラインですから、まさにどうとってもよいのではないかと思いますが、今まではどちらかというと医師の意見書は「必要である」という書き方でばんと出てきたから、むしろその方が戸惑いがなかったのでしょうけれども、「望ましい」と言われると、なおさらどうしたものかということになってしまうのではないかと思いますが、その辺で菊地委員、何かご意見がございますか。

○菊地委員
 これは本当によくできていると思いますが、はじめから順番に読んでいくと、関連性があるのでそこをきちんと理解できれば大変素晴らしい教科書的なものになりますが、現場の方では「すぐに知りたい」という場合もあるわけです。そういうときに、先ほど言った手引きのようなものは必要だと思います。これは本当に丁寧に書かれていて勉強するにはよいお手本になると思っています。いろいろな部分で難しいところがありますが、今はネットですぐに調べたりすることができますので、若い人も調べる気になればすぐに分かると思います。

○遠藤座長
 工藤委員、どうですか。

○工藤委員
 本当に内容は詳しく書いてあって、先生がおっしゃったように読めば分かりやすいと思いますが、もう少し簡単に分かるようなものを今後出していただけると、例えばこれは病気ごとに予防の方法が書いてあるのですけれども、予防の方法からこういう手洗いをすればこういう予防ができますよとか、現場で実際にどういうことをすればどんなことが予防できるかということが書いてあると現場の先生方は分かりやすいという気がしています。そうなると4の「衛生管理」のところが具体的に保育園でやることが羅列されているような気がしますが、この中でも細かいところですけれども、例えば17ページに「歯ブラシの適切な消毒と保管」というところがありますが、熱湯、日光、薬液など消毒というところは書いてありますが、保管の仕方というのが、家から持ってくればそれでよいだろうということで歯ブラシの穂先が全部くっついて一つのコップに入れて保管されているところを見たりすることもありますので、もう少し衛生管理のところだけでも具体的にしていただけると、いろいろな保育施設に行ったときに指導がしやすいのではないかというところは感じているところです。
 先ほどおっしゃったように、登園許可証の方は前回も言いましたように世田谷区では保護者に書いてもらうということでやっていますが、逆にこれで必ず登園許可証を提出することとなったとすると、今回このように言われているのでと変えるということももしかしたら考えることができるのではないかというところで、悩ましいところだと思って見ています。

○遠藤座長
 ありがとうございました。他に、ございますでしょうか。17ページの「衛生管理」のところで私が気になったのは温度の関係で室温は「約20度」と書いてあって。度は「℃」でなくてはおかしいと思います。約20℃というのは、夏は20℃にしたら寒すぎるし、実際にはいくら冷房しても28℃といわれる時代に、これはいくら適当といっても20℃は適当でないと思います。この辺は、冬は○℃~○℃まで、夏は○℃~○℃辺りが適当だと、もし書くとしたらそういう書き方が必要だと思いますし、日本列島いろいろなところで私も話したりしますが、気温差は非常に大きいです。ですから、ここは適切で室温はぼかさざるを得ないのではないかと思いますし、書くとしたらかなり幅を持たせてもらわなければと思います。
 先ほどの衛生管理の問題で、細かいところは手引書にそういうものをしっかりと盛り込んでいただければと思います。

○菊地委員
 「衛生管理」のプールのところで「プール遊びの前のシャワーと石けんでのお尻洗いの徹底」「シャワーの徹底」と書いてありますが、これはこのように決まったのですか。こんな話があって、まだ混乱しているところがあるのですが、「洗わない」とか「容器にお尻をつけるだけ」とか。現場ではどういう方法かはまちまちになっています。そういうところが見られましたので。

○遠藤座長
 お尻洗いはそういう表現はよくないようなことを前に言っていましたね。

○工藤委員
 今のプール遊び前のところは、腰洗い槽がなくなってからシャワーのみでよいと区の方では保健所から、特にトイレが自立している子どもについてはシャワーでよいと言われていて、今まではそのようにしてきているところだったので、「石けん洗い」というのは気になったところです。

○遠藤座長
 この辺の文言をもう1回詰めてください。どうしたらよいでしょうか。

○藤城委員
 ここの部分では、お尻洗いというところで個人への配慮等も含めてというところでのご意見もあります。ただ、3、4歳ぐらいの子どもたちが排便後の始末がきちんとできているかというと、それは疑問で、無理な部分も多いと思います。その状態で、ただ体だけシャワーで洗うということだけでは危険です。区内の公立保育園では毎年プールの水質検査をやっていますが、石けんでのおしり洗いをしていても、いくつかの園では大腸菌が検出されています。おしり洗いをなくすのは危険ですが、その辺をどのように配慮してこの文言を入れていくかというのは、とても難しいところがあるのではないかと思いますが、多屋委員、安井先生いかがでしょうか。

○多屋委員
 「石けんでの」というところまでいくと多分難しいということがあると思いますが、お尻は特にエンテロウイルスの感染症などは1か月ぐらいウイルスが便の中に出ているし、結局それが夏場に流行するので、それは先生に洗ってもらう、自分で洗う、いろいろあると思いますが、お尻を洗うというのはようやくここ数年間広まってきて対策に活用されてきたのではないかと思っていたので、ここで削除されてしまうと、せっかく藤城委員がおっしゃったようなうんちがお尻についたままというのは幼児では当たり前にありますので。「石けんで」というところだけ削除してもらっても、シャワーとお尻はプールの前に洗うというのは削除しない方がよいのではないかと私は思っています。

○工藤委員
 言葉が足りなくてすみません。お尻は洗っていますが石けんは実際には使っていないので「石けんで」と書かれてしまうと園児がたくさんいるところも全員石けんで洗わなくていけないのかということで。

○遠藤座長
 そこは「洗う」ということをしっかり入れておけば「石けん」は削除してもよろしいですか。少し細かいことに入ってきましたが、少し細かいこと、文章のおかしな点もぜひ指摘して最終的に作り上げたいと思います。先ほどからの難し過ぎるという問題は、確かに最初のときからこのガイドラインは難しいのではないかと感じていましたが、いかがでしょうか。ただ、我々としては改訂版として、どうしても「登園の目安」を何しろ早く発表してしまいたいというのもありますし、文章としてはそんなにおかしな点はないと思いますが、こういうものを発表させていただいて、できれば日本小児科学会とか他のところでもこういうものに対して解説なり我々日本保育園保健協議会としても当然現場で使える解説を付けた手引書を作るということは考えておりますので、早急にこれはやりますけれども、こういう改訂案でよろしいでしょうか。それとも、何かもう1回こういうものを検討した上でというところがありましたら、ご指摘願いたいと思います。

○藤城委員
 指摘ではないのですが、先ほど遠藤座長が言われました看護職の役割のところで、ご意見をいただいた内容の新しい知識の普及と共通理解を広めるという内容の文言を付け足させていただいてよろしいですか。

○遠藤座長
 これはぜひ入れてほしいと思います。

○藤城委員
 32ページの「看護職の役割と責務」のところに加筆させていただきたいと思います。

○遠藤座長
 これは文章でもう一度正確にこのように入れますよということで意見を聞いた上で修正するということにしていただきたいと思います。それから、この題ですけれども「保育所における感染症対策ガイドライン改訂版」とございますが、これはどういたしましょうか。改訂版といいますと、この次にもし改訂しますと再改定版とか、いろいろ難しくなりますので、できれば2012年改訂版、2011年のガイドラインだという年号を入れておくと、比較するときにこれを参考にしたということがはっきりすると思います。「改訂版」とか、よくあるのは「新○○」とか。「再改訂」となるとおかしいと思いますので、この辺も少しいろいろなところとの整合性というよりは、一般的にどうしているというものがあれば、そういうものをぜひ。臨床で使っているのは「○年版ガイドライン」という形でのガイドラインが多いと思いますが。

○知念専門官(文科省)
 文部科学省の知念と申します。今回は学校保健安全法の省令の改正に合わせるような形で一部修正いただいていますが、このガイドラインの本文中にあるのは主に省令の説明になりますので、特段これから変更ということはないのですが、学校の方の解説書は今月中に一度検討会を開いて、そこで決まっていくような流れになっています。その内容と別添4で付けている「主な感染症一覧」に書いてある内容と大きな齟齬があるようでは今後、現場で困ると思いますので、現在も事務局とこちらの方で意見調整して合わせていますが、今後学校のガイドラインでご議論次第で変更点があった場合は、事務局に報告させていただきますので、もしかすると少し微修正等が入るかもしれませんが、よろしくお願いします。

○遠藤座長
 どうぞよろしくお願いします。同じような時期に出たものに差がありますと理解に苦しむと思いますので、よろしくお願いいたします。

○多屋委員
 細かいところで恐縮ですが、登園の意見書のところに学校保健安全法は多分幼稚園の子どもを配慮して「幼児」と書かれていると思いますが、保育所は乳児がいるので、ここは乳幼児にあってはという「乳児」という表現を入れなければいけないのではないのかと感じていることが一つ。
 もう一つは、保育所では動物を飼っていることが多くて、私の子どもも保育所でカメを飼っていて、カメのお掃除当番というのもありましたが、動物と接触した後は手洗いが難しい年齢ですが「動物との触れ合いの後は手洗いをしっかりしよう」ということがどこかに、それがどこの項目がよいかは分かりませんが入っているとよいのではないかと感じた点があります。

○遠藤座長
 ありがとうございます。

○峯委員
 これも全体として読ませていただくと、予防接種の関連ですが、予防接種の接種状況を随時新しい予防接種が行われたらそれをきちんと調査するということや、職員の予防接種についても必要なものなら2回必要だと書いてありますが、もししていない子どもや職員が見つかったならば積極的にするように管理者が指導や勧奨するという、やっていない人になるべく早くやってもらいたいという文言がどこかにあるのか。あるいは、そこまでの文章はないのか。読めば分かりますが、どこかありましたか。

○多屋委員
 受けるように薦めると、どこかに書き足したつもりですが。どこに入れたのか。

○峯委員
 12ページ「感受性対策」のところで「保育所では入所児童の予防接種状況を把握し、年齢に応じた計画的な接種を保護者に勧奨します」というのですが、これは入所時のことで、その後にもしさらに年齢に合わせて見つかったら再度勧奨するという意味がここに含まれているのかどうか。職員に対しても確実にやっていただけるようなというのがどこかにはっきり分かる文章があればよろしいのではないかと思います。

○遠藤座長
 予防接種につきましても、その辺は少し気になるように入れていただければと思います。

○藤城委員
 先ほど、多屋委員から小動物の飼育について出されましたが、18ページの「園庭」に少し加えてありますが、これにもう少し加筆した方がよろしいですか。18ページの「園庭」の一番下の行のところです。

○多屋委員
 すみません。ここに書いてありますね。

○石川委員
 先ほどの予防接種歴とその徹底の話ですけれども、これは保育所に新しく入ってくる子どもとか途中で入ってくる転居に際しての子どもについてのチェックは非常に大事だと思います。そのときに、保護者に対してのいろいろな説明等も教育の一環だということで一項設けて、例えば初めての入所時の注意といったものはこういうことをチェックしたらどうでしょうか。あえて一項設けた方がよいのではないでしょうか。そのときに、結核の方はよいかもしれませんが、外国から来た例もあるわけですから、そういうことも一応入れておいていただくことが大事ではないかと思います。
 先ほど私が申し上げたのは、こういうものを出しておくのはよいと思いますが、これをまた詳しく解説すると、この3倍ぐらいの分量になります。そうすると、ますます読まないわけだから、どうしても理解を進めるということについては、いろいろなことを削ぎ落とすということを大胆にしていかなければ無理だと思います。かつ、本当にこれだけはやっていただきたいということについて、きちんと的を射たものを置くという形にしないと駄目だと思います。
 私は広報の担当をやっておりまして、患者さんにいろいろな形でポスターなどをやるのに専門の先生に書いてもらいます。それを患者さんに分かっていただくようなポスターを作るために何重にも渡って推敲して、先生と議論した揚げ句、言葉を翻訳して最後にはその先生の書いたものとは跡形もないぐらい変えて、削ぎ落としてようやくポスターになるという作業をやっています。1か月に2回も3回もやっているので、いつもそういうことを言いますが、簡単に解説するというと3倍ぐらいになりますので、そうではなくてもっとこういうことを保育所で徹底するためには削ぎ落とすところと本当に知ってもらいたいところを強調するべきではないかと思います。
 もう一つ、私は大塚製薬という企業の提供で実はマンガでいろいろな健康本を1年に1回配布していて、日本中の小中学校に配っていますが、それがとても子どもたちにウケがよくて、私が言っている「感染する」ということも特集にしていますが、有名なケンちゃんといった漫画家に書いてもらって「感染する」ということ、ケガのことなど健康教育をやるのですが、とてもすとんと入ります。そういうことも一つの手だと思っています。保育者の程度ということでいったら大変失礼かもしれませんが、分かりやすくするためにはそういうことも必要ではないかと思っています。

○遠藤座長
 どうもありがとうございました。予定の時間がそろそろ迫っておりますけれど、これからの問題ですけれども、ガイドラインの改訂版につきましては、かなり難解だとか、これでどうだという意見がございますけれども、これを少なくともこのままではすぐには出せませんということなのか。これである程度出してもよいとお考えでしょうか。その辺は、石川委員はどうでしょうか。

○石川委員
 よいのではないですか。出してもよいけれども、その後きちんとやって。

○遠藤座長
 それでは、この段階は非常に難しいけれども改訂版は出すという形で出しますけれども、一部修正の問題、それから、この改訂版を何という形にするかというタイトルの問題をもう少し検討していただいて。皆さま方には、今日いろいろ話が出ましたけれども短い時間でしたのでどうしても言い残したことがありましたら後でぜひ出していただいて、まとめていきたいと思います。
 最終的には、いつまでにそういう作業をやればよろしいですか。1週間とか10日ですか。

○丸山専門官
 そうですね。11月いっぱいまでに出すということであれば、今この検討会の皆さまのご意見を聞きながら、第3回を開かずにこれで進めていくということであれば、今いただいたご意見については皆さまからこういう部分という具体的な文章があればいただきたいと思っていますし、他にこういうところもというところで、あとは軽微なところになると思いますが、そういったものがあれば1週間程度でご意見をいただいて、こちらで修正案を作って再度皆さまにご確認いただいてということであれば、中旬ぐらいまでにその辺りがまとまれば、ぎりぎり11月末までにいけると思いますが、いかがでしょうか。

○遠藤座長
 そういう進め方でよろしいですか。それから、ガイドラインもこれから保護者向けだとか保育士向けというレベルで、ある程度検討できるような形も考えたいと思います。そういう形もぜひ作っていただければと思います。

○丸山専門官
 分かりました。

○遠藤座長
 他に何か言い残したことがございましたら、どうぞ。菊地委員、何かございますか。

○菊地委員
 31ページのRSウイルスですけれども「3か月未満で保育所へ通うことは、RSウイルス感染症のハイリスク群であり、今後医学的な知見から対応について検討することが必要である」と書いてありますが、これは今57日目で保育園に受けて入れていますが、この先の問題だと思いますが、いろいろな部分で関連してきます。こういう新しい問題の提起も今後の状況しだいで、日常的に進んでいくと思いますので、そういったものを何か出していただけるものがあればよいと思います。

○遠藤座長
 保育園の方は健康で安全にということを保障するということを第一に掲げていますが、そういう意味で今年のRSウイルスの流行を考えると、もう少し何とか対策を考えなければ特にRSウイルスに関して予防接種はないけれどもシナジスのような抗体ということはありますので、もし、ハイリスクであるということならば、そういうものが使えるなり、何かそういう方索も考えていただければということも含めて医療的な対応ということも私が原稿を書いたので入れさせてもらったのですけれども、費用の問題が非常に関わりますので。ただ、保障するとなると、それぐらいしなければいけないのではないかと思います。

○峯委員
 ここのところは私も以前からこの文章を見て悩んでおりまして、実は乳幼児突然死症候群(SIDS)の例でRSのウイルスがたまたま分離できたものが結構たくさんあるのです。それで、ここの部分にそういうものを想定しておられるのか。
 そうなると、実際には3か月未満の極めて小さい赤ちゃんでRSを予防するというのは一般の子どもたちにとっては、まず無理だとなりますと、むしろ職員の方たちの安全管理や危機管理の問題として、RSウイルスに感染すると突然死することもあるということを知っていただくという意味でこういう文言が入っているのであれば、職員に対する知識の共有というものであればよいと思いますが、だからといって、座長がおっしゃるように健康な赤ちゃんには自費でやったらよいといっても、1回15万円ぐらいかかってしまうし、しかも毎月やらなければいけませんので、とんでもない金額になります。そういう意味で、全体のところで、私は危機管理のところに加筆させていただいて、やはり感染症はどうしても防ぐことができない部分が必ずあるので、それを予め親御さんには説明した上で、ガイドラインを守っていれば全て安全に過ごせるということではないということは、むしろ全体の危機管理として必要ではないかということで、幾つか文章を加筆させていただいたのですが、ここもまさにそういう意味では必要だろうと思います。

○遠藤座長
 それでは、予定の時間がまいりましたので、一応この改訂版という形での編集に関しましては、どうぞまだご意見があって入れられる分は入れていきたいと思います。
 感染症のガイドラインは最初に作ったときから、他のガイドラインもそうですが、やはり時代とともに変わるものですから、このように2年ないし3年のスパンで改訂が必要だと思われますので、また普段からいろいろな問題が出たところで検討していっていただければと思っております。
 こちらの議事は、この辺で終わりにしたいと思います。いろいろとありがとうございました。

○橋本保育課長
 それでは、先ほど座長からもお話しいただきましたように、いろいろ工夫を要する点につきましてはメール等でお寄せいただきまして、それを整理して、また委員の先生方にお諮りしたいと思います。全体的なイメージは、ほぼ共有できているのではないかと思いますので、できれば、この後の微調整の部分につきましては、メールのやり取りで整理をさせていただければと思っておりますので、具体的にはまたご相談申し上げますが、ぜひそういうことでご協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○丸山専門官
 それでは明日、皆さまにメールさせていただきたいと思います。また短い期間になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。


(了)
<雇用均等・児童家庭局保育課>
企画調整係: 03(5253)1111

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