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2012年11月19日 第6回緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年11月19日(月)


○場所

厚生労働省 18階 第22会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1.緩和ケアの推進について
2.その他

○議事

出席構成員:花岡座長、池永構成員、岩瀬構成員、加賀谷構成員、木澤構成員、小松構成員、田村構成員、中川構成員、細川構成員、前川構成員、松月構成員、松本構成員、道永構成員
参考人:森田参考人

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「緩和ケア推進検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましてはお忙しいところを御出席いただき、どうもありがとうございます。
 それでは、構成員の先生方の出席状況について御報告いたします。本日は大西構成員、小川構成員、武藤構成員から欠席との御連絡をいただいております。その他の構成員の皆様方は御出席いただいております。また、本日は聖霊三方原病院緩和支持治療科、森田達也先生に参考人としてお越しいただいております。
 では、続きまして、お手元に配付をさせていただいております資料の確認をお願いいたします。
 まず座席表、議事次第1枚でございます。
 それから、資料1「緩和ケア推進検討会構成員名簿」。
 資料2「第5回緩和ケア推進検討会での意見のまとめ」。
 資料3「専門的緩和ケアに求める機能に関する構成員の意見のとりまとめ」。
 資料4「専門的緩和ケアへのアプローチに関する論点(案)」。
 資料5は木澤構成員からの提出資料でございますが、「専門的緩和ケアへのアクセスの改善について」。
 資料6は森田参考人からの提出資料でございますが、「切れ目のない連携体制について」。
 資料7は中川構成員、池永構成員、岩瀬構成員からの提出資料でございますが、「今後の『検討会』の進め方とテーマについての提案」。
 その他、参考資料1は本検討会の「中間とりまとめ」。
 参考資料2「緩和ケア専門委員会報告書」。
 参考資料3「専門的緩和ケアへのアプローチにおける問題点」。
 参考資料4「がん診療連携拠点病院における緩和ケア提供体制の現状」。
 参考資料5「専門的緩和ケアへのアプローチに関する構成員の意見のとりまとめ」。
 参考資料6「がん診療連携拠点病院の整備について」。
 参考資料7「意見調査表」。
 参考資料8「意見調査表集計結果」でございます。
 資料に不足、乱丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 それでは、以上をもちましてカメラのほうはおさめていただくよう、御協力をお願いいたします。
 では、引き続きの進行は花岡先生、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 皆さん、おはようございます。きょうは週初めのお早い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 本日は「専門的緩和ケアに求められる機能と各職種の適正配置について」「専門的緩和ケアへのアクセスの改善について」「切れ目のない連携体制について」の3つを議題として掲げて議論を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 前回の検討会より専門的緩和ケアに関して議論を進めてきたところです。前回は緩和ケアチームにおける人材の適正配置について田村構成員よりヒアリングを行い議論したところですが、その中で、人材配置を論ずる前に専門的緩和ケアに求められる機能を整理することから始めるべきではといった御意見がございました。そこで事務局より皆様に意見調査を行い、その結果を本日資料としてまとめております。
 また、本日は中川構成員、池永構成員、岩瀬構成員から提案書が提出されておりますが、専門的緩和ケアに求められる機能に関する皆様方の意見調整を踏まえ、私と事務局にて進め方を検討しましたので、まず事務局から説明していただき、その後、提案書も踏まえ議論を行いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず事務局より資料の説明をお願い申し上げます。
○事務局 それでは、事務局の山下より資料の説明をさせていただきます。
 まず、参考資料1をごらんください。これは前回の検討会まで議論をいただきました中間取りまとめにつきまして、9月26日の日付で取りまとめとし、ホームページにて公表させていただきましたので御報告申し上げます。
 続きまして、参考資料2をごらんください。前回の「緩和ケア推進検討会」にて、基本的緩和ケア、専門的緩和ケアの定義とは何ぞやという話になったかと思います。そのことにつきまして「緩和ケア専門委員会報告書」内にて取りまとめてございますので、御紹介させていただきます。
 まず2ページの下のほう、「? がんと診断された時からの緩和ケアの実施」をごらんください。本専門委員会の認識として、3番にて「『基本的緩和ケア』とは、患者の声を聴き共感する姿勢、信頼関係の構築のためのコミュニケーション技術(対話法)、多職種間の連携の認識と実践のもと、がん性疼痛をはじめとする諸症状の基本的な対処によって患者の苦痛の緩和をはかることである」と定めております。また、5番にて「『専門的緩和ケア』とは、『基本的緩和ケア』の技術や知識などに加え、多職種でチーム医療を行う適切なリーダーシップを持ち、緩和困難な症状への対処や多職種の医療者に対する教育などを実践し、地域の病院やその他の医療機関等のコンサルテーションにも対応できることである」と定めてございますので、御紹介させていただきます。
 続きまして、参考資料3をごらんください。これは前回の検討会でもお示しした資料でございますが、中間取りまとめ以降、専門的緩和ケアのアプローチにおける問題点といたしまして3つを掲げて議論を始めたところでございます。これはことしの6月に閣議決定をされたがん対策推進基本計画において取り組むべき施策ということで取り上げられた項目を抽出してございます。
 まず入院医療機関内での緩和ケアチームなどにおける人材の適正配置の問題。また、入院医療機関のがん治療医などと緩和ケアチームなどの専門的緩和ケアを提供するチームの間のアクセスの問題。そして、これは入院医療機関と地域の医療機関などとの問題になりますが、どういった連携体制を構築していくかといった問題を掲げました。
 この中で、前回の検討会では人材の適正配置の問題から議論を始めていただいたところでございます。
 続いて、資料2をごらんください。資料2にて前回第5回「緩和ケア推進検討会」での御意見をまとめてございます。読み上げます。
【緩和ケアに関する正しい知識の普及について】
○WHOの「緩和ケアの定義」に対して説明文を付加することを検討する。またこれに加えて「正しい知識をどのように普及させるか」についての具体案を議論するべき。
○「緩和ケアに関する正しい知識の普及」に関しては、後に検討会で議論を行うべき。
【緩和ケアチームの人材配置について】
○緩和ケアチームにおける、MSWの役割が重要ではないか。
○少なくとも平日、日中は常に緩和ケアチームにアクセスできる環境を確保することが重要ではないか。
○がん診療連携拠点病院における、緩和ケアチームの人材の適正配置を議論するにあたり、人材ありきではなく、拠点病院に求める専門的緩和ケアの機能をまず明確にし、その機能を果たす為に必要な人材を検討するのが良いのではないか。
○人材配置に関しては施設毎に確保できる人材が変わってくることから、緩和ケアチームに求められる機能を明確にすることを優先し、どの職種がその機能を担うかについては、施設毎に個別に議論・検討できる余地を残すことが現実的ではないか。
こういったような御意見がございました。
 続いて、資料3をごらんください。前回資料2にまとめましたような御意見が出たことを受け、専門的緩和ケアに求められる機能に関して構成員の先生方に事前の意見調査を行いました。参考資料7につけてございますような意見調査表を用いて意見調査を行い、参考資料8としていただいた御意見の生のデータを記載しております。資料3はいただいた御意見を事務局でこの紙にまとめたものでございます。
 まず左のオレンジ色がかかった項目でございますが、「専門的緩和ケアの提供にあたり、求められる機能(案)」として、3年以内に全てのがん診療連携拠点病院で整備すべき機能について検討会の構成員の先生方から意見調査を行いました。
 1番から、2ページ目にかけて16番まで記載しておりますが、これは御意見の多かった機能から順に記載しております。どのような御意見になっているかといいますと、1番「外来患者の緩和困難な症状(身体的・精神心理的・社会的苦痛)への対処」、続いて「入院患者の緩和困難な症状(身体的・精神心理的・社会的苦痛)への対処」、3番は「入院患者やその家族等に対する情報提供機能」「院内にて緩和ケアチーム以外の多職種と連携しチーム医療を行うためのリーダーシップ」「夜間休日の対応を明確化すること」「多職種の医療者に対する院内教育」「他の医療機関等との連携調整機能(転院調整や在宅医の選定、介護保険手続き等)」「外来患者やその家族等に対する情報提供機能」、2ページ目に移りまして「地域の病院やその他の医療機関などからのコンサルテーションへの対応」「地域で緊急に生じた緩和ケアのニーズに緊急入院などで応じる機能」「緩和ケア関連研修会の管理運営機能」「緩和ケア診療情報の集約・分析機能(スクリーニングした苦痛の評価分析も含む)」「地域住民などへ対する緩和ケアの普及啓発」「がん生存者への対処(相談支援など)」「多職種の医療者に対する院外教育」、最後に「院内や地域の緩和ケア診療マニュアルの整備」となってございます。
 この各機能に関して、機能を担うべき組織として、例えば緩和ケアチームであるとか緩和ケア外来、相談支援センター、さらに上位で院内の緩和ケアを統括する組織などから選択いただき、御意見の多かったものを記載しております。
 一番右の欄ではこの機能を果たすために中心となる人材、職種について、医師や看護師、薬剤師、社会福祉士、研修を受けた相談員などの項目から選択いただき、意見の多かったものを記載してございます。1番~16番までは事務局から提案、提示を行った機能でございますが、3ページ目にてこのほかに構成員の先生方からこういう機能も必要ではないかと御意見が出た機能をまとめております。
 ここで資料に一部間違いがございます。3枚目で「中心となる職種」と「機能を担う組織」が逆になってございます。申しわけありません。訂正いただければと思います。
 続いて、資料4をごらんください。赤枠内を御確認いただければと思います。
○意見調査の結果から、「専門的緩和ケアに求められる機能」としては、「院内の緩和困難な症状や相談支援等、患者・家族等への対応」の他、「院内でのチーム連携」、「地域における連携」等に関する機能が多く挙げられた。
○また、これらの機能を果たすため、「院内の緩和ケアを統括する組織」を設置する必要性や、看護師を基軸とした「多職種連携によるチーム医療」や「スクリーニングした苦痛の評価分析体制」等の必要性に関する指摘があった。
このことについて院内におけるアクセスの問題であるとか、地域での連携の問題に関する議論を踏まえた上で、拠点病院における専門的緩和ケアに求められる機能であるとか、緩和ケアチームなどの適切な人材配置について議論を深めていっていただければどうかと事務局では考えております。
 また、この中でがん診療連携拠点病院の指定要件について、以下の観点を追加することを検討してはどうかといったことで、下の4点を掲げさせていただいております。
・平日日中は緩和ケアチームに常にアクセスできる環境を整える
  (専従看護師が専門的緩和ケアに従事する時間の拡大)
・院内の緩和ケアを統括する組織の位置づけを明確にする
  (緩和ケア委員会等の設置)
・院内の緩和ケア提供体制の実態把握と評価・改善の仕組みを確保する
  (業務・成果の可視化)
・地域の診療所等の関係者との定期的な協議の場を設置する
  (顔の見える地域連携)
こういったことも念頭に置きながら、今後院内におけるアクセスの問題であるとか、地域での連携の問題に関する議論を進めていただき、最終的に緩和ケアチームの人材配置であるとか、専門的ケアに求められる機能といったところについての議論をまとめていっていただければどうかと考えております。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 事務局から今回行った専門的緩和ケアに求められる機能に関する意見調査結果も踏まえまして論点案の提示がございました。
 また、先ほど申し上げましたように、中川構成員、池永構成員、岩瀬構成員より検討会の進め方とテーマについての提案書が出ておりますので、これにつきまして中川構成員から御説明をお願い申し上げます。資料7でございます。
○中川構成員 資料7をごらんください。
 提案は、私のほか池永構成員、岩瀬構成員の連名で出させていただいております。
 提案の趣旨ですが、前回の検討会で私は中間取りまとめについて事務局側に3点ほど確認をいたしました。
 1点目は、「以下の方策を実施する」、このことを行政が実施するのだということ。
 2点目は、身体的苦痛緩和の具体策の「体制を整備する」ということをいつまでにするかを明示すること。
 もう一点、従来どおり1議題を3回議論して具体的施策を報告する。
 この3点を事務局側に確認したのでありますが、とりわけ3回議論して具体的施策を報告する、これはもともとかねてから事務局側の方針であったわけです。しかし、これをやっていると若干前の議論を忘れてしまうとか、冗長であるとか、私どもは1議題を1回で集中して終わらせるほうが議論も深まり効果的ではないかと思うに至りました。池永構成員、岩瀬構成員も同様に考えていただいております。
 そこで検討会の進め方と、それに伴うテーマの設定をここで御提案させていただきます。
 まず議論の進め方ですが、先ほど申し上げたとおり、原則1回集中で完了とする。まず事務局側で次回のテーマと議論について示してもらい、構成員からメールで意見を提出してもらう。そのまとめを事前に構成員が共有した上で検討会に臨み、その議論をもとに事務局が施策についての具体案を作成する。次回の会議では事務局から具体案を提示してもらって、もう一度短時間話し合い、完了とする。1回といいながら1回より少しふえるかもしれませんが、こういった進め方がよいのではないか。
 さて、議論のテーマについてです。順不同ですが、1ページ目の下のところから少し簡単に御説明します。
 まず緩和ケアセンターの問題なのですが、これが切れ目なく緩和ケアを受けられるための司令塔と位置づけられると思います。1枚めくっていただきまして、ただし緩和ケアセンターの具体的なイメージがとりわけ構成員間の中でも共有されていると言いがたいのではないか。また、「がん対策推進協議会」の中でも一部に誤解があるようです。しかし、これは概算要求項目ですので、今後、都道府県の拠点病院に実施の手法を具体的に説明する必要が出てくるはずであります。ですので、やはりそのイメージをここで持っておかなければいけないだろうと思います。実際には例えば複数の拠点病院の病院長の方に御出席いただいて、こういったことの具体的なあり方を少し考えておく必要があるような気がいたします。
 このセンター論議に関連して、診断時からの早期の緩和ケアの全体像を描き、その仕組みがどうすれば効果的に進むのかも確認したいと思っております。
 2番目ですが、身体的苦痛を緩和する具体的な取り組みについてであります。これは御説明があったように、中間取りまとめに盛り込まれております。しかし、個々の拠点病院で具体的にどのように進めていくかという議論が生煮えだと思っております。特に「施設ごとに評価された苦痛への対応の手順を明確にし、主治医や緩和ケアチーム等の役割を定め、適切な対応が行われているかを評価し公表する体制を整備する」、このように書き込まれているわけですが、評価の方法と公表の方法を時期を含めて明確にすべきだろうなと思っております。
 3番目に精神的苦痛を緩和する具体的な取り組みについてでありますが、このこともやはり2番目と同様に評価方法と公表方法、その時期について明確にすべきだと思っております。
 4番目ですが、緩和ケア病棟のあり方についてであります。緩和ケア病棟は拠点病院に3割、残りは一般病院にあると言われておりますが、緩和ケア病棟の質にも格差があるという指摘があります。例えば本当の意味で緩和ケアを専門にする医師が常勤しているのか、疼痛の緩和が実際きちんと行われているのかなどの議論も必要ですし、「緩和ケア病棟」という言葉に抵抗のある患者さんも実際にはいるということもございます。
 5番目ですが、指定要件に盛り込む事項について、今後、がん診療提供体制に関するあり方委員会の中で、心身の苦痛のほか、緩和ケアセンターを含めて指定要件の議論が始まるわけですが、事務局が指定要件の案を提示して、その実効性と評価方法を論議した上で、この検討会としてあり方検討会に提案すべきだろうと思っております。かねて緩和ケアについてはあり方検討会主導ではなくて、当「緩和ケア推進検討会」の提言を最大限尊重するという事務局からのお話があったと思うのですが、それを実行していただく必要があると思っております。
 6番目として終末期医療のあり方についての問題なのですが、がん対策基本法あるいは基本計画における早期からの緩和ケアは、結果的にはホスピスでのみとりの部分を、相対的にではありますが軽くさせたという御指摘もあります。これに関してはさまざまな意見がありますが、終末期特有の問題は何か、それに対応するためにどうすればいいか、そしてこれは日本人の死生観とも関係するかもしれませんが、拠点病院で亡くなる方あるいは拠点病院から在宅、ホスピスに移っていく方、種々あるその違い等も議論することで、結果的には診療拠点病院あるいはホスピス両者の質の向上につながるのではないかと思います。
 7番目として、施設から在宅へという流れがある一方で、拠点病院と在宅医療との連携あるいは緊急時の対処の問題、そしてこれは私どもも実際現場で経験しますが、在宅といったときに患者・家族に不安があるということも事実でございます。また、在宅緩和ケア医に質量ともの不足の懸念もなしとはしません。在宅における緩和ケアの質に関して双方向性のある連携調整を行える看護師の役割、そしてその育成が必要であると思っています。
 8番目、一般病院での緩和ケアの取り組みについてですが、がん患者さんの半数近くが一般病院で亡くなるというデータがございます。その中で緩和ケアを適切に行える病院、あるいは疼痛緩和が必要な場合は拠点病院につなぐ手段をとれる病院、そうした連携がなく、かつ緩和ケア医もいない中で亡くなっている患者さんも多くいることも事実でございます。この一般病院のがん医療、緩和ケアの底上げを図るための議論も必要だと思いますし、一般の病院で亡くなる患者さんの現状の把握もこの検討会の中で行えればと思っております。
 9番目、専門相談についてです。セカンドオピニオンは既に基本計画、基本法の中で制度化されております。しかし、これはがんの治療に関するものがほとんどでありまして、緩和ケアに関するセカンドオピニオン、その他の相談についての受け入れ体制の整備が必要だと思います。緩和ケアセンターが設置されればそういったことができる可能性もありますが、緩和ケアセンターは県内全体の緩和ケアに関する情報を把握しておく必要がある、そして公表する必要があると思いますので、そういう点ではこの機能を緩和ケアセンターが担っていく、そのために求められる質の高さが重要であろうと思います。
 10番目、緩和ケア教育であります。私は1度この場で申し上げたかもしれませんが、緩和ケアの享受は基本的人権に相当するのではないかと思います。緩和ケアの提供は医療の基盤でもあると思っておりますので、緩和ケア教育は十分な回数をとった議論をお願いしたいと思っております。
 4ページ目、医師の研修については始まっているわけですけれども、研修の推進、とりわけ具体的な時期と目標、それから、看護師に関する研修のあり方と研修計画、この辺は小松構成員、松月構成員からの意見もぜひ参考にしていただきたいと思いますが、薬剤師に関する研修についても加賀谷構成員などに御意見をいただきたいと思っております。
 それから、臨床研修の中に緩和ケア研修を組み込むことの検討は既に細川構成員からも御提案があって、事務局でも前向きに御検討していただいていると伺っておりますが、実施に当たっては研修を積極的にやっている数県でパイロット的に緩和ケア研修を取り入れていただいて、それをもって2、3年かけながら全国展開するのが現実的ではないかなと思っております。
 同様に医学部の中においての緩和ケア教育も大変重要でありますが、実際には私どもの大学においても明らかに不十分と感じております。
 11番目の緩和ケアの普及啓発についてはいずれ検討会として議論することが決まっておりますので、ここでは説明は省略いたします。
 順不同でありますが、以上が提案のテーマです。若干関係する事項として、このテーマの設定は私ども池永、岩瀬、中川の3構成員の試案であり、その他の構成員の皆さんからもテーマの意見出しをしていただくのもよろしいかと思います。
 しかし、これだけ多岐にわたるテーマとなりますと時間的に消化し切れない可能性があろうと思いますし、また肝心の議論が時間切れという形で終わらないように事務局側の最大限の配慮もお願いしたいと思っております。
 ただ、順不同と申し上げましたが、来年3月までに取り決める拠点病院の指定要件の問題あるいは26年度の予算編成の問題がありますので、テーマの順序については適切に事務局側で検討していただきたいと思います。
 最後ですが、拠点病院における緩和ケアの実態がいまひとつ明らかになっておりませんので、場合によりましたら事務局の方と構成員が手分けして数カ所視察する。この場合、ただ表面的な視察ではなくて、ぜひ現場を見ていただいて御報告いただき、議論につなげていただければと思います。
 お時間をいただきましてありがとうございました。
○花岡座長 中川構成員、どうもありがとうございました。
 非常に建設的な御意見でございますが、まず議論の進め方についての御提案でございます。1回の集中審議で何とか持っていきたいという御提案もございますが、構成員の先生方のほうでいかがでございましょうか、何か御意見はございますでしょうか。
 どうぞ、前川構成員。
○前川構成員 ここに書いてありますように、1回だと議論が深まります。中川先生がおっしゃったように、3回ですと、前々回は何だったかなというようなことになります。1回で1つの議論をすれば机上の空論にならないというのですか、問題点を浮き彫りにできるので、ぜひこのようにしていただきたいなと思っております。
○花岡座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 1回集中ということも前後つながりがございますので、どうしてもある程度は前後のことが入ってくることはやむを得ないと思いますが、そのような進め方で進めていくほうがいいという御意見が多いということでしょうか。
 どうぞ、池永構成員。
○池永構成員 池永でございます。
 私も中川先生の提案に対して深く賛同し、名前を連ねさせていただいております。今回「緩和ケア推進検討会」を設置していただきました健康局またがん対策室に感謝するとともに、我々としては本当に力強く緩和ケアの推進に向けて提案、協力したいと考えております。したがいまして、中間取りまとめに上げられています実際の身体的苦痛、精神的苦痛の対策について、やはり今の取りまとめだけでは不十分であり、しっかりとそれを評価し、また公表できるような体制まで持っていきたいと思っています。単に目標だけではなくて、目標をきちんと評価できるような形での目標をつくっていただき、緩和ケアの推進に向けて行政側を力強くしっかりとサポートしていきたいと考えております。
 もう一つ、緩和ケアセンターについての構想は大変前向きな意見をいただいておりますが、まだ多くの拠点病院においてはどういう形になるかさまざまなお考えがあります。そこをしっかりと具体的に、また施設の先生方とも意見を交わしながら具体的に進められるような形で議論したいと考えておりますので、提案させていただきました。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 どうぞ、小松構成員。
○小松構成員 1回1議題という集中的に終わらせていく方法は賛成でございます。特に具体的なことを話していく上で、「議論の進め方」のところにありますように、事前に私どもがそれぞれの意見を知り得た上でどういう方向性で検討会に臨むかという部分がすごく重要でして、今回も事務局のほうで私たちのいろいろな意見の優先度等をまとめてくださっていることもとても効果的だと思いますので、そこが肝になるのかなと思っております。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 事前にある程度の議論を踏まえた上でのまとめが出てくれば効率的にできるというような御意見でございます。
 松月構成員。
○松月構成員 私も1回で集中議論をするという進め方には賛成でございます。そう申しますのは、ここに書いてありますように、事前にまとめをしていただいて、内容を構成員が共有した上で検討会に臨むのは、論点の絞り込みがきちんとでき、次に私たちはここで自分の立場で一体何を発言すればいいのかということが非常に明確でわかりやすいと思うからです。
 それと、やはり私たち看護師から見ますと、地域に多くのがんの患者さんがいらっしゃいますが、まだまだそこまでは緩和ケアが届いていないところがありますので、そういうことも含めて議論できたらという思いがございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 事務局のほうはどのような形になりますでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 いただきました提案、構成員の皆様方で進め方について同意をなされるということであれば、また座長と進め方について打ち合わせをさせていただいて、進めさせていただきたいと考えております。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 それでは、基本的には中川構成員の御提案を踏まえ、事務局との相談の上、議論を持ちたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それとともに議論のテーマ案についてでございます。非常に建設的なテーマをたくさん上げていただきましたが、テーマ案につきまして構成員の先生方の御意見はございますでしょうか。
 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 ありがとうございます、松本でございます。
 一番私たちが急いで考えなければいけないのは、どう順番を組み立てるのかということだと思います。どれが優先されるのかを考えていく。これはどれもとても大事なことだとは思いますけれども、お尻が決まっているわけですので、まず優先度を早急に事務局と会長との間で決めていただきたいと思っております。
 もう一つ申し上げたいのは、在宅緩和ケアのことでございます。在宅緩和ケアにつきましては別のところでの事業も動いていることを知っておりますけれども、ほかの局の事業であることもあって、そのことがなかなか共有されていないということもありますけれども、そのあたりを整理すること。それから、もともと「がん対策推進協議会」の中で在宅についての協議がやや薄かったのかなということを私も委員の1人として少し反省も込めて思っておりますので、在宅のことについてはぜひ時間をとって協議をいただく場をお願いしたいと思っております。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 どうぞ、中川構成員。
○中川構成員 繰り返しになるかもしれませんが、緩和ケアセンターは既に予算要求しているもので、これをきちんと説明できるようにしておかなければいけないということが一つ。
 それから、近々に開催が始まると伺っていますがん診療体制に関するあり方委員会の中で拠点病院の要件が議論されていきます。その中でこの検討会で決められた提案がきっちり受け入れられるようにしていただく必要があるという点では、その部分も少し早目に見る必要があるのかなと。あとは来年度の予算要求、予算編成との兼ね合いになると思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 池永構成員、どうぞ。
○池永構成員 私も同じように考えております。緩和ケアセンターの件、また拠点病院の指定要件についてはしっかりとここで議論して、我々の意見を取りまとめて公表することを急いで進めていかないといけないと思っております。今回検討会では中間取りまとめという大きな形で出ておりますが、一つ一つのテーマについて急ぐものから取りまとめて公表していくというようなことで進めていただけたらと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 事務局でも「緩和ケア推進検討委員会」の意見を今度できる拠点病院のあり方検討委員会のほうに申し入れてくださいというような御意見もございますが、そのようなことを踏まえてこの検討会の意見を表に出すことが大切になってくると思います。
 ほかによろしゅうございますか。
 いろいろ御意見がございますので、このようなテーマ、特に終末期医療や医学部教育なども非常に難しい問題でございますが、これは座長の預かりといたしまして、事務局とも御相談の上、取り計らっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 では、先ほどの論点に戻りまして検討を進めたいと思います。本日は院内における専門的緩和ケアへのアクセスの改善、また地域における切れ目のない連携体制について、お2人から現状や課題、好事例の紹介といった形でヒアリングを行いたいと思います。
 まず木澤構成員から院内における専門的緩和ケアへのアクセスの改善に関しましてヒアリングを行いますので、よろしくお願い申し上げます。
○木澤構成員 ありがとうございます。
 資料5をごらんください。非常に大きな字で、裏表でつくってございます。
 まず表のほうが緩和ケアチームへのアクセス、特に院内に関して緩和ケアチームへのアクセスの問題点を上げてありまして、後ろは改善のためにどうしたらいいかという試案をつくってまいりましたので、一つずつ御説明をさせていただきます。
 緩和ケアチームへのアクセスがうまくいっていないという声でよく聞く問題点を3つ上げさせていただきました。
 1つ目、緩和ケアチームに適切な人材が配置されておらず、信用できないと書いたのですが、要は経緯を見ても、2007年にがん対策推進基本計画に伴って緩和ケアチームが整備されるまで、全国には非常に少ない数の緩和ケアチームしかなかったわけでございます。50前後と言われているのですけれども、それが2007年をもって一気に数百という数にふえ、急増された緩和ケアチームというのがやはり現状だったのではないかと思います。もちろんそれから徐々に整備をされてきているのですが、例えばきのうまでは違う科の医師をしていた人が緩和ケアチームの専従の医師に望んでいないけれどもなるというケースがまだまだたくさんある状況です。そうなると緩和ケアチームにわざわざ頼んでみたけれども苦痛が全然よくならないであるとか、かえって医師・患者関係が悪くなるというようなことを聞くことがあります。ですので、ここは大きな問題点であろうと思います。チームに頼んでも自分でするのと変わらない、もしくは悪くなることがある。
 2つ目です。これも似ていますけれども、緩和ケアチームに依頼して診療してもらったが、苦痛がとれない。こちらに関しては疼痛治療についてもそうですけれども、痛いと患者さんが訴えられて、実際には何もされていないというケースはほとんどなく、多くの場合何らかの対処がされているのですが、その対処が適切でない、もしくはガイドラインとかはいろいろ出ているのですけれども、準拠して行っても苦痛がとれにくい場合があると思っています。ガイドラインは整備されつつあるのですけれども、ガイドラインに書かれているおのおのの推奨の根拠が不十分でありまして、準拠しても苦痛がとれるとは限らないということで、これに関してはさらに薬物療法及びケア等の研究を推進し、ガイドラインの質を上げていく必要があると思います。
 3つ目です。医師以外のメディカルスタッフが相談できない、もしくは患者さんが直接アクセスできないという問題点です。これに関しては、患者さんはつらい状態で、院内のスタッフ、例えば看護師さんたちは悩んでいるのだけれども、医師は余り困っていないということは結構目にしますし、耳にすることがあります。この状態を何とか改善していける方法を考えなければいけない。
 この3点が現状起こっている主たる問題点だろうと把握しております。
 この問題点を改善するためにどうしたらいいかということを少し考えてみました。
 1つ目です。例えば緩和ケアチームに専従の医師を置くと拠点病院の要件に書いても、それがすぐに実現できるわけではないですし、そんなにスキルのある医師が急に世の中にできると思えないので、一つは地域全体で優秀な人材をシェアするという考え方があるかと思います。これは欧米等で例えば1人のコンサルタント医師が複数の病院や在宅及びホスピスを兼任していることがよくあります。これはNHS【英国】などは国が医師を雇っていますので割と自由になりますが、日本の医療制度の中ではそういうわけにはいかないとは思いますけれども、大学病院の医師や拠点病院の医師が週1回拠点病院の外来診療と回診を担当し、50例とか100例未満だったコンサルテーション数が200を超えるようになったとか、そういうような例は複数存じ上げています。また、中には診療所の先生が拠点病院でカンファレンスに参加したり、診療に参加されているという例も聞いております。なので、もし院内でリソースを確保することが難しければ、外の先生方のリソースを利用してでもチームの診療の質を高めていくというのが一つの解決方法ではないかと考えています。
 2つ目、3つ目は要はアクセスをよくする方略です。2つ目は、緩和ケアチームの看護師さんを例えば腫瘍医、オンコロジストの外来や化学療法室等に配置してしまうという方法です。簡単に言うと、オンコロジストの今の外来の現状を見ると、うずたかくカルテが積まれて、難しいコミュニケーションまたは非常につらい状況にある患者さんの診療を短時間で多数こなさなければならない状況にあります。医師も、また家族・患者さんもつらい状況に実はあって、例えばこれは頼んだほうがいいかもしれないけれども、ちょっと面倒くさいなと思われたときに1つ手をかけられたり、待ち時間を使って今の生活で困られていることとかつらさをスクリーニングして対応できる、もしくはそこで対応できない問題はそこで看護師さんが実際に先生に対してコンサルテーションを勧めるというような介入をすることで専門的緩和ケアのアクセスを上げられるのではないかという考え方です。これも複数の病院で認定看護師さんや専門看護師さんたちがオンコロジストの外来の支援をしてコンサルテーションにつながっているということは非常によく耳にします。
 3つ目です。これは病棟や診療科にその病棟の緩和ケアの担当者、外来の担当者、医師や看護師を置いて、学習会等を定期的に行って、困難ケースや、『あ、こんなものも依頼していいのだ』と緩和ケアチームの利便性に気づいていただいて、ケースを依頼しやすくするという介入であります。
 4つ目は、医師以外からのコンサルテーションを受けるシステムをつくるということです。これは例えばどういう工夫かといいますと、コンサルテーション診療は通常は医師から依頼があって進むものなのですけれども、ある病院では看護師さんや薬剤師さんが苦痛に気づいたときにチームに自由にアクセスできるようになっていて、それに関しては診療なしで相談を受けるのだけであればだれでも相談ができ、診療が必要なときはチームが主治医に連絡した上で診療してよいというようなことを病院がルールとして決めておくということです。病院長などが強いイニシアティブを発揮してこのような制度を実施するとアクセスがよくなることが事例としてはみられておりますので、医師以外の職種からのコンサルテーションに対して対応できるような仕組みを院内挙げてつくっていくのがもう一つの解決方法かと思います。
 最後は、先ほど申し上げました診療したけれども苦痛がとれないということへの対策ですが、研究をさらに推進することでガイドラインの一つ一つの文章、文言、推奨の質を上げていく努力が必要だと思います。
 以上です。○花岡座長 どうもありがとうございました。
 以上の木澤構成員の御発言に対しまして、何か御質問等はございますでしょうか。
 細川構成員。
○細川構成員 木澤構成員、どうもありがとうございました。
 挙げられた問題点に関しましてはまことにそのとおりだと思います。実際に関西でも緩和ケアチームがアチコチにたくさんできたときに、突然緩和ケアチーム員になれと指名されたのだけれども何をしていいかわからないのですというような連絡が私のところに数多くありました。ただ、その先生方も緩和ケア研修を受け、指導者研修を受けなどしてる間に結構継続されてやられている方ではそれなりにレベルが上がってきています。今はまだ過渡期であるかなと考えています。
 もう一点は、「改善のための方策」のところの2、3、4の部分なのですけれども、先ほど事務局のほうから院内の緩和ケアを統括する組織の位置づけを明確にするという形で緩和ケア委員会等の設置という御提案がございましたけれども、実は京都府立医科大学に設置されている疼痛緩和医療部がこの緩和ケア委員会に相当すると思います。この疼痛緩和医療部の中に現場の緩和ケアチーム員が入っています。木澤構成員が2番目に書かれました緩和ケアチームの看護師をオンコロジーの外来とかケモのところに配置するというのは、緩和ケアチームの看護師そのものの仕事が飽和状態なのでなかなか厳しいのですけれども、逆にもともと腫瘍外来とか化学療法外来におられる看護師や医師をこの疼痛緩和医療部、提案では緩和ケア委員会ですが、それに皆入ってもらうという形でがん関連の職種を全部つなぐ組織を作るというやり方ならそれほど緩和ケアチーム員に負担をかけずにできるのではないかと考えます。
 もう一つの3番目のリンクナース、リンクドクターが重要というのは全くその通りでございまして、京都府立医科大学も各病棟に平均3人くらいのリンクナースをすでに設けております。4番目の御提案ともつながるのですけれども、こういうシステムを構築しておくと、ナースからのコンサルテーションのほうが医師からより実は多くなっています。同時に、病棟を回っていらっしゃいます薬剤師さんたち、今、ほとんど病棟へはがん患者関係でも回っておられますので、その方たちも緩和医療部もしくは緩和ケアチームに配属しておきますと、薬剤師からの相談という形も緩和ケアの受け皿として十分機能します。名称は事務局からの提案であります緩和ケア委員会でいいと思いますし、違ってもいいのですがこれに相当するようなものを緩和ケアチームを包含して、がん関連すべての職種をつなぐような形でつくっていただくと、ご指摘の3つの問題についてはかなり改善できるのではないかと考えます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。
 木澤構成員の御提案は大変いいと思います。特に私たちが感じておりますのは、患者がつらいと思ったときに、それを専門家に直接訴えることができない今のシステム、これは心情的なこともありますし、システム上の問題もあると思いますので、これが解消されるということは私たちがとても強く望んでいることです。
 「改善のための方策」の4番目に看護師等からのコンサルテーションに対して行える仕組みをつくるということを上げていただいておりますけれども、「看護師等」というところも大事だと思っております。もちろん看護師さんたちがとても拾い上げてくださるのは大事なのですけれども、窓口というか、場所はたくさんあったほうがよくて、看護師、薬剤師、MSW、臨床心理士、あらゆる職種が緩和ケアチームにアクセスできることがとても大事だと思っております。そういう点で事務局が上げてくださっています平日日中緩和ケアチームに常にアクセスできる環境を整えるというところが恐らく受け口になってくるのだろうと思いますので、これをできるだけ具体化していくためにこの場で議論をしていただければと思っております。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかには。
 池永構成員、どうぞ。
○池永構成員 木澤先生の御提案に賛同いたしますが、もう一つ我々として非常に気になっている点は、いわゆるチームでかかわるということに対してのバリアといいますか、我々の施設では緩和ケア病棟もある程度人材は配置されているのですが、やはり現在、主治医と患者・家族との関係の中にうまく入り切れないということ、また緩和ケアチームがかかわることで主治医は何か評価されていたり、治療の横やりを受けるのではないかという抵抗感もあります。いわゆるチームで患者・家族をサポートするという考え方といいますか、思想といいますか、主治医と患者だけではなく、また時には病棟看護師と患者だけではなくてチームでかかわるという考え方をもう少し普及していくようなことも、アクセスを改善する上では大事であると個人的には考えております。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでございますか。
 松月構成員。
○松月構成員 木澤先生の御提案は、本当に日常私ががんに深くかかわっていない看護管理者として仕事をしていたときに感じていたものを、そのまま表現していただきました。本当にありがとうございました。
 私が常々思っているのは、「改善のための方策」の1番として、緩和ケアチームに信頼できる医師を招請するということです。そのような医師がいると患者や他職種とのアクセスが非常によくなります。病院が県の拠点病院ではなく、例えば地方の自治体が指定している拠点病院も同じような状況だと思います。私もそのようなところで仕事をしてきましたが、院内のスタッフだけで(医師、看護師も含め)緩和ケア、苦痛の緩和を実践してみても限界があるのです。  
私は常に、院外にいらっしゃる緩和ケアに関してすばらしいノウハウや知恵を持った医師と、日常的に相談や指導してもらえるような環境が欲しいと思っておりました。ですので、痛みをとるための方法論について全国ネットワークでもつくっていただき、この専門性の高い医師には、県内の緩和ケアの相談をうけていただくような、24時間とは言いませんが、月曜から金曜までの間に院内で困った事例や、もうこれ以上無理というような状況になったときに、相談できるような「しくみ」があるといいなと常々思っておりました。そういうことも含めて具体的に、何のためにアクセスするのか、何のためにそういうチームをつくるのかというねらいを明確にして、考えていただけるとうれしいと思っております。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 小松構成員、どうぞ。
○小松構成員 木澤先生、本当にありがとうございました。リアルな問題点ということで出していただきましたが、難しい問題点の一つとして、やはり外来での緩和ケアチームの位置づけが非常に難しくて、そこをつなぐ人、あるいは松本構成員がおっしゃったような窓口がないとなかなかチームとつながっていかないところがあるのかなと私は思っています。特に外来で例えば進行がんの患者さんなどをフォローアップしていくときは、通院しながらのケアでございますので、その方がどこにつながるかというと、緩和ケアチームですと、そこに専従している看護師がうまくフォローアップをしていけばいいのですけれども、これはかなりその看護師の力量とか努力でやっていくしかないという細い糸なのです。だからそこのシステムをきちんとどうつくるかということと、もしもそうするならば看護師は緩和ケアチームの中で複数体制のような形にしませんと全体的に網羅が難しいのではないかなと思います。今回は外来の診断時からの緩和ケアにかなり力を入れていますので、そこの部分も考えていく必要があるだろうということがあります。
 そういう意味で方策の部分で緩和ケアチームの看護師を化学療法等に配置することは非常に効果を上げていると思いますが、一方でルーチンワークがありますので、そのはざまが非常に個人的な看護師の肩にかかっていると私は常々思っていて、それも複数体制等々を考えませんとうまく機能しないだろうということ。一方で、今、いる緩和ケアチームの認定看護師や専門看護師にそれを委ねるのか、あるいはずっと私も言っておりますような外来あるいは治療期のところと結んでいくコーディネーションができる看護師、今回の事務局のほうからも出されているようなチームの中の連携をうまくつないでいく人をつくっていくことは研修や事業等でやってく必要があるのではないか。それをうまく使って、委員会にそれに巻き込んでいくとか、あるいは窓口をつくっていくことが必要かなと思っています。とてもリアルなところの問題点と改善策を御提示いただいたと思います。
○花岡座長 田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 木澤先生、ありがとうございます。まさに現実だろうなと私も思って読ませていただきました。
 私も今、小松先生がおっしゃったものと重なるのですけれども、例えば院外の患者さん自身とか御家族から、緩和がなされていないので、当院へ緩和を求めての相談があるのですが、実際にはそこには緩和ケアチームがあって、しかし退院後にはつなぎにくい。入院中に緩和ケアチームがかかわっていないような場合、なかなか緩和ケアチームがあってもそこに帰っていけないというか、新たにつながっていけない現状が、外来ではあるのだなと思います。
 もう一つが、やはり入院中の方を看護師さんがつないであげたいと思っても、先生が必要とされないのでつながらないとかいったときに、つなぎの部分をチームと細川先生がおっしゃったような緩和ケア委員会というような組織をある意味教育的に、そのチームのあり方に対して意見とか何かをできるような組織としてつくったほうが、つなぐコーディネーションという意味では動く上ではいいのかなと。複雑になり過ぎるのはよくないのですが、今は何かチームを整えていくという部分と、つなぎやすくするというところで何かもう一つの機能がないと、みんな意識を変えたいと思ってもうまくつながっていかないという現状があるのかなとも思います。その辺の御意見はどうでしょうか、皆さん、お教えください。
○花岡座長 ありがとうございます。
 木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 今、聞いていて1つだけ思ったことがあるのですけれども、緩和ケアチームのアクセスを改善するのに、平日日中はいつでもアクセスできるようにすると事務局から御提案いただいているのですけれども、恐らく今の内容を聞いていると、院内でも外来でも平日日中はいつでもアクセスできるようにするというふうに文言を入れて、必ずつながって診療できる体制をとるということを加えるべきだろうと思います。
 以上です。
○花岡座長 加賀谷構成員、どうぞ。
○加賀谷構成員 木澤先生に非常にいい提案をしていただきまして、ありがとうございます。
 先ほど来出ています、松本構成員からも話がありましたように、チームというのは患者さんの側から見るとなかなか構成要員が見えない。医師、看護師は大体想像がつくと思うのですけれども、薬剤師ですとかMSWとかいう構成員をある程度具体的に出していただいたほうが、患者さんはなかなか医師、看護師に話せないようなことを薬剤師に話すことが随分ふえてきていますし、化学療法においても大分そういうことで薬剤師は説明等でかかわっていますので、具体的な職種をもっと患者さんのほうに顕在化させていく必要があるのではないかと私は思いますので、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 確かに構成員、チームがどんなものかというのは一般の方は御存じございませんし、お医者さん、看護師さんはよくわかりますが、その他の方々はどんな方がおられるかという周知も非常に大切なことだと感じております。
 前川構成員、どうぞ。
○前川構成員 ありがとうございます。
 今、松本構成員や田村構成員のおっしゃること、医療現場での問題点は本当になるほどなと思って聞いておりました。
 患者は緩和ケアチームという名前も知らない、緩和ケアチームの存在すら知りません。だからこの痛みを何とかしてくれるチームがあるということを本当に知らないのです。どこにも書いていないと思います。それを患者の立場からでもアクセスできる、ここに書いてあるのはいろいろな医師とか看護師からのアクセスとなっていますけれども、患者自身から医師に、私は緩和ケアチームに診ていただきたいと言えるアクセス方法もあっていいのではないかと思います。
 それと、アクセスもなのですけれども、言葉はちょっときついのですけれども、幽霊緩和ケアチームといいますか、名前だけで実際には稼働していないところもあると思います。そこには本当にアクセスのしようがないと私は思われます。中川先生がおっしゃった提案の最後のところに数カ所比較して行ってみる、拠点病院の実態を見ようというふうにしないと、幽霊緩和ケアチームが見えてこないのではないか。実態調査は、今、ここでいろいろなことを話していますけれども、これはあくまでも机上の空論です。ここに来ていらっしゃる先生方はすばらしくいろいろなことをされているところの病院の先生方で、何もしていないところの先生方はここにいらっしゃらないので実態が見えないということでございます。実態調査のことをよろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。すばらしい御意見でございます。確かに患者さんから見ると緩和ケアチームそのものも名前がわからないし、ましてや構成員などはもっともっとわからないと思いますので、その辺の周知は非常に大切だと感じます。
 中川構成員、どうぞ。
○中川構成員 木澤先生の御提案は非常に現場感覚があってすばらしいと思いましたが、その中で方策の2番目、ナースがオンコロジーの外来とか化学療法室、この考え方は非常に正しいと思うのです。ただ、御意見があったように、現実的にナースがそこに行けない、あるいはそもそも診療報酬上専従という縛りがあって、なかなか行けないこともあります。一方、前回の「がん対策推進協議会」の中で佐賀県立病院好生館の相談支援センターの大石さんが非常に先進的、先駆的な取り組みをされている。その中でやはりうまくいっている理由の一つが、緩和ケアチームあるいは化学療法外来等あるいはオンコロジーの外来との連携ということで、私は非常に重要なことだと思うのです。この部分の機能、実際に行って仕事をするかどうかはともかくとして、がんを支えるさまざまなパートが串刺しにされて横につながるのは非常に重要だと思います。
 ただし、それをやるために、今、小松構成員がおっしゃいましたが、1人のナースがそこまでやることでそもそも専従と言えるかという問題もありますし、私は言えるのだと、専従上の定義としては許されると思っていますが、しかし一方で過度な労働になってしまうことは間違いないです。ですので、複数体制が必要かどうかわかりません、しかし専従のナース1人だけが全てのことをやっていくことは難しくて、専任のナースが一定の評価の上、加わるという体制がとれることが非常に重要かなと。実際私どもでも担当の専従ナースが鬱病になってリタイアしという経験をしたことがあります。これはものすごく影響が出ます。したがって、組織の中の連携とともに、専従ナースとともに、例えば専任のナースを加えることも議論していいかなと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 この件につきましての具体的なアクセスの議論は後ほどまた時間をとっておりますので、続きまして森田参考人から地域における切れ目のない連携体制についてのヒアリングを行いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○森田参考人 森田です。
 では、10分くらいでということなのでお話しさせていただきます。資料が4枚くらいありますけれども、1枚目が大体サマリーになっています。ほかは図です。上から順番に御説明をしたいと思います。
 最初に皆さんに内容を目で見ていただいて、全体の枠組みを簡単にお話しするのですけれども、きょうはOPTIM研究という結果のまとめを持ってきたのですが、そもそもこれは2007年にPEACEプロジェクトとかオレンジバルーンとかが始まったのと同列で始まったプロジェクトでございまして、その当時は政策研究と言われていて、戦略研究で出てきた結果、内容などをその都度がん室にフィードバックしていくというもとに策定されました。ただ、その後、残念な経過で担当者が変わられたせいかほとんど連携がなくなってきて、きょうここで皆さんがお話しされていた内容もほとんど私たちはデータとして仕上がっていることが多くて、これについてはこうこうこういうデータがありますというのは別途まとまっていることも多いので、その一部をきょう持ってきたというお話が一つです。
 2つ目は、がん対策ということではなくて、OPTIMプロジェクトは地域連携でしたので、現在、ほかの委員がお話しされたと思いますが、6次医療計画とか在宅医療推進事業とかに盛り込まれているOPUTIMの知見は非常に多いので、特に地域連携についてはがん室と在宅医療部との間で連携をして何かプロジェクトを立てていかないと、地域にとっては2本立てでプロジェクトが走るのだけれども、がんはがん、それ以外はそれ以外となってしまうことを懸念しているということを2つお話しします。
 では、内容のお話をさせていただきます。
 「全体の知見」のところからですが、これは地域全体で緩和ケアプログラムをやったということです。すごく簡単に言うと、今、まさに話されている地域緩和ケアセンターを全国4地域につくって、想定されているような介入をやって、実際に地域全体がどう動くかというアウトカムもとって、そのプロセスも評価がし終わっているという概要になります。
 その結果が図1の上でございまして、自宅死亡の増加であるとか緩和サービスの増加というものが見られている。ちょっとややこしい話は抜きますが、定量的に患者さんとか御遺族とかのアウトカムもよくなっているのですが、一番大きいのは連携の困難感といいますか、ネットワーク機能の改善が数字的に確認されているというのが1点。
 その次の行ですけれども、図1の下はいろいろやったわけですが、そのうちのどれが一番よかったのかということです。図2の上を見ていただくと、イギリスからオーストラリアから各国で地域の緩和ケアプログラムはもういろいろ実証されてきたのです。個々のプログラムは大体啓発であるとか教育であるとか専門サービスとかいうことになってくるわけですが、振り返ってどれか1つ何が一番よかったかということになると、ネットワーキングをどれだけ向上させるかということが非常によかった。先ほども話が幾つかあったと思うのです。地域の中の緩和ケアの専門家がいまいちな場合に、ほかの施設の専門家がアベイラブルな状態になってネットワーキングされていれば、それで地域全体とすると片がつく、そのようなネットワーキング構築をしていくことが非常に重要であることがわかったということです。
 その下ですが、ネットワーキングをやるためのOPTIMize strategyと今、私たちはまとめていますが、内容の手引とか、こういう手順でやりましょうとか、ここら辺は大事とか、こういうことをやっていくとその後地域の中で問題になり得ますよというような手引書とか手順書を今、まとめ終わったところです。資料の中にタイトルは入っているのですが、きょうは資料が多いということで割愛されたので、資料はきょう手元にはありません。
 ネットワーキングが大事だというのは、図2の下のところなのですが、現場のネットワーキングになるだけではなくて、今、幾つか御意見があったのですが、現場のことがわからない、現場のことがわからないとよく出てくるわけです。特に地域という対象になるとどこで何が行われているかわからないというときに、関係者が一遍にリアルタイムでこの地域で起きている問題を共有するための枠組みとしても使うことができると非常によく思いました。区とか小さい単位でマルチディシプリナリー(多職種)でこの地域の問題は何でしょうみたいなカンファレンスを行うのです。それもノウハウがあって、ただマイクを持った審議会にしたら大体福祉系のことは気兼ねして意見を言えないことが多いので、模造紙にして附箋につくって匿名にして書くとか、ファシリテーションするようなラインをつくる。そこにステークホルダーの人が参加していただく。ステークホルダーの人は肩書がついてきてしまうと何とか省は何をやっているのですかみたいな感じになってしまうので、肩書なしで参加してもらうと、こんなことが現場では問題になっているんだということが比較的短時間にリアルタイムに多くの人に吸収される。そうするとそれを持ち帰って、各自のものが解消できる。例えば介護保険なら介護保険の問題を解消するとか、そういうものを全国につくって、同時にそのデータを全部集めると、今、データマイニングという手法がありますから、それで全国各地で起きていることをリアルタイムでシェアしながら政策も考えられるというあたりくらいまでを考えています。
 本文のほうに戻っていただいて、それをやった結果に基づいて今の緩和ケアの課題とかインプリケーション、ポリシーインプリケーションといいますが、市町村はこれをやったほうがいい、都道府県はこれをやったほうがいい、国はこれをやったほうがいいというまとめをやっています。
 次の2のところに移らせていただきますが、きょうは特に話題が緩和ケアへのアクセスをという点だったので、地域緩和ケアチームの実働について経験があるので持ってきました。図3の上ですが、これはOPTIMプロジェクト中の地域緩和ケアチームを全国4地域につくったのです。4地域3年間で500件くらいの活動がある。これはある程度ニードがあるのはもともとわかっているし、サーベイランス結果もあるのでいいのですが、皆さんに注目してほしいのは依頼経路です。依頼経路を見ると、何かを電話したついでであるとか、あるいは患者さんごとのメーリングリストをつくって、そこで出会ったついでであるとか、あるいはミーティングのときにちょこちょこと会うからそのときについでにというような何かついでを介した依頼がほとんどなのです。逆に、地域緩和ケアチームをつくりました、はい、あしたから依頼が来ますというふうになるわけではない。だからネットワーキングがまず基盤にあって、ネットワーキングがないところにどんな制度とかどういうような仕組みを持っていっても余りうまくいかないのだろうというのが地域緩和ケアチームの結果からも言えるわけで、同様の結果はほかの国からも出ているということです。これが一応図3の上です。
 図3の下はそのプロセス研究ということで、インタビューして、そういうネットワーキングができるためにはどういうことがきっかけになったかというと、地域単位での多職種でのグループワークをするのがよかったですよとおっしゃった人が多かったとか、ミーティングの後、ちょっと話し合うのが多かった。そうすると右に書いてあるみたいに、相手の人となりがわかることで敷居が下がって、ちょっと頼みやすくなったり、あるいは逆のパターンもあって、この人とは反りが合わないのでこの人には頼まないんだけれども、別のルートの人を頼むようになってくるから患者さんにとっては困らなくなってくるとか、そういうネットワーキングの形態ができていくことが非常に興味深いなと思いました。
 以上が1と2のOPTIMの知見です。
 例えばそういうものを政策上の要点にどういうふうにまとめているかというと、その下に3段表がありますが、地域全体の人たちが緩和ケアにアクセスできるにはどうすればよいかという疑問を立てて、そのためにはどんな機能が必要で、その機能を達成するためには必ず行うべきこと、できれば行ったほうがいいこと、行うべきではないことというまとめ方の表を課題ごとに全てつくり終わっているような段階になります。
 地域緩和ケアチームについていうと、ネットワークの改善でその地域の誰かしらの緩和ケアチームにアクセスできるような人の数、絶対数をふやすのがまず一つは最低限だと思います。やってみるとわかるのは、こんなこともないんだというくらいネットワークがない地域がやはり多いと思います。そのネットワークの土台はがん診療病院からいくのは厳しい場合が多くて、ほかの事業との整合性を持ったネットワーキングづくりのほうがいいのではないかなと思います。
 2のほうは、そうはいっても網から漏れる方たちがいるので、3次救急のようにこの地域についてはここが最終的に最後のとりでになりますという地域緩和ケアチームをつくる、設定する。あるいは地域緩和ケアチーム群をつくった地域もあります。緩和ケアホットラインみたいなものです。そういうふうな最後のとりでみたいなものをつくっておくのですが、そこにどんどん来るというふうになるよりは、大抵はつくられたネットワーク内でいろいろ解消されていくということを思っています。
 以上、簡単に言うとそんな感じです。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの森田参考人の御意見に対しての御質問等はございますでしょうか。
 どうぞ、松月構成員。
○松月構成員 非常に機を得た内容でありがとうございました。
 気になったのが、この地域のネットワークの絶対数をふやすための方法ですが、ほかのテーマなどから入ることも大事ではないかと思います。例えばがんや救命救急というテーマ別だけでなく、地域の医師会との話し合いのような組織を活用して、もう少し地域のネットワークをつくるようなかかわりを持つことが効果的ではないかと思いますが。
○森田参考人 事業主体ですね。地域緩和ケアセンターを始めていくとしたら、そのマネジメントの方法にもよると思うのですが、私たちはマネジメントプロセスの研究もしました。例えばどこが主体となってどういうふうにマネジメントするとそこの連携は進みやすくて、どこがマネジメントしてどういうふうにすると進みにくいかということです。やはりがんという切り口から入っていくと、逆に私たちは関係がないという部類になる場合も多いので、役割上、医師会であるとか、できれば行政が深くコミットされている地域のほうがマネジメントはしやすいです。
 ただ、興味深い結果は、きょうは地域別の結果を出さなかったのですが、マネジメントがしにくくてもしやすくてもアウトカムは同じように変わります。つまり例えば大学がイニシアチブをとったりするとマネジメントはちょっと大変になるわけですが、でも同じ回数同じようなことをすると、そこに参加している人たちのネットワーキング量は同じように増加するという観察は行いました。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかには。
 岩瀬構成員、どうぞ。
○岩瀬構成員 森田先生に質問なのですが、各地域によってネットワークを構築する場合に中心となるべき組織が違うことのほうが多くて、今の緩和ケアセンター構想で拠点病院がなるのは地域によっては無理が出てくるという結果があるという解釈でよろしいでしょうか。
○森田参考人 そう思います。報告書上も書かれてあるのでいいと思うのですが、特にがんに特化した専門病院がなる場合は、どちらかというと地域から求められているのはがん医療や緩和医療に関する専門的なところのサポートが多くて、ネットワークづくりはむしろ私たちのほうで基盤となってやるのでというパターンも多いと思います。もっと簡単に言うと、例えば医師会であるとか市立病院がもう密に動いているのであれば、そこがネットワークづくりの基盤はやる。そこにがん患者の症状緩和のことが生じてきたら、そのときの相談役として加わるというのですか、そういう組織形態のほうがやりやすい。ただ、そうした場合はネットワークの大きい基盤があって、地域包括ケアとかもそうだと思うのですが、地域包括ケアみたいな大きな基盤があって、認知症、ほかの疾患のときはこう、がんのときはこうという切り口になるのではないでしょうか。
○花岡座長 どうぞ。
○岩瀬構成員 今、検討会はがん拠点病院を中心に切れ目のない緩和ケアを提供する具体的な施策を考えていて、各構成員もそういった前提で議論していると思うので、森田先生の報告は根本的な問題に触れているように私は思うのですけれども、森田先生の御経験から、今、医師会とかいうお話もありましたけれども、拠点病院以外で一体どうやって全国を統制したらいいのか、そこまで前向きといいますか、建設的なことを教えていただかないと議論が進められないと思いますので、もう少し詳しくそこのところを教えていただきたいと思います。
○花岡座長 森田先生、いかがでございましょうか。
○森田参考人 OPTIMの知見からではなくて、今後の意見とかでよろしいですか。
○花岡座長 結構です、どうぞ。
○森田参考人 私もこれに詳しくはないのですが、6次医療計画とか地域包括ケアをだんだん進めていく方針なのですよ。ここにいらっしゃる方がどれくらい基盤の知識を持っていらっしゃるかわからないですが、持っていらっしゃるのですか。
○花岡座長 余りないと思います。
○森田参考人 それは私が説明するのも適切ではないと思うのですが、老健局の人は来ていないですかね。老健局の人が一番詳しいのではないでしょうか。
 私の単純な理解で、これは間違っているかもしれませんけれども、今、介護と医療が分かれていますが、3、4年以内くらいをめどにそれをなるべく集中して小さい単位にして、その中で地域包括ケアという一端で地域連携とかネットワークをつくっていくという話だと思うのです。そこで、今、ここで話されている内容が、がんだけ別のことを話しているので、先ほどほかの委員でおっしゃった方がいましたね、だから非常に奇異な感じを受けます。私より詳しい人がいたら追加してください。
○花岡座長 いかがでしょうか。
 田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 私もどこで何を分担していて、それがどんなふうに連携というか、つながりをもって国の全体の保健医療プログラムといいますか、大きな計画になっているのかというところに十分理解がないので、そこのところがどうなのかなと根底では思いながら、どこで伺うといいのかなと思うのです。それこそお伺いしていいのかわからないのですが、局長様が出ていらっしゃるので、今の計画のところで、要するに地域パッチワーク構想みたいな中で、がんをどこに位置づけてやっていくのか。例えば認知症のプログラムなども今、動いているというところが福祉の立場では押さえているのですけれども、その辺についてはどうでしょうか。少しお教えいただけたらありがたく思います。
○花岡座長 いかがでございましょうか。
○がん対策・健康増進課長 どういうふうにネットワークをつくっていくかというのはまさにここで御議論いただく内容ですけれども、それは別にがん独自でつくろうとかいうことを目指しているわけではなくて、今までお話がありましたけれども、そもそも医療計画で5疾病5事業も含めて基本的な、それも個別ではなくて地域でどういうネットワークをつくっているかというところに、例えばがん診療拠点病院とそれぞれの地域の医療機関とか在宅の医療機関のネットワークがどういうふうに乗っていくかとか絡んでいくかというような観点で御議論いただければいいと思います。そういう地域もありますし、全くないところではある程度考えていかなければいけないとか、いろいろな考え方があるのだと思います。
○花岡座長 どうぞ。
○健康局長 皆さん方の御議論の参考になるかと思うので森田先生に御質問したいのですが、ここでおっしゃっているのは、上からのトップダウンの画一的な方法ではうまくいきませんよということですね。全国一律の方法でやるより、むしろ地域の中で地域の実情に合わせてやっていくほうがいいのですよとおっしゃったのでしょうか。
○森田参考人 去年もここに呼ばれて同じことを言ったのですけれども、そのときは向かい側に川越厚先生が座っていらっしゃいました。
 チーム要件もそうだと思うのですけれども、病院の中よりもさらに地域はばらけると思うので、例えば拠点病院要件とかにするのであれば、何とか会を何回やるとかいうやり方ではなくて、この地域にこういう機能があるかどうかを査定する。もしないのであれば、その機能を自分たちががんに関することはやる、ただほかにもそういう機能がもう既にあるのであれば、それは自分たちは手控えておくというやり方をしないと、がん拠点病院から地域ネットワークはつくらなければ、ネットワークが大事なのはみんな合意されていると思うのです。枠組みとして地域緩和ケアセンターの仕事としてネットワーキングの仕事をしますと、各診療所とかケアマネさん、事業所とかに一斉に紙が配られて、ではネットワーキングの集まりをしますよと。片や今度は在宅推進事業とかからまた来ます。そうすると別に来る人たちはがんだけをより分けて見ているわけではないので両方から来て、さらに2倍、3倍になって、そんな事業がふえていくたびに3倍、4倍、5倍、6倍になった。ネットワーク、ネットワークと言われるけれども、おまえたちがネットワークしろよなという感じの話になってしまわないように、地域単位で自分たちは特に例えばがんが弱いのかとか、認知症の部分が弱いのかとかいうレベルで議論をしないとなかなか厳しい。ですから、ここで議論することはそれくらいの幅をもって裁量できるような設定として、機能としたら何が大事かということを議論されたほうがいいのではないのかなという意味合いでございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 松本構成員。
○松本構成員 先ほど森田参考人がおっしゃいましたけれども、地域での老健局扱いのネットワーキングというか、事業のことですけれども、私はその事業に愛媛でかかわらせていただいております。そのことをこの場にいらっしゃる構成員の方々のほとんどがもしかしたら御存じないのかもしれませんので、これがどういう事業で何が地域で進んでいるのかということを1度私たちが共有することはぜひ事務局にお願いしたいと思います。
 その上で森田参考人からの御意見も踏まえてですけれども、事務局から御提案がありましたけれども、地域の診療所や関係者との定期的な協議の場を設置するというような論点案が出ておりますけれども、これをどうしていくのかということをもう一度考え直す必要はもしかしたらあるのではないかと思います。それは先ほど岩瀬構成員がおっしゃったとおりで、根本からもう一度考え直すことがもしかしたら必要になってくるのかもしれないと思います。
 以上です。
○花岡座長 ありがとうございます。
 道永構成員、何か医師会のほうの関係でそういう議論はございますでしょうか。
○道永構成員 非常に難しい問題なのですけれども、今の森田先生の1ページ目の「施策上の要点」の「行うべきではないこと」というところの3番が非常にショックでこのお話をしようと思います。結局どんなものでも必ず拠点病院がつくられて、拠点病院を頭にして各機関病院とか協力病院とかがあって、その下にまた診療所という、いつもそういう3層構造というか、そういうものができています。それがとても患者さんには難しい問題であって、確かに地域包括支援システムは介護のほうではセンターということでよく使われていますね。それを医療とちゃんとドッキングさせようということで、例えば在宅の緩和ケアに関しても、在宅医療をやっている先生方はいっぱいいるのですけれども、もちろんそれはがんだけでなくいろいろな難病とかお子さんで難病の方とか、そういう方を全部在宅医療としてまとめています。そこで緩和ケアだけを取り出してやりましょうというのは難しくて、ネットワークは前から病病連携、病診連携ということで医師会が必ず加わっておりますけれども、がんに関してだけまたこれをやってください、ネットワークしましょうというのははっきり言って難しいです。いろいろな中で必ずネットワークはありますので、その中で医師会が中心となってそういった話し合いの場をつくることは必要だと思います。だから今、森田先生がおっしゃってくださった医師会がコアになってというのは、本当に地区によっては非常にやってくださっている地区もあります。ちょっとお答えにならないかもしれません。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかには。
 岩瀬構成員、どうぞ。
○岩瀬構成員 結局まとめといいますか、お話を聞いて、今、思いましたのは、地域によって事情が違うということだと思いますので、私ども検討会はこれまでどおり緩和ケアセンターに必要な機能を、できれば全てが理想ですけれども、それを上げ、各拠点病院においては既存する機能に関してはもうできているということで、ない機能を実践する。そこでどう融合するかというのは各拠点病院の裁量に任されるわけですけれども、そういったことは指定要件として上げられるだけ上げてやっていくという方向で、これまでと変わりなく機能を議論するということでふぐあいはないと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 それでは、ここでまたもとに戻りまして、最初に申しました院内における専門的緩和ケアへのアクセスの改善というところの具体的な施策案について議論を行いたいと思います。いろいろお話しいただきましてかなり煮詰まってはいると思いますけれども、先生方のほうで具体的な改正案がありましたらお願いしたいと思います。
 後ほど事務局からの指定要件の件もございますが、現在のがん診療拠点病院の指定要件は参考資料6にございますが、それに資料4にございます下に示してございます4つの追加を検討したらどうかということを踏まえて御議論いただければと思います。「平日日中は緩和ケアチームに常にアクセスできる環境を整える」「院内の緩和ケアを統括する組織の位置づけを明確にする」「院内の緩和ケア提供体制の実態把握と評価・改善の仕組みを確保する」また「地域の診療所等の関係者との定期的な協議の場を設置する」というようなことで、これを含めて専門的緩和ケアへのアクセスの改善、また地域における切れ目のない診療体制の確立ということにも入ってくると思います。
 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 順番にいきたいと思うのですけれども、先ほどの議論の中で一番上の緩和ケアチームに常にアクセスできる環境が大事だということは皆さん共通の認識だと思います。これは誰がアクセスできるのかということが問題なのだと思うのです。それが書かれていないのですけれども、担当医だけが今、恐らく緩和ケアチームにアクセスできる状況にあるので、それを変えるということだと私は思っています。そうなると、先ほどありましたように窓口はたくさんあったほうがいいので、看護師、薬剤師、心理職、MSWなど、あらゆる職種と同時に、先ほど前川委員からもありましたけれども、患者・家族自身もアクセスできるということがこれに求められるのかどうか。果たしてそれに対応できるのかという現実も見ていかなければいけないのではないかと思っています。例えば私の地元のある拠点病院は看護職が全く足りずにことし何度も何度も募集をかけていて、それが地元の新聞記事に載るようなありさまです。その中で本当にこういうことができていくのか、それをするために、理想に近づけるために何をすべきなのかということをもう少し具体的に考えていかなければいけないのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○花岡座長 院内でのアクセスはもちろんあるのですが、患者さん自身がアクセスするためにはどういうふうな方法があるのか、それを周知できる方法もあるのかというようなことも含めた御議論でございますけれども、いかがでござましょうか。
 どうぞ、木澤構成員。
○木澤構成員 ありがとうございます。
 非常に重要な問題で、患者さんや御家族が緩和ケアチームに直接アクセスできるようにするかというのは非常に大きな問題だと認識しています。ただ、1つ問題は、直接アクセスするようにしますと、例えば今の主治医の先生との関係性を悪くするというような問題が大きい。特に地方においては医師を選べないという問題もあると認識しています。そういうような状態ですと、かえって患者さんの医療の環境を悪くしてしまうことにもつながりかねないので、まずは医師及び医師以外の医療従事者がアクセスするのが現実的なのではないかと思っています。では、それ以外の相談をどこで受けるかということになると非常に悩ましい問題ではあります。相談支援センター等を利用することになるのかどうするのかわからないですけれども、まずは医療従事者等のアクセスを改善するとしたほうが現実的なのではないかと考えています。文言に「外来、病棟ともに」と入れたほうがいいと思います。そうしないと外来の患者さんのほうはずっとサポートが弱いのが現実なので、「外来、病棟ともにチームにアクセスできる」、もしくは「アクセスできる」ではなくて「直接診療が提供できる」とするかどちらかにするべきだと私は考えています。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 岩瀬構成員、どうぞ。
○岩瀬構成員 今の木澤構成員の意見と半分同じなのですけれども、実際にたくさんの依頼を受けてきた立場としまして、1度主治医からの依頼ではなくて、現場の看護師さん、ラウンド中に患者さんから直接依頼を受けることが経験上あったのですけれども、主治医が知らないということで、直接緩和ケアチームが介入すると治療上のふぐあいが必ず起こってしまうと思います。ですから、主治医が知っているということが前提で、では主治医がそれを認めないとどうなるのかという問題になるのですけれども、緩和ケアを希望する患者さんに緩和ケアを提供しないのはおかしな話で、それは中川構成員もおっしゃっていたとおり、それは見るべき、依頼すべきだということを前提とした指定要件にしていくべきと。どこからもアプローチができるのですけれども、主治医は必ずその介入の中に組み込まれることを考える必要があると思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 細川構成員。
○細川構成員 実は緩和ケアを考える理化するにあたり2つ重要なことがあります。ます一つは緩和ケアでは絶対患者さん主体だということです。
 もう一つは、今の話にもつながりますが、緩和ケアチームは絶対表に出るべきではない、もう裏方に徹することが大事だということです。だからたとえ患者さんから直接緩和ケアチームに依頼があったとしても、その時点ですぐにそのことを主治医に話しにいく。私が若い緩和ケア学んでいある先生方にいつも言っているのは、依頼や指示の変更など、例えば薬物の処方や処方の変更するときなど、どういうことをするときでも、必ず主治医の先生と御相談させていただいて行いますから患者さんや家族には伝えるようにする、つまり絶対緩和ケアチームの人は決して表に出るなと言っています。
 それから、患者さんが医療者にいろいろ気を使われるのは日本特有だと思うのですけれども、まず患者さんと最初にお話をするときに、いまは患者さんが医療者に気を使う時代ではないから安心して何でも言ってください、医師に言いにくければ、看護師に、薬のことなら薬剤師にと説明することからまず緩和ケアを開始する。そうするとほっとした表情で話を始められるケースが非常に多いのです。特に田舎などではもっと結構気を使われる方が多いと思うのですけれども、基本的には緩和ケアは患者主体であるので、患者さんがしてほしいこと、思ったことを堂々と言ってくださいというふうな環境を先につくることと、緩和ケアチームは必ず主治医と相談して行う、勝手には動かない、表に立たないということを認識していただくところくらいから始めないと主治医との関係もなかなか前には進まないと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 今の話と重なるのですけれども、やはり患者さん・家族が求めて緩和ケアチームにアクセスして、そこで緩和ケアチームが受けて、担当医というか、主科とのコーディネーションといいますか、そこのところをきちんと担っていただく、多分すごく難しいと思うのですが、そこのところが保証されて患者さん・家族が本当にアクセスできる、自分で相談に行けるというふうにできるといいなと。私は緩和ケアチームのある他の医療機関にいる方から相談を受けると、「担当の先生とお話ししてみませんか」、それと「緩和ケアチームの看護師さんとお話ししてみませんか」と言わざるを得ないのです。主科の先生がそういうことに残念ながら余り関心を寄せられないので、既に患者さんが伝えられない思いになっていることが多いです。緩和ケアチームがそういうところの機能を持つことが、今、痛い患者さんを減らすということですごく意味が大きいかなと思います。○花岡座長 よろしゅうございますか。
 ほかには。
 どうぞ、木澤構成員。
○木澤構成員 前提を確認したいのですけれども、今、資料4に基づいてこの文言を考えるというふうにして議論をしているのか、それともチームへのアクセスを改善する方法をただ羅列して上げていけばいいのか、どちらを議論したらいいのかわからないので、それを教えていただければと思います。
○花岡座長 基本的には専門的緩和ケアへのアクセスの改善ということに対する具体的施策案を議論していただきたいということでやっております。
○木澤構成員 資料4の括弧の中を。
○花岡座長 そうです、一応これが参考というか、事務局の提案になっております。
○木澤構成員 では、改めて1つなのですが、私が上げた方策をこういう文言に落とし込むことはまず無理だろうと思います。というのは、これは細かく規定されていて、先ほど森田先生がおっしゃったように、地域で事情が違い、病院で事情が違うので、こうこうこういうふうにしなさいと言うとがんじがらめになって適用ができないと思うのです。なので、事務局がつくられた案は非常に現実的で、少なくとも害は与えない案なので、これはこのままでいいと思うのですけれども、あとはこういうことですごくよくなっていることがあるという事例集をつくったり、ベンチマーキングとか交流会、要は緩和ケアチーム間でのネットワーキングでノウハウ共有するとか、そういうような介入でよくしていく方向のほうが現実的だろうと思いました。ちょっと言葉は悪いかもしれないですけれども、もともとやる気がない人はどうやってもよくならないので、よくしようと考えていて方法がわからない人たちがよくなるというのをゴールにするのであれば、事例集、ベンチマーキング、交流会というような枠組みで緩和ケアチームの質を改善していく努力が有効なのではないかと思います。指定要件案等はこの文言をいじることで調整というのが現実的なのかなと感じました。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 木澤先生、事例集というのはかなり楽にできるものですか。
○木澤構成員 頑張ればできると思います。
○花岡座長 確かにいろいろな事例がございまして、地域によっても随分違いますので、そういう参考資料があればやりやすいということも考えられると思います。
 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 今、木澤構成員がおっしゃった事例集は、指定要件のあり方検討会に出すための事例集という意味でしょうか。そうではなくてもっと広い視点でおっしゃっているのですね。
 まず急ぐべきは指定要件というか、あり方検討会が始まりますので、それに向けて緩和ケア検討会が何を出すかということをこの場できょう決めないと、もう近々あり方検討会が始まりますので、恐らく事務局もそれを期待しているのだろうと思うのです。この文言でいいのかどうかということだと思います。先ほど木澤構成員が平日日中は外来、病棟ともに緩和ケアチームに常にアクセスできる環境を整え、直接診療を提供できるというようなことをおっしゃったように思いますけれども、例えばそういうふうに変えていくとか、その次の「院内の緩和ケアを統括する組織の位置づけを明確にする」というその「明確に」というのは何なのか。会議がふえるだけではこれは何の意味もないわけですから、そのあたりをもう少しここでもむほうがいいのか、それとも一旦これで出すのがいいのかということを、あと45分しかないので考えなければいけないのではないかと思っております。
○花岡座長 どうぞ、中川構成員。
○中川構成員 資料4の文言についてなのですが、平日日中というところについては置いておきますが、組織の位置づけについて緩和ケア委員会を設けるか設けないか、これもまた置くとして、先ほど触れましたように緩和ケアが適切に広がる、あるいは相談支援機能が適切に広がるためにはやはり組織間の連携が必要だと思っているのです。ですので、そのことを要件の中に具体的に書き入れるのが一つです。
 それから、3項目めにあります「院内の緩和ケア供給体制の実態把握と評価・改善の仕組みを確保する」、その下の括弧に「業務・成果の可視化」というのがあります。これは上の評価・改善の仕組みが可視化ということであれば、やはり公表が必要ではないかという気がいたします。したがって、ここを例えば「評価・改善・公表の仕組みを確保する」ということになれば可視化につながりますので、その2点を入れてはいかがかと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 今の2点などは事務局のほうで、文言等の問題も絡んでいるのだと思いますが、内容的には非常に理解しやすい内容だと思いますが、推進室のほうではいかがでございましょうか。
 どうぞ。
○がん対策推進官 貴重な御意見をありがとうございます。できれば御議論いただきたい点としまして、指定要件は画一性の話になってくると思うのです。一方、先ほど来御議論があったのは個別性にどこまでフィットさせるかという話ではないかと思っていまして、指定要件はやはり客観的に満たされているのかいないのかを明らかにできるようなものという視点も重要だと思っています。事務局としてはたたき台という形で書かせていただいたのですけれども、個別性と画一性の部分にも配慮しながらどういう言葉で明確化していけばいいのかというあたりも御意見をいただければ、事務局としてはありがたいと考えております。
○花岡座長 個別性、画一性の問題も絡んだような文言がという話もございますが、先生方のほうで何か御意見はございますでしょうか。
 これは個々の状況に応じてとか、そういう形になるのですか。基本的な問題をぽんと出しておいて、あとは「個々の状況に応じて」というような言葉が入ってくるという意味合いになるのでしょうか。
 どうぞ。
○がん対策推進官 そういうものもこの場の議論としてなされれば、そういうこともあり得るとは思うのですけれども、一定の要件という意味合いからすると客観的に示すことが望まれるかなと考えております。
○花岡座長 ありがとうございます。
 中川構成員も3番、4番という形で組織間の連携、また改善の仕組みを公表するというようなことも含めて出されておられますが、このような具体的な形として。
 どうぞ、松月構成員。
○松月構成員 例えば先ほど地域によっては1人の医師しかいないのでその人にかからざるを得ないとか、その人にはなかなか話せるわけではないなどといった、そこでの地域の医療の限界を含めて考えると、4つ目の文言は「地域の診療所等の関係者との定期的な協議の場を設置する」というレベルでは不十分かと思います。もう少し地域性を含んだ書き込みにしないと、単に画一的ながん診療拠点病院の要件になる可能性があります。
必ず病院間の鍵になるような、中心になるような機能を持つとか、都市部と地方では違うと思いますので、単に協議の場を設置するということだけではなく、ネットワークの在り方も含んだ抽象的な表現を、ここの中に少し入れるといいのではないかなと思います。適切な言葉がすぐには出てきません。
○花岡座長 ありがとうございます。
 次のところにも入っていますが、これが地域における切れ目のない連携体制というところの施策案の一つなのです。そういうところですが、今のところの前の専門的緩和ケアへのアクセスの改善までの意見としてのまとめをしていただきたいと思っております。
 どうぞ、池永構成員。
○池永構成員 指定要件の話題にはなってしまうのですけれども、例えば指定要件の4つ目の文言「定期的な協議の場を設置する」という、ただ協議をしたりするだけでは何も始まらないわけですので、やはり地域の問題点とその対策について話し合い、それを公表するなり明確化するというふうな、何のための協議かということを明確にしておかないといけないと思いますし、「地域の診療所等」とございますが、多くの拠点病院から受け皿として受けているのは緩和ケア病棟というものがございます。そういう関係者との連携がいわゆるがん対策推進基本計画の中でなかなか十分ではないと感じておりますので、拠点病院と緩和ケア病棟との協議も重要だと思っています。
 2番目に「統括する組織の位置づけ」とございますが、緩和ケアチームが自分たちのチームを評価することはできないところがありますので、統括する組織が3番目の実態把握と評価また公表ということを文言に加えるような働きが重要ではないかと考えております。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 木澤構成員、どうぞ。
○木澤構成員 池永先生の意見に賛成なのは全体的な意見なのですけれども、文言に目的を書く。「平日日中は緩和ケアチームに」と書いてあるのですけれども、何のためにという1文をつけると、「緩和ケアチームへのアクセスを改善するために」とか、最後は「地域で包括的な緩和ケアを実践するために」と入れるとすごくよくなるなと感じました。
 以上です。
○花岡座長 ありがとうございました。
 基本的には緩和ケアへのアクセスの改善というところがございますので、目的を書くのは非常に大切なことだと思います。
 岩瀬構成員。
○岩瀬構成員 残り時間が気になりますが、2番目の緩和ケア委員会等の設置のところですけれども、緩和ケアセンター構想が前提にあって、この委員会を実際に設置されたらセンターとの兼ね合いといいますか、関係はどうなるのかということが一番気になるのです。いろいろな機能を持つ緩和ケアセンターをつくることを指定要件にするのであれば、この委員会との関係をはっきりしなければいけないし、もともと私個人としてはこの委員会の機能を含むものが緩和ケアセンターだと考えてずっとディスカッションしてきましたので、ここのところは皆さんの概念といいますか、お考えを聞いて、これでいいのかどうかという議論をしていただきたいと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 「統括する組織の位置づけを明確にする」ということで、今回の調査にもございましたように、統括する組織の必要性を非常に感じましたが、そのところは内容的に具体的には「緩和ケア委員会等」という形でここに書かれておりますが、先生方の御意見はいかがでございましょうか。
 道永構成員、どうぞ。
○道永構成員 私もこの話を初めに伺ったときには、これは緩和ケアセンターのことなのかなと思ったのですけれども、まずは都道府県の拠点病院に設置するということで、将来的に恐らく地域のがんの拠点病院にもつくられることにはなると思うのですが、先ほどから中川先生もおっしゃっていますけれども、この間の「がん対策推進協議会」で、相談支援センターが非常にうまくいっているのは緩和ケアチームと各主治医、内科の先生、外科の先生が一緒にメンバーになっていて、しかも院長がセンター長をやっていることが理由だと思うので、ここはあえて今後緩和ケアセンターが地方に設置されていくことになっていましても、緩和ケアを統括するではなく、ほかのがん診療部門との統括というか、そういう形にしたほうが横のつながりができていいのかなと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 細川構成員、どうぞ。
○細川構成員 今の2人の御意見に賛成です。京都府立医科大学も都道府県のがん診療連携拠点病院になっていますが、すでにここで討議された緩和ケアセンターをつくるという話はもう既に入ってきたわけです。そのときに事務方では、現在あります疼痛緩和医療部という組織がやっていることと内容が全く一緒なので、そのまま名前を変えてさらにセンター長として院長に入ってもらったらというような話を今、進めているところです。
 もう一件は、言葉としては短いほうがいいと思うのですけれども、参考資料的にその委員会とかセンターで何をするという具体的な案、ストラクチャーでいいのですが、を一緒に書いていただくのと、木澤先生がおっしゃったようにはっきりと目的があるので、目的と方法の典型的なものを示していただけるので、その方が具体的に何をする組織が必要で何をすればよいのかがこの構想を受ける拠点病院の側にも分かりやすいのかなと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 事務局のほう、どうぞ。
○がん対策推進官 ご指摘ありがとうございます。具体的に何をするという所について先生方の御意見をいただけますと助かります。
○細川構成員 緩和ケアセンターをつくるという目的で以前示されました内容でよいと思います。その中に少し踏み込みまして、例えば緩和ケアチームへのアクセスが悪いという1番の問題などに解決が含まれてくるなら、木澤先生が示されましたような緩和ケアチームの看護師が緩和ケア外来に参加、もしくは逆に腫瘍医の外来の医師や外来化学療法室等の看護師等、さらに腫瘍医そのものに緩和ケアンター、名前は何でもいいのですが、そういうところに参加していただくというような形にすること。それから、リンクナース、リンクドクターの教育などもそれに含めることとか、そういったことを書いていただければと思います。主なところはほとんど以前に緩和ケアセンター構想で示されました機能や必要なこととされることの中に大体網羅されていると思います。
○花岡座長 よろしゅうございますでしょうか。
 リンクナースはよく聞くのですけれども、リンクドクターというのはどういう立場の人ですか。
○細川構成員 木澤先生、何か言葉の定義はあるのですか。
○木澤構成員 ないです。
○細川構成員 もしないのであれば、例えばオンコロジーの先生が緩和ケアセンター員に入っておられれば、その方たちが診ている中で、例えば化学療法に伴う末梢神経障害で苦しんでおられる患者さんがおられればそれを緩和ケアチームに紹介にするという形にもなりますし、放射線治療医の方が中に入っていれば、痛みが放射線治療医がやっている放射線で治るものもあれば治らないものもある。治らないものの場合は緩和ケアチーム等々に紹介するという形になるなど、がん診療を手がけているそれぞれの専門の先生たちが同じセンター員として入っていただいて、その人たちをリンクドクターとして考えるということあるかと思います。
○花岡座長 よろしゅうございますか。木澤先生、それでよろしいでしょうか。
 そういう名称の問題と定義の問題は別になりますので。
○木澤構成員 1ついいでしょうか。私は形から入ることに恐怖というか、本当にうまくいくのかすごく心配に思っていて、恐らく先生の病院とうちの大学病院では全然事情が違うでしょうし、例えば私が知っている県立の病院、受けるであろう病院が頭に浮かぶのですけれども、その事情も結構違うと思うと、そういうことを決めてしまって果たして本当にできるのかすごく心配になるのです。先ほども言いましたけれども、ある程度包括的に書いて事例集でカバーしていくほうが現実的なのではないかなと思ったりするのですけれども、いかがなのでしょうか。
○花岡座長 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 もちろん高いところを求めていくのは大事ではあるのですけれども、指定要件が余りに厳しくなっていくと、今度は例えば地方の私が住んでいるようなところの拠点の中に落ちていくところが出てくるのではないかということ、これは常に議論されているところです。恐らくこの点になってくるとあり方検討会でもっと詳しい議論になってくるのだろうとは思います。ただ、余りによ過ぎる例で縛り過ぎるのはいかがなものかということ、これは大変バランスが難しいところで、患者・家族からすれば高いところを目指してほしいという思いはありますけれども、そういうこともあえて申し上げておきたいと思います。
 もう一点、続けて申し上げさせてください。「院内の緩和ケアを統括する組織の位置づけを明確にする」という文言があります。これに先ほどの木澤構成員の御提案にあった目的をつけ加えるとするならば、よく言われていたのは緩和ケアチームの存在意義が病院全体の中でよく理解されていないのではないか、特に例えばがん医療に携わっていないような方が病院のトップであった場合に、ここがどうなのだろうか、それが結局動きにくいということにつながっているのではないかということがありましたので、そういった文言、例えば「患者・家族が緩和ケアを十分に享受するために緩和ケアチームが動きやすくするために」とか何かそういったような文言が入るべきなのか、それとも指定要件にそんなことまで入れるのはふさわしくないということかもしれない、このあたりはよくわからないのですけれども、患者・家族としての願いはそうであるということを申し上げておきます。
○花岡座長 ありがとうございます。
 前川構成員、どうぞ。
○前川構成員 今、松本構成員が、余りにも厳しい指定要件だとできないのではないかとおっしゃったのですけれども、私はちょっと違和感というか、もちろんそれはそうなのですけれども、いいところを、目標を書かないと、ある程度地方の拠点病院はぬるま湯の中にいるのです。ですから、ぬるま湯にちょっと熱い熱湯でも入れて気分をしゃきっとさせないと、ぬるま湯のままでこのまま5年、10年、20年行くのではないかという恐れがあります。
○花岡座長 ありがとうございます。
 小松構成員、どうぞ。
○小松構成員 私も皆さんの意見に賛成します。今回特にがんの診療の部門というか、そこと緩和ケアチームがうまく連携をして協力をするところがすごく大事になってくるので、そこを目的とした委員会や連携システムを各医療の特性を考慮しながら見える形で機能させるとか、そういうことが必要なのかなと思います。その例として幾つかのものが挙がってくるのではないかなと思います。
○花岡座長 非常に建設的な御意見でございますが、いかがでございましょうか。
 どうぞ、局長。
○健康局長 1つ教えていただきたいのです。先ほどアクセスの話が出たのですけれども、院内で実際に診療している主治医の先生が緩和ケアチームとよくコミュニケーションができないというのであるならば、病院によっていろいろな事情があるかもしれませんけれども、例えばがんを診断したときから緩和ケアを始めるということであるならば、院内としては緩和ケアチームがあってアクセスはこうですよというパンフレットみたいなものを病院で診断時に必ず患者さんに渡してくださいというようなものを方法としてできるのかどうか、そういうことは実態に即したものなのかどうか。そういうことはできるのでしょうか。
○花岡座長 ありがとうございます。
 非常に大切な質問でございますけれども、各先生方、いかがでございましょうか。がんと診療されたときから緩和ケアを始めるという前提になれば、パンフレット等をそこでお渡しする、もしくはお話を始めるという形が必要になってまいります。
 松本構成員。
○松本構成員 それを指定要件にまで盛り込むのかどうかは別としましても、ただそういった情報提供はあってしかるべきということを私どもはずっと地方でも地元でも申し上げてきております。ただ、そのときに「緩和ケアチーム」とか「緩和ケア外来」とか、「緩和ケア」という文言自体を出すことがどうなのかというのは別の問題としてあります。その場合の代替案として、相談の窓口があるのだということをまず知っていただく。相談支援センターを知っていただいて、そこにきょうの帰りに必ず寄ってみたらどうでしょうかと提案するための何かしらのものを、診断時できるだけ速やかに治療医から、診断医から渡してもらうということは大切だと思います。
 そうなってくると、相談支援センターが必ず緩和ケアセンターであるとか、そういった機能とうまくリンクしていくことが非常に重要になってくる。そうなると、例えばMSWさんのお力がますます重要になってくるとか、そういったことまで考えないと難しいと思います。
 それと実際に診断の場で治療医がそれを渡せるのかというのは、この場に治療医の先生方は余り、木澤先生は首を振っていらっしゃいますけれども、恐らく難しいという声が聞こえますけれども、そういった情報提供はできるだけ早い時期に必要だとは思っております。
○花岡座長 木澤先生、どうぞ。
○木澤構成員 多分有効なのは、先ほどネットワーキングの話が出てきたのですけれども、困ったらこの人が相談に乗ってくれるというのがわかる、そういう人を情報提供することはできるかもしれないですけれども、緩和ケアのパンフレットがあって、それを診断時に渡すことはちょっとできない感じです。多分すごくショックを受けられている患者さんに別の情報を渡すことが本当に適切なのかどうか。机上というか、頭の中ではいいのかなとは思うのですけれども、自分で渡せるかといったら渡せないだろうなと思います。困ったら電話してください、僕のところに連絡してください、こういう人がいるので相談に乗ってもらえますとは言えても、それ以上はできないのかなというのが本音だと思います。
○花岡座長 小松構成員、どうぞ。
○小松構成員 今、臨床の中でがんカウンセリングが行われていますけれども、その場で医師とナースが渡しているものの中に、これからさまざまな診療を受けていく中での患者さんを中心にしたマップみたいなものをお渡しして、その中の一つとして緩和ケアチームがあり、さまざまな相談支援センターがありという形で、本当に頭の中が真っ白の状況で渡せて、そこに必ず守っている、アクセスするところができるというところがまず第一義的には必要かなと思っています。
○花岡座長 よろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ、細川先生。
○細川構成員 今の話で、多分木澤先生がその段階で緩和ケアという言葉を告げにくいとおっしゃったことは、結局患者さんにとっての緩和ケアがやはりどうも前から言っているターミナルという雰囲気につながっていくというところがあると思うのです。そういうところで渡せるパンフレットの中にも、患者さんががんと診断されたときの緩和ケアという意味の緩和ケアを御理解いただくような、いわゆるWHOの定義と同時に本来の緩和ケアの意味,意義の説明文を統一して出すことが必要になってくるのではないかと私は思うのです。
○花岡座長 どうぞ、池永構成員。
○池永構成員 私はパンフレットという形ではなくて、やはりその人と会うことが大事だと思っています。緩和ケアチームであろうと、相談支援センターであろうと、誰かに会い、誰かに相談すれば何らかの解決の糸口があるということ、人と人という形を評価していくことが拠点病院には必要とされるのではないか。そういう方法で一つの手段としてパンフレットを渡すということはあるかもしれませんが、ベースは人と会うことなのだろうと思います。そういうシステムをつくるということではないかと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 緩和ケアの定義というか、印象というか、概念といいますか、それは細川先生もずっと前からおっしゃっていることなのですが、やはり緩和というとまだまだ十分理解されていないところで、それが非常に難しいです。以前はがんということを言うか言わないかというような議論がありましたが、いまや緩和という言葉を出すと、あ、もうという、今度は次の段階に入ったような印象を受けるところもございますので、緩和というのはそういうものではない、とにかくがんと診断されたときから常に持つものである、頭の中に入れるものであるという認識をつくっていただければ非常に話しやすいし、いろいろなパンフレットのところまで行き着ける要件になる可能性もございますので、その辺は御議論いただきたいと思います。
 どうぞ、中川構成員。
○中川構成員 パンフレットの問題は非常に難しくて、下手をすると患者さん方に非常な不安を惹起することになる可能性があって、私どもの施設でも緩和という言葉だけは聞きたくないという患者さんがおります。ただ、逆に緩和ケアが不十分で苦しんでいる患者さんも多くて、そのときにちょっとした知識がなかった、誤解があるということが原因という、その両面の現実があると思うのです。一方、もう一つ診断されたときに患者さんががんという病気あるいは診療、ケアを含めて全体的な見通しが非常になく、小松構成員が御説明になったそういう見通すような部分がないことが結局不安をもたらしているところもあるわけです。
 国立がん研究センターが患者必携を出されています。あれはがんになったらみんなが手にとるというようなことが書いてございます。直接的に緩和ケアという章立てが目立つわけではないのですが、その中にそのことも書いてある。やはり見通しという点ではああいったものを見ていただくととても役に立つところもあって、そういう意味ではあれの縮刷のようなものがあって、その中には相談支援もある、緩和ケアも実はあるというような形のものがあったらきっと役には立つのではないかという気はいたします。
 しかし、繰り返しですが、その場合に下手をすると早期からの緩和ケアといって最初から大きく緩和を出すのはマイナスなので、もしそういったものを仮にパンフレットとして要件の中に入れていくのであれば、かなり具体的なひな形をつくってこれに沿ったものということが望ましいような気がいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 これは厚生科研みたいな形になるのでしょうか。研究材料としては必要な項目かもしれません。つくるつくらないというところで始まるかもしれないのですけれども、つくるとしたらマップみたいなものも非常に大切な項目ではないかと思います。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 この要件はもしも追加するとしたら推進室のほうでタイムリミットはあるのですか。
 事務局、どうぞ。
○がん対策推進官 指定要件のタイムリミットが明確にいついつまでというのはまだ定めているわけではありませんが、本日かなり御議論いただいたと思っておりますので、本日の議論でその延長線上にあるという意味でいえば、次回くらいにはそこの取りまとめの御議論をいただければなと思っております。
○花岡座長 ありがとうございます。
 あとはいかがでございましょうか。
 どうぞ、岩瀬構成員。
○岩瀬構成員 緩和ケアセンターなり委員会を設置したときに、その地域の緩和ケアを担当するということでありますから、患者さんの代表の方がそういった委員会、緩和ケアセンターの中に入ることが大事ではないかと思います。そういったことも指定要件の中に入れていただけることを検討していただくのはどうかと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 患者さんの代表が入るという感じのところ。
 松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 岩瀬構成員の御意見は大変ありがたく思います。それは必要だろうと思います。それと同時に、今、上がっている要件の3つ目のところの「実態把握と評価・改善の仕組みを確保する」、これは恐らく緩和ケア委員会と重なってくるのだろうという御意見が先ほどもありましたけれども、こういったことも含めて患者・家族当事者の意見を反映させることは大事だろうと思います。
 「実態把握と評価・改善の仕組みを確保する」ということに関連しましては、きょうの会議の冒頭のほうで中川構成員から御発表がありました。今後のテーマの提案のところに身体的苦痛を緩和する具体的な取り組みについての議論をしっかりすべきであるということ、適切な対応が行われているか評価し公表する体制を整備するということ、評価方法と公表方法までどのようにするのかを明確にしておくべきという御提案がありましたけれども、こことも重なってくるのだと思いますので、このあたりを例えば次回少し集中的に議論することが必要になってくるのではないかと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしゅうございますか。
 どうぞ、加賀谷構成員。
○加賀谷構成員 緩和ケア委員会の設置において院内感染委員会と同じくらいのレベルで、結局病院長とか看護部長、事務長、薬剤部長とかが入らなければいけないような構成になっているのです。ああいう形にしないと院内に本当に浸透していかないのではないか。がん拠点病院に関しては院長は問題ないとは思うのですが、一般病院に関してはやはりそういう院内感染委員会に準ずるような位置づけにしていただけたら一番いいのではないかと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
 非常に大切なことですね。病院全体の認識も違いますし、そういうレベルでの委員会があればとは感じます。
 あとはよろしゅうございますか。
 それでは、お時間も迫っておりますので、今回の議論はここまでにいたしたいと思います。
 次回の検討会では、本日議論いただきました院内における専門的緩和ケアへのアクセスの改善や地域における切れ目のない連携体制についてさらに議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。そのほか専門的緩和ケアに求められる機能や各職種の適正配置についても少し検討したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、その他、事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○がん対策推進官 長時間にわたる御議論をどうもありがとうございました。
 次回第7回「緩和ケア推進検討会」の日程等につきましては、構成員の皆様方の御都合を伺い、調整の上、御連絡させていただきます。
 以上でございます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 以上、事務局からの御報告にもございましたように、次回はまた構成員の先生方の御都合をお伺いして、後日日程を調整したいと思います。
 それでは、本日の検討会はこれにて終了したいと思います。構成員の皆様方、長時間にわたりまことにありがとうございました。


(了)
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健康局がん対策・健康増進課

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