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2012年11月7日 第12回レセプト情報等の提供に関する有識者会議議事録
○日時
平成24年11月7日(水)10時00分~12時00分
○場所
厚生労働省低層棟2階 講堂
東京都千代田区霞が関1-2-2
○議題
1.「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」における検討内容及び運用状況について
2.レセプト情報・特定健診等情報データベースの今後の運用における留意点について
3.現行の運用を踏まえた主な論点(案)
4.その他
○議事
○山本座長 おはようございます。定刻よりも少し早いのですけれども、委員の方が全員おそろいですので会議を始めさせていただきたいと思います。
ただいまより第12回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。
委員の皆様方には、本日は御多忙の折にお集まりいただき、御礼を申し上げます。
会議に先立ちまして、本日の委員の出欠状況、本日の会議の進め方について事務局からお願いをいたします。
○井内室長 それでは、まず出欠状況ですが、本日欠席の委員といたしまして、猪口委員、大久保委員、貝谷委員、新保委員、松田委員、武藤委員でございます。
本日の進め方ということで、事務局のほうから提案をさせていただきたいと思います。前回、前々回の有識者会議の中でもお願いをしておりましたように、今回プラス次回で平成25年4月以降のレセプト情報の提供に関する枠組みはどのような形がふさわしいのかということをこの有識者会議の中で御検討いただきたいと思っております。その御議論を踏まえまして、我々といたしましても25年4月以降の体制を考えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
2回シリーズという中で本日の位置づけですが、本日、議題を3つに分けてお願いしたいと考えております。
1つ目といたしましては、今回12回目でございますが、1回目~11回目の有識者会議で御検討いただきました内容の主要なところの抜粋の資料を事務局でつくっておりますので、それを見ながら今までの検討内容を振り返っていただければと思っております。
2つ目といたしましては、レセプト情報・特定健診等情報データベースについて、今、技術的に、テクニカルにどういうところに課題があるのかということを厚生科学研究の中で検討していただいております。まだ検討途中ではあったのですが、有識者会議の中で25年4月以降のスキームを考えるところにおきまして、我々のほうから強くお願いをいたしまして、現状で少し思いつく点の御指摘をまとめていただいたところでございますので、その御紹介をさせていただければと思っております。
さらに3つ目の議題といたしまして、1つ目、2つ目の議題を踏まえまして、今後どのように進めていくのかというところの論点ということで、これにつきましてもこういったところが論点かなというところを事務局のほうで一定程度まとめてございます。当然これは枠の外に出ていただいても全然構わないものなのですが、一応ここをベースに今後どのようなスキームでいくかと考えるときの論点ということで議論いただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
今、事務局から議事の進め方について御提案等がございましたけれども、御異議はございませんでしょうか。
それでは、そのように進めたいと思います。
それでは、議事に入っていきたいと思います。
まず、本日の議題1「『レセプト情報等の提供に関する有識者会議』における検討内容及び運用状況について」ということで、事務局より御説明をお願いいたします。
○井内室長 それでは、事務局のほうで少し御説明をさせていただきたいと思います。
資料につきましては、この議論の1つ目に関しましては、右肩に資料1-1と書いたもの、その次、資料1-2と書いたもの、さらに資料1-3と書いたものの3つの資料を準備いたしております。もしないとか、何かおかしいということがあれば、事務局のほうに教えていただければと思います。
私のほうからは資料1-2を中心にお話をさせていただきたいと思います。資料1-2が今までの会議の中で出た資料を抜粋したもので、資料1-1はそれを項目ごとに並べたものでございます。資料1-2で今までどのような議論をしていただいたかを振り返っていきたいと思います。
それでは、資料1-2の1ページから簡単に御説明をさせていただきます。
まず1ページのほうなのですが、これは1回目の有識者会議で出た資料でございます。有識者会議が始まる前にレセプト情報のデータベースの構築等々でどのような背景があったかを事務局から御説明させていただいた資料でございます。一番下に線を引いておりますが、平成18年度の医療制度改革の中で「医療費適正化計画の作成、実施及び評価に資するため、厚生労働省が行う調査及び分析等に用いるデータベースの構築へ」、このようなデータベースをつくるということがございました。
それに引き続きまして、平成19年7月からの「医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会」の中で平成20年2月に報告書を取りまとめていただいた。その内容自体が2ページにございます。この中段のところ「6 国以外の主体によるレセプトデータ等の活用のあり方」ということですが、ここの(2)のところに下線部を引いておりますが、国民負担の軽減、的確・適切な施策の迅速な実施という視点に立てば、国以外の主体が集めたデータをほかに使わないのはかえって適切とは言えないとまとめていただいた検討会の報告があったというものでございます。こういったことを踏まえまして今回の有識者会議ということでございます。
さらに3ページを見ていただきますと、これと並行して平成22年6月22日の時点でいわゆる閣議決定ということで、レセプト情報の提供のためのルールを整備し、提供を開始することが決められたというか、合意されたということでございます。こういった中で本有識者会議が設立されて、今、検討をしていただいているというスキームでございます。
4ページでございます。これも第1回有識者会議の中で今までの整理ということで出させていただいております。左側は高齢者医療確保法に基づく利用ということで、いわゆる適正化計画、本来目的のものが左、それ以外のものが右です。本来目的のものは医療費適正化計画のための分析を行って、国が分析した場合は結果を公表、都道府県の場合も都道府県によって分析結果を公表するというスキームでございます。それ以外の提供ということでここの下で受けておりますが、有識者会議における審査、まさにこの有識者会議でございますが、データ利用の目的や必要性についての審査、データ利用の目的として公益性の確保が必要ということで、今、個別の審査をしていただきまして、データ提供の可否について、またどのようなデータを提供するか大臣が決定する際の助言をするという位置づけでこの本会議を運営させていただいているものでございます。
5ページにまいります。「レセプト情報・特定健診等情報の収集経路」ということで、上段がレセプト情報、下段が特定健診等の情報です。上段の場合は医療機関から保険者に渡るまで、いわゆる審査支払機関のところで匿名化処理をされて、国の保有するデータベースのほうにデータが来ているスキームを御説明させていただいた資料で、これも有識者会議が始まる前からもちろんこういう形でやっているものでございます。
6ページになります。平成22年10月28日の2回目の有識者会議の段階で、レセプト情報については約15億9,800万、特定健診・保健指導情報については2,065万件というデータの蓄積があったというものでございます。これにつきましては平成24年7月現在では、レセプト情報では約45億件、特定健診・保健指導情報では約6,600万件まで伸びているものでございます。
データベースの保管・管理方法についても、現在このようにやっておりますというような御説明をさせていただいております。
7ページのほう、「レセプトデータについて」ということで、レセプトデータというのはこういう位置づけで、レセプトに記載されていないものはこういうものですよというようなこと、有識者の先生方には当然のことですけれども、一応御説明をさせていただいています。
さらに当時、これも第1回の有識者会議、10月5日の時点ですけれども、電子レセプトの請求普及状況ということで、件数ベースでの状況の御説明でございます。これにつきましては現在いずれも伸びておりまして、病院に至りましては99.9%、診療所は電子媒体も含めまして93.5%までいっております。歯科も件数ベースでは50%を超えるところまで進んでいるということで、着々と電子化が進んでいる現状でございます。
「レセプト記載の内容」ということで、9ページ等についてはレセプトにどのような内容が記載されているかということ、10ページでは特定健診・特定保健指導データはどのようなものがあるかという御説明をさせていただいております。
11ページで特定健診・特定保健指導の実施状況等の御説明をさせていただいています。
12ページからは、先ほどのいわゆる支払機関のほうから国のデータベースに行くときの匿名化の方法としてハッシュ関数を採用しておりますということで、ハッシュ関数のアルゴリズムと、現在ハッシュ関数の持っている留意点の御説明をさせていただいたところでございます。
15ページ、「『レセプト情報等の提供に関する有識者会議』開催要綱」です。まさにこの会議の目的ということで先ほど冒頭私からも申し上げさせていただきましたが、厚生労働大臣が申請者に対するデータ提供の可否を決定するに当たり助言をするという位置づけで有識者会議が構成されて、現在、議論をいただいているところでございます。
ここまでが基本的には有識者会議が始まる前におおむね方向性等が決まっていた内容で、有識者会議が始まったときにいろいろ御説明をさせていただいたものでございます。
16ページ以降が、有識者会議の中でデータ提供の可否を決定するに当たりましてのルールづくりでいろいろ検討いただいた内容でございます。
まず16ページでございますが、行政機関個人情報保護法との関係ということで、個人情報に当たる当たらない、もしくは個人情報に当たった場合のセキュリティのルールを有識者会議の中で決めていただいたもので、そういった議論のものでございます。
これにつきましては下の点線の枠組みのところであります。
患者の方々の個々のデータは、そのデータ単独では特定の患者の方々を識別可能な個人情報とはならないと考えられる。
特定の情報をデータベースから抽出し、何らかの方法で入手した他の情報と照らし合わせることにより、個人の方が特定される可能性があるとしても、通常それだけではデータベースの情報は、個人情報とはならない。
ただし、個人立の医療機関コードについては、他の情報と照合することにより経営者個人の情報を識別できるため個人情報に該当。
また、例えば以下のように照らし合わせる他の情報が「公知の情報」であれば、個人情報となりうるケースもあると考えられる。
想定される事例といたしまして、「極めて稀な特定の傷病に罹患し、特定の医療機関に入院していることが公知となっているような場合など」ということで、基本的には患者さんの情報自体は匿名化されているので個人情報にならない、ただほかの情報と突き合わせることで個人情報となり得るものも含まれているということと、個人立の医療機関に関しましては、患者さんではなくて個人立の医療機関の情報そのものが個人情報に当たるという整理を有識者会議の中でしていただいたというものでございます。
17ページで個人情報保護の場合の利用提供の制限ということで考え方をまとめていただいた。これは後々出てまいりますセキュリティ等にかかわってくるものでございます。
次、18ページの「疫学倫理指針との関係」です。疫学倫理指針との関連も検討していただいた。ここでは「2 適用範囲」の?のところで下線を引かせていただきましたが、「資料として既に連結不可能匿名化されている情報のみを用いる疫学研究」ということで、連結不可能の場合は疫学倫理指針とは関係ないということで、実際ハッシュ等で匿名化されているということですが、ここでの情報といたしましてはこの下でございますが、「連結不可能匿名化とまでは言えない」という位置づけで、原則疫学倫理指針を守る、つまり申出者の所属機関等の倫理委員会等で検討していただくというようなプロセスを踏むのが原則として必要だというお考えをまとめていただいたものでございます。
さらに19ページは、データ提供の類型ということで統計法との調整をしていただいたものです。
20ページでございますが、図の中の左上が調査票情報、まさにこれが個票でございますが、統計法上の個票は個人情報の識別可能性が非常に高いもので、特定の個人または法人の情報を含むことから、公的機関、補助金を受けた研究者に限定。逆に一番右のほうでございますが、統計情報の中でもいわゆる集計情報、個人が識別し得ないものに関しましては、研究者だけでなく、学生や国際機関にも提供するという位置づけ。今回レセプト・特定健診等情報データベースはこの間という位置づけで、申出者等の範囲を決めていただいたというような検討の過程がございました。
21ページでございます。「試行期間の設定と期間中の審査方法」です。試行期間における検討ということで、まず23年、24年度を試行期間と位置づける、その中でガイドライン等を決めて検討するということで、まさに現在のスキームを検討していただいている。このやり方、実施につきましても、有識者会議の中で当面2年間は試行期間ということでルールを一定決めてやることを決めていただいたものでございます。
そのスケジュールにつきましては22ページでございます。25年4月以降は新たな枠組みでのデータ提供ということで、ここのところが今、決まっていないので、今回及び次回の有識者会議の中でおおむねの方向性を出していただきたいと考えております。
23ページが「データ提供の枠組み・流れ」で、事務局等でこのようにやってまいりますということで、これについても御承認いただいたものでございます。
24ページ、先ほどの統計法上の個人情報の扱いにも絡むのですが、「レセプト情報等の提供依頼の申出を行える者の範囲」ということで、上の括弧の「?国の行政機関」から「?提供されるデータを用いた研究の実施に要する費用の全部又は一部を国の行政機関から補助されている者」に絞った。その考え方としては、試行期間において手数料の法的根拠や情報漏えい等に対する法的罰則がない、専任の職員が少なく審査における事務局の体制も十分ではない、限られた人員でできる限り効率的に公益性の高い研究に情報提供を行う必要があるといった考え方から?~?に絞っていただいたものでございます。
25ページ、「有識者会議における審査」ということで、個別の申し出前に有識者会議で適切な提供方法を議論いただく、技術的な問題等についても議論していただいてデータ提供の可否を決めていただくということでございます。
26ページが「データ提供にあたってのセキュリティ要件」です。これは個人情報の関係の中で見ていただいたのですが、一番上の「考え方」の1行目の後ろのほうで「全て個人情報に準じた措置を講ずる必要」ということで、基本的には先ほど患者情報においては匿名化されているので原則個人情報ではないというようなこともあったのですが、ただ提供に関しては全て個人情報に準じた措置を講じた上で提供する、そういった前提でのセキュリティを構築していただいたということです。
26ページの下側にセキュリティの要件、基本的事項がございますが、それにあわせまして所属機関が一般的に具備する条件、さらに「?レセプト情報等の利用に際し具備すべき条件」ということで、所属機関の条件かつ本人、申出者、利用者の条件についてもきちんと個人情報に準じた措置をとるというスキームで提供することを決めていただいたものでございます。
27ページ、「不適切利用等に対する措置」ということで、ここにつきましては例えばレセプト情報の内容を漏えいした場合どういう措置をとるか決めていただいた。ここについては後段にも出てきますが、基本的には厚生労働省と利用者の間での契約に基づいてのデータ提供という位置づけですので、例えば「?レセプト情報等の内容を漏洩した場合」とございまして、こういった場合には行為によっては当該認定した日から保険局が定めるまでの間、レセプト情報等の提供を禁止する、利用者の氏名及び所属機関名を公表するような措置をとることで合意がなされた、そういう検討をしていただいた。
28ページ、利用規約です。ここにつきましては、利用者と厚生労働省との契約として出すというようなことで、例えば利用者によるレセプト情報の利用制限、つまりその人しかだめですよとか、利用期間は最大1年ですよとか、厚生労働省保険局が必要に応じて行う立入検査に応諾の義務がありますよといったルールのもとでデータ提供することを決めていただいたものでございます。
29ページでございます。「データ提供について関係者の責任関係の考え方」ということで、レセプトの取り扱い等につきましては、当然国であったり、医療機関であったり、保険者であったり、それぞれがレセプトをどう取り扱うかという責任が発生してくるわけですが、これにつきましてはあくまで今回のこのスキームで厚生労働省が利用者と契約を結んでデータを提供する場合の責任関係ということで、いわゆる個別医療機関等は国がこのスキームでレセプト提供を行う場合、例えば利用者が情報を漏えいするといった場合については厚生労働省と利用者との関係の中だけで完結するということ、かつ国は利用者に対して求償等を行えるということについても責任関係の整理をしていただいたものであります。
30ページでございますが、公表形式等についてもいろいろ決めていただきました。これも個人が識別される、施設等が識別されるというようなことから、当初30ページのように例えば「(3)地域区分」の?のところにございます「原則として公表される成果物における最も狭い地域区分の集計単位は2次医療圏とする」ということで、2次医療圏という前提でもともと決まっていた。
これを検討する過程で、31ページで、地域区分につきましては市町村のところまで言及したというものであります。ただ、市町村とする場合、「(1)最小集計単位の原則」というところがございます。「また」以下のところですが、「患者等の数が100未満になる」ということで、通常10未満で整理していただいております。上の段に書かれたものなのですが、市町村単位で集計する場合は100未満になる集計単位が含まれてはならないということで、そういったところは消すと整理をしていただいたものでございます。
32ページで「基本データセット策定に向けた考え方」ということで、基本データセットを整備して、効率のいい提供を進めるために特別抽出のみならずこういった考え方もあると御提示いただいたものでございます。
ここまでが基本的に運用ルールのところで議論いただいたものでございます。
33ページ以降につきましては模擬申し出から始まりまして、最近でいきましたら2回目の特別抽出の検討に当たりましてどのような具体的な検討をいただいたかをかいつまんでまとめたものでございます。
33ページは模擬申し出・審査ということで、模擬申し出と審査をしていただきました。
34ページにございます「模擬申出一覧表」で、委員の方を中心に出すとすればこういうことですよということで、我々もどのようなスキームでやっていくのか、データセンターもどのようにデータを出していけばいいのかということを検討させていただくのにこういったスキームでやっていただいたということがございます。
さらにその中で、35ページでございますが、模擬的な検査の実施ということで、セキュリティのチェックを現場に行って申出者のところでやる場合に、どのようなところを見ればいいのかということを検証するために模擬的な検査も実施をさせていただいて、その中で検討させていただいたものでございます。
36、37ページがその結果でございます。
38ページにまいりますが、第1回のレセプト情報の提供ということで、去年の11月に審査をしていただきました結果でございます。結論としては6名の方にデータを提供することが決まったというものでございます。
39、40ページに至りましてはそのときのルールでございます。
39ページでは研究内容・抽出ということで、去年の11月の審査のときには事務局のほうで事前の審査をしたときの方向性を報告させていただいて御了承いただいた形にはなりますが、例えば?対象者が極めて限定される可能性がある申し出については個人が特定される可能性を否定できないということで不承諾、その下であれば、多数の項目を用いた探索的研究、全てを求めるようなものに関しても不承諾。例えば右上のものに関しては1申し出1審査が原則で、1審査に関して複数の研究が混じっているものについては基本的には慎重な評価を行ったというようなことをこのときに幾つか決めていただいた。
さらに40ページでセキュリティということで、セキュリティにつきましても情報セキュリティーマネジメントシステムISMSの申出者個々の研究環境に応じた合理的な対応ということで、まさに施設と利用者がきちんとリンクして合理的な対応、セキュリティがしっかりと理路整然と行われているかを実際検証していただく。その検討を有識者会議の個別審査の中で検討いただいているということでございます。そういったルールを39、40ページ、11月の審査のときにかなり議論をいただいたというものでございます。
41ページでございます。そういった検討の中で出た探索的研究に対するニーズということで、先ほど全てを求めるとか、探索的研究を行うというのが現時点では審査では外れたということです。ただ、探索的研究等についてニーズがあるので、このようなニーズを満たしていくようなスキームを考えなければいけないという論点が出たということでございます。これについては後の基本データセットにつながりますが、また後で少し説明をさせていただきます。
42ページで御議論いただいたのが、このとき不承諾となった方の意見をいただいたということで、出た意見でございます。42ページの下のほうでございます。「不承諾となったものから提出された意見の概要」ということで、「申出書のセキュリティ要件について、審査では記載上は齟齬があると判断されたが実質的には整合性がとれているとする」、申出者のほうからするとそう考えますというもの、さらに「申出書に記載する公表形式をどのように書くべきか具体的なものが示されなかった。また、研究内容の定義が不十分とされたが、どの程度の記述をすれば良いのか明らかとされていなかった」といった御指摘、「集計表情報の提供を依頼したが、集計が複雑であり集計表情報と認められない、とされた。集計表情報に該当するものは何なのか、基準を明示すべき」という御意見が出たものでございます。
1段上のところは、審査と申出者との意見の齟齬ということです。2つ目は実際何を書いていいのかわからなかったという御指摘があったことをきちんと受けていること。44ページでございます、3つ目につきましてだけ、集計情報の定義ということで、真ん中の箱のところですが、この時点では原則3次元までとすることとしてはどうかということで、かなりシンプルな集計で、集計とはこういうものという定義をいただいたものでございます。
ここまでが意見のところでございます。
さらに45ページも1回目の提供の続きでございます。提供の手順です。特別抽出ということで、データを提供するまでのプロセスを書かせていただいております。
46、47ページにありますが、データセンターはデータの取り込み、通常運用、本来目的での活用等々があって、第三者提供に丸々システムを割くことができないというような現状をお話しさせていただいた。
45ページに戻ります。なぜこんなお話をさせていただいたかというと、このとき11月に審査をしていただいて承諾不承諾を決めていただいたにもかかわらず、当時6月1日現在でいまだ1件しか提供を完了できていない、想定よりもデータの提供が遅くなってしまったことを踏まえて、その原因等の分析でこのような議論もいただいたものでございます。
48ページでございます。先ほどの探索的研究に対するニーズの続きでございます。
49ページ、整備する基本データセットということで、諸外国の状況等を踏まえて、50ページはサンプリングデータセットで、まずは基本データセットとしてサンプリングデータセットを確立するということです。
51ページに、サンプリングデータセットの対象抽出方法ということで、入院、入院外、入院では医科入院、DPC、入院外では調剤、医科入院外(プラス調剤)で抽出率等も実際こういう形で決めた。サンプリングデータセットの匿名化処理ということで、個人が抽出されそうなもの、要は数の少ないものについてどこまでデータを消すかも検討いただいてサンプリングデータセットを決める。
これについては探索的研究等にも活用いただけるようにということでのセットで、54ページになります。このサンプリングデータセットは6月に審査をいただきまして、6名の方に対して基本的にデータの提供を行うということで審査をいただいたものでございます。
次に55ページにまいります。55、56ページなのですが、これが9月に審査をいただきました第2回の特別抽出のところでございます。第2回の特別抽出につきましては、実際のところ、済みません、ページ数がないのですが56ページでお一方が承諾ということです。なお、このほかに5件、今、細かいところを詰めるということで審査継続となっているものがあるものでございます。55ページがそのときの審査方針で、これにつきましては第1回の審査方針を基本的には踏襲をいただいたと理解しております。
さらに57ページで、基本データセットをつくるということで厚生科研等で現在進めているということです。これにつきましても途中経過等を報告させていただきながら進めているものでございます。
58ページにつきましては、DPCデータの提供のあり方についても一定程度厚生科研の中でメリットデメリットを整理した上で、後日また有識者会議の中で御検討いただく形で現在進めさせていただいております。
以上でございますが、こういった形で11回にわたりまして有識者会議の中でさまざまな議論をしていただきまして、実際のレセプト情報の提供も進めていただいているものでございます。まずは今まで11回の議論の中での大きな論点を少し振り返っていただくために、事務局のほうでこのような抜粋の資料を作成したものでございます。
ちなみに資料1-3につきましては、この審査の中でまとめていただいておりますガイドラインのポイントで、ガイドラインにどういうことが書いてあるかを少しまとめさせていただいたものでございます。
事務局から1つ目の論点に関しましての御説明は以上にさせていただきます。
○山本座長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等はございますでしょうか。
議題3において今までやってきたことに関してのレビューと、改善点といいますか、見直したほうがいい点等の議論は行う予定ですので、議題1のところでは事実関係に関して何か御意見等がございましたら伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
大体このようにやってきたということでよろしゅうございますでしょうか。
それでは、後で議題3のところでこれを振り返ってディスカッション等をしていきたいと思います。
次の議題である議題の2番目「レセプト情報・特定健診等情報データベースの今後の運用における留意点について」に移りたいと思います。
では、事務局からまず説明をお願いいたします。
○井内室長 それでは、資料2と書かれました1枚の紙でございます。これで御説明をさせていただきたいと思います。
厚生科学研究につきましては、先ほど資料1-2の中でも御説明させていただきましたように、去年の11月に審査をしたもので、提供が6月1日現在で1件、最終的には9月28日の時点で全件提供できたということなのですが、実際それまで進捗が想定よりも少し時間がかかってしまったという反省を踏まえまして、現行のシステムがどのようなもの、どういった問題があるのかという分析、かつデータセンターは大体5年に一度の改正というか、データセンターの仕組みを検討しますので、我々のほうもこのままいくと26年度にデータセンターの改修があり得る。そういった中で将来またデータセンターを考えるときに、今回の経験を踏まえてどのようなものを考えていかなければいけないのかということを検討していただくために、研究班の中でこういったお願いをした。研究班のほうもこの夏くらいから始まっておりますので、まだ全然結果が出ていないのですけれども、有識者会議の中でこういった議論をしていただくことで、無理やり事務局からお願いしまして、現時点でわかっているようなものについて、大まかな方向性だけでも結構ですのでということで書いていただいたものでございます。
まず「1.現行のデータシステムについて」で、やはりボトルネックになっている部分の検証をするべきということで、これも研究班の中で個別にいろいろなところをしていただいているのですが、実際私も研究班のほうで見させていただきましたが、ここの検証がなかなか煩雑になっていますので、そもそも人が足りないのか、機械のどこが悪いのか、何を直せばいいのか、どういう工程管理をするべきなのかをしっかりと検証して、今後に生かすようなPDCAサイクルを回すことを考えていかなければいけないという御指摘をいただいております。現状でも直すべき工程管理等、直すべき点はあると我々としても認識をしているものでございます。
「あるべき将来のデータシステムについて」ということで、ここの検証をするときに何でも欲しい、何もかもが欲しいというようなことではなかなかどういうデータベースがいいのかが決まらない。必要なアウトプット、明確にこういうものを出すのだというデザインがなければ、それにふさわしい機能性の高いデータベースはつくれないというのが専門家の意見でございます。将来どういうものが必要かというのも含めて、今、この研究班の中でもどういったことがあり得るのかを検証していただいておりますが、当然そういったことを考えてやっていくべきだということ、あとデータの処理過程がブラックボックスとなるような仕様を避けるということで、少なくともどこがどうなっているのかが誰からもわかる仕組みをつくっていく必要がある。我々も素人だというのもあって、どこがどうなっているかを任せ過ぎのところもありますので、そういったところでの苦言をいただいているということで、こういったところについてどういう形にすればそれが見えるようになるのかを少し検討していきたいと考えております。
具体的に検討すべき主なポイントということで、目的別データベースの構築、早いデータの提供のためには全てのデータをなめて集計するよりも、目的別データベースをつくっておいて、それをピックアップすると非常に効率よく早くなるというような技術的なこともあるそうですので、そういったことの検討も進める。あと、何もかもが特別抽出の今のオーダーとならないように、いわゆるオンサイトセンター、そういうこともあり得るかどうかも考えるべきではないか。現在、匿名化に使っておりますハッシュ値等の精度向上についても少し課題がある。こういったことを幾つか上げていただいて、この項目について今、いろいろ検証を進めていただいているものでございます。
「3.利用しやすいデータ提供環境の整備」で、データ提供者と密なコミュニケーションができる環境を整備すべきということで、研究班の中でも我々の1回目の提供が想定よりも時間がかかった中での分析をしていただいた結果は、そもそもの工程もあるのですが、実際に申出者がこういうデータが欲しいということと、データセンターのほうがこういうデータでいいのではないかという意思疎通のところでミスマッチがある。それが1回あると工程で大体1カ月くらい飛んでしまって先延ばしになるというようなことが、全件ではないのですが幾つかあったということで、やはりこういったところをきちんと確認するテクニカルな方法を確立するのも必要ということで、こういった御提言をいただいているものでございます。研究班のほうからは、年度末にはもう少し詳細に出てくると思いますが、今の時点ではこういう方向で少し課題等があるという御指摘を現在いただいているものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
これまでのデータ提供の経緯も踏まえて、かなり技術的な課題が幾つか提案されていたかと思いますけれども、何分これは検討の途中経過ということを踏まえて、何か御意見、御質問がありましたらよろしくお願いいたします。これも議題3の議論には含まれますので、実際の25年度以降のあり方に関してはまた御議論いただくとして、ただいまの説明に関しまして何か御意見、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。
今中先生の調査の一環として、各分野の専門家に集まっていただいて朝の10時から夕方の5時まででしたか、かなり長時間の検討をしていただいたようです。私も参加させていただきましたけれども、その議論も踏まえて、今、おまとめになっているところだと理解しております。いかがでしょうか。
御議論は次の議題3のところでいただくということでよろしゅうございますか。
では、そうさせていただきます。
次の議題、本日最も重要な議題でありますけれども、「現行の運用を踏まえた主な論点(案)」に移りたいと思います。案が資料3として出ておりますので、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○井内室長 それでは、資料3の説明をさせていただきたいと思います。これにつきましては、資料1シリーズ、資料2を踏まえて、実際山本先生のところで検討いただくということです。ただ、少し何か項目が立っていないということで、方法論として事務局で一応立てさせていただいたものですので、余りとらわれずに山本座長のもとに御検討いただければと思っております。
まず事務局のほうで考えましたのが、1つ目の大きなところ、レセプト情報及び特定健診等情報の第三者提供の運用ルールの問題でございます。
まず「(1)運用の枠組みについて」で、試行期間の設定ということで平成23~24年度が試行期間と位置づけられております。
論点といたしましては、25年度以降運用方針を決定して、ガイドライン等を整備する必要があるかどうかも含めて、どのような方法でやっていくのかいかないのか、そういったことを決めなければいけないというのが1つございます。
2つ目、有識者会議における審査でございます。原則個別の申し出全てに有識者会議ではデータ提供をするかどうかという検討をいただいており、かなり丁寧な議論をいただいていると事務局としては認識しております。
個別申し出全てに有識者会議の中で議論しているということで、有識者会議の委員の方には一定の負担がかかっている、さらに今後申し出がふえることで負担がさらに増加することが実際想定されるという問題がございます。
今後、論文チェック、事後の審査が出てくるということで、今は基本的には事前のチェックが主でございますが、論文や最後オープンになる情報の中に個人情報が含まれていないかどうかのチェック等々についても行うというスキームになっておりますので、データ提供させていただいた方から返ってきたときにどういう対応をするのかということが現状では課題としてあると思っております。
有識者会議の開催が不定期で申し出の受付期間が一定になっていないということで、申出者にとっては研究計画の整備が困難。例えば今回パスをしたら、次にいつ公募があるのだろうというのがなかなか今の時点ではルールがない。半年後かもしれないし、1年後かもしれない、厚生労働省が公募と言うまで待たざるを得ないというのがあるというものでございます。
論点といたしましては、個別の申し出前に有識者会議で議論するという審査方針を踏襲する、もしくは変えることも含めてどのようにするのか。
あと論文チェック、事後の審査がふえる、有識者会議の機動性を確保するというようなことが今後の課題になってくるのではないか。事務局としても少しこまめに相談させていただきたい案件がふえると思っております。
「その他」のところで、現状といたしまして、手数料の法的根拠、情報漏えいに対する法的罰則がない、あくまでも私法上の契約に基づいてデータ提供を行っている。
この手数料の設定、法的罰則をどのように考えていくかというのが1つ、運用ルールの大きなところでの課題としてあると思っております。
次に「(2)運用ルールについて」の「個人情報保護法」です。これは運用ルールの細かなところでこのあたりのことを主要論点としてどのように考えるのかということで上げさせていただきました。
患者情報の位置づけ、ハッシュ化された患者情報は通常単独では個人の情報を特定できないので個人情報に当たらないと考えられるが、他の情報と照らし合わせることにより個人が特定される可能性がないとは言い切れない。個人情報に準じた扱いとしている。こういった扱い。
医療機関・保険者に対する情報の位置づけということで、先ほど1-2でも説明させていただきましたように、個人立の医療機関の機関コードに関する情報は個人情報に該当するという形で進めさせていただいております。
ここについては踏襲することも含めてどのように考えるのかが非常に大きな論点としてあるかなということで上げさせていただいております。
疫学倫理指針の適用につきましても、いわゆる疫学倫理指針の適用対象とすることで、基本的には今、やっております。ここについてもどのように考えるのかが論点としてあるのかなということで上げさせていただいております。
さらに「提供依頼の申出を行える者の範囲」ということで、これにつきましては統計法の中でもありましたけれども、試行期間においては手数料の法的根拠、情報漏えいの罰則がないということで、事務局の体制も十分ではない。まだまだデータセンター等も十分ではないのですが、特に効率的に公益性の高い研究に情報提供を行う必要があるという現状ということで、現状は先ほどの?~?、7パターンの申出者に限っての提供にさせていただている。
ここについてもどのように考えていくのかということがあるのかなと。これはもちろん今のままでいくというのも含めてという意味で、一応主要論点として上げさせていただているものでございます。
セキュリティのほうにつきましても、個人情報保護でいわゆる基本的事項、所属機関、利用者ということで、かなりリジットな要件が課されている。ここについてどのように考えていくのかということでございます。
3ページに行きます。ここまでが一応運用ルールの中での主要論点でございます。
「2.実際の提供にあたっての課題」で、「ガイドラインの周知・改訂」です。ここにつきましては現状としてウェブサイトからガイドラインを閲覧できるようになっている、申出者にあってはこれがかなり大きな情報源になっていること。
公表に当たっての一応の基準のところも先ほど御説明させていただきましたが、実はガイドラインのほうにきちんと反映し切れていない、これは我々の反省も含めてそうなのですが、そういうような現状もあるということです。
論点としては、ガイドラインを見やすくすること、あとガイドラインを適時変更するというような手順を、我々のほうからも運用上お願いしていきたいということも含めてここについては書かせていただいたものであります。
あとデータ提供までの期間ということで、先ほどございましたように想定以上の時間を要したという実態がございました。
論点としては、データ提供までの期間を計画性を持って短縮できるような検討が必要ではないかということです。
4ページにまいります。申出者とのコミュニケーションということで、これも資料2で研究班のほうからも指摘がされておりましたが、申出者のコミュニケーションが必要ではないかということ。ここの現状としては、原則は事前審査、審査後の承諾不承諾の通知、一応ここでの議論等を丁寧に書かせていただいているつもりではあるのですが、申出者からすると紙が1枚来るということになっております。
先ほど1回目の意見提出のときにありましたように、何をどこまで書けばいいのかがよくわからないではないかというような意見等も幾つかいただいていること、あと有識者会議の審査に関しましては、知的所有権等々もあって基本的には非公開とされていますので、そこでどういった点がポイントになっているかが、実は申出者のほうからは全く見えないということがある。これで申出者のほうに具体的にどういう形で持っていけば実際審査をクリアできる、申出者の立場になるとクリアするということだと思うのですが、そういった方策を考え得るのかといったときに、かなり情報がない状況ではないかと認識しているもので、論点で上げさせていただいております。
「申出者との手続き」というところですが、実際ここでは幾つか上げさせていただいていますが、事務局としてもガイドラインに従うと申し訳ない運用になってしまうなというものがある。例えば・の1つ目で書いておりますが、データ提供が想定よりも遅くなったということで、申出者のデータの利用期間の延長が生じる。ただ、利用期間の延長については、ガイドライン上は再度審査を行う必要があるという枠組みになっているので、ガイドラインに忠実に従うのであれば、もう一度書類を出していただいて再度審査ということを申出者に言わなければいけない。
それについては、こちらの提供が思ったよりも遅いことが原因にもかかわらずそういった対応になり得るということで、もともとこのガイドラインは、それに基づいて運用を試行してみるという性質のものでありましたので、そこで少し齟齬が出ている部分があるという紹介でございます。
こういった齟齬を実態に即した形式に改めていく必要はないかということで、論点として上げさせていただいているものです。
「実地監査について」です。現状では申出者に対する実地監査を全て申出者に行っているということで、今後提供数が増加してくるというような課題が当然ある。実地監査の体制強化以外にセキュリティ確保ということも論点としてあるのではないかということでございます。
次に「(6)データの精度管理について」であります。先ほどの効率のいいデータの精度管理は現在データセンターで行っている。
第三者提供を進めるに当たっては、申出者からデータに対する問い合わせ等が増加する。例えばこれとこれはこういう数字が出たのだけれども、これはおかしくないのかというような確認等が出てくる。あと効率のいいデータのものであったり、一部データ提供したときにデータが足りなかったということがあって、後日追加をしたということも第1回の特別抽出ではあったということで、精度管理についても論点として上げさせていただいております。
「データセットの整備や利便性の確保について」です。これにつきましても今、有識者会議の中ではデータセットの整備を進めるべきということで厚生科研等で進めさせていただいていますし、利便性の確保ということで、基本データセットの整備だけでは対応が難しい研究はどういった対応がとり得るのかを論点として上げさせていただいている。
我々としましては、現行事務局として運営をさせていただいているのとあわせて、有識者会議の中での議論ということで論点を幾つかまとめさせていただいて、こういったところが現状の課題としてあるのかなとまとめさせていただいたものでございます。あとはよろしくお願いいたします。
○山本座長 どうもありがとうございました。
それでは、本日の中心議題でありますけれども、現行の運用を踏まえた論点を議論していきたいと思います。今、事務局のほうから資料3にとらわれずにというお話もございましたけれども、一応これまでここで議論があったようなことは大体ここに出ていると思いますので、まずは資料3の論点についてそれぞれ御議論いただいて、その過程あるいはその後にここにない論点がございましたら御議論いただくということで進めていきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、資料3の「運用の枠組みについて」ということで、試行期間を23、24年度と初めに決めたわけですけれども、25年度以降についてどうするかという問題です。これはいかがでございましょうか。
どうぞ。
○宮島委員 大変失礼ながら、業務で中座しなければいけないので全体のことを申し上げます。
今、論点を上げていただいたところがすごくあって、まさに試行期間が切れた後に、どのくらいタイトなガイドラインをつくっていくのかということと、この体制で話し合いが十分なのかというところが大きな論点になると思います。
まず、体制に関してですけれども、やはり幾つか、まだそんなにたくさん申請が出ていない中でも今の委員の中で議論をしていくのがかなり難しいというか、時間がかかったり大変で、今後数がふえるとすごく大変になることを考えると、今の会議だけで進行するのは結構厳しいかなと思っておりまして、分科会というか、それを専門的にやっていくような形は必要なのではないかと思っております。
またガイドラインですが、確かに2年間試行期間があったのですけれども、2年間の試行期間で全部の問題がクリアにわかったという状況には必ずしもなっていないと思いまして、仮にガイドラインをきっちりつくる場合でも、個人的には何年かに一度というか、2年に一度など見直し条項みたいなものをきっちりと入れていく必要があると思います。例えば具体的にいいますと、試行期間でも私が意見を申し上げたことがありましたのは、申請をする人の範囲に関してで、これはたった今、試行期間においてこの範囲に限るということに関しては全く問題がないと思うのですけれども、これが未来永劫この範囲なのかというところに関しては異論があります。もちろんこのデータは使い方によってはものすごく莫大な利益につながることがありますので、本当に入れ方によってはむしろ罰金とか懲罰を相当高く掲げないといけないという側面もあると思いますが、一方で私のふだんの取材その他からしますと、必ずしも公だけが全て間違いがなかったり悪意がなくて、企業ですとか民間が常に悪意があるともなかなか割り切れないと思っております。むしろ個別を丁寧に見ていきたいという中では、あるいは民間のシンクタンクなどでも、諸外国を見てもかなり優秀な研究が現実にはあることを考えれば、民意との中でどのくらいの範囲が今だったらちょうどいいのかを、やはり事態の推移に従って見返していく必要があるのではないかと思います。そういう意味では例えば申請者の範囲においては、たった今、これを拡大する必要があるとはそんなに思っているわけではありませんけれども、これが未来永劫ということになりますと、それを破るのがすごく大変な作業になりますので、あらかじめ何年に1回かちゃんとそれぞれの項目について見直すということをガイドラインに含めておく必要があると思います。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんでしょうか。いずれも非常にごもっともな御意見だと考えます。宮島委員は途中で出られるということで、まず全体の御意見をいただきました。その中の運用の枠組みについての論点で、想定した試行期間は24年度で終わるわけですけれども、25年度以降どうするかということで、これは情勢を見ますと、1つは、今、マイナンバー法案がどうなるかわからない状況で、その中で言われている医療の情報のデータ保護に関する法制度の検討も、パブリックコメントには出ていましたけれどもその後の検討がどうなるかわからない、つまり外側の枠組みが今のところなかなか決まらない状況ですので、例えばこのデータベースの利用に関して法整備をして罰則を定めたり、あるいは料金を定めて有料化するみたいなことがなかなか難しい状況に現在はあると思うのです。したがって、これは少し周囲の状況を見ながら、今、宮島委員がおっしゃったように、リジットなものにするのではなくて、随時検討するということで現状を少し延長していく。試行期間という名前はもう使えないと思うのですけれども、試行期間が終わっても、これで何かを未来永劫決めてしまうというわけではなくて、状況に応じて随時検討していくことを前提として、期間を切った利用ではなくて、期間を切らない利用に移っていくというふうにすることが妥当かなと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
どうぞ、府川先生。
○府川委員 今の宮島委員の御意見に賛成で、民間のシンクタンクにはいずれ適正に使えるようになるというのは大賛成なのですが、現在の2年間の試行期間で利用がまだ十分進んでいないし、問題点も十分洗い出されていないとおっしゃいましたけれども、試行期間フェーズ2をあと2、3年くらいもう一回やって、問題点を全部洗い出して、それからいろいろな罰則なり何なりを決めたほうがよいと思われます。周囲の環境が流動的だということがありますので、そういう問題は少し先送りして、試行期間のフェーズ2をやったらどうかと思うのです。
むしろ私の懸念は、データセンターでの対応が非常に遅くて、データの提供が遅いので、そこについて実際に何かてこ入れができるかどうか。試行期間のフェーズ2では相変わらず非常に抑制的な運用をするというのは私は賛成です。問題点をできるだけ多く洗い出して、それからいろいろなことを決めたほうがより現実的なのではないかと思うのです。先ほど言いましたように、データの提供をもっと早くする。そのためには人手もかかるし、予算もかかると思うのですが、それが可能なのかどうかがわからないと、次のやり方について議論ができないのです。それについてそういうものが可能かどうかがわからないので先に進めないと私は思っているのです。
○山本座長 ありがとうございます。その点に関しては資料2で御説明があったように、今、鋭意検討している最中だと思うのですけれども、最近若干早くはなってきているのです。何かそれに関して事務局のほうから見込み等はありますでしょうか。
○井内室長 まず現行の仕組みでやっている部分については工程管理等々をリジットにするということと、データセンターとのやりとりを密にする。あとデータのやりとりで行き違いがないようなフォーム等を、今、事務局とデータセンターでつくっているので、幾分そのあたりでの無駄は省かれてくるということで、急に鈍行電車がロケットになることはないと思いますけれども、一定程度急行列車くらいまでは何とかできるかなとは思っています。
将来的な方策ということで、まず我々として一定程度方向性があるのは、今のシステムは5年ごとの改修を予定しておりますので、予定どおりでいけば26年度にデータセンターの改修を行う予定にしておりますので、そのときまでにしっかりとどういったデータ提供が必要なのかどうかも含めて論点整理ができた上で、それに対応するようなデータセンターをつくる。前も御説明させていただいたとおり、今はデータを積み込んでいる間は抽出できないとか一方通行のものなのですが、もちろんそういうものも完全に外して、データを積み込んでいるときも別のものでちゃんと抽出できるようにするというように、そもそも抜本的に変えていくことが必要だと思っていますので、そういったことを踏まえてやっていく。そのときにどういったものが適切かを事前に少し深く掘っていただくために研究班にも検討していただいているということですので、少し26年度に向けてやれることはやっていきたいなと思っているところです。
○山本座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○冨山委員 先ほど座長がおっしゃったように、マイナンバーの個別法が来年度の通常国会に出せるかどうかまだわからない中で、医療情報の保護について決まらない状況で試行期間をもう少し延ばすほうがいい気がいたします。
○山本座長 試行期間という名前で延ばすのか、それとも私が思いますのは、こういうデータベースの話は常に技術との兼ね合いがあって、恐らく3年後には3年後の問題というか、3年後には3年後の改善があって、5年後には5年後の改善があるので、結局は常に見直す必要があるのではないかなと思うのです。したがって、宮島委員が言われたように、これはもう見直すものなのだということでこの先の運用を続けていくほうが、試行期間にするとまたその試行期間が終わったときに今度どうするかという議論になるので、もうそこは見直して進めるものなのだという位置づけにするほうがいいのではないかと私自身は思うのですけれども、ほかの先生方はいかがでしょうか。
では、稲垣さんから。
○稲垣委員 私も今、座長からお話がありましたような考え方でいいのではないかと思います。2年間といっても、やっと1つの枠組みができたということで、これからという段階でございます。ただ、また試行かというと、ちょっと違うのかなと。この種のものはいわゆるPDCAを回していくということで常に見直しが必要ですから、節目で見直しを行っていくということでよろしいのではないかと思います。
この中で特に有識者会議における審査ということで、宮島委員からもコメントがございましたが、前回ちょうど幾つかの案件についてそれぞれ審査結果を持ち寄るということでしたが、特に学術的な寄与度オリジナリティーなど、かなり専門性が求められる部分もあります。この有識者会議のメンバーも有識者の方々と、その他団体の代表者という形になっていますから、その辺はより機動的なやり方で、分科会的にやること是非考えるべきではないかなと思います。
以上です。
○飯山委員 試行期間ということで、いろいろ問題点があったら洗い出して、それをどういうふうに解決するかが主眼点だと思うのですけれども、事務局として何か決定的にまだ試行しなければいけないようなデッドロックみたいなものがあったと認識されていますか。それともそこら辺のところはもう一応大丈夫ではないかと感じられているか、まずそこをお伺いしたいです。
○井内室長 事務局といたしましては先ほどもお話しさせていただきましたように、いきなり本格運用になったから、今、鈍行電車で走っているのをロケットにしろと言われてもなかなか難しいかなとは思うのですが、1歩ずつ電車を早くしていくとかいうような過程においては、試行期間であっても、通常運用であっても同じプロセスです。座長からも御指摘があったように、多分もう少しレベルは高いとは思うのですけれども、これは3年後も5年後もいろいろここを直す、あそこを直す、特にテクニカルなものについては新たな技術が出てきますので、そういうことはあり得るのかなと思っております。そういう意味で例えば2年後に何もかも解決するわけでもないですし、今の段階である程度できることをきちんとやっていくということで、我々としては今と同じような考え方で進めさせていただけるかなとは思ってはおります。
○飯山委員 そういうことであれば、もともと1つ物事を決めたから絶対何も修正しないでそれで突っ走るなどということはないはずなので、いろいろ修正を加えながら少しずついいものにしていくプロセスだと思います。先ほど座長、稲垣委員がおっしゃった方向でいいのではないかと私は思います。
もう一つ、審査の仕方としまして専門性があるところがありますから、それぞれの持ち分に応じてというのもありますし、もう一つ、先ほど論点でお話がありましたように、不定期で申請を受けるということになると、本当に相手方のほうも大変でしょうから、例えば年2回とか、3回とか、時を区切って、そこまで来たものをある時期に審査するというスケジュールをきちんと出すような方向がいいのではないかなと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○三浦委員 利用する研究者の側のお話をさせていただきます。私が模擬申請での分析結果を学会発表させていただいたときにも研究者からもいろいろ質問がありましたが、今の運用方針が同じであれば、やはりかなりハードルが高いという印象を研究者のほうは持っています。なので、急に本格運用になったからといって申請がどっとたくさん出ることにはならないのではないかなと思っています。試行期間がさらに延びると、研究者のほうもまたなぜ試行期間なのか、いつまで続くのかと不審に思うと思います。やはり試行期間という言葉ではなくて、運用方針を時々見直すというような形で運用していくのがいいのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
では、一応25年度以降は試行期間という名前ではなくて、スタートは当然現在の運用をそのまま継続するわけですけれども、それを適宜見直していく、見直す場はこの有識者会議であるということでいきたいと思いますけれども、そのような議論でよろしゅうございますでしょうか。
「有識者会議における審査」のところの論点で、これから先、公表のチェックもしないといけないとか、さらには事務局のお話どおりにスピードが上がっていくと申請もふえてくるかもしれない、それから、不定期であるという問題点があって、これは今、何人かの委員の方々から御発言があったように、有識者会議の会議体の下にといいますか、この中に審査の分科会を設けさせていただいて、そこで今、三浦先生からもお話しの、時期をきちんと決めて審査をするという体制に移行していきたいとすることがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
では、皆さん、御賛成のようですので、人数をどうするかという問題はありますけれども、少なくともここよりは少し軽い形で動けるような形で分科会を設置して申し出の審査を行う。
それから、運用ルール等も随時見直していくわけですから、この検討は今の会議体でしっかりと見ていこうということにしたいと思います。ですから、申請も年2回くらい定期的に必ず審査をするという形でいかせていただいてよろしいですか。3回は余りにも間隔が短く、4カ月になってしまいますので。
あと申し出によっては我々の中から専門家で分科会をつくったとしても足りない可能性があると思うのです。研究主題によっては少し専門家の意見を聞いたほうがいい場合もあると思いますから、その場合は必要に応じて専門家から意見を聞けるようにするということも決めておいたほうがいいかと思うのですけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、その次の論点として、手数料の制定、法的罰則、法整備をするということが一応試行期間の最後には決めるとされていましたが、高齢者の医療の確保に関する法律でつくったデータベースでこの第三者提供はいわば法に定められていないということから、契約によって提供しなければならず、契約による提供は結構弊害もあって、その法人のトップの人の公印が必要で、例えば東京大学だと総長印が必要ですがで、なかなか総長印はそう簡単にとれないため、いろいろ申請者に御面倒をおかけしているのです。先ほども申し上げましたように、これ以外に検討されている個別法の問題とかがあって、なかなかここだけで先に決めることが難しい状況かと思います。そうすると、法的裏づけがないと、今、ここで手数料を決めるのも大変な話なので、手数料に関しましては制度の中でいろいろなものを提供する手数料の前例もあることですから、これは引き続き調査をしていただくということで、あと法整備は今、ここにいらっしゃる委員の何人かの方々にも御参加いただいて個別法の検討もされていますので、そのような動きを見つつ、ここでまた議論をしていくというふうにするということでよろしゅうございますでしょうか。一応試行期間ではこれが終わるときに決めると書いてあったのですけれども、そこも少し先延ばしということになろうかと思いますけれども、よろしゅうございますか。
それでは、その次の「運用ルールについて」の論点です。患者情報及び医療機関、保険者情報の取り扱いは現行のままでよいかということです。先ほど来、少なくとも25年度以降も当面といいますか、切りかえ時は現在の方針で引き続き続けていくということが大方の皆さんの御意見かと思いますけれども、いかがでしょうか。これも特段ここで今、変える必要はないということでよろしゅうございますか。
それでは、当面現行どおりにさせていただいて、また必要に応じて有識者会議で御議論いただくことにさせていただきたいと思います。
「疫学倫理指針の適用について」の論点で、匿名化されているか、個人情報なのか個人情報ではないのかという議論は、一応我々の有識者会議の結論としては、これは個人情報として扱うべきデータであるとなっていたかと思いますので、疫学倫理指針の適用対象であるという解釈は当面変える必要はないかと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
「提供依頼の申出を行える者の範囲」は、先ほど宮島委員のほうから見直す時期が来たら見直すべきではないかという御意見がございましたけれども、この点に関してはいかがでしょうか。
どうぞ。
○飯山委員 公益法人なのですけれども、法律が変わっていますのでどうされますか。公益社団、公益財団に限定するのかどうかということです。
○井内室長 事実関係を整理させていただきます。○山本座長 その点に関しては次回整理をしてお返事をいただくことにいたしましょう。
多分この範囲を広げるためには、前提としてやはり法整備が必要ではないかと我々は議論してきたと思うのです。これは今、法的裏づけがない状態で、契約ベースで提供するために、契約ベースで履行確保できるような主体ということで対象を決めていたところがあるかと思います。そういう意味では今、周囲の状況からすぐには法制度をつくるところに至っていない状況では変える理由がないといいますか、特段原則として今、定めているルールを変える必要はなくて、もしも非常にこの範囲で問題があれば、またその時点で有識者会議で御議論をいただくということでよろしいでしょうか。
では、そのようにまとめたいと思います。
「セキュリティ要件」ですけれども、これも個人情報として扱うべきデータであるという前提に立ちますと、変えるという選択肢はないのかなと思いますけれども、そこはよろしゅうございますでしょうか。御異論ございますでしょうか。
最後のほうで多分議論になろうかと思いますけれども、今、今後の提供のあり方に関しまして新たなデータセットを厚労科研でつくっていただいているとか、あるいは先ほどの資料2の御報告にあったオンサイトセンターみたいなものができた場合にどうするかというのはまた議論が必要と思いますので、そこは最後のほうにまた御議論いただければと思います。
「実際の提供にあたっての課題」の論点で、ガイドラインがわかりにくいということと、個々の申し出に対して検討した内容でガイドラインに反映できることは漸次改定項目として盛り込んでいけるように何らかの手順を決めるべきではないかということです。まずは申出者から見てガイドラインがわかりにくいということで、これは今、ガイドラインが1つにまとまっているので、本当に全部読まないとなかなか理解できないところは確かにあるかと思います。やはり事務局から少しわかりやすく整理した形の案をいただいて、次回検討いただくということにさせていただければと思いますけれども、それでよろしゅうございますか。
もう何度の議論が出ていますけれども、この有識者会議で全てのことを適宜見直していくことは皆さんに御了承いただいていますので、これはガイドラインに関しましても申出者からいろいろな意見をいただいたり、実際の提供を通じてわかった問題点、あるいは先ほど事務局からのお話にもありましたけれども、事務的な要件で申請を変更しなくてはいけないときに、今は全部出し直してもらわないといけないみたいな、相当負荷の強いところがあったりしていますので、そういったことに関して常にここで議論をし、改定していくのだということをもうガイドラインの中に書いてしまおうと思いますけれども、それでよろしいですか。
それから、ガイドラインをつくってから実際の提供したデータの公表に当たって、公表ルールを一部制限つきで変更したことが我々の中でございました。これも一応の基準という形で議事録には残っているのですけれども、今のところガイドラインに反映されていないのです。これも事務局のほうで再整理していただいて、次回に案として出していただくことにしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
ガイドラインに関して何か御意見はございますでしょうか。もっとここを変えたほうがいいとか。
どうぞ。
○府川委員 また資料3の1に戻ってしまうのですが、「有識者会議における審査」の「2)論点」のところに、成果物について有識者会議がどのように関与するのかということについて以前から議論があったと思うのですけれども、こちらの資料1-2の15ページに有識者会議の開催要綱があるのですが、それを読む限り成果物についての審査までは余り読めなくて、提供までについて有識者会議が機能すると読めるのです。結局誰に提供するかというのは成果物まで責任を負って完結するとは思いますけれども、有識者会議の機能について、成果物に関する部分の機能が曖昧で、以前も議論があったと思うのですけれども、それについて少し整理しておいたらいいのではないかなと思います。
○山本座長 それは設置要領を変えるのか、あるいはガイドラインにそれを書き込むのかということで、明確にしておいたほうがいいかと思います。当然ながら成果の学術的内容とかに立ち入るわけではないわけで、これはあくまでも提供したことによって患者さんあるいは医療機関に対して思わぬ被害を与えないことを確認することが我々の仕事だと思いますけれども、それは明文化しておいたほうがいいですね。ありがとうございました。どこかにそれを入れるようなことを考えていきたいと思います。
その次の「(2)データ提供までの期間について」ということで、これは先ほど井内室長からあったように、聞いている範囲ではかなりスピードは上がってきて、どちらかというとデータベース側の事情と事務処理が大体拮抗してきている状態で、1つ間違えると事務処理のほうでリミットに達してしまうみたいなところにまで来ていると聞いておりますし、これは先ほどの資料2のほうにありましたような改善策を26年度に向けてとっていくことである程度は改善されるかと思いますので、現状の厚労科研の枠組みを使って改善策を模索していただいて、もちろん全体の運用にかかわることであれば有識者会議に出てきて決めることになりますけれども、そのような方針でよろしいですか。というか、ここでそれ以上のことはなかなか言いがたいという気がするのですけれども、よろしゅうございますか。
それでは、その次の「申出者とのコミュニケーションについて」ということで、これは公開でなかなか審査をするわけにはいかないと思うのです。なぜ公開しないかというのは申出者の研究のアイデアのオリジナリティーを保護するのに必要なのですけれども、逆に審査の内容がなかなか見えないという御批判も一部にはあるようです。もちろん皆様方の御意見をいただいて、申出者に対する返事にはできるだけコミュニケーションを密にとって、あるいは提供しないと決めた方からも御意見をいただくことに努めてはいますけれども、これが十分かどうかということだと思います。これはコミュニケーションがよければ当然ながらいいわけですけれども、今、厚労科研の一部でそれを検討していただいていますので、御意見が出てくれば可能なところから実施をしていくということでよろしいでしょうか。この場で何か特別な御議論があれば伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。それでは、また随時有識者会議でも何かアドバイスがあればいただくことにして、当面は今、検討していただいている内容の経過を見て、可能であれば対応していくというふうにさせていただきたいと思います。
その次が手続です。申出者の手続をより実態に即した形式に改めていく必要があるかないかということです。実態に即して改めていく必要はあるとしか言いようがないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
特に変更申請であっても、もう根本的に違う申請に変えるみたいな話は当然出し直しで一から手続を踏んでいただく必要があるかと思いますけれども、かなり事務的なものとか、あるいは項目の選択に関して非常に軽微な修正があったみたいな場合は、一々公印をいただかなくてもそれを変更できるようにするとかいったことはしておかないと、本当にガイドラインに従ってやると相当大変な手間になっているようですので、その辺は少し案をつくっていただいてまた御検討願うということでよろしゅうございますか。
ありがとうございます。
実地監査は今、全件やっているのですね。全件やって、全件問題が出ているというわけではないですか。
○加藤補佐 監査には行かせていただいております。根本的に何か利用環境であるとか、そういったところに大きな不備があるという事例はございません。ただ、例えば申し出いただいた書面と実際のところで非常に軽微な修正をお願いしたりするような場合はございます。
○山本座長 ありがとうございます。
大きな問題はないのですけれども、小さな問題は少し出ているということですね。監査を行うということは、何度も申し上げますけれども、こういうデータを今、ベースになる法制度がない中で提供していく上で安全性を確保していくという、ある意味我々の責務なわけですけれども、これを担保する手段としては監査は非常に重要だと思うのです。
加藤さんが全部この監査を行っているのはちょっと大変なので、例えば今、監査を行えるような資格はたくさんありますし、そういったところに適宜委託することができるようなことを考えていいのではないでしょうか。
もう一つは、オンサイトセンターの整備が可能であれば、そもそもセキュリティ環境はオンサイトセンターが備えているわけで、そこに入った研究者はそこから持って出る情報だけをチェックすれば、確実にそれが安全なものであるということを確かめればいいわけで、そういう意味では監査の必要はないことになるのです。これは、今日お休みの松田先生が常にオンサイトセンターが必要だ、つまり研究者にとってやはりデータセキュリティーを本当に確保するのは非常に大変で、それをやってでも、あるいは研究室を改造してでもやるような研究と、そうではなくてこのデータが少し見たいという位のときにはそこまでやれないので、できればそういうことができるセンターを用意してほしいとおっしゃっているのです。私自身もオンサイトセンターはあったほうがいいと思いますので、これは引き続き検討を続けることにさせていただいてよろしゅうございますか。
ありがとうございます。
その次はデータの精度管理。精度管理にもいろいろな意味があって、一つはデータが欠落していたみたいな精度管理もありますし、もう一つは例えばハッシュのもとになっているデータが、半角文字が入ったものが、全角文字が入ったりして、そもそも一致すべきハッシュが一致しないみたいなものも精度管理だと思うのですけれども、これはどうやってしていくかということが問題で、しなくてはならないということに反対の方は多分いらっしゃらないと思うのです。
どうぞ。
○頭金委員 研究者の立場としても、データの精度がどのくらい正しいのかというところがブラックボックスになっておりますと、研究そのものがなされないことになりますので、ぜひデータベースの信頼性を高めるという意味でも、精度管理について例えば特別のそういうスタッフを配置するとかして、100%正しいデータベースは基本的にないと思いますので、どこまでなら正しいとか、どこまでなら精度を担保されているということをきちんと検討できるような部門も将来的には考えていただきたいなと考えております。
○山本座長 ありがとうございます。
ぜひ必要なことだろうと思います。
どうぞ。
○三浦委員 私が模擬申請で特定健診データを分析させていただいたときも、データ提出をする保険者のところでの入力間違いとか、とんでもない誤った数字が入っていたり、そういったエラーは必ず何%かありました。従来の疫学研究では、そういうエラーは必ずあるということで、研究者としてはクリーニングを自分でして、それで使うということも研究のうちなのですけれども、そう考えますと、提供するデータが完全にきれいなデータではないということを提供するときにも伝える必要があるのではないかと思います。提供する側で100%きれいなデータにしてあげますよということにすると、逆に提供する側が負担が大きくなります。もともとデータを集める段階でいろいろなエラーが入ってくるデータなので、それを前提に使っていただくことも必要なのではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
少なくとも精度がどれくらいなのかというのは知らないと本来目的の医療費適正化計画さえ怪しくなりますから、精度を管理する仕組みは何とかしないといけないというのはありましょうかと思います。でも、これはデータベースの更新とか、そんなことも関連すると思いますので、これも引き続き検討していくということでよろしゅうございますでしょうか。
事務局が御用意していただいたペーパーでは最後になりますけれども、データセットの整備や利便性の確保で、論点はまず基本データセットの整備を進めていくということ、これは今、厚労科研のほうで検討していただいている最中です。最初に提供したのは本当に単純なサンプリングデータセットですけれども、例えばある特定の状況を調べるために少し安全性を高めた上で、尚且つ必要な項目をきちんと評価したようなデータセットのようなものが、幾つかの分野について作成されているように聞いております。これは安全性の確認が大前提ではありますけれども、整備を進めていくことに関しては特に御反対はございませんでしょうか。あるいはサンプリングデータセットもあれ1回でいいのかというのは、使っていただいた方の評価を見てからでしょう。もしもあれが一定の有用性を備えているものであれば、年度を変えてつくっていくとかいうことも多分必要だろうと思います。
その次の基本データセットの整備だけでは対応が難しい探索的な研究、今、手を出せないような状態になっている希少疾患のレセプトの研究といったものに対してどうするかという問題があります。一つは先ほど申し上げましたオンサイトセンターで十分なセキュリティを確保した状態で、アウトプットの安全性さえ確保すればそれが保証されるという仕組みをまずつくることによって、多分探索的な研究の一定の作業はできる、あるいは集計表の少し複雑なものを自らつくるみたいな作業はできると思うのです。
希少疾患のほうは今のデータベースそのままでは難しくて、最近非常に発展してきた分野にPPDMと略されるプライバシープリザービングデータマイニングがありますけれども、これはデータベースを全部暗号化してしまって、もう中は個別の情報が全く見えない状態で、その中の項目の集計値だけを計算できるという手法で、例えば筋萎縮性側索硬化症とついたレセプトだけを1つの箱に入れて、それを全部暗号化して、誰か、あるいは何の検査をしたか、何の薬かというのはそのデータベースをのぞいても誰もわからないのですけれども、あの薬を飲んでいる人が何人いるかは集計できるという技術が大分進歩してきていますので、恐らくそういうものを適用していかないとどうしても特定ができてしまうということになろうかと思います。これも今の状態ではございませんので、少し検討を進めていくということでよろしゅうございますでしょうか。
どうぞ。
○冨山委員 要望なのですけれども、歯科の場合、歯科単独のレセプトでの研究というよりは、医科のレセプトと合わせることによって全身との関係が見えてきます。そういうような研究をしたいという研究者は大勢いるのですが、基本データセットだけですと無理なので、そういうことも今後の課題として考えておいていただければありがたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
それは基本データセットをつくるときに連結した上で安全性を高めたデータセットということですね。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
事務局から御用意いただいた資料3の論点は以上です。これ以外に25年度以降の運用、提供に関しまして御議論いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。今、御意見をたくさんいただきました。今回は御議論いただくことが目的で、次回に本日の議論を整理した上で、この2年間のまとめと25年度以降のデータ提供の方針をまとめていただいて御審議いただくというような運びにしたいと思いますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。
それでは、「その他」に移りたいと思います。
事務局から何かありますでしょうか。
○井内室長 それでは、「その他」のほうで資料4を見ていただければと思います。資料4ですが、現在のデータ提供の進捗状況ということで取りまとめさせていただいております。
1枚目のほうでは第1回特別抽出、去年の11月の分ということで、データは提供済みで、監査も基本実施済み。
2ページでサンプリングデータセット、6月に審査いただいたもので、データ提供が5件やられていて、1件が追加申し出ということで確認中です。
第2回、9月に審査していただいたものは3ページで、今、通知発出という状況で、山本先生にも言っていただきましたように、一応1回目にデータ提供でまごついた経験を踏まえまして、サンプリングデータセット以降はかなり計画的に進んでいるということで、少しは改善しております。このペースであれば我々のほうとしても定期的に続けていっても大丈夫かなという感覚ではございますということとあわせて情報報告させていただきます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
皆様のほうから特に御意見はございませんでしょうか。
よろしゅうございますか。
○下高原補佐 済みません、もう一つ。高度化室と適正化室で室長補佐をしております下高原でございます。
前回の会議の際に協会けんぽの貝谷委員からいわゆる本来目的のほうで都道府県のデータ提供がどうなっているかという御質問がありました。資料5を用意しておりますので、お手元に御用意いただければと思います。
こちらは第三者への提供ということで適正化計画、本来目的の利用でございますが、まず○の1つ目「基本方針」でございます。これはいわゆるレセプトのデータベースから抽出できる特定健診の各検査項目、特定保健指導の各指導内容といったものに関するデータのうち、都道府県が医療費適正化計画を作成するに当たって資するものを、さまざまな観点から都道府県別等に集計した上で都道府県に対して提供するとともに、厚生労働省のホームページでも公表することにしております。これの根拠は、最後のページに条文を用意しておりますが、高確法、高齢者の医療の確保に関する法律の16条がその根拠になっております。
具体的な提供ですとか、データの公表の判断基準でございますが、○の2つ目でございます。都道府県が医療費適正化計画の目標ですとか、そういったものを設定するための検討に資するか、あるいは都道府県のほうから要望があるかなどを踏まえて、厚労省において判断をしております。
具体的な提供するデータのほうは次のページとその次のページに項目を並べております。
提供と公表に当たっては、当然ですが個人情報の保護には配慮いたします。特に公表に当たりましては該当数が1桁の集計データはマスキングをするとか、そういったところの処理をしております。
提供のスケジュールでございますが、○の3つ目でございます。10月17日に第1弾のデータを提供しております。今後年内にかけて順次提供、公表を行っていく予定でございます。これは都道府県に対してそうする、それから、ホームページでも公表するということでございます。
私からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
何か御質問はございますでしょうか。
よろしゅうございますか。レセプトと特定健診が結びついた値がないとか、目立つところはありますが、それ以外はよろしいですか。
では、どうもありがとうございました。
それでは、これで本日の全ての議題は終了いたしました。
次回はきょういただいた御意見をもとに一定の取りまとめができますように、事務局のほうで整理をよろしくお願いいたします。次回はその取りまとめを御覧いただいて御審議いただくことにしたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
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