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2012年9月11日 第4回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会議事録

医政局国立病院課国立病院機構管理室

○日時

平成24年9月11日 17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館17階 専用第18~20会議室


○議題

1 第3回検討会宿題事項等
2 法人の組織・運営等について
3 その他

○議事

○永井座長 では、時間になりましたので、ただいまから、第4回「国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、本日、お忙しい中、多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、齋藤委員、高橋委員、夏目委員が御欠席であります。
初めに、事務局から人事異動の御挨拶があるということでございますので、お願いいたします。
○渡辺国立病院機構管理室長 9月10日付で人事異動がありましたので、御紹介いたします。
 医政局長の原でございます。
○原医政局長 9月10日付で医政局長を拝命いたしました原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 この委員会では、3月以来、何回か回を重ねておられると聞いております。新しい法人制度への移行に当たって、国立病院、それから労災病院、今以上に、自律的かつ効率的な経営をしていただくということが目的でございまして、そのための制度がどういうものがいいのかということについて、さまざまな観点から御議論いただいていると聞いております。
結論は、最終的には26年の4月、1年9カ月ぐらい後には新たな法人制度発足ということになっておりますので、そのための準備も考えますと、次期通常国会に法律という形で出させていただきたいと。それまでしっかりとした議論をお願いしたいと考えております。
 最後に、またそのほか医療行政全般にかかわりましても、いろいろと御協力方、先生方にもお願いすることがございましょうが、そのときにはまたよろしくお願いしたいと思います。
 以上で私の挨拶とさせていただきます。
本日、所用がございますので、挨拶だけで失礼させていただきますけれども、引き続き活発な御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡辺国立病院機構管理室長 続きまして、労働基準局労災補償部長の中沖でございます。
○中沖労災補償部長 医政局長と同じく、昨日付で労災補償部長を拝命いたしました中沖でございます。
本検討会におきましては、労災病院につきましても、新法人になってから、最大限、機能、役割を果たせるよう活発に御議論いただいたと聞いております。今後ともよろしくお願いいたします。
○渡辺国立病院機構管理室長 続きまして、国立病院課長の土生でございます。
○土生国立病院課長 同じく、昨日付で国立病院課長に着任いたしました土生と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○渡辺国立病院機構管理室長 最後に、私、国立病院機構管理室長の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
○永井座長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事でございますが、お手元の次第にあるとおりでございます。最初に「第3回検討会宿題事項等」と、2に「法人の組織・運営等について」でございます。
それでは、議事に入る前に、7月9日に国立病院機構が開催しました国立病院機構アドバイザリーボードにつきまして説明をお聞きしたいと思います。機構からお願いいたします。
○清水副理事長 国立病院機構副理事長の清水でございます。
 お手元の資料、後ろから2つ目のものかと思います。右肩に資料3と書いてあるものがございます。表題は、ゴチック体で「国立病院機構『アドバイザリーボード』における提言のとりまとめについて」というものです。
 7月6日金曜日に、ここに書いてあるメンバーで会合が持たれまして提言がとりまとめられたというもので、御紹介するものでございます。
構成員ですが、国立病院機構の外からは、まず、JR東海の会長の葛西さん、それから、私ども理事長の次にございます読売新聞グループ本社監査役の丹呉さん、元財務次官でございます。それから、私どもの前理事長でした矢崎義雄、それから、元厚生労働大臣をお務めになられた柳澤伯夫様といった方々、オブザーバーも加えましての構成でございます。
 その日に提言がまとめられたわけでございますので、読み上げをもちまして説明に替えさせていただきたいと思います。

提言

国立病院機構の新法人化に当たっては、以下のように考えられる。

1.公的ミッション遂行
○国立病院は貴重な国民の財産。機構設立以来8年間の豊富な実績と経験の上に立ち、この病院群を最大限機能させ、我が国の医療の向上を図るべき。
○この病院群は、筋ジストロフィー、重症心身障害や結核をはじめ国家社会として確保すべき医療の最後の砦。今後一層、その職責をしっかりと果たしていくべき。同時に、地域に根付いて地域の支持を得ることも必須。
○この病院群のネットワークを活用し、災害出動はもちろん、医療の質向上や新薬治験、医療人材の育成、物品調達の合理化などを一層推進すべき。この際、附属看護学校の大学化も可能とすべき。

2.自立的な経営
○臨床医療に硬い統制は似つかわしくない。他律を排し自律を目指すべき。
○国が求めるミッションを、自立的な財政運営の下で民間手法を最大限採り入れて実現していくという、実質的な民営化を行っていくべき。
○過去に国直轄組織であったことに起因する過重な財務負担は見直していくべき。
 
以上、簡単でございますが、御説明でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
ただいまの御説明に委員の皆様から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺委員 ちょっと1~2質問なのですが、まず、このアドバイザリーボードというのは常設機関なのですか。それとも、この提言をやって、もう解散してしまったのですかというのが第1点。
もう一点は、今、御説明あった「公的ミッション遂行」の3つ目の丸で、この病院群云々で、最後の行に「この際、附属看護学校の大学化も可能とすべき」となっていますが、大学化の問題、「この際」というのはどういうことなのですか。なぜ「この際」。
その2つをお伺いしたいと思います。
○清水副理事長 このアドバイザリーボード、会合としては1回開かれたという実績でございます。今後どのように開くかどうかにつきましては、また、これらの委員の方々とも御相談ということでございまして、別に、特段廃止ということではございません。
 それから、「この際」といいますのは、私が御説明するのも何なのですけれども、「新法人化に当たっては、以下のように考えられる」という柱書きがありますので、新法人化に当たって大学化も、と解するべきかなと思っております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 看護学校が大学化した場合には、設置形態はどういう形を想定していらっしゃるのでしょうか。
○清水副理事長 現在、私ども、39の附属の看護学校、各病院に付設してございます。もちろん、全部ができるかどうかというのは今後の検討でございますので、非常に難しい問題もあるなあとは思っています。いろんな手法があろうかと思います。現在でも、私どもの病院の敷地内、あるいは近くに大学を誘致しているという形で連携ということもございます。また、今後いろいろと厚生労働省で法案検討していっていただく中では、例えば機構という組織が出えんをして、寄附の形なのかもしれませんけれども、それで学校法人をつくると、そこが看護大学をつくるといった形も考えられるのかなと思っております。
 ただ、いずれにしましても、大学ということになりますと、教員等の人材の確保等々さまざまな課題がございますので、そう一気にいっぱいというような話ではなくて、やはり相当検討しながらやらなければいけないことかなと思っております。
○渡辺委員 というと、何か常設、要するに私が伺いたいことは、今我々がこの検討会をやっている最中にわざわざアドバイザリーボードをつくって、こういう提言をなさった真意って何ですか。それをちょっと。つまり、逆に言うと、我々、これから議論を進めて、まだ結論出てないわけで、そのときに、こういった結論というか提言を出されたその具体的な趣旨というのがもしあればお伺いしたい。
○清水副理事長 前々からいろいろと、アドバイザリーボードをつくれないかと前理事長の矢崎とも相談しておったわけでございますので、たまたまこの時期になったということでございます。もちろん、これは私どもの国立病院機構に対するアドバイズということでございますので、ここの場での御議論を制約するというものではなくて、こういう観点もあるのだということで、この場でも御論議賜れればというものでございます。
○桐野理事長 看護学校の大学化は、委員の先生方御存じと思いますが、看護教育が高等教育化しつつある中で、機構の看護学校は各種学校のままでありまして、それは国立病院機構が学校法人格を持っていないということに基づいています。
実際にその附属看護学校の中の5つほどは他の学校法人に経営を委託しているという状況であり、そうすると、その国立病院機構としての固有の教育ができなくなるという問題もあって、できれば国立病院機構として大学の運営に参画していきたいという希望があり、そのためには、やはり何らかの形で学校法人にいわば出資ができるような形、あるいは学校法人格を自ら持ってしまうような形というのがどうしても必要ではないかということであります。
○堺委員 今の附属看護学校の大学化についてもう一つお尋ねしますが、十分御検討の上というふうにまず思っておりますし、それから、この附属看護学校の大学化、看護の質の向上、あるいは看護の領域の拡大という点で望ましいものと私も思います。
ただ、過去のいろんな例を見ておりますと、大学化することによって、そこの卒業生の方が臨床の現場に入られる比率が低下するということは実際に多くの場所で起こっておりまして、看護師さんの確保という点で、国立病院機構でその辺は十分もう御検討の上と思いますが、いろいろな地域のことをお考えの上で、看護定員の確保には格別の問題は生じないだろうと。そういう御理解でよろしいでしょうか。
○桐野理事長 看護教員の確保はかなり大きな問題になることは間違いないので、良質な教育を確保するためには、やはり一挙に39の看護学校について大学を考えるのはとても無理でありまして、一部の大きいところから徐々に教師の確保の状況などを見ながらやっていくしかないと思います。
ただ、一部の看護学校においては、その地域の看護大学との間で若い人材の奪い合いの状態になりつつあって、成績のいい受験生から、ふたをあけてみると大学に行ってしまうというような残念な事態がありますので、私どもとしてはやはり、能力の高い看護師を養成するためにはこういうことも考えていかざるを得ないと考えております。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと思います。まず、議題の1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○木暮労災管理課長 最初に、資料1、前回の宿題事項でございます。私から、資料1-1と1-2を御説明申し上げますけれども、最初に、「緊急事態への対応規定について」、前回、御指摘がございました。災害の発生等の緊急時におきましては、一般的に国が出資している独法に対して主務大臣が必要な対応を求めることができるように個別法を置いているというのがかなり一般的に見られるということでございまして、これにつきましては、独法改革の分科会におきましても、こういう規定というのは監督権限のあり方としてあるということで議論がなされたという経緯がございます。
2ページ以下に、個別法において、緊急時、主務大臣がどのように関与するかというのをずらりと書いておりまして、資料として大部でございますけれども、5ページのところまで御参考までにお示ししているというところでございます。こういうものを参考にしながら、今後新たな新法人に対する緊急規定のあり方について検討してまいりたいということでございます。
次に、資料1-2、6ページでございます。前回、労災病院につきましては、労災患者割合というものをお示ししましたけれども、国立病院につきましては、政策医療の占める割合、資料がなかったということで、お示しをしております。
上の枠、セーフティネット分野等と書いてございますけれども、重症心身障害、筋ジストロフィー等のこういう分野につきましては、入院患者数の割合が36.5%ということになっておりまして、かなりの割合を占めているということでございます。これに5疾病の入院患者の数も含めますと8割程度でございますけれども、資料の都合上、入院患者だけしか、ちょっと数がつかめなかったということについてはコメントしておきたいと思います。
それから7ページのところ、これは重ねての資料でございますけれども、前回お示ししましたけれども、労災患者の割合が4.3%、入院3.0%、外来5.0%ということでございます。これについても、代表的なせき損、じん肺、振動障害等の患者がどのぐらいいるのかということについて、参考までに統計上抜き出してみたということでございます。
○渡辺国立病院機構管理室長 続きまして、資料1-3につきまして説明をさせていただきます。
 前回の説明の際に、改正後の国立大学法人につきましては、総務省の委員会に意見を聞く機会は特にないと申し上げたかと思っております。しかし、この資料の左下の部分をごらんください。例外的に、最後の事業年度の前々事業年度につきまして、この総務省の行政法人評価制度委員会が意見を述べることができるという制度になっておることでございます。ここにつきまして御訂正を申し上げます。
 以上でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの御説明及び資料につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 1-3と直接ではないのだけれども、基本的なところで伺っておきたいのは、独法通則法が、今国会というか、成立しなかったわけですね。そうすると、臨時国会でどうなるかわからないけれども、我々の検討会の結果と来年の通常国会へ出すという予定でやっているのだけれども、仮定の話をしてもしようがない部分があるけれども、臨時国会通らなかったら、通則法の改正も通常国会になるわけですね。そういう同時並行になるということは別に構わないというのか、そういうことはあり得ると考えたらいいのですか。
○渡辺国立病院機構管理室長 そういうことはあり得ると考えております。
○渡辺委員 同時並行で一緒にいっても全然構わないと。
○渡辺国立病院機構管理室長 今後どうなるか、まさに仮定のお話ではございますけれども、そういうこともあり得ると考えております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 御意見ございませんでしたら、先へ進ませていただきます。では、議題の2でございます。まず、事務局から資料2全体を御説明いただき、その後幾つかに分けて議論いただきたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○渡辺国立病院機構管理室長 それでは、資料2につきまして御説明させていただきます。
 まず、資料2の全体、この一枚紙の「法人の組織・運営等について」をごらんください。資料2-1、こちらは総論的な話でございます。資料2-2-1から資料2-2-3まで、この3つの資料は業務運営についての説明をさせていただきます。続いて、資料2-3-1から資料2-3-3まで、こちらは人事管理の関係の話でございます。資料2-4-1、2は財務の関係、そして、その他ということで資料2-5がついております。こちらにつきまして説明させていただきます。
 それでは、まず資料2-1をごらんください。総論といたしまして、医療事業を行う法人につきまして、簡単に説明をさせていただきます。
医療事業を行う法人の特質といたしましては、病院ごとに患者や地域から求められる多様なニーズに対応して、臨機応変な対応、経営判断が求められる事業だという特質がございます。
 その一方で、今現在どういう規制がかかっているかと申しますと、下の図の<国の視点>というところでございますけれども、例えば独立行政法人共通の規制といたしまして、中期目標管理、総人件費管理、利益処分ルール、そのような現在の規制がかかっておるところでございます。
 このような共通の規制というのが果たして医療事業を行う法人にふさわしいものであるのかどうなのか、この現在の規制が適していない部分があるのではないのかというのがまず1点目として問題意識でございます。
 続きまして、次のページをごらんください。「医療事業を行う法人について(2)」でございます。今回、この検討会で本日検討していただきたい視点がここに3つ書いてございます。1点目といたしまして、医療事業の特性等を踏まえますと、独立行政法人共通の規制はなじみにくいと。可能な限り、法人の自主性・自律性を尊重することとしてはどうかという視点でございます。2点目といたしまして、法人の説明責任や透明性が確保されることを前提として、事後評価を重視することとしてはどうか。そして3点目として、政府出資により事業運営を行う法人でございますので、監事機能の強化、法人の業務運営の改善への関与、役員の責任の強化等を行うこととしてはどうか。これらの視点に立ちまして、今から説明させていただきたいと考えております。
 次のページをごらんください。「医療事業を行う法人について(3-1)」という資料でございます。国立病院機構の現状と課題でございますけれども、人事管理、建物設備等、そして次のページ、財務につきまして、分けて御説明を簡単にさせていただきます。
人事管理につきましては、平成18年度以降、5年間で5%以上、そして、これはもう1年、実は延長されておりまして、6年間で6%という削減の義務づけがされております。医療職の人材を確保する観点から、処遇改善のみならず、研究環境の整備などのインセンティブも必要でございます。また、事務職の人材確保・養成などが必要となってきております。このような課題があるというのが1点目でございます。
 2点目といたしまして、建物整備等でございます。将来の大震災等の発生リスクに備えまして、老朽化している建物につきましては建て替え整備が必要となります。これにつきまして、新法人以降の5年間で約3,000億円程度、今のところ必要ではないかと見込んでおります。そのほか、医療IT(電子カルテ)などや医療機器の更新などに関しまして、同様に2,000億円程度、合わせて、新法人以降の資金確保として4,000~5,000億円程度の投資資金が必要ではないかと考えられます。これらの資金をどう捻出していくのかというのが課題の一つとなっております。
 次のページをごらんください。次に、財務に関してでございます。現在、国立病院機構につきましては、平成24年度の運営費交付金286億円という交付金をいただいておりますが、この中の85%は過去債務清算事業、つまり、職員に払う退職金のうち、これまた後で出てまいりますが、国に勤務をしていた期間に係るものでございまして、これは現在国が負担しておるものでございます。臨床研究事業費等の政策的経費は14%、約41億円という状況になっております。
なお、診療事業への運営費交付金は措置されていないことに御留意いただきたいと考えております。
 また、法人形態が独立行政法人であることなどによりまして、医療事業等に係る補助制度の一部が対象外となっている問題がございます。
課題といたしまして、今後必要な臨床研究等を実施するための財源のあり方をどうするのか、退職手当の過去債務清算事業の取り扱い、また、補助制度の活用のあり方について、課題がございます。
 その後、1ページ、こちらは飛ばしていただきまして、資料の6ページ目をごらんください。労働者健康福祉機構につきましても同様の問題点がございます。説明は重複いたしますので細かく説明はいたしませんけれども、人事管理、建物設備、そして財務等につきまして、同様の問題点があるということを御念頭に置いていただければと思っております。
 資料2-2-1をごらんください。こちらから各論といたしまして、まず業務運営について説明させていただきたいと考えております。独立行政法人におきましては、事業の公共性ということに加えまして、国から出資を得ているということ、そして、運営費交付金の受け入れをしているということに応じた説明責任が求められております。その一方、医療法人におきましては、事業の公共性という観点から、一定の説明責任が求められております。
 下の表をごらんください。まず、現行でございますが、主なものは、事業に関するものがそちらにあります事業計画等の4つ、財務に関するものが財務諸表など、その他というような、資料を公表するというようにされております。
新法人になりますと、自律的かつ効率的な法人運営を行うこととなりますけれども、出資目的の実施状況や医療事業の公共性に着目した説明責任、透明性の確保を行う必要があるのではないかと考えております。出資目的の実施状況につきましては、事業計画、事業報告書など、国に報告・公表することとなっておりまして、これは現在と同様、引き続き公開していくものでございます。
医療事業の公共性に着目した項目としては、現在、医療法上で主務官庁に報告が義務づけられているようなものなどにつきましては、当然のことながら、誠実に実施。その他、契約調達情報などにつきましても公表していくということで、結果的に現在と同じような情報を公開していく方向でどうかということを御議論いただきたいと考えております。
 次の資料をごらんください。「監事機能の強化について」御説明させていただきます。医療法人制度におきましては、今現在、適切な法人の業務運営の担保のため、監事に対しまして、職務として業務及び財産の監査を求めるとともに、不正行為などの発見時の報告義務を付与しております。下の表をごらんください。
 まず現行でございますけれども、独立行政法人通則法におきましては、監事の職務というところに書いてある職務がございまして、権限、義務等につきましては特に規定はされておりません。
医療法人につきまして、現在、医療法のもとで監事の義務といたしまして、今申し上げましたようなことが義務づけられております。
 一方、行政法人制度におきましては、民間会社や一般社団、財団法人と同様に、監事の職務の遂行に必要な報告調査に加えまして、調査権限が新たに与えられる予定でございます。
新しい法人における監事機能につきましても、その職務の遂行をより的確なものとするため、行政法人の改正案と同様に、監事機能に報告徴収、報告義務等の権限、義務を付与したらどうかという点について御議論いただきたいと思っております。
 次のページをごらんください。資料2-2-3、「法人の業務運営の改善について」、御説明させていただきます。最初に下の表をごらんいただきたいと思います。左側に3つの場合が書かれてございまして、その一番上、「評価結果に基づき必要がある場合」という欄をごらんください。現行のところでございますけれども、これはどのような大臣等の関与があるかということでございますが、各府省評価委員会による業務運営の改善の勧告というのがなされることとなっております。そして、中期目標行政法人の改正案におきましては、主務大臣による業務運営の改善の命令というのが規定されておるところでございます。
 新法人につきましては、その自主性・自律性を尊重するという観点から、この評価結果に基づき必要がある場合について、厚生労働大臣による業務運営の改善の勧告としてはどうかという点について御議論いただきたいと思います。
その一方、業務運営が著しく適正を欠く場合、また、不正行為や違法行為等がある場合につきましては、当然のことながら、改善の命令をすることとしてはどうかと考えております。
 以上で資料2-2は終わりとさせていただきます。資料2-3-1をごらんください。ここから人事管理につきまして御説明させていただきます。
 まず、「役員の任命等について」です。下の表をごらんください。新行政法人制度等におきます役員の任命等につきまして御説明させていただきます。現行独立法人制度下でどうなっているかということにつきましては、1点目、法人の長や監事は主務大臣が任命するということになっております。その他の役員は法人の長が任命いたします。それが行政法人の改正案におきましては、「法人の長及び監事は、主務大臣が、原則として公募を行った上で、内閣の承認を得て任命。その他の役員は、法人の長が、原則として公募を行った上で任命」というような改正案に現在なっております。
 一方、国立病院機構につきましては、全国144の病院を有する大規模な事業体でございます。政策医療等を初めとする医療事業を自律的・効率的に運営する必要がございます。また、労働者健康福祉機構につきましても、自律的・効率的な運営を実現しつつ、労災補償政策のセーフティネットワークの役割を果たす必要がございます。このような新法人の事務事業の特性を踏まえますと、役員につきましては、医療全般についての専門的知識やすぐれた経験を有する者を着任させる必要があるということは明らかでございます。特に理事長におきましては、全国の病院を統率する強いリーダーシップや調整能力等の特別な資質が求められると考えております。
 このため、新法人の役員、特に理事長につきまして、その任にふさわしい者をどのように選考・任命するかについて御議論いただきたいと考えております。
 その次の資料、2-3-2をごらんください。役員の責任等でございます。行政法人の改正案では、会社法等の規定にならいまして、役員等の損害賠償責任の規定が新たに設けられる予定でございます。新法人における法人の役員等につきましても、自律的な経営、業務運営を確保する一方で、その職務の遂行の適正性を担保するため、損害賠償責任を課してはどうかと考えております。
 その次のページをごらんください。資料2-3-3でございます。「雇用・人事管理について」御説明させていただきます。現在、独立行政法人等における人件費の削減の仕組みといたしまして、先ほど少し御説明いたしましたが、人件費の総額について、平成18年度以降の5年間で、平成17年度比5%以上を基本とする削減というのが言われております。
そして、真ん中の2番目のポツでございますけれども、平成18年に出た閣議決定で、その改革を平成23年度まで継続することとされているところでございます。
しかしながら、国立病院機構は、他の設置主体では代替困難な医療体制の整備、救命救急センターや周産期医療に対する体制整備などのため、総人件費の削減が困難な状況でございます。
ちなみに、17年度に比べまして、23年度は約296億円の増、9.7%の増となっております。こちらにつきまして、独立行政法人評価委員会からは、人材確保の必要性を認め、総人件費改革の一律の適用は困難であるという旨の意見をいただいているところでございます。労働者健康福祉機構においても同様でございます。総人件費の削減が困難な状況にございます。17年度に比べまして、23年度は約58億円の増、5.7%の増となっております。
労働者健康福祉機構におきましても、独立行政法人評価委員会から、より積極的な人材確保により、ミッションの達成と経営の健全化を両立させることが期待される旨の意見をいただいているところでございます。
 次のページをごらんください。また、社会保障・税一体改革におきましても、人員配置を充実し、医療提供体制の効率化・重点化と機能強化を図ることは医療事業の特性であるという旨のことが示されているところでございます。
 次のページをごらんください。<2025の改革シナリオ>と書いてある5ページでございます。社会保障・税一体改革の成案でございますが、例えば、左の高度急性期のところでございます。職員数については2倍程度増、また、一般急性期につきましても、職員数については6割程度増などの提言がされているところでございます。
 1ページおめくりください。国立病院機構の場合でございますけれども、診療事業に税金(運営費交付金)は現在投入されておりません。人件費は全て診療収入で賄っている状況でございます。
 次のページをごらんください。同様に、労災病院につきましても、病院事業に国費(運営費交付金)は投入されておらず、人件費は診療報酬で賄っている状況でございます。
 もう一ページあけていただきまして、「新法人移行に当たっての方向性」というペーパー、8ページでございます。平成24年の閣議決定、独立行政法人の制度、組織の見直しの基本方針においては、「自律的かつ効率的な経営の実現」という見解が示されております。医療事業を行う法人につきましては、その透明性を確保しつつ、法人の目的を達成するために必要な人員を、効率的に配置することにしてはどうかという点につきまして御議論いただきたいと考えております。
 次に、資料2-4-1をごらんください。ここから財務関係につきまして御説明させていただきます。論点として2つございます。1点目として、国が担うべき政策医療等について、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す観点から、どのような財政措置等が必要と考えるべきか。また、既定の補助制度の活用についても検討すべきではないかという状況でございます。
 まず、運営費交付金につきましてですけれども、先ほど申し上げましたとおり、国立病院機構には286億円の運営費交付金、また、労災病院のほうには82億円の運営費交付金が現在入っているところでございますけれども、その中身につきまして、一番下の四角で囲んだ黒い丸のところをごらんください。国立病院機構及び労働者健康福祉機構につきましては、運営費交付金の特徴から、その運営経費のほとんどを診療収入で賄っているにもかかわらず、多額の赤字補填が行われているという誤解が発生しているような状況でございます。
 1ページおめくりください。【参考1】と右上に書いてございますけれども、「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」の中でも、財政支援の在り方という中で、財政支援の目的、範囲等を明確にして効率的に行うべきであるというような提言がされているところでございます。
 2枚めくっていただきまして、4ページをごらんください。国立病院機構の運営費交付金について御説明いたします。平成24年度の運営費交付金は286億円という額でございますけれども、そのうちの245億円が、ここで2.とありますように、過去債務清算事業というのに充てられているものでございます。これは何かと申しますと、まず1つは、国期間分の退職手当等ということで、これは職員に支払います退職手当のうち、国に勤務していた期間に係る負担等ということでございます。そしてもう一つは恩給負担金でございまして、恩給受給者への支払いに係る負担でございます。こちらが運営費交付金の85%を占めております。
そして、政策的経費でございます教育研修事業、臨床研究事業、再編成経費などにつきましては41億円ということで、約14%という数字になっております。これからごらんいただいてわかるように、診療事業への運営費交付金は措置されていないということがポイントの一つでございます。
 次のページをごらんください。下のほうに横長の表がございますけれども、その平成23年度という数字をごらんください。運営費交付金収益、これは過去債務+政策的経費でございますけれども、経常収益に占めます運営費交付金収益の割合は4.1%、その中でも政策的経費につきましては0.6%という少ない割合だということが、ごらんになっていただいてわかると思います。
 次のページをごらんください。「国病特会と運営費交付金等の推移」、【参考3】とある資料でございます。平成8年から平成14年にかけまして、この部分につきましては、現在の国立病院に加えまして、国立高度専門医療研究センターに係る一般会計繰入が含まれている数値でございますけれども、大きく運営費交付金等が減っているということがおわかりいただけるかと思っております。平成16年以降も運営費交付金が減っているという要素がこちらでおわかりいただけるかと思います。
 次のページをごらんください。続きまして、労働者健康福祉機構につきましても、国立病院と同様の状況がございます。平成24年度の運営費交付金82億円のうち、その6割が労災病院等以外の事業、ここで言いますと、2番の産業保健推進センター、3番、労働政策関係、4番の退職手当に要する経費で占められている状況でございます。国立病院と同様、診療事業への運営費交付金は措置されていないということをポイントとして挙げられるかと思います。
 1ページおめくりください。経常収益に占めます運営費交付金の割合でございますけれども、下の、これも同様に表を見ていただければと思いますが、平成23年度のところで、運営費交付金収益2.9%という数字となっております。
 その次の資料、労働者健康福祉機構の運営費交付金等の推移でございますが、国立病院と同様に、毎年減っていっているということがおわかりいただけるかと思っております。
 続きまして10ページをおあけください。「医療機関への財政措置の状況」を設置主体間で比較したものでございます。これは補助金等の収入の割合についてのグラフでございます。国立病院機構及び労働者健康福祉機構の補助金等の収入割合でございますけれども、下のグラフを見ていただければわかりますが、自治体立の病院は11.92%と、一般的な医療法人でも0.56%という数字であるのに比較しまして、国立病院機構で0.27、労働者健康福祉機構で0.28と非常に低い状況でございます。
 これは、補助対象となる事業を行っている医療機関であれば獲得できるはずの補助金が財政的制約等により獲得できていないということが原因でございます。今後、このような補助金の取り扱いをどのように考えればいいのかということが課題となってきております。
 2枚おめくりいただきまして、資料2-4-2「利益処分について」という資料をおあけいただければと思っております。こちらからは利益処分につきまして御説明させていただきます。まず、論点といたしまして、国が担うべき政策医療等について、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す観点から、利益処分をどのように考えるべきかという論点がございます。
まず、今現在の独立行政法人の利益処分について、現状を説明させていただきます。当期純利益が出ますと、それが経営努力により生じた利益かどうかということの判定がまずされます。それがYesの場合は目的積立金となりまして、こちらは中期計画期間中に建物の整備や機器の購入等、借入金の償還などに使うことができます。それがNoと判定されますと、これは積立金という扱いになりまして、次年度決算で損失が生じた場合にはその穴埋めに充てることができます。そして、中期計画の最終年度におきまして、残額が生じた場合、もしくは積立金の残りがあった場合には、次期中期計画への繰越を協議いたしまして、さらに残余があるときは国庫納付という形になっております。
 ちなみに、国立病院機構におきましては、平成21年度に当期純利益348億円が上がりまして、うち256億円を目的積立金、92億円を積立金としております。また、22年度には495億円の純利益が上がりまして、それをそのまま積立金としておるところでございます。
 次の資料をごらんください。利益処分に関しまして経営努力認定ということがされるわけでございますけれども、まず上の四角をごらんください。どういう場合に経営努力認定がされるかということでございます。1として、法人全体の利益が年度計画予算を上回ること、2として、利益の実績が原則として前年度実績額を上回ること、そして3として、経営努力による収入の増加や費用の減少であることを法人が合理的に説明できること、というような条件が課されておりまして、我々のほうから説明するためには比較的厳しい要件が現在課せられている状況でございます。
 平成23年8月に出されました国立病院機構の業務実績の評価結果の抜き書きが下にございますけれども、この中で、目的積立金に係る経営努力認定について、総務省が一律に定める「新規性」に主眼を置いた認定基準にはなじまないと。そして、病院事業には利益を患者に還元するという基本的な考え方があることから、利益剰余金については、医療の使途に充て、患者に還元できる仕組みとなるべきであり、改正を強く望むものであると。そのような独法評価委員会の御提言をいただいているところでございます。
 2枚めくっていただきたいと思います。資料の16ページをおあけください。「利益処分の比較」ということで、簡単に、今現在どうなっているかということでございますけれども、行政法人の改正案におきましては、目標を上回った自己収益の増加や交付金の節減努力による利益につき、一定割合について適切に経営努力を認める仕組みとするという規定がされているところでございます。
 また一方、地方公営企業として病院事業をやっている地方公営企業型につきましては、あらかじめ規定した剰余金の使途に充てる場合には、地方独立行政法人法の第84条により、「設立団体の長の承認を受けることを要しない」というような規定ぶりになっている例もあるということでございます。
 1ページおめくりください。そして、一般的な医療事業については、この利益処分どうなっているかということでございます。まず、医療法54条におきまして、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定められておりますけれども、「剰余金の配当」とはというところでございますが、「医療法人は、剰余金の配当を禁止される結果、利益を生じた場合には、施設の整備・改善、法人の職員に対する給与の改善等に充てるほか、全て積立金として留保すべきこととなる」という見解が示されております。つまり、医療で得られた利益は医療事業に活用するということが基本でございます。
 次のページをごらんください。利益処分のあり方を考えるに当たりまして、国立病院機構の今後の投資について、その必要性について考えることが必要ではないかと考えております。下のグラフの中で左側の破線で囲まれておる部分をごらんください。こちらは昭和54年以前に建築された建物の割合でございます。国立病院の病棟が一番左端のちょっと白目の部分で、国立病院の外来が真ん中の柱でございます。この54年以前の数字を見ますと、まず病棟につきましては、32.7と9.0を足しまして約40%、そして、外来につきましては、42と20.3を足しまして約60%、これが昭和54年以前に建築されたというものでございまして、平成30年度までに耐用年数を経過する建物というのが、病棟で約40%、外来で約60%あるということを御認識いただきたいと思っております。
 1ページおめくりください。このような状況の中で、国立病院機構の投資計画につきましては、下の表にありますとおり、平成21年から25年まで、計で3,370億円±αという数字でございますけれども、そのような投資が必要ではないかというような計画で見込まれておるところでございます。
 1ページおめくりください。労働者健康福祉機構につきましても御説明させていただきたいと思いますけれども、こちらにつきましても、基本的には国立病院と同様の状況でございます。平成30年度までに耐用年数を経過する建物は、病棟で約40%、外来で約30%となっております。
 21ページをごらんください。また同様に、投資計画につきましても、平成21年から25年まで892億円±αという形で、これだけの投資が必要ではないかと見込まれておるところでございます。これらの状況を勘案いたしまして、利益処分について御議論いただきたいと考えております。
 最後のパーツでございますけれども、資料2-5をごらんください。国立病院機構におきます今後の看護教育につきまして、簡単に御説明させていただきます。先ほどちょっと議論になった部分かもしれませんけれども、まず論点といたしまして、国立病院機構におきましては、国のミッションとして、教育研修事業である看護師養成事業を行っているところでございます。新法人の制度設計に際しましては、政策医療を確実に実施するため、将来の少子化、大学指向や医療の高度化・複雑化などの環境の変化をかんがみまして、看護師養成のあり方について検討する必要があると考えております。
 下の表でございますけれども、現状・今後の見込みのところで、少子化の影響ということで、18歳人口の減少、また、養成する大学数が増加して大学指向が高まっている状況の中で、国立病院機構におきましては、看護師養成を全て3年課程の養成所で現在実施しておるような状況でございます。また、民間の看護大学では、政策医療に係る教育が十分に実施できにくいという状況の中で、将来にわたる学生の確保が不安定化、また、政策医療分野を実践できる看護師の確保が不安定化しておるという状況でございます。このような状況を踏まえまして、これらの課題を解決し、政策医療分野を実践できる看護師を育成するため、国立病院機構の看護師養成所の大学移行というのを現在検討しているところでございます。
具体的には、学校法人への土地・建物の貸与のほか、学校法人への出えんなどを行いまして教育面で連携していくということになるのではないかと考えております。
その裏でございますけれども、参考資料としまして、国におきます検討状況というのが書いてございます。まず上のほうは、平成18年の参議院におきます附帯決議でございますけれども、真ん中の部分、「医療の現場において看護師の果たす重要な役割にかんがみ、大学教育の拡大など教育期間の延長を含めた看護基礎教育の在り方について検討する」ということが附帯決議で決議されておるところでございます。
また、厚生労働省の懇談会の論点整理におきましても、「将来的には、看護基礎教育の期間延長を図り、大学での基礎教育に移行していく必要がある。学生の大学進学志向を踏まえると、看護師職員確保という観点からも、大学教育に移行すべきである」というような提言がされておるところでございます。
資料の4ページをごらんください。「看護学校・養成所の入学定員の推移」でございますけれども、一番上のピンクの部分は大学の定員でございます。こちらをごらんいただくと、大学の入学の定員が大きく伸びておるということがおわかりいただけるかと思っております。
駆け足になりましたが、私からの説明は以上です。
○永井座長 ありがとうございます。
 それでは、まず資料2-1につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。
○渡辺委員 2-1の4ページ、あるいは6ページでもいいのですが、ちょっとお伺いして、また資料請求なのですが、運営交付金のうち、その85%、つまり、245億円はいわゆる過去債務の充当ということですね。過去債務というのは、国家公務員時代の退職金と、あと年金の恩給期間相当分と思うのですが、まず1つ、その245億円、年金の恩給というのは、ここは昭和33年か34年に移っているわけだから、相当減っている。ますます年々減るわけですね。今の運営、その245億円が退職手当といわゆる整理資源追加費用、つまり、恩給期間、これに幾ら支払われているかという内訳を知りたいということが1つ。そして、当然これは両方とも年々減っていくわけですから、ここでどうするかという検討事項の課題になっているのだけれども、その取り扱いが課題ではありますが、当然減っていくということで、この数字が当然わかると思いますので、これを出していただきたいということをお願いします。労働者のほうはそれはないと思いますので。
それからもう一点は、過去に民営化した、例えば郵政なんかいい例だけれども、そういった公務員から民間になったときには、当然、整理資源なり発生しているわけですが、これはずうっと国が見てきたわけですね。もし例外があれば、そのこともあわせて資料として出していただきたい。
 とりあえず以上です。
○渡辺国立病院機構管理室長 また後で御用意させていただきます。
○永井座長 きょう御欠席の齋藤委員から意見の提出がありまして、机上配付させていただいています。これは「法人の組織運営等に関する意見」ということで、齋藤英彦委員から一枚紙の意見が出ております。1から3、これはごらんになってください。
 いかがでしょうか。
 私から、3ページ目、3-1のところですが、医療事業を行う法人について、定員はやはり今後も定められているということなのでしょうか。余剰金が出たときにも、その範囲での定員を増やすことはできない、定員といいますか、雇用することはできないということでよろしいのでしょうか。
○清水副理事長 私のほうから申し上げますが、定員管理ということは、現在、法律上はございません。法律であるのは、1月1日現在での現在員、常勤の方の数を国会に報告するということだけでございます。
 一方、閣議決定等によりまして人件費管理というのが掛かってまいります。これを守ってくださいと私どもにも要請があるわけでございます。ただ、それに対しましては、私ども、医療をやっている者としまして、医師、看護師、増やしていかなければいけないものでございますので、残念ながら、御要請にはなかなか十分従えないなあという御返事をしているところでございまして、そうすると、お国から、やはり守ってくださいというようなお話がございます。もちろん、その中でも事務職の数は増やしてございませんし、電話交換手、自動車運転手等の労務職につきましては計画的な人数削減を行っているといったような形で、私ども、努力しているところでございます。
○永井座長 これは今後どういうことになるのですか。そんなことをいつまでも繰り返すわけですか。
○清水副理事長 私どもとしましては、この独立行政法人全体に掛かっている人件費管理の考え方は、医療、あるいは病院運営というものにはそぐわないのではないかと思っています。できましたら、そのようなものを医療に沿うような形で撤廃なりの形をお考えいただけないかなあというのが私どもの考え方でございます。
○堺委員 今の議長のお尋ねとも関連いたしますけれども、人事管理と建物設備等の計画、これが国立病院機構と労災病院機構と両方にかかわることですが、平成37年度までに急性期病床数が3分の1強削減されるということはほぼ確定した路線となっていると理解しております。そうしますと、個々の病院について、それぞれの病院の特徴、あるいは地域性を勘案して中期的計画をおつくりになっていらっしゃると思いますし、それを総合したものが両機構の将来の姿になると思いますが、そのような御計画は現在進行中であると理解してよろしいでしょうか。
○清水副理事長 私の説明が的を射ているかどうかわからないのですが、申し上げますと、厚生労働省が、税・社会保障一体改革に当たりまして病床数減らしていく方向性は確かにお出しにはなってございますけれども、それをどういう実現手段でやっていかれるのか、医療計画というのもツールとしては考えられますし、あるいは、最大に考えられるのが診療報酬体系かもしれませんけれども、それを具体的に、これこれこういう形で急性期病床を絞っていくのだというのは現時点ではまだお示しになっていないのかなと思っています。
 私どもはどのように考えているのかということでございますけれども、政策医療をやると同時に、やはり地域に信頼される医療、紹介元の開業医さん、あるいは患者さんに選ばれるような病院になろうということで、各病院、尽力しているところでございますので、そういう中で、都道府県の医療担当者と話したりとかいうことの中で日々努力しているということでございます。
 厚生労働省が急性期病床をこのような形で絞っていくのだという具体的ツールがお示しあれば、あるいは診療報酬体系がそういうものとして改定されるのであれば、それに対応してまた考えてまいりたいと、こんな形で思っているところでございます。
○堺委員 従来よりも、今の御発言の路線というのはかなり明らかな形で示されてきているというふうに国内の多くの病院の経営担当者たちは考えていると思います。ですから、この会議体がそれを扱うかどうかわかりませんが、一つひとつの国立病院、あるいは労災病院の中期計画をどういう路線でその計画をお立てになるのか、それから、その結果として個々の病院の計画がどうなって全体がどうなるのか、そこのところはやはり、近未来のことですので、できるだけ早い時期にスタートするべきではないかと考えております。
 以上です。
○永井座長 ほかにございませんでしょうか。
○渡辺委員 さっきの国立病院機構の課題でも、これは厚労省がおつくりになった資料なので、財務の課題のところで、いわゆる公経済負担の問題がありますが、これは厚生労働省は課題として考えてないということですか。ここに載ってないということは。それを教えてください。
○渡辺国立病院機構管理室長 いや、課題として考えてないことはございません。後のほうでも御説明したことかと思いますけれども。
○渡辺委員 どこにありますか。ずうっと見ていてなかったから。
○渡辺国立病院機構管理室長 失礼いたしました。今回は資料には載せておりませんけれども、当然課題としては認識しておるところでございます。
○渡辺委員 課題として認識していれば、課題として載せるべきでしょう、それは。
○渡辺国立病院機構管理室長 公経済負担につきましては、現在、内部で検討しておるところでございまして、また後ほど皆様に御相談することもあるかと思っております。
○渡辺委員 「することも」では困ると思うのですね、やはり。課題として厚労省も認識していらっしゃるのだったら、私も課題として認識しているし、皆さんにお示しすることもあり得るかもみたいな話は困るので、示してもらわないと困ると思いますよ、これは。
○土生国立病院課長 追加で資料提出させていただきます。
○永井座長 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、資料2-2-1、2、3について御意見いただきたいと思います。
○梶川委員 2-2-2で監事機能のお話があるのですが、今回、ある意味では御提案は新しい行政法人と同様ではどうかということで、この場合、こちらの表の医療法人の財産の状況の監査という部分に関して、ここでの監事さんは、医療法人との違いはあるのかないのか、その辺は規模によって整理されているのか、その辺、どのように考えたらよろしいでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 医療法人とのこの職務に違いがあるのかどうかということにつきまして、ちょっとまた調べまして、後ほど資料提供させていただきたいと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○伊藤委員 では、2-2で、御提案は、説明責任から監事機能、それから法人の業務運営の改善という点で、基本的には現状を踏襲していると受けとめましたので、その点はよいのではないかと思いました。
業務運営の改善については、現在は、評価結果に基づき、必要がある場合、各府省評価委員会から改善の勧告ができることになっていて、外部のさまざまな関係者の意見を反映した形で勧告につながる枠組みがありますが、今後においても関係者が入るような形で業務運営の評価や改善を行う枠組みは検討されているのでしょうか。
○渡辺国立病院機構管理室長 具体的にどのようにするのかということにつきましてはまだちょっと検討の途中でございまして、そこら辺については、今お話しできるようなことはございません。申しわけございません。
○木暮労災管理課長 この部分につきましては、「評価結果に基づき必要がある場合」でございまして、前回、評価については御議論いただきましたけれども、あくまでも評価に基づいて大臣が勧告するということでございます。その評価の段階におきましては、何らか有識者が入った形について検討しているということは前回御説明申し上げましたので、そういう形で、全く独立に大臣なり事務方が突然勧告するということにはならない。あくまでも有識者のプロセスの評価を経た上でということでやりますけれども、ただ、勧告の主体としては厚生労働大臣になると御理解いただきたいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
○岩村委員 基本的に、きょうお出しいただいた資料2-2-1、2、3については妥当なのかなあとは思っております。監事機能については、資料2-2-2のところで、特に権限等が1つ現行よりも追加するというような形で考えていくということになるだろうと思いますし、それから、義務についても加えるということになる。新しい行政法人と同様と考えればそのようになると思いますので、それは妥当だろうと思っております。
それから、2-2-3のところですが、新法人の案のところは、今、労災管理課長から説明があったように、評価結果に基づき必要がある場合については、評価委員会が関与するという形であれば、最終的には主務大臣による勧告ということでよろしいのかなと思います。あと、業務運営が著しく適正を欠く場合と、それから、不正行為・違法行為がある場合というのは、ここのところがちょっとはっきりはしませんが、いずれにしろ、こういうのは何らかの形で監査その他で明らかになった場合に主務大臣が勧告などを行うという、あるいは是正命令などを行うということだろうと思いますので、これも、そういう意味では改善の監督のあり方としては適切なのかなと思います。
以上でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。
それでは、次にまいります。資料2-3-1、2、3について御意見いただきたいと思います。
○伊藤委員 2-3-1について質問をさせていただきます。
 1ページ目の上から3つ目、3行目に、「特に理事長においては、全国の病院を統率する強いリーダーシップや調整能力等の特別な資質が求められる」とあり、ふさわしい者をどのように選考するのかという論点が示されています。そのことと、法人制度の枠組みにどのような関係があるのか。現に今の独立行政法人制度において、そういったリーダーシップを発揮した方がいらっしゃったと思いますし、現行制度で不都合があるのかという点について、もう一度御説明いただきたいと思います。
○清水副理事長 私が発言するのも何なのですが、現行の独立行政法人通則法は、左に書いてございますように、法律としては「公募等」と書いてない。一方、税金で運営される事務系の組織が多いかと思いますけれども、新しい、まだ法案で、法律になっておりません行政法人通則法は、法律において「原則として公募」と書いてある。こういう違いのうちどちらかなというのが、この資料の意味と私ども理解しております。
○梶川委員 今の理事長の選任をどういう制度的な建てつけにされるかということで、一番下の○に、(特に理事長)はということですが、多分、ガバナンス機構としては、役員と理事長というのは、ある意味では、その関係もどのようにされるかということは、制度的には大きな点もあるのではないかと思うのですけれども、現行、独法の場合には理事長は大臣で、役員は法人の長なのだということで、それ自身の牽制的な機能になるかならないかみたいなのは、多分、今回、独法改革でも一部の法人については話題にはなったと思うのですけれども、この辺はどのようにお考えになられるのか。
私は、個人的には、この公募というのが当てはまるケースと当てはまらないケースがあって、こちらに書かれているように、少なくとも業務の最高責任者に関しては適切な方を選ばれる方式というのは、今、御提案に近い形は十分に納得できるとは思うのですが、さらに役員もこの従来の独法方式で考えられるのか、その辺はどのようにお考えなのかということですが。
○松尾大臣官房参事官 役員の公募につきましては、そもそも現行の通則法上は主務大臣が任命ということになっていますけれども、現行も実は内閣府のほうから、公募したほうがよいという御指示をいただいておりまして、現在、公募しているものもございます。
ただ、公募の意味は、やはり幅広い人材の中から適任者を選ぶというメリットが1つあろうかと思いますけれども、こういう医療事業の場合には、それなりの医療の分野に精通された方でないとなかなか、144なり巨大な組織になりますと、ガバナンスを効かすためには各職種の、多職種の中ですので、そういう方々の理解を得られる医療人のような方が適切なのかどうかという、どちらを御議論いただくかというところだと思いますので、この場で御議論いただければと思いますが。
○永井座長 いかがでしょう。
○梶川委員 この場合、私の問題意識は、役員の方というのを業務執行を主にされる方と考えた場合には、本来は最高執行責任者が役員を選びたいということは、業務執行に責任を持つ上では当然考えられることなのですね。ただ、株主総会がある民間会社の役員のように、役員を先に選んで、役員の中から理事長を選ぶみたいな方式というのは、ガバナンス機能を株主に置くのでそういう形もあり得てくるということもあるので、その点少し整理をして、今回こういう自律的で、かつ、効果的に、かつ、公共のためにという、そこの整理はすごく、ある意味では重要なのかなという気がしたものでございますから、役員と理事長とあわせてどのように考えるかということを議論していきたいなという気はします。
○永井座長 いかがでしょうか。
○岩村委員 こういう役員とかトップの人の選び方というのは、もちろん、公募というのもあるし、ヘッドハンティングというのもあって、それぞれメリット、デメリットがあるわけですけれども、今の行政法人の改正法案だと、原則公募ということになっていて、それが果たしてこの種の国立病院とか労災病院の役員、さらにはトップの選任の仕方として、原則公募というのでいいかと言われると、私はちょっとどうかなという気はして、やはりヘッドハンティングでしかるべき人を採ってくるという道も開いておいたほうがいいのではないか。法案のこの改正案だと、特別の事情ということを多分これは各法人の側で立証しなくてはいけない、説明しなくてはいけないということになるので、そこまで縛るのはどうかなとは思います。
○桐野理事長 これは希望なのですけれども、常勤の役員を選ぶ場合には、世の中で今現在遊んでいる人の中から選ぶわけではなくて、大体において、現在、職について、その職場でそれなりの大きな役割を果たしている人に来ていただきたいと思うわけです。そうすると、公募ということは、その人にとってみれば、その職場を捨てて、そして新しい職につきたいという意思を表明するわけでありまして、それは、ある意味では特に重要な役割を果たしているような人物に特にお願いする場合は大変難しいことになるので、公募のほうがいいということは必ずしもない。公募がいい場合もあります。しかし、特にこういう役員の選考のような場合は、さっき申しましたような事情がありますので、公募でない選考というか、任命というものを、道をあけていただかないととてもできないのではないかと感じますので、その点をぜひお考えいただきたいと思います。
○永井座長 そのほかいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次にまいります。資料2-4-1、2でございます。
○渡辺委員 質問が2点ありまして、1点、労災のほうで、運営交付金82億円はほとんど診療に使ってないよという、7ページございますね。その中で、私、不勉強で申しわけないのですが、産業保健推進センター事業で32億円となっていますが、これは具体的に何ですか。これが1点。
 それからもう一点は、10ページ、これは国立病院機構、両方のことを書いているのですが、上の四角の2つ目の●、「これは、補助対象となる事業を行っている医療機関であれば獲得できるはずの補助金が、財政的制約等により獲得できていないことが原因」と。これは国立病院機構・労災病院両方だという意味で書いているのですが、この理由、先ほどの公経済ではないけれども、いわれなき何か制約みたいなあれなのか、ちょっとその理由もわかれば。
 この2点、お願いします。
○上家理事 まず、産業保健推進センター事業でございますが、これは病院事業とは全く、と言うと語弊があるかもしれませんが、病院ではなく、産業保健現場を、事業場を支える産業医等を支援する事業として、100%交付金で行われている事業でございます。都道府県に産業保健推進センター、あるいは連絡事務所というものを置きまして、そこが、その地域、都道府県内の産業保健活動を支援する、具体的には研修会を開きましたり情報提供しましたり、そのような事業をしているわけでございます。
 ですから、したがいまして、これは労災病院ではなく、行政に代わり、産業保健を推進・執行するための機関を私どもが運営していると、そういうものでございます。
○渡辺委員 それは全県に持っているわけですか。
○上家理事 はい。ですから、ここにかかわる分、先ほど冒頭で退職金問題等、公務員ではないので労福機構にはないという御発言をいただきましたけれども、実際にはこういう産業保健推進センター等の、労災病院ではない事業にかかわっている職員が当機構にも一定程度いるという状況がございまして、そこには退職金等の問題も発生しているわけでございます。
 それからもう一点、10ページのほうでございますが、具体的に例を挙げますと、看護学校への補助金でございます。看護学校への補助金については、かつては地財法等がありまして、国の機関に対して自治体から補助金がいただけないということが決められていたわけですが、現在は、もちろん労福機構も国病機構さんも交付金なしに病院を運営しているというような実態がある中で、それから地財法の縛りもなくなった中で、一方で、それぞれの補助金の交付要綱に(国病機構及び労福機構を除く)という文言がいまだにありまして。
○渡辺委員 何法にですか。
○上家理事 それぞれの補助金の要綱にですね。それで、都道府県が国病機構さんや労福機構を補助金の対象としないというふうに決めてしまっている補助金が幾つかあるということでございます。
○渡辺委員 ちょっと国病にも伺いたいのですが、純粋民間の医療法人でも、例えば救急をやったり何かやったら補助金をもらっていますね。そういったものも一切、国病も労災ももらえない仕組みになっているということですか。
○上家理事 もらえる補助金も出てきておりますが、もらえない補助金もいまだにあるということでございます。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 国立病院機構関係で申しますと、具体的にもらえてない。先ほどちょっと御説明あったように、補助金でもらえる部分も当然ふえてまいりましたけれども、具体的には、例えば周産期母子医療センターの補助金ですとか、あと、臨床研修事業に対する補助金、こういったものは、交付要綱上から、まさに国立病院機構を除くといったことがございます。
○渡辺委員 その経緯と言うのか、時間かかれば次回でもいいのだけれども、何でそうなってしまったのですか。
○松尾大臣官房参事官 今の御指摘の話は、現状はそのとおりになっておりますけれども、実際問題として、当初は、教育研修事業については国病機構も交付金の中で事業としてとらえているということで、臨床研修事業についても交付金で賄うべきではないかと、そういう財務省の指摘があったというのが1つです。
 それから、昨年11月末に地財法が撤廃されまして、補助金は交付対象になったのですが、逆に言うと、まさにそこに書いてありますように、財政的な状況で、我々は独法に対しても補助金が交付できるよう、交付要綱上財務省と協議をしますけれども、なかなかそこの了解がいただけないというのが現状でございます。
○堺委員 この資料の4ページ目の2、過去債務清算事業にかかわるところです。国立病院も労災病院も、施設の老朽化ということがかねて言われておりまして、それに対してそれぞれの病院がいろいろな計画を立てておられると思います。そういう計画の中で、さまざまな事情で、現在、その執行が一時的に停止しているものもある程度はあるのではないかと想像しておりますが、そうしますと、機構が変化しますときに、建設仮勘定の清算を行う必要が生じる可能性がございまして、もしも全体での建設仮勘定がかなりな額に上りますと、単年度に大きな赤字が発生いたします。国立病院機構、あるいは労災病院機構で建設仮勘定があるかどうかということだけお尋ねしたいと思います。金額がどうこうということはございませんが、そういうものがあるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 まず最初に国立病院機構に関しましては、既に工事着工したものがございますので、建設仮勘定はございます。
○上家理事 労福機構についても、ございますが、少額でございまして、大きな問題にはならないと考えております。
○梶川委員 財政措置ということを考えた場合に、業務のフロー上の財政についてどのような政策的支援をするかというものと、ストックというか、設備投資に対するファイナンスの問題があると思うのですけれども、設備投資等についてはもう今後は、一切、出資も含めて国としてはさらなる投資をされるということはもうないことを前提と考えるのか、何がしかの一定割合の出資行為が行われるということを前提と考えるのか、その辺はどんな感じでございましょうか。
○清水副理事長 私どものほうから申し上げますと、基本的には、投資は財政融資金、すなわち、借金でございまして、それと自己資金で賄うということにならざるを得ないのかなと思っています。と言いますのが、平成22年までは施設整備補助金ということで、不採算部門、研究ですとか看護学校ですとかそういうものを対象にあったのですが、それがもう現在ではなくなってございますので、それを前提の上で金回しを考えなければいけないのかなと思ってございます。
 ただ、もし可能ならばということでございますけれども、今回の東日本大震災を経験した後で考えますと、例えば非常用自家発、1系統だけでいいのか、大きいところはもう1系統ぐらいないと、自家発になった以降、それがダウンしてしまいますと怖くて手術もできなくなるとかいうことがございますので、そういうものは収益を生まないものでございますので、過去のような形での施設整備補助金というのはあり得ないかもしれませんけれども、収益を生まないようなもので外部経済性があるような、あるいは社会として必要なものについては、お国の御配慮もあってもいいかなと思いますが、今日の財政事情の中でどのような形になるか、私どもとしてはそう思っているということでございます。
○上家理事 労福機構については、もちろん、一般の医療行為を行う機関については、自立してやっていこうということは既にもう始めているわけでございます。ただ、政策医療的に、例えば労災で代表されます脊髄損傷、そのような方々の、治療しながら研究をしていくというような、明らかに不採算になる政策医療について、それを労災病院全体で生み出した収益だけでカバーしていかなければいけないかどうかというところについては、やはり御意見をいただければありがたいと思っております。
○渡辺委員 結局、利益処分とも関係すると思うのですが、先ほど御説明、この資料であったとおり、利益が出て、従来の独法だと、国庫納付というか、これが民間的な自律の新法人になったときに、国庫納付というのは私は論外だと考えていますので、それは先ほどの説明があったとおり、人件費に使うなり新たな投資に使うべきだと思っていますが、その兼ね合いが難しいと考えているのは、今おっしゃったように、国病も労災も政策医療、あるいは政策的医療を今後とも実施していく。公的な性格を持つわけですね。そのときに、その部分にまた補助金を当然出してほしいという御主張もわかるのだけれども、利益が出たときの独法時代の、今も独法だけれども、積立金を除いた部分は国庫に返納しろよとなっているわけですね。これについては、逆にちょっとお伺いしたいのですが、私自身は非常に悩んでいる、非常に悩ましい話だと思うのですが、何かそれについてお考えというか、御意見があったらちょっとお伺いしたいのですがね。国病も労災も。
○清水副理事長 私どもは、医療、政策医療を含む診療事業でございますけれども、そこに租税財源を入れていただきたいとは考えてございません。それは私ども全体の努力の中で、地域に支持される医療をやる中で何とかやっていきたいと思ってございます。
 先ほど申し上げましたのは、あくまでも東日本大震災を経た後、ほかのどの主体の医療機関であっても、災害の拠点になるような病院であれば必要なものについて、全く収益性がないものについては御配慮ということもあるのかなという一時的なものでございます。
 なお、今の利益処分、先ほど御説明ありましたけれども、もうちょっと具体的に申し上げますと、例えばある年に看護師を確保して、あるいは平均在院日数を減らして、10対1をとった、あるいは7対1をとったということになりますと、初年度は総務省の基準で良いわけですが、次の年度も、また看護師も、年度途中でやめて、また看護師確保に苦労して、2年目については、総務省の基準ですと、それは努力として認めないということになっていますので、これは医療の現場に向いているのかなと疑問に思っています。
それから、例えば比較的不採算な診療行為をやっていましたと。それを医療課が何とか配慮して、何とか採算に乗るようにやってくれましたというと、それは理論的には外部的要因でございますので、これも総務省の基準から言うと、医療機関の努力としては認めないことになるのかなということ。私ども、常々、何とか直していただきたいなと申し上げているのですが、厚生労働省も総務省に掛け合っていただいているようでございますけれども、全法人一律のものだからだめだよというお返事をいただいていると聞いてございます。
○上家理事 利益が非常に上がった場合というのが今のところあまり想像できていないのですけれども、医療から上がった収益でより医療に還元して機能を向上していく、その中で政策医療ができていく、そのようにして、自立していけるのが望ましいとは思いますが、当面、私どものところで言うと、やはり脊髄損傷のセンターのような、今かなり診療報酬で優遇されている急性期医療に当たらない部分ですね。亜急性期または慢性期、障害者医療に当たるような部分で行っている研究的な医療についてはなかなか自立できないという見通しを今持っておりますために、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
○永井座長 どうぞ、伊藤委員。
○伊藤委員 私は、前から、両法人が政策医療といったミッションを帯びて、特別に国がそれを確実に実施しろというのであれば、国がお金の手当てもすべきであり、一般診療による報酬の中から不採算の政策医療を実施するというのでは、一般診療、政策医療双方が適切に行われる保証があるのかということをずっと言ってきております。ここでは、それはできているというお話と、それだけではうまくいかないのだというお話を伺いました。労災のほうではそういった障害者の医療の領域に近い部分で研究と一体的にしている領域、7ページの労災病院等の1の部分に相当する部分には運営費交付金が引き続き必要だというように、本日の説明では聞こえました。一般診療の診療報酬の収益を回すことで、政策医療と研究の一体的な提供が安定的に行われるのか非常に心配をしていますので、そういった公費の領域というのは今後も必要だと思います。
 以上です。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 それでは次にまいりますが、2-5につきまして、御意見いただきたいと思います。
 看護学校の問題ですが、「学校法人への出えんを行って」と。出えんというのは、要するに寄附ということですか。
○尾崎国立病院機構管理室長補佐 寄附でございます。
○永井座長 これはかなりいろいろな法制度を改正しないと難しいように思うのですけれども、そのあたりの検討というのはされていらっしゃるのでしょうか。
○清水副理事長 私どもから申し上げますと、今後は法制的な詰めを、厚生労働省内部、あるいは内閣法制局とおやりになるかと思うのですが、国立病院機構のお金を外に出すということが現在の条文で読めるのか、あるいはやはりそれは重要なことであるから法律に書くべきかといった、新しい国立病院機構法の書き方の問題かなあと思います。
一旦寄附ができたとするならば、それは学校法人法に従った処理ということになりますので、そちらのほうは法制的な問題ではないのかな、実行上の問題かなと考えてございます。
○永井座長 この学校法人の主体はどこでもいいということですか。そのあり方も問題になってきますね。
○清水副理事長 まだ具体的なイメージを持っているわけではありませんが、当然のことながら、看護の教育をやっている学校ということで、既存なのか新設なのかということくらいしかイメージはしてございませんが。
○渡辺委員 これを見ると、結局、39の今の養成所を全部大学にするということと解釈できますね。どこか選んでということではないのでしょう。39をいわばセイノーでみんな四年制大学にすると。そして、学校法人へいわば出えんを行ってやると言うのですが、さっきちょっと堺委員からもお話がありましたが、例えば39をみんな大学にした場合に教員数がどの程度必要なのかとか、そういった現実的な課題というのは当然いろいろあると思うので、私、よくわからないのだけれども、それもまた、別な機会でもいいけれども、ちょっと教えてもらえれば。今わかる範囲でもちょっと。いずれにしても、39を全部やってしまうということですか。
○清水副理事長 39を全部やるというだけの、さまざまな意味での体力ですね。費用的な面、あるいは教員といった人材確保の面からいきますと、それはまず、ほぼ不可能に近いのかなと思ってございます。大学1つつくるだけでも相当なマンパワー、費用が要りますので、やはりそういうのを試行的に積み重ねていくという中で将来展望を描いていくということが現実的なルートではないかなあと思ってございます。
○渡辺委員 それが見えにくいので、さっきのアドバイザリー何とかが、この際、看護大学にしてしまうよみたいな書き方をしているので、新法人に移ったらやりますよという構えですね。そうすると、今、清水さんおっしゃったけれども、例えばモデル的にどこどこを幾つとか、そういう考えも別に今のところないのですか。
○桐野理事長 まだそこまでは検討が進んでいないのは、設置基準上、今の看護学校を大学と称すれば大学になるのかというと全くそんなことはなくて、まず教師の確保が問題である上に、例えば教育施設、体育授業ができるような場所とか、いろんな設置基準上の制約があります。それを全部クリアーした上でやっていかないといけないので、果たして、全部やると言ったときに、でも、どれぐらい現実的にできるかというのはまだ十分把握してないので、実際は、これが原理的にできるという条件のもとに具体的に一つずつ検討していって、できるところからできるだけやりたい。39全部大学にするなんてとても現実的には無理だと思っています。
○梶川委員 これは普通の所管はどちらになられる。学校法人。
○桐野理事長 基本的には学校法人がやるのですが。
○梶川委員 文科省ということですか。
○桐野理事長 はい。
○堺委員 先ほど私がお尋ねしたことも実は2つございまして、1つは看護学校の教員の問題ですが、もう一つは卒業生がどのぐらい臨床の現場へ行くかということがあります。これまでの多くの看護大学の例を見ますと、大学によって60%台から90%台でしょうか。平均値が。ということは、病院に勤務する看護師さんの絶対数がその分減るのではないかということも懸念されておりまして、病院の数がとにかく、国立病院の場合、特に多いですから、看護師さんの確保という点でも、やはり今から計画を立てて臨んでいただきたいと思います。これは要望でございます。
○梶川委員 あと、このお話は生徒さんのいわゆる負担みたいなものというのは、僕は今もよくわかっていないものでございますから、大学になる前、なった後って何か違われるのでしょうか。いわゆる授業料のようなものがあるのかないのか。逆に今、看護学生みたいなものはどのようになられているのかちょっとわからないので、済みません。
○清水副理事長 費用全体は、当然大学のほうがかかります。教員の数が多かったり、先ほど理事長が申し上げたいろんな施設の維持経費とかございますので。学校法人ということですので、通常でしたら助成なりが来るのでしょうが、それでも必ずしも十分ではございませんから、学費が相当、現在よりは高くなるということでございます。けれども、病院によりましては、私どもも病院でやってございますけれども、奨学金、学費の全部か一部かどうかは別にしまして、出したりということで、必ずしも経済的に豊かではない学生さんの支援をし、できれば病院に来ていただきたいという意向も示していると、そんな現状でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 それでは、大体時間が参ったのですが、全体を通しての御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。
 先ほどの看護学校の件、労災病院のほうではそういう検討はされていらっしゃるのでしょうか。
○上家理事 状況、環境は、桐野理事長おっしゃったと同様、優秀な学生がどんどん大学にとられていっているという問題はございますが、一方で、では労福機構としていきなり看護大学が持てるかというと、そこは難しいだろうと考えております。ただ、できれば大学との連携、あるいは大学に一定程度連携して委託するというような形式がとれるようになればそれはありがたいというようなことは内部では議論しているところでございます。
最後の7ページに私どもの資料一枚つけさせていただいておりますけれども、現在、看護専門学校という形でありますが、地域差が非常にありまして、簡単に言いますと、地方へ行けば優秀な学生が今でも専門学校に集まる。ところが、都会地では、かなり大学もあって、優秀な学生さん、みんな大学にとられている。そういう地域的な事情もありますので、当面、労福機構といたしましては、看護学校のあり方も、地域的な事情も勘案したやり方、そういうものも検討していきたいと、そういった状況でございます。
○永井座長 ほか、よろしいでしょうか。
 もし御意見ございませんでしたら、本日はここまでとさせていただきます。次回第5回目は、これまでの議論の論点整理につきまして皆様に御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局から、連絡事項等、お願いいたします。
○木暮労災管理課長 次回につきましては、10月4日の木曜日にお願いいたします。時間は、本日と同様、17時から開催ということでございます。会場につきましては、決まり次第御連絡をいたします。
○永井座長 それでは、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

 医政局国立病院課国立病院機構管理室
  運営管理係 尾崎・星(内線2635)
 労働基準局労災補償部労災管理課
  企画調整係 角園・松本(内線5437)
 (代表) 03(5253)1111

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